説明

複列基板装着装置、及び複列基板脱着装置

【課題】 複列チャックハンガーに基板を垂直な複列状態に速く且つ確実に装着できる基板装着装置、及びこのハンガーに垂直な複列状態に装着されている基板を速く且つ確実に取り外し水平状態にして供給できる基板脱着装置を提供する。
【解決手段】 基板装着装置、又は基板脱着装置を、複列チャックハンガー1の各列の開閉チャック3A,3B,3Cを開閉制御できる複列チャック開閉装置20と、基板Wの基板面を支持する基板受け部41を垂直状態と水平状態に変換でき、且つ基板受け部の進出位置を各列の開閉チャックに対応する装着又は脱着位置に制御できる基板取付け装置40、又は基板取り外し装置70で構成した。また、基板受け部の基板支持手段を、基板の上端部を支持する開閉制御可能な基板支持クランプ43と、旋回移動制御可能な基板面支えレバー45とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理される水平状態の基板をハンガー治具に複列の垂直状態に装着し、又は複列の垂直状態に装着された基板をハンガー治具から脱着し水平状態して供給する複列基板着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚の基板を化学銅浴で同時に無電解メッキする場合、従来は複数枚の基板を網状のバスケットで各基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態に保持し、このバスケットごと複数枚の基板を化学銅浴中に浸漬して行なうバスケット浸漬方式が公知である。
【0003】
また、陰極として機能するレールに吊持ハンガーを介して一枚ずつ基板を移動自在に吊持し、各吊持ハンガーに一枚ずつ吊持した基板をレールに沿ってメッキ浴中の陽極間を垂直搬送させながら電気メッキする垂直搬送方式が公知である(例えば、特許第2943070号公報)。
【0004】
この垂直搬送方式で用いている吊持ハンガーとしては、バネの付勢力を利用したクリップ式のものが公知(例えば、実用新案登録第3085849号公報、特許第3677488号公報)であるが、一つのハンガーで複数の基板を並列状態に吊持できるようにしたものは、公開されていない。
【0005】
しかし、薬品による表面処理の技術分野において、並列状態に吊持した複数の基板をレールに沿って処理薬品液中を垂直搬送させながら表面処理する技術は知られていない。
【0006】
【特許文献1】 特許第2943070号公報
【特許文献2】 実用新案登録第3085849号公報
【特許文献3】 特許第3677488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような技術背景に鑑み、本発明者は、すでに、複数枚の基板を表面処理する方法として、レールにハンガー治具を介して複数枚の基板を各基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態に吊持し、この複数枚の基板をレールに沿って薬液中を垂直搬送させながら表面処理する複列基板垂直搬送による表面処理方法と、この表面処理方法に用いる複列チャックハンガー及びこの複列チャックハンガーの複列チャック開閉装置を発明し提案してある(特願2007−101852)。
【0008】
本発明は、この複列チャックハンガーと、この複列チャックハンガーの複列チャック開閉装置を基礎として、新たに、水平状態にある基板を垂直状態に変換して前記複列チャックハンガーに垂直な複列状態に取付ける基板装着装置と、この複列チャックハンガーから基板を取り外し垂直状態から水平状態に変換して搬出部へ供給する基板脱着装置を提供しようとするものである。そして、複数基板の取付け、複数基板の取り外しを速く且つ確実に行なえる、装置を提供しようとするものである。
【0009】
更に、本発明は、基板のサイズ変更にも対処できる基板装着装置、及び基板脱着装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る複列基板装着装置は、複列チャックハンガーに複数の基板を複列状態に取付ける基板装着装置であり、前記複列チャックハンガーは、レールに沿って移動自在な構成を有し、被表面処理物である基板の上端部を着脱自在に挟持して該基板を垂直姿勢に吊持する開閉チャックを有し、この開閉チャックは常態において基板を吊持できる閉状態にバネによる付勢力を与えて構成され、この開閉チャックを、複数の基板を基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態に吊持でき、且つ並列状態に吊持される複数の前記基板をその一側端部が前記レールに沿う移動方向に向けて吊持できるように、該チャックハンガーの下部に設けたチャック取付け体を介して複数の基板に対応した複数列の並列状態に配置した複列チャックとし、前記基板装着装置は、前記レールに支持されて基板取付け位置に位置している前記複列チャックハンガーの複列チャックを開閉制御する複列チャック開閉装置と、この基板取付け位置の基板搬入部において水平状態に配置してある基板を垂直状態に変換して前記複列チャックハンガーの各列の基板装着位置へ供給する基板取付け装置とを含み、前記複列チャック開閉装置は、前記複列チャックハンガーの複数列の前記開閉チャックを各列の開閉チャックごとバネによる付勢力に抗して押圧した開状態に単独作動させる各列の開閉チャックに対応したチャック開閉作動部を含み、このチャック開閉作動部を各列の開閉チャックの開閉作動を可能にする進出位置と前記レールに沿った前記複列チャックハンガーの移動を許容する後退位置とに進退移動するように構成し、前記基板取付け装置は、前記基板の基板面を基板受け面で着脱可能に支持する基板受け部と、この基板受け部で支持される前記基板を水平姿勢から垂直姿勢に変換する基板受け部反転制御手段と、前記基板受け部で垂直姿勢に支持される前記基板の上端部を前記複列チャックにおける各列の開閉チャックで挟持される各進出位置に供給し得る基板受け部進退移動制御手段を含む、ものである。
【0011】
前記複列チャックハンガーの前記複列チャックは吊持する基板の幅方向に所定間隔をおいて同列にそれぞれ複数の開閉チャックを配置して構成し、前記複列チャック開閉装置は各列の開閉チャックに対応した前記チャック開閉作動部によって同列にある複数の開閉チャックの開閉をいっしょに行なえるよう開閉作動を連動させている。
【0012】
また、前記前記基板取付け装置は、前記基板取付け位置の前記基板搬入部において水平状態に配置してある基板を前記基板受け部で水平姿勢に支持し得る下降位置と該基板受け部で垂直姿勢に支持した基板を前記複列チャックハンガーによる装着を可能にする上昇位置とに該基板受け部を上下動させる基板受け部上下動手段を、更に含むものである。
【0013】
