説明

複合ダイポールアンテナ装置

【課題】低い周波数帯域を含む広帯域に適合する多線式または複合式のダイポールアンテナ装置を提供。
【解決手段】複合ダイポールアンテナ装置10は、それぞれ異なる周波数帯域に適合する複数のダイポールアンテナ12ないし20を含み、ダイポールアンテナ18ならびに20は、それぞれ、複数の分割導体および複数の終点を有する一対のエレメント28および38ならびに30および40を含み、複数の分割導体は、それぞれ、各分割導体を通る複数の経路が互いに異なる周波数帯域に適合するように異なる長さで形成されることにより、低い周波数帯域を含む広帯域の無線信号に適合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域の無線信号の送受信に用いられる多線式または複合式のダイポールアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ダイポールアンテナは、アンテナ素子、すなわちエレメントを含んで構成され、また、給電部を介して給電された電圧をエレメントに印加して動作し、無線通信装置に対して無線信号を送受信することができる。
【0003】
無線通信装置は、通常、所定の周波数帯域に特化して無線信号を送受信するように構成されているので、ダイポールアンテナは、無線通信装置に応じた周波数帯域の無線信号を効果的に送受信できるように設計および構成される。
【0004】
また、ダイポールアンテナは、広帯域の周波数の無線信号の送受信に適合するように設計および構成することもでき、たとえば、複数のエレメントを円錐状に配し、または特許文献1に記載するように、エレメントを円錐状に形成してバイコニカルアンテナとして構成されるものがある。このようなバイコニカルアンテナは、広帯域の無線信号、たとえば、UWB(Ultra Wide Band)信号、レーダーまたはFM(Frequency Modulation)信号を送受信する無線通信装置の誤動作試験および電界強度測定に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−215161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のダイポールアンテナでは、広帯域の周波数帯域の無線信号を支持するように設計した場合、低い周波数帯域、たとえば周波数20MHzの無線信号に関して、効果的な共振を実現することは困難である。
【0007】
このダイポールアンテナを用いて電界強度測定を行い、たとえば、10KWの電力を使用して20MHzの周波数に対する電界強度を測定すると、25V/m程度の電界強度しか得ることができない。たとえば、自動車に搭載される電子機器の電磁妨害(EMI:Electro-Magnetic Interference)試験における規格では、100V/mの電界強度が要求されるので、従来のダイポールアンテナを使用する場合には、受信信号を増幅するためにゲインの大きなアンプを備える必要がある。
【0008】
また、ダイポールアンテナが低い周波数帯域の無線信号を取り扱う場合、エレメントを長くする必要があるが、電界強度測定は、屋内、たとえばシールドルーム内において行う場合もあるので、長いエレメントを備えた大型のアンテナ装置は不利となる。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑み、広帯域の無線信号の送受信に適合し、低い周波数帯域の無線信号に対しても効率良く共振して高い電界強度を得ることができる多線式または複合式のダイポールアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の課題を解決するために、それぞれが一対のエレメントを有する複数のダイポールアンテナを含み、給電部を介して電力をこのエレメントに供給して動作する複合ダイポールアンテナ装置は、これらの複数のダイポールアンテナのそれぞれにおいて、このエレメントは、互いに実質的に同じ長さおよび形状の線状または棒状の導体で形成され、この給電部を基準にして実質的に対称的に配され、この導体は、これらの複数のダイポールアンテナのうちの少なくとも2つの間では、長さが異なり、異なる周波数帯域に適合するように構成され、これらの複数のダイポールアンテナのうちの少なくとも1つにおいて、この導体は、互いに分岐してそれぞれの終点を有する複数の分割導体を有し、これらの複数の分割導体は、それぞれの分割導体を通ってこの終点に至る経路が、互いに異なる周波数帯域に適合するように、異なる長さで形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多線式または複合式のダイポールアンテナ装置は、それぞれ異なる周波数帯域に適合する複数のダイポールアンテナを含んで構成され、少なくとも1つのダイポールアンテナは、複数の分割導体および複数の終点を有する一対のエレメントを適用して構成し、複数の分割導体は、それぞれ、各分割導体を通る複数の経路が互いに異なる周波数帯域に適合するように、異なる長さで形成することにより、低い周波数帯域、たとえば20MHzの周波数帯域を含む広帯域の無線信号に適合することができる。
