説明

補強用嵩高糸

【課題】高強度繊維が本来有する強度、耐熱性などの優れた性質を失うことなく、ゴムもしくは樹脂との接着性が良好で、かつ高強度の補強用嵩高糸を提供する。
【解決手段】マルチフィラメント繊維のエアー交絡糸などの嵩高加工糸と、ポリケトン繊維などの高強力の熱可塑性繊維またはパラ系アラミド繊維などの高強力の非熱可塑性繊維のフィラメント糸条もしくは撚糸からなる補強糸を、撚り合わせることによって、両糸を交絡させて得られる嵩高糸に比べて強度低下のない補強用嵩高糸を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムもしくは樹脂の補強用嵩高糸に関する。詳細には、耐熱性ホースなどに使用されるゴムもしくは樹脂資材の補強用嵩高糸に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用ホースなどのゴム資材には、耐圧性を保持するために補強材が必要とされている。近年、特に自動車用ホースはエンジンルーム内の温度が上昇する傾向にあり、耐熱性のある補強材が求められている。そのため、耐熱性の良い繊維が補強材として使用される傾向にある。耐熱性に優れた例えばアラミド繊維のように熱に対して溶けたりしない非熱可塑性繊維は、高温での長期使用が可能であり、燃焼効率化を追求した最近の自動車のエンジンルーム内の温度の高温化にも耐えられる素材として知られている。
【0003】
また、ゴム資材として使用される補強糸は、ゴムと接着される必要があるが、アラミドフィラメント自体はゴムとの接着性が悪く、このゴムとの接着性を向上させるために、エポキシ系接着剤や、レゾルシン・ホルマリン・ラテックスなどを用いて接着性向上処理を行う必要がある。しかし、このような処理を行うことで製造工程が複雑になり、コスト高になるという問題がある。
【0004】
特許文献1には、非熱可塑性繊維のマルチフィラメントを相互に交絡させてループ状に絡ませることで、ループ状の隙間にゴムなどエラストマーが入り込みアンカー効果が発現し易くなるため、特に接着処理をしなくても良好な接着性が得られるゴム補強糸になること;ホースなどの脈動や膨張時にはループと絡みにより耐久性も向上すること;が開示されている。特許文献2には、非熱可塑性繊維のフィラメント糸条に撚りを加え、乾熱処理または高温高圧水蒸気処理を行って熱セットした後、逆方向に撚りを与えて解撚する方法で製造したゴム補強用嵩高糸が開示されている。
【0005】
しかし、特許文献1,2に開示されているゴム補強用嵩高糸は、耐熱性に富み、ホースなどの繊維補強ゴム製品が膨張や変形した時にそれらの現象に追随できる耐久性を有し、脈動吸収および接着性に優れるものであるが、嵩高加工によって繊維の強度が低下するという問題点がある。
【0006】
特許文献3には、アラミド繊維のマルチフィラメントと熱可塑性繊維のマルチフィラメントで構成され、かつ糸表面にループやタルミを有するアラミド混繊糸からなるゴム補強用糸が開示されている。この糸は、アラミド繊維のマルチフィラメントと熱可塑性繊維のマルチフィラメントを、別々のフィードローラーから混繊ノズルに供給して液体乱流ノズルで混繊し、混繊ノズルから出た糸をデリベリローラーで送り出し、巻き取りローラーで巻き取って製造する。この場合、アラミド繊維のオーバーフィード率を0%より大きく20%以下にしてアラミド繊維を弛ませ糸表面にループやタルミを形成させることで、ゴムとの接着性を高めている。
【0007】
特許文献4には、アラミド(好ましくはパラ型)長繊維束が牽切された牽切糸条(平均繊維長30〜120cm)が芯部に、アラミド(好ましくはメタ型)ステープル繊維が鞘部にそれぞれ配され、両繊維が少なくとも一部で絡み合っているゴム補強用繊維コードが開示されている。このコードは、芯部がアラミド牽切糸条で構成されているため、コードとして高い強力を維持しつつ、鞘部のアラミドステープル繊維がゴムに対してアンカー効果を発現することで、高い接着性と耐疲労性が発揮されるとされている。しかし、ここで用いている鞘糸は、事前に長繊維を一定長さに切断して引き揃え、紡績し、それを撚り合わせる工程を経て紡績糸とする必要がある。そのため、製造工程が複雑になり、コスト高になるという問題点がある。
【特許文献1】特開2002−161450号公報(請求項1、段落番号0015、0016等)
【特許文献2】特開2003−342845号公報(請求項1、5〜7、段落番号0013、0015等)
【特許文献3】特開2004−169237号公報(請求項1〜5、段落番号0019〜0022、0029、0042等)
【特許文献4】特開2006−161225号公報(請求項1〜5、段落番号0008、0026等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑みてなされたもので、高強度繊維が本来有する強度、耐熱性などの優れた性質を失うことがなく、ゴムもしくは樹脂との接着性が良好で、かつ高強度の補強用嵩高糸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、かかる課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)マルチフィラメント繊維の嵩高加工糸と、熱可塑性または非熱可塑性高強度繊維のフィラメント糸条もしくは撚糸からなる補強糸が、撚り合わされていることを特徴とする補強用嵩高糸。
(2)糸表面にマルチフィラメント繊維からなる多数のループを有する、前記(1)に記載の補強用嵩高糸。
