説明

補給水供給装置、この補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置、及び、この洗浄水タンク装置を備えた水洗大便器

【課題】大洗浄と小洗浄とにおいて一定量の補給水を安定して便器にリフィールさせることができる補給水供給装置を備えた水洗大便器を提供する。
【解決手段】本発明は、補給水供給装置19であって、給水装置22から分岐し、その吐水口60aがオーバーフロー管56の開口56aに差し向けられるように固定されてオーバーフロー管56に洗浄水を供給する補給水部28と、開口56aに配置されて吐水口60aからオーバーフロー管56への洗浄水の流入を遮断するように開口56aを開閉する開口開閉手段30であって、大洗浄又は小洗浄を開始してから排水弁42が排水流路9を閉鎖して洗浄水タンク18内の水位が所定の基準水位に上昇するまでの所定期間では開口56aを閉鎖し、所定期間以外の期間では開口56aを開放する開口開閉手段30と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補給水供給装置、この補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置、及び、この洗浄水タンク装置を備えた水洗大便器に係り、特に、便器に補給水を供給する補給水供給装置、この補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置、及び、この洗浄水タンク装置を備えた水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、大洗浄と小洗浄の異なる2つの洗浄水量で便器洗浄を行う水洗大便器において、便器に補給水をリフィールする補給水供給装置が大洗浄と小洗浄とで異なるリフィール水量(補給水量)を便器に供給してしまうので、その差分のリフィール水量が便器の排水トラップ下流へとこぼれ落ちて流れ、無駄に洗浄水を浪費させているものが知られている。
特許文献1に示されているように、そのような無駄な洗浄水の浪費を防止するために、給水装置から分岐したリフィール管の先端開口を、洗浄水タンク内の水位によりオーバーフロー管に沿って上下動するフロートに取付け、フロートと一体に上下動させ、洗浄水タンクの所定水位になるとリフィール管の先端開口からのリフィール水をオーバーフロー管内に供給開始させ、満水水位になるとリフィール管の先端開口からのリフィール水の供給を完了させているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−302781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に示す補給水供給装置におけるように、フロートとリフィール管の先端開口を一体に可動させることにより、フロートと一体のリフィール管の先端開口が、リフィール管からの洗浄水の吐水圧力を受けてオーバーフロー管と接触する等して安定的に上下動せず、リフィール管の先端開口から吐水される補給水をオーバーフロー管内に安定的に流入させることができずに、便器にリフィールされる補給水量が過不足して一定とならない、さらに、大洗浄と小洗浄とにおいて一定量の補給水を便器にリフィールすることができないといった問題(欠点)が生じていた。近年の節水化の要請に伴い、洗浄水量が減らされたことに伴い、この課題がより顕著に生じるようになっている。
【0005】
そこで、本発明は、従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、大洗浄と小洗浄とにおいて一定量の補給水を安定して便器にリフィールすることができる補給水供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、便器を洗浄するための洗浄水を水源から洗浄水タンク内に給水する給水装置と、洗浄水タンクの底面に配置されて便器と連通する排水流路を開閉する排水弁と、排水流路と連通し、洗浄水タンクの底面から上方へ延びるように設けられて洗浄水タンク内の洗浄水が満水水位を超えた場合に洗浄水を便器へ排出するオーバーフロー管と、を有する洗浄水タンク装置に設けられて大洗浄と小洗浄を行う便器に補給水を供給する補給水供給装置であって、給水装置から分岐し、その下流側端部に形成された吐水口がオーバーフロー管の開口に差し向けられるように固定されて吐水口からオーバーフロー管に洗浄水を供給する補給水部と、オーバーフロー管の開口に配置されて補給水部の吐水口からオーバーフロー管への洗浄水の流入を遮断するようにオーバーフロー管の開口を開閉する開口開閉手段であって、排水弁が排水流路を開放して大洗浄又は小洗浄を開始してから排水弁が排水流路を閉鎖して洗浄水タンク内の水位が所定の基準水位に上昇するまでの所定期間ではオーバーフロー管の開口を閉鎖し、所定期間以外の期間ではオーバーフロー管の開口を開放する開口開閉手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、補給水部がオーバーフロー管の開口に差し向けられるように固定された状態で、オーバーフロー管の開口に配置された開口開閉手段により、排水弁が排水流路を開放して大洗浄又は小洗浄を開始してから排水弁が排水流路を閉鎖して洗浄水タンク内の水位が所定の基準水位に上昇するまでの所定期間では、オーバーフロー管の開口を閉鎖して補給水部の吐水口からの補給水がオーバーフロー管内に流入することを防ぐと共に、この補給水を洗浄水タンク内に供給し、所定期間以外の期間では、オーバーフロー管の開口を開放して補給水部の吐水口からの補給水をオーバーフロー管内に安定的に流入させることができる。したがって、大洗浄と小洗浄のそれぞれの場合において補給水部から一定量の補給水を安定して便器にリフィールさせることができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、所定の基準水位は、洗浄水タンク内の水位が満水水位未満の水位であり、開口開閉手段は、洗浄水タンク内の水位により上下動するフロートと、このフロートと連動し、洗浄水タンク内の水位が所定の基準水位よりも下方の水位にあるとき、オーバーフロー管の開口を閉鎖し、洗浄水タンク内の水位が所定の基準水位と等しい、又はこの所定の基準水位よりも上方の水位にあるとき、オーバーフロー管の開口を開放する開閉部材と、を備えている。
このように構成された本発明においては、洗浄水タンク内の水位が満水水位未満の所定の基準水位よりも下方の水位にあるときには、開閉部材がフロートと連動してオーバーフロー管の開口を閉鎖し、補給水部の吐水口からの補給水がオーバーフロー管内に流入することを防ぐと共に、この補給水を洗浄水タンク内に供給し、洗浄水タンク内の水位が所定の基準水位と等しい又はこの所定の基準水位よりも上方の水位にあるときには、開閉部材がフロートと連動してオーバーフロー管の開口を開放し、補給水部の吐水口からの補給水をオーバーフロー管内に安定的に流入させることができる。したがって、大洗浄と小洗浄のそれぞれの場合において、簡単な構造により、補給水部から一定量の補給水を安定して便器にリフィールさせることができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、開口開閉手段は、更に、オーバーフロー管からほぼ水平方向に延びるように設けられて開閉部材を支持する支持軸を備え、開閉部材は、フロートの上下動と連動してオーバーフロー管の開口を開閉するように支持軸に回動可能に取り付けられている。
このように構成された本発明においては、開口開閉手段の開閉部材がフロートの上下動と連動して支持軸を中心に回動することによりオーバーフロー管の開口を開閉することができる。したがって、簡単な構造により、補給水部の吐水口から大洗浄と小洗浄のそれぞれの場合において一定量の補給水を安定して便器にリフィールさせることができる。また、開口開閉手段の開閉部材が支持軸を中心に回動する方向にオーバーフロー管の開口を開閉するため、オーバーフロー管の開口をその上下(高さ)方向に開閉するものに比べて、コンパクトな構造にすることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、開閉部材は、オーバーフロー管の開口を開放している状態でオーバーフロー管の開口領域のほぼ全域に亘って開放するように、開口と開閉部材との間には、所定間隔の隙間が形成されている。
このように構成された本発明においては、開閉部材がオーバーフロー管の開口を開放している状態でオーバーフロー管の開口領域のほぼ全域に亘って開放し、開口と開閉部材との間に所定間隔の隙間が形成されているので、オーバーフロー管の開口に相当する規定水位を超えた洗浄水をこの隙間からオーバーフロー管へ排出させることができ、オーバーフロー能力の低下を抑制してオーバーフロー能力を確保することができる。また、開閉部材が、洗浄水タンク内の水位が所定の基準水位よりも上方の水位にあるときの所定期間に限り、オーバーフロー管の開口を開放し、補給水部の吐水口から吐水された洗浄水をオーバーフロー管内へ流入させるようにしたため、大洗浄と小洗浄のそれぞれの場合において補給水部から一定量の補給水を安定して便器にリフィールさせることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、開閉部材は、オーバーフロー管の開口を閉鎖している状態で補給水部の吐水口と対向する側の表面がほぼ球面状に形成され、補給水部の吐水口は、開閉部材がオーバーフロー管の開口を閉鎖している状態で開閉部材のほぼ球面状の表面の頂部に向けて吐水する。
このように構成された本発明においては、開閉部材がオーバーフロー管の開口を閉鎖したとき、補給水部の吐水口から吐水された補給水が開閉部材のほぼ球面状の表面の頂部に向けて吐水されるため、この頂部に吐水された洗浄水がほぼ球面状の表面に沿って均一に洗浄水タンク内に拡散される。したがって、補給水部から開閉部材に吐水された補給水の水跳ねを低減させて吐水音を抑制することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、フロートは、洗浄水タンク内の水位によってフロートを上昇させる浮力とフロートの自重とが釣り合う位置を上下方向に調整可能な調整手段を備えている。
このように構成された本発明においては、調整手段により、洗浄水タンク内の水位によってフロートを上昇させる浮力とフロートの自重とが釣り合う位置を上下方向に調整することができ、開閉部材がオーバーフロー管の開口を開閉するタイミングを調整することができる。したがって、便器洗浄に使用される洗浄水タンクの容量に応じて便器への補給水量を変更することができ、且つ大洗浄と小洗浄のそれぞれの場合において補給水部から一定量の補給水を安定して便器にリフィールさせることができる。
【0012】
また、本発明は、補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置である。
このように構成された本発明においては、大洗浄と小洗浄のそれぞれの場合において一定量の補給水を安定して便器にリフィールさせることができる洗浄水タンク装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明は、洗浄水タンク装置を備えた水洗大便器である。
このように構成された本発明においては、大洗浄と小洗浄のそれぞれの場合において一定量の補給水を安定して便器にリフィールさせることができる水洗大便器を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の補給水供給装置によれば、大洗浄と小洗浄とにおいて一定量の補給水を安定して便器にリフィールさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器において、便座及び便蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置の内部構造を蓋体を取り外した状態で補給水供給装置の一部分を一部破断した部分断面正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置の内部構造を蓋体を取り外した状態で示す上面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による補給水供給装置のオーバーフロー管の上方に位置している状態の開口開閉手段を示す斜視図である。
