説明

製薬組成物の調製

a) i)水不溶性パラセタモールまたはNSAID、ii)水溶性担体、及びiii)パラセタモールまたはNSAIDと前記担体との、各々のための溶媒;を含む混合物を準備する工程;及び、b)前記混合物を噴霧乾燥させて前記溶媒もしくは各溶媒を除去し、パラセタモールまたはNSAIDの、実質的に溶媒を含まない前記担体中のナノ分散物を得る工程;を含む、水不溶性パラセタモールまたはNSAIDを含む組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製薬組成物に関する改善に関する。これは特に、パラセタモール及び非ステロイド系抗炎症剤を含む鎮痛剤の群に含まれる、製薬品として活性な組成物及びその前駆体に関する。
【背景技術】
【0002】
非ステロイド系抗炎症薬は、通常はNSAID類と略され、鎮痛、解熱、及び抗炎症効果を有する薬剤である。鎮痛剤としては、NSAID類は、非麻薬性である点で他と異なる。NSAID類は、時には非ステロイド系抗炎症剤/鎮痛剤(NSAIA類)または非ステロイド系抗炎症薬(NSAIM類)とも呼称される。この群の薬剤の最も卓越したものは、アスピリン及びイブプロフェンである。パラセタモール(アセトアミノフェン)は、ごく僅かな抗炎症活性を油脂、厳密に言えばNSAIDではない。
【0003】
パラセタモールの作用の正確な機構は明かではないが、これは中枢神経系に作用するようである。アスピリン及び別のNSAIDは、シクロオキシゲナーゼを阻害しプロスタグランジン産生に減少をもたらすが、このことが疼痛及びさらに炎症を軽減する(パラセタモールとオピオイドとは対照的)。
【0004】
NSAID類は、その化学構造に基づいて大まかに分類される。一つの群のNSAID類は、類似の特性及び耐性を有する傾向がある。等用量で使用された場合は、NSAID間で臨床有効性に差異はほとんどない。むしろ、化合物間の差異は、投与計画(その化合物の排出半減期に関する)、投与経路、及び耐性プロフィールに関連する傾向がある。
【0005】
サリチル酸塩には、アスピリン、アモキシプリン(Amoxiprin)、ベノリラート、サリチル酸コリンマグネシウム、ジフルニサル、ファイスラミン(Faislamine)、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、及びサリチル酸サリチル(サルサラート)が含まれる。アリールアルカン酸には、ジクロフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、ブロムフェナク、エトドラク、インドメタシン、ナブメトン、スリンダク、及びトルメチンが含まれる。2-アリールプロピオン酸(プロフェン類)には、イブプロフェン、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラック、ロキソプロフェン、ナプロフェン、チアプロフェン酸、及びスプロフェンが含まれる。N-アリールアントラニリン酸(フェナム酸類)には、メフェナム酸及びメクロフェナム酸が含まれる。ピラゾリジリジン誘導体には、フェニルブタゾン、アザプロパゾン、メタミゾール、オキシフェンブタゾン、及びスルフィンプラゾンが含まれる。オキシカム類には、ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、及びテノキシカムが含まれる。COX-2阻害剤には、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブが含まれる。スルホンアニリド類にはニメスリドが含まれ、また別のNSAID類にはリコフェロン及びOMEGA-3脂肪酸が含まれる。
【0006】
パラセタモール及び多くのNSAID類は、低い水溶性を示し、実際は水に不溶性である。このことが、作用開始の迅速性を含む、経口投与のためのこれらの使用の幾つかの局面の妨げになる。
【0007】
WO2004/011537には、水溶性ポリマー材料の三次元開放セル格子を含む、固形の多孔性ビーズの形成が記載されている。これらは、典型的には、水性相中に溶解したポリマーを有する高内相エマルション(HIPE)からの、水と非水性分散相との両方の除去によって形成される「テンプレート化(templated)」材料である。前記ビーズは、低温液体、例えば液体窒素中にHIPEエマルションを滴下し、次いで生成する粒子を凍結乾燥させて水性相及び分散相の大部分を除去することによって形成される。これにより、残るポリマーは「骨格」構造の形態となる。前記ビーズは、水中に迅速に溶解すると共に、凍結乾燥前のエマルションの分散相中に分散する水不溶性成分もまた、ビーズのポリマー骨格の溶解に際して水中に分散可能であるという著しい特性を有する。
【0008】
WO2005/011636には、ポリマー中に薬剤の「固体無定形分散物」を形成するための非エマルションベースの噴霧乾燥方法が記載されている。この方法では、ポリマー及び低溶解性の薬剤を溶媒中に溶解させ、且つ噴霧乾燥させて、その中に薬剤が結晶形態ではなくむしろほぼ無定形形態で存在する分散物を生成させる。
【0009】
未公開の同時係属出願(2005年1月のGB0501835及び2006年7月13日に出願されたGB0613925)には、水中にナノ分散物を生じる材料の調製の仕方、好ましくは噴霧乾燥処理による調製の仕方が記載されている。これらの応用の始めには、水不溶性材料をエマルションの溶媒相に溶解させる。第2に、水不溶性材料を混合溶媒システム中に溶解させ、水溶性構造化剤として同一相中に共存させる。いずれの場合でも、液体を周囲温度より高温にて(20℃よりも高温にて)、例えば噴霧乾燥によって乾燥させ、水不溶性材料がその中に分散した構造化剤の粒子を単体として製造する。これらの粒子が水中に置かれると、これらは溶解して典型的には300nm未満の粒子を有する水不溶性材料のナノ分散物を形成する。このスケールは、ウィルス粒子のものと同等であり、水不溶性材料は溶解状態であるかのような挙動をとる。
【0010】
WO2007/53197(Elan Pharma International Ltd.)には、アセトアミノフェンのナノ粒子形態が開示されている。2000nm未満の粒径が開示されている。ナノ粒子状アセトアミノフェンまたはその塩または誘導体の組成物は、例えば、粉砕、ホモジェナイゼーション、沈降、凍結、またはエマルションテンプレートの技術を利用して製造することができる。
【0011】
本願においては、「周囲温度」なる語は20℃を意味し、全てのパーセンテージは特記のない限り重量%である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2004/011537
【特許文献2】WO2005/011636
【特許文献3】GB0501835
【特許文献4】GB0613925
【特許文献5】WO2007/53197
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
発明者らは、ここに、エマルションベースであり、且つ単相の方法が、パラセタモールまたはNSAIDの水溶性ナノ分散形態を製造するために利用可能なことを特定した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は、
a) i)水不溶性パラセタモールまたはNSAID、
ii)水溶性担体、及び
iii)パラセタモールまたはNSAIDと前記担体との、各々のための溶媒;
を含む混合物を準備する工程;及び
b)前記混合物を噴霧乾燥させて前記溶媒もしくは各溶媒を除去し、パラセタモールまたはNSAIDの実質的に溶媒を含まない前記担体中のナノ分散物を得る工程;
を含む、水不溶性パラセタモールまたはNSAIDを含む組成物の製造方法を提供する。
【0015】
本発明の分散生成物のための粒子定寸の好ましい方法は、動的光拡散計器(Nano S、Malvern Instruments(UK)製)を利用する。とりわけ、Malvern InstrumentsのNano Sは、赤色(633nm)4mWヘリウム-ネオンレーザーを使用して、物質の懸濁物を仕込んだ標準光学品質UVキュベットを照射する。この応用において挙げられる粒径は、標準プロトコルを使用するこの装置で得られるものである。固体生成物における粒径は、水中への該固体の溶解及びその粒径の測定から推定される粒径である。
