説明

複合セルによって形成される携行食品、即時食品

【課題】複合セルによって形成される携行食品、即時食品をおよび製造方法を提供する。
【解決手段】薄いゼリー状の食用の被膜(セル)1,2によって食品、もしくはタレやソースに代表される添付物を包みこみ、ほぼ一口大で口に入る大きさに構成し、手でつかんでも手が汚れない状態のセルとしたものを複数用意し、主セル1および添付する添付セル2を互いに組み合わせることによって一つの料理、もしくは飲料を構成する複合セルとし、また、必要の無い添付セルは容易に取り外しが可能であるように構成したことで、自分の好む味に調整が可能であり、通常食に近い感触を備えた携行食品、即時食品。および、それら複合セル食品の製造方法。およびそれらをセットにしたパッケージと、その製作方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常食に近い特徴を持つ携行食品、即時食品およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からゼリー状の被覆を施した、あるいはゼリー状の隔室内に食品を封じた食品は多く考案されているが、主に菓子類が多く、通常食に並ぶことのできるものはあまり普及せず、技術的にも多くの問題を抱えていた。
【0003】
本発明に関する公知技術として次の特許文献をあげることができる。
【特許文献1】特願平7−306860
【特許文献2】特願2001−327005
【特許文献3】2001−382804
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保存食、即席食の分野は、近代では缶詰、瓶詰めからはじまり、即席めん、レトルトパック入り食材が登場したが、これらの多くは食器を必要とし、通常食のように食するためには、わずかであれ調理の手間を必要とした。
【0005】
従来からゼリー状の被覆を施した、あるいはゼリー状の隔室内に食品を封じた食品は多く考案されている。
【0006】
また、このゼリー状物質がコンニャク系の素材であるものも存在する。このコンニャク系素材は加熱に対して強いことから、殺菌処理が容易な特徴があった。
【0007】
しかしながら異なる素材を同一材質の被膜で覆うことは技術的に問題が多く困難であり、また表面処理、包装などの点で数多くの問題があった。
【0008】
さらに、最終的に食べるときには、器や箸やフォークなどを必要とするという問題があった。
【0009】
また、多くはタレを必要とするなど、一種の調理が必要であるという欠点があった。
【0010】
そのため、非常食、携行食、即席食に対応する位置にある一般の食卓で供されている通常食に比較すると、まったく普及しておらず、展望にも欠けていた。
【0011】
本発明は、上記従来技術、公知技術の問題点を解決するための、携行食であり、即時食でもある食品をめざしたものである。
【0012】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴を、以下の説明を添付図面によって詳細に解説する。
【0013】
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の記述的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
先行技術の問題点は先に述べたが、もういちど、さらに広い見地から伝統食品のなかにおける携行食品の問題点について詳細に述べる。
【0015】
携行食品の位置づけ。
【0016】
有史以前より、干しダラ、干した飯、干した芋、干したハマグリ、芋の茎で作られた畳、塩漬け食品など数多くの保存食、非常食が作られてきた。
【0017】
不思議なことに、これら前時代とは異なり、現代において、保存食(非常食)は、即席食品と同義語扱いされている。
【0018】
さらに、可搬型食品という分類もある。
【0019】
可搬型食品(携行食品)とは、皿やフォーク、箸など主たる食器がなくても手で持って簡易に食べられる形態の物である。
【0020】
なお、食事の際に用いる食器には皿や椀など、主にテーブル側にあり、テーブルの延長介在物的な存在で、主に受けることが主体であるものと、箸、フォーク、ナイフ、スプーンなど、手の延長介在物的存在で、食材を口に運ぶための取り扱いが主体であるものがある。
【0021】
ここでは、便宜上、皿や椀を“受け食器”、箸やフォークなどを“取り扱い食器”と分類しておくことにする。
【0022】
さて、皿などの受け食器やフォークなどの取り扱い食器を必要としないという特徴は、その当然の帰結として、そのまま食べることが出来ることを意味する。
【0023】
この、そのまま食べられる性質は、即席食に対応するものとして即時食と分類していいだろう。
【0024】
即席食が3分程度の軽い調理、切ったり受け食器に盛りつけたり、取り扱い食器が必要なのに対して、即時食は、即時に食べられるものである。
【0025】
可搬型食品には、おおきくわけて2種類ある。
【0026】
ひとつは単味のもの、もうひとつは組み合わることにより可搬型食品となっているものである。
【0027】
単味のものの例をあげると、単味のビスケット、パン類、缶詰、果物(バナナ、みかん、りんごなど)、一部の野菜(トマト、焼き芋)などがある。
【0028】
さらに例をあげると、菓子類、スナック菓子類などがある。現代で菓子と呼ばれるものは多くは即時食品であり、可搬型食品であり、その多くが単味であり、乾き物であることが多い。
【0029】
単味ではなく、複数の味の異なるものを組み合わせて成立している食品を、ここでは組み合わせ食品と呼ぶことにする。
【0030】
携行食の中で組み合わせ食品としては、ビスケット系、パン皮・饅頭皮系、おにぎり系、菓子類がある。
【0031】
表面がパン、饅頭の皮、モナカの皮、ビスケット系など、主に気泡入りの小麦粉(もち米等の澱粉)系であることが圧倒的に多い。
【0032】
特に饅頭、最中は、手をよごさず食べられること、ある程度の日持ちもすることなど、即時食として非常に優秀であり数多くの種類があるが、なぜか甘み系が多く、塩味のものは、肉まんや、長野地方などの“おやき”あるいは饅頭の中に“キンピラゴボウ”を入れたものなどがあるがそれほど多くない。
【0033】
現行通常食の分析
【0034】
一般に言う“調理”は用語として明快ではないので、ここでは語彙の定義を行いながら説明することにする。
【0035】
さて、現在の料理(通常食)の多くが、その最終段階で、何かに何かを添付することによって完成されている。
【0036】
ここでは二つ以上の素材を組み合わせることによって食品が完成されている状態を、“添付”と呼ぶことにする。
【0037】
具体例をあげると、ラーメンは、麺にラーメンスープを添付し、チャーシューをはじめとする具材を添付し、さらに薬味や胡椒を添付する、というように考えられる。
【0038】
また、カレーライスではご飯の上にカレーのルーを添付し、福神漬などのつけ合わせやサラダ類を添付している、というように考えられる。
【0039】
この添付は、一方の中に一方が埋没する形態の埋没型添付と、一方の主に表面に、もう一方が載せられる形態による付着型添付にわかれる。
【0040】
2つ以上の素材を磨り潰し、もしくは溶かし込んで融合させ、双方を分離不可能にしまったものは、いささか乱暴だが“混合”もしくは“混合添付”と呼ぶことにする。
【0041】
さて、通常食において、主たる食材にさまざまな食材が添付される根本的理由は、添付が、一種の“味覚の干渉”とでも呼ぶべき状態を作り出すことができるからである。
【0042】
添付の行われた食品の場合、咀嚼時、食材が細分化される際に、主材(味の淡いもの)と添付材(多くは味の濃いもの)とが同時に感知され、しかも出会い頭に味覚の干渉を起こし、第3の味覚が発生することで、味覚の幅が広く感じられるせいであろうと考えられる。
【0043】
つまり、これらの料理を味わう場合、口中では主たる素材と同時に、それに添えられた調味料、ソース、餡などが咀嚼混合され、食べた人は、それぞれの食感、味覚、が複合された第3の味覚として味わっていると考えられる。
【0044】
西瓜に塩を振ったときの味わいはやはり味覚の干渉により第3の味覚が発生していることを示している。
【0045】
なお、一般的には、味覚は舌で主体的に感知されるとされているが、ここでは歯で咀嚼するときの歯ごたえや、咀嚼時に感知するものも味覚に含まれると考える。つまり歯も噛むことで味覚している。
【0046】
さらに嗅覚も味覚に含まれ、食材の温度も味覚の一部であり、視覚もまた味覚感知器官であると分類する。
【0047】
そのように分類しないと、野菜ジュースと野菜サラダが同じ味覚であるということになってしまう。
【0048】
あるいは“腰のある麺”とか“やわらかくておいしい肉”とか“温かくておいしい焼き芋”あるいは“つめたくておいしいアイスクリーム”、“秋の味覚を(目で)楽しむ”などの表現が味覚以外の部分を指していることになってしまうからである。
【0049】
なお、“噛む”と言っても、門歯によって“物を噛み切る楽しみ”を評価したものが発見できそうもないので、この場合、噛むとは、より臼歯に近い側の歯列により“噛み潰す”ことを指すと考えるべきであろうことを追記しておく。
