補強スリーブおよび光ファイバ心線の融着接続方法
【課題】融着接続作業時の光ファイバ心線の交差を防止できる光ファイバ心線用の補強スリーブおよび光ファイバ心線の融着接続方法を提供すること。
【解決手段】熱収縮性の外部チューブと、前記外部チューブ内に挿入された熱溶融性の内部部材と、前記外部チューブ内に前記内部部材に沿って挿入された抗張力体と、を備え、前記内部部材は、複数の光ファイバ心線が挿入され、互いに略平行になるように整列された場合に、前記整列された複数の光ファイバ心線同士が互いに交差することを防止する交差防止機構を有する。
【解決手段】熱収縮性の外部チューブと、前記外部チューブ内に挿入された熱溶融性の内部部材と、前記外部チューブ内に前記内部部材に沿って挿入された抗張力体と、を備え、前記内部部材は、複数の光ファイバ心線が挿入され、互いに略平行になるように整列された場合に、前記整列された複数の光ファイバ心線同士が互いに交差することを防止する交差防止機構を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ心線用の補強スリーブおよび光ファイバ心線の融着接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信のために用いる光ファイバケーブル内には、光ファイバ心線が複数本収容されている。FTTH(Fiber To The Home)等で各家庭に光ファイバ心線を分配する場合、光ファイバケーブル内から1本の光ファイバ心線を取り出し、各家庭へと配線していく。なお、光ファイバ心線は、ガラスからなる光ファイバの外周に被覆を形成したものである。
【0003】
通常、光ファイバケーブルは一定の長さに製造するため、分配先が遠い場合には各家庭に分配するまでの光ファイバケーブルを延長することになる。この場合、延長は光ファイバケーブル同士を接続して行うこととなるが、その際に、接続すべき光ファイバケーブル内に収容された多数の光ファイバ心線同士を融着接続する。
【0004】
ここで、融着接続作業は、一般に以下の(1)〜(10)の手順で行われる。
(1)補強スリーブのセット:光ファイバの融着接続部を保護・補強するための補強スリーブにあらかじめ一方の光ファイバケーブ内の複数の光ファイバ心線を挿入しておく。
(2)光ファイバホルダへのセット:融着接続すべき光ファイバ心線をそれぞれ光ファイバホルダにセットする。
(3)ストリップ:光ファイバストリッパで各光ファイバ心線の被覆を剥いて光ファイバを露出させる。
(4)清掃:各光ファイバ表面のゴミを除去するために、エタノール等で湿らせたガーゼ等で清掃する。
(5)切断:露出した各光ファイバの端部を所定の長さに切断する。
(6)融着接続機へのセット:(1)〜(5)の前処理を終えた後、各光ファイバホルダを融着接続機にセットする。
(7)融着接続:光ファイバ同士を融着接続する。
(8)補強スリーブの移動:補強スリーブを、融着接続部を覆う位置に移動する。
(9)加熱器へ移動:融着接続した光ファイバ心線を加熱器に移動する。
(10)加熱:加熱器で補強スリーブを加熱し、溶解収縮する。
【0005】
なお、補強スリーブは、熱収縮性の外部チューブ内に、熱溶融性の内部チューブと抗張力体とが挿入されたものである。内部チューブに光ファイバを挿通した状態で補強スリーブを加熱すると、内部チューブが溶融するとともに熱収縮チューブが収縮する。これによって融着接続した光ファイバ心線と補強スリーブとが一体化し、被覆が除去されて光ファイバが露出された部分が保護・補強される。
【0006】
上記のように、光ファイバ心線同士を1本ずつ融着接続行う作業は時間と手間が掛かる。これを回避するため、複数の光ファイバ心線同士をまとめて融着接続する方法が開示されている。
【0007】
たとえば、複数の光ファイバ心線を平行に並べてテープ状にして接着剤で固定して、光ファイバテープ心線として融着接続する方法がある(たとえば特許文献1)。また、複数の光ファイバ心線を平行に並べてテープ状にして接着フィルムまたは接着テープで固定して、光ファイバテープ心線として融着接続する方法がある(たとえば特許文献2)。しかしながら、これらの方法は、光ファイバ心線を整列させるための治具や接着剤などが必要となる。また、接着剤を塗布するまたは接着フィルム等を貼り付ける作業や接着剤が硬化するまでの待ち時間が必要になるなどのわずらわしさがある。また、融着接続後も接着剤を塗布または接着フィルムを貼り付けたままにする場合、光ファイバ心線や光ファイバの融着接続部に悪影響が及ばない材料を選定する必要がある。
【0008】
上記の問題を回避する方法として、複数の光ファイバ心線同士をまとめて融着接続する方法として、光ファイバホルダ内で複数本の光ファイバ心線を整列し、整列した状態で融着接続する方法がある(たとえば特許文献3〜8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−13330号公報
【特許文献2】特開2004−163693号公報
【特許文献3】特開2011−2858号公報
【特許文献4】特開2007−171825号公報
【特許文献5】特開2007−171824号公報
【特許文献6】特開2005−258129号公報
【特許文献7】特開2000−292639号公報
【特許文献8】特開平11−44828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来、融着接続した光ファイバ心線を加熱器に移動する際に、整列させた光ファイバ心線の整列状態が崩れて互いに交差してしまう場合があった。このように光ファイバ心線が互いに交差した状態で補強スリーブの加熱収縮を行うと、被覆が除去された光ファイバが互いに接触したり、光ファイバに応力が掛かることによって折損したりする場合がある。また、光ファイバ心線同士の長手方向での互いの位置がずれてしまう場合もある。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、融着接続作業時の光ファイバ心線の交差を防止できる光ファイバ心線用の補強スリーブおよび光ファイバ心線の融着接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る補強スリーブは、熱収縮性の外部チューブと、前記外部チューブ内に挿入された熱溶融性の内部部材と、前記外部チューブ内に前記内部部材に沿って挿入された抗張力体と、を備え、前記内部部材は、複数の光ファイバ心線が挿入され、互いに略平行になるように整列された場合に、前記整列された複数の光ファイバ心線同士が互いに交差することを防止する交差防止機構を有する。
【0013】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記交差防止機構は、前記内部部材がチューブ状であって、前記複数の光ファイバ心線が挿入される内部空間が、該内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記光ファイバ心線の被覆外径の2倍より低い高さである内寸を有することにより構成されている。
【0014】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記内部空間が、前記内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記光ファイバ心線の被覆外径より低い高さを有する。
【0015】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記内部部材は、前記内部空間に連通するように該内部部材の側面に沿って形成されたスリットを有し、前記スリットから前記光ファイバ心線が前記内部空間に挿入される。
【0016】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記内部部材は、前記スリットの少なくとも一方の側部に光ファイバ心線脱離防止弁を有する。
【0017】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記内部空間は、長手方向に沿って形成され、前記交差防止機構の領域における高さよりも高く形成された光ファイバ挿入領域を有する。
【0018】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記内部部材の一方の端部において該内部空間の内寸よりも広い開口を有するように該端部が加工されている。
【0019】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記交差防止機構は、前記内部部材が、該内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記複数の光ファイバ心線のそれぞれが挿入される複数の孔を有することにより構成されている。
【0020】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記交差防止機構は、前記内部部材が、該内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記複数の光ファイバ心線のそれぞれが挿入される複数のスリットを有することにより構成されている。
【0021】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記内部部材は、長手方向において第1内部部材と第2内部部材とに分離可能に構成されている。
【0022】
また、本発明に係る光ファイバ心線の融着接続方法は、上記の発明の補強スリーブに第1の複数の光ファイバ心線を挿入して互いに略平行になるように整列された状態とし、前記第1の複数の光ファイバ心線を第1光ファイバホルダにセットし、第2の複数の光ファイバ心線を第2光ファイバホルダにセットし、前記第1の複数の光ファイバ心線と前記第2の複数の光ファイバ心線とを融着接続し、前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線の融着接続部を覆う位置に前記補強スリーブを移動し、前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線を加熱器に移動する、ことを含む。
【0023】
また、本発明に係る光ファイバ心線の融着接続方法は、上記の発明の補強スリーブから前記第2内部部材を分離し、前記補強スリーブに第1の複数の光ファイバ心線を挿入して互いに略平行になるように整列された状態とし、前記分離した第2内部部材に第2の複数の光ファイバ心線を挿入して互いに略平行になるように整列された状態とし、前記第1の複数の光ファイバ心線を第1光ファイバホルダにセットし、前記第2の複数の光ファイバ心線を第2光ファイバホルダにセットし、前記第1の複数の光ファイバ心線と前記第2の複数の光ファイバ心線とを融着接続し、前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線の融着接続部を覆う位置に前記補強スリーブを移動し、前記補強スリーブの前記外部チューブに前記分離した第2内部部材を挿入し、前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線を加熱器に移動する、ことを含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、融着接続作業時の光ファイバ心線の交差を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、実施の形態1に係る補強スリーブに光ファイバ心線を挿入した状態を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示す補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図3】図3は、光ファイバホルダに光ファイバ心線をセットした状態を示す模式図である。
