説明

複合導電性シート、異方導電性コネクター、アダプター装置および回路装置の電気的検査装置

【課題】 一面に異方導電性エラストマーシートが配置された状態で繰り返し使用したときにも、接続不良が生じたり、異方導電性エラストマーシートに早期に故障が生じることがない複合導電性シート、この複合導電性シートを具えた異方導電性コネクター、アダプター装置および回路装置の電気的検査装置を提供する。
【解決手段】 本発明の複合導電性シートは、厚み方向に伸びる複数の貫通孔が形成された絶縁性シートと、この絶縁性シートの貫通孔の各々に、当該絶縁性シートの両面の各々から突出するよう配置された剛性導体と、絶縁性シートの少なくとも一面に形成された、絶縁性のエラストマー層とを有し、剛性導体の各々は、絶縁性シートの貫通孔に挿通された胴部の両端に、絶縁性シートの貫通孔の径より大きい径を有する端子部が形成されてなり、絶縁性シートに対してその厚み方向に移動可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント回路基板などの回路装置の電気的検査に好適に用いることができる複合導電性シート、異方導電性コネクター、これを具えたアダプター装置、およびこのアダプター装置を具えた回路装置の電気的検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、BGAやCSP等のパッケージLSI、MCM、その他の集積回路装置などの電子部品を構成するための或いは搭載するための回路基板については、電子部品を組み立てる以前に或いは電子部品を搭載する以前に、当該回路基板の配線パターンが所期の性能を有することを確認するためにその電気的特性を検査することが必要である。
従来、回路基板の電気的検査を実行する方法としては、縦横に並ぶ格子点位置に従って複数の検査電極が配置されてなる検査電極装置と、この検査電極装置の検査電極に検査対象である回路基板の被検査電極を電気的に接続するアダプターとを組み合わせて用いる方法などが知られている。この方法において用いられるアダプターは、ピッチ変換ボードと称されるプリント配線板よりなるものである。
このアダプターとしては、一面に検査対象である回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って配置された複数の接続用電極を有し、他面に検査電極装置の検査電極と同一のピッチの格子点位置に配置された複数の端子電極を有するもの、一面に検査対象である回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って配置された、電流供給用接続用電極および電圧測定用接続用電極よりなる複数の接続用電極対を有し、他面に検査電極装置の検査電極と同一のピッチの格子点位置に配置された複数の端子電極を有するものなどが知られており、前者のアダプターは、例えば回路基板における各回路のオープン・ショート試験などに用いられ、後者のアダプターは、回路基板における各回路の電気抵抗測定試験に用いられている。
而して、回路基板の電気的検査においては、一般に、検査対象である回路基板とアダプターとの安定な電気的接続を達成するために、検査対象である回路基板とアダプターとの間に、コネクターとして異方導電性エラストマーシートを介在させることが行われている。
【0003】
この異方導電性エラストマーシートは、厚さ方向にのみ導電性を示すもの、あるいは加圧されたときに厚さ方向にのみ導電性を示す多数の加圧導電性導電部を有するものである。
このような異方導電性エラストマーシートとしては、従来、種々の構造のものが知られており、例えば特許文献1には、弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向して連鎖を形成した状態でかつ当該導電性粒子による連鎖が面方向に分散した状態で含有されてなる異方導電性エラストマーシート(以下、これを「分散型異方導電性シート」という。)が開示され、特許文献2には、弾性高分子物質中に磁性を示す導電性粒子を不均一に分散させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電路形成部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなる異方導電性エラストマーシート(以下、これを「偏在型異方導電性シート」という。)が開示され、特許文献3には、導電路形成部の表面と絶縁部との間に段差が形成された偏在型異方導電性シートが開示されている。
これらの異方導電性エラストマーシートは、例えば硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に磁性を示す導電性粒子が含有されてなる成形材料層に対して、その厚み方向に磁場を作用させながら或いは磁場を作用させた後に硬化処理を行うことにより得られるものである。この異方導電性エラストマーシートにおいては、弾性高分子物質よりなる基材中に導電性粒子が厚み方向に並ぶよう配向して連鎖が形成された状態で含有されており、厚み方向に加圧されることによって導電性粒子の連鎖による導電路が形成される。
【0004】
そして、分散型異方導電性シートおよび偏在型異方導電性シートを比較すると、分散型異方導電性シートは、特殊で高価な金型を用いずに小さいコストで製造することが可能なものである点、接続すべき電極のパターンに関わらず使用することができ、汎用性を有するものである点で、偏在型異方導電性シートに比較して有利である。
一方、偏在型異方導電性シートは、隣接する導電路形成部間にこれらを相互に絶縁する絶縁部が形成されているため、隣接する電極間の離間距離が小さい接続対象体についても、隣接する電極間に必要な絶縁性が確保された状態で当該電極の各々に対する電気的な接続を達成することができる性能、すなわち分解能が高いものである点で、分散型異方導電性シートに比較して有利である。
而して、分散型異方導電性シートにおいて、分解能を向上させるためには、当該分散型異方導電性シートの厚みを小さくすることが肝要である。
然るに、厚みの小さい異方導電性エラストマーシートにおいては、接続すべき電極の各々における高さレベルのバラツキを吸収して当該電極の各々に対する電気的な接続を達成することができる性能、すなわち凹凸吸収能が低い、という問題がある。具体的には、異方導電性エラストマーシートの凹凸吸収能は、当該異方導電性エラストマーシートの厚みの20%程度であり、例えば厚みが100μmの異方導電性エラストマーシートにおいては、電極の高さレベルのバラツキが20μm程度の接続対象体に対しても安定な電気的接続を達成することができるが、厚みが50μmの異方導電性エラストマーシートにおいては、電極の高さレベルのバラツキが10μmを超える接続対象体に対しては、安定な電気的接続を達成することが困難となる。
【0005】
このような問題を解決するため、絶縁性シートに形成された貫通孔内に剛性導体が配置されてなり、この剛性導体が、絶縁性シートの貫通孔に挿通された胴部の両端に、当該貫通孔の径より大きい径の有する端子部が形成されてなり、当該絶縁性シートに対してその厚み方向に移動可能とされている複合導電性シートが提案されている(例えば特許文献4等参照。)。
このような複合導電性シートによれば、その両面の各々に異方導電性エラストマーシートを配置して異方導電性コネクターを構成することにより、複合導電性シートにおける可動電極が厚み方向に移動可能とされているため、厚み方向に加圧されたときには、複合導電性シートの一面および他面の各々に配置された2つの異方導電性エラストマーシートが互いに連動して圧縮変形するため、両者の有する凹凸吸収能の合計が異方導電性コネクターの凹凸吸収能として発現され、従って、高い凹凸吸収能を得ることができる。
また、所要の凹凸吸収能を得るために必要な厚みは、2つの異方導電性エラストマーシートの合計の厚みによって確保すればよく、個々の異方導電性エラストマーシートとしては、厚みが小さいものを用いることができるので、高い分解能を得ることができる。
【0006】
しかしながら、上記の異方導電性コネクターにおいては、実用上、以下のような問題がある。
