説明

製品を無菌充填するための方法およびキット

【課題】複数の構成要素の医療器具の消毒に関連するリスクおよび課題を最小にできる方法ならびにキットを提供する。
【解決手段】本発明方法は、(a)ポートを有するハウジング中に、キャリヤーを準備することと、(b)前記ハウジング内でキャリヤーを消毒することと、(c)前記ポートを通して濾過消毒され得る生物学的作用物質を導入し、前記キャリヤーと組合せることと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、新規な消毒技術(sterilization techniques)、特に、消毒技術に依存して構成要素のレジリエンス(resiliency)の程度が変わる、複数の構成要素の医療器具インプラントの消毒に関わる技術に関するものである。
【0003】
〔関連技術〕
消毒は、安全で効果のある製品、特に、植え込み可能な医療器具のための安全で効果のある製品を提供する際に、キーとなるステップである。
【0004】
現在、医療器具の最終的な消毒は、種々の方法、たとえば、エチレンオキサイド、ガンマ線消毒を使用して行われている。液体形態の製品については、製品を消毒するためにサブミクロンフィルタ(submicron filter)を使用することができる。しかしながら、装置によっては、同一の消毒法と適合性がない可能性のある構成要素の組み合わせを必要とする場合がある装置もある。たとえば、成長因子と足場(scaffold)との混成形態である。この場合には、この2つの構成要素は、適切な方法を使用して、別々に消毒されるか、または、無菌的に処理され、次いで、処理の最終段階で、無菌的に統合され得る。無菌処理の開放的性質の故に、汚染により製品ロットの不認可が生じる機会が常に存在する。
【0005】
あるいは、組み合わせられた製品を最終的に消毒し得る。その場合、最終製品を従来の消毒技術、たとえばエチレンオキサイドまたはγ線照射によって消毒し得る。しかしながら、最終的な消毒技術は、この組み合わせられた医療器具の有効性やその他の物性に影響を及ぼし得る。
【0006】
このため、複数の構成要素のうちの一つには適切かもしれないが、他の構成要素の有効性を損ない得る単一の最終的消毒技術を、ある器具の複数の構成要素の組み合わせに対し使用する場合に起こり得るような消毒技術に対し、様々な程度のレジリエンスを有する複数の構成要素を消毒することに適応し得る新規な方法および器具についての必要性が存在する。以後に開示する本発明により、消毒技術におけるこのような進歩の一つが提供される。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明の一実施形態によれば、複数の構成要素の医療器具を消毒する方法であって、
(a)ポートを有するハウジング中に、キャリヤーを準備することと、
(b)このハウジング内でこのキャリヤーを消毒することと、
(c)このポートを通して濾過消毒されることのできる生物学的作用物質を導入し、このキャリヤーと組合せることと、
を含む方法を指向している。
【0008】
本発明の主たる利点は、特定の消毒技術に対して様々なレジリエンスを持つ複数の構成要素を有する医療用具を、その消毒技術を特定の構成要素に調整することにより、組み合わせ得ることにある。このようにして、ある構成要素の強度や効能を失わせる構成要素の感受性は、両構成要素に対する単一の消毒ステップの影響によって損なわれることがなくなる。
【0009】
〔発明の好ましい実施形態の詳細な説明〕
本発明の一実施形態が図1に示されている。図1を参照して、第一の構成要素(たとえば、キャリヤーまたは足場)200は、ハウジング100に囲み入れられている。ポート300により、第二の構成要素の導入が可能になる。典型的に、ポート300には、生物学的作用物質の導入を可能とするが、導入を意図しない汚染物の進入を防止するための、貫通可能な隔壁(piercable septum)が設けられている。ポート300は、好ましくは、(生物学的作用物質が前もって消毒されていなかった場合に)生物学的作用物質を消毒することができ、生きた微生物等の汚染物の進入を防止できるように寸法決めされたマイクロフィルターも備えている。
【0010】
本明細書において、用語「キャリヤー(carrier)」は、生物学的作用物質を保有する能力を有する物品を包含することを意図したものである。キャリヤーは、任意の特定の形態に制限されるものでもなく、たとえば、ジェル、非多孔性の固体(non-porous solids)、または、フォーム、スポンジ、および、足場のような多孔性の固体(porous solids)として具体化され得る。
【0011】
本発明の他の一実施形態が図2に示されている。図2は、複数のキャリヤー200を持つハウジング100を備えたキットを表している。生物学的作用物質は、入口ポート300を有し、自己密封ストッパー310(隔壁)およびキャリヤー200上に生物学的作用物質を噴霧するための分配噴霧器(distributor sprayer)340を備えた分配導管(distribution channel)320によって、キャリヤー200に導入される。任意に、ストッパー310は、生物学的作用物質が分配導管320に導入される際に、その生物学的作用物質を消毒することができる消毒用フィルタ(0.22μm細孔径)を含み得る。当業者ならば、図示の単一の導管320に沿う場合とは対照的に、キャリヤー200の長さに沿って、生物学的作用物質の均一で制御された分配を可能とするように、複数の箇所で細かい制御を加えるために生物学的作用物質分配噴霧器340への修正を行い得ることを理解するであろう。
