説明

補正装置、補正方法及び補正装置用プログラム

【課題】例えば測位電波が受信できない状態において、道路の状態に応じて例えば加速度センサ等のセンサの機能に誤差が生じる場合でも、正確に当該誤差を補正することが可能な補正装置を提供する。
【解決手段】車両に印加されている加速度を検出し、加速度データを生成する加速度センサ1と、加速度データを用いて速度を算出する速度算出部2と、現在位置を検出する位置検出部3と、現在位置に対応する道路の半径データを取得する取得部4と、進行方位を検出するジャイロセンサ5と、進行方位の変化量を算出する変化量算出部6と、道路データと進行方位の変化量とを用いて補正用速度を算出する補正用速度算出部7と、補正用速度を用いて速度算出部2を補正する補正部8と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、補正装置、補正方法及び補正装置用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、速度等の、移動に係る物理量を検出するセンサ等を補正する補正装置及び補正方法並びに当該補正装置用プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば車両に搭載されてその移動を案内するナビゲーション装置が広く一般化している。従来のナビゲーション装置においては、GPS(Global Positioning System)、加速度センサ及びジャイロセンサ等を用いて、移動に伴う車両の現在位置を算出し、算出された現在位置を用いて上記案内が行われる。ここでGPSによる測位においては、例えばトンネル内等ではGPS用の測位電波が受信できない。また例えば高層ビルが建ち並ぶ地域等においては、いわゆるマルチパスによりその測位誤差が大きくなる場合がある。このような、測位電波が受信できない場合や測位誤差が大きくなる場合には、GPSを用いずに、直前に算出された現在位置を起点として、加速度センサやジャイロセンサの検出結果を用いて、現在位置、速度及び移動距離等を自立的に算出して上記案内が行われる。
【0003】
ここで、通常の加速度センサやジャイロセンサでは、温度の変化等の外的要因などにより、その検出結果に誤差が含まれることがある。このような誤差が検出結果に含まれると、加速度センサ等を用いた自立的な位置や速度等の算出結果にも、例えば経時的あるいは累積的な誤差が含まれることになる。そこで通常、これらの誤差を補正する手段として、GPSを用いて算出される速度等を用いて誤差を補正することが行われている。しかしながら上記のように、トンネル内等において測位電波が受信できない場合やマルチパスの影響による測位誤差が大きい場合には、GPSを用いて算出される速度等を用いた、自立的な位置等の算出結果に含まれる誤差の補正ができない場合がある。
【0004】
そこでこのような問題点を解決するための従来技術として、例えば下記特許文献1に開示されている技術がある。特許文献1に開示されている技術では、GPSによる測位電波が受信できなくなった場合、受信できなくなる直前のGPSによる測位位置等を基準として車両の加速度を補正し、当該補正後の加速度を用いてその後の車両位置等を演算する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−286853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている技術を用いても、GPSによる測位電波が受信できない時間やその精度が低下する時間が長くなると、現在位置等の演算結果にも徐々に誤差が含まれてくる。また、例えばトンネル内において道路が複雑にカーブしていたり、あるいは分岐や合流をしていたりする場合、現在位置等の演算結果に含まれる誤差は益々大きくなる。
【0007】
そこで本願は、上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、例えばGPSによる測位電波が受信できない状態において、例えば加速度センサ等のセンサの機能に誤差が生じる場合でも、正確に当該誤差を補正することが可能な補正装置及び補正方法並びに当該補正装置用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、印加されている加速度を検出し、加速度情報を生成する加速度検出手段と、前記加速度情報を用いて速度を算出する速度算出手段と、現在位置を検出する位置検出手段と、前記現在位置に対応する道路の道路データを取得する取得手段と、進行方位を検出する方位検出手段と、前記進行方位の変化量を算出する変化量算出手段と、前記道路データと前記進行方位の変化量とを用いて補正用速度を算出する補正用速度算出手段と、前記補正用速度を用いて前記速度算出手段を補正する補正手段と、を備える。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、加速度情報を用いて速度を算出する速度算出手段を備えた補正装置において実行される補正方法において、印加されている加速度を検出して前記加速度情報を生成する加速度検出工程と、前記加速度情報を用いて前記速度算出手段により速度を算出する速度算出工程と、現在位置を検出する位置検出工程と、前記現在位置に対応する道路の道路データを取得する取得工程と、進行方位を検出する方位検出工程と、前記進行方位の変化量を算出する変化量算出工程と、前記道路データと前記進行方位の変化量とを用いて補正用速度を算出する補正用速度算出工程と、前記補正用速度を用いて前記速度算出手段を補正する補正工程と、を含む。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、コンピュータを、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の補正装置として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る補正装置の概要構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施例に係るナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施例に係る補正処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施例に係る補正処理を示す図であり、(a)は当該補正処理を説明する概念図であり、(b)は当該補正処理の効果を説明する図である。
