複合容器の製造方法
【課題】収容部の容積や外形などが製品の個々でバラツキを生ずることを抑えた複合容器の製造方法を提供すること。
【解決手段】口部14と液状物を収容するための収容部12とを備えたボトル状の樹脂薄肉収容器aと、その外表面に一体的に融着されて成る樹脂外装体bと、前記口部14に装着されてなる閉栓部材cと、から構成される複合容器Aの製造方法であって、予め樹脂薄肉収容器aと口部14に装着される閉栓部材cとを準備する工程と、樹脂薄肉収容器aの内部に液体20を全体的に充填して閉栓部材cを装着する工程と、前記液体20が充填された樹脂薄肉収容器aを金型内にセットする工程と、金型内に溶融樹脂を射出して樹脂薄肉収容器aの外表面に樹脂外装体bを一体的に融着する工程と、成形された複合容器Aを取り出す工程と、を少なくとも有し、樹脂外装体bを形成する工程において、液体20の温度が、溶融樹脂を射出する直前に30℃以下である。
【解決手段】口部14と液状物を収容するための収容部12とを備えたボトル状の樹脂薄肉収容器aと、その外表面に一体的に融着されて成る樹脂外装体bと、前記口部14に装着されてなる閉栓部材cと、から構成される複合容器Aの製造方法であって、予め樹脂薄肉収容器aと口部14に装着される閉栓部材cとを準備する工程と、樹脂薄肉収容器aの内部に液体20を全体的に充填して閉栓部材cを装着する工程と、前記液体20が充填された樹脂薄肉収容器aを金型内にセットする工程と、金型内に溶融樹脂を射出して樹脂薄肉収容器aの外表面に樹脂外装体bを一体的に融着する工程と、成形された複合容器Aを取り出す工程と、を少なくとも有し、樹脂外装体bを形成する工程において、液体20の温度が、溶融樹脂を射出する直前に30℃以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧水、薬品、飲料などの液状物を収容するために用いられる複合容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から化粧水、薬品、飲料などの液状物を収容する収容器として、耐腐食性、気密性に優れた蓋付きの収容器が広く使用されている。これらの収容器としては、ガラス製、樹脂製のものが広く用いられている。
【0003】
ガラス製の収容器は、重厚感や高級感を有し、透明で内部が視認可能であるといった長所を有する。一方、樹脂製の収容器は、透明性を有する樹脂を用いることで内部が視認可能であるとともに耐衝撃性に優れ、しかも金型を用いて大量生産が可能であるといった長所を有する。両者にはそれぞれの長所が有るため、用途に応じて使い分けがなされている。
【0004】
ところでガラス製の収容器は、上記したような長所を有する反面、搬送中の衝撃や使用中の落下などによって簡単に破損してしまうという短所も有する。
また樹脂製の収容器は、軽量であるため重厚感や高級感に乏しいという短所も有する。
【0005】
そこで特許文献1では、図12に示したようにガラス製の収容器102の外表面に、樹脂をオーバーモールディングして樹脂製の外装体104を形成することで、重厚感や高級感を備えつつ、耐衝撃性に優れるというガラスと樹脂の長所を兼ね揃えた複合容器100が開発されている。
【0006】
しかしながら、このようなガラスと樹脂とを組み合わせた複合容器100は、別々の材質の組み合わせであるためリサイクル性が悪く、また落下などの強い衝撃が加わった際には依然として内層に位置するガラス製の収容器102が破損することも有り、まだまだ課題の残るものであった。
【0007】
そこで本出願人は、樹脂製の薄肉収容器の外表面に、溶融樹脂を射出して厚肉の樹脂外装体を形成することで、重厚感や高級感を備えつつ、耐衝撃性に優れ、しかもリサイクル性が良好で、大量生産が可能な複合容器(特許文献2)およびこの製造方法(特許文献3)を開発した。
【0008】
このような複合容器は、その製造方法において、薄肉収容器内に例えば液体を充填した状態で、この薄肉収容器の外表面に溶融樹脂をオーバーモールドし、薄肉収容器と一体的に融着してなる樹脂外装体を形成することで、金型内で薄肉収容器が溶融樹脂の射出圧で変形してしまうことがないよう工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2004−527424号公報
【特許文献2】特表2009−543732号公報
【特許文献3】特許第4377447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、本出願人によって開発された上記の複合容器の製造方法において、薄肉収容器内に液体を充填した状態で、この薄肉収容器の外表面に溶融樹脂をオーバーモールドして樹脂外装体を形成すると、溶融樹脂の射出圧による薄肉収容器の変形は防げるものの、成形された複合容器の薄肉収容器の収容部の容積や外形などに僅かながらバラツキが生ずることが確認された。
【0011】
このような薄肉収容器の収容部の容積や外形などの僅かなバラツキは、通常の汎用成形品であれば寸法公差内であって殆ど問題にはならないが、例えば複合容器が化粧品の外装容器として使用される場合には、収容部内に収容される化粧液の収容量に差が出たり、あるいは所定量の化粧液を収容した際における満充填ラインが製品毎に僅かに異なってしまうとともに、外観が不揃いとなり美観を損なう虞がある。このような問題は特に美観や高級感を意識した化粧品などの容器の場合には収容部の容積や外形などの僅かなバラツキが問題となる。
【0012】
したがって、これらの問題を解決することのできる複合容器の製造方法が求められているのが現状である。
本発明は、このような現状に鑑みなされたものであって、収容部の容積や外形などが製品の個々でバラツキを生ずることを抑え、外観を良好に保ち、美観を損なわず高級感を有する複合容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前述したような従来技術における問題点を解決するために発明されたものであって、
本発明の複合容器(A)の製造方法は、
口部と液状物を収容するための収容部とを備えたボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)と、前記樹脂薄肉収容器(a)の外表面に前記樹脂薄肉収容器(a)と一体的に融着されて成る樹脂外装体(b)と、前記樹脂薄肉収容器(a)の口部に装着されてなる閉栓部材(c)と、から構成される複合容器(A)の製造方法であって、
前記複合容器(A)の製造方法は、
予め前記ボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)と前記樹脂薄肉収容器(a)の口部に装着される閉栓部材(c)とを準備する工程と、
前記樹脂薄肉収容器(a)の内部に液体を全体的に充填し、この状態で前記口部に閉栓部材(c)を装着する工程と、
前記液体が充填されたボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)を金型内にセットする工程と、
前記樹脂薄肉収容器(a)がセットされた金型内に溶融樹脂を射出して前記樹脂薄肉収容器(a)の外表面に樹脂外装体(b)を一体的に融着して形成する工程と、
前記金型を開いて成形された複合容器(A)を取り出す工程と、
を少なくとも有し、
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体の温度が、金型内に溶融樹脂を射出する直前に30℃以下であることを特徴とする。
【0014】
このように樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体の温度が30℃以下であれば、樹脂外装体(b)用の溶融樹脂が射出された際に、溶融樹脂が樹脂薄肉収容器(a)の外表面に触れて固化する時に良好な固化速度とすることができる。
【0015】
したがって、樹脂薄肉収容器(a)が溶融樹脂の射出圧で変形が起きて収容部の容積や外形にバラツキを生じてしまうことを確実に抑えることができ、外観を良好に保持し高級感を有する複合容器(A)を製造することができる。
【0016】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型の温度が、5〜100℃の範囲内に設定されていることを特徴とする。
【0017】
このような範囲に金型の温度を設定すれば、成形時に金型内にセットされた樹脂薄肉収容器(a)内の液体が蒸発してしまうことがなく、安全でしかも確実に樹脂薄肉収容器(a)の外表面に一体的に樹脂外装体(b)が融着してなる複合容器(A)を製造することができる。
【0018】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型内に射出される溶融樹脂の射出圧が、100〜2000kg/cm2の範囲内に設定されていることを特徴とする。
【0019】
このような範囲に溶融樹脂の射出圧を設定すれば、安全でしかも確実に薄肉収容器(a)の外表面に一体的に樹脂外装体(b)が融着してなる複合容器(A)を製造することができる。
【0020】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型内に射出される溶融樹脂の樹脂温度が、100〜350℃の範囲内に設定されていることを特徴とする。
【0021】
このような範囲に溶融樹脂の樹脂温度を設定すれば、安全でしかも確実に薄肉収容器(a)の外表面に一体的に樹脂外装体(b)が融着してなる複合容器(A)を製造することができる。
【0022】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂薄肉収容器(a)の肉厚が、0.1〜2.0mmの範囲内であることを特徴とする。