【0012】
図2にはさらに、生物学的作用物質を添加した後キャリヤー200を受け入れるためのパウチ(pouch)160が示されている。シール可能なパウチ160は、接続部180を介してハウジング100に取り付けられる。さらに、任意の穿孔部材140が、接続部180の横断面を覆って存在してもよい。最後に、排気管400がフィルタ450と共に示されている。フィルタ450は、好ましくは、0.22μm細孔サイズの消毒用フィルタである。
【0013】
操作中、図2の実施形態を参照して、ハウジング100の内容物(キャリヤー200が存在する場合を含む)の消毒は、適切な照射量の電子ビーム照射(e-beam irradiation)、または、その他任意の適切な消毒技術によって行われる。生物学的作用物質は、ポート300を通して導入される。生物学的作用物質が無菌でない場合には、ストッパー310が、消毒用フィルタを含む。生物学的作用物質は、分配導管320を介してキャリヤー200上に分配される。キャリヤー200が凍結乾燥された状態にない場合には、ハウジング100が、冷凍装置に移され、凍結される。ハウジング100のベース120は、凍結乾燥中のハウジング100の急冷および熱交換のために、熱伝導性材料で造られていることが好ましい。ハウジング100およびその内容物の凍結が完了した後、真空吸引(evacuation)および凍結乾燥の完了を可能にするための真空装置が排気管400に取り付けられる。凍結乾燥の完了後、ハウジング100を傾け、キャリヤーまたは足場200をパウチ160に落し込む。パウチ160をシールし、次に、ハウジング100から分離する。これで、パウチ160は、出荷に適切なものとなる。
【0014】
本発明のさらに他の一実施形態が図3に示されている。図3中、キャリヤー200は、縫合糸として示されている。図3の実施形態では、物品200は、個々のハウジング100中に収納されている。ハウジング100はパウチとしての機能も兼ねており、任意で、物品200が使用されようとする場合に開封を容易にするための穿孔部分110を含む。図3には、入口ポート300、ならびに、フィルタ310およびフィルタ340を有する分配マニフォールド320が含まれる。フィルタ310およびフィルタ340は、生物学的汚染を防止するための0.22μmフィルタである。以下に示すように、このキットの操作中、ストップコック360も使用される。分配マニフォールド320には、生物学的作用物質を蓄積し、チューブ340を通してハウジング100中に生物学的作用物質を供給するのを補助するためのウェル330も含まれる。最後に、チューブ420は、ハウジング100を、フィルタ450およびストップコック460を有するマニフォールド400に接続する。フィルタ450は、生物学的汚染を防止するための0.22μmフィルタでもある。
【0015】
操作中、ハウジング100中の内容物200を消毒するために、エチレンオキサイド消毒法が使用される。したがって、この時点で、システム中の全ての構成要素は、エチレンオキサイド消毒に従い得るものでなければならない。このシナリオの下では、エチレンオキサイド消毒は、まずポート300からエチレンオキサイドを導入し、マニフォールド320を通る流れを許容するのに十分で、かつ流量が多すぎないようにストップコック360を開け、エチレンオキサイドをパウチ100に通し、ストップコック460を開けてマニフォールド400を通って外に出すことによって行われ得る。消毒のために十分な時間が許容された後、ストップコック460およびストップコック360は、閉じられる。
【0016】
生物学的作用物質を消毒済みキットに導入する準備ができたら、この作用物質を任意の適切な結合剤(binder)と共に、ストップコック360を開け、ポート300を通して導入し、ウェル330をこの作用物質組成物で満たす。この作用物質の適切なレベルがウェル330で達成されると、ストップコック460を開け、この作用物質をハウジング100に進入させ、物品200に接触させる。この作用物質と物品200との間の接触時間が、物品200が確実に有効量の生物学的作用物質を含むのに十分な量に達した後、ストップコック360を乾燥窒素源(dry nitrogen source)に切り替え、乾燥窒素を点Aから進入させ、全ての湿気が点Bから排出されるまでシステム中を流す。この段階でストップコック460を閉め、乾燥窒素でシステムを適当な圧力に加圧する。ハウジング100のそれぞれに繋がるチューブ340および420は、次に、高周波シール法(radio frequency sealing)等の従来技術でシールする。個々のパウチ100を、このようにシールし、マニフォールド320およびマニフォールド400から取り外す。パウチ100はもう一つの包みに入れ、シールするか、または、出荷のために個々に準備することができる。
【0017】
前述の実施形態は、キャリヤーに対する特定の消毒技術によって記述されていたかもしれないが、当業者ならば、前述した技術の代わりに他の消毒技術が使用され得ることを理解するであろう。