複合導電性シートの剛性導体は、絶縁性シートの両面から突出した状態で配置されているため、このような複合導電性シートの両面に、柔軟な異方導電性エラストマーシートを配置すると、当該異方導電性エラストマーシートには弛みが生じる。そして、このような状態で繰り返し使用した場合には、異方導電性エラストマーシートには、複合導電性シートの剛性導体が接触する部分の周辺部分に皺が発生し、接続不良が生じたり、異方導電性エラストマーシートに故障が生じたりすることが判明した。
【0007】
【特許文献1】特開昭51−93393号公報
【特許文献2】特開昭53−147772号公報
【特許文献3】特開昭61−250906号公報
【特許文献4】特開2006−261099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的は、絶縁性シートの厚み方向に移動可能な剛性導体を有し、一面に異方導電性エラストマーシートが配置された状態で繰り返し使用したときにも、接続不良が生じたり、異方導電性エラストマーシートに早期に故障が生じることがない複合導電性シートを提供することにある。
本発明の第2の目的は、繰り返し使用したときにも接続不良が生じることがなく、使用寿命が長い異方導電性コネクターを提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記の異方導電性コネクターを具えたアダプター装置を提供することにある。
本発明の第4の目的は、上記のアダプター装置を具えた回路装置の電気的検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の複合導電性シートは、それぞれ厚み方向に伸びる複数の貫通孔が形成された絶縁性シートと、この絶縁性シートの貫通孔の各々に、当該絶縁性シートの両面の各々から突出するよう配置された剛性導体と、前記絶縁性シートの少なくとも一面に形成された、絶縁性のエラストマー層とを有してなり、
前記剛性導体の各々は、前記絶縁性シートの貫通孔に挿通された胴部の両端に、当該絶縁性シートの貫通孔の径より大きい径を有する端子部が形成されてなり、当該絶縁性シートに対してその厚み方向に移動可能とされていることを特徴とする。
【0010】
本発明の複合導電性シートにおいては、エラストマー層が絶縁性シートの両面に形成されていてもよい。
【0011】
本発明の異方導電性コネクターは、上記の少なくとも絶縁性シートの一面にエラストマー層が形成された複合導電性シートと、この複合導電性シートにおけるエラストマー層が形成された一面に配置された異方導電性エラストマーシートとを具えてなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の異方導電性コネクターは、上記の絶縁性シートの両面にエラストマー層が形成された複合導電性シートと、この複合導電性シートの一面および他面の各々に配置された2つの異方導電性エラストマーシートとを具えてなることを特徴とする。
【0013】
本発明の異方導電性コネクターにおいては、第1の異方導電性エラストマーシートおよび第2の異方導電性エラストマーシートの各々は、弾性高分子物質中に、磁性を示す導電性粒子が、厚み方向に並ぶよう配向して連鎖が形成された状態で、かつ、当該導電性粒子による連鎖が面方向に分散した状態で含有されてなることが好ましい。
【0014】
本発明のアダプター装置は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の剛性導体を有する、上記の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のアダプター装置は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従ってそれぞれ電流供給用および電圧測定用の2つの接続用電極からなる複数の接続用電極対が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って形成された複数の剛性導体を有する、上記の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のアダプター装置は、表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された異方導電性コネクターと
を具えてなり
前記異方導電性コネクターは、前記アダプター本体上に配置された異方導電性エラストマーシートと、この異方導電性エラストマーシート上に配置された複合導電性シートとよりなり、
前記複合導電性シートは、前記アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って、それぞれ厚み方向に伸びる複数の貫通孔が形成された絶縁性シートと、この絶縁性シートの貫通孔の各々に、当該絶縁性シートの両面の各々から突出するよう配置された剛性導体とを有してなり、
前記剛性導体の各々は、前記絶縁性シートの貫通孔に挿通された胴部の両端に、当該絶縁性シートの貫通孔の径より大きい径を有する端子部が形成されてなり、当該絶縁性シートに対してその厚み方向に移動可能とされており、
前記アダプター本体の表面には、前記接続用電極領域以外の領域にエラストマー層が形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の回路装置の電気的検査装置は、上記のアダプター装置を具えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の複合導電性シートによれば、絶縁性シートの一面または両面にエラストマー層が形成されているため、一面または両面に異方導電性エラストマーシートが配置されたときには、当該異方導電性エラストマーシートにエラストマー層が密着されて弛みが生じることが防止または抑制され、これにより、繰り返し使用した場合にも、異方導電性エラストマーシートにおける剛性導体が接触する部分の周辺部分に皺が発生することが防止または抑制されるので、接続不良が生じたり、異方導電性エラストマーシートに故障が生じたりすることがない。
また、本発明の複合導電性シートは、絶縁性シートの貫通孔に、その厚み方向に移動可能な剛性導体を有し、当該剛性導体は、その胴部の両端に絶縁性シートの貫通孔の径より大きい径を有する端子部が形成されているため、当該端子部がストッパーとして機能する結果、剛性導体が絶縁性シートから脱落することがなく、当該複合導電性シート単独でも取り扱い易いものである。
また、本発明の異方導電性コネクターによれば、上記の複合導電性シートを有するため、接続不良が生じることがなく、また、異方導電性エラストマーシートに早期に故障が生じることがないので、長い使用寿命が得られる。
このような異方導電性コネクターは、回路装置の電気的検査装置に用いられるアダプター装置として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〈複合導電性シート〉
図1は、本発明の複合導電性シートの一例における構成を示す説明用断面図であり、図2は、図1に示す複合導電性シートの剛性導体を拡大して示す説明用断面図である。この複合導電性シート10は、それぞれ厚み方向に伸びる複数の貫通孔11Hが接続すべき電極のパターンに対応するパターンに従って形成された絶縁性シート11と、この絶縁性シート11の各貫通孔11Hに当該絶縁性シート11の両面の各々から突出するよう配置された複数の剛性導体12と、絶縁性シート11の一面および他面の各々に形成された絶縁性のエラストマー層18,19とにより構成されている。
剛性導体12の各々は、絶縁性シート11の貫通孔11Hに挿通された円柱状の胴部12aと、この胴部12aの両端の各々に一体に連結されて形成された、絶縁性シート11の表面に露出する端子部12bとにより構成されている。剛性導体12における胴部12aの長さLは、絶縁性シート11の厚みdより大きく、また、当該胴部12aの径r2は、絶縁性シート11の貫通孔11Hの径r1より小さいものとされており、これにより、当該剛性導体12は、絶縁性シート11の厚み方向に移動可能とされている。また、剛性導体12における端子部12bの径r3は、絶縁性シート11の貫通孔11Hの径r1より大きいものとされている。
