説明

製紙および紙加工用カーテン安定剤

【課題】本発明は、カーテンコーティング用のカーテン安定化系、対応するカーテンコーティング、およびその使用に関する。
【解決手段】カーテン安定化系は、カーテン安定化系の全組成に基づいて、A)炭素原子数6〜16のモノアルコールを0質量%〜50質量%、およびB)ポリ(メタ)アクリレートを0.1質量%〜70質量%、およびC)ポリエーテルを3質量%〜90質量%、および/またはD1)二官能性酸のエステルを0.5質量%〜60質量%、および/またはD2)ポリグリセロールエステルを0.5質量%〜70質量%含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙および紙加工に有用なカーテン安定剤系に関し、より特定すれば、紙用コーティング(coatings)、より特定すれば紙用コーティングスリップ(coating slips)用の安定剤系、ならびにその製造および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
紙は、様々なコーティング加工法を使用して製造され、加工される。これらのコーティング加工法に関してよく問題となるのは、ベルト/紙の走行速度が高速であることであり、これは使用するコーティングに対して大きな問題となる。特に、ほとんどのコーティングでは、コーティングの発泡は回避されなければならない。カーテンコーティング加工法では、気泡/泡がないことの他に、カーテン(コーティング加工で、コーティングされるウェブがこのカーテンを通って移動する)が常に完全に連続していることも必要である。
【0003】
この目的のため、長い間、特殊な界面活性剤がいわゆるカーテン安定剤として使用されてきた。特に、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールを含むカーテン安定剤系の使用が広く記載されてきた。
【0004】
特開2008−274465号は、カーテンコーティングによって塗布され、界面活性剤として2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール(Surfynol)を含む紙コーティングを開示している。
【0005】
特開2005−154912号も同様に、アセチレングリコール系の界面活性剤(Surfynol)を使用するカーテンコーティング加工法によるコート紙の製造を記載している。
【0006】
米国特許第6,489,037号も同様に、カーテンコーティングを製造するためのSurfynolの使用を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カーテンの安定化の質は、得られるコート材料にかなりの影響を及ぼす。使用する界面活性剤がカーテンに及ぼす安定化効果はコーティングの組成によって変わるため、特に、安定化されたコーティングカーテンを得ることができる更なるカーテン安定化安定剤または系を提供することが実際に必要とされている。安定化されたコーティングカーテンは、流延中、全長にわたって均一な幅を有し、膜切れ(tears)、穴、または凹みが全くないものと定義される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、この目的は、請求項1に記載のカーテン安定剤系によって達成されることが分かった。
【0009】
従って、本発明は、請求項に記載するように、カーテン安定化系、コーティングにおけるその使用、およびコーティング加工法、ならびにこれらのコーティング加工法で得ることができる製品も提供する。
【0010】
本発明のカーテン安定化系の使用には、本発明のカーテン安定化系を添加すると消泡剤を添加しなくても十分に安定なカーテンが得られるという利点がある。
【0011】
使用するコーティング系に応じて、本発明のカーテン安定化系(カーテン安定剤)で、既知のカーテン安定剤を用いて得られるものよりも安定なカーテンを形成することができる。
【0012】
カーテンコーティングに本発明のカーテン安定化系を使用することにより、およびそれによって得られる安定なコーティングカーテンにより、非常に低いまたは高い加工速度ならびに/あるいは低いまたは高いコート量、特に、高い加工速度および低いコート量に設定することができ、しかも、欠陥なくコートされた紙を得ることができる。
【0013】
