説明

補聴器及び構成部材及び関連する製造方法

補聴器及び組み立て方法が開示されている。補聴器は、補聴器の使用者の耳道内に出力される処理された音を提供するために、受け取られた音を処理するために役立つ。電子アセンブリは、補聴器の使用者の耳の中に適合するように寸法決めされたハウジング内のチャンバ内に配置されている。チャンバは、電子アセンブリを配置及び位置決めするための、内部案内チャネルと取付け面とを有している。電子アセンブリを位置決めするためのチャンバ内の位置を決定するために、補聴器のハウジング内に画定された容積は、コンピュータソフトウェア等を用いて分析され、次いで、電子アセンブリが、電子アセンブリを決定された位置に配置及び位置決めするためにハウジングの案内チャネル及び取付け面を使用して、ハウジング内に組み込まれる。この要約は、検索者又はその他の読み手が技術的開示の主題を迅速に確認できるようにする要約を必要とする規則に従うために提供されていることが強調される。要約は、請求項の意味の範囲を解釈又は制限するために使用されないことが理解される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、“Hearing Aid Instrument and Related Production Process”という名称の、2002年3月20日に出願された米国特許仮出願連続番号第60/365930号(代理人整理番号第2002P0464US)の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は補聴器の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
補聴器は使用者の耳道に部分的に又は完全に挿入される。通常、補聴器、特にカスタム補聴器は、使用者の耳道に配置された場合にフィードバックを最小限に抑制するように構成されていなければならない。
【0004】
カスタム補聴器のための既存の組み立て方法及び構造は、一定のフィードバックパフォーマンスを許容せず、通常、例えばフィードバックに関して満足できるパフォーマンスが達成される前に補聴器のハウジング内に電子アセンブリを位置決めするために製造中に多くの反復を必要とする。
【0005】
しばしば、フィードバックフリー動作を達成しようとするためにハウジングチャンバ内で電子アセンブリを移動させるアセンブリ労働者によって、暗探法によって閉鎖作業が行われる。このような作業には著しく時間がかかる。さらに、パフォーマンスが満足できるものとなる保証がない。例えば、内部フィードバックに因り、周波数応答に対する可能なスパイクが依然として存在する。
【0006】
発明の概要
使用者の耳の中に位置決めするための補聴器は、電子アセンブリを有しており、この電子アセンブリは、補聴器ユーザの耳の中に適合するように寸法決めされたハウジング内に配置された場合に、補聴器ユーザの耳道内に出力されるための音を処理しかつ処理された音を提供するために使用される。ハウジングは、電子アセンブリを配置及び位置決めするための内部案内チャネルと取付け面とを有する。
【0007】
補聴器の開示された構成及び組み立て方法は、補聴器を組み立てる場合に一貫した結果を提供する。補聴器ハウジング内に画定された容積、例えばチャンバは、電子アセンブリを位置決めするためのチャンバ内の位置を特定するために、例えばコンピュータソフトウェア等を用いて分析され、次いで、電子アセンブリを特定された位置に配置及び位置決めするために、電子アセンブリはハウジングの案内チャネル及び取付け面を使用してハウジング内に組み込まれる。
【0008】
保護範囲は、上記の典型的な実施形態の概要によってではなく、請求項によってのみ限定される。
【0009】
本発明の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明と、添付の請求項と、添付の図面とからより一層明らかになるであろう。
【0010】
好適な実施形態の詳細な説明
図1を参照すると、ブートチューブ6は、実質的に管状の管状通路6aとアセンブリ受容部6bとを有する。現時点で好適な実施形態において、アセンブリ受容部6bは管状通路6aと流体接続している。アセンブリ受容部6bは、電子アセンブリ12を受容するように寸法決めされている。
【0011】
電子アセンブリ12は、補聴器ユーザの耳道内へ出力されるための処理された音を提供するために受け取られた音を処理する構成部材、例えば受信機を含む。有利な実施形態において、電子アセンブリ12は、補聴器の当業者によく知られた電気機械的な受信機である。択一的な実施形態において、電子アセンブリ12はさらに、フィルタ、能動デバイス及び同様のもの等の付加的な電子構成部材を有していてよい。
