説明

補強コード及び空気入りタイヤ

【課題】車両の燃費を向上させつつ、路面から入力による空気入りタイヤ1の感受性が高くなることを抑えて、空気入りタイヤ1の操縦安定性を維持すること。
【解決手段】複数本の金属素線25,27を撚り合わせてなる補強コード19において、複数本の金属素線25,27は、高炭素鋼からなる複数本の高炭素鋼素線FAと、比重又は見かけ比重が7.3以下の金属からなる適数本の低比重金属素線FB又はFCを含むこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りラジアルタイヤ等の空気入りタイヤにおけるベルト層、カーカス層等の補強コード層に用いられる補強コード、及び前記空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気入りタイヤの軽量化により車両の燃費を向上させようとするニーズが強くなってきている。また、前記空気入りタイヤにおけるベルト層等の補強コード層の重量は、タイヤ総重量に占める比率が高く、前記補強コード層の軽量化が前記空気入りタイヤ全体の軽量化にそのまま繋がるものである。ここで、前記補強コード層は、補強コードを複数本並列させてゴム引きしてなるものであって、前記補強コードは、炭素鋼(スチール)からなる複数本の炭素鋼素線を撚り合わせてなるものである。なお、前記複数本の炭素鋼素線には、ブラスめっきが施されている。
【0003】
そして、前記補強コード層の軽量化、換言すれば、前記空気入りタイヤの軽量化を図るための対策(軽量化対策)としては、代表的なものが3つある。即ち、1つ目の軽量化対策は、前記補強コード層における前記補強コードの打ち込み本数(前記補強コード層を構成する前記補強コードの本数)を単純に減らすことである。2つ目の軽量化対策は、前記炭素鋼素線の引張強さを高めることにより、コード強力を減らさずに前記補強コード層を構成する前記補強コードの本数を減らすことである。3つ目の軽量化対策は、炭素鋼からなる前記複数本の炭素鋼素線をアラミド繊維等の有機繊維からなる複数本の有機繊維素線に代替することである。
【0004】
なお、本発明に関連する先行技術として、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に示すものがある。
【特許文献1】特開平6−1−280号公報
【特許文献2】特開2001−30711号公報
【特許文献3】特開2001−192987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のいずれの軽量化対策によっても、前記補強コード層の軽量化、前記空気入りタイヤの軽量化を図ることができるものの、前記補強コード層に含まれる金属の体積含有率が低下して、前記補強コード層の剛性(例えば引張剛性、面内曲げ剛性、剪断剛性等)を十分に保つことができない。そのため、前記空気入りタイヤの軽量化により前記車両の燃費を向上させることができても、路面から入力による前記空気入りタイヤの入力依存性が高まったり、前記空気入りタイヤに必要な剛直性が低下する等して、前記空気入りタイヤの操縦安定性が低下するという問題がある。
【0006】
一方、特許文献1に示すように、前記補強コードを扁平化することによって、前記補強コード層の剛性を維持しつつ、前記補強コード層の軽量化を図ることが可能であるが、前記補強コード層における隣接する前記補強コード層の間隔が短くなって、前記補強コード層のセパレーションが発生し易いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、扁平させることなく、補強コード層に含まれる金属の体積含有率の低下を抑制しつつ、補強コード層の軽量化を図ることができる、新規な構成の補強コード、及び新規な構成の空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴(請求項1に記載の発明の特徴)は、複数本の金属素線を撚り合わせてなる補強コードにおいて、前記複数本の金属素線は、高炭素鋼からなる複数本の高炭素鋼素線と、比重又は見かけ比重が7.3以下の金属からなる適数本(1本又は複数本)の低比重金属素線を含むことである。
【0009】
ここで、見かけの比重とは、前記低比重金属素線が中空部を有する中空構造になっている場合に、前記低比重金属素線の質量と、前記中空部を含む前記低比重金属素線の体積と同体積のある標準物質(4℃の水)の質量との比をいう。
【0010】
