説明

製袋包装機のチューブ装置

【課題】 インナーチューブを必要とせず、かつ、フォーマチューブの下部が非円筒形であっても容易に脱着することのできる製袋包装機のチューブ装置を提供する。
【解決手段】 チューブ本体10と、チューブ本体10の内周面12に重ね合わせ接合され、かつ、チューブ本体10の下端から露出する一対のジョイント板20と、一対のジョイント板20の下部に設けた係合ピン23に係合するL字型に切り欠かれた取付溝41を有するスカート部材40とを備える。スカート部材40のL字型の取付溝41を係合ピン23に向って上方に嵌め込んだ後、スカート部材40を長径方向Xの一方にスライド移動させることにより、スカート部材40をジョイント板20を介してチューブ本体10の下端部13に連なるように接続できるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋包装機の特にフォーマチューブの下部に取り付くジョイント部分の脱着構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆる縦ピロー包装機において、フォーマチューブの外面にはフィルムが流れ、内面には計量物が流れるので、図4に示すように、本体チューブ102の内側にインナーチューブ103が入り、その隙間でジョイント部101の取付加工がなされている。円筒形のチューブの場合には、ジョイント部101を回転させて脱着することが可能である。しかし、非円筒形のチューブの場合には、前記構造での脱着は不可能である。また、前記構造では、インナーチューブ103が必要である。
【0003】
また、下記の特許文献1,2の脱着構造についても、同様な欠点がある。
【特許文献1】特開平9−193906号(図3)
【特許文献2】実用新案登録第2500322号(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、インナーチューブを必要とせず、かつ、フォーマチューブの下部が非円筒形であっても容易に脱着することのできる製袋包装機のチューブ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、フィルムをチューブ装置に沿わせながらフィルムの流れ方向に沿った端部同士を縦シール装置で縦シールしてフィルムを筒状に成形し、該筒状に成形したフィルム内に内容物が充填された後に前記フィルムの流れ方向に対する横方向に帯状に横シールして包装された商品を生産する製袋包装機において、外周面で前記筒状のフィルムを案内し、かつ、内周面で前記内容物の落下経路を形成するチューブ本体と、上部が前記チューブ本体の内周面に重ね合わせ接合され、かつ、下部が前記チューブ本体の下端から露出する一対のジョイント板と、前記一対のジョイント板の下部に設けた係合ピンに係合するL字型に切り欠かれた取付溝を有するスカート部材とを備え、前記チューブ本体の少なくとも下端部と前記スカート部材の横断面が長円形ないし楕円形に形成され、前記チューブ本体の下端部の長径方向に沿った一対の内側面に前記各ジョイント板が接合され、このようにチューブ本体、スカート部材およびジョイント板が形成されていることで、前記スカート部材のL字型の取付溝を前記係合ピンに向って上方に嵌め込んだ後、前記スカート部材を前記長径方向の一方にスライド移動させることにより、前記スカート部材を前記ジョイント板を介して前記チューブ本体の下端部に連なるように接続できるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、前記スカート部材のL字型の溝を係合ピンに向かって上方に嵌め込んだ後、スライド移動させることにより、前記スカート部材を楕円形のフォーマチューブに簡単に装着したり、取り外したりすることができる。
また、インナーチューブが必要でないから、清掃が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の好適な実施例においては、スカート部材の落下防止を図るために、前記ジョイント板を介して前記チューブ本体に接続された前記スカート部材が前記長径方向の他方にスライド移動するのを阻止する落下防止手段が設けられている。
【0008】
前記落下防止手段の好適な例としては、前記落下防止手段は、前記スカート部材の上端部に設けられ前記フィルムの流れ方向に延びる移動防止用の切欠溝と、前記切欠溝のエッジにおいて前記スカート部材が前記スカート部材の短径方向の内方に若干突出して形成された係合部とを備え、前記係合部が前記ジョイント板の側端に係合していることで、前記スライド移動が阻止される。
このような落下防止手段は、簡易な構造で落下防止を実現することができる。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