また、図示の例では、エラストマー層18,19は、絶縁性シート11の一面および他面の各々において、剛性導体12が配置された領域以外の領域を覆うよう形成されている。
【0020】
絶縁性シート11を構成する材料としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂材料、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ポリエステル樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂等の繊維補強型樹脂材料、エポキシ樹脂等にアルミナ、ポロンナイトライド等の無機材料をフィラーとして含有した複合樹脂材料などを用いることができる。
また、複合導電性シート10を高温環境下で使用する場合には、絶縁性シート11として、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは1×10-6〜2×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜6×10-6/Kである。このような絶縁性シート11を用いることにより、当該絶縁性シート11の熱膨張による剛性導体12の位置ずれを抑制することができる。
また、絶縁性シート11の厚みdは、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。
また、絶縁性シート11の貫通孔11Hの径r1は、20〜300μmであることが好ましく、より好ましくは30〜150μmである。
【0021】
剛性導体12を構成する材料としては、剛性を有する金属材料を好適に用いることができ、特に、後述する製造方法において絶縁性シートに形成される金属薄層よりもエッチングされにくいものを用いることが好ましい。このような金属材料の具体例としては、ニッケル、コバルト、金、アルミニウムなどの単体金属またはこれらの合金などを挙げることができる。
剛性導体12における胴部12aの径r2は、18μm以上であることが好ましく、より好ましくは25μm以上である。この径r2が過小である場合には、当該剛性導体12に必要な強度が得られないことがある。また、絶縁性シート11の貫通孔11Hの径r1と剛性導体12における胴部12aの径r2との差(r1−r2)は、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは2μm以上である。この差が過小である場合には、絶縁性シート11の厚み方向に対して剛性導体12を移動させることが困難となることがある。
剛性導体12における端子部12bの径r3は、接続すべき電極例えば被検査電極の径の70〜150%であることが好ましい。また、剛性導体12における端子部12bの径r3と絶縁性シート11の貫通孔11Hの径r1との差(r3−r1)は、5μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上である。この差が過小である場合には、剛性導体12が絶縁性シート11から脱落する恐れがある。
剛性導体12における端子部12bの厚みは、5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは8〜40μmである。
絶縁性シート11の厚み方向における剛性導体12の移動可能距離、すなわち剛性導体12における胴部12aの長さLと絶縁性シート11の厚みdとの差(L−d)は、3〜150μmであることが好ましく、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmである。剛性導体12の移動可能距離が過小である場合には、後述する異方導電性コネクターにおいて、十分な凹凸吸収能を得ることが困難となることがある。一方、剛性導体12の移動可能距離が過大である場合には、絶縁性シート11の貫通孔11Hから露出する剛性導体12の胴部12aの長さが大きくなり、検査に使用したときに、剛性導体12の胴部12aが座屈または損傷するおそれがある。
【0022】
エラストマー層18,19を構成する絶縁性のエラストマー材料としては、種々のものを用いることができるが、耐久性、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0023】
上記の複合導電性シート10は、例えば以下のようにして製造することができる。
先ず、図3に示すように、絶縁性シート11の一面に易エッチング性の金属層13Aが一体的に積層されてなる積層材料10Bを用意し、この積層材料10Bにおける金属層13Aに対してエッチング処理を施してその一部を除去することにより、図4に示すように、金属層13Aに接続すべき電極のパターンに対応するパターンに従って複数の開口13Kを形成する。次いで、図5に示すように、積層材料10Bにおける絶縁性シート11に、それぞれ金属層13Aの開口13Kに連通して厚み方向に伸びる貫通孔11Hを形成する。そして、図6に示すように、絶縁性シート11の貫通孔11Hの内壁面および金属層13Aの開口縁を覆うよう、易エッチング性の筒状の金属薄層13Bを形成する。このようにして、それぞれ厚み方向に伸びる複数の貫通孔11Hが形成された絶縁性シート11と、この絶縁性シート11の一面に積層された、それぞれ絶縁性シート11の貫通孔11Hに連通する複数の開口13Kを有する易エッチング性の金属層13Aと、絶縁性シート11の貫通孔11Hの内壁面および金属層13Aの開口縁を覆うよう形成された易エッチング性の金属薄層13Bとを有してなる複合積層材料10Aが製造される。
以上において、絶縁性シート11の貫通孔11Hを形成する方法としては、レーザー加工法、ドリル加工法、エッチング加工法などを利用することができる。
金属層13Aおよび金属薄層13Bを構成する易エッチング性の金属材料としては、銅などを用いることができる。
また、金属層13Aの厚みは、目的とする剛性導体12の移動可能距離などを考慮して設定され、具体的には、3〜75μmであることが好ましく、より好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは8〜25μmである。
また、金属薄層13Bの厚みは、絶縁性シート11の貫通孔11Hの径と形成すべき剛性導体12における胴部12aの径とを考慮して設定される。
また、金属薄層13Bを形成する方法としては、無電解メッキ法などを利用することができる。
【0024】
そして、この複合積層材料10Aに対してフォトメッキ処理を施すことにより、絶縁性シート11の貫通孔11Hの各々に剛性導体12を形成する。具体的に説明すると、図7に示すように、絶縁性シート11の一面に形成された金属層13Aの表面および絶縁性シート11の他面の各々に、形成すべき剛性導体12における端子部12bのパターンに対応するパターンに従ってそれぞれ絶縁性シート11の貫通孔11Hに連通する複数のパターン孔14Hが形成されたレジスト膜14を形成する。次いで、金属層13Aを共通電極として電解メッキ処理を施して当該金属層13Aにおける露出した部分に金属を堆積させると共に、金属薄層13Bの表面に金属を堆積させて絶縁性シート11の貫通孔11H内およびレジスト膜14のパターン孔14H内に金属を充填することにより、図8に示すように、絶縁性シート11の厚み方向に伸びる剛性導体12を形成する。
このようにして剛性導体12を形成した後、金属層13Aの表面からレジスト膜14を除去することにより、図9に示すように、金属層13Aを露出させる。そして、エッチング処理を施して金属層13Aおよび金属薄層13Bを除去することにより、図10に示すように、絶縁性シート11の貫通孔11Hの内面と剛性導体12の胴部12aとの間および絶縁性シート11の表面と剛性導体12の端子部12bとの間にギャップが形成され、これにより、剛性導体12が絶縁性シート11に対してその厚み方向に移動可能となる。 次いで、図11に示すように、絶縁性シート11の一面および他面において、剛性導体12が配置された領域以外の領域を覆うようエラストマー用材料層18A,19Aを形成し、当該エラストマー用材料層18A,19Aを硬化処理することにより、図1に示す複合導電性シート10が得られる。
