説明

複合シート、複合シートの製造方法、電子部品、および電子機器

【課題】ハンドリング性や強度に優れ、大がかりな設備を必要とせずに製造できる複合シートを提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層2と、前記樹脂層2の少なくとも一方の主面に密着形成された繊維基材を有する繊維基材層3とを有する複合シート1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドリング性および強度に優れ、大がかりな設備を必要とせずに製造できる複合シートとその製造方法、ならびに該複合シートを用いた電子部品および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品分野に使用する接着シートとして、エポキシ樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物からなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、従来の接着シートは、必ずしもハンドリング性や強度に優れず、接着領域への該接着シートの埋め込み性も優れない。また、従来の接着シートが接着された電子部品を加工する場合、該接着シートに剥離が発生することがあり、接着力の高い接着シートが求められている。
【0003】
一方、接着シートとして、繊維基材と熱硬化性樹脂組成物とからなるプリプレグ、例えばガラスエポキシプリプレグも使用されている(例えば、特許文献2参照)。プリプレグは、ハンドリング性や強度は比較的良好であるが、必ずしも接着領域への埋め込み性に優れず、使用できる電子部品も限られる。また、プリプレグの製造には、一般に専用の大型の塗工機が必要となり、また有機溶剤等も必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−60720号公報
【特許文献2】特開平2−102281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、電子部品を製造するために電子部品素体に接着して絶縁等に好適に用いられる接着シートとなるものであって、ハンドリング性や強度に優れ、大がかりな設備を必要とせずに製造することができる複合シートを提供することを目的とする。また、本発明は、上記した複合シートの製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記した複合シートを有し、加工時、特に切断時の該複合シートの剥離やクラックの発生が抑制された電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の複合シートは、熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の主面に密着形成された繊維基材を有する繊維基材層とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の複合シートの製造方法は、熱硬化性樹脂組成物の構成成分を50〜110℃の温度で混練して混練物を得る工程と、前記混練物を繊維基材の片面に供給し、または前記混練物を1対の繊維基材間に供給した後、前記混練物を前記繊維基材に押圧することによりシート状に一体に成形して複合シートを得る工程とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の電子部品は、電子部品素体と、前記電子部品素体の少なくとも一部の表面上に配置され、前記表面を絶縁する上記した本発明の複合シートとを有することを特徴とする。また、本発明の電子機器は、電子部品と、前記電子部品を封止する上記した本発明の複合シートとを有することを特徴とする
【発明の効果】
【0009】
本発明の複合シートによれば、樹脂層の少なくとも一方の主面に繊維基材層が密着形成されていることから、ハンドリング性や強度に優れ、大がかりな設備を必要とせずに製造することができる。また、電子部品や電子機器に適用した場合、その加工時、特に切断時の剥離やクラックの発生を抑制できる。これにより、電子部品や電子機器の製造における歩留まりの向上に貢献できる。
【0010】
本発明の複合シートの製造方法によれば、上記した本発明の複合シートを効率的に製造することができる。また、本発明の電子部品や電子機器によれば、上記した本発明の複合シートを用いることで、電子部品や電子機器の製造時の歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】複合シートの第1の実施形態の概略構成を示す断面図。
【図2】複合シートの第2の実施形態の概略構成を示す断面図。
【図3】従来のプリプレグの概略構成を示す断面図。
【図4】複合シートの製造方法の第1の実施形態を説明する説明図。
【図5】複合シートの製造方法の第2の実施形態を説明する説明図。
【図6】複合シートの製造方法の第3の実施形態を説明する説明図。
【図7】複合シートの製造方法の第4の実施形態を説明する説明図。
【図8】複合シートが適用される電子部品素体の一例を示す断面図。
【図9】複合シートが適用された電子部品の一例を示す断面図。
