説明

製本システム

【課題】用紙束をクランプして厚みを計測する際に、表紙用紙の長さを決定する上で厚みを正確に計測できる製本システムを提供することを課題とする。
【解決手段】製本システム100は、本文となる複数枚の本文用紙HPを搬送方向先端側の縁部である先端部TPTで整合させる整合部350と、整合部350で整合されてなる用紙束TPのうち先端部TPTを挟むことにより先端部TPTの厚みを検出する用紙束厚さ検出手段と、用紙束厚さ検出手段で検出された厚みに基づいて、表紙となる表紙用紙FPの適正寸法を算出する表紙適正寸法算出手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本文用紙を背表紙側から表紙用紙で包んで製本する製本システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本文用紙を束ねた用紙束の背表紙側(背部側)に糊塗布ローラで糊を塗布して背表紙側から表紙用紙で包む、所謂くるみ製本装置を備えた製本システムが広く使用されている。
【0003】
このような製本システムでは、用紙束の厚みに応じて、表紙用紙を裁断して所定の寸法にしている。従って、用紙束の厚みを正確に測定することが重要である。用紙束の厚みを測定することについては、例えば特許文献1に、用紙束を第一の挟持部材と第二の挟持部材とで挟むことにより用紙束の厚みを測定することが提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−190744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、用紙束によっては、用紙束の厚み測定位置によって計測される厚みが異なる場合があり、製本する上で表紙用紙長さが用紙束に対して長すぎ、あるいは短すぎて、製本品質が低下することがあった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、用紙束をクランプして厚みを計測する際に、表紙用紙の長さを決定する上で厚みを正確に計測できる製本システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る製本システムの第1の特徴は、本文となる複数枚の本文用紙を搬送方向先端側の縁部で整合させる整合部と、前記整合部で整合されてなる用紙束のうち前記縁部を挟むことにより該縁部の厚みを検出する用紙束厚さ検出手段と、前記用紙束の搬送方向中央部を挟持して後工程へ移動させる挟持部と、前記用紙束厚さ検出手段で検出された厚みに基づいて、表紙となる表紙用紙の適正寸法を算出する表紙適正寸法算出手段と、を備えたことにある。
【0008】
本発明に係る製本システムの第2の特徴は、前記挟持部が前記用紙束厚さ検出手段を構成しており、前記挟持部で前記移動を行う前に前記挟持部で前記縁部を挟むことにより該縁部の厚みを検出することにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る製本システムの第1の特徴によれば、用紙束のうち、製本の背表紙側を構成する搬送方向先端側の縁部を挟むことによりこの縁部の厚みを表紙適正寸法算出手段で検出するので、これにより、表紙用紙の適正寸法を正しく算出することができる。
【0010】
本発明に係る製本システムの第2の特徴によれば、用紙束の上記縁部で厚みを測定することと、用紙束を後工程へ移動させることとを、挟持位置を変えることにより1つの挟持部で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の製本システムの概略全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態の製本システムの用紙搬送部、カット部及び搬送切替機構の構成図である。
【図3】本発明の一実施形態で、右綴じ製本で手差し用紙を表表紙とトップページとの間に挿入する場合であって、(a)は本文用紙の印刷順番を示す説明図、(b)は本文用紙がフェイスアップで積載されていくことを説明する斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態で、右綴じ製本で手差し用紙を最終ページと裏表紙との間に挿入する場合であって、(a)は本文用紙の印刷順番を示す説明図、(b)は本文用紙がフェイスダウンで積載されていくことを説明する斜視図である。