【0023】
このような肉厚であれば、樹脂外装体(b)と一体的に融着する際に樹脂薄肉収容器(a)との境界線が見え難くなるため、優れた美観と高級感を有する複合容器(A)を製造することができる。
【0024】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂外装体(b)の肉厚が最大となる最大部の厚みが、3.0〜50.0mmの範囲内であることを特徴とする。
【0025】
このような肉厚であれば、ガラスのような重厚感を得ることができるとともに、樹脂外装体(b)を立体的な様々な形状とすることができるため、優れた美観と高級感を有する複合容器(A)を提供することができる。
【0026】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂薄肉収容器(a)の内部に充填された液体が、水、水溶液、化粧水、薬品、有機溶剤から選択された一つであることを特徴とする。
このような液体であれば安全でしかも確実に薄肉収容器(a)の外表面に一体的に樹脂外装体(b)が融着してなる複合容器(A)を製造することができる。
【0027】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型内に射出される溶融樹脂が、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂であることを特徴とする。
【0028】
このような樹脂であれば、高透明性を有する樹脂として好適であるため、極めて透明性が高い樹脂外装体(b)を得ることができる。したがって、優れた美観と高級感を有する複合容器(A)を得ることができる。
【0029】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂薄肉収容器(a)を構成する樹脂が、ポリエステル、ポリアミドおよびポリオレフィン系樹脂から選択される少なくとも一つであることを特徴とする。
【0030】
このような樹脂であれば、樹脂外装体(b)との境界線が見え難くなり、両部材の相乗効果でより高級感を増し、優れた美観を有する複合容器(A)を得ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の複合容器の製造方法によれば、樹脂外装体(b)を形成する工程において、樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体の温度が、金型内に溶融樹脂を射出する直前に30℃以下であるため、樹脂薄肉収容器(a)の収容部の容積や外形などが製品の個々でバラツキを生ずることを抑え、外観を良好に保ち、優れた美観と高級感を有する複合容器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の製造方法によって製造された複合容器の実施例における斜視図である。
【図2】図2は、本発明の製造方法によって製造された複合容器の実施例における断面図である。
【図3】図3は、樹脂薄肉収容器(a)内に液体を充填し、閉栓部材を装着するまでの工程図であって、図3(a)は樹脂薄肉収容器(a)を用意した状態を示した図、図3(b)は樹脂薄肉収容器(a)内に液体を充填し、閉栓部材を口部に装着した状態を示した図である。
【図4】図4は樹脂薄肉収容器(a)の外表面に樹脂外装体(b)を形成するまでの工程図であって、図4(a)は樹脂薄肉収容器(a)を金型内にセットした状態を示した図、図4(b)は金型を閉じた状態を示した図、図4(c)は樹脂薄肉収容器(a)の外表面に一体的に樹脂外装体(b)を形成した状態を示した図である。
【図5】図5は、金型を開いて複合容器(A)を得るまでの工程図であって、図5(a)は金型を開いた状態を示した図、図5(b)は金型内から複合容器(A)を取り出す状態を示した図である。
【図6】図6は、本発明の製造方法によって製造された複合容器(A)の他の実施例における斜視図である。
【図7】図7は、本発明の製造方法によって製造された複合容器(A)の他の実施例における斜視図である。
【図8】図8は、実施例1(樹脂薄肉収容器(a)内に30℃の水を満充填した実施例)における製造方法によって製造された複合容器(A)の底面図である。
【図9】図9は、比較例1(樹脂薄肉収容器(a)内に40℃の水を満充填した実施例)における製造方法によって製造された複合容器(A)の底面図である。
【図10】図10は、比較例5(樹脂薄肉収容器(a)内に60℃の水を満充填した実施例)における製造方法によって製造された複合容器(A)であって、図10(a)は底面図、図11(b)は正面図の底面側を拡大した図である。
【図11】図11は、樹脂薄肉収容器(a)内に充填される液体充填温度(℃)と容量減少率(%)の関係を表したグラフである。
【図12】図12は、従来の複合容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
なお、本明細書中でいう「ボトル状形態」とは、口部と収容部とが肩部を介して連結された形態、すなわち収容部の上端に収容部の外形よりも狭められた口部を有する形態をいうものである。
【0034】
図1は、本発明の製造方法によって製造された複合容器(A)の実施例における斜視図、図2は、本発明の製造方法によって製造された複合容器(A)の実施例における断面図である。
まず、本発明の製造方法によって製造された複合容器(A)について説明する。
【0035】
<複合容器(A)>
本発明の製造方法によって製造された複合容器(A)は、例えば化粧水、薬品、飲料などの液状物を収容するために用いられるものである。
【0036】
複合容器(A)は、図1および図2に示したように液状物を出し入れするための口部14を有する樹脂薄肉収容器(a)と、この樹脂薄肉収容器(a)の外表面をすっぽりと覆うように形成された樹脂外装体(b)と、樹脂薄肉収容器(a)の口部14に装着され、口部14から液状物が外方に飛散することを防ぐ閉栓部材(c)と、から構成されている。
【0037】
すなわち複合容器(A)は、口部14を除いた樹脂薄肉収容器(a)の外表面に溶融樹脂がオーバーモールドされて一体的に融着された樹脂外装体(b)が形成され、樹脂薄肉収容器(a)の口部14には閉栓部材(c)が装着されるようになっている。
【0038】
なお、本実施例では、口部14と閉栓部材(c)が螺合するように構成されているが、装着方法はこれに限定されるものではなく、例えば口部14に閉栓部材(c)が嵌入されるように構成しても良く、要は樹脂薄肉収容器(a)の口部14から液状物が飛散しない仕組みで有れば如何なる構成でも良いものである。
【0039】
本実施例では、樹脂薄肉収容器(a)が、口部14と収容部12とを、肩部16を介して連続的に形成された所謂ボトル状形態であって樹脂薄肉収容器(a)の厚みT1が0.1〜2.0mm、好ましくは0.5〜1.5mmと薄肉である。それに対し、樹脂外装体(b)は樹脂薄肉収容器(a)と同様の形状であったり、図1や図6と図7のような略球形等、さまざまな形状に成形することが可能であるため、その肉厚が最大となる最大部の厚みT2が3.0〜50.0mm、好ましくは3.5〜45.0mmと範囲が広く、相当な肉厚でも成形可能である。
【0040】
なお、樹脂薄肉収容器(a)の厚みを相当に薄くすると、使用する樹脂量を少なくでき製造コストを抑えることができる。また、樹脂薄肉収容器(a)と樹脂外装体(b)との界面を見え難くすることができるため、優れた美観を有する複合容器(A)とすることができる。
【0041】
また、樹脂外装体(b)の肉厚が最大となる最大部の厚みT2は、樹脂薄肉収容器(a)の厚みや材質、成形条件等によりどのようにでも成形することは可能であるが、樹脂薄肉収容器(a)の厚みに対して3〜60倍にすることが好ましく、その範囲内であれば樹脂薄肉収容器(a)の変形を生じず、高級感や重厚感を有する複合容器(A)を得ることができる。
【0042】
このような複合容器(A)は、例えば樹脂外装体(b)の材料として高透明性合成樹脂を用い、特にその全光線透過率(JIS K7105に準拠し、1mm厚のシートで測定)が80〜100%であることが好ましく、85〜100%であることがより好ましい。
【0043】
上記範囲を満たす高透明性合成樹脂の材質としては、例えばアイオノマー樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂(スチレン・アクリロニトリル共重合体樹脂、スチレン・メチルメタクリレート共重合体樹脂など)を用いることができ、好ましくはアイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、より好ましくは、アイオノマー樹脂を用いることができる。
【0044】
アイオノマー樹脂としては、例えば不飽和カルボン酸含量が1〜40重量%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部、通常0モル%を超え、かつ100モル%以下、好ましくは90モル%以下を金属イオンで中和したものを使用することができる。
【0045】
アイオノマー樹脂のベースポリマーとなるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸、さらに任意に他の極性モノマーを共重合して得られるものである。ここに不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルなどを例示することができるが、特にメタクリル酸が好ましい。