【図5】第2実施例に係る補正処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施例に係る補正処理を説明する概念図である。
【図7】第2実施例に係る補正処理の効果を説明する図である。
【図8】第3実施例に係る補正処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。なお図1は、実施形態に係る補正装置の概要構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、実施形態に係る補正装置Sは、加速度検出手段1と、速度算出手段2と、位置検出手段3と、取得手段4と、方位検出手段5と、変化量算出手段6と、補正用速度算出手段7と、補正手段8と、を備えて構成されている。
【0014】
この構成において加速度検出手段1は、印加されている加速度を検出し、加速度情報を生成して速度算出手段2に出力する。この加速度情報には、検出された加速度の値を示す情報が含まれている。
【0015】
速度算出手段2は、生成された加速度情報を用いて速度を算出し、算出された速度を補正手段8に出力する。具体的に速度算出手段2は、例えば、加速度情報に含まれている加速度の値を積分することにより速度を算出する。この速度算出手段2による速度の算出処理においては、上記加速度検出手段1による加速度の検出の際に発生する外因による経時的な誤差、又は速度算出手段2による速度の算出処理自体において発生する外因による経時的な誤差等の誤差が含まれる場合がある。
【0016】
一方位置検出手段3は、現在位置を検出する。具体的に位置検出手段3は、例えば従来と同様の方法により現在位置を検出し、その検出結果を取得手段4に出力する。
【0017】
そして取得手段4は、検出された現在位置に対応する道路の道路データを取得して補正用速度算出手段7に出力する。具体的に取得手段4は、例えば補正装置Sに備えられた図1において図示しない記録部に記録されている道路データから、上記現在位置に対応する道路の道路データを取得して補正用速度算出手段7に出力する。あるいは取得手段4は、図1において図示しない通信部を介して外部のネットワークから当該道路データを取得して補正用速度算出手段7に出力してもよい。
【0018】
他方方位検出手段5は、進行方位を検出し、その検出結果を変化量算出手段6に出力する。そして変化量算出手段6は、検出された進行方位の変化量を算出し、その算出結果を補正用速度算出手段7に出力する。
【0019】
これらにより補正用速度算出手段7は、取得手段4により取得された道路データと、変化量算出手段6により算出された進行方位の変化量と、を用いて補正用速度を算出し、算出された補正用速度を補正手段8に出力する。
【0020】
最後に補正手段8は、算出された補正用速度を用いて速度算出手段2を補正する。より具体的に補正手段8は、算出された補正用速度を用いて、例えば、速度算出手段2において算出された速度に含まれる上記経時的な誤差等をリセットする等の補正を行う。この補正後の速度は、その後、例えば移動距離の算出等の処理に用いられる。
【0021】
以上説明したように、実施形態に係る補正装置Sの動作によれば、現在位置に対応する道路の道路データと進行方位の変化量とを用いて算出された補正用速度を用いて速度算出手段2を補正するので、速度算出手段2に誤差が生じる場合でも、正確に当該誤差を補正することができる。
【実施例】
【0022】
次に、上述した実施形態に対応する複数の具体的な実施例について、図2乃至図8を用いて説明する。なお以下に説明する各実施例は、車両に搭載され当該車両の移動を案内するナビゲーション装置における補正処理に本願を適用した場合の実施例である。
【0023】
(I)第1実施例
始めに、実施形態に対応する第1実施例について、図2乃至図4を用いて説明する。なお図2は第1実施例に係るナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図であり、図3は第1実施例に係る補正処理を示すフローチャートであり、図4は当該補正処理を示す図である。このとき図2では、図1に示した実施形態に係る補正装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該補正装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0024】
図2に示すように、実施形態に係る補正装置Sの一例としての第1実施例に係るナビゲーション装置Sは、加速度検出手段1の一例としての加速度センサ1と、方位検出手段5の一例としてのジャイロセンサ5と、CPU、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を含む距離算出手段の一例、測位手段の一例、車速信号取得手段の一例及びカーブ半径推定手段の一例としての処理部9と、メモリ10と、受信手段の一例としてのGPSセンサ11と、通信部12と、操作部13と、記録部14と、メディアドライブ15と、表示部16と、を備えて構成されている。このとき、加速度センサ1、ジャイロセンサ5、処理部9、通信部12、操作部13、記録部14、メディアドライブ15及び表示部16は、バス17を介して相互にデータの授受が可能とされている。更に処理部9は、速度算出手段2の一例としての速度算出部2と、位置検出手段3の一例としての位置検出部3と、取得手段4の一例としての取得部4と、変化量算出手段6の一例としての変化量算出部6と、補正用速度算出手段7の一例としての補正用速度算出部7と、補正手段8の一例及び加速度補正手段の一例としての補正部8と、を備えて構成されている。このとき、速度算出部2、位置検出部3、取得部4、変化量算出部6、補正用速度算出部7及び補正部8は、例えば、図3に示すフローチャートに対応するプログラムが処理部9のCPUにより読み出されて実行されることにより、処理部9において機能的に実現されるものである。
