説明

複合容器とその製造方法

【課題】内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とが熱接着されて中間成形品が封止された複合容器で、各成形品の寸法や位置の精度が、多少下がっても、シワの発生しない複合容器とその製造方法を提供する。
【解決手段】複合容器の底面と側面の間、側面とフランジ部の間の折り曲げ部分が曲面で形成されている。または、中間成形品の折り曲げ部分に複数の並列した折罫が設けられている。そして、チャンバー内で、シール受け台上の重ねられた内面熱可塑性プラスチック成形品と、中間成形品と、外面熱可塑性プラスチック成形品のそれぞれの底面が密着するように押圧しながら、チャンバー内を脱気し、熱シールバーにより、内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とを熱接着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合容器とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品などの内容物を直接包装するトレー状やカップ状の一次容器には、紙を基材として用いられた包装容器がある。このような紙を基材として用いられた包装容器では、内容物と包装容器の内面が直接接触している。そのため、紙箱の内面に熱可塑性プラスチックシートを積層した包装容器が用いられている(特許文献1)。
【0003】
この包装容器は、底面、側面、フランジ部からなるブランクを組み立てた紙箱を成形用型内に設置し、熱可塑性プラスチックシートを紙箱のフランジ部に重なるようにフランジ部と熱可塑性プラスチックシートをシールなどで接着させ、ついで、熱可塑性プラスチックシートを加熱軟化させ成形用型内の吸気を吸引することによって、紙箱の内面に密着させ一体化して作成することができる。
【0004】
また、温水殺菌や調理する際に、紙箱の外面にも防水性が要求される場合があり、紙箱の外面にも熱可塑性プラスチックシートを積層した複合容器が用いられている(特許文献2)。この複合容器でも同様な方法で、紙箱の内面に内面熱可塑性プラスチックシートを密着成形した後、外面熱可塑性プラスチックシートを紙箱の外面に密着させて、内面熱可塑性プラスチックシートと外面熱可塑性プラスチックシートを紙箱のフランジ部を覆うように接着して、作成することができる。
【0005】
また、このような複合容器については、あらかじめ、熱可塑性プラスチックシートで、内面熱可塑性プラスチック成形品1と外面熱可塑性プラスチック成形品3を成形しておいて、紙箱などの中間成形品2を内面熱可塑性プラスチック成形品1と外面熱可塑性プラスチック成形品3の間に挟み、内面熱可塑性プラスチック成形品と外面熱可塑性プラスチック成形品のフランジ部を接着させることで作成することもできる。
【0006】
例えば、中間成形品2として、まず、シート状の材料を打ち抜いて、押罫による折罫を付けた、図4のようなブランク201を作成する。ブランク201は、底面21と、底面21の4方に延設された側面22と、側面22に接続して設けられたフランジ部23と、隣接する2つの側面22、22の間に底面21から延設された隅部側面24と、隅部側面24に接続し、隣接する側面22、22方向に延びるフラップ25とからなっている。
【0007】
そして、底面21と側面22の間、底面21と隅部側面24の間、隅部側面24とフラップ25の間、側面22とフランジ部23の間にそれぞれ押罫による折罫が設けられている。このブランク201を折罫で折って、折癖をつけて成形すると図5の平面図のような中間成形品2ができる。
【0008】
別途あらかじめ、シート成形法によって成形しておいた内面熱可塑性プラスチック成形品1と外面熱可塑性プラスチック成形品3を用いて、図6のように、外面熱可塑性プラスチック成形品3に中間成形品2を重ね、更に内面熱可塑性プラスチック成形品1を重ねる。そして、中間成形品2のフランジ部23は、内面熱可塑性プラスチック成形品1や外面熱可塑性プラスチック成形品3のフランジ部より一回り小さいので、内面熱可塑性プラスチック成形品1と外面熱可塑性プラスチック成形品3のフランジ部を接着させると、図7のような複合容器200ができる。図8は、図7の部分拡大断面図である。
【0009】
しかし、外面熱可塑性プラスチック成形品3に中間成形品2を重ねるときに、外面熱可塑性プラスチック成形品に重ねた中間成形品の位置がずれると、製造した複合容器の外面熱可塑性プラスチック成形品のコーナー部などに、たとえば、図9のようにシワeが発生してしまうことがある。このシワeは外側に張り出すので、搬送中などに擦れてピンホールが発生して、内容物の保存性に悪影響を与え、また、見栄えも悪くなり、商品価値を下げてしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−254280号公報