【0012】
管状通路6aの外側部分に沿った所定の位置にバリヤストッパ3が配置されている。有利な実施形態において、バリヤストッパ3は、管状通路6aの外側部分と一体的なリング状のストッパである。択一的な実施形態において、バリヤストッパ3は、管状通路6aとは別個の部材であってよく、例えばブートチューブ6及び電子アセンブリ12をチャンバ1に挿入する前に管状通路6aに沿った所定の位置において管状通路6に取り付けられることができる。
【0013】
付加的に、管状通路6aの所定の長さに沿ってキーリッジ2が設けられている。有利な実施形態において、キーリッジ2は、例えば管状通路6aの外側部分に沿ってブートチューブ6の所定の部分に形成されたリッジ又は突出部である。
【0014】
図2を参照すると、補聴器10はハウジング11を有しており、このハウジング11内にブートチューブ6及び電子アセンブリ12が配置されている。
【0015】
ハウジング11はさらにチャンバ1を有している。チャンバ1の内面13は、アセンブリ受容部6bを含むブートチューブ6を収容するように寸法決めされている。
【0016】
バリヤ4、例えばチャンバ1内の肩部又はリッジは、チャンバ1の所定の部分内においてチャンバ1の遠位端部14の近傍に配置されている。バリヤ4はチャンバ1を2つの区分1a及び1bに分割している。バリヤ4に設けられた開口(図示せず)により、区分1aと1bとが連絡されており、ブートチューブ6はバリヤ4を貫いてチャンバ1aからチャンバ1bへ配置されることができる。現時点で考えられる択一的な実施形態においては、チャンバ1a又は1bの一方又は両方が、所定の充填材料で少なくとも部分的に充填されてよい。
【0017】
チャンバ1の一方又は両方の区分1a及び1bはさらにパーキング空間を規定しており、このパーキング空間は、ブートチューブ6及び電子アセンブリ12をチャンバ1内に配置及び位置決めする場合に使用されることができる。例えばチャンバ1aによって規定されるような、パーキング空間内でのブートチューブ6及び電子アセンブリ12の移動は、バリヤ4によって妨害される。
【0018】
図3を参照すると、内面13(図2)の所定の部分に沿ってチャンバ1の所定の区分(図2)に沿って案内チャネル5が設けられている。案内チャネル5は、ブートチューブ6をチャンバ1、例えば区分1a及び1b内に位置決めするためにキーリッジ2を収容する。さらに、キーリッジ2は、ブートチューブ6及び電子アセンブリ12がチャンバ1に挿入される場合に許容されるブートチューブ6又は電子アセンブリ12(図2)の回転量を制限するために使用されてよい。
【0019】
図4を参照すると、チャンバ1に挿入されると、ブートチューブ6は、例えばキーリッジ2と案内チャネル5(図3)とを係合させることによってチャンバ11内で案内される。ブートチューブ6がチャンバ1に引き込まれると、チャンバ1内へのブートチューブの進行は、アセンブリ受容部6bがチャンバ1、例えば区分1a内においてバリヤ4から所定の距離における所定の位置に到達すると、バリヤストッパ3がバリヤ4に接触することによって妨害される。
【0020】
典型的な実施形態の操作において、図5を参照すると、チャンバ1(図2)の内面13(図2)によって規定された容積等のハウジング11(図2)内の空間が調査され(ステップ100)、チャンバ1(図2)及びアセンブリ受容部6b(図1)に関する所望の寸法を形成するために、例えばソフトウェアを用いて分析される。アセンブリ受容部6bは、例えば所望の聞こえやすさを達成するために電子アセンブリ12(図1)を収容する。次いで、チャンバ1の寸法、例えば内面13(図2)の特性及び区分1a及び1b(図2)を形成するためのバリヤ4(図2)の配置は、チャンバ1の内面13とアセンブリ受容部6b(図1)の外面との間に所要の間隙を提供することによって電子アセンブリ12(図1)の所望の位置決めのために決定されてよい。これらの寸法は、バリヤ4(図2)の特性、例えば、遠位端部14(図2)から、バリヤストッパ3(図1)に接触するバリヤ4の縁部までのオフセットを含んでもよい。所望の位置決めは、所定の判断基準に基づく最適な位置決めであってよい。
【0021】
チャンバ1におけるアセンブリ受容部6b(図1)の所望の位置決めを提供するのを助けるために、案内チャネル5(図3)が、チャンバ1(図2)及び/又はバリヤ4(図2)に形成されていてもよい。
【0022】