第1の特徴によると、前記複数本の金属素線は、高炭素鋼からなる前記複数本の高炭素鋼素線の他に、比重又は見かけ比重が7.3以下の金属からなる前記適数本の低比重金属素線を含んでいるため、1本の前記補強コード自体の重量を軽減することができ、補強コード層を構成する前記補強コードの本数を減らすことなく、前記補強コード層の軽量化を図ることできる。これにより、前記補強コードを扁平させることなく、前記空気入りタイヤの軽量化を図りつつ、前記補強コード層に含まれる金属の体積含有率の低下を抑制して、前記補強コード層の剛性を十分に保つことができる。
【0011】
本発明の第2の特徴(請求項2に記載の発明の特徴)は、第1の特徴に加えて、前記高炭素鋼素線の引張強さが300kgf/mm2以上であることである。
【0012】
本発明の第3の特徴(請求項3に記載の発明の特徴)は、第1の特徴又は第2の特徴に加えて、前記複数本の金属素線の総断面積に対する前記複数本の高炭素鋼素線の断面積の占める割合が、50%以上でかつ95%未満であることである。
【0013】
ここで、前記複数本の高炭素鋼素線の断面積の占める割合を50%以上としたのは、前記複数本の高炭素鋼素線の断面積の占める割合が50%未満であると、前記補強コード自体の剛性が低下して、前記補強コード層の剛性を十分に保つことが容易でないからである。また、前記複数本の高炭素鋼素線の断面積の占める割合を95%未満としたのは、前記複数本の高炭素鋼素線の断面積の占める割合が95%以上であると、前記適数本の低比重金属素線の断面積の占める割合が低くなって、前記補強コード層の軽量化、前記空気入りタイヤの軽量化を十分に図ることができないからである。
【0014】
第3の特徴によると、前記複数本の高炭素鋼素線の断面積の占める割合が50%以上でかつ95%未満であるため、前記補強コード層の軽量化、前記空気入りタイヤの軽量化を十分に図りつつ、前記補強コード層の剛性を十分に保つことが容易になる。
【0015】
本発明の第4の特徴(請求項4に記載の発明の特徴)は、第1の特徴から第3の特徴のうちのいずれかの特徴に加えて、前記複数本の低比重金属素線がコード内部で互いに隣接しないように配置されていることである。
【0016】
第4の特徴によると、前記複数本の低比重金属素線がコード内部で互いに隣接しないように配置されているため、前記補強コード自体の剛性のバラツキを抑えて、前記補強コード層の剛性を十分に安定した状態で保つことができる。
【0017】
本発明の第5の特徴(請求項5に記載の発明の特徴)は、第1の特徴から第4の特徴のうちのいずれかの特徴に加えて、前記低比重金属素線が鉄よりも小さい比重の軽量金属からなることである。
【0018】
ここで、鉄(比重7.8)よりも小さい比重の軽量金属とは、例えばチタン(比重4.51)、アルミ(比重2.7)、亜鉛(比重7.1)、スズ(比重7.3)等のことをいう。
【0019】
本発明の第6の特徴(請求項6に記載の発明の特徴)は、第1の特徴から第4の特徴のうちのいずれかの特徴に加えて、前記低比重金属素線が中空部を有するように中空状に構成されていることである。
【0020】
本発明の第7の特徴(請求項7に記載の発明の特徴)は、補強コード層を有する空気入りタイヤにおいて、前記補強コード層は、第1の特徴から第6の特徴のうちのいずれかの特徴を有する補強コードを複数本並列させてゴム引きしてなることである。
【0021】
ここで、前記補強コード層には、ベルト層、カーカス層が含まれる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1から請求項7に記載の発明によれば、前記補強コードを扁平させることなく、前記空気入りタイヤの軽量化を図りつつ、前記補強コード層に含まれる金属の体積含有率の低下を抑制して、前記補強コード層の剛性を十分に保つことができるため、前記補強コード層のセパレーションの発生を抑えることができると共に、車両の燃費を向上させつつ、路面から入力による前記空気入りタイヤの感受性が高くなることを抑えて、前記空気入りタイヤの操縦安定性を維持することができる。
【0023】
請求項4から請求項7に記載の発明によれば、前記補強コード自体の剛性のバラツキを抑えて、前記補強コード層の剛性を十分に安定した状態で保つことができるため、前述の効果を更に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施形態について図1から図3を参照して説明する。
【0025】
