説明

製膜装置、及び製膜方法

【課題】製膜の際よりも、吐出不良検査の際は吐出ヘッドからの吐出数が少ないことに起因して、不良が検出され難くなることを抑制することができる製膜装置、及び製膜方法を提供する。
【解決手段】製膜装置は、吐出ヘッドと、被製膜媒体を保持する媒体保持手段と、吐出ヘッドと媒体保持手段とを相対移動させる相対移動手段と、を備え、吐出ヘッドと媒体保持手段とを相対移動させるとともに、吐出ヘッドから媒体保持手段に保持された被製膜媒体に向けて液状体を吐出する吐出走査によって、被製膜媒体上に膜を形成する製膜装置であって、吐出ヘッドから検査吐出した液状体を着弾させる検査着弾媒体を保持する検査媒体保持手段と、吐出ヘッドと検査媒体保持手段とを相対移動させる検査相対移動手段と、を備え、検査媒体保持手段は、検査相対移動手段による相対移動方向の長さが、媒体保持手段の相対移動手段による相対移動方向の長さより長いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被製膜媒体上に液状体を配置し、当該液状体を固化させることによって、被製膜媒体上に膜を形成する製膜装置、及び製膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出し、任意の位置に精度よく着弾させることによって、任意の位置に任意の量の液状体を配置するインクジェット装置が知られている。このようなインクジェット装置は、配置した液状体を固化させることによって、精密な形状を有する機能膜や、精細な画像などを形成することができる製膜装置として用いられる。精密な形状を有する機能膜や、精細な画像は、吐出する液滴の重量や吐出された液滴の着弾位置を適切に維持することで、形成することができる。そのような精密な吐出を維持するために、吐出の状態の検査が実施されている。
【0003】
特許文献1に開示された液滴吐出装置は、セットテーブルにセットしたワークに対して、機能液滴吐出ヘッドを搭載したヘッドユニットを主走査方向に相対移動させながら、機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動させることにより、ワークに描画を行う液滴吐出装置において、機能液滴吐出ヘッドの吐出不良を検査するための吐出不良検査ユニットを備え、吐出不良検査ユニットは、機能液滴吐出ヘッドからの検査吐出により、所定の検査パターンが描画される被描画ユニットと、描画された検査パターンを撮像して画像認識し吐出不良を判断する吐出不良判断手段と、を有し、被描画ユニットは、セットテーブルから主走査方向に外れた主走査移動軸上に配設されている。これにより、特許文献1に開示された液滴吐出装置は、効率的にドット抜け検出を行うことができ、ドット抜け検出のサイクルタイムを削減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−274068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された液滴吐出装置においては、ワークに対する吐出にくらべて、吐出不良検査において検査パターンを描画する際の吐出は、機能液吐出ヘッドからの吐出数が少なくならざるを得ない。このため、ワークに対して描画を実施する場合に、一定以上の数の吐出をすることで出現し易くなるような不良は、吐出不良検査においては、検出されない可能性が高いという課題があった。すなわち、描画を実施する際の欠陥を、確実に検出できない可能性があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる製膜装置は、液状体を吐出する吐出ヘッドと、被製膜媒体を保持する媒体保持手段と、前記吐出ヘッドと前記媒体保持手段とを相対移動させる相対移動手段と、を備え、前記相対移動手段によって前記吐出ヘッドと前記媒体保持手段とを相対移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記媒体保持手段に保持された前記被製膜媒体に向けて前記液状体を吐出する吐出走査を実施することによって、前記被製膜媒体上に膜を形成する製膜装置であって、前記吐出ヘッドから検査吐出した前記液状体を着弾させる検査着弾媒体を保持する検査媒体保持手段と、前記吐出ヘッドと前記検査媒体保持手段とを相対移動させる検査相対移動手段と、を備え、前記検査媒体保持手段は、前記検査相対移動手段による相対移動方向の長さが、前記媒体保持手段の前記吐出走査における前記相対移動手段による相対移動方向の長さより長いことを特徴とする。
【0008】
本適用例にかかる製膜装置によれば、検査媒体保持手段は、検査相対移動手段による相対移動方向の長さが、媒体保持手段の吐出走査における相対移動方向の長さより長い。この構成により、検査媒体保持手段によって保持される検査着弾媒体の、検査相対移動手段による相対移動方向の長さを、媒体保持手段によって保持される被製膜媒体の吐出走査における相対移動方向の長さより、長くすることができる。すなわち、検査吐出して検査着弾媒体に着弾させる範囲の長さを、吐出走査において被製膜媒体に着弾させる範囲の長さより、長くすることができる。これにより、検査吐出において描画できるパターンが吐出走査において描画するパターンより短いことに起因して、吐出走査を実施する場合に、一定以上の長さの範囲に吐出をすることで出現し易くなるような欠陥を検出し難くなることを抑制することができる。
【0009】
[適用例2]本適用例にかかる製膜装置は、液状体を吐出する吐出ヘッドと、被製膜媒体を保持する媒体保持手段と、前記吐出ヘッドと前記媒体保持手段とを相対移動させる相対移動手段と、を備え、前記相対移動手段によって前記吐出ヘッドと前記媒体保持手段とを相対移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記媒体保持手段に保持された前記被製膜媒体に向けて前記液状体を吐出する吐出走査を実施することによって、前記被製膜媒体上に膜を形成する製膜装置であって、検査吐出した前記液状体を着弾させる検査着弾媒体と、前記吐出ヘッドと前記検査着弾媒体とを相対移動させる検査相対移動手段と、を備え、前記検査着弾媒体は、前記検査相対移動手段による相対移動方向の長さが、前記媒体保持手段によって保持可能な前記被製膜媒体の前記吐出走査における前記相対移動手段による相対移動方向の長さより長いことを特徴とする。
【0010】
本適用例にかかる製膜装置によれば、検査着弾媒体は、検査相対移動手段による相対移動方向の長さが、媒体保持手段によって保持可能な被製膜媒体の吐出走査における相対移動方向の長さより長い。この構成により、検査吐出して検査着弾媒体に着弾させる範囲の長さを、吐出走査において被製膜媒体に着弾させる範囲の長さより、長くすることができる。これにより、検査吐出において描画できるパターンが吐出走査において描画するパターンより短いことに起因して、吐出走査を実施する場合に、一定以上の長さの範囲に吐出をすることで出現し易くなるような欠陥を検出し難くなることを抑制することができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかる製膜装置は、前記相対移動手段が、前記検査相対移動手段を兼ねることが好ましい。
【0012】
この製膜装置によれば、相対移動手段は、検査相対移動手段としても機能する。これにより、相対移動手段と検査相対移動手段とをそれぞれ設ける構成にくらべて、製膜装置を小型にすることができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかる製膜装置は、前記被製膜媒体及び前記検査着弾媒体に紫外線を照射することが可能な紫外線照射手段をさらに備え、前記液状体が、紫外線硬化型の機能液であることが好ましい。
【0014】
この製膜装置によれば、紫外線照射手段を備え、紫外線硬化型の機能液を吐出して、膜を形成する。紫外線硬化型の機能液を使用する製膜装置においては、吐出されて着弾した機能液が流動することを抑制するために、硬化用の紫外線照射手段を吐出ヘッドの近くに設ける構成が多く採用されている。吐出走査の長さが長くなることで、硬化用の光が吐出ヘッドの近くに照射されている時間が長くなり、硬化用の光が吐出ヘッドに影響を与える可能性が高くなる。したがって、吐出する液状体が紫外線硬化型の機能液である場合に、検査吐出において描画できるパターンが吐出走査において描画するパターンより短いことに起因して、吐出走査を実施する場合に一定以上の長さの範囲に吐出をすることで出現し易くなるような欠陥を検出し難くなることを抑制することができることは、非常に有益である。
【0015】
[適用例5]本適用例にかかる製膜方法は、液状体を吐出する吐出ヘッドと、被製膜媒体を保持する媒体保持手段と、を相対移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記媒体保持手段に保持された前記被製膜媒体に向けて前記液状体を吐出する吐出走査工程と、前記吐出ヘッドと、検査用媒体と、を相対移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記検査用媒体に向けて前記液状体を吐出する検査吐出走査工程と、を有し、前記検査吐出走査工程における相対移動距離が、前記吐出走査工程における相対移動距離と等しい又は当該相対移動距離より長く、前記検査吐出走査工程における前記吐出ヘッドからの吐出数が、前記吐出走査工程における吐出数と等しい又は当該吐出数より多いことを特徴とする。