【0012】
また、本発明の複合ダイポールアンテナ装置では、少なくとも1つのダイポールアンテナにおけるエレメントは、所定の二次元平面の範囲内で導体を折り曲げて形成した主体部を有し、さらに、このようなエレメントを少なくとも2つ以上のダイポールアンテナに適用して、ダイポールアンテナの適合する周波数帯域に拘らず、エレメントの始端から終端までの長さを等しくすることができる。これにより、本装置は、そのサイズを小さくすることができ、配置されるシールドルームなどの限られた場所に合わせたサイズで構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る複合ダイポールアンテナ装置の一実施例を示す投影図である。
【図2】図1に示す複合ダイポールアンテナ装置の短手方向の断面図である。
【図3】図1に示す複合ダイポールアンテナ装置におけるエレメントの一実施例を示す図である。
【図4】図1に示す複合ダイポールアンテナ装置におけるエレメントの一実施例を示す図である。
【図5】図1に示す複合ダイポールアンテナ装置におけるエレメントの一実施例を示す図である。
【図6】図1に示す複合ダイポールアンテナ装置におけるエレメントの一実施例を示す図である。
【図7】図1に示す複合ダイポールアンテナ装置におけるエレメントの一実施例を示す図である。
【図8】図1に示す複合ダイポールアンテナ装置で得られる電圧定在波比を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に添付図面を参照して本発明による多線式または複合式のダイポールアンテナ装置の実施例を詳細に説明する。図1を参照すると、本発明による複合ダイポールアンテナ装置10の実施例は、それぞれ異なる周波数帯域に適合する複数のダイポールアンテナ12、14、16、18および20を含んで構成され、各ダイポールアンテナを構成するアンテナ素子、すなわちエレメントに対して、給電部42を介して電力を供給し、たとえば電圧を印加することにより、広帯域の無線信号を送受信可能とするものである。なお、本発明の理解に直接関係のない部分は、図示を省略し、冗長な説明を避ける。
【0015】
複合ダイポールアンテナ装置10は、無線信号の送受信装置や監視装置、試験装置などに備えられ、給電部42を介してこれらの装置に接続されるもので、これらの装置において、その接続部分、すなわち給電部42付近を軸に回転可能に備えることができる。
【0016】
図1に示すように、本実施例の複合ダイポールアンテナ装置10は、一方から他方へと延在した形状、たとえば直方体形状を有して構成されているが、この形状に限らず、たとえば多方向に延在して構成されてもよい。また、図1では、複合ダイポールアンテナ装置10は、水平方向に延在するように構成されているが、該装置10自身の回転を考慮すると、延在方向は水平方向に限らない。ただし、以下では、説明の簡略化のため、水平方向に延在するものとして説明する。図1では、本装置10におけるダイポールアンテナおよびそのエレメントの配置および形状を容易に理解できるように、点線および一点鎖線を含むが、これらは実際の構成要素ではない。
【0017】
また、本実施例の複合ダイポールアンテナ装置10は、給電部42をその中央に備え、複数のダイポールアンテナ12ないし20を給電部42の付近で束ねるように備えて構成される。複合ダイポールアンテナ装置10は、本実施例では、それぞれ異なる周波数帯域に適合する複数のダイポールアンテナ12ないし20を含んで構成されて、広帯域の無線信号に効果的に反応することができるが、所定の周波数帯域にとくに効果的に反応するために、その周波数帯域に適合する同じダイポールアンテナを重複して含んでもよい。
【0018】
本実施例の複合ダイポールアンテナ装置10において、複数のダイポールアンテナ12、14、16、18ならびに20は、それぞれ、一対のエレメント22および32、24および34、26および36、28および38、ならびに30および40を含んで構成される。各ダイポールアンテナは、その一対のエレメントを、給電部42を基準にして対称的に配し、たとえば点対称に配して構成される。図2は、図1において一点鎖線で示される断面図、すなわち本装置10の直方体形状における短手方向の断面図を示し、エレメント22、24、26、28および30の配置例を示すが、これらに対称的に配されるエレメント32、34、36、38および40も同様に配置される。