また、前記基板取付け装置において、前記基板の基板面を前記基板受け部の基板受け面で着脱自在に支持する手段を、前記基板受け部の端部に設けた開閉制御可能な基板支持クランプによって前記基板の端部を基板受け面側に押さえて支持するクランプ支持手段としている。
【0014】
また、前記基板取付け装置において、前記基板の基板面を前記基板受け部の基板受け面で着脱自在に支持する手段を、前記基板受け部の端部に設けた開閉制御可能な基板支持クランプによって前記基板の端部を基板受け面側に押さえて支持するクランプ支持手段と、基板の基板面を基板受け面側に向けて支える旋回移動制御可能な基板面支えレバーとで構成し、前記基板支持クランプは少なくとも垂直姿勢において上端となる基板の端部を基板受け面側に押さえる支持位置に設け、前記基板面支えレバーは垂直状態において側端となる該基板受け部の少なくとも一方の側端部の基板受け面より外側位置に設けた軸部を中心にして基板面の支持範囲外から基板面の側端部方向へ移動して基板面を支える支持範囲内に旋回移動するものとしたことを特徴としている。また、前記基板支持クランプは垂直姿勢において上端となる基板の端部を基板受け面側に押さえる支持位置と同姿勢において側端となる基板の一方の側端部を基板受け面側に押さえる支持位置に設け、前記基板面支えレバーは垂直状態において側端となる該基板受け部の他方の側端部の基板受け面より外側位置に設けた軸部を中心にして基板面の支持範囲外から基板面の側端部方向へ移動して基板面を支える支持範囲内に旋回移動するものを含むものである。基板受け部の基板支持手段をこのように構成したことによって、矩形の基板の縦横サイズが変更される場合でも、クランプ支持手段を含む支持手段によって、基板の基板面を基板受け部で確実に支持できる。
【0015】
更に、前記基板取付け装置の前記基板面支えレバーを、主支えレバーと、従属支えレバーとで構成し、両レバーは、基板面を支える支持範囲内に位置する際には両レバー間に介装したバネ体の付勢力によって略V字状の二股状に拡開され、レバー受け係止部に係止される基板面の支持範囲外に位置する際にはバネ体の付勢力に抗して閉じられるように構成したことを特徴とする。基板面支えレバーをこのように構成したことによって、この基板面支えレバーによる基板の基板面の支え範囲を広くすることができ、不使用の場合には基板面支えレバーをコンパクトに配置できる。
【0016】
なお、本発明の複列基板装着装置の前記基板取付け装置において、前記基板の基板面を前記基板受け部の基板受け面で着脱自在に支持する手段として、基板の基板面を基板受け面側に吸着して支持するバキューム手段とすることを除外するものではない。
【0017】
また、前記課題を解決するため、本発明に係る複列基板脱着装置は、複列チャックハンガーから基板を取り外し基板搬出部へ供給する基板脱着装置であり、前記複列チャックハンガーは、レールに沿って移動自在な構成を有し、被表面処理物である基板の上端部を着脱自在に挟持して該基板を垂直姿勢に吊持する開閉チャックを有し、この開閉チャックは常態において基板を吊持できる閉状態にバネによる付勢力を与えて構成され、この開閉チャックを、複数の基板を基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態に吊持でき、且つ並列状態に吊持される複数の前記基板をその一側端部が前記レールに沿う移動方向に向けて吊持できるように、該チャックハンガーの下部に設けたチャック取付け体を介して複数の基板に対応した複数列の並列状態に配置した複列チャックとし、前記基板脱着装置は、前記レールに支持されて基板取り外し位置に位置している前記複列チャックハンガーの複列チャックを開閉制御する複列チャック開閉装置と、この基板取り外し位置において前記複列チャックハンガーから取り外された基板を垂直状態から水平状態に変換して前記基板搬出部へ供給する基板取り外し装置とから成り、前記複列チャック開閉装置は、前記複列チャックハンガーの複数列の前記開閉チャックを各列の開閉チャックごとバネによる付勢力に抗して押圧した開状態に単独作動させる各列の開閉チャックに対応したチャック開閉作動部を含み、このチャック開閉作動部を各列の開閉チャックの開閉作動を可能にする進出位置と前記レールに沿った前記複列チャックハンガーの移動を許容する後退位置とに進退移動するように構成し、前記基板取り外し装置は、前記基板の基板面を基板受け面で着脱可能に支持する基板受け部と、この基板受け部で支持される前記基板を垂直姿勢から水平姿勢に変換する基板受け部反転制御手段と、前記複列チャックハンガーの各列の開閉チャックから脱着される各基板を前記基板受け部で垂直姿勢に支持できる各位置に該基板受け部の進出位置を制御する基板受け部進退移動制御手段を含む、ものである。
【0018】
前記複列基板装着装置と同様に本発明の複列基板脱着装置も、前記複列チャックハンガーの前記複列チャックは吊持する基板の幅方向に所定間隔をおいて同列にそれぞれ複数の開閉チャックを配置して構成し、前記複列チャック開閉装置は各列の開閉チャックに対応した前記チャック開閉作動部によって同列にある複数の開閉チャックの開閉をいっしょに行なえるよう開閉作動を連動させている。
【0019】
また、前記基板取り外し装置は、前記複列チャックハンガーから脱着される基板を前記基板受け部で垂直姿勢に支持し得る上昇位置と該基板受け部で水平姿勢に支持した基板を該基板受け部から離脱して前記基板搬出部へ水平姿勢で供給し得る下降位置とに該基板受け部を上下動させる基板受け部上下動手段を、更に含むものである。
【0020】
また、前記基板取り外し装置において、前記基板の基板面を前記基板受け部の基板受け面で着脱自在に支持する手段を、前記基板受け部の端部に設けた開閉制御可能な基板支持クランプによって前記基板の端部を基板受け面側に押さえて支持するクランプ支持手段としている。
【0021】
また、前記基板取り外し装置において、前記基板の基板面を前記基板受け部の基板受け面で着脱自在に支持する手段を、前記基板受け部の端部に設けた開閉制御可能な基板支持クランプによって前記基板の端部を基板受け面側に押さえて支持するクランプ支持手段と、基板の基板面を基板受け面側に向けて支える旋回移動制御可能な基板面支えレバーとで構成し、前記基板支持クランプは少なくとも垂直姿勢において上端となる基板の端部を基板受け面側に押さえる支持位置に設け、前記基板面支えレバーは垂直状態において側端となる該基板受け部の少なくとも一方の側端部の基板受け面より外側位置に設けた軸部を中心にして基板面の支持範囲外から基板面の側端部方向へ移動して基板面を支える支持範囲内に旋回移動するものとしたことを特徴としている。また、前記基板支持クランプは垂直姿勢において上端となる基板の端部を基板受け面側に押さえる支持位置と同姿勢において側端となる基板の一方の側端部を基板受け面側に押さえる支持位置に設け、前記基板面支えレバーは垂直状態において側端となる該基板受け部の他方の側端部の基板受け面より外側位置に設けた軸部を中心にして基板面の支持範囲外から基板面の側端部方向へ移動して基板面を支える支持範囲内に旋回移動するものを含むものである。基板受け部の基板支持手段をこのように構成したことによって、矩形の基板の縦横サイズが変更される場合でも、クランプ支持手段を含む支持手段によって、基板の基板面を基板受け部で確実に支持できる。