【0025】
また、第1実施例に係るナビゲーション装置Sは、例えば車両の購入後においてその車両のダッシュボード上に備え付けられるナビゲーション装置であり、例えば車軸の回転等に対応するいわゆる車速信号を車両から取得することができないナビゲーション装置である。
【0026】
この構成において加速度センサ1は、ナビゲーション装置Sが搭載されている車両の移動に伴って当該車両に加わる加速度を検出し、検出された加速度を示す加速度データを、バス17を介して処理部9に出力する。加速度センサ1により検出される加速度には、移動に伴う車両の前後又は左右方向の加速度の他、重力加速度が含まれている。この加速度を示す加速度データは、それを一回積分することによる車両の速度の算出に用いられ、更にそれをもう一度積分することによる車両の移動距離の算出に用いられる。
【0027】
具体的には、ある時刻tの速度v(t)は、直前の時刻tn−1において算出されていた速度v(tn−1)と加速度a(t)とを用いて、以下の式(1)により算出される。
【数1】

この式(1)において、右辺第二項は時刻tから時刻tn−1までの速度の変化量である。また、時刻tから時刻tn−1まで移動距離d(t)は、速度v(t)を用いて、以下の式(2)により算出される。
【数2】

【0028】
一方ジャイロセンサ5は、車両の移動に伴う角速度を検出し、検出された角速度を示す角速度データを、バス17を介して処理部9に出力する。この角速度が処理部9において積分されることにより、車両の移動に伴う角度変化が算出される。そして更に、この角度変化と直前の車両の進行方位とから、現在の車両の進行方位が算出される。
【0029】
GPSセンサ11は、図示しない衛星軌道上のGPS衛星からの測位電波を受信し、ナビゲーション装置Sが搭載されている車両の位置、高度、速度等を検出し、その検出結果としてのGPSデータを、バス17を介して処理部9に出力する。このGPSセンサ11からのGPSデータは、加速度センサ1及びジャイロセンサ5それぞれにおける検出結果と共に、例えば車両の現在位置等の算出に用いられる。またGPSデータは、上述したように、加速度センサ1やジャイロセンサ5の検出結果に含まれる誤差を補正する手段としても用いられる。
【0030】
通信部12は、外部の例えばインターネットNWと無線により接続され、車両の案内に必要な渋滞情報や天気情報等を取得する。操作部13は、リモートコントロール装置及び操作ボタン等を含んで構成されており、ナビゲーション装置Sに対する使用者又は運転者の入力操作に対応する操作信号を出力する。メディアドライブ15は、SDメモリカード又は光ディスク等の可搬型記録媒体としてのメディアMDに対する必要なデータの記録及び再生に用いられる。記録部14は、内蔵型記録媒体として例えばハードディスクやSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記録媒体を含んで構成されており、車両の案内に必要な地図データや音声データ等のナビゲーション用データの他、第1実施例に係る後述する補正処理を行うためのプログラムが不揮発性に記憶されている。なおこれらのプログラムは、通信部12を介してネットワークNWから取得するようにしてもよいし、メディアMDに予め記録されている当該プログラムをメディアドライブ15によりメディアMDから読み出して取得することもできる。液晶ディスプレイ等からなる表示部16は、地図等、車両の案内のために必要な情報を表示する。
【0031】
以上の構成において処理部9は、メモリ10との間で必要なデータの授受を行いつつ、以下に説明する第1実施例に係る補正処理を含む車両の案内処理を行う。具体的には、以下に説明する第1実施例に係る補正処理や現在位置検出処理、あるいは地図上の道路データへのマップマッチング処理の他、従来と同様の例えば経路探索処理等を統括制御する。
【0032】
このとき処理部9の速度算出部2は、加速度センサ1から送信されてくる上記加速度データを上記式(1)を用いて積分することにより、車両の速度を自立的に算出する。そして処理部9は、当該算出された速度を上記式(2)を用いて更に積分することにより、車両の移動距離を自立的に算出して上記案内処理に用いる。なおこの時の速度算出処理や移動距離の算出処理には、加速度センサ1による加速度の検出の際に発生する外因による経時的な誤差、又は当該速度算出処理自体において発生する外因による経時的な誤差等の誤差が含まれる場合がある。
【0033】
一方処理部9の位置検出部3は、例えば、記録部14に記録されている地図データ内の道路の方位を示す方位データと、ジャイロセンサ5から出力されてくる上記角速度データを用いた方位算出処理により得られる方位データ(車両の進行方位を示す方位データ)と、を比較することにより、車両の現在位置を検出する。このときの方位算出処理は、上記角速度データを積分して車両の移動に伴う角度変化を算出し、更にこの角度変化と直前の車両の進行方位とから現在の車両の進行方位を算出する処理である。
【0034】
