補強繊維及びこれを含むショットスクリーン組成物
【課題】セメント硬化体、特にショットクリートにおいて曲げ強度、曲げ靱性などの構造性能に優れるとともに、セメントペースト内での分散性、付着性に優れ、その施工性に優れた補強纎維及びこれを含むショットクリート組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、補強纎維及びこれを含むショットクリート組成物に係り、より詳しくは纎維の形状及び纎維表面のコーティングによりセメントペーストの分散性に優れるとともに付着力にも優れ、トンネルなどの構造体の施工の際、その施工が容易であり、リバウンド率の低下、分散性の向上などによって密実な構造体が形成され、曲げ靱性などの耐久性に優れた構造体を提供することができる補強纎維及びこれを含むショットクリート組成物に関する。
【解決手段】本発明は、補強纎維及びこれを含むショットクリート組成物に係り、より詳しくは纎維の形状及び纎維表面のコーティングによりセメントペーストの分散性に優れるとともに付着力にも優れ、トンネルなどの構造体の施工の際、その施工が容易であり、リバウンド率の低下、分散性の向上などによって密実な構造体が形成され、曲げ靱性などの耐久性に優れた構造体を提供することができる補強纎維及びこれを含むショットクリート組成物に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強纎維及びこれを含むショットクリート組成物に係り、より詳しくは纎維の形状及び纎維表面のコーティングによりセメントペーストの分散性とともに付着力にも優れ、トンネルなどの構造体の施工の際、その施工が容易であり、リバウンド率の低下、分散性の向上などによって密実な構造体が形成され、曲げ靱性などの耐久性に優れた構造体を提供することができる補強纎維及びこれを含むショットクリート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート、モルタル、及びショットクリートを含むセメント硬化体(以下、“セメント硬化体”と略称する)は経済的な建設材料として広範囲に使われているが、引張強度及び靱性靱性が低い欠点を持っている。
【0003】
セメント硬化体の靱性を改善するための補強材料として鉄筋が100余年間使われて来たが、近年には鉄筋の代わりに鉄板、パイプ鋼繊維、鉄などの鋼系補強材料が汎用されている。
【0004】
鉄屑のような鋼繊維は厚さ0.5mm、長さ30mm程度の形態を持ち、従来に使用された鉄筋に比べてセメント硬化体との付着力が良くて破壊強度が高く、鉄及びメッシュの設置が難しいトンネル及びダム工事現場への適用が容易な利点がある。しかし、水分が多量に存在するトンネルなどの工事現場に使用するとき、鋼繊維が容易に腐食され、高価であり、比重が高くてセメント硬化体内での分散性が落ち、セメント硬化体の荷重を増加させる問題点がある。そのため、トンネルの施工の際、トンネル掘削面を補強するグラウティング層を形成し、前記グラウティング層の内周縁での漏水を防止するために、セメント硬化体の1種であるショットクリートを噴射してショットクリート層を施工することになる。しかし、ショットクリート層を施工するためにショットクリートに鋼繊維を混入して噴射する場合、鋼繊維のショットクリート内での分散性が良くないため、ノズルでの詰まり現象が発生する。従って、噴射そのものが容易でなく、このような詰まり現象を防止するために、ショットクリートのスランプ値を120mm以上で配合して噴射することにより、鋼繊維の比重によってリバウンドが大きくなり、ショットクリート層の外部に鋼繊維が露出される問題があるとともにショットクリートの強度にも問題があった。
【0005】
前記のような従来の問題点を解決するために、近年には米国特許第5,749,961号明細書及び大韓民国特許出願公開第2003−47669号明細書などのように、セメント硬化体補強材料として鋼繊維などの鋼材補強材料の代わりに合成纎維を使う方案が活発に研究されている。
【0006】
具体的に、合成纎維は、鋼繊維に比べ、比重が低く、耐食性に優れるとともにセメント硬化体の亀裂抵抗性能を一層補強させる効果も得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、合成纎維はセメント硬化体の曲げ強度や曲げ靱性などの基本的な構造性能を向上させることはできずに、セメント硬化体の亀裂発生を防止する効果のみを発現すると知られている。
【0008】
また、合成纎維がセメント硬化体の基本的な構造性能を向上させようとする場合には、合成纎維の使用量を増大しなければならないが、使用量が増加すればセメント硬化体内での分散が難しくなり、セメント硬化体の圧縮強度、曲げ強度などの物性が低下し、セメント硬化体との付着性も低下する。
【0009】
本発明は、セメント硬化体、特に、ショットクリートにおいて曲げ強度、曲げ靱性などの構造性能に優れるとともに、セメントペースト内での分散性、付着性に優れ、その施工性に優れた補強纎維及びこれを含むショットクリート組成物を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための手段として、本発明は、複数のフィラメントでなり、両端に解けた形状の付着部が設けられる補強纎維を提示する。前記補強纎維は、複数のフィラメントでなる直線部、及び外周縁部からなることができ、このような直線部、及び外周縁部が空気交絡によってその表面にループが形成される構造、またはその外周縁部が製織された構造により分散性及び付着力に優れた補強纎維が提示される。
【0011】
また、前記目的を達成するための手段として、本発明は、前記補強纎維が含まれたショットクリート組成物の場合は、ショットクリート単位体積に対し、セメントを含む結合材300〜600kg/m3と、水180〜240kg/m3と、細骨材800〜1200kg/m3と、粗骨材400〜700kg/m3と、が配合されてなることを特徴とする補強纎維を含むショットクリート組成物を提示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明による補強纎維は空気交絡によるループなど、構造的形状によってセメントペースト内での分散性及び付着性に優れた利点がある。
【0013】
また、本発明による補強纎維を含むショットクリート組成物は、圧縮強度、引張強度、曲げ強度及び曲げ靱性に優れた構造体を提供する効果がある。
【0014】
また、本発明による補強纎維を含むショットクリート組成物は、前記補強纎維の構造及び材質によって凝集が発生せずに分散性に優れ、スランプを低くしてもノズルの詰まりがなく、リバウンド率が低くなって、施工性、経済性に優れた利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の補強纎維の一実施例を示す概略図ある。
【図2】図1に示した二重構造を持つ纎維において空気交絡させる形状を示す斜視図である。
【図3】本発明の補強纎維の他の実施例を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の補強纎維が含まれたショットクリート組成物が噴射される形状を示す概略図である。
【図5】短繊維と補強纎維が含まれたショットクリート組成物を示す概略図である。
【図6】鋼繊維と補強纎維が含まれたショットクリート組成物を示す概略図である。
【図7】本発明の実施例及び比較例の圧縮強度実験値を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例及び比較例の引張強度実験値を示すグラフである。
【図9】本発明の実施例及び比較例の曲げ強度実験値を示すグラフである。
【図10】本発明の実施例及び比較例の等価曲げ強度比実験値を示すグラフである。
【図11】本発明の実施例の纎維混入率による曲げ強度実験値を示すグラフである。
【図12】本発明の実施例の纎維混入率による等価曲げ強度比実験値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の構成及び作用を添付図面に基づいてより具体的に説明する。本発明の説明において、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は発明者が自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に従って本発明の技術的思想に合う意味と概念に解釈されなければならない。
【0017】
以下、添付図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明による補強纎維は、図1及び図3に示すように、複数のフィラメントSからなり、両端部にそれぞれのフィラメントが解けた形状の付着部130、130aが設けられ、前記付着部130、130aによってセメントペースト21との付着力を増大させることで、本発明の補強纎維が含まれた構造体20の耐久性を増大させるためのものである。