【0016】
本適用例にかかる製膜方法によれば、検査吐出走査工程における相対移動距離が、吐出走査工程における相対移動距離以上であり、検査吐出走査工程における吐出ヘッドからの吐出数が、記吐出走査工程における吐出数以上である。これにより、検査吐出走査工程において描画できるパターンが吐出走査工程において描画するパターンより短いことに起因して、吐出走査工程を実施する場合に、一定以上の長さの範囲に吐出を実施することで出現し易くなるような欠陥を検出し難くなることを抑制することができる。また、検査吐出走査工程において吐出する吐出数が吐出走査工程において吐出する吐出数より少ないことに起因して、吐出走査工程を実施する場合に、一定数以上の数の吐出を実施することで出現し易くなるような欠陥を検出し難くなることを抑制することができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかる製膜方法は、前記検査吐出走査工程において、前記吐出走査工程において形成する膜の平面形状と同じ平面形状を有する検査用膜を形成する吐出を実施することが好ましい。
【0018】
この製膜方法によれば、検査吐出走査工程において、吐出走査工程において形成する前記膜の平面形状と同じ平面形状を有する検査用膜を形成する吐出を実施する。これにより、吐出走査工程において膜を形成するための吐出を実施することで出現する欠陥が検査吐出走査工程において出現する可能性を高くすることができる。
【0019】
[適用例7]上記適用例にかかる製膜方法は、前記検査吐出走査工程において、前記検査用膜及び追加の検査用膜を有する拡大検査用膜を形成する吐出を実施することが好ましい。
【0020】
この製膜方法によれば、検査吐出走査工程において、検査用膜及び追加の検査用膜を有する拡大検査用膜を形成するため、吐出走査工程において形成する膜と同じ平面形状の検査用膜を形成する吐出に加えて、追加の検査用膜を形成する吐出を実施する。検査吐出走査工程において、吐出走査工程より多く吐出することで、一定以上の長さの範囲に吐出を実施することで出現し易くなるような欠陥をより検出し易くすることができる。
【0021】
[適用例8]上記適用例にかかる製膜方法は、前記液状体が、紫外線硬化型の機能液であることが好ましい。
【0022】
この製膜方法によれば、紫外線硬化型の機能液を吐出して、膜を形成する。紫外線硬化型の機能液を使用する製膜装置においては、吐出されて着弾した機能液が流動することを抑制するために、硬化用の光源を吐出ヘッドの近くに設ける構成が多く採用されている。吐出走査の長さが長くなることで、硬化用の光が吐出ヘッドの近くに照射されている時間が長くなり、硬化用の光が吐出ヘッドに影響を与える可能性が高くなる。したがって、吐出する液状体が紫外線硬化型の機能液である場合に、検査吐出において描画できるパターンが吐出走査において描画するパターンより短いことに起因して、吐出走査を実施する場合に、一定以上の長さの範囲に吐出をすることで出現し易くなるような欠陥を検出し難くなることを抑制することができることは、非常に有益である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は、液滴吐出装置の全体構成の概略を示す斜視図。(b)は、全体構成の概略を示す平面図。
【図2】(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図。(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図。(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図。
【図3】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
【図4】(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図。(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(c)は、液滴を主走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図。
【図5】(a)は、半導体パッケージに描画されたマーキング画像を示す説明図。(b)は、半導体パッケージが保持板上に整列させられた状態を示す説明図。
【図6】(a)は、マーキング画像を示す説明図。(b)、(c)、(d)、及び(e)は、検査用画像の形状例を示す説明図。
【図7】(a)は、検査描画ユニットの概略構成を示す平面図。(b)は、検査描画ユニットの概略構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、製膜装置、及び製膜方法について、図面を参照して説明する。本実施形態は、液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドを用いて、被描画媒体上に画像を描画する液滴吐出装置を用いて実施するマーキングを例に説明する。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと被描画媒体とを相対移動させると共に、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液の液滴を吐出して、被描画媒体上の所定の位置に着弾させることによって、所定の画像を形成する装置である。機能液は、例えば紫外線を照射することによって硬化する紫外線硬化型の機能液を用いる。
なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
液滴吐出装置が、製膜装置に相当する。被描画媒体が、被製膜媒体に相当する。機能液が、液状体に相当する。
【0025】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出装置1の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の全体構成の概略を示す説明図である。図1(a)は、液滴吐出装置の全体構成の概略を示す斜視図であり、図1(b)は、全体構成の概略を示す平面図である。
【0026】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッド機構部2と、媒体機構部3と、撮像ユニット4と、保守装置部5とを備えている。ヘッド機構部2は、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド20を有している。液滴吐出装置1は、また、図示省略した機能液供給部や、吐出装置制御部を備えている。液滴吐出ヘッド20が吐出する機能液は、機能液供給部から液滴吐出ヘッド20に供給される。吐出装置制御部は、上記した各機構部などを総括的に制御する。液滴吐出ヘッド20が、吐出ヘッドに相当する。
【0027】
ヘッド機構部2は、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、ヘッドユニット21が吊設されたヘッドキャリッジ22と、ヘッドキャリッジ22をY軸方向に移動させるヘッド走査機構62とを、備えている。
【0028】
ヘッド走査機構62は、支持柱63と、支持梁64と、ガイド部66と、駆動モーター67と、駆動プーリー67aと、従動プーリー67bと、ベルト62aと、リニアスケール68と、を備えている。
支持梁64は、2つの支持柱63に掛け渡されるように設けられ、Y軸方向に延在している。ガイド部66は、支持梁64に固定されており、Y軸方向に延在している。駆動モーター67は、支持梁64のY軸方向における一方の端近くで、支持梁64に固定されている。駆動モーター67の出力軸には、駆動プーリー67aが固定されており、駆動プーリー67aが、駆動モーター67によって回動駆動される。従動プーリー67bは、支持梁64のY軸方向における、駆動モーター67が固定された端と反対側の端近くで、支持梁64に、回動可能に固定されている。従動プーリー67bの回動軸の軸方向は、駆動プーリー67aの回動軸(駆動モーター67の出力軸)の軸方向と、略平行である。ベルト62aは、駆動プーリー67aと従動プーリー67bとの間に掛け渡されており、駆動プーリー67aが回動することによって、駆動される。ベルト62aは、ガイド部66と並行してY軸方向に延在している。リニアスケール68は、支持梁64に固定されており、ガイド部66と略平行にY軸方向に延在している。
【0029】
ベルト62aには、ヘッドキャリッジ22が固定されている。ヘッドキャリッジ22は、ガイド部66に、Y軸方向に摺動自在に係合している。ヘッドキャリッジ22は、駆動モーター67によってベルト62aが駆動させられることによって、ガイド部66に沿ってY軸方向に駆動される。ヘッドキャリッジ22のY軸方向の位置は、リニアスケール68によって検出される。
