説明

複合型熱交換器の取付構造

【課題】 組立・解体がより容易となる複合型熱交換器の取付構造を提供する。
【解決手段】第1の熱交換器2と、第1の熱交換器2から車両前後方向に離されて配置された第2の熱交換器3と、第1の熱交換器2の両側にそれぞれ配置されて、第2の熱交換器3を係止により結合するサイド・サポート6、6と、を備える。サイド・サポート6、6の上方端部部分には、第1の熱交換器2の一方側の端部分に係合・結合する第1係止部67が設けられ、サイド・サポート6、6の下方端部部分には、第1の熱交換器2の他方側の端部部分に係合・結合する第2係止部68が設けられる。また、両サイド・サポート6、6は、第1の熱交換器2が組み付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも二つの熱交換器を組付けた複合型熱交換器の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複合型熱交換器の取付構造としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
この複合型熱交換器の取付構造にあっては、ラジエータの一方側に弧状部材で構成された一対の第1係止部と、突設したブラケットに形成された係止孔で構成された第2係止部と、が設けられている。また、ラジエータの前方に配置するコンデンサの一方のタンクにろう付けしたレシーバ・タンクの外面には、爪部で構成された一対の第1係合部がラジエータの上記係止部に整合されて設けられるとともに、他方のタンクには、ボルト孔付きブラケットが固着されている。さらに、ラジエータ後方の樹脂製ファン・シュラウドの一方側下端には第2係合部としてのピン部材を突設したブラケットが、また他方側の中央部にはボルト孔付きブラケットが設けられている。これら一方側の係止部同士、係合部同士がそれぞれ係止・係合されるとともに、他方側同士が締結ボルトとナットで締結されることで、コンデンサ、ラジエータ、ファン・シュラウドが一体化されるようになっている。
【0003】
また、別の従来の複合型熱交換器の取付構造としては、例えば、特許文献2に記載されたものが知られている。
この複合型熱交換器にあっては、コンデンサの車両後方に配置したラジエータの後方に樹脂製のファン・シュラウドが取り付けられる。ファン・シュラウドの対向する2辺の一方には、第1脆弱部を介してコンデンサ及びラジエータ側へ折り曲げ可能なタンク・カバーが設けられ、上記2辺の他方には、第2脆弱部を介してコンデンサ及びラジエータ側へ折り曲げ可能なエア・ガイドがそれぞれ設けられている。これらタンク・カバーとエア・ガイドとは、それぞれの脆弱部で折り曲げられて、タンク・カバーがラジエータのタンクを囲んだ状態でコンデンサとラジエータの左右上下を覆うようにされるとともに、タンク・カバー及びエア・ガイドにはコンデンサ及びラジエータが一体的に係止・固定されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−139294号公報
【特許文献2】特開2007−192462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の複合型熱交換器の取付構造には、以下に説明するような問題がある。
すなわち、前者の従来の複合型熱交換器の取付構造にあっては、熱交換器としてのラジエータ及びコンデンサとこれらに一体に取り付けるファン・シュラウドとの他方側同士が複数の締結ボルトを使用して締結しているため、組付け時にあっては締結ボルトやナットの締結作業、また解体時にあっては、ボルトやナットの取り外し作業に時間がかかるといった問題があった。
【0006】
また、後者の従来の複合型熱交換器の取付構造にあっては、締結ボルトやナットを使用せずそれらの取り外し作業が不要となるものの、ファン・シュラウドの両側に設けたエア・ガイドの第1脆弱部および第2脆弱部の箇所でそれぞれ車両前方側へ折り曲げ、それぞれ対応する両側の係止部同士を係止させる構造であるため、ある程度強度が必要な脆弱部の弾性力に抗しながら上下左右で係止部同士を位置合わせして組み付けねばならず、また、この弾性力に逆らいながら上下左右それぞれ複数の箇所の係止をすべて解除しなければならず、組付け時や解体時に作業工数がかかるといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、組立・解体がより容易となる複合型熱交換器の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため請求項1記載の本発明による複合型熱交換器の取付構造は、
