説明

裸眼立体視ディスプレイおよびその操作方法

【課題】本発明の目的は、サポートされる異なる多数の表示をディスプレイに提供するとともに表示あたりのピクセル解像度を向上させる裸眼立体視ディスプレイおよびその操作方法を提供する。
【解決手段】本発明の裸眼立体視ディスプレイ(2)は、ディスプレイパネル(4)と、ディスプレイパネル(4)の表示側に配列される視差バリアであって、傾斜軸の回りを傾斜角度だけ枢動可能な複数のeインク粒子(18)を有する第1のeインク面(8)を備え、eインク粒子(18)は、第1の方向では光を透過し、第2の方向では不透明である、視差バリアと、eインク粒子(18)を共通傾斜角度にセットするようにeインク粒子(18)を傾斜させるように、また、ユーザに立体視を与えるようにディスプレイパネル(4)による映像の再現およびeインク粒子(18)の傾斜を同期させるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネルおよび視差バリアを備える裸眼立体視(オートステレオスコピック)ディスプレイ、さらにその操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3D映像または3D動画の立体ディスプレイは、観賞者の左右の目に異なる画像を提示する必要がある。ほとんどの3D映画で今日使われている単純なソリューションは、偏光眼鏡および立体画像ペアの偏光投影である。しかし、多くの観客にとって、動画を見るときに眼鏡をかける必要があることは、不快な鑑賞体験をすることを意味する。特に、家庭で楽しむ場合、たとえばシャッターや偏光眼鏡のような、いかなる補助手段も身につける必要なく、観賞者に立体視を与える立体ディスプレイが必要とされる。通常、補助手段を必要としない立体3Dディスプレイは、視差バリアを使って、観賞者の左右の目に異なる画像を与える。このバリアは通常、固定されている。したがって、観賞者は、右目とは異なる表示を左目に与えるために、予め定められた水平位置を保たなければならない。異なる複数の表示が、複数の観客に与えられ得る。ただし、ユーザの片目が、一方の表示から隣の表示への境界部にある場合、煩わしい人工物が、不愉快なユーザ経験につながる。さらに、視差バリアは固定されているので、ディスプレイパネルは、各表示ごとに個々のピクセルを与える必要がある。このことは、それぞれの3Dディスプレイ装置、たとえばフラットスクリーンによって多くの表示がサポートされるほど、表示ごとのピクセル解像度が低下することを意味する。レンチキュラレンズシステムのような代替技術にも、類似した問題がある。
【0003】
例示的には、たとえば、特許文献1にあるように、格子が視差バリアとして使われる、視差バリアを用いる3Dディスプレイが開示されている。スクリーンの前での観賞者の位置に立体ディスプレイを適応させるために、視差バリアの調整のための頭部追跡システムが提供される。バリアは、観賞者の両目を結ぶ線に対して格子が直角になるように調整される。さらに、たとえば、特許文献2にあるように、視差バリアを使うさらなる3Dディスプレイが公知となっている。この文献では、視差バリアは水平方向に振動され、観賞者に対して左右の画像が交互に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−230286号公報
【特許文献2】特開2005−157033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、サポートされる異なる多数の表示をディスプレイに提供するとともに表示あたりのピクセル解像度を向上させる裸眼立体視ディスプレイおよびその操作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様において、裸眼立体視ディスプレイは、ディスプレイパネルと、ディスプレイパネルの表示側に配列される視差バリアとを備え、視差バリアは、傾斜軸の回りを傾斜角度だけ枢動可能であるとともに第1の方向では光を透過し、第2の方向では不透明である複数のeインク粒子を有する第1のeインク面を備える。好ましくは、eインク粒子は、第1の方向を除く、傾斜軸と直交するすべての方向において不透明である。このように、eインク粒子は、傾斜軸と直交する単一方向でのみ光を透過する。裸眼立体視ディスプレイは、eインク粒子を共通傾斜角度にセットするようにeインク粒子を傾斜させるように、また、ユーザに立体視を与えるようにディスプレイパネルによる映像の再現と、eインク粒子の傾斜とをさらに同期させるように構成される制御ユニットをさらに備える。