【0046】
また共重合成分となり得る極性モノマーとしては、任意に酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素などであり、特に不飽和カルボン酸エステルは好適な共重合成分である。
【0047】
また金属イオンとしては、1価、2価あるいは3価の原子価を有する金属イオン、特に元素周期律表におけるIA、IIA、IIIA、IVAおよびVIII族の1〜3価の原子価を有する金属イオンであり、具体的には、Na+、K+、Li+、Cs+、Ag+、Hg+、Cu+、Be++、Mg++、Ca++、Sr++、Ba++、Cu++、Cd++、Hg++、Sn++、Pb++、Fe++、Co++、Ni++、Zn++、Al+++、Sc+++、Fe+++、Y+++などが挙げられる。
【0048】
中でもより具体的にはエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂を用いることが好ましい。
これらの材質は、透明性、耐衝撃性、耐擦傷性に優れており、また厚肉成形が可能であるためにガラスのような重厚感を得ることができ、樹脂外装体(b)の材料として好適である。
【0049】
なお、樹脂薄肉収容器(a)や閉栓部材(c)については、如何なる樹脂材料を用いてもかまわないが、例えばポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル(PET(ポリエチレンテレフタレート)、PETG、PCTG、PCT(ポリシクロヘキサン・ジメチル・テレフタレート)、PCTA、PEN(ポリエチレン・ナフタレート)など)、アクリル樹脂、スチレン系樹脂(スチレン・アクリロニトリル共重合体樹脂、スチレン・メチルメタクリレート共重合体樹脂など)、シクロオレフィン・ポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、アイオノマー樹脂、およびPAN(ポリアクリロ窒化物)を用いることができるが、上記の樹脂外装体(b)と同じ材質を用いることで樹脂外装体(b)との相乗効果を得て、さらに高級感や美観を高めることができる。
【0050】
しかしながら、樹脂薄肉収容器(a)については、後述するように金型内に樹脂薄肉収容器(a)をセットした状態で、外表面上に溶融樹脂を流入させて樹脂外装体(b)を形成するため、高透明性合成樹脂を用いる場合には溶融温度が比較的高いポリエステルやポリアミドなどを使用することが好ましい。
【0051】
このような高透明性合成樹脂は、有色であっても無色であっても良く、さらに樹脂薄肉収容器(a)、樹脂外装体(b)、閉栓部材(c)でそれぞれ色を変えることもできる。
【0052】
<複合容器(A)の製造方法>
次に上記にて説明した複合容器(A)の製造方法について説明する。
図3(a)に示したように、まず口部14と収容部12とが肩部16で連続されたボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)を準備する。樹脂薄肉収容器(a)は、ブロー成形や振動溶着などの方法で予め製造されたものであり、特に製造方法が限定されるものではない。
【0053】
次いで、図3(b)に示したように、樹脂薄肉収容器(a)の口部14より内部へ液体20を流入させ、口部14に閉栓部材(c)を装着する。なお液体20は、後述する金型30、32内に樹脂薄肉収容器(a)をセットして、樹脂薄肉収容器(a)の外表面上に溶融樹脂を流入した際に、溶融樹脂の射出圧で樹脂薄肉収容器(a)が変形することが無いよう樹脂薄肉収容器(a)の収容部12内に満充填されている。
【0054】
このような液体20は、金型30、32内である程度加熱されることから、加熱されても正常な物性を持つ液体20であることが好ましく、例えば水、水溶液、化粧水、薬品、有機溶剤が使用できる。
【0055】
中でも水は、複合容器(A)の製造後に樹脂薄肉収容器(a)内を洗浄せずに乾燥するだけで済むため樹脂薄肉収容器(a)に満充填される液体20として好適である。
なお、樹脂薄肉収容器(a)に満充填される液体20の温度は、後述するように樹脂薄肉収容器(a)の外表面に溶融樹脂をオーバーモールドする直前に、溶融樹脂の冷却に適した温度とする必要がある。
【0056】
この液体20の温度は、樹脂薄肉収容器(a)の外表面に溶融樹脂をオーバーモールドする直前に30℃以下であることが好ましい。
ここで30℃以下とは、液体20の種類によっては0℃以下でも液状が保持される場合が有るからであって、例えば水の場合には0℃以上、30℃以下であることが好ましく、より好ましくは5℃以上、30℃以下である。水道から直接供給される水の温度が30℃以下であれば、特に冷却設備も要せず製造コストを抑える点でも水道水を使用することは好ましい。
【0057】
液体20の温度は低ければ低いほど良いが、低すぎて凍ってしまうと樹脂薄肉収容器(a)内からの取出しに手間がかかるため、液体20の状態を保持できる温度に抑えることが重要である。
【0058】
なお、樹脂薄肉収容器(a)に満充填される液体20の温度は、樹脂薄肉収容器(a)内に液体20を充填して口部14に閉栓部材(c)を装着した後、直ぐに次工程であるオーバーモールドを行う工程に移る場合には、樹脂薄肉収容器(a)内に充填しておく液体20の温度を25℃以下程度としておけば、溶融樹脂のオーバーモールドの際に必要な30℃以下を保持できる。
【0059】
また、樹脂薄肉収容器(a)内に液体20を充填して口部14に閉栓部材(c)を装着した後、時間をおいてから次工程であるオーバーモールドを行う工程に移る場合には、樹脂薄肉収容器(a)への充填時における液体20の温度を低めに設定しておけば良く、この温度については適宜設定可能なものである。
【0060】
次いで図4(a)に示したように、金型30、32内に予め用意しておいた液体20が満充填された樹脂薄肉収容器(a)を口部14および口部14に装着された閉栓部材(c)だけ固定して、金型30、32内の空間に樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の部分が浮いた状態とする。この際、金型30、32の温度は、5〜100℃の範囲内に設定されていることが好ましい。
【0061】
さらにこの状態で図4(b)に示したように金型30、32を閉じ、図4(c)に示したように樹脂流入口34より溶融樹脂を金型30、32内に充填する。充填される溶融樹脂の射出圧は100〜2000kg/cm2、温度は100〜350℃の範囲内である。
【0062】
この溶融樹脂が充填される直前に、樹脂薄肉収容器(a)内部の液体20は30℃以下である。
このように液体20が30℃以下であれば、金型30、32内に充填された溶融樹脂が速やかに冷却されて樹脂薄肉収容器(a)の外表面に一体的に融着されることとなり、収容部12の容積や外形などがバラツキを生ずることがなく、外観を良好に保ち、美観と高級感を有する複合容器(A)とすることができる。
【0063】
逆に液体20が30℃より高いと、金型30、32内に充填された溶融樹脂が冷却され難くなり、樹脂薄肉収容器(a)が溶融樹脂の熱で変形してしまうこととなる。したがって金型30、32内に溶融樹脂が充填される直前の樹脂薄肉収容器(a)内の液体20の温度が重要である。
【0064】
このようにして、金型30、32内の樹脂薄肉収容器(a)の口部14下端から樹脂薄肉収容器(a)の外表面に、溶融樹脂がオーバーモールドされ、樹脂薄肉収容器(a)と一体的に融着された樹脂外装体(b)部分が形成される。
【0065】
そして図5(a)に示したように金型30、32を開き、さらに図5(b)に示したように金型30、32内から複合容器(A)を取り出してランナーおよびスプルーを取り外し、口部14に装着された閉栓部材(c)を外して樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体20を除去する。
【0066】
そして、樹脂薄肉収容器(a)の収容部12内を場合によっては洗浄した後、乾燥させ、再び口部14に閉栓部材(c)を装着することで、図1に示したように樹脂薄肉収容器(a)の口部14を除いた外表面に一体的に樹脂外装体(b)が融着されて成る複合容器(A)の製造が完了となる。液体20を水とした場合には、樹脂薄肉収容器(a)の収容部12内を洗浄する必要はなく乾燥のみで良いため生産性向上に寄与することができる。
【0067】
このような製造方法により製造された複合容器(A)は、樹脂薄肉収容器(a)の収容部の容積や外形などが製品の個々でバラツキを生ずることがなく、外観を良好に保ち、優れた美観と高級感を有している。
【0068】
また、樹脂薄肉収容器(a)の外表面と樹脂外装体(b)とが一体的に融着された状態であるため、樹脂外装体(b)の内側で樹脂薄肉収容器(a)ががたついたり回転してしまうことがなく、また両部材の境界線が見え難くなっている。
【0069】
さらに樹脂薄肉収容器(a)を樹脂製とし樹脂外装体(b)を高透明性合成樹脂としているのでリサイクル性に優れるとともに、樹脂外装体(b)から内部の樹脂薄肉収容器(a)を視認可能である。
【0070】
したがって本製造方法によって得られた複合容器(A)は、収容量の安定性や美観を求める化粧品の容器として好適である。
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば本発明の製造方法によって得られる複合容器(A)の形態についても図6に示したクリスタルのような形態、図7に示した凹凸部40を有する形態など、要は内層に位置する樹脂薄肉収容器(a)がボトル状であれば如何なる形態であっても良く、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能なものである。
