製品移載システム
【課題】作業者の安全を確保して、パレットへの製品の移載、パレットの搬入及び製品が載ったパレットの搬出を迅速に行うことができる製品移載システムを提供すること。
【解決手段】製品移載システム1は、搬入エリアA1に設置した製品搬入台2と、運搬エリアA3に形成した複数の移載室5と、移載エリアA2に設置した移載装置3とを備えている。製品移載システム1は、いずれかの移載室5Aにおける手前側のシャッター52を開けて、この移載室5Aにおいて有人運搬手段6がパレット7の運搬を行うときには、この移載室5Aにおける奥側のシャッター51を閉じ、かつ、他の移載室5Bにおける手前側のシャッター52を閉じるとともに奥側のシャッター51を開けて、移載装置3が、他の移載室5Bに運搬したパレット7へ製品8を移載可能に構成されている。
【解決手段】製品移載システム1は、搬入エリアA1に設置した製品搬入台2と、運搬エリアA3に形成した複数の移載室5と、移載エリアA2に設置した移載装置3とを備えている。製品移載システム1は、いずれかの移載室5Aにおける手前側のシャッター52を開けて、この移載室5Aにおいて有人運搬手段6がパレット7の運搬を行うときには、この移載室5Aにおける奥側のシャッター51を閉じ、かつ、他の移載室5Bにおける手前側のシャッター52を閉じるとともに奥側のシャッター51を開けて、移載装置3が、他の移載室5Bに運搬したパレット7へ製品8を移載可能に構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を移載したパレットを有人運搬手段によって搬出する製品移載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品等の製品を出荷用のパレットへ移載する際には、作業者がホイストを用いて製品をパレットへ移載する以外に、ロボットによって製品をパレットへ移載することが行われている。この製品が移載されたパレットは、搬送コンベヤ等によってロボットの動作エリアの外部へ搬送されている。そして、作業者が、フォークリフト等を用いて、製品の載ったパレットを出荷エリアへ運搬している。これにより、作業者がロボットの動作エリアの外部において作業することになり、作業者の安全を確保している。
【0003】
ロボットを用いてパレット上へ荷の積み降ろしを行うものとしては、例えば、特許文献1に開示されたロボット使用の自動移載装置がある。また、例えば、特許文献2においては、起動状態のロボットを固定機構により固定することにより、ロボットの動作範囲内で人手による部品等の搬送を可能にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2687030号公報
【特許文献2】特開2000−3950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ロボットによるパレットへの製品の移載が終わった後、このパレットをロボットの作業エリアの外部まで搬送するためには、この搬送を行う搬送装置が別途必要となる。また、この搬送を行うための時間も要することになる。一方、上記搬送装置を用いず、ロボットの作業エリアから作業者が製品を運搬することが考えられる。しかし、この場合には、作業者の安全を確保するために、ロボットの動作を一旦停止させておかなければならない。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、作業者の安全を確保して、パレットへの製品の移載、パレットの搬入及び製品が載ったパレットの搬出を迅速に行うことができる製品移載システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、製品が搬入される搬入エリアに設置した製品搬入台と、
有人運搬手段によってパレットの運搬が行われる運搬エリアを、側壁によって区画して形成した複数の移載室と、
該複数の移載室に対する奥側の移載エリアに設置され、上記製品搬入台から上記各移載室における上記パレットへ上記製品を移載する移載装置とを備えており、
上記各移載室は、奥側に位置する側壁と、手前側に位置する側壁とが、開閉可能なシャッターによって形成してあり、残りの左右に位置する側壁が固定壁によって形成してあり、
いずれかの上記移載室における上記手前側のシャッターを開けて、該いずれかの移載室において上記有人運搬手段が上記パレットの運搬を行うときには、該いずれかの移載室における上記奥側のシャッターを閉じ、かつ、該いずれかの移載室以外の他の上記移載室における上記手前側のシャッターを閉じるとともに該他の移載室における上記奥側のシャッターを開けて、上記移載装置が、上記他の移載室に運搬した上記パレットへ上記製品を移載可能にしたことを特徴とする製品移載システムにある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製品移載システムにおいては、移載装置を設置した移載エリアに対する手前側に、有人運搬手段によってパレットの運搬が行われる運搬エリアを設けており、この運搬エリアには、側壁によって区画して複数の移載室を形成している。
そして、各移載室における奥側のシャッターと手前側のシャッターとが開閉を行うタイミングを工夫することにより、いずれかの移載室におけるパレットの運搬と、他の移載室におけるパレットへの製品の移載とを同じタイミングで行うことができるようにしている。
【0009】
具体的には、作業者がいずれかの移載室において、有人運搬手段を用いてパレットの運搬を行うときには、このいずれかの移載室における手前側のシャッターを開けるとともに奥側のシャッターを閉じる。一方、いずれかの移載室においてパレットの運搬を行うときには、他の移載室においては、手前側のシャッターを閉じるとともに奥側のシャッターを開けることができる。
そして、作業者が、手前側のシャッターが開けられたいずれかの移載室においてパレットを運搬している時間帯に、移載装置は、奥側のシャッターが開けられた他の移載室に運搬されたパレットへ製品を移載することができる。そのため、移載装置の待機時間を短くすることができる。
【0010】
また、いずれかの移載室において作業を行う作業者は、このいずれかの移載室における奥側のシャッター及び左右の固定壁によって、特に隣接する移載室において作業する移載装置との接触から保護することができる。また、隣接する移載室における手前側のシャッターによっても、作業者を移載装置との接触から保護することができる。
そして、移載装置の動作を停止することなく、作業者がパレットの運搬作業を行うことができ、作業者の安全を確保して、ロボットによるパレットへの製品の移載を継続することができる。
【0011】
さらに、移載装置が製品を移載した後のパレットは、このパレットが置かれた移載室から有人運搬手段によって直接搬出することができる。そのため、有人運搬手段を用いて作業者がパレットを搬出する前に、製品が載ったパレットを、作業者の安全確保のために搬送装置等によって別途異なる場所へ搬送する必要もない。
それ故、本例の製品移載システムによれば、作業者の安全を確保して、パレットへの製品の移載、パレットの搬入及び製品が載ったパレットの搬出を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例における、製品移載システムを示す平面図。
【図2】実施例における、製品移載システムを示す正面図。
【図3】実施例における、パレットを示す斜視図。
【図4】実施例における、図1を模式化して示し、いずれかの移載室へパレットを搬入する状態を示す説明図。
【図5】実施例における、図1を模式化して示し、いずれかの移載室におけるパレットへ製品を移載する状態を示す説明図。
【図6】実施例における、製品移載システムの構成を模式化して示す説明図。
【図7】実施例における、ロボットのハンド部を示す斜視図。
【図8】実施例における、ロボットのハンド部を矢視D1によって示す正面図。
【図9】実施例における、ロボットのハンド部を矢視D2によって示す側面図。
【図10】実施例における、ロボットのハンド部を矢視D3によって示す側面図。
【図11】実施例における、製品移載システムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述した本発明の製品移載システムにおける好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記複数の移載室に対する手前側位置には、上記各移載室の上記手前側のシャッターの開閉を指示するための操作盤が設けてあり、上記各移載室の上記手前側のシャッターは、上記操作盤からの指示を受けて開閉可能であり、上記各移載室の上記手前側のシャッターは、上記奥側のシャッターが閉じているときに開けることができ、かつ、上記奥側のシャッターが開いているときに開けることができなくなっていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、作業者が移載室へ入ることを可能にする手前側のシャッターは、作業者による操作盤からの指示を待って開閉させることにより、移載装置との接触から作業者をより安全に保護することができる。また、手前側のシャッターは、奥側のシャッターが閉じているときのみ開けることができることにより、移載装置との接触から作業者を保護することができる。
【0014】
また、上記各移載室の上記奥側のシャッターは、該各移載室に上記パレットが搬入され、該各移載室の上記手前側のシャッターが閉じられた後に開くようになっており、かつ、上記移載装置が上記各移載室における上記パレットへ上記製品を規定数移載した後に閉じるようになっており、上記移載装置は、上記奥側のシャッターが開いた上記移載室における上記パレットに対して、上記製品搬入台から上記製品を移載するよう構成してあることが好ましい(請求項3)。
この場合には、奥側のシャッターは、手前側のシャッターが閉じた後に開けられることにより、移載装置との接触から作業者を保護することができる。また、奥側のシャッターが開閉するタイミングが適切であり、作業者の安全を適切に確保して、移載装置がパレットへの製品の移載を行うことができる。
【0015】
また、上記製品又は該製品を載置した製品パレットには、該製品の機種情報を記憶する情報記憶部が設けてあり、上記製品搬入台には、上記情報記憶部から上記機種情報を読み取る監視装置が配設してあり、上記移載装置は、上記監視装置が読み取った上記製品の機種情報に基づいて、該製品を移載する上記移載室を振り分けるよう構成してあることが好ましい(請求項4)。
この場合には、パレットに積載する製品の機種を、移載室ごとに仕分けすることができる。これにより、作業者は、有人運搬手段を用いて、必要な機種の製品が規定数積載されたパレットを移載室から搬出することができる。
【0016】
