説明

製パンのための包装された粉末化組成物

本発明は安定な粉末化組成物を含む製パン産業のための新規な製品に関し、前記粉末化組成物は活性イースト及びパン改良組成物、及び所望によりパン香味組成物を含む。本発明はその使用及びその調製方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安定な粉末化組成物を含む製パン産業のための新規な包装された製品に関し、前記粉末化組成物は活性イースト及びパン改良組成物、及び所望によりパン香味組成物を含む。本発明はその使用及びその調製方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの製パン成分(塩、小麦粉、イースト、酵素、香料など)は個別に計量されている。これに関連していくつかの不利益がある。
【0003】
個別の計量は失敗の危険性を増大させ、並びに前記計量に伴う人件費を必要とする。粉末製品の場合、個別の計量における投資は単一計量システムと比較してさらに有意に高い。なぜなら、すべてのスクリュー、すべてのモータ及び自動機械は個別の計量点の数の分だけ増加されなければならないからである。また、粉末化計量システムは正確さに劣るか又はそれらは自動化のために巨額の投資を必要とする。粉末化製品の計量による塵の生成は、そのアレルギー性の特性のため、製パンにおける増大しつつある問題である。廃棄物の処理の観点からは、個別の包装はすべてを一つにまとめるという解決策と比べてずっと多くの無駄を生成するだろう。個別の製品は在庫品保持単位の数を増大させ、製パンの論理的組織化を複雑にし、並びに在庫品への資本の固定による運転資本の減少を招く。
【0004】
これらの理由のため、直ちに使用できるサワードーベース組成物が開発されており、液体サワードーベース組成物が製パン成分として市場に投入されている。
【0005】
イーストを、酸化及び還元剤、乳化剤、脂質材料、酵素など(改良剤としても称される)の如き化学的添加物(又はドーコンディショナー)と共に供給することに対する多くの試みがある。
【0006】
例えば、EP 0619947はイーストと改良剤の共配合を記述し、混合物を押出し成形することによって組成物の不安定性の問題を解決することを提案する。
【0007】
EP 1090553及びその親特許EP 0659344はパン改良剤が乾燥イーストと同じ粒度を有し、それは顆粒形態にある組成物を記述する。代替案は乾燥イースト顆粒を、薄膜又は接着された粒子の形態にあるパン改良剤で被覆することからなる。
【0008】
しかし、これらの提案された解決策は、方法におけるさらなる工程及びさらなる設備を必要とする。さらに、それらは乾燥イーストと改良剤(乳化剤の如き)の混合物が減圧下で包装されるときに生じる別の問題を解決していない:製品は塊を形成する傾向があり、破壊するのが困難である(ケーキングとして称される)。
【発明の開示】
【0009】
ドーコンディショナー組成物を粉末化処方中で活性イーストと、及び所望によりパン香味改良組成物と、及び所望により塩と、組合せるか又は混合することにより、不活性雰囲気下で包装されたときに安定である粉末化組成物を得ることができることを見出した。前記粉末化組成物の「不活性雰囲気/粉末化組成物」の容積比は約50/50〜約4/96に含まれ、好ましくは約30/70〜約4/96に含まれ、より好ましくは約10/90〜約5/95に含まれる。
【0010】
また、本発明はパン、ケーキ、ビスケット、ペストリー、スナック、ピザなどの調製のための本発明の(製パン用)製品(不活性雰囲気下で包装された粉末化組成物であって、「不活性雰囲気/粉末化組成物」の容積比が約50/50〜約4/96に含まれ、好ましくは約30/70〜約4/96に含まれ、より好ましくは約10/90〜約5/95に含まれるもの)の使用にも関する。
【0011】
また、本発明は不活性雰囲気下で包装された活性イーストと改良剤の粉末化組成物であって、「不活性雰囲気/粉末化組成物」の容積比が約50/50〜約4/96に含まれ、好ましくは約30/70〜約4/96に含まれ、より好ましくは約10/90〜約5/95に含まれるものの製造方法にも関する。
【0012】
より特別には、本発明は改良剤組成物及び活性イーストを含む粉末化組成物(1)を含む(製パン用)製品を提供し、前記粉末化組成物(1)は容器(3)中に包装されており、その充填空積(2)が封止後、前記容器(3)の全容積に基づいて少なくとも約5%の不活性雰囲気から本質的になる。
【0013】
本発明による(製パン用)製品では、前記粉末化組成物は香味改良組成物及び/又は香味改良化合物及び/又は塩をさらに含むことができる。
【0014】
好ましくは、前記改良剤組成物は以下のものを含む:
− アミラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、デヒドロゲナーゼ、ラッカーゼ及びプロテアーゼからなる群から選択される一種以上の酵素及び/又は