ここで、図1は、本発明の実施形態に係わる空気入りラジアルタイヤの部分断面図であって、図2(a)は、本発明の実施形態の第1態様に係わる補強コードの断面図であって、図2(b)は、本発明の実施形態の第2態様に係わる補強コードの断面図であって、図3(a)は、本発明の実施形態の第3態様に係わる補強コードの断面図であって、図3(b)は、本発明の実施形態の第4態様に係わる補強コードの断面図である。
【0026】
図1に示すように、本発明の実施形態に係わる空気入りラジアルタイヤ(空気入りタイヤの一例)1は、リム3に嵌合可能な環状の一対のビードフィラ5を備えており、各々のビードフィラ5には、ビードコア7がそれぞれ内蔵されている。また、一対のビードフィラ5の間には、骨格部材としてのカーカス層9が一体に設けられており、このカーカス層9の断面形状は、コロイド状を呈している。ここで、カーカス層9の一縁部は、一方のビードコア7に折り返すように連結されてあって、カーカス層9の他縁部は、他方のビードコア7に折り返すように連結されている。更に、カーカス層9の外周面には、二層のベルト層11が設けられており、ベルト層11は、カーカス層9と同様に、補強コード層の1つであって、ベルト層11の具体的な構成については後述する。
【0027】
カーカス層9の外周面には、接地可能なトレッド13がベルト層11を覆うように一体に設けられており、カーカス層9の一側面及び他側面には、カーカス層9を保護するサイドトレッド15がそれぞれ一体に設けられている。また、カーカス層9の内側面(内周面も含む)には、タイヤ1の内部に充填された空気の漏れを防ぐインナーライナー17が一体に設けられている。
【0028】
次に、補強コード層の1つであるベルト層11について詳細に説明する。
【0029】
図1及び図2(a)に示すように、ベルト層11は、補強コード19を複数本並列させてゴム引きしてなるものであって、補強コード19は、コード中心に位置するコア部21と、このコア部21を囲むシース部23とを備えている。また、コア部21は、1本のコア部用金属素線25からなるものであって、シース部23は、コア部用金属素線25を中心として撚り合わせた複数本(本発明の実施形態にあっては6本)のシース部用金属素線27からなるものである。換言すれば、本発明の実施形態にあっては、補強コード19は、1×6のコード構造になっている。ここで、本発明の実施形態にあっては、コア部用金属素線25及びシース部用金属素線27の外径は、0.225mmである。
【0030】
なお、補強コード19のコード構造は、1×6に限られるものでなく、種々のコード構造を選択することができるものである。また、コア部用金属素線25及びシース部用金属素線27の外径等も、適宜に変更しても差し支えない。
【0031】
図2(a)に示すように、本発明の実施形態の第1態様にあっては、複数本(本発明の実施形態にあっては6本)のシース部用金属素線27は、高炭素鋼からなる複数本(本発明の実施形態にあっては6本)の高炭素鋼素線FAであって、高炭素鋼素線FAの引張強さは、300kgf/mm2以上である。また、コア部用金属素線25は、例えばチタン(比重4.51)、アルミ(比重2.7)、亜鉛(比重7.1)、スズ(比重7.3)等、比重が7.3以下の軽量金属からなる低比重金属素線FB(図中においてハッチングを施した部位)である。更に、高炭素金属素線FA及び低比重金属素線FBには、ブラスめっきが施されている。
【0032】
そして、複数本の金属素線25,27の総断面積に対する複数本の高炭素鋼素線FAの断面積の占める割合が50%以上でかつ95%未満である。ここで、複数本の高炭素鋼素線FAの断面積の占める割合を50%以上としたのは、複数本の高炭素鋼素線FAの断面積の占める割合が50%未満であると、補強コード19自体の剛性が低下して、ベルト層11の剛性を十分に保つことが容易でないからである。また、複数本の高炭素鋼素線FAの断面積の占める割合を95%未満としたのは、複数本の高炭素鋼素線FAの断面積の占める割合が95%以上であると、低比重金属素線FBの断面積の占める割合が低くなって、ベルト層11の軽量化、空気入りタイヤ1の軽量化を十分に図ることができないからである。
【0033】
図2(b)に示すように、本発明の実施形態の第2態様にあっては、コア部用金属素線25は、高炭素鋼素線FAであって、複数本(本発明の実施形態にあっては6本)のシース部用金属素線27は、複数本(本発明の実施形態にあっては2本)の高炭素鋼素線FAと、複数本(本発明の実施形態にあっては4本)の低比重金属素線FBである。
【0034】
そして、本発明の実施形態の第2態様にあっても、複数本の金属素線25,27の総断面積に対する複数本の高炭素鋼素線FAの断面積の占める割合が50%以上でかつ95%未満である。