【0018】
キャリヤーのための適切な材料の例には、生体非吸収性である材料(すなわち、生体内で容易に分解せず、これにより、分解成分が身体中に吸収され得るか、または、身体から排出され得る)、および、生体吸収性である材料を含む、生体適合性材料から造られたものが含まれる。生体適合性材料は、合成材料でも天然材料でもよい。
【0019】
合成の生体適合性材料の例には、α−ヒドロキシカルボン酸のポリエステル、たとえばポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリグリコリド(PGA)、自己補強PLLAおよび自己補強PGA(self-reinforced PLLA and self-reinforced PGA);ポリ−p−ジオキサノン(略号はPDOまたはPDS);ポリヒドロキシ酸、ポリ(オルトエステル);ポリ(β−ヒドロキシブチレート)(PHB);ポリ(PHB−ヒドロキシバレリン酸)(poly(PHB-hydroxyvaleric acid))、プソイド‐ポリ(アミノ酸)(pseudo- poly(aminoacids))またはポリイミノカーボネート;ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)(poly(glycolide-co-trimethylene carbonate));ポリカプロラクトン(PCL);ポリビニルアルコール(PVA);ポリエチレンオキサイド(PEO);米国特許第6,333,029号および同第6,355,699号に開示されたポリマー;および、人工インプラント(prosthetic implant)の作製に利用される、他の任意の生体再吸収性で生体適合性のポリマー、コポリマー、または、ポリマーもしくはコポリマーの混合物(たとえば、85:15のPLLA:PGA、90:10のPGA:PLLA、または、前述の任意のポリマーもしくはコポリマーと非分解性材料との組み合わせ、または、任意のコポリマー比率の前述のものの任意の組合せ)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。さらに、新規な、生体適合性で生体再吸収性の材料が開発されているので、これらの少なくともいくつかが本発明に役立つ材料であることが期待される。前述の材料は例示としてのみ識別されており、本発明がいかなる特定の材料に限定されるものでもないことは、理解されるべきである。
【0020】
天然の生体適合性材料には、天然に生じるポリマー、ならびに、その合成修飾体または誘導体が含まれることが意図されている。天然の生体適合性材料の例には、コラーゲン、組換え型コラーゲン、ラミニン、エラスチン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、トロンボスポンジン、ゼラチン、多糖類、ポリ−1−アミノ酸(poly-1-amino acids)、ヒアルロン酸、セルロース、アルジネート、コンドロイチン硫酸、キトサン、キチン、ケラチン、絹、小腸粘膜下組織(small intestine submucosa)(「SIS」)、および、それらの組合せを含むが、これらに限定されるわけではない。これらの材料は、架橋剤を導入するか、側鎖残基の疎水性を変えるか、または、追加的な成分で処理することにより、さらに処理しまたは修飾して、それらの機械的特性、分解特性、または、組織誘発特性を高めることができる。
【0021】
生体適合性で生体非吸収性の材料の例には、ステンレススチール、コバルト、クロム(cobalt chrome)、チタンおよびチタン合金を含むが、これらに限定されるわけではない、生体適合性金属;アルミナ、ジルコニア、および、硫酸カルシウムを含むが、これらに限定されるわけではない生体不活性なセラミックス;または、ポリエチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、シリコーン(silicone)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、および、ポリウレタンを含むが、これらに限定されるわけではない非生分解性ポリマー、が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0022】
修飾され処理されたコラーゲンベースの生体吸収性材料の好ましいものには、デピュイ・スパイン社(DePuy Spine, Inc.)から入手可能なHEALOS(登録商標)石灰化骨グラフト製品(mineralized bone graft product)を含む石灰化形態のコラーゲンがある。もう一つの好ましい生体吸収性材料はSISである。
【0023】