また、上記移載装置は、3次元に位置・姿勢を変更可能なロボットと、該ロボットを上記複数の移載室に対する奥側へ移動させるロボット移動装置とを用いて構成してあり、上記ロボットのエンドエフェクタには、上記製品を把持するためのハンド部が取り付けてあり、上記ロボット移動装置は、上記ロボットが、上記製品搬入台に搬入された上記製品を上記ハンド部によって把持した後、上記監視装置から受信した上記製品の機種情報に基づいて振り分ける上記移載室に対する奥側へ上記ロボットを移動させるよう構成してあることが好ましい(請求項5)。
この場合には、ロボット移動装置によってロボットを各移載室に対する奥側へ移動させることができ、製品搬入台から各移載室への製品の移載を、機種ごとに効率的に行うことができる。
【0017】
また、上記情報記憶部には、当該製品が良品であるか不良品であるかを示す品質情報が、上記機種情報とともに記憶されており、上記監視装置は、上記情報記憶部から上記機種情報とともに上記品質情報を読み取るよう構成してあり、上記製品搬入台は、複数の機種の製品が混流して順次搬入され、該搬入された製品を、上記ロボットの上記ハンド部によって把持する把持位置へ順次送り出す搬送コンベヤであり、該搬送コンベヤは、上記監視装置から上記品質情報を受信して、該品質情報が不良品を示す上記製品は、上記把持位置ではなく、回収を行うための回収位置へ送り出すよう構成してあることが好ましい(請求項6)。
この場合には、製品搬入台としての搬送コンベヤに搬入される製品が不良品であったときには、回収を行うための回収位置へ送り出して、パレットへ移載しないようにすることができる。
なお、情報記憶部に記憶する品質情報は、製品移載システムに搬入される前に、製造を行った製品について検査を行い、良品・不良品を判定した結果等を示す情報である。
【0018】
また、上記ハンド部には、上記製品に形成された被係止部を係止する係止部を設けた複数の支持クランプと、該複数の支持クランプの上記係止部が上記製品の上記被係止部を係止したときに、該製品を押さえ付けて、該係止状態の外れ防止及び該製品の振れ止めを行う押さえクランプと、上記ハンド部と上記製品との間の距離を測定する距離センサと、上記ハンド部に対する上記パレットの水平方向の位置及び向きを測定するカメラとが設けてあり、上記距離センサによって上記被係止部に対する上記係止部の位置の補正を行うとともに、上記カメラによって上記パレットに対する上記製品の位置及び向きの補正を行うよう構成してあることが好ましい(請求項7)。
【0019】
この場合には、製品搬入台に搬入された製品を、ロボットのハンド部に把持するときに、距離センサによってハンド部に対する製品の距離を測定し、ロボットの位置を補正することができる。これにより、製品の被係止部に対するハンド部における係止部の位置を補正することができ、ハンド部による製品の把持を安定して行うことができる。
また、ロボットのハンド部に把持した製品をパレットへ積載するときに、カメラによってハンド部に対するパレットの水平方向の位置及び向きを測定し、ハンド部の位置及び向きを補正することができる。これにより、パレットに対する、ハンド部に把持した製品の位置及び向きを補正することができ、ハンド部によるパレットへの製品の積載を安定して行うことができる。
【実施例】
【0020】
以下に、本発明の製品移載システムにかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例の製品移載システム1は、図1、図2に示すごとく、製品8が搬入される搬入エリアA1に設置した製品搬入台2と、有人運搬手段6によってパレット7の運搬が行われる運搬エリアA3を側壁によって区画して形成した複数の移載室5と、複数の移載室5に対する奥側の移載エリアA2に設置され、製品搬入台2から各移載室5におけるパレット7へ製品8を移載する移載装置3とを備えている。
【0021】
各移載室5は、奥側に位置する側壁と、手前側に位置する側壁とが、開閉可能なシャッター51,52によって形成してあり、残りの左右に位置する側壁が固定壁53によって形成してある。
図4に示すごとく、製品移載システム1は、いずれかの移載室5Aにおける手前側のシャッター52を開けて、この移載室5Aにおいて有人運搬手段6がパレット7の運搬を行うときには、この移載室5Aにおける奥側のシャッター51を閉じ、かつ、移載室5A以外の他の移載室5Bにおける手前側のシャッター52を閉じるとともに他の移載室5Bにおける奥側のシャッター51を開けて、移載装置3が、他の移載室5Bに運搬したパレット7へ製品8を移載可能に構成されている。
【0022】
上記いずれかの移載室5Aにおいては、作業者が、有人運搬手段6を用いて、この移載室5Aから製品8が移載されたパレット7の搬出及びこの移載室5Aへの空のパレット7の搬入を行う。
なお、図4、図5は、図1を模式化して示し、図4は、いずれかの移載室5Aへパレット7を搬入する状態を示し、図5は、いずれかの移載室5Aにおけるパレット7へ製品8を移載する状態を示す。
【0023】
以下に、本例の製品移載システム1につき、図1〜図13を参照して詳説する。
図1、図2に示すごとく、本例の製品移載システム1は、完成品としての製品8をパレット7に積載するものであり、パレット7を置く場所として、有人運搬手段6(本例においてはフォークリフト6)によって運搬可能な運搬エリア(スペース)A3を形成したものである。そして、運搬エリアA3において製品8が積載されたパレット7は、作業者による有人運搬手段6の操縦によって所定の出荷場所へ運搬される。
【0024】
図3に示すごとく、本例の製品8は、車両用の部品等である。パレット7は、フォークリフト6のフォーク(爪部)61を差込可能な部位を有し、製品8を整列して載置するための載置部71を複数形成してなる。パレット7は、パレット7同士を上下に積載するために、四方の角部には、上側に積載するパレット7を受けるための支柱受部72を設けてなる。この支柱受部72は、パレット本体70に対して折畳みが可能であり、製品移載システム1の移載室5へ運搬されるときには、折畳まれた状態にある(同図において2点鎖線で示す。)。各支柱受部72は、当該パレット7が移載室5へ運搬された後、移載装置3によって垂直に立てられる。
【0025】
図1に示すごとく、本例の移載装置3は、3次元に位置・姿勢を変更可能なロボット(多関節ロボット)31と、ロボット31を複数の移載室5に対する奥側へ移動させるロボット移動装置32とを用いて構成してある。ロボット移動装置32は、ロボット31を搭載する台車部321を、モータ等の動力源によって移動させるものである。ロボット移動装置32は、台車部321を、製品移載システム1の左右方向に沿って敷設したレール322上を移動させるよう構成してある。
本例の移載室5は、水平方向に1列に並んで形成されており、本例の移載室5は、互いに隣接して3つ形成されている。左右の側壁を構成する固定壁53は、各移載室5の間を仕切る固定壁53と、左右の両側に位置する固定壁53とがある。
【0026】
各移載室5には、製品8を移載する際、及びパレット7における支柱受部72を立てる際に、ロボット移動装置32の台車部321上に設置されたロボット31のアーム部が進入する。そのため、各固定壁53は、ロボット31の衝突に耐えられる強度で形成されている。
各移載室5の奥側及び手前側に設けられたシャッター51,52は、各移載室5において作業する作業者を、ロボット31の接触から保護するためのものである。各シャッター51,52は、種々の構造とすることができる。各シャッター51,52は、例えば、上方に移動してロボット31及び作業者との干渉を避け、下方に移動してロボット31と作業者との接触を防ぐ構造とすることができる。
【0027】
図1に示すごとく、複数の移載室5に対する手前側位置には、各移載室5の手前側のシャッター52の開閉を指示するための操作盤55が設けてある。この操作盤55は、複数の移載室5とは独立して設置した操作台に設けることができ、各移載室5に対する手前側にそれぞれ設けることもできる。また、操作盤55は、持ち運びを可能にしたリモコンボックスとすることもできる。操作盤55には、各移載室5の手前側のシャッター52を開けるためのスイッチと、各移載室5の手前側のシャッター52を閉じるためのスイッチとを設けることができる。
各移載室5の手前側のシャッター52は、操作盤55からの指示を受けて開閉可能である。そして、各移載室5の手前側のシャッター52は、奥側のシャッター51が閉じているときに開けることができ、かつ、奥側のシャッター51が開いているときに開けることができなくなっている。
【0028】
また、各移載室5の奥側のシャッター51は、各移載室5にパレット7が搬入され、各移載室5の手前側のシャッター52が閉じられた後に開くようになっている。また、各移載室5の奥側のシャッター51は、ロボット31が各移載室5におけるパレット7へ製品8を規定数移載した後に閉じるようになっている。ロボット31は、奥側のシャッター51が開いた移載室5におけるパレット7に対して、製品搬入台2から製品8を移載するようになっている。
また、各移載室5においては、奥側のシャッター51及び手前側のシャッター52の開状態及び閉状態を検出するセンサが設けてある。そして、製品移載システム1は、このセンサによる入力を受けて、各シャッター51,52の開閉を制御するようになっている。
【0029】
また、各移載室5には、移載室5内に人が侵入したことを検知するための侵入監視装置56(セーフティレーザスキャナ)が設けてある。侵入監視装置56が移載室5内への人の侵入を検知しているときには、この移載室5の手前側のシャッター52を閉じることができなくなっている。侵入監視装置56は、支柱受部72が折畳まれた状態のパレット7の高さに若干の余裕高さを加えた高さを閾値とし、この高さより高い位置を監視することができる。
これにより、作業者が移載室5で作業する際の安全性をより高めることができる。
【0030】
図1に示すごとく、本例の製品8は、製品パレット75に載置された状態で製品搬入台2に搬入される。本例の製品搬入台2は、前工程から製品8を載置した製品パレット75を受け取り、ロボット移動装置32によるロボット31の移動方向である製品移載システム1の左右方向へ、製品パレット75を送り出すよう構成した搬送コンベヤ2である。本例の搬送コンベヤ2は、上流側のコンベヤ2Aと下流側のコンベヤ2Bとを左右方向に平行に設置してなる。製品パレット75は、上流側のコンベヤ2Aを(同図においては右側へ)流れ、その端部から下流側のコンベヤ2Bへ送り出された後、下流側のコンベヤ2Bを(同図においては左側へ)流れる。搬送コンベヤ2は、製品パレット75の位置決めを行って、製品パレット75を所定の間隔で送り出す。また、搬送コンベヤ2には、複数の機種の製品8が混流して順次搬入される。
【0031】
また、製品パレット75には、この製品パレット75に載置した製品8の機種情報を記憶する情報記憶部(図示略)が設けてある。この情報記憶部は、製造した製品8を検査した際の情報を記憶させたものである。