【0019】
また、図1では、複数のダイポールアンテナ12ないし20は、複合ダイポールアンテナ装置10において、該装置10の延在方向、たとえば水平方向に延在するように備えられ、該装置10の直方体形状に納まるように備えられているが、これらの水平方向および直方体形状に限らず、各ダイポールアンテナのエレメントが互いに干渉しないように間隔を空けて配されるとよい。
【0020】
本実施例において、エレメント22ないし40は、線状または棒状の導体で、エレメントの固定端に相当する一方の端部、すなわち始端から、エレメントの自由端に相当する他方の端部、すなわち終端へと延長して長手軸を有するように形成される。
【0021】
エレメント22ないし40は、本装置10の延在方向に延びている主体部を有し、この主体部が給電部42に直接的に接続されてもよく、また給電接続部を介して給電部42と接続されてもよい。たとえば、図1および図2に示すように、エレメント24ないし30、および34ないし40の主体部は、本装置10の延在方向に垂直に延びている給電接続部を介して給電部42と接続される。本実施例の給電接続部は、本装置10の延在方向に垂直に延びて形成されるが、主体部間の間隔を空けることができれば、他の形状で形成されてよい。なお、以下の説明では、主体部をエレメントと称する場合もある。
【0022】
本実施例では、エレメント22ないし40の主体部は、それぞれ、所定の二次元平面の範囲内で導体を配して形成され、たとえば図3ないし図7に示すように、所定の長方形の範囲内、とくにその辺上に導体を配するように形成されるが、長方形に限らず、その他の二次元または三次元の形状で導体を配してもよい。
【0023】
また、エレメント22ないし40は、複数のダイポールアンテナ12、14、16、18および20ごとに、適合する周波数帯域に応じて導体の長さを変えて形成され、それぞれの一対のエレメントは、互いに同じ長さおよび形状の導体を有して形成される。本実施例の一対のエレメントは、ダイポールアンテナとして機能するように互いに同じ長さおよび形状で形成されればよく、すなわち実質的に同じ長さおよび形状で形成される。このように、ダイポールアンテナごとにエレメントの長さを変えることにより、複数のダイポールアンテナがそれぞれ異なる周波数帯域に適合し、複合ダイポールアンテナ装置10は広帯域の無線信号に効果的に反応することができる。たとえば、より長い導体でエレメントを形成することによって、より低い周波数帯域の無線信号に対して、より効果的に共振するように構成することができる。
【0024】
各エレメントにおいて、導体の固定端に相当する一方の端部、すなわち導体の始点は、エレメントの始端に配され、導体をエレメントの終端に向けて延長してエレメントが形成される。本実施例では、少なくとも1つのダイポールアンテナにおけるエレメントの主体部は、導体を折り曲げて所定の二次元平面上に配するように形成される。したがって、導体の自由端に相当する他方の端部、すなわち導体の終点は、エレメントの終端に限らず、エレメントの始端と終端との間に配されてもよく、たとえば、エレメントの終端に達してから始端方向に戻って配され、または、終端に達する前に配されてもよい。
【0025】
本実施例では、このように導体を折り曲げて形成されるエレメントを適用することにより、少なくとも2つ以上のダイポールアンテナ14、16、18および20は、適合する周波数帯域、すなわち導体の長さに拘らず、エレメントの始端から終端までの長さを等しくして構成することができる。これにより、該装置10は、そのサイズを小さくすることができ、配置されるシールドルームなどの限られた場所に合わせたサイズで構成することができる。
【0026】
該装置10において、ダイポールアンテナは、導体の終点を1つだけ有するエレメントを対にして構成されてもよいが、少なくとも1つのダイポールアンテナは、導体を複数の分割導体に分岐して複数の終点を有して形成されるエレメントを対にして構成され、これら複数の分割導体は、それぞれ、各分割導体を通る複数の経路が互いに異なる周波数帯域に適合するように、異なる長さで形成される。
【0027】
たとえば、図3に示すように、エレメント22および32は、導体を曲げることなく、導体の終点をエレメントの終端に配して形成される。また、図4ならびに図5に示すように、エレメント24および34、ならびに26および36は、導体をエレメントの終端で曲げて、導体の終点をエレメントの終端に配して形成される。これらのエレメントのように、導体の終点を1つだけ有するものを、ここでは単終点エレメントと称する。