適切な生物学的作用物質の例には、生物学的活性を有し、濾過消毒できるものがあり、化学走化剤、治療薬(たとえば抗生物質、抗菌薬、ステロイド性および非ステロイド性鎮痛剤、ならびに、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症剤、拒絶反応抑制剤(たとえば、免疫抑制剤および抗癌剤));種々のタンパク質(たとえば、短鎖ペプチド、活性ペプチドもしくは不活性ペプチド、骨形態形成タンパク質、糖タンパク質、および、リポタンパク質);細胞付着性媒介物(cell attachment mediators);生物学的に活性なリガンド;インテグリン結合配列;リガンド;種々の成長剤および/または分化剤(たとえば、上皮細胞成長因子、IGF−I、IGF−II、TGF−βI〜III、成長因子および分化因子、血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、インスリン様成長因子、ならびに、トランスフォーミング成長因子)、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、bFGF;TGF−βスーパーファミリー因子;骨形態形成タンパク質;BMP−2;BMP−4;BMP−6;BMP−7、BMP−12;ソニックヘッジホッグ;GDF5(BMP−14またはMP−52またはrhGDF−5またはCDMP−1とも称する);GDF−6;GDF−8;CDMP−2;CDMP−3;PDGF;治癒応答中に生じる特定の成長因子の上方制御またはその他のプロセスに影響を与える小分子またはタンパク質等価物(たとえば、TP508、および、クリサリン(Chrysalin)(登録商標)、両方ともアリゾナ州テンピ(Tempe, Ariz)所在のオルトロジック社(OrthoLogic)から入手可能である);テネイシン−C;ヒアルロン酸;コンドロイチン硫酸;フィブロネクチン;デコリン;トロンボエラスチン、トロンビン由来のペプチド;ヘパリン結合ドメイン(heparin-binding domains);ヘパリン;硫酸ヘパリン(heparin sulfate);DNAフラグメント、および、唯一の構成要素としてかあるいは適切なベクター中、たとえば、ウイルス性構築物、に組み込まれられた場合のDNAプラスミド、が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0024】
生物学的作用物質は、液体形態であり、かつ、前もって消毒されたキャリヤーと組み合わされるためのハウジングを通して導入される場合、従来の技術によって濾過消毒されることが好ましい。このような消毒用フィルターは、米国マサチューセッツ州ビルリカ(Billerica, Massachusetts, USA)所在のミリポア社(Millipore Corporation)から入手可能である。このミリポア社は、生物の進入を防止する0.22μm以下のサイズの細孔径を有する非常に多種に渡るフィルターを提供している。
【0025】
適切なハウジング材料の例には、ポリマー材料または金属材料が含まれるが、これらに限定されるわけではない。好ましいポリマー材料には、たとえば、ポリカーボネート、ポリオレフィン(TYVEK(登録商標))、ポリエステル(MYLAR(登録商標))、および、ポリエチレンが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0026】
実施例
以下の実施例は例示を意図したものであり、本発明を制限するものではない。
【0027】
実施例1:Healos(登録商標)製石灰化コラーゲン骨グラフトのパッドをポリカーボネートハウジング中に置く。水蒸気透過膜を使用してこのハウジングをシールし、最終的に電子ビーム消毒法(e-beam sterilization)を使用して消毒する。0.5mg/mLのrh−GDF−5を含む、濾過消毒された緩衝溶液を、膜を通して、Healos(登録商標)製パッド上に導入する。次に、rh−GDF−5を有するハウジングおよび足場を冷凍し、ユーザーサイトへの出荷準備済み状態にする。
【0028】
実施例2:処理の最後にGDF−5を有するハウジングおよび足場を凍結乾燥し、真空シールされたパウチに入れること以外は、実施例1と同じ処理を行う。
【0029】
実施例3:凍結乾燥されたパッケージを無菌状態で消毒済みのマイラー製外側パウチ(sterile mylar outer pouch)中に入れること以外は、実施例2と同じ処理を行う。
【0030】
実施例4:0.22μmフィルタに連結したポリプロピレンチューブを有するTyvek(登録商標)製パウチ中に、PLGAフォームを入れる。エチレンオキサイドを使用してアセンブリ全体を消毒する。BMP−2を含む緩衝溶液を、このフィルタを介してこのフォーム中に導入し、次いで、空気乾燥する。次に、RF技術を用いてこのポリプロピレンチューブをシールし、シールされたハウジングユニットを形成する。
【0031】
実施例5:ハウジングユニットが2つのフィルタを有する以外は実施例2と同一の処理を行う。本液体を導入するのに1つのフィルタを使用し、別のフィルタを凍結乾燥のために使用する。
【0032】
本発明の前述の開示および説明は、例示およびその説明的なものであり、サイズ、形状、および、材料、ならびに、好ましい実施形態の説明において、本発明の精神から逸脱することなく様々な変形が行われ得ることが理解されるべきである。
【0033】
本発明の好ましい実施態様は以下の通りである。
【0034】
〔実施の態様〕
(1)複数の構成要素の医療器具を消毒する方法において、
(a)ポートを有するハウジング中に、キャリヤーを準備することと、
(b)前記ハウジング内で前記キャリヤーを消毒することと、
(c)前記ポートを通して濾過消毒され得る生物学的作用物質を導入し、前記キャリヤーと組合せることと、
を含む、方法。
(2)実施態様1に記載の方法において、