第1の熱交換器と、
第1の熱交換器から車両前後方向に離されて配置された第2の熱交換器と、
第1の熱交換器の両側にそれぞれ配置されて、第2の熱交換器を係止により結合するサイド・サポートと、
第1の熱交換器および第2熱交換器を通る空気流を導くシュラウド部材と、
を備え、
サイド・サポートの一方端部部分には、第1の熱交換器の一方側の端部分に係合・結合する第1係止部が設けられ、
サイド・サポートの他方端部部分には、第1の熱交換器の他方側の端部部分に係合・結合する第2係止部が設けられ、
両サイド・サポートは、前記第1の熱交換器に組み付けられる、
ことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の本発明による複合熱交換器の取付構造は、
請求項1に記載の複合型熱交換器の取付構造において、
第1係止部が、フック状部分であり、
第2係止部が、弾性変形可能な抜け止め部分である、
ことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3記載の本発明による複合熱交換器の取付構造は、
請求項2に記載の複合型熱交換器の取付構造において、
フック状部分が係止される第1の熱交換器の端部分は、断面ロ状に形成され、サイド・サポートの車両前後および幅方向の移動を規制する、
ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の本発明による複合熱交換器の取付構造は、
請求項12又は請求項3に記載の複合型熱交換器の取付構造において、
フック状部分が、抜け止め部分の上方位置に設けられている、
ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5記載の本発明による複合熱交換器の取付構造は、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合型熱交換器の取付構造において、
サイド・サポートが、第1の熱交換器のタンクの車両幅方向の側方に係止される、
ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項6記載の本発明による複合熱交換器の取付構造は、
請求項1乃至5のいずれかに記載の複合型熱交換器の取付構造において、
両サイド・サポートには、シュラウド部材が係止・結合されることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の本発明による複合熱交換器の取付構造は、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複合型熱交換器の取付構造において、
第2の熱交換器とシュラウド部材とが、それぞれ第1の熱交換器を車両前後方向から挟むように、第1の熱交換器、第2の熱交換器、シュラウド部材が積層配置されている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の本発明による複合型熱交換器の取付構造にあっては、第2の熱交換器を係止により結合するサイド・サポートを、第1の熱交換器の両側にそれぞれ係止により結合し、サイド・サポートは第1の熱交換器に組み付けられる構成とした。
このようにサイド・サポートを用いることにより、第2の熱交換器とシュラウド部材を係止・結合したサイド・サポートを第1の熱交換器に第1係止部と第2係止部とで係止・結合することが可能となる。したがって、第1熱交換器、第2熱交換器、シュラウド部材の組み付けが、締結ボルトを使用することなしに係止だけでできるので、組み付けが済み、簡単な作業のみで組立・解体が行えるので、これらの作業がより容易に行え、作業効率を高めることができる。
【0016】
請求項2記載の本発明による複合型熱交換器の取付構造にあっては、第1係止部がフック状部分であり、第2係止部が、弾性変形可能な抜け止め部分である構成とした。
これにより、第1熱交換器へのサイド・サポートの係止構造を簡単・安価な構成としながら、これらを簡単に組み付ける、分解することができる。
【0017】
請求項3記載の本発明による複合型熱交換器の取付構造にあっては、フック状部分が係止される第1の熱交換器の端部分を断面ロ状に形成した。
これにより、サイド・サポートの車両前後および幅方向の移動を簡単な構成で容易に規制することが可能となる。また、解体する場合にも、フック状部分を断面ロ状の端部分から引き出すだけでよく、簡単に取り外すことができる。
【0018】
請求項4記載の本発明による複合型熱交換器の取付構造にあっては、フック状部分が、抜け止め部分の上方位置に設けられている構成とした。