搬送コンベヤ2における下流側のコンベヤ2Bの上流側端部には、情報記憶部から製品8の機種情報を読み取る監視装置21が配設してある。本例においては、各移載室5におけるパレット7には、異なる機種の製品8を移載する。そして、監視装置21によって読み取った製品8の機種情報に基づいて、各製品8を機種ごとに各パレット7へ移載する。
【0032】
図1に示すごとく、ロボット31は、搬送コンベヤ2における下流側の適宜位置を把持位置201として、この把持位置201まで搬送された製品パレット75に載置された製品8を把持する。ロボット移動装置32は、搬送コンベヤ2における把持位置201へ送り出された製品8をロボット31によって把持した後、監視装置21によって読み取った製品8の機種情報に基づいて振り分ける移載室5に対する奥側へロボット31を移動させる。
【0033】
本例の情報記憶部には、当該製品8が良品であるか不良品であるかを示す品質情報が、機種情報とともに記憶されている。監視装置21は、情報記憶部から機種情報とともに品質情報を読み取る。この品質情報は、製造を行った製品8について、製品移載システム1に搬入される前の工程において検査を行い、良品・不良品を判定した結果等を示す情報である。
搬送コンベヤ2は、監視装置21によって読み取った品質情報に応じて、品質情報が不良品を示す製品8は、把持位置201ではなく、回収を行うための回収位置202へ送り出すよう構成してある。これにより、パレット7に不良品である製品8が移載されてしまうことを防止できる。
【0034】
図1、図2に示すごとく、搬送コンベヤ2における下流側のコンベヤ2Bの下流側端部に隣接する位置には、移載装置3が故障等により停止したときに、搬送コンベヤ2からパレット7へ製品8を移載するためのバックアップホイスト33が設置されている。このバックアップホイスト33は、支柱の上部において水平方向に移動可能にしたアーム部331に対し、製品8を吊り上げるホイスト部332を取り付けたものである。そして、作業者の操作によって、アーム部331及びホイスト部332を可動させ、搬送コンベヤ2上の製品8をパレット7へ移載することができる。
また、バックアップホイスト33は、情報記憶部の品質情報に不良品と記憶された製品8を、搬送コンベヤ2からパレット7へ移載するために用いることもできる。
【0035】
図6は、製品移載システム1の構成を模式化して示す。
同図に示すごとく、製品移載システム1は、各移載室5における奥側及び手前側のシャッター51,52の動作、操作盤55からの入力、侵入監視装置56からの入力、ロボット31の動作、ロボット移動装置32の動作、搬送コンベヤ2の動作、監視装置21の動作等を制御及び管理する制御コンピュータ11を備えている。そして、製品移載システム1における各構成部分の動作等は、制御コンピュータ11によって制御及び管理される。
制御コンピュータ11は、監視装置21から受信した製品8の機種情報に基づいて、ロボット移動装置32及びロボット31へ、いずれの移載室5へ製品8を移載するかの動作信号を送信する。そして、製品8の機種情報に基づいて、ロボット31及びロボット移動装置32によって当該製品8が振り分けられる移載室5が決定される。
【0036】
図2に示すごとく、各移載室5の手前側には、各移載室5において行われている作業内容の表示、各移載室5におけるパレット7へ移載する製品8の機種の表示等を行うための表示装置54が設けてある。制御コンピュータ11は、製品移載システム1における各構成部分の動作状況、監視装置21によって読み取った機種情報等に基づいて、表示装置54に表示する内容を変更する。
【0037】
図7〜図10に示すごとく、ロボット31のエンドエフェクタ311には、製品パレット75に載置された製品8を把持するためのハンド部4が取り付けてある。本例のハンド部4は、ロボット31のエンドエフェクタ311を下方に向けた状態で移動させる。
ハンド部4には、製品8に形成された被係止部81を係止する係止部411を設けた複数の支持クランプ41が設けてある。本例の製品8の被係止部81は、係止穴81であり、本例の支持クランプ41の係止部411は、係止穴81に挿入される係止ピン411である。
【0038】
本例の支持クランプ41は、ハンド部4の3箇所において下方に向けて設けてあり、下端部に設けた係止ピン411を上下方向に揺動させるためのバネ412を有している。また、各支持クランプ41において、係止ピン411は、製品8を把持するときに水平方向の一方側に向けられるよう、同じ方向に向けて設けられている。
そして、ロボット31のハンド部4に製品8を把持するときには、ロボット31のエンドエフェクタ311を水平方向に移動させ、製品8の上方部分に形成された複数の係止穴81に対して、支持クランプ41の各係止ピン411を挿入する。
【0039】
また、図7〜図10に示すごとく、ハンド部4には、複数の支持クランプ41の係止ピン411が製品8の係止穴81に挿入されたときに、この製品8を押さえ付けて、係止穴81に対して係止ピン411を挿入した状態の外れ防止及び製品8の振れ止めを行う押さえクランプ42が設けてある。本例の押さえクランプ42は、支持クランプ41における係止ピン411が突出する方向に対向して設けてある。押さえクランプ42は、シリンダによって動作するよう構成してある。
押さえクランプ42は、複数の支持クランプ41の係止ピン411を製品8の係止穴81に挿入するときには、製品8から退避させておく。そして、ロボット31のエンドエフェクタ311の水平方向への移動によって、製品8における複数の係止穴81に支持クランプ41の各係止ピン411が挿入された後には、シリンダによって押さえクランプ42を移動させる。これにより、各係止穴81に係止ピン411が挿入された状態で、各支持クランプ41と押さえクランプ42とによって製品8を挟み込むことができる。
【0040】
また、ハンド部4には、各係止穴81に各支持クランプ41の係止ピン411が挿入された状態の製品8を、上方から押さえて振れ止めを行う押さえクランプ43も設けてある。
また、ハンド部4には、各移載室5に運搬されたパレット7における各支柱受部72を、倒れた状態から起立させる際に、この支柱受部72を把持するパレット用クランプ44が設けてある。このパレット用クランプ44は、互いに対向させた一対のクランプ部441をシリンダによって互いに接近させ、一対のクランプ部441の間に支柱受部72を挟持するよう構成してある。
ロボット31のエンドエフェクタ311を移動させて、支柱受部72の両側に一対のクランプ部441を配置し、一対のクランプ部441による支柱受部72の挟持を行った状態で、エンドエフェクタ311を移動させることにより、支柱受部72を起立させることができる(図3参照)。
【0041】
また、ハンド部4には、ハンド部4と製品8との間の距離を測定する距離センサ45と、ハンド部4に対するパレット7の水平方向の位置及び向きを測定するカメラ46とが設けてある。距離センサ45は、レーザー光線等を用いて、この距離センサ45から製品8の上部に形成された平坦面までの距離を測定するものである。カメラ46は、パレット7の周辺を撮影し画像処理を行って、移載室5に置かれたパレット7の水平方向の位置及び向きを測定するものである。
【0042】
搬送コンベヤ2に搬入された製品8を、ロボット31のハンド部4に把持するときには、距離センサ45によってハンド部4に対する製品8の距離を検出することにより、製品8に対するロボット31の高さ方向の位置を補正することができる。これにより、搬送コンベヤ2、製品パレット75、製品8の相互間に生ずる位置の誤差により、ロボット31の教示位置に対して製品8の高さ方向の位置の誤差が生じた場合でも、搬送コンベヤ2の把持位置201に移動したハンド部4の位置を適切に補正することができる。そのため、ハンド部4による製品8の把持を安定して行うことができる。
【0043】
また、ロボット31のハンド部4に把持した製品8を移載室5に置かれたパレット7へ積載するときに、カメラ46によってハンド部4に対するパレット7の水平方向の位置及び向きを測定することにより、パレット7の水平方向の位置及び向きに対するハンド部4の水平方向の位置及び向きを補正することができる。これにより、移載室5に置かれたパレット7の位置及び向きにばらつきがある場合でも、パレット7に対する、ハンド部4に把持した製品8の位置及び向きを補正することができ、ハンド部4によるパレット7への製品8の積載を安定して行うことができる。
【0044】
なお、搬入エリアA1、移載エリアA2及び運搬エリアA3は、種々のレイアウトを行って形成することができる。例えば、搬入エリアA1及び移載エリアA2に対する両側に、運搬エリアA3を形成することができる。この場合には、両側の運搬エリアA3に形成した複数の移載室5を利用して、移載装置3による製品8の移載、及びフォークリフト6によるパレット7の運搬を行うことができる。
【0045】
次に、本例の製品移載システム1の動作につき、図11のフローチャートを参照して説明する。
以下のフローチャートにおいては、いずれかの移載室5Aに対して作業者がパレット7を搬入し、このパレット7に対してロボット31が製品8を移載した後、製品8が積載されたパレット7を作業者が搬出する流れについて説明する。
移載室5にパレット7が運搬されていない状態において、移載室5の手前側に設けられた表示装置54においては、この移載室5に空のパレット7が運搬されていないことを示すパレット待ちの表示を行う。
【0046】
そして、作業者は、パレット待ちの表示を確認して、有人運搬手段6としてのフォークリフト6を操縦し、空パレット置き場から移載室5の手前まで空のパレット7を運搬し、操作盤55におけるシャッター開のスイッチを押す(図11のステップS1、以下同様)。このとき、制御コンピュータ11の制御によって、手前側のシャッター52が開けられる(S2)。そして、図4に示すごとく、作業者は、フォークリフト6を操縦して、移載室5における特定の規定場所にパレット7を置く(S3)。この手前側のシャッター52が開くときには、表示装置54においてリフト作業中の表示を行う。また、手前側のシャッター52が開くときには、移載室5の手前側に設けた回転灯を点灯させる。
【0047】
その後、作業者は、移載室5の外に出て、操作盤55におけるシャッター閉のスイッチを押す(S4)。このとき、侵入監視装置56によって移載室5への人の侵入がないかを検知した後(S5)、制御コンピュータ11の制御によって、手前側のシャッター52が閉じられる(S6)。この手前側のシャッター52が閉じるときには、移載室5の手前側に設けた回転灯を消灯させる。
次いで、手前側のシャッター52が閉じられた後、制御コンピュータ11の制御によって、奥側のシャッター51が開けられる(S7)。そして、移載室5の手前側に設けられた表示装置54においては、この移載室5においてロボット31が作業中であること示すロボット31作業中の表示を行う。