【図5(a)】本発明の第1実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける排水及び給水が開始される前の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図5(b)】本発明の第1実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける排水終了直後の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図5(c)】本発明の第1実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける排水終了後、給水中に、洗浄水タンク内の水位が、時間と共に基準水位WL2まで上昇した状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図5(d)】本発明の第1実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク内の水位が、時間と共に止水水位に近い水位WL3まで上昇されて給水が終了する直前の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図6(a)】本発明の第1実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける排水及び給水が開始される前の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図6(b)】本発明の第1実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける排水終了直後の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図6(c)】本発明の第1実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける排水終了後、給水中に、洗浄水タンク内の水位が、時間と共に基準水位WL2まで上昇した状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図6(d)】本発明の第1実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク内の水位が、時間と共に止水水位に近い水位WL3まで上昇されて給水が終了する直前の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置の内部構造を蓋体を取り外した状態で補給水供給装置の一部分を一部破断した部分断面正面図である。
【図8】本発明の第2実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置の内部構造を蓋体を取り外した状態で示す上面図である。
【図9】本発明の第2実施形態による補給水供給装置の補給水装置の一部及び開口開閉手段の斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態による補給水供給装置の補給水装置の一部及び開口開閉手段の分解斜視図である。
【図11(a)】本発明の第2実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける排水及び給水が開始される前の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図11(b)】本発明の第2実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける排水終了直後の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図11(c)】本発明の第2実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける排水終了後、給水中に、洗浄水タンク内の水位が、時間と共に基準水位WL2まで上昇した状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図11(d)】本発明の第2実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に止水水位に近い水位WL3まで上昇されて給水が終了する直前の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図12(a)】本発明の第2実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける排水及び給水が開始される前の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図12(b)】本発明の第2実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける排水終了直後の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図12(c)】本発明の第2実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける排水終了後、給水中に、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に基準水位WL2まで上昇した状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【図12(d)】本発明の第2実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に止水水位に近い水位WL3まで上昇されて給水が終了する直前の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、添付図面により、本発明の第1実施形態による補給水供給装置、及び、その補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置、この洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器を説明する。
まず、図1により、本発明の第1実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器において、便座及び便蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、符号1は、サイホン作用を利用してボウル部内の汚物を吸い込んで排水トラップ管路から一気に外部に排出する、いわゆる、サイホン式の水洗大便器であり、この水洗大便器1は、陶器製の便器本体2を備え、この便器本体2には、ボウル部4と、このボウル部4の下部と連通する排水トラップ管路6がそれぞれ形成されている。
便器本体2のボウル部4の上縁部には、内側にオーバーハングしたリム8と、便器本体2の後方側の内部に形成される排水流路9(図2参照)から供給される洗浄水を吐水する第1吐水口10が形成され、この第1吐水口10から吐水された洗浄水は、旋回しながら下降してボウル部4を洗浄するようになっている。
【0018】
ボウル部4の下方には、鎖線W0で溜水面が示された溜水部12が形成されている。この溜水部12の下方には、排水トラップ管路6の入口6aが開口し、この入口6aから後方の排水トラップ管路6は排水ソケット(図示せず)を介して床下の排出管(図示せず)に接続されている。
また、ボウル部4の溜水面W0の上方位置には、便器本体2の後方側の内部に形成される排水流路9(図2参照)から供給される洗浄水を吐水する第2吐水口14が形成され、この第2吐水口14から吐水される洗浄水が溜水部12の溜水を上下方向に旋回させる旋回流を生じさせるようになっている。
【0019】
便器本体2の後方側の上面には、便器本体2に供給する洗浄水を貯水する洗浄水タンク装置16が設けられ、洗浄水タンク装置16の上部には、洗浄水タンク装置の蓋をする蓋体17が設けられている。
なお、本実施形態による洗浄水タンク装置16においては、上述したサイホン式の水洗大便器に適用した例について説明するが、このようなサイホン式の水洗大便器に限定されず、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる、洗い落し式の水洗大便器等の他のタイプの水洗便器にも適用可能である。
【0020】
つぎに、図2及び図3により、洗浄水タンク装置16の内部構造について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置の内部構造を蓋体を取り外した状態で補給水供給装置の一部分を一部破断した部分断面正面図であり、図3は、本発明の第1実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置の内部構造を蓋体を取り外した状態で示す上面図である。
図2及び図3に示すように、洗浄水タンク装置16は、水洗大便器1を洗浄する洗浄水を貯水する洗浄水タンク18を備え、この洗浄水タンク18の底部には、便器本体2の排水流路9と連通する排水口20が形成され、洗浄水タンク18内の洗浄水が便器本体2の排水流路9へと供給されるようになっている。また、洗浄水タンク18は、節水型の水洗大便器に用いられるよう大洗浄時には4.8リットルの洗浄水量を洗浄に使用できるようになっているが、便器の種類に応じて、貯水する洗浄水の量が異なっていてもよい。
【0021】
図2及び図3に示すように、洗浄水タンク装置16の洗浄水タンク18内には、補給水供給装置19と、この洗浄水タンク18内に洗浄水を供給する給水装置22と、洗浄水タンク18に貯えられた洗浄水について排水口20を開放して便器本体2の排水流路9に流出させる排水弁装置24と、排水弁装置24に取付けられ洗浄水タンク18内の洗浄水が規定水位を超えたときに洗浄水を排水流路9を介して便器本体2にオーバーフローさせるオーバーフロー管部26とが設けられている。
また、詳細は後述する補給水供給装置19は、給水装置22から分岐されてオーバーフロー管部26の上方まで延び便器本体2に補給水をリフィールさせる補給水部28と、さらに、オーバーフロー管部26の開口の上方には、補給水部28から吐水された補給水が、一定量の補給水を便器にリフィールさせる期間以外の期間はオーバーフロー管部26内へ流入することを遮断されるようにオーバーフロー管部26の開口を閉じ、且つ、一定量の補給水を便器にリフィールさせる期間はオーバーフロー管部26内へ流入されるようにオーバーフロー管部26の開口を開く開閉装置30とを備えている。
【0022】
給水装置22は、外部の給水源(図示せず)に接続され洗浄水タンク18の底部から上方に延びる給水管32と、この給水管32の上端部に取り付けられ、給水管32から給水される洗浄水の洗浄水タンク18内への吐水と止水を切り替える給水バルブ34と、洗浄水タンク18内の水位の変動に応じて上下動して給水バルブ34による吐水と止水を切り替える給水バルブフロート36とを備えている。給水バルブ34から吐水される洗浄水は、給水源からの給水圧に応じて単位時間あたりの流量はほぼ一定に設定されている。
【0023】
給水管32の外周側下端部には、給水バルブ吐水口38が開口し、給水バルブ34からの洗浄水がこの給水バルブ吐水口38から洗浄水タンク18内に吐水されるようになっている。
【0024】
給水装置22においては、排水弁装置24により、洗浄水タンク18内の洗浄水が便器に排水されると、洗浄水の水位が低下して給水バルブフロート36が下降し、それにより給水バルブ34が開き、給水バルブ吐水口38からの吐水が開始し、洗浄水タンク装置16の外部の給水源(図示せず)から洗浄水タンク18内への吐水が開始されるようになっている。
さらに、吐水が継続されて洗浄水タンク18内の水位が上昇すると、給水バルブフロート36も上昇し、それにより給水バルブ34が閉じ、給水バルブ吐水口38が止水される。これにより、洗浄水タンク18内の洗浄水の水位が満水時の止水水位に維持されるようになっている。
【0025】
排水弁装置24は、洗浄水タンク18の底面に取り付けられ且つ便器本体2の排水流路9に連通する排水口20を形成する排水口形成部材40と、弁体42と、この弁体42を保持する弁体保持部材44と、この弁体保持部材44に下端部が取り付けられて上下方向に延びる主軸部材46と、主軸部材46の上端部(図示せず)に取り付けられて主軸部材46の引き上げ操作による弁体42の開弁操作を操作する操作ワイヤ48とを備えている。
排水口形成部材40は、排水口20の上縁に沿って全周に亘って形成され且つ上方に突出する弁座50を備え、この弁座50と弁体42が当接することにより、排水口20が閉鎖されるようになっている。