【図10】複合シートが適用された電子部品の他の例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の複合シートは、熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と、この樹脂層の少なくとも一方の主面に密着形成された繊維基材を有する繊維基材層とを有することを特徴とする。なお、以下では熱硬化性樹脂組成物を単に樹脂と記す場合がある。
【0013】
図1は、複合シートの第1の実施形態の概略構成を示す断面図であり、図2は、複合シートの第2の実施形態の概略構成を示す断面図である。なお、図3は、従来のプリプレグの概略構成を示す断面図である。
【0014】
複合シート1は、例えば図1(a)または図2(a)に示すように、熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層2の一方または両方の主面に繊維基材を有する繊維基材層3が密着形成されている。複合シート1の両主面には、例えばポリエチレンテレフタレート等からなる離型フィルム4が設けられている。この離型フィルム4は使用時に剥がされ、複合シート1は、例えば図1(b)または図2(b)に示す状態で電子部品を製造するために電子部品素体に接着して用いられる。
【0015】
本発明の複合シート1は、樹脂層2の少なくとも一方の主面に繊維基材層3が密着形成されている。このような複合シート1によれば、樹脂層2の主面に繊維基材層3が密着形成されているために、ハンドリング性や強度に優れるとともに、大がかりな設備を必要とせずに、また煩雑な工程を経ることなく製造できる。また、電子部品素体に接着して電子部品の製造に用いた場合、電子部品への加工時、特に切断時の剥離やクラックの発生を抑制でき、電子部品の歩留まりを向上できる。
【0016】
図3は、従来のプリプレグ50を示す断面図である。従来のプリプレグ50は、繊維基材51を有し、この繊維基材51に熱硬化性樹脂組成物52が含浸された構成となっている。従来のプリプレグ50は、繊維基材51に熱硬化性樹脂組成物52を含浸させるために含浸槽等の大がかりな設備が必要となり、また有機溶剤等も必要となる。本発明の複合シート1によれば、樹脂層2の主面に繊維基材層3が密着形成された構造とすることで、後述するように、熱硬化性樹脂組成物をシート状に成形したシート状樹脂組成物の表面に繊維基材を供給して押圧することにより、または繊維基材の表面に熱硬化性樹脂組成物の溶融物を供給して押圧することにより製造でき、大がかりな設備を必要とせずに、また煩雑な工程を経ることなく製造できる。
【0017】
複合シート1における樹脂分の割合は65〜93体積%が好ましい。樹脂分の割合を65〜93体積%とすることで、複合シート1の接着力を十分とするとともに、複合シート1からの樹脂の滲みや、複合シート1の硬化時の反りを抑制でき、耐剥離性や耐クラック性も良好にできる。
【0018】
すなわち、樹脂分の割合が65体積%未満の場合、樹脂分の割合が少ないために、封止や絶縁が行われる接着領域、例えば電極間の凹部等への複合シート1の埋め込み性が不十分となるおそれがあり、電子部品への加工時、特に切断時の剥離やクラックの発生を十分に抑制できないおそれがある。一方、樹脂分の割合が93体積%を超える場合、繊維基材の表面に付着した熱硬化性樹脂組成物が多く、樹脂の流出が多くなるために、接着領域以外への滲みが多くなり、また複合シート1にクラックが発生しやすくなる。
【0019】
なお、樹脂分の割合とは、複合シート1の全体における熱硬化性樹脂組成物の体積での割合を意味する。樹脂分の割合[体積%]は、以下の式より求めることができる。
樹脂分の割合[体積%]
={(複合シートの厚さ[μm]−繊維基材の質量[g/m2]/繊維の比重[g/cm3])
/複合シートの厚さ[μm]}×100
例えば、複合シート1が繊維基材として1枚のガラスクロスを有するものであって、複合シート1の厚さが160[μm]、ガラスクロスの質量が48[g/m]、ガラスの比重が2.54[g/cm]の場合、以下のようにして求められる。
樹脂分の割合[体積%]
={(160[μm]−48[g/m2]/2.54[g/cm3])/160[μm]}×100
=88
【0020】
樹脂層2の厚みは、30〜500μmが好ましい。厚みが30μm未満の場合、例えば樹脂層2を形成するために用いられるシート状樹脂組成物の単体でのハンドリング性に優れない。また、電子部品素体に複合シート1を接着して電子部品を製造する場合、電子部品の加工時、特に切断時に、電子部品から複合シート1が剥離するおそれがある。一方、500μmを超える場合、樹脂層2にクラックが発生しやすく、また電子部品の薄型化も難しくなる。
【0021】
繊維基材層3の厚みは、30〜180μmが好ましい。30μm未満の場合、繊維基材層3の形成に用いられる繊維基材の単体でのハンドリング性に優れない。一方、180μmを超える場合、繊維基材の全体に樹脂を含浸させることが難しい。
【0022】
複合シート1の厚みは、樹脂層2や繊維基材層3の厚み、さらには複合シート1の用途に応じて適宜厚みを選択できるが、通常100〜500μmが好ましい。
【0023】
