説明

複合グレーチング

【課題】鋼製グレーチングの強度を維持しつつ、軽量化を図ることができるグレーチングを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる代表的な複合グレーチングは、鋼製の外枠1と、前記外枠1内に複数平行に配置された繊維強化プラスチック製のフラットバー5と、前記フラットバー5の間に設置する複数の鋼製のスペーサー6と、前記フラットバー5及びスペーサー6に挿通する複数の鋼製のクロスバー3とを備え、前記フラットバー5には前記クロスバー3を挿通するための通孔が所定間隔で設けられ、前記スペーサー6には前記クロスバー3を挿通するための通孔が設けられており、前記クロスバー3が前記フラットバー5及びスペーサー6に挿通され、前記クロスバー3の両端が前記外枠1に固定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材が鋼と繊維強化プラスチックからなる複合グレーチングに関する。
【背景技術】
【0002】
地中洞道の換気のために地上に設置する換気孔開閉用グレーチングは、強度や耐久性を考慮して鋼製のものが多い。しかし、鋼製グレーチングは開閉部が重いため開閉の操作が困難であった。
【0003】
この問題を解決するための技術としては、「組み立て式プラスチック製グレーチング」(特許文献1)がある。この発明は、フランジ部を有し、このフランジ部の下面側に長手方向に沿った溝が設けられた強化プラスチック製のフラットバーと、上記溝に嵌合させる凸部が設けられてフラットバーに嵌合されるプラスチック製のスペーサーと、スペーサーを介してフラットバーに挿通して格子状に一体化するための強化プラスチック製のクロスバーで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−209432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、強化プラスチックのみからなる「組み立て式プラスチック製グレーチング」(特許文献1)では、路面にかかる種々の荷重に対する耐荷重が十分でなく、たわみも大きかった。
【0006】
そこで、本発明は鋼製グレーチングの強度を維持しつつ、軽量化を図ることができるグレーチングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる代表的な複合グレーチングは、鋼製の外枠と、前記外枠内に複数平行に配置された繊維強化プラスチック製のフラットバーと、前記フラットバーの間に設置する複数の鋼製のスペーサーと、前記フラットバー及びスペーサーに挿通する複数の鋼製のクロスバーとを備え、前記フラットバーには前記クロスバーを挿通するための通孔が所定間隔で設けられ、前記スペーサーには前記クロスバーを挿通するための通孔が設けられており、前記クロスバーが前記フラットバー及びスペーサーに挿通され、前記クロスバーの両端が前記外枠に固定されていることを特徴とする。
【0008】
鋼製の外枠、クロスバー、スペーサーにより鋼製グレーチングの強度を維持し、繊維強化プラスチック製のフラットバーにより軽量化を図ることができる。
【0009】
鋼製の外枠と、前記外枠内に複数平行に配置された繊維強化プラスチック製のフラットバーと、前記フラットバーの間に設置する複数のプラスチック製のスペーサーと、前記フラットバー及びスペーサーに挿通する複数の鋼製のクロスバーとを備え、前記フラットバーには前記クロスバーを挿通するための通孔が所定間隔で設けられ、前記スペーサーには前記クロスバーを挿通するための通孔が設けられており、前記クロスバーが前記フラットバー及びスペーサーに挿通され、前記クロスバーの両端が前記外枠に固定されていることが望ましい。
【0010】
これにより、複合グレーチングのより低コスト化、一層の軽量化を図ることができる。
【0011】
前記繊維強化プラスチックがアラミド繊維入り強化プラスチックであることが望ましい。
【0012】
これにより、フラットバーの強度を維持しつつ耐切断性を確保し、軽量化を図ることができる。
【0013】
前記外枠の裏側に、前記クロスバーを補強する鋼製の補強バーが固定されていることが望ましい。
【0014】
これにより、クロスバーを補強し、複合グレーチングのたわみを小さくする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、鋼製の外枠、クロスバー、スペーサーと繊維強化プラスチック製のフラットバーを組み合わせることにより、鋼製グレーチングの強度を維持しつつ軽量化を図ることができる。これにより、グレーチングの開閉の操作が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る複合グレーチングの部分斜視図である。
【図2】本発明に係る複合グレーチングの底面図である。
【図3】図2におけるA−A矢視の断面図である。
【図4】本発明に係る複合グレーチングの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
図1は本発明に係る複合グレーチングの部分斜視図、図2は本発明に係る複合グレーチングの底面図、図3は図2におけるA−A矢視の断面図、図4は本発明に係る複合グレーチングの正面図である。なお、図1では補強バーを省略している。また、複合グレーチングは、図2、3に示す表側を上に、裏側を下にして設置する。
【0019】
図1〜4に示すように複合グレーチングは、矩形をした鋼製の外枠1と、外枠1内に外枠1の一辺と平行に配置された47本のアラミド繊維入り強化プラスチック製のフラットバー5と、フラットバー5の間に設置する48個の鋼製のスペーサー6と、フラットバー5及びスペーサー6にフラットバー5と直行して挿通する5本の鋼製のクロスバー3とを備える。
【0020】
外枠1、クロスバー3およびスペーサー6を鋼製とすることにより、鋼製グレーチングの強度を維持することができる。ここで、鋼としては、耐食性、強度に優れた亜鉛メッキ鋼、ステンレス鋼が望ましい。