【0048】
こうして、手前側のシャッター52が閉じられ、かつ奥側のシャッター51が開けられたときには、当該移載室5Aにおけるパレット7に対してロボット31が作業を開始する。このとき、まず、ロボット31は、この移載室5に置かれたパレット7における4本の支柱受部72を起立させる。そして、ロボット31は、当該移載室5Aへ移載する機種の製品8が搬送コンベヤ2における把持位置201に送られたときには、この製品8をハンド部4に把持し、移載室5のパレット7における載置部71に移載する(S8)。
そして、図5に示すごとく、当該移載室5Aにおいてロボット31が製品8の移載を行う間(時間帯)には、作業者は、他の移載室5Bへ空のパレット7を搬入することができ、また、他の移載室5Bから製品8が積載されたパレット7を搬出することができる。
【0049】
その後、当該移載室5Aのパレット7にロボット31が規定数の製品8を移載したときには、制御コンピュータ11の制御によって、奥側のシャッター51が閉じられる(S9)。このとき、当該移載室5Aの手前側に設けられた表示装置54においては、この移載室5Aにおけるパレット7への製品8の移載が完了したことを示す移載完了の表示を行う。
そして、作業者は、移載完了の表示を確認して、操作盤55におけるシャッター閉のスイッチを押す(S10)。このとき、制御コンピュータ11の制御によって、手前側のシャッター52が開けられる(S11)。この手前側のシャッター52が開くときには、表示装置54においてリフト作業中の表示を行う。また、手前側のシャッター52が開くときには、移載室5の手前側に設けた回転灯を点灯させる。
【0050】
そして、作業者は、フォークリフト6を操縦して、規定数の製品8が積載されたパレット7を移載室5から搬出し、所定の出荷場所へ運搬する(S12)。作業者は、移載室5からパレット7を搬出したときには、移載室5の外に出て、操作盤55におけるシャッター閉のスイッチを押す(S13)。このとき、制御コンピュータ11の制御によって、手前側のシャッター52が閉じられる(S14)。この手前側のシャッター52が閉じるときには、移載室5の手前側に設けた回転灯を消灯させる。
【0051】
その後は、当該移載室5Aにおいては、表示装置54において再びパレット待ちの表示を行い、作業者によるフォークリフト6の操縦によって、再び空のパレット7が運搬されるまで待機する。以降は、上述した各動作(S1〜S14)が繰り返される。
また、図4に示すごとく、当該移載室5Aにおいて空のパレット7が運搬されるまで待機する間(時間帯)には、他の移載室5Bにおいては、ロボット31が他の機種の製品8をパレット7へ移載することができる。
【0052】
上述したように、本例の製品移載システム1においては、ロボット31及びロボット移動装置32を設置した移載エリアA2に対する手前側に、フォークリフト6によってパレット7の運搬が行われる運搬エリアA3を設けており、この運搬エリアA3には、側壁によって区画して複数の移載室5を形成している。
そして、各移載室5における奥側のシャッター51と手前側のシャッター52とが開閉を行うタイミングを工夫することにより、いずれかの移載室5Aにおけるパレット7の運搬と、他の移載室5Bにおけるパレット7への製品8の移載とを同じタイミングで行うことができるようにしている。
【0053】
具体的には、図4に示すごとく、作業者がいずれかの移載室5Aにおいて、フォークリフト6を用いてパレット7の運搬を行うときには、このいずれかの移載室5Aにおける手前側のシャッター52を開けるとともに奥側のシャッター51を閉じる。このとき、手前側のシャッター52は、奥側のシャッター51が閉じたことを確認して開けられる。一方、いずれかの移載室5Aにおいてパレット7の運搬を行うときには、他の移載室5Bにおいては、手前側のシャッター52を閉じるとともに奥側のシャッター51を開けることができる。このとき、奥側のシャッター51は、手前側のシャッター52が閉じたことを確認して開けられる。
【0054】
そして、作業者が、手前側のシャッター52が開けられたいずれかの移載室5Aにおいて、特定の機種の製品8が積載されたパレット7及び空のパレット7を運搬している時間帯に、ロボット31は、奥側のシャッター51が開けられた他の移載室5Bに運搬されたパレット7へ他の機種の製品8を移載することができる。そのため、ロボット31の待機時間を短くすることができる。
【0055】
また、いずれかの移載室5Aにおいて作業を行う作業者は、このいずれかの移載室5Aにおける奥側のシャッター51及び左右の固定壁53によって、特に隣接する移載室5Bにおいて作業するロボット31との接触から保護することができる。また、隣接する移載室5Bにおける手前側のシャッター52によっても、作業者をロボット31との接触から保護することができる。
そして、ロボット31の動作を停止することなく、作業者がパレット7の運搬作業を行うことができ、作業者の安全を確保して、ロボット31によるパレット7への製品8の移載を継続することができる。
【0056】
さらに、ロボット31が製品8を移載した後のパレット7は、このパレット7が置かれた移載室5Aからフォークリフト6によって直接搬出することができる。そのため、フォークリフト6を用いて作業者がパレット7を搬出する前に、製品8が載ったパレット7を、作業者の安全確保のために搬送装置等によって別途異なる場所へ搬送する必要もない。
それ故、本例の製品移載システム1によれば、作業者の安全を確保して、パレット7への製品8の移載、空のパレット7の搬入及び製品8が載ったパレット7の搬出を迅速に行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
1 製品移載システム
2 製品搬入台(搬送コンベヤ)
201 把持位置
202 回収位置
21 監視装置
3 移載装置
31 ロボット
32 ロボット移動装置
4 ハンド部
41 支持クランプ
42 押さえクランプ
45 距離センサ
46 カメラ
5 移載室
51 奥側のシャッター
52 手前側のシャッター
53 固定壁
54 表示装置
55 操作盤
6 有人運搬手段(フォークリフト)
7 パレット
8 製品
A1 搬入エリア
A2 移載エリア
A3 運搬エリア
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を移載したパレットを有人運搬手段によって搬出する製品移載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品等の製品を出荷用のパレットへ移載する際には、作業者がホイストを用いて製品をパレットへ移載する以外に、ロボットによって製品をパレットへ移載することが行われている。この製品が移載されたパレットは、搬送コンベヤ等によってロボットの動作エリアの外部へ搬送されている。そして、作業者が、フォークリフト等を用いて、製品の載ったパレットを出荷エリアへ運搬している。これにより、作業者がロボットの動作エリアの外部において作業することになり、作業者の安全を確保している。
【0003】
ロボットを用いてパレット上へ荷の積み降ろしを行うものとしては、例えば、特許文献1に開示されたロボット使用の自動移載装置がある。また、例えば、特許文献2においては、起動状態のロボットを固定機構により固定することにより、ロボットの動作範囲内で人手による部品等の搬送を可能にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2687030号公報
【特許文献2】特開2000−3950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ロボットによるパレットへの製品の移載が終わった後、このパレットをロボットの作業エリアの外部まで搬送するためには、この搬送を行う搬送装置が別途必要となる。また、この搬送を行うための時間も要することになる。一方、上記搬送装置を用いず、ロボットの作業エリアから作業者が製品を運搬することが考えられる。しかし、この場合には、作業者の安全を確保するために、ロボットの動作を一旦停止させておかなければならない。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、作業者の安全を確保して、パレットへの製品の移載、パレットの搬入及び製品が載ったパレットの搬出を迅速に行うことができる製品移載システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、製品が搬入される搬入エリアに設置した製品搬入台と、
有人運搬手段によってパレットの運搬が行われる運搬エリアを、側壁によって区画して形成した複数の移載室と、
該複数の移載室に対する奥側の移載エリアに設置され、上記製品搬入台から上記各移載室における上記パレットへ上記製品を移載する移載装置とを備えており、
上記各移載室は、奥側に位置する側壁と、手前側に位置する側壁とが、開閉可能なシャッターによって形成してあり、残りの左右に位置する側壁が固定壁によって形成してあり、
いずれかの上記移載室における上記手前側のシャッターを開けて、該いずれかの移載室において上記有人運搬手段が上記パレットの運搬を行うときには、該いずれかの移載室における上記奥側のシャッターを閉じ、かつ、該いずれかの移載室以外の他の上記移載室における上記手前側のシャッターを閉じるとともに該他の移載室における上記奥側のシャッターを開けて、上記移載装置が、上記他の移載室に運搬した上記パレットへ上記製品を移載可能にしたことを特徴とする製品移載システムにある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製品移載システムにおいては、移載装置を設置した移載エリアに対する手前側に、有人運搬手段によってパレットの運搬が行われる運搬エリアを設けており、この運搬エリアには、側壁によって区画して複数の移載室を形成している。
そして、各移載室における奥側のシャッターと手前側のシャッターとが開閉を行うタイミングを工夫することにより、いずれかの移載室におけるパレットの運搬と、他の移載室におけるパレットへの製品の移載とを同じタイミングで行うことができるようにしている。
【0009】
具体的には、作業者がいずれかの移載室において、有人運搬手段を用いてパレットの運搬を行うときには、このいずれかの移載室における手前側のシャッターを開けるとともに奥側のシャッターを閉じる。一方、いずれかの移載室においてパレットの運搬を行うときには、他の移載室においては、手前側のシャッターを閉じるとともに奥側のシャッターを開けることができる。
そして、作業者が、手前側のシャッターが開けられたいずれかの移載室においてパレットを運搬している時間帯に、移載装置は、奥側のシャッターが開けられた他の移載室に運搬されたパレットへ製品を移載することができる。そのため、移載装置の待機時間を短くすることができる。
