説明

製品を保存するための保存装置

【課題】独立的な保存・取出操作、保存・取出精度の向上及びコスト低減を実現する保存装置に関する。
【解決手段】基部101に支持される軸ユニット301と、第1円として配置される第1保存・取り出しユニット401及び複数の第1保存ユニット402と、第2円として配置される複数の第2保存ユニット403と、第1保存ユニット402の頂上部に接続される第1回転ユニット501と、第2保存ユニット403の頂上部に接続される第1カバーユニット502と、第1回転ユニット501に接続される複数の第1ロールユニット601とを含み、第1保存・取り出しユニット401及び第1保存ユニット402が第2保存ユニット403に対して相対的に回転可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を保存するための保存装置に関し、より詳細には、独立的保存・取り出し操作、コスト低減、および保存・取り出し精度の向上を実現することが可能な保存装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、極低温保存装置は、通常、極低温環境(例えば、−196oCの液体窒素)下に、大抵は、組織、細胞産物、または、臍帯血などの体液、骨髄、胎盤、胚、精子、および卵子を保存するために稼動される。しかしながら、臍帯血、骨髄、胎盤、胚、精子、または卵子標本の使用は、緊急とは相当かけ離れるので、それらの標本を長期に亘って保存するための極低温保存装置が必要になる。ここ数十年、生物工学は急速な発展を遂げている。特に、大量の幹細胞を含む臍帯血は、医療に広く用いられるようになっている。臍帯血保存問題は、当業者にとって特に関心の的である。
【0003】
近年、臍帯血バンクによって使用される、数種類の保存タンクがある。例えば、1)従来型の液体窒素保存タンク(MVE、Tayler−Wharton);および2)自動式機械的保存タンク(TG BioArchieve System)である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来型液体窒素保存タンクとは、蓋開放タイプを指す。各保存タンクは、複数の保存ラックを含み、各ラックは、重層のカートリッジを含む。にも拘らず、オペレータが標本の内の一つを手に取りたいと思うと、同じラックにおいて凍結される他の標本も一緒に取り出される。この、温度の急激な変化は、細胞の生存性に影響を及ぼす可能性があることが考えられる。さらに、液体窒素保存タンクは、蓋開放タイプであるため、保存および取り出し活動を進めていくと、このような蓋開放タイプの設計では、水分が、液体窒素表面上に現れる。そのため、標本のラベルは、液体窒素表面上の凝縮によって隠され、保存および取り出しの正確度および速度は大きく損なわれる。
【0005】
機械的保存タンクは、保存タンクの壁に標本を吊り下げるためにロボットアームのフックを用いる自動式保存タンクに関する。この機械的保存タンクは、保存および取り出し活動を独立に実行することが可能なので、他の保存位置にある標本は影響されない。自動式機械的保存タンクは、標本保存のためにフック策を採用するという事実を考えると、保存タンクが揺れ、したがって標本が揺すられて緩むと、標本が保存タンクの底に落ちることも場合によってあり得る。この条件を斟酌するならば、標本がこの方策によって保存される場合、保存タンクは、原則として、大きく動かすことも、揺らすこともならない。さらに、ロボットアームが操作される場合、ロボットアームの上方または下方移動は、空気中の水分を、ロボットアームの関節部に浸透させることになり、これは次に霜となる。このようにして妨害されるロボットアームは、操作しても、比較的高い摩擦抵抗を生じるか、または場合によっては全く動かなくなる。その上、自動式機械的保存タンクは、操作コントロールのためにコンピュータに依存し、そのため、電力が消費され、長期の使用後には、精密な電子部品は傷害を被る恐れがある。特に、自動式機械的保存タンクは、設計がきわめて複雑であり、したがって、購入に当たって高コストが生じ、維持も不利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するために、本発明は、複数の製品を保存するための保存装置であって:中心域、第1円形域、および第2円形域を有し、第1円形域が、中心域と第2円形域の間にある、基部;その底部が、基部の中心域の上に支持され、その頂上部が、第1ガイドレールを有する、軸ユニット;複数の第1保存ユニットであって、その底部は、基部の第1円形域に対応し、第1円として配置され、製品を保存するために使用される、第1保存ユニット;第1保存・取り出しユニットであって、その底部は、基部の第1円形領域に対応し、第1保存ユニットと共に配置されて第1円を構成し、製品を貯蔵、回収するために使用される、第1保存・取り出しユニット;複数の第2保存ユニットであって、その底部は、基部の第2円形域に対応し、第2円として配置され、製品を保存するために使用される、第2保存ユニット;第1保存ユニットの頂上部に接続される、第1回転ユニット;第2保存ユニットの頂上部に接続され、第2ガイドレールを有する、第1カバーユニット;および、第1回転ユニットに接続され、ローリングのために、軸ユニットの第1ガイドレール、および第1カバーユニットの第2ガイドレールと対応する、複数の第1ロールユニット、を含み、第1保存・取り出しユニット、第1保存ユニット、および第2保存ユニットが、製品を受容するための複数のコンパートメントを個別に持ち、第1保存・取り出しユニットおよび第1保存ユニットが、第2保存ユニットに対して相対的に回転可能である、保存装置を提供することである。
【0007】
本発明によれば、本保存装置は、独立的保存および取り出しの目的を実現するために、円形配置構造を有するように設計される。さらに、本発明による保存装置は、2円構造に限定されない。要すれば、同じ設計原理に基づく保存装置は、他の、複数円構造、例えば、4円構造を持ってもよい。したがって、基部はさらに、第3円形域および第4円形域を持ってもよく、その場合、第3円形域は、第2円形域と第4円形域の間に配置され、第1カバーユニットはさらに、第3ガイドレールを有してもよく、したがって、本保存装置はさらに:複数の第3保存ユニットであって、その底部は、基部の第3円形域に対応し、第3円として配置され、製品を保存するために使用される、第3保存ユニット;第2保存・取り出しユニットであって、その底部は、基部の第3円形領域に対応し、第3保存ユニットと共に配置されて第3円を構成し、製品を貯蔵、回収するために使用される、第2保存・取り出しユニット;複数の第4保存ユニットであって、その底部は、基部の第4円形域に対応し、第4円として配置され、製品を保存するために使用される、第4保存ユニット;第3保存ユニットの頂上部に接続される、第2回転ユニット;第4保存ユニットの頂上部に接続され、第4ガイドレールを有する、第2カバーユニット;および、第2回転ユニットに接続され、ローリングのために、第1カバーユニットの第3ガイドレール、および第2カバーユニットの第4ガイドレールと対応する、複数の第2ロールユニット、を含み、第2保存・取り出しユニット、第3保存ユニット、および第4保存ユニットが、製品を受容するための複数のコンパートメントを個別に持ち、第2保存・取り出しユニットおよび第3保存ユニットが、第4保存ユニットに対して相対的に回転可能である。
