説明

補正機能付き計測センサ

【課題】小形の計測センサの場合、素子が接続された基板から発生する熱が、素子が検出する温度信号や湿度信号に大きく影響する。この基板からの熱は、素子がどのように基板に取り付けられるかにより、伝わる熱の大きさに違いが生じる。これにより、正しく温度や湿度を測定することが困難である。
【解決手段】本件発明では、本体回路に接続され、湿度に応じた湿度信号を出力する湿度検出部と、本体回路に接続され、湿度検出部近傍の温度信号を出力する温度検出部と、本体回路の発熱量を算出する発熱量算出部と、湿度検出部が検出する湿度信号を温度検出部が検出する温度信号と発熱量算出部が算出した発熱量に基づき補正する湿度補正部と、からなる補正機能付き計測センサを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は温度および湿度を測定する温度センサおよび湿度センサに関するものであり、特に温度センサおよび湿度センサが接続された電子回路の発熱が、温度および湿度の測定値に与える影響による誤差を考慮して補正を行うことを特徴としている。
【背景技術】
【0002】
一般的に電子式湿度センサと呼ばれる静電容量式湿度センサや電気抵抗式湿度センサで測定される湿度は相対湿度であり、ある温度の気体中に含まれる水蒸気量をその温度の飽和水蒸気量で割った量である。このため、湿度センサで湿度の測定を行う場合、感湿素子の温度が測定環境温度と異なっている場合には、無視しえない誤差を生ずることになる。また、感湿素子の特性は温度が変化した場合に必ずしも一定ではなく、感湿素子特性の温度による影響を補正することも必要となることが多い。このため一般的に湿度を測定する際には、特許文献1のように感湿素子とともに素子部分の温度を測定する感温素子を備えている場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−160268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子部品の小形化に伴い、電子回路を有するセンサについても小形化がなされている。特に小形のセンサの場合、感温素子、感湿素子が電子回路の近くに配置されることが多く、この場合、電子回路からの発熱が感温素子、感湿素子の測定値に影響を与える場合がある。このため、温度センサおよび湿度センサにおいては、電子回路の発熱を可能な限り小さくし、発熱の影響を受けない位置に感温素子、感湿素子を配置する等の工夫が必要である。しかし、小形化を実現した場合、電子回路の発熱による回路の温度上昇は大きくなる方向であり、また素子を配置可能な位置は限定されることになる。更に、電子回路の発熱による感温素子と感湿素子との温度上昇は、各素子の接続形態によって異なることがあり得る。例として、感温素子が3本の導線によって電子回路に接続され、感湿素子が2本の導線によって電子回路に接続されている場合では、電子回路部からの熱伝導が異なることになる。更に、接続する導線の材質、太さ等が異なる場合においても同様である。これらにより、正しい温度や湿度を測定することが困難となり、また感温素子からの情報による湿度測定値への補正も困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本件発明では、上記問題を鑑み、以下の補正機能付き計測センサおよびその動作方法を提供する。第一の発明としては、本体回路に接続され、温度に応じた温度信号を出力する温度検出部と、本体回路の発熱量を算出する発熱量算出部と、温度検出部が検出する温度信号を、発熱量算出部が算出した発熱量に基づき補正し、補正温度信号を出力する温度補正部と、からなる補正機能付き計測センサを提供する。
【0006】
第二の発明としては、前記発熱量算出部は、本体回路に供給される電源電圧を測定する電源電圧測定手段を有し、発熱量算出部は、電源電圧測定手段が測定した電源電圧に基づき本体回路の発熱量を算出する第一の発明に記載の補正機能付き計測センサを提供する。
【0007】
第三の発明としては、前記温度補正部は、予め測定された本体回路の発熱量および前記温度信号の補正量の関係を保持する温度補正量保持手段を有する第一の発明または第二の発明に記載の補正機能付き計測センサを提供する。
【0008】
