補機の潤滑油路構造
【課題】内燃機関の補機の潤滑油路構造において、カムシャフトに設けられた補機駆動カムによって駆動されるプランジャの摺接部にオイルを確実に供給する。
【解決手段】補機駆動カムを有する延長部及び排気側カムシャフト油路を備えた排気側カムシャフトと、シリンダヘッド2に結合された下部ハウジング42及び上部ハウジング43と、プランジャを備え、上部ハウジングに支持された燃料噴射ポンプ4と、下部ハウジングに設けられた第2軸受下部56及び第2カムキャップ57とを有し、排気側カムシャフト油路から、延長部の第2ジャーナル部の第2連通通路、第2軸受下部の第2軸受下部油路、下部ハウジングの結合座側油溝123及び結合座内油路125、上部ハウジングの上部ハウジング油路127を介してプランジャ支持孔82にオイルを供給するようにした。
【解決手段】補機駆動カムを有する延長部及び排気側カムシャフト油路を備えた排気側カムシャフトと、シリンダヘッド2に結合された下部ハウジング42及び上部ハウジング43と、プランジャを備え、上部ハウジングに支持された燃料噴射ポンプ4と、下部ハウジングに設けられた第2軸受下部56及び第2カムキャップ57とを有し、排気側カムシャフト油路から、延長部の第2ジャーナル部の第2連通通路、第2軸受下部の第2軸受下部油路、下部ハウジングの結合座側油溝123及び結合座内油路125、上部ハウジングの上部ハウジング油路127を介してプランジャ支持孔82にオイルを供給するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の補機の潤滑油路構造に係り、詳しくはカムシャフトによって駆動される補機の潤滑油路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
DOHC型の内燃機関において、インジェクタに高圧燃料を供給するインジェクションポンプ(燃料噴射ポンプ)や、ディーゼルエンジンのコモンレールに高圧燃料を供給するサプライポンプ等の燃料ポンプを、カムシャフトで駆動するようにしたものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1に係る内燃機関では、カムシャフトの一端に、シリンダヘッドの縁壁を越えて外部へと突出する延長部が設けられている。延長部は、シリンダヘッドの縁壁に設けられた軸受によって片持ち支持され、突出端に燃料ポンプを駆動するためのポンプ駆動カムを有している。燃料ポンプは、ポンプ駆動カムによって駆動されるプランジャを備えており、そのハウジングがシリンダヘッドの縁壁の側面にボルト締結されている。
【0003】
特許文献1に係る内燃機関のカムシャフト及び延長部は、その内部にカムシャフトの軸線に沿って延在するカムシャフト油路を有している。また、カムシャフトは、シリンダヘッドの縁壁に設けられた軸受に支持されたジャーナル部において、その外面とカムシャフト油路とを連通するべく径方向に延びるオイル供給路を有している。軸受の摺接面には、オイル供給路に連通すると共にカムシャフトの軸線方向に沿って延在し、ポンプ駆動カム側に開口する油溝を有している。そのため、カムシャフト油路に供給されたオイル(潤滑油)は、オイル供給路を介して油溝に供給され、油溝からポンプ駆動カムに向けて噴射される。このようにして、ポンプ駆動カムとプランジャとの摺接部分にオイルが供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−113731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る内燃機関では、ポンプ駆動カムから離間した軸受からオイルを噴射するため、噴射したオイルの全てをポンプ駆動カムのカム面に到達させることが困難であり、効率的な潤滑を行うことができないという問題がある。また、ポンプ駆動カムの側方(カムシャフトの軸線方向に沿った方向)からオイルを噴射するため、カムシャフトの径方向外方を向くカム面にオイルを供給することが困難である。また、特許文献1に係る構成は、燃料ポンプのプランジャとハウジングとの摺接部へのオイルの供給を考慮しておらず、プランジャ及びハウジング間の潤滑が問題となる。
【0006】
本発明は、以上の背景を鑑みてなされたものであって、内燃機関の補機の潤滑油路構造において、カムシャフトに設けられた補機駆動カムによって駆動されるプランジャの摺接部にオイルを確実に供給することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、補機の潤滑油路構造であって、一側に動弁室(16)を有するシリンダヘッド(2)と、前記動弁室に回転自在に配置され、端部に延長部(51)を同軸かつ一体に有し、前記延長部を含む内部に油路(111)を備えたカムシャフト(37)と、前記カムシャフトの延在方向において前記延長部が配置された側の前記シリンダヘッドの端部(13)に結合された第1ハウジング(42)と、前記第1ハウジングに結合され、前記第1ハウジングとの間に前記延長部を受容するハウジング室(48)を画成する第2ハウジング(43)と、前記ハウジング室に突入するプランジャ(86)を備えると共に、前記第2ハウジングに支持され、前記プランジャの進退によって駆動される補機(4)と、前記延長部に形成され、前記プランジャを進退させる補機駆動カム(61)と、前記第1ハウジングに設けられ、前記延長部を回転可能に支持する軸受(56、57)とを有し、前記延長部の前記軸受に支持されたジャーナル部(58)には、前記油路から前記ジャーナル部の外周面に延びる連通孔(117)が形成され、前記軸受の前記ジャーナル部を支持する面には、前記連通孔に連続する軸受油路(119)が形成され、前記第1ハウジングには、前記軸受油路に連続すると共に前記第2ハウジングとの結合面に延びる第1油路(123、125)が形成され、前記第2ハウジングには、前記結合面において前記第1油路と連続すると共に、前記プランジャを進退自在に収容するプランジャ支持孔(82)に連続する第2油路(127)が形成されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、カムシャフトに形成された油路から、第1及び第2ハウジングに形成した軸受油路、第1油路及び第2油路を順に通してプランジャに直接にオイルを供給することができる。そのため、プランジャとプランジャ支持孔との摺接部、プランジャと補機駆動カムとの摺接部にオイルが確実に供給される。
【0009】
本発明の他の側面は、前記プランジャは、先端が基端よりも下方となる姿勢で配置されていることを特徴とする。ここでのプランジャの先端とは、ハウジング室内に突出し、補機駆動カムに接触する(対応する)側の端部をいい、基端とは前記先端側と相反する側の端部をいう。
【0010】
この構成によれば、プランジャに供給されたオイルが、重力によって、補機駆動カムとの摺接部である先端部へと一層確実に導かれるようになる。
【0011】
本発明の他の側面は、前記軸受は、前記第1ハウジングと一体に形成された軸受下部(56)と、軸受下部とは別体の軸受上部(57)とを結合して形成され、前記軸受下部には、第2ハウジングとの結合面を有する結合座(75)が側方へと突設され、前記第1油路は、その一部(125)が前記結合座内に形成されると共に、前記結合座の前記第2ハウジングとの結合面に開口していることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第1油路の経路長を短くし、圧力損失を低減することができる。
【0013】
本発明の他の側面は、前記第1油路は、その一部(123、124)が前記軸受下部と前記軸受上部との結合面に形成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、第1油路の加工が容易になる。
【0015】
本発明の他の側面は、前記第1ハウジングの前記ハウジング室を画成する部分の底部には、前記シリンダヘッドにオイルを戻すオイル戻し孔(130)が形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、補機駆動カムからハウジング室の底部に落下したオイルを内燃機関本体(シリンダヘッド)に戻すことができる。
【0017】
本発明の他の側面は、前記動弁室は、前記シリンダヘッドの側縁に沿って延設された縁壁(11〜14)によって囲まれ、前記第1ハウジングは、前記縁壁の突出端面(17)に結合され、前記オイル戻し孔は、前記動弁室に連通することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、補機からシリンダブロックに戻されたオイルをオイルパンに戻す油路を別途設ける必要がなく、動弁室からオイルパンにオイルを戻す油路を兼用することができる。
【0019】
本発明の他の側面は、前記プランジャは、前記プランジャ支持孔の内部と前記プランジャの先端外面部とを連通するプランジャ油路(84)を有することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、プランジャ支持孔に供給されたオイルのうち、プランジャ支持孔の内部(プランジャの基端側)に移動したオイルを、プランジャ油路を通してプランジャの先端、すなわち補機駆動カムへと導くことができる。
【発明の効果】
【0021】
以上の構成によれば、内燃機関の補機の潤滑油路構造において、カムシャフトに設けられた補機駆動カムによって駆動されるプランジャの摺接部にオイルを確実に供給するができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】エンジンの上部構造を示す斜視図
【図2】エンジンの上部構造を示す左側面図
【図3】燃料噴射ポンプの分解斜視図
【図4】シリンダヘッド及び下部ハウジングを示す平面図
【図5】シリンダヘッド及び下部ハウジングを示す斜視図
【図6】下部ハウジングを拡大して示す平面図
【図7】下部ハウジングを拡大して示す平面図
【図8】シリンダヘッド、下部ハウジング及び上部ハウジングを示す前側面図
【図9】図4のIX−IX断面図
【図10】図1のX−X断面図
【図11】図2のXI−XI断面図
【図12】図1のXII−XII断面図