有利には、eインク面のすべてのeインク粒子は、同時性をもって回転する。したがって、各瞬間に、パネルに対してただ1つの可能な表示方向がある。ただし、この表示方向は、好ましくは水平方向に回転する。高速ディスプレイパネルを使って、ユーザの左目および右目に、または異なるユーザに対してさえも異なる表示を与えるために、この回転中に異なる画像が再現される。可能な表示の数は、ディスプレイパネルの周波数によってのみ制限される。有利には、各表示のピクセル解像度は、ディスプレイパネルのピクセル解像度と同一であり、サポートされる表示の数には依存しない。同時に任意の数の表示を提供することができる。
【0007】
有利には、異なる表示が、異なる観賞者、たとえば動画を見ている複数の観客に提供される。こうした観客はそれぞれ、ディスプレイ装置によって与えられ得る解像度および奥行きに関してフルクオリティを享受することになる。従来技術において公知である従来のシステムでは、3Dシーンの立体的再現は、スクリーンまたはディスプレイの正面の、最適な一か所に対してのみ完璧である。異なる場所に座っている観衆にとって、3D再現の品質は、上述した最適な場所からの距離が増すとともに低下する。3Dシーンが歪む場合もあり、視覚的奥行きが低下する場合もある。この欠点が、提案するソリューションによって克服される。
【0008】
さらに、異なる表示は好適には、同一対象物の異なる眺めを割り当てられ、対象物のホログラフィ表示に匹敵する。この態様によると、観衆は、完全ピクセルならびに完全な奥行き解像度を有する映像を与えられる。
【0009】
本発明の別の有利な態様によると、裸眼立体視ディスプレイは、傾斜軸の回りを傾斜角度だけ枢動可能である複数のeインク粒子を備える第2のeインク面をさらに備え、eインク粒子は、第1の方向では光を透過し、第2の方向では不透明であり、第2のeインク面のeインク粒子は、第1のeインク面のeインク粒子の傾斜軸とは異なる傾斜軸を有する。繰返しになるが、eインク粒子は好ましくは、第1の方向を除く、傾斜軸と直交するすべての方向において不透明である。第1のeインク面は、第1の回転面において、たとえば水平方向に、異なる表示を与えることを可能にする。第2のeインク面は、第1の面とは異なる別の面において、さらなる表示を与えることを可能にする。好ましくは、第2の面は、垂直方向に整列される。たとえば、異なる観賞姿勢により、たとえば頭部、すなわち両目の間の接続線を傾けているユーザのための追加表示がサポートされる。
【0010】
有利には、同一のeインク面におけるeインク粒子の傾斜軸は、互いと平行である。1つのeインク面におけるすべてのeインク粒子の共通整列が、それぞれの視差バリアの生成に関して有利である。一方、特に視差バリアの周辺エリアにおけるそれぞれのeインク粒子のわずかに傾斜された回転軸により、ユーザの顔への、スクリーンの集束が向上し得る。言い換えると、ユーザによる認知は、点、すなわち目であり、共通方向に整列される傾斜化軸を有するeインク粒子によって与えられるような線や隙間ではない。
【0011】
別の有利な実施形態によると、第1の面のeインク粒子の傾斜軸は垂直方向に整列され、第2のeインク面のeインク粒子の傾斜軸は水平方向に整列される。
【0012】
本発明の別の有利な態様では、eインク粒子は、光を透過する半球体と、半球体の間の不透明レイヤとを備える球体である。本発明の別の実施形態によると、eインク粒子は、傾斜軸に対して平行な方向に引き伸ばされる。好ましくは、粒子は、ほぼ扁長楕円体の形状を有し、扁長楕円体の原線は、その赤道直径より大きい。
【0013】
eインク粒子は好ましくは、電界を印加することによって、両側で逆帯電され、枢動可能である。ただし、磁気モーメントは同様に、粒子のそれぞれの傾斜化の誘発に適している。この場合、球体状のeインク粒子は、好ましくは傾斜軸に対して直角な正味磁気モーメントをもつ。これは、粒子が選択的に磁化される磁気物質を運ぶ半球体によって達成される。粒子の傾斜は、上述したケースの両方において、電界および/または磁界を印加することによって誘発される。
【0014】
球体または楕円体状の形状を有するeインク粒子は、eインクセルを構成する液体充填室内での摩擦損失が低いことにより、高いスイッチング周波数を与える。電界を印加することによるeインク粒子のスイッチングにより、それぞれのeインクセルの制御電子回路の設計のための簡単であり高速なソリューションが提供される。