【0010】
また、いずれかの移載室において作業を行う作業者は、このいずれかの移載室における奥側のシャッター及び左右の固定壁によって、特に隣接する移載室において作業する移載装置との接触から保護することができる。また、隣接する移載室における手前側のシャッターによっても、作業者を移載装置との接触から保護することができる。
そして、移載装置の動作を停止することなく、作業者がパレットの運搬作業を行うことができ、作業者の安全を確保して、ロボットによるパレットへの製品の移載を継続することができる。
【0011】
さらに、移載装置が製品を移載した後のパレットは、このパレットが置かれた移載室から有人運搬手段によって直接搬出することができる。そのため、有人運搬手段を用いて作業者がパレットを搬出する前に、製品が載ったパレットを、作業者の安全確保のために搬送装置等によって別途異なる場所へ搬送する必要もない。
それ故、本例の製品移載システムによれば、作業者の安全を確保して、パレットへの製品の移載、パレットの搬入及び製品が載ったパレットの搬出を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例における、製品移載システムを示す平面図。
【図2】実施例における、製品移載システムを示す正面図。
【図3】実施例における、パレットを示す斜視図。
【図4】実施例における、図1を模式化して示し、いずれかの移載室へパレットを搬入する状態を示す説明図。
【図5】実施例における、図1を模式化して示し、いずれかの移載室におけるパレットへ製品を移載する状態を示す説明図。
【図6】実施例における、製品移載システムの構成を模式化して示す説明図。
【図7】実施例における、ロボットのハンド部を示す斜視図。
【図8】実施例における、ロボットのハンド部を矢視D1によって示す正面図。
【図9】実施例における、ロボットのハンド部を矢視D2によって示す側面図。
【図10】実施例における、ロボットのハンド部を矢視D3によって示す側面図。
【図11】実施例における、製品移載システムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述した本発明の製品移載システムにおける好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記複数の移載室に対する手前側位置には、上記各移載室の上記手前側のシャッターの開閉を指示するための操作盤が設けてあり、上記各移載室の上記手前側のシャッターは、上記操作盤からの指示を受けて開閉可能であり、上記各移載室の上記手前側のシャッターは、上記奥側のシャッターが閉じているときに開けることができ、かつ、上記奥側のシャッターが開いているときに開けることができなくなっていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、作業者が移載室へ入ることを可能にする手前側のシャッターは、作業者による操作盤からの指示を待って開閉させることにより、移載装置との接触から作業者をより安全に保護することができる。また、手前側のシャッターは、奥側のシャッターが閉じているときのみ開けることができることにより、移載装置との接触から作業者を保護することができる。
【0014】
また、上記各移載室の上記奥側のシャッターは、該各移載室に上記パレットが搬入され、該各移載室の上記手前側のシャッターが閉じられた後に開くようになっており、かつ、上記移載装置が上記各移載室における上記パレットへ上記製品を規定数移載した後に閉じるようになっており、上記移載装置は、上記奥側のシャッターが開いた上記移載室における上記パレットに対して、上記製品搬入台から上記製品を移載するよう構成してあることが好ましい(請求項3)。
この場合には、奥側のシャッターは、手前側のシャッターが閉じた後に開けられることにより、移載装置との接触から作業者を保護することができる。また、奥側のシャッターが開閉するタイミングが適切であり、作業者の安全を適切に確保して、移載装置がパレットへの製品の移載を行うことができる。
【0015】
また、上記製品又は該製品を載置した製品パレットには、該製品の機種情報を記憶する情報記憶部が設けてあり、上記製品搬入台には、上記情報記憶部から上記機種情報を読み取る監視装置が配設してあり、上記移載装置は、上記監視装置が読み取った上記製品の機種情報に基づいて、該製品を移載する上記移載室を振り分けるよう構成してあることが好ましい(請求項4)。
この場合には、パレットに積載する製品の機種を、移載室ごとに仕分けすることができる。これにより、作業者は、有人運搬手段を用いて、必要な機種の製品が規定数積載されたパレットを移載室から搬出することができる。
【0016】
また、上記移載装置は、3次元に位置・姿勢を変更可能なロボットと、該ロボットを上記複数の移載室に対する奥側へ移動させるロボット移動装置とを用いて構成してあり、上記ロボットのエンドエフェクタには、上記製品を把持するためのハンド部が取り付けてあり、上記ロボット移動装置は、上記ロボットが、上記製品搬入台に搬入された上記製品を上記ハンド部によって把持した後、上記監視装置から受信した上記製品の機種情報に基づいて振り分ける上記移載室に対する奥側へ上記ロボットを移動させるよう構成してあることが好ましい(請求項5)。
この場合には、ロボット移動装置によってロボットを各移載室に対する奥側へ移動させることができ、製品搬入台から各移載室への製品の移載を、機種ごとに効率的に行うことができる。
【0017】
また、上記情報記憶部には、当該製品が良品であるか不良品であるかを示す品質情報が、上記機種情報とともに記憶されており、上記監視装置は、上記情報記憶部から上記機種情報とともに上記品質情報を読み取るよう構成してあり、上記製品搬入台は、複数の機種の製品が混流して順次搬入され、該搬入された製品を、上記ロボットの上記ハンド部によって把持する把持位置へ順次送り出す搬送コンベヤであり、該搬送コンベヤは、上記監視装置から上記品質情報を受信して、該品質情報が不良品を示す上記製品は、上記把持位置ではなく、回収を行うための回収位置へ送り出すよう構成してあることが好ましい(請求項6)。
この場合には、製品搬入台としての搬送コンベヤに搬入される製品が不良品であったときには、回収を行うための回収位置へ送り出して、パレットへ移載しないようにすることができる。
なお、情報記憶部に記憶する品質情報は、製品移載システムに搬入される前に、製造を行った製品について検査を行い、良品・不良品を判定した結果等を示す情報である。
【0018】
また、上記ハンド部には、上記製品に形成された被係止部を係止する係止部を設けた複数の支持クランプと、該複数の支持クランプの上記係止部が上記製品の上記被係止部を係止したときに、該製品を押さえ付けて、該係止状態の外れ防止及び該製品の振れ止めを行う押さえクランプと、上記ハンド部と上記製品との間の距離を測定する距離センサと、上記ハンド部に対する上記パレットの水平方向の位置及び向きを測定するカメラとが設けてあり、上記距離センサによって上記被係止部に対する上記係止部の位置の補正を行うとともに、上記カメラによって上記パレットに対する上記製品の位置及び向きの補正を行うよう構成してあることが好ましい(請求項7)。
【0019】
この場合には、製品搬入台に搬入された製品を、ロボットのハンド部に把持するときに、距離センサによってハンド部に対する製品の距離を測定し、ロボットの位置を補正することができる。これにより、製品の被係止部に対するハンド部における係止部の位置を補正することができ、ハンド部による製品の把持を安定して行うことができる。
また、ロボットのハンド部に把持した製品をパレットへ積載するときに、カメラによってハンド部に対するパレットの水平方向の位置及び向きを測定し、ハンド部の位置及び向きを補正することができる。これにより、パレットに対する、ハンド部に把持した製品の位置及び向きを補正することができ、ハンド部によるパレットへの製品の積載を安定して行うことができる。
【実施例】
【0020】
以下に、本発明の製品移載システムにかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例の製品移載システム1は、図1、図2に示すごとく、製品8が搬入される搬入エリアA1に設置した製品搬入台2と、有人運搬手段6によってパレット7の運搬が行われる運搬エリアA3を側壁によって区画して形成した複数の移載室5と、複数の移載室5に対する奥側の移載エリアA2に設置され、製品搬入台2から各移載室5におけるパレット7へ製品8を移載する移載装置3とを備えている。
【0021】
各移載室5は、奥側に位置する側壁と、手前側に位置する側壁とが、開閉可能なシャッター51,52によって形成してあり、残りの左右に位置する側壁が固定壁53によって形成してある。
図4に示すごとく、製品移載システム1は、いずれかの移載室5Aにおける手前側のシャッター52を開けて、この移載室5Aにおいて有人運搬手段6がパレット7の運搬を行うときには、この移載室5Aにおける奥側のシャッター51を閉じ、かつ、移載室5A以外の他の移載室5Bにおける手前側のシャッター52を閉じるとともに他の移載室5Bにおける奥側のシャッター51を開けて、移載装置3が、他の移載室5Bに運搬したパレット7へ製品8を移載可能に構成されている。
【0022】
上記いずれかの移載室5Aにおいては、作業者が、有人運搬手段6を用いて、この移載室5Aから製品8が移載されたパレット7の搬出及びこの移載室5Aへの空のパレット7の搬入を行う。
なお、図4、図5は、図1を模式化して示し、図4は、いずれかの移載室5Aへパレット7を搬入する状態を示し、図5は、いずれかの移載室5Aにおけるパレット7へ製品8を移載する状態を示す。
【0023】
以下に、本例の製品移載システム1につき、図1〜図13を参照して詳説する。
図1、図2に示すごとく、本例の製品移載システム1は、完成品としての製品8をパレット7に積載するものであり、パレット7を置く場所として、有人運搬手段6(本例においてはフォークリフト6)によって運搬可能な運搬エリア(スペース)A3を形成したものである。そして、運搬エリアA3において製品8が積載されたパレット7は、作業者による有人運搬手段6の操縦によって所定の出荷場所へ運搬される。
【0024】
図3に示すごとく、本例の製品8は、車両用の部品等である。パレット7は、フォークリフト6のフォーク(爪部)61を差込可能な部位を有し、製品8を整列して載置するための載置部71を複数形成してなる。パレット7は、パレット7同士を上下に積載するために、四方の角部には、上側に積載するパレット7を受けるための支柱受部72を設けてなる。この支柱受部72は、パレット本体70に対して折畳みが可能であり、製品移載システム1の移載室5へ運搬されるときには、折畳まれた状態にある(同図において2点鎖線で示す。)。各支柱受部72は、当該パレット7が移載室5へ運搬された後、移載装置3によって垂直に立てられる。