【図13】図6のXIII−XIII断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明を自動車のエンジンに適用した実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係るエンジン1は、直列4気筒4バルブDOHC型のガソリン直噴エンジンである。図に示す方向は、車体の進行方向を前方とし、シリンダ軸線方向においてシリンダブロックに対するシリンダヘッド(ヘッドカバー)側を上方として定めている。エンジン1は、車体に横置きに配置されており、シリンダ列方向(クランク軸方向)が左右方向(車幅方向)と一致している。各図では、エンジン1のシリンダヘッド2と、シリンダヘッド2の上端に結合されるヘッドカバー3及び燃料噴射ポンプ4とに注目し、シリンダヘッド2の下端に結合されるシリンダブロック等は省略する。
【0024】
図1〜図4に示すように、シリンダヘッド2は、左右方向に延在した略直方体状の下部と、下部の上端に設けられた箱形の上部とを有している。シリンダヘッドの下部には、シリンダヘッド2の下面に開口する4つの燃焼室(図示しない)と、各燃焼室から前方に延びる排気ポート(図示しない)と、各燃焼室から後方に延び、シリンダヘッドの後側面に開口する吸気ポート6とが形成されている。各排気ポートは、シリンダヘッド2の下部内部に形成された排気集合室8に連続し、排気集合室8は前端(下流端)がシリンダヘッド2の前側面に開口している。図4に示すように、シリンダヘッド2の上部は、シリンダヘッド2の下部の縁部に沿って上方へと立設された前縁壁11、後縁壁12、左縁壁13及び右縁壁14と、下部の上面をなす底壁15とによって、上方に向けて開口する略直方体箱形の動弁室16を画成している。前縁壁11、後縁壁12、左縁壁13及び右縁壁14の上端には、上方を向く結合面17が形成されている。後に、詳述するが、結合面17には、ヘッドカバー3及び燃料噴射ポンプ4が締結され、それらによって動弁室16の上部が覆われる。
【0025】
図4に示すように、シリンダヘッド2の底壁15には、図示しないインジェクタが挿入されるインジェクタ孔21、図示しない点火プラグが挿入されるプラグ孔22及び図示しない吸気バルブ及び排気バルブが挿入されるバルブ孔23が形成されている。インジェクタ孔21、プラグ孔22及びバルブ孔23は、それぞれ燃焼室に連通している。
【0026】
図3及び図4に示すように、底壁15の後部には、複数の吸気側ロッカシャフト軸受25が一体に突設されている。吸気側ロッカシャフト軸受25には、吸気側ロッカシャフト26が、支持されている。吸気側ロッカシャフト26には、吸気バルブが連結された吸気側ロッカアーム27が回転(回動)自在に軸支されている。吸気側ロッカシャフト軸受25の突出端(上端)には、半円状の凹部が形成され、凹部を覆うように吸気側カムキャップ28が締結されている。吸気側ロッカシャフト軸受25の突出端及び吸気側カムキャップ28は、吸気側カムシャフト軸受29を形成する。吸気側カムシャフト軸受29には、吸気側カムシャフト30が支持されている。
【0027】
底壁15の前部には、複数の排気側ロッカシャフト軸受32が一体に突設されている。排気側ロッカシャフト軸受32には、排気側ロッカシャフト33が支持されている。排気側ロッカシャフト33には、排気バルブが連結された排気側ロッカアーム34が回転自在に軸支されている。排気側ロッカシャフト軸受32の突出端(上端)には、半円状の凹部が形成され、凹部を覆うように排気側カムキャップ35が締結されている。排気側ロッカシャフト軸受32の突出端及び排気側カムキャップ35は、排気側カムシャフト軸受36を形成する。排気側カムシャフト軸受36には、排気側カムシャフト37が回転自在に支持されている。
【0028】
吸気側カムシャフト30、排気側カムシャフト37、吸気側ロッカシャフト26及び排気側ロッカシャフト33は、それぞれ、シリンダヘッド2の長手方向(左右方向)に延在している。吸気側カムシャフト30には吸気側ロッカアーム27を駆動する吸気側カム38が形成され、排気側カムシャフト37には排気側ロッカアーム34を駆動する排気側カム39が形成されている。吸気側カムシャフト30及び排気側カムシャフト37は、図示しないタイミングベルト(チェーン)を介してクランクシャフトによって回転させられる。
【0029】
図3に示すように、燃料噴射ポンプ4は、ポンプ本体41と、ポンプ本体41をシリンダヘッド2に支持するための下部ハウジング(第1ハウジング)42及び上部ハウジング(第2ハウジング)43とを有している。図3及び図8に示すように、下部ハウジング42は、左縁壁13、前縁壁11及び後縁壁12の左端部の結合面17と、底壁15の左端部の適所から上方へと突設された複数のボス部44とに締結され、シリンダヘッド2の左端部上方に配置されると共に、左縁壁13を越えてシリンダヘッド2の左方外方に突出している。上部ハウジング43は、下部ハウジング42の上部を覆うように下部ハウジング42に締結される。シリンダヘッド2、下部ハウジング42及び上部ハウジング43の締結は、下部ハウジング42及び上部ハウジング43を貫通し、シリンダヘッド2に螺合するボルトや、上部ハウジング43を貫通し、下部ハウジング42に螺合するボルトによって行われている。
【0030】
下部ハウジング42の前部であって、排気側カムシャフト37の延長線に対応する部分の上面には、上方に向けて開口する凹部である下部ハウジング凹部46が形成されている。上部ハウジング43の下面であって、下部ハウジング凹部46に対応する部分には、下方に向けて開口する凹部である上部ハウジング凹部47が形成されている(図12参照)。下部ハウジング凹部46及び上部ハウジング凹部47は、互いに組み合わされて1つのハウジング室48を画成する。ハウジング室48は、左右両側方に開口しており、左側部がキャップ49によって閉塞されている(図1参照)。これにより、ハウジング室48は、左側部の排気側カムシャフト37に対応する部分が開口している。
【0031】
図3に示すように、排気側カムシャフト37は、その左端部に同軸かつ一体に形成された延長部51を有している。延長部51は、ハウジング室48内に突入している。延長部51の突出端(左端)は、ハウジング室48内において、左縁壁13よりも左方に配置されている。
【0032】
図3及び図9に示すように、下部ハウジング42の下部ハウジング凹部46の右端部分には、延長部51を回転可能に支持する軸受の下半部をなす第1軸受下部53が一体に形成されている。第1軸受下部53には軸受の上半部をなす第1カムキャップ54がボルト締結され、第1軸受下部53と第1カムキャップ54との間に延長部51が回転可能に支持される。すなわち、第1軸受下部53及び第1カムキャップ54は、延長部51を支持する第1軸受を構成する。延長部51の、第1軸受下部53と第1カムキャップ54とによって支持された部分を第1ジャーナル部55とする。
【0033】
下部ハウジング42の下部ハウジング凹部46の第1軸受下部53よりも左方に位置する部分であって、シリンダヘッド2の左縁壁13の外面よりも右方に位置する部分(すなわち、上方から見てシリンダヘッド2と重なる部分)には、延長部51を回転可能に支持する軸受の下半部をなす第2軸受下部56が一体に形成されている。第2軸受下部56には軸受の上半部をなす第2カムキャップ57がボルト締結され、第2軸受下部56と第2カムキャップ57との間に延長部51が回転可能に支持される。すなわち、第2軸受下部56及び第2カムキャップ57は、延長部51を支持する第2軸受を構成する。延長部51の、第2軸受下部56と第2カムキャップ57とによって支持された部分を第2ジャーナル部58とする。
【0034】
延長部51の第2ジャーナル部58よりも左方に位置する部分は、第2軸受下部56及び第2カムキャップ57に片持ち支持されており、その外周面に燃料噴射ポンプ4を駆動するためのポンプ駆動カム(補機駆動カム)61が形成されている。図9に示すように、ポンプ駆動カム61は、シリンダヘッド2の左縁壁13よりも左方に配置されている。ポンプ駆動カム61は、ハウジング室48内において、下部ハウジング凹部46及び上部ハウジング凹部47の壁面と干渉することなく回転可能となっている。
【0035】
延長部51の第1ジャーナル部55と第2ジャーナル部58との間の部分には、径方向外方に突出した円板状のスラストプレート62が形成されている。スラストプレート62は左側部及び右側部に、排気側カムシャフト37のスラスト方向(左右方向)を向く衝止面を有すると共に、その周縁部に径方向外方に突出する突起63を有している。図7に示すように、下部ハウジング42の第1軸受下部53と第2軸受下部56との間の部分には、スラストプレート62の一部(下端部)を回転可能に受容するスラストプレート受容溝64が凹設されている。スラストプレート62は、左右側部の衝止面においてスラストプレート受容溝64の側壁に衝当することによって、排気側カムシャフト37のスラスト方向位置を定めている。
【0036】
図9に示すように、下部ハウジング42の右端部であって、第1軸受下部53の略下方には、動弁室16内を下方へと延出した延出部66が形成されている。延出部66の下端は、左縁壁13の結合面17よりも下方へと延び、底壁15に近接して配置されている。延出部66には、右方に向けて開口する有底の円筒形状を呈する排気側ロッカシャフト支持部67が形成されている。排気側ロッカシャフト33の左端は、排気側ロッカシャフト支持部67に挿入され、回転不能に結合される。
【0037】
また、図5及び図6に示すように、下部ハウジング42の右端部であって、吸気側カムシャフト30に対応する部分には第3軸受下部68が形成されている。第3軸受下部68には、第3カムキャップ69が締結され、第3軸受下部68と第3カムキャップ69との間に吸気側カムシャフト30の左端が回転可能に支持される。すなわち、第3軸受下部68及び第3カムキャップ69は、吸気側カムシャフト30を支持する第3軸受を構成する。下部ハウジング42の第3軸受下部68の下方には、動弁室16内を下方へと延出した延出部71が形成され、延出部71には、右方に向けて開口する有底の円筒形状を呈する吸気側ロッカシャフト支持部72が形成されている。吸気側ロッカシャフト26の左端は、吸気側ロッカシャフト支持部72に挿入され、回転不能に結合される。
【0038】
図5及び図6に示すように、下部ハウジング凹部46の底面74上には、第2軸受下部56の後端の側部から、左方かつ後方へと延びる結合座75が突設されている。結合座75は、ポンプ駆動カム61と干渉しないように、概ねポンプ駆動カム61の後方に延在している。結合座75の上面は、第2軸受下部56の第2カムキャップ57との結合面と同一平面に形成されており、その先端部である結合座先端部76は上部ハウジング43と突き当たる結合面となっている。結合座75の上面の基端部である結合座基端部77は、第2カムキャップ57から延出した第2カムキャップ延出部78によって覆われている。
