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複合型火力発電システム
説明

複合型火力発電システム

【課題】火力発電設備からのNOx排出を抑制することができる複合型火力発電システムを提供する。
【解決手段】火力発電設備(1)と、水分解光触媒水素製造設備(2)と、化学合成設備(3)とを有し、化学合成設備(3)は、火力発電設備(1)から排出されるNOxと必要に応じて導かれる窒素、および水分解光触媒水素製造設備(2)で生成する水素を原料として利用してアンモニアを合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電設備における燃焼に伴って発生する窒素酸化物(以下NOx)の大気への排出を低減させることができる複合型発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電設備において、燃料燃焼時には燃料含有窒素N成分に起因するフューエルNOx、窒素存在(空気)雰囲気下における高温燃焼に起因するサーマルNOxが発生する。NOxは酸性雨の原因となることやその毒性などから排出抑制が望まれ、排出規制が設けられているガスである。
【0003】
NOx発生を低減させるために、例えば、燃料燃焼条件を低温にするなどして調節し燃焼効率を少し低下させて対応するなど、様々な対策がとられている(非特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】東京電力、“環境への取り組み、大気汚染対策−窒素酸化物(NOx)対策−”、[online]、平成21年9月30日[平成23年10月24日検索]、インターネット〈URL:http://www.tepco.co.jp/tp/eco/nox/index-j.html〉
【非特許文献2】“窒素酸化物削減に関する技術リスト”、平成22年3月[平成23年10月24日検索]、インターネット〈URL:http://www.env.go.jp/air/tech/ine/asia/china/files/needs/china-technology-list-jp.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
火力発電設備から排出されるNOxを原料として有効利用することができれば、同時にNOxの排出の抑制も図ることができるので、そのシステムは理想的である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、火力発電設備からのNOx排出を抑制することができる複合型火力発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の複合型火力発電システムは、火力発電設備と、水分解光触媒水素製造設備と、該火力発電設備から排出されるNOxと必要に応じて導かれる窒素、および該水分解光触媒水素製造設備で生成する水素を原料として利用してアンモニアを合成する化学合成設備とを有することを特徴とするものである。
【0008】
上記複合型火力発電システムにおいて、好ましくは、前記火力発電設備からの排出蒸気を熱源として利用する海水淡水化設備をさらに有し、該海水淡水化設備で製造された水が前記水分解光触媒水素製造設備に供給される。
【0009】
好ましくは、前記化学合成設備で副生成する水が、前記水分解光触媒水素製造設備に供給される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の複合型火力発電システムでは、化学合成設備において、火力発電設備から排出されるNOxと必要に応じて導かれる窒素、および該水分解光触媒水素製造設備で生成する水素を原料として利用してアンモニアが合成される。アンモニアは貯蔵・輸送されて、別途有効に利用される。本発明では、火力発電設備で排出されるNOxをアンモニア合成の原料とすることが可能となり、NOxを排出しないクリーンな複合型火力発電システムを形成することができる。また、本発明では、NOxのN成分がアンモニアとなり化学エネルギーとして有効に利用される。さらに、本発明のシステムを構築することで火力発電設備において排ガス脱硝設備が不要となり、設備のコンパクト化に繋がる。
【0011】
火力発電設備で使用する燃料の違い(LNG、石炭)による排出NOx成分および量の差異は、その発電設備の規模を変更することで対応し、また必要量の窒素を適宜追加することにより、生成水素量を全量アンモニアに変換することが可能である。
【0012】
また、化学合成設備で副生成する水は、上流の水分解光触媒水素製造設備に供給されて有効に再利用される。
【0013】
場合(設置環境)によっては海水炭水化設備が不要となり、当該設備のコンパクトが可能となる。
【0014】
NOxは全量がアンモニア原料として利用され得るため、サーマルNOx発生を低減させるための低温燃料などの工夫は不要となり、発電設備において燃料の燃焼効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1の複合型火力発電システムを説明するフローシートである。
【図2】コンバインドサイクル火力発電設備を説明する内部概略図である。
【図3】水分解光触媒水素製造設備(2)を示す概略図である。
【図4】実施の形態2の複合型火力発電システムを説明するフローシートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の複合型火力発電システムについて詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の複合型火力発電システムを説明するフローシートである。