そして処理部9の取得部4は、位置検出部3により検出された現在位置に対応する道路の道路データのうち、例えばその半径データを記録部14から読み出す。この半径データは、現在位置に対応する道路が道路データ上においてカーブしている道路である場合は、そのカーブの半径を示す半径データである。なお、現在位置に対応する道路が直線道路である場合、当該半径データとしての値は道路データ内に記録されていない。またこの半径データを含む道路データは、通信部12を介してネットワークNWから取得してもよい。更に、現在位置に対応する半径データは、上述したように道路データに含まれているものを読み出す他、車両の現在位置周辺の道路データを用いて計算される当該道路自体の形状(例えば、当該道路を示すリンクデータ相互の接続状態等により計算される当該道路自体の形状等)を示すデータを用いて推定するように構成することもできる。
【0035】
他方、処理部9は、ジャイロセンサ5から出力されてくる上記角速度データを用いた上記方位算出処理により上記方位データを算出し、上記案内処理に用いる。これと並行して処理部9の変化量算出部6は、処理部9により算出された方位データの変化量を車両の進行方位の変化量として算出する。
【0036】
そして処理部9の補正用速度算出部7は、取得部4により取得された半径データと、変化量算出部6により算出された進行方位の変化量と、を用いて第1実施例に係る補正用速度を算出する。これにより処理部9の補正部8は、算出された補正用速度を用いて、速度算出部2を補正する。より具体的に補正部8は、算出された補正用速度を用いて、速度算出部2において算出された速度に含まれる上記経時的な誤差等をリセットする補正を行う。この補正後の速度は、その後、例えば処理部9による自立的な移動距離の算出処理(具体的には、当該補正後の速度を積分して移動距離を算出する処理)に用いられる。
【0037】
次に、処理部9の補正部8等を中心として実行される第1実施例に係る補正処理について、具体的に図2乃至図4を用いて説明する。
【0038】
第1実施例に係る補正処理において処理部9は、図3に示すように、先ず位置検出部3により現在位置が検出されているか否かを判定する(ステップS1)。この現在位置は、第1実施例に係る補正処理のために検出される現在位置であってもよいし、他の、例えば経路探索処理等において検出されるものであってもよい。更にステップS1における現在位置の検出は、具体的には例えば上述したように、地図データ内の道路の方位を示す方位データと、車両の進行方位を示す方位データと、を比較し、両者が一致する道路の位置を現在位置とすることにより行われる。ステップS1において現在位置が検出されていないと判定された場合(ステップS1;NO)、処理部9は現在位置が検出されるまでステップS1の判定処理を繰り返す。一方、ステップS1において現在位置が検出されたと判定された場合(ステップS1;YES)、処理部9は次に、第1実施例に係る補正処理を開始すべきタイミングであるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2の判定処理として処理部9は、一般的には、処理部9に対して車両の速度に対応する車速信号が入力されているか否か、及びGPSセンサ11からのGPSデータの精度が予め設定されたしきい値以上あるか否か、の二点を判定する。なお第1実施例に係るナビゲーション装置Sにおいては、上述したように車速信号は元々取得できない構成となっている。よって第1実施例に係るナビゲーション装置SとしてのステップS2の判定処理では、車速信号は常に入力されていないと判定されると共に、GPSデータの精度が上記しきい値との関係で判定されることとなる。なお、GPSセンサ11において、例えば車両がトンネル内を走行している等の理由により上記測位電波が受信できず、よってGPSデータそのものを生成できない場合でも、上記ステップS2においては、GPSデータの精度が上記しきい値未満であると判定される。
【0039】
ここで、第1実施例に係るナビゲーション装置SにおいてGPSデータの精度が上記しきい値以上である場合、ナビゲーション装置Sとしての案内処理に用いる速度データとしては、当該しきい値以上の精度を有するGPSデータを用いて算出すればよいこととなる。よってこの場合には、第1実施例に係る速度補正処理を行う必要はない。そこでステップS2においてGPSデータの精度が上記しきい値以上であると判定された場合(ステップS2;NO)、処理部9は、第1実施例に係る補正処理は実行せず、上記ステップS1の判定処理に戻る。これに対して、GPSデータの精度が上記しきい値未満である場合(ステップS2;YES)、処理部9は次に、現在時刻を示す時刻データ及び現在の車両の進行方位を示す方位データを取得し(ステップS3)、例えばメモリ10又は記録部14に一時的に記録させる(ステップS4)。この時の方位データは、ジャイロセンサ5からの角速度データを用いて処理部9により行われる上記方位算出処理により算出される方位データである。
【0040】
なお、構成上車速信号が取得できるナビゲーション装置における上記ステップS2の判定処理としては、車速信号が取得できるか、又はGPSデータの精度が上記しきい値以上である場合に「NO」と判定され、一方、車速信号が何らかの理由で取得できず、且つGPSデータの精度も上記しきい値未満である場合に、「YES」と判定される。
【0041】
ステップS4において上記時刻データ及び上記方位データが記録されたら、次に処理部9の変化量算出部6は、当該記録した方位データにより示される方位と車両の現在方位とが予め定められた規定角度以上変化しているか否かを判定する(ステップS5)。このステップS5の判定処理に用いられる上記「規定角度」は、例えば「5°」とされる。この規定角度は、例えば、実験的又は経験的に予め定められる規定角度である。このような規定角度との関係でステップS5の判定処理を行うことにより、例えば現在位置に対応する道路のカーブの半径データが大きい(即ちカーブが緩い)場合でも車両の速度が速ければ、第1実施例に係る補正処理が可能となる。また同様に、車両の速度が遅い場合でも現在位置に対応する道路のカーブの半径データが小さい(即ちカーブが急である)のであれば、第1実施例に係る補正処理が可能となる。