ヘッドキャリッジ22を、ヘッド走査機構62によってY軸方向に移動させることで、ヘッドキャリッジ22に吊設されたヘッドユニット21が有する液滴吐出ヘッド20を、Y軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。ヘッド走査機構62が、相対移動手段に相当する。
【0030】
媒体機構部3は、媒体載置台31と、スライド台31aと、検査媒体保持台37と、スライド台37aと、媒体移動機構33と、を備えている。
媒体移動機構33は、X軸ガイド35とX軸リニアモーター(図示省略)と、を備えている。X軸ガイド35は、2つの支持柱63の間で、支持梁64の下方に配設されており、Y軸方向と直交するX軸方向に略平行に延在している。
スライド台31a及びスライド台37aは、X軸方向に摺動自在に、X軸ガイド35に支持されている。X軸リニアモーターは、X軸ガイド35と略平行に配設されており、スライド台31a及びスライド台37aは、X軸リニアモーターによって、X軸方向に移動させられる。また、移動した任意の位置に保持させられる。スライド台31a及びスライド台37aは、それぞれ個別に移動又は保持することができる。
媒体載置台31は、図示省略した媒体回動機構によって、X軸方向及びY軸方向と直交するZ軸方向に平行な軸まわりの方向に回動可能に、スライド台31aの上に固定されて、支持されている。検査媒体保持台37は、スライド台37aの上に固定されて、支持されている。
【0031】
媒体移動機構33によって、スライド台31a又はスライド台37aをX軸方向に移動させることで、スライド台31a又はスライド台37aに固定されて支持された媒体載置台31又は検査媒体保持台37を、X軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。すなわち、媒体載置台31又は検査媒体保持台37に保持された被描画媒体又は検査用媒体を、X軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。検査用媒体は、吐出検査のために吐出した機能液の液滴を着弾させる媒体である。
図1(b)に示すように、検査媒体保持台37のY軸方向の幅(長さ)は、媒体載置台31のY軸方向の幅(長さ)より、広く(長く)なっている。検査媒体保持台37には、Y軸方向において媒体載置台31によって保持可能な被描画媒体より幅が広い(長い)検査用媒体を、保持させることができる。
媒体載置台31が、媒体保持手段に相当する。検査媒体保持台37が、検査媒体保持手段に相当する。検査用媒体が、検査着弾媒体に相当する。
【0032】
ヘッド機構部2のヘッドキャリッジ22に吊設されたヘッドユニット21が有する液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25(図2参照)を下側に向けて、保持されている。媒体載置台31又は検査媒体保持台37に保持された被描画媒体又は検査用媒体を、X軸方向の液滴吐出ヘッド20が対向可能な位置まで移動して停止し、上方にある液滴吐出ヘッド20(ヘッドユニット21)のY軸方向の移動に同調して、機能液を液滴として吐出する。X軸方向に移動する被描画媒体又は検査用媒体と、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド20とを相対的に制御することにより、被描画媒体又は検査用媒体上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する平面形状の描画を実施することが可能である。
ヘッド走査機構62が、相対移動手段に相当するとともに、検査相対移動手段に相当する。
ヘッドユニット21において、液滴吐出ヘッド20のY軸方向の両側には、紫外線硬化型機能液を仮硬化させるための紫外線照射部95が、1つずつ設けられている。機能液として紫外線硬化型機能液を用いて描画した画像を、紫外線照射部95を用いて硬化させることができる。
【0033】
撮像ユニット4は、撮像カメラ41と、撮像カメラ41をY軸方向に移動可能に保持するカメラ移動機構42とを、備えている。カメラ移動機構42は、ヘッド走査機構62と同様の構成を有し、媒体移動機構33の上方で略Y軸方向に延在している。カメラ移動機構42は、ヘッド走査機構62がヘッドキャリッジ22を移動させる構成と同様の構成によって、撮像カメラ41を、Y軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した任意の位置に保持することができる。
撮像カメラ41は、下方を撮像可能にカメラ移動機構42に保持されている。検査媒体保持台37に保持された検査用媒体を、X軸方向の撮像カメラ41に臨む位置まで移動して停止し、上方にある撮像カメラ41によって撮影することで、検査用媒体上に着弾した液滴の画像を取得することが可能である。
【0034】
保守装置部5は、各種保守装置を備えている。保守装置は、液滴吐出ヘッド20の各種の保守を実施する装置である。液滴吐出ヘッド20の保守を実施する際には、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)が、Y軸走査機構を用いて保守装置部5に臨む位置に移動させられ、保守作業が実施される。
【0035】
<液滴吐出ヘッド>
次に、液滴吐出ヘッド20について、図2を参照して説明する。図2は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図である。図2(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図であり、図2(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図であり、図2(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図である。図2に示したX軸、及びZ軸は、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態において、図1に示したX軸、及びZ軸と一致している。
【0036】
図2(a)に示したように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25を備えている。ノズル基板25には、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aが2列形成されている。吐出ノズル24から機能液を液滴として吐出し、対向する位置にある描画対象物などに着弾させることで、当該位置に機能液を配置する。ノズル列24Aは、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態で、図1に示したX軸方向に延在している。ノズル列24Aにおいて吐出ノズル24は等間隔のノズルピッチで並んでおり、2列のノズル列24A間で、吐出ノズル24の位置がX軸方向に半ノズルピッチずれている。したがって、液滴吐出ヘッド20としては、X軸方向に半ノズルピッチ間隔で機能液の液滴を配置することができる。ノズルピッチは、例えば140μmであり、半ノズルピッチは、70μmである。
【0037】
図2(b)及び(c)に示すように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25に圧力室プレート51が積層されており、圧力室プレート51に振動板52が積層されている。
圧力室プレート51には、液滴吐出ヘッド20に供給される機能液が常に充填される液たまり55が形成されている。液たまり55は、振動板52と、ノズル基板25と、圧力室プレート51の壁とに囲まれた空間である。機能液は、機能液供給部から液滴吐出ヘッド20に供給され、振動板52の液供給孔53を経由して液たまり55に供給される。また、圧力室プレート51には、複数のヘッド隔壁57によって区切られた圧力室58が形成されている。振動板52と、ノズル基板25と、2個のヘッド隔壁57とによって囲まれた空間が圧力室58である。
【0038】
圧力室58は吐出ノズル24のそれぞれに対応して設けられており、圧力室58の数と吐出ノズル24の数とは同じである。圧力室58には、2個のヘッド隔壁57の間に位置する供給口56を経由して、液たまり55から機能液が供給される。ヘッド隔壁57と圧力室58と吐出ノズル24と供給口56との組は、液たまり55に沿って1列に並んでおり、1列に並んだ吐出ノズル24がノズル列24Aを形成している。図2(b)では図示省略したが、図示した吐出ノズル24を含むノズル列24Aに対して液たまり55に関して略対称位置に、1列に並んで配設された吐出ノズル24がもう1列のノズル列24Aを形成している。当該ノズル列24Aに対応するヘッド隔壁57と圧力室58と供給口56との組が、1列に並んでいる。
【0039】
振動板52の圧力室58を構成する部分には、それぞれ圧電素子59の一端が固定されている。圧電素子59の他端は、固定板(図示省略)を介して液滴吐出ヘッド20全体を支持する基台(図示省略)に固定されている。
圧電素子59は、電極層と圧電材料とを積層した活性部を有している。圧電素子59は、電極層に駆動電圧を印加することで、活性部が長手方向(図2(b)又は(c)における振動板52の厚さ方向)に縮む。電極層に印加されていた駆動電圧が解除されることで、活性部が元の長さに戻る。