【0039】
図1及び図3に示すように、上部ハウジング43は、上部ハウジング凹部47のスラストプレート62と対向する部分と上部ハウジング43の上面とを連通するセンサ孔81を有している。センサ孔81には、スラストプレート62の突起63を検出することによって、排気側カムシャフト37の回転位置や回転速度を検出する回転センサ(図示しない)が挿入され、結合される。これにより、スラストプレート62は、突起63によって回転に応じたパルス信号を発生するパルサープレートとして機能する。
【0040】
図11及び図12に示すように、上部ハウジング43は、上部ハウジング凹部47の内面(下面)と上部ハウジング43の上面とを連通する断面円形状の貫通孔であるプランジャ支持孔82を有している。プランジャ支持孔82は、その軸線が排気側カムシャフト37の延長部51の径方向と一致し、かつ前後方向に対して傾斜するように配置されている。なお、エンジン1が傾斜して配置されている場合には、プランジャ支持孔82の軸線が水平方向に対して傾斜するように配置されている。本実施形態では、プランジャ支持孔82の軸線が前後方向に対して約45°傾斜している。プランジャ支持孔82の外端は、段違いに拡径されている。
【0041】
図11及び図12に示すように、ポンプ本体41は、公知のプランジャポンプであり、詳細な図示は省略するが、燃料通路(図示しない)を備えたポンプ本体ケーシング85と、ポンプ本体ケーシング85に出没可能に設けられたプランジャ86とを有している。ポンプ本体41は、プランジャ86がポンプ本体ケーシング85から突出する際に、ポンプ本体ケーシング85内の燃料油路に燃料を引き込み、プランジャ86がポンプ本体ケーシング85内に没入する際に燃料を加圧すると共に、ポンプ本体ケーシング85の外部に送り出す。
【0042】
プランジャ86の先端には、ローラ87を回転自在に支持するローラホルダ88が結合されている。ローラホルダ88は、プランジャ86の先端に結合された円板状の基板89と、基板89のプランジャ86側と相反する方向に突設された一対の支持板90と、基板89の周縁部から支持板90側と相反する方向に突出した円筒状のスカート91とを有している。一対の支持板90間には支持軸92が掛け渡され、支持軸92にはローラ87が回転可能に軸支されている。基板89には、プランジャ86の進退方向に沿って貫通するオイル通孔84が複数形成されている。基板89とポンプ本体ケーシング85との間には圧縮コイルばね93が介装されている。圧縮コイルばね93は、ローラホルダ88を介してプランジャ86をポンプ本体ケーシング85から突出する方向に付勢している。
【0043】
プランジャ86がプランジャ支持孔82に配置され、ポンプ本体ケーシング85の一部がプランジャ支持孔82の外端に嵌合した状態で、ポンプ本体ケーシング85は上部ハウジング43に締結されている。プランジャ86は、プランジャ支持孔82内を斜め下方に向けて延在し、ローラ87が最下端に配置されている。このとき、ローラホルダ88のスカート91は、プランジャ支持孔82の内壁に摺接し、ローラホルダ88の一部及びローラ87はハウジング室48に突出し、ローラ87がポンプ駆動カム61に衝当(転接)している。プランジャ支持孔82には、軸線方向に延設されたガイド溝が形成されており、スカート91の外周面上にはガイド溝に突入するガイド凸部が形成されている。ガイド凸部がガイド溝内を摺動することによって、ローラホルダ88のプランジャ支持孔82に対する回転位置が定められている。排気側カムシャフト37が回転すると、ポンプ駆動カム61によってプランジャ86がポンプ本体ケーシング85に対して進退させられ、ポンプ本体41が燃料を圧送する。以上のようにして、排気側カムシャフト37の回転に応じて駆動する燃料噴射ポンプ4が構成されている。
【0044】
図1に示すように、ヘッドカバー3は、シリンダヘッド2の動弁室16の右端部から左端部へと延在し、その左縁部94は、上部ハウジング43の上面上に延出し、上部ハウジング43の右縁部を覆っている。すなわち、ヘッドカバー3は上方から上部ハウジング43にオーバーラップする形で結合している。ヘッドカバー3の左縁部94と上部ハウジング43の上面右縁部との間には、液体パッキンが介装され、シールがなされている。このようにして、動弁室16は、ヘッドカバー3及び燃料噴射ポンプ4によって覆われている。
【0045】
図10に示すように、シリンダヘッド2の左端部分には、クランクケースに形成されたブローバイガスの通路であるケース側ブローバイ通路(図示しない)に連続するヘッド側ブローバイ通路95が形成されている。ケース側ブローバイ通路は、一端がクランクケースのクランク室(図示しない)に連通する一方、他端がシリンダヘッド2との結合面である上端面に開口している。ヘッド側ブローバイ通路95は、左縁壁13内を上下方向に延在し、その下端がシリンダヘッド2の下端面に開口してケース側ブローバイ通路に連通する一方、その上端が左縁壁13の上端面である結合面17に開口している。
【0046】
下部ハウジング42には、上下方向に延在し、その下端が下部ハウジング42の下端面(左縁壁13の結合面17と接合する面)に開口してヘッド側ブローバイ通路95に連通する一方、その上端が下部ハウジング42の上端面(上部ハウジング43との結合面)に開口した下部側ブローバイ通路96が形成されている。図3〜図6に示すように、下部側ブローバイ通路96は、左右方向において、ポンプ駆動カム61よりも右方であって、第1軸受下部53と第2軸受下部56との間に配置されている。また、下部側ブローバイ通路96は、前後方向において、排気側カムシャフト37と吸気側カムシャフト30との間(第1軸受下部53と第3軸受下部68との間)に配置されている。より詳細には、図6に示すように、下部側ブローバイ通路96の上端は、上方から見てスラストプレート62と重ならないように、スラストプレート62の後方に配置されている。
【0047】
図10に示すように、上部ハウジング43には、上下方向に延在し、その下端が上部ハウジング43の下端面(下部ハウジング42との結合面)に開口して下部ハウジング42の下部側ブローバイ通路96の上端に連通する一方、その上端が上部ハウジング43の上端面であって、ヘッドカバー3の左縁部94によって覆われた部分に開口する上部側ブローバイ通路97が形成されている。
【0048】
ヘッドカバー3の上面の前部側には、下方に向けて開口する箱形のブリーザケース98が結合されている。ブリーザケース98は、左右方向に延在し、ヘッドカバー3の上面との間に気液分離室(ブリーザ室)99を画成する。ブリーザケース98の内面には、複数のバッフル板(図示しない)が突設され、内部を通過するブローバイガスからオイルミストを取り除く。ヘッドカバー3の左縁部94には、一端が上部ハウジング43との結合面に開口して上部側ブローバイ通路97に連通する一方、他端がブリーザケース98に覆われた部分に開口し、気液分離室99に連通するカバー側ブローバイ通路101が形成されている。以上の構成により、クランク室のブローバイガスは、ケース側ブローバイ通路、ヘッド側ブローバイ通路95、下部側ブローバイ通路96、上部側ブローバイ通路97及びカバー側ブローバイ通路101を順に通過して気液分離室99に供給される。ブローバイガスは気液分離室99においてオイルが分離された後、図示しないPCVバルブ等を通過して吸気ポート6に連通する吸気配管(図示しない)に導入される。
【0049】
次に、燃料噴射ポンプ4の潤滑構造について説明する。図9に示すように、排気側カムシャフト37及びその延長部51の内部には、軸線方向に延在する排気側カムシャフト油路111が形成されている。排気側カムシャフト油路111の左端は、延長部51の端部においてキャップ112によって閉塞されている。第1ジャーナル部55には、その外周面から排気側カムシャフト油路111へと延びる第1連通油路113が形成されている。第1ジャーナル部55の外周面の第1連通油路113が開口した部分には、周方向に延在する環状の第1ジャーナル油溝114が形成されている。図7及び図9に示すように、第1軸受下部53の第1ジャーナル部55との摺接面であって、第1ジャーナル油溝114と対向する部分には、第1ジャーナル部55の周方向に延在する第1軸受下部油溝115が形成されている。
【0050】
図9に示すように、第2ジャーナル部58には、その外周面から排気側カムシャフト油路111へと延びる第2連通油路117が形成されている。第2ジャーナル部58の外周面の第2連通油路117が開口した部分には、周方向に延在する環状の第2ジャーナル油溝118が形成されている。図7及び図9に示すように、第2軸受下部56の第2ジャーナル部58との摺接面であって、第2ジャーナル油溝118と対向する部分には、第2ジャーナル部58の周方向に延在する第2軸受下部油溝119が形成されている。
【0051】
図7及び図9に示すように、スラストプレート受容溝64の前後方向における中間部には、スラストプレート受容溝64から左右方向へと張り出した左右一対の油溝121が形成されている。スラストプレート62はスラストプレート受容溝64の底部から離間して受容されており、左右の油溝121はスラストプレート受容溝64を介して連続している。
【0052】
図6に示すように、第2軸受下部56の第2カムキャップ57との結合面には、一端が第2軸受下部油溝119に連続すると共に、他端が結合座基端部77に延びる結合座側油溝123が形成されている。図13に示すように、第2カムキャップ57及び第2カムキャップ延出部78の第2軸受下部56及び結合座基端部77との結合面には、結合座側油溝123に沿ってキャップ側油溝124が形成されている。結合座側油溝123の結合座基端部77における端部には、結合座75の内部に形成されると共に、一端が結合座75の結合座先端部76の上面に開口した結合座内油路125の他端が開口している。結合座内油路125は、図13に示すように、結合座基端部77から結合座先端部76の下方へと延びる第1の直線状通路と、結合座先端部76から下方へと延びる第2直線状通路とによって構成されている。このように、結合座内油路125を2つの直線状の通路を組み合わせたV字状通路とすることで、結合座75内に通路を容易に加工することができる。
【0053】