【0008】
本発明による保存装置では、第1回転ユニットおよび第2回転ユニットの重量は、主に、軸ユニットの第1ガイドレール、第1カバーユニットの第2および第3ガイドレール、および第2カバーユニットの第4ガイドレールによって支持される。
【0009】
本発明による保存装置では、第1保存・取り出しユニットおよび第2保存・取り出しユニットは可動であり、製品の回収または貯蔵のために設けられ、一方、第1、第2、第3、および第4保存ユニットは、製品を保存するために設けられる。
【0010】
詳細には、本発明による保存装置はさらに、製品を輸送するために使用される輸送ユニットを含んでもよい。したがって、この輸送ユニットによって、第1保存・取り出しユニットから第2保存ユニットへ、製品を輸送し、保存活動を完了させることが可能である。それに対して、第2保存ユニットから第1保存・取り出しユニットへ製品を輸送することによって回収活動を実行することが可能である。第1保存・取り出しデバイス13および第1保存デバイス14中のコンパートメント23は、第2保存・取り出しデバイス17および第2保存デバイス18中のコンパートメント23に対応し、そのため、第1保存・取り出しデバイス13、第1保存デバイス14、第2保存・取り出しデバイス17、および第2保存デバイス18中の製品は、相互に移送することが可能である。さらに、第4保存ユニットにおいては、保存および回収活動は、第2保存・取り出しユニットによって実行することが可能である。さらに、本発明による保存装置を用いる場合、少なくとも一つの第2保存ユニット、および少なくとも一つの第4保存ユニットは、製品がその中に保存されることがないよう予備としてとっておかれ、そのため、第1および第3保存ユニットに対する保存および回収活動のための、一時的保存域として使用することが可能とされる。詳細には、第1保存ユニットのコンパートメントに製品を保存する場合、先ず、前述の保存活動を通じて、製品は、一時的保存域とされる第2保存ユニットに輸送され;次に、第1回転ユニットが回転されて、製品が保存される筈の第1保存ユニットが、一時的保存域とされる第2保存ユニットに対応させられ;最後に、第2保存ユニットに一時的に保存される製品は、第1保存ユニットに輸送されて、第1保存ユニットに対する保存活動を完了する。それに対して、第1保存ユニットのコンパートメントから製品を回収する場合、先ず、製品は、第1保存ユニットから、一時的保存域とされる第2保存ユニットに輸送され;次に、第1回転ユニットが回転されて、第1保存・取り出しユニットを、一時的保存域とされる第2保存ユニットに対応させ;最後に、第2保存ユニットに一時的に保存された製品は、第1保存・取り出しユニットに輸送され、これによって、第1保存ユニットに保存された製品は回収され、回収動作を完了する。さらに、保存および回収活動は、第3保存ユニットについても、前述の操作によって実行することが可能である。
【0011】
本発明による保存装置では、輸送ユニットは、製品をコンパートメント内で輸送することを可能とする機構として設計することが可能である。好ましくは、輸送ユニットは、伸縮要素と、該伸縮要素に接続されるコントロール要素を含み、伸縮要素は、製品を輸送するようコントロール要素を操作することによって、そのコンパートメントに向かって延長させることが可能である。本実施態様では、コントロール要素は、ロッド、該ロッドに適合するハンドル、および、ロッドの内部に配置され、その一端に伸縮要素が接続される結合ロッドを含んでもよく、ハンドルは、様々の深度を持つコンパートメントに伸縮要素を対応させるためロッドに沿って移動させることが可能である。
【0012】
本発明による保存装置はさらに、共に第1保存ユニットの底部に接続され、それぞれ、第1円形域の内方軌道および外方軌道に対応する、第1回転リングおよび第2回転リングを含んでもよい。さらに、本発明による保存装置は、共に第3保存ユニットの底部に接続され、それぞれ、第3円形域の内方軌道および外方軌道に対応する、第3回転リングおよび第4回転リングを含んでもよい。本実施態様では、第1、第2、第3、および第4回転リングは基部には接続されない。したがって、第1および第3保存ユニットが回転するとき、第1、第2、第3、および第4回転リングは、それぞれ、基部の第1円形域、および第3円形域に対応して回転する。さらに、第1、第2、第3、および第4回転リングは、第1および第3保存ユニットが適切に軸揃えされ、第1および第3保存ユニットが不正に軸揃えされないように確保することが可能である。
【0013】
本発明による保存装置では、第1および第2回転リングは、第1保存ユニットおよび第2保存ユニットの底部を停留するために、第1保存ユニットの地点に対応して、複数の、第1位置決め部分を有してもよく、基部の第2円形域は、第2保存ユニットの地点に対応して、複数の第2位置決め部分を有してもよい。さらに、第3および第4回転リングは、第3保存ユニットおよび第4保存ユニットの底部を停留するために、第3保存ユニットの地点に対応して、複数の、第3位置決め部分を有してもよく、基部の第4円形域は、第4保存ユニットの地点に対応して、複数の第4位置決め部分を有してもよい。本実施態様では、第1、第2、および第3位置決め部分は、位置決めに有効である限りいずれの構造として設計されてもよく、例えば、スロット、孔などとして設計されてもよい。好ましくは、第1、第2、および第3位置決め部分は、製造コストを下げ、製造加工を抑えるために、孔様構造を持つ。
【0014】
本発明による保存装置では、第1回転ユニットは、第1保存・取り出しユニットの地点に対応して第1ガイド要素を有していてもよく、そのため、第1保存・取り出しユニットは、該ガイド要素内に挿入されると、正確な位置にガイドすることが可能とされてもよい。さらに、第2回転ユニットは、第2保存・取り出しユニットの地点に対応して第2ガイド要素を有していてもよく、そのため、第2保存・取り出しユニットは、該ガイド要素内に挿入されると、正確な位置にガイドすることが可能とされてもよい。さらに、第1ガイド要素および第1保存・取り出しユニットの底部には、互いに対応する軸揃え孔が設けられてもよく、そのため、第1保存・取り出しユニットは、第1ガイド要素内に挿入されると、第1保存・取り出しユニットの軸揃え孔、および第1ガイド要素の軸揃え孔の間の軸揃えによって、正確な位置にガイドすることが可能とされてもよい。さらに、第2ガイド要素および第2保存・取り出しユニットの底部には、互いに対応する軸揃え孔が設けられてもよく、そのため、第2保存・取り出しユニットは、第2ガイド要素内に挿入されると、第2保存・取り出しユニットの軸揃え孔、および第2ガイド要素の軸揃え孔の間の軸揃えによって、正確な位置にガイドすることが可能とされてもよい。本実施態様では、軸揃え孔の形状は特に限定されず、例えば、四角形でもよい。さらに、第1保存・取り出しユニットには、少なくとも一つの位置決め要素(例えば、ボールプランジャー)を設けてもよく、第1ガイド要素には、位置決め要素に対応する、少なくとも一つの位置決め孔を設けてもよい。したがって、第1保存・取り出しユニットが、第1ガイド要素の中に挿入されると、位置決め要素と位置決め孔の結合が、位置決めの目的を達成することを可能とする。さらに、第2保存・取り出しユニットには、少なくとも一つの位置決め要素(例えば、ボールプランジャー)を設けてもよく、第2ガイド要素には、位置決め要素に対応する、少なくとも一つの位置決め孔を設けてもよい。