− 一種以上の酸化又は還元剤、及び/又は
− 一種以上の乳化剤、及び/又は
− 一種以上の脂質材料、及び/又は
− 一種以上のビタミン、及び/又は
− 一種以上の繊維源、又は
− それらの二種以上の混合物。
【0015】
好ましくは、前記香味改良組成物はサワードー製品、パン種を入れた生パン(sponge)製品、又はそれらの組合せを含む。
【0016】
好ましくは、前記香味改良化合物は一種以上の天然芳香化合物、一種以上の化学的芳香化合物、一種以上の酸及び/又は一種以上の酸性化剤、又はそれらの二種以上の混合物を含む。
【0017】
好ましくは、前記不活性雰囲気は窒素、アルゴン、ヘリウム、又は二酸化炭素、又はそれらの二種以上の混合物からなる。
【0018】
好ましくは、前記香味改良組成物及び前記活性イーストは最小94%の乾燥物質を有する。
【0019】
好ましくは、封止後、残留酸素含有量は容器中の気体相容積に基づいて約2%未満である。
【0020】
好ましくは、前記残留湿度含有量は前記粉末化組成物の重量に基づいて約6%未満である。
【0021】
好ましくは、前記容器は酸素及び湿度に対して不透過性の多層ベースのフィルムである。
【0022】
本発明は、以下の工程を含む、(製パン用)製品の製造方法も提供する:
− 改良剤組成物及び活性イーストを両方とも粉末形態で混合する、
− 所望によりパン香味改良組成物を粉末形態で添加する、
− 所望によりパン香味改良化合物を粉末形態で添加する、
− 所望により塩を添加する、
− 生じた粉末化組成物で容器を充填する、そして
− 前記容器を不活性雰囲気下で封止して前記容器の容積に基づいて少なくとも5%の充填空積を残し、ただし、前記充填空積は前記不活性雰囲気から本質的になる。
【0023】
好ましくは、本発明の方法では、前記改良剤組成物は以下のものを含む:
− アミラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ及びプロテアーゼからなる群から選択される一種以上の酵素及び/又は
− 一種以上の酸化又は還元剤、及び/又は
− 一種以上の乳化剤、及び/又は
− 一種以上の脂質材料、及び/又は
− 一種以上のビタミン、
− 一種以上の繊維源、又は
− それらの二種以上の混合物。
【0024】
好ましくは、本発明の方法では、前記香味改良組成物はサワードー製品、パン種を入れた生パン製品、又はそれらの組合せを含む。
【0025】
好ましくは、本発明の方法では、前記不活性雰囲気は窒素、アルゴン、ヘリウム、又は二酸化炭素、又はそれらの二種以上の混合物からなる。
【0026】
本発明はパン、ケーキ、ビスケット、ペストリー、スナック又はピザの調製のための本発明の(製パン用)製品(不活性雰囲気下で包装された粉末化組成物であって、「不活性雰囲気/粉末化組成物」の容積比が約50/50〜約4/96に含まれ、好ましくは約30/70〜約4/96に含まれ、より好ましくは約10/90〜約5/95に含まれるもの)の使用も提供する。
【0027】
図面の記述
図1は本発明の(製パン用)製品を表わす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
用語「香味改良システム」、「香味改良組成物」、「パン香味改良組成物」はサワードー又はサワードー製品、製パン用のパン種を入れた生パン、又はパン種を入れた生パン製品に言及する。
【0029】
用語「(パン)香味(改良)化合物」及び「(パン)香味(改良)物質」は天然及び/又は化学的芳香化合物、酸又は酸性化剤(酸及び/又は気体を生成する)、又はそれらの二種以上の混合物の如き香味に関連して添加される物質に言及する。
【0030】
用語「サワードー」は乳酸菌及び/又はイーストによって発酵されたドーに言及し、このドーは乳酸、酢酸及びいくつかの微量化合物を主に生成する乳酸菌のために及び/又はイーストによって生成される典型的な香味の最初の匂い(トップノート(top−notes))のために特徴的な酸性の香味を有する。
【0031】
用語「サワードー製品」は、この製品がレギュラードーとして添加されることができ、それにより製パン工程で生成される予備発酵を置換することができるように一つ以上の別の方法で(例えば乾燥、低温殺菌、冷却、冷凍などによって)安定化された上述の製品に言及する。
【0032】
用語「パン種を入れた生パン(sponge)」は、イースト発酵のために特徴的な香味を有する、イーストによって発酵されたドーに言及する。それは小麦粉の一部のイースト発酵に基づく予備発酵製品である。
【0033】
用語「パン種を入れた生パン製品」は、レギュラードーにおける香味を増大させるために使用される、レギュラー製パン用のパン種を入れた生パンの発酵の如き安定化された形態に言及する。それはパン種を入れた生パンの抽出物であることができる。
【0034】
