説明

補正値算出方法及び印刷装置

【課題】適切に濃度補正が行えるようにする。
【解決手段】第1ノズル列の所定方向における端部と重なる重複領域を形成して配置された第2ノズル列を備え、重複領域において第1ノズルと第2ノズルとで分担した合計デューティでインクを噴射する印刷装置の濃度補正値算出方法であって、重複領域のパターンが重複領域ではない非重複領域の最高デューティよりも高い合計デューティで複数形成されたデューティ決定用パターンにおける画素列毎の濃度を求め、重複領域の画素列の濃度のうち最も低い濃度が、非重複領域の画素列における最も低い濃度以上となっている合計デューティを特定し、特定した合計デューティで形成された濃度補正用パターンを用いて画素列毎の濃度補正値を算出し、濃度補正用パターンの画素列の濃度のうち最低濃度が基準となるようにして濃度補正値を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補正値算出方法及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体噴射装置の一つとして、ヘッドに設けられたノズルからインク(流体)を噴射して画像を形成するインクジェットプリンター(以下、プリンター)が挙げられる。このようなプリンターの中には、複数の短尺のヘッドを紙幅方向に並べて、その複数のヘッドの下を搬送される媒体に対してヘッドからインクを噴射して画像を形成するプリンターがある。
【0003】
このようなプリンターの場合、ヘッドの端部がノズルの並ぶ方向について重複する部分、すなわちヘッドのつなぎ目(以下、「重複領域」という)が存在することになる。このような構成の場合、各ヘッドは媒体との相対移動方向に関して離間して配置されているため、媒体の蛇行によるインクの着弾位置ずれが発生する。その結果、重複領域において濃度変化を生じてしまうが、これを補正するためにラスターライン(画素列とも言う)ごとに濃度補正を行う技術も存在する。この技術では、テストパターンを印刷させ、濃度の高いラスターラインを形成する傾向にあるノズルからは噴射するインク量が少なくなるような補正を行い、濃度の低いドットラインを形成する傾向にあるノズルからは噴射するインク量が多くなるような補正を行う。
【0004】
特許文献1には、各ヘッドのインク吐出量が一定になるよう吐出量を補正することが示されている。特許文献2には、各ヘッドの端部(ノズル列の一部)を重複させて、複数のヘッドを配置したプリンターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−188632号公報
【特許文献2】特開2009−226904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、濃度補正における濃度の高低の判断基準は全ノズルの平均値に対しての濃度の高低となる。そうすると、平均値次第では、高デューティ(高濃度)での印刷において補正不足となることがある。例えば、最高デューティより高いデューティで印刷を行うような補正がなされても、これよりも高いデューティを出力することができず、結果として濃度不足となる。よって、適切に濃度補正が行えるようにすることが望ましい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、適切に濃度補正が行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、
インクを噴射する第1ノズルが所定方向に並んだ第1ノズル列と、
前記インクを噴射する第2ノズルが前記所定方向に並んだ第2ノズル列であって、前記所定方向における一方側の端部が前記第1ノズル列の前記所定方向における他方側の端部と重なる重複領域を形成して配置された第2ノズル列と、
前記所定方向と交差する交差方向に媒体を相対移動させる移動部と、
を備え、前記重複領域において前記第1ノズルと前記第2ノズルとで分担した合計デューティで前記インクを噴射する印刷装置の濃度補正値算出方法であって、
(A)デューティ決定用パターンにおいて前記交差方向に並ぶ画素からなる画素列毎の濃度を求めることであって、前記重複領域のパターンが前記重複領域ではない非重複領域の最高デューティよりも高い合計デューティで複数形成された前記デューティ決定用パターンにおける画素列毎の濃度を求めることと、
(B)前記重複領域の画素列の濃度のうち最も低い濃度が、前記非重複領域の画素列における最も低い濃度以上となっている前記合計デューティを特定することと、
(C)特定した前記合計デューティで形成された濃度補正用パターンを用いて前記画素列毎の濃度補正値を算出することであって、前記濃度補正用パターンの画素列の濃度のうち最低濃度が基準となるようにして濃度補正値を算出することと、
