複合加工機の運転方法及び運転装置
【課題】複合加工機の運転中に加工を実施していない加工手段の待機時での消費エネルギを低減する。
【解決手段】パンチ・レーザ複合加工機1において、レーザ加工を実施していない材料搬入時や材料搬出時及びパンチ加工部Aでのパンチ加工の間に、レーザ加工部Bを、その待機時の消費エネルギが通常待機時の標準モードに比較して少ない省エネモードで待機させる。
【解決手段】パンチ・レーザ複合加工機1において、レーザ加工を実施していない材料搬入時や材料搬出時及びパンチ加工部Aでのパンチ加工の間に、レーザ加工部Bを、その待機時の消費エネルギが通常待機時の標準モードに比較して少ない省エネモードで待機させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに種類の異なる複数の加工手段を有する複合加工機の運転方法及び運転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合加工機としてパンチ加工とレーザ加工を行うパンチ・レーザ複合加工機がある(下記特許文献1参照)。この複合加工機は、パンチ加工とレーザ加工のいずれか一方の加工を行っている間は、他方の加工を行う加工部は待機状態となり、待機状態の加工部は待機電力を消費することになる。
【0003】
例えば、上記複合加工機のパンチ加工部でパンチ加工を行っている間は、レーザ加工部(下記特許文献2参照)にとっては待ち時間となり、その待ち時間の間は、次のレーザ加工を素早く立ち上げるために、待機電力を消費する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−192465号公報
【特許文献2】特開平9−271966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、複合加工機の運転中に加工を実施していない加工部が待機電力を消費することから、エネルギ消費の観点から待機電力をより一層低減することが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、複合加工機の運転中に加工を実施していない加工手段の待機時での消費エネルギを低減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、互いに種類の異なる複数の加工手段を有する複合加工機を運転するに際し、前記複数の加工手段のうち加工を実施していない加工手段を、該加工手段の待機時の消費エネルギが通常待機時の標準モードに比較して少ない省エネモードで待機させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加工を実施していない加工手段を、該加工手段の待機時の消費エネルギが通常待機時の標準モードに比較して少ない省エネモードで待機させるようにしたので、加工を実施していない加工手段の待機時での消費エネルギを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係わるパンチ・レーザ複合加工機を示す平面図である。
【図2】図1のパンチ・レーザ複合加工機による1枚目のワークの加工動作に対応するレーザ加工部の運転モードを示すタイムチャートである。
【図3】図1のパンチ・レーザ複合加工機による2枚目のワークの加工動作に対応するレーザ加工部の運転モードを示すタイムチャートである。
【図4】図1のパンチ・レーザ複合加工機による3枚目のワークの加工動作に対応するレーザ加工部の運転モードを示すタイムチャートである。
【図5】レーザ加工部に対し省エネモードを採用した場合と採用しない場合とを比較して示した消費電力変化特性図である。
【図6】図1のNC装置による省エネモード変更のタイミングを計算するアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図7】図1のNC装置による1枚目のワーク加工中に実行するアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図8】図1のNC装置によるN回目のレーザ加工後に省エネモードにすべきか判断するアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図9】図1のNC装置による2枚目以降のワーク加工中に実行するアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図10】2枚目及び3枚目のワークに対する加工プログラムとレーザ加工部の運転モードを示すタイムチャートである。
【図11】2枚目及び3枚目のワークに対する図10とは別の加工プログラムとレーザ加工部の運転モードを示すタイムチャートである。
【図12】パンチ加工部を省エネモードとする実施形態を示す、図4に対応するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係わる複合加工機としてのパンチ・レーザ複合加工機1を示す平面図である。このパンチ・レーザ複合加工機1は、パンチ加工部Aとレーザ加工部Bとを備えている。これらパンチ加工部A及びレーザ加工部Bは、互いに種類の異なる複数の加工手段を構成している。
【0012】
そして、図示しないベース上に門形のフレーム3が立設しており、このフレーム3には回転可能な上部タレット5を、ベース上に配置した下部タレット7と対向して設けている。上部タレット5、下部タレット7 には、それぞれ周方向に適宜な間隔で相対向した複数のパンチP、ダイD を装着して上記したパンチ加工部Aを構成している。
【0013】
上部タレット5、下部タレット7は同期して回転し、加工を行うパンチP、ダイDがパンチ加工位置Kに割り出される。パンチ加工位置Kにおいて、図示しないストライカを上下動させることにより、パンチ加工位置Kに位置決めされた板状のワークWにパンチPとダイDとの協働でパンチング加工を行う。
【0014】
ベース上には、パンチ・レーザ複合加工機1の機械全幅にほぼ等しい長さを持つキャレッジベース11を、図示しない駆動モータ、ボールねじによってY軸方向に移動自在に設けている。キャレッジベース11には、図示しない駆動モータ、ボールねじによってX方向へ移動自在なキャレッジ13を設け、このキャレッジ13には、加工テーブル14上のワークWをクランプする複数のワーククランプ15を設けている。
【0015】
また、パンチ・レーザ複合加工機1は、上記したパンチ加工位置Kに対してX軸方向左側の位置に、レーザ加工ヘッド17を、図示しない駆動モータ、ボールねじによってY軸方向へ移動自在に設けて上記したレーザ加工部Bを構成している。
【0016】
レーザ加工ヘッド17はパンチ加工位置Kに対し、図1中でX軸方向左側へ距離X0だけオフセットされたレーザ加工位置LにおいてY軸方向に所定範囲移動する。
【0017】
パンチ・レーザ複合加工機1は、門形のフレーム3を間に挟んでレーザ加工部Bと反対側にフロントテーブル18を備え、このフロントテーブル18の図1中で下部近傍にレーザ発振器19を備えている。レーザ発振器19からレーザビームをレーザ加工ヘッド1 7に導くビームガイド手段は、レーザ加工位置Lの脇の第1のベンドミラー21及びレーザ加工ヘッド17上部に設置された第2のベンドミラー23を有している。レーザ加工ヘッド17がY軸方向の任意の位置に移動しても、レーザ発振器19で出力されたレーザビームLBは、ベンドミラー21,23を経てレーザ加工ヘッド17に案内され、レーザ加工ヘッド17に備えられた集光レンズで集光された後、ワークWへ向けて照射される。
【0018】