【0025】
図1に示すごとく、本例の移載装置3は、3次元に位置・姿勢を変更可能なロボット(多関節ロボット)31と、ロボット31を複数の移載室5に対する奥側へ移動させるロボット移動装置32とを用いて構成してある。ロボット移動装置32は、ロボット31を搭載する台車部321を、モータ等の動力源によって移動させるものである。ロボット移動装置32は、台車部321を、製品移載システム1の左右方向に沿って敷設したレール322上を移動させるよう構成してある。
本例の移載室5は、水平方向に1列に並んで形成されており、本例の移載室5は、互いに隣接して3つ形成されている。左右の側壁を構成する固定壁53は、各移載室5の間を仕切る固定壁53と、左右の両側に位置する固定壁53とがある。
【0026】
各移載室5には、製品8を移載する際、及びパレット7における支柱受部72を立てる際に、ロボット移動装置32の台車部321上に設置されたロボット31のアーム部が進入する。そのため、各固定壁53は、ロボット31の衝突に耐えられる強度で形成されている。
各移載室5の奥側及び手前側に設けられたシャッター51,52は、各移載室5において作業する作業者を、ロボット31の接触から保護するためのものである。各シャッター51,52は、種々の構造とすることができる。各シャッター51,52は、例えば、上方に移動してロボット31及び作業者との干渉を避け、下方に移動してロボット31と作業者との接触を防ぐ構造とすることができる。
【0027】
図1に示すごとく、複数の移載室5に対する手前側位置には、各移載室5の手前側のシャッター52の開閉を指示するための操作盤55が設けてある。この操作盤55は、複数の移載室5とは独立して設置した操作台に設けることができ、各移載室5に対する手前側にそれぞれ設けることもできる。また、操作盤55は、持ち運びを可能にしたリモコンボックスとすることもできる。操作盤55には、各移載室5の手前側のシャッター52を開けるためのスイッチと、各移載室5の手前側のシャッター52を閉じるためのスイッチとを設けることができる。
各移載室5の手前側のシャッター52は、操作盤55からの指示を受けて開閉可能である。そして、各移載室5の手前側のシャッター52は、奥側のシャッター51が閉じているときに開けることができ、かつ、奥側のシャッター51が開いているときに開けることができなくなっている。
【0028】
また、各移載室5の奥側のシャッター51は、各移載室5にパレット7が搬入され、各移載室5の手前側のシャッター52が閉じられた後に開くようになっている。また、各移載室5の奥側のシャッター51は、ロボット31が各移載室5におけるパレット7へ製品8を規定数移載した後に閉じるようになっている。ロボット31は、奥側のシャッター51が開いた移載室5におけるパレット7に対して、製品搬入台2から製品8を移載するようになっている。
また、各移載室5においては、奥側のシャッター51及び手前側のシャッター52の開状態及び閉状態を検出するセンサが設けてある。そして、製品移載システム1は、このセンサによる入力を受けて、各シャッター51,52の開閉を制御するようになっている。
【0029】
また、各移載室5には、移載室5内に人が侵入したことを検知するための侵入監視装置56(セーフティレーザスキャナ)が設けてある。侵入監視装置56が移載室5内への人の侵入を検知しているときには、この移載室5の手前側のシャッター52を閉じることができなくなっている。侵入監視装置56は、支柱受部72が折畳まれた状態のパレット7の高さに若干の余裕高さを加えた高さを閾値とし、この高さより高い位置を監視することができる。
これにより、作業者が移載室5で作業する際の安全性をより高めることができる。
【0030】
図1に示すごとく、本例の製品8は、製品パレット75に載置された状態で製品搬入台2に搬入される。本例の製品搬入台2は、前工程から製品8を載置した製品パレット75を受け取り、ロボット移動装置32によるロボット31の移動方向である製品移載システム1の左右方向へ、製品パレット75を送り出すよう構成した搬送コンベヤ2である。本例の搬送コンベヤ2は、上流側のコンベヤ2Aと下流側のコンベヤ2Bとを左右方向に平行に設置してなる。製品パレット75は、上流側のコンベヤ2Aを(同図においては右側へ)流れ、その端部から下流側のコンベヤ2Bへ送り出された後、下流側のコンベヤ2Bを(同図においては左側へ)流れる。搬送コンベヤ2は、製品パレット75の位置決めを行って、製品パレット75を所定の間隔で送り出す。また、搬送コンベヤ2には、複数の機種の製品8が混流して順次搬入される。
【0031】
また、製品パレット75には、この製品パレット75に載置した製品8の機種情報を記憶する情報記憶部(図示略)が設けてある。この情報記憶部は、製造した製品8を検査した際の情報を記憶させたものである。
搬送コンベヤ2における下流側のコンベヤ2Bの上流側端部には、情報記憶部から製品8の機種情報を読み取る監視装置21が配設してある。本例においては、各移載室5におけるパレット7には、異なる機種の製品8を移載する。そして、監視装置21によって読み取った製品8の機種情報に基づいて、各製品8を機種ごとに各パレット7へ移載する。
【0032】
図1に示すごとく、ロボット31は、搬送コンベヤ2における下流側の適宜位置を把持位置201として、この把持位置201まで搬送された製品パレット75に載置された製品8を把持する。ロボット移動装置32は、搬送コンベヤ2における把持位置201へ送り出された製品8をロボット31によって把持した後、監視装置21によって読み取った製品8の機種情報に基づいて振り分ける移載室5に対する奥側へロボット31を移動させる。
【0033】
本例の情報記憶部には、当該製品8が良品であるか不良品であるかを示す品質情報が、機種情報とともに記憶されている。監視装置21は、情報記憶部から機種情報とともに品質情報を読み取る。この品質情報は、製造を行った製品8について、製品移載システム1に搬入される前の工程において検査を行い、良品・不良品を判定した結果等を示す情報である。
搬送コンベヤ2は、監視装置21によって読み取った品質情報に応じて、品質情報が不良品を示す製品8は、把持位置201ではなく、回収を行うための回収位置202へ送り出すよう構成してある。これにより、パレット7に不良品である製品8が移載されてしまうことを防止できる。
【0034】
図1、図2に示すごとく、搬送コンベヤ2における下流側のコンベヤ2Bの下流側端部に隣接する位置には、移載装置3が故障等により停止したときに、搬送コンベヤ2からパレット7へ製品8を移載するためのバックアップホイスト33が設置されている。このバックアップホイスト33は、支柱の上部において水平方向に移動可能にしたアーム部331に対し、製品8を吊り上げるホイスト部332を取り付けたものである。そして、作業者の操作によって、アーム部331及びホイスト部332を可動させ、搬送コンベヤ2上の製品8をパレット7へ移載することができる。
また、バックアップホイスト33は、情報記憶部の品質情報に不良品と記憶された製品8を、搬送コンベヤ2からパレット7へ移載するために用いることもできる。
【0035】
図6は、製品移載システム1の構成を模式化して示す。
同図に示すごとく、製品移載システム1は、各移載室5における奥側及び手前側のシャッター51,52の動作、操作盤55からの入力、侵入監視装置56からの入力、ロボット31の動作、ロボット移動装置32の動作、搬送コンベヤ2の動作、監視装置21の動作等を制御及び管理する制御コンピュータ11を備えている。そして、製品移載システム1における各構成部分の動作等は、制御コンピュータ11によって制御及び管理される。
制御コンピュータ11は、監視装置21から受信した製品8の機種情報に基づいて、ロボット移動装置32及びロボット31へ、いずれの移載室5へ製品8を移載するかの動作信号を送信する。そして、製品8の機種情報に基づいて、ロボット31及びロボット移動装置32によって当該製品8が振り分けられる移載室5が決定される。
【0036】
図2に示すごとく、各移載室5の手前側には、各移載室5において行われている作業内容の表示、各移載室5におけるパレット7へ移載する製品8の機種の表示等を行うための表示装置54が設けてある。制御コンピュータ11は、製品移載システム1における各構成部分の動作状況、監視装置21によって読み取った機種情報等に基づいて、表示装置54に表示する内容を変更する。
【0037】
図7〜図10に示すごとく、ロボット31のエンドエフェクタ311には、製品パレット75に載置された製品8を把持するためのハンド部4が取り付けてある。本例のハンド部4は、ロボット31のエンドエフェクタ311を下方に向けた状態で移動させる。
ハンド部4には、製品8に形成された被係止部81を係止する係止部411を設けた複数の支持クランプ41が設けてある。本例の製品8の被係止部81は、係止穴81であり、本例の支持クランプ41の係止部411は、係止穴81に挿入される係止ピン411である。
【0038】
本例の支持クランプ41は、ハンド部4の3箇所において下方に向けて設けてあり、下端部に設けた係止ピン411を上下方向に揺動させるためのバネ412を有している。また、各支持クランプ41において、係止ピン411は、製品8を把持するときに水平方向の一方側に向けられるよう、同じ方向に向けて設けられている。
そして、ロボット31のハンド部4に製品8を把持するときには、ロボット31のエンドエフェクタ311を水平方向に移動させ、製品8の上方部分に形成された複数の係止穴81に対して、支持クランプ41の各係止ピン411を挿入する。
【0039】
また、図7〜図10に示すごとく、ハンド部4には、複数の支持クランプ41の係止ピン411が製品8の係止穴81に挿入されたときに、この製品8を押さえ付けて、係止穴81に対して係止ピン411を挿入した状態の外れ防止及び製品8の振れ止めを行う押さえクランプ42が設けてある。本例の押さえクランプ42は、支持クランプ41における係止ピン411が突出する方向に対向して設けてある。押さえクランプ42は、シリンダによって動作するよう構成してある。
押さえクランプ42は、複数の支持クランプ41の係止ピン411を製品8の係止穴81に挿入するときには、製品8から退避させておく。そして、ロボット31のエンドエフェクタ311の水平方向への移動によって、製品8における複数の係止穴81に支持クランプ41の各係止ピン411が挿入された後には、シリンダによって押さえクランプ42を移動させる。これにより、各係止穴81に係止ピン411が挿入された状態で、各支持クランプ41と押さえクランプ42とによって製品8を挟み込むことができる。
【0040】
また、ハンド部4には、各係止穴81に各支持クランプ41の係止ピン411が挿入された状態の製品8を、上方から押さえて振れ止めを行う押さえクランプ43も設けてある。