を含む補正値算出方法である。
【0008】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1Aは、プリンター1の全体構成ブロック図であり、図1Bは、プリンター1の概略図である。
【図2】図2Aは、ヘッドユニット30に設けられたヘッド31の配列を示す図であり、図2Bは、ヘッド31の下面のノズル配列を示す図である。
【図3】ヘッドユニットのノズルによってドットが形成される画素を説明する図である。
【図4】あるドットラインが隣のドットラインの濃度に影響を及ぼす例を示す図である。
【図5】濃度補正用パターンを示す図である。
【図6】シアンの補正用パターンをスキャナーで読み取った結果である。
【図7】図7A及び図7Bは、濃度むら補正値Hの具体的な算出方法を示す図である。
【図8】各ノズル列(CMYK)に関する補正値テーブルを示す図である。
【図9】シアンのn番目の列領域に関して各階調値に対応した補正値Hを算出する様子を示す図である。
【図10】比較例の濃度補正後の出力を説明する図である。
【図11】本実施形態における濃度補正値算出方法のフローチャートである。
【図12】図12Aは、本実施形態におけるデューティ決定用パターンのデューティの説明図であり、図12Bは、本実施形態におけるデューティ決定用パターンの説明図である。
【図13】デューティの特定の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
インクを噴射する第1ノズルが所定方向に並んだ第1ノズル列と、
前記インクを噴射する第2ノズルが前記所定方向に並んだ第2ノズル列であって、前記所定方向における一方側の端部が前記第1ノズル列の前記所定方向における他方側の端部と重なる重複領域を形成して配置された第2ノズル列と、
前記所定方向と交差する交差方向に媒体を相対移動させる移動部と、
を備え、前記重複領域において前記第1ノズルと前記第2ノズルとで分担した合計デューティで前記インクを噴射する印刷装置の濃度補正値算出方法であって、
(A)デューティ決定用パターンにおいて前記交差方向に並ぶ画素からなる画素列毎の濃度を求めることであって、前記重複領域のパターンが前記重複領域ではない非重複領域の最高デューティよりも高い合計デューティで複数形成された前記デューティ決定用パターンにおける画素列毎の濃度を求めることと、
(B)前記重複領域の画素列の濃度のうち最も低い濃度が、前記非重複領域の画素列における最も低い濃度以上となっている前記合計デューティを特定することと、
(C)特定した前記合計デューティで形成された濃度補正用パターンを用いて前記画素列毎の濃度補正値を算出することであって、前記濃度補正用パターンの画素列の濃度のうち最低濃度が基準となるようにして濃度補正値を算出することと、
を含む補正値算出方法。
重複領域における濃度は下がる傾向があるが、上記のようにすることによって、重複領域のデューティを高めて濃度を高めることができる。そして、重複領域の画素列の濃度のうち最も低い濃度が、非重複領域の画素列における最も低い濃度以上となっている合計デューティの濃度補正用パターンを用いて濃度補正を行うので、濃度不足及び発色性能の悪化を生じさせることなく、適切に濃度補正が行えるようにすることができる。
【0012】
かかる補正値算出方法であって、前記デューティ決定用パターンの前記重複領域のパターンは、段階的に前記合計デューティが異ならされて複数形成されることが望ましい。
このようにすることで、適切な合計デューティを選択することができるようになる。
【0013】
また、前記デューティ決定用パターンの前記重複領域のパターンは、前記第1ノズルと前記第2ノズルとが等しい分担率のデューティで形成されることが望ましい。
このようにすることで、インクを噴射するデューティを適切に第1ノズルと第2ノズルとに割り振ることができる。
【0014】
また、前記濃度補正用パターンは、前記交差方向に並ぶ画素からなる画素列毎の濃度補正を行うためのパターンであることが望ましい。
このようにすることで、画素列毎の濃度補正を行うことができるようになる。
【0015】
また、前記濃度補正値を算出するときにおいて、形成された前記濃度補正用パターンの濃度が前記画素列単位で求められ、求められた前記画素列ごとの濃度に基づいて前記濃度補正値が算出されることが望ましい。
このようにすることで、求められた画素列毎の濃度に基づいて適切な濃度補正値を算出することができるようになる。
【0016】
また、前記濃度補正値を算出するときにおいて、前記濃度補正用パターンの画素列の濃度のうち最低濃度が基準となるような比率を乗じて濃度補正値が算出されることが望ましい。
このようにすることで、濃度補正用パターンの画素列の濃度のうち最低濃度が基準となるような濃度補正値を算出することができる。
【0017】
