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複合コード
説明

複合コード

【課題】成型時の伸張性と高温時の収縮性の双方を備えたゴム補強用コードを提供すること。
【解決手段】繊維のストランドを複数本撚った複合コードであって、該複合コードがパラ型芳香族ポリアミド長繊維と捲縮を有しないメタ型アラミド連続長繊維束が10〜30℃で延伸、牽切され、その牽切された繊維が交絡および/または捲回により結束されている、平均繊維長が30〜120cmである牽切糸条からなり、該複合コードが応力-伸び曲線の原点から変曲点に至る低弾性域と変曲点を超える高弾性域とを有し、かつ該変曲点が伸び10% 未満の範囲にあり、200℃での収縮応力が2cN/dtex以上である複合コード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムベルト、タイヤ等のゴム製品の補強用に用いる耐熱性、加硫時の伸長性に優れたパラ型芳香族ポリアミド繊維とメタ型芳香族ポリアミド繊維からなるゴム補強用に有用な複合コードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴムベルト、ゴムタイヤ等のゴム製品の強度、耐久性を向上させるために、補強用繊維をゴム内に埋め込むことが広く一般に行われている。従来、この補強用繊維として、ガラス繊維、ビニロン繊維に代表されるポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ナイロン、アラミド(芳香族ポリアミド)などのポリアミド繊維、カーボン繊維、ポリパラフェニレンベンゾオキザール繊維等が広く用いられている。これらの中でもガラス繊維及びアラミド繊維が好適であり、広く用いられている。これらの繊維は多くの利点を有し、例えば高機能タイヤの補強に活用されている。しかしながら、これらコードでは成型時の伸張によるゴム組成物成形性と、ゴム成形物使用時の収縮性を同時に満たすことができないなどの問題が生じる。
【0003】
かかる改善策として、例えば特許文献1、2には、パラ型芳香族ポリアミド繊維とナイロン繊維からなる複合コードを用いた低荷重領域で伸度を有するコードに関する技術が開示されているが、加硫時の伸張は得られるものの、高温時における収縮性が悪く、使用時の寸法安定性が保てないなどの問題がある。
また、特許文献3には、パラ型芳香族ポリアミド繊維とメタ型芳香族ポリアミド繊維からなる複合コードを用いたゴム補強用コードに関する技術が開示されているが、連続長繊維を用いることができず、コード強力が弱く、高温時の収縮応力が発現しないなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4021702号公報
【特許文献2】特許2757940号公報
【特許文献3】特許4546484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、成型時の伸張性と高温時の収縮性の双方を備えたゴム補強用複合コードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ゴム補強コードとしてパラ型芳香族ポリアミド長繊維と捲縮を有しないメタ型アラミド連続長繊維束が10〜30℃で延伸、牽切され、その牽切された繊維が交絡および/または捲回により結束されている、平均繊維長が30〜120cmである牽切糸条を用いた複合コードを用いることにより、応力-伸び曲線の変曲点が伸び10% 未満の範囲にあり、且つ200℃で2cN/dtex以上の収縮応力の双方を兼ね備えたゴム補強用の複合コードが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0007】
本発明のパラ型芳香族ポリアミド長繊維と捲縮を有しないメタ型アラミド連続長繊維束が10〜30℃で延伸、牽切され、その牽切された繊維が交絡および/または捲回により結束されている、平均繊維長が30〜120cmである牽切糸条の複合コードであり、この複合コードを使用することにより、ゴム複合体発熱時に、パラ型芳香族ポリアミドの寸法安定性とメタ型芳香族ポリアミド牽切加工糸の熱収縮応力とにより、ゴム複合体の変形を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明においては、パラ型芳香族ポリアミド長繊維および捲縮を有しないメタ型アラミド連続長繊維束が10〜30℃で延伸、牽切され、その牽切された繊維が交絡および/または捲回により結束されている、平均繊維長が30〜120cmである牽切糸条を用いて複合コードとすることが重要である。複合コードの作製方法として、撚糸、カバリングによる芯鞘加工などが挙げられるが、撚糸を用いることで加工性が良好となり好ましい。パラ型、メタ型芳香族ポリアミドをそれぞれ単独で用いた場合には加硫時の成型性や寸法安定性、熱収縮特性が低下する。
【0009】
本発明においては、捲縮を有しないメタ型アラミド連続長繊維束が10〜30℃で延伸、牽切され、その牽切された繊維が交絡および/または捲回により結束されていることが重要であり、延伸、牽切時の温度は10〜30℃、好ましくは15℃〜25℃である。延伸、牽切時の温度が10℃未満では延伸時の断糸が多発し好ましくない。一方、30℃を超えると収縮応力が発現しないため好ましくない。