(3)嵩高加工糸が、エアー交絡糸である、前記(1)または(2)に記載の補強用嵩高糸。
(4)マルチフィラメント繊維が、溶融温度もしくは熱分解開始温度が200℃以上の繊維である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の補強用嵩高糸。
(5)熱可塑性または非熱可塑性高強度繊維が、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾビスオキサゾール繊維およびポリケトン繊維から選ばれた少なくとも一種の繊維である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の補強用嵩高糸。
(6)アラミド繊維がポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維である、前記(5)に記載の補強用嵩高糸。
(7)嵩高加工糸と補強糸の比率が、質量比で、20:80〜80:20である、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の補強用嵩高糸。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の補強用嵩高糸によって補強されたゴムもしくは樹脂製品。
(9)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の補強用嵩高糸によって補強されたホース。
【発明の効果】
【0010】
本発明の補強用嵩高糸は、マルチフィラメント繊維の嵩高加工糸が有するループにより、ゴムもしくは樹脂に対する接着性が発現するので、接着剤無しでも高レベルの接着特性を有している。また、熱可塑性または非熱可塑性高強度繊維のフィラメント糸条もしくは撚糸からなる補強糸を用いるが、繊維を強制的に屈曲させ嵩高糸とする高圧流体加工を施していないため、これらの繊維が本来有する高強度を失うことがない。また、補強糸を交絡させた糸に見られる強度低下のばらつきが生じないため、安定した品質のゴム製品もしくは樹脂製品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の補強用嵩高糸は、マルチフィラメント繊維の嵩高加工糸と、熱可塑性または非熱可塑性高強度繊維のフィラメント糸条もしくは撚糸からなる補強糸が、撚り合わされていることを特徴とするものである。
【0012】
マルチフィラメント繊維は、高温下での長期使用が可能で、タスラン加工などの高圧流体加工を施しても繊維の強度低下が起きにくい繊維が好ましい。かかる観点より、マルチフィラメント繊維は、溶融温度もしくは熱分解開始温度が200℃以上の繊維が好ましく、より好ましくは220℃以上の繊維である。このような繊維としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、メタ系アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリケトン繊維などの熱可塑性繊維;レーヨン、キュプラ、リヨセル(テンセル)、ポリノジックなどの再生繊維;アセテートなどの半合成繊維;などが挙げられる。これらの繊維はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの繊維は、難燃処理が施されていても良いし、施されていなくても良い。
【0013】
ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびこれらの共重合体からなる繊維など;ポリアミド繊維としては、例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66およびこれらの共重合体からなる繊維など;がそれぞれ挙げられる。
【0014】
前記の繊維の中でも、融点が高く、耐熱性に優れ、引張強度も比較的高い点より、ポリフェニレンサルファイド繊維、メタ系アラミド繊維およびポリケトン繊維が好ましい。なお、メタ系アラミド繊維としては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(デュポン社製、商品名「ノーメックス」)などのメタ系全芳香族ポリアミド繊維がある。ポリケトン繊維としては、繰り返し単位の95質量%以上が1−オキソトリメチレンにより構成されるポリケトン(PK)繊維、ポリエーテルケトン(PEK)繊維、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)繊維、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)繊維などがある。
【0015】
マルチフィラメント繊維の嵩高加工糸としては、マルチフィラメント繊維にエアー加工を施すことで得られるタスラン加工糸やインターレース加工糸などのエアー交絡糸;マルチフィラメント繊維に第1の撚りを加え、乾熱処理または高温高圧水蒸気もしくは高温高圧水による処理を行って熱セットした後、前記第1の撚りとは逆方向に、第2の撚りを与えて解撚した加撚−熱固定−解撚糸(捲縮糸);仮撚加工糸;押込加工糸;擦過加工糸;などを挙げることができる。
【0016】
これらの加工糸の中でも、非熱可塑性繊維のフィラメント糸条もしくは撚糸と撚り合わせる際にループが形成され易いという観点より、エアー交絡糸が好ましい。タスラン加工によって製造したタスラン加工糸は、フィラメントが相互に交絡し、重なり合って、ループを形成するので特に好ましい。