上部ハウジング43の結合座先端部76と結合する部分には、結合座内油路125に連通する上部ハウジング油路127の一端が開口している。上部ハウジング油路127の他端は、プランジャ支持孔82に開口している。
【0054】
以上のように構成された燃料噴射ポンプ4の潤滑構造では、エンジン補機として公知のオイルポンプ(図示しない)からシリンダブロック及びシリンダヘッド2等を介して排気側カムシャフト37の排気側カムシャフト油路111に潤滑油が供給される。排気側カムシャフト油路111に供給された潤滑油は、第1連通油路113、第1ジャーナル油溝114及び第1軸受下部油溝115を通して第1ジャーナル部55の外周面に供給される。また、排気側カムシャフト油路111に供給された潤滑油は、第2連通油路117、第2ジャーナル油溝118及び第2軸受下部油溝119を通して第2ジャーナル部58の外周面に供給される。第1ジャーナル部55及び第2ジャーナル部58の外周面に供給され、第1軸受下部53及び第2軸受下部56から溢れ出た潤滑油は、油溝121によってスラストプレート受容溝64へと供給される。
【0055】
第2軸受下部油溝119に供給された潤滑油は、結合座側油溝123、キャップ側油溝124、結合座内油路125、上部ハウジング油路127を通過してプランジャ支持孔82に供給される。プランジャ支持孔82に供給された潤滑油は、ローラホルダ88のスカート91の外周面に供給され、スカート91の外周面とプランジャ支持孔82の内周面との間で押し出されてローラホルダ88の先端側及び基端側に移動する。ローラホルダ88の先端側に押し出された潤滑油は、重力及びプランジャ86の進退運動によって支持板90及び支持軸92の表面を伝ってローラ87の表面へと流下し、ポンプ駆動カム61のカム面に供給される。また、ローラホルダ88の基端側に移動した潤滑油は、上側よりスカート91の端部を回り込んでスカート91の内周面側に入り、オイル通孔84を通過してローラ87上に流下する。このようにして、燃料噴射ポンプ4のプランジャ86及びポンプ駆動カム61は、排気側カムシャフト37、下部ハウジング42及び上部ハウジング43に形成された油路を介して潤滑油の供給を受ける。
【0056】
ローラ87及びポンプ駆動カム61に供給された潤滑油は、下部ハウジング凹部46の底面74上に落下し、捕集される。下部ハウジング42には、下部ハウジング凹部46の底面74と、下部ハウジング42の下面であって動弁室16内に配置された部分とを連通するオイル排出孔130が形成されている。これにより、下部ハウジング凹部46の底面74上に捕集された潤滑油は、オイル排出孔130を通して動弁室16内に排出される。図示しないが、シリンダヘッド2及びシリンダブロックには、動弁室16からシリンダブロックの下部に設けられたオイルパンへと潤滑油を戻すオイル戻し通路が形成されている。他の実施形態では、オイル排出孔130が、動弁室16に連通せずに、シリンダヘッド2のオイル戻し通路に直接に連通するようにしてもよい。
【0057】
以上に説明した実施形態では、燃料噴射ポンプ4の下部ハウジング42が、シリンダヘッド2の左縁壁13、前縁壁11及び後縁壁12の上方を向く結合面17に締結され、上方から見てシリンダヘッド2と重なるように、動弁室16上に迫り出して配置されている。燃料噴射ポンプ4は、排気側カムシャフト37のポンプ駆動カム61から、排気側カムシャフト37の径方向の一方向に荷重を受けるため、上方からシリンダヘッド2に結合することによって、ポンプ駆動カム61から受ける荷重に対して効率良く抗することができる。すなわち、燃料噴射ポンプ4とシリンダヘッド2との結合安定性が向上し、下部ハウジング42とシリンダヘッド2との間に口開きが生じる虞が低減する。
【0058】
また、排気側カムシャフト37を支持する第1軸受下部53及び第2軸受下部56を下部ハウジング42に一体に形成したため、下部ハウジング42及び上部ハウジング43は、ポンプ駆動カム61からプランジャ86及びポンプ本体41を介して荷重を受ける一方、プランジャ86からポンプ駆動カム61、排気側カムシャフト37、第1軸受下部53及び第2軸受下部56を介して反力を受ける。反力の向きは、下部ハウジング42をシリンダヘッド2の結合面17側に押さえ付ける方向であるため、下部ハウジング42とシリンダヘッド2との結合がより強固となって、口開きが生じる虞が低減する。
【0059】
下部ハウジング42は、吸気側カムシャフト30の端部を支持する第3軸受下部68、吸気側ロッカシャフト26の端部を支持する吸気側ロッカシャフト支持部72及び排気側ロッカシャフト33の端部を支持する排気側ロッカシャフト支持部67を一体に有するため、シリンダヘッド2の上方、すなわち動弁室16内に延出しても、シリンダヘッド2の大型化を招くことがない。すなわち、動弁室16内に下部ハウジング42を配置するためのスペースを別途設ける必要がない。
【0060】
また、上下方向においてシリンダヘッド2とヘッドカバー3との間に、下部ハウジング42及び上部ハウジング43を配置し、下部ハウジング42及び上部ハウジング43に上下方向に貫通する下部側ブローバイ通路96及び上部側ブローバイ通路97を設けたため、エンジン1のコンパクトが図れる。特に、下部側ブローバイ通路96及び上部側ブローバイ通路97は、前後方向において、吸気側カムシャフト30及び吸気側ロッカシャフト26と、排気側カムシャフト37及び排気側ロッカシャフト33との間であって、左右方向において第1軸受下部53と第2軸受下部56との間のデッドスペースに設けたため、エンジン1のコンパクト化が図れる。また、下部側ブローバイ通路96及び上部側ブローバイ通路97は、下部ハウジング42及び上部ハウジング43の概ね中央部に配置されており、この部分でシリンダヘッド2と突き当たる(接合する)ことになるため、下部ハウジング42のシリンダヘッド2に対する結合安定性が向上する。
【0061】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。本実施形態では、シリンダヘッド2に取り付けられるエンジン補機の例として燃料噴射ポンプ4を例示したが、燃料噴射ポンプ4に代えて、ウォータポンプやエアコンプレッサ等の他のエンジン補機を適用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…ヘッドカバー、4…燃料噴射ポンプ、11…前縁壁、12…後縁壁、13…左縁壁、14…右縁壁、16…動弁室、17…結合面、37…排気側カムシャフト、41…ポンプ本体、42…下部ハウジング(第1ハウジング)、43…上部ハウジング(第2ハウジング)、46…下部ハウジング凹部、47…上部ハウジング凹部、48…ハウジング室、51…延長部、53…第1軸受下部、54…第1カムキャップ、55…第1ジャーナル部、56…第2軸受下部、57…第2カムキャップ、58…第2ジャーナル部、61…ポンプ駆動カム、62…スラストプレート、63…突起、64…スラストプレート受容溝、66…延出部、67…排気側ロッカシャフト支持部、68…第3軸受下部、69…第3カムキャップ、71…延出部、72…吸気側ロッカシャフト支持部、74…底面、75…結合座、76…結合座先端部、77…結合座基端部、78…第2カムキャップ延出部、81…センサ孔、82…プランジャ支持孔、85…ポンプ本体ケーシング、86…プランジャ、95…ヘッド側ブローバイ通路、96…下部側ブローバイ通路、97…上部側ブローバイ通路、101…カバー側ブローバイ通路、111…排気側カムシャフト油路、113…第1連通油路、114…第1ジャーナル油溝、115…第1軸受下部油溝、117…第2連通油路、118…第2ジャーナル油溝、119…第2軸受下部油溝、121…油溝、123…結合座側油溝、124…キャップ側油溝、125…結合座内油路、127…上部ハウジング油路、130…オイル排出孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の補機の潤滑油路構造に係り、詳しくはカムシャフトによって駆動される補機の潤滑油路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
DOHC型の内燃機関において、インジェクタに高圧燃料を供給するインジェクションポンプ(燃料噴射ポンプ)や、ディーゼルエンジンのコモンレールに高圧燃料を供給するサプライポンプ等の燃料ポンプを、カムシャフトで駆動するようにしたものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1に係る内燃機関では、カムシャフトの一端に、シリンダヘッドの縁壁を越えて外部へと突出する延長部が設けられている。延長部は、シリンダヘッドの縁壁に設けられた軸受によって片持ち支持され、突出端に燃料ポンプを駆動するためのポンプ駆動カムを有している。燃料ポンプは、ポンプ駆動カムによって駆動されるプランジャを備えており、そのハウジングがシリンダヘッドの縁壁の側面にボルト締結されている。
【0003】
特許文献1に係る内燃機関のカムシャフト及び延長部は、その内部にカムシャフトの軸線に沿って延在するカムシャフト油路を有している。また、カムシャフトは、シリンダヘッドの縁壁に設けられた軸受に支持されたジャーナル部において、その外面とカムシャフト油路とを連通するべく径方向に延びるオイル供給路を有している。軸受の摺接面には、オイル供給路に連通すると共にカムシャフトの軸線方向に沿って延在し、ポンプ駆動カム側に開口する油溝を有している。そのため、カムシャフト油路に供給されたオイル(潤滑油)は、オイル供給路を介して油溝に供給され、油溝からポンプ駆動カムに向けて噴射される。このようにして、ポンプ駆動カムとプランジャとの摺接部分にオイルが供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−113731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る内燃機関では、ポンプ駆動カムから離間した軸受からオイルを噴射するため、噴射したオイルの全てをポンプ駆動カムのカム面に到達させることが困難であり、効率的な潤滑を行うことができないという問題がある。また、ポンプ駆動カムの側方(カムシャフトの軸線方向に沿った方向)からオイルを噴射するため、カムシャフトの径方向外方を向くカム面にオイルを供給することが困難である。また、特許文献1に係る構成は、燃料ポンプのプランジャとハウジングとの摺接部へのオイルの供給を考慮しておらず、プランジャ及びハウジング間の潤滑が問題となる。
【0006】