また、上記ステップS2における判定処理において「YES」と判定された以降最初のステップS5の判定処理であれば、直前のステップS4の処理において記録された方位データにより示される方位は、通常は車両の現在方位を示す方位データであるので、両者は一致し、このタイミングでのステップS5の判定結果は「NO」となる。ステップS5において「NO」と判定された場合、処理部9は次に、ステップS4における現在方位の記録処理から予め定められた既定時間が経過したか否かを判定する(ステップS6)。このステップS6の判定処理に用いられる上記「規定時間」は、例えば「2秒」とされる。この規定時間は、第1実施例に係る補正処理の精度を向上させるためにはより短い方がよいが、その他には、例えば実験的又は経験的に予め決定される。また、上記ステップS2における判定処理において「YES」と判定された以降最初のステップS6の判定処理であれば、上記ステップS4の処理から上記既定時間が経過していないのが通常であるので、ステップS6の判定結果は「NO」となる。ステップS6において「NO」と判定された場合、処理部9は次に、その時点でのジャイロセンサ5からの角速度データを用いて、車両の現在の進行方位を示す方位データを上記方位算出処理により取得する(ステップS7)。その後処理部9は上記ステップS5の処理に移行する。そして処理部9の変化量算出部6は、当該ステップS5として、ステップS4において記録した方位データにより示される方位とステップS7において取得された方位データにより示される車両の現在方位とが上記規定角度以上変化しているか否かを判定する。当該方位の変化が当該規定角度以上である場合(ステップS5;YES)、処理部9は後述するステップS8の処理に移行し、当該方位の変化が当該規定角度未満である場合(ステップS5;NO)、処理部9は再びステップS6に移行する。そして当該ステップS6において、ステップS4における現在方位の記録処理から上記既定時間が経過していない場合(ステップS6;NO)、処理部9は再び上記ステップS7の処理に移行する。一方ステップS4における現在方位の記録処理から上記既定時間が経過している場合(ステップS6;YES)、処理部9は上記ステップS1の処理に移行する。以上のステップS5乃至S7の処理が繰り返し実行されることにより、ステップS4における現在方位の記録処理から上記既定時間内に車両の進行方位が上記規定角度以上変化した場合、換言すれば当該規定時間内に当該規定角度だけ車両がカーブを走行した場合に、処理部9は上記ステップ8以降の処理に移行する。
【0042】
上記ステップS5の判定において、ステップS4において記録した方位データにより示される方位と車両の現在方位とが上記規定角度以上変化している場合(ステップS5;YES)、処理部9の取得部4は、上記ステップS1において検出されている現在位置に対応する道路データを記録部14内において検索し、当該現在位置に対応する道路の半径データを取得する(ステップS8)。なおこの半径データは、上述したようにネットワークNWを介して取得するものであってもよいし、当該現在位置周辺の道路自体の形状を示すデータを用いて推定されるものであってもよい。次に処理部9の補正用速度算出部7は、上記ステップS5において判定されている、ステップS4において記録した方位データにより示される方位と車両の現在方位と間の変化量と、ステップS8の処理により取得されている半径データと、を用いて、以下の式(3)により第1実施例に係る補正用速度vを算出する(ステップS9)。
【0043】
ここで式(3)における「R」は、図4(a)に例示するように自車位置マークM1により現在位置が示される車両が走行している道路Dの半径Rであり、上記ステップS8の処理により取得された半径データにより示されている道路Dの半径Rである。また式(3)における「θ」は、図4(a)に例示するように車両の進行方位の変化量(単位は「度」)であり、上記ステップS5において判定されている方位の変化量である。更に式(3)における「規定時間」は上記ステップS6の判定処理に用いられた規定時間である。
【数3】

【0044】
ステップS9の処理において補正用速度vが算出されたら、次に処理部9の補正部8は、当該補正用速度vを用いて、そのタイミングで速度算出部2により算出されている速度、即ち、加速度データを用いて算出されている速度を補正する(ステップS10)。より具体的に補正部8は、そのタイミングで加速度データを用いて算出されている速度を、上記補正用速度vに置換する。このステップS10の処理により、そのタイミングで加速度データに上記経時的な誤差等の誤差が含まれていたとしても、それを用いて算出されていた速度が上記補正用速度vに置換されることで当該誤差がリセットされることとなる。上記誤差がリセットされた速度を示す速度データは、それ以降の上記式(2)を用いた移動距離の算出に用いられる。ステップS10の処理により速度算出部2が補正されたら、処理部9は上記ステップS1の処理に移行する。
【0045】
以上説明したように、第1実施例に係る動作によれば、現在位置に対応する道路の半径データと進行方位の変化量とを用いて算出された補正用速度vを用いて速度算出部2を補正するので、速度算出部2に誤差が生じる場合でも、正確に当該誤差を補正することができる。即ち、第1実施例に係る補正処理を実行しない場合には、図4(b)左に例示するように、正しい速度vccに対して、速度算出部2において算出される算出速度vに例えば経時的な誤差が含まれていることになり、よってその算出速度vを積分することにより算出される移動距離にも誤差E1が含まれることになる。これに対して、図4(b)右に例示する時刻tにおいて第1実施例に係る補正処理が実行されると、上記ステップS9及びS10の処理がエラー処理でない限り、算出速度vが正しい速度vccに補正される。よって、時刻t以降にそれまでと同様の誤差が算出速度vに含まれることになったとしても、結果として、その算出速度vを積分することにより算出される移動距離における誤差は、元の誤差E1から誤差E2分だけ少なくなる。