【0015】
本発明による保存装置はさらに、第1カバーユニットを基部に接続するために、第1カバーユニットと基部の間に配置され、それらの間の接続関係を強化する、複数の第1支持ロッドを含んでもよい。さらに、本発明による保存装置は、第2カバーユニットを基部に接続するために、第2カバーユニットと基部の間に配置される複数の第2支持ロッドを含んでもよい。
【0016】
本発明による保存装置はさらに、位置決め活動を実行するために、第1回転ユニットに接続され、第1カバーに対応する、複数の第1位置決めユニットを含んでもよく、そのため、第1回転ユニットは、該第1回転ユニットが回転を停止するとき、標的位置に到達することが可能とされる。詳細に言うと、第1カバーユニットには、第1位置決めユニットに対応して、複数の位置決め孔が設けられてもよい。そのため、第1位置決めユニットおよび位置決め孔の結合は摩擦の発生を可能とし、そのために、第1回転ユニットはあまり速く回転できなくなり、該回転ユニットが回転を止めると、第1保存・取り出しユニットおよび第1保存ユニットの、第2保存ユニットに対する正確な軸揃えが可能とされる。さらに、本発明による保存装置は、位置決め活動を実行するために、第2回転ユニットに接続され、第2カバーに対応する、複数の第2位置決めユニットを含んでもよく、そのため、第2回転ユニットは、該第2回転ユニットが回転を停止するとき、標的位置に到達することが可能とされてもよい。
【0017】
本発明による保存装置では、各コンパートメントには、該コンパートメントに保存される製品が脱落するのを防止するための阻止要素が備えられてもよい。本実施態様では、阻止要素は、製品が、保存装置の搖動のためにコンパートメントから脱落することがないように防止する目的が達成可能であるかぎり、いずれの特定の形態にも限定されない。好ましくは、阻止要素は、弾性的スチール薄片である。
【0018】
本発明による保存装置では、第1保存・取り出しユニット、第1保存ユニット、第2保存ユニット、第2保存・取り出しユニット、第3保存ユニット、および第4保存ユニットには、それぞれ、開放側面、および、それに対向して、閉鎖側面が設けられる。組み立てられると、第1保存・取り出しユニットおよび第1保存ユニットの開放側面は、第2保存ユニットの開放側面に向き合い、第2保存・取り出しユニットおよび第3保存ユニットの開放側面は、第4保存ユニットの開放側面に向き合い、そのため、製品は、本保存装置において移送が可能とされる。閉鎖側面は、製品が脱落するのを防止することが可能である。好ましくは、第1保存・取り出しユニット、第1保存ユニット、第2保存ユニット、第2保存・取り出しユニット、第3保存ユニット、および第4保存ユニットには、それぞれ、その閉鎖側面に、貫通ガイド部分が設けられ、そのために、輸送ユニットは、保存および回収活動を実行するために、該貫通ガイド部分に挿入が可能とされる。
【0019】
本発明による保存装置はさらに、製品、例えば、標本を含むためのもので、コンパートメントの中に配置される、複数のカートリッジを含んでもよい。このカートリッジは、パッケージタイプ(例えば、チューブ型パッケージ)のものであればいずれのものであってもよく、カートリッジの形状は、コンパートメントの間を好適に移動可能である限り、限定されない。
【0020】
本発明による保存装置はさらに、保存装置の頂上部を覆うカバープレートであって、温度低下または外来物質の侵入を防止し、特に、保存装置が、表面湿気によって影響されることがないよう防止し、そうすることによって、オペレータが取り出し・保存作業を正確に実行することを可能とするカバープレートを含んでもよい。本実施態様では、カバープレートは、霜形成を防ぐ抗霜特性を有する限り、いずれの材料から構成されていてもよい。好ましくは、カバープレートは、アクリルプレート、または高強度ガラスを指す。
【0021】
本発明によれば、複数の製品を保存するための保存システムであって:保存タンク;保存タンク内の液体;および、保存タンク内に配される前述の保存装置を含む、保存システムがさらに提供される。本発明によれば、保存タンクは、製品を保存するのに好適な、ある一定温度の下に液体を維持することが可能である。本発明においては、液体は、液体窒素であってもよい。したがって、本発明による保存システムは、標本、例えば、幹細胞を保存するために使用することが可能である。さらに、本発明による保存装置はさらに、保存装置と保存タンク間の間隔を維持するために、第2カバーユニットの外側に固定される、固定要素を含んでもよい。好ましくは、この固定要素は、被殻体、および、埋設成分を含む。本実施態様では、埋設成分は、被殻体の中に挿入され、埋設成分の一端は、保存装置の外側に突出して、保存タンクの内壁と接続することが可能である。より好ましくは、埋設成分は、被殻体の中に斜めに挿入される。本実施態様では、埋設成分は特に限定されず、例えば、ネジであってもよい。
【0022】
本発明によれば、保存装置および、同装置を用いる保存システムは、手動操作機構に関するものであるから、停電またはロボット故障によるシステムの動作不能は避けることが可能である。さらに、この機構は比較的単純であるから、製造コストおよび維持の困難は緩和することが可能である。さらに、本発明において運用される伝達原理は、保存および取り出し行動を独立に実行することが可能なので、取り出す必要のない標本は元の位置に留まったままであり、予想外の、突然の温度変化による標本における細胞の生存性の低下は回避することが可能である。その外、本発明では、カバープレートが、液体窒素上における水分の凝縮による視覚のぼやけの問題を回避するよう抗霜作用を実行することが可能なので、取り出し・保存の速度を強化することが可能である。
【0023】
本発明の、他の目的、利点、および新規特性は、下記の詳細な説明を、付属の図面と組み合わせて参照することによってより明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の、好ましい一実施態様による保存装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の、好ましい一実施態様による保存装置を示す分解図である。
【図3】本発明の、好ましい一実施態様による保存装置における、第1保存・取り出しユニット、および第1ガイド要素を示す斜視図である。
【図4】本発明の、好ましい一実施態様による保存装置における、軸ユニットおよび第1回転ユニットを示す分解図である。
【図5】本発明の、好ましい一実施態様による保存装置の頂上部を示す、局所拡大図である。
【図6】図5の切断線に沿う断面図である。
【図7】本発明の、好ましい一実施態様による、第1保存・取り出しユニットおよび第1保存ユニットを示す斜視図である。
【図8A】本発明の、好ましい一実施態様による輸送ユニットを示す斜視図である。
【図8B】本発明の、好ましい一実施態様による輸送ユニットを示す斜視図である。
【図8C】本発明の、好ましい一実施態様による輸送ユニットを示す断面図である。
【図9A】9Aは、本発明の、好ましい一実施態様による保存装置の、取り出し・保存活動を示す斜視図である。