【0016】
好ましくは、水不溶性活性剤のピーク直径は1500nm未満である。更に好ましくは水不溶性活性剤のピーク直径は1000nm未満、最も好ましくは800nm未満である。本発明の特に好ましい実施態様では、水不溶性活性剤の平均直径は、200乃至800nm、より好ましくは400乃至600nmの範囲内である。
【0017】
本発明の方法により得られる有利な組成物は、水不溶性活性剤(パラセタモールまたはNSAID)及び担体中に分散した平均粒径がおよそ500nmの活性剤粒子を含む水溶性担体を含む。
【0018】
最終的なナノ分散物中の粒径の縮小は、本来ならば水不溶性である物質の利用可能性を向上させる点で著しく有利であると考えられる。このことは、改善された生物学的利用能が求められる場合か、または同様の応用において物質の高い局所濃度を避けるべき場合に特に有利であると考えられる。更にまた、小粒径のナノ分散物は、より大きな粒径のものよりもより安定であると考えられる。
【0019】
本発明の内容では、パラセタモールまたはNSAIDに用いられる「水不溶性」は、その水中への溶解度が25g/L未満であることを意味する。「水不溶性のパラセタモールまたはNSAID」はまた、溶解度が20未満または15g/L未満であることを意味する。好ましくは、水不溶性パラセタモールまたはNSAIDは、周囲温度(20℃)にて水中に5g/L未満、好ましくは1g/L未満、特に好ましくは150mg/L未満、さらにより好ましくは100mg/L未満の溶解度を有する。この溶解度レベルは、本明細書中における「水不溶性」の意図する解釈を与える。
【0020】
パラセタモールは、冷水中で非常に僅かに溶解性である(Merck Index monograph)。好ましい水不溶性NSAID類には、ケトプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、及びケトロラック(ketralac)の不溶性塩、酸、及び塩基、並びにこれらの水不溶性誘導体が含まれる。
好ましい担体材料は、水溶性有機及び無機材料、界面活性剤、ポリマー、及びこれらの混合物からなる群より選択される。
【0021】
本発明の更なる態様は、
a) i)パラセタモールまたはNSAIDのための水非混和性溶媒中のパラセタモールまたはNSAIDの溶液、及び
ii)担体の水性溶液
を含むエマルションを生成させる工程、及び
b)前記エマルションを乾燥させて水及び水非混和性溶媒を除去し、担体中にパラセタモールまたはNSAIDの混合物を噴霧乾燥させて各溶媒を除去し、実質的に溶媒を含まない前記担体中のパラセタモールまたはNSAIDのナノ分散物を得る工程;
を含む、パラセタモールまたはNSAID及び水溶性担体を含むパラセタモールまたはNSAID組成物の調製方法を提供する。
【0022】
便宜上、この類の方法は、本明細書中では「エマルション」法と呼称される。
【0023】
本発明の更なる態様は、
a) i)少なくとも一つの非水性溶媒、
ii)任意の水、
iii)(i)と(ii)との混合物中に可溶性である水溶性担体物質、及び
iv)(i)と(ii)との混合物中に可溶性である水不溶性パラセタモールまたはNSAID;及び
b)前記溶液を噴霧乾燥させて水と水混和性溶媒を除去し、パラセタモールまたはNSAIDの実質的に溶媒を含まない前記担体中のナノ分散物を得る工程;
を含む、水不溶性パラセタモールまたはNSAIDを含む、水不溶性パラセタモールまたはNSAID及び水溶性担体を含むパラセタモールまたはNSAID組成物の調製方法を提供する。
【0024】
便宜上、この類の方法は、本明細書中では「単相」法と呼称される。
【0025】
本発明の内容では、実質的に溶媒を含まないとは、製薬生成物中の残留溶媒レベルについて、国際製薬取締機関(例えばFDA、EMEA)によって認可される制限内であること、及び/または生成物の遊離の溶媒含有量が15重量%未満、好ましくは10重量%未満、更に好ましくは5重量%、最も好ましくは2重量%未満であることを意味する。
【0026】
本発明の内容では、担体物質とパラセタモールまたはNSAIDとの両方が、乾燥工程の前にそれぞれの溶媒中に本質的に完全に溶解していることが必須である。スラリーの乾燥を教示することは、本明細書の範疇ではない。したがって、あらゆる疑念を避けるために、前記エマルションまたは混合物の固体含量は、確かに、乾燥工程の前に溶液中に存在する可溶性物質の90重量%超、好ましくは95重量%超、更に好ましくは98重量%超であるようなものである。
【0027】
上述の方法に関して、好ましい活性剤及び好ましい担体物質は、上述の通りであり、以下に更に詳細に説明される。同様に、前記物質の好ましい物理特性は上述の通りである。
【0028】
パラセタモールまたはNSAIDと担体物質との両方が、少なくとも一つの別の非水性溶媒(及び任意の水)を含む相中に溶解している、「単相」法が好ましい。これは、ナノ分散パラセタモールまたはNSAIDについて、より小さな粒径を得るためにより有効であると考えられる。好ましくは、乾燥工程は、水と別の溶媒とを同時に除去し、更に好ましくは、乾燥は、周囲温度より高温にて噴霧乾燥によって達成される。
【0029】
本発明の方法の態様によって得られる生成物は、疼痛の治療のための薬剤の調製における使用に適当である。
【0030】
本発明の様々な好ましい特徴及び実施態様を、以下に詳細に説明する。
【0031】
(パラセタモール及びNSAID類)
上述の通り、好ましい水不溶性パラセタモール及びNSAID類には、ケトプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、及びケトロラックの不溶性塩、酸、及び塩基、並びに水不溶性誘導体、並びにこれらの混合物が含まれる。本発明の一実施態様では、NSAIDはアスピリンでもイブプロフェンでもない。
【0032】
水不溶性パラセタモール及びNSAID類は、本発明による組成物中に唯一の製薬活性成分として存在することも、または別の薬剤と共存していわゆる「併用療法」を提供することもできる。
【0033】
例示的実施例としては、パラセタモールまたはNSAID、例えばジクロフェナク、イブプロフェン、またはナプロキセンと更なる治療用活性剤、例えばトリプタン、例えばスマトリプタンとの組み合わせを提供して、偏頭痛及び頭痛、例えば群発性頭痛を治療することが有用であろう。一実施態様では、本発明は、NSAIDまたはパラセタモールとトリプタン、例えばスマトリプタンとの組み合わせを含まない。第2の例示的実施例では、パラセタモールまたはNSAID、例えばジクロフェナク、イブプロフェン、またはナプロキセンとGERD(胃食道逆流症)の治療に有用であることが知られる更なる治療用活性剤、例えばプロトンポンプ阻害剤(例えばオメプラゾールまたはエソメプラゾール)またはH2アンタゴニスト(例えばラニチジンまたはファモチジン)との組み合わせを含むGERDの治療を提供することが有用であろう。
【0034】
(水分散性生成物形態)
本発明は、本来ならば水不溶性物質である水分散性形態を得る方法を提供する。これは、水溶性担体物質と水不溶性パラセタモールまたはNSAIDとの両方が溶解した、完全には水性でない中間体エマルションまたは溶液を形成することによって調製される。溶媒が除去されると、不溶性のパラセタモールまたはNSAIDは水溶性担体物質中に分散されて残る。適当な担体物質は、以下に更に詳説される。
【0035】
乾燥工程の後に得られる物質の構造は、十分に理解されていない。生成する乾燥物質は、水不溶性物質の別個の巨視的物体が乾燥生成物中に存在しないことから、カプセル封入物ではないと考えられる。エマルションの「油」相を含む揮発性溶媒が乾燥工程の後には僅かしか残らないか、全く残らないことから、前記乾燥物質は「無水エマルション」でもない。乾燥生成物に水を添加しても、「無水エマルション」の場合のようにエマルションは再生しない。更に本発明では、存在する成分の比率を利点を損なうことなく変化させることができることから、前記組成物はいわゆる固溶体ではないと考えられる。X線及びDSC研究からも、本発明の組成物は固溶体ではなく、ナノスケールの相分離混合物を含んでいると考えられる。更にまた、X線粉末回折研究から、製造されるパラセタモールまたはNSAIDのナノ粒子物質は結晶形態であって無定形形態ではないと考えられ、またその大部分または全体が出発物質と同一の結晶形態であると考えられる。