操作ワイヤ48は、一端部が主軸部材46の上端部(図示せず)に取り付けられ、他端部が洗浄水タンク18の内部に取り付けられたワイヤ巻取り装置52に取り付けられている。このワイヤ巻取り装置52は、洗浄水タンク18の外部に取り付けられた操作レバー54と連結されており、この操作レバー54を大洗浄又は小洗浄の所定の洗浄モードを実行させる方向に回動操作することにより、この操作レバー54の回動と連動してワイヤ巻取り装置52が作動し、操作ワイヤ48がワイヤ巻取り装置52によって巻き取られ、この巻き取られる操作ワイヤ48により、排水弁装置24の主軸部材46が引き上げられ、この主軸部材46と共に弁体保持部材44及び弁体42が上昇するようになっている。
【0026】
オーバーフロー管部26は、オーバーフロー管56と、オーバーフロー管56の下端が取り付けられるオーバーフロー管取付部58とを備え、オーバーフロー管取付部58は、洗浄水タンク18のほぼ底面18a付近において、排水弁装置24の排水口形成部材40の外周に接続されている。
オーバーフロー管56は、オーバーフロー管取付部58から上方へとほぼ直立して設けられ、その上端には、上方に向かって開口する開口56aが円形に形成され、その下端において、オーバーフロー管56がオーバーフロー管取付部58と、排水口形成部材40の内部の排水口20とを介して排水流路9と連通するように設けられている。
オーバーフロー管56の開口56aの高さは、洗浄水が洗浄水タンクから溢れ出るのを防ぐように、規定水位よりも高い高さに設定されている。このオーバーフロー管56により、洗浄水が規定水位を超えて上昇しても、開口56aから、洗浄水がオーバーフロー管56内にオーバーフローし、排水口形成部材40の内部の排水流路9を経て、第1吐水口10から、ボウル部4内に排出されるようになっている。オーバーフロー能力とは、洗浄水が規定水位を超えて上昇した場合に、オーバーフロー管が洗浄水をオーバーフロー管内にオーバーフローさせることができる能力をいう。
【0027】
なお、本実施形態では、一例として、排水弁装置24については、使用者が操作レバー54を直接回転操作してワイヤ巻取り装置52を作動させて弁体42を操作する手動式の排水弁装置の形態について説明するが、このような形態に限定されず、使用者がタンクに設けられた操作ボタン(図示せず)をプッシュ操作して弁体42を操作して排水流路9を開閉作動できる弁体作動機構(図示せず)を有するプッシュ式の排水弁装置の形態、さらに、操作レバー54を回動させるためのモータ等の駆動手段を設け、外部に設定された操作ボタン(図示せず)又は人感センサー(図示せず)からの指令信号によって駆動手段の作動を自動的に制御するような排水弁装置の形態にしてもよい。
【0028】
補給水部28は、給水バルブ34から給水バルブ吐水口38への流路と分岐されてオーバーフロー管56の開口56aのほぼ真上まで延びている補給水流路管60と、この補給水流路管60をオーバーフロー管56の開口56aを指向させて固定するオーバーフロー管開口向き固定部62とを備える。
【0029】
補給水部28の補給水流路管60は、その上流端部において給水バルブ34に接続され、給水バルブ34からほぼ一定流量の洗浄水が安定して供給されるようになっている。
補給水流路管60の先端には、ほぼ真下に吐水できる補給水流路管吐水口60aが開口され、給水バルブ34から分岐された洗浄水がこの補給水流路管吐水口60aから洗浄水タンク18内に吐水され、オーバーフロー管56へ導水されて便器本体2へ補給水として供給されるようになっている。
【0030】
補給水部28のオーバーフロー管開口向き固定部62は、オーバーフロー管56の円筒部の上端に取り付けられている。オーバーフロー管開口向き固定部62は、コの字形状に形成され、その上辺の補給水流路管吐水口取付部66と、その下辺のオーバーフロー管開口取付部68と、その閉鎖側の縦辺において補給水流路管吐水口取付部66をオーバーフロー管開口取付部68から垂直に支持する垂直支持部70と、を備える。
補給水流路管吐水口取付部66のコの字形状開放側には、補給水流路管60の下流端の開口が下向きに取付けられている。
オーバーフロー管開口取付部68のコの字形状開放側には、オーバーフロー管56の開口が上向きに取付けられている。従って、補給水流路管吐水口60aの中心と、オーバーフロー管56の開口56aの中心がオーバーフロー管56の軸線上に位置するように配置され、補給水流路管吐水口60aから吐水される洗浄水の流線がオーバーフロー管56の開口56a内に指向されるように、配置されている。オーバーフロー管開口取付部68は、実質的には、洗浄水タンク18内の規定水位(満水水位)を超えた洗浄水が流入するオーバーフロー管56の上端の流入口を形成している。
垂直支持部70は、補給水流路管吐水口取付部66とオーバーフロー管開口取付部68との間に、後述する開閉部材を配置できるような空間を形成する高さに設定されている。さらに、オーバーフロー管56上方に取付けられるオーバーフロー管開口向き固定部62のオーバーフロー管開口取付部68と、その垂直支持部70と、その補給水流路管吐水口取付部66と、その補給水流路管吐水口取付部に取付けられる補給水流路管60とを合わせた高さが給水バルブ34の高さより低く設定されている。
【0031】
つぎに、図2乃至図4を参照して、開閉装置30を説明する。
図4は、本発明の第1実施形態による補給水供給装置の開口開閉手段をオーバーフロー管の上方に配置している状態で示す斜視図である。
【0032】
開閉装置30は、オーバーフロー管56上方に水平に延びる回転支持軸72と、回転支持軸72から横向きに延びるリンク74と、このリンク74の先端に設けられたフロート係合支持軸76と、リンク74下方において水平に延び且つリンク74の回転範囲を所定範囲内に規制する回転規制部材77と、オーバーフロー管56下部に取付けられた軸受け部78と、このフロート係合支持軸76と軸受け部78とにより支持され、且つ洗浄水タンク18内の水位により上下動するフロート80と、このフロート80の上下動と連動する回転支持軸72を中心とした回転運動によりオーバーフロー管56の開口56aを開閉する開閉部材82とを備えている。
【0033】
回転支持軸72は、オーバーフロー管56の円筒部の上部において、オーバーフロー管開口取付部68の外側に水平に延びる第1回転支持軸84と、オーバーフロー管開口取付部68の第1回転支持軸84と反対側において第1回転支持軸84と反対向きに水平に延びる第2回転支持軸86とを備えている。
第1回転支持軸84は、第1回転係合部88と、水平な軸線を有する第1支持軸90とを備え、第1回転係合部88が、第1支持軸90の軸線を中心とした回転運動ができるように係合されている。
第2回転支持軸86は、第2回転係合部92と、第1支持軸90の軸線と同一の軸線を有する第2支持軸94とを備え、第2回転係合部92が、第2支持軸94の軸線を中心とした回転運動ができるように係合されている。
第1回転係合部88には、その軸線と直交する向きに延ばされる2枚の板状の平行なリンク74が取付けられている。従って、リンク74は、第1回転係合部88と一体となって、第1支持軸90の軸線を中心とした回転運動をするようになっている。
リンク74は、その一端側において第1回転係合部88に取付けられ、その他端側においてフロート係合支持軸76に取付けられている。
フロート係合支持軸76は、2本の平行に配置されたリンク74の間に水平方向に延ばされ、このフロート係合支持軸76を中心としリンク74が回転可能なように取付けられ、フロート係合支持軸76の中心には、フロート80の上部に形成されたねじ溝(後述する)と螺合できるようなねじ穴(図示せず)が形成されている。
回転規制部材77は、リンク74と当接することによりリンク74の下方向きの回転移動を停止させるようになっており、回転規制部材77がリンク74の回転移動を停止させることによって、フロート係合支持軸76を介してフロート80の下方移動を停止させるストッパーとして機能するようになっている。
【0034】
フロート80は、その上部のフロート上軸部80aの外周面にねじ溝80bが形成され、そのねじ溝80bがフロート係合支持軸76のねじ穴と係合するようになっている。従って、フロート80はフロート係合支持軸76と上下左右方向に連動できるように支持されている。このねじ溝80bとフロート係合支持軸76とを相対的に回転させることによって係合位置を変更することにより、洗浄水タンク18内の水位によってフロート80を上昇させる浮力とこのフロート80の自重とが釣り合う位置(釣り合い位置)を変更し、フロート80の上下方向の高さ位置を調整でき、ねじ溝80bとフロート係合支持軸76がフロート高さ調整手段として機能するようになっている。
フロート80は、その下部のフロート下軸部80cが、軸受け部78に通されることによって、上下方向に摺動可能且つ軸受け部78より上に支持されるようになっている。オーバーフロー管56の円筒部の下部には、軸受け部78が取り付けられている。
フロート80は、洗浄水タンク18内の洗浄水が上昇する際には、洗浄水タンク18内の水位によりフロート80が浮力を受けて上昇を開始する位置からフロート80が水位の上昇に合わせて浮き上がるように設けられ、洗浄水タンク18内の洗浄水が下降する際には、フロート80が軸受け部78又はその上方に停止されるまでフロート80が水位の下降に合わせて下降するように設定されている。
【0035】
次に、開閉部材82について説明する。
開閉装置30の開閉部材82は、オーバーフロー管56の開口56aを閉鎖する際に、オーバーフロー管56の開口56a上方を覆うことができる覆い形状に形成され、より具体的には、その際の上方に張り出して湾曲した部分的な球面形状に形成され、傘のように頂点から放射状に下降するように形成されたドーム形状に形成されている。
開閉部材82は、その一端に設けられた第1支持軸取付け部82aと、その他端に設けられた第2支持軸取付け部82bと、第1支持軸取付け部82aから第2支持軸取付け部82bまで延びる開閉部材82の一端の円弧状縁を形成する第1円弧縁82cと、第1支持軸取付け部82aから第2支持軸取付け部82bまで延びる開閉部材82の他端の円弧状縁を形成する第2円弧縁82dと、開閉部材82の外側に向かって第1円弧縁82cと第2円弧縁82dとの間に部分的な球面領域を形成する開閉部材82の外側表面82eと、開閉部材82の内側に向かって第1円弧縁82cと第2円弧縁82dとの間に部分的な球面領域を形成する開閉部材82の内側表面82fとを備えている。
【0036】
開閉部材82の第1支持軸取付け部82aは、オーバーフロー管開口取付部68の外側において第1回転係合部88に取付けられている。開閉部材82の第2支持軸取付け部82bは、オーバーフロー管開口取付部68の第1支持軸取付け部82aと反対の外側において第2回転係合部92に取り付けられている。従って、開閉部材82は、第1支持軸90と第2支持軸94とを結ぶ軸線を中心として回転可能に設けられている。
開閉部材82の外側表面82eは、より具体的には、球を4等分に縦横切断した4分の1の球形の外側表面の形状のように形成されている。開閉部材82の外側表面82eと内側表面82fとの間は、ほぼ均一な厚みの薄板形状に形成され、開閉部材82の内側表面82fは、開閉部材82の外側表面82eとほぼ同じ形状の表面が内側向きに形成され、開閉部材82がオーバーフロー管56の開口56aを開いている際に、内側表面82fとオーバーフロー管56の開口56aとの間に洗浄水が流れ可能な程度の間隔の隙間Lが形成されるように、開閉部材82の内側表面82fが配置されている。
【0037】
開閉部材82の第1円弧縁82c及び第2円弧縁82dは、開閉部材82がオーバーフロー管56の開口56aを閉じている際に、オーバーフロー管56の真上から見て、オーバーフロー管56の開口56aの外側に配置されるようになっている。
開閉部材82がオーバーフロー管56の開口56aを閉じている際に、開閉部材82の外側表面82eの最高の高さ位置に開閉部材82の外側表面82eの頂部82gが設定されている。従って、補給水流路管吐水口60aの高さを、外側表面82eの頂部82gの高さよりも高く設定すれば、オーバーフロー管56の開口56a上に開閉部材82を配置することができ、補給水流路管吐水口60aの高さを給水バルブ34の高さよりも低く設定することができ、従来の洗浄水タンク設計のまま開閉装置30を取付けることができる。
【0038】
つぎに、本発明の第1実施形態による補給水供給装置の動作(作用)を説明する。