また、樹脂層2を構成する熱硬化性樹脂組成物の常温(25℃)での可塑度は60〜90が好ましい。可塑度が60未満の場合、熱硬化性樹脂組成物の流れ出しを抑制できず、接着領域外への滲みが多くなり、外観不良や接着領域周辺の汚染に繋がる。また、可塑度が90未満を超える場合、接着領域におけるボイドが増加し、接着不良や充填不良が発生するおそれがある。なお、本明細書における可塑度は、JIS K6249に準拠した方法に基づき、平行板可塑度計により測定される。
【0024】
繊維基材層3は、樹脂層2の少なくとも一方の主面に密着形成される。繊維基材層3を構成する繊維基材には、その空隙の少なくとも一部に樹脂層2を構成する熱硬化性樹脂組成物が含浸されていることが好ましく、特に空隙の全体に樹脂層2を構成する熱硬化性樹脂組成物が含浸されていることが好ましい。すなわち、繊維基材層3を構成する繊維基材は、樹脂層2の表面部分に埋設されるように配置されていることが好ましい。
【0025】
繊維基材は、織布であってもよく、不織布であってもよく、任意の繊維基材とすることができる。また、その構成材料についても、特に限定されず、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維等とすることができ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0026】
繊維基材は、ガラスクロスやガラスペーパが好ましく、とりわけガラスクロスが好ましい。ガラスクロスの種類は、特に限定されないが、IPC−EG−140に規定される平織りEガラスクロス等が好ましく、1078タイプ、1080タイプ、1037タイプ、1084タイプ、2110タイプ、7628タイプといった30〜180μmの厚さのものが特に好ましい。
【0027】
樹脂層2は、熱硬化性樹脂組成物からなるものである。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0028】
熱硬化性樹脂組成物としては、特にエポキシ樹脂組成物が好ましく、(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂、(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、および(D)無機フィラーを必須成分とするものが好ましい。ここで、(A)/(B)質量比は10/90〜25/75が好ましく、熱硬化性樹脂組成物の全体における(D)成分の割合は10〜50質量%が好ましい。
【0029】
(A)成分の液状ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状のビスフェノール型化合物であればよく、特に制限はないが、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型が好適である。このうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましく用いられ、その具体例として、ダウケミカル社製の「DER383J」、三菱化学社製の「エピコート828」(エポキシ当量190)、三井化学社製の「R140P」(エポキシ当量188)等が挙げられる。なお、本発明において、液状ビスフェノール型エポキシ樹脂とは、25℃において液状を呈するビスフェノール型エポキシ樹脂を指す。
【0030】
(B)成分の軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂としては、例えば下記式(1)で表されるビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂の混合物が挙げられる。下記式(1)中、mは1〜4の整数を示す。
【0031】
【化1】

【0032】
さらに、下記式(2)で表されるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の混合物等が挙げられる。下記式(2)中、nは1〜10の整数を示す。
【0033】
【化2】

【0034】
なお、これらの固形状多官能エポキシ樹脂の軟化点は、下記の方法で測定した値である。
<軟化点の測定>
JISK2207に基づいて、規定の環に試料を充填し、水浴またはグリセリン浴中で水平に支え、試料の中央に規定の球を置いて浴温を毎分5℃の速さで上昇させ、球を包み込んだ試料が環台の底板に接触した時に読み取った温度である。
【0035】
当該軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂の市販品としては、日本化薬社製の「NC3000(軟化点57℃)」、「NC3000H(軟化点70℃)」などが好ましく使用される。
【0036】
(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂と(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂とを併用することで、すなわち融点の異なる2種類のエポキシ樹脂を配合することで、室温で固形状、高温で液状の挙動を示す熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0037】