【0028】
また、本実施例ではとくに、図6ならびに図7に示すように、エレメント28および38、ならびに30および40は、導体を途中で分岐して2つの終点、すなわち第1の終点および第2の終点を有して形成される。これらのエレメントのように、導体の終点を複数有するものを、ここでは多終点エレメントと称する。本実施例では、多終点エレメントの導体において、始点から分岐点までの部分を共有導体と称し、分岐点から第1の終点までの部分を第1の分割導体と称し、分岐点から第2の終点までの部分を第2の分割導体と称する。また、共有導体および第1の分割導体を通る経路を第1の分割経路と称し、共有導体および第2の分割導体を通る経路を第2の分割経路と称する。
【0029】
このような多終点エレメントは、第1の分割導体と第2の分割導体とで長さを変え、すなわち第1の分割経路と第2の分割経路とで長さを変えて、それぞれ異なる周波数帯域に適合するように構成することができる。たとえば、複数の分割導体のうちの1つを通る経路を、該装置10において無線信号に反応する経路のうちで最も長く形成して、その経路が該装置10において最も低い周波数帯域に適合するように構成することができる。また、複数の分割導体は、一方の分割導体を通る経路と他方の分割導体を通る経路とで、適合する周波数帯域が隣接しないように、異なる長さで形成されるとよい。
【0030】
図6に示すように、多終点エレメント28および38において、第1の分割導体は、曲げられることなくエレメントの終端に向かって延長し、導体の終点をこの終端に配して形成され、また、第2の分割導体は、第1の分割導体から離れて延長した後、エレメントの終端に向かって延長し、この終端で曲げられて、導体の終点をこの終端に配して形成される。
【0031】
また、図7に示すように、多終点エレメント30および40において、第1の分割導体は、曲げられることなくエレメントの終端に向かって延長し、導体の終点をこの終端に達する前に配して形成され、また、第2の分割導体は、第1の分割導体から離れて延長した後、エレメントの終端に向かって延長し、この終端で曲げられて第1の分割導体の延長線上に向かって延長し、さらに第1の分割導体の延長線上において分岐点の方向に戻って延長して、第1の分割導体に達する前に導体の終点を配して形成される。
【0032】
このように、多終点エレメント28、30、38および40は、結果として第1および第2の終点が互いに近接し、たとえば第1または第2の終点が第2または第1の分割導体の延長線上に配されるが、エレメントの全体的な形状の範囲において、第1または第2の分割経路が遠回りをするように第1および第2の分割導体が配されて、第1および第2の終点の付近における第1および第2の分割経路の進行方向が異なるように構成される。
【0033】
本実施例のエレメント22ないし40の主体部は、二次元平面上に導体を配して形成され、とくに多終点エレメント28、30、38および40の主体部は、図6および図7に示すように、その平面上で英文字「C」の字状またはカタカナ文字「コ」の字状に導体を配して形成されているが、その他の形状に導体を配してもよく、また、複数の分割導体を三次元で配してもよい。
【0034】
また、複合ダイポールアンテナ装置10において、エレメント22ないし40は、その始端を給電部42の側に配して導体の始点を給電部42に接続し、その終端を給電部42から離して備えられる。各ダイポールアンテナを構成する一対のエレメントは、導体の形状が給電部42を基準にして対称的に配置され、たとえば点対称になるように配置されるとよい。本実施例の一対のエレメントは、ダイポールアンテナとして機能するように対称的に配されればよく、すなわち実質的に対称的に配される。
【0035】
本実施例の複合ダイポールアンテナ装置10では、図1および図2に示すように、エレメント22および32は、給電接続部を有さずに給電部42に接続し、給電部42を通って該装置10の延在方向に並行して備えられ、すなわち該装置10の直方体形状の中心を通る長手軸上に備えられる。また、エレメント24ないし30、および34ないし40は、給電接続部を有して給電部42に接続し、それらの長手軸がエレメント22および32と並行するように備えられ、たとえば、各主体部が該装置10の直方体形状の長手軸を有する表面上に重複されることなく備えられる。しかしながら、これらの配置例に限らず、エレメント22ないし40は、一部または全部のエレメントの長手軸の方向が異なるように配置されてもよく、たとえば、一部のエレメントのみがその長手軸を該装置10の延在方向に並行して備えられてもよく、すなわち、各エレメントの長手軸の終端への延長線が交差しないように配置されればよい。