第四の発明としては、前記温度検出部近傍に配置され、湿度に応じた湿度信号を出力する湿度検出部と、前記温度補正部が出力した補正温度および発熱量算出部が算出した発熱量に基づき、湿度信号を補正し補正湿度信号を出力する湿度補正部と、をさらに有する第一の発明から第三の発明のいずれか一に記載の補正機能付き計測センサを提供する。
【0009】
第五の発明としては、前記湿度補正部は、予め測定された本体回路の発熱量および補正温度信号の関係を保持する湿度補正量保持手段を有する第一の発明から第四の発明のいずれか一に記載の補正機能付き計測センサを提供する。
【0010】
第六の発明としては、温度に応じた温度信号を出力する温度検出ステップと、本体回路の発熱量を算出する発熱量算出ステップと、温度検出ステップが検出する温度信号を、発熱量算出ステップが算出した発熱量に基づき補正し、補正温度信号を出力する温度補正ステップと、からなる補正機能付き計測センサの動作方法を提供する。
【0011】
第七の発明としては、前記発熱量算出ステップにおいて、本体回路に供給される電源電圧を測定する電源電圧測定サブステップを有し、発熱量算出ステップは、電源電圧測定サブステップが測定した電源電圧に基づき本体回路の発熱量を算出する第六の発明に記載の補正機能付き計測センサを提供する。
【0012】
第八の発明としては、前記温度補正ステップは、予め測定された本体回路の発熱量および前記温度信号の補正量の関係を保持する温度補正量保持サブステップを有する第六の発明または第七の発明に記載の補正機能付き計測センサを提供する。
【0013】
第九の発明としては、湿度に応じた湿度信号を出力する湿度検出ステップと、前記温度補正ステップが出力した補正温度および発熱量算出ステップが算出した発熱量に基づき、湿度信号を補正し補正湿度信号を出力する湿度補正ステップと、をさらに有する第六の発明から第八の発明のいずれか一に記載の補正機能付き計測センサを提供する。
【0014】
第十の発明としては、前記湿度補正ステップは、予め測定された本体回路の発熱量および補正温度信号の関係を保持する湿度補正量保持サブステップを有する第六の発明から第九の発明のいずれか一に記載の補正機能付き計測センサを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本件発明の補正機能付き計測センサのように、湿度検出部および温度検出部が接続された本体回路からの発熱量を考慮し、温度信号および湿度信号を補正することで、より正確な温度、湿度値を得ることが可能となる。
【0016】
温度信号を本体回路の発熱量、すなわち電源電圧に基づき補正し、湿度信号を本体回路の発熱量、すなわち電源電圧と補正された温度信号に基づき補正することで、本体回路からの発熱の影響を考慮した、正確な温度および湿度値を測定することが可能となる。
【0017】
本件発明の補正機能付き計測センサは、特に、本体回路の発熱の影響を受けやすい小形の湿度センサに有効であり、更に広い電源電圧範囲を保証することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1の補正機能付き計測センサの機能ブロック図
【図2】実施形態1の補正機能付き計測センサの機能ブロック図
【図3】実施形態1の補正機能付き計測センサの機能ブロック図
【図4】実施形態1の補正機能付き計測センサの機能ブロック図
【図5】実施形態1の補正機能付き計測センサの機能ブロック図
【図6】実施形態2の補正機能付き計測センサのハードウエア構成図
【図7】実施形態2の補正機能付き計測センサのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0020】
実施形態1は主に請求項1、請求項2、請求項3などに関する。実施形態2は主に請求項4、請求項5などに関する。
<<実施形態1>>
<実施形態1 概要>
【0021】
本実施形態は、温検出部が検出し出力する温度信号を、本体回路の発熱量を考慮し補正したことを特徴とする計測センサである。本体回路の発熱量を考慮し、温度信号を補正することで、正確な温度を測定することが可能となる。
<実施形態1 構成>
【0022】
図1に本実施形態の補正機能付き計測センサの機能ブロック図を示した。本実施形態の計測センサは、本体回路(0101)に接続され、温度に応じた温度信号を出力する温度検出部(0102)と、本体回路の発熱量を算出する発熱量算出部(0103)と、温度検出部が検出する温度信号を、発熱量算出部が算出した発熱量に基づき補正し、補正温度信号を出力する温度補正部(0104)と、からなる。