【図9B】9Bは、本発明の、好ましい一実施態様による保存装置の、取り出し・保存活動を示す斜視図である。
【図10】本発明の、好ましい一実施態様による保存装置の、外側から見た斜視図である。
【図11】本発明の、好ましい一実施態様による保存システムを示す斜視図である。
【図12】本発明の、好ましい一実施態様による保存装置の、第2カバーユニットの頂上部を示す、局所拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照すると、本発明による保存装置を示す斜視図であって、保存装置10は、主に:基部101;その底部が基部101に支持される軸ユニット301;その底部が、基部101に対応する、第1保存・取り出しユニット401、および複数の第1保存ユニット402(図には1個だけが示される)であって、第1保存ユニット402は、第1保存・取り出しユニット401と共に、第1円として配置され、その底部において第1回転リング201および第2回転リング202に接続され;その底部が基部101に対応する、複数の第2保存ユニット403(図には1個だけが示される)であって、第2円として配置される第2保存ユニット403;その底部が、基部101に対応する、第2保存・取り出しユニット404、および複数の第3保存ユニット405(図には1個だけが示される)であって、第3保存ユニット405は、第2保存・取り出しユニット404と共に、第3円として配置され、それらの底部において第3回転リング203および第4回転リング204に接続され;その底部が基部101に対応する、複数の第4保存ユニット406(図には1個だけが示される)であって、第4円として配置される第4保存ユニット406;第1保存ユニット402の頂上部に接続される、第1回転ユニット501;第2保存ユニット403の頂上部に接続される第1カバーユニット502;第3保存ユニット405の頂上部に接続される、第2回転ユニット503;第4保存ユニット406の頂上部に接続される第2カバーユニット504;第1回転ユニット501に接続される、複数の第1ロールユニット601および複数の第1位置決めユニット602;および、第2回転ユニット503に接続される、複数の第2ロールユニット603および複数の第2位置決めユニット604、を含む。本実施態様では、第1保存・取り出しユニット401、および第1保存ユニット402は、第2保存ユニット403に対し相対的に回転することが可能であり、第2保存・取り出しユニット404、および第3保存ユニット405は、第4保存ユニット406に対し相対的に回転することが可能である。
【0026】
本発明によれば、保存装置10はさらに、複数の第1支持ロッド701、および複数の第2支持ロッド702を含む。本実施態様では、第1支持ロッド701は、第1カバーユニット502および基部101を接続するために、第1カバーユニット502および基部101の間に配置され、第2支持ロッド702は、第2カバーユニット504および基部101を接続するために、第2カバーユニット504および基部101の間に配置される。したがって、第1保存・取り出しユニット401および第1保存ユニット402は、第1回転ユニット501を介して、第2保存ユニット403に対して相対的に回転可能であり、第2保存・取り出しユニット404および第3保存ユニット405は、第2回転ユニット503を介して、第4保存ユニット406に対して相対的に回転可能である。さらに、可動性第1保存・取り出しユニット401および可動性第2保存・取り出しユニット404に支援されて、本実施態様による保存装置10の保存および取り出し活動は、第1保存ユニット402、第2保存ユニット403、第3保存ユニット405、および第4保存ユニット406に貯蔵される不要の製品に影響を及ぼすことなく、したがって、不適切な温度上昇による製品の活性の損傷を回避しながら実行することが可能となる。
【0027】
図1に示すように、本実施態様による保存装置10では、複雑な回転機構は、保存装置10の頂上部に存在するように設計されるので、装置の維持および組み立ては簡単に実行することが可能である。
【0028】
図2から7を参照すると、保存装置10の要素の構造および組み合わせは下記のように詳述される:
(1)図2に示すように、基部101は、中心域111、第1円形域112、第2円形域113、第3円形域114、および第4円形域115を有し、第1円形域112は、中心域111および第2円形域113の間に位置づけられ、第3円形域114は、第2円形域113および第4円形域115の間に位置づけられる。さらに、第1回転リング201、および第2回転リング202は、第1保存ユニット402の底部に接続され、それぞれ、基部101の第1円形域112の内部軌道および外部軌道に対応する。さらに、第3回転リング203、および第4回転リング204は、第3保存ユニット405の底部に接続され、それぞれ、基部101の第3円形域114の内部軌道および外部軌道に対応する。本実施態様では、第1回転リング201、第2回転リング202、第3回転リング203、および第4回転リング204は、基部に接続されない。したがって、第1保存ユニット402および第3保存ユニット405が回転すると、第1回転リング201、第2回転リング202、第3回転リング203、および第4回転リング204が、それぞれ、基部101の第1円形域112および第3円形域114に対応して回転する。
【0029】
さらに、第1保存ユニット402、第2保存ユニット403、第3保存ユニット404、および第4保存ユニット406の底部を停留するために、第1回転リング201および第2回転リング202は、第1保存ユニット402の地点に対応して、複数の第1位置決め部分211を持ち;基部101の第2円形域113は、第2保存ユニット403の地点に対応して複数の第2位置決め部分121を持ち;第3回転リング203および第4回転リング204は、第3保存ユニット405の地点に対応して、複数の第3位置決め部分212を持ち;基部101の第4円形域115は、第4保存ユニット406の地点に対応して、複数の第4位置決め部分122を持つ。したがって、複数の第1保存ユニット402(図には1個だけが示される)の底部は、基部101の第1円形域112に対応し、第1円として配置され;複数の第2保存ユニット403(図には1個だけが示される)の底部は、基部101の第2円形域113に対応し、第2円として配置され;複数の第3保存ユニット405(図には1個だけが示される)の底部は、基部101の第3円形域114に対応し、第3円として配置され;複数の第4保存ユニット406(図には1個だけが示される)の底部は、基部101の第4円形域115に対応し、第4円として配置される。
【0030】
本実施態様では、第1位置決め部分211、第2位置決め部分121、第3位置決め部分212、および第4位置決め部分122は、孔を指し、そのため、第1保存ユニット402、第2保存ユニット403、第3保存ユニット405、および第4保存ユニット406の底部の突起411は、それぞれ、第1位置決め部分211、第2位置決め部分121、第3位置決め部分212、および第4位置決め部分122の中に挿入することが可能である。
【0031】