【特許文献2】特開2011−51654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のシワの発生を防ぐためには、外面熱可塑性プラスチック成形品、中間成形品、内面熱可塑性プラスチック成形品の各成形品の寸法精度と、各成形品を重ね合わせる位置精度に高い精度が要求され、例えば、中間成形品の重ね合わせる位置が0.5mmでもずれると、外面熱可塑性プラスチック成形品に図9のようなシワが発生してしまう。
【0012】
本発明は、開口部にフランジ部を備えた内面熱可塑性プラスチック成形品と、中間成形品と、開口部にフランジ部を備えた外面熱可塑性プラスチック成形品がこの順に積層され、内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とが熱接着されて中間成形品が封止された複合容器で、各成形品の寸法や位置の精度が、多少下がっても、シワの発生しない複合容器とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、請求項1の発明は、開口部にフランジ部を備えた内面熱可塑性プラスチック成形品と、中間成形品と、開口部にフランジ部を備えた外面熱可塑性プラスチック成形品がこの順に積層され、前記内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と前記外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とが熱接着されて前記中間成形品が封止された複合容器であって、
複合容器の底面と側面の間、側面とフランジ部の間の折り曲げ部分が曲面で形成されていることを特徴とする複合容器である。
【0014】
本発明の複合容器は、以上のような構成であるので、内面、外面及び端部を含め全体が防水性をもっているばかりでなく、複合容器の底面と側面の間、側面とフランジ部の間の折り曲げ部分が曲面で形成されているので、各成形品の寸法や位置の精度が、多少悪くなっても、製造時にシワが発生することがない。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、開口部にフランジ部を備えた内面熱可塑性プラスチック成形品と、中間成形品と、開口部にフランジ部を備えた外面熱可塑性プラスチック成形品がこの順に積層され、前記内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と前記外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とが熱接着されて前記中間成形品が封止された複合容器であって、
前記中間成形品の折り曲げ部分に複数の並列した折罫が設けられていることを特徴とする複合容器である。
【0016】
本発明の複合容器は、以上のような構成であって、中間成形品の折り曲げ部分に複数の並列した折罫が設けられているので、各成形品の寸法や位置の精度が、多少下がっても、
複数の並列した折罫でズレが吸収され、シワが発生することがない。
【0017】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の複合容器の製造方法であって、
前記内面熱可塑性プラスチック成形品と、前記中間成形品と、前記外面熱可塑性プラスチック成形品を重ね合わせる工程と、
チャンバー内で、シール受け台上の重ねられた前記内面熱可塑性プラスチック成形品と、前記中間成形品と、前記外面熱可塑性プラスチック成形品のそれぞれの底面が密着するように押圧しながら、チャンバー内を脱気し、熱シールバーにより、前記内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と前記外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とを熱接着する工程とを備えたことを特徴とする複合容器の製造方法である。
【0018】
本発明によれば、チャンバー内で、シール受け台上の重ねられた内面熱可塑性プラスチック成形品と、中間成形品と、外面熱可塑性プラスチック成形品のそれぞれの底面が密着するように押圧しながら、チャンバー内を脱気し、熱シールバーにより、内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とを熱接着するので、重ねられた内面熱可塑性プラスチック成形品と、中間成形品と、外面熱可塑性プラスチック成形品がずれることがなく、シワの発生を抑制することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、チャンバー内で、シール受け台上の重ねられた前記内面熱可塑性プラスチック成形品と、前記中間成形品と、前記外面熱可塑性プラスチック成形品のそれぞれの底面が密着するように押圧しながら、チャンバー内を脱気し、熱シールバーにより、前記内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と前記外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とを熱接着する工程において、非融着性シートを介して前記熱シールバーにより、熱接着することを特徴とする請求項3に記載の複合容器の製造方法である。