【0025】
上記の複合導電性シート10によれば、絶縁性シート11の両面にエラストマー層18,19が形成されているため、両面に異方導電性エラストマーシートが配置されたときには、当該異方導電性エラストマーシートにエラストマー層18,19が密着されて弛みが生じることが防止または抑制され、これにより、繰り返し使用した場合にも、異方導電性エラストマーシートにおける剛性導体12が接触する部分の周辺部分に皺が発生することが防止または抑制されるので、接続不良が生じたり、異方導電性エラストマーシートに故障が生じたりすることがない。
また、上記の複合導電性シート10は、絶縁性シート11の貫通孔11Hに、その厚み方向に移動可能な剛性導体12を有し、この剛性導体12は、その胴部12aの両端に絶縁性シート11の貫通孔11Hの径より大きい径を有する端子部12bが形成されているため、この端子部12bがストッパーとして機能する結果、剛性導体12が絶縁性シート11Hから脱落することがなく、複合導電性シート10単独でも取り扱い易いものである。
【0026】
〈異方導電性コネクター〉
図12は、本発明の異方導電性コネクターの一例における構成を示す説明用断面図であり、図13は図12に示す異方導電性コネクターの要部を拡大して示す説明用断面図である。この異方導電性コネクター15は、図1に示す構成の複合導電性シート10と、この複合導電性シート10の一面(図12において上面)に配置された第1の異方導電性エラストマーシート16と、複合導電性シート10の他面に配置された第2の異方導電性エラストマーシート17とにより構成されている。
【0027】
この例における第1の異方導電性エラストマーシート16および第2の異方導電性エラストマーシート17は、いずれも絶縁性の弾性高分子物質中に、磁性を示す導電性粒子Pが、厚み方向に並ぶよう配向して連鎖が形成された状態で、かつ、当該導電性粒子Pによる連鎖が面方向に分散した状態で含有されてなるものである。
第1の異方導電性エラストマーシート16および第2の異方導電性エラストマーシート17を形成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。このような弾性高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができるが、耐久性、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0028】
第1の異方導電性エラストマーシート16および第2の異方導電性エラストマーシート17に含有される導電性粒子Pとしては、後述する方法により当該粒子を容易に厚み方向に並ぶよう配向させることができることから、磁性を示す導電性粒子が用いられる。このような導電性粒子の具体例としては、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性を有する金属の粒子若しくはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性の良好な金属のメッキを施したもの、あるいは非磁性金属粒子若しくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、当該芯粒子の表面に、ニッケル、コバルトなどの導電性磁性金属のメッキを施したものなどが挙げられる。
これらの中では、ニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に導電性の良好な金のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば化学メッキまたは電解メッキ法、スパッタリング法、蒸着法などが用いられている。
【0029】
導電性粒子Pとして、芯粒子の表面に導電性金属が被覆されてなるものを用いる場合には、良好な導電性が得られることから、粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。
また、導電性金属の被覆量は、芯粒子の0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜25質量%、特に好ましくは4〜20質量%である。被覆される導電性金属が金である場合には、その被覆量は、芯粒子の0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0030】
また、導電性粒子Pの数平均粒子径は、3〜20μmであることが好ましく、より好ましくは5〜15μmである。この数平均粒子径が過小である場合には、後述する製造方法において、導電性粒子Pを厚み方向に配向させることが困難となることがある。一方、この数平均粒子径が過大である場合には、分解能の高い異方導電性エラストマーシートを得ることが困難となることがある。
また、導電性粒子Pの粒子径分布(Dw/Dn)は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1.01〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特に好ましくは1.1〜4である。
また、導電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子であることが好ましい。
【0031】
このような導電性粒子Pは、異方導電性エラストマーシート中に体積分率で10〜40%、特に15〜35%となる割合で含有されていることが好ましい。この割合が過小である場合には、厚み方向に十分に高い導電性を有する異方導電性エラストマーシートが得られないことがある。一方、この割合が過大である場合には、得られる異方導電性エラストーシートは脆弱なものとなりやすく、異方導電性エラストマーシートとして必要な弾性が得られないことがある。
【0032】
また、第1の異方導電性エラストマーシート16および第2の異方導電性エラストマーシート17の各々の厚みは、20〜100μmであることが好ましく、より好ましくは25〜70μmである。この厚みが過小である場合には、十分な凹凸吸収能が得られないことがある。一方、この厚みが過大である場合には、高い分解能が得られないことがある。
【0033】
第1の異方導電性エラストマーシート16は、以下のようにして製造することができる。
先ず、図14に示すように、それぞれシート状の一面側成形部材30および他面側成形部材31と、目的とする第1の異方導電性エラストマーシート16の平面形状に適合する形状の開口32Kを有すると共に当該第1の異方導電性エラストマーシート16の厚みに対応する厚みを有する枠状のスペーサー32とを用意すると共に、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に導電性粒子が含有されてなる導電性エラストマー用材料を調製する。
そして、図15に示すように、他面側成形部材31の成形面(図15において上面)上にスペーサー32を配置し、他面側成形部材31の成形面上におけるスペーサー32の開口32K内に、調製した導電性エラストマー用材料16Bを塗布し、その後、この導電性エラストマー用材料16B上に一面側成形部材30をその成形面(図15において下面)が導電性エラストマー用材料16Bに接するよう配置する。
以上において、一面側成形部材30および他面側成形部材31としては、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などよりなる樹脂シートを用いることができる。
また、一面側成形部材30および他面側成形部材31を構成する樹脂シートの厚みは、50〜500μmであることが好ましく、より好ましくは75〜300μmである。この厚みが50μm未満である場合には、成形部材として必要な強度が得られないことがある。一方、この厚みが500μmを超える場合には、後述する導電性エラストマー用材料層に所要の強度の磁場を作用させることが困難となることがある。