用語「パン改良システム」、「パン改良組成物」、「ドーコンディショナー組成物」、「(パン)改良剤組成物」及び「改良剤」は、ドー取扱い特性及び/又は最終の焼き上げられた製品の品質を改良するためにドーに添加される一種以上の物質又は組成物に言及する。これらの物質は酵素又は酸化/還元剤、乳化剤、脂質材料、ビタミンなどの(化学的)添加剤であることができる。
【0035】
パン改良の目的のために使用されることができる幅広い範囲の酵素がある。かかる酵素の例はアミラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、炭水化物オキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼなど)、プロテアーゼ、デヒドロゲナーゼ、ラッカーゼ、及び文献や特許などに記載されている他の酵素である。
【0036】
本発明の関連では、用語「製パン用製品」は「製パン産業のための製品」に言及する。
【0037】
本発明は改良剤組成物及び活性イーストを含む粉末化組成物を含む(又はこれからなる)(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)に関し、前記粉末化組成物は不活性雰囲気下で包装されており、その容積比(不活性雰囲気/粉末化組成物)は約50/50〜約4/96に含まれ、好ましくは約30/70〜約4/96に含まれ、より好ましくは約10/90〜約5/95に含まれる。
【0038】
本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)は改良剤組成物及び活性イーストを含む粉末化組成物を含み(又はこれからなり)、前記粉末化組成物は容器中に包装されており、その充填空積は封止後、前記容器の全容積に基づいて少なくとも約4%、好ましくは少なくとも約5%の不活性雰囲気から本質的になる。残りの容積は前記粉末化組成物によって占められる。
【0039】
本発明の製パン産業用製品は容器及び粉末化組成物を含む(又はこれらからなる)ものとしても規定されることができ、前記粉末化組成物は改良剤組成物及び活性イーストを含み、前記容器の充填空積は封止後、前記容器の全容積に基づいて少なくとも5%の不活性雰囲気から(本質的に)なる。
【0040】
本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)では、粉末化組成物は香味改良組成物及び/又は香味改良化合物及び/又は塩をさらに含むことができる。
【0041】
本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)で使用される改良剤組成物は以下のものを含むことができる:
− アミラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、デヒドロゲナーゼ、ラッカーゼ及びプロテアーゼからなる群から選択される一種以上の酵素及び/又は
− アスコルビン酸、グルタチオン、システインの如き一種以上の酸化又は還元剤、及び/又は
− DATEM(登録商標)、SSL(登録商標)、CSL(登録商標)、GMS(登録商標)、ラムノ脂質、レシチン、スクロエステル、胆汁酸塩の如き一種以上の乳化剤、及び/又は
− マーガリン、バター、油などの一種以上の脂質材料、及び/又は
− パントテイン酸、ビタミンEなどの一種以上のビタミン、及び/又は
− エンバク繊維などの一種以上の繊維源。
【0042】
それは上掲の成分の二種以上の混合物からなることもできる。
【0043】
本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)で使用される香味改良組成物はサワードー製品、又はパン種を入れた生パン製品、又はそれらの組合せを(それらの粉末形態で)含むか又はこれらからなることができる。
【0044】
本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)で使用される香味改良化合物は一種以上の天然芳香化合物、一種以上の化学的芳香化合物、一種以上の酸及び/又は一種以上の酸性化剤(酸及び/又は気体を生成する)、又はそれらの二種以上の混合物を含むか又はこれらからなることができる。
【0045】
本発明では、用語「充填空積」はほぼ充填された容器の上部に封止前又は封止後に残されている容積に言及する。
【0046】
本発明では、用語「約」は充填空積、酸素又は湿度と関連された場合、+/−0.5%を意味する。例えば、「約4%」は4.5%、4.4%、4.3%、4.2%、4.1%、3.9%、3.8%、3.7%、3.6%、又は3.5%も包含することを意味する。
【0047】