【0022】
更に、前記基板取り外し装置の前記基板面支えレバーを、主支えレバーと、従属支えレバーとで構成し、両レバーは、基板面を支える支持範囲内に位置する際には両レバー間に介装したバネ体の付勢力によって略V字状の二股状に拡開され、レバー受け係止部に係止される基板面の支持範囲外に位置する際にはバネ体の付勢力に抗して閉じられるように構成したことを特徴とする。基板面支えレバーをこのように構成したことによって、この基板面支えレバーによる基板の基板面の支え範囲を広くすることができ、不使用の場合には基板面支えレバーをコンパクトに配置できる。
【0023】
なお、本発明の複列基板脱着装置の前記基板取り外し装置において、前記基板の基板面を前記基板受け部の基板受け面で着脱自在に支持する手段として、基板の基板面を基板受け面側に吸着して支持するバキューム手段とすることを除外するものではない。
【発明の効果】
【0024】
本発明の複列基板装着装置によれば、搬入部において水平状態にある基板を一枚ずつ複列チャックハンガーの所定の複列チャック位置に垂直状態にして供給でき、この複列チャックハンガーに基板を垂直な複列状態に速く且つ確実に装着できる。また、本発明の複列基板脱着装置によれば、複列チャックハンガーに垂直な複列状態に装着されている基板を該ハンガーから一枚ずつ速く且つ確実に取り外し水平状態にして搬出部へ供給できる。
【0025】
また、本発明の複列基板装着装置、又は複列基板脱着装置によれば、ハンガーに取付け又はハンガーから取り外しする矩形の基板の縦横サイズが変更される場合でも、クランプ支持手段を含む支持手段によって、基板の基板面を基板受け部で確実に支持でき、基板の取り付けにおける水平状態から垂直状態への反転移動、又は基板取り外しにおける垂直状態から水平状態への反転移動に際しても、反転される基板が基板受け部の支持位置からズレたり、基板が基板受け部から脱落することなく、確実に支持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図2は、本発明の複列基板装着装置及び複列基板脱着装置の全体を示し、図1はその概略側面図、図2はその概略正面図である。
【0027】
本発明の複列基板装着装置は、複列チャックハンガー1と、この複列チャックハンガーに複数の基板Wを複列状態に取付ける基板装着装置とから成り、この基板装着装置は、基板取付け位置に配設した複列チャック開閉装置20と、この基板取付け位置の基板搬入部において水平状態に配置してある基板を垂直状態に変換して前記複列チャックハンガーの各列の基板装着位置へ供給する基板取付け装置40とから構成されている。
【0028】
また、本発明の複列基板脱着装置は、複列チャックハンガー1と、この複列チャックハンガーから基板Wを取り外し基板搬出部へ供給する基板脱着装置とから成り、この基板脱着装置は、基板取り外し位置に配設した複列チャック開閉装置20と、この基板取り外し位置において前記複列チャックハンガーから取り外された基板を垂直状態から水平状態に変換して前記基板搬出部へ供給する基板取り外し装置70とから構成されている。
【0029】
なお、複列基板脱着装置の構成は、前記複列基板装着装置の構成と実質的に同じである。したがって、複列基板脱着装置の説明において、複列基板装着装置と同じ構成の説明は省略する。
【0030】
先ず、前記複列チャックハンガー1について、前記の図1〜図2に、このハンガーの概略平面図を示した図3を加えて説明する。複列チャックハンガー1は、レール2に沿って移動自在な構成を有し、被表面処理物である基板Wの上端部を着脱自在に挟持して該基板Wを垂直姿勢に吊持する開閉チャック3(この開閉チャック3は後述するように常態において基板を吊持できる閉じ状態にバネによる付勢力を与えて構成される。)を有し、この開閉チャック3を、複数(本実施例では3枚)の基板Wを各基板面が所定間隔を空けて向き合う平行な並列状態に吊持でき、且つ並列状態に吊持される複数(3枚)の前記基板Wをその一側端部が前記レール2に沿う移動方向に向けて吊持できるように、該チャックハンガーの下部に設けたチャック取付け体4を介して複数(3枚)の基板に対応した複数列(3列)の並列状態に配置して設けた複列チャック5として構成してある。
【0031】
この複列チャックハンガー1は、上部をレール2に沿って摺動される被支持部6とし、この被支持部6と該チャックハンガーの下部に設けた前記チャック取付け体4とを連結固定部材7を介して連結固定している。なお、複列チャックハンガー1の最上部に設けた係合突起8に図示しないプッシャーを係合させることによって、この複列チャックハンガー1をレール2に沿って移動できるようにしている。
【0032】
この複列チャック5は図示した実施例では、図1において右側から(図3においては下側から)順に第1列開閉チャック3A、第2列開閉チャック3B、第3列開閉チャック3Cの3列の開閉チャック3で構成し、各列の開閉チャック3で1枚ずつ合計3枚の基板Wを吊持できるようにしている。そして、前記第1列開閉チャック3Aを前列、前記第2列開閉チャック3Bを中列、第3列開閉チャック3Cを後列として機能させるようにしている。各列の開閉チャック3の間隔、すなわち各列の開閉チャック3に吊持される基板Wの間隔は、これらの基板Wがレールに沿って処理薬品液中を搬送される際、この処理薬品液中で充分析出反応されるものとしてある。この実施例では吊持される3枚の基板Wの各間隔を数センチメートルとしてある。
【0033】
この複列チャック5を構成する各列の開閉チャック(3A,3B,3C)は、吊持する基板Wの幅方向に所定間隔をおいて同列にそれぞれ複数の開閉チャック3を配置して設けている。図示した実施例では、第1列開閉チャック3A、第2列開閉チャック3B、第3列開閉チャック3Cにそれぞれ4個ずつの開閉チャック3を設けている。したがって、図示した実施例の複列チャック5は、3列で4個ずつ合計12個の開閉チャック3で構成してある。なお、同列の4個の開閉チャック3は、後述するように対応するチャック開閉作動部によって4個いっしょに連動させ開閉作動される。
【0034】
合計12個の各開閉チャック3は、固定杆10と可動杆11をもち、固定杆10は前記チャック取付け体4に固着固定され、可動杆11は、バネ12の付勢力で通常は上部を拡開し下部を固定杆10の下部に向けて閉じるように軸ピン13を介して前記チャック取付け体4に固定してある。そして、前記可動杆11の上部をバネ12の付勢力に抗して固定杆11の上部方向へ押圧することによって、可動杆11の下部を固定杆10の下部から離れる方向へ移動させ、開閉チャック3を開くようにしてある。合計12個の各開閉チャック3は、全て図1において右側の前列方向に可動杆11側を配し、バネ12の付勢力を同方向に向けている。前記チャック取付け体4は、図3に示したように、各列の開閉チャック(3A,3B,3C)を各1個ずつ取り付け可能なチャック取り付け架設杆を、吊持する基板の幅方向に所定間隔をおいて4つ並べ、これらのチャック取り付け架設杆の両端部を固定杆で固着した骨組み構造を有し、このチャック取付け体4に3列で各列4個ずつ合計12個の開閉チャック3を取り付けてある。