レーザ加工を行う際は、レーザ加工ヘッド17をワークWの加工開始位置に位置合わせした後、レーザビームを照射しつつ、キャレッジ13をX軸方向へ移動させてワークWをX軸方向へ移動させるとともに、レーザ加工ヘッド17をY軸方向へ移動させる。このようにして、ワークWの所望位置にレーザ加工を行う。符号24は、フロントテーブル18に対しワークWの搬入及び搬出を行うライン装置である。
【0019】
このような構成のパンチ・レーザ複合加工機1は、NC装置25によってあらかじめ組み込まれ設定されている加工プログラムに従って制御され、ワークWに対してパンチ加工及びレーザ加工がなされる。
【0020】
ここで、パンチ・レーザ複合加工機1における一般的な加工プログラムの一例を以下に示す。まず、「加工前段取工程」でライン装置24によりワークWを搬入した後、自動金型交換装置がある場合には金型交換を行ってから、「パンチ加工工程」で上記搬入したワークWに対してパンチ加工、成形、タップ加工などを行う。
【0021】
次に、「レーザ加工工程」で、パンチ加工モードからレーザ加工モードに切り換えて、上記したパンチ加工工程による加工後のワークWに対してレーザ加工を行う。
【0022】
その後は、次に搬入されるワークWに対する加工に備え、レーザ加工モードからパンチ加工モードに切り換える。なお、レーザ加工の後にパンチ加工を行う場合もある。
【0023】
最後の「加工後段取工程」では、加工し終わったワークWをライン装置24により搬出する。その際、場合によってはレーザ加工ヘッド17のノズルクリーニングを実施する。
【0024】
このような加工動作を行うパンチ・レーザ複合加工機1では、パンチ加工部Aでパンチ加工を行っている間やワークWの搬入及び搬出の間など、レーザ加工工程以外の工程では、レーザ加工部Bは、パンチ加工後のレーザ加工に備えて電源をオフとせずに待機状態としてあり、待機電力を消費している。
【0025】
本実施形態では、このレーザ加工部Bの待機状態での消費エネルギとしての消費電力を低減するために、待機時の消費電力が通常の標準モードから、標準モードよりも待機時の消費電力が少ない省エネモードとする。
【0026】
なお、ここでのレーザ加工部Bの待機状態の標準モードとは、レーザ発振器19のベース放電(種火放電)を継続して行う状態であって、レーザ加工を即座に行える状態である。ベース放電とは、レーザ光が出射する加工可能な状態に対し、放電電圧を低くしてレーザ光が出射しない状態をいう。
【0027】
一方、省エネモードとは、ベース放電を停止した状態で、炭酸ガスレーザにおけるレーザガスの供給圧力を低下させたり、あるいはレーザ発振器19を冷却するための温調器27による温度調節範囲を拡大させる広域制御とする状態などをいう。広域制御によってコンプレッサの作動、停止頻度を減少でき、電力消費量を低減することが可能となる。
【0028】
例えば、レーザ発振器19の待機電力は、標準モードで15.8kWであるのに対して省エネモードでは3.3kWとなる。また、温調器27の待機電力は、標準モードで16kWであるのに対して省エネモードでは11kWとなる。なお、ここでの省エネモードは、レーザ発振器19では、ベース放電の停止とレーザガス供給用のターボブロアの停止を実施する場合であり、温調器27では温度調節範囲を広域制御とする場合である。
【0029】
このようなレーザガスの供給圧力低下や温調器27による温度調節範囲の広域制御によって、省エネモードは標準モードに比較して省電力化を図っている。ここで、標準モードから省エネモードに移行する時間(以後、移行時間という)及び、省エネモードから標準モードに復旧するまでの時間(以後、復旧時間という)は、ある程度の時間を要する。
【0030】
例えば、レーザ発振器19については、移行時間が35秒、復旧時間が10秒で、温調器27については、移行時間が10秒、復旧時間が40秒である。
【0031】
なお、その他の省エネモードとして、レーザ発振器19ではベース放電を停止するがターボブロアは動作させたままとし、温調器27では温度調節範囲を上記の広域制御よりも狭いものとする場合もある。この場合の待機電力は、上記した数値よりも標準モードに近いものとなり、また移行時間及び復旧時間も上記した数値より短縮される。
【0032】
本実施形態では、上記した省エネモードへの移行時間及び標準モードへの復旧時間を考慮して、標準モードから省エネモードへの移行及び、省エネモードから標準モードへの復旧をより効率的に行うようにしている。具体的には、前回のプログラム加工におけるレーザ加工を実施した時間を記憶しておき、2回目以降の同一のプログラム加工の際に効率的にレーザ加工部Bを省エネモードで運転させる。
【0033】
図2は、図1のパンチ・レーザ複合加工機1により1枚目のワークWを加工する際のタイムチャートである。加工動作としては、ワークWをパンチ・レーザ複合加工機1に搬入する材料搬入を行った後に、パンチ加工部Aによりパンチ加工を実施し、その後時間T1でレーザ加工部Bによりレーザ加工を実施する。
【0034】
レーザ加工は時間T2で終了し、その後ワークWをパンチ・レーザ複合加工機1から搬出する材料搬出を行って、時間T3で1枚目のワークWの加工処理が完了(加工プログラム終了)する。この1枚目のワークWに対する加工処理の間のレーザ加工部Bの運転モードは、標準モードであって省エネモードは実施しない。このため、1枚目のワークWの加工後で2枚目のワークWの加工開始前には、標準モードとなっている。
【0035】
このようなレーザ加工部Bでの1枚目のワークWに対する加工動作に関し、開始時間T1、終了時間T2、加工処理完了時間T3を、NC装置25のデータベースDBに記憶する。このデータベースDBへ記憶した各時間に基づいて、制御手段としての制御部Sは、加工を実施していないレーザ加工部Bが前回加工を終了した時点から次回加工を開始する時点までの待機時間を計測する。また、データベースDBには、省エネモードから標準モードに復旧するのに必要な標準モード復旧時間及び、標準モードから省エネモードに移行するのに必要な省エネモード移行時間が、それぞれあらかじめ記憶されている。
【0036】
すなわち、上記した制御部Sは、加工を実施していない加工手段が前回加工を終了した時点から次回加工を開始する時点までの待機時間を計測する待機時間計測手段を含んでいる。また、データベースDBは、標準モードから省エネモードに移行するのに必要な省エネモード移行時間及び、省エネモードから標準モードに復旧するのに必要な標準モード復旧時間をそれぞれ記憶するモード移行復旧時間記憶手段を構成している。
【0037】
図3は、パンチ・レーザ複合加工機1で、2枚目のワークWを加工する際のタイムチャートである。加工動作は、図2に示した1枚目と同様であるが、レーザ加工部Bで省エネモードを実施している状態を示している。運転モードの変化としては、加工動作開始後すぐに省エネモードへの移行時間(d1)を設定し、さらに、レーザ加工を実施している時間、すなわちT1からT2までの間の時間の前後に、前記した省エネモードへの移行時間(d1)及び標準モードへの復旧時間(d2)を設定している。
【0038】
このため、1枚目のワークWの加工終了後は標準モードとなっているので2枚目の加工動作開始後すぐに時間(d1)を要して省エネモードへ移行し、その後の時間(T1−d2)まで省エネモードを実施し、その後はレーザ加工開始(時間T1)まで標準モードへの復旧時間(d2)となる。また、レーザ加工終了時(時間T2)から時間(d1)を要して省エネモードへ移行することになる。
【0039】
ここで、移行時間(d1)と復旧時間(d2)とを加算した時間(d1+d2)を、パンチ加工をするなどレーザ加工を実施していない時間(以後、レーザ加工休み時間という)が超える場合に省エネモードを実行する。なお、図3の2枚目のワークを加工する場合は1枚目の加工終了後に標準モードになっているため、さらに移行時間(d1)を加算した時間(d1+d1+d2)がパンチ加工をするなどレーザ加工を実施していない時間を超える場合に省エネモードを実行する。図3でのレーザ加工休み時間は、加工動作開始から時間T1までの時間と、時間T2から材料搬出完了の時間T3までの時間とを加算した時間となる。