本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)では、容器の充填空積は前記容器の全容積に基づいて50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%又は15%の不活性雰囲気からなることができる。従って、前記粉末化組成物によって占められる残りの容積は前記容器の全容積に基づいてそれぞれ50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%又は85%である。
【0048】
本発明の好ましい(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)では、容器の充填空積は前記容器の全容積に基づいて約10%、9%、8%、7%、6%、5%より大きい又は約4%より大きい不活性雰囲気からなる。
【0049】
本発明の好ましい(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)では、容器の充填空積は前記容器の全容積に基づいて約10%、9%、8%、7%、6%、5%又は約4%の不活性雰囲気からなり、残りの容積は前記容器の全容積に基づいてそれぞれ約90%、91%、92%、93%、94%、95%又は約96%の前記粉末化組成物で占められる。
【0050】
本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)で好ましく使用される活性イーストは即時活性乾燥イースト(Isntant Active Dry Yeast)であり、これは最小94%の乾燥物質を有し、減圧下で包装された活性イーストである。
【0051】
本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)で使用される不活性雰囲気は窒素、アルゴン、ヘリウム、又は二酸化炭素、又はそれらの二種以上の混合物の如きいかなる非反応性気体又は反応前に高い閾値を有する気体からなることができる。窒素は本発明の枠組で好ましい。
【0052】
用語「本質的に」は、本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)で使用される不活性雰囲気が残留酸素含有量として言及される酸素を含有していてもよいということを意味する。
【0053】
本発明の好ましい(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)では、残留酸素含有量は封止後、容器の気体相容積に基づいて約5%未満である。
【0054】
本発明のより好ましい(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)では、残留酸素含有量は封止後、容器の気体相容積に基づいて約2%未満であり、好ましくは約1%未満であり、より好ましくは約0.5%未満である。
【0055】
本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)で好ましく使用される容器は食品用途のために設計されたいかなる多層ベースのフィルムである。
【0056】
前記容器(又は包装手段)は異なる形態を有していてもよく、特に袋であることができる。
【0057】
前記容器はポリエステル、アルミニウム及びポリエチレンを含む(か又はこれらからなる)ことができる。
【0058】
ポリエステルは印刷を可能とすることができ、ポリエチレンは高温での封止を可能とすることができる。
【0059】
アルミニウムは酸素バリアとして作用する。
【0060】
好ましくは、前記容器は(約)17g/mのポリエステル、(約)19g/mのアルミニウム及び(約)92g/mのポリエチレンを含む。
【0061】
減圧下での包装のために通常使用されるポリアミド層を追加する必要はない。
【0062】
好ましくは、前記容器(又は袋)は約119ミクロンの厚さを有する。それは活性な乾燥イーストのために通常使用される包装手段(約106ミクロン)よりも厚い。
【0063】
有利には、前記容器は容易開封システム、即ちいかなる切断材料もなしで前記容器(例えば袋)を開封するために与えられるシステム(又は手段)をさらに含む。前記容易開封システムは、封止が行われる特定の領域のみに付与される特別な被覆システムから生じてもよい。
【0064】
前記容器は酸素及び湿度に対して不透過性でなければならない。
【0065】
実際、残留湿度は可能な限り低く維持されなければならない。本発明の好ましい(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)では、残留湿度は粉末化組成物の重量に基づいて10%未満であり、好ましくは6%未満であり、より好ましくは5%未満である。
【0066】
本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)は周囲温度で長期間貯蔵されることができる。
【0067】