【0036】
好ましくは、乾燥工程の後に生成する組成物は、活性剤と担体とを重量比にして1:500乃至1:1(活性剤:担体で表示)の重量比で含み、1:100乃至1:1が好ましい。およそ10乃至50重量%の水不溶性パラセタモールまたはNSAIDと90乃至50重量%の担体という典型的なレベルは、噴霧乾燥によって得ることができる。
【0037】
本発明の方法によれば、活性剤物質の粒径は、1000nm未満に低減させることができ、およそ100nmに低減させて良い。好ましい粒径は400乃至800nmの範囲内である。
【0038】
(「エマルション」調製方法)
本発明による一つの好ましい方法では、水不溶性パラセタモールまたはNSAIDのための溶媒は水と混和性ではない。したがって、これを水と混合するとエマルションを形成しうる。
【0039】
好ましくは、非水性相は、約10乃至約95体積%、更に好ましくは約20乃至約68体積%のエマルションを含む。
【0040】
エマルションは、典型的には当業者によく知られた条件の下、例えばマグネチックスターラーバー、ホモジェナイザー、または回転式メカニカルスターラーを使用して調製される。エマルションは、乾燥前に全面的相分離を経ないことを前提として、特に安定である必要はない。
【0041】
高剪断撹拌装置を使用するホモジェナイゼーションは、水性相が連続相であるエマルションの調製に特に好ましい方法である。その粗いエマルションの回避及びエマルションの分散相の液滴サイズの減少により、乾燥生成物中の「ペイロード」物質の分散に改善がもたらされると考えられる。
【0042】
本発明による好ましい方法では、水連続性エマルションが、500nm乃至5000nmの分散相平均液滴サイズをもって調製される(Malvernピーク強度を使用)。発明者は、Ultra-Turrux T25タイプの実験用ホモジェナイザー(もしくは同等物)を10,000rpm超で1分間以上作動させた場合に、適当なエマルションがもたらされることを見いだした。
【0043】
エマルション液滴サイズとペイロード物質の粒子のサイズとの間には方向関係があり、これは水性溶液中に本発明の物質を分散させた後に検出することができる。発明者は、前駆体エマルションのためのホモジェナイゼーション速度を増大させることにより、再溶解後の最終粒径を縮小可能であることを見いだした。
【0044】
再溶解粒径は、ホモジェナイゼーション速度が13,500rpm乃至21,500rpmに増大する場合にほとんど半分に縮小可能であると考えられる。ホモジェナイゼーション時間はまた、再溶解粒径の制御において役割を果たすと考えられる。粒径はまた、ホモジェナイゼーション時間の延長とともに低減され、同時に粒径分布はより広範になる。
【0045】
高周波音分解もまた、エマルション系の液滴サイズを縮小させる特に好ましい方法である。発明者は、Heart Systems Sonicator XLをレベル10で2分間作動させることが適当であることを見いだした。
【0046】
活性剤の溶媒及び/または担体に対する相対濃度を低減する成分比が、より小さな粒径をもたらすと考えられる。
【0047】
(単相)調製方法
本発明による代替方法では、担体とパラセタモールまたはNSAIDとの両方が非水性溶媒またはこうした溶媒と水との混合物中に可溶である。本明細書中のここでも別の箇所でも、非水性溶媒は非水性溶媒の混合物であってよい。
【0048】
この場合は、乾燥工程の原材料は、水溶性担体と水不溶性パラセタモールまたはNSAIDとの両方がその中に溶解した単相物質であってよい。担体と活性剤との両方が同一の相に溶解していることを前提として、この原材料がエマルションであってもよい。
【0049】
「単相」方法は、一般的に、エマルション法よりも小さな粒径をもつ、より優れたナノ分散物をもたらすと考えられる。
【0050】
活性剤の溶媒及び/または担体に対する相対濃度を低減する成分の比率がより小さな粒径をもたらすと考えられる。
【0051】
(乾燥)
噴霧乾燥は、技術に精通しているものには周知である。本発明の場合には、乾燥させるエマルション中に揮発性非水性溶媒が存在するため、幾分の注意を払わねばならない。可燃性溶媒が使用される場合には、爆発の危険性を低減するために、不活性ガス、例えば窒素を、いわゆる閉鎖噴霧乾燥システムにおける乾燥媒質として使用することができる。溶媒は回収して再利用することができる。
【0052】
発明者は、Buchi B-290タイプの実験用噴霧乾燥装置が適当であることを見いだした。
【0053】
乾燥温度が100℃以上であることが好ましく、好ましくは120℃超、最も好ましくは140℃超である。高い乾燥温度が、再溶解ナノ分散物質により小さな粒径をもたらすことが判明している。
【0054】
(担体物質)
担体物質は、水溶性であり、これには構造化水性相を形成するもの並びに分子的単分散種の真性イオン溶液が含まれる。担体物質は、好ましくは無機物質、界面活性剤、ポリマーを含み、あるいはこれらの二つ又はそれ以上の混合物であってよい。
【0055】
別の非ポリマー性、有機、水溶性物質、例えば糖類が担体として使用可能なことが想定される。しかしながら、特に本明細書中で言及した担体物質が好ましい。
【0056】
適当な担体物質(本明細書中では「水溶性担体物質」と呼称)には、好ましい水溶性ポリマー、好ましい水溶性界面活性剤、及び好ましい水溶性無機物質が含まれる。
【0057】
(好ましいポリマー性担体物質)
適当な水溶性ポリマー性担体物質の例には、
(a)天然ポリマー(例えば天然産生ゴム、例えばグアーガム、アルギネート、ローカストビーンガム、または多糖類、例えばデキストラン)、
(b)セルロース誘導体、例えばキサンタンガム、キシログルカン、セルロースアセテート、メチルセルロース、メチル-エチルセルロース、ヒドロキシ-エチルセルロース、ヒドロキシ-エチルメチル-セルロース、ヒドロキシ-プロピルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルブチルセルロース、エチルヒドロキシ-エチルセルロース、カルボキシ-メチルセルロース、及びその塩(例えばSCMCのナトリウム塩)、またはカルボキシ-メチルヒドロキシエチルセルロース及びその塩(例えばナトリウム塩)、
(c)ビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミドメチルプロパンスルホネート類、アミノアルキルアクリレート類、アミノアルキル-メタクリレート類、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメチルアクリレート、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルアミン類、ビニルピリジン、エチレングリコール、及び別のアルキレングリコール類、エチレンオキシド、及び別のアルキレンオキシド類、エチレンイミン、スチレンスルホネート類、エチレングリコールアクリレート類、及びエチレングリコールメタクリレートのホモポリマーまたはこれらから選択される二つまたはそれ以上のモノマーから調製されるコポリマー、
(d)シクロデキストリン類、例えばβ-シクロデキストリン、及び
(e)これらの混合物
が含まれる。
【0058】
ポリマー性物質がコポリマーである場合は、これは統計コポリマー(従来ランダムコポリマーとしても既知)、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、または超分岐固ポリマーであってよい。以上に列挙したもの以外のコモノマーも、その存在が生成するポリマー性物質の水溶性または水分散性の性質を破壊しないならば、列挙したものに加えて含めて良い。
【0059】
適当且つ好ましいホモポリマーの例には、ポリ-ビニルアルコール、ポリ-アクリル酸、ポリ-メタクリル酸、ポリ-アクリルアミド類(例えばポリN-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ-メタクリルアミド、ポリ-アクリルアミン類、ポリ-メチル-アクリルアミン類(例えばポリジメチルアミノエチルメタクリレート及びポリ-N-モルホリノエチルメタクリレート)、ポリビニルピロリドン、ポリ-スチレンスルホネート、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリ-2-エチル-オキサゾリンポリ-エチレンイミン、及びそのエトキシル化誘導体が含まれる。
