説明

製袋包装装置

【課題】フィルムのシール性を向上するとともに、シール時の消費電力を低減することが可能な製袋包装装置を提供する。
【解決手段】シール部材110、111は、それぞれ四角柱形状のヒータ130が埋め込まれることにより当該ヒータ130の3面を保持するシールジョー110a、111aと、当該ヒータ130の残りの1面に接する断熱部材110b、111bとを含んで構成される。シールジョー110a、111aには、それぞれシールを行うシール部112、113が形成されている。シールジョー110aと断熱部材110bとが接合され、シールジョー111aと断熱部材111bとが接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状フィルムの端部をシールするシール装置を備えた製袋包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製袋包装装置として、フィルムを鉛直下方へ搬送しつつ当該フィルムにより物品を包装する縦型製袋包装装置が知られている。縦型製袋包装装置は、1枚の帯状のフィルムを筒状に成形し、当該筒状に成形されたフィルム内へ物品を投入し、フィルム端部を熱シールすることにより、物品を包装する。そして、連続して生成される複数の包装袋の境目を切断することにより、複数の包装袋を分離して生成する。
【0003】
例えば次のような包装装置がある。特許文献1には、フィルムを挟み付けたときの両シールジョー間の間隔を検出するための第1および第2近接センサと第1および第2検知部材とを備える包装装置が提案されている。
【0004】
この包装装置では、包装部のコントロールユニットが第1および第2近接センサによる検出信号に基づいて噛み込みの有無を判定し、噛み込みが有ると判定したときに、貼付部のコントロールユニットは、シールジョーによりシールされた箇所の下流側および上流側の袋に対する貼付部の把持機構による把持動作、貼付機構による貼付動作、およびテープ供給機構によるテープ供給動作を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−191197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の包装装置においては、シールジョーには、シール時に挟み付けたフィルムを加熱するためのヒータが設けられている。このヒータは常時オンされており、消費電力の低減が課題となっている。そこで、シールジョーのシール面を除く領域への放熱を抑制し、消費電力を低減する必要がある。
【0007】
本発明の目的は、フィルムのシール性を向上するとともに、シール時の消費電力を低減する製袋包装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)一の局面に従う製袋包装装置は、長尺フィルムを筒状フィルムに成形し、当該フィルムの端部をシール装置によりシールして物品を包装する製袋包装装置であって、シール装置は、筒状フィルムを発熱面にてシールするシールジョーと、シールジョーを加熱する加熱部と、加熱部からの熱が発熱面の方向以外の方向へ伝導するのを遮断する断熱部材と、を含むものである。
【0009】
一の局面に従う製袋包装装置においては、長尺フィルムが筒状フィルムに成形され、当該フィルムの端部がシール装置によりシールされることによって物品が包装される。シール装置においては、加熱部により加熱されたシールジョーによって筒状フィルムが発熱面にてシールされる。また、加熱部からの熱が発熱面の方向以外の方向へ伝導するのが断熱部材により遮断される。
【0010】
この場合、断熱部材により加熱部からの熱が発熱面の方向以外の方向へ伝導することが遮断されるので、発熱面における熱ロスが抑制できる。これにより、筒状フィルムのシール性の向上を図ることができる。また、熱ロスを抑制できるので余計な電力が不要となることにより省電力を実現できる。
【0011】
(2)加熱部は、シールジョーと、当該シールジョーに対向配置された断熱部材との間に配されてもよい。
【0012】
この場合、加熱部をシールジョーと当該シールジョーに対向する断熱部材との間に配する構成を採用することによって、シールジョーおよび断熱部材において加熱部を挟持する領域を外部に露出させることができる。したがって、切削加工により上記領域を形成できるので、従来のように丸型ヒータを挿入するための貫通孔をシールジョーに加工する場合よりも、作業手間が低減される。
【0013】
(3)加熱部は、角柱形状のヒータであってもよい。この場合、例えば、角柱形状のヒータの3面をシールジョーで保持し、発熱面の方向と逆方向に断熱部材を設けることにより、丸型ヒータを用いる場合に比べ、発熱面の方向と逆方向への熱ロスが少なくなる。