また、前記デューティ決定用パターンの形成において、前記非重複領域は前記最高デューティのみでパターンが形成されることが望ましい。
このようにすることで、非重複領域において最高デューティでインクを噴射したときの濃度を測定することができるようになる。
【0018】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項も明らかとなる。
【0019】
すなわち、上記に記載の補正値算出方法によって求められた前記濃度補正値で前記画素列ごとの補正を行って印刷を行う印刷装置である。
このようにすることで、適切に濃度補正をして印刷を行うことができる。
【0020】
===システム構成===
インクジェットプリンターの中のラインヘッドプリンター(以下、プリンター1)とコンピューター50が接続された印刷システムを流体噴射装置として、実施形態を説明する。
【0021】
図1Aは、プリンター1の全体構成ブロック図であり、図1Bは、プリンター1の概略図であり、プリンター1が用紙S(媒体)を搬送する様子を示す図である。外部装置であるコンピューター50から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー10により、各ユニット(搬送ユニット20、ヘッドユニット30)を制御し、用紙Sに画像を印刷する。また、プリンター1内の状況を検出器群40が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0022】
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピューター50とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、メモリー13に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路14により各ユニットを制御する。
【0023】
搬送ユニット20は、搬送ベルト21と搬送ローラー22A,22Bを有し、用紙Sを印刷可能な位置に送り込み、用紙Sを搬送方向に所定の搬送速度で搬送する。搬送ベルト21上に給紙された用紙Sは、搬送ローラー22A,22Bにより搬送ベルト21が回転することによって、搬送ベルト21上の用紙Sが搬送される。また、搬送ベルト21上の用紙Sを下側から静電吸着やバキューム吸着するとよい。
【0024】
ヘッドユニット30は、用紙Sにインク滴を噴射するためのものであり、複数のヘッド31を有する。ヘッド31の下面には、インク噴射部であるノズルが複数設けられる。各ノズルには、インクが入った圧力室(不図示)と、圧力室の容量を変化させてインクを噴射させるための駆動素子(ピエゾ素子)が設けられている。
【0025】
このようなプリンター1では、コントローラー10が印刷データを受信すると、コントローラー10は、まず、用紙Sを搬送ベルト21上に送る。その後、用紙Sは、搬送ベルト21上を一定速度で停まることなく搬送され、ヘッド31のノズル面と対向する。そして、ヘッドユニット30の下を用紙Sが搬送される間に、画像データに基づいて、各ノズルからインク滴を断続的に噴射する。その結果、用紙S上には、搬送方向に沿ったドット列が形成され、画像が印刷される。なお、画像データは、2次元に配置された複数の画素から構成され、各画素(データ)は、各画素に対応する媒体上の領域(画素領域)にドットを形成するか否かを示す。
【0026】
<ノズル配置について>
図2Aは、ヘッドユニット30に設けられたヘッド31の配列を示す図であり、図2Bは、ヘッド31の下面のノズル配列を示す図である。本実施形態のプリンター1では、図2Aに示すように、搬送方向と交差する紙幅方向に複数のヘッド31を並べて配置し、各ヘッド31の端部を重複させて配置している。また、紙幅方向に隣り合うヘッド31A,31Bを搬送方向にずらして配置している(千鳥状に配置している)。紙幅方向に隣り合うヘッド31A,31Bのうち、搬送方向下流側のヘッド31Aを「下流側ヘッド31A」と呼び、搬送方向上流側のヘッド31Bを「上流側ヘッド31B」と呼ぶ。また、紙幅方向に隣り合うヘッド31A,31Bを合わせて「隣接ヘッド」と呼ぶ。
【0027】
図2Bでは、ヘッドの上部から透過的にノズルを見ている。図2Bに示すように、各ヘッド31の下面には、ブラックインクを噴射するブラックノズル列Kと、シアンインクを噴射するシアンノズル列Cと、マゼンタインクを噴射するマゼンタノズル列Mと、イエローインクを噴射するイエローノズル列Yが形成されている。各ノズル列は358個のノズル(#1〜#358)から構成されている。また、各ノズル列のノズルは紙幅方向に一定の間隔(例えば720dpi)で並んでいる。なお、各ノズル列に属するノズルに対して、紙幅方向の左側から順に小さい番号を付す(#1〜#358)。