【図5】クランプ部を説明する斜視図である。
【図6】(a)は整合トレイに整合された用紙束を示す側面図、(b)は、用紙束をクランパで挟むことを示す側面図である。
【図7】本発明の一実施形態で用紙束をクランプ部で挟持して運搬する際に、(a)はクランパで用紙束を挟持することを説明する側面図、(b)は挟持した用紙束をクランプ部で移動させることを説明する側面図である。
【図8】本発明の一実施形態で、クランパの挟持位置の違いにより用紙束の厚みが異なることを説明する側面図である。
【図9】本発明の一実施形態で、表紙用紙の長さの違いにより製本品質に差が生じることを説明する図であり、(a)は表紙用紙で成形する前を示す斜視図、(b)は表紙用紙で成形した後を示す斜視図である。
【図10】(a)〜(d)は、それぞれ、本発明の一実施形態で製本する各工程毎の斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態の製本システムの制御ブロック図である。
【図12】本発明の一実施形態における製本システムの制御フロー図である。
【図13】本発明の一実施形態における製本システムの制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、すでに説明したものと同一または類似の構成要素には同一または類似の符号を付し、その詳細な説明を適宜省略している。
【0013】
また、図面は模式的なものであり、寸法比などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法比などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0014】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための例示であって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。この発明の実施の形態は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0015】
また、以下の説明では、本文用紙としてどのサイズの用紙であっても適用可能である。また、以下の実施の形態では、例えば孔版印刷やインクジェットで印刷するが、他の手法で印刷してもよく、本発明では印刷形式は特に限定されない。また、製本する印刷物の種類や枚数も特に限定されるものではない。また、以下の説明で「手差し用紙」とは、主に、いわゆるZ折りや2つ折りのように、背表紙側の端部以外が重ね折りされた用紙であるが、本実施形態では特にこれに限定せず、サンプル(CDなど)を内包する封筒なども含む概念である。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態(以下、本実施形態という)の製本システム100の概略全体構成図である。図2は、本実施形態の製本システム100の用紙搬送部310、カット部330及び搬送切替機構338の構成図である。図3は、右綴じ製本で手差し用紙を表表紙とトップページとの間に挿入する場合で、(a)は本文用紙の印刷順番を示す説明図、(b)は本文用紙がフェイスアップで積載されていくことを説明する斜視図である。図4は、右綴じ製本で手差し用紙を最終ページと裏表紙との間に挿入する場合で、(a)は本文用紙の印刷順番を示す説明図、(b)は本文用紙がフェイスダウンで積載されていくことを説明する斜視図である。なお、図3、図4で、本文用紙HPの隅部に形成された数字は頁番号を示す。
【0017】
図5は、クランプ部を説明する斜視図である。図6で、(a)は整合トレイに整合された用紙束を示す側面図、(b)は、用紙束をクランパで挟むことを示す側面図である。図7は、用紙束をクランプ部で挟持して運搬する際に、(a)はクランパで用紙束を挟持することを説明する側面図、(b)は挟持した用紙束をクランプ部で移動させることを説明する側面図である。図8は、クランパの挟持位置の違いにより用紙束の厚みが異なることを説明する側面図である。図9は表紙用紙の長さの違いにより製本品質に差が生じることを説明する図であり、(a)は表紙用紙で成形する前を示す斜視図、(b)は表紙用紙で成形した後を示す斜視図である。図10(a)〜(d)は、それぞれ、本実施形態で製本する各工程毎の斜視図である。図11は、本実施形態の製本システムの制御ブロック図である。