【0014】
(4)シールジョーは、角柱形状のヒータが埋め込まれることにより当該ヒータの3面を保持し、断熱部材は、角柱形状のヒータの1面に接し、シールジョーと断熱部材とが接合されてもよい。
【0015】
この場合、シールジョーによりヒータの3面を保持し、発熱面の方向と逆方向に断熱部材を設けることによって、発熱面の方向と逆方向への熱ロスを著しく抑制できる。これにより、筒状フィルムのシール性を著しく向上できる。また、発熱面の方向と逆方向への熱の移動が断熱部材により遮断される。これにより、発熱面における集熱性を向上できる。それにより、筒状フィルムのシール性をより向上できる。さらに、発熱面の幅方向において複数のヒータを配設してもよい。この場合、発熱面の幅方向に複数のヒータを配設することで、例えば当該幅方向の両端に配設されたヒータの温度を個別に上げるよう調整することができる。これにより、発熱面の全域に均等に熱が伝導されるので、筒状フィルムのシール性をより向上できる。
【0016】
さらに、角柱形状のヒータを保持するシールジョーの保持部分および断熱部材の保持部分は、これらの接合前にはそれぞれ外部に露出しているので、通常の切削加工により容易に形成できる。したがって、加工コストを抑えることができる。
【0017】
(5)加熱部は、円柱形状のヒータであり、シールジョーは、発熱面に向かって広がる略扇形状を有し、シールジョーと断熱部材とが上記ヒータを挟んで接合されてもよい。
【0018】
この場合、円柱形状のヒータを加熱部として採用したときでも、当該ヒータにより放射状に発生した熱が略扇形状のシールジョーを介して発熱面の端部にも良好に伝導される。したがって、発熱面の全域に均等に熱が伝導されるので、筒状フィルムのシール性をより向上できる。
【0019】
(6)シールジョーには、熱疲労特性を向上する表面処理が施されていることが好ましい。通常シールに必要な温度は高温(例えば200℃)であるので、シールジョーに上記表面処理が施されていることにより、当該シールジョーの熱疲労特性を向上できる。したがって、長期間にわたり、シールジョー(シール装置)を使用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る製袋包装装置によれば、フィルムのシール性を向上できるとともに、シール時の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る製袋包装装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1の製袋包装装置の一部構成部を示す模式図である。
【図3】図1の製袋包装装置における横シール機構周辺の拡大平面図である。
【図4】図3のI−I線に沿った矢視側断面図である。
【図5】各シール部材の構成を示す模式的斜視図である。
【図6】押圧部材を受け部材に対して圧接状態にしたときの図4の部分拡大図である。
【図7】シールジョーおよび押圧部材の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図8】第2実施形態に係るシール部材の構成を示す断面図である。
【図9】他例に係るヒータの構成を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態に係る製袋包装装置について図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る製袋包装装置100の構成を示す斜視図である。
【0023】
図1に示すように、製袋包装装置100は、組合せ計量装置101、成形機構102、プルダウンベルト103、縦シール装置104、横シール装置105、製袋包装ユニット106、フィルム供給ユニット107および操作スイッチ類108を主として備える。
【0024】
組合せ計量装置101は商品について計量ホッパにおいて所定重量ずつ計量した後、これらの計量値を所定の合計重量になるように組み合わせて順次排出して、所定の合計重量の商品について長尺フィルムFにより袋詰めする。
【0025】
製袋包装ユニット106は、商品Cの袋詰めを行う本体部分である。また、フィルム供給ユニット107は、製袋包装ユニット106に袋Wとなる長尺フィルムFを供給する。製袋包装ユニット106の前面には操作スイッチ類108が配設されている。
【0026】