(2)図2を参照すると、軸ユニット301は、基部101の中心域111の上に支持され、第1回転ユニット501、第1カバーユニット502、第2回転ユニット503、および第2カバーユニット504は、それぞれ、第1保存ユニット402、第2保存ユニット403、第3保存ユニット405、および第4保存ユニット406の頂上部に接続される。さらに、第1回転ユニット501および第2回転ユニット503は、それぞれ、第1ガイド要素511および第2ガイド要素512を持つ。本実施態様では、第1ガイド要素511および第2ガイド要素512の底部の突起521は、それぞれ、第1位置決め部分211および第3位置決め部分212の中に挿入され、それぞれ、第1保存・取り出しユニット401および第2保存・取り出しユニット404の地点に対応し、そのため、第1保存・取り出しユニット401および第2保存・取り出しユニット404は、突起部分が位置決め部分に挿入されると、正確な位置にガイドすることが可能である。したがって、第1保存・取り出しユニット401は、第1保存ユニット402と共に、第1円として配置され、一方、第2保存・取り出し404は、第3保存ユニット405と共に、第3円として配置される。
【0032】
さらに図3を参照すると、第1ガイド要素511および第1保存・取り出しユニット401の底部には、互いに対応する軸揃え孔522および422が設けられ、そのため、第1保存・取り出しユニット401は、第1ガイド要素511に挿入されると、第1保存・取り出しユニット401の軸揃え孔422と、第1ガイド要素511の軸揃え孔522の間の軸揃えによって正確な位置にガイドすることが可能である。さらに、図3に示すように、第1保存・取り出しユニット401には、少なくとも一つの位置決め要素441(本実施態様では、位置決め要素441としてボールプランジャーが使用される)が装備され、一方、第1ガイド要素511には、位置決め要素441に対応する、少なくとも一つの位置決め孔523が設けられる。したがって、第1保存・取り出しユニット401が、第1ガイド要素511の中に挿入された場合、位置決め要素441と位置決め孔523の結合は、位置決めの目的を達成することが可能である。さらに、図2に示す、第2保存・取り出しユニット404、および第2ガイド要素512は、第1保存・取り出しユニット401および第1ガイド要素511において図示される構造として設計されるので、第2保存・取り出しユニット404および第2ガイド要素512の構造に関する説明は繰り返さない。
【0033】
その外、複数の第1支持ロッド701(図には1個だけが示される)がさらに、第1カバーユニット502と基部101の間に配置され、第1カバーユニット502と基部101の間の接続関係を強化する。さらに、複数の第2支持ロッド702がさらに、第2カバーユニット504と基部101の間に配置され、第2カバーユニット504と基部101の間の接続関係を強化する。
【0034】
(3)図2を参照すると、複数の第1ロールユニット601、および複数の第1位置決めユニット602は、第1回転ユニット501に接続され、一方、複数の第2ロールユニット603、および複数の第2位置決めユニット604は、第2回転ユニット503に接続される。
【0035】
さらに詳細には、図5と共に図4を参照すると、図4は、軸ユニット301および第1回転ユニット501を示す分解図であり、図5は、保存装置の頂上部を示す、局所拡大図である。図4および図5に示すように、軸ユニット301の頂上部には、第1ガイドレール311が設けられ、図5に示すように、第1カバーユニット502には、第2ガイドレール541および第3ガイドレール542が設けられ、一方、第2カバーユニット504には、第4ガイドレール543が設けられる。したがって、第1ガイドレール311および第2ガイドレール541における第1ロールユニット601のローリングを通じて、第1回転ユニット501は回転することが可能である。さらに、第3ガイドレール542および第4ガイドレール543における第2ロールユニット603のローリングを通じて、第2回転ユニット503は回転することが可能である。
【0036】
さらに、図5に示すように、本実施態様では、第2回転ユニット503に、第2位置決めユニット604が設けられる。図6を参照すると、図5の切断線に沿う断面図が示される。第2位置決めユニット604は、ボールプランジャー611を通じて位置決め活動を実現することが可能であり、一方、第2カバーユニット504は、ボールプランジャー611に対応して、複数の位置決め孔531を持つ。したがって、第2位置決めユニット604および位置決め孔531の結合は、抵抗を供給するので、第2回転ユニット503は、回転を停止するとき、標的位置に到達することが可能である。さらに、図5に示すように、複数の第1位置決めユニット602(本実施態様では、位置決め活動のために、ボールプランジャーが第1位置決めユニット602において適用される)が、第1回転ユニット501の上に保持され、一方、第1カバーユニット502は、第1位置決めユニット602に対応して、複数の位置決め孔(図6に示す位置決め孔531を参照)を持ち、したがって、第1回転ユニット501が回転する間、位置決めの目的を実現するよう、抵抗を供給することが可能である。
【0037】
(4)図2に示すように、第1保存・取り出しユニット401、第1保存ユニット402、第2保存ユニット403、第2保存・取り出しユニット404、第3保存ユニット405、および第4保存ユニット406は、それぞれ、複数のコンパートメント412を持つ。本実施態様では、第1保存・取り出しユニット401および第1保存ユニット402のコンパートメント412は、第2保存ユニット403のコンパートメント412に対応し、一方、第2保存・取り出しユニット404および第3保存ユニット405におけるコンパートメント412は、第4保存ユニット405のものと対応する。そのため、製品は、一つのコンパートメントから別のコンパートメントに移送することが可能である。
【0038】
さらに詳細には、図7を参照すると、第1保存・取り出しユニット401および第1保存ユニット402には、それぞれ、開放側面413、および、対向して、閉鎖側面141が設けられる。本実施態様では、第1保存・取り出しユニット401および第1保存ユニット402は、それぞれ、その閉鎖側面414に、貫通ガイド部分421を持ち、そのため、図8Aに示す輸送ユニット801をその中に挿入することが可能であり、それによって、コンパートメント412の中に保存される製品が輸送され、したがって、取り出し活動が完了される。さらに、図7に示すように、第1保存・取り出しユニット401および第1保存ユニット402におけるコンパートメント412は、それぞれ、該コンパートメント412内に保存される製品の脱落を防止するために阻止要素431を備える。本実施態様では、弾性スチール薄片が、阻止要素431として使用される。
【0039】
図2に示すように、第2保存・取り出しユニット404の構造は、第1保存・取り出しユニット401のそれと同じであり、一方、第2保存ユニット403、第3保存ユニット405、および第4保存ユニット406の構造は、第1保存ユニット402のそれと同じであり、したがって、第2保存・取り出しユニット404、第2保存ユニット403、第3保存ユニット405、および第4保存ユニット406の構造に関する説明は繰り返さない。
【0040】