図12、図13は、本実施形態における製本システム100の制御フロー図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る製本システム100は、表紙用紙FP及び本文用紙HPに印刷を行う画像形成装置200と、この画像形成装置200に隣接した用紙搬送方向下流の位置に設けられ印刷済みの表紙用紙FP及び本文用紙HPに対して製本処理を施す製本装置(くるみ製本装置)300との組み合わせで構成されている。すなわち、製本システム100は、表紙用紙FP及び本文用紙HPに印刷を行い、印刷済みの表紙用紙FP及び本文用紙HPに対して製本処理を施すことにより、冊子(製本物)440を作製するシステムである。
【0019】
(画像形成装置)
製本システム100における画像形成装置200には、インクジェット方式の画像形成部230が設けられており、この画像形成部230は、表紙画像データ及び本文画像データに基づいて表紙用紙FP及び本文用紙HPに印刷を行うものである。また、画像形成部230は、ブラックK、シアンC、マゼンタM、イエローYの各色のインクを吐出する複数のライン型のインクヘッドを備えている。
【0020】
画像形成部230の用紙搬送方向上流には、表紙用紙FPが積載収容された第1給紙部210及び、本文用紙HPが積載収容された第2給紙部220が設けられている。また、第2給紙部220には、第1給紙トレイ220a、第2給紙トレイ220b、第3給紙トレイ220cが設けられており、様々な用紙種類、用紙サイズの本文用紙HPを収容することが可能である。この第1給紙部210及び第2給紙部220から、図示しない給紙ローラで1枚ずつ捌きながら画像形成部230へ所定のタイミングで順次給紙搬送することが可能である。なお、必ずしも表紙用紙FPを第1給紙部210に、本文用紙HPを第2給紙部220に収容する必要はなく、いずれの給紙部に収容しても問題ない。
【0021】
画像形成部230の用紙搬送方向下流には循環搬送路250が設けられ、印刷された用紙はこの循環搬送路250を介して、さらに下流に設けられた排紙部280へと排紙される。なお、排紙部280へ排紙される用紙は、後述する製本処理を行わない場合に利用される。また、循環搬送路250には図示しない経路切り替え用フラッパが設けられ、排紙部280へ搬送する経路と、反転部240へ搬送する経路とを切り替え可能になっている。反転部240に搬送された用紙は表裏反転され、スイッチバックすることで再度画像形成部230へと搬送される。これにより、表紙用紙FP及び本文用紙HPに両面印刷を行うことが可能となる。
【0022】
片面印刷又は両面印刷された表紙用紙FP及び本文用紙HPは、画像形成部230の用紙搬送方向下流に設けられた連絡搬送部260を介して、製本装置300へと搬送される。なお、連絡搬送路260と循環搬送路250には、経路切り替え用のフラッパが設けられ、適宜経路が選択される。
【0023】
画像形成装置200の上面には、入力パネル270が設けられている。この入力パネル270には、冊子作成実行を指示するスタートボタン、クリーニング動作のON/OFFが選択できるクリーニングモード選択や、用紙サイズの選択など各種設定を行うタッチパネルなどが設けられている。スキャナ等から読み込ませた画像データを用いて冊子を形成する場合、この入力パネル270から各種設定を行うことも可能だが、通常、通信インターフェイスを介して接続されたパーソナルコンピュータからジョブデータを受信し、ジョブデータに含まれる操作信号によりユーザの設定を受け付ける(図示省略)。なお、製本システム100にPC(パーソナルコンピュータ)を接続し、入力パネル270からでなくPC画面から入力するようにしてもよい。
【0024】
このように構成された画像形成装置200では、手差し用紙MPの挿入位置(表表紙側、裏表紙側)、および、製本時の綴じる側(右綴じ製本、左綴じ製本)の設定に応じて、本文用紙HPの印刷順序および手差し用紙MPの挿入位置が決められるように、後述の制御部290が制御している。例えば、図3に示すように、右綴じ製本で手差し用紙MPを表表紙とトップ頁との間に挿入する場合には、最終頁から降順に、画像を装置前向きになる方向で印刷して、整合トレイ352には印刷された本文用紙HPがフェイスアップで積載されていき、図4に示すように、右綴じ製本で手差し用紙MPを最終頁と裏表紙との間に挿入する場合には、先頭頁(トップ頁)から昇順に、画像を装置背面向き(装置後向き)になる方向で印刷して、整合トレイ352には印刷された本文用紙HPがフェイスダウンで積載されていくように制御されている。なお、図3、図4では、手差し用紙MPとしてはがき状のものを描いているが、Z折りや2つ折りされたものであってももちろんよい。