(A)/(B)質量比は10/90〜25/75の範囲にあることが好ましい。(A)成分の液状ビスフェノール型エポキシ樹脂が上記範囲より少ない場合、または(B)成分の固形状多官能エポキシ樹脂の軟化点が70℃を超える場合、電子部品の加工時、特に切断時の耐クラック性が十分でなくなるおそれがある。また、(A)成分の液状ビスフェノール型エポキシ樹脂が上記範囲より多い場合、または(B)成分の固形状多官能エポキシ樹脂の軟化点が低すぎる場合、耐剥離性、耐クラック性は良好となるが、作業性が十分でなくなるおそれがある。このような観点から、(A)/(B)質量比は15/85〜20/80の範囲にあることがより好ましく、また(B)成分の固形状多官能エポキシ樹脂の軟化点の下限は通常40℃程度が好ましい。
【0038】
(C)成分として用いられるエポキシ樹脂用硬化剤としては、特に制限はなく、従来エポキシ樹脂の硬化剤として使用されているものの中から任意のものを適宜選択して用いることができ、例えばアミン系、フェノール系、酸無水物系などが挙げられる。アミン系硬化剤としては、例えばジシアンジアミドや、m−フェニレンジアミンなどの芳香族ジアミン等が好ましく挙げられる。
【0039】
上記した熱硬化性樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、かつ必要に応じて、エポキシ樹脂用硬化促進剤を含有させることができる。このエポキシ樹脂用硬化促進剤としては、特に制限はなく、従来エポキシ樹脂の硬化促進剤として使用されているものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、芳香族ジメチルウレア、脂肪族ジメチルウレア等のウレア類などを例示することができる。
【0040】
(D)成分の無機フィラーとしては特に制限はなく、例えば溶融シリカ、球状シリカなどのシリカ類、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物など、通常用いられているものを使用することができる。当該無機フィラーの質量平均粒子径は、製造時の作業性および充填効率の観点から、1〜30μmの範囲にあることが好ましい。なお、この質量平均粒子径は、レーザ回折散乱方式(例えば、島津製作所製、装置名:SALD−3100)により測定された値である。
【0041】
当該無機フィラーとしては、水酸化アルミニウムや球状シリカが好ましく、例えば前者の場合は、昭和電工社製の「H42M」が、後者では電気化学工業社製の「FB−959(質量平均粒子径:25μm)」などが好適である。とりわけ前者の場合は難燃剤としても兼用できる点から好ましい。
【0042】
当該無機フィラーの含有量は、熱硬化性樹脂組成物全量中、10〜50質量%が好ましい。無機フィラーの含有量が10質量%未満では、溶融時の流動性が高くなって接着領域からはみ出したり、複合シート1の硬化時に反りやねじれが発生しやすい。一方、50質量%を超えると、溶融時の流動性が低下し、接着領域に未充填箇所が発生するおそれがある。
【0043】
熱硬化性樹脂組成物には、充填性の観点から、必要に応じてカップリング剤を含有させることができる。カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミニウム系等が挙げられるが、これらの中でシラン系カップリング剤が好ましい。シランカップリング剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全量に基づき、0.03〜5.0質量%程度、好ましくは0.1〜2.5質量%である。
【0044】
また、熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて難燃剤を含有させることができる。難燃剤としては特に制限はなく、例えばリン化合物や、金属水和物等を用いることができる。リン化合物としては、例えば(a)ホスファゼン化合物、(b)9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドや、その誘導体、(c)リン酸エステル化合物、(d)リン酸エステルアミド等がある。
【0045】
上記(a)のホスファゼン化合物としては、実質的にハロゲンを含まないものであって、耐熱性、耐湿性、難燃性、耐薬品性等の点から、融点が80℃以上であるホスファゼン化合物が好ましく用いられる。具体的な例としては、下記一般式(3)で表されるシクロホスファゼンオリゴマーを挙げることができる。
【0046】
【化3】

【0047】
上記一般式(3)において、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはハロゲンを含まない有機基を示し、kは3〜10の整数を示す。上記一般式(3)において、R、Rのうちのハロゲンを含まない有機基としては、例えば炭素数1〜10のアルコキシル基、フェノキシ基、アミノ基、アリル基等が挙げられる。このようなホスファゼン化合物としては、例えば大塚化学社製の「SPB−100」等が挙げられる。
【0048】
上記(b)9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドは、式(4)で表される構造を有している。
【0049】
【化4】

【0050】
また、その誘導体としては、例えば式(5)で表される(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等を挙げることができる。
【0051】