【0040】
電極層に駆動電圧が印加されて、圧電素子59の活性部が縮むことで、圧電素子59の一端が固定された振動板52が圧力室58と反対側に引張られる力を受ける。振動板52が圧力室58と反対側に引張られることで、振動板52が圧力室58の反対側に撓む。これにより、圧力室58の容積が増加することから、機能液が液たまり55から供給口56を経て圧力室58に供給される。次に、電極層に印加されていた駆動電圧が解除されると、活性部が元の長さに戻ることで、圧電素子59が振動板52を押圧する。振動板52が押圧されることで、圧力室58側に戻る。これにより、圧力室58の容積が急激に元に戻る。すなわち増加していた容積が減少することから、圧力室58内に充填されていた機能液に圧力が加わり、当該圧力室58に連通して形成された吐出ノズル24から機能液が液滴となって吐出される。
【0041】
<ヘッドユニット>
次に、ヘッド機構部2が備えるヘッドユニット21の概略構成について、図3を参照して説明する。図3は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図3に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。
【0042】
図3に示したように、ヘッドユニット21は、ユニットプレート23と、ユニットプレート23に搭載された9個の液滴吐出ヘッド20と、を有している。ヘッドユニット21は、また、2個の紫外線照射部95を有している。
液滴吐出ヘッド20は、図示省略したヘッド保持部材を介してユニットプレート23に固定されている。固定された液滴吐出ヘッド20は、ヘッド本体がユニットプレート23に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル基板25が、ユニットプレート23の面より突出した位置に位置している。図3は、ノズル基板25の側から見た図である。9個の液滴吐出ヘッド20は、X軸方向に分かれて、それぞれ3個ずつの液滴吐出ヘッド20を有するヘッド組20Aを3群、形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド20のノズル列24Aは、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、X軸方向に延在している。
【0043】
液滴吐出ヘッド20は、X軸方向において、互いに隣り合う液滴吐出ヘッド20の、一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が半ノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。一つのヘッドユニット21が備える9個の液滴吐出ヘッド20のY軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル24は、X軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。すなわち、Y軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド20が有するそれぞれのノズル列24Aを構成する吐出ノズル24から吐出された液滴は、設計上では、X軸方向に半ノズルピッチの等間隔に並んで一直線上に着弾する。
ノズル列24Aは、例えば180個の吐出ノズル24を有しており、液滴吐出ヘッド20は、360個の吐出ノズル24を有している。9個の液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21は、3240個の吐出ノズル24を有している。一つのヘッドユニット21が備える9個の液滴吐出ヘッド20が有する18列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列を「ユニットノズル列240A」と表記する。ユニットノズル列240Aは、3240個の吐出ノズル24を有している。ユニットノズル列240Aのそれぞれの吐出ノズル24から一滴ずつ吐出させて、Y軸方向が同じ位置になるように着弾させると、3240個の点が半ノズルピッチのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
【0044】
紫外線照射部95は、支持枠(図示省略)と、UVLED(Ultraviolet Light Emitting Diode)96と、LED筐体97と、を備えている。UVLED96は、紫外線を射出するLEDである。
LED筐体97は、ユニットプレート23のY軸方向の側面に支持枠を介して固定されている。LED筐体97は、略直方体形状の外形を有し、内部に略直方体形状で一面が開口した筐体室が形成されている。筐体室は、媒体載置台31又は検査媒体保持台37に臨む側が開口している。筐体室には、UVLED96が、開口側に紫外線を射出する状態で固定されている。複数のUVLED96が、X軸方向に並んで配設されている。複数のUVLED96は、X軸方向において、ヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20が機能液を配置可能な幅を包含する範囲に、紫外線を照射することができる。
紫外線照射部95が、紫外線照射手段に相当する。
【0045】
上述したように、紫外線照射部95は、Y軸方向(吐出走査方向)において、9個の液滴吐出ヘッド20を挟んで両側に、9個の液滴吐出ヘッド20に関して略対称な状態で、配設されている。
ヘッドユニット21がY軸方向に走査されて機能液を吐出する際には、液滴吐出ヘッド20に並んで配設されたUVLED96から、略並行して、紫外線を照射させる。
走査方向において、ヘッドユニット21の後側に位置するUVLED96から紫外線を照射することで、吐出されて着弾させられた機能液に、着弾した直後に紫外線を照射することができる。機能液に紫外線を照射することで、機能液を硬化させることができる。機能液の硬化率に影響を及ぼす要因は、走査速度、UVLED96の照射領域のY軸方向における幅、UVLED96の照射強度、などである。これらの要因について、適切な値に設定することで、着弾させられた機能液を適切な硬化率に硬化させることができる。
【0046】
<着弾位置>
次に、液滴吐出ヘッド20の吐出ノズル24と、それぞれの吐出ノズル24から吐出された液滴の着弾位置と、の関係について、図4を参照して説明する。図4は、吐出ノズルと、それぞれの吐出ノズルから吐出された液滴の着弾位置と、の関係を示す説明図である。図4(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図であり、図4(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図4(c)は、液滴を吐出走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図4(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図である。図4に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。Y軸方向が吐出走査方向であって、図4に示した矢印aの方向に吐出ノズル24(液滴吐出ヘッド20)を相対移動させながら、任意の位置において機能液の液滴を吐出することによって、Y軸方向の任意の位置に液滴を着弾させることができる。
【0047】
図4(a)に示すように、ノズル列24Aを構成する吐出ノズル24は、X軸方向にノズルピッチPの中心間距離で配列されている。上述したように、2列のノズル列24Aをそれぞれ構成する吐出ノズル24同士は、X軸方向において、相互に、ノズルピッチPの1/2ずつ位置がずれている。
【0048】
図4(b)に示すように、着弾位置を示す着弾点91と、着弾した液滴の濡れ広がり状態を示す着弾円91Aとで、着弾した1滴の液滴の状態を示している。2列のノズル列24Aの全部の吐出ノズル24から、図4(b)に二点鎖線で示した仮想線L上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの1/2の中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が形成される。
【0049】
図4(c)に示すように、一つの吐出ノズル24から連続して液滴を吐出させることによって、Y軸方向に着弾円91Aが連なる直線が形成される。Y軸方向における着弾点91間の中心間距離の最小値を、最小着弾距離dと表記する。最小着弾距離dは、吐出走査方向の相対移動速度と、吐出ノズル24の最小吐出間隔との積である。
【0050】
図4(d)に示すように、二点鎖線で示した仮想線L1,L2,L3上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの1/2の中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が、Y軸方向に並列した着弾面が形成される。図4(d)に示した仮想線L1,L2,L3間の距離が最小着弾距離dの場合のそれぞれの着弾点91が、液滴吐出装置1によって機能液の液滴を配置可能な位置である。