【0050】
通常食のメニューの分析
【0051】
さて、食事のメニュー、特に皿数の少ない食事のメニューを検討すると、味の淡白なものの量は、味の濃いものより多いというケースが圧倒的に多い。ここでは、味が淡白で、普通は量が多いものを“主材”と呼ぶことにする。
【0052】
“主材”の多くは穀類すなわち米、麦、ソバ、とうもろこしなど、もしくはじゃが芋、サツマイモなどを原料とする澱粉質で、味の比較的淡白なものが多く、これは“主食”とも言われる。
【0053】
次に添付材の中でも、一般的には主材に次いで量が多く、かつその料理になくてはならない存在、多くはその料理名に反映されるような素材を“副材”と呼ぶことにする。皿数の多い料理では料理のメインとしてその名称が冠される皿(料理)の中心になるものである
【0054】
副材の多くは、主材に添付されることによって味覚の干渉を引き起こすものである。
【0055】
さらに副材の味をさらに変化させる(味の幅をひろげる)ための味付けソース的な添付材が添えられる場合がほとんどと言っても言いすぎでないほど数多くある。
【0056】
副材の素材としては、肉、魚、野菜系、もしくはスープ、シチュー系が多く。その添付材は醤油やソースなど一般に味の濃いものが多い。
【0057】
なお、ここで添付の状態が比例的であるものを“比例添付”と呼ぶことにする。
【0058】
例をあげると、カレーライスのご飯と上にかけたソースはほぼ比例的な添付であり、傍に添えられた福神漬は比例添付ではないと分類される。
【0059】
これら“薬味”あるいは口直しの意味で、料理の最上部もしくは皿の横や別の器に別体として添付されているものの状態を“別添え添付”もしくは“随時添付”“随意添付”と呼ぶことにする。
【0060】
ざる蕎麦にきざみ葱や生姜を添えたり、かけ蕎麦に唐辛子を振ること、カレーにチャツネ、福神漬を添えたり、アイスクリームにウエハースを添えたりすること、さらに広義には、食前食後のお茶やコーヒーも“別添え添付”、“随時添付”“随意添付”にあたると分類する。
【0061】
具体例による説明
【0062】
ラーメンやスパゲッティを例としよう。
【0063】
ラーメンなどでは麺AにラーメンスープBが比例添付されている。
【0064】
さらにその上部にはチャーシューとかシナチク他の薬味、刻みネギなどCがトッピングされる。これらはやはり添付と分類する。ただし。ここでは比例的ではなくてもよいので非比例的(随時的)添付に分類する。
【0065】
ここで、スープと麺は短時間の混合にしか耐えないものである。それは時間を置くと麺がスープを吸収し、味が浸透し、食感も異なってしまうからである。
【0066】
通常食では、この添付は常に食べる直前に行われるものである。
【0067】
そのためこれら主・副が混ぜ合わされた状態で缶詰やレトルトで供給されることはなく、通常は麺部分と、スープ部分が分離供給される。
【0068】
次に、お刺身Bと醤油Cの関係も付着型添付である。お刺身Bに醤油CやワサビCが添付され、咀嚼時に、BCが混合され、口中でさまざまな食感と味が微妙に変化していく様子を楽しむのである。
【0069】
あらかじめこれらをミキサーで砕いてしまってペースト状になってしまっていては、まったく異なる食物となってしまう。
【0070】
さらに、このお刺身Bの下に握った酢飯のブロックAを置くのが、にぎり寿司となる。お刺身Bなどの下には練りワサビCが添えられる。ここでも関係は付着型添付である。
【0071】
さらに、ここに酢漬けの生姜Cを添えるのを外付け添付(随時添付)と分類する。これは、比例的添付ではなく、口中をリフレッシュするのに使用される。必要な時だけの随時使用が多い。
【0072】
お茶が添えられる場合、やはり随時添付Cと分類する。
【0073】
添付材の性状
【0074】
さて、副材、あるいは添付材の性状には、素材のままの状態、スープ状、ゲル(どろどろた状態)、餡(団塊)状、粉や粒子状がある。
【0075】
餡(団塊)状のものは、一般に水分量が少なく、主材に味を浸透させる力が弱いので、古来多くの可搬型食品(即時食)に用いられてきた手法である。
【0076】
普通べとべとする餡を小麦粉などの気泡入りの皮で包むことで、湿った表面を持つ餡を乾いた表面を持つ皮が保護し、総体的に手が汚れない性質に構成している。
【0077】
小麦粉系の皮(饅頭の皮、最中の皮)の大きな特徴にその匂いがある。一般には非常に淡く無臭に近いものであり、イーストなどによる発酵やバター類、など匂いの強いものと一緒になる場合もあるが、多くの場合、味覚を刺激するよい匂いであり、ほとんど気にしなくてよい匂いであることである。
【0078】
また、饅頭に多く用いられる小豆餡も、匂いが少なく、かつ気にしなくてよい匂いである。
【0079】
もち米で作られる煎餅類も、香りが強い場合があるが、味覚を刺激するよい匂いに分類できるであろう。
【0080】
そのためこれらに手で触れても、たとえば餃子や焼肉のタレなどのように香りの強い匂いが手につくことがなく、何かの業務中であっても匂いを気にせず触れることができるのがその明らかな長所である。
【0081】
上記のような状態が可能なのは、餡(副材)と皮(主材)との組み合わせが、付着添付の際に互いに味や匂いを浸透しあわない傾向があり、もしくは多少浸透しても問題がないという条件が満たされるからである。
【0082】
主材である皮や麺部分は溶剤として水を使用しているため、餡やソースの水分量はごく少なく保たれ、どちらかに気泡の混入があればさらに安定する。これは、餡に水分が多いと主材を破壊、侵食することになるからである。
【0083】
これらハンバーガー、饅頭、最中類やクリームサンドのようなビスケット系の食品が従来の可搬型食品、即時食の代表であった。
【0084】
持ち運んだり食したりする場合、手が汚れにくいこと、手に匂いが付きにくいこと。仮に匂いがついても、淡く心地よい匂いであること。食する際に、皿や碗などの受け食器、箸やナイフ、フォークなどの取り扱い食器を使用しなくてよいという特徴がある。
【0085】
これらの構造は、多くは主材Aもしくは副材Bで包装もしくは半包装された形態であると解釈できる。
【0086】
手を汚さない可搬性のみの類似として串焼きスタイル、アイスバーなどがある。串やバー(これは取り扱い食器に分類される)を持てば、とりあえず手が汚れないという点が類似点であるが、携帯性に富むとはいえない。
【0087】
従来の伝統的可搬食品の欠点
【0088】
以上をまとめると、レトルトや缶詰では、食事の際に受け食器、取り扱い食器を必要とする点、ご飯などを用意してそれに添えるなど、複数の手間が必要であるなどの欠点があった。
【0089】
多くのインスタント食品でも、容器や、食べるためのスプーン・フォークや箸を必要とし、調理には短時間とはいえお湯を注ぐなどの手間が必要であった。
【0090】
添付物を備えない単味の可搬食、即時食のうち多くが保存食としても有効であったが、多くは菓子類であり、乾き物であり、多くは飲料とともに食に供されてきたのが通例であった。
【0091】
添付物を備えた組み合わせ食品に分類される饅頭、最中やパン、サンドイッチ、おにぎりをはじめとする従来の可搬型食品では、液状化した添付材の使用が困難であり、主材は主に乾燥したもの、副材を含めた添付材は主材を溶かす傾向の低い、練ってべとべとしたペースト状のもの、ハムやハンバーグなど主材を侵食しないものに限られるという制約があり、保存期間も短いものが多かった。
【0092】
なお、この類に属する伝統的食品の中で、実際に液状の添付材が一体的した状態で用いられているのは、極めて例が少なく、わずかに、饅頭の皮の中に液状に近いどろどろした黒蜜を包んだもの、可搬型ではないが握りずしの寿司飯の上にトッピングとしてイクラ、もしくは合成イクラを添付したもの、お菓子としてウィスキーボンボンのように、過飽和で析出した糖衣の中に液状の添付材を備え、表面がチョコレート等で被覆してあるもの、あるいは食べられる容器内に抹茶やコーヒーなどのインスタント飲料や餡を構成したものがある程度である。
【0093】
したがって、食事のための十分な設備、すなわちテーブルや受け食器、取り扱い食器類が安定的に確保できない野外などでの食事の際に、よく用いられる食事形態では、先に述べた可搬型食品がよく用いられ、それにポットなどで運んだ可搬型飲料などを補うのが通例であった。
【0094】
最もシンプルなものには、おにぎりとお茶の缶(ペットボトル)、サンドイッチ(ハンバーガーなど)とコーヒーなどという組み合わせがあるが、ともに食料、飲料という二つの要素として分離されており、食後には缶やボトルを捨てなければならないという欠点があった。
【0095】
さて、従来からある非常食、保存食、即席食はいずれも、通常食に強い憧れを持って作られてきた、しかし缶詰も、レトルト食品の多くも、即席食品も、十分な即時食、携行食品とはなりえなかったことをこれは示している。
【0096】
問題を解決する方法
【0097】
本発明は、従来、可搬型、携行型、即時食になりえなかった多くの料理を可搬型、そして即時食型に編成しなおそうとするものである。
【0098】
その目的のため、本発明は、通常食のほとんどが、主材と、副材を含めたなんらかの添付材によって構成されていることに着目する。