本発明は、以上の背景を鑑みてなされたものであって、内燃機関の補機の潤滑油路構造において、カムシャフトに設けられた補機駆動カムによって駆動されるプランジャの摺接部にオイルを確実に供給することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、補機の潤滑油路構造であって、一側に動弁室(16)を有するシリンダヘッド(2)と、前記動弁室に回転自在に配置され、端部に延長部(51)を同軸かつ一体に有し、前記延長部を含む内部に油路(111)を備えたカムシャフト(37)と、前記カムシャフトの延在方向において前記延長部が配置された側の前記シリンダヘッドの端部(13)に結合された第1ハウジング(42)と、前記第1ハウジングに結合され、前記第1ハウジングとの間に前記延長部を受容するハウジング室(48)を画成する第2ハウジング(43)と、前記ハウジング室に突入するプランジャ(86)を備えると共に、前記第2ハウジングに支持され、前記プランジャの進退によって駆動される補機(4)と、前記延長部に形成され、前記プランジャを進退させる補機駆動カム(61)と、前記第1ハウジングに設けられ、前記延長部を回転可能に支持する軸受(56、57)とを有し、前記延長部の前記軸受に支持されたジャーナル部(58)には、前記油路から前記ジャーナル部の外周面に延びる連通孔(117)が形成され、前記軸受の前記ジャーナル部を支持する面には、前記連通孔に連続する軸受油路(119)が形成され、前記第1ハウジングには、前記軸受油路に連続すると共に前記第2ハウジングとの結合面に延びる第1油路(123、125)が形成され、前記第2ハウジングには、前記結合面において前記第1油路と連続すると共に、前記プランジャを進退自在に収容するプランジャ支持孔(82)に連続する第2油路(127)が形成されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、カムシャフトに形成された油路から、第1及び第2ハウジングに形成した軸受油路、第1油路及び第2油路を順に通してプランジャに直接にオイルを供給することができる。そのため、プランジャとプランジャ支持孔との摺接部、プランジャと補機駆動カムとの摺接部にオイルが確実に供給される。
【0009】
本発明の他の側面は、前記プランジャは、先端が基端よりも下方となる姿勢で配置されていることを特徴とする。ここでのプランジャの先端とは、ハウジング室内に突出し、補機駆動カムに接触する(対応する)側の端部をいい、基端とは前記先端側と相反する側の端部をいう。
【0010】
この構成によれば、プランジャに供給されたオイルが、重力によって、補機駆動カムとの摺接部である先端部へと一層確実に導かれるようになる。
【0011】
本発明の他の側面は、前記軸受は、前記第1ハウジングと一体に形成された軸受下部(56)と、軸受下部とは別体の軸受上部(57)とを結合して形成され、前記軸受下部には、第2ハウジングとの結合面を有する結合座(75)が側方へと突設され、前記第1油路は、その一部(125)が前記結合座内に形成されると共に、前記結合座の前記第2ハウジングとの結合面に開口していることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第1油路の経路長を短くし、圧力損失を低減することができる。
【0013】
本発明の他の側面は、前記第1油路は、その一部(123、124)が前記軸受下部と前記軸受上部との結合面に形成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、第1油路の加工が容易になる。
【0015】
本発明の他の側面は、前記第1ハウジングの前記ハウジング室を画成する部分の底部には、前記シリンダヘッドにオイルを戻すオイル戻し孔(130)が形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、補機駆動カムからハウジング室の底部に落下したオイルを内燃機関本体(シリンダヘッド)に戻すことができる。
【0017】
本発明の他の側面は、前記動弁室は、前記シリンダヘッドの側縁に沿って延設された縁壁(11〜14)によって囲まれ、前記第1ハウジングは、前記縁壁の突出端面(17)に結合され、前記オイル戻し孔は、前記動弁室に連通することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、補機からシリンダブロックに戻されたオイルをオイルパンに戻す油路を別途設ける必要がなく、動弁室からオイルパンにオイルを戻す油路を兼用することができる。
【0019】
本発明の他の側面は、前記プランジャは、前記プランジャ支持孔の内部と前記プランジャの先端外面部とを連通するプランジャ油路(84)を有することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、プランジャ支持孔に供給されたオイルのうち、プランジャ支持孔の内部(プランジャの基端側)に移動したオイルを、プランジャ油路を通してプランジャの先端、すなわち補機駆動カムへと導くことができる。
【発明の効果】
【0021】
以上の構成によれば、内燃機関の補機の潤滑油路構造において、カムシャフトに設けられた補機駆動カムによって駆動されるプランジャの摺接部にオイルを確実に供給するができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】エンジンの上部構造を示す斜視図
【図2】エンジンの上部構造を示す左側面図
【図3】燃料噴射ポンプの分解斜視図
【図4】シリンダヘッド及び下部ハウジングを示す平面図
【図5】シリンダヘッド及び下部ハウジングを示す斜視図
【図6】下部ハウジングを拡大して示す平面図
【図7】下部ハウジングを拡大して示す平面図
【図8】シリンダヘッド、下部ハウジング及び上部ハウジングを示す前側面図
【図9】図4のIX−IX断面図
【図10】図1のX−X断面図
【図11】図2のXI−XI断面図
【図12】図1のXII−XII断面図
【図13】図6のXIII−XIII断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明を自動車のエンジンに適用した実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係るエンジン1は、直列4気筒4バルブDOHC型のガソリン直噴エンジンである。図に示す方向は、車体の進行方向を前方とし、シリンダ軸線方向においてシリンダブロックに対するシリンダヘッド(ヘッドカバー)側を上方として定めている。エンジン1は、車体に横置きに配置されており、シリンダ列方向(クランク軸方向)が左右方向(車幅方向)と一致している。各図では、エンジン1のシリンダヘッド2と、シリンダヘッド2の上端に結合されるヘッドカバー3及び燃料噴射ポンプ4とに注目し、シリンダヘッド2の下端に結合されるシリンダブロック等は省略する。
【0024】
図1〜図4に示すように、シリンダヘッド2は、左右方向に延在した略直方体状の下部と、下部の上端に設けられた箱形の上部とを有している。シリンダヘッドの下部には、シリンダヘッド2の下面に開口する4つの燃焼室(図示しない)と、各燃焼室から前方に延びる排気ポート(図示しない)と、各燃焼室から後方に延び、シリンダヘッドの後側面に開口する吸気ポート6とが形成されている。各排気ポートは、シリンダヘッド2の下部内部に形成された排気集合室8に連続し、排気集合室8は前端(下流端)がシリンダヘッド2の前側面に開口している。図4に示すように、シリンダヘッド2の上部は、シリンダヘッド2の下部の縁部に沿って上方へと立設された前縁壁11、後縁壁12、左縁壁13及び右縁壁14と、下部の上面をなす底壁15とによって、上方に向けて開口する略直方体箱形の動弁室16を画成している。前縁壁11、後縁壁12、左縁壁13及び右縁壁14の上端には、上方を向く結合面17が形成されている。後に、詳述するが、結合面17には、ヘッドカバー3及び燃料噴射ポンプ4が締結され、それらによって動弁室16の上部が覆われる。
【0025】
図4に示すように、シリンダヘッド2の底壁15には、図示しないインジェクタが挿入されるインジェクタ孔21、図示しない点火プラグが挿入されるプラグ孔22及び図示しない吸気バルブ及び排気バルブが挿入されるバルブ孔23が形成されている。インジェクタ孔21、プラグ孔22及びバルブ孔23は、それぞれ燃焼室に連通している。
【0026】
図3及び図4に示すように、底壁15の後部には、複数の吸気側ロッカシャフト軸受25が一体に突設されている。吸気側ロッカシャフト軸受25には、吸気側ロッカシャフト26が、支持されている。吸気側ロッカシャフト26には、吸気バルブが連結された吸気側ロッカアーム27が回転(回動)自在に軸支されている。吸気側ロッカシャフト軸受25の突出端(上端)には、半円状の凹部が形成され、凹部を覆うように吸気側カムキャップ28が締結されている。吸気側ロッカシャフト軸受25の突出端及び吸気側カムキャップ28は、吸気側カムシャフト軸受29を形成する。吸気側カムシャフト軸受29には、吸気側カムシャフト30が支持されている。
【0027】
底壁15の前部には、複数の排気側ロッカシャフト軸受32が一体に突設されている。排気側ロッカシャフト軸受32には、排気側ロッカシャフト33が支持されている。排気側ロッカシャフト33には、排気バルブが連結された排気側ロッカアーム34が回転自在に軸支されている。排気側ロッカシャフト軸受32の突出端(上端)には、半円状の凹部が形成され、凹部を覆うように排気側カムキャップ35が締結されている。排気側ロッカシャフト軸受32の突出端及び排気側カムキャップ35は、排気側カムシャフト軸受36を形成する。排気側カムシャフト軸受36には、排気側カムシャフト37が回転自在に支持されている。
【0028】
吸気側カムシャフト30、排気側カムシャフト37、吸気側ロッカシャフト26及び排気側ロッカシャフト33は、それぞれ、シリンダヘッド2の長手方向(左右方向)に延在している。吸気側カムシャフト30には吸気側ロッカアーム27を駆動する吸気側カム38が形成され、排気側カムシャフト37には排気側ロッカアーム34を駆動する排気側カム39が形成されている。吸気側カムシャフト30及び排気側カムシャフト37は、図示しないタイミングベルト(チェーン)を介してクランクシャフトによって回転させられる。
【0029】