【実施例】
【0071】
[実施例1]
図3(a)に示したように、口部14と収容部12とを、肩部16を介して連続的に形成された所謂ボトル状形態であって、厚さT1が0.8mmでポリエステル樹脂製の樹脂薄肉収容器(a)を用意し、図3(b)に示したようにこの樹脂薄肉収容器(a)内に20℃の水を満充填し、この状態で樹脂薄肉収容器(a)の口部14にポリエステル樹脂製の閉栓部材(c)を装着した。
【0072】
そして、図4(a)に示したように直ぐにこの樹脂薄肉収容器(a)を25℃に加熱された金型30、32内にセットし、図4(b)に示したように金型30、32を閉じ、図4(c)に示したように樹脂薄肉収容器(a)の口部14を除いた外表面にエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂の溶融樹脂をオーバーモールドした。このときの金型30、32内にセットされた樹脂薄肉収容器(a)の外表面にかかる溶融樹脂の射出圧は600kg/cm2、保圧は480kg/cm2あった。その他の成形条件としては、樹脂温度を182℃、射出速度を15mm/s、射出時間を34s、冷却時間を40sとした。
【0073】
そして溶融樹脂が固化して肉厚が最大となる最大部の厚みT2が15mmである樹脂外装体(b)を形成した後、図5(a)に示したように金型30、32を開き、図5(b)に示したようにランナー、スプルーを成形品から取り外すことで、複合容器(A)を得た。
【0074】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が0.29%(表1)と非常に僅かであって殆ど形状に変化を生じておらず、外観も良好であった(図8)。
【0075】
【表1】
【0076】
[実施例2]
樹脂薄肉収容器(a)内に30℃の水を満充填したこと以外は、上記した実施例1と同様にして、複合容器(A)を得た。
【0077】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が0.50%(表1)と僅かであって殆ど形状に変化を生じておらず、外観も良好であった。
【0078】
[比較例1〜5]
樹脂薄肉収容器(a)内に40℃、45℃、50℃、55℃、60℃の水を満充填したこと以外は、上記した実施例1と同様にして、複合容器(A)を得た。
【0079】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が表1に示すとおりとなった。
【0080】
また樹脂薄肉収容器(a)の底面は、40℃の場合は少々変形していること(図9)、60℃の場合は大きく潰れてしまっていること(図10(a),(b))が確認された。
上記した実施例1および2のように、樹脂薄肉収容器(a)内に30℃以下の水を充填した場合には、この直後に行う樹脂外装体(b)部分のオーバーモールドでも、樹脂薄肉収容器(a)の変形が殆ど生じず、図11に示したグラフから明らかなように容量変化も少ないことが確認された。
【0081】
これに対し、比較例1〜5のように、樹脂薄肉収容器(a)内に30℃より高い温度の水を充填した場合には、この直後に行う樹脂外装体(b)部分のオーバーモールドで、樹脂薄肉収容器(a)の変形が生じて、図11に示したグラフから明らかなように容量減少率が高くなってしまうことが確認された。
【0082】
したがって、樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体の温度が、金型30、32内に溶融樹脂を射出する直前に30℃以下であることの必要性が確認できた。
【0083】
[実施例3]
樹脂薄肉収容器(a)として厚さT1が0.8mmの低密度ポリエチレン製の容器を用いて、射出圧を500kg/cm2、保圧を440kg/cm2、樹脂温度を185℃、射出速度を15mm/s、射出時間を25s、冷却時間を45sとしたこと以外は、上記した実施例1と同様にして、複合容器(A)を得た。
【0084】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が0.5%と僅かであって殆ど形状に変化を生じておらず、外観も良好であった。
【0085】
[実施例4]
樹脂薄肉収容器(a)内に30℃の水を満充填したこと以外は、上記した実施例3と同様にして、複合容器(A)を得た。
【0086】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が1.2%と僅かであって殆ど形状に変化を生じておらず、外観も良好であった。
【0087】
[比較例6]
樹脂薄肉収容器(a)内に40℃の水を満充填したこと以外は、上記した実施例3と同様にして、複合容器(A)を得た。
【0088】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が7%であり、樹脂薄肉収容器(a)の底面が潰れてしまっていることが確認された。
【0089】
[比較例7]
樹脂薄肉収容器(a)内に60℃の水を満充填したこと以外は、上記した実施例3と同様にして、複合容器(A)を得た。
【0090】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が20%であり、樹脂薄肉収容器(a)の底面が大きく潰れてしまっていることが確認された。
【0091】
上記した実施例3および4のように、樹脂薄肉収容器(a)内に30℃以下の水を充填した場合には、この直後に行う樹脂外装体(b)部分のオーバーモールドでも、樹脂薄肉収容器(a)の変形が殆ど生じず、容量変化も少ないことが確認された。
【0092】
これに対し、比較例6および7のように、樹脂薄肉収容器(a)内に30℃より高い温度の水を充填した場合には、この直後に行う樹脂外装体(b)部分のオーバーモールドで、樹脂薄肉収容器(a)の変形が生じて、容量減少率が高くなってしまうことが確認された。
【0093】
したがって、樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体の温度が、金型30、32内に溶融樹脂を射出する直前に30℃以下であることの必要性が確認できた。
【符号の説明】
【0094】
A・・・複合容器
a・・・樹脂薄肉収容器
b・・・樹脂外装体
c・・・閉栓部材
12・・・収容部
14・・・口部
16・・・肩部
20・・・液体
30・・・金型
32・・・金型
34・・・樹脂流入口
40・・・凹凸部
T1・・樹脂薄肉収容器の厚さ
T2・・樹脂外装体の肉厚が最大となる最大部の厚さ
100・・・複合容器
102・・・収容器
104・・・外装体
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧水、薬品、飲料などの液状物を収容するために用いられる複合容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から化粧水、薬品、飲料などの液状物を収容する収容器として、耐腐食性、気密性に優れた蓋付きの収容器が広く使用されている。これらの収容器としては、ガラス製、樹脂製のものが広く用いられている。
【0003】
ガラス製の収容器は、重厚感や高級感を有し、透明で内部が視認可能であるといった長所を有する。一方、樹脂製の収容器は、透明性を有する樹脂を用いることで内部が視認可能であるとともに耐衝撃性に優れ、しかも金型を用いて大量生産が可能であるといった長所を有する。両者にはそれぞれの長所が有るため、用途に応じて使い分けがなされている。
【0004】
ところでガラス製の収容器は、上記したような長所を有する反面、搬送中の衝撃や使用中の落下などによって簡単に破損してしまうという短所も有する。
また樹脂製の収容器は、軽量であるため重厚感や高級感に乏しいという短所も有する。
【0005】
そこで特許文献1では、図12に示したようにガラス製の収容器102の外表面に、樹脂をオーバーモールディングして樹脂製の外装体104を形成することで、重厚感や高級感を備えつつ、耐衝撃性に優れるというガラスと樹脂の長所を兼ね揃えた複合容器100が開発されている。
【0006】
しかしながら、このようなガラスと樹脂とを組み合わせた複合容器100は、別々の材質の組み合わせであるためリサイクル性が悪く、また落下などの強い衝撃が加わった際には依然として内層に位置するガラス製の収容器102が破損することも有り、まだまだ課題の残るものであった。
【0007】
そこで本出願人は、樹脂製の薄肉収容器の外表面に、溶融樹脂を射出して厚肉の樹脂外装体を形成することで、重厚感や高級感を備えつつ、耐衝撃性に優れ、しかもリサイクル性が良好で、大量生産が可能な複合容器(特許文献2)およびこの製造方法(特許文献3)を開発した。
【0008】
このような複合容器は、その製造方法において、薄肉収容器内に例えば液体を充填した状態で、この薄肉収容器の外表面に溶融樹脂をオーバーモールドし、薄肉収容器と一体的に融着してなる樹脂外装体を形成することで、金型内で薄肉収容器が溶融樹脂の射出圧で変形してしまうことがないよう工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2004−527424号公報
【特許文献2】特表2009−543732号公報
【特許文献3】特許第4377447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、本出願人によって開発された上記の複合容器の製造方法において、薄肉収容器内に液体を充填した状態で、この薄肉収容器の外表面に溶融樹脂をオーバーモールドして樹脂外装体を形成すると、溶融樹脂の射出圧による薄肉収容器の変形は防げるものの、成形された複合容器の薄肉収容器の収容部の容積や外形などに僅かながらバラツキが生ずることが確認された。