本発明の加工法における加工速度は、例えば、約700〜1000m/分であることができる。基材速度がこのように高速であるにもかかわらず、水非含有のカーテンコーティングを、例えば、13〜20g/mの比較的低いコート量で使用して、欠陥のない(flawless)コーティングを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のカーテン安定化系、本発明のカーテン安定剤、本発明のコーティング組成物、本発明のコーティング加工法、および/またはそれを用いて得られるコート基材/紙(coated substrate/paper)、およびその使用を例として説明するが、本発明はこれらの例示的実施形態に限定されるものではない。以下に記載する範囲、一般式、または化合物の種類はいずれも、明示的に記載される範囲または化合物の群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を除去することによって得られる部分範囲および化合物の部分群も全て包含するものとする。本明細書の文脈で引用される文献は、その内容に関して、特に、参照により引用される事柄に関して、本発明の開示内容に完全に組み込まれるものとする。以下に記載する平均は数値平均であり、それ以外のものを示すものではない。以下のパーセンテージは、他の記載がない限り、質量パーセンテージである。
【0015】
本発明のカーテン安定化系または本発明のカーテン安定剤は、カーテン安定化系の全組成に基づいて、
A)モノアルコール、好ましくは炭素原子数6〜16、好ましくは炭素原子数8〜12のアルカノール、好ましくはノナノール、より好ましくは2,6−ジメチルヘプタン−4−オールを、0質量%〜50質量%、好ましくは15質量%〜40質量%、より好ましくは20質量%〜30質量%、および、
B)ポリ(メタ)アクリレート(poly(meth)acrylate)、好ましくはアクリル酸、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートのモノマーから構成されている1種以上のポリ(メタ)アクリレート、好ましくは、独国特許第19841559号に記載の1種以上のポリアクリレート(好適なポリアクリレートは、例えば、Evonik Tego Chemie GmbHからLA 441の名称で入手可能である)を、0.1質量%〜70質量%、好ましくは15質量%〜40質量%、より好ましくは25質量%〜35質量%、および、
C)ポリエーテル、好ましくはエンドキャップされたポリエーテル、より好ましくは、例えばメトキシ基を用いたエーテル化、または、例えばアセチル基を用いたエステル化によりエンドキャップされたポリエーテル、より好ましくは分子量250〜800、好ましくは350〜500のポリエーテル、より好ましくは、アリルアルコール開始ポリエーテル(allyl alcohol-initiated polyether)、とりわけ好ましくはアルキレンオキサイド単位としてエチレンオキサイド単位のみを有するポリエーテル、または、より好ましくは、例えばEvonik Tego Chemie GmbHからRewopol(登録商標)MPG 40の名称で得ることができるエトキシ化モノフェニルグリコール(エチレングリコールモノフェニルエーテル)、または、炭素原子数5〜10のアルカノールを使用して開始されたポリエーテルであって、好ましくは2〜20個のスチレンオキサイド単位と5〜20個のエチレンオキサイド単位を含むポリエーテル(例えばEvonik Tego Chemie GmbHからLA D 1075の名称で得ることができる)を、3質量%〜90質量%、好ましくは15質量%〜40質量%、より好ましくは20質量%〜30質量%、および/または、好ましくは、および、
D1)少なくとも二官能性の酸のエステル、好ましくはスルホコハク酸エステル、より好ましくはジエチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム(例えば、Tagat(登録商標)ME 90の商標名でEvonik Degussa GmbHから入手可能)またはジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム(例えば、REWOPOL(登録商標)SB DO 75 PGの商標名でEvonik Tego Chemie GmbHから入手可能)を、0.5質量%〜60質量%、好ましくは15質量%〜40質量%、より好ましくは20質量%〜30質量%、および/または、好ましくは、および、
D2)ポリグリセロールエステル、好ましくは、3〜6の重合度を有するポリグリセロールエステル、好ましくは、直鎖または分岐鎖脂肪酸のポリグリセロールエステル、より好ましくはポリグリセロールカプリン酸エステルを、0.5質量%〜70質量%、好ましくは15質量%〜40質量%、より好ましくは20質量%〜30質量%、
含むか、あるいはより好ましくはこれらの成分からなることを特徴とする。
【0016】