【0051】
画像の描画に際しては、画像の情報に従って、図4(d)に示したそれぞれの着弾点91の位置について、液滴を配置する位置を定める。例えば、当該配置位置、及び配置位置に液滴を吐出する吐出ノズル24を指定した配置表を形成し、配置表に従って機能液を着弾させることによって、画像の情報によって規定される画像を描画する。なお、図4(d)に示した例では、着弾円91Aの間に隙間が存在するが、ノズルピッチPや最小着弾距離dに対して、吐出する液滴の1滴あたりの吐出重量を適切に定めることによって、隙間なく機能液を配置することが可能である。
【0052】
<被描画媒体>
次に、被描画媒体について、図5を参照して説明する。本実施形態では、半導体パッケージにマーキング用のマーキング画像を形成する場合を例にして説明する。図5は、半導体パッケージと、半導体パッケージに描画されたマーキング画像とを示す説明図である。図5(a)は、半導体パッケージに描画されたマーキング画像を示す説明図であり、図5(b)は、半導体パッケージが保持板上に整列させられた状態を示す説明図である。
【0053】
図5(a)に示した、半導体パッケージ70は、フリップチップ接続で実装するパッケージである。バンプが形成された面の反対側の面にマーキング画像71が描画されている。マーキング画像71は、例えば、ロゴマーク、製品名称、製品型番、ロット番号などである。マーキング画像71は、平面視で上記ロゴマークなどの形状を有する膜で形成されている。当該膜は、膜の材料を含む機能液を、半導体パッケージ70上の定められた位置に着弾させ、着弾した機能液を固化させることで形成する。マーキング画像71が形成された半導体パッケージ70を、半導体パッケージ70Aと表記する。
図5(b)に示したように、半導体パッケージ70を保持板72の上に整列させて仮固定し、マーキング用体73を構成する。図5(b)に示した例では、マーキング用体73には、240個の半導体パッケージ70が含まれている。240個の半導体パッケージ70は、X軸方向に12行、Y軸方向に20列に配列させられている。マーキング用体73を、液滴吐出装置1の媒体載置台31に載置して、マーキング画像71の描画を実施する。図5(b)に示した例では、X軸方向に12行、Y軸方向に20列に配列させられた240個のマーキング画像71を含むマーキング画像71Aを、マーキング用体73上に形成する。
マーキング用体73が、被描画媒体であって、被製膜媒体に相当する。マーキング画像71Aを構成する膜が、膜に相当する。
【0054】
<検査用画像>
次に、マーキング画像71Aを形成する吐出走査工程を実施する際に、予め実施する検査吐出走査工程において形成する検査用画像について、図6を参照して説明する。図6は、検査用画像の形状例を示す説明図である。図6(a)は、マーキング画像を示す説明図であり、図6(b)、図6(c)、図6(d)、及び図6(e)は、検査用画像の形状例を示す説明図である。
【0055】
図6(a)に示したマーキング画像71Aは、上述したように、240個のマーキング画像71を含んでいる。マーキング用体73にマーキング画像71Aを描画することで、マーキング用体73が有する240個の半導体パッケージ70のそれぞれに、マーキング画像71が形成される。
【0056】
吐出走査工程を実施する際には、マーキング用体73を、上述した媒体載置台31上に供給する。媒体載置台31は、吐出装置制御部からの指令にしたがって、吸着装置などの保持手段によって、供給されたマーキング用体73を保持する。マーキング用体73は、図6(a)に示したX軸方向及びY軸方向が、図1に示したX軸方向又はY軸方向と略一致する方向で、媒体載置台31に保持される。
媒体移動機構33によって、スライド台31aをX軸方向に移動させることで、スライド台31aに固定されて支持された媒体載置台31を、X軸方向に移動させて、媒体載置台31に保持されたマーキング用体73を、X軸方向に移動させる。媒体移動機構33によって、スライド台31aを保持することで、マーキング用体73がX軸方向においてヘッドユニット21に臨む位置に、媒体載置台31を保持する。
ヘッド走査機構62によってヘッドユニット21(ヘッドキャリッジ22)を走査させるとともに、ヘッドユニット21が備える液滴吐出ヘッド20から、指定された位置に向けて、機能液の液滴を吐出して、吐出走査工程を実施する。1回の吐出走査で、X軸方向におけるユニットノズル列240Aが対向可能な範囲に液滴を着弾させて、マーキング画像71を形成する。
【0057】
図6(b)に示した検査用画像81Aは、検査用シート86に描画されている。検査用画像81Aは、4個の検査画像体81を含んでいる。図6(b)に示したX軸方向及びY軸方向は、図1に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。検査用シート86は、図6(b)に示したX軸方向及びY軸方向が、図1に示したX軸方向又はY軸方向と略一致する方向で、検査媒体保持台37に保持される。検査用シート86が、検査用媒体であって、検査着弾媒体に相当する。
【0058】
検査用シート86は、Y軸方向の長さが、保持板72(マーキング用体73)より長くなっている。Y軸方向において、マーキング用体73には、20列の半導体パッケージ70が配列させられているのに対して、検査用シート86には、24列のマーキング画像71を描画することが可能である。X軸方向において、検査用シート86には、4行のマーキング画像71を描画することが可能である。4行のマーキング画像71を描画することが可能な幅は、ユニットノズル列240Aによって、1回の吐出走査において描画可能な範囲である。
上述したように、検査媒体保持台37のY軸方向の幅(長さ)は、媒体載置台31のY軸方向の幅(長さ)より、広く(長く)なっている。検査媒体保持台37には、Y軸方向において媒体載置台31によって保持可能な被描画媒体より幅が広い(長い)検査用媒体を、保持させることができる。検査媒体保持台37は、Y軸方向の長さがマーキング用体73より長い検査用シート86であっても、保持することが可能である。
【0059】
検査用画像81Aは、4個の検査画像体81を含んでいる。検査画像体81は、X軸方向の幅が、1個のマーキング画像71のX軸方向の幅相当の幅である。検査画像体81は、Y軸方向の長さが、マーキング画像71Aにおけるマーキング画像71の配列と同様にマーキング画像71を配列させて、24個のマーキング画像71の幅相当の長さである。検査用画像81Aにおいて、4個の検査画像体81は、X軸方向の相対位置が、マーキング画像71Aにおける、マーキング画像71のX軸方向の相対位置と略同等に、配列されている。
検査画像体81は、図4(d)を参照して説明したような、1回の吐出走査において、ノズル列24Aの吐出ノズル24によって着弾させることが可能な全ての着弾点91に着弾させることによって形成できる画像である。したがって、検査画像体81は、マーキング画像71Aにおけるマーキング画像71を描画するために吐出を実施する吐出ノズル24に、吐出可能な全ての吐出タイミングにおいて吐出を実施させることによって、形成できる。
検査用画像81Aは、ユニットノズル列240Aにおける、マーキング画像71Aを描画する際の1回の吐出走査において吐出を実施する吐出ノズル24に、吐出可能な全ての吐出タイミングにおいて吐出を実施させることによって、形成できる。
【0060】
図6(c)に示した検査用画像82Aは、上述した検査用画像81Aとは構成が異なり、96個の検査画像体82を含んでいる。検査用画像82Aは、図6(b)に示した検査用シート86と同じ検査用シート86に描画されている。図6(c)に示したX軸方向及びY軸方向は、図1に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。検査用シート86は、図6(c)に示したX軸方向及びY軸方向が、図1に示したX軸方向又はY軸方向と略一致する方向で、検査媒体保持台37に保持される。
【0061】
検査用画像82Aは、96個の検査画像体82を含んでいる。検査画像体82は、マーキング画像71と同等の画像である。検査用画像82Aにおいて、検査画像体82は、X軸方向に、マーキング画像71Aにおけるマーキング画像71のX軸方向における配設ピッチと同じ配設ピッチで、4行配列されている。検査用画像82Aにおいて、検査画像体82は、Y軸方向に、マーキング画像71Aにおけるマーキング画像71のY軸方向における配設ピッチと同じ配設ピッチで、24列配列されている。
検査用画像82Aは、ユニットノズル列240Aにおける、マーキング画像71Aを描画する際の1回の吐出走査において吐出を実施する吐出ノズル24に、マーキング画像71Aを描画する際の吐出に加えて、X軸方向に4行でY軸方向に4列の検査画像体82を描画する吐出を実施することで形成できる。
検査用画像82Aにおける、マーキング画像71Aと同等であるY軸方向において20列の検査画像体82が、検査用膜に相当し、20列以外の4列の検査画像体82が、追加の検査用膜に相当する。検査用画像82Aが、拡大検査用膜に相当する。