【0035】
図3(a)に示すように、本発明の実施形態の第3態様にあっては、本発明の実施形態の第2態様と同様に、コア部用金属素線25は、高炭素鋼素線FAであって、複数本(本発明の実施形態にあっては6本)のシース部用金属素線27は、複数本(本発明の実施形態にあっては2本)の高炭素鋼素線FAと、複数本(本発明の実施形態にあっては4本)の低比重金属素線FBである。更に、複数本の低比重金属素線FBがコード内部で互いに隣接しないように配置されている。
【0036】
そして、本発明の実施形態の第3態様にあっても、複数本の金属素線25,27の総断面積に対する複数本の高炭素鋼素線FAの断面積の占める割合が50%以上でかつ95%未満である。
【0037】
図3(b)に示すように、本発明の実施形態の第4態様にあっては、複数本(本発明の実施形態にあっては6本)のシース部用金属素線27は、複数本(本発明の実施形態にあっては6本)の高炭素鋼素線FAであって、コア部用金属素線25は、中空部FChを有するよう中空状に構成された低比重金属素線FC(図中ハッチングを施した部位)であって、低比重金属素線FCは、見かけ比重が7.3以下の高炭素鋼からなるものである。更に、低比重金属素線FCには、高炭素金属素線FA及び低比重金属素線FBと同様に、ブラスめっきが施されている。
【0038】
ここで、見かけの比重とは、低比重金属素線FCの質量と、中空部FChを含む低比重金属素線FCの体積と同体積のある標準物質(4℃の水)の質量との比をいう。また、本発明の実施形態にあっては、低比重金属素線FCの内径(換言すれば、低比重金属素線FCにおける中空部FChの内径)は、0.100mmである。なお、複数本のシース部用金属素線27は、複数本の高炭素鋼素線FAの他に、適数本(1本又は複数本)の低比重金属素線FCを含むようにしても差し支えない。
【0039】
そして、本発明の実施形態の第4態様にあっても、複数本の金属素線25,27の総断面積に対する複数本の高炭素鋼素線FAの断面積の占める割合が50%以上でかつ95%未満である。なお、複数本の金属素線25,27の総断面積は、低比重金属素線FCにおける中空部FChの断面積も含むものである。
【0040】
次に、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0041】
複数本の金属素線25,27は、高炭素鋼からなる複数本の高炭素鋼素線FAの他に、比重が7.3以下の軽量金属からなる適数本の低比重金属素線FB、又は見かけ比重が7.3以下の高炭素鋼からなる適数本の低比重金属素線FCを含んでいるため、1本の補強コード19自体の重量を軽減することができ、ベルト層11を構成する補強コード19の本数を減らすことなく、ベルト層11の軽量化を図ることできる。これにより、補強コード19を扁平させることなく、空気入りタイヤ1の軽量化を図りつつ、ベルト層11に含まれる金属の体積含有率の低下を抑制して、ベルト層11の剛性を十分に保つことができる。
【0042】
また、複数本の金属素線25,27の総断面積に対する複数本の高炭素鋼素線FAの断面積の占める割合が50%以上でかつ95%未満であるため、ベルト層11の軽量化、空気入りタイヤ1の軽量化を十分に図りつつ、ベルト層11の剛性を十分に保つことが容易になる。
【0043】
更に、本発明の実施形態の第3態様にあっては、複数本の低比重金属素線FBがコード内部で互いに隣接しないように配置されているため、補強コード19自体の剛性のバラツキを抑えて、ベルト層11の剛性を十分に安定した状態で保つことができる。
【0044】
以上の如き、本発明の実施形態によれば、補強コード19を扁平させることなく、空気入りタイヤ1の軽量化を図りつつ、ベルト層11に含まれる金属の体積含有率の低下を抑制して、ベルト層11の剛性を十分に保つことができるため、ベルト層11のセパレーションの発生を抑えることができると共に、車両の燃費を向上させつつ、路面から入力による空気入りタイヤ1の感受性が高くなることを抑えて、空気入りタイヤ1の操縦安定性を維持することができる。
【0045】
特に、本発明の実施形態の第3態様にあっては、補強コード19自体の剛性のバラツキを抑えて、ベルト層11の剛性を十分に安定した状態で保つことができるため、前述の効果を更に高めることができる。
【0046】
なお、本発明は、前述の実施形態の他に、例えばベルト層11に適用した構成をカーカス層9にそのまま適用する等、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【実施例】