【0060】
ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(2-エチル-2-オキサザリン)、ポリビニルアルコール(PVA)ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピル-メチルセルロース(HPMC)及びアルギネートが好ましいポリマー性担体物質である。
【0061】
(好ましい界面活性剤担体物質)
担体物質が界面活性剤である場合は、この界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、または双性イオン性であってよい。
【0062】
適当な非イオン性界面活性剤の例には、エトキシル化トリグリセリド類、脂肪アルコールエトキシレート類、アルキルフェノールエトキシレート類、脂肪酸エトキシレート類、脂肪アミドエトキシレート類、脂肪アミンエトキシレート類、ソルビタンアルカノエート類、エチル化ソルビタンアルカノエート類、アルキルエトキシレート類、Pluronics(登録商標)、アルキルポリグルコシド類、ステアロールエトキシレート類、及びアルキルポリグリコシド類が含まれる。
【0063】
適当なアニオン性界面活性剤の例には、アルキルエーテルスルフェート類、アルキルエーテルカルボキシレート類、アルキルベンゼンスルホネート類、アルキルエーテルホスフェート類、ジアルキルスルホスクシネート類、サルコシネート類、アルキルスルホネート類、石鹸類、アルキルスルフェート類、アルキルカルボキシレート類、アルキルホスフェート類、パラフィンスルホネート類、第2級n-アルカンスルホネート類、アルファ-オレフィンスルホネート類、及びイセチオネートスルホネート類が含まれる。
【0064】
適当なカチオン性界面活性剤の例には、脂肪アミン塩類、脂肪ジアミン塩類、第四級アンモニウム化合物類、ホスホニウム界面活性剤類、スルホニウム界面活性剤類、及びスルホンキソニウム(sulfonxonium)界面活性剤類が含まれる。
【0065】
適当な双性イオン性界面活性剤の例には、アミノ酸類(例えばグリシン、ベタイン、アミノプロピオン酸)のN-アルキル誘導体類、イミダゾリン界面活性剤類、アミノオキシド類、及びアミドベタイン類が含まれる。
【0066】
界面活性剤の混合物を使用してもよい。こうした混合物中には、担体物質が全体で固体であることを前提として、液体である個別の成分があっても良い。
【0067】
アルコキシル化非イオン性剤(特にPEG/PPG Pluronic(登録商標)物質)、フェノールエトキシレート類(特にTRITON(登録商標)物質)、アルキルスルホネート類(特にSDS)、エステル界面活性剤類(好ましくはSpan(登録商標)及びTween(登録商標)タイプのソルビタンエステル類)、及びカチオン性剤(特にセチルトリメチルアンモニウムブロミド-CTAB)が、界面活性剤担体物質として特に好ましい。
【0068】
(好ましい無機担体物質)
担体物質はまた、界面活性剤でもポリマーでもない水溶性無機物質であってもよい。単純な有機塩が、特に上述のポリマー性及び/または界面活性剤の担体物質との混合物として適当であることが判明している。適当な塩には、炭酸塩、重炭酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、及び酢酸塩が含まれ、特にナトリウム、カリウム、及びマグネシウムの可溶性塩が含まれる。好ましい物質には、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及び硫酸ナトリウムが含まれる。これらの物質は、安価で且つ生理学的に許容されるという利点を有する。これらはまた、比較的に不活性であると共に、製薬生成物中に見られる多くに物質と適合性である。
【0069】
担体物質の混合物が有利である。好ましい混合物には、界面活性剤とポリマーとの組み合わせが含まれ、これには、
a)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピル-メチルセルロース(HPMC)、及びアルギネート類の少なくとも一つ、並びに
b)アルコキシル化非イオン性剤(特にPEG/PPG Pluronic(登録商標)物質)、フェノールエトキシレート類(特にTRITON(登録商標)物質)、アルキルスルホネート類(特にSDS)、エステル界面活性剤類(好ましくはSpan(登録商標)及びTween(登録商標)タイプのソルビタンエステル類)、及びカチオン性剤(特にセチルトリメチルアンモニウムブロミド-CTAB)の少なくとも一つ、
が含まれる。
【0070】
担体物質はまた、界面活性剤でも、ポリマーでも、無機担体物質でもない水溶性有機小物質であってよい。単純な有機糖類が、特に上述のポリマー性及び/または界面活性剤の担体物質との混合物として適当であることが判明している。適当な有機小物質には、マンニトール、ポリデキストロース、キシリトール、マルチトール、デキストロース、デキストリン類、デキストラン類、マルトデキストリン、及びインスリン等が含まれる。
【0071】
(非水性溶媒)
本発明の組成物は、揮発性の第2の非水性溶媒を含む。これは、乾燥前のプレミックス中で別の溶媒と混和性であっても、これらの溶媒と共にエマルションを形成しても良い。
【0072】
本発明の一つの代替形態では、単一の非水性溶媒が使用され、パラセタモールまたはNSAID及び担体の存在下で水と単一相を形成して良い。こうした実施態様に好ましい溶媒は、極性の、プロトン性もしくは非プロトン性の溶媒である。一般的に好ましい溶媒は、1より大なる双極子モーメント及び4.5より大なる誘電率を有する。
【0073】
特に好ましい溶媒は、ハロホルム類(好ましくはジクロロメタン、クロロホルム)、低級(C1-C10)アルコール類(好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール)、有機酸類(好ましくは蟻酸、酢酸)、アミド類(好ましくはホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド)、ニトリル類(好ましくはアセト-ニトリル)、エステル類(好ましくは酢酸エチル)、アルデヒド類及びケトン類(好ましくはメチルエチルケトン、アセトン)、並びに適当に大きな双極子を有するヘテロ原子を含む他の水混和性種(好ましくはテトラヒドロフラン、ジアルキルスルホキシド)からなる群より選択される。
【0074】
ハロホルム類、低級アルコール類、ケトン類、及びジアルキルスルホキシド類が、最も好ましい溶媒である。
【0075】
本発明の別の代替形態では、非水性溶媒は水と混和性ではなく、エマルションを形成する。
【0076】
エマルションの非水性相は、好ましくは以下:
・ アルカン類、好ましくはヘプタン、n-ヘキサン、イソオクタン、ドデカン、デカン;
・ 環状炭化水素類、好ましくはトルエン、キシレン、シクロヘキサン;
・ 水素化アルカン類、好ましくはジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン(クロロホルム)、フルオロ-トリクロロメタン、及びテトラクロロエタン;
・ エステル類、好ましくは酢酸エチル;
・ ケトン類、好ましくは2-ブタノン;
・ エーテル類、好ましくはジエチルエーテル;
・ 揮発性環状シリコーン類、好ましくは4乃至6のケイ素単位を含む直鎖状または環状のメチコーン類(適当な例には、いずれもDow Corning Inc.より入手可能なDC245及びDC345が含まれる);
の揮発性有機溶媒の群の一つまたは複数から選択される。
【0077】
好ましい溶媒には、ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、及びジメチルスルホキシドが含まれる。
【0078】
混和性であるか否かによらず、好ましい非水性溶媒は、乾燥、特に実際条件下で且つ特段の装置を使用せずに噴霧乾燥を促進するように、150℃未満の沸点を有し、より好ましくは100℃未満の沸点を有する。好ましくは、これらは不燃性であるか、または本発明の方法で遭遇する温度より高い引火点を有する。