【0020】
この発明によれば、非融着性シートを介して熱シールバーにより熱接着するので、熱接着時に外面熱可塑性プラスチック成形品の上表面が熱溶融して粘着性がでても、熱シールバーに付着して外面熱可塑性プラスチック成形品が破れてしまうことがない。
【0021】
また、請求項5に記載の発明は、前記中間成形品用のブランクを折込み、折癖を付けて中間成形品にする工程を備えたことを特徴とする請求項3に記載の複合容器の製造方法である。
【0022】
この発明によれば、接着することなく、ブランクを折込み、折癖を付けて中間成形品にしているので、接着して製函するよりも簡単に作ることができ、また、外面熱可塑性プラスチック成形品と重ね合わせるときに中間成形品の位置がずれても、シワが発生することがない。
【0023】
また、請求項6に記載の発明は、前記内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と前記外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とを熱接着する工程から移送した複合容器から冷却後、非融着性シートを剥離する工程を備えたことを特徴とする請求項4に記載の複合容器の製造方法である。
【0024】
この発明によれば、熱接着する工程から移送した複合容器から冷却後、非融着性シートを剥離するので、熱接着時に溶融した外面熱可塑性プラスチック成形品の上表面が冷却され、凝固し粘着性がなくなり、剥離時に外面熱可塑性プラスチック成形品が熱シールバーに取られることがなく、破れたりすることがない。
【発明の効果】
【0025】
本発明の複合容器とその製造方法によれば、開口部にフランジ部を備えた内面熱可塑性プラスチック成形品と、中間成形品と、開口部にフランジ部を備えた外面熱可塑性プラスチック成形品の各成形品の寸法や位置の精度が、多少下がっても、外面熱可塑性プラスチック成形品などにシワが発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の複合容器の一例を模式的に断面で示した説明図である。
【図2】本発明の複合容器の一例に用いられる中間成形品のブランクの平面図である。
【図3】本発明の複合容器の製造工程の一例を模式的に示した説明図である。
【図4】従来の複合容器の一例に用いられる中間成形品のブランクの平面図である。
【図5】従来の複合容器の一例に用いられる中間成形品の平面図である。
【図6】従来の複合容器の一例の作り方を模式的に斜視で示した説明図である。
【図7】従来の複合容器の一例を斜視で示した説明図である。
【図8】図7の部分拡大断面図である。
【図9】従来の複合容器の一例に発生したシワを断面で示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
図1は、本発明の複合容器の一例を模式的に断面で示した説明図である。
【0028】
本例の複合容器100は、開口部にフランジ部13を備えた内面熱可塑性プラスチック成形品1と、中間成形品2と、開口部にフランジ部33を備えた外面熱可塑性プラスチック成形品3がこの順に積層されている。
【0029】
内面熱可塑性プラスチック成形品1は、シート成形法により成形されていて、底面11と、底面11に連設された側面12、側面12から外側に広がるフランジ部13からなっている。そして、底面11と側面12の間、側面12とフランジ部13の間、隣り合う側面12どうしの間の折り曲げ部分は、曲面で形成されている。
【0030】
また、外面熱可塑性プラスチック成形品3も同様に、シート成形法により成形されていて、底面31と、底面31に連設された側面32、側面32から外側に広がるフランジ部13からなっている。そして、内面熱可塑性プラスチック成形品1と同様に、底面31と側面32の間、側面32とフランジ部33の間、隣り合う側面32どうしの間の折り曲げ部分は、曲面で形成されている。
【0031】
中間成形品2は、シート状の材料を打ち抜いて、折り曲げて作られている。中間成形品2も底面21と、側面22と、フランジ部23を備えている。フランジ部23は、内面熱可塑性プラスチック成形品1が備えるフランジ部13と外面熱可塑性プラスチック成形品3が備えるフランジ部33より、一回り小さく設けられている。
【0032】
これによって、内面熱可塑性プラスチック成形品1が備えるフランジ部13と外面熱可塑性プラスチック成形品3が備えるフランジ部31とが直接、熱接着されて中間成形品2が封止されている。そのため、複合容器は内面ばかりでなく外面を含め全体が防水性をもっている。本例では、中間成形品2は、フランジ部23を備えているが、フランジ部23がなく底面21と側面22とからなっていてもよい。