【0028】
そして、紙幅方向に並ぶヘッド31A,31Bは、各ヘッド31のノズル列の端部の8個のノズルを重複させて配置している。具体的には、下流側ヘッド31Aのノズル列の左側端部の8個のノズル(#1〜#8)と上流側ヘッド31Bのノズル列の右側端部の8個のノズル(#351〜#358)を重複させ、下流側ヘッド31Aのノズル列の右側端部の8個のノズル(#351〜#358)と上流側ヘッド31Bのノズル列の左側端部の8個のノズル(#1〜#8)を重複させている。図示するように、隣接ヘッド31A,31Bにおいて、ノズルが重複している部分を「重複領域」と呼ぶ。また、重複領域に属するノズル(#1〜#8,#351〜#358)を「重複ノズル」と呼ぶ。
【0029】
また、紙幅方向に並ぶヘッド31A,31Bの端部にて重複しているノズルの紙幅方向の位置は一致している。即ち、下流側ヘッド31Aの端部ノズルの紙幅方向の位置と、それに対応する上流側ヘッド31Bの端部ノズルの紙幅方向の位置が等しい。例えば、下流側ヘッド31Aの最も左端のノズル#1と上流側ヘッド31Bの右から8番目のノズル#351との紙幅方向の位置は等しく、下流側ヘッド31Aの左から8番目のノズル#8と上流側ヘッド31Bの最も右端のノズル#358との紙幅方向の位置は等しい。また、下流側ヘッド31Aの最も右端のノズル#358と上流側ヘッド31Bの左から8番目のノズル#8との紙幅方向の位置は等しく、下流側ヘッド31Aの右から8番目のノズル#351と上流側ヘッド31Bの最も左端のノズル#1との紙幅方向の位置は等しい。
【0030】
このようにヘッドユニット30において複数のヘッド31を配置することで、紙幅方向の全域に亘ってノズルを等間隔(720dpi)に並ばせることができる。その結果、等間隔(720dpi)にドットが並んだドット列を紙幅長さに亘って形成することができる。
【0031】
図3は、ヘッドユニットのノズルによってドットが形成される画素を説明する図である。図には、上流側ヘッド31Bのノズル列と下流側ヘッド31Aとが示されている。また、これらのノズルの下には、ドットが形成される画素がセル状に示されている。図において、各ノズルに付されたハッチングの方向と、そのノズルがドットの形成を受け持つ画素のハッチングの方向とを一致させてある。図に示されるように、重複領域では2つのノズル列が分担してドットの形成を行うことになる。
【0032】
<比較例の濃度補正処理>
次に、濃度補正処理について説明する。以下の説明のため、「画素領域」と「列領域」を定義付ける。「画素領域」とは画素に対応する媒体上の領域であり、「列領域」とは画素領域が搬送方向に並んだ領域である(「画素列」ということもある)。
【0033】
また、以下の説明において、スキャナーで読み取った「濃度」を「読取階調値」ということもある。すなわち、スキャナーが読み取った「濃度」と「読取階調値」は同義である。
【0034】
図4は、あるドットラインが隣のドットラインの濃度に影響を及ぼす例を示す図である。図4において、2番目の列領域に形成されたドットラインは、ノズルから噴射されたインク滴の飛行曲がりにより、3番目の列領域に寄って形成される。その結果、2番目の列領域は淡く視認され、3番目の列領域は濃く視認される。一方、5番目の列領域に噴射されたインク滴のインク量は規定量よりも少なく、5番目の列領域に形成されるドットが小さくなっている。その結果、5番目の列領域は淡くなる。これが画像上において濃度むらとなって現れる。そのため、淡く印刷される列領域は濃く印刷されるように補正し、濃く印刷される列領域は淡く印刷されるように補正する。また、3番目の列領域が濃くなる理由は、3番目の列領域に割り当てられたノズルの影響によるものではなく、隣接する2番目の列領域に割り当てられたノズルの影響によるものである。
【0035】
そこで、濃度補正処理では、隣接ノズルの影響も考慮して、列領域(画素列)ごとの補正値Hを算出する。なお、補正値Hは、プリンター1の製造工程やメンテナンス時に、プリンター1の機種ごとに算出するとよい。また、ここでは、プリンター1に接続されたコンピューター50にインストールされている補正値取得プログラムに従って補正値Hを算出するとした。以下、列領域ごとの補正値の具体的な算出方法について説明する。
【0036】
図5は、濃度補正用パターンを示す図である。補正値取得プログラムは、まず、プリンター1に濃度補正用パターンを印刷させる。図は、各ヘッド31が有するノズル列(YMCK)のうちの1つのノズル列によって形成された濃度補正用パターンを示す図である。濃度補正用パターンとして、ノズル列(YMCK)ごとの濃度補正用パターンを印刷する。
【0037】