【0019】
一方、本発明は、二通りの実施例の補強纎維100、100aを提示するもので、中央部に複数のフィラメントSでなる直線部110、110aと、前記直線部110、110aを複数のフィラメントSがくるむように構成される外周縁部120、120aと、前記直線部110、110a及び外周縁部120、120aの両端でそれぞれのフィラメントSが解けた形状からなる付着部130、130aとからなる実施例を提示する。
【0020】
まず、第1実施例として、補強纎維100は、図1に示すように、複数のフィラメントでなる直線部110と、これをくるむ外周縁部120と、その両端の付着部130とからなり、前記直線部110と前記外周縁部120は、図2に示すように、複数のフィラメントSからなる直線部110と外周縁部120を互いに空気交絡させることによりそれぞれのフィラメントSを交絡させるようにするものである。すなわち、このように製造された纎維100はその表面に多数のループRを形成することになり、このようなループRが以下に説明するセメントペースト21との付着性能を向上させることになるものである。
【0021】
ここで、直線部110と外周縁部120を互いに空気交絡させるというのは、まず図面に示されたものはないが、直線部110と外周縁部120を互いに区分なしに交絡させることにより形成可能なものであり、図1などに示すように、直線部110と外周縁部120を区分して交絡させることで形成するものである。
【0022】
ここで、空気交絡とは、図2に示すように、空気交絡装置内に複数のフィラメントSからなる直線部110及び外周縁部120からなる母体を供給し、高圧の空気を噴射することによりフィラメントS間を交絡させることをいう。
【0023】
一方、本発明の補強纎維100は、その表面に大きさ0.01〜2mmのループRが前記補強纎維の長さ1m当たり100〜1,000,000個形成されていることが付着性及び分散性の面でより有利である。
【0024】
前記補強纎維100をなすフィラメントは、ポリアミド纎維、ポリプロピレン纎維、ポリビニルアルコール纎維、ポリエステル纎維、リヨセル(Lyocell)纎維、レーヨン纎維、ポリアクリル纎維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルクロリド纎維、全芳香族ポリアミド纎維、炭素纎維またはこれらの混合纎維など、その材質は限定されない。
【0025】
このように、多様な材質のフィラメントが適用可能であることは、付着性能が著しく落ちるポリプロピレン纎維のような素材も空気交絡によって表面に多数のループを形成するので摩擦特性を改善することができてセメントペーストとの付着力を強化させることができるからである。すなわち、値段が低いが付着性能が落ちる素材のフィラメントを空気交絡させてループを形成することによりセメントペーストとの付着性能を向上させることができるようになるものである。
【0026】
また、付着力が落ちるが値段が低くて比重が低く融点が低いポリプロピレン纎維と、付着力は優れるが値段が高くて大衆化することができないポリビニルアルコール纎維を互いに交絡させて値段を低めながらも付着力に優れた補強纎維を提供することができるようになるものである。その外にも、ポリアミド、ポリアラミドのようなフィラメントとの複合空気交絡が可能である。すなわち、このようにフィラメントを空気交絡させることで、図面には示されていないが、直線部110と外周縁部120を区分なしに交絡させることで補強纎維を構成して、経済的に付着力に優れた補強纎維を提供することができるものである。
【0027】
一方、図1などに示したように、本発明の補強纎維100を直線部110と外周縁部120に区分して構成する場合、前記直線部110はポリアラミド、高強力ポリエチレン、炭素纎維などの高強力原糸のような強度の高いフィラメントSを使って強度及び柔軟性を向上させることが好ましく、前記外周縁部120はセメントペースト21との付着のためにポリビニルアルコールまたはポリアミドなどの親水性原糸を使うことが好ましい。このように親水性原糸を使う場合、水素結合によるセメントペースト21との付着力を高めることができるので、構造体20の耐久性が補完されるものである。
【0028】
結局、交絡によって形成される補強纎維100は、直線部110と外周縁部120を区分せずに互いに交絡させる場合には、値段の低いフィラメントと比較的値段が高いながらも付着力に優れたフィラメントを混合して使うことで経済的に付着性能を向上させて使うことができ、直線部110と外周縁部120を区分する場合には、直線部110と外周縁部120を相異なる材質のフィラメントを使って強度、柔軟性及び付着性を向上させて使うことができ、これは用途によって選択的に使うことができるのはいうまでもない。
【0029】
このような空気交絡の形態に製造するためのフィラメントの単糸繊度(モノ繊度)は0.5〜10デニール、補強纎維の総纎度は100〜5,000デニールであることが良い。しかし、モノ纎度が低いことが有利である。あまり太いモノ纎度を有する場合には、交絡が緩く、配合の際に容易に解けるからである。
【0030】
一方、本発明は、他の実施例として、図3に示すように、補強纎維100aを開示し、前記補強纎維100aは、複数のフィラメントSからなる直線部100aと、複数のフィラメントSからなり、前記直線部100aをくるむように製織された形状の外周縁部120aとからなる。前記外周縁部120aは、複数のフィラメントSが多方向に製織されることにより前記直線部110aによって直線性を維持した状態で多方向への引張強度が補強されるようにするためのものである。
【0031】
したがって、前記外周縁部120aは、複数のフィラメントSを、図3に示すように、補強纎維100aの円周方向(X軸方向)と軸方向(Y軸方向)、そして前記円周方向と軸方向の間に対角線方向に4方向にそれぞれのフィラメントを製織するものである。このように、多方向にフィラメントを製織して外周縁部120aを形成することで、纎維100aは軸方向にだけでなく円周方向及び対角線方向にも強度が補強されることにより、多方向への外力による抵抗性能を向上させることができるようになるものである。また、前記外周縁部120aは、複数のフィラメントSが多方向への製織によって形成されることにより外周縁部120aの表面に屈曲が形成され、セメントペースト21との付着力が向上し、結局構造体20の強度が補強されるものである。
【0032】
ここで、直線部100、100aは複数のフィラメントSによって形成されるもので、外周縁部120、120aの内部に配置されて補強纎維100、100aの形状(直線性)を保持する機能をするものであり、このような直線部110、110aによって纎維100、100a間の凝集による分散性の低下を防止することができるようになるものである。また、直線部110、110aによってセメントペースト21において直線性を維持することで、構造体20の引張強度が補強されるものである。
【0033】
特に、本発明の前記付着部130、130aは前記直線部110、110aと外周縁部120、120aをなすフィラメントSが解けた形状になるようにすることで、セメントペースト21との付着力を増大させることができるものである。前記付着部130、130aは、前記直線部110、110aと前記外周縁部120、120aのみが構成された状態で、セメントペースト21をなすセメント粒子によって直線部110、110a及び外周縁部120、120aの両端でそれぞれを構成するフィラメントS間の付着性が低くなって直径が拡張する形状に配合過程で構成可能であり、あるいは配合の前に前記直線部110、110aと前記外周縁部120、120aのみが構成された母体状態で低速で振動を与えながら切断して、補強纎維100、100aの両端でフィラメントS間の付着性が低くなるようにして直径が拡張する形状に構成可能である。すなわち、このように付着部130、130aを構成することにより、フィラメントS間の付着性が低くなることによって発生する間隙の間にセメントが充填されて補強纎維100、100aとセメントペースト21の間の結合力が増大するものである。
【0034】
また、前記付着部130、130aの構成において、前記纎維の直線部110、110aと外周縁部120、120aをなすフィラメントSは互いに付着しないように製造することが好ましい。これは、それぞれのフィラメントSを互いに付着しないように構成して前記付着部130、130aが容易に形成されるようにするためである。このように、フィラメントSを互いに付着しないように構成しても、それぞれのフィラメントSの間に摩擦力が作用してどのくらいの付着力は発生するので、補強纎維100、100aの形状を維持するのには問題がない。