【0034】
次いで、図16に示すように、加圧ロール33および支持ロール34よりなる加圧ロール装置35を用い、一面側成形部材30および他面側成形部材31によって導電性エラストマー用材料16Bを挟圧することにより、当該一面側成形部材30と当該他面側成形部材31との間に、所要の厚みの導電性エラストマー用材料層16Aを形成する。この導電性エラストマー用材料層16Aにおいては、図17に拡大して示すように、導電性粒子Pが均一に分散した状態で含有されている。
その後、一面側成形部材30の裏面および他面側成形部材31の裏面に、例えば一対の電磁石を配置し、当該電磁石を作動させることにより、導電性エラストマー用材料層16Aの厚み方向に平行磁場を作用させる。その結果、導電性エラストマー用材料層16Aにおいては、当該導電性エラストマー用材料層16A中に分散されている導電性粒子Pが、図18に示すように、面方向に分散された状態を維持しながら厚み方向に並ぶよう配向し、これにより、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電性粒子Pによる連鎖が、面方向に分散した状態で形成される。
そして、この状態において、導電性エラストマー用材料層16Aを硬化処理することにより、弾性高分子物質中に、導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で、かつ、当該導電性粒子Pによる連鎖が面方向に分散された状態で含有されてなる第1の異方導電性エラストマーシート16が製造される。
【0035】
以上において、導電性エラストマー用材料層16Aの硬化処理は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともできるが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともできる。
導電性エラストマー用材料層16Aに作用される平行磁場の強度は、平均で0.02〜2.5テスラとなる大きさが好ましい。
導電性エラストマー用材料層16Aの硬化処理は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。具体的な加熱温度および加熱時間は、導電性エラストマー用材料層16Aを構成する高分子物質用材料などの種類、導電性粒子Pの移動に要する時間などを考慮して適宜選定される。
【0036】
また、第2の異方導電性エラストマーシート17は、第1の異方導電性エラストマーシート16と同様の方法によって製造することができる。
【0037】
このような異方導電性コネクター15によれば、図1に示す複合導電性シート10を有するため、接続不良が生じることがなく、また、第1の異方導電性エラストマーシート16および第2の異方導電性エラストマーシート17に早期に故障が生じることがないので、長い使用寿命が得られる。
また、複合導電性シート10における剛性導体12の各々は、絶縁性シート11に対してその厚み方向に移動可能とされているため、接続すべき電極によって厚み方向に加圧されたときには、複合導電性シート10の一面に配置された第1の異方導電性エラストマーシート16および当該複合導電性シート10の他面に配置された第2の異方導電性エラストマーシート17は、剛性導体12が移動することによって互いに連動して圧縮変形するため、両者の有する凹凸吸収能の合計が異方導電性コネクター15の凹凸吸収能として発現され、従って、高い凹凸吸収能を得ることができる。
また、所要の凹凸吸収能を得るために必要な厚みは、第1の異方導電性エラストマーシート16および第2の異方導電性エラストマーシート17の合計の厚みによって確保すればよく、個々の異方導電性エラストマーシートとしては、厚みが小さいものを用いることができるので、高い分解能を得ることができる。
従って、隣接する電極間の離間距離が小さく、電極の高さレベルにバラツキがある接続対象体についても、隣接する電極間に必要な絶縁性が確保された状態で当該電極の各々に対する電気的な接続を確実に達成することができる。
【0038】
〈アダプター装置〉
図19は、本発明に係るアダプター装置の第1の例における構成を示す説明用断面図であり、図20は、図19に示すアダプター装置におけるアダプター本体を示す説明用断面図である。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、例えばオープン・ショート試験を行うために用いられる回路装置検査用のものであって、多層配線板よりなるアダプター本体20を有する。
アダプター本体20の表面(図19および図20において上面)には、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応する特定のパターンに従って複数の接続用電極21が配置された接続用電極領域25が形成されている。
アダプター本体20の裏面には、例えばピッチが0.8mm、0.75mm、1.5mm、1.8mm、2.54mmの格子点位置に従って複数の端子電極22が配置され、端子電極22の各々は、内部配線部23によって接続用電極21に電気的に接続されている。
このアダプター本体20の表面には、その接続用電極領域25上に、基本的に図12に示す構成の異方導電性コネクター15が、その第2の異方導電性エラストマーシート17がアダプター本体20に接するよう配置され、当該アダプター本体20に適宜の手段(図示省略)によって固定されている。
この異方導電性コネクター15において、複合導電性シート10には、アダプター本体20における接続用電極21に係る特定のパターンと同一のパターンに従って複数の剛性導体12が配置されており、当該異方導電性コネクター15は、複合導電性シート10における剛性導体12の各々がアダプター本体20の接続用電極21の直上位置に位置するよう配置されている。
【0039】
このようなアダプター装置によれば、図12に示す構成の異方導電性コネクター15を有するため、検査対象である回路装置が、隣接する被検査電極の間の離間距離が小さく、被検査電極の高さレベルにバラツキがあるものであっても、隣接する被検査電極間に必要な絶縁性が確保された状態で当該被検査電極の各々に対する電気的な接続を確実に達成することができる。
【0040】
図21は、本発明に係るアダプター装置の第2の例における構成を示す説明用断面図であり、図22は、図21に示すアダプター装置におけるアダプター本体を示す説明用断面図である。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、各配線パターンの電気抵抗測定試験を行うために用いられる回路装置検査用のものであって、多層配線板よりなるアダプター本体20を有する。
アダプター本体20の表面(図21および図22において上面)には、それぞれ同一の被検査電極に電気的に接続される互いに離間して配置された電流供給用の接続用電極(以下、「電流供給用電極」ともいう。)21bおよび電圧測定用の接続用電極(以下、「電圧測定用電極」ともいう。)21cよりなる複数の接続用電極対21aが配置された接続用電極領域25が形成されている。これらの接続用電極対21aは、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置されている。
アダプター本体20の裏面には、例えばピッチが0.8mm、0.75mm、1.5mm、1.8mm、2.54mmの格子点位置に従って複数の端子電極22が配置されている。
そして、電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの各々は、内部配線部23によって端子電極22に電気的に接続されている。
このアダプター本体20の表面には、その接続用電極領域25上に、基本的に図12に示す構成の異方導電性コネクター15が、その第2の異方導電性エラストマーシート17がアダプター本体20に接するよう配置され、当該アダプター本体20に適宜の手段(図示省略)によって固定されている。