【0046】
また、現在位置に対応する道路の半径データを道路データから取得し、その半径データと進行方位の変化量とに基づいて補正用速度vを算出するので、より精度良く補正用速度vを算出してより正確に速度算出部2を補正することができる。
【0047】
更に、補正された速度算出部2により算出された速度を用いて移動距離を算出するので、より正確に移動距離を算出することができる。
【0048】
更にまた、GPSによる測位精度がしきい値以下である間に、第1実施例に係る補正処理が実行されるので、測位電波を用いた測位精度が低い場合でも、速度算出部2を正確に補正することができる。
【0049】
なお、車速信号が取得可能な構成となっているナビゲーション装置において、上記測位精度がしきい値以下であり且つ当該車速信号が取得できない間に、第1実施例に係る補正処理を実行するように構成すれば、測位電波を用いた測位精度が低く、且つ車速信号が取得できない場合でも、速度算出部2を正確に補正することができる。
【0050】
(II)第2実施例
次に、実施形態に対応する他の実施例である第2実施例について、図5乃至図7を用いて説明する。なお図5は第2実施例に係る補正処理を示すフローチャートであり、図6及び図7は当該補正処理を示す図である。
【0051】
第2実施例に係るナビゲーション装置のハードウエア的な構成は、基本的には第1実施例に係るナビゲーション装置Sのハードウエア的な構成と同様である。よって、以下の第2実施例の説明では、第1実施例に係るナビゲーション装置Sと同様のハードウエアについては、同様の部材番号を用いて説明する。更に図5において、第1実施例に係る補正処理(図3参照)と同様の処理については、同様のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
【0052】
上述した第1実施例では、半径データRと車両の進行方位の変化量θとを用いて速度算出部2を補正する場合について説明したが、以下に説明する第2実施例では、速度算出部2に加えて、加速度センサ1をも補正する。
【0053】
第2実施例に係る補正処理においては、図5に示すように、処理部9は、先ず第1実施例に係る補正処理と同様のステップS1乃至S10の処理を実行して、速度算出部2を補正する。
【0054】
次に処理部9は、現在の時刻と現在の車両の速度を取得する(ステップS11)。このステップS11の処理により取得される車両の速度は、直前のステップS10の処理により補正された直後の車両の速度であることになり、ステップS9及びS10の処理としてエラー処理とならない限り、結果的に図4(b)に例示する正しい速度vccに、より近い速度であることになる。次に処理部9は、ステップS10の速度の補正処理が第2実施例に係る補正処理(図5に示す補正処理)全体として二度目以降の補正処理であり、且つ前回の図5に示す補正処理のステップS11において取得された時刻からの経過時間が予め定められた既定間隔以内であるか否かを判定する(ステップS12)。このステップS12の判定処理に用いられる上記「規定間隔」は、第2実施例に係る補正処理として精度の向上の観点からは短い方がよい。この既定間隔は、例えば、ステップS10の処理により補正された速度に基づいて可変とすることもできる。ステップS12において速度の補正処理が二度目以降の補正処理でないか、又は前回からの経過時間が既定間隔以内でないと判定された場合(ステップS12;NO)、処理部9は上記ステップS1の処理に移行する。一方ステップS12において速度の補正処理が二度目以降の補正処理であり、且つ前回からの経過時間が既定間隔以内であると判定された場合(ステップS12;YES)、処理部9は次に、これまで二度以上の上記ステップS11の処理により取得されている速度を用いて、加速度センサ1を補正するための補正用加速度を算出する(ステップS13)。具体的に処理部9は、例えば、時刻tにおいて実行された一度目の上記ステップS11の処理により取得されている車両の速度をvとし、時刻tより遅い時刻tにおいて実行された二度目の上記ステップS11の処理により取得されている車両の速度をvとしたとき、以下の式(4)により第2実施例に係る補正用加速度aを算出する。
【数4】

このステップS13の処理により、図6に例示するように自車位置マークM2により示される時刻tbの現在位置における補正後の速度vと、自車位置マークM3により示される時刻taの現在位置における速度vと、を用いて上記補正用加速度aが算出される。
【0055】
ステップS13の処理において補正用加速度aが算出されたら、次に処理部9は、当該算出された補正用加速度aが、実際に加速度センサ1の補正に用いるための加速度補正条件を満たしているか否かを判定する(ステップS14)。このステップS14の判定処理は、ステップS13の処理において算出された補正用加速度aが明かなエラー値であった場合に、当該エラー値により加速度センサ1が補正されることで、第2実施例に係る補正処理により補正しようとしている誤差が反って大きくなってしまうことを防止するための処理である。ステップS14の判定処理として具体的に処理部9は、例えば、第2実施例に係るステップS9の処理において算出された補正用速度v(即ち上記式(4)に用いられる速度v又は速度vのいずれかである速度)の値が例えば「300km/h」等の明かなエラー値であった場合、又はステップS13の処理において算出された補正用加速度aの値が例えば「4G」等の明かなエラー値であった場合や、補正対象である加速度センサ1から従来と同様にして出力されていた加速度データとステップS13の処理により算出された補正用加速度aとが大きくかけ離れている場合等には、算出された補正用加速度aが加速度補正条件を満たしていないと判定する(ステップS14;NO)。この場合処理部9は、上記ステップS1の処理に移行する。一方ステップ14において、算出された補正用加速度aが加速度補正条件を満たしていると判定された場合(ステップS14;YES)、次に処理部9の補正部8は、算出された補正用加速度aを用いて、そのタイミングで加速度センサ1から出力されている加速度データを補正する(ステップS15)。より具体的に補正部8は、そのタイミングで加速度センサ1から出力されている加速度データを、上記補正用加速度aに置換する。このステップS15の処理により、そのタイミングで加速度データに上記経時的な誤差等の誤差が含まれていたとしても、それ自体が上記補正用加速度aに置換されることで当該誤差がリセットされることとなる。上記誤差がリセットされた加速度データは、それ以降の上記式(1)を用いた速度の算出(間接的には、上記式(2)を用いた移動距離の算出)に用いられる。ステップS15の処理により加速度センサ1が補正されたら、処理部9は上記ステップS1の処理に移行する。