【0015】
本発明の別の有利な実施形態によると、裸眼立体視ディスプレイは、ユーザの頭部の位置および/または向きを追跡する頭部追跡装置を備え、制御ユニットは、eインク粒子の傾斜角と、ユーザの頭部の判定された位置へのディスプレイパネルの映像の同期再現とを協調させるようにさらに構成される。好ましくは、頭部追跡装置は、1人より多くの人の頭部の追跡にも適している。頭部追跡装置は、第1および第2の立体画像用の投影スポットを、観賞者の頭部の実際の位置に調整することを可能にする。したがって、より優れた鑑賞体験が与えられる。
【0016】
別の有利な実施形態によると、第1および/または第2のeインク面は、第1および第2のインターリーブサブレイヤを備える。ある態様によると、さらなるサブレイヤ、たとえば第3または第4のサブレイヤが与えられる。サブレイヤの数は、ディスプレイの輝度の削減と、残余画像の回避との間のトレードオフである。インターリーブ構造は、以下の事柄により、投影の明るさを向上させる。eインクセルの電極のための構成空間が必要とされる。したがって、シングルeインクセルの間に横方向の空隙がある。こうした必然的空隙により、ディスプレイパネルによって生成される光のわずかな部分が、こうしたそれぞれの空隙を通り抜けることを可能にする。この拡散光は、ディスプレイの明るさおよびコントラストを低下させる場合がある。したがって、インターリーブレイヤは、第1のサブレイヤの正面に配置され、第1のサブレイヤ内の空隙を通り抜ける光は、第2のインターリーブサブレイヤによって表示スポットに集束される。その結果、スクリーンの明るさおよびコントラストが改善され、鑑賞体験はより満足できるものになる。
【0017】
本発明の別の態様では、上述した態様の1つによる裸眼立体視ディスプレイを操作する方法が提供される。この方法は、eインク粒子を共通傾斜角度だけ傾斜させるステップと、ユーザに立体視を与えるように、eインク粒子の傾斜化およびディスプレイパネルによる映像の再現を同期させるステップとを含む。
【0018】
有利には、eインク粒子の傾斜化およびディスプレイパネルによる映像の再現を同期させるステップは、立体画像ペアの第1の画像を第1の傾斜角度で表示すること、および立体画像ペアの第2の画像を第2の傾斜角度で表示することをさらに含む。
【0019】
本発明による裸眼立体視ディスプレイに関して既に言及した、同じまたは同様の利点が、裸眼立体視ディスプレイを操作する方法にも該当する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明のさらなる態様が、添付の図面を参照して、以下の本発明の実施形態の説明の後に続く。
【図1】本発明の一実施形態による、視差バリアを有する裸眼立体視ディスプレイを示す簡略化した上面図であって、挿入図は、視差バリアの例示的なeインクセルを示す。
【図2】eインクセルの内側のeインク粒子の整列を概略的に示す図である。
【図3】eインクセルの第1の実施形態を示す簡略図である。
【図4】eインクセルの第2の実施形態を示す簡略図である。
【図5】eインクセルの第3の実施形態を示す簡略図である。
【図6】本発明の一実施形態による、視差バリアおよびインターリーブ視差バリアを備える裸眼立体視ディスプレイを示す簡略化した上面図である。
【図7】本発明のさらなる実施形態によるインターリーブeインクセルを示す簡略化した上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、複数のピクセル6を有するディスプレイパネル4と、複数のeインクセル10をもつeインク面8を備える視差バリアとを備える裸眼立体視ディスプレイ2の簡略化した上面図である。各eインクセル10の内部空間12は、ディスプレイパネル4によって生じる、すなわちディスプレイパネル4のそれぞれのピクセル6によって生じる光を選択的に透過するeインク粒子で満たされる。eインク粒子は、例示的にディスプレイパネル4の4つのピクセル6に対する矢印で示される、放出された光の方向が調整され得るという点で、選択的に透過性がある。eインク粒子の傾斜角は、ディスプレイパネル4の光が完全に阻止される場合はゼロでなければならない。90°の傾斜角において、光は、ディスプレイパネル4の発光表面に対して直角の方向に透過される。eインクセル10の内部空間12内に配置されたeインク粒子の傾斜角は、eインク粒子を、eインクセル10の内部空間12内の回転矢印で示されるように、その回転軸の周りで回転させる電界
【0022】
【数1】