【0021】
フラットバー5をアラミド繊維入り強化プラスチック製とすることにより、強度を維持しつつ耐切断性を確保し、軽量化を図ることができる。なお、フラットバー5はアラミド繊維入り強化プラスチック製に限られず、耐切断性があり軽量であれば、ボロン繊維強化プラスチック(BFRP)、ザイロン強化プラスチック(ZFRP)など他の繊維強化プラスチック製でもよい。
【0022】
外枠1の形状は矩形に限らず、円形など用途に合わせ他の形状でもよい。また、フラットバー5、スペーサー6、クロスバー3の個数は、図2に示す個数に限らず、グレーチングの機能を満たせば、他の個数でもよい。
【0023】
フラットバー5にはクロスバー3を挿通するための通孔が所定間隔で5カ所設けられ、スペーサー6にもクロスバー3を挿通するための通孔が設けられている。そして、クロスバー3がフラットバー5及びスペーサー6に挿通され、このクロスバー3の両端が外枠1にナット2でネジ止めされている。
【0024】
このクロスバー3とスペーサー6によって、フラットバー5が外枠1内に平行に配置される。複合グレーチングへの荷重は直接的にはフラットバー5にかかるが、このフラットバー5を挿通し両端が外枠1にネジ止めされたクロスバー3が、間接的に支える。
【0025】
なお、クロスバー3の固定方法としてはネジ止めに限られず、溶接、接着などの方法でもよい。
【0026】
外枠1の裏側に、クロスバー3を補強するL字鋼製の補強バーがクロスバー3と平行に2本溶接されている。これにより、複合グレーチングにかかる荷重をクロスバー3と補強バーで分担し、たわみを小さくする。
【0027】
なお、補強バーとしてはL字鋼に限られず、小型軽量でかつ丈夫であればZ字鋼など他の形鋼でもよい。補強バーの配置はクロスバー3と平行に限られず、クロスバー3を補強出来ればクロスバー3と直交、若しくは斜交してもよい。クロスバー3は2本に限られず、補強度合いにより他の本数でもよい。また、補強バーの固定方法としては溶接に限られず、接着などの方法でもよい。
【0028】
スペーサー6はフラットバー5の間隔を保持するもので、必ずしも鋼製のものでなくてもよく、強度があればプラスチック製でもよい。これにより、複合グレーチングの低コスト化、より一層の軽量化を図ることができる。
【0029】
このように、フラットバー5をアラミド繊維入り強化プラスチック製とすることにより、強度を維持しつつ耐切断性を確保し、軽量化を図ることができる。外枠1の裏側にL字鋼製の補強バーを溶接することで複合グレーチングのたわみを小さくする。また、スペーサー6をプラスチック製とすることで、複合グレーチングの低コスト化、より一層の軽量化を図ることができる。
【0030】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【実施例】
【0031】
図1〜4に係る、クロスバー3長手方向75cm、フラットバー5長手方向85cm、高さ4cmの複合グレーチングを試作した。複合グレーチング中央の載荷範囲(20cm×24cm)に24kNの荷重をかけても、たわみは1.2cmに止まり、ひび割れ等の異常は生じなかった。従来の鋼製グレーチングの重量が93kgであるのに対し、鋼製とアラミド繊維入り強化プラスチック製の複合グレーチングは、重量が35kgと約1/3に軽量化された。
【符号の説明】
【0032】
1 外枠
2 ナット
3 クロスバー
4 補強バー
5 フラットバー
6 スペーサー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製の外枠と、前記外枠内に複数平行に配置された繊維強化プラスチック製のフラットバーと、前記フラットバーの間に設置する複数の鋼製のスペーサーと、前記フラットバー及びスペーサーに挿通する複数の鋼製のクロスバーとを備え、
前記フラットバーには前記クロスバーを挿通するための通孔が所定間隔で設けられ、前記スペーサーには前記クロスバーを挿通するための通孔が設けられており、
前記クロスバーが前記フラットバー及びスペーサーに挿通され、前記クロスバーの両端が前記外枠に固定されていることを特徴とする複合グレーチング。
【請求項2】
鋼製の外枠と、前記外枠内に複数平行に配置された繊維強化プラスチック製のフラットバーと、前記フラットバーの間に設置する複数のプラスチック製のスペーサーと、前記フラットバー及びスペーサーに挿通する複数の鋼製のクロスバーとを備え、
前記フラットバーには前記クロスバーを挿通するための通孔が所定間隔で設けられ、前記スペーサーには前記クロスバーを挿通するための通孔が設けられており、
前記クロスバーが前記フラットバー及びスペーサーに挿通され、前記クロスバーの両端が前記外枠に固定されていることを特徴とする複合グレーチング。
【請求項3】
前記繊維強化プラスチックがアラミド繊維入り強化プラスチックであることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合グレーチング。
【請求項4】
前記外枠の裏側に、前記クロスバーを補強する鋼製の補強バーが固定されていることを特徴とする請求項1〜3に記載の複合グレーチング。


















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−149450(P2012−149450A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9346(P2011−9346)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000201490)前田工繊株式会社 (118)
【出願人】(000220642)東京電設サービス株式会社 (21)
【出願人】(511018033)株式会社総合物産 (1)
【Fターム(参考)】