本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)では、パン改良組成物は十分に安定であり、ドー及び/又はパン改良特性における結果は、12ヶ月の貯蔵の後でさえも成分が個別に計量された場合に得られる結果に匹敵する。さらに、イーストは十分に安定に留まり、いかなるレギューラータイプの即時活性乾燥イーストに匹敵する気体発生能力を示す。
【0068】
本発明は以下の工程を含む(か又は以下の工程からなる)、(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)の製造方法にも関する:
− 改良剤組成物及び活性イーストを両方とも粉末形態で混合する、
− 所望によりパン香味改良組成物を粉末形態で添加する、
− 所望によりパン香味改良化合物を粉末形態で添加する、
− 所望により塩を添加する、
− 生じた粉末化組成物で容器を充填する、そして
− 前記容器を不活性雰囲気/粉末化組成物の容積比が約50/50〜約4/96に含まれ、好ましくは約30/70〜約4/96に含まれ、より好ましくは約10/90〜約5/95に含まれるように、不活性雰囲気、好ましくは窒素で封止する。
【0069】
本発明の方法では、容器は前記容器の全容積に基づいて少なくとも約4%の、好ましくは少なくとも約5%の充填空積が残されるように不活性雰囲気下で、好ましくは窒素下で封止される。充填空積は、封止後、本質的に不活性雰囲気、好ましくは窒素を含み、残りの容積は前記粉末化組成物によって占められる。
【0070】
本発明の方法では、容器の充填空積は前記容器の全容積に基づいて50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%又は15%の不活性雰囲気からなることができる。従って、前記粉末化組成物によって占められる残りの容積は前記容器の全容積に基づいてそれぞれ50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%又は85%である。
【0071】
本発明の好ましい方法では、容器の充填空積は前記容器の全容積に基づいて約10%、9%、8%、7%、6%、5%より大きい又は約4%より大きい不活性雰囲気からなる。
【0072】
本発明の好ましい方法では、容器の充填空積は前記容器の全容積に基づいて約10%、9%、8%、7%、6%、5%又は約4%の不活性雰囲気からなり、残りの容積は前記容器の全容積に基づいてそれぞれ約90%、91%、92%、93%、94%、95%又は約96%の前記粉末化組成物で占められる。
【0073】
充填空積は封止後、容器の気体相容積に基づいて約5%未満の酸素を含むこともできる。この酸素含有量は残留酸素含有量として言及される。
【0074】
本発明の好ましい方法では、残留酸素含有量は封止後、容器の気体相容積に基づいて約2%未満であり、好ましくは約1%未満であり、より好ましくは約0.5%未満である。
【0075】
容器は、酸素及び湿度に対して不透過性である、食品用途のために設計されたいかなる容器であることもできる。
【0076】
好ましい容器は酸素及び湿度に対するバリアを有する多層積層フィルムからなる。
【0077】
本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)中の粉末化組成物は、粉末化パン種組成物として及び/又はパン、ケーキ、ビスケット、ペストリー、スナック、ピザなどの調製のために使用されることができる。
【0078】
本発明は以下の実施例においてさらに詳細に記述されるであろう。これらの実施例は例示の目的のためのみを意図されており、いかなる方法でも本発明の範囲を制限するものとみなされるべきではない。
【実施例】
【0079】
実施例1
サワードー製品、即ち乳酸菌及び/又はイーストによって発酵された安定化されたドーは乾燥され、粉末形態に押し出される。残留湿度含有量はサワードーの重量に基づいて5%である。換言すれば、サワードーの乾燥物質は95%である。
【0080】
平行して、パン改良剤組成物が以下のものをブレンドすることによって調製される:
− アスコルビン酸、及び
− 酵素:真菌のアミラーゼであるBel′ase A75(登録商標)(BELDEM、ベルギー)及び細菌のキシラナーゼであるBel′ase B210(登録商標)(BELDEM、ベルギー)。
【0081】
上述の成分は、イースト(96%の乾燥物質を有する即時活性乾燥イーストからなる)及び塩と共に容器に移される。
【0082】
粉末化組成物で使用される様々な成分の割合が表1にまとめられる。

【0083】
粉末化されたサワードー、イースト、塩及び改良剤は容器(酸素及び湿度に対するバリアを有する多層ベースのフィルム)中に窒素下で封止され、前記容器の容積に基づいて5%の充填空積が残され、窒素で充填される。残留酸素含有量は容器中の気体相容積に基づいて1%である。
【0084】
実施例2