【0036】
また、エレメント22ないし40の導体の長さおよび形状、ならびに給電部42に対する傾きは、複数のダイポールアンテナ12ないし20がそれぞれ異なる所望の周波数帯域に適合するように、前もって選択および設計されるとよい。さらに、複数のダイポールアンテナ12ないし20を複合ダイポールアンテナ装置10に配置した後のエレメント間の相互作用を考慮して、エレメント22ないし40の導体の長さおよび形状、ならびに給電部42に対する傾きを調整するとよい。
【0037】
次に、本実施例における複合ダイポールアンテナ装置10の具体例を図8のグラフを参照しながら説明する。
【0038】
該装置10は、上記実施例と同様にして構成され、この具体例ではとりわけ、長さ約4mの長手軸を有し、その長手軸に垂直な断面が1m四方の正方形である直方体形状内に、5つのダイポールアンテナ12、14、16、18および20、ならびに給電部42を備えるように構成される。給電部42は、幅1cmおよび長さ18cmのものでよく、各ダイポールアンテナのエレメント22ないし40は、幅1cmの導体で形成されてよい。
【0039】
該装置10において、ダイポールアンテナ12、14、16、18および20は、その順に高い周波数帯域に適合し、すなわち、ダイポールアンテナ12のエレメント22および24が最も短い導体で形成され、ダイポールアンテナ20のエレメント30および40が最も長い導体で形成される。
【0040】
このダイポールアンテナ12のエレメント22および32は、図3に示すように、始端から終端までの長さ、すなわち長手軸の長さが67cmであり、同じ長さの導体で曲げることなく形成される。
【0041】
ダイポールアンテナ14のエレメント24および34の主体部は、図4に示すように、長手軸および短手軸の長さがそれぞれ200cmおよび20cmの長方形の辺上に導体を配し、長さ220cmの導体を終端で直角に曲げて、導体の終点をエレメントの終端に配して形成される。
【0042】
また、ダイポールアンテナ16のエレメント26および36の主体部は、図5に示すように、長手軸および短手軸の長さがそれぞれ200cmおよび57cmの長方形の辺上に導体を配し、長さ257cmの導体を終端で直角に曲げて、導体の終点をエレメントの終端に配して形成される。
【0043】
さらに、ダイポールアンテナ18のエレメント28および38の主体部は、図6に示すように、長手軸および短手軸の長さがそれぞれ200cmおよび45cmの長方形の辺上に導体を配し、始端から40cmの位置で導体を分岐している。エレメント28および38において、第1の分割導体は、共有導体から曲げられることなく終端に向かって延長し、分岐点から160cmの位置、すなわち終端に第1の終点を配して形成される。また、第2の分割導体は、分岐点から共有導体に対して垂直方向に延長し、分岐点から45cmの位置で直角に曲げられて終端に向かって延長し、その曲げ位置から160cmの位置、すなわち終端で再び直角に曲げられて第1の終点に向かって延長し、その曲げ位置から37cmの位置に第2の終点を配して形成される。
【0044】
また、ダイポールアンテナ20のエレメント30および40の主体部は、図7に示すように、長手軸および短手軸の長さがそれぞれ200cmおよび55cmの長方形の辺上に導体を配し、始端から90cmの位置で導体を分岐している。エレメント30および40において、第1の分割導体は、共有導体から曲げられることなく終端に向かって延長し、分岐点から30cmの位置に第1の終点を配して形成される。また、第2の分割導体は、分岐点から共有導体に対して垂直方向に延長し、分岐点から55cmの位置で直角に曲げられて終端に向かって延長し、その曲げ位置から110cmの位置、すなわち終端で再び直角に曲げられて第1の分割導体の延長線上に向かって延長し、その曲げ位置から55cmの位置で再び直角に曲げられて第1の終点に向かって延長し、その曲げ位置から20cmの位置に第2の終点を配して形成される。
【0045】
このようなエレメント30および40を有するダイポールアンテナ20によれば、図8に示すように、より低い周波数帯域、すなわち20MHz付近の周波数帯域の無線信号に対して、より効果的に共振することがわかる。また、本実施例の複合ダイポールアンテナ装置10では、他の周波数帯域に適合するダイポールアンテナ12ないし18も有し、すなわち、単終点エレメントにより1本分のダイポールとして機能する3つのダイポールアンテナ12ないし16と、多終点エレメントにより2本分のダイポールとして機能する2つのダイポールアンテナ18および20とを有して、7本分のダイポールとして機能することができる。さらに、ダイポールアンテナ18および20では、それぞれ20MHzおよび25MHz付近で共振する多終点エレメントが、その3倍の高調波でも共振するので、さらに2つの共振点を得ることができ、本装置10の7本分のダイポールによる7つの共振点に加えて、図8に示すように、20〜100MHzの広範囲な周波数帯域において、9つの共振点でより効果的な共振を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