【0040】
なお、省エネモードは、レーザ加工休み時間の長さに応じて適宜変更して最適な制御を実施する。例えば、レーザ加工休み時間が、レーザ発信器19と温度調器27の移行時間及び復旧時間を考慮して45秒以内の場合は省エネモードを実施せず、45秒以上50秒以内の場合はレーザ発振器19についてはベース放電のみ停止し、50秒以上の場合はレーザ発振器19についてはベース放電の停止とともにターボブロアも停止させる。また、レーザ加工とパンチ加工とを頻繁に切り換えるような場合には、レーザ発振器19が不安定になることを防ぐために温調器27を省エネモードとせずに、レーザ発振器19のみを省エネモードとする。
【0041】
図4は、パンチ・レーザ複合加工機1で、3枚目のワークWを加工する際のタイムチャートである。加工動作は、図3に示した2枚目と同様であるが、レーザ加工部Bで省エネモードを実施している状態を示している。図3の2枚目の処理と比べて、加工動作開始時点ですでに省エネモードに移行している状態にあるため、加工動作開始後すぐの省エネモードへの移行時間(d1)を必要としない点のみが異なる。運転モードの変化としては、レーザ加工を実施している時間、すなわちT1からT2までの間の時間の前後に、前記した省エネモードへの移行時間(d1)及び標準モードへの復旧時間(d2)を設定している。
【0042】
このため、省エネモードは加工動作開始から時間(T1−d2)まで実施し、その後はレーザ加工開始(時間T1)まで標準モードへの復旧時間(d2)となる。また、レーザ加工終了時(時間T2)から時間(d1)を要して省エネモードへ移行することになる。
【0043】
図4でのレーザ加工休み時間は、加工動作開始から時間T1までの時間と、時間T2から材料搬出完了の時間T3までの時間とを加算した時間となる。
【0044】
図5は、このようにして省エネモードを実施した場合(図4の3枚目の処理)の消費電力を実線で示し、省エネモードを実施せずに標準モードのままとした場合の消費電力を一点鎖線で示している。ここで図中の実線と一点鎖線で囲まれた斜線で示す部分が省エネモードを実施したことによる消費電力の削減分に相当する。
【0045】
なお、図5中で、標準モードでの待機電力は、前述したレーザ発振器19の15.8kWと温調器27の16kWとを加算した31.8kWであり、省エネモードでの待機電力は、レーザ発振器19の3.3kWと温調器27の11kWとを加算した14.3kWである。また、レーザ加工時での消費電力は56kW(レーザ発振器19が40kW、温調器27が16kW)である。
【0046】
次に、図6〜図9のフローチャートに基づいてNC装置25における制御部Sの制御動作について説明する。なお、前記した図2、図3及び図4では、1枚のワークに対し、パンチ加工の後にレーザ加工を1回行う場合を示しているが、以後の説明では、1枚のワークに対し、パンチ加工を間に挟んでレーザ加工を複数回行う例を示している。
【0047】
図6において、ワークWについて2枚目以降の加工を実行するかどうかを判断する(ステップ501)。なお、ここでの2枚目以降とは、1枚目のワークWの加工後、それ以降も加工を続行するかどうか、を意味している。2枚目以降の加工を実行しない場合、つまり1枚目の加工で終了する場合には、レーザ加工部Bは省エネモードに移行せず、常時標準モードとして加工動作を開始する(ステップ503)。
【0048】
図7は、1枚目のワークWの加工中に実行する処理であり、加工プログラムが終了したかどうかを判断し(ステップ601)、終了していない場合にはレーザ加工を開始したかどうかを判断する(ステップ603)。ここでレーザ加工を開始した場合には、データベースDBにレーザ加工開始時間を記憶し(ステップ605)、その後レーザ加工が終了したかどうかを判断し(ステップ607)、終了したらデータベースDBにレーザ加工終了始時間を記憶する(ステップ609)。
【0049】
そして、前記ステップ601で加工プログラムが終了したと判断したら、データベースDBにパンチ・レーザ複合加工機1の運転終了時間を記憶する(ステップ611)。
【0050】
図6に戻り、ステップ501で2枚目以降の加工を実行すると判断した場合には、現在省エネモードであるかどうかを判断する(ステップ505)。省エネモードの場合には、1枚のワークWに対する最初のレーザ加工開始までに、標準モードに復旧させる(ステップ507)。ここでの復旧開始時間は、図3、図4に示したように、1枚のワークWに対する最初のレーザ加工開始時間T1に対し時間d2だけ遡った時間(T1−d2)となる。
【0051】
図10は、2枚目のワークWに対する加工の後に省エネモードとなっている状態で、3枚目のワークWに対するレーザ加工を実施する際の標準モードへ復旧するのに時間d2を要していることを示している。なお、ここでは、1枚のワークWに対するレーザ加工を2回実施する例を示しており、2回のレーザ加工相互間の省エネモードではパンチ加工を実施している。
【0052】
上記ステップ505で現在省エネモードでないと判断した場合には、最初のレーザ加工開始時間T1>(d1+d2)であるかどうかを判断する(ステップ506)。ここで最初のレーザ加工開始時間T1>(d1+d2)の場合には、標準モードから省エネモードに移行しかつ省エネモードから標準モードに復旧する時間があるので、運転直後に省エネモードにする(ステップ508)。
【0053】
次に、図8のN回目のレーザ加工後に省エネモードに移行すべきかを判断するアルゴリズムを示すフローチャートに進む(ステップ509)。図8において、ステップ701のNは、何回目のレーザ加工かを示すカウンタであり、「N<1枚のワークWにおけるレーザ総加工回数」かどうか、つまり1枚のワークWにおける最後のレーザ加工に対して1回前を含みそれより前のレーザ加工であるかどうかを判断する(ステップ703)。
【0054】
ここで、「N<レーザ総加工回数」の場合は、次回(N+1回目)のレーザ加工開始時間と今回(N回目)のレーザ加工終了時間との差が、移行時間d1と復旧時間d2との加算値より大きいかどうか、つまり「次回(N+1回目)のレーザ加工開始時間−今回(N回目)のレーザ加工終了時間(以降、(N+1)−(N)と表現する)>(d1+d2)」であるかどうかを判断する(ステップ705)。
【0055】
ここで、[(N+1)−(N)]>(d1+d2)の場合は、今回のレーザ加工終了から次回のレーザ加工までの時間(レーザ加工休み時間)内に、今回のレーザ加工(標準モード)から省エネモードに移行する移行時間d1及び、省エネモードから次回のレーザ加工(標準モード)に復旧する復旧時間d2を設定可能である。このため、N回目(今回)のレーザ加工の終了後に、省エネモードに移行する(ステップ707)。
【0056】
一方、[(N+1)−(N)]>(d1+d2)でない場合は、レーザ加工休み時間内に移行時間d1と復旧時間d2とを設定できないので、省エネモードに移行しない(ステップ709)。
【0057】
以後は、「N+1」回目のレーザ加工を実行し(ステップ711)、ステップ703に戻り、該ステップ703で「N<レーザ総加工回数」でない場合、つまり最後のレーザ加工である場合には終了する。
【0058】
図8のアルゴリズムの後は、図6に戻り、[(1枚のワークWに対するプログラム全体の加工時間−1枚のワークWに対する最後のレーザ加工終了時間)+次に加工するワークWの最初のレーザ加工時間]>(d1+d2)であるかどうかを判断する(ステップ511)。ここで、[(1枚のワークWに対するプログラム全体の加工時間−1枚のワークWに対する最後のレーザ加工終了時間)+次に加工するワークWの最初のレーザ加工時間]>(d1+d2)であれば、最後のレーザ加工後に省エネモードに移行し(ステップ513)、そうでない場合には、最後のレーザ加工後に省エネモードに移行しない(ステップ515)。