【0033】
そして、この複合容器100の底面101と側面102の間、側面102とフランジ部103の間の折り曲げ部分が曲面で形成されている。このため、内面熱可塑性プラスチッ
ク成形品1と、中間成形品2と、外面熱可塑性プラスチック成形品3の各成形品の寸法や位置の精度が、多少下がっても、シワが発生することがない。
【0034】
内面熱可塑性プラスチック成形品1と外面熱可塑性プラスチック成形品3はいずれも熱可塑性プラスチックシートを成形したシート成形品である。熱可塑性プラスチックは特に限定しないがホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン共重合体、ブロックポリプロピレン共重合体などのポリプロピレンや、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレンとアクリル酸の共重合樹脂、ナイロン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、結晶性ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いることができ、これらを単層で用いてもよく、これらを組み合わせた多層で用いることもできる。
【0035】
特に内面熱可塑性プラスチック成形品1には、バリア性を付与するために、中間層にエチレンビニルアルコール共重合体や、メタキシレンジアミンナイロンなどのバリア層を設けた共押し出しフィルムを用いるのが好ましい。
【0036】
内面熱可塑性プラスチック成形品1、および、外面熱可塑性プラスチック成形品3の中間成形品2との接着のためにヒートシール剤などを、内面熱可塑性プラスチック成形品1や外面熱可塑性プラスチック成形品3の中間成形品2に接する面、あるいは、中間成形品2の外面や内面に設けてもよい。
【0037】
内面熱可塑性プラスチック成形品1、および、外面熱可塑性プラスチック成形品3の膜厚としては、60μm以上、500μm以下であることが好ましい。膜厚が500μmよりと厚いと、積層時にフィルム膜厚が不均一になることがあり、好ましくない。また、60μm未満ではピンホールが発生する恐れがある。
【0038】
内面熱可塑性プラスチック成形品1、および、外面熱可塑性プラスチック成形品3の製造方法としては、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法などのシート成形が挙げられる。また、プラグアシストを併用してもよい。
【0039】
例えば、真空圧空成形では、熱可塑性プラスチックシートを、シート加熱部(遠赤外線などヒーターの輻射熱を利用する)で充分に加温し、その後、成形部で圧空と真空を利用して金型に沿わせ、成形することで内面熱可塑性プラスチック成形品1、および、外面熱可塑性プラスチック成形品3を得ることができる。
【0040】
中間成形品2は、熱可塑性プラスチックからなる内外面の成形品を支持することができ、熱に対して耐性があるシート材料であればよいが、紙が好ましく用いることができる。中間成形品2として紙を用いることで、内容物の再加熱手段として電子レンジを選択することができる、また、軽く、適度な断熱性を備えることから、内容物を再加熱後、そのまま複合容器を食器として使用する際に、直接手で持っても熱く感じにくい、加工が容易であり、印刷が可能でデザイン特性がよいことなどが長所として挙げられる。
【0041】
図2は、本発明の複合容器の一例に用いられる中間成形品のブランクの平面図である。2点鎖線で描かれているのは、押罫による折罫である。
【0042】
本例の中間成形品2は、図2のようなブランク20から組み立てる。ブランク20は、底面21と、底面21の4方に延設された側面22と、側面22に接続して設けられたフランジ部23と、側面22、22の間に底面21から延設された隅部側面24と、隅部側面24に接続し、隣接する側面22、22方向に延びるフラップ25とからなっている。
【0043】
図に記載された2点鎖線は、押罫で設けられた折罫であって、それぞれ、並列した3本の折罫が、連続して設けられた面同士の間に設けられている。すなわち、底面21と側面22の間、底面21と隅部側面24の間、隅部側面24とフラップ25の間、側面22とフランジ部23の間にそれぞれ3本の罫線が設けられている。
【0044】
このように、中間成形品2の折り曲げ部分に複数の並列した折罫を設けることで、折り曲げ部分が曲面で形成され、各成形品の寸法や位置の精度が、多少下がっても、複数の並列した折罫でズレが吸収され、複合容器の製造時にシワが発生することがない。
【0045】
このブランク20を2点鎖線で表した折り曲げ線に沿って折り込み組み立てる。まず、側面22を内方に折り、次に、フランジ部23を底面21と平行になるように折る。そして、それぞれの隅部側面24をフラップ25とともに内方に折り、フラップ25が側面22の外面に重なるようにする。これにより、図3に示すように、中間成形品2が組み立てられる。