【0023】
「温度検出部」は、温度を測定し温度信号を出力する感温素子などである。温度検出部に用いられる感温素子としては、測温抵抗体やサーミスタなどを使用することが可能である。これらの感温素子については、使用環境に応じて適宜選択する。また、この温度検出部は後述する本体回路と導線により接続されている。
【0024】
「本体回路」は、前述の温度検出部が接続された基板などに配置された回路であり、この本体回路上には、温度検出部が検出した温度信号を温度値に変換したりするための演算処理回路等が搭載されている。この他にも、後述する温度補正部における処理や、発熱量の算出等を行ったり、補正された温度を外部機器へ出力するためのインターフェイスなどが接続や搭載されている。
【0025】
「発熱量算出部」は、先に説明した本体回路において、本体回路が発熱する発熱量を算出する。この発熱量算出部が発熱した発熱量に基づき、後述する温度補正部において、温度検出部が検出した温度信号の補正を行い、補正温度信号として出力する。本体回路には、温度検出部や、演算処理回路が搭載されているため、演算処理や温度検出のために電源が供給されている。このため、電源が供給された本体回路は、演算処理回路による処理等によるわずかな発熱は避けられない。発熱量算出部では、この本体回路が発熱する発熱量を算出する。
【0026】
発熱量を算出する方法としては、図2に示したように、温度検出部(0201)と発熱量算出部(0202)と温度補正部(0203)とからなる補正機能付き計測センサにさらに、発熱量算出部が、本体回路に供給される電源電圧を測定する電源電圧測定手段(0204)を有し、電源電圧測定手段が測定した電源電圧に基づき本体回路の発熱量を算出するように構成してもよい。
【0027】
より具体的には、発熱量算出部に本体回路に供給される電源電圧を測定する電源電圧測定手段を設け、電源電圧測定手段が測定した電源電圧に基づき本体回路の発熱量を算出するように構成してもよい。本体回路の発熱量は、本体回路に供給される電源電圧と相関があることから、電源電圧測定手段が測定した電源電圧と発熱量の相関を予め測定し、電源電圧を測定することで発熱量を算出するようにする。
【0028】
「温度補正部」は、温度検出部が検出する温度信号を、発熱量算出部が算出した本体回路の発熱量に基づき補正を行う。温度検出部は、先に説明したように、本体回路に接続されているため、本体回路の発熱に影響される。そこで、温度補正部では、温度検出部が検出した温度信号を発熱量算出部が算出した本体回路の発熱量に基づく影響を考慮して補正を行い、補正された温度信号を補正温度信号として出力する。
【0029】
また、補正温度信号を算出するには、ために、図3に示したように、温度検出部(0301)と発熱量算出部(0302)と温度補正部(0303)と電源電圧測定手段(0304)とからなる補正機能付き計測センサにさらに、温度補正部が、予め測定された本体回路の発熱量および温度信号と補正温度信号の温度補正量の関係を保持する温度補正量保持手段(0305)を有するように構成してもよい。
【0030】
これにより、温度補正部では、温度検出部が検出した温度信号と発熱量算出部が算出する本体回路の発熱量を考慮して、温度検出部が検出した温度信号を補正することが可能となる。
【0031】
尚、補正温度信号は、温度補正部にて温度値に変換してもよい。また、補正温度信号および変換された温度値を計測センサ外部に出力してもよいし、後述する湿度信号の補正のみに使用してもよい。
【0032】
また、本実施形態のハードウエア構成および処理の流れについては、実施形態2にて詳細を説明するため、本実施形態での説明は省略する。
<実施形態1 効果>
【0033】
本実施形態の補正機能付き計測センサのように、本体回路の発熱量を考慮し、温度信号を補正することで、温度検出部、すなわち感温素子における正確な温度を測定することが可能となる。
<<実施形態2>>
<実施形態2 概要>
【0034】
本実施形態は、実施形態1の計測センサに、さらに湿度を測定する湿度検出部を有し、湿度検出部が検出する湿度信号を、補正温度信号と本体回路の発熱量に基づき補正を行うことを特徴としている。
<実施形態2 構成>
【0035】