【0018】
本実施の形態1の複合型火力発電システムは、火力発電設備(1)と、水分解光触媒水素製造設備(2)と、化学合成設備(3)とを有し、化学合成設備(3)は、火力発電設備(1)から排出されるNOxと必要に応じて導かれる窒素、および水分解光触媒水素製造設備(2)で生成する水素を原料として利用してアンモニアを合成する。
【0019】
火力発電設備(1)として、例えば、燃料を燃焼させたガスでタービンを回転させるガスタービンと、燃料燃焼の排熱回収ボイラで生成した蒸気でタービンを回転させる蒸気タービンとを有するコンバインドサイクル火力発電が挙げられる。なお、以降の実施の形態2とは異なり、本実施の形態1では、火力発電設備で排出されるNOxおよび発生した電力のみを利用する構成であるので、火力発電設備(1)における蒸気の利用は必須ではない。
【0020】
図2は、コンバインドサイクル火力発電設備を説明する内部概略図である。
【0021】
コンバインドサイクル火力発電システムは、発電機(11)と、ガスタービン(12)と、蒸気タービン(13)とを有し、ガスタービン(12)には、空気圧縮機(14)からの圧縮空気と燃料(例えばLNG、石油など)とが導入され、燃料の燃焼によりガスタービン(12)が回転し、この回転により発電機(11)にて発電する。燃料燃焼後に生じるガスタービン(12)からの排気は、排熱回収ボイラ(15)に送られ、ここで、別途取り込んだ海水などとの熱交換により冷却され、脱硫・CO除去装置(16)に送られる。
【0022】
脱硫・CO除去装置(16)における排出ガスからのNOx分離は、アルカリ吸収方式、酸素燃焼方式などを用いて行われる(http:/www.hitachiyoron.com/2008/05/pdf/05a0.4.pdf参照)。アルカリ吸収方式は、排出ガス中のCOをアミンなどのアルカリ吸収液に吸収させる方式である。アルカリ吸収液に吸収させられたCOは加熱することにより高濃度に回収され、同時にアルカリ吸収液が再生される。酸素燃焼方式は、燃料(石炭など)を酸素で燃焼させて排ガスを循環させつつ、燃焼に必要な酸素を供給することでCOと水分を主成分とする排ガス組成とし、COを圧縮・回収する方式である。
【0023】
脱硫・CO除去装置(16)を通過した後、排ガスは、発電設備から排気される。この排気は、NOxを含んでいる。また、排熱回収ボイラ(15)に供給された海水などの水は、熱交換により蒸気となり、蒸気タービン(13)に送られて、蒸気タービン(13)を回転させ、その後、蒸気の状態で発電設備から出る。
【0024】
水分解光触媒水素製造設備(2)は、太陽光と光触媒の作用により水を水素と酸素に分解する設備である。
【0025】
図3に水分解光触媒水素製造設備(2)の概略図を示す。
【0026】
水分解光触媒水素製造設備(2)は、上部の陽極室(21)と、この陽極室(21)に一端側にて連結する下部の陰極室(22)とを備えている。陽極室(21)には、太陽光により酸素を生成させる触媒作用を有する陽極光触媒(例えば、TaON、Ta、TiO2−x、BiVO、WOなど)(23)が備えられ、陰極室(22)には、水素を生成させる触媒作用を有する陰極触媒(例えば、Ptなど)(24)が備えられている。
【0027】
水は、一端側上端から陽極室(21)に導入され、一端側の連通路から陰極室(22)に通り、他端側下端を介して水分解光触媒水素製造設備から出る。
【0028】
発電設備からの電力が電源(25)に供給され、太陽光が照射されると、陽極光触媒(23)の触媒作用により、酸素が発生する。発生した酸素は、陽極室(21)中央部上端に設けられた通気孔(26)から排出される。また、陰極室(22)では、陰極触媒(24)の触媒作用により、水素が発生する。発生した水素は、陰極室(22)中央部の所定区間に設けられた区画(27)を経て、陰極室(22)の他端側から排出される。
【0029】
化学合成設備(3)には、火力発電設備(1)からのNOxおよび電力が供給され、水分解光触媒水素製造設備(2)から水素が供給され、これらを原料としてアンモニアが合成される。反応に用いられる触媒は、Fe系の触媒であり、NOxとしてNO、NOおよびNOを想定した場合の反応式は、以下の(1)〜(3)の通りである。
【0030】
2NO + 5H → 2NH + 2HO ・・・(1)
2NO + 7H → 2NH + 4HO ・・・(2)
O + 4H → 2NH + HO ・・・(3)
この反応における副生成物である水は、水分解光触媒水素製造設備(2)に再利用されてもよい。
【0031】
次に、本実施形態1の複合型火力発電システムを用いた場合について実施例1として具体的に説明する。
【0032】
(実施例1)
火力発電設備(1)として、コンバインドサイクル火力発電設備を用いた。高位発熱量ベース(HHV基準)の発電効率は50%であり、火力発電燃料として液化天然ガス(LNG)、石油などを用いた。発電規模(出力)は250MWであった。
【0033】
水分解光触媒水素製造設備(2)について、太陽エネルギー変換効率は4%、設備(光触媒電極)面積は28,000m(例えば5km×5.6km)、場内消費電力量:2×10kWh/day、水素製造規模(出力):350t/day−Hとした。
【0034】
日照時間を8hと仮定し、ある程度の日射強度(6kWh/m/day)が得られるとすると、水分解光触媒水素製造設備(2)によって昼間3200tの淡水が水素(350t)と酸素に分解される。その際に場内で消費される電力量は反応を促進させるための補助的な電力量が主となり2,000MWh/dayと概算される。