これにより、サイド・サポートの第1の熱交換器への取り付け、解体を簡単・安価な構造で確実に実行することができるようになる。
【0019】
請求項5記載の本発明による複合型熱交換器の取付構造にあっては、サイド・サポートが、第1の熱交換器のタンク部の車両幅方向の側方に係止されるように構成した。
これにより、サイド・サポートは第1の熱交換器の強度が高いタンク部に強固かつ高い剛性で結合することができる。
【0020】
請求項6記載の本発明による複合型熱交換器の取付構造にあっては、サイド・サポートを利用して第1の熱交換器、第2の熱交換器、シュラウドを予め一体的に組み付けておくことができ、その状態で車両に搭載できるので、組み付け作業が楽となり、組み付け作業性を高めることができる。
【0021】
請求項6記載の本発明による複合型熱交換器の取付構造にあっては、第2の熱交換器とシュラウド部材とが、それぞれ第1の熱交換器を車両前後方向から挟むように、第1の熱交換器、第2の熱交換器、シュラウド部材が積層配置されている構成とした。
これにより、一方側に重量が偏ることなく、第2の熱交換器とシュラウド部材を、第1の熱交換器に係止・結合したサイド・サポートに係止・結合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1に係る複合型熱交換器の取付構造を示す車両前方からの斜視図である。
【図2】実施例1に係る複合型熱交換器の取付構造を示す車両前方からの分解斜視図である。
【図3】実施例1に係る複合型熱交換器の取付構造の右側におけるサイド・サポートの上端部分位置における係止状態を示す後方側からみた拡大斜視図である。
【図4】図3のサイド・サポートの上端部分位置における係止状態を示す断面斜視図である。
【図5】図3のサイド・サポートの上端部分位置における係止状態を示す断面斜視図である。
【図6】図3のサイド・サポートの上端部分位置における係止状態を示す断面背面図である。
【図7】本発明の実施例1に係る複合型熱交換器の取付構造に用いるコンデンサの左側部分の平面断面図である。
【図8】実施例1に係る複合型熱交換器の取付構造の左側におけるサイド・サポートの下側部分位置における車両前側からの拡大斜視図である。
【図9】実施例1に係る複合型熱交換器の取付構造で用いるコンデンサの左側部分に取り付けたブラケット付近を車両後側からの斜視図である。
【図10】実施例1に係る複合型熱交換器の取付構造の右側に配置したレシーバ・タンクの上側部分位置における車両前方から拡大斜視図である。
【図11】実施例1に係る複合型熱交換器の取付構造の右側に配置したレシーバ・タンクの下側部分位置における車両前方からの拡大斜視図である。
【図12】実施例1に係る複合型熱交換器における空気流の流れを示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
まず、実施例1の複合熱交換器の取付構造1の全体構成を説明する。なお、以下、左右については車両の左右方向を示し、図中の左右を示さない。
【0025】
この実施例1の複合熱交換器の取付構造1は、図1、2に示すように、車体側メンバ1と、ラジエータ(本発明の第1の熱交換器に相当)2と、コンデンサ(本発明の第2の熱交換器に相当)3と、サブ・ラジエータ4と、左右のサイド・プレート5、5と、左右のサイド・サポート6、6と、エア・ガイド7と、ファン・シュラウド(本発明のシュラウド部材に相当)8と、を備えている。なお、図2中、一点鎖線は互いに組み付ける部位間をそれぞれ結ぶ線で、組立ての理解を得るための仮想線である。
【0026】
車体側メンバ1は、互いに上下方向に離間されて配置され車両幅方向へ延びるアッパ・メンバ14およびロア・メンバ15と、上下方向に延びてアッパ・メンバ14とロア・メンバ15の両端同士をそれぞれ連結する図示を省略した左右のサイド・メンバ、アッパ・フロント・パネル16、ロア・フロント・パネル17などで構成されている。
【0027】
ラジエータ2は、冷却水(本発明の冷却媒体に相当)を上下方向に流通させる複数本のチューブおよび隣り合うチューブ間に配置された冷却フィンからなり、通過する空気流と冷却媒体との間で熱交換を行うコア部21と、このコア部21の上下端側にそれぞれ配置された上部のタンク部22および下部のタンク部23などから構成される。
また、上部のタンク部22の上面左右端付近と下部のタンク部23の下面左右両端付近には、車両幅方向にそれぞれ延びて車体に取り付けられるアッパ・ラジエータ・コア・サポート11とロア・ラジエータ・コア・サポート12(図12を参照)に設けた図示を省略した係合孔にブッシュを介して弾性的に取り付けるための取付ピン25a、25bがそれぞれ設けられており、ラジエータ2をアッパ・メンバ11およびロア・メンバ12にそれぞれ弾性支持する。