フィルム供給ユニット107は、製袋包装ユニット106の成形機構102にシート状の長尺フィルムFを供給するユニットであって、製袋包装ユニット106に隣接して設けられている。フィルム供給ユニット107には長尺フィルムFが巻回されたフィルムロールがセットされ、当該フィルムロールから長尺フィルムFが繰り出される。
【0027】
図2は図1の製袋包装装置100の一部構成部を示す模式図である。図2に示すように、製袋包装装置100において合成樹脂等の熱溶融性の長尺フィルムFが、図示しない搬送装置により搬送され、成形機構102のフォーマ102aにより筒状フィルムFに成形される。そして、筒状フィルムFは、チューブ109の周囲で垂下し、プルダウンベルト103でさらに下方に搬送されながら、重なり合った縁部が縦シール装置104で加熱溶着されて縦にシールされる。その後、横シール装置105により加熱溶着されて横にシールされることによって袋Wが製造される。その袋Wの中に上記チューブを介して上方から物品が充填される。
【0028】
横シール装置105は、筒状フィルムFを挟持する一対のシール部材110、111を有する。当該シール部材110、111は、それぞれ後述するシールジョー110aおよび断熱部材110b、ならびにシールジョー111aおよび断熱部材111bを構成部材として含む。なお、これらのシール部材110、111は、略D字のような軌跡で対称的に移動するため、フィルムFの連続的な搬送を阻害しない。
【0029】
また、シール部材110、111は、それぞれ旋回軸心O回りに旋回しながら、軸心X回りに回動して、当該シール部材110、111のシール面を相互に対向させる姿勢を保持する。
【0030】
図3は図1の製袋包装装置100における横シール機構周辺の拡大平面図である。図3に示すように、シール部材110、111は、それぞれ左右一対の断熱ブロック120および取付ブロック121を介してベアリングボックス122に連結されている。
【0031】
各ベアリングボックス122は、軸心Xを含む図示しないシャフトを回転自在に支持しており、当該シャフトは、左右一対の旋回アーム123の間に架け渡されている。なお、一方の旋回アーム123(図面左側)に隣接して、シール部材110、111を軸心X回りに回動させるためのユニット124が配設されている。このユニット124と旋回軸心Oとの間には、シール部材110、111を同じ姿勢に保つためのタイミングベルト125が設けられている。
【0032】
一方のシール部材110のシールジョー110a(後述)には図示しない間隙部が形成されており、当該間隙部に押圧部材128が設けられている。また、他方のシール部材111のシールジョー111a(後述)には図示しない凹溝が形成されており、当該凹溝に受け部材129が設けられている。
【0033】
押圧部材128は、受け部材129に対して近接または離間するように移動自在であるのに対し、受け部材129はシールジョー111a(後述)に固定されている。なお、後述の図4では、押圧部材128および受け部材129の図示を省略している。
【0034】
図4は図3のI−I線に沿った矢視側断面図である。以下、上述の図3および図4を参照して、押圧部材128の移動方法について説明する。一方のジョーフレーム140の背部に、左右一対の脚部材141が組み付けられ、各脚部材141に上下一対の支持プレート142が組み付けられている。
【0035】
各支持プレート142間に、上下に伸びる第1支軸144が架け渡され、この第1支軸144に、第1リンク143の一端部が回動自在に支持されている。また、一方のジョーフレーム140の背部において脚部材141の側方には、支持ブラケット145が組み付けられている。この支持ブラケット145の支軸146にエアシリンダ147が回動自在に支持されている。そして、エアシリンダ147のロッド148のロッドエンド149と第1リンク143の他端部とが第2支軸150により連結されている。
【0036】
上記の第2支軸150には、第2リンク151の一端部が連結されている。この第2リンク151は上下一対設けられる。これは、軸心Xを含む図示しないシャフトとの干渉を避けるためである。第2リンク151の他端部は、第3支軸152を介してベース部材153に連結されている。
【0037】
ベース部材153は押圧部材128の後端部をビス止めして支持するもので、上下左右の計4つの揺動リンク154により水平面内において揺動自在とされる。これにより、押圧部材128は、受け部材129に近接してシールジョー110aのシール面から突出し、または当該受け部材129から離間することが可能となる。
【0038】
図4に示すように、ベアリングボックス122はジョーフレーム126とジョーフレーム127との間に固定されている。断熱ブロック120および取付ブロック121は、その背面が円弧状に凹形状となっている。これは、軸心Xを含むシャフトとの干渉を避けるためである。