【図4】図4は、図3に示す光ファイバホルダのA−A線断面図である。
【図5】図5は、光ファイバ心線を一括して融着接続する工程を説明する図である。
【図6】図6は、補強スリーブを融着接続部に移動する工程を説明する図である。
【図7】図7は、変形例1に係る内部チューブを長手方向に沿って切断した断面図である。
【図8】図8は、実施の形態2に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図9】図9は、変形例2に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図10】図10は、変形例3に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図11】図11は、変形例4に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図12】図12は、変形例5に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図13】図13は、変形例6に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図14】図14は、変形例7に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図15】図15は、変形例8に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図16】図16は、実施の形態3に係る補強スリーブに光ファイバ心線を挿入した状態を示す模式的な一部透視図である。
【図17】図17は、実施の形態4に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図18】図18は、実施の形態5に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図19】図19は、実施の形態5の変形例に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図20】図20は、変形例9に係る内部チューブの側面図である。
【図21】図21は、変形例10に係る内部チューブの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照して本発明に係る補強スリーブおよび光ファイバ心線の融着接続方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各層の厚みと幅との関係、各層の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る補強スリーブに光ファイバ心線を挿入した状態を示す模式図である。図2は、図1に示す補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【0028】
図1、2に示すように、補強スリーブ10は、外部チューブ11と、外部チューブ11に挿入された内部部材である内部チューブ12と、外部チューブ11内に内部チューブ12に沿って挿入された抗張力体13と、を備えている。
【0029】
外部チューブ11は、断面が円状であり、ポリオレフィン系樹脂などの熱収縮性の材料からなる。内部チューブ12は、断面が長方形状であり、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合系樹脂)などの熱溶融性の材料からなる。抗張力体13は、断面が半円状であり、SUS(ステンレス鋼)やガラスなどの材料からなる。また、外部チューブ11、内部チューブ12、抗張力体13は、略同じ長さを有するが、内部チューブ12および抗張力体13は外部チューブ11より短くてもよい。
【0030】
光ファイバ心線Fは、石英系ガラスからなる光ファイバF1と、樹脂からなり、光ファイバF1を覆う被覆F2とを備えている。4本の光ファイバ心線Fが内部チューブ12に挿入され、整列された状態となっている。なお、本実施の形態1では、挿入される光ファイバ心線の本数は4本であるが、2本以上であれば特に限定はされず、たとえば2本から32本とすることができる。
【0031】
ここで、内部チューブ12の内部空間12aが、長手方向にわたって、高さH1、幅W1の内寸を有している。この高さH1は、光ファイバ心線Fの被覆外径DFの2倍より低い高さであり、幅W1は、4本の光ファイバ心線Fが整列された幅WFよりも広い幅である。たとえば、被覆外径DFが250μmの場合は、高さH1は500μmより小さい値であり、幅W1は1mmより大きい値である。また、被覆外径DFが500μmの場合は、高さH1は1mmより小さい値であり、幅W1は2mmより大きい値である。なお、被覆外径DFの値は例示であり、特に限定はされない。
【0032】
従来の補強スリーブでは、光ファイバ心線を内部チューブに挿入する際に挿入しやすいように、内部チューブの内寸を十分に大きくしていた。これに対して、この補強スリーブ10では、内部チューブ12の内部空間12aの高さH1が、光ファイバ心線Fの被覆外径DFの2倍より低い高さである内寸を有することによって、交差防止機構が構成されている。この交差防止機構によって、融着接続作業の際に、整列された4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差するのに十分な内部空間12aの高さがないため、光ファイバ心線Fは他の光ファイバ心線Fを乗り越えられない。その結果、4本の光ファイバ心線F同士の交差が防止される。
【0033】
つぎに、補強スリーブ10を用いた光ファイバ心線Fの融着接続方法について説明する。まず、融着接続すべき4本の光ファイバ心線Fを2組準備し、図1のように、一方の4本の光ファイバ心線Fを1本ずつ補強スリーブ10の内部チューブ12に挿入し、4本の光ファイバ心線Fが互いに略平行になるように整列させた状態とする。なお、4本の光ファイバ心線Fを一括して補強スリーブ10に挿入してもよい。
【0034】
つぎに、2組の4本の光ファイバ心線Fのそれぞれを光ファイバホルダにセットする。図3は、光ファイバホルダ110に4本の光ファイバ心線Fをセットした状態を示す模式図である。図4は、図3に示す光ファイバホルダ110のA−A線断面図である。
【0035】
ここで、光ファイバホルダ110は、光ファイバFを収容するための溝111が長手方向に沿って形成された本体部112と、本体部112にヒンジ113によって開閉可能に取り付けられた仮押さえ蓋114と、本体部112にヒンジ115によって開閉可能に取り付けられた本押さえ蓋116と、仮押さえ蓋114直下の本体部112に埋設されたスポンジ等からなる弾性部材117と、本押さえ蓋116に埋設されたゴム等からなる弾性部材118と、を備えている。
【0036】
また、図4に示すように、弾性部材117は、本体部112の上面112aよりも上側にやや突出している。また、仮押さえ蓋114のヒンジ113の反対側にはテーパ部114aが形成されている。仮押さえ蓋114のヒンジ113側には段差114bが形成されている。また、上面112aと仮押さえ蓋114との間には隙間114cが形成されている。
【0037】
この光ファイバホルダ110に4本の光ファイバ心線Fをセットする場合は、まず、仮押さえ蓋114を閉じた状態で、テーパ部114a側から隙間114cに光ファイバ心線Fを順次挿入していく。4本の光ファイバ心線Fは、段差114bに当接した状態で整列される。このとき、4本の光ファイバ心線Fは、上面112aよりも突出した部分の弾性部材117が弾性変形することによって保持され、仮押さえされる。その後、本押さえ蓋116を閉じることによって、4本の光ファイバ心線Fは、ばらばらになることなく整列した状態で光ファイバホルダ110にセットされる。
【0038】
つぎに、光ファイバストリッパで各光ファイバ心線Fの先端部の被覆F2を剥いて光ファイバF1を露出させ、光ファイバF1の表面のゴミを除去し、光ファイバF1の端部を所定の長さに切断する。
【0039】
図5は、4本の光ファイバ心線F同士を一括して融着接続する工程を説明する図である。図5に示すように、2つの光ファイバホルダ110をそれぞれ融着接続機100のホルダステージ120にそれぞれ載置すると、光ファイバF1は位置決めのためのガイドブロック130に載置される。つぎに、放電電極140によって、対抗する光ファイバF1の端面にアーク放電を行い、4本の光ファイバ心線F同士を一括で融着接続する。
【0040】
図6は、補強スリーブを融着接続部に移動する工程を説明する図である。図6に示すように、融着接続後、融着接続した各光ファイバ心線Fを各光ファイバホルダ110から取り外し、補強スリーブ10を、4本の光ファイバ心線F同士の融着接続部Cを覆う位置に移動する。なお、図6からわかるように、補強スリーブ10およびこれに挿入された内部チューブ12の長さは、少なくとも融着接続した光ファイバF1の両方の被覆F2の一部を覆うような長さに設定される。
【0041】
つぎに、融着接続した各光ファイバ心線Fを持って補強スリーブ10を加熱器150に移動する。ここで、補強スリーブ10の内部チューブ12は交差防止機構を有するので、移動の際に整列された4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差することが防止される。その結果、光ファイバF1が互いに接触し折損したりすることが防止される。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態1に係る補強スリーブ10によれば、融着接続作業時の光ファイバ心線Fの交差を防止できる。
【0043】
なお、上記実施の形態1では、内部チューブ12の内部空間12aが、長手方向にわたって高さH1、幅W1の内寸を有している。しかし、必ずしも長手方向全体にわたって高さH1、幅W1である必要はなく、長手方向の少なくとも一部で高さH1、幅W1を有していればよい。
【0044】
図7は、変形例1に係る内部チューブを長手方向に沿って切断した断面図である。この内部チューブ12Aでは、内部空間12Aaの長手方向の一部が高さH1であり、その他の部分では高さH1よりも高くなっている。実施の形態1に係る補強スリーブ10において、内部チューブ12に代えてこのような内部チューブ12Aを用いても、融着接続作業時の光ファイバ心線Fの交差を防止できる。また、高さH1である部分以外の部分では、内部空間12Aaの内寸が大きいため、光ファイバ心線Fを挿入する作業が容易になる。ただし、高さH1である部分は、補強スリーブを融着接続部を覆う位置に移動した際に、光ファイバ心線Fの被覆F2に相当する位置に存在する必要がある。
【0045】
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2に係る補強スリーブ20を端部側から長手方向に沿って見た図である。図8に示すように、補強スリーブ20は、外部チューブ21と、外部チューブ21に挿入された内部部材である内部チューブ22と、外部チューブ21内に内部チューブ22に沿って挿入された抗張力体23と、を備えている。
【0046】
外部チューブ21、内部チューブ22、抗張力体23の材料、ならびに外部チューブ21、抗張力体23の形状は、それぞれ外部チューブ11、内部チューブ12、抗張力体13と同様である。
【0047】
ここで、内部チューブ22の内部空間22aが、長手方向にわたって、高さH2、幅W2の内寸を有している。この高さH2は、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりも、たとえば数μm程度だけわずかに低い高さであり、幅W2は、4本の光ファイバ心線Fが整列された幅WFよりも広い幅である。