図2を参照すると、組み立てられると、第1保存・取り出しユニット401および第1保存ユニット402の開放側面は、第2保存ユニット403の開放側面の方に向き、そのため、取り出し活動が実行可能となり、閉鎖側面は、製品が脱落しないように防止することが可能となる。さらに、第2保存・取り出しユニット404および第3保存ユニット405の開放側面は、第4保存ユニット406の開放側面の方に向く。
【0041】
(5)図8Aを参照すると、本実施態様において使用される輸送ユニット801を描く斜視図が示される。図8Aに示すように、本実施態様による輸送ユニット801は、伸縮要素811、および、該伸縮要素811に接続されるコントロール要素812を含む。本実施態様では、コントロール要素812を操作することによって、伸縮要素811の変形が引き起こされ、そのため、伸縮要素811は、その延長形および後退形を提示する。したがって、伸縮要素811は、コンパートメント中に保存される製品に向かって延び、該製品を輸送することが可能となり、取り出し活動が実行される。詳細には、図8Aに示すように、輸送ユニット801のコントロール要素812は、ロッド821、ロッド821に適合されるハンドル822、および、ロッド821の内部に配される結合ロッド823を含む。ロッドにおいて、伸縮要素811は、結合ロッド823の一端に接続される。
【0042】
さらに、図8Bを参照すると、輸送ユニット801を示す分解図である。図8Bに示すように、伸縮要素811は、互いに接続される、第1連結部851および第2連結部852から成る。本実施態様では、第1連結部851の一端は、ロッド821に固定され、その他端は、摩擦を緩和するために車輪853を備える。一方、第2連結部852の一端は、結合ロッド823の一端に接続される。したがって、印加される力は、結合ロッド823から、第2連結部852へ伝えることが可能であり、そのため、第2連結部852を結合ロッド823に接続する部分は、ロッド821の溝付きレール854に沿って移動することが可能となり、それによって、伸縮要素811の変形がもたらされる。さらに、図8Bに示すように、結合ロッド823には、複数のブロッカー831が設けられ、ロッド821には、複数の位置決め孔832が設けられる。本実施態様では、ブロッカー831および位置決め孔832は、種々の深度におけるコンパートメントに対応する。
【0043】
次いで、図8Bおよび図8Cを参照すると、図8Cは、輸送ユニットの断面図を示す。図8Bおよび8Cに示すように、ハンドル822は、位置決め成分833、および起動成分834を含む。本実施態様では、位置決め成分833の位置決め末端841は、第1ノブ843を操作することによって、延長、後退させることが可能である。さらに、起動成分834の力印加末端842は、第2ノブ844を操作することによって延長、後退させることが可能である。詳細には、図8Cに示すように、位置決め成分833の位置決め末端841が、第1ノブ843を調節することによって引き延ばされると、位置決め成分833の位置決め末端841は、ロッド821の位置決め孔832と結合し、これによって位置決めの目的が達成される。したがって、ハンドル822は、位置決め成分833を種々の位置決め孔832と結合することによって、ロッド821上の種々の地点に配置させることが可能となり、そのため、伸縮要素811は、種々の深度にあるコンパートメントに対応するように調節することが可能となる。一方、図8Cを参照すると、ハンドル822が位置決めされた後、起動成分834の力印加末端842は、第2ノブ844を調節することによって延長されるが、次に、ブロッカー831の下端で阻止される。したがって、力が、起動成分834に印加されると、起動成分834の力印加末端842は、ブロッカー831を上方に押しやり、これは、結合ロッド823の上方移動をもたらし、それによって伸縮要素811は変形し、外方に延長される。それに対して、ロッド821におけるハンドル822の位置を調整する場合は、図8Cに示すように、位置決め成分833の位置決め末端841が、第1ノブ843を調節することによって後退させられ、そのため、ロッド821の位置決め孔832から引き離され、一方、起動成分834の力印加末端842も後退させられ、したがって、ブロッカー832から引き離される。したがって、ハンドル822は、ロッド821に沿って移動が可能となり、それによって、ロッド821におけるハンドル822の位置が調整される。さらに、図8Bおよび8Cに示すように、弾性的回復力を供給するために、弾性要素861が、結合ロッド823の一端(すなわち、第2連結部852に接続する末端)、および、ロッド821の一端に配置される。これによって、伸縮要素811は、その延長形状から引き戻される。
【0044】
図8Aから8Cを参照すると、前述の機構に基づいて、伸縮要素811は、ハンドル822の起動成分834に力が印加されない場合は、後退し、一方、起動成分834に力が印加され、したがって、起動成分834の力印加末端842がブロッカー831を上方へ押し上げている間は、伸縮要素811は、外方に延長される。したがって、力が、起動成分834に印加される場合、ロッド821の内部に配される結合ロッド823は、上方に動かされ、それによって伸縮要素811は変形し、外方に延長され、そのため、保存および取り出し活動を実行することが可能となる。その後、力が取り除かれると、弾性要素861によって供給される弾性回復力が、伸縮要素811をその延長形から引き戻す。
【0045】
したがって、図9Aから9Bを参照すると、第1保存・取り出しユニット401および第2保存ユニット403が、保存および回収活動を描くために示される。この場合、製品は、カートリッジ901に受容され、次いで、コンパートメント412に保存される。図9Aから9Bは、第2保存ユニット403のコンパートメント412の中に製品を保存する活動を示す。図9Aに示すように、先ず、ロッド821上の輸送ユニット801のハンドル822の場所は、輸送ユニット801の伸縮要素811が、製品の保存が意図されるコンパートメントの場所に対応するように調整される。次いで、図9Aに示すように、輸送ユニット801は、第1保存・取り出しユニット401の貫通ガイド部分に挿入されるが、該ガイド部分において、輸送ユニット801の伸縮要素811は、力が印加されないので後退した状態である。次に、図9Bに示すように、ハンドル822の起動成分834に対して力が印加され、それによって、結合ロッド823が上方に動かされると、輸送ユニット801の伸縮要素811は、カートリッジ901が配されるコンパートメント412に向かって引き延ばされ、そのため、カートリッジ901は、第2保存ユニット403のコンパートメント412の中に輸送することが可能となる。したがって、製品を第2保存ユニット403の中に保存する活動は、第1保存・取り出しユニット401を介して達成される。それに対して、回収活動は、カートリッジ901を、第2保存ユニット403から、第1保存・取り出しユニット401へ輸送することによって実行することが可能である。さらに、製品は、図9Aおよび9Bに示す保存および取り出し活動にしたがって、第2保存・取り出しユニットによって、第4保存ユニット中に保存するか、または該ユニットから取り出すことが可能である。
【0046】