【0025】
(製本装置)
製本システム100における製本装置300には、画像形成装置200側の連絡搬送路260から送り出された印刷済みの表紙用紙FP及び本文用紙HPを搬送する用紙搬送部310が設けられている。この用紙搬送部310に隣接する位置に、表紙用紙FPを適当なサイズに断裁するカット部330が設けられており、後述する搬送切替機構338により、表紙用紙FPをカット部330へと搬送し、カット動作を実行する。表紙用紙FP及び本文用紙HPは、それぞれ用紙搬送部310を介して、成形部380及び整合部350へと搬送される。なお、用紙搬送部310には、成形部380と整合部350との搬送経路を切り替える機構が設けられている(図示省略)。
【0026】
整合部350には、搬送されてきた本文用紙HPを順次積載する整合トレイ352が設けられている。整合トレイ352には、本文用紙HPの用紙搬送方向の位置決めを行う整合用の先端ガイド(突き当てフェンス)354と、先端ガイド354の搬送方向上流側に設けられ、搬送方向に可動する後端ガイド(後端フェンス)355と、本文用紙HPの幅方向の位置を整合する整合用のサイドガイド(サイドフェンス)356と、が設けられている。この構成により、全ての本文用紙HPが搬送され収容されたタイミングで後端ガイド355の整合動作によって本文用紙HPの位置が整い、更に手差し用紙MPが収容された後に、後端ガイド355の整合動作によって本文用紙HPおよび手差し用紙MPの位置が整い、用紙束TP(図1参照)として収容される。
【0027】
また、図11に示すように、整合部350には、後端ガイドホーム位置センサ350bと、後端ガイド移動パルスモータ350cと、送り込みローラ駆動パルスモータ350dと、が設けられている。後端ガイドホーム位置センサ350bは、後端ガイド355のホームポジションを検出する。後端ガイド移動パルスモータ350cは、後端ガイド355に移動力を付与する。送り込みローラ駆動パルスモータ350dは、送り込みローラ348に回転力を付与する。
【0028】
整合トレイ352の搬送方向上流側には、整合トレイ352に本文用紙HPや手差し用紙MPを送る送り込みローラ348が配置されている。なお、送り込みローラ348の周速度は、本文用紙HPを送るときと手差し用紙MPを送るときとで異なる速度になるように、後述の制御部290で設定されていてもよい。
【0029】
また、製本装置300には、整合トレイ352に手差し用紙MPを入れる手差し用紙挿入部302が装置上部に設けられている。手差し用紙挿入部302は、装置上側から手差し用紙MPを入れる挿入部304と、挿入部304に挿入された手差し用紙MPを送り込みローラ348の搬送方向上流側に案内する案内部306と、を有する。手差し用紙挿入部302の搬送方向下流側には本文用紙HPと手差し用紙MPの搬送方向長さを測定する用紙長さ測定センサ346(図1参照)が配置されている。本実施形態では、手差し用紙挿入部302から入れられた待機状態の手差し用紙MPを整合トレイ352に適切な送り出しタイミングで自動的に送り出す構成にされていてもよいし、使用者が適切なときを見計らって手差し用紙MPを投入して直ちに整合トレイ352に送られるような手動形式であってもよい。
【0030】
なお、手差し用紙MPがサンプル(CDなど)を内包する封筒のように厚みのある添付物の場合、手差し用紙挿入部302に代えて、装置筐体の上部を構成する開閉扉307と、開閉扉307から入れられた手差し用紙MPを整合トレイ352に案内する挿入ガイド308とを有する手差し用紙挿入部309を設け、送り込みローラ348を通過させずに手差し用紙MPを本文用紙上に載置する構成にしてもよい。
【0031】
また、画像形成装置200で本文用紙HPに印刷を施した上で折り曲げ処理をして折り加工用紙ZPとし、製本装置に送って送り込みローラ348を経由させて折り加工用紙ZPを本文用紙上に載置する構成にしてもよい。
【0032】