前記キャリヤーが、生体適合性のキャリヤーである、方法。
(3)実施態様2に記載の方法において、
前記キャリヤーが、生体吸収性材料を含む、方法。
(4)実施態様3に記載の方法において、
前記生体吸収性材料が、合成材料である、方法。
(5)実施態様4に記載の方法において、
前記合成材料が、α−ヒドロキシカルボン酸のポリエステル、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリグリコリド(PGA)、自己補強PLLA(self-reinforced PLLA)、自己補強PGA(self-reinforced PGA)、ポリ−p−ジオキサノン、ポリヒドロキシ酸、ポリ(オルトエステル)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)(PHB)、ポリ(PHB−ヒドロキシバレリン酸)(poly(PHB-hydroxyvaleric acid))、プソイド‐ポリ(アミノ酸)(pseudo- poly(aminoacids))、ポリイミノカーボネート、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)(poly(glycolide-co-trimethylene carbonate))、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、および、それらの混合物のポリマーおよびコポリマーからなる群から選択される、方法。
【0035】
(6)実施態様3に記載の方法において、
前記生体吸収性材料が、天然材料である、方法。
(7)実施態様6に記載の方法において、
前記天然材料が、コラーゲン、組換え型コラーゲン、ラミニン、エラスチン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、トロンボスポンジン、ゼラチン、多糖類、ポリ−1−アミノ酸(poly-1-amino acids)、ヒアルロン酸、セルロース、アルジネート、コンドロイチン硫酸、キトサン、キチン、ケラチン、絹、小腸粘膜下組織(small intestine submucosa)(「SIS」)、および、これらの組合せからなる群から選択される、方法。
(8)実施態様1に記載の方法において、
前記ハウジングが、ポリマー材料および金属材料からなる群から選択される、方法。
(9)実施態様8に記載の方法において、
前記ハウジングが、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエチレン、および、それらの組合せからなる群から選択されたポリマー材料である、方法。
(10)実施態様1に記載の方法において、
前記生物学的作用物質が、化学走化剤、治療薬、タンパク質、短鎖ペプチド、活性ペプチドもしくは不活性ペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、細胞付着性媒介物(cell attachment mediators)、生物学的に活性なリガンド、インテグリン結合配列、リガンド、成長剤および/または分化剤、上皮細胞成長因子、IGF−I、IGF−II、TGF−βI〜III、血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、インスリン様成長因子、トランスフォーミング成長因子、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、bFGF、TGF−βスーパーファミリー因子、骨形態形成タンパク質、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、BMP−12、ソニックヘッジホッグ、GDF5、BMP−14、MP−52、rhGDF−5、CDMP−1、GDF−6、GDF−8、CDMP−2、CDMP−3、PDGF、テネイシン−C、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、フィブロネクチン、デコリン、トロンボエラスチン、トロンビン由来のペプチド、ヘパリン結合ドメイン(heparin-binding domains)、ヘパリン、硫酸ヘパリン(heparin sulfate)、DNAフラグメント、および、DNAプラスミド(唯一の構成要素としてか、あるいは、適切なベクターに組み込まれた場合)、ならびに、それらの混合物からなる群から選択される、方法。
【0036】
(11)実施態様10に記載の方法において、
前記生物学的作用物質が、TGF−βスーパーファミリーからのものである、方法。
(12)実施態様11に記載の方法において、
前記作用物質が、骨形態形成タンパク質である、方法。
(13)実施態様12に記載の方法において、
前記作用物質が、rhGDF−5である、方法。
(14)実施態様12に記載の方法において、
前記作用物質が、BMP−2である、方法。
(15)実施態様12に記載の方法において、
前記作用物質が、BMP−7である、方法。
【0037】
(16)実施態様12に記載の方法において、
前記作用物質が、CDMP−1である、方法。
(17)実施態様12に記載の方法において、
前記作用物質が、GDF−5である、方法。
(18)実施態様12〜実施態様17のいずれか一に記載の方法において、