さらに、本発明による保存装置を使う場合、少なくとも一つの第2保存ユニット、および少なくとも一つの第4保存ユニットは、その中に製品がまったく保存されることがないよう予備としてとっておき、そのため、第1および第3保存ユニットにおける保存および取り出し活動のための一時的保存域として使用可能とされることに注意しなければならない。詳細には、第1保存ユニットのコンパートメントに製品を保存する場合、先ず、図9Aから9Bに示す保存活動を通じて、製品は、一時的保存域として第2保存ユニットに輸送され;次いで、第1回転ユニットが回転され、それによって、製品が保存される筈の第1保存ユニットが、一時的保存域としての第2保存ユニットに対応させられ;最後に、第2保存ユニットに一時的に保存される製品が、第1保存ユニットに輸送されて、第1保存ユニットにおける保存活動を終了する。それに対して、第1保存ユニットのコンパートメントから製品を回収する場合は、先ず、製品は、第1保存ユニットから、一時的保存域として第2保存ユニットに輸送され;次いで、第1回転ユニットが回転され、それによって、第1保存・取り出しユニットが、一時的保存域としての第2保存ユニットに対応させられ;最後に、第2保存ユニットに一時的に保存される製品が、第1保存・取り出しユニットに輸送されて、第1保存ユニットに保存される製品の摘出が可能とされて、回収活動を終了する。さらに、前述の操作を通じて、第3保存ユニットについても保存および回収活動を実行することが可能である。
【0047】
図10を参照すると、本発明による保存装置10の、外側から見た斜視図が示される。
【0048】
最後に、図11に示すように、保存装置10は、標本を保存するのに適した液体(本実施態様では、液体は液体窒素を指す)によって満たされる保存タンク20の中に配置され、これによって、標本を保存するための保存システムの提供が可能とされる。さらに、図12を参照すると、本実施態様による、第2カバーユニット504を描く局所拡大図が示される。図12に示すように、第2カバーユニット504の外面は、複数の固定要素513を備え、この固定要素は、被殻体551、および、被殻体551の中に挿入される埋設成分552を含む。本実施態様では、保存装置の外側に突出する、埋設成分552の一端の延長部は、被殻体551の中に挿入される埋設成分552の延長部を調整することによって変更することが可能であり、そのため、埋設成分522の一端は、保存タンクの内壁と接続することが可能であり、したがって、保存装置および保存タンクの間の間隔は保持される。詳細には、本実施態様では、埋設成分552はネジを指し、埋設成分552は、被殻体551の中に斜めに挿入される。したがって、被殻体551の中に挿入される埋設成分552の延長部が長ければ長いほど、保存装置の外側に突出する埋設成分552の一端の延長部は長くなる。保存装置と保存タンクの間の間隔が比較的大きい場合、埋設成分552は、この比較的大きい間隔に対応するように調整することが可能であり、したがって、保存装置は、保存タンクの中に安定に配置させることが可能である。それに対して、保存装置と保存タンク間の間隔が比較的小さい場合、被殻体551の中に挿入される埋設成分552の延長部は、保存装置の外側に突出する、埋設成分552の一端の延長部がより小さくなるようにし、その比較的小さい間隔に対応するように調整することが可能である。
【0049】
さらに、本発明による保存装置は、単に第1円および第2円を含むだけの場合でも、前述の保存および回収活動を依然として実行することが可能である。したがって、必要に応じて、本発明の保存装置は、2円構造として設計することが可能である。
【0050】
本発明は、その好ましい実施態様に関連してこれまで説明されてきたわけであるが、他にも多くの可能な改変および変異が、この後で主張される本発明の範囲から逸脱することなく実行可能であることを理解しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製品を保存するための保存装置であって:
中心域、第1円形域、および第2円形域を有し、第1円形域が、中心域と第2円形域の間にある、基部;
その底部が、基部の中心域の上に支持され、その頂上部が、第1ガイドレールを有する、軸ユニット;
複数の第1保存ユニットであって、その底部は、基部の第1円形域に対応し、第1円として配置され、製品を保存するために使用される、第1保存ユニット;
第1保存・取り出しユニットであって、その底部は、基部の第1円形域に対応し、第1保存ユニットと共に配置されて第1円を構成し、製品を貯蔵および回収するために使用される、第1保存・取り出しユニット;
複数の第2保存ユニットであって、その底部は、基部の第2円形域に対応し、第2円として配置され、製品を保存するために使用される、第2保存ユニット;
第1保存ユニットの頂上部に接続される、第1回転ユニット;
第2保存ユニットの頂上部に接続され、第2ガイドレールを有する、第1カバーユニット;および、
第1回転ユニットに接続され、ローリングのために、軸ユニットの第1ガイドレール、および第1カバーユニットの第2ガイドレールと対応する、複数の第1ロールユニット、を含み、
第1保存・取り出しユニット、第1保存ユニット、および第2保存ユニットが、製品を受容するための複数のコンパートメントを個別に持ち、第1保存・取り出しユニットおよび第1保存ユニットが、第2保存ユニットに対して相対的に回転可能である、保存装置。
【請求項2】
前記第1保存ユニットの底部に接続され、それぞれ、前記第1円形域の内方軌道および外方軌道に対応する、第1回転リングおよび第2回転リングをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の保存装置。
【請求項3】
前記第1および第2回転リングが、前記第1保存ユニットおよび第2保存ユニットの底部を停留するために、該第1保存ユニットの地点に対応して、複数の、第1位置決め部分を有し、かつ前記基部の第2円形域が、該第2保存ユニットの地点に対応して、複数の第2位置決め部分を有することを特徴とする、請求項2に記載の保存装置。
【請求項4】
前記第1回転ユニットが、前記第1保存・取り出しユニットの地点に対応して第1ガイド要素を有し、そのため、該第1保存・取り出しユニットは、該ガイド要素内に挿入可能とされることを特徴とする、請求項1に記載の保存装置。
【請求項5】
前記第1カバーユニットを前記基部に接続するために、該第1カバーユニットと該基部の間に配置される、複数の第1支持ロッドをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の保存装置。
【請求項6】
位置決め活動を実行するために、前記第1回転ユニットに接続され、前記第1カバーに対応する、複数の第1位置決めユニットをさらに含み、そのため、該第1回転ユニットは、該第1回転ユニットが回転を停止するとき、標的位置に到達することが可能とされることを特徴とする、請求項1に記載の保存装置。
【請求項7】
各コンパートメントには、該コンパートメントに保存される製品が脱落するのを防止するための阻止要素が備えられることを特徴とする、請求項1に記載の保存装置。
【請求項8】
前記阻止要素が弾性スチール薄片であることを特徴とする、請求項7に記載の保存装置。
【請求項9】
製品を輸送するための輸送ユニットをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の保存装置。
【請求項10】