【0059】
すなわち、前記した図10において、1枚(2枚目)のワークWに対するプログラム全体の加工時間をTA、1枚(2枚目)のワークWに対する最後のレーザ加工終了時間をTB、次に加工するワーク(3枚目)の最初のレーザ加工開始時間をT1とすれば、(TA−TB)+T1=TCである。このTCが(d1+d2)よりも大きければ(時間が長ければ)、省エネモードに移行する時間があるので、上記ステップ513で最後のレーザ加工後に省エネモードに移行するのである。
【0060】
ステップ513で省エネモードに移行した後は、最初のレーザ加工開始時間T1が標準モードに復旧する復旧時間d2より短いかどうか、つまりT1<d2かどうかを判断し(ステップ517)、T1<d2であれば、省エネモードから標準モードに復旧させる(ステップ519)。逆に、T1<d2でない場合(T1≧d2)には、省エネモードのままにして標準モードに復旧しない(ステップ521)。
【0061】
図11は、前記した図10と同様に、2枚目のワークWに対する加工後に省エネモードとなっている状態で、3枚目のワークWに対するレーザ加工を実施する際の標準モードへ復旧するのに時間d2を要していることを示している。この場合、復旧時間d2が、3枚目のワークWに対する加工プログラムでのレーザ加工開始時間T1より長いので、前の(2枚目の)ワークWに対する加工プログラムの終了前の時間TDで省エネモードから標準モードに復旧を開始している。
【0062】
図9は、2枚目以降のワークWの加工中に実行する処理であり、ステップ801におけるMは、何回レーザ加工を実行するかを示すカウンタである。まず、加工プログラムが終了したかどうかを判断し(ステップ803)、終了していない場合には省エネモードを標準モードに復旧させる時間かどうかを判断する(ステップ805)。ここで、標準モードに復旧させる時間の場合には標準モードに復旧させる(ステップ807)。
【0063】
その後、レーザ加工を開始したかどうかを判断し(ステップ809)、開始した場合には、データベースDBにレーザ加工開始時間を記憶する(ステップ811)。続くレーザ加工が終了したかどうかの判断で(ステップ813)、終了であればデータベースDBにレーザ加工終了始時間を記憶する(ステップ815)。
【0064】
次に、M回目のレーザ加工後に、省エネモードにすべきかどうかを判断し(ステップ817)、省エネモードにすべき場合には、省エネモードに設定する(ステップ819)。そして、前記ステップ803で加工プラグラムが終了したと判断したら、パンチ・レーザ複合加工機1の運転終了時間をデータベースDBに記憶する(ステップ821)。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、パンチ・レーザ複合加工機1において、材料搬入やパンチ加工が実施されていてレーザ加工を実施していない場合に、該レーザ加工を実施していないレーザ加工部Bを、その待機時の消費エネルギが通常待機時の標準モードに比較して少ない省エネモードで待機させるようにしている。このため、加工を実施していないレーザ加工部Bの待機時での消費エネルギを低減させることができる。
【0066】
また、本実施形態では、加工を実施していないレーザ加工部Bが前回加工を終了した時点から次回加工を開始する時点までの待機時間が、省エネモードから標準モードに復旧するのに必要な標準モード復旧時間と、標準モードから前記省エネモードに移行するのに必要な省エネモード移行時間とを加算した時間より長い場合に、加工を実施していないレーザ加工部Bを省エネモードとして待機させるようにしている。
【0067】
これにより、レーザ加工部Bを省エネモードにすべき場合には確実に省エネモードに設定できて、消費電力の削減を効率よく行うことができる。
【0068】
図12は、パンチ加工部Aを省エネモードとする実施形態を示す、前記図4に対応するタイムチャートである。ここでは、加工動作における時間T1〜T2の間でパンチ加工を実施しており、このパンチ加工を実施していない材料搬入時、レーザ加工を行っている間及び材料搬出時を、パンチ加工部Aの省エネモードとする。
【0069】
材料搬入時での省エネモードは、パンチ加工開始時T1から標準モードへの復旧時間d2を差し引いた時間「T1−d2」までとしている。
【0070】
パンチ加工部Aでの省エネモードとしては、例えば下記のような事項を実行する。電動サーボプレスのサーボアンプをオフにする。油圧プレスのブロアモータやアンプをオフにする。タレットや金型を回転させるサーボアンプをオフにする。油圧でダイを上昇させる機構のブロアモータを停止する。パンチの抜きカスを運ぶベルトコンベアのモータとアンプを停止する。
【0071】
このパンチ加工部Aでの省エネモードにおいても、パンチ加工の開始時間と終了時間を記憶しておき、2回目以降のパンチ加工を実施していない区間について上記した省エネモードに設定することで、パンチ加工部Aの待機電力を削減することができる。
【0072】
なお、省エネモードを実行するレーザ加工またはパンチ加工の開始時間と終了時間は、データベースDBの代わりに加工プログラムのヘッダに蓄えることでも代用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 パンチ・レーザ複合加工機(複合加工機)
A パンチ加工部(加工手段)
B レーザ加工部(加工手段)
S 制御部(制御手段、待機時間計測手段)
DB データベース(モード復旧移行時間記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに種類の異なる複数の加工手段を有する複合加工機の運転方法及び運転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合加工機としてパンチ加工とレーザ加工を行うパンチ・レーザ複合加工機がある(下記特許文献1参照)。この複合加工機は、パンチ加工とレーザ加工のいずれか一方の加工を行っている間は、他方の加工を行う加工部は待機状態となり、待機状態の加工部は待機電力を消費することになる。
【0003】
例えば、上記複合加工機のパンチ加工部でパンチ加工を行っている間は、レーザ加工部(下記特許文献2参照)にとっては待ち時間となり、その待ち時間の間は、次のレーザ加工を素早く立ち上げるために、待機電力を消費する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−192465号公報
【特許文献2】特開平9−271966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、複合加工機の運転中に加工を実施していない加工部が待機電力を消費することから、エネルギ消費の観点から待機電力をより一層低減することが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、複合加工機の運転中に加工を実施していない加工手段の待機時での消費エネルギを低減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、互いに種類の異なる複数の加工手段を有する複合加工機を運転するに際し、前記複数の加工手段のうち加工を実施していない加工手段を、該加工手段の待機時の消費エネルギが通常待機時の標準モードに比較して少ない省エネモードで待機させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加工を実施していない加工手段を、該加工手段の待機時の消費エネルギが通常待機時の標準モードに比較して少ない省エネモードで待機させるようにしたので、加工を実施していない加工手段の待機時での消費エネルギを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係わるパンチ・レーザ複合加工機を示す平面図である。