また、ハンド部4には、各移載室5に運搬されたパレット7における各支柱受部72を、倒れた状態から起立させる際に、この支柱受部72を把持するパレット用クランプ44が設けてある。このパレット用クランプ44は、互いに対向させた一対のクランプ部441をシリンダによって互いに接近させ、一対のクランプ部441の間に支柱受部72を挟持するよう構成してある。
ロボット31のエンドエフェクタ311を移動させて、支柱受部72の両側に一対のクランプ部441を配置し、一対のクランプ部441による支柱受部72の挟持を行った状態で、エンドエフェクタ311を移動させることにより、支柱受部72を起立させることができる(図3参照)。
【0041】
また、ハンド部4には、ハンド部4と製品8との間の距離を測定する距離センサ45と、ハンド部4に対するパレット7の水平方向の位置及び向きを測定するカメラ46とが設けてある。距離センサ45は、レーザー光線等を用いて、この距離センサ45から製品8の上部に形成された平坦面までの距離を測定するものである。カメラ46は、パレット7の周辺を撮影し画像処理を行って、移載室5に置かれたパレット7の水平方向の位置及び向きを測定するものである。
【0042】
搬送コンベヤ2に搬入された製品8を、ロボット31のハンド部4に把持するときには、距離センサ45によってハンド部4に対する製品8の距離を検出することにより、製品8に対するロボット31の高さ方向の位置を補正することができる。これにより、搬送コンベヤ2、製品パレット75、製品8の相互間に生ずる位置の誤差により、ロボット31の教示位置に対して製品8の高さ方向の位置の誤差が生じた場合でも、搬送コンベヤ2の把持位置201に移動したハンド部4の位置を適切に補正することができる。そのため、ハンド部4による製品8の把持を安定して行うことができる。
【0043】
また、ロボット31のハンド部4に把持した製品8を移載室5に置かれたパレット7へ積載するときに、カメラ46によってハンド部4に対するパレット7の水平方向の位置及び向きを測定することにより、パレット7の水平方向の位置及び向きに対するハンド部4の水平方向の位置及び向きを補正することができる。これにより、移載室5に置かれたパレット7の位置及び向きにばらつきがある場合でも、パレット7に対する、ハンド部4に把持した製品8の位置及び向きを補正することができ、ハンド部4によるパレット7への製品8の積載を安定して行うことができる。
【0044】
なお、搬入エリアA1、移載エリアA2及び運搬エリアA3は、種々のレイアウトを行って形成することができる。例えば、搬入エリアA1及び移載エリアA2に対する両側に、運搬エリアA3を形成することができる。この場合には、両側の運搬エリアA3に形成した複数の移載室5を利用して、移載装置3による製品8の移載、及びフォークリフト6によるパレット7の運搬を行うことができる。
【0045】
次に、本例の製品移載システム1の動作につき、図11のフローチャートを参照して説明する。
以下のフローチャートにおいては、いずれかの移載室5Aに対して作業者がパレット7を搬入し、このパレット7に対してロボット31が製品8を移載した後、製品8が積載されたパレット7を作業者が搬出する流れについて説明する。
移載室5にパレット7が運搬されていない状態において、移載室5の手前側に設けられた表示装置54においては、この移載室5に空のパレット7が運搬されていないことを示すパレット待ちの表示を行う。
【0046】
そして、作業者は、パレット待ちの表示を確認して、有人運搬手段6としてのフォークリフト6を操縦し、空パレット置き場から移載室5の手前まで空のパレット7を運搬し、操作盤55におけるシャッター開のスイッチを押す(図11のステップS1、以下同様)。このとき、制御コンピュータ11の制御によって、手前側のシャッター52が開けられる(S2)。そして、図4に示すごとく、作業者は、フォークリフト6を操縦して、移載室5における特定の規定場所にパレット7を置く(S3)。この手前側のシャッター52が開くときには、表示装置54においてリフト作業中の表示を行う。また、手前側のシャッター52が開くときには、移載室5の手前側に設けた回転灯を点灯させる。
【0047】
その後、作業者は、移載室5の外に出て、操作盤55におけるシャッター閉のスイッチを押す(S4)。このとき、侵入監視装置56によって移載室5への人の侵入がないかを検知した後(S5)、制御コンピュータ11の制御によって、手前側のシャッター52が閉じられる(S6)。この手前側のシャッター52が閉じるときには、移載室5の手前側に設けた回転灯を消灯させる。
次いで、手前側のシャッター52が閉じられた後、制御コンピュータ11の制御によって、奥側のシャッター51が開けられる(S7)。そして、移載室5の手前側に設けられた表示装置54においては、この移載室5においてロボット31が作業中であること示すロボット31作業中の表示を行う。
【0048】
こうして、手前側のシャッター52が閉じられ、かつ奥側のシャッター51が開けられたときには、当該移載室5Aにおけるパレット7に対してロボット31が作業を開始する。このとき、まず、ロボット31は、この移載室5に置かれたパレット7における4本の支柱受部72を起立させる。そして、ロボット31は、当該移載室5Aへ移載する機種の製品8が搬送コンベヤ2における把持位置201に送られたときには、この製品8をハンド部4に把持し、移載室5のパレット7における載置部71に移載する(S8)。
そして、図5に示すごとく、当該移載室5Aにおいてロボット31が製品8の移載を行う間(時間帯)には、作業者は、他の移載室5Bへ空のパレット7を搬入することができ、また、他の移載室5Bから製品8が積載されたパレット7を搬出することができる。
【0049】
その後、当該移載室5Aのパレット7にロボット31が規定数の製品8を移載したときには、制御コンピュータ11の制御によって、奥側のシャッター51が閉じられる(S9)。このとき、当該移載室5Aの手前側に設けられた表示装置54においては、この移載室5Aにおけるパレット7への製品8の移載が完了したことを示す移載完了の表示を行う。
そして、作業者は、移載完了の表示を確認して、操作盤55におけるシャッター閉のスイッチを押す(S10)。このとき、制御コンピュータ11の制御によって、手前側のシャッター52が開けられる(S11)。この手前側のシャッター52が開くときには、表示装置54においてリフト作業中の表示を行う。また、手前側のシャッター52が開くときには、移載室5の手前側に設けた回転灯を点灯させる。
【0050】
そして、作業者は、フォークリフト6を操縦して、規定数の製品8が積載されたパレット7を移載室5から搬出し、所定の出荷場所へ運搬する(S12)。作業者は、移載室5からパレット7を搬出したときには、移載室5の外に出て、操作盤55におけるシャッター閉のスイッチを押す(S13)。このとき、制御コンピュータ11の制御によって、手前側のシャッター52が閉じられる(S14)。この手前側のシャッター52が閉じるときには、移載室5の手前側に設けた回転灯を消灯させる。
【0051】
その後は、当該移載室5Aにおいては、表示装置54において再びパレット待ちの表示を行い、作業者によるフォークリフト6の操縦によって、再び空のパレット7が運搬されるまで待機する。以降は、上述した各動作(S1〜S14)が繰り返される。
また、図4に示すごとく、当該移載室5Aにおいて空のパレット7が運搬されるまで待機する間(時間帯)には、他の移載室5Bにおいては、ロボット31が他の機種の製品8をパレット7へ移載することができる。
【0052】
上述したように、本例の製品移載システム1においては、ロボット31及びロボット移動装置32を設置した移載エリアA2に対する手前側に、フォークリフト6によってパレット7の運搬が行われる運搬エリアA3を設けており、この運搬エリアA3には、側壁によって区画して複数の移載室5を形成している。
そして、各移載室5における奥側のシャッター51と手前側のシャッター52とが開閉を行うタイミングを工夫することにより、いずれかの移載室5Aにおけるパレット7の運搬と、他の移載室5Bにおけるパレット7への製品8の移載とを同じタイミングで行うことができるようにしている。
【0053】
具体的には、図4に示すごとく、作業者がいずれかの移載室5Aにおいて、フォークリフト6を用いてパレット7の運搬を行うときには、このいずれかの移載室5Aにおける手前側のシャッター52を開けるとともに奥側のシャッター51を閉じる。このとき、手前側のシャッター52は、奥側のシャッター51が閉じたことを確認して開けられる。一方、いずれかの移載室5Aにおいてパレット7の運搬を行うときには、他の移載室5Bにおいては、手前側のシャッター52を閉じるとともに奥側のシャッター51を開けることができる。このとき、奥側のシャッター51は、手前側のシャッター52が閉じたことを確認して開けられる。
【0054】
そして、作業者が、手前側のシャッター52が開けられたいずれかの移載室5Aにおいて、特定の機種の製品8が積載されたパレット7及び空のパレット7を運搬している時間帯に、ロボット31は、奥側のシャッター51が開けられた他の移載室5Bに運搬されたパレット7へ他の機種の製品8を移載することができる。そのため、ロボット31の待機時間を短くすることができる。
【0055】
また、いずれかの移載室5Aにおいて作業を行う作業者は、このいずれかの移載室5Aにおける奥側のシャッター51及び左右の固定壁53によって、特に隣接する移載室5Bにおいて作業するロボット31との接触から保護することができる。また、隣接する移載室5Bにおける手前側のシャッター52によっても、作業者をロボット31との接触から保護することができる。
そして、ロボット31の動作を停止することなく、作業者がパレット7の運搬作業を行うことができ、作業者の安全を確保して、ロボット31によるパレット7への製品8の移載を継続することができる。
【0056】
さらに、ロボット31が製品8を移載した後のパレット7は、このパレット7が置かれた移載室5Aからフォークリフト6によって直接搬出することができる。そのため、フォークリフト6を用いて作業者がパレット7を搬出する前に、製品8が載ったパレット7を、作業者の安全確保のために搬送装置等によって別途異なる場所へ搬送する必要もない。
それ故、本例の製品移載システム1によれば、作業者の安全を確保して、パレット7への製品8の移載、空のパレット7の搬入及び製品8が載ったパレット7の搬出を迅速に行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
1 製品移載システム
2 製品搬入台(搬送コンベヤ)
201 把持位置
202 回収位置
21 監視装置
3 移載装置
31 ロボット
32 ロボット移動装置
4 ハンド部
41 支持クランプ