前記キャリヤーが、コラーゲンをベースとするものである、方法。
(19)実施態様12〜実施態様17のいずれか一に記載の方法において、
前記キャリヤーが、SISである、方法。
(20)キットにおいて、
(a)入口ポートを備える消毒されたハウジングに囲み入れられた消毒されたキャリヤーと、
(b)前記ポートを通して前記キャリヤーへ添加するための、濾過消毒されることのできる生物学的作用物質源と、
を含む、キット。
【0038】
(21)実施態様20に記載のキットにおいて、
前記ハウジングが、ポリマー材料および金属材料からなる群から選択される材料から作製されたものである、キット。
(22)実施態様20に記載のキットにおいて、
前記入口ポートが、0.22μm以下の孔を含む細孔フィルタを含む、キット。
(23)キットにおいて、
(a)入口ポートを含む消毒可能なハウジングに囲み入れられた消毒可能なキャリヤーと、
(b)前記ポートを通して前記キャリヤーへ添加するための、濾過消毒されることのできる生物学的作用物質源、
を含む、キット。
(24)実施態様23に記載のキットにおいて、
前記生物学的作用物質が、無菌状態である、キット。
(25)実施態様23に記載のキットにおいて、
前記ポートが、0.22μm以下の孔を含む細孔フィルタを含む、キット。
【0039】
(26)実施態様23に記載のキットにおいて、
前記ハウジングが、ポリマー材料および金属材料からなる群から選択されるキット。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ハウジング、ハウジング中にあるキャリヤー、および、生物学的作用物質の導入のための入口ポートを含む、本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】複数の構成要素を含む複数の医療器具の消毒に関する本発明の他の一実施形態を示す図である。
【図3】複数の構成要素を含む複数の医療器具の消毒に関する本発明のさらに他の一実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成要素の医療器具を消毒する方法において、
(a)ポートを有するハウジング中に、キャリヤーを準備することと、
(b)前記ハウジング内で前記キャリヤーを消毒することと、
(c)前記ポートを通して濾過消毒され得る生物学的作用物質を導入し、前記キャリヤーと組合せることと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記キャリヤーが、生体適合性のキャリヤーである、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記キャリヤーが、生体吸収性材料を含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記生体吸収性材料が、合成材料である、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記合成材料が、α−ヒドロキシカルボン酸のポリエステル、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリグリコリド(PGA)、自己補強PLLA、自己補強PGA、ポリ−p−ジオキサノン、ポリヒドロキシ酸、ポリ(オルトエステル)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)(PHB)、ポリ(PHB−ヒドロキシバレリン酸)、プソイド‐ポリ(アミノ酸)、ポリイミノカーボネート、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、および、それらの混合物のポリマーおよびコポリマーからなる群から選択される、方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法において、
前記生体吸収性材料が、天然材料である、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記天然材料が、コラーゲン、組換え型コラーゲン、ラミニン、エラスチン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、トロンボスポンジン、ゼラチン、多糖類、ポリ−1−アミノ酸、ヒアルロン酸、セルロース、アルジネート、コンドロイチン硫酸、キトサン、キチン、ケラチン、絹、小腸粘膜下組織(「SIS」)、および、これらの組合せからなる群から選択される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記ハウジングが、ポリマー材料および金属材料からなる群から選択される、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