補聴器10(図2)が組み立てられる場合、電子アセンブリ12(図1)がチャンバ1(図1)のアセンブリ受容部6b(図1)に組み付けられる(ステップ110)。有利な実施形態において、電子アセンブリ12はアセンブリ受容部6b内に配置される。管状通路6a(図1)及びアセンブリ受容部6b(図1)は、アセンブリ受容部6b(図1)から所定のオフセットで管状通路6aの部分として又は管状通路6aと一体的に形成されたバリヤストッパ3を備えて製造されてよい。択一的に、まだ管状通路6a(図1)と一体的でないならば、チャンバ1への電子アセンブリ12の組付けの前に、バリヤストッパ3(図1)は、アセンブリ受容部6b(図1)から所定のオフセットで管状通路6aに付加されてよい。
【0023】
電子アセンブリ12(図1)がアセンブリ受容部6b内に位置決めされると、ブートチューブ6(図1)の挿入端部6c(図1)が、例えばデバイス引張り部材等を用いてチャンバ1(図4)内に誘導される。キーリッジ2(図1)は案内チャネル5(図3)と係合させられ、バリヤストッパ3(図4)がチャンバ1(図4)内の所定の位置に到達するまで、例えばバリヤ4(図4)に衝突するまでチャンバ1(図4)に引き込まれる。
【0024】
ブートチューブ6(図1)及び電子アセンブリ12(図1)をチャンバ1(図2)内に配置した後、付加的な所要の構成部材、例えば電池、電池接点、付加的な電子部材、電池ドア及び同様のもの又はそれらの組み合わせが付加される。次いで、ハウジング11(図2)が閉鎖される。
【0025】
本発明の性質を説明するために上に説明及び例示された細部、材料及び部材の配列の様々な変更が、添付の請求項に記載されたような発明の原理及び範囲から逸脱することなく当業者によってなされてもよいことが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のブートチューブの典型的な実施形態の斜視図である。
【0027】
【図2】補聴器シェルに部分的に挿入されたブートチューブを示す、補聴器の典型的な実施形態の一部を斜視図で、一部を断面図で示している。
【0028】
【図3】チャネルガイドを示す、補聴器の典型的な実施形態の端部の平面図である。
【0029】
【図4】補聴器シェルにより完全に挿入されたブートチューブを示す、補聴器の典型的な実施形態の一部を斜視図で、一部を断面図で示している。
【0030】
【図5】補聴器の典型的な実施形態を製造する典型的な方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
1 チャンバ、 1a,1b 区分、 2 キーリッジ、 3 バリヤストッパ、 4 バリヤ、 5 案内チャネル、 6 ブートチューブ、 6a 管状通路、 6b アセンブリ受容部、 10 補聴器、 11 ハウジング、 12 電子アセンブリ、 13 内面、 14 遠位端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補聴器において使用するためのブートチューブにおいて、
a)遠位端部を有する実質的に管状の管状通路と、
b)遠位端部とは反対側の管状通路の端部に配置された、電子アセンブリを収容するためのアセンブリ受容部とが設けられており、該アセンブリ受容部が管状通路と流体接続されており、
c)管状通路の外側の所定の長さに沿って配置されたキーリッジが設けられていることを特徴とする、補聴器において使用するためのブートチューブ。
【請求項2】
アセンブリ受容部から所定のオフセットで管状通路の外側に沿って配置されたバリヤストッパが設けられている、請求項1記載のブートチューブ。
【請求項3】
a)バリヤストッパが、(i)ストッパリング、(ii)管状通路の外側の所定の線形部分と一体的な突出部、又は(iii)管状通路の外周の所定の部分と一体的な突出部のうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項2記載のブートチューブ。
【請求項4】
使用者の耳の中に位置決めするための補聴器において、
a)補聴器の使用者の耳道内に出力されるための処理された音を提供するために、受け取られた音を処理するために使用するための電子アセンブリと、
b)補聴器の使用者の耳の中に適合するように寸法決めされた、電子アセンブリを収容するためのハウジングとが設けられており、該ハウジングがチャンバを有しており、該チャンバが、該チャンバ内に電子アセンブリを配置及び位置決めするための内部案内チャネル及びパーキング空間を含んでいることを特徴とする、使用者の耳の中に位置決めするための補聴器。
【請求項5】
a)案内チャネルとパーキング空間とが、電子アセンブリをチャンバの内面と実質的に接触しないように位置決めする、請求項4記載の補聴器。
【請求項6】
a)電子アセンブリをパーキング空間から分離するためにパーキング空間と電子アセンブリとの間に配置されたバリヤストッパが設けられている、請求項4記載の補聴器。
【請求項7】