【0039】
シール部材110、111の各々には、2つの四角柱形状のヒータ130それぞれが埋め込まれている。これらのヒータ130は、シール部材110、111と押圧部材128および受け部材129とを加熱する。
【0040】
本実施形態では、シール部材110、111は、それぞれ四角柱形状のヒータ130が埋め込まれることにより当該ヒータ130の3面を保持するシールジョー110a、111aと、当該ヒータ130の残りの1面に接する断熱部材110b、111bとを含む。すなわち、各ヒータ130は、それぞれシールジョー110a、111aと、当該シールジョー110a、111aに対向配置された断熱部材110b、111bとの間に配される。本実施形態では、耐熱性および軽量かつ高強度の観点から、断熱部材110b、111bとして、例えばFRP(Fiber Reinforced Plastics)を用いることができる。
【0041】
シールジョー110a、111aには、それぞれシールを行うシール部112、113が形成されている。シールジョー110aと断熱部材110bとが接合され、シールジョー111aと断熱部材111bとが接合される。このように、本実施形態では、シール部材110、111をそれぞれシールジョー110a、111aおよび断熱部材110b、111bの2つの部材に分けて構成する。断熱部材110b、111bは、ヒータ130からの熱がそれぞれシール部112、113の方向以外の方向へ伝導するのを遮断する。
【0042】
図5はシール部材110、111の構成を示す模式的斜視図である。図5に示すように、シールジョー110a、111aは、それぞれヒータ130を保持するためのヒータ保持部131を有する。当該ヒータ保持部131は、通常の切削加工により形成される。各ヒータ130は、ヒータ保持部131にそれぞれ挿入されて設けられる。
【0043】
また、シールジョー110a、111aには、熱疲労特性を向上する表面処理が施される。この表面処理は、例えば5〜10μmの膜厚のテクノフォス処理である。
【0044】
次いで、以上のように構成された製袋包装装置100の主な動作を説明する。
【0045】
図2に示したように、本実施形態に係る製袋包装装置100においては、筒状フィルムFが連続的に搬送され、シール部材110およびシール部材111が各々の旋回軸心Oの回りに同期して対称的に旋回される。
【0046】
そして、シール部材110、111が筒状フィルムFを挟持した状態で上方において互いに対接してから下方で離間するまでの間、筒状フィルムFは横方向にシールされることによって袋Wとなる。
【0047】
図6は押圧部材128を受け部材129に対して圧接状態にしたときの図4の部分拡大図である。シール部材110、111が筒状フィルムFを挟持して対接するときは、矢印D1、D2(図3)で示したように、シール部材110、111は互いに近接し、そして、図6に示すように、シール部材110のシールジョー110aのシール部112とシール部材111のシールジョー111aのシール部113とが対接し合う。
【0048】
このようなシール動作の際にエアシリンダ147がオンにされると、ロッド148が矢印D3(図3)の方向に移動することにより、ロッドエンド149が第1支軸144の前方に移動する。これに伴い、ロッドエンド149、第2支軸150、第1リンク143の一端部および第2リンク151の一端部が前方へ移動し、第2リンク151は、その他端部および第3支軸152を介してベース部材153および押圧部材128を前方へ移動させる。
【0049】
これにより、ベース部材153および押圧部材128は、各揺動リンク154を介して矢印D4の方向に沿って移動し、押圧部材128は受け部材129に近接するようにシールジョー110aのシール面から突出する。
【0050】
そして、図6において矢印D5で示したように、押圧部材128は受け部材129に対して圧接状態となり、シール中の筒状フィルムFを溶断する。
【0051】
一方、エアシリンダ147がオフにされると、ロッド148が後退し、ロッドエンド149が矢印D3と逆の方向に移動する。これにより、ベース部材153および押圧部材128は矢印D4と逆の方向に揺動する。それにより、押圧部材128は受け部材129から離間する。
【0052】
このように、エアシリンダ147をオンまたはオフの状態にすることにより、押圧部材128を受け部材129に対して圧接状態または非圧接状態にし、袋Wの切断および非切断を切り替えて実施することができる。
【0053】