【図2】図1のパンチ・レーザ複合加工機による1枚目のワークの加工動作に対応するレーザ加工部の運転モードを示すタイムチャートである。
【図3】図1のパンチ・レーザ複合加工機による2枚目のワークの加工動作に対応するレーザ加工部の運転モードを示すタイムチャートである。
【図4】図1のパンチ・レーザ複合加工機による3枚目のワークの加工動作に対応するレーザ加工部の運転モードを示すタイムチャートである。
【図5】レーザ加工部に対し省エネモードを採用した場合と採用しない場合とを比較して示した消費電力変化特性図である。
【図6】図1のNC装置による省エネモード変更のタイミングを計算するアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図7】図1のNC装置による1枚目のワーク加工中に実行するアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図8】図1のNC装置によるN回目のレーザ加工後に省エネモードにすべきか判断するアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図9】図1のNC装置による2枚目以降のワーク加工中に実行するアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図10】2枚目及び3枚目のワークに対する加工プログラムとレーザ加工部の運転モードを示すタイムチャートである。
【図11】2枚目及び3枚目のワークに対する図10とは別の加工プログラムとレーザ加工部の運転モードを示すタイムチャートである。
【図12】パンチ加工部を省エネモードとする実施形態を示す、図4に対応するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係わる複合加工機としてのパンチ・レーザ複合加工機1を示す平面図である。このパンチ・レーザ複合加工機1は、パンチ加工部Aとレーザ加工部Bとを備えている。これらパンチ加工部A及びレーザ加工部Bは、互いに種類の異なる複数の加工手段を構成している。
【0012】
そして、図示しないベース上に門形のフレーム3が立設しており、このフレーム3には回転可能な上部タレット5を、ベース上に配置した下部タレット7と対向して設けている。上部タレット5、下部タレット7 には、それぞれ周方向に適宜な間隔で相対向した複数のパンチP、ダイD を装着して上記したパンチ加工部Aを構成している。
【0013】
上部タレット5、下部タレット7は同期して回転し、加工を行うパンチP、ダイDがパンチ加工位置Kに割り出される。パンチ加工位置Kにおいて、図示しないストライカを上下動させることにより、パンチ加工位置Kに位置決めされた板状のワークWにパンチPとダイDとの協働でパンチング加工を行う。
【0014】
ベース上には、パンチ・レーザ複合加工機1の機械全幅にほぼ等しい長さを持つキャレッジベース11を、図示しない駆動モータ、ボールねじによってY軸方向に移動自在に設けている。キャレッジベース11には、図示しない駆動モータ、ボールねじによってX方向へ移動自在なキャレッジ13を設け、このキャレッジ13には、加工テーブル14上のワークWをクランプする複数のワーククランプ15を設けている。
【0015】
また、パンチ・レーザ複合加工機1は、上記したパンチ加工位置Kに対してX軸方向左側の位置に、レーザ加工ヘッド17を、図示しない駆動モータ、ボールねじによってY軸方向へ移動自在に設けて上記したレーザ加工部Bを構成している。
【0016】
レーザ加工ヘッド17はパンチ加工位置Kに対し、図1中でX軸方向左側へ距離X0だけオフセットされたレーザ加工位置LにおいてY軸方向に所定範囲移動する。
【0017】
パンチ・レーザ複合加工機1は、門形のフレーム3を間に挟んでレーザ加工部Bと反対側にフロントテーブル18を備え、このフロントテーブル18の図1中で下部近傍にレーザ発振器19を備えている。レーザ発振器19からレーザビームをレーザ加工ヘッド1 7に導くビームガイド手段は、レーザ加工位置Lの脇の第1のベンドミラー21及びレーザ加工ヘッド17上部に設置された第2のベンドミラー23を有している。レーザ加工ヘッド17がY軸方向の任意の位置に移動しても、レーザ発振器19で出力されたレーザビームLBは、ベンドミラー21,23を経てレーザ加工ヘッド17に案内され、レーザ加工ヘッド17に備えられた集光レンズで集光された後、ワークWへ向けて照射される。
【0018】
レーザ加工を行う際は、レーザ加工ヘッド17をワークWの加工開始位置に位置合わせした後、レーザビームを照射しつつ、キャレッジ13をX軸方向へ移動させてワークWをX軸方向へ移動させるとともに、レーザ加工ヘッド17をY軸方向へ移動させる。このようにして、ワークWの所望位置にレーザ加工を行う。符号24は、フロントテーブル18に対しワークWの搬入及び搬出を行うライン装置である。
【0019】
このような構成のパンチ・レーザ複合加工機1は、NC装置25によってあらかじめ組み込まれ設定されている加工プログラムに従って制御され、ワークWに対してパンチ加工及びレーザ加工がなされる。
【0020】
ここで、パンチ・レーザ複合加工機1における一般的な加工プログラムの一例を以下に示す。まず、「加工前段取工程」でライン装置24によりワークWを搬入した後、自動金型交換装置がある場合には金型交換を行ってから、「パンチ加工工程」で上記搬入したワークWに対してパンチ加工、成形、タップ加工などを行う。
【0021】
次に、「レーザ加工工程」で、パンチ加工モードからレーザ加工モードに切り換えて、上記したパンチ加工工程による加工後のワークWに対してレーザ加工を行う。
【0022】
その後は、次に搬入されるワークWに対する加工に備え、レーザ加工モードからパンチ加工モードに切り換える。なお、レーザ加工の後にパンチ加工を行う場合もある。
【0023】
最後の「加工後段取工程」では、加工し終わったワークWをライン装置24により搬出する。その際、場合によってはレーザ加工ヘッド17のノズルクリーニングを実施する。
【0024】
このような加工動作を行うパンチ・レーザ複合加工機1では、パンチ加工部Aでパンチ加工を行っている間やワークWの搬入及び搬出の間など、レーザ加工工程以外の工程では、レーザ加工部Bは、パンチ加工後のレーザ加工に備えて電源をオフとせずに待機状態としてあり、待機電力を消費している。
【0025】
本実施形態では、このレーザ加工部Bの待機状態での消費エネルギとしての消費電力を低減するために、待機時の消費電力が通常の標準モードから、標準モードよりも待機時の消費電力が少ない省エネモードとする。
【0026】
なお、ここでのレーザ加工部Bの待機状態の標準モードとは、レーザ発振器19のベース放電(種火放電)を継続して行う状態であって、レーザ加工を即座に行える状態である。ベース放電とは、レーザ光が出射する加工可能な状態に対し、放電電圧を低くしてレーザ光が出射しない状態をいう。
【0027】
一方、省エネモードとは、ベース放電を停止した状態で、炭酸ガスレーザにおけるレーザガスの供給圧力を低下させたり、あるいはレーザ発振器19を冷却するための温調器27による温度調節範囲を拡大させる広域制御とする状態などをいう。広域制御によってコンプレッサの作動、停止頻度を減少でき、電力消費量を低減することが可能となる。
【0028】