まず、図5(a)〜(d)により、本発明の第1実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置及びこの洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器により実行される2種類の洗浄モードのうちの大洗浄モードについて説明する。
【0039】
まず、図5(a)は、本発明の第1実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける排水及び給水が開始される前の状態を示す洗浄水タンク装置16において、補給水供給装置19を部分的に破断した部分正面断面図である。
図5(a)に示されるような大洗浄モードにおける排水及び給水が開始される前の状態の補給水供給装置19においては、排水弁装置24の弁体42が弁座50に当接して排水口20が閉止され、洗浄水タンク18内の洗浄水の水位は、満水時のほぼ止水水位WL0に維持されている。
フロート80が、浮力によって上昇されて停止された状態となっており、フロート80のフロート上軸部80aと係合するフロート係合支持軸76が持ち上げられ、フロート係合支持軸76が持ち上げられることにより、リンク74及びこれと一体の第1回転係合部88が、第1支持軸90の軸線を中心として回転し、開閉部材82が、第1支持軸取付け部82a(図4参照)を介して第1回転係合部88の回転に連動する第1支持軸90の軸線を中心として回転し、オーバーフロー管56の開口56aの横方向に横向きに配置され、オーバーフロー管56の開口56aを上方に開放している状態となっている。
【0040】
大洗浄モードにおける排水が開始された後の状態の補給水供給装置19においては、使用者が操作レバー54を所定の大洗浄モードを実行する方向に回動操作すると、ワイヤ巻取り装置52が作動し、操作ワイヤ48が大洗浄モードの巻き取り量で巻き取られ、排水弁装置24の主軸部材46、弁体保持部材44及び弁体42が弁座50に対して引き上げられ、排水口20が開放され、洗浄水タンク18内の洗浄水が排水流路9を通じて便器本体2に排出される。従って、洗浄水タンク18内の水位は、急速に低下される。
【0041】
補給水供給装置19の開閉装置30においては、水位と連動するフロート80が下降し、フロート80のフロート上軸部80aと係合するフロート係合支持軸76が下降し、リンク74のフロート係合支持軸76側が、第1支持軸90の軸線を中心として下方に回転し、この回転と同時にリンク74と一体の第1回転係合部88が同じ方向に回転する。そして、開閉部材82が、第1回転係合部88の回転に連動して第1支持軸90の軸線を中心とした同じ方向に回転し、オーバーフロー管56の開口56aの横方向からオーバーフロー管56の開口56aのほぼ真下に向って上方向に回転し、開閉部材82の第1円弧縁82cが補給水流路管吐水口60aとオーバーフロー管56の開口56aとに共通する中心軸線A上を通過して、オーバーフロー管56の開口56aの上方を閉鎖する状態となる。
弁体42が排水口20を開放した後、例えば、開閉部材82がオーバーフロー管56の開口56aの上方を閉鎖する状態となるまでの所定期間の経過後に、給水装置22の給水バルブ34が開弁され、ほぼ同時に、給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から洗浄水が洗浄水タンク18内へ吐水され、ほぼ同時に、給水バルブ34から分岐した補給水部28の補給水流路管60に補給水が供給され、洗浄水が補給水流路管吐水口60aからオーバーフロー管56の開口56aに向かってほぼ真下に吐水される。
【0042】
つぎに、図5(b)は、本発明の第1実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける排水終了直後の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
図5(b)に示すように、大洗浄モードにおける排水終了直後の状態の補給水供給装置19においては、排水弁装置24の主軸部材46及び弁体42が水位の低下と共にさらに下降され、弁体42が弁座50に当接し、排水口20が閉止され、排水弁装置24の大洗浄モードにおける排水が終了し、給水装置22の給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水が継続して洗浄水タンク18内に吐水され、給水バルブ34から分岐した補給水が補給水部28の補給水流路管60に供給され、補給水流路管吐水口60aから補給水が、ほぼ真下に向かって吐水されている状態となっている。
洗浄水タンク18内の水位は、止水水位WL1において下降が停止されている。
補給水供給装置19の開閉装置30においては、フロート80は水位に合わせて下降するが、その下降移動の下限位置、すなわちリンク74が回転規制部材77と当接している状態となっており、開閉部材82の外側表面82eの頂部82gが補給水流路管吐水口60aの中心軸線上の直下に位置し、開閉部材82がオーバーフロー管56の開口56aの上方をほぼ覆うように配置され、オーバーフロー管56内への流入を遮断するようにオーバーフロー管56の開口56aを閉鎖している状態となっている。
【0043】
補給水流路管吐水口60aから吐水された補給水は、ほぼ真下に落下して、ほぼ真下にある開閉部材82の外側表面82eの頂部82gに当たり、頂部82gから開閉部材82の上方に張り出して湾曲した部分的な球面形状の外側表面82eに沿って放射状に拡散して流下する。そして、この流下した補給水は、第1円弧縁82c及び第2円弧縁82dからオーバーフロー管56の開口56aの外側の洗浄水タンク18内に流下し、洗浄水として洗浄水タンク18内に貯水(給水)される。
給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水及び補給水流路管吐水口60aから吐水される洗浄水により、洗浄水タンク18内の水位が止水水位WL1から次第に上昇を開始する。
【0044】
つぎに、図5(c)は、本発明の第1実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける排水終了後、給水中に、洗浄水タンク内の水位が、時間と共に基準水位WL2まで上昇した状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
図5(c)に示すように、大洗浄モードにおける排水終了後、給水中に、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に基準水位WL2まで上昇した状態の補給水供給装置19においては、弁体42は排水口20を閉じた状態のままであり、給水装置22の給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水が継続して洗浄水タンク18内に吐水され、給水バルブ34から分岐した洗浄水が補給水流路管60に供給され、洗浄水が補給水流路管吐水口60aから洗浄水が、ほぼ真下に向かって吐水されている状態となっている。
補給水供給装置19の開閉装置30においては、洗浄水タンク18内の水位が、洗浄水タンク18内の水位によってフロート80を上昇させる浮力とこのフロート80の自重とが釣り合う位置(釣り合い位置)に相当する水位であり且つ満水時の止水水位WL0未満の水位に相当する基準水位WL2まで上昇するとき、フロート80が上昇し、フロート80のフロート上軸部80aと係合するフロート係合支持軸76が上昇し、リンク74のフロート係合支持軸76側が、第1支持軸90の軸線を中心として上方に回転し、リンク74と一体の第1回転係合部88が同じ向きに回転し、開閉部材82が、第1回転係合部88の回転に連動して第1支持軸90の軸線を中心とした同じ向きに回転し、オーバーフロー管56の開口56aの上方向からオーバーフロー管56の開口56aの横方向に向かって回転し、開閉部材82の第1円弧縁82cが補給水流路管吐水口60aとオーバーフロー管56の開口56aとに共通する中心軸線A上に位置し、開閉部材82がこの回転位置からオーバーフロー管56の開口56aの上方を開放する状態となっている。
【0045】
つぎに、図5(d)は、本発明の第1実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク内の水位が、時間と共に止水水位に近い水位WL3まで上昇されて給水が終了する直前の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
図5(d)に示すように、大洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に止水水位に近い水位WL3まで上昇されて給水が終了する直前の状態の補給水供給装置19においては、弁体42は排水口20を閉じた状態のままであり、給水装置22の給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水が継続して洗浄水タンク18内に吐水され、給水バルブ34から分岐した補給水が補給水流路管60に供給され、洗浄水が補給水流路管吐水口60aから、ほぼ真下に向かって吐水されている状態となっている。
補給水供給装置19の開閉装置30においては、洗浄水タンク18内の水位が水位WL3まで上昇するとき、フロート80がさらに上昇し、フロートのフロート上軸部80aと係合するフロート係合支持軸76がさらに上昇し、リンク74のフロート係合支持軸76側が、第1支持軸90の軸線を中心として上方に回転し、リンク74と一体の第1回転係合部88が同じ向きに回転し、開閉部材82が、第1回転係合部88の回転に連動して第1支持軸90の軸線を中心とした同じ向きに回転し、オーバーフロー管56の開口56aの横方向に向かってさらに回転し、開閉部材82の第1円弧縁82cがオーバーフロー管56の開口56aの直上より外側まで移動し、オーバーフロー管56の開口56aの上方が開放されている状態となっている。
補給水流路管吐水口60aから吐水された補給水は、ほぼ真下に落下して、オーバーフロー管56の開口56a内に流入し、オーバーフロー管56内を通して排水流路に流れ、便器本体2に補給水としてリフィールされる。
【0046】
最後に、図5(a)に示すように、大洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に止水水位WL0まで上昇されて給水が終了する状態の補給水供給装置19においては、弁体42は排水口20を閉じた状態のままであり、洗浄水タンク18内の水位が止水水位WL0まで上昇すると、給水バルブフロート36が上昇し、それにより給水バルブ34が閉じ、給水バルブ吐水口38が止水され、給水バルブ34から分岐した補給水流路管60からの洗浄水の供給が停止され、補給水流路管吐水口60aからの吐水が停止され、洗浄水タンク18内の水位はほぼ止水水位WL0において停止された状態となる。
補給水供給装置19の開閉装置30においては、洗浄水タンク18内の水位が止水水位WL0において上昇を停止され、フロート80の上昇が停止され、フロート80のフロート上軸部80aと係合するフロート係合支持軸76の上昇が停止され、リンク74のフロート係合支持軸76側の上方回転が停止され、リンク74と一体の第1回転係合部88の回転が停止され、開閉部材82の、第1回転係合部88の回転に連動して第1支持軸90の軸線を中心とした同じ向きの回転が停止され、オーバーフロー管56の開口56aの横方向に横向きに停止され、オーバーフロー管56の開口56aの上方を開放している状態となる。従って、補給水供給装置19が大洗浄モードにおける排水及び給水が開始される前の状態に戻る。
給水バルブ34からの給水量はほぼ一定であり、排水弁装置24の弁体42が排水口20を開放して大洗浄を開始してから排水口20を閉鎖して洗浄水タンク18内の水位が所定の基準水位WL2に上昇するまでの大洗浄モードの所定期間は各洗浄ごとにほぼ一定に設定される。
【0047】
つぎに、図6(a)〜(d)により、本発明の第1実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置及びこの洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器により実行される小洗浄モードについて説明する。
【0048】
まず、図6(a)は、本発明の第1実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける排水及び給水が開始される前の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
