説明

複合トーチ型プラズマ発生装置

【課題】副トーチの部品点数を少なくし、副トーチ全体の簡素化、小型化を図るとともに、プラズマ及びプラズマ炎の直進性、安定性を向上させ、プラズマ出力を増加させる。
【解決手段】陰極及び陽極並びにプラズマガス供給手段を有する主トーチ1と副トーチ2からなる複合トーチ型プラズマ発生装置において、副トーチ2、39が、主トーチ軸芯を中心として放射線上に複数個設けられ、各副トーチ2,39の陽極10A、40は、外套11、41により囲まれており、外套11,41の内壁には、陰極が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複合トーチ型プラズマ発生装置に関するものであり、更に述べると、気体中を流れる大電流、いわゆるアークやそれによって、発生する1万℃前後の高温度のプラズマによって、金属やセラミックス等の物質を溶融して処理対象物に吹き付け、その表面に強固な皮膜を形成するための、いわゆるプラズマ溶射の技術の改良に関するものである。近年では、この安定した高温のプラズマを熱源として、セラミックスの熱衝撃試験やガス分解などに利用されている。
【背景技術】
【0002】
図4に示したのは、従来の汎用的な複合トーチ型プラズマ溶射装置の主要な部分を図示したものである。
図4において主陰極3の軸上に放出口を有する主外套4及び主第二外套31と、旋回流ガス形成手段52を有する絶縁物27及び絶縁物29によって同心に保持されている。
【0003】
図2に示された如く、主プラズマガス送入口5より主プラズマガス6がまずガス環状室53へ送入され、一個の旋回流形成孔54或いは等分に配置された複数個の旋回流形成孔54を通って、絶縁物27の内壁55を旋回するように矢印56の如く送入される。同様に主第二ガス33も主第二ガス送入口32を通って、絶縁物29の内壁を旋回すべく送入される。
【0004】
主電源7の負端子は、主陰極3に接続され、主電源7の正端子は、スイッチ手段8を介して主外套4、スイッチ手段34を介して主第二外套31に接続されており、これらが全体として主トーチ1を構成している。
【0005】
次に、主トーチ1の中心軸、すなわち、主陰極3の中心軸と交叉するように配置された副トーチ起動電極10があり、この副トーチ起動電極10を囲んで、かつ先端に放出口を有する副外套11及び副第二外套36と、主トーチ1の絶縁物27と同様の旋回流ガス形成手段を有する絶縁物28及び絶縁物30によって同心に保持されている。
【0006】
副電源14は、その正端子がスイッチ手段15を介して副外套11と主電源7の正端子に接続されており、副電源14の負端子は副トーチ起動電極10に接続されており、これらが全体として副トーチ2を構成している。そして、主トーチ1と副トーチ2は、連結管26で固定され、各々は容易に脱着でき、絶縁性が保たれた構造となっている。
【0007】
図4において主プラズマガス送入口5より、主プラズマガス6としてアルゴン等の不活性ガスを流し、スイッチ手段9及びスイッチ手段34を開いた状態で、スイッチ手段8を閉じて、主電源7の高周波により主陰極3と主外套4との間で印加すると、主陰極3の先端から主外套4の放出口に向かって主起動アーク16が形成され、これによって主プラズマガス6が加熱され、プラズマ18となって主外套4の先端より放出される。
【0008】
更に、スイッチ手段34を閉じて、スイッチ手段8を開くことによって、プラズマ18の陽極点は主外套4から主第二外套31へと移行し、主第二起動アークが形成され、主第二外套31の先端より主トーチ1の外部に向かって放出される。
【0009】
次にスイッチ手段15を閉じて、副電源14の高周波により副トーチ起動電極10と副外套11との間に印加し、かつ、副ガス送入口12より、副ガス13として、アルゴン等の不活性ガスを送入すると、副起動アーク17が発生し、副外套11の先端の放出口を通って副第二外套36の放出口よりプラズマ18が噴出される。
【0010】
このようにして主トーチ1と副トーチ2の先端から噴出される各々のプラズマ18は、主トーチ1の中心軸と副トーチ2の中心軸が交叉するように設けられているので、その先端で交叉するが、このプラズマ18は導電性であるので、この状態において、スイッチ手段9を閉じると同時にスイッチ手段15及びスイッチ手段34を開くと、主陰極3の先端から副外套11の陽極点に至るヘアピン状のプラズマ18による導電路が形成される。