濃度補正用パターンは3種類の濃度の帯状パターンから構成される。帯状パターンはそれぞれ一定の階調値の画像データから生成されたものである。帯状パターンを形成するための階調値を指令階調値と呼び、濃度30%の帯状パターンの指令階調値をSa(76)、濃度50%の帯状パターンの指令階調値をSb(128)、濃度70%の帯状パターンの指令階調値をSc(179)と表す。また、1つの補正用パターンは、ヘッドユニット30において紙幅方向に並ぶノズル数の列領域から構成される。
【0038】
図6は、シアンの濃度補正用パターンをスキャナーで読み取った結果である。次に、補正値取得プログラムは、スキャナーが濃度補正用パターンを読み取った結果を取得する。以下、シアンの読取データを例に説明する。補正値取得プログラムは、読取データにおける画素列と補正用パターンを構成する列領域とを、一対一で対応させた後、帯状パターンごとに、各列領域の濃度(読取階調値)を算出する。具体的には、或る列領域に対応する画素列に属する各画素の読取階調値の平均値を、その列領域の読取階調値とする。図6のグラフでは、横軸を列領域番号とし、縦軸を各列領域の読取階調値とする。
【0039】
各帯状パターンは、それぞれの指令階調値で一様に形成されたにも関わらず、図6に示すように列領域ごとに読取階調値にばらつきが生じる。例えば、図6のグラフにおいて、i列領域の読取階調値Cbiは他の列領域の読取階調値よりも比較的に低く、j列領域の読取階調値Cbjは他の列領域の読取階調値よりも比較的に高い。即ち、i列領域は淡く視認され、j列領域は濃く視認される。このような各列領域の読取階調値のばらつきが、印刷画像に発生する濃度むらである。
【0040】
各列領域の読取階調値を一定の値に近づけることで、重複領域画像の淡さやノズルの加工精度による濃度むらを改善できる。比較例の濃度補正処理では一の指令階調値(例えばSb・濃度50%)において、全列領域の読取階調値の平均値Cbtを、「目標値Cbt」として設定する。そして、指令階調値Sbにおける各列領域の読取階調値を目標値Cbtに近づけるように、各列領域に対応する画素列データの示す階調値を補正する。
【0041】
具体的には、図6において目標値Cbtよりも読取階調値の低い列領域iに対応する画素列データの示す階調値を、指令階調値Sbよりも濃い階調値に補正する。一方、目標値Cbtよりも読取階調値の高い列領域jに対応する画素列データの示す階調値を、指令階調値Sbよりも淡い階調値に補正する。このように、同一の階調値に対して、全列領域の濃度を一定の値に近づけるために、各列領域に対応する画素列データの階調値を補正する補正値Hを算出する。
【0042】
図7A及び図7Bは、濃度むら補正値Hの具体的な算出方法を示す図である。まず、図7Aは目標値Cbtよりも読取階調値の低いi列領域において、指令階調値(例Sb)における目標指令階調値(例Sbt)を算出する様子を示す。横軸が階調値を示し、縦軸がテストパターン結果における読取階調値を示す。グラフ上には、指令階調値(Sa,Sb,Sc)に対する読取階調値(Cai,Cbi,Cci)がプロットされている。例えば指令階調値Sbに対してi列領域が目標値Cbtにて表されるための目標指令階調値Sbtは次式(直線BCに基づく線形補間)により算出される。
Sbt=Sb+{(Sc−Sb)×(Cbt−Cbi)/(Cci−Cbi)}
【0043】
同様に、図7Bに示すように、目標値Cbtよりも読取階調値の高いj列領域において、指令階調値Sbに対してj列領域が目標値Cbtにて表されるための目標指令階調値Sbtは次式(直線ABに基づく線形補間)により算出される。
Sbt=Sa+{(Sb−Sa)×(Cbt−Caj)/(Cbj−Caj)}
【0044】
こうして、指令階調値Sbに対する各列領域の目標指令階調値Sbtが算出される。そうして、次式により、各列領域の指令階調値Sbに対するシアンの補正値Hbを算出する。同様にして、他の指令階調値(Sa,Sc)に対する補正値、及び、他の色(イエロー,マゼンタ,ブラック)に対する補正値も算出する。
Hb=(Sbt−Sb)/Sb
【0045】
図8は、各ノズル列(CMYK)に関する補正値テーブルを示す図である。上述のように算出した補正値Hを、図示する補正値テーブルにまとめる。補正値テーブルでは、列領域ごとに、3つの指令階調値(Sa,Sb,Sc)にそれぞれ対応する補正値(Ha,Hb,Hc)が設定されている。このような補正値テーブルを、補正値Hを算出するためにテストパターンを印刷したプリンター1のメモリー13に記憶させる。その後、プリンター1はユーザーのもとへ出荷される。
【0046】
ユーザーは、プリンター1の使用開始時に、プリンター1に接続するコンピューター50にプリンタードライバーをインストールする。そうすると、プリンタードライバーはプリンター1に対してメモリー13に記憶されている補正値Hをコンピューター50に送信するように要求する。プリンタードライバーは、プリンター1から送信される補正値Hをコンピューター50内のメモリーに記憶する。