安定性追跡が実施例1に従って調製され、47℃で7日間貯蔵された本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)を使用してドーを調製することによって行われる。これらの貯蔵条件は二年の期間のイーストの安定性を反映するものとみなされる。
【0085】
ドーは、280gの小麦粉、162mlの水及び小麦粉の重量に基づいて6%の、47℃で7日の貯蔵後の本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)の粉末化組成物からなる。水の温度は30℃である。成分はドーの温度を30℃に維持しつつ6分間混合される。
【0086】
表2に記述されるような様々な時間期間の間、様々な貯蔵条件で保持された組成物(本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)と同一の成分を同一の割合で有する)を使用して様々な組のドーを調製することによって比較テストも行われる。

【0087】
比較テストの結果は表3にまとめられる。

「容積(%)」は0日目に測定されたパンの容積に対する相対的パーセンテージでの焼き上げられた製品の容積に言及する。
【0088】
表3にまとめられた結果から、本発明の製パン用製品の粉末化組成物は極めて安定であると結論付けることができる。
【0089】
二年間に相当する貯蔵の後、気体発生力活性は95%と測定され(当業者には公知の普通に使用される製パン方法を実行し、得られた容積をイーストの気体発生力に直接関連付ける方法による)、これは、通常の即時活性乾燥イーストについて安定であるとみなされる。
【0090】
二年間に相当する貯蔵の後、実施例1の製パン用製品の粉末化組成物で得られたパーセンテージは、粉末化組成物が減圧下で包装される場合に得られるパーセンテージに極めて類似している。しかし、二年間に相当する貯蔵の後、本発明の製パン用製品の粉末化組成物は減圧下で包装された粉末化組成物と比較してより良好な粉末構造を有する。
【0091】
実施例3
粉末化組成物が以下のものを混合することによって調製される:
− 上述の成分をブレンドすることによって製造されるサワードー製品。サワードーは乾燥され、粉末形態に押し出される。残留湿度含有量はサワードーの重量に基づいて5%である。換言すれば、サワードーの乾燥物質は95%である。
− 96%の乾燥物質を有する即時活性乾燥イースト、
− 加水分解されたタンパク質、
− アスコルビン酸、
− 酵素:真菌のアミラーゼであるBel′ase A75(登録商標)(BELDEM、ベルギー)及び細菌のキシラナーゼであるBel′ase B210(登録商標)(BELDEM、ベルギー)、及び
− 塩。
【0092】
粉末化組成物で使用される様々な成分の割合は以下の表4にまとめられる。

【0093】
粉末化組成物は容器(酸素及び湿度に対するバリアを有する多層ベースのフィルム)中に窒素下で封止され、前記容器の容積に基づいて5%の充填空積が残され、窒素で充填される。残留酸素含有量は容器中の気体相容積に基づいて1%である。
【0094】
実施例4
別の粉末化組成物が以下のものを混合することによって調製される:
− 96%の乾燥物質を有する即時活性乾燥イースト、
− 乳化剤:Multec SSL 3000(登録商標)、
− アスコルビン酸、及び
− 酵素:真菌のアミラーゼであるBel′ase A75(登録商標)(BELDEM、ベルギー)及び細菌のキシラナーゼであるBel′ase B210(登録商標)(BELDEM、ベルギー)。
【0095】
粉末化組成物で使用される様々な成分の割合は以下の表5にまとめられる。

【0096】
粉末化組成物は容器(酸素及び湿度に対するバリアを有する多層ベースのフィルム)中に窒素下で封止され、前記容器の容積に基づいて5%の充填空積が残され、窒素で充填される。残留酸素含有量は容器中の気体相容積に基づいて1%である。
【0097】
実施例5
以下に記述されるレシピに従ってパンが焼かれる。
【0098】
各ドーは、2000単位の小麦粉、1280単位の水、40単位の塩及び小麦粉の重量に基づいて0.75%の、20℃で様々な時間期間貯蔵された後の実施例4の本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)の粉末化組成物からなる。水の温度は18℃である。成分は2分間混合され、次にドーの温度を29.4℃に維持しつつ6分間混合される。
【0099】
− 減圧下で包装され、様々な時間期間の間貯蔵された組成物(本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)と同一の成分を同一の割合で有する)を使用して様々な組のドーを調製することによって、及び
− すべての成分を個別に入れた別の組のドーを調製することによって比較テストが行われる。
【0100】