図1に示す製袋包装機において、フィルムFはフォーマ30により筒状に曲成される。製袋包装機3は、フォーマ30の下方のプルダウンベルト31がフィルムFの側面を下方に引っ張ると共に、側方の縦シーラ32がフィルムFの流れ方向に沿った端部同士(合わせ目)をシールしてフィルムFを筒状に成形する。
【0010】
エンドシーラ33は、一対のシールジョーを備えている。該一対のシールジョーは包装の度に互いに歯合することで、前記筒状のフィルムFのエンド(商品の縦方向の端部)を圧着させてシールする。なお、横シールされた部位は、図示しないカッタで切断されて、商品ごとに切り離され、連包商品の場合にはミシン目が形成される。
【0011】
すなわち、製袋包装機3は、いわゆる縦型ピロー包装機で、シート状のフィルムFをチューブ装置1に沿わせながらフィルムFの流れ方向Zに沿った端部同士を縦シーラ32で縦シールVしてフィルムFを筒状に成形し、該筒状に成形したフィルムF内に内容物Mが充填された後にエンドシーラ33で前記フィルムFの流れ方向に対する横方向Xに帯状に横シールHして包装された商品を生産する。製袋包装機3は、内容物Mを連続的に包装する(たとえば、特開平4−128105号公報参照)。
【0012】
図2は前記チューブ装置1の下端部分を断面すると共に分解して示す斜視図である。
この図に示すように、前記チューブ装置1は、チューブ本体10と一対のジョイント板20とスカート部材40とを備える。
【0013】
図1に示すように、前記チューブ本体10は、前記フォーマ30を上下に貫通しており、外周面11で前記筒状のフィルムFを案内し、かつ、図2の内周面12で前記内容物M(図1)の落下経路Rを形成する。前記チューブ本体10の下端部13にはスカート部材40が接続されている。
【0014】
図2において前記ジョイント板20は、上部21が前記チューブ本体10の内周面12に重ね合わせ接合され、かつ、下部22が前記チューブ本体10の下端10eから露出する。一方、スカート部材40は前記一対のジョイント板20,20の下部22に設けた一対の係合ピン23に係合するL字型に切り欠かれた取付溝41を有する。なお、前記スカート部材40には、製袋される袋を拡開させる補助具45が設けられている。
【0015】
前記チューブ本体10の少なくとも下端部13と前記スカート部材40の横断面は、長円形ないし楕円形に形成されている。前記チューブ本体10の下端部13の長径方向Xに沿った一対の内周面12には前記各ジョイント板20が接合されている。
【0016】
このようにチューブ本体10、スカート部材40およびジョイント板20が形成されていることで、前記スカート部材40のL字型の取付溝41を前記係合ピン23に向かって上方に嵌め込んだ後、図3(a)の前記スカート部材40を前記長径方向Xの一方X1にスライド移動させることにより、前記スカート部材40を前記ジョイント板20を介して前記チューブ本体10の下端部13に連なるように接続できるようにしてある。
【0017】
つぎに、落下防止手段について説明する。
該落下防止手段は、図2に示す移動防止用の切欠溝42と、係合部42eとで構成される。
【0018】
前記切欠溝42は前記スカート部材40の上端部に設けられ前記フィルムFの流れ方向Zに延びる。一方、前記係合部42eは、前記切欠溝42のエッジにおいて前記スカート部材40が前記スカート部材40の短径方向Yの内方に向かって若干突出して形成されている。図3(a)のように、前記係合部42eがジョイント板20の側端24に係合していることで、前記ジョイント板20を介して前記チューブ本体10に接続された前記スカート部材40が前記長径方向Xの他方X2にスライド移動するのが阻止される。
【0019】
つぎに、スカート部材40の着脱方法について説明する。
スカート部材40を装着するには、まず、図2の上方のジョイント板20の係合ピン23に向かって上方にスカート部材40を持ち上げて、スカート部材40の取付溝41を係合ピン23に嵌め、つづいて、図3(c)の長径方向X1にスカート部材40をスライド移動させる。これにより、図3(a)のように、スカート部材40がチューブ本体10に装着される。
【0020】
前記装着が完了すると、図2の短径方向Yの内方に向かって若干突出した係合部42eがジョイント板20の側端24に当接し、図3(a)のスカート部材40が矢印X2方向にスライドして脱落するのが防止される。
【0021】
一方、スカート部材40を取り外すには、矢印X2方向に向かってスカート部材40を軽く叩くと、前記係合部42eと側端24との係合が解かれ、スカート部材40がX2方向にスライド移動し、その後、スカート部材40を下方に向かって取り外す。
【0022】