例えば、レーザ発振器19の待機電力は、標準モードで15.8kWであるのに対して省エネモードでは3.3kWとなる。また、温調器27の待機電力は、標準モードで16kWであるのに対して省エネモードでは11kWとなる。なお、ここでの省エネモードは、レーザ発振器19では、ベース放電の停止とレーザガス供給用のターボブロアの停止を実施する場合であり、温調器27では温度調節範囲を広域制御とする場合である。
【0029】
このようなレーザガスの供給圧力低下や温調器27による温度調節範囲の広域制御によって、省エネモードは標準モードに比較して省電力化を図っている。ここで、標準モードから省エネモードに移行する時間(以後、移行時間という)及び、省エネモードから標準モードに復旧するまでの時間(以後、復旧時間という)は、ある程度の時間を要する。
【0030】
例えば、レーザ発振器19については、移行時間が35秒、復旧時間が10秒で、温調器27については、移行時間が10秒、復旧時間が40秒である。
【0031】
なお、その他の省エネモードとして、レーザ発振器19ではベース放電を停止するがターボブロアは動作させたままとし、温調器27では温度調節範囲を上記の広域制御よりも狭いものとする場合もある。この場合の待機電力は、上記した数値よりも標準モードに近いものとなり、また移行時間及び復旧時間も上記した数値より短縮される。
【0032】
本実施形態では、上記した省エネモードへの移行時間及び標準モードへの復旧時間を考慮して、標準モードから省エネモードへの移行及び、省エネモードから標準モードへの復旧をより効率的に行うようにしている。具体的には、前回のプログラム加工におけるレーザ加工を実施した時間を記憶しておき、2回目以降の同一のプログラム加工の際に効率的にレーザ加工部Bを省エネモードで運転させる。
【0033】
図2は、図1のパンチ・レーザ複合加工機1により1枚目のワークWを加工する際のタイムチャートである。加工動作としては、ワークWをパンチ・レーザ複合加工機1に搬入する材料搬入を行った後に、パンチ加工部Aによりパンチ加工を実施し、その後時間T1でレーザ加工部Bによりレーザ加工を実施する。
【0034】
レーザ加工は時間T2で終了し、その後ワークWをパンチ・レーザ複合加工機1から搬出する材料搬出を行って、時間T3で1枚目のワークWの加工処理が完了(加工プログラム終了)する。この1枚目のワークWに対する加工処理の間のレーザ加工部Bの運転モードは、標準モードであって省エネモードは実施しない。このため、1枚目のワークWの加工後で2枚目のワークWの加工開始前には、標準モードとなっている。
【0035】
このようなレーザ加工部Bでの1枚目のワークWに対する加工動作に関し、開始時間T1、終了時間T2、加工処理完了時間T3を、NC装置25のデータベースDBに記憶する。このデータベースDBへ記憶した各時間に基づいて、制御手段としての制御部Sは、加工を実施していないレーザ加工部Bが前回加工を終了した時点から次回加工を開始する時点までの待機時間を計測する。また、データベースDBには、省エネモードから標準モードに復旧するのに必要な標準モード復旧時間及び、標準モードから省エネモードに移行するのに必要な省エネモード移行時間が、それぞれあらかじめ記憶されている。
【0036】
すなわち、上記した制御部Sは、加工を実施していない加工手段が前回加工を終了した時点から次回加工を開始する時点までの待機時間を計測する待機時間計測手段を含んでいる。また、データベースDBは、標準モードから省エネモードに移行するのに必要な省エネモード移行時間及び、省エネモードから標準モードに復旧するのに必要な標準モード復旧時間をそれぞれ記憶するモード移行復旧時間記憶手段を構成している。
【0037】
図3は、パンチ・レーザ複合加工機1で、2枚目のワークWを加工する際のタイムチャートである。加工動作は、図2に示した1枚目と同様であるが、レーザ加工部Bで省エネモードを実施している状態を示している。運転モードの変化としては、加工動作開始後すぐに省エネモードへの移行時間(d1)を設定し、さらに、レーザ加工を実施している時間、すなわちT1からT2までの間の時間の前後に、前記した省エネモードへの移行時間(d1)及び標準モードへの復旧時間(d2)を設定している。
【0038】
このため、1枚目のワークWの加工終了後は標準モードとなっているので2枚目の加工動作開始後すぐに時間(d1)を要して省エネモードへ移行し、その後の時間(T1−d2)まで省エネモードを実施し、その後はレーザ加工開始(時間T1)まで標準モードへの復旧時間(d2)となる。また、レーザ加工終了時(時間T2)から時間(d1)を要して省エネモードへ移行することになる。
【0039】
ここで、移行時間(d1)と復旧時間(d2)とを加算した時間(d1+d2)を、パンチ加工をするなどレーザ加工を実施していない時間(以後、レーザ加工休み時間という)が超える場合に省エネモードを実行する。なお、図3の2枚目のワークを加工する場合は1枚目の加工終了後に標準モードになっているため、さらに移行時間(d1)を加算した時間(d1+d1+d2)がパンチ加工をするなどレーザ加工を実施していない時間を超える場合に省エネモードを実行する。図3でのレーザ加工休み時間は、加工動作開始から時間T1までの時間と、時間T2から材料搬出完了の時間T3までの時間とを加算した時間となる。
【0040】
なお、省エネモードは、レーザ加工休み時間の長さに応じて適宜変更して最適な制御を実施する。例えば、レーザ加工休み時間が、レーザ発信器19と温度調器27の移行時間及び復旧時間を考慮して45秒以内の場合は省エネモードを実施せず、45秒以上50秒以内の場合はレーザ発振器19についてはベース放電のみ停止し、50秒以上の場合はレーザ発振器19についてはベース放電の停止とともにターボブロアも停止させる。また、レーザ加工とパンチ加工とを頻繁に切り換えるような場合には、レーザ発振器19が不安定になることを防ぐために温調器27を省エネモードとせずに、レーザ発振器19のみを省エネモードとする。
【0041】
図4は、パンチ・レーザ複合加工機1で、3枚目のワークWを加工する際のタイムチャートである。加工動作は、図3に示した2枚目と同様であるが、レーザ加工部Bで省エネモードを実施している状態を示している。図3の2枚目の処理と比べて、加工動作開始時点ですでに省エネモードに移行している状態にあるため、加工動作開始後すぐの省エネモードへの移行時間(d1)を必要としない点のみが異なる。運転モードの変化としては、レーザ加工を実施している時間、すなわちT1からT2までの間の時間の前後に、前記した省エネモードへの移行時間(d1)及び標準モードへの復旧時間(d2)を設定している。
【0042】
このため、省エネモードは加工動作開始から時間(T1−d2)まで実施し、その後はレーザ加工開始(時間T1)まで標準モードへの復旧時間(d2)となる。また、レーザ加工終了時(時間T2)から時間(d1)を要して省エネモードへ移行することになる。
【0043】
図4でのレーザ加工休み時間は、加工動作開始から時間T1までの時間と、時間T2から材料搬出完了の時間T3までの時間とを加算した時間となる。
【0044】
図5は、このようにして省エネモードを実施した場合(図4の3枚目の処理)の消費電力を実線で示し、省エネモードを実施せずに標準モードのままとした場合の消費電力を一点鎖線で示している。ここで図中の実線と一点鎖線で囲まれた斜線で示す部分が省エネモードを実施したことによる消費電力の削減分に相当する。
【0045】
なお、図5中で、標準モードでの待機電力は、前述したレーザ発振器19の15.8kWと温調器27の16kWとを加算した31.8kWであり、省エネモードでの待機電力は、レーザ発振器19の3.3kWと温調器27の11kWとを加算した14.3kWである。また、レーザ加工時での消費電力は56kW(レーザ発振器19が40kW、温調器27が16kW)である。