図4に本実施形態の補正機能付き計測センサの機能ブロック図を示した。本実施形態の補正機能付き計測センサは、実施形態1に述べた温度検出部(0401)と発熱量算出部(0402)と温度補正部(0403)と電源電圧測定手段(0404)と温度補正量保持手段(0405)にさらに、温度検出部近傍に配置され、湿度に応じた湿度信号を出力する湿度検出部(0406)と、温度補正部が出力した補正温度および発熱量算出部が算出した発熱量に基づき、湿度信号を補正し補正湿度信号を出力する湿度補正部(0407)と、をさらに有する。
【0036】
「湿度検出部」は、水蒸気を検知し自身の静電容量の変化から湿度信号を出力する感湿素子などである。具体的には、電極間に高分子膜が設けられ、この高分子膜に含まれる水分量が変化することで、高分子膜の誘電率に変化が生じる。この湿度検出部の容量値変化は、湿度検出部近傍の相対湿度に応じて変化するものであり、湿度検出部の温度が本体回路の発熱の影響を受けている場合には、湿度検出部近傍の相対湿度が測定すべき相対湿度に対して変化していることになる。このため、本体回路の影響による温度変化を検知しておく必要がある。また、この湿度検出部は、後述する本体回路と導線により接続されている。
【0037】
「湿度補正部」は、湿度検出部が検出する湿度信号を温度検出部が検出し、温度補正部が補正した補正温度信号と発熱量算出部が算出した発熱量に基づき補正を行い補正湿度信号として出力する。湿度検出部は先に説明したように、湿度に応じて静電容量が変化する。本実施形態の計測センサでは、湿度補正部において静電容量から湿度値(相対湿度など)に変換するが、この際、湿度検出部の感湿素子に本体回路からの発熱の影響がある場合には、相対湿度測定値に誤差を生ずる恐れがある。
【0038】
湿度検出部の温度は、湿度検出部が独立して存在する場合には、温度検出部が検出する湿度検出部近傍の温度にほぼ等しくなる。しかし、前述のように、湿度検出部は、基板本体に接続されている。同様に、温度検出部も本体回路に接続されているため、湿度検出部と温度検出部は、独立して配置されている状態とは異なり、基板本体の発熱に影響されることとなる。特に、小形のセンサの場合は、本体回路の発熱に大きくなり、湿度検出部が検出する湿度信号に大きく影響する。
【0039】
仮に、湿度検出部と温度検出部が受ける本体回路からの発熱の影響が等しい場合、湿度検出部の温度は、温度検出部が検出する温度信号にほぼ等しくなるが、本体回路からの発熱の影響を等しくするのは容易ではない。温度検出部を湿度検出部の近傍に配し、本体回路からの距離もほぼ等しく、本体回路からの導線の長さを等しくしたとしても、湿度検出部と温度検出部が受ける本体回路の発熱による影響は、完全には等しくならない。例えば、本体回路と湿度検出部および温度検出部を接続する導線の材質や太さが異なることで、熱伝導率が異なり、本体回路の発熱による影響が異なる。また、温度検出部と湿度検出部の検出素子の形状は完全に同一でないことが多く、検出素子から周囲環境への放熱の影響も異なる。このような理由から、湿度検出部と温度検出部が受ける本体基板の発熱の影響を等しくすることは困難である。
【0040】
そこで図5に示したように、温度検出部(0501)と発熱量算出部(0502)と温度補正部(0503)と電源電圧測定手段(0504)と温度補正量保持手段(0505)と湿度検出部(0506)と湿度補正部(0507)とからなる補正機能付き計測センサにさらに、湿度補正部が、予め測定された本体回路の発熱量および前記温度信号と湿度信号の湿度補正量の関係を保持する湿度補正量保持手段(0508)を有するように構成してもよい。
【0041】
これにより、湿度補正部では、温度検出部が検出した温度信号に対し、発熱量算出部が算出する本体回路の発熱量から温度検出部の温度上昇分を考慮して、さらに湿度検出部が検出した湿度信号と発熱量算出部が算出する本体回路の発熱量から湿度素子の温度上昇分を考慮して補正された温度信号に基づき、湿度検出部が検出した湿度信号を補正することが可能となる。
【0042】