【0047】
補正前の階調値S_inが指令階調値のいずれかSa,Sb,Scと同じであれば、各指令階調値に対応した補正値Hであってコンピューター50のメモリーに記憶されている補正値Ha,Hb,Hcをそのまま用いることができる。例えば、補正前の階調値S_in=Scであれば、補正後の階調値S_outは次式により求められる。
S_out=Sc×(1+Hc)
【0048】
図9は、シアンのn番目の列領域に関して各階調値に対応した補正値Hを算出する様子を示す図である。横軸を補正前の階調値S_inとし、縦軸を補正前の階調値S_inに対応した補正値H_outとする。補正前の階調値S_inが指令階調値と異なる場合、補正前の階調値S_inに応じた補正値H_outを算出する。
【0049】
例えば、図9に示すように補正前の階調値S_inが指令階調値SaとSbの間であるとき、指令階調値Saの補正値Haと指令階調値Sbの補正値Hbの線形補間によって次式により補正値H_outを算出する。
H_out=Ha+{(Hb−Ha)×(S_in−Sa)/(Sb−Sa)}
S_out=S_in×(1+H_out)
【0050】
なお、補正前の階調値S_inが指令階調値Saよりも小さい場合には、最低階調値0と指令階調値Saの線形補間により補正値H_outを算出し、補正前の階調値S_inが指令階調値Scよりも大きい場合には、最高階調値255と指令階調値Scの線形補間によって補正値H_outを算出する。
【0051】
こうして、色ごと、画素データが属する列領域ごと、階調値ごとに設定される補正値Hによって、プリンタードライバーは濃度補正処理にて、各画素の示す階調値S_in(256階調データ)を補正する。そうすることで、濃度が淡く視認される列領域に対応する画素の階調値S_inは濃い階調値S_outに補正され、濃度が濃く視認される列領域に対応する画素の示す階調値S_inは淡い階調値S_outに補正される。
【0052】
<比較例の課題>
ところで、媒体の搬送において蛇行が生じた場合、本来ドットを形成しようとした位置とは異なる位置にドットが形成されてしまうことがある。そうすると、上流側のヘッドが形成したドットの上に下流側のヘッドがドットを形成してしまうことがある一方で、いずれのヘッドにもドットを形成されない画素が生じてしまうことになる。このようなヘッドの重複領域におけるインクの着弾位置のずれは色むらを生じさせ画像の質を低下させる。
【0053】
このような色むらを抑制するために上述の比較例のような濃度補正が行われる。しかしながら、上述の比較例のような手法であると、濃度の高低の判断基準は全ての画素列における濃度の平均値に対するものである。そうすると、平均値次第では、高デューティ(高濃度)での印刷において補正不足となるおそれがある。例えば、最高デューティより高いデューティで印刷を行うような補正がなされても、これよりも高いデューティを出力することができず、結果として濃度不足になる。
【0054】
図10は、比較例の濃度補正後の出力を説明する図である。図には、画素列位置と、これに対するデューティ出力が示されている。ここで、デューティとは、画素に対するインクの打ち込み量である。本実施形態では、デューティが100%のときにおいて、全ての画素が単色のインクで埋め尽くされる量となっている。本実施形態におけるプリンター1では、各ノズルにおいてインクを噴射できる最高量は、デューティが100%のときであり、階調値が255のときのデューティに対応する量である。
【0055】
図10では、印字のデューティを95%としたときにおいて、濃度補正後のデューティがどのような値になるかを示している。図を参照すると、濃度補正後のデューティが100%を超えてしまっている画素列が存在する。デューティは100%までしか出力できないため、この部分の濃度補正は十分行うことができないことになる。
【0056】
また、このように濃度補正を行うことができなくなることを避けるために、最も濃度の低い画素列の濃度が基準となるように濃度補正値を求めることもできる。しかしながら、前述のように重複領域における濃度が一般的に低い場合が多いので、単にこれを基準となるように濃度補正値を求めると非重複領域の濃度が極端に下がってしまうことになる。そして、結果として階調範囲が狭められることになり発色性能が下がる。
【0057】
よって、以下に説明する実施形態では、このような問題を発生させないようにしつつも、適切に濃度補正が行えるようにしている。
【0058】
図11は、本実施形態における濃度補正値算出方法のフローチャートである。
まず、重複領域におけるデューティを決定するために、デューティ決定用パターンを印刷する(S102)。