前記ハウジングが、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエチレン、および、それらの組合せからなる群から選択されたポリマー材料である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記生物学的作用物質が、化学走化剤、治療薬、タンパク質、短鎖ペプチド、活性ペプチドもしくは不活性ペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、細胞付着性媒介物、生物学的に活性なリガンド、インテグリン結合配列、リガンド、成長剤および/または分化剤、上皮細胞成長因子、IGF−I、IGF−II、TGF−βI〜III、血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、インスリン様成長因子、トランスフォーミング成長因子、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、bFGF、TGF−βスーパーファミリー因子、骨形態形成タンパク質、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、BMP−12、ソニックヘッジホッグ、GDF5、BMP−14、MP−52、rhGDF−5、CDMP−1、GDF−6、GDF−8、CDMP−2、CDMP−3、PDGF、テネイシン−C、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、フィブロネクチン、デコリン、トロンボエラスチン、トロンビン由来のペプチド、ヘパリン結合ドメイン、ヘパリン、硫酸ヘパリン、DNAフラグメント、および、DNAプラスミド(唯一の構成要素としてか、あるいは、適切なベクターに組み込まれた場合)、ならびに、それらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記生物学的作用物質が、TGF−βスーパーファミリーからのものである、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記作用物質が、骨形態形成タンパク質である、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記作用物質が、rhGDF−5である、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法において、
前記作用物質が、BMP−2である、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法において、
前記作用物質が、BMP−7である、方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法において、
前記作用物質が、CDMP−1である、方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法において、
前記作用物質が、GDF−5である、方法。
【請求項18】
請求項12〜請求項17のいずれか一項に記載の方法において、
前記キャリヤーが、コラーゲンをベースとするものである、方法。
【請求項19】
請求項12〜請求項17のいずれか一項に記載の方法において、
前記キャリヤーが、SISである、方法。
【請求項20】
キットにおいて、
(a)入口ポートを備える消毒されたハウジングに囲み入れられた消毒されたキャリヤーと、
(b)前記ポートを通して前記キャリヤーへ添加するための、濾過消毒されることのできる生物学的作用物質源と、
を含む、キット。
【請求項21】
請求項20に記載のキットにおいて、
前記ハウジングが、ポリマー材料および金属材料からなる群から選択される材料から作製されたものである、キット。
【請求項22】
請求項20に記載のキットにおいて、
前記入口ポートが、0.22μm以下の孔を含む細孔フィルタを含む、キット。
【請求項23】
キットにおいて、
(a)入口ポートを含む消毒可能なハウジングに囲み入れられた消毒可能なキャリヤーと、
(b)前記ポートを通して前記キャリヤーへ添加するための、濾過消毒されることのできる生物学的作用物質源、
を含む、キット。
【請求項24】
請求項23に記載のキットにおいて、
前記生物学的作用物質が、無菌状態である、キット。
【請求項25】
請求項23に記載のキットにおいて、
前記ポートが、0.22μm以下の孔を含む細孔フィルタを含む、キット。
【請求項26】
請求項23に記載のキットにおいて、
前記ハウジングが、ポリマー材料および金属材料からなる群から選択されるキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−517714(P2008−517714A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538947(P2007−538947)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/035692
【国際公開番号】WO2006/049790
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(504003396)デピュイ・スパイン・インコーポレイテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Spine,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,MA 02767,U.S.A.
【Fターム(参考)】