【0035】
複数(3枚の)の基板Wを、レール2に沿って移動自在に構成された前記複列チャックハンガー1の第1列開閉チャック3A、第2列開閉チャック3B、第3列開閉チャック3Cの3列の開閉チャック3によって、各基板面が所定間隔を空けて向き合う平行な並列状態にあり、且つ並列状態にある各基板Wの一側端部が前記レール2に沿う移動方向に向く姿勢状態に吊持し、この複列チャックハンガー1に吊持された複数(3枚の)の基板Wをレール2に沿って処理薬品液中を搬送させながら処理薬品液で無電解メッキするようにした。
【0036】
次に、前記復列チャックハンガー1の複列チャック開閉装置20について、前記の図1〜図2に、図3及び図4を加えて説明する。図3は複列チャックハンガー1と複列チャック開閉装置20を便宜的に離して示した平面図、図4はチャック開閉作動部(21)を進出させた状態の側面図である。なお、図1はチャック開閉作動部(21)を後退させた状態を示している。
【0037】
この復列チャック開閉装置20は、基板取付け位置(又は、基板取り外し位置)に対応して設けられ、この基板取付け位置で前記レール1に支持されている前記複列チャックハンガー1に対して、この複列チャックハンガー1の複数列の前記開閉チャック(3A,3B,3C)を各列の開閉チャックごとバネ12による付勢力に抗して押圧した開状態に独立した駆動部によって単独作動させる各列の開閉チャック(3A,3B,3C)に対応したチャック開閉作動部21を有し、このチャック開閉作動部21を各列の開閉チャック(3A,3B,3C)の開閉作動を可能にする進出位置とレール2に沿った前記複列チャックハンガー1の移動を許容する後退位置とに進退移動するように構成してある。
【0038】
前記チャック開閉作動部21は、復列チャック開閉装置20の固定支持体22に軸支された回転コロ23を介して進退移動可能に支持された開閉作動部支持体24に支持され、この開閉作動部支持体24と開閉装置20の固定基枠25に連結された進退動シリンダー26の往復駆動力を得て、各列の開閉チャック(3A,3B,3C)の開閉作動を可能にする図4に示した進出位置(図3の実線位置)とレール2に沿った複列チャックハンガー1の移動を許容する図1に示した後退位置(図3の二点鎖線位置)とに進退移動するように構成してある。したがって、前記チャック開閉作動部21は、図3に実線で示した複列チャックハンガー1(このハンガー1には複数の基板Wが吊持されている。)がレール2に沿って基板取付け位置(又は基板取り外し位置)へ送られ該位置で止められた状態で、図3に示した二点鎖線で示した後退位置から同図の実線で示した進出位置へ進出移動され、この進出位置で複列チャックハンガー1の複列チャック5を開閉作動させ、複数基板Wの取り外しと装着を行なえるようにしている。
【0039】
前記チャック開閉作動部21は、第1列開閉チャック3Aに対応した第1列チャック開閉作動部21A、第2列開閉チャック3Bに対応した第2列チャック開閉作動部21B、第3列開閉チャック3Cに対応した第3列チャック開閉作動部21Cによって構成され、これらのチャック開閉作動部(21A,21B,21C)は独立した駆動部(後述する第1作動シリンダー33A、第2作動シリンダー33B、第3作動シリンダー33C)によって単独作動するように構成してある。
【0040】
前述したように、前記複列チャック5は、吊持する基板Wの幅方向に所定間隔をおいて同列にそれぞれ4個ずつ開閉チャック3を配置して構成してあり、各列にそれぞれ4個ずつ設けた開閉チャック3は、対応するチャック開閉作動部(21A,21B,21C)によって4個いっしょに連動して開閉作動するように構成してある。
【0041】
第1列開閉チャック3A(前列開閉チャックとして機能される。)に対応する第1列チャック開閉作動部21A、第2列開閉チャック3B(中列開閉チャックとして機能される。)に対応する第2列チャック開閉作動部21B、第3列開閉チャック3C(後列開閉チャックとして機能される。)に対応する第3列チャック開閉作動部21Cの各作動機構を図示の実施例に基づき説明する。
【0042】
後列として機能させた第3列開閉チャック3Cに対応する第3列チャック開閉作動部21Cは、第3列開閉チャック3Cを構成する複数(4個)の開閉チャック3に対応して係合する複数(4個)の作動レバー30を回動軸31(この回動軸31はチャック開閉作動部21を支持している前記開閉作動部支持体24の支持基枠に軸架してある。)の軸方向に複数(4個)の開閉チャック3に対応して固定し、各作動レバー30を回動軸31の回動によって回動軸31を軸心として連動して回動するように構成してある。前記回動軸31には該回動軸31を回動させ前記作動レバー30をレバーの作用部として機能させるレバーアーム32を固定し、このレバーアーム32の先端部に第3作動シリンダー33C(この作動シリンダーの他端側は前記開閉作動部支持体24の後端部に連結してある。)の往復ロッド側を連結し、この往復ロッドの往復動によって、同列の複数の作動レバー30が該作動レバーの端部に設けた回転子30aを介して対応する第3列開閉チャック3Cの各開閉チャック3の可動杆11の上部をバネ12の付勢力に抗して押圧し、該開閉チャック3を開けさせる係合位置と、開閉チャック3の可動杆11から離れた不係合位置を連動して作動するように構成してある。
【0043】
中列として機能させた第2列開閉チャック3Bに対応する第2列チャック開閉作動部21Bも前述した第3列チャック開閉作動部21Cと同様な作動機構であり、第2列開閉チャック3Bを構成する複数(4個)の開閉チャック3に対応して係合する複数(4個)の作動レバー30を回動軸31(この回動軸31はチャック開閉作動部21を支持している前記開閉作動部支持体24の支持基枠に軸架してある。)の軸方向に複数(4個)の開閉チャック3に対応して固定し、各作動レバー30を回動軸31の回動によって回動軸31を軸心として連動して回動するように構成してある。前記回動軸31には該回動軸31を回動させ前記作動レバー30をレバーの作用部として機能させるレバーアーム32を固定し、このレバーアーム32の先端部に第2作動シリンダー33B(この作動シリンダーの他端側は前記開閉作動部支持体24の後端部に連結してある。)の往復ロッド側を連結し、この往復ロッドの往復動によって、同列の複数の作動レバー30が該作動レバーの端部に設けた回転子30aを介して対応する第2列開閉チャック3Bの各開閉チャック3の可動杆11の上部をバネ12の付勢力に抗して押圧し、該開閉チャック3を開けさせる係合位置と、開閉チャック3の可動杆11から離れた不係合位置を連動して作動するように構成してある。