【0023】
をeインク粒子に印加することによって調整される。時間依存電界
【0024】
【数2】

【0025】
は、適切な制御ユニット(図示せず)によって制御される適切な前面電極14および背面電極16によって生じる。電極14、16は、ディスプレイパネル4のピクセル6によって生じる光に対して透明である必要があるので、インジウムスズ酸化物(ITO)のような適切な透明物質が選択される。本例において、電界
【0026】
【数3】

【0027】
のベクトルは紙の面にあるので、eインク粒子に対する回転軸は、その面に対して直角である。
【0028】
図2は、通常はeインクセル10の内部空間12内に配置された複数のeインク粒子18の簡略化した詳細表示を示す。印加される電界
【0029】
【数4】

【0030】
の方向が、それぞれの矢印によって例示的に示されている。eインク粒子18は、小さい球体または球からなり、各球体または球は、2つの透明な半球体20からなる。2つの半球体20の間の境界表面または中間レイヤ22は好ましくは、黒い非反射面である。一方の半球体20は、「+」で示される正電荷をもち、他方の半球体20は負電荷「−」をもつ。したがって、eインク粒子18は、印加される電界
【0031】
【数5】

【0032】
によって整列され、好ましい光透過方向DTがあり、DTは、それぞれの電界
【0033】
【数6】

【0034】
によって回転可能であり調節可能である。光透過性方向DTに対して直角の方向、すなわち光阻止方向DBにおいて、eインク粒子18は、光を完全に阻止する。複数のeインク粒子18は、方向DBだけでなく、光透過方向DTとは大きく異なる方向でも光を阻止する。したがって、方向選択的な光バリアが視差バリアによって与えられ、視差バリアによって透過される光線の角度範囲は、光透過方向における視差バリアの厚さと、それぞれのeインクセル10の内部空間12内に配置されたeインク粒子18の数とによって定義される。
【0035】
eインク面8を形成するeインクセル10は、ディスプレイパネル4の正面に細かい縞に配列され、好ましくは電界
【0036】
【数7】

【0037】
を生じる電動電圧(electric moving voltage)によってアドレス指定される。eインク面8のそれぞれのeインクセル10の内部空間12内に配置されたeインク粒子18は、印加される電界
【0038】
【数8】

【0039】
によって同期して回転される。したがって、各瞬間「t」において、ディスプレイパネル4に対してただ1つの表示が起こる。この表示はeインク粒子18の回転に従って水平方向に動く。裸眼立体視ディスプレイ2が、異なるピクセル、すなわち異なる映像をディスプレイパネル4によって生成すると、eインクセル10内でのeインク粒子18の回転中に異なる表示が与えられる。ディスプレイパネル4の利点は、ディスプレイ解像度を損なうことなく、それぞれの人数の観賞者に任意の数の表示を与えることができることである。好ましくは、ディスプレイパネル4(eインクセル10内のeインク粒子18の回転と同期される)による映像または画像の同期ディスプレイは、観賞者の頭部の位置および/または傾斜角を判定する頭部追跡システムを応用することによって向上し得る。したがって、eインク粒子18の傾斜化と、ディスプレイパネル4による映像の再現との間の同期は、立体画像をユーザの両目に集束させるように調整され得る。
【0040】
図3から5は、本発明のさらなる実施形態によるeインクセル10の代替設計の簡略化した上面図を示す。図3によると、前面電極14および背面電極16は、eインクセル10のそれぞれの隅に配置された細かい縞に圧縮される。このように、それぞれの電極14、16に対して使われる物質が減り、電極の透明特性の重要性が低下する。図4によると、前面電極14、背面電極16および2つのサイド電極15が、適切な電界
【0041】
【数9】