【0017】
マルチフィラメント繊維の繊度は、フィラメントの加工条件によって適宜選択すればよいが、好ましくは200〜3000dtexの範囲であり、より好ましくは400〜2000dtexの範囲である。繊度が大きすぎると撚糸の太さに合わせるためゴムが大量に必要となり結果として重量増になる。一方、小さすぎても強度や接着性が不十分となる。
【0018】
また、本発明で用いる熱可塑性または非熱可塑性高強度繊維としては、耐熱性に優れる高強度の繊維が好ましく、高強度かつ高弾性率の繊維がより好ましい。このような繊維としては、JIS L 1013(1999)に基づいて測定される引張強度が10cN/dtex以上、より好ましくは15cN/dtex以上で、JIS L 1013(1999)に基づいて測定される引張弾性率が400cN/dtex以上の繊維が挙げられる。このような高強度かつ高弾性率の繊維を用いることによって、補強用嵩高糸の強度を高め、繊維補強ゴムもしくは樹脂製品をホースなどに用いた際の脈動吸収を高めることができる。
【0019】
熱可塑性繊維高強度繊維としては、上記のポリケトン繊維などが挙げられる。非熱可塑性繊維高強度繊維としては、例えば、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維(例えば株式会社クラレ製、商品名「ベクトラン」)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(例えば東洋紡績株式会社製、商品名「ザイロン」)などが挙げられる。アラミド繊維には、上述のメタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維がある。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー」)およびコポリパラフェニレン−3,4'−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製、商品名「テクノーラ」)などのパラ系全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。これらの繊維はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの高強度繊維の中でも、引張強さの点においてパラ系アラミド繊維が好ましく、特にホース端末を結合するためのカシメ強さや難燃性の点においてポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が好ましい。
【0020】
上記の高強度繊維の単糸繊度は、0.1〜10dtexである。また、糸条もしくは撚糸の繊度は、嵩高加工条件や、補強用に用いられるゴム製品の種類に応じて適宜選択すればよいが、一般的には400〜10000dtexが好ましい。
【0021】
撚糸については嵩高加工糸、補強糸それぞれを撚糸してから撚り合わせても良いし、撚糸せずに撚り合わせても良い。同一繊度の場合には撚り数を高めると、出来上がった撚糸の強度は高くなる傾向にあるが、ゴム、樹脂接着性は減退する傾向となり、かつ捲縮性が強くなって工程通過性に問題が生じる恐れがあるため、適切な撚り数を選ぶ必要がある。下式に示す撚り係数で300〜3000の範囲が適切であり、特に好ましくは500〜2000の範囲である。
撚り係数:K=t × √D (t:撚り数(t/m)、D:繊度(Tex))
【0022】
嵩高加工糸と補強糸を撚り合わせる場合は、通常のリング撚糸装置、ダブルツイスター型装置などを用いて撚糸するのが良い。得られる合撚糸は、糸表面に嵩高加工糸由来のループを多数有するため、このループによるアンカー効果によって、ゴムもしくは樹脂資材に対する接着性が発現する。マルチフィラメント繊維と補強糸を交絡させたエアー交絡糸の場合は、用いられる繊維がパラ系アラミド繊維である場合に、ある状態より強い交絡を単繊維同士に与えると、交絡処理の過程で繊維の強度低下が生じるおそれがあるが、本発明のように嵩高加工糸と撚り合わせる方法によれば、強度低下が生じない糸を得ることができる。
【0023】
嵩高加工糸と補強糸の比率は、高接着性かつ高強度の補強用嵩高糸とするために、質量比で、20/80〜80/20の範囲が好ましく、より好ましくは30/70〜70/30の範囲である。また、所望する繊度の嵩高加工糸に、それと同等以上の繊度の補強糸を撚り合わせるのが、強度と弾性率を付与できる点で好ましい。
【0024】
本発明の補強用嵩高糸は、NR系、SBR系、EPDM系のゴム;ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂などの樹脂に適用することができ、各種ホース、ベルト、タイヤ、シートなどのゴムもしくは樹脂資材の補強材として用いることができる。中でも、耐熱性を要求されるブレーキホースなどの自動車用ホースに適用するのが好ましい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における各特性値の測定方法は次の通りである。
【0026】
[糸の強力]
JIS L 1017(1995)記載の7.5 化学繊維タイヤコード試験法「引っ張り強さ及び伸び率(1)標準時試験」に基づき測定した。
【0027】
[R特性値]