また、製本装置300は、整合部350から用紙束TPをクランパ372で挟持するクランプ部370を備えている(図1、図5、図6参照)。クランプ部370は、図示しない移動機構により整合部350から用紙束TPを受け取る受渡位置と、成形部380へ受け渡す綴じ位置との間で移動可能に設けられている。整合トレイ352に入れられた手差し用紙MPは、本文用紙HPと一緒に用紙束TPとなってクランプ部370にクランプされるようになっている。
【0033】
また、図11に示すように、クランプ部370には、用紙束厚さ検出センサ370aと、クランプ開閉ホーム位置センサ370bと、クランプ挟持移動ホーム位置センサ370cと、クランプ横移動ホーム位置センサ370dと、クランプ開閉パルスモータ370eと、クランプ挟持移動パルスモータ370fと、クランプ横移動パルスモータ370gとが設けられている。用紙束厚さ検出センサ370aは、用紙束TPをクランパ372で挟持したときのクランパ間の距離d(図5参照)に基づいて用紙束TPの厚みを検出する。クランプ開閉ホーム位置センサ370bは、クランパ(クランプ板)372の開閉に関するホームポジションを検出する。クランプ挟持移動ホーム位置センサ370cは、クランプ部370で用紙束TPを挟持する上でのホームポジションを検出する。クランプ横移動ホーム位置センサ370dは、クランプ部370の横移動(糊塗布位置と成形位置との間の移動)に関するホームポジションを検出する。クランプ開閉パルスモータ370eは、クランパ372に開閉力を与える。クランプ挟持移動パルスモータ370fは、整合トレイ352の用紙束TPを挟持する位置とホームポジションとの間での移動力をクランプ部370に与える。クランプ横移動パルスモータ370gは、糊塗布位置と成形位置との間での移動力をクランプ部370に与える。
【0034】
そして、クランプ部370は、TPの厚みを検出するときにはTPの搬送方向先端側の縁部である先端部TPTをクランパ372で挟み、TPを後工程へ移動させるときにはTPの搬送方向中央部をクランパ372で挟むように制御されている。ここで、TPの搬送方向中央部とは、搬送方向における用紙先端と用紙後端との中間位置に限らず、TPを挟持して移動させる上で問題なく移動させることができる用紙部分のことである。
【0035】
また、受渡位置に位置したときのクランプ部370の近傍には、製本用糊付装置360が設けられている。製本用糊付装置360には、糊を収容する糊収容部(糊槽)364と、糊を用紙束TPに塗布するための糊塗布ローラ362とが設けられている。糊塗布ローラ362は長尺状であり、糊収容部364の内側に水平な回転軸回りに保持されている。ここで、糊(接着剤)は用紙束を一体的に糊付けする役割と表紙用紙を用紙束に固定する役割とを果たしている。
【0036】
図1、図10に示すように、成形部380には、用紙搬送部310から搬送された表紙用紙FPが上側に載置される背折りプレート386と、背折りプレート386よりも下方に設けられ、クランプ部370によって綴じ位置に運ばれてくる用紙束TPの背部側が表紙用紙FPを介して当接する突き当てプレート388と、が設けられている。
【0037】
また、図11に示すように、成形部380には、表紙位置検出センサ380aと、背折りプレートホーム位置センサ380bと、突き当てプレートホーム位置センサ380cと、表紙搬送モータ380dと、背折りプレート移動パルスモータ380eと、突き当てプレート移動パルスモータ380fと、が設けられている。表紙位置検出センサ380aは、表紙用紙FPの位置を検出する。背折りプレートホーム位置センサ380bは、背折りプレート386の位置を検出する。突き当てプレートホーム位置センサ380cは、突き当てプレート388のホームポジションを検出する。表紙搬送モータ380dは、表紙用紙FPに搬送力を与える。背折りプレート移動パルスモータ380eは、背折りプレート386に移動力を与える。突き当てプレート移動パルスモータ380fは、突き当てプレート388に移動力を与える。
【0038】
冊子排出部390には、成形部380で綴じられて成形された冊子440(図1、図10(d)参照)が、成形部380から搬送され、複数収容可能になっている。なお、本実施形態では、成形部380からの搬送は、冊子440の自由落下を利用している。
【0039】
図2に示すように、用紙搬送部310には用紙搬送方向上流から順に、第1搬送ローラ312、第2搬送ローラ314、搬送基準ローラ316、搬送基準補助ローラ322の順にローラ対が配置されている。なお、搬送基準ローラ316には表紙用紙FPの搬送量を制御するための搬送基準エンコーダ318が設けられ、搬送基準ローラ316と搬送基準補助ローラ322の間には、表紙用紙FPの用紙搬送方向長さを検出するための表紙用紙サイズセンサ320が設けられている。