【0062】
図6(d)に示した検査用画像83Aは、上述した検査用画像81Aや検査用画像82Aとは構成が異なり、12個の検査画像体81を含んでいる。検査用画像83Aは、検査用シート87に描画されている。図6(d)に示したX軸方向及びY軸方向は、図1に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。検査用シート87は、図6(d)に示したX軸方向及びY軸方向が、図1に示したX軸方向又はY軸方向と略一致する方向で、検査媒体保持台37に保持される。検査用シート87が、検査用媒体であって、検査着弾媒体に相当する。
【0063】
検査用シート87は、Y軸方向の長さが、保持板72(マーキング用体73)より長くなっている。Y軸方向において、マーキング用体73には、20列の半導体パッケージ70が配列させられているのに対して、検査用シート87には、24列のマーキング画像71を描画することが可能である。X軸方向において、検査用シート87の幅はマーキング用体73と略同等であり、検査用シート87には、12行のマーキング画像71を描画することが可能である。12行のマーキング画像71を描画することが可能な幅は、ユニットノズル列240Aによって、3回の吐出走査を実施することで描画することができる範囲である。
上述したように、検査媒体保持台37のY軸方向の幅(長さ)は、媒体載置台31のY軸方向の幅(長さ)より、広く(長く)なっている。検査媒体保持台37には、Y軸方向において媒体載置台31によって保持可能な被描画媒体より幅が広い(長い)、検査用媒体を保持させることができる。検査媒体保持台37は、Y軸方向の長さがマーキング用体73より長い検査用シート87であっても、保持することが可能である。
【0064】
検査用画像83Aは、12個の検査画像体81を含んでいる。検査画像体81は、検査用画像81Aを構成する検査画像体81である。検査用画像83Aにおいて、12個の検査画像体81は、X軸方向の相対位置が、マーキング画像71Aにおける、マーキング画像71のX軸方向の相対位置と略同等に、配列されている。
上述したように、検査画像体81は、マーキング画像71Aにおけるマーキング画像71を描画するために吐出を実施する吐出ノズル24に、吐出可能な全ての吐出タイミングにおいて吐出を実施させることによって、形成できる。検査用画像83Aは、ユニットノズル列240Aにおける、マーキング画像71Aを描画する際の1回の吐出走査において吐出を実施する吐出ノズル24に、吐出可能な全ての吐出タイミングにおいて吐出を実施させる吐出走査を、3回実施することによって、形成できる。
【0065】
図6(e)に示した検査用画像84Aは、上述した検査用画像81Aや検査用画像82Aや検査用画像83Aとは構成が異なり、288個の検査画像体82を含んでいる。検査用画像82Aは、図6(d)に示した検査用シート87と同じ検査用シート87に描画されている。図6(e)に示したX軸方向及びY軸方向は、図1に示したX軸方向及びY軸方向と一致している。検査用シート87は、図6(e)に示したX軸方向及びY軸方向が、図1に示したX軸方向又はY軸方向と略一致する方向で、検査媒体保持台37に保持される。
【0066】
検査用画像84Aは、288個の検査画像体82を含んでいる。上述したように、検査画像体82は、マーキング画像71と同等の画像である。検査用画像84Aにおいて、検査画像体82は、X軸方向に、マーキング画像71Aにおけるマーキング画像71のX軸方向における配設ピッチと同じ配設ピッチで、12行配列されている。検査用画像84Aにおいて、検査画像体82は、Y軸方向に、マーキング画像71Aにおけるマーキング画像71のY軸方向における配設ピッチと同じ配設ピッチで、24列配列されている。
検査用画像84Aを描画する際は、ユニットノズル列240Aにおける、マーキング画像71Aを描画する際の1回の吐出走査において吐出を実施する吐出ノズル24に、マーキング画像71Aを描画する際の吐出に加えて、X軸方向に4行でY軸方向に4列の検査画像体82を描画する吐出を実施する。当該吐出走査(検査吐出走査)を3回実施することで、検査用画像84Aを形成することができる。
【0067】
検査吐出走査工程に際しては、検査用シート86や検査用シート87などを、上述した検査媒体保持台37上に供給する。検査媒体保持台37は、吐出装置制御部からの指令にしたがって、吸着装置などの保持手段によって、供給された検査用シート86や検査用シート87などを保持する。検査用シート86や検査用シート87などは、図6(b)などに示したX軸方向及びY軸方向が、図1に示したX軸方向又はY軸方向と略一致する方向で、検査媒体保持台37に保持される。
媒体移動機構33によって、スライド台37aをX軸方向に移動させることで、スライド台37aに固定されて支持された検査媒体保持台37を、X軸方向に移動させて、検査媒体保持台37に保持された検査用シート86や検査用シート87などを、X軸方向に移動させる。媒体移動機構33によって、スライド台37aを保持することで、検査用シート86や検査用シート87などがX軸方向においてヘッドユニット21に臨む位置に、検査媒体保持台37を保持する。
ヘッド走査機構62によってヘッドキャリッジ22をY軸方向に移動させるとともに、ヘッドキャリッジ22に吊設されたヘッドユニット21が有する液滴吐出ヘッド20から、検査画像体81や検査画像体82などに対応する位置に向けて液滴を吐出する、検査吐出走査を実施する。この検査吐出走査によって、検査用シート86や検査用シート87などに、検査画像体81や検査画像体82の行などが形成される。必要な回数の検査吐出走査を実施することによって、検査用画像81Aや検査用画像82Aや検査用画像83Aや検査用画像84Aなどを形成することができる。
【0068】
検査用画像84Aなどが形成された検査用シート87などは、媒体移動機構33によって、スライド台37aをX軸方向に移動させることで、撮像ユニット4の下方、すなわち撮像カメラ41に対向する位置に移動させられる。上述したように、撮像カメラ41は、下方を撮像可能にカメラ移動機構42に保持されている。また、撮像カメラ41は、カメラ移動機構42によって、Y軸方向に自在に移動させることができるため、検査用画像84Aなどを、Y軸方向の全幅において撮影することができる。撮像カメラ41によって、撮像ユニット4の下方に位置した検査用シート87などに形成された検査用画像84Aなどの画像を取得する。取得された画像は、吐出装置制御部に送信されて画像認識され、この画像認識に基づいて、各液滴吐出ヘッド20の各吐出ノズル24が正常に機能液を吐出しているか(ノズル詰まりがないか)否かが判定される。また、着弾した液滴の相対位置が規定された位置であるか否かが判定される。
【0069】
<検査媒体保持台及び検査用シート>
次に、検査媒体保持台37及び検査用シート86や検査用シート87とは異なる検査媒体保持台及び検査用シートの例としての検査描画ユニット180について、図7を参照して説明する。液滴吐出装置1は、検査媒体保持台37に代えて検査描画ユニット180を備える構成のものも、液滴吐出装置1と表記する。図7は、検査描画ユニットの概略構成を示す説明図である。図7(a)は、検査描画ユニットの概略構成を示す平面図であり、図7(b)は、検査描画ユニットの概略構成を示す側面図である。図7に矢印で示したX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、図1に示したX軸方向、Y軸方向、又はZ軸方向と一致している。
【0070】
図7に示すように、検査描画ユニット180は、検査用シート181と、検査ステージ182と、シート供給装置184と、ユニット枠186と、ユニット基材187と、を備えている。検査ステージ182と、シート供給装置184とは、ユニット枠186に固定されている。ユニット枠186は、ユニット基材187上に固定されている。ユニット基材187がスライド台37aに固定されることによって、検査描画ユニット180が液滴吐出装置1に取り付けられている。
【0071】
検査用シート181は、液滴吐出ヘッド20から検査吐出された機能液の液滴を着弾させるための帯状のシートである。検査ステージ182は、検査用シート181を載置するシート載置面182aを備えている。シート載置面182aは、検査描画ユニット180が液滴吐出装置1に取り付けられた状態で、X軸方向及びY軸方向に略平行な平面であって、略長方形形状の平面形状を有し、長方形形状の長手方向が、Y軸方向に延在している。シート載置面182aの上に検査用シート181が載っており、Y軸方向に延在している。シート載置面182aは、媒体移動機構33によってX軸方向に移動させられることによって、ヘッドユニット21や撮像カメラ41に臨む位置に位置させることが可能である。シート載置面182aの上の検査用シート181には、ヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20から吐出した液滴を着弾させて描画することが可能である。検査用シート181に描画された画像は、撮像カメラ41によって撮影することが可能である。
【0072】