【0048】
この補強スリーブ20では、内部チューブ22の内部空間22aの高さH2が、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりもわずかに低い高さである内寸を有することによって、整列された4本の光ファイバ心線F同士が、互いに交差することを防止する交差防止機構が構成されている。この交差防止機構によって、融着接続作業の際に、整列された4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差することが防止される。さらには、光ファイバ心線Fが内部チューブ22によって挟まれて摩擦が生じるため、光ファイバ心線Fが補強スリーブ20から脱落しにくくなり、かつ光ファイバ心線Fが位置ずれしにくくなる。
【0049】
なお、この補強スリーブ20を用いて光ファイバ心線Fの融着接続をする場合は、実施の形態1に係る補強スリーブ10を用いた場合と同様の手順で行うことができる。また、光ファイバ心線Fを補強スリーブ20の内部チューブ22に挿入する際は、内部チューブ22を補強スリーブ20から取り外し、内部チューブ22を幅方向両側から押圧して内部空間22aを高さ方向に広げた状態として光ファイバ心線Fを挿入すると挿入作業が容易になる。
【0050】
内部空間22aの高さH2は、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりも小さければ摩擦が生じるのでよい。ただし、被覆外径DFの2/3以上の高さのであれば、光ファイバ心線Fを挿入する作業がより容易となるので好ましい。
【0051】
つぎに、実施の形態2に係る補強スリーブ20の内部チューブに代えて使用することができる内部チューブの変形例について説明する。
【0052】
図9は、変形例2に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例2に係る内部チューブ22Aは、内部空間22Aaの高さが略ゼロであり、これによって交差防止機構が構成されている。この内部チューブ22Aを用いた場合も、光ファイバ心線Fが補強スリーブ20から脱落しにくくなり、かつ光ファイバ心線Fが位置ずれしにくくなる。なお、光ファイバ心線Fを挿入する際は、内部チューブ22Aを幅方向両側から押圧して内部空間22Aaを高さ方向に広げた状態として光ファイバ心線Fを挿入すると作業が容易になる。
【0053】
図10は、変形例3に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例2に係る内部チューブ22Bは、内部チューブ22と同様に内部空間22Baの高さが、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりもわずかに低い高さであり、これによって交差防止機構が構成されている。ただし、内部チューブ22Bは、内部空間22Baに連通するように内部チューブ22Bの側面に沿って形成されたスリット22Bbを有している。したがって、このスリット22Bbから光ファイバ心線Fを内部空間22Baに挿入することで、挿入作業が容易になる。なお、内部空間22Baの高さは、被覆外径DFよりも低い高さであればよいが、それに限定されず、被覆外径DFの2倍より低い高さであればよい。
【0054】
図11は、変形例4に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例4に係る内部チューブ22Cは、内部空間22Caの高さは略ゼロであり、これによって交差防止機構が構成されている。また、内部チューブ22Cは、内部空間22Caに連通するように内部チューブ22Cの側面に沿って形成されたスリット22Cbを有している。したがって、このスリット22Cbから光ファイバ心線Fを順次内部空間22Caに挿入することで、挿入作業が容易になる。
【0055】
図12は、変形例5に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例5に係る内部チューブ22Dは、内部チューブ22と同様に内部空間22Daの高さが、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりもわずかに低い高さであり、これによって交差防止機構が構成されている。また、内部チューブ22Dは、内部空間22Daに連通するように内部チューブ22Dの側面に沿って形成されたスリット22Dbを有している。さらに、内部チューブ22Dは、スリット22Dbの一方の側部に光ファイバ心線脱離防止弁22Dcを有する。したがって、スリット22Dbから光ファイバ心線Fを内部空間22Daに挿入することで、挿入作業が容易になるとともに、光ファイバ心線脱離防止弁22Dcによって、挿入した光ファイバ心線Fの内部空間22Daからの脱離が防止される。なお、光ファイバ心線脱離防止弁22Dcは内部チューブ22Dの長手方向の全部にわたって形成されてもよいし、一部に形成されてもよい。また、内部空間22Daの高さは、被覆外径DFよりも低い高さであればよいが、それに限定されず、被覆外径DFの2倍より低い高さであればよい。
【0056】
図13は、変形例6に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例6に係る内部チューブ22Eは、内部チューブ22Dを上下に逆にした構成を有している。この内部チューブ22Eの場合の内部空間22Eaに光ファイバ心線Fを挿入する場合には、まず、内部チューブ22Eを外部チューブ21に挿入したままで、光ファイバ心線Fを、外部チューブ21内の、光ファイバ待ち部22Edの上の領域に挿入する。つぎに、挿入した光ファイバ心線Fをスリット22Ebから内部空間22Eaに挿入する。挿入した光ファイバ心線Fは、光ファイバ心線脱離防止弁22Ecによって、内部空間22Eaからの脱離が防止される。この内部チューブ22Eの場合は、内部チューブ22Eを外部チューブ21に挿入したままでも、光ファイバ心線Fの挿入作業が容易である。ただし、内部チューブ22Eを外部チューブ21から取り外して挿入作業を行ってもよい。なお、光ファイバ心線脱離防止弁22Ecも、内部チューブ22Eの長手方向の全部にわたって形成されてもよいし、一部に形成されてもよい。
【0057】
図14は、変形例7に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例7に係る内部チューブ22Fは、内部チューブ22と同様に内部空間22Faの高さが、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりもわずかに低い高さであり、これによって交差防止機構が構成されている。また、内部チューブ22Fは、内部空間22Faに連通するように内部チューブ22Fの側面に沿って形成されたスリット22Fbを有している。さらに、内部チューブ22Fは、スリット22Fbの両方の側部に光ファイバ心線脱離防止弁22Fcを有する。したがって、スリット22Fbから光ファイバ心線Fを内部空間22Faに挿入することで、挿入作業が容易になるとともに、2つの光ファイバ心線脱離防止弁22Fcによって、挿入した光ファイバ心線Fの内部空間22Faからの脱離が防止される。なお、光ファイバ心線脱離防止弁22Fcも、内部チューブ22Fの長手方向の全部にわたって形成されてもよいし、一部に形成されてもよい。また、内部空間22Faの高さは、被覆外径DFよりも低い高さであればよいが、それに限定されず、被覆外径DFの2倍より低い高さであればよい。
【0058】
図15は、変形例8に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例8に係る内部チューブ22Gの内部空間22Gaは、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりもわずかに低い高さとされた、高さH3の交差防止機構領域22Gaaと、高さH3よりも高く形成された、高さH4の光ファイバ挿入領域22Gabとを有している。この内部チューブ22Gの内部空間22Gaに光ファイバ心線Fを挿入する場合には、まず、光ファイバ心線Fを光ファイバ挿入領域22Gabに挿入する。つぎに、挿入した光ファイバ心線Fを交差防止機構領域22Gaaに移動する。この内部チューブ22Gの場合も、図13の変形例6の場合と同様に、内部チューブ22Gを外部チューブ21に挿入したままでも、光ファイバ心線Fの挿入作業が容易である。また、交差防止機構領域22Gaaの高さは、被覆外径DFよりも低い高さであればよいが、それに限定されず、被覆外径DFの2倍より低い高さであればよい。
【0059】
(実施の形態3)
図16は、実施の形態3に係る補強スリーブに光ファイバ心線を挿入した状態を示す模式的な一部透視図である。図16に示すように、補強スリーブ30は、外部チューブ31と、外部チューブ31に挿入された内部部材である内部チューブ32と、外部チューブ31内に内部チューブ32に沿って挿入された抗張力体33と、を備えている。外部チューブ31、内部チューブ32、抗張力体33の形状や材料は、それぞれ実施の形態1の外部チューブ11、内部チューブ12、抗張力体13と同様である。しかしながら、この補強スリーブ30では、内部チューブ32が、長手方向において第1内部チューブ32aと第2内部チューブ32bとに分離可能に構成されている。
【0060】
この補強スリーブ30を用いた光ファイバ心線Fの融着接続方法について図16を参照して説明する。まず、補強スリーブ30の領域30aに挿入されていた第2内部チューブ32bを取り出す。
【0061】
つぎに、融着接続すべき4本の光ファイバ心線Fを2組準備し、図16のように、一方の4本の光ファイバ心線Fを補強スリーブ30の第1内部チューブ32aに挿入して整列された状態とし、他方の4本の光ファイバ心線Fを分離した第2内部チューブ32bに挿入して整列された状態とする。
【0062】
つぎに、2組の4本の光ファイバ心線Fのそれぞれを光ファイバホルダにセットし、光ファイバストリッパで各光ファイバ心線Fの先端部の被覆F2を剥いて光ファイバF1を露出させ、光ファイバF1の表面のゴミを除去し、光ファイバF1の端部を所定の長さに切断する。そして、図5と同様に、2つの光ファイバホルダ110をそれぞれ融着接続機100のホルダステージ120にそれぞれ載置し、光ファイバF1は位置決めのためのガイドブロック130に載置する。つぎに、放電電極140によって、対抗する光ファイバF1の端面にアーク放電を行い、4本の光ファイバ心線F同士を一括で融着接続し、その後光ファイバホルダ110から取り外す。これによって、図16に示すような、2組の4本の光ファイバ心線F同士が融着接続した状態となる。
【0063】
つぎに、補強スリーブ30を、4本の光ファイバ心線F同士の融着接続部Cを覆う位置に移動する。つぎに、第2内部チューブ32bを移動させて、補強スリーブ30の領域30aに再び挿入する。その後、融着接続した各光ファイバ心線Fを持って補強スリーブ30を加熱器150に移動する。
【0064】
ここで、4本の光ファイバ心線F同士を融着接続し、光ファイバホルダ110から取り外した後に、4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差する場合がある。しかしながら、補強スリーブ30を使用した場合には、補強スリーブ30を、融着接続部Cを覆う位置に移動することによって、融着接続前に補強スリーブ30に挿入した側の4本の光ファイバ心線Fの交差が防止される。さらに、第2内部チューブ32bを移動させて補強スリーブ30の領域30aに挿入することによって、融着接続前に第2内部チューブ32bに挿入した側の4本の光ファイバ心線Fが交差していたとしても、その交差が解消される。その結果、加熱器150への移動の際に整列された4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差することが、より確実に防止される。