【0010】
メタ型アラミド牽切糸の平均繊維長は、30〜120cmであり、好ましくは40〜100cm、さらに好ましくは50〜80cmである。平均繊維長が30cm未満では牽切糸が短く、収縮応力が発現しないため好ましくない。一方、平均繊維長が120cmを超えると延伸が不足し収縮応力が発現しないため好ましくない。
【0011】
本発明においては、パラ型芳香族ポリアミドとメタ型芳香族ポリアミド繊維が撚糸されていることが重要であり、撚り数は好ましくは下撚り5〜50t/25mm、上撚り5〜50t/25mmの範囲であり、より好ましくは下撚り10〜40t/25mm、上撚り10〜40t/25mmの範囲である。撚り数が5t/25mm未満ではパラ型芳香族ポリアミド繊維とメタ型芳香族ポリアミド繊維が密接せず複合コードの効果が発現しないため好ましくない。一方、撚り数50t/25mmを超えると撚糸中に単糸切れが生じ、複合コードの機械物性が低下するため好ましくない。
【0012】
本発明における複合コード中のパラ型芳香族ポリアミド繊維とメタ型芳香族ポリアミド繊維の比率は1/9〜9/1が好ましく、より好ましくは3/7〜7/3、さらに好ましくは4/6〜6/4である。複合コード中のパラ型芳香族ポリアミド繊維の比率が10%未満では複合コードの応力-伸び曲線の変曲点が10%を超えるため好ましくない。また、複合コード中のメタ型芳香族ポリアミド繊維の比率が10%未満では収縮応力が得られず好ましくない。
【0013】
本発明で用いられる複合コードの繊度は、1,000〜5,000dtexが好ましく、より好ましくは1,200〜4,500dtex、さらに好ましくは1,500〜4,000dtexである。複合コードの繊度が1,000dtex未満では機械物性が低下し十分な収縮応力がえられず好ましくない。一方、複合コードの繊度が5,000dtexを超えると応力-伸び曲線の変曲点が伸度10%以上となり好ましくない。
【0014】
なお、本発明で用いられるパラ型芳香族ポリアミド長繊維としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド長繊維、コポリパラフェニレン・3,4‘−オキシジフェニレン・テレフタルアミド長繊維が例示できる。また、メタ型芳香族ポリアミド牽切糸としては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド牽切糸が例示できる。
【0015】
メタ型芳香族ポリアミド牽切糸は、メタ型芳香族ポリアミド長繊維を公知の方法により、連続長繊維束をニップローラー間で連続長繊維束の切断伸度以上に延伸させ牽切し、引続き該牽切された繊維を抱合空気ノズルにより短繊維間に交絡およびまたは牽切繊維端部の捲回による結束が付与され牽切糸条が得られる。
【0016】
本発明のゴム補強用の複合コードは、パラ型芳香族ポリアミド繊維とメタ型芳香族ポリアミド繊維を、公知の方法によりひき揃えながら合撚することにより得られる。得られた複合コードを公知の方法によりRFL処理を行うことにより、応力-伸び曲線の原点から変曲点に至る低弾性域と変曲を超える高弾性率を有するタイヤ、ベルト、ホースなどの補強に適した複合コードが得られる。
すなわち、本発明のゴム補強用複合コードは、応力-伸び曲線の変曲点が伸び10% 未満の範囲にあり且つ200℃で2cN/dtex以上の収縮応力の双方を兼ね備えている。
【実施例】
【0017】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各物性は下記方法により求めたものである。
(1)応力-伸び曲線、変曲点
引張試験機(オリエンテック社製、商品名:テンシロン万能試験機、型式:RTC−1210A)を用いて、ASTM D885の手順に基づき、糸試験用チャックを用いて、以下の条件の引張試験を行い、応力-伸び曲線、変曲点をそれぞれ測定した。
(測定条件)
温度 :室温
測定試料長 :500mm
チャック引張速度 :250mm/min
初荷重 :0.2cN/dtex
チャック間距離 :500mm
試験スタート法 :スラックスタート法
(2)収縮応力
複合コード0.2mを採取し、コード100dtexあたり10gの荷重となるよう負荷をかけ、クリープテスターで200℃における応力を測定した。
【0018】
[実施例1]
パラ型芳香族ポリアミド長繊維束として下撚り数30t/mmのコポリパラフェニレン・3,4‘−オキシジフェニレン・テレフタルアミド長繊維と、メタ型芳香族ポリアミド連続長繊維束として下撚り数30t/mmの20℃で延伸、牽切、交絡処理したポリメタフェニレンイソフタルアミド牽切糸を6/4の比率で撚り合わせ、上撚り数40t/mm、繊度3,300dtexの複合コードを得た。得られたコードの応力-伸び曲線の変曲点、200℃での収縮応力を測定した結果を表1に示す。
【0019】
[実施例2]
コポリパラフェニレン・3,4‘−オキシジフェニレン・テレフタルアミド長繊維の代わりに、ポリパラフェニレンテレフタルアミド長繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして、複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0020】