【0044】
前列として機能する第1列開閉チャック3Aに対応する第1列チャック開閉作動部21Aも前述した前記第3列チャック開閉作動部21C及び第2列チャック開閉作動部21Bと実質的に同様な作動機構を有するが、第1列チャック開閉作動部21Aの進出状態において複列チャックハンガー1の前記連結固定部材7との衝突を回避させる回避作動機構としている。すなわち、第1列開閉チャック3Aを構成する複数(4個)の開閉チャック3に対応して係合する複数(4個)の作動レバー30を2本に分離した同軸心の回動軸31a,31a(この回動軸はチャック開閉作動部31を支持している前記開閉作動部支持体24の支持基枠に軸架してある。)の軸方向に2個ずつ合計4個を4個の開閉チャック3に対応して固定してある。2本の回動軸31a,31aの各内側端部に各回動軸を回動させ前記作動レバー30をレバーの作用部として機能させるレバーアーム32をそれぞれ固定し、各レバーアーム32の上端部を平面視コ字状の迂回連結杆35に軸ピン36を介して連結し、この迂回連結杆35に第1作動シリンダー33A(この作動シリンダーの他端側は前記開閉作動部支持体24の後端部に連結してある。)の往復ロッド側を連結してある。この往復ロッドの往復動によって、前記迂回連結杆35及び前記各レバーアーム32を介して分離した2本の回動軸31a,31aをいっしょに回動させ、各回動軸31a,31aに固定した2個ずつの作動レバー30が該作動レバーの端部に設けた回転子30aを介して対応する第1列開閉チャック3Aの各開閉チャック3の可動杆11の上部をバネ12の付勢力に抗して押圧し、該開閉チャック3を開けさせる係合位置と、開閉チャック3の可動杆11から離れた不係合位置を連動して作動するように構成してある。
【0045】
独立した駆動部(第1作動シリンダー33A、第2作動シリンダー33B、第3作動シリンダー33C)によって単独作動する各チャック開閉作動部(21A,21B,21C)は、前列の第1列開閉チャック3Aに対応した第1列チャック開閉作動部21A、中列の第2列開閉チャック3Bに対応した第2列チャック開閉作動部21B、後列の第3列開閉チャック3Cに対応した第3列チャック開閉作動部21Cの順に閉状態にある各列の開閉チャック(3A,3B,3C)を開作動させるように制御され、前列の第1列開閉チャック3A、中列の第2列開閉チャック3B、後列の第3列開閉チャック3Cの順に開作動される各列の開閉チャックで吊持されていた表面処理済の各基板Wは順次各列の開閉チャックから外され脱着される。次に空の各列の開閉チャックにこれから表面処理される基板を装着し吊持させる場合は、各チャック開閉作動部(21A,21B,21C)を、後列の第3列開閉チャック3Cに対応した第3列チャック開閉作動部21C、中列の第2列開閉チャック3Bに対応した第2列チャック開閉作動部21B、前列の第1列開閉チャック3Aに対応した第1列チャック開閉作動部21Aの順に各列の開閉チャック(3A,3B,3C)を開作動から開作動を終了させる不係合状態に制御し、各開閉チャック3のバネ12の付勢力で後列の第3列開閉チャック3C、中列の第2列開閉チャック3B、前列の第1列開閉チャック3Aの順に閉じられる各列の開閉チャックにこれから表面処理される基板を順次装着し吊持させる。このようにして、復列チャックハンガー1の複列チャック5へ複数の基板を容易に装着でき、装着されていた複数の基板を容易に脱着できる。
【0046】
次に、基板取付け位置の基板搬入部(図示せず。以下同じ)において水平状態に配置してある基板を垂直状態に変換して前記複列チャックハンガー1の各列の開閉チャック(3A,3B,3C)の基板装着位置へ供給する基板取付け装置40、及び基板取り外し位置において前記複列チャックハンガー1の各列の開閉チャック(3A,3B,3C)から取り外された基板を垂直状態から水平状態に変換して前記基板搬出部(図示せず。以下同じ)へ供給する基板取り外し装置70について、主に図1及び図2に基づいて説明する。なお、基板取り外し装置70の構成は、前記基板取付け装置40の構成と実質的に同じである。したがって、基板取り外し装置70の説明において、基板取付け装置40と同じ構成の説明は省略する。
【0047】
前記基板取付け装置40は、前記基板の基板面を基板受け面42で着脱可能に支持する基板受け部41と、この基板受け部41で支持される前記基板Wを水平姿勢から垂直姿勢に反転する基板受け部反転制御手段50と、前記基板受け部41で垂直姿勢に支持される前記基板Wの上端部を前記複列チャック5における各列の開閉チャック(3A,3B,3C)で挟持し得る各進出位置(図1に一点鎖線で示す)と前記複列チャック5の基板吊持位置から後方に離れる後退位置(図1に実線で示す)とに該基板受け部41の進退移動を制御する基板受け部進退移動制御手段60と、前記基板取付け位置の前記基板搬入部において水平状態に配置してある基板Wを前記基板受け部41で水平姿勢に支持し得る下降位置(図1に一点鎖線で示す)と該基板受け部41で垂直姿勢に支持した基板Wを前記複列チャックハンガー1による装着を可能にする上昇位置(図1に実線で示す)とに該基板受け部を上下動させる基板受け部上下動手段と、を含むものである。
【0048】
また、前記基板取り外し装置70は、前記基板の基板面を基板受け面42で着脱可能に支持する基板受け部41と、この基板受け部41で支持される前記基板Wを垂直姿勢から水平姿勢に反転する基板受け部反転制御手段50と、前記複列チャックハンガー1の各列の開閉チャック(3A,3B,3C)から脱着される各基板Wを前記基板受け部41で垂直姿勢に支持できる各進出位置(図1に一点鎖線で示す)と前記複列チャック5の基板吊持位置から後方に離れる後退位置(図1に実線で示す)とに該基板受け部41の進退移動を制御する基板受け部進退移動制御手段60と、前記複列チャックハンガー1から脱着される基板Wを前記基板受け部41で垂直姿勢に支持し得る上昇位置(図1に実線で示す)と該基板受け部41で水平姿勢に支持した基板Wを該基板受け部41から離脱して前記基板搬出部へ水平姿勢で供給し得る下降位置(図1に一点鎖線で示す)とに該基板受け部を上下動させる基板受け部上下動手段と、を含むものである。
【0049】
前記基板受け部反転制御手段50は、装置フレームに固定した反転用モーター51と、この反転用モーターの回転軸にカップリングを介して連結され、装置フレームに軸受けを介して回転自在に支持された回転軸52と、この回転軸52に反転可能に固定された反転アーム53及び反転支持体54と、この反転支持体54に支持された進退移動制御可能な進退移動スライダ部を持つ基板受け部進退移動制御シリンダー55と、この基板受け部進退移動制御シリンダー55の進退移動スライダ部に支持された進退移動制御可能なスライド体56と、このスライド体56の先端部に該スライド体56の進退方向に直交する方向に基板受け面42を配して固定された基板受け部41とで構成してある。