【0011】
このような薄肉収容器の収容部の容積や外形などの僅かなバラツキは、通常の汎用成形品であれば寸法公差内であって殆ど問題にはならないが、例えば複合容器が化粧品の外装容器として使用される場合には、収容部内に収容される化粧液の収容量に差が出たり、あるいは所定量の化粧液を収容した際における満充填ラインが製品毎に僅かに異なってしまうとともに、外観が不揃いとなり美観を損なう虞がある。このような問題は特に美観や高級感を意識した化粧品などの容器の場合には収容部の容積や外形などの僅かなバラツキが問題となる。
【0012】
したがって、これらの問題を解決することのできる複合容器の製造方法が求められているのが現状である。
本発明は、このような現状に鑑みなされたものであって、収容部の容積や外形などが製品の個々でバラツキを生ずることを抑え、外観を良好に保ち、美観を損なわず高級感を有する複合容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前述したような従来技術における問題点を解決するために発明されたものであって、
本発明の複合容器(A)の製造方法は、
口部と液状物を収容するための収容部とを備えたボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)と、前記樹脂薄肉収容器(a)の外表面に前記樹脂薄肉収容器(a)と一体的に融着されて成る樹脂外装体(b)と、前記樹脂薄肉収容器(a)の口部に装着されてなる閉栓部材(c)と、から構成される複合容器(A)の製造方法であって、
前記複合容器(A)の製造方法は、
予め前記ボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)と前記樹脂薄肉収容器(a)の口部に装着される閉栓部材(c)とを準備する工程と、
前記樹脂薄肉収容器(a)の内部に液体を全体的に充填し、この状態で前記口部に閉栓部材(c)を装着する工程と、
前記液体が充填されたボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)を金型内にセットする工程と、
前記樹脂薄肉収容器(a)がセットされた金型内に溶融樹脂を射出して前記樹脂薄肉収容器(a)の外表面に樹脂外装体(b)を一体的に融着して形成する工程と、
前記金型を開いて成形された複合容器(A)を取り出す工程と、
を少なくとも有し、
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体の温度が、金型内に溶融樹脂を射出する直前に30℃以下であることを特徴とする。
【0014】
このように樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体の温度が30℃以下であれば、樹脂外装体(b)用の溶融樹脂が射出された際に、溶融樹脂が樹脂薄肉収容器(a)の外表面に触れて固化する時に良好な固化速度とすることができる。
【0015】
したがって、樹脂薄肉収容器(a)が溶融樹脂の射出圧で変形が起きて収容部の容積や外形にバラツキを生じてしまうことを確実に抑えることができ、外観を良好に保持し高級感を有する複合容器(A)を製造することができる。
【0016】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型の温度が、5〜100℃の範囲内に設定されていることを特徴とする。
【0017】
このような範囲に金型の温度を設定すれば、成形時に金型内にセットされた樹脂薄肉収容器(a)内の液体が蒸発してしまうことがなく、安全でしかも確実に樹脂薄肉収容器(a)の外表面に一体的に樹脂外装体(b)が融着してなる複合容器(A)を製造することができる。
【0018】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型内に射出される溶融樹脂の射出圧が、100〜2000kg/cm2の範囲内に設定されていることを特徴とする。
【0019】
このような範囲に溶融樹脂の射出圧を設定すれば、安全でしかも確実に薄肉収容器(a)の外表面に一体的に樹脂外装体(b)が融着してなる複合容器(A)を製造することができる。
【0020】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型内に射出される溶融樹脂の樹脂温度が、100〜350℃の範囲内に設定されていることを特徴とする。
【0021】
このような範囲に溶融樹脂の樹脂温度を設定すれば、安全でしかも確実に薄肉収容器(a)の外表面に一体的に樹脂外装体(b)が融着してなる複合容器(A)を製造することができる。
【0022】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂薄肉収容器(a)の肉厚が、0.1〜2.0mmの範囲内であることを特徴とする。
【0023】
このような肉厚であれば、樹脂外装体(b)と一体的に融着する際に樹脂薄肉収容器(a)との境界線が見え難くなるため、優れた美観と高級感を有する複合容器(A)を製造することができる。
【0024】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂外装体(b)の肉厚が最大となる最大部の厚みが、3.0〜50.0mmの範囲内であることを特徴とする。
【0025】
このような肉厚であれば、ガラスのような重厚感を得ることができるとともに、樹脂外装体(b)を立体的な様々な形状とすることができるため、優れた美観と高級感を有する複合容器(A)を提供することができる。
【0026】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂薄肉収容器(a)の内部に充填された液体が、水、水溶液、化粧水、薬品、有機溶剤から選択された一つであることを特徴とする。
このような液体であれば安全でしかも確実に薄肉収容器(a)の外表面に一体的に樹脂外装体(b)が融着してなる複合容器(A)を製造することができる。
【0027】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型内に射出される溶融樹脂が、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂であることを特徴とする。
【0028】
このような樹脂であれば、高透明性を有する樹脂として好適であるため、極めて透明性が高い樹脂外装体(b)を得ることができる。したがって、優れた美観と高級感を有する複合容器(A)を得ることができる。
【0029】
また、本発明の複合容器(A)の製造方法は、
前記樹脂薄肉収容器(a)を構成する樹脂が、ポリエステル、ポリアミドおよびポリオレフィン系樹脂から選択される少なくとも一つであることを特徴とする。
【0030】
このような樹脂であれば、樹脂外装体(b)との境界線が見え難くなり、両部材の相乗効果でより高級感を増し、優れた美観を有する複合容器(A)を得ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の複合容器の製造方法によれば、樹脂外装体(b)を形成する工程において、樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体の温度が、金型内に溶融樹脂を射出する直前に30℃以下であるため、樹脂薄肉収容器(a)の収容部の容積や外形などが製品の個々でバラツキを生ずることを抑え、外観を良好に保ち、優れた美観と高級感を有する複合容器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の製造方法によって製造された複合容器の実施例における斜視図である。
【図2】図2は、本発明の製造方法によって製造された複合容器の実施例における断面図である。
【図3】図3は、樹脂薄肉収容器(a)内に液体を充填し、閉栓部材を装着するまでの工程図であって、図3(a)は樹脂薄肉収容器(a)を用意した状態を示した図、図3(b)は樹脂薄肉収容器(a)内に液体を充填し、閉栓部材を口部に装着した状態を示した図である。
【図4】図4は樹脂薄肉収容器(a)の外表面に樹脂外装体(b)を形成するまでの工程図であって、図4(a)は樹脂薄肉収容器(a)を金型内にセットした状態を示した図、図4(b)は金型を閉じた状態を示した図、図4(c)は樹脂薄肉収容器(a)の外表面に一体的に樹脂外装体(b)を形成した状態を示した図である。
【図5】図5は、金型を開いて複合容器(A)を得るまでの工程図であって、図5(a)は金型を開いた状態を示した図、図5(b)は金型内から複合容器(A)を取り出す状態を示した図である。
【図6】図6は、本発明の製造方法によって製造された複合容器(A)の他の実施例における斜視図である。
【図7】図7は、本発明の製造方法によって製造された複合容器(A)の他の実施例における斜視図である。
【図8】図8は、実施例1(樹脂薄肉収容器(a)内に30℃の水を満充填した実施例)における製造方法によって製造された複合容器(A)の底面図である。
【図9】図9は、比較例1(樹脂薄肉収容器(a)内に40℃の水を満充填した実施例)における製造方法によって製造された複合容器(A)の底面図である。
【図10】図10は、比較例5(樹脂薄肉収容器(a)内に60℃の水を満充填した実施例)における製造方法によって製造された複合容器(A)であって、図10(a)は底面図、図11(b)は正面図の底面側を拡大した図である。