【0099】
しかも、この添付作業は調理の最終段階、食べる直前に行われること、同時に添付材の多くが扱いにくい液状であることに着目する。
【0100】
食事の際の最小単位
【0101】
この問題点を解決する糸口として、本発明ではまず食事の最小単位を考える。
【0102】
まず、
1.快適に嚥下できるサイズ
2.快適に食物を味わえる最適な咀嚼サイズ
3.気持ちよく噛み取ることが出来る一口のサイズ
以上の3つの大きさには、一種の相関関係がある。
【0103】
快適な咀嚼サイズの最大値が、食事の最小単位である。
【0104】
嚥下サイズ、噛み取りサイズがこれを上回ることはあり得ない。
【0105】
通常は咀嚼サイズに到るまで、何度かにわけて噛み取り、咀嚼サイズから何回かにわけて嚥下する行為が持続され、繰り返されることになる。
【0106】
この噛み取りサイズは、口の開口部の大きさに比例するが、通常成人では、左右35mm 高さ25mm 奥行き最大45mm程度である。
【0107】
また食材を気管支に詰まられせないためには、気道口より大きく作り、噛んでその半分程度のサイズにしたとき、気道口より小さくなるサイズが好ましい。
【0108】
また、その厚みはダイエット用にコンニャクなどを多用する場合を除き、食感に影響を与えないよう薄いほうが好ましい。
【0109】
通常販売されるおにぎりの大きさは、普通のものは、一辺が80mmを下回ることは少なく、饅頭類であってもおおむね50mm程度であり、おおむね口のサイズより大きく、何口かで囓り取って食べるサイズであり、囓るときは大きな口を開けなければならない不便があることを考えると、噛み取るときの便宜よりむしろ、掌で握ることの便宜を優先した結果、出来上がった標準サイズと呼べるであろう。
その点から考えると一口で口に入る握りずしのサイズ程度が適当であろうと考えられる。
【0110】
発明の概要とその効果
【0111】
本発明では、食事の最小単位として、快適な咀嚼サイズに着目し、食品のサイズをその咀嚼サイズに構成するため、セルすなわち隔室に食材を分類して構成し、噛み取りサイズと同等、もしくはそれ以下に食品、すなわち主材、副材を含めた添付材を作り込むことで、以上の問題点を解決しようとするものである。
【0112】
このサイズに食品を作り込むために、本発明ではゼリー状の被覆を利用し、主材、副材を含めた添付材もまたゼリー状の被覆で包み込んでセル(隔室)を構成する方法をとる。
【0113】
添付材がスープやシチュー的なもの、ソースや醤油系の液体状のものでも、一口に入るサイズに成形してあり、口の中ではじめてそれらが開放される状態にしておけば、噛み潰すとき、口を閉じてさえおけば、ソースやスープが口から漏れることがない。
【0114】
このとき、それらソース、スープ類がゼリー化してあり、口中で咀嚼したとき、はじめて溶ける状態にしてあればさらに安全である。この場合、中途で噛み切ってもゼリーなので、噛み口から外に漏れることがない。
【0115】
さらに同様に、随時添付とされるリフレッシュ材、例えばカレーにおける福神漬けや漬物、ポタージュスープにトッピングされるクルトンなども被覆(セル)に包み込むことが可能である。
【0116】
次に具体的に、その方法を述べる。
【0117】
複合セルの構成
【0118】
本発明において、隔室、セルはその内容物によって、いくつかに分類される。
【0119】
1.主食セル:米、麦、ソバ、とうもろこし、ジャガイモなどを原料とした主に澱粉系で、一般には味の淡白なものを収納したセルであり、米飯から麺類、小麦粉を練ったもの、水溶き小麦粉を焼いたもの、気泡を含んだスポンジ状のものなども含むものである。
【0120】
2.副食セル:肉、魚介類などたんぱく質を含んだもの、もしくは野菜、根菜類、豆類などを主成分とするもので、通常食では副食物、もしくは具材と呼ばれるものであり、塩味系、甘味料系がある。
【0121】
3.タレ系添付セル:味の濃厚な醤油、ソース、ドレッシング系、たれ、カレーソース、シチュー、グラタンソースなども含むものであり、多くは今まで即時食での取り扱いの難しかったものである。ラーメンスープやカレーライスにかけるソースもここに含まれ、カレーソースなどは、2にある具材を埋没添付したものと分類される。
【0122】
4.食感系添付セル:揚げ玉、クルトン、カツの衣・てんぷらの衣など、多くはかりかりした食感を与えるものである。
【0123】
5.香辛料系添付セル:唐辛子、胡椒、ワサビ、山椒、しょうがなどの香辛料で、微量の使用で食事にアクセントをつけるもの。
【0124】
6.口直し系添付セル:漬物類、福神漬け、ピクルス、チャツネなど、食事中に随意でとって、食事に変化をつけるもの、もしくはデザートとして、内容的に多くは甘いもので食事の終了のしるしとして口にするもの。
【0125】
7.清涼剤系添付セル:ペパーミントなど食後の口中をさわやかにし、口臭を消す働きをするもの。
【0126】
8.飲料系セル:食事の前後にのどをうるおす飲料であり、これも複合セルによって組み立てが可能なものであり、コーヒー、紅茶に甘味料やミルク、クリーム、香料を含んだ添付セルを備えたもの、日本茶にお茶請けの菓子類や漬物を補ったもの、塩味系では、味噌汁や澄まし汁、コンソメスープやポタージュスープにそれぞれ必要な具材、クルトンなどを補ったものなどがある
【0127】
これらを組み合わせて、それぞれ一口サイズに構成し、それらを一つのパッケージに入れることで、通常食に近い感覚の即時食が完成する。
【0128】
なお、パッケージを行うためには、以上の食・飲料のセルのほかに、脱酸素材、防腐剤、加熱材など、パッケージ内のセルの保存のために働く部材が必要である。
【0129】
その効果
【0130】
従来までの缶詰は、多くは内容物の周囲が水、もしくは油で満たされていた、あるいは内容物の表面が多くは湿っており、乾燥してはいなかったことから、スプーンや箸をどうしても必要としたが、この包装では、表面の粉うち、もしくは薄いコーティングによって、セルの表面が乾いており、手でそのまま掴んでも、手が汚れることなく、匂いも付かない。
【0131】
また飲料などのセルも同梱でき、しかもコップなどの容器を必要としないので食べ終わったあとの処理も楽である。
【0132】
通常、食前や食後には缶コーヒーやペットボトルのお茶、あるいはデザート類が供されるものであるが、液状もしくは口中で溶けるゼリー状にした内容物をセル内に形成することで、デザートやお茶類を同じパッケージ内に同梱することができる効果がある。
【0133】
小さなセルごとに料理が分割されているので、それぞれまったく異なる味覚、食味を楽しむことができ、食材のカロリーを総合的に調整することでダイエット食品のように低カロリーで製作することもできる。
【0134】
また、逆に体力を使う登山、水泳などのスポーツやさまざまな過激な労働や演習、災害時の緊急食糧補給、事故や遭難に備える非常食などに使用する場合は、高カロリー、高たんぱくとして、飲料も含んだ状態で提供でき、通常食の味わいを保持したまま、少量で渇きと飢えをしのぐことができる。
【0135】
工場出荷後の注射針などによる異物混入も包装にゴムの被膜を用意することで、異常のあるものだけを選択的に廃棄することができ、ロット全数を破棄する必要がない。
【0136】
また、セルに包まれているため、水濡れに強いという特徴もあり、極端を言えば、潜水中に飲料水を補給する、あるいはコーヒーを飲む、ラーメンを、お寿司を食べるなどということも可能である。
【0137】
しかもセルごとには通常食の味わいを保持したままなので、従来の非常食、可搬食とは大きく異なった、通常食の味わいもった食事、すなわち二つ以上の食材を同時に咀嚼することによる第3の味覚、さらに薬味や添え物的な添付材の味わい、食前・食後のお茶などをも楽しむことが出来る。
【0138】
また、料理が一口ずつ小分けになっているため、数多くの種類の料理の味わいを順々に楽しむことが出来る。
【0139】
世界には多くの料理が満ち満ちているが、多くは実際にその土地に行き、その土地の素材で、その土地の料理人が作ったものでないと、本当のその土地の料理を味わうことは不可能であった。
【0140】
そのため、例えば日本の寿司が、異なる土地ではまったく異なる味で紹介されてしまう、などということが起こりがちであった。
【0141】
インスタントラーメンは、ある程度、味覚をそのまま伝えることに成功したものの、食べる前のわずかな調理・加工方法の違いで、かなり異なった味わいになってしまうという欠点も残していた。
【0142】
しかし、この複合セルで構成された料理は、せいぜい加熱をする程度で、常温で、一切加工・調理なしで、そのまま食することもできるため、開封してそのまま食べるだけで本物の料理の味わいの幾分かを表現でき、容易にその料理の本質的な味わいを、遠隔地の、その料理を知らない人々に伝えることが出来るという長所がある。
【0143】
これは、今までの缶詰も、レトルト食品も、インスタント食品もなしえなかったことである。
【0144】
本案は以上の効果によって、食事の際の最小単位となる食材の形態をめざすものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0145】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、一部断面図または斜視図、部分透視図に基づいて詳細に説明する。