糸の嵩高性の評価方法として以下を用いた。試験対象の嵩高糸Aの糸条、及び嵩高加工されていない点のみがAと異なる、非嵩高糸Bの糸条について、25回/50cmの撚りがかかった状態でそれぞれの糸条直径を測定する。嵩高糸Aの直径aと、非嵩高糸Bの直径bとの比(a/b)をR特性値とする。
【0028】
[接着力]
糸7本を未加硫のゴムブロックに、糸が重ならないように表層部に埋め、150℃で30分間加硫を行って糸とゴムとを接着した。次に両端を除く糸5本を同時にゴムブロックから引き剥がす時にかかる力を引っ張り試験機で測定した。この時の引っ張り速度は100mm/minとし、接着力は糸1本あたりの力(N/cord)として表した。なお、ゴムは表1に示した組成のものを用いた。
【0029】
【表1】

【0030】
比較例、実施例の全てにつき、糸1(補強用糸、ただし比較例3はそれ自身を嵩高加工)には東レ・デュポン社製アラミド(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)繊維(商品名KEVLAR)、繊度1110dTEX、単糸本数666本、引っ張り強度20.3cN/dTEXのものを用いた。
【0031】
また、実施例1のナイロン66は、繊度940dTEX/単糸本数136本、実施例2のPPSは繊度880dTEX/単糸本数200本、実施例3のレーヨンは繊度1840dTEX/単糸本数1000本のものをそれぞれ用いた。
【0032】
嵩高加工については、全ての実施例、比較例でエアージェットの乱流を用いてフィラメントに不規則なもつれやたるみ、ループを多数発生させる方法(タスラン加工)を用いた。このときのノズルへの給糸は前述の様に巻き取りに対して過供給となる様にするが、過供給率を適宜調節して好ましい嵩高さの糸とした。なお、ノズルに吹き込むエアージェットの圧力は0.8MPaとした。
【0033】
糸の構成と評価結果を表2に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
比較例1、2は、それぞれ1110dTEXのアラミド糸、及びそれを2本撚り合わせたものであるが、嵩高加工をかけずに強度とゴム接着力を調べた結果である。表2の結果から、実施例と比較してゴム接着力が低いことが分かる。
【0036】
比較例3は、アラミド糸そのものに嵩高加工を施したものであるが、比較例1と比べてゴム接着力は大きく上昇したものの、強度が1/2以下にまで低下していることが分かる。
【0037】
比較例4は、ノズルに対してアラミド糸とナイロン糸を複合給糸し、両者を嵩高加工すると同時に相互に交絡させたものであるが、比較例2と比べてゴム接着性は大きく上昇したものの、強度の低下が大きく、トータル繊度あたりの強度はアラミド糸を使用することの利点が感じられないまでに低下していることが分かる。
【0038】
実施例1〜3は、それぞれナイロン66、PPS、レーヨン糸に嵩高加工を施したものに対してアラミド糸を撚り合わせたものであり、アラミド糸の強度(比較例1)を保ちながらゴム接着性は大きく上昇したことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る補強用嵩高糸は、各種ホース、ベルト、タイヤ、シートなどのゴム、樹脂資材の補強材として用いることができるだけでなく、ゴムや樹脂をマトリックスとする各種複合材料の補強材として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチフィラメント繊維の嵩高加工糸と、熱可塑性または非熱可塑性高強度繊維のフィラメント糸条もしくは撚糸からなる補強糸が、撚り合わされていることを特徴とする補強用嵩高糸。
【請求項2】
糸表面にマルチフィラメント繊維からなる多数のループを有する、請求項1に記載の補強用嵩高糸。
【請求項3】
嵩高加工糸が、エアー交絡糸である、請求項1または2に記載の補強用嵩高糸。
【請求項4】
マルチフィラメント繊維が、溶融温度もしくは熱分解開始温度が200℃以上の繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載の補強用嵩高糸。
【請求項5】
熱可塑性または非熱可塑性高強度繊維が、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾビスオキサゾール繊維およびポリケトン繊維から選ばれた少なくとも一種の繊維である、請求項1〜4のいずれかに記載の補強用嵩高糸。
【請求項6】
アラミド繊維がポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維である、請求項5に記載の補強用嵩高糸。
【請求項7】
嵩高加工糸と補強糸の比率が、質量比で、20:80〜80:20である、請求項1〜6のいずれかに記載の補強用嵩高糸。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の補強用嵩高糸によって補強されたゴムもしくは樹脂製品。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の補強用嵩高糸によって補強されたホース。

【公開番号】特開2008−190092(P2008−190092A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28046(P2007−28046)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000219266)東レ・デュポン株式会社 (288)
【Fターム(参考)】