【0035】
また、図3に示すように、前記外周縁部120aに多価アルコールエステル潤滑剤、非イオン系界面活性剤及び帯電防止剤を含むコーティング層140aをさらに塗布することができる。このように、外周縁部120aの表面にコーティング層140aを塗布することで、前記纎維100aはセメントペースト21内で分散性が大きく向上する。
【0036】
好ましくは、本発明において、前記コーティング層140aは、多価アルコールエステル潤滑剤40〜50重量%、非イオン系界面活性剤30〜40重量%、及び帯電防止剤10〜30重量%を配合して塗布することが好ましい。
【0037】
また、前記コーティング層140aは、纎維100aの総重量に対して0.5〜3重量%であることが好ましく、前記範囲を外れる場合には分散性及び付着力の改善効果が低下することができる。
【0038】
前記では、図3に示した補強纎維100aの外周縁部120aにだけコーティング層140aを図示しているが、他の実施例による補強纎維100の場合にもコーティング層が設けられることができるのはいうまでもない。
【0039】
一方、本発明は、セメントを含む結合材、水、細骨材、粗骨材及び前記補強纎維を含むショットクリート組成物を提示している。一般に、纎維を含むショットクリートの破壊は纎維とセメントペースト間の付着面の破壊によって発生するので、このような付着性を増大させるために、本発明では纎維表面の化学的処理(Coating)でコーティング層を付け加え、力学的な方法(Surface indenting、notching)で空気交絡によるループが形成された構造などを持つ纎維を含む組成物を提示することにより、纎維とセメントペーストの界面付着力を増大させるとともにショットクリート内で分散性を向上させた。
【0040】
すなわち、図1に示すように、本発明のショットクリート組成物は、補強纎維、水、セメント、細骨材、及び粗骨材を含むセメントペースト21でなってトンネルのショットクリート層などの構造体20をなすものである。
【0041】
本発明のショットクリート組成物において、セメントを含む結合材(binder)は、ショットクリートの単位体積に対し、セメントを含む結合材300〜600kg/m3を含む。前記結合材は、強度発現の側面で300kg/m3以上を含むことが好ましく、経済性、流動性の側面で600kg/m3以下を含むことが好ましい。
【0042】
本発明の組成物のうち、水はショットクリート単位体積に対して180〜240kg/m3を含み、水の含量は強度及び流動性の側面で、最適範囲で選択的に調節することができるものである。
【0043】
本発明において、細骨材はショットクリート単位体積に対して800〜1200kg/m3を含み、前記細骨材は流動性及び材料分離低減の側面で前記含量の範囲に限定することが好ましい。また、粗骨材は、ショットクリート単位体積に対し、400〜700kg/m3を含むことが流動性及び材料分離低減の側面で好ましい。
【0044】
特に、本発明において、前記補強纎維は、ショットクリート単位体積に対して0.5を超えて1.0%以下を含むことが好ましい。前記纎維の含量がショットクリート単位体積に対して0.5%以下であれば、以下に説明するトンネル設計基準及び韓国道路公社標準仕様書の等価曲げ強度比の基準を満たすことができなく、さらに亀裂制御の側面でも不利になるものである。また、前記纎維が1.0%を超えれば、ショットクリート噴射の際に凝集などが発生して分散性が低下し、強度の面でも不利になるものである。
【0045】
一方、本発明においては、ショットクリート組成物を配合する過程でショットクリートのスランプを80〜120mmにすることが好ましく、より好ましくはショットクリートのスランプを80mmにすることが好ましい。これは、前記従来技術でも説明したように、従来の鋼繊維を混入してショットクリートを配合する場合、凝集、ノズルの詰まりなどの問題のために120mm以上にスランプを合わせる。このようにスランプを高めれば、ショットクリートの強度が低くなるだけでなく粘性が低くなってリバンウンド率が高くなる問題が発生し、結局トンネルなどの構造体の耐久性が低下するものである。しかし、本発明においては、補強纎維100、100aを混入してショットクリートを配合するので、図4に示すように、補強纎維100、100aの弾性によって噴射装置1のノズル2の詰まりが発生しなく、分散性が良いので、スランプを一般的なショットクリートのスランプである80mmに合わせてもノズル2の詰まり現象が発生しなく、粘性及び纎維の材質などによってリバウンド率が低くなるので、結局トンネルなどの構造体の耐久性が向上するものである。図4に示すように、ノズル2から噴射される補強纎維100はフレキシブルに屈曲(A部分)を形成して、ノズル2での凝集などによって詰まりが発生しなく、ノズル2から噴射された後には、以下に説明する前記直線部110によって二重構造を持つ纎維100が直線性を維持してショットクリートの強度及び亀裂の面で寄与することになるものである。すなわち、補強纎維100において、直線部110を多数本の纎維Sで構成し、ポリアラミド、高強力ポリエチレン、炭素纎維などの高強力原糸を使うことにより、ショットクリート内でフレキシブルになることができるものである。
【0046】
一方、前記補強纎維100、100aの直径は0.02mm〜10mmまで可能であるが、より好ましくは0.2mm〜0.6mmに限定することが好ましい。0.2mm未満の場合には、モノフィラメントと大きな違いを示すことができなく、空気交絡においても多数のフィラメントを使うことができないため製造しにくく、引張強度が低いためショットクリートにおいて構造的性能を発現しにくい。反対に、直径が0.6mmを超える場合には、空気交絡加工が難しいだけでなく、セメントペースト内で二重層が生じるため、構造的に不利になるものである。
【0047】
また、前記補強纎維100、100aはその長さを10〜200mmに限定することが好ましい。10mm未満の場合は、前記補強纎維100、100aがショットクリート内で強度増大及び亀裂制御の効果を発現する程度が低く、前記補強纎維100、100a自体がショットクリート内でいずれも解けてしまうことができ、二重構造の纎維が維持されなくて問題が発生することができ、一方、前記補強纎維100、100aが200mmを超える場合、前記補強纎維100、100aの間に凝集が発生して分散性が低下することができ、ノズルの詰まり現象が発生することができるからである。
【0048】
一方、本発明は、図5に示すように、ショットクリート組成物の構成において、水、セメントを含む結合材、細骨材、及び粗骨材を含むセメントペースト21に前記補強纎維100を含み、これに加えて短繊維150がさらに含まれる例を提示する。
【0049】
本実施例に含まれる短繊維150も、図5に示すように、その表面に多価アルコールエステル潤滑剤、非イオン系界面活性剤及び帯電防止剤を含むコーティング層151を塗布してセメントペースト21内で分散性を向上させることが好ましい。
【0050】
前記短繊維150の場合も多様な材質でなることができるが、好ましくはポリアミドなどの親水性モノフィラメントまたは複数のフィラメントでなることを特徴とする。
【0051】
一方、前記短繊維150の場合は、長さが長い場合、凝集現状の発生頻度が高いため、短繊維150は前記補強纎維100より短く構成することが好ましい。
【0052】
このように、セメントペースト21内に長い補強纎維100は直線部110によって形状が維持されて凝集現象が発生しなく、構造体20の強度が補強され、外周縁部120及び付着部130によってセメントペースト21との付着力が増大するものであり、特にセメントペースト21内でマクロな亀裂を制御することができることになるものである。さらに、長さが短い短繊維150は表面にコーティング層151が形成されて分散性が向上し、比較的短い長さによって凝集が防止され、セメントペースト21内で前記補強纎維100が制御することができないマイクロな亀裂を制御することで、結局構造体20内で多様な形状及び大きさの亀裂を制御してその耐久性を向上させるものである。
【0053】
また、他の実施例として、ショットクリート組成物の構成において、水、セメントを含む結合材、細骨材、及び粗骨材を含むセメントペースト21に前記補強纎維100を含み、これに加えて鋼繊維160がさらに含まれる例を提示する。前記鋼繊維160は、図6に示すように、補強纎維100のみでセメントペースト21内での曲げ靱性を補強するのに足りない部分を補強するものである。また、前記鋼繊維160を前記補強纎維100に混入することで、鋼繊維160によって引き起こされることができる比重による分散性低下の問題を解決しようとするものである。
【0054】