【0011】
この時、連結管26上の材料送入管19により搬送された溶射材料20は、プラズマ18軸に交叉する方向で高温のプラズマ18中に送入される。そこで溶射材料20は、プラズマ18熱により、溶融粒子21となって、プラズマ炎23に同伴されながら、あまり広がらないで母材25に向かって進行する。
【0012】
この溶融粒子21を含むプラズマ炎23は、母材25に及ぼす熱負荷を軽減すべく母材25の直前で、連結管26上に設けられたプラズマ分離手段22によって、プラズマ18のみが分離され、その直後に溶融粒子21は母材25に衝突し、溶射皮膜24を形成する。
【0013】
以上の説明では、主外套4,主第二外套31及び副外套11、副第二外套36の内面は、通常何れも二重構造となっており、その内部を水等の循環によって冷却されているが、これは省略し図示していない。尚、以下の説明においては、各該当の冷却システムは何れもこれを省略する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来例には、次のような問題がある。
(1)副トーチは、少なくとも陰極を保護するチャンバー(副外套)と陽極を保護するチャンバー(副第二外套)の2つを有し、部品点数も多く、コストがかさみ、保守・点検も容易でない。
【0015】
(2)前記副トーチの陰極部は、プラズマ起動する時に使用するが、運転中は、不要な部位となる。
(3)副トーチからのプラズマやヘアピン状のプラズマによる磁場の影響で、主トーチのプラズマ及びプラズマ炎が経時的に曲ってしまう。そのため、プラズマ及びプラズマ炎の直進性、安定性が損なわれ、結果としてプラズマ出力の低下を招く。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑み、副トーチの部品点数を少なくして、コストを低減させるとともに、副トーチ全体の簡素化、小型化を図ることを目的とする。他の目的は、プラズマ及びプラズマ炎の直進性、安定性を向上させ、プラズマ出力の増加を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、陰極及び陽極並びにプラズマガス供給手段を有する、主トーチと副トーチからなる複合トーチ型プラズマ発生装置において、前記副トーチが、前記主トーチ軸芯を中心として放射線上に複数個設けられているとともに、前記各副トーチの陽極は、外套により囲まれており、該外套の内壁には、陰極が設けられていることを特徴とする。
【0018】
この発明の副外套の先端には、狭窄口が設けられ、該狭窄口の内壁に前記陰極が設けられていることを特徴とする。この発明の前記外套の材質は、熱伝導率330kcal/mh°C以上の材料であることを特徴とする。この発明の前記主トーチおよび前記副トーチは、使用する全てのプラズマガスを旋回せしめる旋回流送入手段を設けることを特徴とする。
【0019】
この発明の前記主トーチ又は前記副トーチに、電極をもたない独立したチャンバーを設けることによって、前記プラズマガスとして活性ガスを使用できることを特徴とする。この発明の前記副トーチの陰極は、タングステンの張り付け、又は、タングステン溶射により形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明は、副トーチの陽極を外套により囲み、該外套の内壁に陰極を設けたので、従来の複合トーチ型プラズマ発生装置の副トーチで、陽極手前に設けられていたタングステン陰極部が不要となり、更には、それに付随する陽極間に位置する保護ガス送入手段を有する絶縁部及び配線・配管も不要となり、部品点数が削減できてコスト低減がはかれるのみならず、副トーチ全体が簡素化され、小型になり保守・点検も容易になった。
【0021】
この発明は、前記副トーチが、前記主トーチ軸芯を中心として放射線上に複数個設けられているので、プラズマ及びプラズマ炎の直進性、安定性が向上し、結果としてプラズマの出力の増加が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