表6にまとめられる以下の観察は、様々な時間期間の間、様々な条件で貯蔵された粉末化組成物を使用してドーが調製された場合になされた。

(1)すべての成分は個別に使用された。
(2)減圧下で包装され、20℃で貯蔵された組成物。
(3)実施例4に従って調製され、20℃で貯蔵された本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)の粉末化組成物。
【0101】
表6から、本発明の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)の粉末化組成物は安定であると結論付けることができる。
【0102】
12ヶ月間の貯蔵後、実施例4の(製パン用)製品(又は製パン産業のための製品)の粉末化組成物で得られた容積は、粉末化組成物が減圧下で包装される場合に得られた容積よりわずかに良好である。そして、12ヶ月間の貯蔵後、減圧下で包装された粉末化組成物は塊を形成し、その粉末化形態を失う傾向を有することが気付かれた。対照的に、実施例4の製パン用製品の粉末化組成物はその粉末構造を保持していた。
【0103】
実施例6
粉末化組成物が以下のものを混合することによって調製される:
− サワードーの重量に基づいて5%の残留湿度含有量を有するサワードー製品(乳酸菌及び/又はイーストによって発酵され、乾燥され、粉末形態に押し出されたドー)、
− 96%の乾燥物質を有する即時活性乾燥イースト、
− 加水分解されたタンパク質、
− アスコルビン酸、及び
− 酵素:真菌のアミラーゼであるBel′ase A75(登録商標)(BELDEM、ベルギー)及び細菌のキシラナーゼであるBel′ase B210(登録商標)(BELDEM、ベルギー)。
【0104】
粉末化組成物で使用される様々な成分の割合は以下の表7にまとめられる。

【0105】
粉末化組成物は容器(酸素及び湿度に対するバリアを有する多層ベースのフィルム)中に窒素下で封止され、前記容器の容積に基づいて5%の充填空積が残され、窒素で充填される。残留酸素含有量は容器中の気体相容積に基づいて1%である。
【0106】
実際、粉末化組成物は塩が除外されたことを除いては実施例3に記述されたものと同一である(本実施例には塩は添加されていない)。
【0107】
塩の不存在(又は存在)は本発明に従って不活性雰囲気下で包装された粉末化組成物の安定性に影響を与えないことが観察された(例えば47℃で7日間貯蔵された後):実施例2又は7の如き測定された容積(%)に関して得られた結果は、塩あり又は塩なしで本発明に従って不活性雰囲気下で包装された粉末化組成物について極めて類似していた。
【0108】
実際、塩はドーを調製するときに添加されることができる。
【0109】
実施例7
安定性追跡が実施例1及び3に従って調製され、47℃で一週間貯蔵された本発明の二つの製パン産業用製品を使用してドーを調製することによって行われる。
【0110】
47℃で1週間の貯蔵条件は二年の期間のイーストの安定性を反映するものとみなされる。
【0111】
各ドーは、280gの小麦粉、162mlの水及び小麦粉の重量に基づいて6%の、47℃で1週間の貯蔵後の本発明の製パン産業用製品の粉末化組成物からなる。水の温度は30℃である。成分はドーの温度を30℃に維持しつつ6分間混合される。
【0112】
同一の成分を同一の割合で有するが粉末化組成物が20℃で1週間、2週間などの様々な条件で貯蔵される二組のドーを平行に調製することによって比較テストも行われる。
【0113】
比較テストの結果は表8にまとめられる。

「容積(%)」は0日目に測定されたパンの容積に対する相対的パーセンテージでの焼き上げられた製品の容積に言及する。
【0114】
表8にまとめられた結果から、本発明の製パン用製品の粉末化組成物は極めて安定であると結論付けることができる。
【0115】
二年間に相当する貯蔵の後、気体発生力活性は実施例1及び3に従って不活性雰囲気下で包装された粉末化組成物についてそれぞれ95%及び97%と測定され(当業者には公知の普通に使用される製パン方法を実行し、得られた容積をイーストの気体発生力に直接関連付ける方法による)、これは、通常の即時活性乾燥イーストについて安定であるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の(製パン用)製品を表わす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(3)及び粉末化組成物(1)を含む製パン産業のための製品であって、前記粉末化組成物(1)が改良剤組成物及び活性イーストを含み、前記容器(3)の充填空積(2)が封止後、前記容器(3)の全容積に基づいて少なくとも約5%の不活性雰囲気からなることを特徴とする製品。
【請求項2】