図12Aは、本実施形態におけるデューティ決定用パターンのデューティの説明図である。図12Bは、本実施形態におけるデューティ決定用パターンの説明図である。図12Bには、デューティ決定用パターンを印刷する上流側ヘッド31Bと下流側ヘッド31Aとが示されている。また、媒体を搬送方向に搬送しつつ、これらのヘッドからインクを噴射して形成したデューティ決定用パターンが示されている。
【0059】
デューティ決定用パターンは、非重複領域に属するノズルによって形成された非重複領域のパターンと、重複領域に属するノズルによって形成された重複領域のパターンとを含む。非重複領域のパターンは、非重複領域に属するノズルが100%の最高デューティでインクを噴射して印刷したパターンである。一方、重複領域のパターンは、重複領域に属する上流側ヘッド31Bのノズルと下流側ヘッド31Aのノズルからインクが噴射され印刷されたパターンである。
【0060】
重複領域における各ノズルのデューティは、図12Aに示される通りである。重複領域におけるデューティ決定用パターンは、第1領域から第6領域に分割できる。第1領域では、重複領域において上流側ヘッド31Bのノズルが50%のデューティでインクを噴射し、下流側ヘッド31Aのノズルが50%のデューティでインクを噴射する。すなわち、重複領域の合計デューティは、100%となる。
【0061】
第2領域では、重複領域において上流側ヘッド31Bのノズルと下流側ヘッド31Aのノズルはそれぞれ60%のデューティでインクを噴射する。すなわち、重複領域の合計デューティは、120%となる。同様にして、重複領域に属するノズルのデューティを段階的に上昇させ、第3領域から第6領域にもインクが噴射される。このようにして、最終的には、第6領域の合計デューティは、200%となる。
【0062】
次に、重複領域の画素列の濃度のうち最も低い濃度が、非重複領域の画素列における最も低い濃度以上となっている合計デューティを特定する(S104)。
図13は、デューティの特定の処理のフローチャートである。
まず、前述のようにして印刷されたデューティ決定用パターンをスキャナーで読み取る(S1041)。そして、第1領域から第6領域の各領域について、画素列単位で濃度の平均値を求める。また、非重複領域についても画素列単位で濃度の平均値を求める(S1042)。
【0063】
そして、第1領域の画素列の濃度のうち最も低い濃度を特定する。また、非重複領域の画素列の濃度のうち最も低い濃度を特定する。そして、第1領域の最も低い濃度が、非重複領域の最も低い濃度以上か否かを判定する(S1043、S1044)。そして、非重複領域の最も低い濃度以上である場合には、第1領域を形成した合計デューティである50%と50%のデューティを採用することに決定する(S1046)。一方、非重複領域の最も低い濃度以上ではなかった場合には、対象を第2領域にして(S1045)、第2領域の最も低い濃度が、非重複領域の最も低い濃度以上か否かを判定する(S1043、S1044)。
【0064】
このような動作を最大で第6領域まで繰り返すことにより、重複領域の画素列の濃度のうち最も低い濃度が、非重複領域の画素列における最も低い濃度以上となっている合計デューティを特定することができる。
【0065】
このようにして、合計デューティの特定が完了すると、重複領域のノズルに関しては、特定した合計デューティで濃度補正用パターンを印刷し、濃度補正値を算出する(S106)。前述のように、ここでは濃度30%の帯状パターンと、濃度50%の帯状パターンと、70%の帯状パターンが採用されていた。例えば、特定した合計デューティが、120%であった場合、重複領域についての濃度30%の帯状パターンは30%×1.2=36%の帯状パターンとなる。一方、非重複領域についての濃度30%の帯状パターンは30%のままである。すなわち、重複領域については、非重複領域の濃度以上の帯状パターンで濃度補正用パターンが印刷されることになる。
【0066】
そして、濃度補正用パターンを用いた濃度補正値の算出方法は上記の比較例のものとほぼ同様である。ただし、比較例では、全列領域の読み取り階調値の平均値Cbtを、「目標Cbt」として設定していたが、本実施形態では、全列領域において最も濃度の低い読取階調値を「目標値Cbt」として設定する。このようにして、目標値を設定することにより、濃度不足とならないような濃度補正値を求めることができるようになる。
【0067】
このようにして求められた濃度補正値は、プリンター1ごとにメモリー13に記憶される。また、重複領域において採用された合計デューティもプリンター1ごとにメモリー13に記憶される。そして、印刷を行う際に重複領域は採用された合計デューティを用い、また、これらの濃度補正値を用いて印刷を行う。
【0068】
このようにすることで、濃度補正を行う際に濃度不足及び発色性能の悪化を生じさせることなく、適切に印刷を行うことができる。
【0069】