有用なポリグリセロールエステルとしては、例えば、TEGOSOFT(登録商標)PC 41、TEGO(登録商標)Cosmo P 813、TEGOSOFT(登録商標)PC 31、およびTEGO(登録商標)Care PL 4などの製品が挙げられる。
【0017】
特に好ましいカーテン安定化系は、カーテン安定化系の全組成に基づいて、
A)ノナノール、より好ましくは2,6−ジメチルヘプタン−4−オールを、15質量%〜40質量%、および
B)アクリル酸、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートのモノマーから構成されたポリ(メタ)アクリレートを15質量%〜40質量%、および
C)エンドキャップされたポリエーテル、より好ましくは、エーテル化またはエステル化によりエンドキャップされたポリエーテル、好ましくは、メトキシ基またはアセチル基を用いてエンドキャップされた分子量350〜500のポリエーテルであって、アルキレンオキサイド単位としてエチレンオキサイド単位だけを含むアリルアルコール開始ポリエーテル、または、炭素原子数5〜10のアルカノールを使用して開始され、好ましくは2〜20個のスチレンオキサイド単位と5〜20個のエチレンオキサイド単位を含むポリエーテルを、15質量%〜40質量%、および
D1)スルホコハク酸エステルを15質量%〜40質量%、および/または、好ましくは、および、
D2)3〜6の重合度を有するポリグリセロールカプリン酸エステルを15質量%〜40質量%、
含有する。特に非常に好ましい系はこれらの成分からなる。
【0018】
本発明のカーテン安定化系は、コーティング、例えば、ブレードコーティングまたは展延コーティングまたはカーテンコーティングによって塗布されるコーティング、より特定すればカーテンコーティング、即ち、カーテンコーティング加工法で使用されるコーティングの製造に特に有用である。
【0019】
本発明のコーティング、より特定すればカーテンコーティングは、溶媒(好ましくは、水)、少なくとも1種のバインダ、および本発明のカーテン安定化系を含有する。コーティングに有用なバインダとしては、バインダとして使用するのに適した既知の全ての化合物が挙げられる。好適なバインダの一覧は、例えば、「paper adds value to life,BASF adds value to paper」の製品範囲、概要2008/02(BASF SE)に認められる。本発明のコーティングは、バインダとして、好ましくは、スチレンアクリレートまたはブタジエン共重合体(例えば、Polymer LatexからLitex P 7100の商標名で入手可能)を含む。
【0020】
本発明のコーティング、より特定すれば、カーテンコーティングは、好ましくは、カーテン安定化系を、コーティングの全組成に基づいて0.01質量%〜6質量%、好ましくは0.05質量%〜3質量%、より好ましくは0.5質量%〜1.5質量%の割合で含む。
【0021】
本発明のコーティング、より特定すれば、カーテンコーティングは、顔料/充填剤を含んでもよい。このような顔料/充填剤は、既知のまたはコーティングに適した任意の顔料/充填剤であってもよく、より特定すれば紙のコーティングに使用される顔料/充填剤であってもよい。好ましくは、本発明のカーテンコーティングは、1種以上の顔料/充填剤、より特定すれば、TiO、CaCoおよびアルミノケイ酸塩から選択されるものを含む。
【0022】
本発明の(カーテン)コーティングが消泡剤成分を含有することが有用な可能性がある。原則的に、消泡剤の役割を果たし、カーテン安定化系の性能に悪影響があるとしても極僅かである物質はいずれも消泡剤成分として使用することができる。場合によって好適な消泡剤成分の例は、例えば、米国特許第5,804,099号、米国特許第6,353,068号、米国特許第6,858,663号、欧州特許第2094761号または独国特許出願第102008043032号などの文献に見ることができる。
【0023】
本発明のコーティングが消泡剤成分を含有する場合、消泡剤成分の割合は、コーティングの全組成に基づいて0.01質量%〜5質量%、好ましくは0.05質量%〜1.8質量%、より好ましくは0.5質量%〜1.0質量%である。
【0024】
本発明の(カーテン)コーティングは、好ましくは、25℃で150〜1200mPasの粘度を有する。粘度は、例えば、Brookfield粘度計を使用して測定することができる。
【0025】
本発明のカーテンコーティングは、紙(これはカードも包含するものと理解すべきである)をコーティングするのに特に有用である。特殊紙の製造に使用されるような、プラスチックまたは金属からなる箔(foil)もコートすることができる。原則的に、カーテンコーティング技術でコートできる基材(例えば、木材、金属、プラスチックなど)はいずれも適している。