[比較例1]
ポリメタフェニレンイソフタルアミド牽切糸の平均繊維長を20cmにした以外は、実施例1と同様にして複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0021】
[比較例2]
ポリメタフェニレンイソフタルアミド牽切糸の平均繊維長を150cmにした以外は、実施例1と同様にして複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0022】
[比較例3]
ポリメタフェニレンイソフタルアミド牽切糸の代わりに、ポリメタフェニレンイソフタルアミド長繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0023】
[比較例4]
ポリメタフェニレンイソフタルアミド長繊維を5℃で延伸、牽切したが、断糸によりポリメタフェニレンイソフタルアミド牽切糸は得られなかった。
【0024】
[比較例5]
ポリメタフェニレンイソフタルアミド長繊維を40℃で延伸、牽切した以外は、実施例1と同様にして複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0025】
[比較例6]
上撚り数を4t/25mmにした以外は、実施例1と同様にして複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0026】
[比較例7]
上撚り数を55t/25mmにした以外は、実施例1と同様にして複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0027】
[比較例8]
下撚り数を4t/25mmにした以外は、実施例1と同様にして複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0028】
[比較例9]
下撚り数を55t/25mmにした以外は、実施例1と同様にして複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0029】
[比較例10]
複合コードの繊度800dtexにした以外は、実施例1と同様にして複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0030】
[比較例11]
複合コードの繊度5,500dtexにした以外は、実施例1と同様にして複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0031】
[比較例12]
複合コード中のコポリパラフェニレン・3,4‘−オキシジフェニレン・テレフタルアミド長繊維の比率を8%にした以外は、実施例1と同様にして複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0032】
[比較例13]
複合コード中のポリメタフェニレンイソフタルアミド長繊維の比率を8%にした以外は、実施例1と同様にして複合コードを得た。測定結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のゴム補強用の複合コードを用いることにより、応力-伸び曲線の変曲点が伸び10% 未満の範囲にあり、且つ200℃での収縮応力が2cN/dtex以上である収縮性の双方を兼ね備えた、ゴム複合体成形性に優れ且つ、ゴム複合体使用中の発熱による変形を抑制することが可能となり、タイヤ、ゴムベルトなどのゴム補強用のコードとして有用である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維のストランドを複数本撚った複合コードであって、該複合コードがパラ型芳香族ポリアミド長繊維と捲縮を有しないメタ型アラミド連続長繊維束が10〜30℃で延伸、牽切され、その牽切された繊維が交絡および/または捲回により結束されている、平均繊維長が30〜120cmである牽切糸条からなり、該複合コードが応力-伸び曲線の原点から変曲点に至る低弾性域と変曲点を超える高弾性域とを有し、かつ該変曲点が伸び10% 未満の範囲にあり、200℃での収縮応力が2cN/dtex以上であることを特徴とする複合コード。
【請求項2】
下撚り数が5〜50t/25mm、上撚り数が5〜50t/25mmの範囲で撚糸されている、請求項1記載の複合コード
【請求項3】
繊度が1,000〜5,000dtexの範囲であり、かつパラ型芳香族ポリアミド繊維とメタ型芳香族ポリアミド繊維が1/9〜9/1の比率で撚り合わされている、請求項1または2記載の複合コード
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の複合コードによって補強されたゴム補強物

【公開番号】特開2012−229503(P2012−229503A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97932(P2011−97932)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Fターム(参考)】