具体的には、所定条件下に計測センサを配置し、前述の電源電圧測定手段によって電源電圧を測定し、電源電圧による本体回路の発熱量と湿度検出部と温度検出部が受ける影響を予め測定する。そして、この測定されたデータを本体回路の発熱量および温度信号に対する温度補正量、湿度信号に対する湿度補正量の関係として、湿度補正部の補正量保持手段に保持しておき、湿度補正部が温度の補正を行う際に補正量保持手段が保持している本体回路の発熱量および温度信号への補正量に基づき温度信号の補正を行う。さらに湿度補正部が湿度の補正を行う際に、補正量保持手段が保持している本体回路の発熱量および補正された温度信号、すなわち補正温度信号と湿度信号の湿度補正量に基づき、湿度信号の補正を行う。この際、湿度補正部は湿度信号の補正のみならず、湿度信号を相対湿度などの湿度値に変換してもよいし、湿度値に変換されたデータを補正するように構成してもよい。湿度検出部の補正は、湿度検出部の本体回路から影響される温度補正量として補正量保持手段に保持し、温度補正部で補正された温度信号を正しい温度値として、湿度検出部からの信号を水蒸気圧演算して相対湿度等に変換することも可能である。このように、補正演算は物理量や実験値に基づき、種々の方法が可能であり、補正量保持手段に保持するデータもそれに合わせて湿度値を補正可能なデータとすればよい。
<実施形態2 ハードウエア構成>
【0043】
図6に本実施形態の各構成要件をハードウエアとして実現した際の、補正機能付き計測センサにおける構成の一例を示す概略図である。この図を利用して補正機能付き計測センサのそれぞれのハードウエアの動きについて説明する。
【0044】
本実施形態の補正機能付き計測センサは、図6に示したように、各種演算処理を行うCPU(0601)や主メモリ(0602)、また各種処理や判断を行うプログラムや、本体回路の発熱量、発熱による温度検知部および湿度検知部への影響量、温度信号の温度補正および湿度信号の湿度補正を行うためのデータなどを記憶保持するフラッシュメモリなどの記憶領域(0603)や、温度値や湿度値、温度信号や湿度信号を外部機器へ出力するための通信インターフェイス(0604)などを備えている。また、湿度信号をおよび温度信号を出力する感湿素子(0605)および感温素子(0606)を備えている。そしてそれらがシステムバスやデータ通信経路(0607)によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。また、主メモリは、各種処理を行うプログラムをCPUに実行させるために読み込ますと同時にそのプログラムの作業領域でもあるワーク領域を提供する。また、この主メモリや記憶装置にはそれぞれ複数のメモリアドレスが割り当てられており、CPUで実行されるプログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとり行い、処理を行うことが可能となっている。
【0045】
CPUは、温度信号および湿度信号の補正演算や、本体回路の発熱量の算出、本体回路の発熱による温度検知部および湿度検知部への影響量の算出、電源電圧の測定等を行うためのプログラムを主メモリに展開する。CPUは展開されたプログラムに基づき、温度信号および湿度信号の補正演算や、本体回路の発熱量の算出、本体回路の発熱による温度検出部および湿度検出部への影響量の算出、電源電圧の測定等を行う。各演算結果や測定結果、検出された湿度信号や温度信号は、一時的に主メモリ上に保存される。検出された温度信号および湿度信号の補正を行う際、CPUは予め記憶領域に保存されている補正用データを呼び出し、演算を行う。最終的に演算された温度値および湿度値は、インターフェイスを介して外部機器へ出力される。
<実施形態2処理の流れ>
【0046】
図7に本実施形態の補正機能付き計測センサの処理の流れを説明するフローチャートを示した。本実施形態の補正機能付き計測センサは、まず、湿度検出部から湿度信号を出力(S0701)し、その際に温度検出部から、湿度検出部近傍の温度信号を出力する(S0702)。次に、発熱量算出部では、本体回路の発熱量を電源電圧測定手段が測定した本体回路に供給される電源電圧に基づき算出する(S0703)。湿度補正部では、湿度検出部と温度検出部において、本体回路の発熱から受ける影響が異なることを前提に、先に得られた湿度信号を、温度信号および本体回路の発熱量を元に、発熱による影響量を算出し、予め保存されている本体回路の発熱量および温度信号と湿度信号の湿度補正量の関係に基づき、補正を行い(S0704)、湿度値として外部機器へ出力する(S0705)。
<実施形態2 効果>
【0047】