図3に示すように、燃料噴射ポンプ4は、ポンプ本体41と、ポンプ本体41をシリンダヘッド2に支持するための下部ハウジング(第1ハウジング)42及び上部ハウジング(第2ハウジング)43とを有している。図3及び図8に示すように、下部ハウジング42は、左縁壁13、前縁壁11及び後縁壁12の左端部の結合面17と、底壁15の左端部の適所から上方へと突設された複数のボス部44とに締結され、シリンダヘッド2の左端部上方に配置されると共に、左縁壁13を越えてシリンダヘッド2の左方外方に突出している。上部ハウジング43は、下部ハウジング42の上部を覆うように下部ハウジング42に締結される。シリンダヘッド2、下部ハウジング42及び上部ハウジング43の締結は、下部ハウジング42及び上部ハウジング43を貫通し、シリンダヘッド2に螺合するボルトや、上部ハウジング43を貫通し、下部ハウジング42に螺合するボルトによって行われている。
【0030】
下部ハウジング42の前部であって、排気側カムシャフト37の延長線に対応する部分の上面には、上方に向けて開口する凹部である下部ハウジング凹部46が形成されている。上部ハウジング43の下面であって、下部ハウジング凹部46に対応する部分には、下方に向けて開口する凹部である上部ハウジング凹部47が形成されている(図12参照)。下部ハウジング凹部46及び上部ハウジング凹部47は、互いに組み合わされて1つのハウジング室48を画成する。ハウジング室48は、左右両側方に開口しており、左側部がキャップ49によって閉塞されている(図1参照)。これにより、ハウジング室48は、左側部の排気側カムシャフト37に対応する部分が開口している。
【0031】
図3に示すように、排気側カムシャフト37は、その左端部に同軸かつ一体に形成された延長部51を有している。延長部51は、ハウジング室48内に突入している。延長部51の突出端(左端)は、ハウジング室48内において、左縁壁13よりも左方に配置されている。
【0032】
図3及び図9に示すように、下部ハウジング42の下部ハウジング凹部46の右端部分には、延長部51を回転可能に支持する軸受の下半部をなす第1軸受下部53が一体に形成されている。第1軸受下部53には軸受の上半部をなす第1カムキャップ54がボルト締結され、第1軸受下部53と第1カムキャップ54との間に延長部51が回転可能に支持される。すなわち、第1軸受下部53及び第1カムキャップ54は、延長部51を支持する第1軸受を構成する。延長部51の、第1軸受下部53と第1カムキャップ54とによって支持された部分を第1ジャーナル部55とする。
【0033】
下部ハウジング42の下部ハウジング凹部46の第1軸受下部53よりも左方に位置する部分であって、シリンダヘッド2の左縁壁13の外面よりも右方に位置する部分(すなわち、上方から見てシリンダヘッド2と重なる部分)には、延長部51を回転可能に支持する軸受の下半部をなす第2軸受下部56が一体に形成されている。第2軸受下部56には軸受の上半部をなす第2カムキャップ57がボルト締結され、第2軸受下部56と第2カムキャップ57との間に延長部51が回転可能に支持される。すなわち、第2軸受下部56及び第2カムキャップ57は、延長部51を支持する第2軸受を構成する。延長部51の、第2軸受下部56と第2カムキャップ57とによって支持された部分を第2ジャーナル部58とする。
【0034】
延長部51の第2ジャーナル部58よりも左方に位置する部分は、第2軸受下部56及び第2カムキャップ57に片持ち支持されており、その外周面に燃料噴射ポンプ4を駆動するためのポンプ駆動カム(補機駆動カム)61が形成されている。図9に示すように、ポンプ駆動カム61は、シリンダヘッド2の左縁壁13よりも左方に配置されている。ポンプ駆動カム61は、ハウジング室48内において、下部ハウジング凹部46及び上部ハウジング凹部47の壁面と干渉することなく回転可能となっている。
【0035】
延長部51の第1ジャーナル部55と第2ジャーナル部58との間の部分には、径方向外方に突出した円板状のスラストプレート62が形成されている。スラストプレート62は左側部及び右側部に、排気側カムシャフト37のスラスト方向(左右方向)を向く衝止面を有すると共に、その周縁部に径方向外方に突出する突起63を有している。図7に示すように、下部ハウジング42の第1軸受下部53と第2軸受下部56との間の部分には、スラストプレート62の一部(下端部)を回転可能に受容するスラストプレート受容溝64が凹設されている。スラストプレート62は、左右側部の衝止面においてスラストプレート受容溝64の側壁に衝当することによって、排気側カムシャフト37のスラスト方向位置を定めている。
【0036】
図9に示すように、下部ハウジング42の右端部であって、第1軸受下部53の略下方には、動弁室16内を下方へと延出した延出部66が形成されている。延出部66の下端は、左縁壁13の結合面17よりも下方へと延び、底壁15に近接して配置されている。延出部66には、右方に向けて開口する有底の円筒形状を呈する排気側ロッカシャフト支持部67が形成されている。排気側ロッカシャフト33の左端は、排気側ロッカシャフト支持部67に挿入され、回転不能に結合される。
【0037】
また、図5及び図6に示すように、下部ハウジング42の右端部であって、吸気側カムシャフト30に対応する部分には第3軸受下部68が形成されている。第3軸受下部68には、第3カムキャップ69が締結され、第3軸受下部68と第3カムキャップ69との間に吸気側カムシャフト30の左端が回転可能に支持される。すなわち、第3軸受下部68及び第3カムキャップ69は、吸気側カムシャフト30を支持する第3軸受を構成する。下部ハウジング42の第3軸受下部68の下方には、動弁室16内を下方へと延出した延出部71が形成され、延出部71には、右方に向けて開口する有底の円筒形状を呈する吸気側ロッカシャフト支持部72が形成されている。吸気側ロッカシャフト26の左端は、吸気側ロッカシャフト支持部72に挿入され、回転不能に結合される。
【0038】
図5及び図6に示すように、下部ハウジング凹部46の底面74上には、第2軸受下部56の後端の側部から、左方かつ後方へと延びる結合座75が突設されている。結合座75は、ポンプ駆動カム61と干渉しないように、概ねポンプ駆動カム61の後方に延在している。結合座75の上面は、第2軸受下部56の第2カムキャップ57との結合面と同一平面に形成されており、その先端部である結合座先端部76は上部ハウジング43と突き当たる結合面となっている。結合座75の上面の基端部である結合座基端部77は、第2カムキャップ57から延出した第2カムキャップ延出部78によって覆われている。
【0039】
図1及び図3に示すように、上部ハウジング43は、上部ハウジング凹部47のスラストプレート62と対向する部分と上部ハウジング43の上面とを連通するセンサ孔81を有している。センサ孔81には、スラストプレート62の突起63を検出することによって、排気側カムシャフト37の回転位置や回転速度を検出する回転センサ(図示しない)が挿入され、結合される。これにより、スラストプレート62は、突起63によって回転に応じたパルス信号を発生するパルサープレートとして機能する。
【0040】
図11及び図12に示すように、上部ハウジング43は、上部ハウジング凹部47の内面(下面)と上部ハウジング43の上面とを連通する断面円形状の貫通孔であるプランジャ支持孔82を有している。プランジャ支持孔82は、その軸線が排気側カムシャフト37の延長部51の径方向と一致し、かつ前後方向に対して傾斜するように配置されている。なお、エンジン1が傾斜して配置されている場合には、プランジャ支持孔82の軸線が水平方向に対して傾斜するように配置されている。本実施形態では、プランジャ支持孔82の軸線が前後方向に対して約45°傾斜している。プランジャ支持孔82の外端は、段違いに拡径されている。
【0041】
図11及び図12に示すように、ポンプ本体41は、公知のプランジャポンプであり、詳細な図示は省略するが、燃料通路(図示しない)を備えたポンプ本体ケーシング85と、ポンプ本体ケーシング85に出没可能に設けられたプランジャ86とを有している。ポンプ本体41は、プランジャ86がポンプ本体ケーシング85から突出する際に、ポンプ本体ケーシング85内の燃料油路に燃料を引き込み、プランジャ86がポンプ本体ケーシング85内に没入する際に燃料を加圧すると共に、ポンプ本体ケーシング85の外部に送り出す。
【0042】
プランジャ86の先端には、ローラ87を回転自在に支持するローラホルダ88が結合されている。ローラホルダ88は、プランジャ86の先端に結合された円板状の基板89と、基板89のプランジャ86側と相反する方向に突設された一対の支持板90と、基板89の周縁部から支持板90側と相反する方向に突出した円筒状のスカート91とを有している。一対の支持板90間には支持軸92が掛け渡され、支持軸92にはローラ87が回転可能に軸支されている。基板89には、プランジャ86の進退方向に沿って貫通するオイル通孔84が複数形成されている。基板89とポンプ本体ケーシング85との間には圧縮コイルばね93が介装されている。圧縮コイルばね93は、ローラホルダ88を介してプランジャ86をポンプ本体ケーシング85から突出する方向に付勢している。
【0043】
プランジャ86がプランジャ支持孔82に配置され、ポンプ本体ケーシング85の一部がプランジャ支持孔82の外端に嵌合した状態で、ポンプ本体ケーシング85は上部ハウジング43に締結されている。プランジャ86は、プランジャ支持孔82内を斜め下方に向けて延在し、ローラ87が最下端に配置されている。このとき、ローラホルダ88のスカート91は、プランジャ支持孔82の内壁に摺接し、ローラホルダ88の一部及びローラ87はハウジング室48に突出し、ローラ87がポンプ駆動カム61に衝当(転接)している。プランジャ支持孔82には、軸線方向に延設されたガイド溝が形成されており、スカート91の外周面上にはガイド溝に突入するガイド凸部が形成されている。ガイド凸部がガイド溝内を摺動することによって、ローラホルダ88のプランジャ支持孔82に対する回転位置が定められている。排気側カムシャフト37が回転すると、ポンプ駆動カム61によってプランジャ86がポンプ本体ケーシング85に対して進退させられ、ポンプ本体41が燃料を圧送する。以上のようにして、排気側カムシャフト37の回転に応じて駆動する燃料噴射ポンプ4が構成されている。
【0044】