このように、本ジョイント構造によれば、チューブが非円筒形であっても、スカート部材40の着脱が極めて容易になると共に、落下防止を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明はいわゆる縦ピロー型の製袋包装機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明が適用される製袋包装機の一例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかるチューブ装置の下端部分を断面すると共に分解して示す斜視図である。
【図3】同正面図、断面図および装着する方法を示す同正面図である。
【図4】従来のジョイントの構造を示す正面図および断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1:チューブ装置
3:製袋包装機
10:チューブ本体
11:外周面
12:内周面
13:下端部
20:ジョイント板
21:上部
22:下部
23:係合ピン
32:縦シーラ
33:エンドシーラ
40:スカート部材
41:取付溝
F:フィルム
M:内容物
R:落下経路
H:横シール
V:縦シール
X:横方向(長径方向)
Z:流れ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムをチューブ装置に沿わせながらフィルムの流れ方向に沿った端部同士を縦シール装置で縦シールしてフィルムを筒状に成形し、該筒状に成形したフィルム内に内容物が充填された後に前記フィルムの流れ方向に対する横方向に帯状に横シールして包装された商品を生産する製袋包装機において、
外周面で前記筒状のフィルムを案内し、かつ、内周面で前記内容物の落下経路を形成するチューブ本体と、
上部が前記チューブ本体の内周面に重ね合わせ接合され、かつ、下部が前記チューブ本体の下端から露出する一対のジョイント板と、
前記一対のジョイント板の下部に設けた係合ピンに係合するL字型に切り欠かれた取付溝を有するスカート部材とを備え、
前記チューブ本体の少なくとも下端部と前記スカート部材の横断面が長円形ないし楕円形に形成され、前記チューブ本体の下端部の長径方向に沿った一対の内側面に前記各ジョイント板が接合され、
このようにチューブ本体、スカート部材およびジョイント板が形成されていることで、前記スカート部材のL字型の取付溝を前記係合ピンに向って上方に嵌め込んだ後、前記スカート部材を前記長径方向の一方にスライド移動させることにより、前記スカート部材を前記ジョイント板を介して前記チューブ本体の下端部に連なるように接続できるようにしたことを特徴とする製袋包装機のチューブ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ジョイント板を介して前記チューブ本体に接続された前記スカート部材が前記長径方向の他方にスライド移動するのを阻止する落下防止手段が設けられた製袋包装機のチューブ装置。
【請求項3】
請求項2において、前記落下防止手段は、前記スカート部材の上端部に設けられ前記フィルムの流れ方向に延びる移動防止用の切欠溝と、前記切欠溝のエッジにおいて前記スカート部材が前記スカート部材の短径方向の内方に若干突出して形成された係合部とを備え、
前記係合部が前記ジョイント板の側端に係合していることで、前記スライド移動が阻止される製袋包装機のチューブ装置。
【請求項4】
フィルムをチューブ装置に沿わせながらフィルムの流れ方向に沿った端部同士を縦シール装置で縦シールしてフィルムを筒状に成形し、該筒状に成形したフィルム内に内容物が充填された後に前記フィルムの流れ方向に対する横方向に帯状に横シールして包装された商品を生産する製袋包装機において、
外周面で前記筒状のフィルムを案内し、かつ、内周面で前記内容物の落下経路を形成するチューブ本体と、
上部が前記チューブ本体の内周面に重ね合わせ接合され、かつ、下部が前記チューブ本体の下端から露出する一対のジョイント板と、
前記一対のジョイント板の下部に設けた係合ピンに係合するL字型に切り欠かれた取付溝を有するスカート部材とを備え、
前記L字型の取付溝が前記係合ピンに係合することで、前記スカート部材が前記ジョイント板を介して前記チューブ本体の下端部に連なるように接続され、
前記スカート部材の上端部には前記包材の流れ方向に延びる移動防止用の切欠溝が設けられ、
前記切欠溝のエッジにおいて前記スカート部材が前記スカート部材の径方向の内方に若干突出した係合部が形成され、
前記係合部が前記ジョイント板に係合していることで、前記スカート部材の取付後の移動が阻止される製袋包装機のチューブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−232383(P2006−232383A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53865(P2005−53865)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】