【0079】
好ましくは、非水性溶媒は、生成するあらゆるエマルションの約10乃至95体積%を成し、より好ましくは約20乃至約80体積%を成す。単相法では、溶媒のレベルは、好ましくは20乃至100体積%である。
【0080】
特に好ましい溶媒はアルコールであり、特にエタノール及びハロゲン化溶媒、より好ましくは塩素含有溶媒、最も好ましくはジ-もしくはトリ-クロロメタンから選択される溶媒である。
【0081】
(任意の共界面活性剤)
非水性溶媒に加えて、乾燥工程前の組成物中に任意の共界面活性剤を用いても良い。発明者は、揮発性共界面活性剤の比較的少量の添加により、生成する物質の粒径が縮小されることを判定した。このことは、粒子体積に著しい影響を有する。例えば、297nmから252nmへの縮小は、およそ40%の粒径縮小に相当する。然るに、少量の共界面活性剤の添加は、最終生成物の処方を変えることなく、本発明による物質の、単純且つ安価な粒径縮小方法を提供する。
【0082】
好ましい共界面活性剤は、220℃未満の沸点を有する短鎖アルコール類またはアミンである。
好ましい共界面活性剤は、直鎖状アルコール類である。好ましい共界面活性剤は、第一級アルコール類及びアミン類である。特に好ましい共界面活性剤は、3-6炭素アルコール類からなる群から選択される。適当なアルコール共界面活性剤には、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、ヘキシルアミン、及びこれらの混合物が含まれる。
好ましくは、共界面活性剤は溶媒よりも少量(体積)で、好ましくは100:40乃至100:2、更に好ましくは100:30乃至100:5の範囲内の溶媒と共界面活性剤との体積比で、存在する。
【0083】
(好ましい噴霧乾燥原材料)
典型的な噴霧乾燥原材料には、
a)界面活性剤、
b)少なくとも一つの低級アルコール、
c)原材料中に0.1%超の、少なくとも一つの水不溶性パラセタモールまたはNSAID、
d)ポリマー、及び
e)任意の水、
を含む。
【0084】
好ましい噴霧乾燥原材料には、
a)ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つの非水性溶媒、
b)PEG-コポリマー非イオン性剤(特にPEG/PPG Pluronic(登録商標)物質)、アルキルスルホネート類(特にSDS)、エステル界面活性剤類(好ましくはSpan(登録商標)及びTween(登録商標)タイプのソルビタンエステル類)、及びカチオン性剤(特にセチルトリメチルアンモニウムブロミド-CTAB)、及びこれらの混合物、
c)0.1%超の、少なくとも一つの水不溶性パラセタモールまたはNSAID、
d)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピル-メチルセルロース(HPMC)、及びアルギネート類、並びにこれらの混合物から選択されるポリマー、並びに
e)任意の水、
を含む。
【0085】
本発明で使用される乾燥原材料は、好ましくはいかなる固形物体も含まず、特に好ましくはいかなる未溶解活性剤も含まないエマルションまたは溶液である。
【0086】
組成物中のパラセタモールまたはNSAIDのレベルは、上限95重量%、上限90重量%、上限85重量%、上限80重量%、上限75重量%、上限70重量%、上限65重量%、上限60重量%、上限55重量%、上限50重量%、上限45重量%、上限40重量%、上限35重量%、上限30重量%であってよい。実施態様によっては、組成物中の活性剤のレベルが、乾燥された組成物中のローディングが40重量%未満、更に好ましくは30重量未満となるはずであることが特に好ましい。こうした組成物は、上述の通り、粒径が小さく且つ有効性が高いという利点を有する。
【0087】
(水分散形態)
水溶性担体物質と水とを混合すると、担体は溶解し、水不溶性パラセタモールまたはNSAIDは多くの点で可溶性物質のように振る舞うほど十分に微細な形態で水中に分散する。乾燥生成物中の水不溶性物質の粒径は、好ましくは水中への溶解の際に水不溶性物質が本明細書中に記載のMalvern法によって測定して1μm未満の粒径を有するようなものである。水中に固体形態を分散させた際、活性剤については粒径の目立った減少は全く見られないと考えられる。
【0088】
本発明の応用により、著しいレベルの「水不溶性」物質が、概して真の溶液と同等の状態となる。乾燥生成物を水に溶解させると、0.1%超、好ましくは0.5%超、更に好ましくは1%超の水不溶性物質を含む光学的に透明な溶液を達成することができる。
【0089】
溶液形態は、「そのまま」または更なる希釈の後に、患者への投与に適当な形態であると想定される。或いはまた、本発明の実施態様の溶液形態を別の活性物質と組み合わせて、併用療法における使用に適当な薬剤を得ても良い。
【実施例】
【0090】
本発明が更に理解され、実施されるために、これを非限定的実施例と共に以下に更に詳説する。様々な賦形剤、様々な活性ローディング、及び様々な処置条件に基づいて、多様な処方が製造された。前記処方には、本発明による活性剤の実施例としてパラセタモールが含まれるが、入手可能な別の水不溶性NSAID類の一つを使用しても同様に調製できる。
【0091】
賦形剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EF, Herlus)、ポリビニルピロリドン(PVP k30, Aldrich)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Mw 10k, 5cps, Aldrich)、ポリエチレングリコール(PEG, Mw 6,000, Fluka)、Tween 80(Aldrich)、pluronic F68(BASF)、pluronic F127(Aldrich)、span 80(Aldrich)、cremphor RH40(BASF)、マンニトール(Aldrich)、及びアルギン酸ナトリウム(Aldrich)から選択された。
これらの処方の詳細は、以下に列挙する。
【0092】
(実施例1:(20重量%ローディング))
0.40gのパラセタモール、1.00gのKlucel EF、0.44gのHPMC、及び0.16gのPluronic F68を全て100mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌した後、60mlの蒸留水を添加する。透明な溶液が得られる。
その後この溶液を、BUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で120℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、100乃至500nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
【0093】
(実施例2:(20重量%ローディング))
0.40gのパラセタモール、1.00gのKlucel EF、0.34gのHPMC、0.16gのPluronic F127、及び0.10gのTween 80を全て100mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌した後、60mlの蒸留水を添加する。透明な溶液が得られる。
その後この溶液をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で120℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、100乃至500nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
20mgのパラセタモール処方量及び80mgのパラセタモール処方量に基づく二つの溶解試験を、標準USP2試験を使用して実行する。処方量20mgの50%が10分未満で溶解すること及び処方量80mgの50%が30分未満で溶解することが予期される。処方量20mgの95%が60分未満で溶解すること及び処方量80mgの95%が150分未満で溶解することが予期される。
【0094】
(実施例3:(20重量%ローディング))