この発明の第1の実施形態を図1、図2により説明する。
図1は、複数個の副トーチ、例えば、副トーチを2個用いた汎用的な複合トーチ型プラズマ溶射装置の主要な部分を図示したものである。
【0023】
図1において、3は主陰極であり、該主陰極3の中心軸上に放出口を有する主外套4と、旋回流ガス形成手段52を有する絶縁物27によって同心に保持されている。前記旋回流ガス形成手段52では、図2示された如く、プラズマガス送入口5より主プラズマガス6がまずガス環状室53へ送入され、一個の旋回流形成孔54或いは等分に配置された複数個の旋回流形成孔54を通って、絶縁物27の内壁55を旋回するように矢印54の如く送入される。
【0024】
主電源7の負端子は、主陰極3に接続されており、主電源7の正端子は主外套4にスイッチ手段8を介して接続されており、これらが全体として主トーチ1を構成している。
【0025】
次に、主トーチ1の中心軸、すなわち、主陰極3の中心軸と交叉するように配置された副トーチ陽極10Aがあり、この副トーチ陽極10Aを囲んで、かつ先端に放出口を有する副外套11と、主トーチ1の絶縁物27と同様の旋回流ガス形成手段52を有する絶縁物28によって同心に保持されている。前記副外套の放出口は、ノズル状の狭窄口に形成されている。
【0026】
第二電源42の正端子は、スイッチ手段47を介して、副トーチ陽極10Aの正端子へ接続されており、第二電源42の負端子は、スイッチ手段48を介して、副外套11に接続されており、これらが全体として副トーチ2を構成している。
【0027】
そして、副トーチ2に対向する位置に同型の第二副トーチ39が設けられている。この第二副トーチ39は、副トーチ2と同様に第二副トーチ陽極40を囲んで、かつ先端に放出口を有する第二副外套41と、主トーチ1の絶縁物27と同様の旋回流ガス形成手段52を有する絶縁物49によって同心に保持されている。
【0028】
第二電源42の正端子は、スイッチ手段43を介して、第二副トーチ陽極40の正端子へ接続されており、第二電源42の負端子は、スイッチ手段44を介して、第二副外套41に接続されており、これらが全体として第二副トーチ39を構成している。
【0029】
前記副トーチ2、39の陽極10A、40を保護するチャンバー(副外套11、41)は、陽極10A、40との絶縁を保ち、プラズマ放熱に耐えうる冷却構造を有する熱伝達の良い部材で形成されている。この部材として、熱伝導率330kcal/mh°C以上の材料が好的であり、例えば、W、Cu、Ag、Au、Ptなどが用いられる。
【0030】
前記副外套11,41の表面は、プラズマアークが接触しにくく、かつ、溶射材料が付着しないように表面処理されており、例えば、表面の粗さは、Ra0.8以下であるが、Ra0.25以下が好的である。
【0031】
前記陰極は、前記外套11、41に設けられるが、その配設位置として、例えば、該外套の内壁や該外套先端の放出口(狭窄口)内壁、に設けられる。
【0032】
前記陰極からは熱電子を放出するため、陰極点は3000℃以上にも達し、当然のことながら銅などで作製された外套11,41は、溶融し気化するが、このときの損傷を極力抑えるため、本発明では、電流負荷を20〜30Aでプラズマをヘアピンアークプラズマ形成に至る短時間だけ形成させることができる様にしている。
【0033】
なお、副外套の多くは、コストや加工性で最適な銅で制作されているが、大気中では、緑青が発生し、溶射皮膜中のコンタミの原因となるので、メッキなどの表面処理をすることが望ましい。
【0034】
前記外套に設ける陰極の材料として、例えば、タングステンが用いられるが、陰極を全てタングステンで作製することは、その材質が硬くて脆いので、技術的に難しく、コストも嵩むことになるので、陰極となる部分のみに、該タングステンを貼り付けたり、又は、タングステン溶射(コーテング)して陰極を形成するが好ましい。
【0035】
主トーチ1、副トーチ2及び第二副トーチ39は、連結管26で固定され、各々は容易に脱着でき、絶縁性が保たれた構造となっている。
【0036】