【0050】
前記基板受け部進退移動制御手段60は、前記基板受け部進退移動制御シリンダー55の進退移動駆動制御によって前記基板受け部41の進退移動を制御するようにし、前記スライド体56に固定した基板受け部41の基板受け面42を進退方向に向けて各進出位置と後退位置とにその進退移動を制御できるようにしてある。
【0051】
この実施形態では、前記基板受け部上下動手段を前記基板受け部進退移動制御シリンダー55の進退移動駆動制御によって前記基板受け部41を上下動させている。
【0052】
また、前記基板取付け装置40(前記基板取り外し装置70)において、前記基板Wの基板面を前記基板受け部41の基板受け面42で着脱自在に支持する手段を、前記基板受け部41の端部に設けた開閉制御可能な基板支持クランプ43によって前記基板の端部を基板受け面42側に押さえて支持するクランプ支持手段と、基板Wの基板面を基板受け面42側に向けて支える旋回移動制御可能な基板面支えレバー45とで構成し、前記基板支持クランプ43は少なくとも垂直姿勢において上端となる基板Wの端部を基板受け面側に押さえる支持位置に設け、前記基板面支えレバー45は垂直状態において側端となる該基板受け部41の少なくとも一方の側端部(側端部の下端部側)の基板受け面より外側位置に設けた軸部46を中心にして基板面の支持範囲外から基板面の側端部方向へ移動して基板面を支える支持範囲内に旋回移動する構成としてある。図2の実施形態では、前記基板支持クランプ43は垂直姿勢において上端となる基板Wの端部(上端部)を基板受け面側に押さえる支持位置と同姿勢において側端となる基板の一方の側端部(右側端部)を基板受け面側に押さえる支持位置に設け、前記基板面支えレバー45は垂直状態において側端となる該基板受け部の他方の側端部(左側端部の下側位置)から外方向に突設したブラケットに設けた前記軸部46を中心にして基板面の支持範囲外から基板面の側端部方向へ移動して基板面を支える支持範囲内に旋回移動するものとしてある。
【0053】
前記基板支持クランプ43の開閉制御は、前記基板受け部41の端部から外方向に突設したブラケットに支持ピンを介して枢着したクランプレバーの背面側(基板受け面の反対面)の端側を前記基板受け部41の背面側に設置したクランプ開閉制御シリンダー44に連結し、このシリンダー44の往復動によって他端側(基板受け面側)の略L字形状のクランプ部が前記基板の端部を背面方向から基板受け面側に回り込むようにして押さえて支持する閉止状態と基板の端縁から外側に離れる開放状態とに開閉制御されるようにしてある。
【0054】
図2に示すように、前記基板支持クランプ43は支持する基板の上端部又は右側端部の幅方向に所定間隔をおいてそれぞれ複数配置し、基板Wの上端部を支持する基板支持クランプ43の配置位置は各列に複数設けた前記開閉チャック3と互いに干渉しないようにずらして配置してある。また、複数配置してある前記基板支持クランプ43は同時に開閉制御するように設定してある。
【0055】
前記基板面支えレバー45を、図2に示すように、主支えレバー45Aと、従属支えレバー45Bとで構成し、両レバーは、基板面を支える支持範囲内に位置する際には両レバー間に介装した拡開バネ47の付勢力によって略V字状の二股状に拡開され、レバー受け係止部48に係止される基板面の支持範囲外に位置する際には前記拡開バネ47の付勢力に抗して閉じられ2本のレバー全体が略重なるように構成してある。前記主支えレバー45Aの基部を支えレバー作動シリンダー49によって回転する軸部46に固定し、前記従属支えレバー45Bの基部を回転する軸部46にフリー回転状態に取付け、両レバー間に該レバーを略V字状の二股状に拡開する付勢力の前記拡開バネ47を介装し、付勢された略V字状の拡開状態において前記従属支えレバー45Bを前記レバー受け係止部48の方向に配置して構成してある。これによって、前記支えレバー作動シリンダー49の作動により前記主支えレバー45Aを前記レバー受け係止部48に係止される位置に旋回移動すれば、従属支えレバー45Bも連動して移動しレバー受け係止部48に係止され、前記拡開バネ47の付勢力に抗して閉じられる。基板面支えレバー45(45A,45B)をこのように構成したことによって、支えレバーによる基板の基板面の支え範囲を広くすることができる。
【0056】
図2において矩形の基板受け面42に前記基板支持クランプ43によって支持される矩形の基板Wの位置を該基板の上辺と右側辺を基準とし、該基板の下辺及び左側辺に自由度を残している。これにより、基板受け面に支持される矩形基板のサイズ変更に対処できるようにしている。ちなみに、図示した基板サイズは標準サイズより大きなものである。
【0057】
なお、図示してないが、前記基板支持クランプ43を垂直姿勢において上端となる基板の端部を基板受け面側に押さえる支持位置のみ設け、前記基板面支えレバー45(45A,45B)を図2において左右対称位置に設けることもできる。この構成にすれば、基板受け面42に支持される矩形基板Wの位置を該基板の上辺と縦方向の中心線を基準とし、該基板の下辺及び左右両辺に自由度を残すことができる。これにより、前記と同様に基板受け面に支持される矩形基板のサイズ変更に更に対処できる。
【0058】
次に、複列チャック開閉装置20と基板取付け装置40とから成る基板装着装置で複列チャックハンガー1に基板を装着する動作について説明する。複列チャックハンガー1の複列チャックへの基板装着は、基板取付け装置40の基板受け部41を基準にして奥側から手前の順に後列の第3列開閉チャック3C、中列の第2列開閉チャック3B、前列の第1列開閉チャック3Aの順に基板が装着される。
【0059】
下降位置において基板受け面42を下に向けた水平状態の基板受け部41は、基板搬入部に水平状態に置かれた基板を該基板の上端部を基板受け面42から突出(突出部分が開閉チャック3による挟持しろと成る。)した状態に支持する。基板受け面42での基板の支持は前記基板支持クランプ43及び基板面支えレバー45によって行われる。基板を支持した基板受け部41は、前記基板受け部進退移動シリンダー55の進退移動制御によって下降位置から上方移動される過程で、水平状態から垂直状態に反転されると共に、後列の第3列開閉チャック3Cに対応する装着位置へ進出位置を制御され、支持した基板の上端部を開状態に制御されている第3列開閉チャック3Cの挟持部へ供給する。基板供給後に第3列開閉チャック3Cが閉じられ、該チャック3Cで基板の上端部が挟持され、前記基板受け部41での基板の支持が解除され、後列の第3列開閉チャック3Cへの基板装着を完了する。基板の支持を解除した前記基板受け部41は、進出位置から後退位置へ後退移動され、この後退位置で垂直状態から水平状態へ反転されると共に、下降位置へ移動される。基板受け部41は、前記基板搬入部に供給されている水平状態に置かれた基板を支持し、前記と同様な装着動作でこの基板を中列の第2列開閉チャック3Bへ装着する。第2列開閉チャック3Bへの基板装着を完了した基板受け部41は前記基板搬入部に戻され、前列の第1列開閉チャック3Aに装着される基板を支持し、前記と同様な装着動作でこの基板を前列の第1列開閉チャック3Aへ装着する。第1列開閉チャック3Aへの基板装着を完了した基板受け部41は前記基板搬入部に戻され、複列チャック5への基板装着を完了する。基板の装着を完了された複列チャックハンガー1はレール2に沿って表面処理工程へ搬送され、この基板取付け位置に供給された新たな複列チャックハンガー1に同様な基板装着が繰り返される。