【0047】
低比重金属素線(FB,FC)を構成要素とする補強コードのコード軽量化指数、補強コードの打ち込み数を28本/50mmとしてゴム引きされたベルト層11を用いた空気入りタイヤにおける操縦安定性フィーリング指数について、まとめると、後記の表1に示すようになる。
【0048】
ここで、実施例1及び実施例2は、本発明の実施形態の第1態様に係わる補強コード19を用いた場合であって、実施例3は、本発明の実施形態の第2態様に係わる補強コード19を用いた場合であって、実施例3は、本発明の実施形態の第3態様に係わる補強コード19を用いた場合であって、実施例3は、本発明の実施形態の第4態様に係わる補強コード19を用いた場合であって、比較例は、高炭素鋼素線FAのみからなる補強コードを用いた場合である。なお、実施例1から実施例4、比較例において、高炭素鋼素線の引張強さは300kgf/mm2 とする。
【0049】
また、補強コードのコード軽量化指数は、数値が大きいほど補強コードの軽量化が進んでいることを示している。
【0050】
更に、操縦安定性フィーリング指数は、訓練された5名のドライバーが空気入りタイヤ(サイズ235/50R18、内圧2.0kgf/cm2)を装着した乗用車を運転した際に、操縦安定性のフィーリング評価を指数で表したものであって、数値が大きいほど空気入りタイヤの操縦安定性が高いことを示している。
【表1】

【0051】
即ち、実施例1から実施例4によれば、比較例に比べて、補強コードの軽量化を図ることができると共に、比較例の同程度に、空気入りタイヤの操縦安定性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係わる空気入りラジアルタイヤの部分断面図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施形態の第1態様に係わる補強コードの断面図であって、図2(b)は、本発明の実施形態の第2態様に係わる補強コードの断面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の実施形態の第3態様に係わる補強コードの断面図であって、図3(b)は、本発明の実施形態の第4態様に係わる補強コードの断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 空気入りタイヤ
9 カーカス層
11 ベルト層
19 補強コード
21 コア部
23 シース部
25 コア部用金属素線
27 シース部用金属素線
FA 高炭素鋼素線
FB 低比重金属素線
FC 低比重金属素線
FCh 中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の金属素線を撚り合わせてなる補強コードにおいて、
前記複数本の金属素線は、高炭素鋼からなる複数本の高炭素鋼素線と、比重又は見かけ比重が7.3以下の金属からなる適数本の低比重金属素線を含むことを特徴とする補強コード。
【請求項2】
前記高炭素鋼素線の引張強さが300kgf/mm2以上であることを特徴とする請求項1に記載の補強コード。
【請求項3】
前記複数本の金属素線の総断面積に対する前記複数本の高炭素鋼素線の断面積の占める割合が50%以上でかつ95%未満であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の補強コード。
【請求項4】
前記複数本の低比重金属素線がコード内部で互いに隣接しないように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれかの請求項に記載の補強コード。
【請求項5】
前記低比重金属素線が鉄の比重よりも小さい比重の軽量金属からなることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載の補強コード。
【請求項6】
前記低比重金属素線が中空部を有するように中空状に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載の補強コード。
【請求項7】
補強コード層を有する空気入りタイヤにおいて、
前記補強コード層が請求項1から請求項6のうちのいずれかの請求項に記載の補強コードを複数本並列させてゴム引きしてなることを特徴とする空気入りタイヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate