説明

複列基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置

【課題】 複列基板を、離間して平行に配置した二列の処理槽の一方の処理槽の搬出部から互いに離間して隣り合う他方の処理槽の搬入部へ高速で乗換え搬送でき、しかも高速乗換え搬送中に複列の各薄物基板が互いに接触などの干渉が無い様に工夫した乗換え搬送装置を提供する。
【解決手段】 乗換え搬送装置10に、一方の移送レール6の搬出側レール部6aと他方の移送レール7の搬入側レール部7aとの間を旋回移動する乗換えレール11を旋回作動部に備えた水平旋回装置12を設け、この前記水平旋回装置に前記乗換えレールと一体的に旋回移動される基板ガイド体30と複列基板囲み体40を設け、複列基板Wを吊持するハンガー治具3を前記乗換えレールの乗換え位置に固定できる乗換え位置固定手段50を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二列の処理槽の端部間を空中で乗換え搬送する基板の乗換え搬送装置であり、特に複数の基板を垂直な複列状態で乗換え搬送するのに好適な乗換え搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
離間して平行に配置した二列の処理槽の一方の処理槽端部(搬出部)から互いに離間して隣り合う他方の処理槽端部(搬入部)へ基板を空中で乗換え搬送する基板乗換え搬送装置としては、本出願人の特許である特許第3297426号「メッキ装置の製品乗換え装置における製品ガイド装置」(特許文献1)の図3に示した製品乗換え装置がある。
【0003】
同文献の図3に示した製品乗換え装置は、離間して並行に配置された複数の移送用レールと、これらの移送用レールの一方の端部と互いのレール軌道を択一的に整合されるように前記移送用レールの端部間を移動可能な乗換え用レールとを設けてあり、これらのレールにスライド自在に保持される治具を介して懸垂状態で且つレール軌道方向に端部側を向けて支持される基板等のシート状製品を前記乗換え用レールと前記移送用レールとの整合状態において前記乗換え用レールに受け入れて支持し、前記シート状製品を支持した前記乗換え用レールを離間して並行に配置された他の移送用レールとの整合位置まで乗換え移動し、この移動先の整合位置で前記シート状製品を他の移送用レールに受け渡すように構成され、前記乗換え用レールは移送用レールの端部間を横移動するように構成してある。この乗換え装置は乗換えレールを横方向に移動させるもので、この乗換えレールに治具を介して吊持した基板は、その基板面をレール横移動方向(乗換え搬送方向)に向けおり、高速の乗換え搬送には不向きである。
【0004】
また、同文献の製品ガイド装置は、前記乗換え用レールに前記治具を介して支持される前記シート状製品を両シート面方向からガイドする一対のガイド部材を有し、このガイド部材はシート状製品を前記乗換え用レールに受け入れるための開放位置と受け入れられた前記シート状製品の揺れを防止する閉止位置とに開閉制御可能に構成したものである。この製品ガイド装置は、一枚の基板を乗換え搬送する装置には適するが、各基板間の間隔幅に制限がある複列基板の乗換え搬送には適さない。
【0005】
【特許文献1】特許第3297426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、すでに、複数枚の基板を表面処理する方法として、レールにハンガー治具を介して複数枚の基板を各基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態に吊持し、この複数枚の基板をレールに沿って薬液中を垂直搬送させながら表面処理する複列基板垂直搬送による表面処理方法と、この表面処理方法に用いる複列チャックハンガーを提案した(特願2007−101852)。
【0007】
この複列基板(複列基板とは、複数枚の基板を各基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態にハンガー治具で吊持した基板を言い、本明細書においては、複数枚の基板を各基板面が所定間隔を空けて向き合う並列な垂直状態で且つ各基板の一側端部をレールに沿う移動方向に向けた垂直状態にハンガー治具で吊持した基板を言う。)を、離間して平行に配置した二列の処理槽の一方の処理槽端部(搬出部)から互いに離間して隣り合う他方の処理槽端部(搬入部)へ空中で乗換え搬送するに際して、特に薄物の複列基板を高速で乗換え搬送する場合には、高速乗換え搬送中に各薄物基板が互いに干渉し合い、基板に傷をつける弊害がある。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑み、特に薄物の複列基板を高速で乗換え搬送でき、しかも高速乗換え搬送中に複列の各薄物基板が互いに接触などの干渉が無い様に工夫した複列基板の乗換え搬送装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、二列の処理槽を離間して平行に配置し、一方の処理槽の搬出部から互いに離間して隣り合う他方の処理槽の搬入部へ基板を垂直状態にして搬入する基板の乗換え搬送装置において、前記基板はレールに沿って移動自在に支持されたハンガー治具に垂直状態に吊持されており、このハンガー治具は複数の基板を吊持できる複列構造のチャック部を有し、このチャック部によって複数の基板を各基板面が所定間隔を空けて向き合う並列な垂直状態で、且つ各基板の一側端部をレールに沿う移動方向に向けた垂直状態に吊持し得るようにしてあり、このハンガー治具に吊持された複列基板を前記各処理槽に対応して離間して平行に配設した一方の移送レールの搬出側レール部から他方の移送レールの搬入側レール部へ乗換え搬送する複列基板の乗換え搬送装置であり、この乗換え搬送装置を、前記搬出側レール部と互いに直列状態のレール軌道を成す受け入れ位置と前記搬入側レール部と互いに直列状態のレール軌道を成す送り出し位置との間を水平方向に略180度旋回移動する乗換えレールを旋回作動部に備えた水平旋回装置と、前記ハンガー治具を前記搬出側レール部から乗換えレールの所定の乗換え位置へ直列状態のレール軌道に沿って乗換え移送する受け入れ送り手段と、前記ハンガー治具を乗換えレールの前記乗換え位置から搬入側レール部へ直列状態のレール軌道に沿って乗換え移送する送り出し送り手段とで構成したことを特徴とする複列基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記した複列基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置の前記水平旋回装置の旋回作動部に前記乗換えレールと一体的に旋回移動される基板ガイド体を設け、この基板ガイド体を、前記乗換えレールの前記乗換え位置に前記ハンガー治具を介して乗換え移送された複列基板に対して並列な各基板の基板面を略均等な対向空間に隔てる隔壁案内板を配設して構成したことを特徴とする。この基板ガイド体(隔壁案内板)によって、乗換えレールの所定の乗換え位置にハンガー治具を介して吊持された複列基板の旋回移動中においても、各基板を互いに干渉させずに、複列基板の垂直姿勢を均等に保持できるようにしている。
【0011】
また、本発明は、前記した複列基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置の前記水平旋回装置の旋回作動部に前記乗換えレールと一体的に旋回移動される複列基板囲み体を設け、この複列基板囲み体を、前記乗換えレールの前記乗換え位置に前記ハンガー治具を介して乗換え移送された複列基板に対して該複列基板の全体を側部方向から囲む垂直壁の囲繞板壁面で構成し、この囲繞板壁面を、開閉制御可能な受け入れ側板状扉部と、開閉制御可能な送り出し側板状扉部と、側面板壁部とで構成したことを特徴とする。
【0012】
前記受け入れ側板状扉部は、複列基板を前記搬出側レール部から乗換えレールへ受け入れる際には受け入れ送り可能に開けられ、受け入れ後に閉じられる。前記送り出し側板状扉部は、複列基板を乗換えレールから前記搬入側レール部へ送り出す際には送り出し送り可能に開けられ、送り出し後に閉じられる。この受け入れ側板状扉部と送り出し側板状扉部は、前記乗換えレールの旋回移動中は閉じられ、乗換えレールにハンガー治具を介して吊持された複列基板(及びこの複列基板をガイドする前記隔壁案内板)を側部方向から囲む垂直壁の囲繞板壁面で構成した複列基板囲み体で遮蔽することによって、旋回移動中に複列基板にかかる空気抵抗を緩和でき、複列基板の揺れを減少できるようにしている。
【0013】
また、本発明は、前記した複列基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置の前記水平旋回装置の旋回作動部に前記乗換えレールの前記乗換え位置に乗換え移送された前記ハンガー治具を旋回移動時に該乗換え位置に固定できる該ハンガー治具の乗換え位置固定手段を設けたことを特徴とする。前記ハンガー治具はレールとスライド係合されるレール係合部を有し、このレール係合部を乗換えレールの側面に向けて圧接し得る押圧固定具によって、このハンガー治具を乗換えレールの所定の乗換え位置に固定するように構成した。この乗換え位置固定手段(押圧固定具)によって乗換えレールの旋回移動中にハンガー治具を乗換えレールの所定の乗換え位置から脱落移動しないように固定できる。
【0014】
複列基板の乗換え搬送装置について提案した上記の技術思想は、一枚の基板を同様に乗換え搬送する場合にも適用できる。次に一枚基板の乗換え搬送装置の発明を提案する。
【0015】
本発明は、二列の処理槽を離間して平行に配置し、一方の処理槽の搬出部から互いに離間して隣り合う他方の処理槽の搬入部へ基板を垂直状態にして搬入する基板搬送装置において、前記基板はレールに沿って移動自在に支持されたハンガー治具に該基板の一側端部をレールに沿う移動方向に向けた垂直状態に吊持されており、このハンガー治具に吊持された基板を前記各処理槽に対応して離間して平行に配設した一方の移送レールの搬出側レール部から他方の移送レールの搬入側レール部へ乗換え搬送する基板の乗換え搬送装置であり、この乗換え搬送装置を、前記搬出側レール部と互いに直列状態のレール軌道を成す受け入れ位置と前記搬入側レール部と互いに直列状態のレール軌道を成す送り出し位置との間を水平方向に略180度旋回移動する乗換えレールを旋回作動部に備えた水平旋回装置と、前記ハンガー治具を前記搬出側レール部から乗換えレールの所定の乗換え位置へ直列状態のレール軌道に沿って乗換え移送する受け入れ送り手段と、前記ハンガー治具を乗換えレールの前記乗換え位置から搬入側レール部へ直列状態のレール軌道に沿って乗換え移送する送り出し送り手段とで構成したことを特徴とする基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置を提供する。
【0016】
そして、前記した基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置の前記水平旋回装置の旋回作動部に前記乗換えレールと一体的に旋回移動される基板ガイド体を設け、この基板ガイド体を、前記乗換えレールの前記乗換え位置に前記ハンガー治具を介して乗換え移送された基板に対して該基板の基板面を略均等な対向空間に隔てる一対の案内板を配設して構成したことを特徴とする。
【0017】
そして、前記した基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置の前記水平旋回装置の旋回作動部に前記乗換えレールと一体的に旋回移動される基板囲み体を設け、この基板囲み体を、前記乗換えレールの前記乗換え位置に前記ハンガー治具を介して乗換え移送された基板に対して該基板(及びこの基板をガイドする前記案内板)の全体を側部方向から囲む垂直壁の囲繞板壁面で構成し、この囲繞板壁面を、開閉制御可能な受け入れ側板状扉部と、開閉制御可能な送り出し側板状扉部と、側面板壁部とで構成したことを特徴とする。
【0018】
そして、前記した基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置の前記水平旋回装置の旋回作動部に前記乗換えレールの前記乗換え位置に乗換え移送された前記ハンガー治具を旋回移動時に該乗換え位置に固定できる該ハンガー治具の乗換え位置固定手段を設け、この乗換え位置固定手段を、前記ハンガー治具のレール係合部を乗換えレールの側面に向けて圧接し得る押圧固定具によって構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の複列基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置によれば、複列基板を、離間して平行に配置した二列の処理槽の一方の処理槽端部(搬出部)から互いに離間して隣り合う他方の処理槽端部(搬入部)へ空中で乗換え搬送するに際して、特に薄物の複列基板を高速で乗換え搬送でき、しかも高速乗換え搬送中に複列の各薄物基板が互いに干渉なく、各基板に傷をつけずに乗換え搬送できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面に基づき説明する。図1は複列基板の乗換え搬送装置の平面図、図2は同装置の正面図、図3は同装置の受け入れ側から看た側面図である。
【0021】
図1,2は、離間して平行に配置した二列の処理槽1,2の一方の処理槽1の端部側の搬出部1aから互いに離間して隣り合う他方の処理槽2の端部側の搬入部2aへ垂直状態の基板Wを乗換え搬送装置10で空中において乗換え搬送する状態を示している。図1,2は、一方の処理槽1から他方の処理槽2へ基板Wを乗換え搬送し、各処理槽1,2で基板Wに水洗処理や化学銅メッキ処理などの必要な表面処理を施していく表面処理装置の乗換え搬送部分を示している。
【0022】
前記基板Wはレール(後述する移送レール6,7、乗換えレール11)に沿って移動可能に支持されるハンガー治具3に垂直状態に吊持されている。このハンガー治具3は、レールとスライド係合されるレール係合部4と、複数(図示の実施例では3枚)の基板Wの各上部を挟持して吊持できる複列構造のチャック部5を有し、このチャック部5によって複数の基板Wを各基板面が所定間隔を空けて向き合う並列な垂直状態で、且つ各基板の一側端部をレールに沿う移動方向に向けた垂直状態に吊持し得るようにしてある。図示の実施例では、3列構造のチャック部5(5a,5b,5c)とし、各列4個の挟持チャックを設けた合計12個の挟持チャックで3枚の基板Wを3列状態に吊持している。
【0023】
前記乗換え搬送装置10は、このハンガー治具3に吊持された複列基板Wを各処理槽1,2に対応して離間して平行に配設した一方の移送レール6の搬出側レール部6aから他方の移送レール7の搬入側レール部7aへ乗換え搬送させるものである。前記搬出側レール部6aと搬入側レール部7aは互いに離間して隣り合う位置に配設されている。前記搬出側レール部6aを含む一方の移送レール6と搬入側レール部7aを含む他方の移送レール7は、昇降動するように構成され、該レール6,7の下降位置においてハンガー治具3を介して吊持した基板Wを処理槽内の処理液中に入れ、該レール6,7の上昇位置(図3に示した位置)においてハンガー治具3を介して吊持した基板Wを該レールに沿って空中で送れるようにしてある。
【0024】
前記乗換え搬送装置10は、上昇位置にある前記搬出側レール部6aと互いに直列状態のレール軌道を成す受け入れ位置(図1に実線で示した乗換えレール11の位置)と上昇位置にある前記搬入側レール部7aと互いに直列状態のレール軌道を成す送り出し位置(図1に二点鎖線で示した乗換えレール11の位置)との間を略180度の範囲で水平方向に旋回移動する乗換えレール11を旋回作動部に備えた水平旋回装置12と、前記ハンガー治具3を前記搬出側レール部6aから乗換えレール11の所定の乗換え位置へ直列状態のレール軌道に沿って乗換え移送する受け入れ送り手段20と、前記ハンガー治具3を乗換えレール11の前記乗換え位置から搬入側レール部7aへ直列状態のレール軌道に沿って乗換え移送する送り出し送り手段21とで構成してある。
【0025】
前記水平旋回装置12は、乗換え位置の処理槽1,2間の中心位置に固定配置した反転モーター13と、この反転モーター13の回転軸13aに一端側を支持固定され、この回転軸13aを中心として他端側を旋回作動部14aとした水平旋回アーム14を有し、この水平旋回アーム14の旋回作動部14a側の端部に前記乗換えレール11を該アーム14とレール軌道を直交させた状態に固定してある。
【0026】
前記受け入れ送り手段20と送り出し送り手段21は、いわゆるプッシャー式送り手段を採用している。この送り手段について、図3(乗換え搬送装置の受け入れ側から看た側面図)に基づき説明すれば、この送り手段は、レール軌道に沿って往復移動する送り杆22と、この送り杆22に所定間隔をおいて取付けた送り係合体23とから成り、この送り杆22の搬送方向への往移動(矢印方向への移動)においては送り係合体23がレールに支持されたハンガー治具3(ハンガー治具3の上部に突設した係合突起24)に係合し該ハンガー治具3をレールに沿って一方向に移送するが、送り杆22の反搬送方向への復移動(反矢印方向への移動)においては送り係合体23がレールに支持されたハンガー治具3(ハンガー治具3の上部に突設した係合突起24)に係合されず該ハンガー治具3を移送しないように構成してある。
【0027】
前記乗換え搬送装置10の前記水平旋回装置12の旋回作動部に前記乗換えレール11と一体的に旋回移動される基板ガイド体30を設け、この基板ガイド体30を、前記乗換えレール11の前記乗換え位置に前記ハンガー治具3を介して乗換え移送された複列基板に対して並列な各基板の基板面を略均等な対向空間に隔てる隔壁案内板31を配設して構成している。この基板ガイド体30の隔壁案内板31は、前記ハンガー治具3に吊持された複列基板Wの乗換えレール11への受け入れ側と乗換えレール11からの送り出し側を複列基板Wの送りを許容するフリーな通過空間としてあり、前記隔壁案内板31の基板受け入れ側の端部は、基板の受け入れを容易にするため、図1に示したように基板受け入れ側をハ字状に拡開した傾斜面に形成してある。この基板ガイド体30(隔壁案内板31)によって、乗換えレール11の所定の乗換え位置にハンガー治具3を介して吊持された複列基板Wの旋回移動中においても、各基板を互いに干渉させずに、複列基板の垂直姿勢を均等に保持できるようにしている。
【0028】
また、前記乗換え搬送装置10の前記水平旋回装置12の旋回作動部に前記乗換えレール11と一体的に旋回移動される複列基板囲み体40を設け、この複列基板囲み体40を、前記乗換えレール11の前記乗換え位置に前記ハンガー治具3を介して乗換え移送された複列基板Wに対して該複列基板W(及びこの複列基板Wをガイドする前記隔壁案内板31)の全体を側部方向から囲む垂直壁の囲繞板壁面で構成し、この囲繞板壁面を、開閉制御可能な受け入れ側板状扉部41と、開閉制御可能な送り出し側板状扉部42と、側面板壁部43,43とで構成した。
【0029】
前記受け入れ側板状扉部41は、その下部をスライド支持ガイド45で支持され、前記水平旋回アーム14の旋回作動部14a側にクロス状に固着した支持杆46の端部に固定された受け入れ側扉部開閉制御シリンダー47の往復動ロッド部に上部を連結して保持され、前記受け入れ側扉部開閉制御シリンダー47の往復動ロッド部の往復動によってスライド移動させて開閉を制御している。前記受け入れ側板状扉部41は、ハンガー治具3に吊持された基板を乗換えレール11の乗換え位置へ乗換え移送する受け入れ送りに際しては受け入れ送り可能に開けられ、受け入れ後に閉じられるように、前記受け入れ側扉部開閉制御シリンダー47によって制御される。
【0030】
前記送り出し側板状扉部42も、その下部をスライド支持ガイド45で支持され、前記支持杆46の反対側に固定された送り出し側扉部開閉制御シリンダー48の往復動ロッド部に上部を連結して保持され、前記送り出し側扉部開閉制御シリンダー48の往復動ロッド部の往復動によってスライド移動させて開閉を制御している。前記送り出し側板状扉部42は、ハンガー治具3に吊持された基板を乗換えレール11の乗換え位置から搬入側レール部7aへ乗換え移送する送り出し送りに際しては送り出し可能に開けられ、送り出し後に閉じられるように、前記送り出し側扉部開閉制御シリンダー48によって制御される。
【0031】
受け入れ側板状扉部41と送り出し側板状扉部42は乗換えレール11の旋回移動中は閉じられ、乗換えレール11にハンガー治具3を介して吊持された複列基板W(及びこの複列基板をガイドする前記隔壁案内板31)を側部方向から囲む垂直壁の囲繞板壁面で構成した複列基板囲み体40で遮蔽することによって、旋回移動中に複列基板にかかる空気抵抗を緩和でき、複列基板の揺れを減少できるようにしている。
【0032】
また、前記乗換え搬送装置10の前記水平旋回装置12の旋回作動部に前記乗換えレール11の前記乗換え位置に乗換え移送されたハンガー治具3を旋回移動時に該乗換え位置に固定できるハンガー治具3の乗換え位置固定手段50を設けている。
【0033】
前記乗換え位置固定手段50は前記水平旋回アーム14の旋回作動部14a側の端部近くに設けた押圧固定具51によって構成され、前記ハンガー治具3の前記レール係合部4を乗換えレール11の側面に向けて圧接と圧接解除を制御可能な押圧固定具51によって、前記ハンガー治具3を乗換えレール11の所定の乗換え位置に固定するように構成している。前記押圧固定具51による圧接と圧接解除の制御は押圧固定制御シリンダー52の往復動ロッド部の往復動によって行なわれる。この乗換え位置固定手段50(押圧固定具51)によって乗換えレール11の旋回移動中にハンガー治具3を乗換えレール11の所定の乗換え位置から脱落移動しないように固定できる。
【0034】
次に乗換え搬送装置10によるハンガー治具3(複列基板W)の乗換え作動について説明する。先ず、前記ハンガー治具3(複列基板W)は上昇位置の搬出側レール部6aから受け入れ位置に移動している乗換えレール11の乗換え位置へ受け入れ送り手段20によって乗換え移送され、乗り換えられた複列基板Wは基板ガイド体30の隔壁案内板31によって各基板の垂直姿勢が規制される。ハンガー治具3(複列基板W)の乗換えレール11への受け入れに際して、前記受け入れ側板状扉部41は開扉状態に制御されており、受け入れ後に閉扉状態に制御される。同様に複列基板Wの乗換えレール11への受け入れに際して、前記乗換え位置固定手段50(押圧固定具51)は固定解除状態に制御されており、受け入れ後に固定状態に制御される。
【0035】
この状態で乗換えレール11は受け入れ位置から送り出し位置まで略180度水平旋回移動され、ハンガー治具3(複列基板W)を受け入れ位置から送り出し位置まで搬送する。したがって、ハンガー治具3(複列基板W)を受け入れ位置から送り出し位置まで旋回移動させる際には、前記乗換え位置固定手段50(押圧固定具51)によって移送レールの乗換え位置から脱落移動しないように固定されると共に、前記複列基板Wは、前記基板ガイド体30の隔壁案内板31で垂直姿勢を規制ガイドされた状態で、複列基板囲み体40の囲繞板壁面板でその全体を側部方向から囲まれ、旋回移動中に複列基板にかかる空気抵抗を緩和でき、複列基板の揺れを減少できる。このことによって、複列基板を高速で乗換え搬送でき、しかも高速乗換え搬送中に複列基板が互いに干渉なく、各基板に傷をつけずに乗換え搬送できる。特に薄物の複列基板を乗換え搬送する場合に効果大である。
【0036】
乗換えレール11が送り出し位置に移動された後、前記送り出し側板状扉部42は閉扉状態から開扉状態に制御され、前記乗換え位置固定手段50(押圧固定具51)は固定状態から固定解除状態に制御され、ハンガー治具3(複列基板W)は乗換えレール11から上昇位置の搬入側レール部7aへ送り出し送り手段21によって乗換え移送される。そして、この送り出し後に前記送り出し側板状扉部42は開扉状態から閉扉状態に制御され、前記乗換えレール11は受け入れ位置に水平旋回移動して戻され、次のハンガー治具3(複列基板W)を受け入れるべく前記受け入れ側板状扉部41が閉扉状態から開扉状態に制御される。
【0037】