シート供給装置184は、供給リール184aと巻取リール184bとを備えている。供給リール184aには検査用シート181が巻かれており、供給リール184aから送り出された検査用シート181が、シート載置面182a上を通って巻取リール184bに巻き取られる。シート供給装置184は、図示省略したリール駆動装置を備え、検査用シート181の未描画の部分を供給リール184aから、シート載置面182aの上に送り出す。シート載置面182aの上で描画された検査用シート181の描画済の部分は、巻取リール184bに巻き取られる。
検査用シート181が、検査着弾媒体に相当する。検査ステージ182が、検査媒体保持手段に相当する。
【0073】
シート載置面182aのY軸方向の長さは、媒体載置台31のY軸方向の長さより、長くなっている。検査用シート181のシート載置面182aに支持されている部分の長さは、媒体載置台31に載置可能なマーキング用体73などより長くなっている。検査描画ユニット180の検査用シート181には、検査吐出走査を実施することによって、上述した検査用画像81Aや検査用画像82Aや検査用画像83Aや検査用画像84Aなどを形成することができる。
【0074】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)吐出走査を実施する際のヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)の走査方向がY軸方向であって、検査媒体保持台37のY軸方向の長さは、媒体載置台31のY軸方向の長さより、長くなっている。このため、検査媒体保持台37には、Y軸方向において媒体載置台31によって保持可能な被描画媒体より長い検査用媒体を、保持させることができる。これにより、検査媒体保持台37に保持された検査用媒体に液滴を着弾させる検査吐出におけるヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)の移動距離を、媒体載置台31に保持された被描画媒体に液滴を着弾させる描画走査におけるヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)の移動距離より長くすることができる。
【0075】
(2)検査描画ユニット180におけるシート載置面182aのY軸方向の長さは、媒体載置台31のY軸方向の長さより、長くなっている。このため、検査用シート181のシート載置面182aに支持されている部分の長さは、媒体載置台31に載置可能なマーキング用体73などより長くなっている。これにより、検査用シート181に液滴を着弾させる検査吐出におけるヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)の移動距離を、媒体載置台31に保持された被描画媒体に液滴を着弾させる描画走査におけるヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)の移動距離より長くすることができる。
【0076】
(3)検査描画ユニット180は、検査用シート181と、検査ステージ182と、シート供給装置184とを備えている。検査用シート181は、シート供給装置184によって、未描画の部分が検査ステージ182の上に供給される。検査ステージ182上の検査用シート181に、液滴吐出ヘッド20から検査吐出された液滴が着弾する検査吐出が実施され、着弾した液滴によって描画された画像が撮影される。検査用シート181の描画済の部分は、次の検査吐出のために未描画の部分が供給される際に、検査ステージ182の上から除去される。これにより、検査吐出ごとに新しい検査用シートを使用する場合にくらべて、検査用シートの交換を容易にすることができる。シート供給装置184のような装置の稼働を吐出装置制御部によって制御させることで、検査用シートの供給も、人手をわずらわせることなく、製膜装置に実施させることができる。
【0077】
(4)マーキング用体73に向けてマーキング画像71Aを形成するための吐出を実施する際も、検査用シート86などに向けて検査用画像81Aなどを形成するための検査吐出を実施する際も、ヘッド走査機構62によってヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)を走査させる。これにより、描画吐出走査と検査吐出走査とで、液滴吐出ヘッド20とマーキング用体73とを相対移動させる装置と、液滴吐出ヘッド20と検査用シート86などとを相対移動させる装置と、が異なる構成にくらべて、相対移動装置に起因する描画吐出走査と検査吐出走査との差を抑制して、正確な検査吐出走査を実施することができる。
【0078】
(5)検査用画像81A、検査用画像82A、検査用画像83A、及び検査用画像84Aは、ヘッドユニット21の走査方向であるY軸方向の長さが、マーキング画像71AのY軸方向の長さより長い。これにより、検査用画像を形成するための液滴吐出ヘッド20からの吐出数がマーキング画像を形成するための液滴吐出ヘッド20からの吐出数より少ないことに起因して、吐出不良を検出できない場合がある可能性を小さくすることができる。
【0079】
(6)検査画像体82は、マーキング画像71と同等の画像である。これにより、検査用画像82Aや検査用画像84Aを形成するための液滴吐出ヘッド20からの吐出パターンを、マーキング画像71Aを形成するための液滴吐出ヘッド20からの吐出パターンと実質的に同じにすることができる。これにより、描画吐出走査と検査吐出走査とで形成する画像が異なる場合にくらべて、液滴吐出ヘッド20からの吐出パターンの差に起因して検査吐出走査においてのみ不良吐出が出現し難くなることを抑制して、正確な検査吐出走査を実施することができる。
【0080】
(7)検査画像体81は、マーキング画像71を形成するために吐出を実施する吐出ノズル24に連続吐出を実施させて形成することができる画像である。これにより、検査用画像81Aや検査用画像84Aを形成するための液滴吐出ヘッド20の負荷を、マーキング画像71Aを形成するための液滴吐出ヘッド20の負荷より大きくすることができる。これにより、検査吐出走査における液滴吐出ヘッド20の負荷が描画吐出走査における液滴吐出ヘッド20の負荷より軽い場合にくらべて、検査吐出走査において、検査吐出走査における液滴吐出ヘッド20の負荷が軽いことに起因して、液滴吐出ヘッド20の負荷が増大することによって出現する可能性が高くなる不良吐出が出現し難くなることを抑制することができる。
【0081】
(8)マーキング画像71を形成するために用いる機能液は、紫外線硬化型の機能液である。紫外線硬化型の機能液は、着弾させた液滴に紫外線を照射することで、機能液が流動することによって着弾位置からずれることを抑制することができる。これにより、着弾した機能液が移動することに起因してマーキング画像71の形状が不正確になることを抑制することができる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0083】
(変形例1)前記実施形態においては、ヘッドユニット21の走査方向であるY軸方向の長さが、マーキング画像71AのY軸方向の長さが、マーキング画像71を、隙間をとって20個並べた長さであるのに対して、検査用画像81A、検査用画像82A、検査用画像83A、及び検査用画像84Aは、マーキング画像71を、隙間をとって24個並べた長さであった。しかし、検査吐出走査工程における相対移動距離が、吐出走査工程における相対移動距離に対してこのような比率で長いことは必須ではない。検査吐出走査工程における相対移動距離は、吐出走査工程における相対移動距離と略等しくてもよいし、他の比率で当該相対移動距離より長くてもよい。
【0084】
(変形例2)前記実施形態においては、検査画像体82は、マーキング画像71と同等の画像であり、検査画像体81は、マーキング画像71を形成するために吐出を実施する吐出ノズル24に連続吐出を実施させて形成することができる画像であった。しかし、検査吐出走査工程を実施して形成する画像はこのような画像に限らない。検査吐出走査工程における相対移動距離が吐出走査工程における相対移動距離と同等又は長くなるような画像であって、検査吐出走査工程における吐出ヘッドからの吐出数が吐出走査工程における吐出数と同等又は多くなるような画像であれば、どのような画像であってもよい。
【0085】
(変形例3)前記実施形態においては、膜を形成する被製膜媒体の例として、半導体パッケージ70を挙げていたが、被製膜媒体は、半導体パッケージに限らない。被製膜媒体は、膜を形成することによってマーキング画像を形成するような製品や、フィルター膜のような機能膜を形成することが必要な製品であってもよい。
【0086】
(変形例4)前記実施形態においては、吐出走査工程及び検査吐出走査工程において、ヘッド走査機構62によってヘッドユニット21をY軸方向に走査させることによって、液滴吐出ヘッド20と、マーキング用体73又は検査用シート86や検査用シート87と、を相対移動させていた。しかし、吐出ヘッドと媒体保持手段とを相対移動させる相対移動手段や吐出ヘッドと検査媒体保持手段とを相対移動させる検査相対移動手段が、吐出ヘッドを走査させる手段であることは必須ではない。相対移動手段や検査相対移動手段は、媒体保持手段や検査媒体保持手段を走査させる手段であってもよい。