10 複合ダイポールアンテナ装置
12〜20 ダイポールアンテナ
22〜40 エレメント
42 給電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが一対のエレメントを有する複数のダイポールアンテナを含み、
給電部を介して電力を前記エレメントに供給して動作する複合ダイポールアンテナ装置において、
前記複数のダイポールアンテナのそれぞれにおいて、前記エレメントは、互いに実質的に同じ長さおよび形状の線状または棒状の導体で形成され、前記給電部を基準にして実質的に対称的に配され、
前記導体は、前記複数のダイポールアンテナのうちの少なくとも2つの間では、長さが異なり、異なる周波数帯域に適合するように構成され、
前記複数のダイポールアンテナのうちの少なくとも1つにおいて、前記導体は、互いに分岐してそれぞれの終点を有する複数の分割導体を有し、該複数の分割導体は、それぞれの分割導体を通って前記終点に至る経路が、互いに異なる周波数帯域に適合するように、異なる長さで形成されていることを特徴とする複合ダイポールアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の複合ダイポールアンテナ装置において、前記少なくとも1つのダイポールアンテナは、前記複数の分割導体のうちの1つを通る経路が、該装置において無線信号に反応する経路のうちで最も長く形成されて、前記経路が該装置において最も低い周波数帯域に適合するように構成されることを特徴とする複合ダイポールアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の複合ダイポールアンテナ装置において、前記一対のエレメントは、前記給電部を基準にして点対称に配されることを特徴とする複合ダイポールアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1に記載の複合ダイポールアンテナ装置において、前記複数のダイポールアンテナのうちの少なくとも1つにおける前記エレメントは、所定の二次元平面の範囲内で前記導体を折り曲げて形成した主体部を有することを特徴とする複合ダイポールアンテナ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の複合ダイポールアンテナ装置において、前記複数のダイポールアンテナのうちの少なくとも2つは、適合する周波数帯域、すなわち前記導体の長さに拘らず、前記エレメントの始端から終端までの長さを等しくして構成されることを特徴とする複合ダイポールアンテナ装置。
【請求項6】
請求項4に記載の複合ダイポールアンテナ装置において、該装置は、全体として直方体形状を有し、
前記ダイポールアンテナは、前記主体部が、前記直方体形状の長手軸方向の面に配されるように備えられることを特徴とする複合ダイポールアンテナ装置。
【請求項7】
請求項6に記載の複合ダイポールアンテナ装置において、前記給電部は、該装置の前記直方体形状の中央に配され、
前記複数のダイポールアンテナのうちの少なくとも1つは、前記給電部を通って該装置の長手軸方向に並行して備えられることを特徴とする複合ダイポールアンテナ装置。
【請求項8】
請求項1に記載の複合ダイポールアンテナ装置において、前記ダイポールアンテナの前記エレメントは、他の前記ダイポールアンテナのエレメントと互いに干渉しないように間隔を空けて配されることを特徴とする複合ダイポールアンテナ装置。
【請求項9】
請求項1に記載の複合ダイポールアンテナ装置において、前記複数の分割導体は、一方の分割導体を通る経路と、他方の分割導体を通る経路とで適合する周波数帯域が隣接しないように、異なる長さで形成されることを特徴とする複合ダイポールアンテナ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−176430(P2011−176430A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37343(P2010−37343)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(509243610)T&A株式会社 (3)