以上、本発明に係る基板乗換え搬送装置として、複列基板搬送の実施形態について説明した。しかしながら、この基板乗換え搬送装置の技術思想は、前述したように、一枚の基板を同様に乗換え搬送する場合にも適用できる。一枚基板の乗換え搬送装置では、複列基板用の前記ハンガー治具3を一枚基板用のハンガー治具(例えば、図2に5bで示した一列のチャック部で構成したハンガー治具。)に変更すれば良く、基板乗換え搬送装置の他の構成及び作動は複列基板搬送のものと実質的に同じである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】複列基板の乗換え搬送装置の平面図である。
【図2】複列基板の乗換え搬送装置の正面図である。
【図3】複列基板の乗換え搬送装置の側面図である。
【符号の説明】
【0039】
1,2 処理槽
W 基板(複列基板)
1a 搬出部
2a 搬入部
3 ハンガー治具
4 レール係合部
5 チャック部
6,7 移送レール
6a 搬出側レール部
7a 搬入側レール部
10 乗換え搬送装置
11 乗換えレール
12 水平旋回装置
13 反転モーター
14 水平旋回アーム
14a 旋回作動部
20 受け入れ送り手段
21 送り出し送り手段
30 基板ガイド体
31 隔壁案内板
40 複列基板囲み体
41 受け入れ側板状扉部
42 送り出し側板状扉部
43,43 側面板壁部
47 受け入れ側扉部開閉制御シリンダー
48 送り出し側扉部開閉制御シリンダー
50 乗換え位置固定手段
51 押圧固定具
52 押圧固定制御シリンダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二列の処理槽を離間して平行に配置し、一方の処理槽の搬出部から互いに離間して隣り合う他方の処理槽の搬入部へ基板を垂直状態にして搬入する基板の乗換え搬送装置において、前記基板はレールに沿って移動自在に支持されたハンガー治具に垂直状態に吊持されており、このハンガー治具は複数の基板を吊持できる複列構造のチャック部を有し、このチャック部によって複数の基板を各基板面が所定間隔を空けて向き合う並列な垂直状態で、且つ各基板の一側端部をレールに沿う移動方向に向けた垂直状態に吊持し得るようにしてあり、このハンガー治具に吊持された複列基板を前記各処理槽に対応して離間して平行に配設した一方の移送レールの搬出側レール部から他方の移送レールの搬入側レール部へ乗換え搬送する複列基板の乗換え搬送装置であり、この乗換え搬送装置を、前記搬出側レール部と互いに直列状態のレール軌道を成す受け入れ位置と前記搬入側レール部と互いに直列状態のレール軌道を成す送り出し位置との間を水平方向に略180度旋回移動する乗換えレールを旋回作動部に備えた水平旋回装置と、前記ハンガー治具を前記搬出側レール部から乗換えレールの所定の乗換え位置へ直列状態のレール軌道に沿って乗換え移送する受け入れ送り手段と、前記ハンガー治具を乗換えレールの前記乗換え位置から搬入側レール部へ直列状態のレール軌道に沿って乗換え移送する送り出し送り手段とで構成したことを特徴とする複列基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置。
【請求項2】
前記水平旋回装置の旋回作動部に前記乗換えレールと一体的に旋回移動される基板ガイド体を設け、この基板ガイド体を、前記乗換えレールの前記乗換え位置に前記ハンガー治具を介して乗換え移送された複列基板に対して並列な各基板の基板面を略均等な対向空間に隔てる隔壁案内板を配設して構成したことを特徴とする請求項1記載の複列基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置。
【請求項3】
前記水平旋回装置の旋回作動部に前記乗換えレールと一体的に旋回移動される複列基板囲み体を設け、この複列基板囲み体を、前記乗換えレールの前記乗換え位置に前記ハンガー治具を介して乗換え移送された複列基板に対して該複列基板の全体を側部方向から囲む垂直壁の囲繞板壁面で構成し、この囲繞板壁面を、開閉制御可能な受け入れ側板状扉部と、開閉制御可能な送り出し側板状扉部と、側面板壁部とで構成したことを特徴とする請求項1記載の複列基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置。