【0028】
コンデンサ3は、冷却水を車幅方向に流通させる複数本のチューブおよび両チューブ間に配置された冷却フィンからなるコア部31と、このコア部31の車両幅方向左側端に配置された右側のタンク部32部および左側のタンク部33部などから構成されている。
また、コンデンサ3の右側側面には、コンデンサ2から流出される気液混合の冷媒を気液分離して液冷媒のみを膨張弁に送り込むためのレシーバ・タンク34が設けられている。
【0029】
サブ・ラジエータ4は、冷却水を車両幅方向に流通させる複数本のチューブおよび隣り合うチューブ間に配置された冷却フィンからなるコア部41と、このコア部41の車幅方向両端側にそれぞれ配置されたタンク部42、43などから構成されている。
そして、このサブ・ラジエータ4の車両幅方向両側端部の上下2箇所には、係合片44が突出形成され、サイド・サポート6、6の車両前側面に断面略L字状に突出させた差し込み係合部65に対し上方から差し込み係合することで、サブ・ラジエータ4はサイド・サポート6、6に支持されるようになっている。
【0030】
サイド・サポート6、6は、樹脂製で、ラジエータ2の車両幅方向の最外側端部にそれぞれ取り付けられるもので、ラジエータ2の最外側端部側面に配置され、これら沿って上下方向に延ばされている。サイド・サポート6、6のそれぞれの両側壁は、内側が開口する断面コ字状をしており、ラジエータ2の左右側端部分とコンデンサ3のタンク部32、33とを覆うように配置される。
【0031】
また、このサイド・サポート6、6の上端部部分の車幅方向内側面には、上側係止片(本発明の第1係止部に相当)67が、またそれらの下端部部分の下面には弾性変形可能な下側係止片(本発明の第2係止部、かつ抜け止め部分に相当)68が、それぞれ設けられている。なお、図1、2では下側係止片68は隠れてみえない。
【0032】
上側係止片67は、図3〜6に示すように、逆U字状のフック状部分で形成され、ラジエータ2の上側のタンク部22の両側面にそれぞれ形成された被係止部22aに係止される。この被係止部22aには、上方に開口する直方体形状(断面ロ字状)の上側係止孔221が設けられ、上側係止孔221にはフック状の上側係止片67が上方から挿入・係止される。したがって、これらにより、サイド・サポート6、6は、ラジエータ2に対し下方向、車両前後方向および幅方向の移動が規制されることとなる。
【0033】
一方、下側係止片68は、ラジエータ2における下側タンク部23の両端部にそれぞれ設けられた係止孔23aに上方から、下側係止片68の先端に設けた係止突起部分を弾性変形させながら差し込んで係合させられる。この差し込み係合後は、係止突起部分が弾性により元に戻って抜け止めすることで、サイド・サポート6、6はラジエータ2に支持され、その場合、ラジエータ2に対し上下方向、車両前後方向および幅方向の移動が規制される。
【0034】
なお、車両左側のサイド・サポート6の下方前面部分は、図8に示すように、抉られていてその前方にコンデンサ3の接続部23aが来るようにして、この配管作業スペースが確保されるようにされている。
【0035】
また、左側のサイド・サポート6の中央よりやや下位置の前面部分には、係止部64が設けられ、コンデンサ3に取り付けたブラケット24が車両前側から車両前後・上下・左右方向に係止・結合されることで、コンデンサ3の左側を左側のサイド・サポート6に支持されるようになっている。
すなわち、ブラケット24は、図9に拡大して示すように、この一部が、左側のタンク部33の一部分を包むようにして、コンデンサ3の複数のチューブ間に挟み込まれることでコンデンサ3に取り付けられている。ブラケット24には上下2箇所に係止孔24aが設けられ、左側のサイド・サポート6の係止部64には係止孔24aに対し車両前後方向に差し込み係合可能なフック状係止部64a(図2を参照)が設けられている。
【0036】
一方、車両右側のサイド・サポート6の内側前方部分には、図10、11に示すように、コンデンサ3の右側に取り付けたレシーバ・タンク34の上下両端部を保持する上側保持部62、下側保持部63がそれぞれ設けられている。この保持部62、63は、対向面側が開口する断面コ字状に形成され、レシーバ・タンク34を車両幅方向に差し込むことにより車両前後方向および上下方向に規制した状態で収納・係止可能に構成されている。なお、下側保持部63には、この底面に弾性押圧片63aが設けられ、レシーバ・タンク34が保持部62、63に装着されたとき、レシーバ・タンク34を上側保持部62に向け、弾性的に付勢するようにしている。