この異方導電性コネクター15において、複合導電性シート10には、アダプター本体20における接続用電極21b,21cに係る特定のパターンと同一のパターンに従って複数の剛性導体12が配置されており、当該異方導電性コネクター15は、複合導電性シート10における剛性導体12の各々がアダプター本体20の接続用電極21b,21cの直上位置に位置するよう配置されている。
【0041】
上記のアダプター装置によれば、図12に示す構成の異方導電性コネクター15を有するため、検査対象である回路装置が、隣接する被検査電極の間の離間距離が小さく、被検査電極の高さレベルにバラツキがあるものであっても、隣接する被検査電極間に必要な絶縁性が確保された状態で当該被検査電極の各々に対する電気的な接続を確実に達成することができる。
【0042】
図23は、本発明に係るアダプター装置の第3の例における構成を示す説明用断面図であり、図24は、図23に示すアダプター装置におけるアダプター本体を示す説明用断面図である。このアダプター装置は、例えばプリント回路基板などの回路装置について、例えばオープン・ショート試験を行うために用いられる回路装置検査用のものであって、多層配線板よりなるアダプター本体20Aを有する。
アダプター本体20Aの表面(図23および図24において上面)には、検査対象である回路装置の被検査電極のパターンに対応する特定のパターンに従って複数の接続用電極21が配置された接続用電極領域25が形成され、この接続用電極領域25以外の領域には、エラストマー層26が形成されている。
アダプター本体20Aの裏面には、例えばピッチが0.8mm、0.75mm、1.5mm、1.8mm、2.54mmの格子点位置に従って複数の端子電極22が配置され、端子電極22の各々は、内部配線部23によって接続用電極21に電気的に接続されている。
このアダプター本体20Aの表面には、複合導電性シート10Pにエラストマー層が形成されていないこと以外は基本的に図12に示す異方導電性コネクター15と同様の構成の異方導電性コネクター15Pが、その第2の異方導電性エラストマーシート17がアダプター本体20Pに接するよう配置され、当該アダプター本体20Aに適宜の手段(図示省略)によって固定されている。
この異方導電性コネクター15Pにおいて、複合導電性シート10Pには、アダプター本体20Aにおける接続用電極21に係る特定のパターンと同一のパターンに従って複数の剛性導体12が配置されており、当該異方導電性コネクター15Pは、複合導電性シート10Pにおける剛性導体12の各々がアダプター本体20Aの接続用電極21の直上位置に位置するよう配置されている。
【0043】
このようなアダプター装置によれば、アダプター本体20Aの表面にエラストマー層26が形成されているため、異方導電性コネクター15Pが配置されたときには、その第2の異方導電性エラストマーシート17にエラストマー層26が密着されて弛みが生じることが防止または抑制され、これにより、繰り返し使用した場合にも、第2の異方導電性エラストマーシート17における剛性導体12が接触する部分の周辺部分に皺が発生することが防止または抑制されるので、接続不良が生じたり、第2の異方導電性エラストマーシート17に故障が生じたりすることがない。
また、検査対象である回路装置が、隣接する被検査電極の間の離間距離が小さく、被検査電極の高さレベルにバラツキがあるものであっても、隣接する被検査電極間に必要な絶縁性が確保された状態で当該被検査電極の各々に対する電気的な接続を確実に達成することができる。
【0044】
〈回路装置の電気的検査装置〉
図25は、本発明に係る回路装置の電気的検査装置の第1の例における構成を示す説明図である。この電気的検査装置は、両面に被検査電極6,7が形成されたプリント回路基板などの回路装置5について、例えばオープン・ショート試験を行うものであって、回路装置5を検査実行領域Eに保持するためのホルダー2を有し、このホルダー2には、回路装置5を検査実行領域Eにおける適正な位置に配置するための位置決めピン3が設けられている。検査実行領域Eの上方には、図19に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび上部側検査ヘッド50aが下からこの順で配置され、更に、上部側検査ヘッド50aの上方には、上部側支持板56aが配置されており、上部側検査ヘッド50aは、支柱54aによって上部側支持板56aに固定されている。一方、検査実行領域Eの下方には、図19に示すような構成の下部側アダプター装置1bおよび下部側検査ヘッド50bが上からこの順で配置され、更に、下部側検査ヘッド50bの下方には、下部側支持板56bが配置されており、下部側検査ヘッド50bは、支柱54bによって下部側支持板56bに固定されている。
上部側検査ヘッド50aは、板状の検査電極装置51aと、この検査電極装置51aの下面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性エラストマーシート55aとにより構成されている。検査電極装置51aは、その下面に上部側アダプター装置1aの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52aを有し、これらの検査電極52aの各々は、電線53aによって、上部側支持板56aに設けられたコネクター57aに電気的に接続され、更に、このコネクター57aを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
下部側検査ヘッド50bは、板状の検査電極装置51bと、この検査電極装置51bの上面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性エラストマーシート55bとにより構成されている。検査電極装置51bは、その上面に下部側アダプター装置1bの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52bを有し、これらの検査電極52bの各々は、電線53bによって、下部側支持板56bに設けられたコネクター57bに電気的に接続され、更に、このコネクター57bを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
【0045】
上部側検査ヘッド50aおよび下部側検査ヘッド50bにおける異方導電性エラストマーシート55a,55bは、いずれもその厚み方向にのみ導電路を形成する導電路形成部が形成されてなるものである。このような異方導電性エラストマーシート55a,55bとしては、各導電路形成部が少なくとも一面において厚み方向に突出するよう形成されているものが、高い電気的な接触安定性を発揮する点で好ましい。
【0046】
このような回路装置の電気的検査装置においては、検査対象である回路装置5がホルダー2によって検査実行領域Eに保持され、この状態で、上部側支持板56aおよび下部側支持板56bの各々が回路装置5に接近する方向に移動することにより、当該回路装置5が上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bによって挟圧される。
この状態においては、回路装置5の上面における被検査電極6は、上部側アダプター装置1aにおける接続用電極21に、当該異方導電性コネクター15を介して電気的に接続され、この上部側アダプター装置1aの端子電極22は、異方導電性エラストマーシート55aを介して検査電極装置51aの検査電極52aに電気的に接続されている。一方、回路装置5の下面における被検査電極7は、下部側アダプター装置1bにおける接続用電極21に、当該異方導電性コネクター15を介して電気的に接続され、この下部側アダプター装置1bの端子電極22は、異方導電性エラストマーシート55bを介して検査電極装置51bの検査電極52bに電気的に接続されている。
【0047】
このようにして、回路装置5の上面および下面の両方の被検査電極6,7の各々が、上部側検査ヘッド50aにおける検査電極装置51aの検査電極52aおよび下部側検査ヘッド50bにおける検査電極装置51bの検査電極52bの各々に電気的に接続されることにより、テスターの検査回路に電気的に接続された状態が達成され、この状態で所要の電気的検査が行われる。
【0048】