0.40gのパラセタモール、1.00gのKlucel EF、及び0.60gのHPMCを全て100mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌した後、60mlの蒸留水を添加する。透明な溶液が得られる。
その後この溶液をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で160℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、100乃至500nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
【0095】
(実施例4:(20重量%ローディング))
0.40gのパラセタモール、1.44gのKlucel EF、及び0.16gのPEG 6000を全て100mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌すると、透明な溶液が得られる。
その後この溶液をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で160℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、300乃至800nmの粒径を有する透明なナノ分散物を得る。
【0096】
(実施例5:(20重量%ローディング))
0.40gのパラセタモール、1.00gのKlucel EF、0.18gのHPMC、0.16gのPEG 6000、0.16gのPluronic F127、及び0.10gのTween 80を全て100mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌した後、60mlの蒸留水を添加する。透明な溶液が得られる。
その後この溶液をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で160℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、100乃至200nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
【0097】
(実施例6:(20重量%ローディング))
0.40gのパラセタモール、1.34gのKlucel EF、0.16gのPluronic F127、及び0.10gのCremphor RH40を全て100mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌した後、60mlの蒸留水を添加する。透明な溶液が得られる。
その後この溶液をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で160℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、100乃至200nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
20mgのパラセタモール処方量及び80mgのパラセタモール処方量に基づく二つの溶解試験を、標準USP2試験を使用して実行する。処方量20mgの50%が10分未満で溶解すること及び処方量80mgの50%が5分未満で溶解することが予期される。処方量20mgの95%が25分未満で溶解すること及び処方量80mgの95%が90分未満で溶解することが予期される。
【0098】
(実施例7:(20重量%ローディング))
0.40gのパラセタモール、1.18gのKlucel EF、0.16gのPluronic F68、0.16gのPluronic F127、及び0.10gのSpan 80を全て100mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌した後、10mlの蒸留水を添加する。透明な溶液が得られる。
その後この溶液をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で160℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、100乃至300nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
【0099】
(実施例8:(20重量%ローディング))
0.40gのパラセタモール、1.40gのKlucel EF、0.10gのTween 80、及び0.10gのSpan 80を全て100mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌すると、透明な溶液が得られる。
その後この溶液をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で160℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、100乃至300nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
【0100】
(実施例9:(30重量%ローディング))
0.30gのパラセタモール、0.57gのKlucel EF、0.05gのPEG 6000、0.05gのPluronic F127、及び0.03gのTween 80を全て50mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌した後、30mlの蒸留水を添加する。透明な溶液が得られる。
その後この溶液をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で160℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、100乃至400nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
【0101】
(実施例10:(30重量%ローディング))
0.30gのパラセタモール、0.65gのKlucel EF、0.025gのTween 80、及び0.025gのSpan 80を全て50mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌すると、透明な溶液が得られる。
その後この溶液をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で160℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、200乃至400nmの粒径を有する透明なナノ分散物を得る。
【0102】
(実施例11:(20重量%ローディング))
0.20gのパラセタモール、0.40gのKlucel EF、0.10gのPluronic F127、0.10gのTween 80、及び0.20gのマンニトールを全て50mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌した後、30mlの蒸留水を添加する。透明な溶液が得られる。
その後この溶液をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で140℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、100乃至300nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
20mgのパラセタモール処方量に基づく溶解試験を、標準USP2試験に従って実施例11で得られる処方について実行する。処方量20mgの50%が5分未満で、95%が10分未満で溶解することが予期される。
【0103】
(実施例12:(20重量%ローディング))
0.20gのパラセタモール、0.50gのKlucel EF、0.10gのPluronic F127、及び0.20gのマンニトールを全て50mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌した後、30mlの蒸留水を添加する。透明な溶液が得られる。