【0046】
本例では、隣り合ったフランジ部23どうしは、重ならず突き合わせになっている。隣り合ったフランジ部23どうしを、重なるようにすると強度は強くなるが、蓋とシールするときに、複合容器100のフランジ部103に段差が生じ、シール不良となる恐れがあり、突き合わせにして、段差を生じないようにするほうがよい。
【0047】
また、重なったフラップ25と側面22は、接着せず単に折込み、折癖を付けただけでよい。この様に接着しないでおけば、中間成形品2が内面熱可塑性プラスチック成形品1や外面熱可塑性プラスチック成形品3からずれても、シワが発生することがない。
【0048】
また、本例では、フラップ25を容器本体1の外側になるように組み立てたが、隅部側面24をフラップ25とともに先に折り、後で側面22を折って、フラップ25を中間成形品2の内側になるように組み立ててもよい。
【0049】
この複数の並列した折罫を設けたブランク20で折り曲げ部分が曲面で形成された中間成形品2を作り、そして、底面11と側面12の間、側面12とフランジ部13の間、隣り合う側面12どうしの間の折り曲げ部分が曲面で形成されている内面熱可塑性プラスチック成形品1と、底面31と側面32の間、側面32とフランジ部33の間、隣り合う側面32どうしの間の折り曲げ部分が曲面で形成されている外面熱可塑性プラスチック成形品3の間に挟んで、内面熱可塑性プラスチック成形品1のフランジ部13と、外面熱可塑性プラスチック成形品3のフランジ部33を熱接着することによって、底面と側面の間、側面とフランジ部の間の折り曲げ部分が曲面で形成されている複合容器100をシワの発生もなく、作ることができる。
【0050】
次に本複合容器100の製造方法について記載する。
図3は、本発明の複合容器の製造工程の一例を模式的に示した説明図である。
【0051】
本発明の複合容器の製造工程の一例は、図3のように、巻き出し工程51、外面熱可塑性プラスチック成形工程52、中間成形品成形工程53、中間成形品セット工程54、中間成形品仮固定工程55、底部冷却工程56、巻き出し工程57、内面熱可塑性プラスチック成形工程58、内面熱可塑性プラスチック成形品セット工程59、脱気シール工程60、フランジ部冷却工程61、非融着性シート剥離工程62、底面シール工程63、底面冷却工程64、側面シール工程65、側面冷却工程66、切り離し工程67からなる。
【0052】
巻き出し工程51では、外面熱可塑性プラスチック成形品3用の長尺の熱可塑性プラスチックシート35を間欠的に巻き出す。外面熱可塑性プラスチック成形工程52では、巻
き出し工程51で間欠的に巻き出された熱可塑性プラスチックシート35をヒーター521で加熱し、成形型522を用いて、真空成形や圧空成形あるいは真空圧空成形などのシート成形法にて外面熱可塑性プラスチック成形品3に成形する。
【0053】
別途、設けられた中間成形品成形工程53では、中間成形品2のブランク20を接着せず単に折込み、折癖を付けて中間成形品2を成形する。次に、中間成形品セット工程54で、外面熱可塑性プラスチック成形工程52で成形された外面熱可塑性プラスチック成形品3の底面31に、中間成形品成形工程53で成形された中間成形品2の底面21を合わせて重ね合わされる。
【0054】
用いる中間成形品2のブランク20は、図2のごとく、底面21と、底面21の4方に延設された側面22と、側面22に接続して設けられたフランジ部23と、隣接する2つの側面22、22の間に底面21から延設された隅部側面24と、隅部側面24に接続し、隣接する側面22、22方向に延びるフラップ25とからなっている。
【0055】
そして、底面21と側面22の間、底面21と隅部側面24の間、隅部側面24とフラップ25の間、側面22とフランジ部23の間にそれぞれ3本の罫線が設けられている。このように、中間成形品2の折り曲げ部分に複数の並列した折罫を設けてあるので、中間成形品セット工程54で外面熱可塑性プラスチック成形品3と中間成形品2の位置が多少ずれていても、複数の並列した折罫でズレが吸収され、出来上がった複合容器にシワが発生することがない。
【0056】
中間成形品仮固定工程55では、中間成形品セット工程54で重ね合わされた外面熱可塑性プラスチック成形品3と中間成形品2の底部31、21どうしを熱シールバー551で加熱シールして仮固定する。続いて、冷却工程56では、外面熱可塑性プラスチック成形品3と中間成形品2の側面の加熱シールされた部分を、冷却バー561にて冷却する。
【0057】
別途設けられた巻き出し工程57では、内面熱可塑性プラスチック成形品1用の長尺の熱可塑性プラスチックシート15を間欠的に巻き出す。続いて、内面熱可塑性プラスチック成形工程58で、間欠的に巻き出された熱可塑性プラスチックシート15をヒーター581で加熱し、成形型582を用いて、真空成形や圧空成形あるいは真空圧空成形などのシート成形法にて内面熱可塑性プラスチック成形品1に成形する。
【0058】