【0040】
第1搬送ローラ312と第2搬送ローラ314の間には、搬送切替機構338が設けられ、第1搬送ローラ312と第2搬送ローラ314との間で搬送可能にする通常搬送経路338aと、第2搬送ローラ314とカット部330との間で搬送可能にするカット用搬送経路338bとの2つの経路を、図示しない駆動機構を用いて切替支点338cを中心に回動することで切替可能になっている。
【0041】
カット部330には、搬送経路切替機構338に近い位置から、カット補助ローラ336と、カッター334と、屑入れ332が設けられている。カッター334は、シャトルカッターであり、刃が表紙用紙FPの幅方向に往復移動することで裁断を行うことができる。カット補助ローラ336は、表紙用紙FPをカッター334で裁断する際に、表紙用紙FPを保持する役目を持っている。屑入れ332は、カットされた時に不要となる表紙用紙不要部分を収容できるようになっている。また、ユーザが屑入れ332に収容された表紙用紙不要部分を装置外へ破棄できるように、取り外し可能に設置されている。
【0042】
また、図11に示すように、カット部330には、カッターホーム位置センサ330aと、カッターホーム位置センサ330aに接続されたカッターモータ330bとが設けられている。カッターホーム位置センサ330aによって、表紙用紙FPの搬送方向長さが適切な長さとなるように、カッター334(図2参照)が取り付けられたカッターモータ330bのホームポジションが制御部290で調整されるようになっている。
【0043】
(制御部)
図11に示すように、製本システム100には、制御部290が設けられている。この制御部290は、入力パネル270、搬送基準エンコーダ318(図2参照)、表紙用紙サイズセンサ320などによる入力情報を元に、画像形成装置200および製本装置300の各部を制御している。
【0044】
この制御部290は、用紙サイズ等を記憶する記憶手段284、印刷ページの順序を決める印刷ページ順序決定手段285、および、印刷する際の画像の方向を決める画像方向決定手段286を備えている。更に、制御部290は、表紙用紙FPの適切な搬送方向長さを算出する表紙適正寸法算出手段287、手差し用紙MPを所定のタイミングで挿入するための手差し用紙挿入部制御手段288を備えている。本実施形態では、表紙適正寸法算出手段287で算出した長さに基づいてカット位置決定手段287kで表紙用紙FPを所定長さでカットするようになっている。
【0045】
また、制御部290は、クランプ部370を制御するクランプ部制御手段296と、クランプ部370で用紙束TPの先端部TPTを挟持(プレクランプ)して先端部TPTの厚みを検出する用紙束厚さ検出手段299とを備えている。この先端部TPTは、製本されたときに背表紙側を構成する縁部である。クランプ部制御手段296は、厚み検出するためのプレクランプ位置を算出するプレクランプ位置算出手段297と、用紙束TPを運搬する際の挟持位置を算出するためのクランプ位置算出手段298と、を備えている。
【0046】
更に、制御部290は、製本用糊付装置360の駆動を制御する糊付装置制御手段289を備えている。糊付装置制御手段289は、クランプ部370で本文用紙HPをクランプする動作に伴い、糊塗布ローラ362を回転させて塗布位置で停止させ、本文用紙HPの背表紙側への糊の塗布終了後、糊塗布ローラ362を回転させて待機位置で停止させるように制御している。
【0047】
また、制御部290はタイマー手段291を備えている。このタイマー手段291は、上述した表紙位置検出センサ380aからの信号を受けて、成形部380で本文用紙HPと表紙用紙FPとが良好に成形されるように制御するものである。
【0048】
(作用、効果)
次に本実施形態の製本システム100の動作について図12、図13を用いて説明する。上述したように、図12、図13は、本実施形態における製本システム100の制御フロー図である。なお、以下の説明では、手差し用紙挿入部302から手差し用紙MPを挿入することに代えて、画像形成装置200から折り加工用の用紙に印刷を施して、背表紙側の端部以外が重ね折り(例えば、Z折り加工や2つ折り加工)された折り加工用紙ZPを製本装置300に搬送する場合も併せて説明する。従って、「折り加工用紙」は、画像形成装置200で折り畳まれる前、および、折り畳まれた後のものを意味し、「折り加工用紙の印刷」という文言が記載されている場合は、画像形成装置200で折り畳まれる用紙に予め印刷することを意味する。