【0026】
基材、特に、紙、木材、金属またはプラスチック、好ましくは、紙を、カーテンコーティングでコーティングするための、本発明により提供される加工法は、カーテン安定化のためにコーティングに本発明のカーテン安定化系が添加されることを特徴とする。
【0027】
カーテン安定化系は、好ましくは、カーテン安定化系の割合が、コーティングの全組成に基づいて0.01質量%〜6質量%、好ましくは0.05質量%〜3質量%、より好ましくは0.5質量%〜1.5質量%となるような量で添加される。
【0028】
消泡剤成分をカーテン安定化系と同様にコーティングに添加する場合、カーテンを安定化させるために本発明のカーテン安定化系を添加する前に、消泡剤成分をコーティングに添加することが有利である。消泡剤成分は、好ましくは、消泡剤成分の割合が、コーティングの全組成に基づいて0.01質量%〜5質量%、好ましくは0.05質量%〜0.8質量%、より好ましくは0.2質量%〜0.8質量%となるような量で添加される。
【0029】
消泡剤成分をカーテン安定化系と同様にコーティングに添加する場合、消泡処理工程後に初めてカーテン安定化系をコーティングに添加することが特に有利である。消泡処理工程は、例えば、最初に消泡剤成分をコーティングに添加し、均一に分散させることによって行うことができ、この脱泡の後、(新たに)空気が混入しないようにして安定化系を添加する。好ましくは、低速で攪拌すると同時に低速で流入させことによって安定化系を添加する。攪拌機を使用する代わりに、添加およびより特定すればその後の混合を、スタティックミキサーを使用して行うことが有利であり得る。
【0030】
他に、従来技術、例えば、TrefzおよびFrohlichによりTAPPI Journal, Vol.4, No.11, 2005に、またはSchweitzerによりPaper Techmology 45(2004)2、28-35頁に記載のようにカーテンコーティングを行ってもよい。これらの文献は、参照により本明細書に明示的に援用される。
【0031】
基材、特に紙に塗布されるカーテンコーティングのコート量は、好ましくは0.1〜800g/mの範囲、より好ましくは5〜400g/mの範囲、更により好ましくは8〜100g/mの範囲である。
【0032】
本発明の加工法に使用される基材または紙の速度は、好ましくは100〜1000m/分の範囲、より好ましくは200〜950m/分の範囲、更により好ましくは300〜800m/分の範囲であり得る。
【0033】
本発明のカーテン安定化系を使用することにより、0.3〜50g/m、特に5〜15g/mの低コート量および100〜1000m/分、好ましくは200〜950m/分、より好ましくは300〜800m/分の紙速度でも、安定なコーティングカーテンが得られるようにコーティング加工法を実施することができる。
【0034】
好ましい加工速度は、約700〜1000m/分の範囲である。この加工速度は好ましくは水性配合物を使用して達成され、これによって、乾燥後、コーティング13〜20g/mのコート量が得られる。
【0035】
カーテンコーティング加工法は、より特定すれば、一度に同時に2層以上を適用することによっても実施することができる。この場合、1つ、2つ以上または全てのコーティングカーテン、好ましくは全てのコーティングカーテンが、本発明のカーテン安定化系を含み得る。
【0036】
本発明のカーテンコーティングを用いたコーティングまたは本発明の加工法により、本発明によってコートされた基材が得られ、基材は、より特定すれば、紙、金属(箔)またはプラスチック(フィルム/シート)、好ましくは、紙であってもよい。
【0037】
コート基材(好ましくは、紙、金属(箔)またはプラスチック(フィルム/シート)、より好ましくは、紙)は、使用するコーティングに応じて、例えば、スリップ剤(slip)、ラミネーション接着剤または接着剤でコーティングされてもよい。
【0038】
本発明のコート基材(好ましくは、紙)は、包装材料、カードボード、装飾紙(decorative paper)、印画紙、ティッシュペーパー、印刷用紙および筆記用紙、粘着ラベルまたは接着フィルムとして、またはこれらに使用することができる。
【0039】
以下の実施例は本発明を例として記載しているが、本発明は実施例に記載の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲は本明細書全体および特許請求の範囲から明らかである。
【実施例】
【0040】
実施例1:本発明のカーテン安定化系の製造