【0046】
次に、図6〜図9のフローチャートに基づいてNC装置25における制御部Sの制御動作について説明する。なお、前記した図2、図3及び図4では、1枚のワークに対し、パンチ加工の後にレーザ加工を1回行う場合を示しているが、以後の説明では、1枚のワークに対し、パンチ加工を間に挟んでレーザ加工を複数回行う例を示している。
【0047】
図6において、ワークWについて2枚目以降の加工を実行するかどうかを判断する(ステップ501)。なお、ここでの2枚目以降とは、1枚目のワークWの加工後、それ以降も加工を続行するかどうか、を意味している。2枚目以降の加工を実行しない場合、つまり1枚目の加工で終了する場合には、レーザ加工部Bは省エネモードに移行せず、常時標準モードとして加工動作を開始する(ステップ503)。
【0048】
図7は、1枚目のワークWの加工中に実行する処理であり、加工プログラムが終了したかどうかを判断し(ステップ601)、終了していない場合にはレーザ加工を開始したかどうかを判断する(ステップ603)。ここでレーザ加工を開始した場合には、データベースDBにレーザ加工開始時間を記憶し(ステップ605)、その後レーザ加工が終了したかどうかを判断し(ステップ607)、終了したらデータベースDBにレーザ加工終了始時間を記憶する(ステップ609)。
【0049】
そして、前記ステップ601で加工プログラムが終了したと判断したら、データベースDBにパンチ・レーザ複合加工機1の運転終了時間を記憶する(ステップ611)。
【0050】
図6に戻り、ステップ501で2枚目以降の加工を実行すると判断した場合には、現在省エネモードであるかどうかを判断する(ステップ505)。省エネモードの場合には、1枚のワークWに対する最初のレーザ加工開始までに、標準モードに復旧させる(ステップ507)。ここでの復旧開始時間は、図3、図4に示したように、1枚のワークWに対する最初のレーザ加工開始時間T1に対し時間d2だけ遡った時間(T1−d2)となる。
【0051】
図10は、2枚目のワークWに対する加工の後に省エネモードとなっている状態で、3枚目のワークWに対するレーザ加工を実施する際の標準モードへ復旧するのに時間d2を要していることを示している。なお、ここでは、1枚のワークWに対するレーザ加工を2回実施する例を示しており、2回のレーザ加工相互間の省エネモードではパンチ加工を実施している。
【0052】
上記ステップ505で現在省エネモードでないと判断した場合には、最初のレーザ加工開始時間T1>(d1+d2)であるかどうかを判断する(ステップ506)。ここで最初のレーザ加工開始時間T1>(d1+d2)の場合には、標準モードから省エネモードに移行しかつ省エネモードから標準モードに復旧する時間があるので、運転直後に省エネモードにする(ステップ508)。
【0053】
次に、図8のN回目のレーザ加工後に省エネモードに移行すべきかを判断するアルゴリズムを示すフローチャートに進む(ステップ509)。図8において、ステップ701のNは、何回目のレーザ加工かを示すカウンタであり、「N<1枚のワークWにおけるレーザ総加工回数」かどうか、つまり1枚のワークWにおける最後のレーザ加工に対して1回前を含みそれより前のレーザ加工であるかどうかを判断する(ステップ703)。
【0054】
ここで、「N<レーザ総加工回数」の場合は、次回(N+1回目)のレーザ加工開始時間と今回(N回目)のレーザ加工終了時間との差が、移行時間d1と復旧時間d2との加算値より大きいかどうか、つまり「次回(N+1回目)のレーザ加工開始時間−今回(N回目)のレーザ加工終了時間(以降、(N+1)−(N)と表現する)>(d1+d2)」であるかどうかを判断する(ステップ705)。
【0055】
ここで、[(N+1)−(N)]>(d1+d2)の場合は、今回のレーザ加工終了から次回のレーザ加工までの時間(レーザ加工休み時間)内に、今回のレーザ加工(標準モード)から省エネモードに移行する移行時間d1及び、省エネモードから次回のレーザ加工(標準モード)に復旧する復旧時間d2を設定可能である。このため、N回目(今回)のレーザ加工の終了後に、省エネモードに移行する(ステップ707)。
【0056】
一方、[(N+1)−(N)]>(d1+d2)でない場合は、レーザ加工休み時間内に移行時間d1と復旧時間d2とを設定できないので、省エネモードに移行しない(ステップ709)。
【0057】
以後は、「N+1」回目のレーザ加工を実行し(ステップ711)、ステップ703に戻り、該ステップ703で「N<レーザ総加工回数」でない場合、つまり最後のレーザ加工である場合には終了する。
【0058】
図8のアルゴリズムの後は、図6に戻り、[(1枚のワークWに対するプログラム全体の加工時間−1枚のワークWに対する最後のレーザ加工終了時間)+次に加工するワークWの最初のレーザ加工時間]>(d1+d2)であるかどうかを判断する(ステップ511)。ここで、[(1枚のワークWに対するプログラム全体の加工時間−1枚のワークWに対する最後のレーザ加工終了時間)+次に加工するワークWの最初のレーザ加工時間]>(d1+d2)であれば、最後のレーザ加工後に省エネモードに移行し(ステップ513)、そうでない場合には、最後のレーザ加工後に省エネモードに移行しない(ステップ515)。
【0059】
すなわち、前記した図10において、1枚(2枚目)のワークWに対するプログラム全体の加工時間をTA、1枚(2枚目)のワークWに対する最後のレーザ加工終了時間をTB、次に加工するワーク(3枚目)の最初のレーザ加工開始時間をT1とすれば、(TA−TB)+T1=TCである。このTCが(d1+d2)よりも大きければ(時間が長ければ)、省エネモードに移行する時間があるので、上記ステップ513で最後のレーザ加工後に省エネモードに移行するのである。
【0060】
ステップ513で省エネモードに移行した後は、最初のレーザ加工開始時間T1が標準モードに復旧する復旧時間d2より短いかどうか、つまりT1<d2かどうかを判断し(ステップ517)、T1<d2であれば、省エネモードから標準モードに復旧させる(ステップ519)。逆に、T1<d2でない場合(T1≧d2)には、省エネモードのままにして標準モードに復旧しない(ステップ521)。
【0061】
図11は、前記した図10と同様に、2枚目のワークWに対する加工後に省エネモードとなっている状態で、3枚目のワークWに対するレーザ加工を実施する際の標準モードへ復旧するのに時間d2を要していることを示している。この場合、復旧時間d2が、3枚目のワークWに対する加工プログラムでのレーザ加工開始時間T1より長いので、前の(2枚目の)ワークWに対する加工プログラムの終了前の時間TDで省エネモードから標準モードに復旧を開始している。
【0062】
図9は、2枚目以降のワークWの加工中に実行する処理であり、ステップ801におけるMは、何回レーザ加工を実行するかを示すカウンタである。まず、加工プログラムが終了したかどうかを判断し(ステップ803)、終了していない場合には省エネモードを標準モードに復旧させる時間かどうかを判断する(ステップ805)。ここで、標準モードに復旧させる時間の場合には標準モードに復旧させる(ステップ807)。
【0063】
その後、レーザ加工を開始したかどうかを判断し(ステップ809)、開始した場合には、データベースDBにレーザ加工開始時間を記憶する(ステップ811)。続くレーザ加工が終了したかどうかの判断で(ステップ813)、終了であればデータベースDBにレーザ加工終了始時間を記憶する(ステップ815)。
【0064】