【請求項4】
前記水平旋回装置の旋回作動部に前記乗換えレールの前記乗換え位置に乗換え移送された前記ハンガー治具を旋回移動時に該乗換え位置に固定できる該ハンガー治具の乗換え位置固定手段を設け、この乗換え位置固定手段を、前記ハンガー治具のレール係合部を乗換えレールの側面に向けて圧接し得る押圧固定具によって構成したことを特徴とする請求項1記載の複列基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置。
【請求項5】
二列の処理槽を離間して平行に配置し、一方の処理槽の搬出部から互いに離間して隣り合う他方の処理槽の搬入部へ基板を垂直状態にして搬入する基板搬送装置において、前記基板はレールに沿って移動自在に支持されたハンガー治具に該基板の一側端部をレールに沿う移動方向に向けた垂直状態に吊持されており、このハンガー治具に吊持された基板を前記各処理槽に対応して離間して平行に配設した一方の移送レールの搬出側レール部から他方の移送レールの搬入側レール部へ乗換え搬送する基板の乗換え搬送装置であり、この乗換え搬送装置を、前記搬出側レール部と互いに直列状態のレール軌道を成す受け入れ位置と前記搬入側レール部と互いに直列状態のレール軌道を成す送り出し位置との間を水平方向に略180度旋回移動する乗換えレールを旋回作動部に備えた水平旋回装置と、前記ハンガー治具を前記搬出側レール部から乗換えレールの所定の乗換え位置へ直列状態のレール軌道に沿って乗換え移送する受け入れ送り手段と、前記ハンガー治具を乗換えレールの前記乗換え位置から搬入側レール部へ直列状態のレール軌道に沿って乗換え移送する送り出し送り手段とで構成したことを特徴とする基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置。
【請求項6】
前記水平旋回装置の旋回作動部に前記乗換えレールと一体的に旋回移動される基板ガイド体を設け、この基板ガイド体を、前記乗換えレールの前記乗換え位置に前記ハンガー治具を介して乗換え移送された基板に対して該基板の基板面を略均等な対向空間に隔てる一対の案内板を配設して構成したことを特徴とする請求項5記載の基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置。
【請求項7】
前記水平旋回装置の旋回作動部に前記乗換えレールと一体的に旋回移動される基板囲み体を設け、この基板囲み体を、前記乗換えレールの前記乗換え位置に前記ハンガー治具を介して乗換え移送された基板に対して該基板の全体を側部方向から囲む垂直壁の囲繞板壁面で構成し、この囲繞板壁面を、開閉制御可能な受け入れ側板状扉部と、開閉制御可能な送り出し側板状扉部と、側面板壁部とで構成したことを特徴とする請求項5記載の基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置。
【請求項8】
前記水平旋回装置の旋回作動部に前記乗換えレールの前記乗換え位置に乗換え移送された前記ハンガー治具を旋回移動時に該乗換え位置に固定できる該ハンガー治具の乗換え位置固定手段を設け、この乗換え位置固定手段を、前記ハンガー治具のレール係合部を乗換えレールの側面に向けて圧接し得る押圧固定具によって構成したことを特徴とする請求項5記載の基板搬送における水平旋回式基板乗換え搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−143703(P2009−143703A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324270(P2007−324270)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(592141466)丸仲工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】