【0042】
を生じるために、eインクセル10の内部室12の周りに配置される。隣接するeインクセルへの望ましくない電界の誘発を避けるために、隣接する電極の間に導電面を配置すればよい。図5に示す別の実施形態によると、eインクセル10用に円筒形状が使われる。eインク電極のこの特定の形状、すなわち内部室12を囲む前面電極14、背面電極16およびサイド電極15を与える円筒セグメントにより、視差バリアの内側での電極の配置が簡素化される。eインク粒子18の回転が向上される。
【0043】
図6は、本発明の別の実施形態による裸眼立体視ディスプレイ2の、さらに簡略化した上面図である。ディスプレイ2は、複数のピクセル6を有するディスプレイパネル4と、第1および第2のサブレイヤ24、26を備える視差バリアとを備え、サブレイヤは、それぞれのeインクセル10の横幅の半分のサイズだけ、互いにインターリーブされる。有利には、ディスプレイパネル4のそれぞれのピクセル6によって放出された光(3つの矢印で示される)は、第1のサブレイヤ24のeインクセル10を、ならびに第2のサブレイヤ26のeインクセル10を透過される。一部の散乱光は、2つの隣接eインクセル10の境界部の間、または境界部の所の横領域において第1のサブレイヤ24を通過している場合がある。この境界部ゾーンは、図3から5に示す実施形態の例示的なeインクセル10から明らかなように、電界
【0044】
【数10】

【0045】
を発生させる電極を備える。したがって、この領域においてeインク面の第1のサブレイヤ24を通過する光は、それぞれのサブレイヤ24のeインク粒子によって阻止されない。こうした散乱光部分は、それぞれの観賞者に提示される立体映像、フレームまたは動画の明るさおよびコントラストを低下させ、したがって不愉快な鑑賞体験につながる場合がある。第2のインターリーブサブレイヤ(すなわち、第2のサブレイヤ26)を第1のサブレイヤ24の正面に置くことによって、第1のサブレイヤ24のeインクセル10の間の境界部領域を通り抜ける光は、第2のインターリーブサブレイヤ26のeインクセル10によって阻止される。
【0046】
図7は、円筒形eインクセル10がインターリーブ方式で配列される第1および第2のサブレイヤ24、26を備える視差バリアの詳細な表示を示す。
【0047】
別の実施形態によると、第1および第2のeインク面8は、ディスプレイパネル4の正面に配置され、第1のeインク面のeインク粒子18の傾斜角は、好ましくは第2のeインク面にあるeインク粒子18の傾斜化軸に対して直角である。有利には、第1のeインク面は、垂直であるとともに光を水平分散させる傾斜化軸を有し、第2のeインク面の傾斜化軸は、水平方向に配列され、そうすることによって垂直面における透過角度を変化させる。第1および第2のeインク面の同期をとることによって、水平面での、すなわち並んで座っている観客のための異なる複数の表示、ならびにたとえばくつろいでいる横になった観賞姿勢により自分の頭部を傾けている人に立体視を与える垂直面での異なる複数の表示が提供され得る。
【0048】
本発明のさらに有利な実施形態によると、1つのeインク面の内側のeインク粒子の傾斜化軸(技術的に望ましくないずれは除く)は、互いに対して平行である。言い換えると、視差バリアのeインク粒子18は、同じ回転軸の回りを回転している。これは、電界
【0049】
【数11】