図6(a)に示されるような小洗浄モードにおける排水が開始される前の状態の補給水供給装置19においては、上述した図5(a)に示されている大洗浄モードの場合と同様であるため、説明は省略する。
【0049】
小洗浄モードにおける排水が開始された直後の状態の補給水供給装置19においては、使用者が操作レバー54を所定の小洗浄モードを実行する方向に回動操作すると、ワイヤ巻取り装置52が作動し、操作ワイヤ48が小洗浄モードの巻き取り量で巻き取られ、排水弁装置24の主軸部材46、弁体保持部材44及び弁体42が弁座50に対して引き上げられ、排水口20が開放され、洗浄水タンク18内の洗浄水が排水流路9を通じて便器本体2に排出される。従って、洗浄水タンク18内の水位は、急速に低下される。
【0050】
補給水供給装置19の開閉装置30においては、水位と連動するフロート80が下降し、フロート80のフロート上軸部80aと係合するフロート係合支持軸76が下降し、リンク74のフロート係合支持軸76側が、第1支持軸90の軸線を中心として下方に回転し、リンク74と一体の第1回転係合部88に同じ方向に回転し、開閉部材82が、第1回転係合部88の回転に連動して第1支持軸90の軸線を中心とした同じ方向にの回転し、オーバーフロー管56の開口56aの横方向からオーバーフロー管56の開口56aの上方向に向かって回転し、開閉部材82の第1円弧縁82cが補給水流路管吐水口60aとオーバーフロー管56の開口56aとに共通する中心軸線A上を通過して、オーバーフロー管56の開口56aの上方を閉鎖する状態となる。
【0051】
弁体42が排水口20を開放した後、例えば、開閉部材82がオーバーフロー管56の開口56aの上方を閉鎖する状態となるまでの期間のような、所定期間の経過後に、給水装置22の給水バルブ34が開弁し、ほぼ同時に、給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から洗浄水が洗浄水タンク18内へ吐水され、ほぼ同時に、給水バルブ34から分岐した補給水流路管60に補給水が供給され、この補給水が補給水流路管吐水口60aからオーバーフロー管56の開口56aに向かってほぼ真下に吐水される。
【0052】
つぎに、図6(b)は、本発明の第1実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける排水終了直後の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
図6(b)に示すように、小洗浄モードにおける排水終了直後の状態の補給水供給装置19においては、排水弁装置24の主軸部材46及び弁体42が水位の低下と共にさらに下降し、弁体42が弁座50に当接し、排水口20が閉止され、排水弁装置24の小洗浄モードにおける排水が終了し、給水装置22の給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水が継続して洗浄水タンク18内に吐水され、給水バルブ34から分岐した洗浄水が補給水流路管60に供給され、補給水流路管吐水口60aから洗浄水が、ほぼ真下に向かって吐水されている状態となっている。
洗浄水タンク18内の水位は、止水水位WL4において下降が停止されている。
補給水供給装置19の開閉装置30においては、フロート80は水位に合わせて下降するが、その下降移動の下限位置、すなわちリンク74が回転規制部材77と当接している状態となっており、開閉部材82の外側表面82eの頂部82gが補給水流路管吐水口60aの中心軸線上の直下に位置し、開閉部材82がオーバーフロー管56の開口56aの上方をほぼ覆うように配置され、オーバーフロー管56内への流入を遮断するようにオーバーフロー管56の開口56aを閉鎖している状態となっている。
【0053】
補給水流路管吐水口60aから吐水された洗浄水は、ほぼ真下に落下して、ほぼ真下にある開閉部材82の外側表面82eの頂部82gに当たり、頂部82gから開閉部材82の上方に張り出して湾曲した部分的な球面形状の外側表面82eに沿って放射状に拡散して流下し、第1円弧縁82c及び第2円弧縁82dからオーバーフロー管56の開口56aの外側に流下し、洗浄水として洗浄水タンク18内に貯水(給水)されている。
給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水及び補給水流路管吐水口60aから吐水される洗浄水により、洗浄水タンク18内の水位が止水水位WL4から次第に上昇を開始する。
【0054】
つぎに、図6(c)は、本発明の第1実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける排水終了後、給水中に、洗浄水タンク内の水位が、時間と共に基準水位WL2まで上昇した状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
図6(c)に示すように、小洗浄モードにおける排水終了後、給水中に、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に基準水位WL2まで上昇した状態の補給水供給装置19においては、弁体42は排水口20を閉じた状態のままであり、給水装置22の給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水が継続して洗浄水タンク18内に吐水され、給水バルブ34から分岐した洗浄水が補給水流路管60に供給され、洗浄水が補給水流路管吐水口60aから洗浄水が、ほぼ真下に向かって吐水されている状態となっている。
補給水供給装置19の開閉装置30においては、洗浄水タンク18内の水位が基準水位WL2まで上昇するとき、フロート80が上昇し、フロート80のフロート上軸部80aと係合するフロート係合支持軸76が上昇し、リンク74のフロート係合支持軸76側が、第1支持軸90の軸線を中心として上方に回転し、リンク74と一体の第1回転係合部88が同じ方向に回転し、開閉部材82が、第1回転係合部88の回転に連動して第1支持軸90の軸線を中心とした同じ方向に回転し、オーバーフロー管56の開口56aの上方向からオーバーフロー管56の開口56aの横方向に向かって回転し、開閉部材82の第1円弧縁82cが補給水流路管吐水口60aとオーバーフロー管56の開口56aとに共通する中心軸線A上に位置し、開閉部材82が、この回転位置からオーバーフロー管56の開口56aの上方を開放する状態となっている。
【0055】
つぎに、図6(d)は、本発明の第1実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク内の水位が、時間と共に止水水位に近い水位WL3まで上昇されて給水が終了する直前の状態を示す洗浄水タンク装置において、補給水供給装置を部分的に破断した部分正面断面図である。
図6(d)に示すように、小洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に止水水位に近い水位WL3まで上昇して給水が終了する直前の状態の補給水供給装置19においては、弁体42は排水口20を閉じた状態のままであり、給水装置22の給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水が継続して洗浄水タンク18内に吐水され、給水バルブ34から分岐した補給水が補給水流路管60に供給され、洗浄水が補給水流路管吐水口60aから、ほぼ真下に向かって吐水されている状態となっている。
補給水供給装置19の開閉装置30においては、洗浄水タンク18内の水位が水位WL3まで上昇するとき、フロート80がさらに上昇し、フロートのフロート上軸部80aと係合するフロート係合支持軸76がさらに上昇し、リンク74のフロート係合支持軸76側が、第1支持軸90の軸線を中心として上方に回転し、リンク74と一体の第1回転係合部88が同じ向きに回転し、開閉部材82が、第1回転係合部88の回転に連動して第1支持軸90の軸線を中心とした同じ方向に回転し、オーバーフロー管56の開口56aの横方向に向かってさらに回転し、開閉部材82の第1円弧縁82cがオーバーフロー管56の開口56aの直上より外側まで移動し、オーバーフロー管56の開口56aの上方が開放されている状態となっている。
補給水流路管吐水口60aから吐水された洗浄水は、ほぼ真下に落下して、オーバーフロー管56の開口56a内に流入し、オーバーフロー管56内を通して排水流路に流れ、便器本体2に補給水としてリフィールされる。
【0056】
つぎに、図6(a)に示すように、小洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に止水水位WL0まで上昇されて給水が終了する状態の補給水供給装置19においては、弁体42は排水口20を閉じた状態のままであり、洗浄水タンク18内の水位が止水水位WL0まで上昇すると、給水バルブフロート36が上昇し、それにより給水バルブ34が閉じ、給水バルブ吐水口38が止水され、給水バルブ34から分岐した補給水流路管60からの洗浄水の供給が停止され、補給水流路管吐水口60aからの吐水が停止され、洗浄水タンク18内の水位はほぼ止水水位WL0において停止された状態となる。
補給水供給装置19の開閉装置30においては、洗浄水タンク18内の水位が止水水位WL0において上昇を停止され、フロート80の上昇が停止され、フロート80のフロート上軸部80aと係合するフロート係合支持軸76の上昇が停止され、リンク74のフロート係合支持軸76側の上方回転が停止され、リンク74と一体の第1回転係合部88の回転が停止され、開閉部材82の、第1回転係合部88の回転に連動して第1支持軸90の軸線を中心とした同じ向きの回転が停止され、オーバーフロー管56の開口56aの横方向に横向きに停止され、オーバーフロー管56の開口56aの上方を開放している状態となる。
給水バルブ34からの給水量はほぼ一定であり、排水弁装置24の弁体42が排水口20を開放して小洗浄を開始してから排水口20を閉鎖して洗浄水タンク18内の水位が所定の基準水位WL2に上昇するまでの小洗浄モードの所定期間は各洗浄ごとにほぼ一定に設定される。
【0057】
次に、上述した本発明の第1実施形態による補給水供給装置の作用効果を説明する。
先ず、補給水部28が給水バルブ34から分岐してオーバーフロー管56の開口56aに差し向けられるように固定された状態で、オーバーフロー管56の開口56aの上方に配置された開閉装置30の開閉部材82により、排水弁装置24の弁体42が排水口20を開放して大洗浄又は小洗浄を開始してから排水口20を閉鎖して洗浄水タンク18内の水位が所定の基準水位WL2に上昇するまでの所定期間では、オーバーフロー管56の開口56aを閉鎖して補給水部28の補給水流路管吐水口60aからの補給水がオーバーフロー管56内に流入することを防ぐと共に、この補給水を洗浄水タンク18内に供給し、所定期間以外の期間では、オーバーフロー管56の開口56aを開放して補給水部28の補給水流路管吐水口60aからの補給水をオーバーフロー管56内に安定的に流入させることができる。したがって補給水部28、大洗浄と小洗浄のそれぞれの場合において補給水部28から一定量の補給水を安定して便器本体2にリフィールさせることができる。
【0058】
本発明の第1実施形態による補給水供給装置19によれば、洗浄水タンク内18の水位が満水水位WL0未満の所定の基準水位WL2よりも下方の水位にあるときには、開閉部材82が、フロート80と連動してオーバーフロー管56の開口56aを閉鎖し、補給水部28の補給水流路管吐水口60aからの補給水がオーバーフロー管56内に流入することを防ぐと共に、この補給水を洗浄水タンク18内に供給し補給水部28、洗浄水タンク18内の水位が所定の基準水位WL2と等しい、又はこの所定の基準水位WL2よりも上方の水位にあるときには、開閉部材82がフロート80と連動してオーバーフロー管56の開口56aを開放し、補給水部28の補給水流路管吐水口60aからの補給水をオーバーフロー管56内に安定的に流入させることができる。したがって、大洗浄と小洗浄のそれぞれの場合において、簡単な構造により、補給水部28から一定量の補給水を安定して便器本体2にリフィールさせることができる。
【0059】
また、本発明の第1実施形態による補給水供給装置19によれば、開閉装置30の開閉部材82がフロート80の上下動と連動して第1支持軸90を中心として回動することによりオーバーフロー管56の開口56aを開閉することができる。従って、電子制御等によらず、機械的に簡単な構造を用いて、補給水部28の補給水流路管吐水口60aから吐水される洗浄水のうち、一定量の補給水を安定して便器本体2にリフィールさせることができる。