【0049】
まず、入力パネル270にて、印刷製本動作の開始を指令するスタートボタンを押す(S1)。そして、折り加工用紙ZPまたは手差し用紙MPを挿入する製本か否かを判断する(S2)。Yesの場合には、折り加工用紙ZPまたは手差し用紙MPの挿入位置が表表紙側か否かを判断し(S3)、Yesの場合には右綴じ製本か否かを判断する(S4)。Yes(右綴じ製本)である場合には、本文用紙HPへの印刷を開始し、右綴じ製本用に最終頁から降順に画像を装置前向きで印刷し、この結果、フェイスアップで整合トレイ352に積載されていく(S5)。
【0050】
S4でNo(左綴じ製本)である場合には、本文用紙HPへの印刷を開始し、左綴じ製本用に最終頁から降順に画像を装置後向きで印刷し、この結果、フェイスアップで整合トレイ352に積載されていく(S6)。
【0051】
S2でNoの場合(折り加工用紙ZPまたは手差し用紙MPを入れるモードでない場合)には、右綴じ製本か否かを判断する(S7)。Yes(右綴じ製本)である場合には、本文用紙HPへの印刷を開始し、右綴じ製本用に先頭頁から昇順に画像を装置後向きで印刷し、この結果、フェイスダウンで整合トレイ352に積載されていく(S8)
S7でNo(左綴じ製本)である場合には、本文用紙HPへの印刷を開始し、左綴じ製本用に先頭頁から昇順に画像を装置前向きで印刷し、この結果、フェイスダウンで整合トレイ352に積載されていく(S9)
S5、S6、S8、S9の何れの場合であっても、本文用紙HPの搬送方向長さを用紙長さ測定センサ346で検出する(S10)。なお、画像形成装置200から転送したサイズのデータに基づいてこの搬送方向長さを算出してもよい。
【0052】
そして、本文用紙HPの印刷が完了したか否かを判断する(S11)。Noの場合にはS10へ戻る。Yesの場合には、本文用紙HPの整合を行う。すなわち、本文用紙HPが先端ガイド354に突き当たるまで後端ガイド355を移動させる(S12)。
【0053】
更に、折り加工用紙ZPまたは手差し用紙MPを挿入する製本か否かを判断する(S13)。Yesの場合、手差し用紙挿入部302から手差し用紙MPを入れるか、または、画像形成装置200で折り加工用紙ZPに印刷して折り加工を行い、製本装置300へ搬出して本文用紙HP上に配置する(S14)。
【0054】
そして、折り加工用紙ZPまたは手差し用紙MPの搬送方向長さを用紙長さ測定センサ346で検出し(S15)、折り加工用紙ZPまたは手差し用紙MPの手差しが完了したか否かを判断する(S16)。Noの場合にはS15へ戻る。
【0055】
Yesの場合には、本文用紙HPと折り加工用紙ZPまたは手差し用紙MPとの整合をを行う。すなわち、本文用紙HPと折り加工用紙ZPまたは手差し用紙MPとが先端ガイド354に突き当たる位置まで後端ガイド355を移動させる(S17−1)。そして、先端ガイド354と用紙束TPの搬送方向先端部(図8のE点)との距離を、(折り加工用紙ZPまたは手差し用紙MPの搬送方向長さ)/8 として算出する(S17−2)。
【0056】
続いて、用紙束TPのE点をクランパ372で挟持する(S18)。そして、クランパ372の間隔を用紙束厚さ検出センサ370aで測定する(S19)。更に、用紙束TPの厚みを算出して表紙用紙FPのカット位置をカット位置決定手段287kで決定する(S20)。そして、先端ガイド354と、用紙束TPの搬送方向中央点(図8のM点)との距離を、(本文用紙HPの搬送方向長さ)/2 として算出する(S21)。更に、用紙束TPのM点をクランパ372で挟持する(S22)。
【0057】
S13でNoの場合、先端ガイド354と用紙束TPの搬送方向中央点(M点)との距離を、(本文用紙HPの搬送方向長さ)/2 として算出する(S23)。
【0058】
続いて、用紙束TPのM点をクランパ372で挟持し(S24)、クランパ372の間隔を用紙束厚さ検出センサ370aで測定する(S25)。そして、用紙束TPの厚みを算出して表紙用紙FPのカット位置をカット位置決定手段287kで決定する(S26)。
【0059】