【0037】
エア・ガイド7は、樹脂製であって、冷却風をラジエータ2に導くためのもので、図1、2に示すように、サイド・サポート6、6に車両前方に延びる状態で取り付けられている。
このエア・ガイド7は、下側部材70がコ字状に底側部71と左右両側部72、73が樹脂で一体に成型され、上側部材74が下側部材70とは別体に樹脂で成形され、これらを組付けたとき口字状になるようにしている
【0038】
そして、このエア・ガイド7は、左右両側部材72、73の後端部の取付片72a、73aをサイド・プレート5、5の前面に取り付ける。
また、下側部材70と上側部材74の後端部に設けた取付片71a、74a(図2、6を参照)を、ラジエータ2の上側のタンク部22および下側のタンク部23にそれぞれ取り付ける。なお、エア・ガイド7の上側部材74と下側部材70の取付片74a、71aは、アッパ・メンバ14の下面側とロア・メンバ15の上面側とをそれぞれ覆うようにそれらの後方にあるアッパ・ラジエータ・コア・サポート11およびロア・ラジエータ・コア・サポート12へ向けて突出形成されている。
【0039】
なお、エア・ガイド7は、図8に示すように、下側部材70のブラケット24の下方に当たる部分が切り欠かれて、コンデンサのレシーバ・33とは反対側のタンク部23に設けた車体側の配管との接続部23aの周りに作業者の作業スペースを確保できるようにしてある。
【0040】
ラジエータ2の上側のタンク部22およびサイド・サポート6、6の前面に取り付けられたエア・ガイド7は、図1、2に示すように、コンデンサ3の車両幅方向最側端部および底面と、コンデンサ3略同一平面上に並列配置されたサブ・ラジエータ4の車両幅方向最側端部および上面と、にそれぞれ当接する状態で配置されている。
【0041】
一方、ファン・シュラウド8は、車両後方に向かって断面が小さくなるように傾斜し、後端面に2つの孔が形成されている。これらの孔には、それぞれモータ・ファン9が挿入されてファン・シュラウド8に支持される。ファン・シュラウド8は、この前面側端部に設けた係止部8a、8aをサイド・サポート6、6の車両後側面に設けた係止部69に係止されることで、サイド・サポート6、6に支持・固定される。
【0042】
次に、実施例1の合型熱交換器の取付構造1の作用を図1、2に基づいて説明する。
【0043】
[ラジエータに対するコンデンサの組み付け手順]
この実施例1の複合型熱交換器では、上述のように構成されるので、ラジエータ2に対するコンデンサ3の組み付けは、まず、ラジエータ2の両側端面側にサイド・サポート6、6を結合させる。
すなわち、このラジエータ2の両側端面側に対するサイド・サポート6、6の結合は、サイド・サポート6、6に備えた上側係止片67をラジエータ2のタンク部22に備えた上側係止孔221に対し上方から差し込み係止・結合するとともに、下側係止片68をラジエータ2のタンク部23に備えた下側係止孔23aに対し上方から差し込んで係止させることで行われる。
【0044】
次に、コンデンサ3における左側に備えたレシーバ・タンク34を、左側のサイド・サポート6に備えた上側保持部62と下側保持部63に車両幅方向から差し込んで収容・保持させてコンデンサ3の右側を支持させる。この場合、レシーバ・タンク34は、弾性押圧片63aにより上側保持部62へ向けて弾性的に付勢された状態で支持される。
【0045】
このコンデンサ3の右側を支持した後、コンデンサ3の右側に固定したブラケット24の係合孔24aを右側のサイド・サポート6に備えた係止部64のフック状係合部64aに差し込み係合させることで、両サイド・サポート6、6に対し車両前後方向および上下方向に規制された状態で、コンデンサ3の組み付けが完了する。
これにより、コンデンサ3を、両サイド・サポート6、6を介してラジエータ2の車両の前側に容易に組み付け配置させることができる。
また、以上の組み付け手順の逆方向操作を行うことにより、コンデンサ3を容易に解体することができる。
【0046】
[ラジエータに対するサブ・ラジエータの組み付け手順]
サブ・ラジエータ4は、コンデンサ3と略同一平面上でコンデンサ3の上方に位置させ、その車両幅方向両側端部の上下2箇所に突出形成された係合片44を、サイド・サポート6、6の車両前側面に備えた断面略L字状の差し込み係合部65に対し上方から差し込み係合させることにより、サイド・サポート6、6に対するサブ・ラジエータ4の組み付けを完了する。
これにより、サブ・ラジエータ4を、両サイド・サポート6、6を介してラジエータ2の車両の前側に容易に組み付け配置させることができる。