【0065】
(実施の形態4)
図17は、実施の形態4に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。図17に示すように、補強スリーブ40は、外部チューブ41と、外部チューブ41に挿入された内部チューブ42と、外部チューブ41内に内部チューブ42に沿って挿入された抗張力体43と、を備えている。
【0066】
外部チューブ41、内部チューブ42、抗張力体43の材料、ならびに外部チューブ41、抗張力体43の形状は、それぞれ外部チューブ11、内部チューブ12、抗張力体13と同様である。
【0067】
ここで、内部チューブ42は、長手方向にわたって形成された、4本の光ファイバ心線Fのそれぞれが挿入される複数の孔42aを有している。このように、この補強スリーブ40では、内部チューブ42が複数の孔42aを有することによって交差防止機構が構成されている。この交差防止機構によって、融着接続作業の際に、整列された4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差することが防止される。
【0068】
なお、孔42aの形状や内寸については特に限定はなく、光ファイバ心線Fを挿入できる程度の内寸であればよい。また、孔42aの数は、少なくとも光ファイバ心線Fの本数以上であれば特に限定はされない。たとえば、孔42aの数を光ファイバ心線Fの本数の2倍程度として、光ファイバ心線Fを孔42aに一つおきに挿入するようにしてもよい。
【0069】
なお、本実施の形態4では、複数の孔42aが内部チューブ42の長手方向の全部にわたって形成されているが、長手方向の一部に形成されていてもよい。
【0070】
(実施の形態5)
図18は、実施の形態5に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。図18に示すように、補強スリーブ50は、外部チューブ51と、外部チューブ51に挿入された内部部材52と、外部チューブ51内に内部部材52に沿って挿入された抗張力体53と、を備えている。
【0071】
外部チューブ51、内部部材52、抗張力体53の材料、ならびに外部チューブ51、抗張力体53の形状は、それぞれ外部チューブ11、内部チューブ12、抗張力体13と同様である。
【0072】
ここで、内部部材52は、長手方向にわたって形成された、4本の光ファイバ心線Fのそれぞれが挿入される複数のスリット52aを有する。このように、この補強スリーブ50では、内部部材52が複数のスリット52aを有することによって交差防止機構が構成されている。この交差防止機構によって、融着接続作業の際に、整列された4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差することが防止される。
【0073】
なお、スリット52aの形状や内寸については特に限定はなく、光ファイバ心線Fを挿入できる程度の内寸であればよい。また、スリット52aの数は、少なくとも光ファイバ心線Fの本数以上であれば特に限定はされない。たとえば、スリット52aの数を光ファイバ心線Fの本数の2倍程度として、光ファイバ心線Fをスリット52aに一つおきに挿入するようにしてもよい。
【0074】
また、図19は、実施の形態5の変形例に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。図19に示す補強スリーブ50Aは、実施の形態5に係る補強スリーブ50において、内部部材52を、幅が略ゼロの複数のスリット52Aaを有する内部部材52Aに置き換えたものである。このように、スリットの幅は略ゼロとしてもよい。なお、スリット52Aaに光ファイバ心線Fを挿入する場合には、各スリット52Aaに各光ファイバ心線Fを押し当てて、一括して圧入するようにすれば、挿入作業が容易である。
【0075】
なお、本実施の形態5およびその変形例では、複数のスリット52aおよび52Aaが内部部材52または52Aの長手方向の全部にわたって形成されているが、長手方向の一部に形成されていてもよい。
【0076】
つぎに、内部チューブのさらなる変形例について説明する。内部チューブは、一方の端部において、内部空間の内寸よりも広い開口を有するように端部が加工されていてもよい。
【0077】
図20は、変形例9に係る内部チューブの側面図である。この内部チューブ22Hは、図8に示す実施の形態2に係る内部チューブ22と同様の材料および断面形状を有するが、一方の端部において、側面から見て斜めに加工されている。これによって、もともとの内部空間22Haの内寸よりも広い開口22Hbを有することになる。これによって、光ファイバ心線Fの挿入作業がより容易になる。
【0078】
図21は、変形例10に係る内部チューブの側面図である。この内部チューブ22Iは、内部チューブ22Hと同様の材料および断面形状を有するが、一方の端部において、側面から見てステップ状に加工されている。これによって、もともとの内部空間22Iaの内寸よりも広い開口22Ibを有することになる。これによって、光ファイバ心線Fの挿入作業がより容易になる。
【0079】
なお、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。
【0080】
たとえば、図10〜15、20、21に示すスリット、光ファイバ心線脱離防止弁、光ファイバ挿入領域、および端部の開口を広くする構成は、実施の形態1の補強スリーブに、それぞれ単独または同時に適用してもよい。また、各実施の形態およびその変形例に係るいずれの内部チューブも、実施の形態3のように分離した構成としてもよい。
【0081】
その他、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
10、20、30、40、50、50A 補強スリーブ
11、21、31、41、51 外部チューブ
12、12A、22、22A、22B、22C、22D、22E、22F、22G、 22H、22I、32、32a、32b、42 内部チューブ
12a、12Aa、22a、22Aa、22Ba、22Ca、22Da、22Ea、22Fa、22Ga、22Ha、22Ia 内部空間
13、23、33、43、53 抗張力体
22Bb、22Cb、22Db、22Eb、22Fb、52a、52Aa スリット
22Dc、22Ec、22Fc 光ファイバ心線脱離防止弁
22Gaa 交差防止機構領域
22Gab 光ファイバ挿入領域
22Hb、22Ib 開口
42a 孔
52、52A 内部部材
100 融着接続機
110 ファイバホルダ
111 溝
112 本体部
112a 上面
113 ヒンジ
114 仮押さえ蓋
114a テーパ部
114b 段差
114c 隙間
115 ヒンジ
116 本押さえ蓋
117、118 弾性部材
120 ホルダステージ
130 ガイドブロック
140 放電電極
150 加熱器
C 融着接続部
DF 被覆外径
F 光ファイバ心線
F1 光ファイバ
F2 被覆
H1、H2、H3、H4 高さ
W1、W2、WF 幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ心線用の補強スリーブおよび光ファイバ心線の融着接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信のために用いる光ファイバケーブル内には、光ファイバ心線が複数本収容されている。FTTH(Fiber To The Home)等で各家庭に光ファイバ心線を分配する場合、光ファイバケーブル内から1本の光ファイバ心線を取り出し、各家庭へと配線していく。なお、光ファイバ心線は、ガラスからなる光ファイバの外周に被覆を形成したものである。
【0003】
通常、光ファイバケーブルは一定の長さに製造するため、分配先が遠い場合には各家庭に分配するまでの光ファイバケーブルを延長することになる。この場合、延長は光ファイバケーブル同士を接続して行うこととなるが、その際に、接続すべき光ファイバケーブル内に収容された多数の光ファイバ心線同士を融着接続する。
【0004】
ここで、融着接続作業は、一般に以下の(1)〜(10)の手順で行われる。
(1)補強スリーブのセット:光ファイバの融着接続部を保護・補強するための補強スリーブにあらかじめ一方の光ファイバケーブ内の複数の光ファイバ心線を挿入しておく。
(2)光ファイバホルダへのセット:融着接続すべき光ファイバ心線をそれぞれ光ファイバホルダにセットする。
(3)ストリップ:光ファイバストリッパで各光ファイバ心線の被覆を剥いて光ファイバを露出させる。
(4)清掃:各光ファイバ表面のゴミを除去するために、エタノール等で湿らせたガーゼ等で清掃する。
(5)切断:露出した各光ファイバの端部を所定の長さに切断する。
(6)融着接続機へのセット:(1)〜(5)の前処理を終えた後、各光ファイバホルダを融着接続機にセットする。
(7)融着接続:光ファイバ同士を融着接続する。
(8)補強スリーブの移動:補強スリーブを、融着接続部を覆う位置に移動する。
(9)加熱器へ移動:融着接続した光ファイバ心線を加熱器に移動する。
(10)加熱:加熱器で補強スリーブを加熱し、溶解収縮する。
【0005】
なお、補強スリーブは、熱収縮性の外部チューブ内に、熱溶融性の内部チューブと抗張力体とが挿入されたものである。内部チューブに光ファイバを挿通した状態で補強スリーブを加熱すると、内部チューブが溶融するとともに熱収縮チューブが収縮する。これによって融着接続した光ファイバ心線と補強スリーブとが一体化し、被覆が除去されて光ファイバが露出された部分が保護・補強される。
【0006】
上記のように、光ファイバ心線同士を1本ずつ融着接続行う作業は時間と手間が掛かる。これを回避するため、複数の光ファイバ心線同士をまとめて融着接続する方法が開示されている。
【0007】
たとえば、複数の光ファイバ心線を平行に並べてテープ状にして接着剤で固定して、光ファイバテープ心線として融着接続する方法がある(たとえば特許文献1)。また、複数の光ファイバ心線を平行に並べてテープ状にして接着フィルムまたは接着テープで固定して、光ファイバテープ心線として融着接続する方法がある(たとえば特許文献2)。しかしながら、これらの方法は、光ファイバ心線を整列させるための治具や接着剤などが必要となる。また、接着剤を塗布するまたは接着フィルム等を貼り付ける作業や接着剤が硬化するまでの待ち時間が必要になるなどのわずらわしさがある。また、融着接続後も接着剤を塗布または接着フィルムを貼り付けたままにする場合、光ファイバ心線や光ファイバの融着接続部に悪影響が及ばない材料を選定する必要がある。
【0008】
上記の問題を回避する方法として、複数の光ファイバ心線同士をまとめて融着接続する方法として、光ファイバホルダ内で複数本の光ファイバ心線を整列し、整列した状態で融着接続する方法がある(たとえば特許文献3〜8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−13330号公報
【特許文献2】特開2004−163693号公報
【特許文献3】特開2011−2858号公報
【特許文献4】特開2007−171825号公報
【特許文献5】特開2007−171824号公報
【特許文献6】特開2005−258129号公報
【特許文献7】特開2000−292639号公報