【0060】
次に、複列チャック開閉装置20と基板取り外し装置70とから成る基板脱着装置で複列チャックハンガー1から基板を取り外し水平状態に反転して基板搬出部へ供給する動作について説明する。複列チャックハンガー1からの基板の取り外しは、基板取り外し装置の基板受け部41を基準にして手前から順に前列の第1列開閉チャック3A、中列の第2列開閉チャック3B、後列の第3列開閉チャック3Cの順に行われる。
【0061】
上昇位置において垂直状態に反転されている基板受け部41は、前列の第1列開閉チャック3Aで吊持されている基板を基板受け面42で支持できる進出位置へ移動を制御され、この進出位置で前列の基板を基板受け部41で支持する。基板受け面42での基板の支持は前記基板支持クランプ43及び基板面支えレバー45によって行われる。基板受け部41で基板を支持した後に、前記第1列開閉チャック3Aが開けられ、基板受け部41に支持された基板は前記第1列開閉チャック3Aから脱着される。基板を支持した前記基板受け部41は、進出位置から後退位置へ後退移動され、この後退位置で垂直状態から水平状態へ反転されると共に、下降位置へ移動される。ここで、前記基板支持クランプ43及び基板面支えレバー45による基板の支持が解除され、基板受け部41から離された基板は基板搬出部に水平姿勢で供給される。基板を離した前記基板受け部41は、前記基板受け部進退移動シリンダー55の進退移動制御によって下降位置から上方移動される過程で、水平状態から垂直状態に反転されると共に、中列の第2列開閉チャック3Bに吊持されている基板を支持できる位置へ進出位置を制御され、前記した第1列開閉チャック3Aと同様に、第2列開閉チャック3Bから脱着される基板を基板受け部41で支持し、進出位置から後退位置へ後退移動され、この後退位置で垂直状態から水平状態へ反転されると共に、下降位置へ移動される。ここで、前記基板支持クランプ43及び基板面支えレバー45による基板の支持が解除され、基板受け部41から離された基板は前記基板搬出部に水平姿勢で供給される。これらと同様に、後列の第3列開閉チャック3Cで吊持されている基板を取り外し、基板搬出部へ水平状態にして供給し、複列チャックハンガー1から基板の取り外しを完了する。基板を全て取り外された複列チャックハンガー1は必要に応じ洗浄され、基板取付け位置へ送られる。また、基板取り外し位置に供給された次位の複列チャックハンガーからも同様な基板取り外しが繰り返し行われる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】 本発明の複列基板装着装置及び複列基板脱着装置の側面図である。
【図2】 本発明の複列基板装着装置及び複列基板脱着装置の正面図である。
【図3】 本発明の複列基板装着装置及び複列基板脱着装置の概略平面図である。
【図4】 複列チャック開閉装置の作動状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 複列チャックハンガー
2 レール
3 開閉チャック
3A 第1列開閉チャック
3B 第2列開閉チャック
3C 第3列開閉チャック
4 チャック取付け体
5 複列チャック
12 バネ
20 複列チャック開閉装置
21 チャック開閉作動部
21A 第1列チャック開閉作動部
21B 第2列チャック開閉作動部
21C 第3列チャック開閉作動部
24 開閉作動部支持体24
26 進退動シリンダー
33A 第1作動シリンダー
33B 第2作動シリンダー
33C 第3作動シリンダー
40 基板取付け装置
41 基板受け部
42 基板受け面
43 基板支持クランプ
44 クランプ開閉制御シリンダー
45 基板面支えレバー
45A 主支えレバー
45B 従属支えレバー
46 基板面支えレバーの軸部
47 拡開バネ
48 レバー受け係止部
49 支えレバー作動シリンダー
50 基板受け部反転制御手段
51 反転用モーター
52 回転軸
53 反転アーム
54 反転支持体
55 基板受け部進退移動制御シリンダー
56 スライド体
60 基板受け部進退移動制御手段
70 基板取り外し装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複列チャックハンガーに複数の基板を複列状態に取付ける基板装着装置であり、
前記複列チャックハンガーは、レールに沿って移動自在な構成を有し、被表面処理物である基板の上端部を着脱自在に挟持して該基板を垂直姿勢に吊持する開閉チャックを有し、この開閉チャックは常態において基板を吊持できる閉状態にバネによる付勢力を与えて構成され、この開閉チャックを、複数の基板を基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態に吊持でき、且つ並列状態に吊持される複数の前記基板をその一側端部が前記レールに沿う移動方向に向けて吊持できるように、該チャックハンガーの下部に設けたチャック取付け体を介して複数の基板に対応した複数列の並列状態に配置した複列チャックとし、
前記基板装着装置は、前記レールに支持されて基板取付け位置に位置している前記複列チャックハンガーの複列チャックを開閉制御する複列チャック開閉装置と、この基板取付け位置の基板搬入部において水平状態に配置してある基板を垂直状態に変換して前記複列チャックハンガーの各列の基板装着位置へ供給する基板取付け装置とを含み、
前記複列チャック開閉装置は、前記複列チャックハンガーの複数列の前記開閉チャックを各列の開閉チャックごとバネによる付勢力に抗して押圧した開状態に単独作動させる各列の開閉チャックに対応したチャック開閉作動部を含み、