表1a〜1cの組成を有するカーテン安定化系を製造した。使用した製品は、Evonik Goldschmidt GmbHから入手可能なLA 441ポリアクリレート、Evonik Goldschmidt GmbHから入手可能なTagat(登録商標)ME 90スルホコハク酸エステル、Evonik Goldschmidt GmbHから入手可能なTegosoft(登録商標)PC 41ポリグリセロールエステル、Evonik Goldschmidt GmbHから入手可能なLA W 1092 2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、Evonik Goldschmidt GmbHから入手可能なLA D 1075スチレンオキサイド含有ポリエーテル、Evonik Goldschmidt GmbHから入手可能な、カシュー油にEOおよびPOを添加することによって調製されたLA D 1305 EO/PO変性カシュー油、Evonik Goldschmidt GmbHから入手可能なLA 441変性ポリアクリレート、およびEvonik Goldschmidt GmbHから入手可能なBP 1825親水性ポリエーテルを含んだ。ZALP 0400は、アルキレンオキサイド単位としてエチレンオキサイド単位だけを含む分子量約400g/molのアリル開始メチレンエンドキャップポリエーテルであり、Evonik Goldschmidt GmbHから入手可能である。PPG 2290は、Evonik Goldschmidt GmbHから入手可能な、PO含有量90%および分子量約2200のプロピレングリコール開始ポリエーテルである。REWOPAL(登録商標)MPG 40は、Evonik Goldschmidt GmbH製のフェニルグリコールエーテルである。REWOPOL(登録商標)SBDO 75 PGは、Evonik Goldschmidt GmbH製のポリエーテルである。Tego(登録商標)Dispers 720は、Evonik Goldschmidt GmbH製のポリアクリレートである。ジイソブチルカルビノールは、Aldrich Deutschland GmbHからその名称で入手可能である。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
試験した本発明以外のカーテン安定剤系は、以下の通りである:
W1=Air Products製のSurfynol SEFアセチレンジオール誘導体
W2=Air Products製のSurfynol 104アセチレンジオール誘導体
W3=Byk Chemie GmbH(Wesel,Germany)製のBYK 3410アルコールアルコキシレート。
【0045】
実施例2:カーテンの安定性の試験
幅17cmの流延ヘッドを備えた実験装置でカーテンの状態を判定した。予め調製したコーティングスリップを流延ヘッドに圧送し、スロットダイを介してガイドプレートに向け、そこから(コーティング)カーテンを自由落下により流下させた。
【0046】
カーテンの安定性は、カーテンをガイドプレートの縁部から欠陥の発生箇所までcmで測定することによって判定した。欠陥は、例えば、カーテンの膜切れ、カーテンのフラッシュ(flashes)、エッジガイドからの分離、およびカーテンの収縮であることができる。
【0047】
カーテンコーティング(コーティングスリップ)は、まず、Omya製のHC 90 ME顔料100重量部、Polymer Latex製のLitex(登録商標)7110を15重量部、およびクラレ製のMowiol(登録商標)PVA 26-88を0.75重量部からなる9kgの量のコーティングスリップに、表1a〜表1cに報告するカーテン安定化系および比較の系W1〜W3を表2に報告する量で添加し、成分を互いに混合することによって製造した。配合物の構成成分である前記90 ME、Litex(登録商標)7110、およびMowiol(登録商標)PVA 26-88は、水性ポリマー分散体または水性顔料スラリーである。従って、配合物は、使用した原材料のうち水が大部分を占める。
【0048】
カーテン安定化系(VSS)の試験の結果およびパラメータを表2にまとめる。
【0049】
【表4】


【0050】
表2の結果から、本発明のカーテン安定化系(1〜30)により、比較製品(31W〜35W)よりも安定なカーテンが得られることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテン安定化系の全組成に基づいて、
A)炭素原子数6〜16のモノアルコールを0質量%〜50質量%、および
B)ポリ(メタ)アクリレートを0.1質量%〜70質量%、および
C)ポリエーテルを3質量%〜90質量%、および/または
D1)二官能性酸のエステルを0.5質量%〜60質量%、および/または
D2)ポリグリセロールエステルを0.5質量%〜70質量%、