図1に示すように、ヘッドカバー3は、シリンダヘッド2の動弁室16の右端部から左端部へと延在し、その左縁部94は、上部ハウジング43の上面上に延出し、上部ハウジング43の右縁部を覆っている。すなわち、ヘッドカバー3は上方から上部ハウジング43にオーバーラップする形で結合している。ヘッドカバー3の左縁部94と上部ハウジング43の上面右縁部との間には、液体パッキンが介装され、シールがなされている。このようにして、動弁室16は、ヘッドカバー3及び燃料噴射ポンプ4によって覆われている。
【0045】
図10に示すように、シリンダヘッド2の左端部分には、クランクケースに形成されたブローバイガスの通路であるケース側ブローバイ通路(図示しない)に連続するヘッド側ブローバイ通路95が形成されている。ケース側ブローバイ通路は、一端がクランクケースのクランク室(図示しない)に連通する一方、他端がシリンダヘッド2との結合面である上端面に開口している。ヘッド側ブローバイ通路95は、左縁壁13内を上下方向に延在し、その下端がシリンダヘッド2の下端面に開口してケース側ブローバイ通路に連通する一方、その上端が左縁壁13の上端面である結合面17に開口している。
【0046】
下部ハウジング42には、上下方向に延在し、その下端が下部ハウジング42の下端面(左縁壁13の結合面17と接合する面)に開口してヘッド側ブローバイ通路95に連通する一方、その上端が下部ハウジング42の上端面(上部ハウジング43との結合面)に開口した下部側ブローバイ通路96が形成されている。図3〜図6に示すように、下部側ブローバイ通路96は、左右方向において、ポンプ駆動カム61よりも右方であって、第1軸受下部53と第2軸受下部56との間に配置されている。また、下部側ブローバイ通路96は、前後方向において、排気側カムシャフト37と吸気側カムシャフト30との間(第1軸受下部53と第3軸受下部68との間)に配置されている。より詳細には、図6に示すように、下部側ブローバイ通路96の上端は、上方から見てスラストプレート62と重ならないように、スラストプレート62の後方に配置されている。
【0047】
図10に示すように、上部ハウジング43には、上下方向に延在し、その下端が上部ハウジング43の下端面(下部ハウジング42との結合面)に開口して下部ハウジング42の下部側ブローバイ通路96の上端に連通する一方、その上端が上部ハウジング43の上端面であって、ヘッドカバー3の左縁部94によって覆われた部分に開口する上部側ブローバイ通路97が形成されている。
【0048】
ヘッドカバー3の上面の前部側には、下方に向けて開口する箱形のブリーザケース98が結合されている。ブリーザケース98は、左右方向に延在し、ヘッドカバー3の上面との間に気液分離室(ブリーザ室)99を画成する。ブリーザケース98の内面には、複数のバッフル板(図示しない)が突設され、内部を通過するブローバイガスからオイルミストを取り除く。ヘッドカバー3の左縁部94には、一端が上部ハウジング43との結合面に開口して上部側ブローバイ通路97に連通する一方、他端がブリーザケース98に覆われた部分に開口し、気液分離室99に連通するカバー側ブローバイ通路101が形成されている。以上の構成により、クランク室のブローバイガスは、ケース側ブローバイ通路、ヘッド側ブローバイ通路95、下部側ブローバイ通路96、上部側ブローバイ通路97及びカバー側ブローバイ通路101を順に通過して気液分離室99に供給される。ブローバイガスは気液分離室99においてオイルが分離された後、図示しないPCVバルブ等を通過して吸気ポート6に連通する吸気配管(図示しない)に導入される。
【0049】
次に、燃料噴射ポンプ4の潤滑構造について説明する。図9に示すように、排気側カムシャフト37及びその延長部51の内部には、軸線方向に延在する排気側カムシャフト油路111が形成されている。排気側カムシャフト油路111の左端は、延長部51の端部においてキャップ112によって閉塞されている。第1ジャーナル部55には、その外周面から排気側カムシャフト油路111へと延びる第1連通油路113が形成されている。第1ジャーナル部55の外周面の第1連通油路113が開口した部分には、周方向に延在する環状の第1ジャーナル油溝114が形成されている。図7及び図9に示すように、第1軸受下部53の第1ジャーナル部55との摺接面であって、第1ジャーナル油溝114と対向する部分には、第1ジャーナル部55の周方向に延在する第1軸受下部油溝115が形成されている。
【0050】
図9に示すように、第2ジャーナル部58には、その外周面から排気側カムシャフト油路111へと延びる第2連通油路117が形成されている。第2ジャーナル部58の外周面の第2連通油路117が開口した部分には、周方向に延在する環状の第2ジャーナル油溝118が形成されている。図7及び図9に示すように、第2軸受下部56の第2ジャーナル部58との摺接面であって、第2ジャーナル油溝118と対向する部分には、第2ジャーナル部58の周方向に延在する第2軸受下部油溝119が形成されている。
【0051】
図7及び図9に示すように、スラストプレート受容溝64の前後方向における中間部には、スラストプレート受容溝64から左右方向へと張り出した左右一対の油溝121が形成されている。スラストプレート62はスラストプレート受容溝64の底部から離間して受容されており、左右の油溝121はスラストプレート受容溝64を介して連続している。
【0052】
図6に示すように、第2軸受下部56の第2カムキャップ57との結合面には、一端が第2軸受下部油溝119に連続すると共に、他端が結合座基端部77に延びる結合座側油溝123が形成されている。図13に示すように、第2カムキャップ57及び第2カムキャップ延出部78の第2軸受下部56及び結合座基端部77との結合面には、結合座側油溝123に沿ってキャップ側油溝124が形成されている。結合座側油溝123の結合座基端部77における端部には、結合座75の内部に形成されると共に、一端が結合座75の結合座先端部76の上面に開口した結合座内油路125の他端が開口している。結合座内油路125は、図13に示すように、結合座基端部77から結合座先端部76の下方へと延びる第1の直線状通路と、結合座先端部76から下方へと延びる第2直線状通路とによって構成されている。このように、結合座内油路125を2つの直線状の通路を組み合わせたV字状通路とすることで、結合座75内に通路を容易に加工することができる。
【0053】
上部ハウジング43の結合座先端部76と結合する部分には、結合座内油路125に連通する上部ハウジング油路127の一端が開口している。上部ハウジング油路127の他端は、プランジャ支持孔82に開口している。
【0054】
以上のように構成された燃料噴射ポンプ4の潤滑構造では、エンジン補機として公知のオイルポンプ(図示しない)からシリンダブロック及びシリンダヘッド2等を介して排気側カムシャフト37の排気側カムシャフト油路111に潤滑油が供給される。排気側カムシャフト油路111に供給された潤滑油は、第1連通油路113、第1ジャーナル油溝114及び第1軸受下部油溝115を通して第1ジャーナル部55の外周面に供給される。また、排気側カムシャフト油路111に供給された潤滑油は、第2連通油路117、第2ジャーナル油溝118及び第2軸受下部油溝119を通して第2ジャーナル部58の外周面に供給される。第1ジャーナル部55及び第2ジャーナル部58の外周面に供給され、第1軸受下部53及び第2軸受下部56から溢れ出た潤滑油は、油溝121によってスラストプレート受容溝64へと供給される。
【0055】
第2軸受下部油溝119に供給された潤滑油は、結合座側油溝123、キャップ側油溝124、結合座内油路125、上部ハウジング油路127を通過してプランジャ支持孔82に供給される。プランジャ支持孔82に供給された潤滑油は、ローラホルダ88のスカート91の外周面に供給され、スカート91の外周面とプランジャ支持孔82の内周面との間で押し出されてローラホルダ88の先端側及び基端側に移動する。ローラホルダ88の先端側に押し出された潤滑油は、重力及びプランジャ86の進退運動によって支持板90及び支持軸92の表面を伝ってローラ87の表面へと流下し、ポンプ駆動カム61のカム面に供給される。また、ローラホルダ88の基端側に移動した潤滑油は、上側よりスカート91の端部を回り込んでスカート91の内周面側に入り、オイル通孔84を通過してローラ87上に流下する。このようにして、燃料噴射ポンプ4のプランジャ86及びポンプ駆動カム61は、排気側カムシャフト37、下部ハウジング42及び上部ハウジング43に形成された油路を介して潤滑油の供給を受ける。
【0056】
ローラ87及びポンプ駆動カム61に供給された潤滑油は、下部ハウジング凹部46の底面74上に落下し、捕集される。下部ハウジング42には、下部ハウジング凹部46の底面74と、下部ハウジング42の下面であって動弁室16内に配置された部分とを連通するオイル排出孔130が形成されている。これにより、下部ハウジング凹部46の底面74上に捕集された潤滑油は、オイル排出孔130を通して動弁室16内に排出される。図示しないが、シリンダヘッド2及びシリンダブロックには、動弁室16からシリンダブロックの下部に設けられたオイルパンへと潤滑油を戻すオイル戻し通路が形成されている。他の実施形態では、オイル排出孔130が、動弁室16に連通せずに、シリンダヘッド2のオイル戻し通路に直接に連通するようにしてもよい。
【0057】
以上に説明した実施形態では、燃料噴射ポンプ4の下部ハウジング42が、シリンダヘッド2の左縁壁13、前縁壁11及び後縁壁12の上方を向く結合面17に締結され、上方から見てシリンダヘッド2と重なるように、動弁室16上に迫り出して配置されている。燃料噴射ポンプ4は、排気側カムシャフト37のポンプ駆動カム61から、排気側カムシャフト37の径方向の一方向に荷重を受けるため、上方からシリンダヘッド2に結合することによって、ポンプ駆動カム61から受ける荷重に対して効率良く抗することができる。すなわち、燃料噴射ポンプ4とシリンダヘッド2との結合安定性が向上し、下部ハウジング42とシリンダヘッド2との間に口開きが生じる虞が低減する。
【0058】
また、排気側カムシャフト37を支持する第1軸受下部53及び第2軸受下部56を下部ハウジング42に一体に形成したため、下部ハウジング42及び上部ハウジング43は、ポンプ駆動カム61からプランジャ86及びポンプ本体41を介して荷重を受ける一方、プランジャ86からポンプ駆動カム61、排気側カムシャフト37、第1軸受下部53及び第2軸受下部56を介して反力を受ける。反力の向きは、下部ハウジング42をシリンダヘッド2の結合面17側に押さえ付ける方向であるため、下部ハウジング42とシリンダヘッド2との結合がより強固となって、口開きが生じる虞が低減する。