【0146】
説明にあたって、同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。また、原理的に同一とみなされるものは説明を省く。
【0147】
本発明では様々な料理や飲料への対応が可能なので、料理、飲料ごとに説明することにする。
【0148】
第1の実施形態
【0149】
図1はコーヒー飲料を制作した一部断面図である。
【0150】
収納部1は、隔室(セル)構造になっており、ここで主室(ひとまとめにしたセルの中で最も大きい、もしくは飲料、料理の“中心”、“核”となるセル)1には、ここではコーヒー(ストレートコーヒー)3 が入っている。
【0151】
主室に添うように配置された、ひとつ以上の添付セル2の内部には、それぞれ異なった味の内容物が入っており、互いに補完しあって、主材を補い、第3の味覚を作り出す働きをする。
【0152】
主セル内に添付セルを、もしくは添付セル内容物にあたるものを直接配置することも、素材の組み合わせによっては可能ではあるが、その場合、取り外しての使用は困難であり、また製作も容易ではない。
【0153】
図1では、4が甘味料、5がクリーム、もしくはミルク、あるいはシナモンなどの香料などの内容物であり、これらは必要ない場合は、添付セルごと取り外すこともできるように構成されている。
【0154】
一つ以上の主室セルと、それを補う一つ以上の添付セルを構成し、これらによりなんらかの種類の“飲料”または“料理”を構成したものを、ここでは“複合セル”と呼ぶことにする。
【0155】
これらセルは互いに付着、もしくは噛み合いによって互いに連結する、もしくは帯2’などの束縛装置、あるいはセルにポケット状の袋など、があるとさらに扱いやすい。
【0156】
さらに、図には明示されていないが、香りの成分を閉じ込めたエキス、またはエキスを浸み込ませた内容物を包むセルをさらに備えることで、口中でセルがはじけたとき、香りが広がるように構成することも可能である。これはコーヒーに限らず、他の料理でも有効である。
【0157】
全体の形状は棒状、もしくは板状、サイコロ状で、収納部1に添うように添付セル2は作られており、D方向から口に入れると1をどこで噛み切ってもその内容物、3、4、5はそれに比例して必要量が添付されるようになっている。
【0158】
幅Aは約35mm 高さBは25mm 奥行きCは45mm程度に作られており、口を大きく開けなくても、一口で口に入るサイズに作られている。
【0159】
セルは基本的には無味・無臭の容易に噛み切ることのできるゼリー状樹脂によって形成されている。
【0160】
セル本体の表面は表面がべとつかないように細かな凹凸が与えられ、粉をまぶす、あるいは他の素材でコーティングしてある、またセルごとに何かの素材で包むことも効果的である。
【0161】
熱殺菌を考え耐熱性を得るためにはセル本体はコンニャク状の物質が有効であるが、ある程度の熱に耐え、内容物がしみださない樹脂であればどのようなものでも製作が可能であるし、耐熱性がなくても製作時に殺菌が可能なものなら安全に製作できる。
【0162】
セルがはじけた後、セル自体が溶けてしまうのが理想である。アルギン酸塩の薄い被膜ははじけてもあまり気にならないため好ましい。しかしコンニャクなどの被膜の場合、セル自体を薄くつくることで抵抗は少なくなる。
【0163】
コンニャクなどの場合、内容物のphが問題になることがあるが、セルが内包する素材ごとに別々に作られているので、内容物にあった材質でセルを構成することが出来る。
【0164】
この場合、互いに異なる材質のセルが複合、密着されなければならなくなる。その条件を解決するには、セルの被膜を単質ではなく、複数の層で製作することで解決が可能である。
【0165】
セルの材質としては、ほかには、例えば、ゼラチン、寒天のほか、キサンタンゴム、カロブビーンゴム、タラゴムその他のガラクトマンナンゴム、アルギン酸カルシウムその他のアルギン酸塩、カラギーナン、ペクチンまたは豆腐、湯葉などの他、ライスペーパーにコーティングを施したもの、気泡を含んだ澱粉質のもの、各種食用繊維、樹脂類などを使用することができる。
【0166】
なお、このセルは、内容物がゼリー状である場合、簡単にこぼれることがないため何回かにわけて噛みとることもできるので、奥行きを45mmを超える長さにすることもできる。
【0167】
あるいは一口で入るサイズにセルを形成し、板チョコのように二つ以上をつなげて成形すれば、内容物が加熱により液状化していてもこぼれることがなくなる。
【0168】
コーヒーの飲料部分、添付材部分を口中で溶けるゼリー状に形成すれば、途中で噛み切っても内容物がこぼれ出ることはない。
【0169】
セルは多くは半透明であるが、内容物がわりにくい場合もあるので、6のように内容物を説明する名称、添付物の処理方法、注意事項などが、文字、数字、点字、図形(アイコン)もしくは写真で示されている。
【0170】
また、セル自体に赤や黄色、白などの食用色料で着色しておくと使いやすく、何らかの装飾デザイン造形などで示されていると見た目も豊かになる。
【0171】
帯を使わず、セル本体に直接表記する方法、もしくは説明書を別に添付する方法もある。
【0172】
帯2を食用物で製作する場合は食用色料もしくは凹凸などによる表記が適当であるが、帯が紙、その他の樹脂でも成形でき、複数のセル全体を覆う包装7に表記することも可能である。
【0173】
図2は、複数の複合セルをさらに食用の生地7で包装した図である。生地には薄いパン生地、生春巻きの皮、ライスペーパー、オブラートなどが考えられる。
【0174】
コーヒーには、ミルク、クリーム、砂糖、シナモンなどがよく添付され、飲む人の好みによって、その添付量は変化するものである。
【0175】
現在、缶コーヒーでは無糖あるいは微糖など甘味料の量によって異なる種類の缶が作られているが、このセルの場合、砂糖、あるいはクリームなどの量はセルを取り外すだけで自分の望むブラックから微糖、加糖まで様々に選択できる長所がある。最初はブラックで、その後シナモンと砂糖でという飲み方も可能である。
【0176】
缶コーヒーでは飲んだ後空き缶が残ることになるが、本発明では、容器としてはフィルムのパックだけが残り、環境衛生的にも効果がある。
【0177】
主材は、紅茶、日本茶、ウーロン茶などでも成形できる。例えば紅茶の場合、様々な香料、ハーブを含んだものを添付することで、様々な味や香りのものを選択し随意的に楽しむことが出来る。
【0178】
日本茶の場合、添付セルの内容物を、なんらかの砂糖菓子、あるいは漬物系などに置き換えることも可能である。
【0179】
ここで、セルの成形方法、製作方法について述べる。
【0180】
セルの成形には、先に容器状(枠、もしくは器状)のものを用意し、そこに飲料部分を嵌め込んで、表面をもういちど被覆する、もしくは、先にゼリー状に固めた飲料(内容物)部分を、被覆材と同一素材などでできた支持棒で支え、それを被覆液に浸して表面を被覆する方法などが考えられる。このとき、扱いやすくするため、ゼリー状の飲料(内容物)部分を一度凍らせて処理することが考えられる。
【0181】
内容物の周囲に被服部分を被せながら絞り出したのち、切断する方法などでも成形が可能である。
【0182】
図3は整形用の枠である。枠8の内部にコーヒーなどの飲料(内容物)部分を挟み込み、液状の被覆材などの中に入れて周囲を被覆する。枠を筒状に作って内容物を入れた後切断することでも成形できる。
【0183】
8’は、コーヒーのゼリー、もしくは内容物の中に差し込んで固めておく把手状の成形枠を示したもので、上部を掴んで溶液の中につけることで被覆する。被覆することにより支持体部分は一体化され気密になる。
【0184】
図4は、主セルと添付セルの配置を示す図である。主セルの上に添付セルを配置し、主セル、添付セルともに、区切られた単体のセルを繋げた構造になっている。
【0185】
主セルの断面は小さく、一口で入るが、奥行きは一口分より大きく、途中で噛み取る必要がある。添付セルには液体が入っているが、奥行きは一口で噛みとることが出来るサイズに形成されている。
【0186】
主セルの内容物は液体ではないので、添付セルの単位となる場所で噛み切れば、セルを開放したときでも、液が飛び散ることがない。
【0187】
図5は、セルの原料である、平行な溝を備えたゼリー状のシートの一部断面図である。
【0188】
大きな溝に主セル内容物が入り、小さな溝にその他の添付物が入ることになる。
【0189】
表面、もしくはセルの両終端部を被覆する前もしくは後、主セルに対して添付セルを束ねる、もしくは重ねる、あるいは巻きつけるようにして複合セルを形成する一工程を示している。
【0190】
セルとセルとの間にはミシン目、もしくは切り離しやすいよう弱体化した切り離し部などがあり、複合セルに組み上げた 後でも、添付セルを取り外しやすくしてある。
【0191】
図6は、添付セルの形態を紹介するものである。
【0192】
図6Aは、広い接合面をもち、複数個つなげたもので、単位ごとに切り離して口に入れることが出来るようにしたものであり、量の調整ができるものである。