【特許文献8】特開平11−44828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来、融着接続した光ファイバ心線を加熱器に移動する際に、整列させた光ファイバ心線の整列状態が崩れて互いに交差してしまう場合があった。このように光ファイバ心線が互いに交差した状態で補強スリーブの加熱収縮を行うと、被覆が除去された光ファイバが互いに接触したり、光ファイバに応力が掛かることによって折損したりする場合がある。また、光ファイバ心線同士の長手方向での互いの位置がずれてしまう場合もある。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、融着接続作業時の光ファイバ心線の交差を防止できる光ファイバ心線用の補強スリーブおよび光ファイバ心線の融着接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る補強スリーブは、熱収縮性の外部チューブと、前記外部チューブ内に挿入された熱溶融性の内部部材と、前記外部チューブ内に前記内部部材に沿って挿入された抗張力体と、を備え、前記内部部材は、複数の光ファイバ心線が挿入され、互いに略平行になるように整列された場合に、前記整列された複数の光ファイバ心線同士が互いに交差することを防止する交差防止機構を有する。
【0013】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記交差防止機構は、前記内部部材がチューブ状であって、前記複数の光ファイバ心線が挿入される内部空間が、該内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記光ファイバ心線の被覆外径の2倍より低い高さである内寸を有することにより構成されている。
【0014】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記内部空間が、前記内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記光ファイバ心線の被覆外径より低い高さを有する。
【0015】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記内部部材は、前記内部空間に連通するように該内部部材の側面に沿って形成されたスリットを有し、前記スリットから前記光ファイバ心線が前記内部空間に挿入される。
【0016】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記内部部材は、前記スリットの少なくとも一方の側部に光ファイバ心線脱離防止弁を有する。
【0017】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記内部空間は、長手方向に沿って形成され、前記交差防止機構の領域における高さよりも高く形成された光ファイバ挿入領域を有する。
【0018】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記内部部材の一方の端部において該内部空間の内寸よりも広い開口を有するように該端部が加工されている。
【0019】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記交差防止機構は、前記内部部材が、該内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記複数の光ファイバ心線のそれぞれが挿入される複数の孔を有することにより構成されている。
【0020】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記交差防止機構は、前記内部部材が、該内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記複数の光ファイバ心線のそれぞれが挿入される複数のスリットを有することにより構成されている。
【0021】
また、本発明に係る補強スリーブは、上記の発明において、前記内部部材は、長手方向において第1内部部材と第2内部部材とに分離可能に構成されている。
【0022】
また、本発明に係る光ファイバ心線の融着接続方法は、上記の発明の補強スリーブに第1の複数の光ファイバ心線を挿入して互いに略平行になるように整列された状態とし、前記第1の複数の光ファイバ心線を第1光ファイバホルダにセットし、第2の複数の光ファイバ心線を第2光ファイバホルダにセットし、前記第1の複数の光ファイバ心線と前記第2の複数の光ファイバ心線とを融着接続し、前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線の融着接続部を覆う位置に前記補強スリーブを移動し、前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線を加熱器に移動する、ことを含む。
【0023】
また、本発明に係る光ファイバ心線の融着接続方法は、上記の発明の補強スリーブから前記第2内部部材を分離し、前記補強スリーブに第1の複数の光ファイバ心線を挿入して互いに略平行になるように整列された状態とし、前記分離した第2内部部材に第2の複数の光ファイバ心線を挿入して互いに略平行になるように整列された状態とし、前記第1の複数の光ファイバ心線を第1光ファイバホルダにセットし、前記第2の複数の光ファイバ心線を第2光ファイバホルダにセットし、前記第1の複数の光ファイバ心線と前記第2の複数の光ファイバ心線とを融着接続し、前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線の融着接続部を覆う位置に前記補強スリーブを移動し、前記補強スリーブの前記外部チューブに前記分離した第2内部部材を挿入し、前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線を加熱器に移動する、ことを含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、融着接続作業時の光ファイバ心線の交差を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、実施の形態1に係る補強スリーブに光ファイバ心線を挿入した状態を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示す補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図3】図3は、光ファイバホルダに光ファイバ心線をセットした状態を示す模式図である。
【図4】図4は、図3に示す光ファイバホルダのA−A線断面図である。
【図5】図5は、光ファイバ心線を一括して融着接続する工程を説明する図である。
【図6】図6は、補強スリーブを融着接続部に移動する工程を説明する図である。
【図7】図7は、変形例1に係る内部チューブを長手方向に沿って切断した断面図である。
【図8】図8は、実施の形態2に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図9】図9は、変形例2に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図10】図10は、変形例3に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図11】図11は、変形例4に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図12】図12は、変形例5に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図13】図13は、変形例6に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図14】図14は、変形例7に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図15】図15は、変形例8に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図16】図16は、実施の形態3に係る補強スリーブに光ファイバ心線を挿入した状態を示す模式的な一部透視図である。
【図17】図17は、実施の形態4に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図18】図18は、実施の形態5に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図19】図19は、実施の形態5の変形例に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【図20】図20は、変形例9に係る内部チューブの側面図である。
【図21】図21は、変形例10に係る内部チューブの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を参照して本発明に係る補強スリーブおよび光ファイバ心線の融着接続方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各層の厚みと幅との関係、各層の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る補強スリーブに光ファイバ心線を挿入した状態を示す模式図である。図2は、図1に示す補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。
【0028】
図1、2に示すように、補強スリーブ10は、外部チューブ11と、外部チューブ11に挿入された内部部材である内部チューブ12と、外部チューブ11内に内部チューブ12に沿って挿入された抗張力体13と、を備えている。
【0029】
外部チューブ11は、断面が円状であり、ポリオレフィン系樹脂などの熱収縮性の材料からなる。内部チューブ12は、断面が長方形状であり、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合系樹脂)などの熱溶融性の材料からなる。抗張力体13は、断面が半円状であり、SUS(ステンレス鋼)やガラスなどの材料からなる。また、外部チューブ11、内部チューブ12、抗張力体13は、略同じ長さを有するが、内部チューブ12および抗張力体13は外部チューブ11より短くてもよい。
【0030】
光ファイバ心線Fは、石英系ガラスからなる光ファイバF1と、樹脂からなり、光ファイバF1を覆う被覆F2とを備えている。4本の光ファイバ心線Fが内部チューブ12に挿入され、整列された状態となっている。なお、本実施の形態1では、挿入される光ファイバ心線の本数は4本であるが、2本以上であれば特に限定はされず、たとえば2本から32本とすることができる。
【0031】
ここで、内部チューブ12の内部空間12aが、長手方向にわたって、高さH1、幅W1の内寸を有している。この高さH1は、光ファイバ心線Fの被覆外径DFの2倍より低い高さであり、幅W1は、4本の光ファイバ心線Fが整列された幅WFよりも広い幅である。たとえば、被覆外径DFが250μmの場合は、高さH1は500μmより小さい値であり、幅W1は1mmより大きい値である。また、被覆外径DFが500μmの場合は、高さH1は1mmより小さい値であり、幅W1は2mmより大きい値である。なお、被覆外径DFの値は例示であり、特に限定はされない。
【0032】
従来の補強スリーブでは、光ファイバ心線を内部チューブに挿入する際に挿入しやすいように、内部チューブの内寸を十分に大きくしていた。これに対して、この補強スリーブ10では、内部チューブ12の内部空間12aの高さH1が、光ファイバ心線Fの被覆外径DFの2倍より低い高さである内寸を有することによって、交差防止機構が構成されている。この交差防止機構によって、融着接続作業の際に、整列された4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差するのに十分な内部空間12aの高さがないため、光ファイバ心線Fは他の光ファイバ心線Fを乗り越えられない。その結果、4本の光ファイバ心線F同士の交差が防止される。