【0035】
化学合成設備(3)をアンモニア合成設備とし、反応温度:500℃、反応圧力:20MPaであり、二重促進鉄を合成触媒に用いた。この合成触媒は、酸化鉄が主成分であり、酸化アルミニウム(シンタリング抑制)と酸化カリウムを含む。本設備におけるアンモニア製造能力は2,000t/day−NHである。
【0036】
水分解光触媒水素製造設備(2)の水素製造量は、350t−H/day(つまり175×10mol−H/day)であるため、40×10〜70×10mol−NOx/dayの発生は、その全量をアンモニアに変換可能であると見込まれる。発生NOx量が生成水素量に比較して少ない場合は、深冷分離などにより別途精製された窒素を導入することで生成水素全量をアンモニアに変換可能である。
【0037】
貯蔵・輸送の観点で課題が多い水素をその場でアンモニアに変換することにより、それをキャリアとして貯蔵・輸送することが可能となる。アンモニアは直接あるいは分解して水素として輸送先のアプリケータで利用される。
【0038】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2の複合型火力発電システムを説明するフローシートである。
【0039】
本実施の形態2の複合型火力発電システムは、火力発電設備(1)と、水分解光触媒水素製造設備(2)と、化学合成設備(3)と、海水淡水化設備(4)とを有し、化学合成設備(3)は、火力発電設備(1)から排出されるNOxおよび水分解光触媒製造設備(2)で生成する水素を原料として利用してアンモニアを合成する。また、海水淡水化設備(4)は、火力発電設備(1)からの排出蒸気を熱源として利用し、海水淡水化設備(4)で製造された淡水が水分解光触媒製造設備(2)に供給される。
【0040】
火力発電設備(1)、水分解光触媒水素製造設備(2)および化学合成設備(3)は、上記の実施の形態1のものと同様のものであるので、詳細な説明は省略する。
【0041】
海水淡水化設備(4)としては、火力発電設備(1)からの蒸気を熱源として用いて海水から淡水を製造することができるものであれば特に限定はなく、例えば、多段フラッシュ法、多重効用法などを用いた設備が挙げられる。また、海水淡水化設備(4)を駆動するための電力は、火力発電設備(1)から供給される。
【0042】
海水淡水化設備(4)により製造された淡水は、水分解光触媒水素製造設備(2)に供給される。
【0043】
昼間に生成させられる淡水が水分解光触媒水素製造設備(2)に供給されて水素製造に利用される一方で、夜間に生成させられる淡水は飲料などの生活用水や工業用水として有効に利用される。
【0044】
次に、本実施形態2の複合型火力発電システムを用いた場合について実施例2として具体的に説明する。
【0045】
(実施例2)
火力発電設備(1)、水分解光触媒水素製造設備(2)および化学合成設備(3)については実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0046】
海水淡水化設備(4)は、多段フラッシュ方式(MSF)の海水淡水化設備である。造水比:6〜10(約8)、場内消費電力量:4kWh/m−生産淡水、淡水生産規模(出力):400t/hとした。
【0047】
海水淡水化システムにおける必要蒸気量(導入時温度200℃)は、その造水比から40〜67t/hであり、火力発電設備(1)から導かれる量(450t/h)を考えると可能である。また、淡水(9,600t/day)を生産する際に場内で消費される電力量は、38.4MWh/dayと概算される。
【0048】
水分解光触媒水素製造設備(2)の水素製造量は、350t−H/day(つまり175×10mol−H/day)であるため、40×10〜70×10mol−NOx/dayの発生は、その全量をアンモニアに変換可能であると見込まれる。発生NOx量が生成水素量に比較して少ない場合は、深冷分離などにより別途精製された窒素を導入することで生成水素全量をアンモニアに変換可能である。
【0049】
貯蔵・輸送の観点で課題が多い水素をその場でアンモニアに変換することにより、それをキャリアとして貯蔵・輸送することが可能となる。アンモニアは直接あるいは分解して水素として輸送先のアプリケータで利用される。
【符号の説明】
【0050】
1 火力発電設備
2 水分解光触媒水素製造設備
3 化学合成設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火力発電設備と、水分解光触媒水素製造設備と、該火力発電設備から排出されるNOxと必要に応じて導かれる窒素、および該水分解光触媒水素製造設備で生成する水素を原料として利用してアンモニアを合成する化学合成設備とを有することを特徴とする複合型火力発電システム。
【請求項2】
前記火力発電設備からの排出蒸気を熱源として利用する海水淡水化設備をさらに有し、該海水淡水化設備で製造された水が前記水分解光触媒水素製造設備に供給される、請求項1に記載の複合型火力発電システム。
【請求項3】
前記化学合成設備で副生成する水が、前記水分解光触媒水素製造設備に供給される、請求項1または2に記載の複合型火力発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−91577(P2013−91577A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233079(P2011−233079)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】