42 押さえクランプ
45 距離センサ
46 カメラ
5 移載室
51 奥側のシャッター
52 手前側のシャッター
53 固定壁
54 表示装置
55 操作盤
6 有人運搬手段(フォークリフト)
7 パレット
8 製品
A1 搬入エリア
A2 移載エリア
A3 運搬エリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品が搬入される搬入エリアに設置した製品搬入台と、
有人運搬手段によってパレットの運搬が行われる運搬エリアを、側壁によって区画して形成した複数の移載室と、
該複数の移載室に対する奥側の移載エリアに設置され、上記製品搬入台から上記各移載室における上記パレットへ上記製品を移載する移載装置とを備えており、
上記各移載室は、奥側に位置する側壁と、手前側に位置する側壁とが、開閉可能なシャッターによって形成してあり、残りの左右に位置する側壁が固定壁によって形成してあり、
いずれかの上記移載室における上記手前側のシャッターを開けて、該いずれかの移載室において上記有人運搬手段が上記パレットの運搬を行うときには、該いずれかの移載室における上記奥側のシャッターを閉じ、かつ、該いずれかの移載室以外の他の上記移載室における上記手前側のシャッターを閉じるとともに該他の移載室における上記奥側のシャッターを開けて、上記移載装置が、上記他の移載室に運搬した上記パレットへ上記製品を移載可能にしたことを特徴とする製品移載システム。
【請求項2】
請求項1に記載の製品移載システムにおいて、上記複数の移載室に対する手前側位置には、上記各移載室の上記手前側のシャッターの開閉を指示するための操作盤が設けてあり、
上記各移載室の上記手前側のシャッターは、上記操作盤からの指示を受けて開閉可能であり、
上記各移載室の上記手前側のシャッターは、上記奥側のシャッターが閉じているときに開けることができ、かつ、上記奥側のシャッターが開いているときに開けることができなくなっていることを特徴とする製品移載システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製品移載システムにおいて、上記各移載室の上記奥側のシャッターは、該各移載室に上記パレットが搬入され、該各移載室の上記手前側のシャッターが閉じられた後に開くようになっており、かつ、上記移載装置が上記各移載室における上記パレットへ上記製品を規定数移載した後に閉じるようになっており、
上記移載装置は、上記奥側のシャッターが開いた上記移載室における上記パレットに対して、上記製品搬入台から上記製品を移載するよう構成してあることを特徴とする製品移載システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の製品移載システムにおいて、上記製品又は該製品を載置した製品パレットには、該製品の機種情報を記憶する情報記憶部が設けてあり、
上記製品搬入台には、上記情報記憶部から上記機種情報を読み取る監視装置が配設してあり、
上記移載装置は、上記監視装置が読み取った上記製品の機種情報に基づいて、該製品を移載する上記移載室を振り分けるよう構成してあることを特徴とする製品移載システム。
【請求項5】
請求項4に記載の製品移載システムにおいて、上記移載装置は、3次元に位置・姿勢を変更可能なロボットと、該ロボットを上記複数の移載室に対する奥側へ移動させるロボット移動装置とを用いて構成してあり、
上記ロボットのエンドエフェクタには、上記製品を把持するためのハンド部が取り付けてあり、
上記ロボット移動装置は、上記ロボットが、上記製品搬入台に搬入された上記製品を上記ハンド部によって把持した後、上記監視装置から受信した上記製品の機種情報に基づいて振り分ける上記移載室に対する奥側へ上記ロボットを移動させるよう構成してあることを特徴とする製品移載システム。
【請求項6】
請求項5に記載の製品移載システムにおいて、上記情報記憶部には、当該製品が良品であるか不良品であるかを示す品質情報が、上記機種情報とともに記憶されており、
上記監視装置は、上記情報記憶部から上記機種情報とともに上記品質情報を読み取るよう構成してあり、
上記製品搬入台は、複数の機種の製品が混流して順次搬入され、該搬入された製品を、上記ロボットの上記ハンド部によって把持する把持位置へ順次送り出す搬送コンベヤであり、
該搬送コンベヤは、上記監視装置から上記品質情報を受信して、該品質情報が不良品を示す上記製品は、上記把持位置ではなく、回収を行うための回収位置へ送り出すよう構成してあることを特徴とする製品移載システム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の製品移載システムにおいて、上記ハンド部には、上記製品に形成された被係止部を係止する係止部を設けた複数の支持クランプと、
該複数の支持クランプの上記係止部が上記製品の上記被係止部を係止したときに、該製品を押さえ付けて、該係止状態の外れ防止及び該製品の振れ止めを行う押さえクランプと、
上記ハンド部と上記製品との間の距離を測定する距離センサと、
上記ハンド部に対する上記パレットの水平方向の位置及び向きを測定するカメラとが設けてあり、
上記距離センサによって上記被係止部に対する上記係止部の位置の補正を行うとともに、上記カメラによって上記パレットに対する上記製品の位置及び向きの補正を行うよう構成してあることを特徴とする製品移載システム。
【請求項1】
製品が搬入される搬入エリアに設置した製品搬入台と、
有人運搬手段によってパレットの運搬が行われる運搬エリアを、側壁によって区画して形成した複数の移載室と、
該複数の移載室に対する奥側の移載エリアに設置され、上記製品搬入台から上記各移載室における上記パレットへ上記製品を移載する移載装置とを備えており、
上記各移載室は、奥側に位置する側壁と、手前側に位置する側壁とが、開閉可能なシャッターによって形成してあり、残りの左右に位置する側壁が固定壁によって形成してあり、
いずれかの上記移載室における上記手前側のシャッターを開けて、該いずれかの移載室において上記有人運搬手段が上記パレットの運搬を行うときには、該いずれかの移載室における上記奥側のシャッターを閉じ、かつ、該いずれかの移載室以外の他の上記移載室における上記手前側のシャッターを閉じるとともに該他の移載室における上記奥側のシャッターを開けて、上記移載装置が、上記他の移載室に運搬した上記パレットへ上記製品を移載可能にしたことを特徴とする製品移載システム。
【請求項2】
請求項1に記載の製品移載システムにおいて、上記複数の移載室に対する手前側位置には、上記各移載室の上記手前側のシャッターの開閉を指示するための操作盤が設けてあり、
上記各移載室の上記手前側のシャッターは、上記操作盤からの指示を受けて開閉可能であり、
上記各移載室の上記手前側のシャッターは、上記奥側のシャッターが閉じているときに開けることができ、かつ、上記奥側のシャッターが開いているときに開けることができなくなっていることを特徴とする製品移載システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製品移載システムにおいて、上記各移載室の上記奥側のシャッターは、該各移載室に上記パレットが搬入され、該各移載室の上記手前側のシャッターが閉じられた後に開くようになっており、かつ、上記移載装置が上記各移載室における上記パレットへ上記製品を規定数移載した後に閉じるようになっており、
上記移載装置は、上記奥側のシャッターが開いた上記移載室における上記パレットに対して、上記製品搬入台から上記製品を移載するよう構成してあることを特徴とする製品移載システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の製品移載システムにおいて、上記製品又は該製品を載置した製品パレットには、該製品の機種情報を記憶する情報記憶部が設けてあり、
上記製品搬入台には、上記情報記憶部から上記機種情報を読み取る監視装置が配設してあり、
上記移載装置は、上記監視装置が読み取った上記製品の機種情報に基づいて、該製品を移載する上記移載室を振り分けるよう構成してあることを特徴とする製品移載システム。
【請求項5】
請求項4に記載の製品移載システムにおいて、上記移載装置は、3次元に位置・姿勢を変更可能なロボットと、該ロボットを上記複数の移載室に対する奥側へ移動させるロボット移動装置とを用いて構成してあり、
上記ロボットのエンドエフェクタには、上記製品を把持するためのハンド部が取り付けてあり、
上記ロボット移動装置は、上記ロボットが、上記製品搬入台に搬入された上記製品を上記ハンド部によって把持した後、上記監視装置から受信した上記製品の機種情報に基づいて振り分ける上記移載室に対する奥側へ上記ロボットを移動させるよう構成してあることを特徴とする製品移載システム。
【請求項6】
請求項5に記載の製品移載システムにおいて、上記情報記憶部には、当該製品が良品であるか不良品であるかを示す品質情報が、上記機種情報とともに記憶されており、
上記監視装置は、上記情報記憶部から上記機種情報とともに上記品質情報を読み取るよう構成してあり、
上記製品搬入台は、複数の機種の製品が混流して順次搬入され、該搬入された製品を、上記ロボットの上記ハンド部によって把持する把持位置へ順次送り出す搬送コンベヤであり、
該搬送コンベヤは、上記監視装置から上記品質情報を受信して、該品質情報が不良品を示す上記製品は、上記把持位置ではなく、回収を行うための回収位置へ送り出すよう構成してあることを特徴とする製品移載システム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の製品移載システムにおいて、上記ハンド部には、上記製品に形成された被係止部を係止する係止部を設けた複数の支持クランプと、
該複数の支持クランプの上記係止部が上記製品の上記被係止部を係止したときに、該製品を押さえ付けて、該係止状態の外れ防止及び該製品の振れ止めを行う押さえクランプと、
上記ハンド部と上記製品との間の距離を測定する距離センサと、
上記ハンド部に対する上記パレットの水平方向の位置及び向きを測定するカメラとが設けてあり、
上記距離センサによって上記被係止部に対する上記係止部の位置の補正を行うとともに、上記カメラによって上記パレットに対する上記製品の位置及び向きの補正を行うよう構成してあることを特徴とする製品移載システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−201502(P2012−201502A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70774(P2011−70774)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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