このように、セメントペースト21内に補強纎維100は直線部110によって形状が維持されて凝集現象が発生しなく、構造体20の強度が補強され、外周縁部120及び付着部130によってセメントペースト21との付着力が増大するものであり、特にセメントペースト21内でのこのような付着力の向上によって亀裂を制御することができるようになるものである。さらに、鋼繊維160を一部混入することにより、比重による分散性の低下を防止し、前記補強纎維100より高い剛性によって曲げ靱性を補強することで、結局構造体20の耐久性を向上させるようになるものである。
【0055】
図5及び図6はショットクリート組成物に補強纎維100が含まれた例を示しているが、他の実施例として補強纎維100aが含まれることができるのはいうまでもない。
【実施例】
【0056】
以下、本発明のショットクリート組成物のうち補強纎維100が混入した組成物を使った実施例及び実験例を説明する。
【0057】
(実施例及び実験例)
実施例及び実験例に使われる配合比及び纎維は下記表1及び表2に示すようである。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
前記表1において、Plainは纎維が混入しなかった比較例を示し、PA0.5〜PA0.8は纎維の混入量(0.6〜0.8%)による本発明の実施例を示し、S0.5は鋼繊維が単位体積当たり0.5%混入した比較例を示し、PP0.5は他の纎維が単位体積当たり0.5%混入した比較例を示すものである。ここで、本発明の実施例の繊維とは表2に示すポリアミド纎維を示し、他の繊維とはポリプロピレン繊維を示し、鋼繊維も表2の物性を持つものを使って本実験を行った。
【0061】
まず、図7は前記比較例及び実施例によって圧縮強度実験結果を示すもので、本実験においては、比較例及び実験例のいずれもトンネル設計基準に提示した材齢28日、21MPaを満たす結果を得た。したがって、設計基準で提示する圧縮強度の面では問題がない。
【0062】
次に、図8は比較例及び実施例の引張強度を示したもので、Plain及びPP0.5よりPA0.6、SF0.5が引張強度で高いことが分かり、纎維を含まない比較例及び他の纎維を含む比較例より本発明の纎維を含む実施例及び鋼繊維を含む比較例が引張強度の面で有利であることが分かる。これから、本発明の補強纎維が鋼繊維とほぼ同等に纎維とコンクリート間の架橋作用を充実にして引張強度に高く寄与したことが分かる。
【0063】
図9及び図10は比較例及び実施例の曲げ強度及び等価曲げ強度比を示すもので、その設計基準は、トンネル設計基準において、材齢28日ショットクリートの曲げ強度は4.5MPa以上、そして曲げ靱性を示す等価曲げ強度比は3.0MPa以上でなければならないという規定と韓国道路公社専門仕様書の等価曲げ強度比は68%以上でなければならないという基準を基礎とする。
【0064】
このような基準に基づき、図9及び図10に示すように、本発明の実施例及び鋼繊維を含む比較例の場合、前記基準のいずれも満たしているが、纎維を含まない比較例及び他の纎維を含む比較例の場合、前記設計基準及び仕様書規定を満たしていない結果を得た。すなわち、本発明の組成物は補強纎維を含むことで分散性及び付着力が強化して、鋼繊維を含むショットクリートとほぼ同等に曲げ強度及び曲げ靱性を現すことができることが分かる。
【0065】
一方、図11及び図12は本発明の実施例として補強纎維の混入率による曲げ強度及び等価曲げ強度比を示すものである。図11によれば、補強纎維の混入率が増加することによるショットクリートの曲げ強度の増加量は低いことが分かり、図12に示すように、二重構造を持つ纎維が単位体積当たり0.6%以上混入した実施例においては、いずれもトンネル設計基準の曲げ強度3.0MPaと韓国道路公社標準仕様書の等価曲げ強度比68%を満たすことが分かり、適正の補強纎維の混入量は経済性の面で単位体積当たり0.6%であることが分かる。
【0066】
結論として、本発明の実施例及び鋼繊維を含む比較例が纎維を含まない比較例及び他の纎維を含む比較例より引張強度、曲げ強度及び曲げ靱性の面で有利であることが分かり、特に本発明の補強纎維が鋼繊維とほぼ同等な水準にショットクリートにおける引張強度、曲げ強度及び曲げ靱性の増大に寄与していることが分かる。すなわち、本発明は補強纎維がショットクリートに含まれることにより、鋼繊維が含まれた比較例より分散性向上、リバウンド率の低下、腐食防止などの利点があるにもかかわらず、引張強度、曲げ強度及び曲げ靱性の面でも鋼繊維を含む従来のショットクリートとほぼ同等な水準の効果を得ることができるので、耐久性、施工性、経済性などにおいて本発明が従来技術に比べて著しい効果を持つと判断される。
【0067】
また、本発明の実施例において、補強纎維が単位体積当たり0.6%以上混入した実施例においては、いずれもトンネル設計基準の曲げ強度3.0MPaと韓国道路公社標準仕様書の等価曲げ強度比68%を満たすことが分かり、適正の補強纎維の混入量は経済性の面で単位体積当たり0.6%であることが分かる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強纎維及びこれを含むショットクリート組成物に係り、より詳しくは纎維の形状及び纎維表面のコーティングによりセメントペーストの分散性とともに付着力にも優れ、トンネルなどの構造体の施工の際、その施工が容易であり、リバウンド率の低下、分散性の向上などによって密実な構造体が形成され、曲げ靱性などの耐久性に優れた構造体を提供することができる補強纎維及びこれを含むショットクリート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート、モルタル、及びショットクリートを含むセメント硬化体(以下、“セメント硬化体”と略称する)は経済的な建設材料として広範囲に使われているが、引張強度及び靱性靱性が低い欠点を持っている。
【0003】
セメント硬化体の靱性を改善するための補強材料として鉄筋が100余年間使われて来たが、近年には鉄筋の代わりに鉄板、パイプ鋼繊維、鉄などの鋼系補強材料が汎用されている。
【0004】
鉄屑のような鋼繊維は厚さ0.5mm、長さ30mm程度の形態を持ち、従来に使用された鉄筋に比べてセメント硬化体との付着力が良くて破壊強度が高く、鉄及びメッシュの設置が難しいトンネル及びダム工事現場への適用が容易な利点がある。しかし、水分が多量に存在するトンネルなどの工事現場に使用するとき、鋼繊維が容易に腐食され、高価であり、比重が高くてセメント硬化体内での分散性が落ち、セメント硬化体の荷重を増加させる問題点がある。そのため、トンネルの施工の際、トンネル掘削面を補強するグラウティング層を形成し、前記グラウティング層の内周縁での漏水を防止するために、セメント硬化体の1種であるショットクリートを噴射してショットクリート層を施工することになる。しかし、ショットクリート層を施工するためにショットクリートに鋼繊維を混入して噴射する場合、鋼繊維のショットクリート内での分散性が良くないため、ノズルでの詰まり現象が発生する。従って、噴射そのものが容易でなく、このような詰まり現象を防止するために、ショットクリートのスランプ値を120mm以上で配合して噴射することにより、鋼繊維の比重によってリバウンドが大きくなり、ショットクリート層の外部に鋼繊維が露出される問題があるとともにショットクリートの強度にも問題があった。
【0005】
前記のような従来の問題点を解決するために、近年には米国特許第5,749,961号明細書及び大韓民国特許出願公開第2003−47669号明細書などのように、セメント硬化体補強材料として鋼繊維などの鋼材補強材料の代わりに合成纎維を使う方案が活発に研究されている。
【0006】
具体的に、合成纎維は、鋼繊維に比べ、比重が低く、耐食性に優れるとともにセメント硬化体の亀裂抵抗性能を一層補強させる効果も得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、合成纎維はセメント硬化体の曲げ強度や曲げ靱性などの基本的な構造性能を向上させることはできずに、セメント硬化体の亀裂発生を防止する効果のみを発現すると知られている。
【0008】
また、合成纎維がセメント硬化体の基本的な構造性能を向上させようとする場合には、合成纎維の使用量を増大しなければならないが、使用量が増加すればセメント硬化体内での分散が難しくなり、セメント硬化体の圧縮強度、曲げ強度などの物性が低下し、セメント硬化体との付着性も低下する。
【0009】