次に、M回目のレーザ加工後に、省エネモードにすべきかどうかを判断し(ステップ817)、省エネモードにすべき場合には、省エネモードに設定する(ステップ819)。そして、前記ステップ803で加工プラグラムが終了したと判断したら、パンチ・レーザ複合加工機1の運転終了時間をデータベースDBに記憶する(ステップ821)。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、パンチ・レーザ複合加工機1において、材料搬入やパンチ加工が実施されていてレーザ加工を実施していない場合に、該レーザ加工を実施していないレーザ加工部Bを、その待機時の消費エネルギが通常待機時の標準モードに比較して少ない省エネモードで待機させるようにしている。このため、加工を実施していないレーザ加工部Bの待機時での消費エネルギを低減させることができる。
【0066】
また、本実施形態では、加工を実施していないレーザ加工部Bが前回加工を終了した時点から次回加工を開始する時点までの待機時間が、省エネモードから標準モードに復旧するのに必要な標準モード復旧時間と、標準モードから前記省エネモードに移行するのに必要な省エネモード移行時間とを加算した時間より長い場合に、加工を実施していないレーザ加工部Bを省エネモードとして待機させるようにしている。
【0067】
これにより、レーザ加工部Bを省エネモードにすべき場合には確実に省エネモードに設定できて、消費電力の削減を効率よく行うことができる。
【0068】
図12は、パンチ加工部Aを省エネモードとする実施形態を示す、前記図4に対応するタイムチャートである。ここでは、加工動作における時間T1〜T2の間でパンチ加工を実施しており、このパンチ加工を実施していない材料搬入時、レーザ加工を行っている間及び材料搬出時を、パンチ加工部Aの省エネモードとする。
【0069】
材料搬入時での省エネモードは、パンチ加工開始時T1から標準モードへの復旧時間d2を差し引いた時間「T1−d2」までとしている。
【0070】
パンチ加工部Aでの省エネモードとしては、例えば下記のような事項を実行する。電動サーボプレスのサーボアンプをオフにする。油圧プレスのブロアモータやアンプをオフにする。タレットや金型を回転させるサーボアンプをオフにする。油圧でダイを上昇させる機構のブロアモータを停止する。パンチの抜きカスを運ぶベルトコンベアのモータとアンプを停止する。
【0071】
このパンチ加工部Aでの省エネモードにおいても、パンチ加工の開始時間と終了時間を記憶しておき、2回目以降のパンチ加工を実施していない区間について上記した省エネモードに設定することで、パンチ加工部Aの待機電力を削減することができる。
【0072】
なお、省エネモードを実行するレーザ加工またはパンチ加工の開始時間と終了時間は、データベースDBの代わりに加工プログラムのヘッダに蓄えることでも代用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 パンチ・レーザ複合加工機(複合加工機)
A パンチ加工部(加工手段)
B レーザ加工部(加工手段)
S 制御部(制御手段、待機時間計測手段)
DB データベース(モード復旧移行時間記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに種類の異なる複数の加工手段を有する複合加工機を運転するに際し、前記複数の加工手段のうち加工を実施していない加工手段を、該加工手段の待機時の消費エネルギが通常待機時の標準モードに比較して少ない省エネモードで待機させることを特徴とする複合加工機の運転方法。
【請求項2】
前記加工を実施していない加工手段が前回加工を終了した時点から次回加工を開始する時点までの待機時間が、前記省エネモードから前記標準モードに復旧するのに必要な標準モード復旧時間と、前記標準モードから前記省エネモードに移行するのに必要な省エネモード移行時間とを加算した時間より長い場合に、前記加工を実施していない加工手段を前記省エネモードとして待機させることを特徴とする請求項1に記載の複合加工機の運転方法。
【請求項3】
互いに種類の異なる複数の加工手段を有する複合加工機の運転装置であって、前記複数の加工手段のうち少なくとも一つは、加工を実施していない状態での待機時の消費エネルギが通常待機時の標準モードに比較して少ない消費エネルギとなる省エネモードを備え、前記複合加工機を運転するに際し、前記省エネモードを備える加工手段を、加工を実施していない状態で前記省エネモードで待機するよう制御する制御手段を備えていることを特徴とする複合加工機の運転装置。
【請求項4】
前記加工を実施していない加工手段が前回加工を終了した時点から次回加工を開始する時点までの待機時間を計測する待機時間計測手段と、前記標準モードから前記省エネモードに移行するのに必要な省エネモード移行時間及び、前記省エネモードから前記標準モードに復旧するのに必要な標準モード復旧時間をそれぞれ記憶するモード移行復旧時間記憶手段とを有し、前記制御手段は、前記待機時間計測手段が計測した待機時間が、前記モード移行復旧時間記憶手段が記憶する前記省エネモード移行時間と前記標準モード復旧時間とを加算した時間より長い場合に、前記加工を実施していない加工手段を前記省エネモードとして待機させるよう制御することを特徴とする請求項3に記載の複合加工機の運転装置。
【請求項1】
互いに種類の異なる複数の加工手段を有する複合加工機を運転するに際し、前記複数の加工手段のうち加工を実施していない加工手段を、該加工手段の待機時の消費エネルギが通常待機時の標準モードに比較して少ない省エネモードで待機させることを特徴とする複合加工機の運転方法。
【請求項2】
前記加工を実施していない加工手段が前回加工を終了した時点から次回加工を開始する時点までの待機時間が、前記省エネモードから前記標準モードに復旧するのに必要な標準モード復旧時間と、前記標準モードから前記省エネモードに移行するのに必要な省エネモード移行時間とを加算した時間より長い場合に、前記加工を実施していない加工手段を前記省エネモードとして待機させることを特徴とする請求項1に記載の複合加工機の運転方法。
【請求項3】
互いに種類の異なる複数の加工手段を有する複合加工機の運転装置であって、前記複数の加工手段のうち少なくとも一つは、加工を実施していない状態での待機時の消費エネルギが通常待機時の標準モードに比較して少ない消費エネルギとなる省エネモードを備え、前記複合加工機を運転するに際し、前記省エネモードを備える加工手段を、加工を実施していない状態で前記省エネモードで待機するよう制御する制御手段を備えていることを特徴とする複合加工機の運転装置。
【請求項4】
前記加工を実施していない加工手段が前回加工を終了した時点から次回加工を開始する時点までの待機時間を計測する待機時間計測手段と、前記標準モードから前記省エネモードに移行するのに必要な省エネモード移行時間及び、前記省エネモードから前記標準モードに復旧するのに必要な標準モード復旧時間をそれぞれ記憶するモード移行復旧時間記憶手段とを有し、前記制御手段は、前記待機時間計測手段が計測した待機時間が、前記モード移行復旧時間記憶手段が記憶する前記省エネモード移行時間と前記標準モード復旧時間とを加算した時間より長い場合に、前記加工を実施していない加工手段を前記省エネモードとして待機させるよう制御することを特徴とする請求項3に記載の複合加工機の運転装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−171084(P2012−171084A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38513(P2011−38513)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(390014672)株式会社アマダ (548)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]