図7はシールジョー110a、111aおよび押圧部材128の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【0054】
図7に示すように、シールジョー110a、111aおよび押圧部材128の動作タイミングにおいては、シールジョー110a、111aの対接によるシール動作の経過途中の期間T1で、押圧部材128を圧接状態から非圧接状態に切り替えることが好ましい。
【0055】
押圧部材128を圧接状態に維持すると、シールジョー110a、111a同士が浮き上がってしまうため、対接力が低下する。その結果、筒状フィルムFのシール性が損なわれる傾向となってしまう。
【0056】
そこで、シールジョー110a、111aが互いに非対接状態となる前に、上述したように押圧部材128を圧接状態から非圧接状態に切り替えることにより、対接力が低下してしまう期間T1を短くし、シールジョー110a、111aの対接期間T2を長くする。これにより、筒状フィルムFのシールに必要な大きな対接力を長期間確保できるので、当該筒状フィルムFのシール性を強固なものとすることができる。
【0057】
(第1実施形態における効果)
本実施形態においては、シール部材110、111において角柱形状のヒータ130を用いることにより、従来の丸型ヒータから放射状に供給される熱と比べて、シール部112、113に向かって最短でかつ直線状に熱が供給されることによってシール部112、113における熱ロスが抑制できる。それにより、筒状フィルムFのシール性の向上を図ることができる。すなわち、シールジョー110a(111a)によりヒータ130の3面を保持できるので、シール部112(113)の方向と逆方向への熱ロスを著しく抑制できる。これにより、筒状フィルムFのシール性を著しく向上できる。したがって、熱ロスを抑制できるので余計な電力が不要となることにより省電力を実現できる。参考値として、従来比およそ−30%の省エネ効果が期待される。また、上記熱ロスが抑制されることにより、シールジョー110a、111aの温度応答性が向上するため、制御性が向上し温度安定化が図れる。
【0058】
また、本実施形態において角柱形状のヒータ130を採用することで、丸型ヒータを用いていた従来に比べ、体積比でおよそ60%、面積比でおよそ45%の低減を実現できる。これにより、軽量化および小型化を図り、機械的強度を維持した上で、シール部112(113)以外への熱流出を十分に抑制できる。
【0059】
また、シール部112(113)の方向と逆方向への熱の移動が断熱部材110b(111b)により遮断される。これにより、シール部112(113)における集熱性を向上できる。したがって、筒状フィルムFのシール性をより向上できる。
【0060】
また、従来は丸型ヒータを用いていた。当該丸型ヒータを保持するために、ガンドリル加工により保持部材に長い貫通孔を設ける必要があり、加工コストが上昇していた。これに対して、本発明では、シール部材110、111をそれぞれ2つの部材(シールジョー110a、111aおよび断熱部材110b、111b)に分けて構成することによって、シールジョー110a、111aにおいてヒータ130を挟持する領域を外部に露出させることができる。それにより、四角柱形状のヒータ130を保持するヒータ保持部131は通常の切削加工により凹形状に形成できるので、加工コストを削減することができる。
【0061】
さらに、本実施形態では、シールジョー110a、111aには、熱疲労特性を向上する表面処理が施されている。通常シールに必要な温度は高温(例えば200℃)であるので、シールジョー110a、111aに上記表面処理が施されていることにより熱疲労特性を向上できる。
【0062】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るシール部材の構成は、上述の第1実施形態に係るシール部材110、111の構成と以下の点で異なる。なお、以下では、シール部材の構成について複数の例を挙げて説明する。
【0063】
図8はシール部材の構成を示す断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成部については、当該第1実施形態と同じ符号を付している。
【0064】
図8(a)に示すように、シール部材210、211は、それぞれシールジョー210a、211aと、これらに対向配置される断熱部材210b、211bとを備える。シールジョー210aと断熱部材210bとの間およびシールジョー211aと断熱部材211bとの間に、それぞれ円柱形状のヒータ130aが配される。
【0065】