本発明は、セメント硬化体、特に、ショットクリートにおいて曲げ強度、曲げ靱性などの構造性能に優れるとともに、セメントペースト内での分散性、付着性に優れ、その施工性に優れた補強纎維及びこれを含むショットクリート組成物を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための手段として、本発明は、複数のフィラメントでなり、両端に解けた形状の付着部が設けられる補強纎維を提示する。前記補強纎維は、複数のフィラメントでなる直線部、及び外周縁部からなることができ、このような直線部、及び外周縁部が空気交絡によってその表面にループが形成される構造、またはその外周縁部が製織された構造により分散性及び付着力に優れた補強纎維が提示される。
【0011】
また、前記目的を達成するための手段として、本発明は、前記補強纎維が含まれたショットクリート組成物の場合は、ショットクリート単位体積に対し、セメントを含む結合材300〜600kg/m3と、水180〜240kg/m3と、細骨材800〜1200kg/m3と、粗骨材400〜700kg/m3と、が配合されてなることを特徴とする補強纎維を含むショットクリート組成物を提示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明による補強纎維は空気交絡によるループなど、構造的形状によってセメントペースト内での分散性及び付着性に優れた利点がある。
【0013】
また、本発明による補強纎維を含むショットクリート組成物は、圧縮強度、引張強度、曲げ強度及び曲げ靱性に優れた構造体を提供する効果がある。
【0014】
また、本発明による補強纎維を含むショットクリート組成物は、前記補強纎維の構造及び材質によって凝集が発生せずに分散性に優れ、スランプを低くしてもノズルの詰まりがなく、リバウンド率が低くなって、施工性、経済性に優れた利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の補強纎維の一実施例を示す概略図ある。
【図2】図1に示した二重構造を持つ纎維において空気交絡させる形状を示す斜視図である。
【図3】本発明の補強纎維の他の実施例を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の補強纎維が含まれたショットクリート組成物が噴射される形状を示す概略図である。
【図5】短繊維と補強纎維が含まれたショットクリート組成物を示す概略図である。
【図6】鋼繊維と補強纎維が含まれたショットクリート組成物を示す概略図である。
【図7】本発明の実施例及び比較例の圧縮強度実験値を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例及び比較例の引張強度実験値を示すグラフである。
【図9】本発明の実施例及び比較例の曲げ強度実験値を示すグラフである。
【図10】本発明の実施例及び比較例の等価曲げ強度比実験値を示すグラフである。
【図11】本発明の実施例の纎維混入率による曲げ強度実験値を示すグラフである。
【図12】本発明の実施例の纎維混入率による等価曲げ強度比実験値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の構成及び作用を添付図面に基づいてより具体的に説明する。本発明の説明において、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は発明者が自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に従って本発明の技術的思想に合う意味と概念に解釈されなければならない。
【0017】
以下、添付図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明による補強纎維は、図1及び図3に示すように、複数のフィラメントSからなり、両端部にそれぞれのフィラメントが解けた形状の付着部130、130aが設けられ、前記付着部130、130aによってセメントペースト21との付着力を増大させることで、本発明の補強纎維が含まれた構造体20の耐久性を増大させるためのものである。
【0019】
一方、本発明は、二通りの実施例の補強纎維100、100aを提示するもので、中央部に複数のフィラメントSでなる直線部110、110aと、前記直線部110、110aを複数のフィラメントSがくるむように構成される外周縁部120、120aと、前記直線部110、110a及び外周縁部120、120aの両端でそれぞれのフィラメントSが解けた形状からなる付着部130、130aとからなる実施例を提示する。
【0020】
まず、第1実施例として、補強纎維100は、図1に示すように、複数のフィラメントでなる直線部110と、これをくるむ外周縁部120と、その両端の付着部130とからなり、前記直線部110と前記外周縁部120は、図2に示すように、複数のフィラメントSからなる直線部110と外周縁部120を互いに空気交絡させることによりそれぞれのフィラメントSを交絡させるようにするものである。すなわち、このように製造された纎維100はその表面に多数のループRを形成することになり、このようなループRが以下に説明するセメントペースト21との付着性能を向上させることになるものである。
【0021】
ここで、直線部110と外周縁部120を互いに空気交絡させるというのは、まず図面に示されたものはないが、直線部110と外周縁部120を互いに区分なしに交絡させることにより形成可能なものであり、図1などに示すように、直線部110と外周縁部120を区分して交絡させることで形成するものである。
【0022】
ここで、空気交絡とは、図2に示すように、空気交絡装置内に複数のフィラメントSからなる直線部110及び外周縁部120からなる母体を供給し、高圧の空気を噴射することによりフィラメントS間を交絡させることをいう。
【0023】
一方、本発明の補強纎維100は、その表面に大きさ0.01〜2mmのループRが前記補強纎維の長さ1m当たり100〜1,000,000個形成されていることが付着性及び分散性の面でより有利である。
【0024】
前記補強纎維100をなすフィラメントは、ポリアミド纎維、ポリプロピレン纎維、ポリビニルアルコール纎維、ポリエステル纎維、リヨセル(Lyocell)纎維、レーヨン纎維、ポリアクリル纎維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルクロリド纎維、全芳香族ポリアミド纎維、炭素纎維またはこれらの混合纎維など、その材質は限定されない。
【0025】
このように、多様な材質のフィラメントが適用可能であることは、付着性能が著しく落ちるポリプロピレン纎維のような素材も空気交絡によって表面に多数のループを形成するので摩擦特性を改善することができてセメントペーストとの付着力を強化させることができるからである。すなわち、値段が低いが付着性能が落ちる素材のフィラメントを空気交絡させてループを形成することによりセメントペーストとの付着性能を向上させることができるようになるものである。
【0026】
また、付着力が落ちるが値段が低くて比重が低く融点が低いポリプロピレン纎維と、付着力は優れるが値段が高くて大衆化することができないポリビニルアルコール纎維を互いに交絡させて値段を低めながらも付着力に優れた補強纎維を提供することができるようになるものである。その外にも、ポリアミド、ポリアラミドのようなフィラメントとの複合空気交絡が可能である。すなわち、このようにフィラメントを空気交絡させることで、図面には示されていないが、直線部110と外周縁部120を区分なしに交絡させることで補強纎維を構成して、経済的に付着力に優れた補強纎維を提供することができるものである。
【0027】
一方、図1などに示したように、本発明の補強纎維100を直線部110と外周縁部120に区分して構成する場合、前記直線部110はポリアラミド、高強力ポリエチレン、炭素纎維などの高強力原糸のような強度の高いフィラメントSを使って強度及び柔軟性を向上させることが好ましく、前記外周縁部120はセメントペースト21との付着のためにポリビニルアルコールまたはポリアミドなどの親水性原糸を使うことが好ましい。このように親水性原糸を使う場合、水素結合によるセメントペースト21との付着力を高めることができるので、構造体20の耐久性が補完されるものである。
【0028】
結局、交絡によって形成される補強纎維100は、直線部110と外周縁部120を区分せずに互いに交絡させる場合には、値段の低いフィラメントと比較的値段が高いながらも付着力に優れたフィラメントを混合して使うことで経済的に付着性能を向上させて使うことができ、直線部110と外周縁部120を区分する場合には、直線部110と外周縁部120を相異なる材質のフィラメントを使って強度、柔軟性及び付着性を向上させて使うことができ、これは用途によって選択的に使うことができるのはいうまでもない。
【0029】
このような空気交絡の形態に製造するためのフィラメントの単糸繊度(モノ繊度)は0.5〜10デニール、補強纎維の総纎度は100〜5,000デニールであることが良い。しかし、モノ纎度が低いことが有利である。あまり太いモノ纎度を有する場合には、交絡が緩く、配合の際に容易に解けるからである。