【化5】

【0052】
なお、上記式(4)で表される化合物は、「SANKO−HCA」[三光(株)製、商品名]として、また、上記式(5)で表される化合物は、「SANKO HCA−HQ」[三光(株)製、商品名]として、入手することができる。さらに、誘導体として、SANKO M−Acid−AH」[三光(株)製、商品名]が市販されている。
【0053】
上記(c)のリン酸エステル化合物としては、例えばトリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等の添加型のリン酸エステル、あるいはレゾルシン等の多価フェノールとフェノール、クレゾール等の1価フェノールを用いてエステル化され、かつ該多価フェノールのうちの少なくとも1個の水酸基が反応性遊離基として残される反応型のリン酸エステル「RDP」[味の素ファインテクノ社製、商品名]等、さらには反応型のリン酸エステルにおける遊離水酸基がエステル化されてなる縮合型リン酸エステル「PX−200」[大八化学工業社製、商品名]等が挙げられる。
【0054】
さらに、上記(d)のリン酸エステルアミドとしては、リン酸エステルおよびリン酸アミドの結合様式を含み、特開2001−139823号公報、特開2000−154277号公報、特開平10−175985号公報、特開平8−59888号公報、特開昭63−235363号公報に記載のリン酸エステルアミド等が使用できる。好ましいリン酸エステルアミドとして、縮合リン酸エステルアミド類が挙げられる。
【0055】
一方、金属水和物の種類としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが用いられ、水酸化アルミニウム化合物としては例えば、昭和電工社製の「H42M」が好ましく使用される。
【0056】
難燃剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量は、難燃剤の種類にもよるが、難燃性および他の物性のバランスの面から、樹脂組成物全量に基づき、5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは、10〜40質量%、さらに好ましくは10〜35質量%である。
【0057】
熱硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、シリコーンゴムやシリコーンゲル等の粉末、シリコーン変性エポキシ樹脂やフェノール樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体のような熱可塑性樹脂等の低応力化剤;n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジエポキシド、フェノール、クレゾール、t−ブチルフェノール等の粘度降下用希釈剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーンオイル等の濡れ向上剤や消泡剤等を適宜含有させることができる。
【0058】
熱硬化性樹脂組成物の調製方法は、特に制限はないが、例えば下記のように調製することができる。まず、上記した(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂、(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、および(D)無機フィラーからなる必須成分、その他に必要に応じて添加される各種任意成分を高速混合機などにより、均一に混合したのち、ニーダー、二本ロール、連続混練装置などで十分混練する。混練温度としては50〜110℃程度が好ましい。
【0059】
このようにして得られた混練物は冷却後、粉砕を行い塊状樹脂とする。なお、樹脂層2の形成にシート状樹脂組成物を用いる場合、成形機にて50〜100℃程度の温度、圧力0.5〜1.5MPaの条件でプレスして混練物をシート状に成形する。
【0060】
複合シート1は、例えば、熱硬化性樹脂組成物の構成成分を50〜110℃の温度で混練して混練物を得る工程と、混練物を繊維基材の片面に供給し、または混練物を1対の繊維基材間に供給した後、混練物を繊維基材に押圧することによりシート状に一体に成形する工程と経て製造することができる。
【0061】
このような製造方法によれば、樹脂層2の主面に繊維基材層3が密着形成された複合シート1を簡易的に製造できる。なお、このような製造方法において、混練物や繊維基材とともに、これらの片側または両側に離型フィルム4を供給することで、離型フィルム4を有する複合シート1を製造できる。
【0062】
混練物の供給形態は、特に制限されず、塊状、シート状、溶融状とすることができる。また、混練物と繊維基材との成形は、バッチ方式により行ってもよいし、熱プレスや加圧ロール等を用いて連続的に行ってもよい。
【0063】
複合シート1の製造は、特に、混練物を繊維基材の片面に供給し、または混練物を1対の繊維基材間に供給した後、これらを1対の加圧ロール間に通過させてシート状に一体に成形する方法が好ましい。1対の加圧ロールは、その間隙寸法を調整できるものが好ましく、例えば、直径が20〜60mm、間隙寸法が5〜500μm程度のものが好ましい。また、一体化のための成形は、温度範囲30〜180℃で、加圧ロールを0.1〜5m/分の速度で通過させることが好ましい。このような温度および通過速度とすることにより、良好な複合シート1が得られる。