【0033】
つぎに、補強スリーブ10を用いた光ファイバ心線Fの融着接続方法について説明する。まず、融着接続すべき4本の光ファイバ心線Fを2組準備し、図1のように、一方の4本の光ファイバ心線Fを1本ずつ補強スリーブ10の内部チューブ12に挿入し、4本の光ファイバ心線Fが互いに略平行になるように整列させた状態とする。なお、4本の光ファイバ心線Fを一括して補強スリーブ10に挿入してもよい。
【0034】
つぎに、2組の4本の光ファイバ心線Fのそれぞれを光ファイバホルダにセットする。図3は、光ファイバホルダ110に4本の光ファイバ心線Fをセットした状態を示す模式図である。図4は、図3に示す光ファイバホルダ110のA−A線断面図である。
【0035】
ここで、光ファイバホルダ110は、光ファイバFを収容するための溝111が長手方向に沿って形成された本体部112と、本体部112にヒンジ113によって開閉可能に取り付けられた仮押さえ蓋114と、本体部112にヒンジ115によって開閉可能に取り付けられた本押さえ蓋116と、仮押さえ蓋114直下の本体部112に埋設されたスポンジ等からなる弾性部材117と、本押さえ蓋116に埋設されたゴム等からなる弾性部材118と、を備えている。
【0036】
また、図4に示すように、弾性部材117は、本体部112の上面112aよりも上側にやや突出している。また、仮押さえ蓋114のヒンジ113の反対側にはテーパ部114aが形成されている。仮押さえ蓋114のヒンジ113側には段差114bが形成されている。また、上面112aと仮押さえ蓋114との間には隙間114cが形成されている。
【0037】
この光ファイバホルダ110に4本の光ファイバ心線Fをセットする場合は、まず、仮押さえ蓋114を閉じた状態で、テーパ部114a側から隙間114cに光ファイバ心線Fを順次挿入していく。4本の光ファイバ心線Fは、段差114bに当接した状態で整列される。このとき、4本の光ファイバ心線Fは、上面112aよりも突出した部分の弾性部材117が弾性変形することによって保持され、仮押さえされる。その後、本押さえ蓋116を閉じることによって、4本の光ファイバ心線Fは、ばらばらになることなく整列した状態で光ファイバホルダ110にセットされる。
【0038】
つぎに、光ファイバストリッパで各光ファイバ心線Fの先端部の被覆F2を剥いて光ファイバF1を露出させ、光ファイバF1の表面のゴミを除去し、光ファイバF1の端部を所定の長さに切断する。
【0039】
図5は、4本の光ファイバ心線F同士を一括して融着接続する工程を説明する図である。図5に示すように、2つの光ファイバホルダ110をそれぞれ融着接続機100のホルダステージ120にそれぞれ載置すると、光ファイバF1は位置決めのためのガイドブロック130に載置される。つぎに、放電電極140によって、対抗する光ファイバF1の端面にアーク放電を行い、4本の光ファイバ心線F同士を一括で融着接続する。
【0040】
図6は、補強スリーブを融着接続部に移動する工程を説明する図である。図6に示すように、融着接続後、融着接続した各光ファイバ心線Fを各光ファイバホルダ110から取り外し、補強スリーブ10を、4本の光ファイバ心線F同士の融着接続部Cを覆う位置に移動する。なお、図6からわかるように、補強スリーブ10およびこれに挿入された内部チューブ12の長さは、少なくとも融着接続した光ファイバF1の両方の被覆F2の一部を覆うような長さに設定される。
【0041】
つぎに、融着接続した各光ファイバ心線Fを持って補強スリーブ10を加熱器150に移動する。ここで、補強スリーブ10の内部チューブ12は交差防止機構を有するので、移動の際に整列された4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差することが防止される。その結果、光ファイバF1が互いに接触し折損したりすることが防止される。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態1に係る補強スリーブ10によれば、融着接続作業時の光ファイバ心線Fの交差を防止できる。
【0043】
なお、上記実施の形態1では、内部チューブ12の内部空間12aが、長手方向にわたって高さH1、幅W1の内寸を有している。しかし、必ずしも長手方向全体にわたって高さH1、幅W1である必要はなく、長手方向の少なくとも一部で高さH1、幅W1を有していればよい。
【0044】
図7は、変形例1に係る内部チューブを長手方向に沿って切断した断面図である。この内部チューブ12Aでは、内部空間12Aaの長手方向の一部が高さH1であり、その他の部分では高さH1よりも高くなっている。実施の形態1に係る補強スリーブ10において、内部チューブ12に代えてこのような内部チューブ12Aを用いても、融着接続作業時の光ファイバ心線Fの交差を防止できる。また、高さH1である部分以外の部分では、内部空間12Aaの内寸が大きいため、光ファイバ心線Fを挿入する作業が容易になる。ただし、高さH1である部分は、補強スリーブを融着接続部を覆う位置に移動した際に、光ファイバ心線Fの被覆F2に相当する位置に存在する必要がある。
【0045】
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2に係る補強スリーブ20を端部側から長手方向に沿って見た図である。図8に示すように、補強スリーブ20は、外部チューブ21と、外部チューブ21に挿入された内部部材である内部チューブ22と、外部チューブ21内に内部チューブ22に沿って挿入された抗張力体23と、を備えている。
【0046】
外部チューブ21、内部チューブ22、抗張力体23の材料、ならびに外部チューブ21、抗張力体23の形状は、それぞれ外部チューブ11、内部チューブ12、抗張力体13と同様である。
【0047】
ここで、内部チューブ22の内部空間22aが、長手方向にわたって、高さH2、幅W2の内寸を有している。この高さH2は、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりも、たとえば数μm程度だけわずかに低い高さであり、幅W2は、4本の光ファイバ心線Fが整列された幅WFよりも広い幅である。
【0048】
この補強スリーブ20では、内部チューブ22の内部空間22aの高さH2が、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりもわずかに低い高さである内寸を有することによって、整列された4本の光ファイバ心線F同士が、互いに交差することを防止する交差防止機構が構成されている。この交差防止機構によって、融着接続作業の際に、整列された4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差することが防止される。さらには、光ファイバ心線Fが内部チューブ22によって挟まれて摩擦が生じるため、光ファイバ心線Fが補強スリーブ20から脱落しにくくなり、かつ光ファイバ心線Fが位置ずれしにくくなる。
【0049】
なお、この補強スリーブ20を用いて光ファイバ心線Fの融着接続をする場合は、実施の形態1に係る補強スリーブ10を用いた場合と同様の手順で行うことができる。また、光ファイバ心線Fを補強スリーブ20の内部チューブ22に挿入する際は、内部チューブ22を補強スリーブ20から取り外し、内部チューブ22を幅方向両側から押圧して内部空間22aを高さ方向に広げた状態として光ファイバ心線Fを挿入すると挿入作業が容易になる。
【0050】
内部空間22aの高さH2は、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりも小さければ摩擦が生じるのでよい。ただし、被覆外径DFの2/3以上の高さのであれば、光ファイバ心線Fを挿入する作業がより容易となるので好ましい。
【0051】
つぎに、実施の形態2に係る補強スリーブ20の内部チューブに代えて使用することができる内部チューブの変形例について説明する。
【0052】
図9は、変形例2に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例2に係る内部チューブ22Aは、内部空間22Aaの高さが略ゼロであり、これによって交差防止機構が構成されている。この内部チューブ22Aを用いた場合も、光ファイバ心線Fが補強スリーブ20から脱落しにくくなり、かつ光ファイバ心線Fが位置ずれしにくくなる。なお、光ファイバ心線Fを挿入する際は、内部チューブ22Aを幅方向両側から押圧して内部空間22Aaを高さ方向に広げた状態として光ファイバ心線Fを挿入すると作業が容易になる。
【0053】
図10は、変形例3に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例2に係る内部チューブ22Bは、内部チューブ22と同様に内部空間22Baの高さが、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりもわずかに低い高さであり、これによって交差防止機構が構成されている。ただし、内部チューブ22Bは、内部空間22Baに連通するように内部チューブ22Bの側面に沿って形成されたスリット22Bbを有している。したがって、このスリット22Bbから光ファイバ心線Fを内部空間22Baに挿入することで、挿入作業が容易になる。なお、内部空間22Baの高さは、被覆外径DFよりも低い高さであればよいが、それに限定されず、被覆外径DFの2倍より低い高さであればよい。
【0054】
図11は、変形例4に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例4に係る内部チューブ22Cは、内部空間22Caの高さは略ゼロであり、これによって交差防止機構が構成されている。また、内部チューブ22Cは、内部空間22Caに連通するように内部チューブ22Cの側面に沿って形成されたスリット22Cbを有している。したがって、このスリット22Cbから光ファイバ心線Fを順次内部空間22Caに挿入することで、挿入作業が容易になる。
【0055】
図12は、変形例5に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例5に係る内部チューブ22Dは、内部チューブ22と同様に内部空間22Daの高さが、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりもわずかに低い高さであり、これによって交差防止機構が構成されている。また、内部チューブ22Dは、内部空間22Daに連通するように内部チューブ22Dの側面に沿って形成されたスリット22Dbを有している。さらに、内部チューブ22Dは、スリット22Dbの一方の側部に光ファイバ心線脱離防止弁22Dcを有する。したがって、スリット22Dbから光ファイバ心線Fを内部空間22Daに挿入することで、挿入作業が容易になるとともに、光ファイバ心線脱離防止弁22Dcによって、挿入した光ファイバ心線Fの内部空間22Daからの脱離が防止される。なお、光ファイバ心線脱離防止弁22Dcは内部チューブ22Dの長手方向の全部にわたって形成されてもよいし、一部に形成されてもよい。また、内部空間22Daの高さは、被覆外径DFよりも低い高さであればよいが、それに限定されず、被覆外径DFの2倍より低い高さであればよい。
【0056】