a)バリヤストッパが、i)電子アセンブリから所定のオフセットでブートチューブの外側部分の周囲に配置されたストッパリング、又はii)電子アセンブリから所定のオフセットでブートチューブの外側部分の周囲に配置された、ブートチューブと一体的な突出部の少なくとも1つを含んでいる、請求項6記載の補聴器。
【請求項8】
a)パーキング空間が、ハウジングに形成されたバリヤを有しており、該バリヤがチャンバを複数の区分に分離させており、バリヤがさらに開口を有しており、該開口をブートチューブの所定の部分が貫通させられる、請求項4記載の補聴器。
【請求項9】
a)区分のうちの少なくとも1つが、所定の充填材料で少なくとも部分的に充填されている、請求項8記載の補聴器。
【請求項10】
案内チャネルが、ブートチューブに取り付けられた、位置決めキーリッジを収容しており、ブートチューブに、電子アセンブリをチャンバ内に位置決めするために該電子アセンブリが配置されている、請求項4記載の補聴器。
【請求項11】
使用者の耳の中に位置決めするための補聴器において、
a)ブートチューブが設けられており、該ブートチューブが、
i)実質的に管状の管状通路と、
ii)管状通路の外面の所定の部分の周囲に配置されたキーリッジと、
iii)電子アセンブリを収容するためのアセンブリ受容部とを有しており、該アセンブリ受容部が管状通路と流体接続しており、
b)補聴器の使用者の耳道内に出力されるための処理された音を提供するために、受け取られた音を処理するために使用するための電子アセンブリが設けられており、該電子アセンブリが、少なくとも部分的にアセンブリ受容部内に配置されており、
c)補聴器の使用者の耳の中に適合するためのハウジングが設けられており、該ハウジングが、
i)ブートチューブを受け入れかつ収容するためのチャンバと、
ii)該チャンバの所定の部分と連通した、キーリッジを収容するための内部案内チャネルと、
iii)チャンバの所定の軸線に沿ったブートチューブの移動を防止するための、チャンバの所定の端部に配置されたバリヤとを有していることを特徴とする、使用者の耳の中に位置決めするための補聴器。
【請求項12】
使用者の耳の中に位置決めするための補聴器を製造する方法において、
a)補聴器の使用者の耳の穴の中に出力されるための処理された音を提供するために、受け取られた音を処理するために使用される電子アセンブリを位置決めするための位置を決定するために、補聴器のハウジング内に画定された容積を調査し、前記位置が、ハウジングから実質的に解離されており、
b)電子アセンブリを決定された位置に配置及び位置決めするために、ハウジングの案内チャネル及び取付け面を使用して電子アセンブリをハウジング内に組み込むことを特徴とする、使用者の耳の中に位置決めするための補聴器を製造する方法。
【請求項13】
a)電子アセンブリをハウジングの取付け面から分離させるためにハウジングの取付け面と電子アセンブリとの間にバリヤストッパを提供する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
a)所定の位置決め判断基準に従ってバリヤストッパの寸法を決定し、
b)決定された寸法を満足させるバリヤストッパを選択し、
c)電子アセンブリを補聴器のハウジングに挿入する前にバリヤストッパを電子アセンブリに対する所定の位置に配置する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
電子アセンブリを補聴器のハウジングに挿入する前に、バリヤストッパを、(i)電子アセンブリのブートチューブの所定の部分、又は(ii)電子アセンブリの外面の所定の部分の少なくとも1つの周囲に配置する、請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−507708(P2006−507708A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−579505(P2003−579505)
【出願日】平成15年3月17日(2003.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/008294
【国際公開番号】WO2003/081949
【国際公開日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【出願人】(301007744)シーメンス ヒアリング インストルメンツ インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Hearing Instruments,Inc.
【住所又は居所原語表記】10 Constitution Ave.,Piscataway,NJ 08855,U.S.A.