【0064】
図4は、複合シート1の製造装置および製造方法を示す第1の実施形態を示す概略構成図である。製造装置10は、例えば、樹脂層2となる熱硬化性樹脂組成物5を塊状のものから溶融状にして供給する供給装置11、繊維基材6が巻回されるとともに該繊維基材6を供給する基材用ロール12、離型フィルム4が巻回されるとともに該離型フィルム4を供給する1対の離型フィルム用ロール13、繊維基材6や離型フィルム4を案内する1対の案内ロール14、繊維基材6や離型フィルム4を加圧する1対の加圧ロール15等を有する。
【0065】
供給装置11、基材用ロール12、離型フィルム用ロール13は、複合シート1の積層構造に対応して配置される。例えば、図4に示すように、1対の案内ロール14のうち一方の案内ロール14(右側の案内ロール14)の外周の一部に繊維基材6および一方の離型フィルム4を巻き付けるように、他方の案内ロール14の外周の一部に他方の離型フィルム4を巻き付けるように配置する。このような配置とすることで、繊維基材6と他方の離型フィルム4との間に熱硬化性樹脂組成物5を供給するための僅かな隙間を形成できる。
【0066】
この製造装置10では、1対の案内ロール14の間に、1対の離型フィルム用ロール13から1対の離型フィルム4を連続して供給するとともに、これらの間に基材用ロール12から繊維基材6を連続して供給する。また、繊維基材6と一方の離型フィルム4との間に、供給装置11から塊状のものを溶融状にした熱硬化性樹脂組成物5を供給する。さらに、これらの供給物を1対の加圧ロール15間に通過させる。
【0067】
このようにすることで、熱硬化性樹脂組成物5の主面に繊維基材6が埋設され、または繊維基材6に熱硬化性樹脂組成物5が含浸されるとともに、最外層に離型フィルム4が設けられた複合シート1を製造することができる。特に、1対の加圧ロール15を間隙寸法の調整が可能なものとし、これらの間隙に複合シート1の構成材料を通過させることで、熱硬化性樹脂組成物5への繊維基材6の埋設度または繊維基材6への熱硬化性樹脂組成物5の含浸度の調整が可能となるとともに、複合シート1の全体の厚みの調整も可能となる。
【0068】
図5は、複合シート1の製造装置および製造方法を示す第2の実施形態を示す概略構成図である。この製造装置10は、図4に示す製造装置10にさらに基材用ロール12を追加し、1対の基材用ロール12を設けたものである。1対の基材用ロール12は、1対の案内ロール14の外周の一部にそれぞれの繊維基材6を巻き付けるように配置される。
【0069】
この製造装置10では、1対の案内ロール14の間に、1対の離型フィルム用ロール13から1対の離型フィルム4を連続して供給するとともに、これらの間に1対の基材用ロール12から1対の繊維基材6を連続して供給する。このようにすることで、樹脂層2の両主面に1対の繊維基材6を有する複合シート1を製造することができる。
【0070】
図6は、複合シート1の製造装置および製造方法を示す第3の実施形態を示す概略構成図である。この製造装置10は図4に示す製造装置10と基本的な構成は同様であるが、供給装置11の代わりに熱硬化性樹脂組成物をシート状に成形したシート状樹脂組成物7の単体が巻回されるとともに該シート状樹脂組成物7を供給するシート用ロール16を有する点が異なる。このように、複合シート1は予め熱硬化性樹脂組成物をシート状に成形したシート状樹脂組成物7を供給して製造してもよい。
【0071】
図7は、複合シート1の製造装置および製造方法を示す第4の実施形態を示す概略構成図である。この製造装置10は、図6に示す製造装置10にさらに基材用ロール12を追加し、1対の基材用ロール12を設けたものである。このようにすることで、樹脂層2の両主面に1対の繊維基材6を有する複合シート1を製造することができる。
【0072】
以上、加圧ロール15を用いて連続的に複合シート1を製造する方法について説明したが、複合シート1は、その構成材料を所定の順序で積層し、成形機にて50〜100℃程度の温度、圧力0.5〜1.5MPaの条件でプレスすることにより製造してもよい。
【0073】
次に、複合シート1を用いた電子部品、電子機器について図面を用いて説明する。
複合シート1は、例えば、電子部品素体の表面に接着し、該表面を絶縁して電子部品の製造に用いられる。また、複合シート1は、例えば、電子部品に被せ、該電子部品を封止して電子機器の製造に用いられる。電子部品としては、特に制限されないが、例えば、半導体素子、抵抗器、ダイオード、コンデンサーが挙げられる。また、電子部品としては、弾性表面波装置(SAWデバイス)、水晶デバイス、高周波デバイス、加速度センサー等の中空デバイスが挙げられる。なお、複合シート1は、上記した絶縁、封止の他、例えば電子部品の固定等にも好適に用いることができる。
【0074】
図8に、電子部品の製造に用いられる電子部品素体の一例を示す。電子部品素体21は、例えば、素体本体22と、この素体本体22の表面に互いに分離して設けられる2つの外部接続用電極23とを有する。例えば、2つの外部接続用電極23の電極間距離は2.0mmであり、電極高さは0.3mmである。複合シート1は、例えば2つの外部接続用電極23の間の絶縁に用いられる。複合シート1による絶縁は、例えば以下のようにして行うことができる。