【0030】
一方、本発明は、他の実施例として、図3に示すように、補強纎維100aを開示し、前記補強纎維100aは、複数のフィラメントSからなる直線部100aと、複数のフィラメントSからなり、前記直線部100aをくるむように製織された形状の外周縁部120aとからなる。前記外周縁部120aは、複数のフィラメントSが多方向に製織されることにより前記直線部110aによって直線性を維持した状態で多方向への引張強度が補強されるようにするためのものである。
【0031】
したがって、前記外周縁部120aは、複数のフィラメントSを、図3に示すように、補強纎維100aの円周方向(X軸方向)と軸方向(Y軸方向)、そして前記円周方向と軸方向の間に対角線方向に4方向にそれぞれのフィラメントを製織するものである。このように、多方向にフィラメントを製織して外周縁部120aを形成することで、纎維100aは軸方向にだけでなく円周方向及び対角線方向にも強度が補強されることにより、多方向への外力による抵抗性能を向上させることができるようになるものである。また、前記外周縁部120aは、複数のフィラメントSが多方向への製織によって形成されることにより外周縁部120aの表面に屈曲が形成され、セメントペースト21との付着力が向上し、結局構造体20の強度が補強されるものである。
【0032】
ここで、直線部100、100aは複数のフィラメントSによって形成されるもので、外周縁部120、120aの内部に配置されて補強纎維100、100aの形状(直線性)を保持する機能をするものであり、このような直線部110、110aによって纎維100、100a間の凝集による分散性の低下を防止することができるようになるものである。また、直線部110、110aによってセメントペースト21において直線性を維持することで、構造体20の引張強度が補強されるものである。
【0033】
特に、本発明の前記付着部130、130aは前記直線部110、110aと外周縁部120、120aをなすフィラメントSが解けた形状になるようにすることで、セメントペースト21との付着力を増大させることができるものである。前記付着部130、130aは、前記直線部110、110aと前記外周縁部120、120aのみが構成された状態で、セメントペースト21をなすセメント粒子によって直線部110、110a及び外周縁部120、120aの両端でそれぞれを構成するフィラメントS間の付着性が低くなって直径が拡張する形状に配合過程で構成可能であり、あるいは配合の前に前記直線部110、110aと前記外周縁部120、120aのみが構成された母体状態で低速で振動を与えながら切断して、補強纎維100、100aの両端でフィラメントS間の付着性が低くなるようにして直径が拡張する形状に構成可能である。すなわち、このように付着部130、130aを構成することにより、フィラメントS間の付着性が低くなることによって発生する間隙の間にセメントが充填されて補強纎維100、100aとセメントペースト21の間の結合力が増大するものである。
【0034】
また、前記付着部130、130aの構成において、前記纎維の直線部110、110aと外周縁部120、120aをなすフィラメントSは互いに付着しないように製造することが好ましい。これは、それぞれのフィラメントSを互いに付着しないように構成して前記付着部130、130aが容易に形成されるようにするためである。このように、フィラメントSを互いに付着しないように構成しても、それぞれのフィラメントSの間に摩擦力が作用してどのくらいの付着力は発生するので、補強纎維100、100aの形状を維持するのには問題がない。
【0035】
また、図3に示すように、前記外周縁部120aに多価アルコールエステル潤滑剤、非イオン系界面活性剤及び帯電防止剤を含むコーティング層140aをさらに塗布することができる。このように、外周縁部120aの表面にコーティング層140aを塗布することで、前記纎維100aはセメントペースト21内で分散性が大きく向上する。
【0036】
好ましくは、本発明において、前記コーティング層140aは、多価アルコールエステル潤滑剤40〜50重量%、非イオン系界面活性剤30〜40重量%、及び帯電防止剤10〜30重量%を配合して塗布することが好ましい。
【0037】
また、前記コーティング層140aは、纎維100aの総重量に対して0.5〜3重量%であることが好ましく、前記範囲を外れる場合には分散性及び付着力の改善効果が低下することができる。
【0038】
前記では、図3に示した補強纎維100aの外周縁部120aにだけコーティング層140aを図示しているが、他の実施例による補強纎維100の場合にもコーティング層が設けられることができるのはいうまでもない。
【0039】
一方、本発明は、セメントを含む結合材、水、細骨材、粗骨材及び前記補強纎維を含むショットクリート組成物を提示している。一般に、纎維を含むショットクリートの破壊は纎維とセメントペースト間の付着面の破壊によって発生するので、このような付着性を増大させるために、本発明では纎維表面の化学的処理(Coating)でコーティング層を付け加え、力学的な方法(Surface indenting、notching)で空気交絡によるループが形成された構造などを持つ纎維を含む組成物を提示することにより、纎維とセメントペーストの界面付着力を増大させるとともにショットクリート内で分散性を向上させた。
【0040】
すなわち、図1に示すように、本発明のショットクリート組成物は、補強纎維、水、セメント、細骨材、及び粗骨材を含むセメントペースト21でなってトンネルのショットクリート層などの構造体20をなすものである。
【0041】
本発明のショットクリート組成物において、セメントを含む結合材(binder)は、ショットクリートの単位体積に対し、セメントを含む結合材300〜600kg/m3を含む。前記結合材は、強度発現の側面で300kg/m3以上を含むことが好ましく、経済性、流動性の側面で600kg/m3以下を含むことが好ましい。
【0042】
本発明の組成物のうち、水はショットクリート単位体積に対して180〜240kg/m3を含み、水の含量は強度及び流動性の側面で、最適範囲で選択的に調節することができるものである。
【0043】
本発明において、細骨材はショットクリート単位体積に対して800〜1200kg/m3を含み、前記細骨材は流動性及び材料分離低減の側面で前記含量の範囲に限定することが好ましい。また、粗骨材は、ショットクリート単位体積に対し、400〜700kg/m3を含むことが流動性及び材料分離低減の側面で好ましい。
【0044】
特に、本発明において、前記補強纎維は、ショットクリート単位体積に対して0.5を超えて1.0%以下を含むことが好ましい。前記纎維の含量がショットクリート単位体積に対して0.5%以下であれば、以下に説明するトンネル設計基準及び韓国道路公社標準仕様書の等価曲げ強度比の基準を満たすことができなく、さらに亀裂制御の側面でも不利になるものである。また、前記纎維が1.0%を超えれば、ショットクリート噴射の際に凝集などが発生して分散性が低下し、強度の面でも不利になるものである。
【0045】
一方、本発明においては、ショットクリート組成物を配合する過程でショットクリートのスランプを80〜120mmにすることが好ましく、より好ましくはショットクリートのスランプを80mmにすることが好ましい。これは、前記従来技術でも説明したように、従来の鋼繊維を混入してショットクリートを配合する場合、凝集、ノズルの詰まりなどの問題のために120mm以上にスランプを合わせる。このようにスランプを高めれば、ショットクリートの強度が低くなるだけでなく粘性が低くなってリバンウンド率が高くなる問題が発生し、結局トンネルなどの構造体の耐久性が低下するものである。しかし、本発明においては、補強纎維100、100aを混入してショットクリートを配合するので、図4に示すように、補強纎維100、100aの弾性によって噴射装置1のノズル2の詰まりが発生しなく、分散性が良いので、スランプを一般的なショットクリートのスランプである80mmに合わせてもノズル2の詰まり現象が発生しなく、粘性及び纎維の材質などによってリバウンド率が低くなるので、結局トンネルなどの構造体の耐久性が向上するものである。図4に示すように、ノズル2から噴射される補強纎維100はフレキシブルに屈曲(A部分)を形成して、ノズル2での凝集などによって詰まりが発生しなく、ノズル2から噴射された後には、以下に説明する前記直線部110によって二重構造を持つ纎維100が直線性を維持してショットクリートの強度及び亀裂の面で寄与することになるものである。すなわち、補強纎維100において、直線部110を多数本の纎維Sで構成し、ポリアラミド、高強力ポリエチレン、炭素纎維などの高強力原糸を使うことにより、ショットクリート内でフレキシブルになることができるものである。