【0193】
図6Bは、下部に接合部を持ち、3方をパン状の生地で包むことで、取り付け、取り外しの際に手が汚れることがないようになっているものである。
【0194】
図6Cは、棒状に成形した内容物を、食用樹脂で筒状に包み、両端を閉じることで、成形した添付セルである。
【0195】
図6Dは、筒状のセルの内部に内容物を成形し、スライスした後、断面を被覆した図である。
【0196】
図7は、ご飯の入ったセルの透視図である。
【0197】
炊き上がりのご飯をセルに詰める方法と、先にセル3内に米粒11を入れ、セルが入る器に水を入れて炊く方法がある。
【0198】
水の出入りがしやすいように、図は側面の一部を蓋状にし、蓋の隙間やあけられた穴9から水や蒸気が出入りできるようにしたものである。把手10を備え、炊き上がった後、全体をさらに被覆することも容易にできる。
【0199】
米や麺のように加熱時間によって味や食感の変化するものでは、後に行う殺菌などの二次加熱による変化をあらかじめ差し引いて処理することで、殺菌加熱後ちょうどよい状態になるように気圧、温度、時間を調整する。
【0200】
ラーメンなどの麺も同様にして成形できる。これら粒状、もしくは紐状の澱粉質の場合、粒もしくは紐状の表面を細かな凹凸になるように成形したり、ゼリー状物質で薄くコーティングすることで、互いに接触して一体化することをなくすことができる。
【0201】
第2の実施形態
【0202】
図8は、野菜サラダを制作した一部透視断面図である。
【0203】
野菜類12は表面をゼリー状の物質で薄く被覆することによって、乾燥しないようにすることも可能である。あるいは全体を寒天やゼリー状のもののなかに埋め込んでも製作できる。
【0204】
種類の異なるドレッシング13を用意してあるので好みによって選択使用ができ、ドレッシングと野菜が隔離されているので保存中に野菜に味が浸透して味を変えてしまうことがなく、セルを同時に噛み砕けば、食べる寸前にドレッシングをかけた状態と同じみずみずしさが楽しめる。
【0205】
乾燥物であるクルトン14も別室、もしくはセルなしで外部添付することが可能である。
【0206】
1’は別添付のセルである。ドレッシング等13が1の主セルに対して平均添付なのに対して、14とおなじく随時添付となる素材を入れておき、好みに合わせて口に入れるものである。
【0207】
12の野菜部分を茹でた野菜に置き換えれば、おひたしのほか様々な野菜煮込み、おでん状、あるいは何かの餡かけ状のものも制作できる。
【0208】
口中で咀嚼したときに、一つの料理として味わえる状態にするために、料理を細かく分解して、異なるセルに内包して備えることで、さまざまな料理を構成することが出来る。
【0209】
主セル部分12に揚げた肉や魚介類、野菜類を入れ、さらに添付セルとして、てんぷらの衣、パン粉つきの生地を揚げたものなどを入れたセルを添付することで、てんぷらやカツ、唐揚げ状のものも成形が可能である。
【0210】
湿度に弱い衣部分が別セル添付なので、時間経過があっても湿ってべっとりすることなく、かりかりした食感が得られる。
【0211】
その場合、図5におけるドレッシング部分の添付セルは出汁にしたり、からしや味噌、ソース、マヨネーズなど様々なものを入れることができる。
【0212】
さらに、主セル部分に焼き魚や焼き鳥を入れ、添付セルにはさば味噌のたれ、照り焼きのタレ、うなぎの蒲焼のたれ、醤油などを入れ、さらに唐辛子、山椒などを入れた随時使用のセルを添付することで、さまざまな料理に対応が可能である。
【0213】
特に焼き鳥などの場合、味つけには“塩”と“タレ”があるので、それぞれ別のセルに内包して備えることで、食べる人の好みに合わせることも可能である。
【0214】
第3の実施形態
【0215】
図9はおにぎりAと味噌汁のセットBを組み合わせた図である。ご飯19と、おにぎりの湿った具材(梅干、焼いたサケ、タラコ、煮た昆布など)の入った添付セル22、乾いた具材(海苔、鰹節、ゆかり等)の入った添付セル21などを備えている。
【0216】
セルにわけてあるので、味が混じりあわず保存にも有効である。また、好みのセルを選択して食べることができ、セルを選択するだけなので、手が汚れることもない。
【0217】
味噌汁のセットは、味噌汁15と、随時添付にあたるおひたし18のセルや漬物類17のセルがまとめられており、分離して順に食べることが出来る。
【0218】
味噌汁の具、あるいは刻みねぎ、三つ葉などは、味噌汁のスープと別に添付すれば、味が浸透してしまうことなく、味覚の干渉状態を引き起こせる。
【0219】
なお、加熱によって液状化することになる味噌汁とお茶は、セルの切れ目1C、2Cによって小さい一口セルになっているが、そのほかは、一口以上のサイズで形成することも可能で、ひとつの包装の中に入れ込むことが出来、携帯にも便利である。
【0220】
第4の実施形態
【0221】
図10は寿司を作り込んだものである。
【0222】
下のセルには酢飯23が入り、上には図では寿司種27としてツナ、24に添付材としてマヨネーズが入っている。
【0223】
ゼリー状のワサビ26と付け合せの酢漬け生姜25は使わない人や、後で口直しに食べる場合、はずすことができる。
【0224】
すし種27は卵焼き、ボイルえび、アナゴ、酢漬けの魚、貝類などをはじめ様々な食材に対応できる。
【0225】
第5の実施形態
【0226】
図11は、カレーライスを作り込んだ図である。
【0227】
28がライス部であり、普通のご飯、あるいはサフランやターメリック、バターなどの香料で香り付けしたご飯が入っている。
【0228】
さらに、ご飯部に添付される乾きもの(レーズンやナッツ、チーズ等)29が添付されている。
【0229】
32がカレーソース(パテ、ルー)である。肉や野菜などは多くのレトルトと同様にソース内に埋没添付されているが、別セルで添付して、味のしみこんだものではなく、異なる状態の味付けによって、新鮮な味覚の干渉を導き出す方法も取れる。
【0230】
福神漬けやチャツネ30、ゼリー状のガラムマサラ31などの外付け添付材は、好みで随時使用できるものである。
【0231】
第6の実施形態
【0232】
図12はカツ丼を作りこんだ図である。
【0233】
カツは肉部分34と、衣は分離され、衣もかりかりした部分36としっとりした部分37に作り分けられている。
【0234】
卵とじ部分35とタレ33は別添えされており、口中でタレや卵とじ部分が、はじめてごはんと混じるように構成されている。
【0235】
同様の構成で、親子丼、天丼、うなぎ丼、牛丼などが製作できる
【0236】
第7の実施形態
【0237】
図13は、ラーメンを形成したものである。
【0238】
麺は生麺であるが、ゼリー状の被覆材でできたセルに納められ、たとえばコンニャクは加熱殺菌が可能なので、フィルムパックに入れれば缶詰に入っているのと同様に保存が可能である。
【0239】
このときセル内部、もしくは包装パッケージ内部に僅かの食用アルコールを封入することで、よりいっそうの殺菌、防黴処理となる。
【0240】
麺を、柔らかく口中で溶けるゼリーの中に埋め込む、あるいは麺の表面を薄いゼリー状の皮膜で被覆する、もしくは僅かの食用油を与えるなどの方法で、麺が互いにくっつきあって一体化するのを避けることができる。
【0241】
麺に細かなちじれを与えた成形方法でも、麺どうしがくっつきあうことをさけることができる。
【0242】
麺は単一のものでもよいが、やわらかいもの38と、若干硬い腰のあるもの39と、二つ用意することで食感がより楽しめる。
【0243】
一口で口に入れるもしくは、一口で噛みとった断片を咀嚼することで、麺とスープ40がはじめて出会い、一体化し、互いに干渉することで第3の味覚を味わうことができる。
【0244】
焼き豚42、メンマなどの具材43、薬味(刻みねぎなど)、コショウなどの添付物用のセル43を備え、これらは食べるとき、順番を変えたり、取り外したりが自由に出来、好みに合わせることができる。
【0245】
これら随時添付物は、図5に示す別添付のセル1’のようにも成形できる。
【0246】
製造の際には、スープ40を、中華スープ、醤油系中華スープ、味噌ラーメン系、塩バターラーメン系、豚骨スープ系、チャンポン系スープ、スープスパゲッティ系、あるいは濃く量の少ない付け麺風のスープに変えることが可能である。
【0247】
また、麺38、39を蕎麦、うどん、素麺、春雨、ビーフン、揚げ麺そのほか韓国の冷麺、ベトナムのフォー、スパゲッティ、マカロニなど様々なパスタに変えて製作することが可能である。
【0248】
その場合、スープや具材はそれぞれ対応するものに自由かつ容易に変更できる。
【0249】
てんぷら(たぬき)ソバ、うどんなど、トッピングに揚げ玉やてんぷらを使用するものについては、揚げ玉のかりかりした感触と、そばつゆに漬かった状態の二つの状況があるので、添付セルを二つにわけることで、ふたつの変化を再現できる。
【0250】
第8の実施形態
【0251】
図14は餃子をイメージしたものである。
【0252】
餃子には多くタレが使われるが、このタレは食べる直前につけることが多い。そのため、冷凍物でもレトルトでもタレは別に小袋を用意して、小皿の上でつけてから食するのが常であった。しかもこのタレは液状であり、色とにおいが強いため、こぼしたり、服についたりすると、やっかいであった。