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンターを有する印刷システムについて記載されているが、濃度むら補正方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0070】
<流体噴射装置について>
前述の実施形態では、流体噴射装置としてインクジェットプリンターを例示していたが、これに限らない。流体噴射装置であれば、プリンターではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、流体の噴射方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより流体を噴射するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を噴射させるサーマル方式でもよい。また、流体はインクなどの液体に限らず、粉体などでもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ベルト、22A,22B 搬送ローラー、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド、
40 検出器群、50 コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを噴射する第1ノズルが所定方向に並んだ第1ノズル列と、
前記インクを噴射する第2ノズルが前記所定方向に並んだ第2ノズル列であって、前記所定方向における一方側の端部が前記第1ノズル列の前記所定方向における他方側の端部と重なる重複領域を形成して配置された第2ノズル列と、
前記所定方向と交差する交差方向に媒体を相対移動させる移動部と、
を備え、前記重複領域において前記第1ノズルと前記第2ノズルとで分担した合計デューティで前記インクを噴射する印刷装置の濃度補正値算出方法であって、
(A)デューティ決定用パターンにおいて前記交差方向に並ぶ画素からなる画素列毎の濃度を求めることであって、前記重複領域のパターンが前記重複領域ではない非重複領域の最高デューティよりも高い合計デューティで複数形成された前記デューティ決定用パターンにおける画素列毎の濃度を求めることと、
(B)前記重複領域の画素列の濃度のうち最も低い濃度が、前記非重複領域の画素列における最も低い濃度以上となっている前記合計デューティを特定することと、
(C)特定した前記合計デューティで形成された濃度補正用パターンを用いて前記画素列毎の濃度補正値を算出することであって、前記濃度補正用パターンの画素列の濃度のうち最低濃度が基準となるようにして濃度補正値を算出することと、
を含む補正値算出方法。
【請求項2】
前記デューティ決定用パターンの前記重複領域のパターンは、段階的に前記合計デューティが異ならされて複数形成される、請求項1に記載の補正値算出方法。
【請求項3】
前記デューティ決定用パターンの前記重複領域のパターンは、前記第1ノズルと前記第2ノズルとが等しい分担率のデューティで形成される、請求項1又は2に記載の補正値算出方法。
【請求項4】
前記濃度補正用パターンは、前記交差方向に並ぶ画素からなる画素列毎の濃度補正を行うためのパターンである、請求項1〜3のいずれかに記載の補正値算出方法。
【請求項5】
前記濃度補正値を算出するときにおいて、形成された前記濃度補正用パターンの濃度が前記画素列単位で求められ、求められた前記画素列ごとの濃度に基づいて前記濃度補正値が算出される、請求項1〜4のいずれかに記載の補正値算出方法。
【請求項6】
前記濃度補正値を算出するときにおいて、前記濃度補正用パターンの画素列の濃度のうち最低濃度が基準となるような比率を乗じて濃度補正値が算出される、請求項1〜5のいずれかに記載の補正値算出方法。
【請求項7】
前記デューティ決定用パターンの形成において、前記非重複領域は前記最高デューティのみでパターンが形成される、請求項1〜6のいずれかに記載の補正値算出方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の補正値算出方法によって求められた前記濃度補正値で前記画素列ごとの補正を行って印刷を行う印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図5】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−176526(P2012−176526A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40241(P2011−40241)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】