前記基板取付け装置は、前記基板の基板面を基板受け面で着脱可能に支持する基板受け部と、この基板受け部で支持される前記基板を水平姿勢から垂直姿勢に変換する基板受け部反転制御手段と、前記基板受け部で垂直姿勢に支持される前記基板の上端部を前記複列チャックにおける各列の開閉チャックで挟持される各進出位置に供給し得る基板受け部進退移動制御手段とを含む、ことを特徴とする複列基板装着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の前記基板取付け装置は、前記基板取付け位置の前記基板搬入部において水平状態に配置してある基板を前記基板受け部で水平姿勢に支持し得る下降位置と該基板受け部で垂直姿勢に支持した基板を前記複列チャックハンガーによる装着を可能にする上昇位置とに該基板受け部を上下動させる基板受け部上下動手段を、更に含むことを特徴とする複列基板装着装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の前記基板受け部において、前記基板の基板面を基板受け面で着脱自在に支持する手段を、前記基板受け部の端部に設けた開閉制御可能な基板支持クランプによって前記基板の端部を基板受け面側に押さえて支持するクランプ支持手段としたことを特徴とする複列基板装着装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の前記基板受け部において、前記基板の基板面を基板受け面で着脱自在に支持する手段を、前記基板受け部の端部に設けた開閉制御可能な基板支持クランプによって前記基板の端部を基板受け面側に押さえて支持するクランプ支持手段と、基板の基板面を基板受け面側に向けて支える旋回移動制御可能な基板面支えレバーとで構成し、前記基板支持クランプは少なくとも垂直姿勢において上端となる基板の端部を基板受け面側に押さえる支持位置に設け、前記基板面支えレバーは垂直状態において側端となる該基板受け部の少なくとも一方の側端部の基板受け面より外側位置に設けた軸部を中心にして基板面の支持範囲外から基板面の側端部方向へ移動して基板面を支える支持範囲内に旋回移動するものとしたことを特徴とする複列基板装着装置。
【請求項5】
請求項4に記載の前記基板面支えレバーを、主支えレバーと、従属支えレバーとで構成し、両レバーは、基板面を支える支持範囲内に位置する際には両レバー間に介装したバネ体の付勢力によって略V字状の二股状に拡開され、レバー受け係止部に係止される基板面の支持範囲外に位置する際にはバネ体の付勢力に抗して閉じられるように構成したことを特徴とする複列基板装着装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の前記基板受け部において、前記基板の基板面を基板受け面で着脱自在に支持する手段を、基板の基板面を基板受け面側に吸着して支持するバキューム手段としたことを特徴とする複列基板装着装置。
【請求項7】
複列チャックハンガーから基板を取り外し基板搬出部へ供給する基板脱着装置であり、
前記複列チャックハンガーは、レールに沿って移動自在な構成を有し、被表面処理物である基板の上端部を着脱自在に挟持して該基板を垂直姿勢に吊持する開閉チャックを有し、この開閉チャックは常態において基板を吊持できる閉状態にバネによる付勢力を与えて構成され、この開閉チャックを、複数の基板を基板面が所定間隔を空けて向き合う並列状態に吊持でき、且つ並列状態に吊持される複数の前記基板をその一側端部が前記レールに沿う移動方向に向けて吊持できるように、該チャックハンガーの下部に設けたチャック取付け体を介して複数の基板に対応した複数列の並列状態に配置した複列チャックとし、
前記基板脱着装置は、前記レールに支持されて基板取り外し位置に位置している前記複列チャックハンガーの複列チャックを開閉制御する複列チャック開閉装置と、この基板取り外し位置において前記複列チャックハンガーから取り外された基板を垂直状態から水平状態に変換して前記基板搬出部へ供給する基板取り外し装置とから成り、
前記複列チャック開閉装置は、前記複列チャックハンガーの複数列の前記開閉チャックを各列の開閉チャックごとバネによる付勢力に抗して押圧した開状態に単独作動させる各列の開閉チャックに対応したチャック開閉作動部を含み、
前記基板取り外し装置は、前記基板の基板面を基板受け面で着脱可能に支持する基板受け部と、この基板受け部で支持される前記基板を垂直姿勢から水平姿勢に変換する基板受け部反転制御手段と、前記複列チャックハンガーの各列の開閉チャックから脱着される各基板を前記基板受け部で垂直姿勢に支持できる各位置に該基板受け部の進出位置を制御する基板受け部進退移動制御手段とを含む、ことを特徴とする複列基板脱着装置。
【請求項8】
請求項7に記載の前記基板取り外し装置は、前記複列チャックハンガーから脱着される基板を前記基板受け部で垂直姿勢に支持し得る上昇位置と該基板受け部で水平姿勢に支持した基板を該基板受け部から離脱して前記基板搬出部へ水平姿勢で供給し得る下降位置とに該基板受け部を上下動させる基板受け部上下動手段を、更に含むことを特徴とする複列基板脱着装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の前記基板受け部において、前記基板の基板面を基板受け面で着脱自在に支持する手段を、前記基板受け部の端部に設けた開閉制御可能な基板支持クランプによって前記基板の端部を基板受け面側に押さえて支持するクランプ支持手段としたことを特徴とする複列基板脱着装置。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の前記基板受け部において、前記基板の基板面を基板受け面で着脱自在に支持する手段を、前記基板受け部の端部に設けた開閉制御可能な基板支持クランプによって前記基板の端部を基板受け面側に押さえて支持するクランプ支持手段と、基板の基板面を基板受け面側に向けて支える旋回移動制御可能な基板面支えレバーとで構成し、前記基板支持クランプは少なくとも垂直姿勢において上端となる基板の端部を基板受け面側に押さえる支持位置に設け、前記基板面支えレバーは垂直状態において側端となる該基板受け部の少なくとも一方の側端部の基板受け面より外側位置に設けた軸部を中心にして基板面の支持範囲外から基板面の側端部方向へ移動して基板面を支える支持範囲内に旋回移動するものとしたことを特徴とする複列基板脱着装置。
【請求項11】
請求項10に記載の前記基板面支えレバーを、主支えレバーと、従属支えレバーとで構成し、両レバーは、基板面を支える支持範囲内に位置する際には両レバー間に介装したバネ体の付勢力によって略V字状の二股状に拡開され、レバー受け係止部に係止される基板面の支持範囲外に位置する際にはバネ体の付勢力に抗して閉じられるように構成したことを特徴とする複列基板脱着装置。
【請求項12】
請求項7又は8に記載の前記基板受け部において、前記基板の基板面を基板受け面で着脱自在に支持する手段を、基板の基板面を基板受け面側に吸着して支持するバキューム手段としたことを特徴とする複列基板脱着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−161806(P2009−161806A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−342026(P2007−342026)
【出願日】平成19年12月29日(2007.12.29)
【出願人】(592141466)丸仲工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】