【0253】
本発明では、口中に含んで、セルを噛み破って咀嚼したとき、はじめて内容物と混合され、味覚の干渉を引き起こすものとなっている。服やテーブルを汚すこともなく、小皿を用意したりする必要もなく便利である。
【0254】
図44は餃子の餡、45は焼けた、かりかりした皮、46はしっとりした皮が、折りたたむ、もしくは丸めるなどして収納してある。47はラー油、48は酢、49は豆板醤、50は醤油であり、液状もしくはゼリー化されている。
【0255】
これら調味料関係は自由に取り外すことで好みの味に調整できる。
【0256】
なお、同様の製法で焼売、小龍包、春巻きなどが成形できる。小龍包ではタレのほかにさらに肉汁スープのセルをつけることで、通常食のものと同様の味わいを演出できる。
【0257】
ここにさらにご飯のセル、あるいは肉まんの皮と同類のセルを添付することで、餃子ライスとか肉まんと同様のレシピとなる。
【0258】
第9の実施形態
【0259】
図15はミートソース系のスパゲッティを製作した図である。51が腰のあるパスタ、52がやわらかいパスタである。パスタの一方の表面に焼き目をつけておくことも可能である。
【0260】
55はミートソース、54は香辛料、オリーブオイルなど、53は粉チーズである。
【0261】
スパゲッティにはソースをからませる方法として付着添付型のもの、つまり最後に上からかけるものと、埋没添付型(フライパンなどの上で混ぜてしまう)のものがある。
【0262】
しかし、埋没添付型のものでも、混ぜ合わせてから実際に食べるまでの時間は10分程度以内なので、図のようにソース21と、腰のあるパスタを分離しておいたほうが味の混合がなく、長期保存が可能である。
【0263】
もちろん保存期間を短く取るなら、麺とソース55をあらかじめ混ぜてしまうことも可能である。
【0264】
パスタ部分51、52を、マカロニ、ラビオリ他様々な形状、性状のパスタに変えること、55のソース部分をさまざまなソースに変えることで様々なパスタが製作できる。
【0265】
同じパスタであっても、添付材を変えることで、一口ずつ異なるさまざまなスパゲッティを提供することができる、
【0266】
第10の実施形態
【0267】
図16は焼きそばを作りこんだ図である。
【0268】
原理的にはスパゲッティとほぼ同じである。焼きそばは、ソースがほぼ一定しており、トッピングによって様々に変化する。
【0269】
55が焦げ目のある麺、56はしっとりした麺、57は野菜類、肉、魚介類、58は鰹節、59が卵焼き、お好み焼き、揚げ玉、掻き揚げなど、60はソース、61マヨネーズ、62紅生姜であるが、本発明では必要なトッピング具材を補う際にはセルを足せばすむので、様々なタイプの製造が可能である。
【0270】
調理の際の焼け方やソースのしみこみ方の変化を楽しむためにセルをわけて、少なくとも二つ以上の状態の異なる麺にすることでさらに味わいを深くすることが出来る。
【0271】
図では二つのセルに分離してあるが、層状にして一つのセルに入れることも可能である。
【0272】
第11の実施形態
【0273】
図17は、お好み焼き、たこ焼きなどをイメージしたものである。
【0274】
63、64は熱した鉄板上に、ゆるく水で溶いた小麦粉をたらして熱で固め、板状に形成したものを折りたたんで収納したものである。生地は一体化しないように、表面に凹凸がつけてある。
【0275】
生地の表面に、揚げ玉、揚げた小麦粉などの細かなフレーク状の粒子をはさむことでも接触してくっつきあうことを回避できる。
【0276】
65は野菜類、66はソース、67は肉、エビ、イカ、タコ他、68は揚げ玉、かき揚げ類、69はマヨネーズ、70紅生姜などである。
【0277】
お好み焼き、タコ焼きの他、生地を韓国のチヂミ、生春巻き生地、あるいは気泡を持ったパン、ピザ生地やナン生地、ラザニア風生地、タコス、などに変えることでさまざまな料理に対応が可能である。
【0278】
生地をその硬さや、焼きのありなしによって二つ以上の性質を持ったものを制作して組み合わせ、ひとつまたは二つ以上のセルに収納することで、さらにさまざまな食感、焼いたときのさまざまな匂いなどを調整できる。
【0279】
第12の実施形態
【0280】
図18は、デザートをイメージしたものである。
【0281】
71は、小麦粉の生地にバターやミルク、砂糖などを含ませてパイ、ホットケーキ、どら焼きの皮、クレープの皮、あるいはケーキのスポンジを成形したものである。ここでも、焦げ目をつけた部分と、焦げ目のない部分をわけて製作することも出来る。
【0282】
72は、クリーム、小豆餡などの添付物である。
【0283】
72を変えることで、さまざまなデザートが製作できる。
【0284】
例えばショートケーキやチーズケーキ、モンブラン風のものにも成形できる。ショートケーキなどは、形態上、持ち運びには非常に不便であり、長期保存も困難であるが、73のセルには乾き物であるナッツ、レーズンを入れ、74にはゼリーや寒天で包んだ半生の果物を入れ、75にはジャムなどの香料など、製作するデザートの目的によって、セルを調整することで、持ち運びも可能なものが成形できる。
【0285】
第13の実施形態
【0286】
19図は、ハンバーガー用のパン97に、放射状に成形したセル1、2に包んだ食品95、96をはさんだ分解、一部透視断面図である。
【0287】
汁気の多い食品をパンではさむことは今まで容易ではなかった。レトルトパックに入ったものを絞り出せば可能であったが、レトルトパックへの付着損(袋に付着して使えない食材の無駄)があり、しかも互いに味が影響しあう素材の組み合わせでは、二つ以上の袋に分離供給する必要があり、手間がかかる欠点があった。
【0288】
図では、一つのレトルトパックに入った複数のセルを取り出して載せるだけの手間ですみ、時間が経過しても、主材と添付材の味は混じらず、また汁気によりパンの味を損なうことがない。
【0289】
第14の実施形態
【0290】
20図は、内容物を含んだセルを棒状に成形し、両端をふさぐ形で成形したセルを、束ねて複合セルにしたものを、数種類並べたものの一部透視断面図である。
【0291】
Aから左回りに飲料、サラダ(煮物)、お寿司、カレーライス、ラーメン、 おにぎりというように、数種類を並べている。
【0292】
主セルと添付セルは弱く接着され、ブロックごとに取り外して口に入れることができる。
【0293】
全体がパック詰めされ、真空包装もしくはアルコールを含んだ乾燥ガスと脱酸素材84などが底部に配置されている構造である。
【0294】
包装の形態
【0295】
次に複数のセルを組み合わせて通常食に近いメニューとする方法、組み合わせたセルを収納するパックの構造について述べる。
【0296】
図21は、セル、もしくは複合セルを複数個配置し、飲み物を食品の前後に配置した包装を示す図である。
【0297】
食品セル78、79、80は、丼もの、カレー類、お寿司、麺類、お好み焼き、チヂミなど澱粉系の主材に副材などの添付材が付属するもので、通常食では単品料理、もしくはワンボウルディッシュ、つまり器の数が少ない料理をイメージしたものである。
【0298】
多くはこれら通常食のあり方に倣って主材セルの上に副材などの添付セルが載る形式になっている。これらのうちあるものは埋没添付状態、つまり一つのセルの中に添付物すべてを入れ込むことで、セルの数を少なくすることも可能である。
【0299】
ここでは、米主材、麺主材、板もの主材の3種のものが選ばれている。
【0300】
一口ごと、つまりセルごとに図21に示したように異なる種類の料理を配置することも、同じ種類のものを重複して配置することも自由にできる。
【0301】
開封後、まず食前の水やお茶77でのどをうるおし、そして食品が続き、最後に再びコーヒーなどの食後飲料81、そしてガム、ペパーミントゼリーなどの清涼剤もしくはデザート的な甘いもの82などがあることで、食事メニューの一連の流れが再現できるようにしてある。
【0302】
この食事の際に食器は一切不要であり、食後も包装材としてのフィルム76、83と脱酸素材などが残るだけで、ペットボトルや缶などかさばるものが残ることもないので環境衛生的にもよい。
【0303】
外面はフィルムによる包装76がされている。
【0304】
一連のセルは薄い緊張した薄いゴム素材83に内封され、針で突いただけで、緊張したゴムが収縮するので、外部からの注射針などによる異物の混入があったときに、すぐわかるようになっている。
【0305】
外装のフィルム76に例えば透明部分があり、内部のゴム83に識別用の色、模様、文字などがあると、ゴムが破れているかどうかが包装をあけるまでもなく一目でわかり便利である。
【0306】
包装内は真空パックにすることもできるし、セルの下部に脱酸素材、腐敗防止剤、もしくは食用アルコールを発散する物質84が、セルを支えるトレイ状の形で配置されていることで長期保存に耐えることができる。
【0307】
セルの下部などに、濡れた紙おしぼりにアルコールを浸み込ませて配置することで、殺菌と腐敗防止を行い、かつ食事の後、手などを拭くように構成することも可能である。