【図11】図11は、樹脂薄肉収容器(a)内に充填される液体充填温度(℃)と容量減少率(%)の関係を表したグラフである。
【図12】図12は、従来の複合容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
なお、本明細書中でいう「ボトル状形態」とは、口部と収容部とが肩部を介して連結された形態、すなわち収容部の上端に収容部の外形よりも狭められた口部を有する形態をいうものである。
【0034】
図1は、本発明の製造方法によって製造された複合容器(A)の実施例における斜視図、図2は、本発明の製造方法によって製造された複合容器(A)の実施例における断面図である。
まず、本発明の製造方法によって製造された複合容器(A)について説明する。
【0035】
<複合容器(A)>
本発明の製造方法によって製造された複合容器(A)は、例えば化粧水、薬品、飲料などの液状物を収容するために用いられるものである。
【0036】
複合容器(A)は、図1および図2に示したように液状物を出し入れするための口部14を有する樹脂薄肉収容器(a)と、この樹脂薄肉収容器(a)の外表面をすっぽりと覆うように形成された樹脂外装体(b)と、樹脂薄肉収容器(a)の口部14に装着され、口部14から液状物が外方に飛散することを防ぐ閉栓部材(c)と、から構成されている。
【0037】
すなわち複合容器(A)は、口部14を除いた樹脂薄肉収容器(a)の外表面に溶融樹脂がオーバーモールドされて一体的に融着された樹脂外装体(b)が形成され、樹脂薄肉収容器(a)の口部14には閉栓部材(c)が装着されるようになっている。
【0038】
なお、本実施例では、口部14と閉栓部材(c)が螺合するように構成されているが、装着方法はこれに限定されるものではなく、例えば口部14に閉栓部材(c)が嵌入されるように構成しても良く、要は樹脂薄肉収容器(a)の口部14から液状物が飛散しない仕組みで有れば如何なる構成でも良いものである。
【0039】
本実施例では、樹脂薄肉収容器(a)が、口部14と収容部12とを、肩部16を介して連続的に形成された所謂ボトル状形態であって樹脂薄肉収容器(a)の厚みT1が0.1〜2.0mm、好ましくは0.5〜1.5mmと薄肉である。それに対し、樹脂外装体(b)は樹脂薄肉収容器(a)と同様の形状であったり、図1や図6と図7のような略球形等、さまざまな形状に成形することが可能であるため、その肉厚が最大となる最大部の厚みT2が3.0〜50.0mm、好ましくは3.5〜45.0mmと範囲が広く、相当な肉厚でも成形可能である。
【0040】
なお、樹脂薄肉収容器(a)の厚みを相当に薄くすると、使用する樹脂量を少なくでき製造コストを抑えることができる。また、樹脂薄肉収容器(a)と樹脂外装体(b)との界面を見え難くすることができるため、優れた美観を有する複合容器(A)とすることができる。
【0041】
また、樹脂外装体(b)の肉厚が最大となる最大部の厚みT2は、樹脂薄肉収容器(a)の厚みや材質、成形条件等によりどのようにでも成形することは可能であるが、樹脂薄肉収容器(a)の厚みに対して3〜60倍にすることが好ましく、その範囲内であれば樹脂薄肉収容器(a)の変形を生じず、高級感や重厚感を有する複合容器(A)を得ることができる。
【0042】
このような複合容器(A)は、例えば樹脂外装体(b)の材料として高透明性合成樹脂を用い、特にその全光線透過率(JIS K7105に準拠し、1mm厚のシートで測定)が80〜100%であることが好ましく、85〜100%であることがより好ましい。
【0043】
上記範囲を満たす高透明性合成樹脂の材質としては、例えばアイオノマー樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂(スチレン・アクリロニトリル共重合体樹脂、スチレン・メチルメタクリレート共重合体樹脂など)を用いることができ、好ましくはアイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、より好ましくは、アイオノマー樹脂を用いることができる。
【0044】
アイオノマー樹脂としては、例えば不飽和カルボン酸含量が1〜40重量%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部、通常0モル%を超え、かつ100モル%以下、好ましくは90モル%以下を金属イオンで中和したものを使用することができる。
【0045】
アイオノマー樹脂のベースポリマーとなるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸、さらに任意に他の極性モノマーを共重合して得られるものである。ここに不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルなどを例示することができるが、特にメタクリル酸が好ましい。
【0046】
また共重合成分となり得る極性モノマーとしては、任意に酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素などであり、特に不飽和カルボン酸エステルは好適な共重合成分である。
【0047】
また金属イオンとしては、1価、2価あるいは3価の原子価を有する金属イオン、特に元素周期律表におけるIA、IIA、IIIA、IVAおよびVIII族の1〜3価の原子価を有する金属イオンであり、具体的には、Na+、K+、Li+、Cs+、Ag+、Hg+、Cu+、Be++、Mg++、Ca++、Sr++、Ba++、Cu++、Cd++、Hg++、Sn++、Pb++、Fe++、Co++、Ni++、Zn++、Al+++、Sc+++、Fe+++、Y+++などが挙げられる。
【0048】
中でもより具体的にはエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂を用いることが好ましい。
これらの材質は、透明性、耐衝撃性、耐擦傷性に優れており、また厚肉成形が可能であるためにガラスのような重厚感を得ることができ、樹脂外装体(b)の材料として好適である。
【0049】
なお、樹脂薄肉収容器(a)や閉栓部材(c)については、如何なる樹脂材料を用いてもかまわないが、例えばポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル(PET(ポリエチレンテレフタレート)、PETG、PCTG、PCT(ポリシクロヘキサン・ジメチル・テレフタレート)、PCTA、PEN(ポリエチレン・ナフタレート)など)、アクリル樹脂、スチレン系樹脂(スチレン・アクリロニトリル共重合体樹脂、スチレン・メチルメタクリレート共重合体樹脂など)、シクロオレフィン・ポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、アイオノマー樹脂、およびPAN(ポリアクリロ窒化物)を用いることができるが、上記の樹脂外装体(b)と同じ材質を用いることで樹脂外装体(b)との相乗効果を得て、さらに高級感や美観を高めることができる。
【0050】
しかしながら、樹脂薄肉収容器(a)については、後述するように金型内に樹脂薄肉収容器(a)をセットした状態で、外表面上に溶融樹脂を流入させて樹脂外装体(b)を形成するため、高透明性合成樹脂を用いる場合には溶融温度が比較的高いポリエステルやポリアミドなどを使用することが好ましい。
【0051】
このような高透明性合成樹脂は、有色であっても無色であっても良く、さらに樹脂薄肉収容器(a)、樹脂外装体(b)、閉栓部材(c)でそれぞれ色を変えることもできる。
【0052】
<複合容器(A)の製造方法>
次に上記にて説明した複合容器(A)の製造方法について説明する。
図3(a)に示したように、まず口部14と収容部12とが肩部16で連続されたボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)を準備する。樹脂薄肉収容器(a)は、ブロー成形や振動溶着などの方法で予め製造されたものであり、特に製造方法が限定されるものではない。
【0053】
次いで、図3(b)に示したように、樹脂薄肉収容器(a)の口部14より内部へ液体20を流入させ、口部14に閉栓部材(c)を装着する。なお液体20は、後述する金型30、32内に樹脂薄肉収容器(a)をセットして、樹脂薄肉収容器(a)の外表面上に溶融樹脂を流入した際に、溶融樹脂の射出圧で樹脂薄肉収容器(a)が変形することが無いよう樹脂薄肉収容器(a)の収容部12内に満充填されている。
【0054】
このような液体20は、金型30、32内である程度加熱されることから、加熱されても正常な物性を持つ液体20であることが好ましく、例えば水、水溶液、化粧水、薬品、有機溶剤が使用できる。
【0055】
中でも水は、複合容器(A)の製造後に樹脂薄肉収容器(a)内を洗浄せずに乾燥するだけで済むため樹脂薄肉収容器(a)に満充填される液体20として好適である。
なお、樹脂薄肉収容器(a)に満充填される液体20の温度は、後述するように樹脂薄肉収容器(a)の外表面に溶融樹脂をオーバーモールドする直前に、溶融樹脂の冷却に適した温度とする必要がある。
【0056】
この液体20の温度は、樹脂薄肉収容器(a)の外表面に溶融樹脂をオーバーモールドする直前に30℃以下であることが好ましい。
ここで30℃以下とは、液体20の種類によっては0℃以下でも液状が保持される場合が有るからであって、例えば水の場合には0℃以上、30℃以下であることが好ましく、より好ましくは5℃以上、30℃以下である。水道から直接供給される水の温度が30℃以下であれば、特に冷却設備も要せず製造コストを抑える点でも水道水を使用することは好ましい。