前記粉末化組成物(1)が香味改良組成物及び/又は香味改良化合物及び/又は塩をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記改良剤組成物が以下のものを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の製品:
− アミラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、デヒドロゲナーゼ、ラッカーゼ及びプロテアーゼからなる群から選択される一種以上の酵素及び/又は
− 一種以上の酸化又は還元剤、及び/又は
− 一種以上の乳化剤、及び/又は
− 一種以上の脂質材料、及び/又は
− 一種以上のビタミン、及び/又は
− 一種以上の繊維源、又は
− それらの二種以上の混合物。
【請求項4】
前記香味改良組成物がサワードー製品、パン種を入れた生パン製品、又はそれらの組合せであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の製品。
【請求項5】
前記香味改良化合物が一種以上の天然芳香化合物、一種以上の化学的芳香化合物、一種以上の酸及び/又は一種以上の酸性化剤、又はそれらの二種以上の混合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の製品。
【請求項6】
前記不活性雰囲気が窒素、アルゴン、ヘリウム、又は二酸化炭素、又はそれらの二種以上の混合物からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の製品。
【請求項7】
前記香味改良組成物及び前記活性イーストが最小94%の乾燥物質を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の製品。
【請求項8】
封止後、残留酸素含有量が容器中の気体相容積に基づいて約2%未満であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項9】
残留湿度含有量が前記粉末化組成物の重量に基づいて約6%未満であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の製品。
【請求項10】
容器が酸素及び湿度に対して不透過性の多層ベースのフィルムであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の製品。
【請求項11】
以下の工程を含む、製パン産業のための製品の製造方法:
− 改良剤組成物及び活性イーストを両方とも粉末形態で混合する、
− 所望によりパン香味改良組成物を粉末形態で添加する、
− 所望によりパン香味改良化合物を粉末形態で添加する、
− 所望により塩を添加する、
− 生じた粉末化組成物で容器を充填する、そして
− 前記容器を不活性雰囲気下で封止して前記容器の容積に基づいて少なくとも5%の充填空積を残す、但し、前記充填空積は本質的に前記不活性雰囲気からなる。
【請求項12】
前記改良剤組成物が以下のものを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法:
− アミラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ及びプロテアーゼからなる群から選択される一種以上の酵素及び/又は
− 一種以上の酸化又は還元剤、及び/又は
− 一種以上の乳化剤、及び/又は
− 一種以上の脂質材料、及び/又は
− 一種以上のビタミン、
− 一種以上の繊維源、又は
− それらの二種以上の混合物。
【請求項13】
前記香味改良組成物がサワードー製品、パン種を入れた生パン製品、又はそれらの組合せを含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記不活性雰囲気が窒素、アルゴン、ヘリウム、又は二酸化炭素、又はそれらの二種以上の混合物からなることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
パン、ケーキ、ビスケット、ペストリー、スナック又はピザの調製のための請求項1〜10のいずれか一項に記載の製品の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2008−504037(P2008−504037A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518413(P2007−518413)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【国際出願番号】PCT/BE2005/000103
【国際公開番号】WO2006/000065
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(505090469)
【Fターム(参考)】