【0308】
脱酸素材84にカイロに利用される鉄を用いたものを含ませることで、封を切るまでは脱酸素材として機能し、封を切ってからは酸化による発熱でセルを温める構成にすることも出来る。
【0309】
あるいは、登山や寒冷地での用途により、より加熱を早くする様々な加熱材を配置することも可能である。
【0310】
図22は、コース料理をイメージした組み合わせの図である。水、もしくはお茶85のあと、86にスープがあり、87のサラダ、88の魚料理、90の肉料理と89、91のご飯もしくはパンの組み合わせ、がセットとして続き、最後はデザート92、そしてコーヒー、もしくは紅茶の93、そして清涼剤94でひとつのコース料理となっている。
【0311】
同様に茶懐石、もしくは料亭風の会席料理、中国の飲茶的なもの、あるいは中華料理のコース、さらには屋台的なジャンクフード、家庭料理的なもののセットも製作が可能である。
【0312】
図23は、非常用食料などに用いることができるセットの包装を示した図である。1食分として飲料96を含めていくつかの料理97などを含み、最低必要なカロリーが十分補える量で制作してある。
【産業上の利用可能性】
【0313】
この複合セルによる食品は、セルを加熱殺菌可能な素材とすれば、セルごとあるいはパッケージごとまとめて加熱殺菌が出来る。
【0314】
頑丈なフィルムであれば、加熱時にセル内に残ってしまった気泡が膨張しても、耐えることができ、フィルムパックごと加圧して加熱すれば、通常より沸点をあげることも出来るため、より高温での殺菌が可能であり、ある程度の保存に耐える非常食としても有効である。
【0315】
数種類をセットにしてフィルムパックに同梱することが、ごみを少なくし、環境衛生的にも有効である。
【0316】
さらに缶詰や瓶詰めの中にセットで入れることで、長期にわたる保存に耐えることができ産業的にも有効である。

【図面の簡単な説明】
【0317】
【図1】コーヒー飲料を製作した一部断面図
【図2】複合したセルを食用の素材でまとめた一部断面透視図
【図3】成形用枠を示した斜視図
【図4】主セルと添付セルを配置した図
【図5】大小の溝を備えたゼリー、もしくは樹脂からなる枠
【図6】添付セルの形態を紹介する斜視図
【図7】ご飯を包んだセルを示す透視図
【図8】野菜サラダを制作した一部透視断面図
【図9】おにぎりと味噌汁のセットを示した一部断面図
【図10】寿司を制作した一部断面図
【図11】カレーライスを制作した一部断面図
【図12】カツ丼を制作した一部断面図
【図13】ラーメンを制作した一部断面図
【図14】餃子を制作した一部断面図
【図15】スパゲッティを制作した一部断面図
【図16】やきそばを制作した一部断面図
【図17】お好み焼き、たこ焼きを制作した一部断面図
【図18】デザートを制作した図
【図19】ハンバーガー的な食品を制作した図
【図20】複合セル製作図
【図21】包装形態1を示す一部断面透視図
【図22】包装形態2を示す一部断面透視図
【図23】包装形態3を示す一部断面透視図
【符号の説明】
【0318】
図の説明と重複するが、図の説明と符号の説明を組み合わせて述べる。
図1 コーヒー飲料を製作した一部断面図
1 収納部(主セル)
2 収納部(添付セル)
2’帯
3 コーヒー、紅茶、水など(ストレート)の飲料
4 甘味料
5 クリーム、ミルク
6 名称の表示
A 横幅
B 高さ
C 奥行
D 口に入れる方向
図2 複合したセルを食用の素材でまとめた一部断面透視図
7 食用素材
図3 成形用枠を示した斜視図
8 成形用枠
8’成形用枠差込型
図4 主セルと添付セルを配置した図
図5 大小の溝を備えたゼリー、もしくは樹脂からなる枠
図6 添付セルの形態を紹介する斜視図
図7 ご飯を包んだセルを示す透視図
9 穴
10 把手
11 米(飯)粒
図8 野菜サラダを制作した一部透視断面図
12 野菜類
13 ドレッシング各種
14 クルトン
1’随時使用の添付セル
図9 おにぎりと味噌汁のセットを示した一部断面図
A おにぎりとお茶部の複合セル
B 味噌汁類の複合セル
1C セルの分割部
2C セルの分割部
15 味噌汁
16 漬物
17 香辛料もしくはタレ類
18 おひたし
19 ご飯
20 お茶などの飲料水部
21 のり、鰹節、シソ他の乾燥食材
22 梅干、サケ、タラコなどの湿った食材
図10 寿司を制作した一部断面図
23 酢飯
24 マヨネーズ
25 酢漬けの生姜
26 練りわさび
27 寿司種(ツナ他)
図11 カレーライスを制作した一部断面図
28 ライス
29 乾き物食材(レーズン、ナッツ類)
30 チャツネ、福神漬けなど
31 ゼリー状ガラムマサラ
32 カレーソース(パテ)
図12 カツ丼を制作した一部断面図
33 たれ
34 カツの肉部分
35 卵とじ部分
36 衣(かりかり部分)
37 衣(しっとり部分)
図13 ラーメンを制作した一部断面図
38 麺 こしあり
39 麺 やわらかい
40 スープ
41 刻みねぎなどの薬味
42 焼き豚
43 メンマなどの具材
図14 餃子を制作した一部断面図
44 餃子の餡
45 皮(焼けたかりかり部)
46 皮(しっとりした部分)
47 ラー油
48 酢
49 醤油
50 豆板醤
図15 スパゲッティを制作した一部断面図
51 パスタ こしあり
52 パスタ やわらかい
53 粉チーズ
54 香辛料
55 ミートソース
図16 やきそばを制作した一部断面図
55 焼きソバ麺 焦げ目あり
56 焼きソバ麺 しっとり調
57 野菜、肉、魚介類
58 かつおぶし、のり他の乾燥食材
59 卵焼き、お好み焼き、揚げ玉、掻き揚げ他
60 ソース
61 マヨネーズ
62 紅しょうが
図17 お好み焼き、たこ焼きを制作した一部断面図
63 小麦粉生地 カリカリ
64 小麦粉生地 しっとり
65 野菜類
66 ソース
67 肉、エビ、イカ、タコ他
68 あげ玉、かき揚げ、紅しょうが他
69 マヨネーズ
70 紅生姜
図18 デザートを制作した図
71 小麦粉によるスポンジ
72 クリーム、もしくは小豆餡など
73 ナッツ、レーズン類
74 果物など
75 香料(ペパーミント)
図19 ハンバーガー的な食品を制作した図
95 副材
96 調味料などの添付材
97 ハンバーガーのパン
図20 複合セル製作図
図21 包装形態1を示す一部断面透視図
76 フィルム包装
77 飲料水
78 食品セル1
79 食品セル2
80 食品セル3
81 コーヒーなどの食後飲料
82 清涼剤、デザート
83 薄いゴムによる包装
84 脱酸素材、アルコールで湿ったおしぼりなど
図22 包装形態2を示す一部断面透視図
85 水
86 スープ
87 サラダ
88 料理1
89 ご飯
90 料理2
91 ご飯
92 デザート
93 コーヒー、紅茶
94 清涼剤
図23 包装形態3を示す一部断面透視図
96 飲料
97 いくつかの料理


【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い食用のゼリー状被膜によって、内容物を一口大より小さい断面を持つ大きさに包んだセル(隔室)から構成され、
内容量の多いものを封じた主セルと、それに随伴する、少なくとも一つ以上の添付セル(隔室)を、取り外し自由に組み合わせた複数のセルからなる、複合セル構造を有し、
該添付セルは棒状、もしくは板状に形成され、一口で口に入る長さ以下に成形された単体、もしくは前記単体を切り離し自由につなげたものであることにより、主セルに随伴して一口で一包が口に入るため、内容物が液状であっても、こぼれたり飛び散ったりしないように構成され、取り外す、もしくは調整することによって、自分の望む味覚に調整することができるものであり、
該添付セルのうち少なくとも一つは、味の濃厚なソース系内容物を含むソース系添付セルであり、
その内容物は、醤油、ソース、ドレッシング、各種料理用のたれ、ラーメンスープ、カレーソース、ミートソース、シチュー、グラタンソース、マヨネーズ、ジャム、甘味料、ミルク、各種オイル、香辛料など、多くは通常液体、もしくは半流動体で供給され、料理の味付け要素として、料理の主材に、調理の最終段階で添付されるものであることにより、
口中で咀嚼したとき双方のセルが開放され、内容物が混じりあうことで味覚の干渉が起き、一つの料理、飲料が構成されるものであり、
飲食時に受け食器、取り扱い食器、および調理を必要とせず、廃棄容器も軽便であることを特徴とする、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品(飲料)
【請求項2】
前記主セル、もしくは/および前記添付セルがゼリー状の物質の中に食品、飲料を埋め込んだものであり、どこで切断しても内容物がこぼれ出さないセル構造を有し、少なくとも複数のセルが束ねられ、同時咀嚼によって一つの料理を形成するように構成された複合セルからなることを特徴とする、
請求項1記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品(飲料)
【請求項3】