さらに、開閉装置30の開閉部材82が、第1支持軸90を中心に回動する方向にーバーフロー管56の開口56aを開閉するため、オーバーフロー管56の開口56aをその上下(高さ)方向に開閉するものに比べて、コンパクトな構造にすることができる。
【0060】
さらに、本発明の第1実施形態による補給水供給装置19によれば、開閉装置30の開閉部材82がオーバーフロー管56の開口56aを開放している状態でオーバーフロー管56の開口56aの開口領域のほぼ全域に亘って開放し、開口56aと開閉部材82との間に所定間隔の隙間が形成されているので、オーバーフロー管56の開口56aに相当する規定水位(満水水位WL0)を超えた洗浄水をこの隙間からオーバーフロー管56へ排出させることができ、オーバーフロー能力の低下を抑制してオーバーフロー能力を確保することができる。また、開閉装置30の開閉部材82が、洗浄水タンク18内の水位が基準水位WL2よりも上方の水位にあるときの所定期間に限り、オーバーフロー管56の開口56aを開放し、補給水部28の補給水流路管吐水口60aから吐水された洗浄水をオーバーフロー管56内へ流入させるようにしたため、大洗浄と小洗浄のそれぞれの場合において補給水部28から一定量の補給水を安定して便器本体2にリフィールさせることができる。できる。
【0061】
さらに、本発明の第1実施形態による補給水供給装置19によれば、開閉部材82がオーバーフロー管56の開口56aを閉鎖したとき、補給水部28の補給水流路管吐水口60aから吐水された補給水が開閉部材82のほぼ球面状の外側表面82eの頂部82gに向けて吐水されるため、この頂部82gから球面状の外側表面82eに沿って均一に洗浄水タンク18内に拡散される。したがって、補給水部28から開閉部材82の外側表面82eの頂部82gに吐水されたときの補給水の水跳ねを低減させて吐水音を抑制することができる。
【0062】
さらに、本発明の第1実施形態による補給水供給装置19によれば、調整部材124によって洗浄水タンク18内の水位によってフロート80を上昇させる浮力とフロート80の自重とが釣り合う位置(釣り合い位置)を上下方向に調整することができ、開閉部材82がオーバーフロー管56の開口56aを開閉するタイミングを調整することができる。したがって、便器洗浄に使用される洗浄水タンクの容量に応じて便器本体2への補給水量を変更することができ、且つ大洗浄と小洗浄のそれぞれの場合において補給水部28から一定量の補給水を安定して便器本体2にリフィールさせることができる。
【0063】
つぎに、図7乃至図12により、本発明の第2実施形態による補給水供給装置、及び、その補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置、この洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器を説明する。
図7は、本発明の第2実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置の内部構造を蓋体を取り外した状態で補給水供給装置の一部分を一部破断した部分断面正面図であり、図8は、本発明の第2実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置の内部構造を蓋体を取り外した状態で示す上面図であり、図9は、本発明の第2実施形態による補給水供給装置の補給水装置の一部及び開口開閉手段の斜視図であり、図10は、本発明の第2実施形態による補給水供給装置の補給水装置の一部及び開口開閉手段の分解斜視図であり、図11(a)〜(d)は、本発明の第2実施形態による補給水供給装置の大洗浄モードにおける各状態を示す補給水供給装置の一部分を一部破断した部分断面正面図であり、図12(a)〜(d)は、本発明の第2実施形態による補給水供給装置の小洗浄モードにおける各状態を示す補給水供給装置の一部分を一部破断した部分断面正面図である。
ここで、図7、図8、図11及び図12に示す本発明の第2実施形態による補給水供給装置において、図2、図3、図5及び図6に示す第1実施形態による補給水供給装置の部分と同一の部分について同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0064】
図7及び図8に示すように、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置16の洗浄水タンク18内には、補給水供給装置96が設けられ、補給水供給装置96は、給水装置22から分岐されてオーバーフロー管部26の外方斜め上方まで延び便器本体2に補給水をリフィールさせる補給水部98と、さらに、オーバーフロー管部26の開口の上方には、補給水部98から吐水された補給水が、一定量の補給水をリフィールさせる期間以外の期間はオーバーフロー管部26内へ流入することを遮断されるようにオーバーフロー管部26の開口を閉じ、且つ、一定量の補給水をリフィールさせる期間はオーバーフロー管部26内へ流入されるようにオーバーフロー管部26の開口を開く開閉装置100とを備えている。
【0065】
図10に示すように、補給水部98は、給水バルブ34から給水バルブ吐水口38への流路と分岐されてオーバーフロー管56の開口56aの外方斜め上方まで延びている補給水流路管102と、この補給水流路管102の先端に形成されている補給水流路管吐水口102aをオーバーフロー管56の開口56aを指向させて斜め下方に向けて固定させるオーバーフロー管開口向き固定部104とを備える。
【0066】
補給水部98の補給水流路管102は、その上流端部において給水バルブ34に接続され、給水バルブ34からほぼ一定流量の補給水が安定して供給されるようになっている。
補給水流路管102の先端には、斜め下方に吐水できる補給水流路管吐水口102aが開口され、給水バルブ34から分岐された補給水がこの補給水流路管吐水口102aから洗浄水タンク18内に吐水され、オーバーフロー管56へ導水されて便器本体2へ補給水として供給されるようになっている。
【0067】
補給水部98のオーバーフロー管開口向き固定部104は、オーバーフロー管56の円筒部の上端に取り付けられている。
オーバーフロー管開口向き固定部104は、その内側の内側環状部106と、この内側環状部106の同心円状外側に設けられている外側環状部108と、この外側環状部108の外周から外側に延ばされ且つそこからL字形状に上方に立ち上がるように形成されるL字形支持部110と、L字形支持部110の上端に設けられた補給水流路管吐水口取付部112とを備えている。
【0068】
内側環状部106には、オーバーフロー管56の開口56aが上向きに取付けられている。オーバーフロー管開口向き固定部104の内側環状部106は、実質的には、洗浄水タンク18内の規定水位(満水水位)を超えた洗浄水が流入するオーバーフロー管56の上端の流入口を形成している。
外側環状部108は、内側環状部106と3箇所に設けられた半径方向接続部109によって半径方向に接続されている
内側環状部106と、内側環状部106と外側環状部108とを接続する半径方向接続部109と、外側環状部108との間には、後述する開閉装置100をガイドすることができるガイド空間114が形成されている。
【0069】
L字形支持部110は、外側環状部108の外周から外側に水平に延ばされ、その外側端から鉛直上方に延ばされるようなL字形状に形成され、そのL字形支持部110の上端に固定された補給水流路管吐水口102aから吐水される補給水がオーバーフロー管56の開口56aの外側斜め上方からオーバーフロー管56の開口56aに流入されるように、補給水流路管吐水口取付部112を位置決めしている。
補給水流路管吐水口取付部112には、補給水流路管吐水口102aが斜め下方向きにオーバーフロー管56の開口56aを指向するように取付けられている。
従って、補給水流路管102は、オーバーフロー管開口向き固定部104のL字形支持部110の先端の補給水流路管吐水口取付部112により、オーバーフロー管56の開口56aに向かって固定されている。
【0070】
つぎに、図7乃至図10を参照して、開閉装置100を説明する。
開閉装置100は、オーバーフロー管56の周囲に円筒形状に形成されたフロート116と、このフロート116の上部から上方に延びてオーバーフロー管56の開口56aを開閉する開閉部材118とを備えている。
【0071】
フロート116は、洗浄水タンク18内の水位により上下動するフロートであり、オーバーフロー管56の周囲に沿って上下方向に摺動可能に取付けられている。オーバーフロー管56の円筒部の下部には、フロート下部受け部120が取り付けられている。フロート116は、洗浄水タンク18内の洗浄水が上昇する際には、洗浄水タンク18内の水位によりフロート116が浮力を受けて上昇を開始する位置からフロート116が水位の上昇に合わせて浮き上がるように設けられ、洗浄水タンク18内の洗浄水が下降する際には、フロート116がフロート下部受け部120上に引っ掛けられて停止されるまでフロート116が水位の下降に合わせて下降するように設定されている。
【0072】
次に、開閉部材118について説明する。
開閉装置100の開閉部材118は、オーバーフロー管56の開口56aを閉鎖する際に、オーバーフロー管56の開口56a上方には、オーバーフロー管56の開口56aのほぼ半分の外周を横方向及び斜め上方向から覆うことができる覆い形状に形成され、より具体的には、開閉部材118は、オーバーフロー管56の開口56aの外円周に沿って上方に壁状に延ばされ且つ補給水流路管吐水口102a方向にその補給水流路管吐水口102aと対向する側の表面が張り出して湾曲された円弧形状に形成されている。
開閉部材118は、オーバーフロー管開口向き固定部104の内側環状部106と外側環状部108との間に形成された半円筒形状のガイド空間114内に挿入され、オーバーフロー管開口向き固定部104を貫通され、オーバーフロー管開口向き固定部104に対して上下動することができる。
【0073】
開閉部材118は、その下部においてフロート116の内円周面に沿って取付けられるフロート取付け部118aと、開閉部材118の外側に向かって突出する円周面領域を形成する外側表面118bと、開閉部材118の内側の円周面領域を形成する内側表面118cと、開閉部材118がオーバーフロー管56の開口56aを閉じている際に、外側表面118bの円周面の最高の高さ位置に設定された頂部118dと、内側表面118cに設けられ、フロート下部受け部120上に引っ掛け可能な引掛り部118eとを備えている。
開閉部材118のフロート取付け部118aは、フロート116の内円周面に沿ってフロート116の下端まで延びている。
開閉部材118の外側表面118bは、オーバーフロー管56の開口56aの外周円のほぼ半円にわたって形成され、外側表面118bのうち、補給水流路管吐水口102aから補給水が吐水される領域の一部には、補給水流路管102の補給水流路管吐水口102aからの吐水が、オーバーフロー管56の開口56aに向かって通過できる吐水通過開口122が形成されている。
開閉部材118の外側表面118bの吐水通過開口122は、外側表面118bにおける補給水流路管吐水口102aのほぼ正面において上下方向に長い四角形状に形成され、その吐水通過開口122の位置を、吐水通過開口122に取付けられた開閉部材118の調整部材124によって調整することができ、そのため、調整部材124によって、オーバーフロー管56の開口56aが補給水流路管吐水口102aに対して開閉状態を変えられるように、フロート116の釣り合い位置に対応する吐水通過開口122の位置を上下方向に調整することができる。調整部材124は凸部124aを有し、吐水通過開口122には凸部124aと係合可能な凹部122aが複数形成されている。
開閉部材118の外側表面118bに形成された吐水通過開口122が、補給水流路管吐水口102aから吐水される補給水の流線上に位置している場合には、この補給水が吐水通過開口122を通過してオーバーフロー管56の開口56aに流入でき、オーバーフロー管56の開口56aは補給水流路管吐水口102aに対して開かれた状態となっている。これに対し、吐水通過開口122が、補給水流路管吐水口102aから吐水される補給水の流線上以外の位置に位置している場合には、この補給水は開閉部材118の外側表面118bの頂部118dに当たって、頂部118dから開閉部材118の外側表面118bに沿って放射状に拡散しながら流下され、洗浄水として洗浄水タンク18内に補給水され、オーバーフロー管56の開口56aは補給水流路管吐水口102aに対して閉じられた状態となっている。