本実施形態の補正機能付き計測センサのように、湿度検出部及び温度検出部が接続された本体回路からの発熱量を考慮し、湿度信号を補正することでより正確な湿度値を測定することが可能となる。また、本体回路の発熱量は、本体回路に供給される電源電圧に基づき算出することが可能である。湿度信号を温度信号と本体回路の発熱量すなわち電源電圧に基づき補正することで、本体回路からの発熱の影響を考慮した、正確な湿度値を測定することが可能となる。特に、本実施形態の補正機能付き計測センサは、本体回路の発熱量の影響を受けやすい小形の計測センサに有効である。
【符号の説明】
【0048】
0101 本体回路
0102 0201 0301 0401 0501 温度検出部
0103 0202 0302 0402 0502 発熱量算出部
0104 0203 0303 0403 0503 温度補正部
0204 0304 0404 0504 電源電圧測定手段
0305 0405 0505 温度補正量保持手段
0406 0506 湿度検出部
0407 0507 湿度補正部
0508 湿度補正量保持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体回路に接続され、温度に応じた温度信号を出力する温度検出部と、
本体回路の発熱量を算出する発熱量算出部と、
温度検出部が検出する温度信号を、発熱量算出部が算出した発熱量に基づき補正し、補正温度信号を出力する温度補正部と、
からなる補正機能付き計測センサ。
【請求項2】
前記発熱量算出部は、本体回路に供給される電源電圧を測定する電源電圧測定手段を有し、
発熱量算出部は、電源電圧測定手段が測定した電源電圧に基づき本体回路の発熱量を算出する請求項1に記載の補正機能付き計測センサ。
【請求項3】
前記温度補正部は、予め測定された本体回路の発熱量および前記温度信号の補正量の関係を保持する温度補正量保持手段を有する請求項1または2に記載の補正機能付き計測センサ。
【請求項4】
前記温度検出部近傍に配置され、湿度に応じた湿度信号を出力する湿度検出部と、
前記温度補正部が出力した補正温度および発熱量算出部が算出した発熱量に基づき、湿度信号を補正し補正湿度信号を出力する湿度補正部と、
をさらに有する請求項1から3のいずれか一に記載の補正機能付き計測センサ。
【請求項5】
前記湿度補正部は、予め測定された本体回路の発熱量および補正温度信号の関係を保持する湿度補正量保持手段を有する請求項1から4のいずれか一に記載の補正機能付き計測センサ。
【請求項6】
温度に応じた温度信号を出力する温度検出ステップと、
本体回路の発熱量を算出する発熱量算出ステップと、
温度検出ステップが検出する温度信号を、発熱量算出ステップが算出した発熱量に基づき補正し、補正温度信号を出力する温度補正ステップと、
からなる補正機能付き計測センサの動作方法。
【請求項7】
前記発熱量算出ステップにおいて、本体回路に供給される電源電圧を測定する電源電圧測定サブステップを有し、
発熱量算出ステップは、電源電圧測定サブステップが測定した電源電圧に基づき本体回路の発熱量を算出する請求項6に記載の補正機能付き計測センサ。
【請求項8】
前記温度補正ステップは、予め測定された本体回路の発熱量および前記温度信号の補正量の関係を保持する温度補正量保持サブステップを有する請求項6または7に記載の補正機能付き計測センサ。
【請求項9】
湿度に応じた湿度信号を出力する湿度検出ステップと、
前記温度補正ステップが出力した補正温度および発熱量算出ステップが算出した発熱量に基づき、湿度信号を補正し補正湿度信号を出力する湿度補正ステップと、
をさらに有する請求項6から8のいずれか一に記載の補正機能付き計測センサ。
【請求項10】
前記湿度補正ステップは、予め測定された本体回路の発熱量および補正温度信号の関係を保持する湿度補正量保持サブステップを有する請求項6から9のいずれか一に記載の補正機能付き計測センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−167972(P2012−167972A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28091(P2011−28091)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000133526)株式会社チノー (113)
【Fターム(参考)】