【0075】
すなわち、2つの外部接続用電極23間に複合シート1を被せる。その後、80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃の温度に加熱して、複合シート1の樹脂分を流動化させる。さらに、100〜180℃の温度で0.5〜2時間程度加熱して、流動化した樹脂分を硬化させる。このようにすることで、図9、10に示すように、複合シート1の硬化物によって外部接続用電極23の間を適切に被覆して電子部品24を得ることができる。複合シート1によれば、繊維基材層3を有することから、特に図10に示すような表面の平坦なものを得やすい。
【実施例】
【0076】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、各例における諸特性は、以下に示す方法に従って求めた。
【0077】
(1)ハンドリング性
実施例の複合シート、比較例のプリプレグ等について、以下の基準で評価を行った。
○:室温での取り扱い時、割れ欠けが発生せず、またべたつかないこと。
△:室温での取り扱い時、割れまたは欠けが発生、または腰がなく取り扱いづらい。
×:液状もしくは高粘度液体となり、シート状をなさない。
【0078】
(2)可塑度
実施例の複合シートの製造に用いられる熱硬化性樹脂組成物、比較例のプリプレグ等の製造に用いられる樹脂について、JIS K6249に準拠した方法に基づいて、平行板可塑度計により測定した。サンプル形状は直径10mm、厚さ1.0mm、測定条件は室温25℃、加重400g、加圧時間1時間である。
【0079】
(3)断面形状
電子部品素体の接着領域に形成された接着物(実施例の複合シートの硬化物、比較例のプリプレグ等からなる硬化物)の断面形状(例えば、図9、10に示すような断面形状)を以下の基準で評価した。
○:接着物が接着領域を完全に被覆し、かつ電極高さ以下であるもの。
△:接着領域に未被覆部分がある、または被覆されているが電極高さを越えるもの。
×:接着物が電極部に染み出し、または周辺部が汚染されているもの。
【0080】
(4)切断時の耐クラック性
電子部品素体の接着領域に形成された接着物(実施例の複合シートの硬化物、比較例のプリプレグ等からなる硬化物)を切断機(芝川製作所社製、MS1206)にて切断し、クラック発生領域の面積を接着領域全体の面積で除した値をクラック面積率とし、以下の基準で評価した。
○:クラック面積率 0%
△:クラック面積率 0%より大きく、5%未満
×:クラック面積率 5%以上
【0081】
(5)切断時の耐剥離性
電子部品素体の接着領域に形成された接着物(実施例の複合シートの硬化物、比較例のプリプレグ等からなる硬化物)を切断機(芝川製作所社製、MS1206)にて切断し、その切断面における剥離発生領域の面積を接着領域全体の面積で除した値を剥離面積率とし、以下の基準で評価した。
○:剥離面積率 0%
△:剥離面積率 0%より大きく、5%未満
×:剥離面積率 5%以上
【0082】
(実施例1〜7)
表1に示す配合組成で各原料をニーダーに仕込み、75℃で1時間撹拌混合して、熱硬化性樹脂組成物を調製した。次いで、熱硬化性樹脂組成物を30℃に冷却後、塊状物を得た。塊状樹脂を溶融状態にして繊維基材としてのガラスクロス(日東紡績社製、商品名:WTX1078、厚さ50μm)またはアラミドクロス(ヘクセル社製、商品名:350、厚さ50μm)の片面に供給しながら、1対の加圧ロール間を通過させて一体に成形した。なお、加圧ロールの直径は60mm、ロールギャップ(間隙寸法)は50〜320μmとした。また、成形は、温度70℃で、加圧ロールを速度2m/分で通過させた。これにより、熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層の片面に繊維基材を有する繊維基材層が密着形成されたものであって、厚さ50〜320μm、樹脂分61〜94体積%の複合シートを得た。
【0083】
電子部品素体として、図8に示すような素体本体の表面に2つの外部接続用電極が互いに分離して設けられたものを用意した。ここで、2つの外部接続用電極の電極間距離は2.0mm、電極高さは0.3mmである。なお、2つの外部接続用電極の間が接着領域である。接着領域を覆うように、シート幅を1.95mmとした複合シートを被せた後、120℃で20分の加熱を行って複合シートの樹脂を流動化後、硬化させた。これにより、接着領域が複合シートの硬化物からなる接着物によって被覆された電子部品を得た。
【0084】
(比較例1)
複合シートの代わりに、ガラス繊繊にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグ(京セラケミカル社製、商品名:TLP−551、厚さ100μm)を用いて、実施例と同様の操作により電子部品を得た。
【0085】
(比較例2)
複合シートの代わりに、接着シート(京セラケミカル社製、商品名:TBS−702、厚さ50μm)を用いて、実施例と同様の操作により電子部品を得た。
【0086】
(比較例3)
電子部品素体の接着領域に複合シートを配置する代わりに、液状樹脂(京セラケミカル社製、商品名:TCG−1730)を厚さ50μmに塗布し、実施例と同様の操作により電子部品を得た。