【0056】
以上説明したように、第2実施例に係る補正処理によれば、第1実施例に係る補正処理と同様の作用効果に加えて、補正された加速度センサ1により生成された加速度データを用いて算出された速度を用いて移動距離を算出するので、より正確に移動距離を算出することができる。
【0057】
また、上記既定間隔内において速度算出部2を複数回(二回)補正し、各補正後の速度算出部2によりそれぞれ算出された複数の速度v及び速度vを用いて加速度センサ1を補正するので、速度算出部2と共に加速度センサ1をも補正することで、速度算出部2及び加速度センサ1それぞれにおける誤差を共に補正することができる。即ち、第2実施例に係る補正処理を実行しない場合には、図7(a)左及び図7(b)左にそれぞれ例示するように、正しい加速度a及び正しい速度vccに対して、加速度センサ1からの加速度データにより示される加速度a及び速度算出部2において算出される算出速度vそれぞれに例えば経時的な誤差が含まれていることになり、よってその算出速度vを積分することにより算出される移動距離dにも、例えば図7(c)左に例示する正しい移動距離dccに対して大きな誤差Eが含まれる。これに対して、図7(a)右、図7(b)右及び図7(c)右にそれぞれ例示する時刻tについて第2実施例に係る速度の補正処理(図5ステップS10参照)及び加速度センサ1の補正処理(図5ステップS15参照)が実行されると、加速度a及び算出速度vが、それぞれ正しい加速度acc及び速度vccに補正される。よって、時刻t以降にそれまでと同様の誤差が加速度a及び算出速度vに含まれることになったとしても、結果として、その算出速度vを積分することにより算出される移動距離dの正確な移動距離dccに対する誤差は、図7(c)右に例示する誤差Ed2となる。なお、加速度センサ1のみを補正した場合には、移動距離dの移動距離dccに対する誤差は図7(c)右に例示する誤差Ed1となるが、これに加えて速度の補正処理を実行することで、当該誤差を上記誤差Ed2まで小さくすることができる。
【0058】
(III)第3実施例
最後に、実施形態に対応する更に他の実施例である第3実施例について、図8を用いて説明する。なお図8は第3実施例に係る補正処理を示すフローチャートである。
【0059】
第3実施例に係るナビゲーション装置のハードウエア的な構成は、基本的には第1実施例に係るナビゲーション装置Sのハードウエア的な構成と同様である。よって、以下の第3実施例の説明では、第1実施例に係るナビゲーション装置Sと同様のハードウエアについては、同様の部材番号を用いて説明する。更に、図8において、第1実施例に係る補正処理(図3参照)及び第2実施例に係る補正処理(図5参照)と同様の処理については、同様のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
【0060】
上述した第2実施例に係る補正処理は、例えば二つのカーブが直線で結ばれているような場合、即ち、車両の進行方位が上記規定角度以上変わるカーブが複数あるが、それらが連続していないときに、速度算出部2及び加速度センサ1を補正する場合の処理である。これに対して、以下に説明する第3実施例に係る補正処理は、車両の進行方位が上記規定角度以上変わるカーブが連続するときに、速度算出部2及び加速度センサ1を補正する場合の処理である。なお、車両の進行方位が上記規定角度以上変わるカーブが連続するときとは、同方向のカーブが連続する場合(即ち例えば道路がループ状となっている場合)と、異なる方向のカーブが連続する場合(即ち例えば道路が蛇行している場合)とが含まれる。
【0061】
第3実施例に係る補正処理においては、図8に示すように、処理部9は、先ず第1実施例に係る補正処理と同様のステップS1乃至S10の処理を実行して、速度算出部2を補正する。
【0062】
次に処理部9は、ステップS10の速度の補正処理が第3実施例に係る補正処理(図8に示す補正処理)内で二回目以降の補正処理(即ち、連続するカーブにおいて短時間に繰り返された補正処理)であるか否かを判定する(ステップS20)。ステップS20において速度の補正処理が二回目以降の補正処理でないと判定された場合(ステップS20;NO)、処理部9は上記ステップS1の処理に移行する。一方ステップS20において速度の補正処理が二回目以降の補正処理であると判定された場合(ステップS20;YES)、処理部9は次に、これまで二回以上の上記ステップS10の処理により補正されている速度を用いて、加速度センサ1を補正するための補正用加速度aを算出する(ステップS13)。このステップS13の処理では、第2実施例に係る補正処理と同様の式(4)が用いられる。
【0063】
ステップS13の処理において補正用加速度aが算出されたら、次に処理部9及び補正部8は、第2実施例に係るステップS14及びS15と同様の処理を行い、算出された補正用加速度aを用いて、そのタイミングで加速度センサ1から出力されている加速度データを補正する(ステップS15)。
【0064】