シールジョー210a、211aは、それぞれシール部112、113に向かって広がる略扇形状を有する。これにより、円柱形状のヒータ130aを加熱部として採用した場合に、当該ヒータ130aにより放射状に発生した熱が、略扇形状のシールジョー210a、211aを介してシール部112、113の端面にも良好に伝導される。また、シール部112、113の方向と逆方向への熱の移動が断熱部材210b、211bにより遮断される。これにより、シール部112、113における集熱性を向上できる。したがって、シール部112、113の全領域に均等に熱が伝導されるので、筒状フィルムFのシール性をより向上できる。
【0066】
また、他例として、図8(b)に示すように、シール部材212、213は、それぞれ、シールジョー212a、213aと、これらに対向配置される断熱部材212b、213bとを備える。シールジョー212aと断熱部材212bとの間およびシールジョー213aと断熱部材213bとの間に、それぞれ平面形状のヒータ130bが配される。
【0067】
図8(b)の例では、上述の第1実施形態のように各シール部材110、111において複数のヒータ130を配設するのではなく(図4参照)、各シール部材212、213において、それぞれシール部112、113の高さに近い高さを有する平面形状のヒータ130bが配設される。これにより、ヒータ130bにより発生した熱が、シール部112、113の端面にも良好に伝導される。また、シール部112、113の方向と逆方向への熱の移動が断熱部材212b、213bにより遮断される。これにより、シール部112、113における集熱性を向上できる。したがって、シール部112、113の全領域に均等に熱が伝導されるので、筒状フィルムFのシール性をより向上できる。また、シールジョー212a、213aにおいてヒータ130bを挟持する領域を外部に露出させることができる。それにより、当該挟持領域を通常の切削加工により凹形状に形成できるので、加工コストを削減することができる。
【0068】
さらに、他例として、図8(c)に示すように、シール部材214、215は、それぞれ、シールジョー214a、215aと、これらに対向配置される断熱部材214b、215bとを備える。シールジョー214aと断熱部材214bとの間およびシールジョー215aと断熱部材215bとの間に、それぞれ円柱形状のヒータ130cが配される。
【0069】
断熱部材214b、215bにおいて、それぞれ凹部218、219が設けられる。これらの凹部218、219の中にそれぞれヒータ130cが配される。ここで、シールジョー214aおよび断熱部材214bとヒータ130cとの間には伝熱材216aが充填されて固められる。一方、断熱部材214bとヒータ130cとの間には断熱材216bが充填されて固められる。また、シールジョー215aおよび断熱部材215bとヒータ130cとの間には伝熱材217aが充填されて固められる。一方、断熱部材215bとヒータ130cとの間には断熱材217bが充填されて固められる。
【0070】
このような構成により、円柱形状のヒータ130cを加熱部として採用する場合でも、当該ヒータ130cの保持領域を円柱形状にする必要がない。すなわち、ヒータ130cの保持領域を凹部218、219とすることにより、上記保持領域としての貫通孔を加工する必要がなく、加工性が向上する。また、凹部218とヒータ130cとの間および凹部219とヒータ130cとの間に空隙が発生するが、本例では、当該空隙のシールジョー214a、215a側にそれぞれ伝熱材216a、217aを充填し固めて、当該空隙の断熱部材214b、215b側にそれぞれ断熱材216b、217bを充填し固めることによって、伝熱性および断熱性を共に損なうことが抑制または防止される。したがって、熱ロスを抑制できるので余計な電力が不要となり、省電力を実現できる。
【0071】
(請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係)
上記実施形態においては、製袋包装装置100が製袋包装装置に相当し、横シール装置105がシール装置に相当し、筒状フィルムFが筒状フィルムに相当し、シールジョー110a、111a、210a、211a、212a、213a、214a、215aがシールジョーに相当し、断熱部材110b、111b、210b、211b、212b、213b、214b、215bが断熱部材に相当し、シール部112、113が発熱面に相当し、ヒータ130、130a、130b、130cが加熱部に相当する。
【0072】
(変形例)