含むことを特徴とする、カーテン安定化系。
【請求項2】
カーテン安定化系の全組成に基づいて、
A)炭素原子数6〜16のモノアルコールを0質量%〜50質量%、および
B)ポリ(メタ)アクリレートを0.1質量%〜70質量%、および
C)ポリエーテルを3質量%〜90質量%、および
D1)二官能性酸のエステルを0.5質量%〜60質量%、および/または
D2)ポリグリセロールエステルを0.5質量%〜70質量%、
含むことを特徴とする、請求項1に記載のカーテン安定化系。
【請求項3】
カーテン安定化系の全組成に基づいて、
A)炭素原子数6〜16のモノアルコールを0質量%〜50質量%、および
B)ポリ(メタ)アクリレートを0.1質量%〜70質量%、および
C)ポリエーテルを3質量%〜90質量%、および
D1)二官能性酸のエステルを0.5質量%〜60質量%、および
D2)ポリグリセロールエステルを0.5質量%〜70質量%、
含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のカーテン安定化系。
【請求項4】
カーテン安定化系の全組成に基づいて、
A)ノナノール、より好ましくは2,6−ジメチルヘプタン−4−オールを15質量%〜40質量%、および
B)アクリル酸、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートのモノマーから構成されたポリ(メタ)アクリレートを15質量%〜40質量%、および
C)分子量350〜500のエンドキャップされたポリエーテルであって、アルキレンオキサイド単位としてエチレンオキサイド単位だけを含むアリルアルコール開始ポリエーテル、または、炭素原子数5〜10のアルカノールを使用して開始されたポリエーテルであって、好ましくは2〜20個のスチレンオキサイド単位と5〜20個のエチレンオキサイド単位を含むポリエーテルを、15質量%〜40質量%、および
D1)スルホコハク酸エステルを15質量%〜40質量%、および/または、好ましくは、および、
D2)3〜6の重合度を有するポリグリセロールカプリン酸エステルを15質量%〜40質量%、
含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーテン安定化系。
【請求項5】
水、少なくとも1種のバインダ、および請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーテン安定化系を含有するカーテンコーティング。
【請求項6】
添加される前記カーテン安定化系の割合が、前記コーティングの全組成に基づいて、0.01質量%〜6質量%であることを特徴とする、請求項5に記載のカーテンコーティング。
【請求項7】
前記コーティングが、アルミノケイ酸塩、TiO、およびCaCOから選択される1種以上の顔料を含有することを特徴とする、請求項5または6に記載のカーテンコーティング。
【請求項8】
使用するコーティングが請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーテン安定化系を含有することを特徴とする、紙、木材、プラスチックおよび/または金属をカーテンコーティングする加工法。
【請求項9】
前記カーテンを安定化させるために、場合によっては消泡剤成分の添加後に、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーテン安定化系が前記コーティングに添加されることを特徴とする、請求項8に記載の加工法。
【請求項10】
前記カーテン安定化系の割合が前記コーティングの全組成に基づいて0.01質量%〜6質量%となるような量で前記カーテン安定化系が添加されることを特徴とする、請求項8または9に記載の加工法。
【請求項11】
前記カーテン安定化系が消泡処理工程後に前記コーティングに添加されることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の加工法。
【請求項12】
請求項5〜7のいずれか1項に記載のコーティングでコーティングすることによって、または請求項8〜11のいずれか1項に記載の加工法によって得ることができるコート基材。
【請求項13】
包装材料、カードボード、装飾紙、印画紙、ティッシュペーパー、印刷用紙および筆記用紙、粘着ラベルまたは接着フィルムとしての請求項12に記載のコート基材の使用。

【公開番号】特開2011−195838(P2011−195838A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−60122(P2011−60122)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】