【0087】
(変形例5)前記実施形態においては、ノズル列24Aの延在方向における着弾点91の着弾ピッチは、液滴吐出ヘッド20における吐出ノズル24の配設ピッチであった。しかし、ノズル列の延在方向における着弾ピッチが液滴吐出ヘッドにおける吐出ノズルの配設ピッチであることは必須ではない。ノズル列の延在方向における相対移動における移動量の最小値を吐出ノズルの配設ピッチより小さくすることで、ノズル列の延在方向における着弾ピッチを、吐出ノズルの配設ピッチより小さくすることができる。
【0088】
(変形例6)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット21を備えており、ヘッドユニット21が備える液滴吐出ヘッド20が吐出する機能液は単一の機能液であった。しかし、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが吐出する液状体が同一であることは必須ではない。描画装置においては、色が異なるなど、複数種類の異なる液状体を吐出してもよい。色が異なる複数種類の液状体を吐出することでカラー描画も可能である。液状体の種類は、液滴吐出装置が複数のヘッドユニットを備えて、ヘッドユニットごとに異ならせてもよいし、ヘッド組ごとに異ならせてもよいし、液滴吐出ヘッドごとに異ならせてもよいし、ノズル列ごとに異ならせてもよい。吐出ノズルごとに液状体を個別に供給できる液滴吐出ヘッドを用いて、吐出ノズルごとに異なる液状体を吐出してもよい。なお、カラー描画を実施する際には、同じ着弾位置に、複数の、例えば色が異なる液状体を着弾させることができる構成のヘッドユニット又は液滴吐出ヘッドを用いたり、走査方法を用いたりすることで、より微細な描画が可能となる。
【0089】
(変形例7)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット21を1個備えていた。しかし、描画装置が備えるヘッドユニットが1個であることは必須ではない。描画装置が備えるヘッドユニットは、いくつであってもよい。
【0090】
(変形例8)前記実施形態においては、ヘッドユニット21は、液滴吐出ヘッド20を9個備えていたが、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが9個であることは必須ではない。ヘッドユニットが備える吐出ヘッドは、いくつであってもよい。
【0091】
(変形例9)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド20は、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aを2列備えていたが、吐出ヘッドが備えるノズル列は何列であってもよい。また、液滴吐出ヘッド20が備える吐出ノズル24は、ノズル列24Aの延在方向において互いの位置がずれていたが、吐出ヘッドは、ノズル列の延在方向において、略同一位置に位置する吐出ノズルを複数備える構成であってもよい。
【0092】
(変形例10)前記実施形態においては、ノズル列24Aにおけるノズルピッチは140μmであり、2本のノズル列24Aを備える液滴吐出ヘッド20におけるノズル列方向の吐出ピッチは約70μmであった。しかし、液滴吐出ヘッドにおけるノズルの配置は、液滴吐出ヘッド20における配置に限らない。ノズル列におけるノズルピッチは140μmとは異なるノズルピッチであってもよい。
【0093】
(変形例11)前記実施形態においては、マーキング画像71Aを形成するために用いる機能液は、紫外線硬化型の機能液であった。しかし、マーキングのための画像を描画するために用いる液状体が紫外線硬化型の液状体であることは必須ではない。熱硬化型の液状体や、硬化のための処理を特に実施しない液状体など、他の硬化処理によって硬化させる液状体であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…液滴吐出装置、2…ヘッド機構部、3…媒体機構部、4…撮像ユニット、5…保守装置部、20…液滴吐出ヘッド、21…ヘッドユニット、24…吐出ノズル、24A…ノズル列、31…媒体載置台、31a…スライド台、33…媒体移動機構、37…検査媒体保持台、37a…スライド台、41…撮像カメラ、42…カメラ移動機構、62…ヘッド走査機構、70…半導体パッケージ、70A…半導体パッケージ、71…マーキング画像、71A…マーキング画像、72…保持板、73…マーキング用体、81,82…検査画像体、81A,82A,83A,84A…検査用画像、86,87…検査用シート、95…紫外線照射部、96…UVLED、180…検査描画ユニット、181…検査用シート、182…検査ステージ、184…シート供給装置、240A…ユニットノズル列。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状体を吐出する吐出ヘッドと、被製膜媒体を保持する媒体保持手段と、前記吐出ヘッドと前記媒体保持手段とを相対移動させる相対移動手段と、を備え、前記相対移動手段によって前記吐出ヘッドと前記媒体保持手段とを相対移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記媒体保持手段に保持された前記被製膜媒体に向けて前記液状体を吐出する吐出走査を実施することによって、前記被製膜媒体上に膜を形成する製膜装置であって、
前記吐出ヘッドから検査吐出した前記液状体を着弾させる検査着弾媒体を保持する検査媒体保持手段と、
前記吐出ヘッドと前記検査媒体保持手段とを相対移動させる検査相対移動手段と、を備え、
前記検査媒体保持手段は、前記検査相対移動手段による相対移動方向の長さが、前記媒体保持手段の前記吐出走査における前記相対移動手段による相対移動方向の長さより長いことを特徴とする製膜装置。
【請求項2】
液状体を吐出する吐出ヘッドと、被製膜媒体を保持する媒体保持手段と、前記吐出ヘッドと前記媒体保持手段とを相対移動させる相対移動手段と、を備え、前記相対移動手段によって前記吐出ヘッドと前記媒体保持手段とを相対移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記媒体保持手段に保持された前記被製膜媒体に向けて前記液状体を吐出する吐出走査を実施することによって、前記被製膜媒体上に膜を形成する製膜装置であって、
検査吐出した前記液状体を着弾させる検査着弾媒体と、
前記吐出ヘッドと前記検査着弾媒体とを相対移動させる検査相対移動手段と、を備え、
前記検査着弾媒体は、前記検査相対移動手段による相対移動方向の長さが、前記媒体保持手段によって保持可能な前記被製膜媒体の前記吐出走査における前記相対移動手段による相対移動方向の長さより長いことを特徴とする製膜装置。
【請求項3】
前記相対移動手段は、前記検査相対移動手段を兼ねることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製膜装置。
【請求項4】
前記被製膜媒体及び前記検査着弾媒体に紫外線を照射することが可能な紫外線照射手段をさらに備え、
前記液状体が、紫外線硬化型の機能液であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製膜装置。
【請求項5】
液状体を吐出する吐出ヘッドと、被製膜媒体を保持する媒体保持手段と、を相対移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記媒体保持手段に保持された前記被製膜媒体に向けて前記液状体を吐出する吐出走査工程と、
前記吐出ヘッドと、検査用媒体と、を相対移動させるとともに、前記吐出ヘッドから前記検査用媒体に向けて前記液状体を吐出する検査吐出走査工程と、を有し、
前記検査吐出走査工程における相対移動距離が、前記吐出走査工程における相対移動距離と等しい又は当該相対移動距離より長く、前記検査吐出走査工程における前記吐出ヘッドからの吐出数が、前記吐出走査工程における吐出数と等しい又は当該吐出数より多いことを特徴とする製膜方法。
【請求項6】
前記検査吐出走査工程において、前記吐出走査工程において形成する膜の平面形状と同じ平面形状を有する検査用膜を形成する吐出を実施することを特徴とする、請求項5に記載の製膜方法。
【請求項7】
前記検査吐出走査工程において、前記検査用膜及び追加の検査用膜を有する拡大検査用膜を形成する吐出を実施することを特徴とする、請求項6に記載の製膜方法。
【請求項8】
前記液状体が、紫外線硬化型の機能液であることを特徴とする、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の製膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−170866(P2012−170866A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34266(P2011−34266)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】