また、以上の組み付け手順の逆方向操作を行うことにより、サブ・ラジエータ4を容易に解体することができる。
【0047】
[ファン・シュラウドおよびエア・ガイドの組み付け]
上記のようにサイド・サポート6、6を用いて一体的に組み付けたラジエータ2、コンデンサ3、サブ・ラジエータ4には、ファン・シュラウド8が、この両側端面に設けた係止部8aがサイド・サポートの係止部69に係止・結合され、一体化される。
一方、エア・ガイド7がこの取付片72a、73a、74aを介してサイド・サポート6、6やラジエータ2のタンク部22に取り付けられ、一体化して熱交換器モジュールとされる。
【0048】
このようにして組みつけられた熱交換器モジュールは、その後、車体に組み込まれ、ラジエータ2、コンデンサ3、サブ・ラジエータ4側の入出力口と車体側のそれぞれ対応する配管とが接続される。なお、分解にあっては、これと逆の手順を行えばよく、係止部を外していけばよい。
【0049】
[複合熱交換器およびその取付構造における冷却作用]
モータ・ファン9の回転により、または走行風により、フロントグリルの隙間から取り込まれた空気流は、エア・ガイド7を通ってコンデンサ3、サブ・ラジエータ4、ラジエータ2のコア部31、41、21へと向かうことになる。そして、コンデンサ3、サブ・ラジエータ4、ラジエータ2のコア部31、41、21を空気流が通過する際、それらを流れる冷却冷媒体と熱交換を行い、これらを冷却する。
【0050】
次に、実施例1の複合型熱交換器の取付構造1の効果を説明する。
実施例1の複合熱交換器の取付構造1にあっては、上述のように、コンデンサ3を係止により結合するサイド・サポート6、6を、ラジエータ2の両側にそれぞれ配置し、サイド・サポート6、6の上方端部部分の上側係止片67、67をラジエータ2の上側タンク部22の被係止部22aに係止するとともに、サイド・サポート6、6の弾性変形可能な下側係止片68、68をラジエータ2の下側タンク部23の係止孔23aに係止・結合して、コンデンサ3を係止したサイド・サポート6、6をラジエータ2に係止・結合し、ファン・シュラウド8をサイド・サポート6、6に係止・結合させるように構成した。
これにより、ラジエータ2、コンデンサ3、ファン・シュラウド8がボルト等の締結具を使用することなく、一体的に組み付けることができ、組み付け、またその解体が安価かつ容易にできるようになる。
【0051】
また、上側係止片67、67をフック状部分とし、かつ上側係止片68、68を弾性変形可能な抜け止め部分とした構成とした。
これにより、サイド・サポート6、6をラジエータ2の両側端に配置して下方へ移動させながらラジエータ2に係止するだけで一体に結合することができ、組み付け作業が簡単になる。また、解体する際は、抜け止め部分の弾性力に逆らってサイド・サポート6、6を上方に引き上げるだけで簡単に解体できる。なお、これらフック状部分、抜け止め部分は、サイド・サポートと一体に形成でき、製造コストも安く抑えることが可能となる。
【0052】
また、フック状部分が係止されるラジエータの端部分を断面ロ状に形成した。
これにより、サイド・サポート6、6のラジエータ2の車両前後および幅方向の移動を規制することができる。
【0053】
また、フック状部分を抜け止め部分の上方位置に設けるようにした。
これにより、サイド・サポート6、6を下方に移動させるだけで、サイド・サポート6、6をラジエータ2へ組み付けることができる。解体するときは、逆にイド・サポート6、6をラジエータ2に対し上方へ移動させるだけでこれらを容易に分離することができる。
【0054】
また、サイド・サポート6、6がラジエータ2のタンク部22、23の車両幅方向の側方に係止される構成とした。
これにより、サイド・サポート6、6をラジエータ2の強度が高いタンク部に強固かつ高い剛性で固定することができる。
【0055】
また、コンデンサ3とファン・シュラウド8とが、それぞれ第ラジエータ2を車両前後方向から挟むように、ラジエータ2、コンデンサ3、ファン・シュラウ8を積層配置する構成とした。
これにより、サイド・サポート6、6には車両前後方向へ一方的に偏って荷重が作用することがなくなり、係止部分の強度確保が容易になる。
【0056】
以上、本発明を上記各実施例に基づき説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更等があった場合でも、本発明に含まれる。
【0057】
たとえば、実施例では、サブ・ラジエータ4を備えた場合を示したが、このサブ・ラジエータ4を備えないタイプの複合型熱交換器に本発明を適用することができる。また、それぞれの熱交換器は、上記実施例のものと異なるものを利用するようにしても良い。