【0046】
一方、前記補強纎維100、100aの直径は0.02mm〜10mmまで可能であるが、より好ましくは0.2mm〜0.6mmに限定することが好ましい。0.2mm未満の場合には、モノフィラメントと大きな違いを示すことができなく、空気交絡においても多数のフィラメントを使うことができないため製造しにくく、引張強度が低いためショットクリートにおいて構造的性能を発現しにくい。反対に、直径が0.6mmを超える場合には、空気交絡加工が難しいだけでなく、セメントペースト内で二重層が生じるため、構造的に不利になるものである。
【0047】
また、前記補強纎維100、100aはその長さを10〜200mmに限定することが好ましい。10mm未満の場合は、前記補強纎維100、100aがショットクリート内で強度増大及び亀裂制御の効果を発現する程度が低く、前記補強纎維100、100a自体がショットクリート内でいずれも解けてしまうことができ、二重構造の纎維が維持されなくて問題が発生することができ、一方、前記補強纎維100、100aが200mmを超える場合、前記補強纎維100、100aの間に凝集が発生して分散性が低下することができ、ノズルの詰まり現象が発生することができるからである。
【0048】
一方、本発明は、図5に示すように、ショットクリート組成物の構成において、水、セメントを含む結合材、細骨材、及び粗骨材を含むセメントペースト21に前記補強纎維100を含み、これに加えて短繊維150がさらに含まれる例を提示する。
【0049】
本実施例に含まれる短繊維150も、図5に示すように、その表面に多価アルコールエステル潤滑剤、非イオン系界面活性剤及び帯電防止剤を含むコーティング層151を塗布してセメントペースト21内で分散性を向上させることが好ましい。
【0050】
前記短繊維150の場合も多様な材質でなることができるが、好ましくはポリアミドなどの親水性モノフィラメントまたは複数のフィラメントでなることを特徴とする。
【0051】
一方、前記短繊維150の場合は、長さが長い場合、凝集現状の発生頻度が高いため、短繊維150は前記補強纎維100より短く構成することが好ましい。
【0052】
このように、セメントペースト21内に長い補強纎維100は直線部110によって形状が維持されて凝集現象が発生しなく、構造体20の強度が補強され、外周縁部120及び付着部130によってセメントペースト21との付着力が増大するものであり、特にセメントペースト21内でマクロな亀裂を制御することができることになるものである。さらに、長さが短い短繊維150は表面にコーティング層151が形成されて分散性が向上し、比較的短い長さによって凝集が防止され、セメントペースト21内で前記補強纎維100が制御することができないマイクロな亀裂を制御することで、結局構造体20内で多様な形状及び大きさの亀裂を制御してその耐久性を向上させるものである。
【0053】
また、他の実施例として、ショットクリート組成物の構成において、水、セメントを含む結合材、細骨材、及び粗骨材を含むセメントペースト21に前記補強纎維100を含み、これに加えて鋼繊維160がさらに含まれる例を提示する。前記鋼繊維160は、図6に示すように、補強纎維100のみでセメントペースト21内での曲げ靱性を補強するのに足りない部分を補強するものである。また、前記鋼繊維160を前記補強纎維100に混入することで、鋼繊維160によって引き起こされることができる比重による分散性低下の問題を解決しようとするものである。
【0054】
このように、セメントペースト21内に補強纎維100は直線部110によって形状が維持されて凝集現象が発生しなく、構造体20の強度が補強され、外周縁部120及び付着部130によってセメントペースト21との付着力が増大するものであり、特にセメントペースト21内でのこのような付着力の向上によって亀裂を制御することができるようになるものである。さらに、鋼繊維160を一部混入することにより、比重による分散性の低下を防止し、前記補強纎維100より高い剛性によって曲げ靱性を補強することで、結局構造体20の耐久性を向上させるようになるものである。
【0055】
図5及び図6はショットクリート組成物に補強纎維100が含まれた例を示しているが、他の実施例として補強纎維100aが含まれることができるのはいうまでもない。
【実施例】
【0056】
以下、本発明のショットクリート組成物のうち補強纎維100が混入した組成物を使った実施例及び実験例を説明する。
【0057】
(実施例及び実験例)
実施例及び実験例に使われる配合比及び纎維は下記表1及び表2に示すようである。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
前記表1において、Plainは纎維が混入しなかった比較例を示し、PA0.5〜PA0.8は纎維の混入量(0.6〜0.8%)による本発明の実施例を示し、S0.5は鋼繊維が単位体積当たり0.5%混入した比較例を示し、PP0.5は他の纎維が単位体積当たり0.5%混入した比較例を示すものである。ここで、本発明の実施例の繊維とは表2に示すポリアミド纎維を示し、他の繊維とはポリプロピレン繊維を示し、鋼繊維も表2の物性を持つものを使って本実験を行った。
【0061】
まず、図7は前記比較例及び実施例によって圧縮強度実験結果を示すもので、本実験においては、比較例及び実験例のいずれもトンネル設計基準に提示した材齢28日、21MPaを満たす結果を得た。したがって、設計基準で提示する圧縮強度の面では問題がない。
【0062】
次に、図8は比較例及び実施例の引張強度を示したもので、Plain及びPP0.5よりPA0.6、SF0.5が引張強度で高いことが分かり、纎維を含まない比較例及び他の纎維を含む比較例より本発明の纎維を含む実施例及び鋼繊維を含む比較例が引張強度の面で有利であることが分かる。これから、本発明の補強纎維が鋼繊維とほぼ同等に纎維とコンクリート間の架橋作用を充実にして引張強度に高く寄与したことが分かる。
【0063】
図9及び図10は比較例及び実施例の曲げ強度及び等価曲げ強度比を示すもので、その設計基準は、トンネル設計基準において、材齢28日ショットクリートの曲げ強度は4.5MPa以上、そして曲げ靱性を示す等価曲げ強度比は3.0MPa以上でなければならないという規定と韓国道路公社専門仕様書の等価曲げ強度比は68%以上でなければならないという基準を基礎とする。
【0064】
このような基準に基づき、図9及び図10に示すように、本発明の実施例及び鋼繊維を含む比較例の場合、前記基準のいずれも満たしているが、纎維を含まない比較例及び他の纎維を含む比較例の場合、前記設計基準及び仕様書規定を満たしていない結果を得た。すなわち、本発明の組成物は補強纎維を含むことで分散性及び付着力が強化して、鋼繊維を含むショットクリートとほぼ同等に曲げ強度及び曲げ靱性を現すことができることが分かる。
【0065】
一方、図11及び図12は本発明の実施例として補強纎維の混入率による曲げ強度及び等価曲げ強度比を示すものである。図11によれば、補強纎維の混入率が増加することによるショットクリートの曲げ強度の増加量は低いことが分かり、図12に示すように、二重構造を持つ纎維が単位体積当たり0.6%以上混入した実施例においては、いずれもトンネル設計基準の曲げ強度3.0MPaと韓国道路公社標準仕様書の等価曲げ強度比68%を満たすことが分かり、適正の補強纎維の混入量は経済性の面で単位体積当たり0.6%であることが分かる。
【0066】
結論として、本発明の実施例及び鋼繊維を含む比較例が纎維を含まない比較例及び他の纎維を含む比較例より引張強度、曲げ強度及び曲げ靱性の面で有利であることが分かり、特に本発明の補強纎維が鋼繊維とほぼ同等な水準にショットクリートにおける引張強度、曲げ強度及び曲げ靱性の増大に寄与していることが分かる。すなわち、本発明は補強纎維がショットクリートに含まれることにより、鋼繊維が含まれた比較例より分散性向上、リバウンド率の低下、腐食防止などの利点があるにもかかわらず、引張強度、曲げ強度及び曲げ靱性の面でも鋼繊維を含む従来のショットクリートとほぼ同等な水準の効果を得ることができるので、耐久性、施工性、経済性などにおいて本発明が従来技術に比べて著しい効果を持つと判断される。
【0067】
また、本発明の実施例において、補強纎維が単位体積当たり0.6%以上混入した実施例においては、いずれもトンネル設計基準の曲げ強度3.0MPaと韓国道路公社標準仕様書の等価曲げ強度比68%を満たすことが分かり、適正の補強纎維の混入量は経済性の面で単位体積当たり0.6%であることが分かる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィラメントからなり、両端に解けた形状の付着部が設けられることを特徴とする、補強纎維。