開閉部材118の高さが最高の高さにあるときに、開閉部材118の高さが給水バルブ34の高さより低く設定されているので、高さ方向にコンパクトな洗浄水タンク18を形成することができ、従来の洗浄水タンク設計のまま本発明の第2実施形態による補給水供給装置19を用いることができる。
【0074】
つぎに、本発明の第2実施形態による補給水供給装置、及び、その補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置、この洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器の動作(作用)を説明する。
まず、図11(a)〜(d)により、本発明の第2実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置及びこの洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器により実行される2種類の洗浄モードのうちの大洗浄モードについて説明する。
【0075】
まず、図11(a)に示されるような大洗浄モードにおける排水及び給水が開始される前の状態の補給水供給装置19においては、排水弁装置24の弁体42が弁座50に当接して排水口20が閉止され、洗浄水タンク18内の洗浄水の水位は、満水時のほぼ止水水位WL0に維持されている。
フロート116が、浮力によって上昇されて停止された状態となっており、フロート116の内円周面に沿って取付けられた開閉部材118が持ち上げられ、開閉部材118の外側表面118bの吐水通過開口122が、補給水流路管吐水口102aの正面方向に位置し、オーバーフロー管56の開口56aを補給水流路管吐水口102aに対して開放している状態となっている。
【0076】
大洗浄モードにおける排水が開始された後の状態の補給水供給装置19においては、使用者が操作レバー54を所定の大洗浄モードを実行する方向に回動操作すると、ワイヤ巻取り装置52が作動し、操作ワイヤ48が大洗浄モードの巻き取り量で巻き取られ、排水弁装置24の主軸部材46、弁体保持部材44及び弁体42が弁座50に対して引き上げられ、排水口20が開放され、洗浄水タンク18内の洗浄水が排水流路9を通じて便器本体2に排出される。従って、洗浄水タンク18内の水位は、急速に低下される。
【0077】
補給水供給装置19の開閉装置100においては、水位と連動するフロート116が下降し、フロート116に取付けられた開閉部材118が下降し、開閉部材118の外側表面118bに形成された吐水通過開口122が下降し、補給水流路管吐水口102aの正面より下方に移動し、オーバーフロー管56の開口56aを補給水流路管吐水口102aに対して閉鎖している状態となっている。
弁体42が排水口20を開放した後、給水装置22の給水バルブ34が開弁され、ほぼ同時に、給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から洗浄水が洗浄水タンク18内へ吐水され、ほぼ同時に、給水バルブ34から分岐した補給水流路管102に補給水が供給され、補給水が補給水流路管吐水口102aから対向する開閉部材118の外側表面118bに向かって斜め下方向きに吐水される。
【0078】
つぎに、図11(b)に示すように、大洗浄モードにおける排水終了直後の状態の補給水供給装置19においては、排水弁装置24の主軸部材46及び弁体42が水位の低下と共にさらに下降し、弁体42が弁座50に当接し、排水口20が閉止され、排水弁装置24の大洗浄モードにおける排水が終了し、給水装置22の給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水が継続して洗浄水タンク18内に吐水され、給水バルブ34から分岐した補給水が補給水流路管102に供給され、補給水が補給水流路管吐水口102aから対向する開閉部材118の外側表面118bに向かって(オーバーフロー管56の開口56aの方向に向かって)斜め下方向きに吐水されている状態となっている。
洗浄水タンク18内の水位は、止水水位WL1において下降が停止されている。
補給水供給装置19の開閉装置100においては、フロート116は水位に合わせて下降されるが、その下降移動の下限位置、すなわちフロート下部受け部120上にフロート116の引掛り部118eが引っ掛かった位置において停止された状態となっており、フロート116に取付けられた開閉部材118が停止され、開閉部材118の外側表面118bに形成された吐水通過開口122が停止され、補給水流路管吐水口102aの正面より下方に位置し、開閉部材118の外側表面118bの頂部118dが補給水流路管吐水口102aの吐水方向上に位置し、開閉部材118がオーバーフロー管56の開口56aを補給水流路管吐水口102aに対して遮断するように閉鎖している状態となっている。
【0079】
補給水流路管吐水口102aからの補給水は、オーバーフロー管56の開口56aに向かって斜め下方向きに吐水され、開閉部材118の外側表面118bの頂部118dに当たり、頂部118dから開閉部材118の横方向に張り出して湾曲した円弧形状の外側表面118bに沿って放射状に拡散して流下し、オーバーフロー管56の開口56aの外側に流下し、洗浄水として洗浄水タンク18内に貯水(補給水)されている。
給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水及び補給水流路管吐水口102aから吐水される補給水により、洗浄水タンク18内の水位が止水水位WL1から次第に上昇を開始する。
【0080】
つぎに、図11(c)に示すように、大洗浄モードにおける排水終了後、給水中に、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に基準水位WL2まで上昇した状態の補給水供給装置19においては、弁体42は排水口20を閉じた状態のままであり、給水装置22の給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水が継続して洗浄水タンク18内に吐水され、給水バルブ34から分岐した補給水が補給水流路管102に供給され、補給水が補給水流路管吐水口102aからオーバーフロー管56の開口56aに向かって斜め下方向きに吐水されている状態となっている。
補給水供給装置19の開閉装置100においては、洗浄水タンク18内の水位が水位WL2まで上昇するとき、フロート116が上昇し、フロート116に取付けられた開閉部材118が上昇され、開閉部材118の外側表面118bに形成された吐水通過開口122が上昇し、補給水流路管吐水口102aの正面に位置され、開閉部材118がオーバーフロー管56の開口56aを補給水流路管吐水口102aに対して開放している状態となっている。
補給水流路管吐水口102aから吐水された補給水は、吐水通過開口122を通ってフロー管56の開口56aに向かって斜め下方向きに吐水され、オーバーフロー管56の開口56a内に流入され、オーバーフロー管56内を通して排水流路9に流れ、便器本体2に補給水としてリフィールされる。
【0081】
つぎに、図11(d)に示すように、大洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に止水水位に近い水位WL3まで上昇されて給水が終了する直前の状態の補給水供給装置19においては、弁体42は排水口20を閉じた状態のままであり、給水装置22の給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水が継続して洗浄水タンク18内に吐水され、給水バルブ34から分岐した補給水が補給水流路管102に供給され、補給水が補給水流路管吐水口102aから、オーバーフロー管56の開口56aに向かって斜め下方向きに吐水されている状態となっている。
補給水供給装置19の開閉装置100においては、洗浄水タンク18内の水位が水位WL3まで上昇するとき、フロート116がさらに上昇され、フロート116に取付けられた開閉部材118が上昇し、開閉部材118の外側表面118bに形成された吐水通過開口122が上昇され、補給水流路管吐水口102aの吐水方向に位置され、開閉部材118がオーバーフロー管56の開口56aを補給水流路管吐水口102aに対して開放している状態となっている。
【0082】
最後に、図11(a)に示すように、大洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に止水水位WL0まで上昇されて給水が終了された状態の補給水供給装置19においては、弁体42は排水口20を閉じた状態のままであり、洗浄水タンク18内の水位が止水水位WL0まで上昇すると、給水バルブフロート36が上昇し、それにより給水バルブ34が閉じ、給水バルブ吐水口38が止水され、給水バルブ34から分岐した補給水流路管102からの補給水の供給が停止され、補給水流路管吐水口102aからの吐水が停止され、洗浄水タンク18内の水位はほぼ止水水位WL0において停止された状態となっている。
補給水供給装置19の開閉装置100においては、洗浄水タンク18内の水位が止水水位WL0において上昇を停止され、フロート116の上昇が停止され、フロート116に取付けられた開閉部材118の上昇が停止され、開閉部材118の外側表面118bに形成された吐水通過開口122の上昇が停止され、吐水通過開口122は補給水流路管吐水口102aの吐水方向に位置し、開閉部材118がオーバーフロー管56の開口56aを補給水流路管吐水口102aに対して開放している状態となっている。このように、補給水供給装置19が大洗浄モードにおける排水及び給水が開始される前の状態に戻る。給水バルブ34からの給水量はほぼ一定であり、排水弁装置24の弁体42が排水口20を開放して大洗浄を開始してから排水口20を閉鎖して洗浄水タンク18内の水位が所定の基準水位WL2に上昇するまでの大洗浄モードの所定期間は各大洗浄ごとにほぼ一定に設定される。
【0083】
つぎに、図12(a)〜(d)により、本発明の第2実施形態による補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置及びこの洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器により実行される小洗浄モードについて説明する。
【0084】
まず、図12(a)に示されるような小洗浄モードにおける排水が開始される前の状態の補給水供給装置19においては、上述した図11(a)に示されている大洗浄モードの場合と同様であるため、説明は省略する。
【0085】
小洗浄モードにおける排水が開始された後の状態の補給水供給装置19においては、使用者が操作レバー54を所定の小洗浄モードを実行する方向に回動操作すると、ワイヤ巻取り装置52が作動し、操作ワイヤ48が小洗浄モードの巻き取り量で巻き取られ、排水弁装置24の主軸部材46、弁体保持部材44及び弁体42が弁座50に対して引き上げられ、排水口20が開放され、洗浄水タンク18内の洗浄水が排水流路9を通じて便器本体2に排出される。従って、洗浄水タンク18内の水位は、急速に低下される。
【0086】
補給水供給装置19の開閉装置100においては、水位と連動するフロート116が下降し、フロート116に取付けられた開閉部材118が下降し、開閉部材118の外側表面118bに形成された吐水通過開口122が下降し、補給水流路管吐水口102aのほぼ正面方向に移動し、オーバーフロー管56の開口56aを補給水流路管吐水口102aに対して開放している状態となっている。
弁体42が排水口20を開放した後、例えば、開閉部材118がオーバーフロー管56の開口56aを補給水流路管吐水口102aに対して閉鎖する状態となるまでの一定期間のような、一定期間の経過後に、給水装置22の給水バルブ34が開弁し、ほぼ同時に、給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から洗浄水が洗浄水タンク18内へ吐水され、ほぼ同時に、給水バルブ34から分岐した補給水流路管102に補給水が供給され、補給水が補給水流路管吐水口102aからオーバーフロー管56の開口56aに向かって斜め下方向きに吐水される。
【0087】
つぎに、図12(b)に示すように、小洗浄モードにおける排水終了直後の状態の補給水供給装置19においては、排水弁装置24の主軸部材46及び弁体42が水位の低下と共にさらに下降し、弁体42が弁座50に当接し、排水口20が閉止され、排水弁装置24の小洗浄モードにおける排水が終了し、給水装置22の給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水が継続して洗浄水タンク18内に吐水され、給水バルブ34から分岐した補給水が補給水流路管102に供給され、補給水が補給水流路管吐水口102aからオーバーフロー管56の開口56aに向かって斜め下方向きに吐水されている状態となっている。