上記の回路装置の電気的検査装置によれば、図19に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bを有するため、検査対象である回路装置5が、隣接する被検査電極6,7の間の離間距離が小さく、被検査電極6,7の高さレベルにバラツキがあるものであっても、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【0049】
図26は、本発明に係る回路装置の電気的検査装置の第2の例における構成を示す説明図である。この電気的検査装置は、両面に被検査電極6,7が形成されたプリント回路基板などの回路装置5について、各配線パターンの電気抵抗測定試験を行うためのものであって、回路装置5を検査実行領域Eに保持するためのホルダー2を有し、このホルダー2には、回路装置5を検査実行領域Eにおける適正な位置に配置するための位置決めピン3が設けられている。
検査実行領域Eの上方には、図21に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび上部側検査ヘッド50aが下からこの順で配置され、更に、上部側検査ヘッド50aの上方には、上部側支持板56aが配置されており、上部側検査ヘッド50aは、支柱54aによって上部側支持板56aに固定されている。一方、検査実行領域Eの下方には、図21に示すような構成の下部側アダプター装置1bおよび下部側検査ヘッド50bが上からこの順で配置され、更に、下部側検査ヘッド50bの下方には、下部側支持板56bが配置されており、下部側検査ヘッド50bは、支柱54bによって下部側支持板56bに固定されている。
上部側検査ヘッド50aは、板状の検査電極装置51aと、この検査電極装置51aの下面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性エラストマーシート55aとにより構成されている。検査電極装置51aは、その下面に上部側アダプター装置1aの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52aを有し、これらの検査電極52aの各々は、電線53aによって、上部側支持板56aに設けられたコネクター57aに電気的に接続され、更に、このコネクター57aを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
下部側検査ヘッド50bは、板状の検査電極装置51bと、この検査電極装置51bの上面に固定されて配置された弾性を有する異方導電性エラストマーシート55bとにより構成されている。検査電極装置51bは、その上面に下部側アダプター装置1bの端子電極22と同一のピッチの格子点位置に配列された複数のピン状の検査電極52bを有し、これらの検査電極52bの各々は、電線53bによって、下部側支持板56bに設けられたコネクター57bに電気的に接続され、更に、このコネクター57bを介してテスターの検査回路(図示省略)に電気的に接続されている。
上部側検査ヘッド50aおよび下部側検査ヘッド50bにおける異方導電性エラストマーシート55a,55bは、第1の例の電気的検査装置と基本的に同様の構成である。
【0050】
このような回路装置の電気的検査装置においては、検査対象である回路装置5がホルダー2によって検査実行領域Eに保持され、この状態で、上部側支持板56aおよび下部側支持板56bの各々が回路装置5に接近する方向に移動することにより、当該回路装置5が上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bによって挟圧される。
この状態においては、回路装置5の上面における被検査電極6は、上部側アダプター装置1aの接続用電極対21aにおける電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの両方に、異方導電性コネクター15を介して電気的に接続され、この上部側アダプター装置1aの端子電極22は、異方導電性エラストマーシート55aを介して検査電極装置51aの検査電極52aに電気的に接続されている。一方、回路装置5の下面における被検査電極7は、下部側アダプター装置1bの接続用電極対21aにおける電流供給用電極21bおよび電圧測定用電極21cの両方に、異方導電性コネクター15を介して電気的に接続され、この下部側アダプター装置1bの端子電極22は、異方導電性エラストマーシート55bを介して検査電極装置51bの検査電極52bに電気的に接続されている。
【0051】
このようにして、回路装置5の上面および下面の両方の被検査電極6,7の各々が、上部側検査ヘッド50aにおける検査電極装置51aの検査電極52aおよび下部側検査ヘッド50bにおける検査電極装置51bの検査電極52bの各々に電気的に接続されることにより、テスターの検査回路に電気的に接続された状態が達成され、この状態で所要の電気的検査が行われる。具体的には、上部側アダプター装置1aにおける電流供給用電極21bと下部側アダプター装置1bにおける電流供給用電極21bとの間に一定の値の電流が供給されると共に、上部側のアダプター装置1aにおける複数の電圧測定用電極21cの中から1つを指定し、当該指定された1つの電圧測定用電極21cと、当該電圧測定用電極21cに電気的に接続された上面側の被検査電極5に対応する下面側の被検査電極6に電気的に接続された、下部側アダプター装置1bにおける電圧測定用電極21cとの間の電圧が測定され、得られた電圧値に基づいて、当該指定された1つの電圧測定用電極21cに電気的に接続された上面側の被検査電極5とこれに対応する他面側の被検査電極6との間に形成された配線パターンの電気抵抗値が取得される。そして、指定する電圧測定用電極21cを順次変更することにより、全ての配線パターンの電気抵抗の測定が行われる。
【0052】
上記の回路装置の電気的検査装置によれば、図21に示すような構成の上部側アダプター装置1aおよび下部側アダプター装置1bを有するため、検査対象である回路装置5が、隣接する被検査電極6,7の間の離間距離が小さく、被検査電極6,7の高さレベルにバラツキがあるものであっても、当該回路装置5について所要の電気的検査を確実に実行することができる。
【0053】
本発明においては、上記の実施の形態に限定されず、以下のような種々の変更を加えることが可能である。
複合導電性シート10において、エラストマー層は、絶縁性シートの一面のみに形成されていてもよい。
また、剛性導体12を構成する材料としては、剛性を有する導体であれば金属材料に限定されるものではなく、例えば、剛性樹脂中に金属などの導電性粉末が含有されてなるものなどを用いることができる。
異方導電性コネクター15において、第1の異方導電性エラストマーシートおよび第2の異方導電性エラストマーシートのいずれか一方または両方として、偏在型異方導電性エラストマーシートを用いることができる。
また、電気的検査装置において、検査対象である回路装置は、プリント回路基板に限定されず、パッケージIC、MCMなどの半導体集積回路装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の複合導電性シートの一例における構成を示す説明用断面図である。
【図2】図1に示す複合導電性シートの要部を拡大して示す説明用断面図である。
【図3】複合導電性シートを製造するための積層材料の構成を示す説明用断面図である。
【図4】積層材料における金属層に開口が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図5】積層材料における絶縁性シートに貫通孔が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図6】複合積層材料の構成を示す説明用断面図である。
【図7】複合積層材料にレジスト膜が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図8】複合積層材料における絶縁性シートの貫通孔に剛性導体が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図9】複合積層材料からレジスト膜が除去された状態を示す説明用断面図である。