ここで、カーブが連続していない場合に用いられる第2実施例に係る補正処理では、図5ステップS15の処理で加速度センサ1を補正した場合に、もう一度図5ステップS1に戻って現在位置を検出し、更に図5ステップS2において補正処理を開始すべきタイミングであるかどうかを判断する必要がある。これに対してカーブが連続している場合は、図8ステップS2において判定される補正処理を開始すべきタイミングであるか否かという条件は満たされていると考えられることから、第3実施例に係る補正処理のように、図8ステップS15における加速度センサ1の補正処理後は図8ステップS3の処理に戻るのである。
【0065】
以上説明した第3実施例に係る補正処理によっても、第2実施例に係る補正処理と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 加速度検出手段(加速度センサ)
2 速度算出手段(速度算出部)
3 位置検出手段(位置検出部)
4 取得手段(取得部)
5 方位検出手段(ジャイロセンサ)
6 変化量算出手段(変化量算出部)
7 補正用速度算出手段(補正用速度算出部)
8 補正手段(補正部)
9 処理部
11 GPSセンサ
12 通信部
14 記録部
S 補正装置(ナビゲーション装置)
D 道路
R 半径
NW ネットワーク
M1、M2、M3 自車位置マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加されている加速度を検出し、加速度情報を生成する加速度検出手段と、
前記加速度情報を用いて速度を算出する速度算出手段と、
現在位置を検出する位置検出手段と、
前記現在位置に対応する道路の道路データを取得する取得手段と、
進行方位を検出する方位検出手段と、
前記進行方位の変化量を算出する変化量算出手段と、
前記道路データと前記進行方位の変化量とを用いて補正用速度を算出する補正用速度算出手段と、
前記補正用速度を用いて前記速度算出手段を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする補正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の補正装置において、
前記取得手段は、前記現在位置に対応する前記道路のカーブ半径を示す半径データを前記道路データから取得し、
前記補正用速度算出手段は、前記半径データと前記進行方位の変化量とに基づいて前記補正用速度を算出することを特徴とする補正装置。
【請求項3】
請求項1に記載の補正装置において、
前記道路データを用いて当該道路データに対応する前記道路の形状を計算し、当該計算された形状に基づいて前記現在位置に対応する前記道路のカーブ半径を示す半径データを推定するカーブ半径推定手段を更に備え、
前記補正用速度算出手段は、前記半径データと前記進行方位の変化量とに基づいて前記補正用速度を算出することを特徴とする補正装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の補正装置において、
前記補正手段は所定時間内において前記速度算出手段を複数回補正し、
各補正後の前記速度算出手段によりそれぞれ算出された複数の前記速度を用いて前記加速度検出手段を補正する加速度補正手段を更に備えることを特徴とする補正装置。
【請求項5】
請求項4に記載の補正装置において、
補正された前記加速度検出手段により生成された前記加速度情報を用いて前記速度算出手段により算出された前記速度を用いて、移動距離を算出する距離算出手段を更に備えることを特徴とする補正装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の補正装置において、
測位衛星から送信されてくる測位電波を受信する受信手段と、
前記測位電波を用いて前記補正装置の位置を測位する測位手段と、
を更に備え、
前記位置検出手段による前記現在位置の検出、前記取得手段による前記道路データの取得、前記補正用速度算出手段による前記補正用速度の算出及び前記補正手段による前記速度算出手段の補正は、少なくとも前記測位手段による測位精度が、予め設定されているしきい値以下である間に実行されることを特徴とする補正装置。
【請求項7】
請求項6に記載の補正装置において、
当該補正装置は車両に搭載されており、
前記車両からの車速信号を取得する車速信号取得手段を更に備え、
前記位置検出手段による前記現在位置の検出、前記取得手段による前記道路データの取得、前記補正用速度算出手段による前記補正用速度の算出及び前記補正手段による前記速度算出手段の補正は、前記測位精度が前記しきい値以下であり、且つ前記車速信号が取得できない間に実行されることを特徴とする補正装置。
【請求項8】
加速度情報を用いて速度を算出する速度算出手段を備えた補正装置において実行される補正方法において、
印加されている加速度を検出して前記加速度情報を生成する加速度検出工程と、
前記加速度情報を用いて前記速度算出手段により速度を算出する速度算出工程と、
現在位置を検出する位置検出工程と、
前記現在位置に対応する道路の道路データを取得する取得工程と、
進行方位を検出する方位検出工程と、
前記進行方位の変化量を算出する変化量算出工程と、
前記道路データと前記進行方位の変化量とを用いて補正用速度を算出する補正用速度算出工程と、
前記補正用速度を用いて前記速度算出手段を補正する補正工程と、
を含むことを特徴とする補正方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の補正装置として機能させることを特徴とする補正装置用プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−225841(P2012−225841A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95212(P2011−95212)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】