【0057】
液体20の温度は低ければ低いほど良いが、低すぎて凍ってしまうと樹脂薄肉収容器(a)内からの取出しに手間がかかるため、液体20の状態を保持できる温度に抑えることが重要である。
【0058】
なお、樹脂薄肉収容器(a)に満充填される液体20の温度は、樹脂薄肉収容器(a)内に液体20を充填して口部14に閉栓部材(c)を装着した後、直ぐに次工程であるオーバーモールドを行う工程に移る場合には、樹脂薄肉収容器(a)内に充填しておく液体20の温度を25℃以下程度としておけば、溶融樹脂のオーバーモールドの際に必要な30℃以下を保持できる。
【0059】
また、樹脂薄肉収容器(a)内に液体20を充填して口部14に閉栓部材(c)を装着した後、時間をおいてから次工程であるオーバーモールドを行う工程に移る場合には、樹脂薄肉収容器(a)への充填時における液体20の温度を低めに設定しておけば良く、この温度については適宜設定可能なものである。
【0060】
次いで図4(a)に示したように、金型30、32内に予め用意しておいた液体20が満充填された樹脂薄肉収容器(a)を口部14および口部14に装着された閉栓部材(c)だけ固定して、金型30、32内の空間に樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の部分が浮いた状態とする。この際、金型30、32の温度は、5〜100℃の範囲内に設定されていることが好ましい。
【0061】
さらにこの状態で図4(b)に示したように金型30、32を閉じ、図4(c)に示したように樹脂流入口34より溶融樹脂を金型30、32内に充填する。充填される溶融樹脂の射出圧は100〜2000kg/cm2、温度は100〜350℃の範囲内である。
【0062】
この溶融樹脂が充填される直前に、樹脂薄肉収容器(a)内部の液体20は30℃以下である。
このように液体20が30℃以下であれば、金型30、32内に充填された溶融樹脂が速やかに冷却されて樹脂薄肉収容器(a)の外表面に一体的に融着されることとなり、収容部12の容積や外形などがバラツキを生ずることがなく、外観を良好に保ち、美観と高級感を有する複合容器(A)とすることができる。
【0063】
逆に液体20が30℃より高いと、金型30、32内に充填された溶融樹脂が冷却され難くなり、樹脂薄肉収容器(a)が溶融樹脂の熱で変形してしまうこととなる。したがって金型30、32内に溶融樹脂が充填される直前の樹脂薄肉収容器(a)内の液体20の温度が重要である。
【0064】
このようにして、金型30、32内の樹脂薄肉収容器(a)の口部14下端から樹脂薄肉収容器(a)の外表面に、溶融樹脂がオーバーモールドされ、樹脂薄肉収容器(a)と一体的に融着された樹脂外装体(b)部分が形成される。
【0065】
そして図5(a)に示したように金型30、32を開き、さらに図5(b)に示したように金型30、32内から複合容器(A)を取り出してランナーおよびスプルーを取り外し、口部14に装着された閉栓部材(c)を外して樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体20を除去する。
【0066】
そして、樹脂薄肉収容器(a)の収容部12内を場合によっては洗浄した後、乾燥させ、再び口部14に閉栓部材(c)を装着することで、図1に示したように樹脂薄肉収容器(a)の口部14を除いた外表面に一体的に樹脂外装体(b)が融着されて成る複合容器(A)の製造が完了となる。液体20を水とした場合には、樹脂薄肉収容器(a)の収容部12内を洗浄する必要はなく乾燥のみで良いため生産性向上に寄与することができる。
【0067】
このような製造方法により製造された複合容器(A)は、樹脂薄肉収容器(a)の収容部の容積や外形などが製品の個々でバラツキを生ずることがなく、外観を良好に保ち、優れた美観と高級感を有している。
【0068】
また、樹脂薄肉収容器(a)の外表面と樹脂外装体(b)とが一体的に融着された状態であるため、樹脂外装体(b)の内側で樹脂薄肉収容器(a)ががたついたり回転してしまうことがなく、また両部材の境界線が見え難くなっている。
【0069】
さらに樹脂薄肉収容器(a)を樹脂製とし樹脂外装体(b)を高透明性合成樹脂としているのでリサイクル性に優れるとともに、樹脂外装体(b)から内部の樹脂薄肉収容器(a)を視認可能である。
【0070】
したがって本製造方法によって得られた複合容器(A)は、収容量の安定性や美観を求める化粧品の容器として好適である。
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば本発明の製造方法によって得られる複合容器(A)の形態についても図6に示したクリスタルのような形態、図7に示した凹凸部40を有する形態など、要は内層に位置する樹脂薄肉収容器(a)がボトル状であれば如何なる形態であっても良く、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能なものである。
【実施例】
【0071】
[実施例1]
図3(a)に示したように、口部14と収容部12とを、肩部16を介して連続的に形成された所謂ボトル状形態であって、厚さT1が0.8mmでポリエステル樹脂製の樹脂薄肉収容器(a)を用意し、図3(b)に示したようにこの樹脂薄肉収容器(a)内に20℃の水を満充填し、この状態で樹脂薄肉収容器(a)の口部14にポリエステル樹脂製の閉栓部材(c)を装着した。
【0072】
そして、図4(a)に示したように直ぐにこの樹脂薄肉収容器(a)を25℃に加熱された金型30、32内にセットし、図4(b)に示したように金型30、32を閉じ、図4(c)に示したように樹脂薄肉収容器(a)の口部14を除いた外表面にエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂の溶融樹脂をオーバーモールドした。このときの金型30、32内にセットされた樹脂薄肉収容器(a)の外表面にかかる溶融樹脂の射出圧は600kg/cm2、保圧は480kg/cm2あった。その他の成形条件としては、樹脂温度を182℃、射出速度を15mm/s、射出時間を34s、冷却時間を40sとした。
【0073】
そして溶融樹脂が固化して肉厚が最大となる最大部の厚みT2が15mmである樹脂外装体(b)を形成した後、図5(a)に示したように金型30、32を開き、図5(b)に示したようにランナー、スプルーを成形品から取り外すことで、複合容器(A)を得た。
【0074】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が0.29%(表1)と非常に僅かであって殆ど形状に変化を生じておらず、外観も良好であった(図8)。
【0075】
【表1】
【0076】
[実施例2]
樹脂薄肉収容器(a)内に30℃の水を満充填したこと以外は、上記した実施例1と同様にして、複合容器(A)を得た。
【0077】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が0.50%(表1)と僅かであって殆ど形状に変化を生じておらず、外観も良好であった。
【0078】
[比較例1〜5]
樹脂薄肉収容器(a)内に40℃、45℃、50℃、55℃、60℃の水を満充填したこと以外は、上記した実施例1と同様にして、複合容器(A)を得た。
【0079】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が表1に示すとおりとなった。
【0080】
また樹脂薄肉収容器(a)の底面は、40℃の場合は少々変形していること(図9)、60℃の場合は大きく潰れてしまっていること(図10(a),(b))が確認された。
上記した実施例1および2のように、樹脂薄肉収容器(a)内に30℃以下の水を充填した場合には、この直後に行う樹脂外装体(b)部分のオーバーモールドでも、樹脂薄肉収容器(a)の変形が殆ど生じず、図11に示したグラフから明らかなように容量変化も少ないことが確認された。
【0081】
これに対し、比較例1〜5のように、樹脂薄肉収容器(a)内に30℃より高い温度の水を充填した場合には、この直後に行う樹脂外装体(b)部分のオーバーモールドで、樹脂薄肉収容器(a)の変形が生じて、図11に示したグラフから明らかなように容量減少率が高くなってしまうことが確認された。
【0082】
したがって、樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体の温度が、金型30、32内に溶融樹脂を射出する直前に30℃以下であることの必要性が確認できた。
【0083】
[実施例3]
樹脂薄肉収容器(a)として厚さT1が0.8mmの低密度ポリエチレン製の容器を用いて、射出圧を500kg/cm2、保圧を440kg/cm2、樹脂温度を185℃、射出速度を15mm/s、射出時間を25s、冷却時間を45sとしたこと以外は、上記した実施例1と同様にして、複合容器(A)を得た。
【0084】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が0.5%と僅かであって殆ど形状に変化を生じておらず、外観も良好であった。
【0085】
[実施例4]
樹脂薄肉収容器(a)内に30℃の水を満充填したこと以外は、上記した実施例3と同様にして、複合容器(A)を得た。
【0086】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が1.2%と僅かであって殆ど形状に変化を生じておらず、外観も良好であった。
【0087】