【図10】絶縁性シートの貫通孔の内面と剛性導体の胴部との間および絶縁性シートの表面と剛性導体の端子部との間にギャップが形成された状態を示す説明用断面図である。
【図11】絶縁性シートの一面および他面にエラストマー用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図12】本発明の異方導電性コネクターの一例における構成を示す説明用断面図である。
【図13】図12に示す異方導電性コネクターの要部を拡大して示す説明用断面図である。
【図14】第1の異方導電性エラストマーシートを製造するための一面側成形部材、他面側成形部材およびスペーサーを示す説明用断面図である。
【図15】他面側成形部材の表面に導電性エラストマー用材料が塗布された状態を示す説明用断面図である。
【図16】一面側成形部材と他面側成形部材との間に導電性エラストマー用材料層が形成された状態を示す説明用断面図である。
【図17】図16に示す導電性エラストマー用材料層を拡大して示す説明用断面図である。
【図18】図16に示す導電性エラストマー用材料層に対して厚み方向に磁場を作用させた状態を示す説明用断面図である。
【図19】本発明に係るアダプター装置の第1の例における構成を示す説明用断面図である。
【図20】図19に示すアダプター装置におけるアダプター本体の構成を示す説明用断面図である。
【図21】本発明に係るアダプター装置の第2の例における構成を示す説明用断面図である。
【図22】図21に示すアダプター装置におけるアダプター本体の構成を示す説明用断面図である。
【図23】本発明に係るアダプター装置の第3の例における構成を示す説明用断面図である。
【図24】図23に示すアダプター装置におけるアダプター本体の構成を示す説明用断面図である。
【図25】本発明に係る回路装置の電気的検査装置の第1の例における構成を示す説明図である。
【図26】本発明に係る回路装置の電気的検査装置の第2の例における構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1a 上部側アダプター装置
1b 下部側アダプター装置
2 ホルダー
3 位置決めピン
5 回路装置
6,7 被検査電極
10 複合導電性シート
10P 複合導電性シート
10A 複合積層材料
10B 積層材料
11 絶縁性シート
11H 貫通孔
12 剛性導体
12a 胴部
12b 端子部
13A 金属層
13B 金属薄層
13K 開口
14 レジスト膜
14H パターン孔
15 異方導電性コネクター
15P 異方導電性コネクター
16 第1の異方導電性エラストマーシート
16A 導電性エラストマー用材料層
16B 導電性エラストマー用材料
17 第2の異方導電性エラストマーシート
18,19 エラストマー層
18A,19A エラストマー用材料層
20 アダプター本体
20A アダプター本体
21,21b,21c 接続用電極
21a 接続用電極対
22 端子電極
23 内部配線部
25 接続用電極領域
26 エラストマー層
30 一面側成形部材
31 他面側成形部材
32 スペーサー
32K 開口
33 加圧ロール
34 支持ロール
35 加圧ロール装置
50a 上部側検査ヘッド
50b 下部側検査ヘッド
51a,51b 検査電極装置
52a,52b 検査電極
53a,53b 電線
54a,54b 支柱
55a,55b 異方導電性エラストマーシート
56a 上部側支持板
56b 下部側支持板
57a,57b コネクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ厚み方向に伸びる複数の貫通孔が形成された絶縁性シートと、この絶縁性シートの貫通孔の各々に、当該絶縁性シートの両面の各々から突出するよう配置された剛性導体と、前記絶縁性シートの少なくとも一面に形成された、絶縁性のエラストマー層とを有してなり、
前記剛性導体の各々は、前記絶縁性シートの貫通孔に挿通された胴部の両端に、当該絶縁性シートの貫通孔の径より大きい径を有する端子部が形成されてなり、当該絶縁性シートに対してその厚み方向に移動可能とされていることを特徴とする複合導電性シート。
【請求項2】
エラストマー層が絶縁性シートの両面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の複合導電性シート。
【請求項3】
請求項1に記載の複合導電性シートと、この複合導電性シートにおけるエラストマー層が形成された一面に配置された異方導電性エラストマーシートとを具えてなることを特徴とする異方導電性コネクター。
【請求項4】
請求項2に記載の複合導電性シートと、この複合導電性シートの一面および他面の各々に配置された2つの異方導電性エラストマーシートとを具えてなることを特徴とする異方導電性コネクター。
【請求項5】
異方導電性エラストマーシートは、弾性高分子物質中に、磁性を示す導電性粒子が、厚み方向に並ぶよう配向して連鎖が形成された状態で、かつ、当該導電性粒子による連鎖が面方向に分散した状態で含有されてなることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の異方導電性コネクター。
【請求項6】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って配置された複数の剛性導体を有する、請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とするアダプター装置。
【請求項7】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従ってそれぞれ電流供給用および電圧測定用の2つの接続用電極からなる複数の接続用電極対が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された、当該アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って配置された複数の剛性導体を有する、請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の異方導電性コネクターと
を具えてなることを特徴とするアダプター装置。
【請求項8】
表面に検査すべき回路装置における被検査電極に対応するパターンに従って複数の接続用電極が形成された接続用電極領域を有するアダプター本体と、
このアダプター本体の接続用電極領域上に配置された異方導電性コネクターと
を具えてなり
前記異方導電性コネクターは、前記アダプター本体上に配置された異方導電性エラストマーシートと、この異方導電性エラストマーシート上に配置された複合導電性シートとよりなり、
前記複合導電性シートは、前記アダプター本体における接続用電極に対応するパターンに従って、それぞれ厚み方向に伸びる複数の貫通孔が形成された絶縁性シートと、この絶縁性シートの貫通孔の各々に、当該絶縁性シートの両面の各々から突出するよう配置された剛性導体とを有してなり、
前記剛性導体の各々は、前記絶縁性シートの貫通孔に挿通された胴部の両端に、当該絶縁性シートの貫通孔の径より大きい径を有する端子部が形成されてなり、当該絶縁性シートに対してその厚み方向に移動可能とされており、
前記アダプター本体の少なくとも表面には、前記接続用電極領域以外の領域にエラストマー層が形成されていることを特徴とするアダプター装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれかに記載のアダプター装置を具えてなることを特徴とする回路装置の電気的検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−129609(P2009−129609A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301351(P2007−301351)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】