【0059】
下部ハウジング42は、吸気側カムシャフト30の端部を支持する第3軸受下部68、吸気側ロッカシャフト26の端部を支持する吸気側ロッカシャフト支持部72及び排気側ロッカシャフト33の端部を支持する排気側ロッカシャフト支持部67を一体に有するため、シリンダヘッド2の上方、すなわち動弁室16内に延出しても、シリンダヘッド2の大型化を招くことがない。すなわち、動弁室16内に下部ハウジング42を配置するためのスペースを別途設ける必要がない。
【0060】
また、上下方向においてシリンダヘッド2とヘッドカバー3との間に、下部ハウジング42及び上部ハウジング43を配置し、下部ハウジング42及び上部ハウジング43に上下方向に貫通する下部側ブローバイ通路96及び上部側ブローバイ通路97を設けたため、エンジン1のコンパクトが図れる。特に、下部側ブローバイ通路96及び上部側ブローバイ通路97は、前後方向において、吸気側カムシャフト30及び吸気側ロッカシャフト26と、排気側カムシャフト37及び排気側ロッカシャフト33との間であって、左右方向において第1軸受下部53と第2軸受下部56との間のデッドスペースに設けたため、エンジン1のコンパクト化が図れる。また、下部側ブローバイ通路96及び上部側ブローバイ通路97は、下部ハウジング42及び上部ハウジング43の概ね中央部に配置されており、この部分でシリンダヘッド2と突き当たる(接合する)ことになるため、下部ハウジング42のシリンダヘッド2に対する結合安定性が向上する。
【0061】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。本実施形態では、シリンダヘッド2に取り付けられるエンジン補機の例として燃料噴射ポンプ4を例示したが、燃料噴射ポンプ4に代えて、ウォータポンプやエアコンプレッサ等の他のエンジン補機を適用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…ヘッドカバー、4…燃料噴射ポンプ、11…前縁壁、12…後縁壁、13…左縁壁、14…右縁壁、16…動弁室、17…結合面、37…排気側カムシャフト、41…ポンプ本体、42…下部ハウジング(第1ハウジング)、43…上部ハウジング(第2ハウジング)、46…下部ハウジング凹部、47…上部ハウジング凹部、48…ハウジング室、51…延長部、53…第1軸受下部、54…第1カムキャップ、55…第1ジャーナル部、56…第2軸受下部、57…第2カムキャップ、58…第2ジャーナル部、61…ポンプ駆動カム、62…スラストプレート、63…突起、64…スラストプレート受容溝、66…延出部、67…排気側ロッカシャフト支持部、68…第3軸受下部、69…第3カムキャップ、71…延出部、72…吸気側ロッカシャフト支持部、74…底面、75…結合座、76…結合座先端部、77…結合座基端部、78…第2カムキャップ延出部、81…センサ孔、82…プランジャ支持孔、85…ポンプ本体ケーシング、86…プランジャ、95…ヘッド側ブローバイ通路、96…下部側ブローバイ通路、97…上部側ブローバイ通路、101…カバー側ブローバイ通路、111…排気側カムシャフト油路、113…第1連通油路、114…第1ジャーナル油溝、115…第1軸受下部油溝、117…第2連通油路、118…第2ジャーナル油溝、119…第2軸受下部油溝、121…油溝、123…結合座側油溝、124…キャップ側油溝、125…結合座内油路、127…上部ハウジング油路、130…オイル排出孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側に動弁室を有するシリンダヘッドと、
前記動弁室に回転自在に配置され、端部に延長部を同軸かつ一体に有し、前記延長部を含む内部に油路を備えたカムシャフトと、
前記カムシャフトの延在方向において前記延長部が配置された側の前記シリンダヘッドの端部に結合された第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに結合され、前記第1ハウジングとの間に前記延長部を受容するハウジング室を画成する第2ハウジングと、
前記ハウジング室に突入するプランジャを備えると共に、前記第2ハウジングに支持され、前記プランジャの進退によって駆動される補機と、
前記延長部に形成され、前記プランジャを進退させる補機駆動カムと、
前記第1ハウジングに設けられ、前記延長部を回転可能に支持する軸受と
を有し、
前記延長部の前記軸受に支持されたジャーナル部には、前記油路から前記ジャーナル部の外周面に延びる連通孔が形成され、
前記軸受の前記ジャーナル部を支持する面には、前記連通孔に連続する軸受油路が形成され、
前記第1ハウジングには、前記軸受油路に連続すると共に前記第2ハウジングとの結合面に延びる第1油路が形成され、
前記第2ハウジングには、前記結合面において前記第1油路と連続すると共に、前記プランジャを進退自在に収容するプランジャ支持孔に連続する第2油路が形成されていることを特徴とする補機の潤滑油路構造。
【請求項2】
前記プランジャは、先端が基端よりも下方となる姿勢で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の補機の潤滑油路構造。
【請求項3】
前記軸受は、前記第1ハウジングと一体に形成された軸受下部と、軸受下部とは別体の軸受上部とを結合して形成され、
前記軸受下部には、第2ハウジングとの結合面を有する結合座が側方へと突設され、
前記第1油路は、その一部が前記結合座内に形成されると共に、前記結合座の前記第2ハウジングとの結合面に開口していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の補機の潤滑油路構造。
【請求項4】
前記第1油路は、その一部が前記軸受下部と前記軸受上部との結合面に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の補機の潤滑油路構造。
【請求項5】
前記第1ハウジングの前記ハウジング室を画成する部分の底部には、前記シリンダヘッドにオイルを戻すオイル戻し孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載の補機の潤滑油路構造。
【請求項6】
前記動弁室は、前記シリンダヘッドの側縁に沿って延設された縁壁によって囲まれ、
前記第1ハウジングは、前記縁壁の突出端面に結合され、
前記オイル戻し孔は、前記動弁室に連通することを特徴とする請求項5に記載の補機の潤滑油路構造。
【請求項7】
前記プランジャは、前記プランジャ支持孔の内部と前記プランジャの先端外面部とを連通するプランジャ油路を有することを特徴とする請求項2に記載の補機の潤滑油路構造。
【請求項1】
一側に動弁室を有するシリンダヘッドと、
前記動弁室に回転自在に配置され、端部に延長部を同軸かつ一体に有し、前記延長部を含む内部に油路を備えたカムシャフトと、
前記カムシャフトの延在方向において前記延長部が配置された側の前記シリンダヘッドの端部に結合された第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに結合され、前記第1ハウジングとの間に前記延長部を受容するハウジング室を画成する第2ハウジングと、
前記ハウジング室に突入するプランジャを備えると共に、前記第2ハウジングに支持され、前記プランジャの進退によって駆動される補機と、
前記延長部に形成され、前記プランジャを進退させる補機駆動カムと、
前記第1ハウジングに設けられ、前記延長部を回転可能に支持する軸受と
を有し、
前記延長部の前記軸受に支持されたジャーナル部には、前記油路から前記ジャーナル部の外周面に延びる連通孔が形成され、
前記軸受の前記ジャーナル部を支持する面には、前記連通孔に連続する軸受油路が形成され、
前記第1ハウジングには、前記軸受油路に連続すると共に前記第2ハウジングとの結合面に延びる第1油路が形成され、
前記第2ハウジングには、前記結合面において前記第1油路と連続すると共に、前記プランジャを進退自在に収容するプランジャ支持孔に連続する第2油路が形成されていることを特徴とする補機の潤滑油路構造。
【請求項2】
前記プランジャは、先端が基端よりも下方となる姿勢で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の補機の潤滑油路構造。
【請求項3】
前記軸受は、前記第1ハウジングと一体に形成された軸受下部と、軸受下部とは別体の軸受上部とを結合して形成され、
前記軸受下部には、第2ハウジングとの結合面を有する結合座が側方へと突設され、
前記第1油路は、その一部が前記結合座内に形成されると共に、前記結合座の前記第2ハウジングとの結合面に開口していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の補機の潤滑油路構造。
【請求項4】
前記第1油路は、その一部が前記軸受下部と前記軸受上部との結合面に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の補機の潤滑油路構造。
【請求項5】
前記第1ハウジングの前記ハウジング室を画成する部分の底部には、前記シリンダヘッドにオイルを戻すオイル戻し孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載の補機の潤滑油路構造。
【請求項6】
前記動弁室は、前記シリンダヘッドの側縁に沿って延設された縁壁によって囲まれ、
前記第1ハウジングは、前記縁壁の突出端面に結合され、
前記オイル戻し孔は、前記動弁室に連通することを特徴とする請求項5に記載の補機の潤滑油路構造。
【請求項7】
前記プランジャは、前記プランジャ支持孔の内部と前記プランジャの先端外面部とを連通するプランジャ油路を有することを特徴とする請求項2に記載の補機の潤滑油路構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−113106(P2013−113106A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257051(P2011−257051)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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