なお、ヒータ130の他の例として、例えば六角柱形状等の多角柱形状のヒータを用いてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、シール部材110、111においてそれぞれ2つのヒータ130を設けることとしたが、これに限定されるものではなく、1つとしてもよいし、3つ以上のヒータ130をそれぞれに設けることとしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態において、シール部材110、111における上述の特有の構成を横シール装置105に用いたが、これに限定されるものではなく、縦シール装置104に採用することも可能である。
【0075】
また、上記実施形態では、シール部材110、111においてそれぞれシールジョー110a、111aおよび断熱部材110b、111bの2つの部材に分割して構成することとしたが、これに限定されるものではなく、一の部材にヒータ130を保持する保持部を設け、当該保持部にヒータ130を挿入する構成としてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、シール部材110、111は略D字のような軌跡で対称的に移動し、筒状フィルムFを挟持してシールすることとしたが、これに限定されるものではなく、水平方向に互いに近接および離間して筒状フィルムFをシールしてもよい。
【0077】
また、図9に示すように、シール部112の幅方向において複数(例えば4つ)のヒータ400a、400b、400c、400dを分けて配設してもよい。この場合、シール部112の幅方向に複数のヒータ400a、400b、400c、400dを分けて配設することで、例えば当該幅方向の両端に配設されたヒータ400aおよび400dの温度を個別に上げるよう調整することができる。これにより、シール部112の全域に均等に熱が伝導されるので、筒状フィルムFのシール性をより向上できる。なお、シール部材111についても同様である。また、このような、幅方向に複数のヒータを分けて設ける構成は、シール部材110およびシール部材111の一方のみに採用してもよい。
【0078】
さらに、本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0079】
100 製袋包装装置
105 横シール装置
110、111、210〜215 シール部材
110a、111a、210a〜215a シールジョー
110b、111b、210b〜215b 断熱部材
112、113 シール部
130、130a、130b、130c ヒータ
131 ヒータ保持部
216a、217a 伝熱材
216b、217b 断熱材
F 筒状フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺フィルムを筒状フィルムに成形し、当該筒状フィルムの端部をシール装置によりシールして物品を包装する製袋包装装置であって、
前記シール装置は、
前記筒状フィルムを発熱面にてシールするシールジョーと、
前記シールジョーを加熱する加熱部と、
前記加熱部からの熱が前記発熱面の方向以外の方向へ伝導するのを遮断する断熱部材と、を含むことを特徴とする製袋包装装置。
【請求項2】
前記加熱部は、前記シールジョーと、当該シールジョーに対向配置された前記断熱部材との間に配されることを特徴とする請求項1に記載の製袋包装装置。
【請求項3】
前記加熱部は、角柱形状のヒータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製袋包装装置。
【請求項4】
前記シールジョーは、前記角柱形状のヒータが埋め込まれることにより当該ヒータの3面を保持し、前記断熱部材は、前記角柱形状のヒータの1面に接し、
前記シールジョーと前記断熱部材とが接合される、請求項3に記載の製袋包装装置。
【請求項5】
前記加熱部は、円柱形状のヒータであり、
前記シールジョーは、前記発熱面に向かって広がる略扇形状を有し、
前記シールジョーと前記断熱部材とが前記ヒータを挟んで接合される、請求項2に記載の製袋包装装置。
【請求項6】
前記シールジョーには、熱疲労特性を向上する表面処理が施されている、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の製袋包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−79581(P2011−79581A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10857(P2010−10857)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】