前記添付セルのゼリー状被膜が、コンニャク、ゼラチン、寒天のほか、キサンタンゴム、カロブビーンゴム、タラゴムその他のガラクトマンナンゴム、アルギン酸カルシウムその他のアルギン酸塩、カラギーナン、ペクチンまたは豆腐、湯葉などの他、ライスペーパーにコーティングを施したもの、気泡を含んだ澱粉系の素材、各種食用繊維、樹脂類などのうちの少なくとも一つを成分とするものであり、加熱殺菌が可能であることにより、気密パック詰めすることで長期保存が可能であるように構成されている、
請求項1記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品(飲料)
【請求項4】
前記、主セル、もしくは添付セルの表面が、樹脂等による被覆コーティング、もしくは粉うち、もしくは気泡を含むパン状の素材による被覆によって、指で持ったときべとべとしないように構成され、
添付セルは、主セル、もしくは他のセルに組み合わせるための接合部、もしくは接合機構を備えることによって、自由に組み合わせることが可能なことを特徴とする、
請求項1、2、3のいずれかに記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品(飲料)
【請求項5】
前記主セルの内容物が、米、麦、ソバ、とうもろこし、ジャガイモなどを原料とした主に澱粉系で、一般には味の淡白なものであり、米飯から麺類、小麦粉を練ったもの、水溶き小麦粉を焼いたもの、気泡を含んだスポンジ状のものなども含むものであり、
ソースセルと組み合わせることで、麺類、パスタ、丼物などさまざまな料理に対応が可能であることを特徴とする、
請求項1、2、3、4のいずれかに記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品(飲料)
【請求項6】
前記主セル内容物である米飯、麺類、パスタ類が互いにくっつきあわないように、
内容物の表面が細かな凹凸を備えたものである、もしくは表面に薄いゼリー状の被膜を備えたものであることにより、内容物が互いにくっつきあわないように構成された、
もしくは/および、
水分の多いものと少ないもの、焼き焦げのあるものとないものなど、互いに相反する食感、食味を備えた複数の素材を、セルを分ける、もしくは同一セルの中に並存させることによって、微妙な食感の違いを演出できることを特徴とした、
請求項1、3、4、5のいずれかに記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品(飲料)
【請求項7】
前記主セルの内容物が、コーヒー、紅茶、お茶、水、酒・アルコール類などの飲料、もしくは該飲料を口中で溶けるゼリー状にしたものであり、
前記添付セルの内容物が、甘味料、クリーム、ミルク、香料、砂糖菓子など、通常は飲み物に後から添えられ、飲む寸前に添加される添付物のうち、少なくとも一つ以上を含むものであることにより、
該添付セルを取り外し、もしくは調整することによって、飲み物を自分の望む味に調整できることを特徴とした、
請求項1、2、3、4のいずれかに記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品(飲料)
【請求項8】
前記主セルの内容物が、肉、魚介類、野菜、練り物、大豆素材のもの等であり、
たれを含んだソースセルと組み合わせることで、添付セルを取り外し、もしくは調整することによって、自分の望む味に調整でき、さまざまな料理を構成できることを特徴とする、
請求項1、2、3、4、5、のいずれかに記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品。
【請求項9】
前記複合セルに含まれた、ソースセル以外の添付セルのうち一つの内容物が、てんぷらやカツの皮、揚げ玉、あるいは蓮根や筍、クルトン、ウエハース、ナッツ類、イモ類などのように、カリカリ、パリパリした、あるいはガリガリした食感を備えた食材であることにより、
主材とする食品に添付し、選択により好みの味に調節することが出来、自由にさまざまな食感を与え得ることを特徴とする、
請求項1、2、3、4、5、6、7、8のいずれかに記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品。
【請求項10】
前記複合セルに含まれた、ソースセル以外の添付セルのうち一つの内容物が、わさび、練りからし、唐辛子、チーズ、などの刺激物系の香辛料であることにより、主材とする食品の上に添付することで、選択により好みの味に調節することが出来、自由に料理にめりはりを与え得ることを特徴とする、
請求項1、2、3、4、7、8、9のいずれかに記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品。
【請求項11】
前記複合セルに含まれた、ソースセル以外の添付セルのうち一つの内容物が、刻みねぎ、刻み冥加、おろし生姜、おろし大根などの薬味系の香辛料であることにより、主材とする食品の上に添付することで、選択により好みの味に調節することが出来、自由に料理にめりはりを与え得ることを特徴とする、
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10のいずれかに記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品。
【請求項12】
前記複合セルに含まれた、ソースセル以外の添付セルのうち一つの内容物が、酢漬け生姜、紅生姜、漬物、福神漬け、チャツネ、ピクルス、ペパーミントの葉、お茶請けの菓子類、デザートなど口直しに用いる添え物であることにより、主材とする食品の傍に添付することで、選択により好みの味に調節することが出来、自由に料理にめりはりを与え得ることを特徴とする、
請求項1、2、3、4、7、8、9、10、11、12、のいずれかに記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品。
【請求項13】
前記主セル内容物が米飯であり、ソースセル、もしくはその他の添付セルの内容物が、梅干、焼きシャケ、たらこ、昆布、のりなどのうちのどれか一つ以上を含んだものであることにより、
長期保存に耐えるおにぎりを製作できることを特徴とする、
請求項1、2、3のいずれかに記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品。
【請求項14】
セルの内容を説明するための添付物の処理方法、注意事項などが、文字、数字、点字、図形(アイコン)もしくは写真、もしくは着色によって示されていることにより、セルの内容物とその食べ方の注意点がわかりやすく説明されていることを特徴とする、
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13のいずれかに記載の、
ソース系添付セルを含んだ、複合セルによって構成された即時食品。
【請求項15】
単一の料理を構成する複合セルを少なくとも一つ以上備え、
それに飲料を構成する複合セル、デザートを構成する複合セル、
食後の清涼剤を構成するセルのうちのどれか一つ以上を備え、
フィルムシートで形成された一つのパック、もしくは缶の中に、飲料と料理のセットを同梱したことで、加熱殺菌により長期保存が可能となり、
のどを潤した後、各種料理を楽しみ、デザートと飲料を楽しむなど、通常食の一般的メニューに類似したものを楽しむことが出来るように構成した、複合セルを複数個備えた複合セルのセット。
【請求項16】
複合セル単体、もしくはそのセットを薄いゴム被膜を緊張した状態で包み、その上からパック詰めにし、
パックの一部が透明素材であり、内部のゴム被覆に目に付きやすい色、もしくは模様があることにより、
注射針などによる異物混入時、ゴム被膜が収縮することで、注射針による異物混入の有無を確認することの出来ることを特徴とする、
複合セルによって構成された即時食品(飲料)のパック。
【請求項17】
酸化により発熱する鉄を素材としたカイロに用いられる発熱材を酸化防止剤として用い、密封状態では脱酸素材とし、開封後は内容物を温めるように構成した、
複合セルによって構成された即時食品(飲料)のパック。
【請求項18】
把手を備えた枠を用意し、枠に内容物を収納した後、把手で支え、被覆溶液の中につけることで、全体を被覆しセルを構成するセル食品の製造方法。
【請求項19】
内容物を内側に包んだセルを棒状に成形し、複数個束ね、その後スライスし、断面を閉鎖することで複合セル構造にすることを特徴とする、複合セル食品の製造方法。
【請求項20】
内容物を内側に包んだセルを棒状に成形しスライスした後、複数個束ね、断面を閉鎖することで複合セル構造にすることを特徴とする、複合セル食品の製造方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2011−139663(P2011−139663A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1787(P2010−1787)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【特許番号】特許第4535407号(P4535407)
【特許公報発行日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(305037318)
【Fターム(参考)】