その後この溶液をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で140℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、100乃至300nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
20mgのパラセタモール処方量に基づく溶解試験を、標準USP2試験に従って実行する。処方量20mgの95%が5分未満で溶解することが予期される。
【0104】
(実施例13:(20重量%ローディング))
0.20gのパラセタモール、0.60gのKlucel EF、0.05gのPluronic F127、0.05gのTween 80、及び0.10gのマンニトールを全て50mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌した後、30mlの蒸留水を添加する。透明な溶液が得られる。
その後この溶液をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で160℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、100乃至300nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
【0105】
(実施例14:(20重量%ローディング))
0.20gのパラセタモール、0.60gのKlucel EF、0.10gのPluronic F127、0.025gのTween 80、及び0.025gのSpan 80を全て50mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌すると透明な溶液が得られる。
0.05gのアルギン酸ナトリウムを30mlの蒸留水に溶解させる。このエタノール溶液と水性溶液とを混合すると、透明な混合物が得られる。
その後この混合物をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で160℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、100乃至400nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
【0106】
(実施例15:(20重量%ローディング))
0.20gのパラセタモール、0.60gのKlucel EF、0.15gのPluronic F127を全て50mlの無水エタノール中に分散させる。このエタノール懸濁物をマグネチックバーで約30分間激しく撹拌する。0.05gのアルギン酸ナトリウムを30mlの蒸留水に溶解させる。このエタノール分散物と水性溶液とを混合すると、透明な混合物が得られる。
その後この混合物をBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機で、2.5ml/分の液体供給速度で160℃にて噴霧乾燥させる。白色の自由流動性粉末が得られる。
20mgの乾燥粉末を10mlの蒸留水中に分散させ、200乃至400nmの粒径を有する全く透明なナノ分散物を得る。
20mgのパラセタモール処方量に基づく溶解試験を、標準USP2試験に従って実施例15で得られる処方について実行する。処方量20mgの50%が5分未満で、95%が90分未満で溶解することが予期される。
【0107】
(実施例16)
この実施例には、噴霧乾燥パラセタモール処方を製造するために使用される実験条件をまとめる。
以下の物質は、購入したまま、更なる精製なしに使用された。
・ 4-アセトアミドフェノール(パラセタモール、98%、Mw151.17、Aldrich)
・ ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Mw10,000、Aldrich)
・ ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、98%、Mw288.18、BDH)
・ Tween 80(Mw1309、Aldrich)
・ Pluronic F127(Sigma)
・ マンニトール(Mw182.17、Aldrich)
【0108】
パラセタモール及び賦形剤を、200mlの水/エタノール共溶媒(50体積%)に溶解させ、その後生じた溶液をBUCHI B-290 Mini噴霧乾燥機で噴霧乾燥させた。供給溶液中の固体の典型的な濃度は2.5%であった。噴霧乾燥は120℃の入口温度及び3.6ml/分のポンプ速度で行った。各バッチの構成は表1に示される。
【0109】
【表1】

【0110】
パラセタモールの粒径分布(PSD)を測定するために、噴霧乾燥したパラセタモールバッチの試料0.5gを、30mlの0.1mol/l塩酸(HCl)溶液に10分に亘って撹拌して(マグネチックバー)溶解させ、その後Malvern Nano-S 粒径測定器を使用して測定を行った。分散物は粘度について調整された。
【0111】
溶解特性を研究するために、噴霧乾燥したパラセタモールバッチの試料1.0g(500mgのパラセタモールと同等)を、1000mlの0.1M HClに、50rpmのオーバーヘッドパドル撹拌しつつ37℃にて溶解させた。各溶液のアリコートを1、5、及び10分の時点で採取した。その後この分散物を、UV特性解析のために0.1MのHCl溶液で希釈した。溶解は、各処方について、特定の時間間隔の後に溶解している初期パラセタモール濃度の割合として表される。
【0112】
【表2】

多様な分配が得られたことから、バッチ5、6、もしくは7についてはPSDが測定されなかった。
0.1MのHCl溶液に様々な量のパラセタモールを溶解させることにより、UV較正曲線も得られた。
【0113】
表3には、様々なパラセタモール試料の特徴的なXRD回折値を挙げる。第1欄(パラ)は、未処理のパラセタモール結晶についてのものであり、第2欄(パラ−22)は噴霧乾燥したパラセタモール試料についてのものであり、第3欄(パラ−22−対照)はパラセタモールを含まない噴霧乾燥「対照」試料についてのものであり、更に第4欄(パラ―22―混合)はパラセタモールと機械的に混合した試料についてのものである。太字の値はパラセタモール由来の特徴的なXRD解析パターンである。
【0114】
【表3】

【0115】
表3のデータは、上述の単相法により調製されたパラセタモールのナノ粒子が無定形含量の全くない完全な結晶であること、及びこれらが出発パラセタモール物質と本質的に同一の結晶性及び結晶形態を保持することを示す。
【0116】
(実施例17:イブプロフェン)
この実施例には、噴霧乾燥イブプロフェン処方の製造に用いられる実験条件をまとめる。
以下の物質は、購入したまま、更なる精製なしに使用された。
・ イブプロフェン(Mw206.29、Aldrich)
・ ポリビニルアルコール(PVA、Mw13,000-23,000、98%加水分解、Aldrich)
・ ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Mw10,000、Aldrich)
・ Tween 40(Aldrich)
・ Pluronic F127(Sigma)
【0117】
各処方について、イブプロフェンをエタノール(15ml)に溶解させ、別の賦形剤を蒸留水(10ml)に溶解させた。水性溶液及びエタノール溶液を互いに混合させて、固体含量が4%の透明な溶液を得た。溶液を、2.5ml/分の液体供給速度で120℃にて噴霧乾燥させた(BUCHI Mini噴霧乾燥機B-290)。白色粉末が得られ、これを分析のために試料バイアルに回収した。
【0118】
粉末状試料を、5%のイブプロフェン濃度で脱塩水に加えた。この分散物を10分に亘って撹拌し(マグネチックバー)、その後Malvern Nano-S 粒径測定器を使用して測定を行った。分散物は粘度について調整された。試料の構成及び粒径分布を表4にまとめる。
【0119】
【表4】

【0120】
(実施例18:アスピリン)
以下の物質は、購入したまま、更なる精製なしに使用された。
・ アスピリン(Mw108.16、Aldrich)