図1において、主プラズマガス送入口5より、主プラズマガス6としてアルゴン等の不活性ガスを流し、スイッチ手段45及びスイッチ手段46を開いた状態で、スイッチ手段8を閉じて、主電源7の高周波により主陰極3と主外套4との間で印加すると、主陰極3の先端から主外套4の放出口に向かって主起動アーク16が形成され、これによって主プラズマガス6が加熱され、プラズマ18となって主外套4の先端より主トーチ1の外部に向かって放出される。
【0037】
次に、スイッチ手段43及びスイッチ手段44を開いた状態で、スイッチ手段47及びスイッチ手段48を閉じて、第二電源42の高周波により副トーチ陽極10Aと副外套11との間に印加し、かつ、副ガス送入口12より、副ガス13として、アルゴン等の不活性ガスを送入すると、副起動アーク17が発生し、副外套11の先端の放出口よりプラズマ18が噴出される。
【0038】
このようにして主トーチ1と副トーチ2の先端から噴出される各々のプラズマ18は、主トーチ1の中心軸と副トーチ2の中心軸が交叉するように設けられているので、その先端で交叉するが、この交差する点は、例えば、主トーチ1の主外套4の先端から12mm〜15mmで、副トーチ2の副外套11の先端から5mm〜8mmに位置する。このプラズマ18は、導電性であるので、この状態において、スイッチ手段45を閉じると同時にスイッチ手段8を開き、かつ、スイッチ手段47及びスイッチ手段48を開くと、副トーチ陽極10Aの先端から主陰極3の陰極点に至るヘアピン状のプラズマ18による導電路が形成される。
【0039】
その直後、第二副トーチ39のプラズマ18を印加すべく第二副ガス送入口50より、第二副ガス51としてアルゴン等の不活性ガスを流し、スイッチ手段45及びスイッチ手段48を開いた状態で、スイッチ手段43及びスイッチ手段44を閉じて、第二電源42の高周波により第二副トーチ陽極40と第二副外套41との間で印加する。
【0040】
そうすると、第二副トーチ陽極40の先端から第二副外套41の放出口に向かって第二副起動アーク58が形成され、これによって、副第二ガス51が加熱され、第二副外套41の先端の放出口よりプラズマ18が噴出される。
【0041】
このプラズマ18の先端は、第二副トーチ陽極40の先端から主陰極3の陰極点に至るヘアピン状のプラズマ18と交叉するが、このプラズマ18は導電性であるので、この状態において、スイッチ手段45を閉じて、スイッチ手段44を開くと、第二副トーチ陽極40の先端から主陰極3に至る全体としてT字状のプラズマ18が形成される。
【0042】
この溶射材料供給手段により、いかなる高融点の溶射材料20でも1万℃前後のプラズマ18で直ちに高温に加熱されて溶融し、溶融粒子21に示した如くプラズマ炎23に同伴されながら、あまり広がらないで母材25に向かって進行する。
【0043】
この溶融粒子21を含むプラズマ炎23は、母材25に及ぼす熱負荷を軽減すべく母材25の直前で、連結管26上に設けられたプラズマ分離手段22によって、プラズマ18のみが分離され、その直後に溶融粒子21は母材25に衝突し、溶射皮膜24を形成する。
【0044】
本発明の少なくとも互換性のある副トーチ2個を主トーチ軸心に対して、交叉するように対称に設けることによって、プラズマの直進性と安定化が著しく改善され、結果的に100kW以上の高出力での溶射が可能となり、溶射量の増加はむろんのこと従来にない緻密で高品質な溶射皮膜が形成できるようになった。
【0045】
本発明の第2の実施形態を図3により説明する。
図3に示したのは、プラズマガスに不活性ガスのみならず空気等の活性なガスを用いることができる一つの手段として、主トーチ1内に電極を有しないチャンバーを設けた複合トーチ型プラズマ溶射装置の主要な部分を図示したものである
【0046】
図3において、主陰極3は、該主陰極3の軸上に放出口を有する主外套4及び主第二外套31と、旋回流ガス形成手段52を有する絶縁物27及び絶縁物29によって同心に保持されており、前記旋回流ガス形成手段では、図2に示された如く主プラズマガス送入口5より主プラズマガス6がまずガス環状室53へ送入され、一個の旋回流形成孔54或いは等分に配置された複数個の旋回流形成孔54を通って、絶縁物27の内壁55を旋回するように矢印54の如く送入される。
【0047】