【0050】
の形状を画定する正面、背面およびサイド電極14、16、15の幾何学的配置によって達成することができ、この配置により、eインクセル10内でのeインク粒子18の回転が生じる。ただし、立体画像の投影の集束点はユーザの両目なので、特にディスプレイパネル4の周辺領域における傾斜角は、スクリーンの中心での傾斜角からわずかに逸れ得る。ユーザの鑑賞体験は最適化され得る。
【0051】
以上、具体的な実施形態を参照して本発明を記載したが、本発明は、本実施形態に限定されるわけではなく、おそらく、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲内であるさらなる代替形態が当業者には思いつくであろう。
【符号の説明】
【0052】
2 裸眼立体視ディスプレイ
4 ディスプレイパネル
6 ピクセル
8 eインク面
10 インクセル
12 内部空間
14 前面電極
15 サイド電極
16 背面電極
18 eインク粒子
20 半球体
22 中間レイヤ
24 第一のインターリーブサブレイヤ
26 第2のインターリーブサブレイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ディスプレイパネル(4)と、
b)前記ディスプレイパネル(4)の表示側に配列される視差バリアであって、前記視差バリアは、傾斜軸の回りを傾斜角度だけ枢動可能な複数のeインク粒子(18)を有する第1のeインク面(8)を備え、前記eインク粒子(18)は、第1の方向では光を透過し、第2の方向では不透明である、視差バリアと、
c)前記eインク粒子(18)を共通傾斜角度にセットするように前記eインク粒子(18)を傾斜させるように、また、ユーザに立体視を与えるように前記ディスプレイパネル(4)による映像の再現および前記eインク粒子(18)の前記傾斜を同期させるように構成される制御ユニットと
を備えることを特徴とする裸眼立体視ディスプレイ(2)。
【請求項2】
傾斜軸の回りを傾斜角度だけ枢動可能な複数のeインク粒子(18)を備える第2のeインク面をさらに備え、前記eインク粒子(18)は、第1の方向では光を透過し、第2の方向では不透明であり、前記第2のeインク面の前記eインク粒子(18)は、前記第1のeインク面(8)の前記eインク粒子(18)の前記傾斜軸とは異なる傾斜軸を有することを特徴とする請求項1に記載の裸眼立体視ディスプレイ(2)。
【請求項3】
同一のeインク面(24、26)内の前記eインク粒子(18)から逸れる前記傾斜軸は、互いと平行であることを特徴とする請求項1または2に記載の裸眼立体視ディスプレイ(2)。
【請求項4】
前記第1のeインク面(8)のeインク粒子(18)の前記傾斜軸は、垂直方向に整列され、前記第2のeインク面の前記eインク粒子(18)の前記傾斜軸は水平方向に整列されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の裸眼立体視ディスプレイ(2)。
【請求項5】
前記eインク粒子(18)は、光透過性半球体(20)と、前記半球体(20)の間の不透明境界表面(22)とを有する球体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の裸眼立体視ディスプレイ(2)。
【請求項6】
前記eインク粒子(18)は、電界を印加することによって、両側で逆帯電され、枢動可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の裸眼立体視ディスプレイ(2)。
【請求項7】
ユーザの頭部の位置および/または向きを追跡する頭部追跡装置をさらに備え、前記制御ユニットは、前記eインク粒子(18)の前記傾斜角と、前記ユーザの頭部の判定された位置への、前記ディスプレイパネル(4)の前記映像の前記同期再現とを協調させるようにさらに構成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の裸眼立体視ディスプレイ(2)。
【請求項8】
前記第1および/または第2のeインク面(8)は、第1および第2のインターリーブサブレイヤ(24、26)を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の裸眼立体視ディスプレイ(2)。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の裸眼立体視ディスプレイ(2)を操作する方法であって、
a)前記eインク粒子(18)を、前記共通傾斜角度だけ傾斜させるステップと、
b)ユーザに立体視を与えるように、前記eインク粒子(18)の前記傾斜化、および前記ディスプレイパネル(4)の映像の前記再現を同期させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記eインク粒子(18)の前記傾斜化、および前記ディスプレイパネル(4)による映像の前記再現を同期させる前記ステップは、
a)立体画像ペアの第1の画像を第1の傾斜角度で表示するステップと、
b)前記立体画像ペアの第2の画像を第2の傾斜角度で表示するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−181528(P2012−181528A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−45637(P2012−45637)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】