・ ポリビニルアルコール(PVA、Mw9,000-10,000、80%加水分解、Aldrich)
・ ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Mw10,000、Aldrich)
・ Tween 80(Aldrich)
・ ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、98%、Mw288.18、BDH)
・ マンニトール(Mw182.17、Aldrich)
【0121】
粉末状試料を、以下に示される濃度で脱塩水に加えた。この分散物を10分に亘って撹拌し(マグネチックバー)、その後Malvern Nano-S 粒径測定器を使用して測定を行った。分散物は粘度について調整された。
【0122】
(エマルション法)
PVA(0.45g)及びSDS(1.0g)を、オーバーヘッドパドルスターラーを用いて撹拌し、水(24ml)に溶解させた。別のフラスコ内でアスピリン(0.4g)をクロロホルム(24ml)中に溶解させ、生じた溶液を撹拌した水性溶液中に滴下した。生成したエマルションを20,500rpmにて2分間ホモジェナイズした後さらに24,000rpmにて2分間ホモジェナイズし、3.6ml/分の液体供給速度で130℃にて噴霧乾燥させた(BUCHI Mini噴霧乾燥機B-290)。白色粉末が得られ、これを分析のために試料バイアルに回収した。この物質は、4mg/mlの試料で測定した82nmの粒径(Zave)を有していた。
【0123】
(単相法(表5参照))
各処方について、アスピリンをアセトンに溶解させ、別の賦形剤を蒸留水に溶解させた。水性溶液とアセトン溶液とを互いに混合させ、表に示される固体含量を有する透明溶液を得た。この溶液を3.6ml/分の液体供給速度で100℃にて噴霧乾燥させた(BUCHI Mini噴霧乾燥機B-290)。白色粉末が得られ、これを分析のために試料バイアルに回収した。粒径測定は、全ての場合において2.4mg/mlの濃度で実行した。
【0124】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) i)水不溶性パラセタモールまたはNSAID、
ii)水溶性担体、及び
iii)パラセタモールまたはNSAIDと前記担体との、各々のための溶媒;
を含む混合物を準備する工程;及び
b)前記混合物を噴霧乾燥させて前記溶媒もしくは各溶媒を除去し、パラセタモールまたはNSAIDの、実質的に溶媒を含まない前記担体中のナノ分散物を得る工程;
を含む、水不溶性パラセタモールまたはNSAIDを含む組成物の製造方法。
【請求項2】
a) i)パラセタモールまたはNSAIDの、その水非混和性溶媒中の溶液、及び
ii)前記担体の水性溶液、
を含むエマルションを準備する工程;及び
b)前記エマルションを噴霧乾燥させて水及び水非混和性溶媒を除去し、パラセタモールまたはNSAIDの、実質的に溶媒を含まない前記担体中のナノ分散物を得る工程;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a) i)少なくとも一つの非水性溶媒、
ii)任意の水、
iii)(i)と(ii)との混合物中に可溶性である水溶性担体物質、及び
iv)(i)と(ii)との混合物中に可溶性である水不溶性パラセタモールまたはNSAID;
を含む混合物を準備する工程;及び
b)前記溶液を噴霧乾燥させて水と水混和性溶媒を除去し、パラセタモールまたはNSAIDの実質的に溶媒を含まない前記担体中のナノ分散物を得る工程;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記噴霧乾燥処理が、120℃以上の温度で実行される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記担体物質が、ポリマー及び/または界面活性剤を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記担体物質が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(2-エチル-2-オキサザリン)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピル-メチルセルロース、及びアルギネートの少なくとも一つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記担体物質が、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、エーテルスルフェート界面活性剤、カチオン性界面活性剤、またはエステル界面活性剤の少なくとも一つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記非水性溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、及びジメチルスルホキシドの少なくとも一つを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
疼痛の治療における使用のための薬剤の調製方法であって、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法によって組成物を調製する工程を含む方法。
【請求項10】
水不溶性パラセタモールまたはNSAID及び水溶性担体を含む組成物であって、前記担体がこの担体中に分散した100乃至1500nmの平均粒径を有するパラセタモールまたはNSAID粒子を含む組成物。
【請求項11】
前記組成物が、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法によって得られたか、または得ることができる、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
パラセタモールまたはNSAIDの粒子の前記平均径が、200乃至800nm、400乃至800nm、または400乃至600nmである、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項13】
パラセタモールまたはNSAIDの前記粒子が、実質的に結晶性である、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
パラセタモールまたはNSAIDの前記粒子が、当該組成物の調製に使用されるパラセタモールまたはNSAID物質の本来の結晶性を保持する、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
パラセタモールまたはNSAIDの前記粒子が、実質的に無定形物質を含まない、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
1つまたは複数の更なる治療用活性剤を更に含む、請求項10乃至15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
プロトンポンプ阻害薬、例えばオメプラゾールまたはエソメプラゾール、及び/またはH2アンタゴニスト、例えばラニチジンまたはファモチジンを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
疼痛の治療または予防における使用のための、請求項10乃至17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
請求項10乃至17のいずれか一項に記載の組成物の治療用有効量を患者に投与する工程を含む、疼痛の治療方法。

【公表番号】特表2009−542793(P2009−542793A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518978(P2009−518978)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050407
【国際公開番号】WO2008/007150
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(509011857)ユニリーバー・ピーエルシー (11)
【Fターム(参考)】