S22、S26の何れの場合であっても、その後、クランプ部370で用紙束TPを製本用糊付装置360に移動させ(S27)、用紙束TPの背部(背表紙側)に糊を塗布する(S28)。そして、図10に示すように、クランパ372で挟んだ本文用紙HPと折り加工用紙ZPまたは手差し用紙MPとを垂直に立てて成形部380に移動させ、本文用紙HPの背部を表紙用紙FPに押し当てる(S29)。そして、背折りプレート386をQ1地点(図10(b)参照)にまで閉じ、表紙用紙FPを折り畳む(S30)。
【0060】
その後、冷却時間として5秒経過したか否かを判断する(S31)。経過したならばクランパ372を開放する(S32)。そして、背折りプレート386をQ2地点(図10(c)参照)にまで更に移動させて表紙用紙FPを更に折り畳む(S33)。
【0061】
そして待機時間2秒が経過したか否かを判断する(S34)。経過したならば背折りプレート386と突き当てプレート388とを開放し(S35。図10(d)参照)、製本物搬送部396(図11参照)で製本物(冊子440)を収納トレイへ搬送する(S36)。
【0062】
そして、設定された製本の製造が全て完了したか否かを判断する(S37)。Noの場合にはS2へ戻り、Yesの場合には、印刷製本動作を完了する(S38)。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、用紙束TPの先端部TPTを挟むことにより先端部TPTの厚みを検出するので、用紙束TPの先端部TPTを背部として表紙用紙FPで成形して製本する際に本文用紙HPと折り加工用紙ZPまたは手差し用紙MPの正確な厚みが測定される。従って、表紙用紙FPの適正寸法を正しく算出することができる。よって、表紙用紙FPを適正寸法に断裁することができ、図9に示すように、表紙用紙FPが用紙束TPから長く出過ぎる部位SPが生じることや、表紙用紙FPが短過ぎることは生じない。
【0064】
また、用紙束TPの先端部TPT(E点)で厚みを測定することと、用紙束TPの搬送方向中央点(M点)を後工程へ移動させることとを、挟持位置を変えることにより1つのクランプ部370で行うことができる。
【0065】
また、手差し用紙挿入部302を設けることで、画像形成装置200で搬送できないサイズや厚みの添付用紙を添付して製本することが可能になる。
【0066】
なお、クランプ部370で用紙束TPの先端部TPTを挟んで厚みを検出することを、手差し用紙挿入部302から手差し用紙MPが挿入されたとき、および、画像形成装置200で折り曲げ処理の設定がなされたとき、の少なくとも一方のときに限定するように制御部290で制御してもよい。これにより、用紙束TPの先端部TPTと中央部とで厚みが異なる可能性がない場合には先端部TPTの厚みを検出する工程を省くことができるので、製本速度を大きく上げることができる。
【符号の説明】
【0067】
100 製本システム
200 画像形成装置
350 整合部
287 表紙適正寸法算出手段
290 制御部
299 用紙束厚さ検出手段
309 手差し用紙挿入部
350 整合部
370 クランプ部(挟持部)
FP 表紙用紙
HP 本文用紙
MP 手差し用紙
TP 用紙束
TPT 先端部(縁部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本文となる複数枚の本文用紙を搬送方向先端側の縁部で整合させる整合部と、
前記整合部で整合されてなる用紙束のうち前記縁部を挟むことにより該縁部の厚みを検出する用紙束厚さ検出手段と、
前記用紙束の搬送方向中央部を挟持して後工程へ移動させる挟持部と、
前記用紙束厚さ検出手段で検出された厚みに基づいて、表紙となる表紙用紙の適正寸法を算出する表紙適正寸法算出手段と、
を備えたことを特徴とする製本システム。
【請求項2】
前記挟持部が前記用紙束厚さ検出手段を構成しており、
前記挟持部で前記移動を行う前に前記挟持部で前記縁部を挟むことにより該縁部の厚みを検出することを特徴とする請求項1記載の製本システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−111900(P2013−111900A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261717(P2011−261717)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)