同様に主第二ガス33も主第二ガス送入口32を通って、絶縁物29の内壁を旋回すべく送入される。主電源7の負端子は、主陰極3に接続されており、主電源7の正端子は、スイッチ手段8を介し主外套4に、スイッチ手段34を介して主第二外套31に接続されており、これらが全体として主トーチ1を構成している。
【0048】
次に、主トーチ1の中心軸、すなわち、主陰極3の中心軸と交叉するように配置された副トーチ陽極10Aがあり、この副トーチ陽極10Aを囲んで、かつ先端に放出口を有する副外套11と、主トーチ1の絶縁物27と同様の旋回流ガス形成手段52を有する絶縁物28によって同心に保持されている。
【0049】
第二電源42の正端子は、スイッチ手段47を介して、副トーチ陽極10Aの正端子へ接続されており、第二電源42の負端子は、スイッチ手段48を介して、副外套11に接続されており、これらが全体として副トーチ2を構成している。
【0050】
そして、副トーチ2に対向する位置に同型の第二副トーチ39が設けられている。この第二副トーチ39は、副トーチ2と同様に第二副トーチ陽極40を囲んで、かつ先端に放出口を有する第二副外套41と、主トーチ1の絶縁物27と同様の旋回流ガス形成手段52を有する絶縁物49によって同心に保持されている。
【0051】
第二電源42の正端子は、スイッチ手段43を介して、副トーチ陽極40の正端子へ接続されており、第二電源42の負端子は、スイッチ手段44を介して、第二副外套41に接続されており、これらが全体として副トーチ39を構成している。
【0052】
主トーチ1、副トーチ2及び第二副トーチ39は、連結管26で固定され、各々は容易に脱着でき、絶縁性が保たれた構造となっている。
【0053】
図3において、主プラズマガス送入口5より、主プラズマガス6としてアルゴン等の不活性ガスを流し、スイッチ手段46及びスイッチ手段34を開いた状態で、スイッチ手段8を閉じて、主電源7の高周波により主陰極3と主外套4との間で印加すると、主陰極3の先端から主外套4の放出口に向かって主起動アーク16が形成され、これによって主プラズマガス6が加熱され、プラズマ18となって主外套4の先端より放出される。
【0054】
次にスイッチ手段34を閉じて、スイッチ手段8を開くことによって、プラズマ18の陽極点は主外套4から主第二外套31へと移行し、主第二外套31の先端より主トーチ1の外部に向かって放出される。
【0055】
次にスイッチ手段43及びスイッチ手段44を開いた状態で、スイッチ手段47及びスイッチ手段48を閉じて、第二電源42の高周波により副トーチ陽極10Aと副外套11との間に印加し、かつ、副ガス送入口12より、副ガス13として、アルゴン等の不活性ガスを送入すると、副起動アーク17が発生し、副外套11の先端の放出口よりプラズマ18が噴出される。
【0056】
このようにして主トーチ1と副トーチ2の先端から噴出される各々のプラズマ18は、主トーチ1の中心軸と副トーチ2の中心軸が交叉するように設けられているので、その先端で交叉するが、プラズマ18は導電性であるので、この状態において、スイッチ手段45を閉じると同時にスイッチ手段34を開き、かつスイッチ手段47及びスイッチ手段48を開くと、副トーチ陽極10Aの先端から主陰極3の陰極点に至るヘアピン状のプラズマ18による導電路が形成される。
【0057】
その直後、第二副トーチ39のプラズマ18を印加すべく第二副ガス送入口50より、第二副ガス51としてアルゴン等の不活性ガスを流し、スイッチ手段45及びスイッチ手段48を開いた状態で、スイッチ手段43及びスイッチ手段44を閉じて、第二電源42の高周波により第二副トーチ陽極40と第二副外套41との間で印加する。
【0058】
そうすると、第二副起動電極40の先端から第二副外套41の放出口に向かって第二副起動アークが形成される。これによって、副第二ガス51が加熱され、第二副外套41の先端の放出口よりプラズマ18が噴出される。
【0059】
このプラズマ18の先端は、第二副トーチ陽極40の先端から主陰極3の陰極点に至るヘアピン状のプラズマ18と交叉するが、このプラズマ18は導電性であるので、この状態において、スイッチ手段45を閉じて、スイッチ手段44を開くと、第二副トーチ陽極40の先端から主陰極3に至る全体としてT字状のプラズマ18が形成される。