次に、内面熱可塑性プラスチック成形品セット工程59では、内面熱可塑性プラスチック成形工程58で成形された内面熱可塑性プラスチック成形品1を、冷却工程56から送られてきた重ね合わされた外面熱可塑性プラスチック成形品3と中間成形品2に、底面を合わせて重ねる。
【0059】
脱気シール工程60では、内面熱可塑性プラスチック成形品セット工程59で重ねられた外面熱可塑性プラスチック成形品3と中間成形品2および内面熱可塑性プラスチック成形品1を、チャンバー601内に設けられたシール受け台602にセットし、重ねられた外面熱可塑性プラスチック成形品3と中間成形品2および内面熱可塑性プラスチック成形品のそれぞれの底面が密着するようにアシスト型603(押し型)で押圧しながら、チャンバー内を脱気し、非融着性シート604を介してリングシールの熱シールバー605により、内面熱可塑性プラスチック成形品1が備えるフランジ部13と外面熱可塑性プラスチック成形品3が備えるフランジ部31とを熱接着する。これにより、複合容器100の外形が、連続された状態で作成される。
【0060】
アシスト型603の底面に当たる面の形状は、複合容器100の底面101の内面の形状か、あるいは、内面の形状より一回り小さき相似形にする。また、底面を押圧するとき
に、アシスト型603に温調機能を持たせて、加温して、熱シール型として、外面熱可塑性プラスチック成形品3の底面31と、中間成形品2の底面21と、内面熱可塑性プラスチック成形品1の底面11を、熱接着してもよい。この場合は、後工程の底面シール工程63と底面冷却工程64を省略することができる。
【0061】
非融着性シート604を用いることによって、熱可塑性プラスチックシート15や熱可塑性プラスチックシート35が単層のシートなどであっても、熱接着するときに、熱シールバーに溶着しないようにすることができる。非融着性シート604は、熱可塑性プラスチックと熱融着しないシートであって、例えば、フッ素樹脂を含浸、焼成したガラスクロスなどが用いられる。
【0062】
フランジ部冷却工程61では、脱気シール工程60で熱接着された内面熱可塑性プラスチック成形品1が備えるフランジ部13と外面熱可塑性プラスチック成形品3が備えるフランジ部31を冷却バー611で冷却する。これにより、複合容器100のフランジ部103が、固定される、また、次の工程での非融着性シート604の剥離が容易になる。このとき、非融着性シート604は、脱気シール工程60より、複合容器100の移動と同調して複合容器100に接した状態で移動してくる。
【0063】
非融着性シート剥離工程62では、非融着性シート604をフランジ部103が複合容器100から剥離する。本例では、非融着性シート604は巻き出し部より巻き出して、巻き取り部で巻き取るように移動させているが、非融着性シート604をリング状にして、リングが回るように移動させてもよい。
【0064】
底面シール工程63では、シール受け台631にセットされた外面熱可塑性プラスチック成形品3の底面31と中間成形品2の底面21と内面熱可塑性プラスチック成形品1の底面11を、熱シールバー632により、熱接着する。このとき、外面熱可塑性プラスチック成形品3と中間成形品2と内面熱可塑性プラスチック成形品1の互いに接する面のいずれかに、ヒートシールニスをあらかじめシート状態のときに塗布しておくことが好ましい。
【0065】
底面冷却工程64では、底面シール工程63で熱接着された外面熱可塑性プラスチック成形品3と中間成形品2と内面熱可塑性プラスチック成形品1の底面を冷却バー641で冷却する。
【0066】
側面シール工程65では、シール受け台651にセットされた外面熱可塑性プラスチック成形品3と中間成形品2と内面熱可塑性プラスチック成形品1の側面どうしを、複合容器の側面102の内面形状に合わせた側面用の熱シールバー652により、熱接着する。
【0067】
側面冷却工程66では、側面シール工程65で熱接着された外面熱可塑性プラスチック成形品3と中間成形品2と内面熱可塑性プラスチック成形品1の側面を冷却バー661で冷却する。
【0068】
切り離し工程67では、シートの移動方向にスリット刃671でスリットして、次に幅方向に断裁刃672で断裁して、複合容器100を1個ずつに切り離す。本例では、スリットと断裁によって切り離したが、抜き刃によって、1個ずつ打ち抜いて切り離してもよい。
【符号の説明】
【0069】
100、200・・・複合容器
101・・・底面
102・・・側面
103・・・フランジ部
1・・・内面熱可塑性プラスチック成形品
11・・・底面
12・・・側面
13・・・フランジ部
15・・・熱可塑性プラスチックシート
2・・・中間成形品
20、201・・・ブランク
21・・・底面
22・・・側面
23・・・フランジ部
24・・・隅部側面
25・・・フラップ
3・・・外面熱可塑性プラスチック成形品
31・・・底面
32・・・側面
33・・・フランジ部
35・・・熱可塑性プラスチックシート
51・・・巻き出し工程