前記輸送ユニットは、伸縮要素と、該伸縮要素に接続されるコントロール要素を含み、該伸縮要素は、該コントロール要素を操作することによって、製品を輸送するためにコンパートメントに向かって延長させることが可能であることを特徴とする、請求項9に記載の保存装置。
【請求項11】
前記コントロール要素が、ロッド、該ロッドに適合するハンドル、および、該ロッドの内部に配置される結合ロッドを含み、前記収縮要素が、該結合ロッドの一端に接続され、該ハンドルが、該ロッドに沿って移動が可能であることを特徴とする、請求項10に記載の保存装置。
【請求項12】
前記第1保存・取り出しユニット、第1保存ユニット、および第2保存ユニットが、それぞれ、開放側面、および、それに対向して、閉鎖側面を設け、かつ、それぞれが、その閉鎖側面に貫通ガイド部分を設け、そのため、前記輸送ユニットが、該貫通ガイド部分の中に挿入可能とされることを特徴とする、請求項10に記載の保存装置。
【請求項13】
製品を受容するために使用され、前記コンパートメントの中に配置される、複数のカートリッジをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の保存装置。
【請求項14】
前記基部がさらに、第3円形域および第4円形域を有し、その際、該第3円形域は、前記第2円形域と該第4円形域の間に配置され、前記第1カバーユニットがさらに第3ガイドレールを有し、前記保存装置がさらに:
複数の第3保存ユニットであって、その底部は、前記基部の第3円形域に対応し、第3円として配置され、製品を保存するために使用される、第3保存ユニット;
第2保存・取り出しユニットであって、その底部は、該基部の第3円形領域に対応し、該第3保存ユニットと共に配置されて第3円を構成し、製品を貯蔵および回収するために使用される、第2保存・取り出しユニット;
複数の第4保存ユニットであって、その底部は、前記基部の第4円形域に対応し、第4円として配置され、製品を保存するために使用される、第4保存ユニット;
該第3保存ユニットの頂上部に接続される、第2回転ユニット;
該第4保存ユニットの頂上部に接続され、第4ガイドレールを有する、第2カバーユニット;および、
前記第2回転ユニットに接続され、ローリングのために、該第1カバーユニットの第3ガイドレール、および前記第2カバーユニットの第4ガイドレールと対応する、複数の第2ロールユニット、を含み、
該第2保存・取り出しユニット、該第3保存ユニット、および該第4保存ユニットが、製品を受容するための複数のコンパートメントを個別に持ち、該第2保存・取り出しユニットおよび該第3保存ユニットが、該第4保存ユニットに対して相対的に回転可能である、ことを特徴とする、請求項1に記載の保存装置。
【請求項15】
第1回転リング、第2回転リング、第3回転リング、および第4回転リングをさらに含み、該第1回転リングおよび第2回転リングは、前記第1保存ユニットの底部に接続され、それぞれ、前記第1円形域の内方軌道および外方軌道に対応し、該第3回転リングおよび第4回転リングは、前記第3保存ユニットの底部に接続され、それぞれ、前記第3円形域の内方軌道および外方軌道に対応することを特徴とする、請求項14に記載の保存装置。
【請求項16】
前記第1保存ユニット、第2保存ユニット、第3保存ユニット、および第4保存ユニットの底部を停留するために、前記第1回転リングおよび第2回転リングが、第1保存ユニットの地点に対応して、複数の第1位置決め部分を有し、前記基部の前記第2円形域が、該第2保存ユニットの地点に対応して、複数の第2位置決め部分を有し、前記第3回転リングおよび第4回転リングが、該第3保存ユニットの地点に対応して、複数の第3位置決め部分を有し、前記基部の前記第4円形域が、該第4保存ユニットの地点に対応して、複数の第4位置決め部分を有することを特徴とする、請求項15に記載の保存装置。
【請求項17】
前記第1回転ユニットが、前記第1保存・取り出しユニットの地点に対応して第1ガイド要素を有し、かつ、前記第2回転ユニットが、前記第2保存・取り出しユニットの地点に対応して第2ガイド要素を有し、そのため、該第1保存・取り出しユニットおよび第2保存・取り出しユニットが、これらのガイド要素内に挿入可能とされることを特徴とする、請求項14に記載の保存装置。
【請求項18】
前記第2カバーユニットを前記基部に接続するために、該第2カバーユニットと該基部の間に配置される複数の第2支持ロッドをさらに含むことを特徴とする、請求項14に記載の保存装置。
【請求項19】
複数の第1位置決めユニット、および複数の第2位置決めユニットをさらに含み、該第1位置決めユニットは、位置決め活動を実行するために、前記第1回転ユニットに接続され、前記第1カバーに対応し、該第2位置決めユニットは、位置決め活動を実行するために、前記第2回転ユニットに接続され、前記第2カバーに対応し、そのため、該第1回転ユニットおよび第2回転ユニットは、該第1回転ユニットおよび第2回転ユニットが回転を停止するとき、標的位置に到達することが可能とされることを特徴とする、請求項14に記載の保存装置。
【請求項20】
前記コンパートメントのそれぞれに、該コンパートメントに保存される製品が脱落するのを防止するための阻止要素が備えられることを特徴とする、請求項14に記載の保存装置。
【請求項21】
前記阻止要素が弾性スチール薄片であることを特徴とする、請求項20に記載の保存装置。
【請求項22】
前記輸送ユニットは、伸縮ユニットと、該伸縮ユニットに接続されるコントロール要素を含み、該伸縮要素は、該コントロール要素を操作することによって、製品を輸送するためにコンパートメントに向かって延長させることが可能であることを特徴とする、請求項14に記載の保存装置。
【請求項23】
前記コントロール要素が、ロッド、該ロッドに適合するハンドル、および、該ロッドの内部に配置される結合ロッドを含み、前記収縮要素が、該結合ロッドの一端に接続され、該ハンドルが、該ロッドに沿って移動が可能であることを特徴とする、請求項22に記載の保存装置。
【請求項24】
前記第1保存・取り出しユニット、第1保存ユニット、第2保存ユニット、第2保存・取り出しユニット、第3保存ユニット、および第4保存ユニットが、それぞれ、開放側面、および、それに対向して、閉鎖側面を設け、かつ、それぞれが、その閉鎖側面に貫通ガイド部分を設け、そのため、前記輸送ユニットが、該貫通ガイド部分の中に挿入可能とされることを特徴とする、請求項22に記載の保存装置。
【請求項25】
製品を受容するために使用され、前記コンパートメントの中に配置される、複数のカートリッジをさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の保存装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−240384(P2010−240384A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293651(P2009−293651)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(506355475)ヘルスバンクス バイオテック カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】