[比較例6]
樹脂薄肉収容器(a)内に40℃の水を満充填したこと以外は、上記した実施例3と同様にして、複合容器(A)を得た。
【0088】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が7%であり、樹脂薄肉収容器(a)の底面が潰れてしまっていることが確認された。
【0089】
[比較例7]
樹脂薄肉収容器(a)内に60℃の水を満充填したこと以外は、上記した実施例3と同様にして、複合容器(A)を得た。
【0090】
得られた複合容器(A)は、オーバーモールド前の樹脂薄肉収容器(a)の収容部12の容量を100%としたとき、モールド後の容量の平均減少率が20%であり、樹脂薄肉収容器(a)の底面が大きく潰れてしまっていることが確認された。
【0091】
上記した実施例3および4のように、樹脂薄肉収容器(a)内に30℃以下の水を充填した場合には、この直後に行う樹脂外装体(b)部分のオーバーモールドでも、樹脂薄肉収容器(a)の変形が殆ど生じず、容量変化も少ないことが確認された。
【0092】
これに対し、比較例6および7のように、樹脂薄肉収容器(a)内に30℃より高い温度の水を充填した場合には、この直後に行う樹脂外装体(b)部分のオーバーモールドで、樹脂薄肉収容器(a)の変形が生じて、容量減少率が高くなってしまうことが確認された。
【0093】
したがって、樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体の温度が、金型30、32内に溶融樹脂を射出する直前に30℃以下であることの必要性が確認できた。
【符号の説明】
【0094】
A・・・複合容器
a・・・樹脂薄肉収容器
b・・・樹脂外装体
c・・・閉栓部材
12・・・収容部
14・・・口部
16・・・肩部
20・・・液体
30・・・金型
32・・・金型
34・・・樹脂流入口
40・・・凹凸部
T1・・樹脂薄肉収容器の厚さ
T2・・樹脂外装体の肉厚が最大となる最大部の厚さ
100・・・複合容器
102・・・収容器
104・・・外装体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と液状物を収容するための収容部とを備えたボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)と、前記樹脂薄肉収容器(a)の外表面に前記樹脂薄肉収容器(a)と一体的に融着されて成る樹脂外装体(b)と、前記樹脂薄肉収容器(a)の口部に装着されてなる閉栓部材(c)と、から構成される複合容器(A)の製造方法であって、
前記複合容器(A)の製造方法は、
予め前記ボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)と前記樹脂薄肉収容器(a)の口部に装着される閉栓部材(c)とを準備する工程と、
前記樹脂薄肉収容器(a)の内部に液体を全体的に充填し、この状態で前記口部に閉栓部材(c)を装着する工程と、
前記液体が充填されたボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)を金型内にセットする工程と、
前記樹脂薄肉収容器(a)がセットされた金型内に溶融樹脂を射出して前記樹脂薄肉収容器(a)の外表面に樹脂外装体(b)を一体的に融着して形成する工程と、
前記金型を開いて成形された複合容器(A)を取り出す工程と、
を少なくとも有し、
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体の温度が、金型内に溶融樹脂を射出する直前に30℃以下であることを特徴とする複合容器(A)の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型の温度が、5〜100℃の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型内に射出される溶融樹脂の射出圧が、100〜2000kg/cm2の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型内に射出される溶融樹脂の樹脂温度が、100〜350℃の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂薄肉収容器(a)の肉厚が、0.1〜2.0mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂外装体(b)の肉厚が最大となる最大部の厚みが3.0〜50.0mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂薄肉収容器(a)の内部に充填された液体が、水、水溶液、化粧水、薬品、有機溶剤から選択された一つであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項8】
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型内に射出される溶融樹脂が、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂薄肉収容器(a)を構成する樹脂が、ポリエステル、ポリアミドおよびポリオレフィン系樹脂から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項1】
口部と液状物を収容するための収容部とを備えたボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)と、前記樹脂薄肉収容器(a)の外表面に前記樹脂薄肉収容器(a)と一体的に融着されて成る樹脂外装体(b)と、前記樹脂薄肉収容器(a)の口部に装着されてなる閉栓部材(c)と、から構成される複合容器(A)の製造方法であって、
前記複合容器(A)の製造方法は、
予め前記ボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)と前記樹脂薄肉収容器(a)の口部に装着される閉栓部材(c)とを準備する工程と、
前記樹脂薄肉収容器(a)の内部に液体を全体的に充填し、この状態で前記口部に閉栓部材(c)を装着する工程と、
前記液体が充填されたボトル状形態の樹脂薄肉収容器(a)を金型内にセットする工程と、
前記樹脂薄肉収容器(a)がセットされた金型内に溶融樹脂を射出して前記樹脂薄肉収容器(a)の外表面に樹脂外装体(b)を一体的に融着して形成する工程と、
前記金型を開いて成形された複合容器(A)を取り出す工程と、
を少なくとも有し、
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記樹脂薄肉収容器(a)内に充填された液体の温度が、金型内に溶融樹脂を射出する直前に30℃以下であることを特徴とする複合容器(A)の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型の温度が、5〜100℃の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型内に射出される溶融樹脂の射出圧が、100〜2000kg/cm2の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型内に射出される溶融樹脂の樹脂温度が、100〜350℃の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂薄肉収容器(a)の肉厚が、0.1〜2.0mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂外装体(b)の肉厚が最大となる最大部の厚みが3.0〜50.0mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂薄肉収容器(a)の内部に充填された液体が、水、水溶液、化粧水、薬品、有機溶剤から選択された一つであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項8】
前記樹脂外装体(b)を形成する工程において、
前記金型内に射出される溶融樹脂が、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の複合容器(A)の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂薄肉収容器(a)を構成する樹脂が、ポリエステル、ポリアミドおよびポリオレフィン系樹脂から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の複合容器(A)の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−86530(P2012−86530A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237681(P2010−237681)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000174862)三井・デュポンポリケミカル株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000174862)三井・デュポンポリケミカル株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
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