52・・・外面熱可塑性プラスチック成形工程
521・・・ヒーター
522・・・成形型
53・・・中間成形品成形工程
54・・・中間成形品セット工程
55・・・中間成形品仮固定工程
551・・・熱シールバー
56・・・底部冷却工程
561・・・冷却バー
57・・・巻き出し工程
58・・・内面熱可塑性プラスチック成形工程
581・・・ヒーター
582・・・成形型
59・・・内面熱可塑性プラスチック成形品セット工程
60・・・脱気シール工程
601・・・チャンバー
602・・・シール受け台
603・・・アシスト型
604・・・非融着性シート
605・・・熱シールバー
61・・・フランジ冷却工程
611・・・冷却バー
62・・・非融着性シート剥離工程
63・・・底面シール工程
631・・・シール受け台
632・・・熱シールバー
64・・・底面冷却工程
641・・・冷却バー
65・・・側面シール工程
651・・・シール受け台
652・・・熱シールバー
66・・・側面冷却工程
661・・・冷却バー
67・・・切り離し工程
671・・・スリット刃
672・・・断裁刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部にフランジ部を備えた内面熱可塑性プラスチック成形品と、中間成形品と、開口部にフランジ部を備えた外面熱可塑性プラスチック成形品がこの順に積層され、前記内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と前記外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とが熱接着されて前記中間成形品が封止された複合容器であって、
複合容器の底面と側面の間、側面とフランジ部の間の折り曲げ部分が曲面で形成されていることを特徴とする複合容器。
【請求項2】
開口部にフランジ部を備えた内面熱可塑性プラスチック成形品と、中間成形品と、開口部にフランジ部を備えた外面熱可塑性プラスチック成形品がこの順に積層され、前記内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と前記外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とが熱接着されて前記中間成形品が封止された複合容器であって、
前記中間成形品の折り曲げ部分に複数の並列した折罫が設けられていることを特徴とする複合容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の複合容器の製造方法であって、
前記内面熱可塑性プラスチック成形品と、前記中間成形品と、前記外面熱可塑性プラスチック成形品を重ね合わせる工程と、
チャンバー内で、シール受け台上の重ねられた前記内面熱可塑性プラスチック成形品と、前記中間成形品と、前記外面熱可塑性プラスチック成形品のそれぞれの底面が密着するように押圧しながら、チャンバー内を脱気し、熱シールバーにより、前記内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と前記外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とを熱接着する工程とを備えたことを特徴とする複合容器の製造方法。
【請求項4】
チャンバー内で、シール受け台上の重ねられた前記内面熱可塑性プラスチック成形品と、前記中間成形品と、前記外面熱可塑性プラスチック成形品のそれぞれの底面が密着するように押圧しながら、チャンバー内を脱気し、熱シールバーにより、前記内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と前記外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とを熱接着する工程において、非融着性シートを介して前記熱シールバーにより、熱接着することを特徴とする請求項3に記載の複合容器の製造方法。
【請求項5】
前記中間成形品用のブランクを折込み、折癖を付けて中間成形品にする工程を備えたことを特徴とする請求項3に記載の複合容器の製造方法。
【請求項6】
前記内面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部と前記外面熱可塑性プラスチック成形品が備えるフランジ部とを熱接着する工程から移送した複合容器から冷却後、非融着性シートを剥離する工程を備えたことを特徴とする請求項4に記載の複合容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−1448(P2013−1448A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137200(P2011−137200)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】