【請求項2】
前記補強纎維は、内部の直線部と、前記直線部をくるむ外周縁部との二重構造に構成されることを特徴とする、請求項1に記載の補強纎維。
【請求項3】
前記直線部をなすフィラメントは高強力原糸からなり、前記外周縁部をなすフィラメントは親水性原糸からなることを特徴とする、請求項2に記載の補強纎維。
【請求項4】
前記高強力原糸は、ポリアラミド、高強力ポリエチレン及び炭素纎維の中から選ばれる1種であり、前記親水性原糸は、ポリビニルアルコールまたはポリアミドであることを特徴とする、請求項3に記載の補強纎維。
【請求項5】
空気交絡によって表面にループが形成されることを特徴とする、請求項1に記載の補強纎維。
【請求項6】
前記直線部と前記外周縁部とは互いに空気交絡されていることを特徴とする、請求項2に記載の補強纎維。
【請求項7】
前記外周縁部は、複数のフィラメントが製織されてなることを特徴とする、請求項2に記載の補強纎維。
【請求項8】
前記補強纎維の表面には、多価アルコールエステル潤滑剤、非イオン系界面活性剤及び帯電防止剤を含むコーティング層がさらに塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の補強纎維。
【請求項9】
セメントを含む結合材と、水と、骨材と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の補強纎維と、が配合されてなることを特徴とする、補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項10】
ショットクリート単位体積に対し、セメントを含む結合材300〜600kg/m3と、水180〜240kg/m3と、細骨材800〜1200kg/m3と、粗骨材400〜700kg/m3と、が配合されることを特徴とする、請求項9に記載の補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項11】
前記補強纎維は、ショットクリート単位体積に対し、0.5%を超えて1.0%以下で配合されることを特徴とする、請求項10に記載の補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項12】
前記補強纎維は、直径が0.2mm〜0.6mmであることを特徴とする、請求項10に記載の補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項13】
前記補強纎維は、長さが10〜200mmであることを特徴とする、請求項10に記載の補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項14】
スランプが80〜120mmで配合されることを特徴とする、請求項10に記載の補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項15】
前記ショットクリート組成物は、マルチフィラメントまたは単フィラメントからなる短繊維をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項16】
前記ショットクリート組成物は鋼繊維をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のショットクリート組成物。
【請求項1】
複数のフィラメントからなり、両端に解けた形状の付着部が設けられることを特徴とする、補強纎維。
【請求項2】
前記補強纎維は、内部の直線部と、前記直線部をくるむ外周縁部との二重構造に構成されることを特徴とする、請求項1に記載の補強纎維。
【請求項3】
前記直線部をなすフィラメントは高強力原糸からなり、前記外周縁部をなすフィラメントは親水性原糸からなることを特徴とする、請求項2に記載の補強纎維。
【請求項4】
前記高強力原糸は、ポリアラミド、高強力ポリエチレン及び炭素纎維の中から選ばれる1種であり、前記親水性原糸は、ポリビニルアルコールまたはポリアミドであることを特徴とする、請求項3に記載の補強纎維。
【請求項5】
空気交絡によって表面にループが形成されることを特徴とする、請求項1に記載の補強纎維。
【請求項6】
前記直線部と前記外周縁部とは互いに空気交絡されていることを特徴とする、請求項2に記載の補強纎維。
【請求項7】
前記外周縁部は、複数のフィラメントが製織されてなることを特徴とする、請求項2に記載の補強纎維。
【請求項8】
前記補強纎維の表面には、多価アルコールエステル潤滑剤、非イオン系界面活性剤及び帯電防止剤を含むコーティング層がさらに塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の補強纎維。
【請求項9】
セメントを含む結合材と、水と、骨材と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の補強纎維と、が配合されてなることを特徴とする、補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項10】
ショットクリート単位体積に対し、セメントを含む結合材300〜600kg/m3と、水180〜240kg/m3と、細骨材800〜1200kg/m3と、粗骨材400〜700kg/m3と、が配合されることを特徴とする、請求項9に記載の補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項11】
前記補強纎維は、ショットクリート単位体積に対し、0.5%を超えて1.0%以下で配合されることを特徴とする、請求項10に記載の補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項12】
前記補強纎維は、直径が0.2mm〜0.6mmであることを特徴とする、請求項10に記載の補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項13】
前記補強纎維は、長さが10〜200mmであることを特徴とする、請求項10に記載の補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項14】
スランプが80〜120mmで配合されることを特徴とする、請求項10に記載の補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項15】
前記ショットクリート組成物は、マルチフィラメントまたは単フィラメントからなる短繊維をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の補強纎維を含むショットクリート組成物。
【請求項16】
前記ショットクリート組成物は鋼繊維をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のショットクリート組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−531372(P2012−531372A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517385(P2012−517385)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004088
【国際公開番号】WO2010/151052
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(511314588)コーロン コンストラクション カンパニーリミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】KOLON CONSTRUCTION CO.,LTD.
【出願人】(510313957)コーロン ファッション マテリアル インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004088
【国際公開番号】WO2010/151052
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(511314588)コーロン コンストラクション カンパニーリミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】KOLON CONSTRUCTION CO.,LTD.
【出願人】(510313957)コーロン ファッション マテリアル インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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