図13は、変形例6に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例6に係る内部チューブ22Eは、内部チューブ22Dを上下に逆にした構成を有している。この内部チューブ22Eの場合の内部空間22Eaに光ファイバ心線Fを挿入する場合には、まず、内部チューブ22Eを外部チューブ21に挿入したままで、光ファイバ心線Fを、外部チューブ21内の、光ファイバ待ち部22Edの上の領域に挿入する。つぎに、挿入した光ファイバ心線Fをスリット22Ebから内部空間22Eaに挿入する。挿入した光ファイバ心線Fは、光ファイバ心線脱離防止弁22Ecによって、内部空間22Eaからの脱離が防止される。この内部チューブ22Eの場合は、内部チューブ22Eを外部チューブ21に挿入したままでも、光ファイバ心線Fの挿入作業が容易である。ただし、内部チューブ22Eを外部チューブ21から取り外して挿入作業を行ってもよい。なお、光ファイバ心線脱離防止弁22Ecも、内部チューブ22Eの長手方向の全部にわたって形成されてもよいし、一部に形成されてもよい。
【0057】
図14は、変形例7に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例7に係る内部チューブ22Fは、内部チューブ22と同様に内部空間22Faの高さが、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりもわずかに低い高さであり、これによって交差防止機構が構成されている。また、内部チューブ22Fは、内部空間22Faに連通するように内部チューブ22Fの側面に沿って形成されたスリット22Fbを有している。さらに、内部チューブ22Fは、スリット22Fbの両方の側部に光ファイバ心線脱離防止弁22Fcを有する。したがって、スリット22Fbから光ファイバ心線Fを内部空間22Faに挿入することで、挿入作業が容易になるとともに、2つの光ファイバ心線脱離防止弁22Fcによって、挿入した光ファイバ心線Fの内部空間22Faからの脱離が防止される。なお、光ファイバ心線脱離防止弁22Fcも、内部チューブ22Fの長手方向の全部にわたって形成されてもよいし、一部に形成されてもよい。また、内部空間22Faの高さは、被覆外径DFよりも低い高さであればよいが、それに限定されず、被覆外径DFの2倍より低い高さであればよい。
【0058】
図15は、変形例8に係る内部チューブを端部側から長手方向に沿って見た図である。この変形例8に係る内部チューブ22Gの内部空間22Gaは、光ファイバ心線Fの被覆外径DFよりもわずかに低い高さとされた、高さH3の交差防止機構領域22Gaaと、高さH3よりも高く形成された、高さH4の光ファイバ挿入領域22Gabとを有している。この内部チューブ22Gの内部空間22Gaに光ファイバ心線Fを挿入する場合には、まず、光ファイバ心線Fを光ファイバ挿入領域22Gabに挿入する。つぎに、挿入した光ファイバ心線Fを交差防止機構領域22Gaaに移動する。この内部チューブ22Gの場合も、図13の変形例6の場合と同様に、内部チューブ22Gを外部チューブ21に挿入したままでも、光ファイバ心線Fの挿入作業が容易である。また、交差防止機構領域22Gaaの高さは、被覆外径DFよりも低い高さであればよいが、それに限定されず、被覆外径DFの2倍より低い高さであればよい。
【0059】
(実施の形態3)
図16は、実施の形態3に係る補強スリーブに光ファイバ心線を挿入した状態を示す模式的な一部透視図である。図16に示すように、補強スリーブ30は、外部チューブ31と、外部チューブ31に挿入された内部部材である内部チューブ32と、外部チューブ31内に内部チューブ32に沿って挿入された抗張力体33と、を備えている。外部チューブ31、内部チューブ32、抗張力体33の形状や材料は、それぞれ実施の形態1の外部チューブ11、内部チューブ12、抗張力体13と同様である。しかしながら、この補強スリーブ30では、内部チューブ32が、長手方向において第1内部チューブ32aと第2内部チューブ32bとに分離可能に構成されている。
【0060】
この補強スリーブ30を用いた光ファイバ心線Fの融着接続方法について図16を参照して説明する。まず、補強スリーブ30の領域30aに挿入されていた第2内部チューブ32bを取り出す。
【0061】
つぎに、融着接続すべき4本の光ファイバ心線Fを2組準備し、図16のように、一方の4本の光ファイバ心線Fを補強スリーブ30の第1内部チューブ32aに挿入して整列された状態とし、他方の4本の光ファイバ心線Fを分離した第2内部チューブ32bに挿入して整列された状態とする。
【0062】
つぎに、2組の4本の光ファイバ心線Fのそれぞれを光ファイバホルダにセットし、光ファイバストリッパで各光ファイバ心線Fの先端部の被覆F2を剥いて光ファイバF1を露出させ、光ファイバF1の表面のゴミを除去し、光ファイバF1の端部を所定の長さに切断する。そして、図5と同様に、2つの光ファイバホルダ110をそれぞれ融着接続機100のホルダステージ120にそれぞれ載置し、光ファイバF1は位置決めのためのガイドブロック130に載置する。つぎに、放電電極140によって、対抗する光ファイバF1の端面にアーク放電を行い、4本の光ファイバ心線F同士を一括で融着接続し、その後光ファイバホルダ110から取り外す。これによって、図16に示すような、2組の4本の光ファイバ心線F同士が融着接続した状態となる。
【0063】
つぎに、補強スリーブ30を、4本の光ファイバ心線F同士の融着接続部Cを覆う位置に移動する。つぎに、第2内部チューブ32bを移動させて、補強スリーブ30の領域30aに再び挿入する。その後、融着接続した各光ファイバ心線Fを持って補強スリーブ30を加熱器150に移動する。
【0064】
ここで、4本の光ファイバ心線F同士を融着接続し、光ファイバホルダ110から取り外した後に、4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差する場合がある。しかしながら、補強スリーブ30を使用した場合には、補強スリーブ30を、融着接続部Cを覆う位置に移動することによって、融着接続前に補強スリーブ30に挿入した側の4本の光ファイバ心線Fの交差が防止される。さらに、第2内部チューブ32bを移動させて補強スリーブ30の領域30aに挿入することによって、融着接続前に第2内部チューブ32bに挿入した側の4本の光ファイバ心線Fが交差していたとしても、その交差が解消される。その結果、加熱器150への移動の際に整列された4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差することが、より確実に防止される。
【0065】
(実施の形態4)
図17は、実施の形態4に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。図17に示すように、補強スリーブ40は、外部チューブ41と、外部チューブ41に挿入された内部チューブ42と、外部チューブ41内に内部チューブ42に沿って挿入された抗張力体43と、を備えている。
【0066】
外部チューブ41、内部チューブ42、抗張力体43の材料、ならびに外部チューブ41、抗張力体43の形状は、それぞれ外部チューブ11、内部チューブ12、抗張力体13と同様である。
【0067】
ここで、内部チューブ42は、長手方向にわたって形成された、4本の光ファイバ心線Fのそれぞれが挿入される複数の孔42aを有している。このように、この補強スリーブ40では、内部チューブ42が複数の孔42aを有することによって交差防止機構が構成されている。この交差防止機構によって、融着接続作業の際に、整列された4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差することが防止される。
【0068】
なお、孔42aの形状や内寸については特に限定はなく、光ファイバ心線Fを挿入できる程度の内寸であればよい。また、孔42aの数は、少なくとも光ファイバ心線Fの本数以上であれば特に限定はされない。たとえば、孔42aの数を光ファイバ心線Fの本数の2倍程度として、光ファイバ心線Fを孔42aに一つおきに挿入するようにしてもよい。
【0069】
なお、本実施の形態4では、複数の孔42aが内部チューブ42の長手方向の全部にわたって形成されているが、長手方向の一部に形成されていてもよい。
【0070】
(実施の形態5)
図18は、実施の形態5に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。図18に示すように、補強スリーブ50は、外部チューブ51と、外部チューブ51に挿入された内部部材52と、外部チューブ51内に内部部材52に沿って挿入された抗張力体53と、を備えている。
【0071】
外部チューブ51、内部部材52、抗張力体53の材料、ならびに外部チューブ51、抗張力体53の形状は、それぞれ外部チューブ11、内部チューブ12、抗張力体13と同様である。
【0072】
ここで、内部部材52は、長手方向にわたって形成された、4本の光ファイバ心線Fのそれぞれが挿入される複数のスリット52aを有する。このように、この補強スリーブ50では、内部部材52が複数のスリット52aを有することによって交差防止機構が構成されている。この交差防止機構によって、融着接続作業の際に、整列された4本の光ファイバ心線F同士が互いに交差することが防止される。
【0073】
なお、スリット52aの形状や内寸については特に限定はなく、光ファイバ心線Fを挿入できる程度の内寸であればよい。また、スリット52aの数は、少なくとも光ファイバ心線Fの本数以上であれば特に限定はされない。たとえば、スリット52aの数を光ファイバ心線Fの本数の2倍程度として、光ファイバ心線Fをスリット52aに一つおきに挿入するようにしてもよい。
【0074】
また、図19は、実施の形態5の変形例に係る補強スリーブを端部側から長手方向に沿って見た図である。図19に示す補強スリーブ50Aは、実施の形態5に係る補強スリーブ50において、内部部材52を、幅が略ゼロの複数のスリット52Aaを有する内部部材52Aに置き換えたものである。このように、スリットの幅は略ゼロとしてもよい。なお、スリット52Aaに光ファイバ心線Fを挿入する場合には、各スリット52Aaに各光ファイバ心線Fを押し当てて、一括して圧入するようにすれば、挿入作業が容易である。
【0075】
なお、本実施の形態5およびその変形例では、複数のスリット52aおよび52Aaが内部部材52または52Aの長手方向の全部にわたって形成されているが、長手方向の一部に形成されていてもよい。
【0076】
つぎに、内部チューブのさらなる変形例について説明する。内部チューブは、一方の端部において、内部空間の内寸よりも広い開口を有するように端部が加工されていてもよい。
【0077】
図20は、変形例9に係る内部チューブの側面図である。この内部チューブ22Hは、図8に示す実施の形態2に係る内部チューブ22と同様の材料および断面形状を有するが、一方の端部において、側面から見て斜めに加工されている。これによって、もともとの内部空間22Haの内寸よりも広い開口22Hbを有することになる。これによって、光ファイバ心線Fの挿入作業がより容易になる。
【0078】
図21は、変形例10に係る内部チューブの側面図である。この内部チューブ22Iは、内部チューブ22Hと同様の材料および断面形状を有するが、一方の端部において、側面から見てステップ状に加工されている。これによって、もともとの内部空間22Iaの内寸よりも広い開口22Ibを有することになる。これによって、光ファイバ心線Fの挿入作業がより容易になる。
【0079】
なお、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。
【0080】
たとえば、図10〜15、20、21に示すスリット、光ファイバ心線脱離防止弁、光ファイバ挿入領域、および端部の開口を広くする構成は、実施の形態1の補強スリーブに、それぞれ単独または同時に適用してもよい。また、各実施の形態およびその変形例に係るいずれの内部チューブも、実施の形態3のように分離した構成としてもよい。
【0081】
その他、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