洗浄水タンク18内の水位は、止水水位WL4において下降が停止されている。
補給水供給装置19の開閉装置100においては、フロート116は水位に合わせて下降されるが、その下降移動の下限位置、すなわちフロート下部受け部120上にフロート116の引掛り部118eが引っ掛かった位置において停止された状態となっており、フロート116に取付けられた開閉部材118の下降が停止され、開閉部材118の外側表面118bに形成された吐水通過開口122が停止され、補給水流路管吐水口102aの吐水方向より下方に位置され、開閉部材118の外側表面118bの頂部118dが補給水流路管吐水口102aの吐水方向上に位置され、開閉部材118がオーバーフロー管56の開口56aを補給水流路管吐水口102aに対して閉鎖している状態となっている。
【0088】
補給水流路管吐水口102aからの補給水は、オーバーフロー管56の開口56aに向かって斜め下方向きに吐水され、開閉部材118の外側表面118bの頂部118dに当たり、頂部118dから開閉部材118の横方向に張り出して湾曲した円弧形状の外側表面118bに沿って放射状に拡散して流下し、オーバーフロー管56の開口56aの外側に流下し、洗浄水として洗浄水タンク18内に貯水(補給水)されている。
給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水及び補給水流路管吐水口102aから吐水される補給水により、洗浄水タンク18内の水位が止水水位WL4から次第に上昇を開始する。
【0089】
つぎに、図12(c)に示すように、小洗浄モードにおける排水終了後、給水中に、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に基準水位WL2まで上昇した状態の補給水供給装置19においては、弁体42は排水口20を閉じた状態のままであり、給水装置22の給水は継続され、給水バルブ34から分岐した補給水が補給水流路管102に供給され、補給水が補給水流路管吐水口102aからオーバーフロー管56の開口56aに向かって斜め下方向きに吐水されている状態となっている。
補給水供給装置19の開閉装置100においては、洗浄水タンク18内の水位が基準水位WL2まで上昇するとき、フロート116が上昇し、フロート116に取付けられた開閉部材118が上昇し、開閉部材118の外側表面118bに形成された吐水通過開口122が上昇し、補給水流路管吐水口102aの吐水方向正面に位置され、開閉部材118がオーバーフロー管56の開口56aを補給水流路管吐水口102aに対して開放している状態となっている。
補給水流路管吐水口102aから吐水された補給水は、フロー管56の開口56aに向かって斜め下方向きに吐水され、吐水通過開口122を通過して、オーバーフロー管56の開口56a内に流入し、オーバーフロー管56内を通して排水流路9に流れ、便器本体2に補給水としてリフィールされる。
【0090】
つぎに、図12(d)に示すように、小洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に止水水位に近い水位WL3まで上昇されて給水が終了する直前の状態の補給水供給装置19においては、弁体42は排水口20を閉じた状態のままであり、給水装置22の給水バルブ34の給水バルブ吐水口38から吐水される洗浄水が継続して洗浄水タンク18内に吐水され、給水バルブ34から分岐した補給水が補給水流路管102に供給され、補給水が補給水流路管吐水口102aから、オーバーフロー管56の開口56aに向かって斜め下方向きに吐水されている状態となっている。
補給水供給装置19の開閉装置100においては、洗浄水タンク18内の水位が水位WL3まで上昇するとき、フロート116がさらに上昇し、フロート116に取付けられた開閉部材118が上昇し、開閉部材118の外側表面118bに形成された吐水通過開口122が上昇し、補給水流路管吐水口102aの吐水方向に位置し、開閉部材118がオーバーフロー管56の開口56aを補給水流路管吐水口102aに対して開放している状態となっている。
【0091】
最後に、図12(a)に示すように、小洗浄モードにおける排水終了後、洗浄水タンク18内の水位が、時間と共に止水水位WL0まで上昇されて給水が終了された状態の補給水供給装置19においては、弁体42は排水口20を閉じた状態のままであり、洗浄水タンク18内の水位が止水水位WL0まで上昇すると、給水バルブフロート36が上昇し、それにより給水バルブ34が閉じ、給水バルブ吐水口38が止水され、給水バルブ34から分岐した補給水流路管102からの補給水の供給が停止され、補給水流路管吐水口102aからの吐水が停止され、洗浄水タンク18内の水位はほぼ止水水位WL0において停止された状態となっている。
補給水供給装置19の開閉装置100においては、洗浄水タンク18内の水位が止水水位WL0において上昇を停止され、フロート116の上昇が停止され、フロート116に取付けられた開閉部材118の上昇が停止され、開閉部材118の外側表面118bに形成された吐水通過開口122の上昇が停止され、吐水通過開口122は補給水流路管吐水口102aの吐水方向に位置され、開閉部材118がオーバーフロー管56の開口56aを補給水流路管吐水口102aに対して開放している状態となっている。このように、補給水供給装置19が小洗浄モードにおける排水及び給水が開始される前の状態に戻る。給水バルブ34からの給水量はほぼ一定であり、排水弁装置24の弁体42が排水口20を開放して小洗浄を開始してから排水口20を閉鎖して洗浄水タンク18内の水位が所定の基準水位WL2に上昇するまでの小洗浄モードの所定期間は各小洗浄ごとにほぼ一定に設定される。
【0092】
次に、上述した本発明の第2実施形態による補給水供給装置の作用効果を説明する。
先ず、補給水部98が給水バルブ34から分岐してオーバーフロー管56の開口56aに差し向けられるように固定された状態で、オーバーフロー管56の開口56aの上方に配置された開閉装置100の開閉部材118により、排水弁装置24の弁体42が排水口20を開放して大洗浄又は小洗浄を開始してから排水口20を閉鎖して洗浄水タンク18内の水位が所定の基準水位WL2に上昇するまでの所定期間では、オーバーフロー管56の開口56aを閉鎖して補給水部98の補給水流路管吐水口102aからの補給水がオーバーフロー管56内に流入することを防ぐと共に、この補給水を洗浄水タンク18内に供給し、所定期間以外の期間では、オーバーフロー管56の開口56aを開放して補給水部98の補給水流路管吐水口60aからの補給水をオーバーフロー管56内に安定的に流入させることができる。したがって補給水部98、大洗浄と小洗浄のそれぞれの場合において補給水部98から一定量の補給水を安定して便器本体2にリフィールさせることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 水洗大便器
2 便器本体
4 ボウル部
9 排水流路
16 洗浄水タンク装置
18 洗浄水タンク
18a 底面
19、96 補給水供給装置
22 給水装置
24 排水弁装置
26 オーバーフロー管部
28、98 補給水部
30、100 開閉装置(開口開閉手段)
34 給水バルブ
56 オーバーフロー管
56a 開口
60、102 補給水流路管
60a、102a 補給水流路管吐水口
62、104 オーバーフロー管開口向き固定部
80、116 フロート
82、118 開閉部材
0 鎖線
0 溜水面
WL0 止水水位
WL1 止水水位
WL2 基準水位
WL3 水位
WL4 止水水位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器を洗浄するための洗浄水を水源から洗浄水タンク内に給水する給水装置と、洗浄水タンクの底面に配置されて便器と連通する排水流路を開閉する排水弁と、上記排水流路と連通し、上記洗浄水タンクの底面から上方へ延びるように設けられて上記洗浄水タンク内の洗浄水が満水水位を超えた場合に洗浄水を上記便器へ排出するオーバーフロー管と、を有する洗浄水タンク装置に設けられて大洗浄と小洗浄を行う便器に補給水を供給する補給水供給装置であって、
上記給水装置から分岐し、その下流側端部に形成された吐水口が上記オーバーフロー管の開口に差し向けられるように固定されて上記吐水口から上記オーバーフロー管に洗浄水を供給する補給水部と、
上記オーバーフロー管の開口に配置されて上記補給水部の吐水口から上記オーバーフロー管への洗浄水の流入を遮断するように上記オーバーフロー管の開口を開閉する開口開閉手段であって、上記排水弁が上記排水流路を開放して大洗浄又は小洗浄を開始してから上記排水弁が上記排水流路を閉鎖して上記洗浄水タンク内の水位が所定の基準水位に上昇するまでの所定期間では上記オーバーフロー管の開口を閉鎖し、上記所定期間以外の期間では上記オーバーフロー管の開口を開放する上記開口開閉手段と、を有することを特徴とする補給水供給装置。
【請求項2】
上記所定の基準水位は、上記洗浄水タンク内の水位が満水水位未満の水位であり、上記開口開閉手段は、上記洗浄水タンク内の水位により上下動するフロートと、このフロートと連動し、上記洗浄水タンク内の水位が上記所定の基準水位よりも下方の水位にあるとき、上記オーバーフロー管の開口を閉鎖し、上記洗浄水タンク内の水位が上記所定の基準水位と等しい、又はこの所定の基準水位よりも上方の水位にあるとき、上記オーバーフロー管の開口を開放する開閉部材と、を備えている請求項1記載の補給水供給装置。
【請求項3】
上記開口開閉手段は、更に、上記オーバーフロー管からほぼ水平方向に延びるように設けられて上記開閉部材を支持する支持軸を備え、上記開閉部材は、上記フロートの上下動と連動して上記オーバーフロー管の開口を開閉するように上記支持軸に回動可能に取り付けられている請求項2記載の補給水供給装置。
【請求項4】
上記開閉部材は、上記オーバーフロー管の開口を開放している状態で上記オーバーフロー管の開口領域のほぼ全域に亘って開放するように、上記開口と上記開閉部材との間には、所定間隔の隙間が形成されている請求項3記載の補給水供給装置。
【請求項5】
上記開閉部材は、上記オーバーフロー管の開口を閉鎖している状態で上記補給水部の吐水口と対向する側の表面がほぼ球面状に形成され、上記補給水部の吐水口は、上記開閉部材が上記オーバーフロー管の開口を閉鎖している状態で上記開閉部材のほぼ球面状の表面の頂部に向けて吐水する請求項3又は4記載の補給水供給装置。
【請求項6】
上記フロートは、上記洗浄水タンク内の水位によって上記フロートを上昇させる浮力と上記フロートの自重とが釣り合う位置を上下方向に調整可能な調整手段を備えている請求項2乃至5の何れか1項に記載の補給水供給装置。
【請求項7】
上記請求項1乃至6の何れか1項に記載の補給水供給装置を備えた洗浄水タンク装置。
【請求項8】
上記請求項7記載の洗浄水タンク装置を備えた水洗大便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図5(d)】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図6(c)】
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【図6(d)】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図11(c)】
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【図11(d)】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図12(c)】
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【図12(d)】
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【公開番号】特開2013−96213(P2013−96213A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243154(P2011−243154)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】