【0060】
この溶射材料供給手段により、いかなる高融点の溶射材料20でも1万℃前後のプラズマ18で直ちに高温に加熱されて溶融し、溶融粒子21に示した如くプラズマ炎23に同伴されながら、あまり広がらないで母材25に向かって進行する。
【0061】
この溶融粒子21を含むプラズマ炎23は、母材25に及ぼす熱負荷を軽減すべく母材25の直前で、連結管26上に設けられたプラズマ分離手段22によって、プラズマ18のみが分離され、その直後に溶融粒子21は母材25に衝突し、溶射皮膜24を形成する。
【0062】
この実施形態では、プラズマガスに空気等の活性なガスを用いる手段によって、本装置で使用されるプラズマガス全体における活性ガスの比率を高くすることができ、フェライト、アルミナ、チタニア等の還元性雰囲気を極端にきらい、酸化性雰囲気において独特の高性能を発揮させることができる物質皮膜を容易に形成することができ、これはこの発明の大きな特徴である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1のa−b線断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す縦断面図である。
【図4】従来例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 主トーチ
2 副トーチ
3 主陰極
4 主外套
7 主電源
10 副トーチ起動電極
10A 副トーチ陽極
11 副外套
14 副電源
16 主起動アーク
17 副起動アーク
18 プラズマ
23 プラズマ炎
31 主第二外套
35 主第二起動アーク
36 副第二外套
39 第二副トーチ
40 第二副トーチ陽極
41 第二副外套
42 第二電源
52 旋回流ガス形成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極及び陽極並びにプラズマガス供給手段を有する、主トーチと副トーチからなる複合トーチ型プラズマ発生装置において、
前記副トーチが、前記主トーチ軸芯を中心として放射線上に複数個設けられ、
前記各副トーチの陽極は、外套により囲まれており、
該外套の内壁には、陰極が設けられていることを特徴とする複合トーチ型プラズマ発生装置。
【請求項2】
前記外套の先端には、狭窄口が設けられ、該狭窄口の内壁に前記陰極が設けられていることを特徴とする請求項1記載の複合トーチ型プラズマ発生装置。
【請求項3】
前記外套の材質は、熱伝導率330kcal/mh°C以上の材料であることを特徴とする請求項1、又は、2記載の複合トーチ型プラズマ発生装置。
【請求項4】
前記外套は、銅により形成され、表面処理されていることを特徴とする請求項1、2、又は、3記載の複合トーチ型プラズマ発生装置。
【請求項5】
前記主トーチおよび前記副トーチは、使用する全てのプラズマガスを旋回せしめる旋回流送入手段を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、又は、4記載の複合トーチ型プラズマ発生装置。
【請求項6】
前記主トーチ又は前記副トーチに、電極をもたない独立したチャンバーを設けることによって、前記プラズマガスとして活性ガスを使用できることを特徴とする請求項1、2、3、4、又は、5記載の複合トーチ型プラズマ発生装置。
【請求項7】
前記副トーチの陰極は、タングステンの貼り付け、又は、タングステン溶射により形成されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、又は、6記載の複合トーチ型プラズマ発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−43341(P2010−43341A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209552(P2008−209552)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(391005824)株式会社日本セラテック (200)
【Fターム(参考)】