10、20、30、40、50、50A 補強スリーブ
11、21、31、41、51 外部チューブ
12、12A、22、22A、22B、22C、22D、22E、22F、22G、 22H、22I、32、32a、32b、42 内部チューブ
12a、12Aa、22a、22Aa、22Ba、22Ca、22Da、22Ea、22Fa、22Ga、22Ha、22Ia 内部空間
13、23、33、43、53 抗張力体
22Bb、22Cb、22Db、22Eb、22Fb、52a、52Aa スリット
22Dc、22Ec、22Fc 光ファイバ心線脱離防止弁
22Gaa 交差防止機構領域
22Gab 光ファイバ挿入領域
22Hb、22Ib 開口
42a 孔
52、52A 内部部材
100 融着接続機
110 ファイバホルダ
111 溝
112 本体部
112a 上面
113 ヒンジ
114 仮押さえ蓋
114a テーパ部
114b 段差
114c 隙間
115 ヒンジ
116 本押さえ蓋
117、118 弾性部材
120 ホルダステージ
130 ガイドブロック
140 放電電極
150 加熱器
C 融着接続部
DF 被覆外径
F 光ファイバ心線
F1 光ファイバ
F2 被覆
H1、H2、H3、H4 高さ
W1、W2、WF 幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性の外部チューブと、
前記外部チューブ内に挿入された熱溶融性の内部部材と、
前記外部チューブ内に前記内部部材に沿って挿入された抗張力体と、
を備え、前記内部部材は、複数の光ファイバ心線が挿入され、互いに略平行になるように整列された場合に、前記整列された複数の光ファイバ心線同士が互いに交差することを防止する交差防止機構を有することを特徴とする補強スリーブ。
【請求項2】
前記交差防止機構は、前記内部部材がチューブ状であって、前記複数の光ファイバ心線が挿入される内部空間が、該内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記光ファイバ心線の被覆外径の2倍より低い高さである内寸を有することにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の補強スリーブ。
【請求項3】
前記内部空間が、前記内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記光ファイバ心線の被覆外径より低い高さを有することを特徴とする請求項2に記載の補強スリーブ。
【請求項4】
前記内部部材は、前記内部空間に連通するように該内部部材の側面に沿って形成されたスリットを有し、前記スリットから前記光ファイバ心線が前記内部空間に挿入されることを特徴とする請求項2または3に記載の補強スリーブ。
【請求項5】
前記内部部材は、前記スリットの少なくとも一方の側部に光ファイバ心線脱離防止弁を有することを特徴とする請求項4に記載の補強スリーブ。
【請求項6】
前記内部空間は、長手方向に沿って形成され、前記交差防止機構の領域における高さよりも高く形成された光ファイバ挿入領域を有することを特徴とする請求項2または3に記載の補強スリーブ。
【請求項7】
前記内部部材の一方の端部において該内部空間の内寸よりも広い開口を有するように該端部が加工されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の補強スリーブ。
【請求項8】
前記交差防止機構は、前記内部部材が、該内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記複数の光ファイバ心線のそれぞれが挿入される複数の孔を有することにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の補強スリーブ。
【請求項9】
前記交差防止機構は、前記内部部材が、該内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記複数の光ファイバ心線のそれぞれが挿入される複数のスリットを有することにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の補強スリーブ。
【請求項10】
前記内部部材は、長手方向において第1内部部材と第2内部部材とに分離可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の補強スリーブ。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一つに記載の補強スリーブに第1の複数の光ファイバ心線を挿入して互いに略平行になるように整列された状態とし、
前記第1の複数の光ファイバ心線を第1光ファイバホルダにセットし、
第2の複数の光ファイバ心線を第2光ファイバホルダにセットし、
前記第1の複数の光ファイバ心線と前記第2の複数の光ファイバ心線とを融着接続し、
前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線の融着接続部を覆う位置に前記補強スリーブを移動し、
前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線を加熱器に移動する、
ことを含むことを特徴とする光ファイバ心線の融着接続方法。
【請求項12】
請求項10の記載の補強スリーブから前記第2内部部材を分離し、
前記補強スリーブに第1の複数の光ファイバ心線を挿入して互いに略平行になるように整列された状態とし、
前記分離した第2内部部材に第2の複数の光ファイバ心線を挿入して互いに略平行になるように整列された状態とし、
前記第1の複数の光ファイバ心線を第1光ファイバホルダにセットし、
前記第2の複数の光ファイバ心線を第2光ファイバホルダにセットし、
前記第1の複数の光ファイバ心線と前記第2の複数の光ファイバ心線とを融着接続し、
前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線の融着接続部を覆う位置に前記補強スリーブを移動し、
前記補強スリーブの前記外部チューブに前記分離した第2内部部材を挿入し、
前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線を加熱器に移動する、
ことを含むことを特徴とする光ファイバ心線の融着接続方法。
【請求項1】
熱収縮性の外部チューブと、
前記外部チューブ内に挿入された熱溶融性の内部部材と、
前記外部チューブ内に前記内部部材に沿って挿入された抗張力体と、
を備え、前記内部部材は、複数の光ファイバ心線が挿入され、互いに略平行になるように整列された場合に、前記整列された複数の光ファイバ心線同士が互いに交差することを防止する交差防止機構を有することを特徴とする補強スリーブ。
【請求項2】
前記交差防止機構は、前記内部部材がチューブ状であって、前記複数の光ファイバ心線が挿入される内部空間が、該内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記光ファイバ心線の被覆外径の2倍より低い高さである内寸を有することにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の補強スリーブ。
【請求項3】
前記内部空間が、前記内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記光ファイバ心線の被覆外径より低い高さを有することを特徴とする請求項2に記載の補強スリーブ。
【請求項4】
前記内部部材は、前記内部空間に連通するように該内部部材の側面に沿って形成されたスリットを有し、前記スリットから前記光ファイバ心線が前記内部空間に挿入されることを特徴とする請求項2または3に記載の補強スリーブ。
【請求項5】
前記内部部材は、前記スリットの少なくとも一方の側部に光ファイバ心線脱離防止弁を有することを特徴とする請求項4に記載の補強スリーブ。
【請求項6】
前記内部空間は、長手方向に沿って形成され、前記交差防止機構の領域における高さよりも高く形成された光ファイバ挿入領域を有することを特徴とする請求項2または3に記載の補強スリーブ。
【請求項7】
前記内部部材の一方の端部において該内部空間の内寸よりも広い開口を有するように該端部が加工されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の補強スリーブ。
【請求項8】
前記交差防止機構は、前記内部部材が、該内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記複数の光ファイバ心線のそれぞれが挿入される複数の孔を有することにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の補強スリーブ。
【請求項9】
前記交差防止機構は、前記内部部材が、該内部部材の長手方向の少なくとも一部において、前記複数の光ファイバ心線のそれぞれが挿入される複数のスリットを有することにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の補強スリーブ。
【請求項10】
前記内部部材は、長手方向において第1内部部材と第2内部部材とに分離可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の補強スリーブ。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一つに記載の補強スリーブに第1の複数の光ファイバ心線を挿入して互いに略平行になるように整列された状態とし、
前記第1の複数の光ファイバ心線を第1光ファイバホルダにセットし、
第2の複数の光ファイバ心線を第2光ファイバホルダにセットし、
前記第1の複数の光ファイバ心線と前記第2の複数の光ファイバ心線とを融着接続し、
前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線の融着接続部を覆う位置に前記補強スリーブを移動し、
前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線を加熱器に移動する、
ことを含むことを特徴とする光ファイバ心線の融着接続方法。
【請求項12】
請求項10の記載の補強スリーブから前記第2内部部材を分離し、
前記補強スリーブに第1の複数の光ファイバ心線を挿入して互いに略平行になるように整列された状態とし、
前記分離した第2内部部材に第2の複数の光ファイバ心線を挿入して互いに略平行になるように整列された状態とし、
前記第1の複数の光ファイバ心線を第1光ファイバホルダにセットし、
前記第2の複数の光ファイバ心線を第2光ファイバホルダにセットし、
前記第1の複数の光ファイバ心線と前記第2の複数の光ファイバ心線とを融着接続し、
前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線の融着接続部を覆う位置に前記補強スリーブを移動し、
前記補強スリーブの前記外部チューブに前記分離した第2内部部材を挿入し、
前記融着接続した第1および第2の複数の光ファイバ心線を加熱器に移動する、
ことを含むことを特徴とする光ファイバ心線の融着接続方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−47748(P2013−47748A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186207(P2011−186207)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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