【0087】
なお、実施例で使用した各成分は以下の通りである。
1.液状ビスフェノール型エポキシ樹脂
エビコート828:三菱化学社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:190)
2.軟化点70℃以下の固形状エポキシ樹脂
NC3000:日本化薬社製のビフェニル骨格含有多官能型エポキシ樹脂(エポキシ当量:285、軟化点:57℃)
3.エポキシ樹脂用硬化剤
DICY:日本カーバイド社製のジシアンジアミド
4.触媒
U−CAT3512T:サンアプロ社製の芳香族ジメチルウレア
5.無機フィラー(難燃剤)
H42M:昭和電工社製の水酸化アルミニウム(粒子径:1.5μm)
6.繊維基材
WTXl078:日東紡績社製のガラスクロス
350:ヘクセル社製のアラミドクロス
【0088】
【表1】

【0089】
表1から明らかなように、実施例1〜7の複合シートは、概してハンドリング性が良好であり、また硬化物である接着物の断面形状、切断時の耐クラック性や耐剥離性も良好であることがわかる。一方、比較例1のプリプレグについては、耐剥離性に優れないことがわかる。また、比較例2の接着シートについては、硬化物である接着物の断面形状、切断時の耐クラック性や耐剥離性が優れないことがわかる。比較例3の液状樹脂については、シート化が困難であるためにハンドリング性に優れず、また硬化物である接着物が電極部に付着するために断面形状に優れず、切断時の耐クラック性も優れないことがわかる。
【符号の説明】
【0090】
1…複合シート、2…樹脂層、3…繊維基材層、4…離型フィルム、5…熱硬化性樹脂組成物、6…繊維基材、7…シート状樹脂組成物、10…製造装置、11…供給装置、12…基材用ロール、13…離型フィルム用ロール、14…案内ロール、15…加圧ロール、16…熱硬化性樹脂シート用ロール、21…電子部品用素体、24…電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と、
前記樹脂層の少なくとも一方の主面に密着形成された繊維基材を有する繊維基材層と
を有することを特徴とする複合シート。
【請求項2】
前記複合シートにおける樹脂分の割合は65〜93体積%であり、前記熱硬化性樹脂組成物の可塑度は25℃で60〜90であることを特徴とする請求項1記載の複合シート。
【請求項3】
前記繊維基材は、無機繊維基材および有機繊維基材から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載の複合シート。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂組成物は、(A)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂、(B)軟化点が70℃以下の固形状多官能エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、および(D)無機フィラーを必須成分とし、前記(A)/(B)質量比が10/90〜25/75であり、前記熱硬化性樹脂組成物の全体における前記(D)成分の割合が10〜50質量%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の複合シート。
【請求項5】
熱硬化性樹脂組成物の構成成分を50〜110℃の温度で混練して混練物を得る工程と、
前記混練物を繊維基材の片面に供給し、または前記混練物を1対の繊維基材間に供給した後、前記混練物を前記繊維基材に押圧することによりシート状に一体に成形して複合シートを得る工程と
を有することを特徴とする複合シートの製造方法。
【請求項6】
前記混練物は、前記繊維基材の片面、または前記1対の繊維基材間に、塊状、シート状、または溶融状態で供給されることを特徴とする請求項5記載の複合シートの製造方法。
【請求項7】
前記押圧は、加圧ロールまたはプレスにより行われることを特徴とする請求項5または6記載の複合シートの製造方法。
【請求項8】
電子部品素体と、
前記電子部品素体の少なくとも一部の表面上に配置され、前記表面を絶縁する請求項1乃至4のいずれか1項記載の複合シートと
を有することを特徴とする電子部品。
【請求項9】
電子部品と、
前記電子部品を封止する請求項1乃至4のいずれか1項記載の複合シートと
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記電子部品は、半導体素子、抵抗器、ダイオード、およびコンデンサーから選ばれる少なくとも1種、または弾性表面波装置(SAWデバイス)、水晶デバイス、高周波デバイス、および加速度センサーから選ばれる少なくとも1種の中空デバイスであることを特徴とする請求項9記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−240348(P2012−240348A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114314(P2011−114314)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(390022415)京セラケミカル株式会社 (424)
【Fターム(参考)】