【0058】
また、各係止部の具体的構造は実施例のものと異なるものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 複合熱交換器の取付構造1
2 ラジエータ(第1の熱交換器)
3 コンデンサ(第2の熱交換器)
4 サブ・ラジエータ
5 サイド・プレート
6 サイド・サポート
7 エア・ガイド
8 ファン・シュラウド (シュラウド部材)
8a 係止部
9 モータ・ファン
21 コア部
22 タンク部
22a 被係止部
22b 上側係止孔
22c 下側係止孔
23 タンク部
23a 係止孔
24 ブラケット(第1係止部)
24a 係合孔
24b 取付部
24c 爪部
25a、25b 取付ピン
31 コア部
31a チューブ
32 タンク部
33 タンク部
34 レシーバ・タンク
41 コア部
42 タンク部
43 タンク部
44 係合片
61 第1の突出部
62 上側保持部(収容部)
63 下側保持部(収容部)
63a 弾性押圧片
64 係止部(第2係止部)
64a フック状係合部
65 差し込み係合部
67 上側係止片(第1係止部)
68 下側係止片(第2係止部、抜け止め部分)
69 係止部
71 下側部材
71a 取付片
72 左側部材
72a 取付片
73 右側部材
73a 取付片
74 上側部材
74a 取付片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の熱交換器と、
該第1の熱交換器から車両前後方向に離されて配置された第2の熱交換器と、
前記第1の熱交換器の両側にそれぞれ配置されて、前記第2の熱交換器を係止により結合するサイド・サポートと、
前記第1の熱交換器および前記第2熱交換器を通る空気流を導くシュラウド部材と、
を備え、
前記サイド・サポートの一方端部部分には、前記第1の熱交換器の一方側の端部分に係合・結合する第1係止部が設けられ、
前記サイド・サポートの他方端部部分には、前記第1の熱交換器の他方側の端部部分に係合・結合する第2係止部が設けられ、
前記両サイド・サポートは、前記第1の熱交換器に組み付けられる、
ことを特徴とする複合型熱交換器の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の複合型熱交換器の取付構造において、
前記第1係止部は、フック状部分であり、
前記第2係止部は、弾性変形可能な抜け止め部分である、
ことを特徴とする複合型熱交換器の取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載の複合型熱交換器の取付構造において、
前記フック状部分が係止される前記第1の熱交換器の端部分は、断面ロ状に形成され、前記サイド・サポートの車両前後および幅方向の移動を規制する、
ことを特徴とする複合型熱交換器の取付構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の複合型熱交換器の取付構造において、
前記フック状部分は、前記抜け止め部分の上方位置に設けられている、
ことを特徴とする複合型熱交換器の取付構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合型熱交換器の取付構造において、
前記サイド・サポートは、前記第1の熱交換器のタンク部の車両幅方向の側方に係止される、
ことを特徴とする複合型熱交換器の取付構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複合型熱交換器の取付構造において、
前記両サイド・サポートには、前記シュラウド部材が係止・結合される、
ことを特徴とする複合型熱交換器の取付構造。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複合型熱交換器の取付構造において、
前記第2の熱交換器と前記シュラウド部材とは、それぞれ前記第1の熱交換器を車両前後方向から挟むように、前記第1の熱交換器、前記第2の熱交換器、前記シュラウド部材が積層配置されている、
ことを特徴とする複合型熱交換器の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−2732(P2013−2732A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134080(P2011−134080)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)