説明

複合微粒子、組成物および方法

複合微粒子、複合微粒子を含有する局所組成物、皮膚の深み、立体感またはアンダートーンの外観を改善するための方法;皮膚上のカラー化粧品組成物の白っぽい(ashy)、粉っぽい(chalky)、または仮面のような外観を改善するための方法;ならびに複合微粒子を用いてカラー化粧品を調製することによる、カラー化粧品の色調範囲における色調の数を削減するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年1月19日付けの米国仮特許出願第61/296,348号および2010年6月23日付けの米国仮特許出願第61/357,809号からの優先権を主張するものである。
【0002】
技術分野
本発明は、ケラチン質表面上の外観を向上させる微粒子、ならびに化粧品組成物におけるそれらの使用の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
女性の多くはファンデーション化粧品を使っている。最近の市販品は優れた品質のものであり、肌の色に正確にマッチした色調(shade)で入手することができる。しかし、ファンデーションの利用者は満たされないままでいる。例えば、多くの少数民族系の女性はファンデーションを使っているものの、それがしばしば彼女らの肌に与える、白っぽい(ashy)、粉っぽい(chalky)外観に不満を抱いている。多くの場合、これらの製品は大量の二酸化チタンを含んでおり、その二酸化チタンは優れたカバー力を提供するが、仮面のような外観を呈することがある。これは、一部には、深みと立体性に加えて暖かみまたはクールな感じの外観をもたらす、肌色のアンダートーンに起因すると考えられる。肌の自然なアンダートーンをマスキングするファンデーション化粧品は、それが皮膚の自然な立体感(dimensionality)を覆い隠すので、しばしば顔の皮膚を不自然な感じにさせる。皮膚のアンダートーンをマスキングすることなくカバー力を提供するファンデーションなどのメイクアップ製品に対して、望ましくない仮面のような外観をもたらす大きなニーズギャップが存在している。
【0004】
そのようなファンデーションを調製する重要性のもう一つの理由は、SKU(「在庫管理単位」)の削減に関係している。すべてのユーザーのニーズを満たすために、化粧品会社は多数のファンデーションの色の選択肢を取り揃えて、顧客基盤を満足させる必要がある。こうした色調の多くはごくわずかしか売れなかったり、全然売れなかったりする。SKUの数が多いことは化粧品メーカーにとって大きなコストを意味する。したがって、より広範な肌の色にマッチするファンデーション化粧品を製造することに関心がある。SKUの削減は化粧品会社と消費者の両方に利益をもたらす。さらに、それは消費者の色の選択(それは決して容易なことではない)に伴う混乱のいくらかを取り払う。また、より多いSKUは消費者への製品コストの増加を意味する。なぜなら、最終的に、より高い物品コストは消費者へのより高い小売価格に反映されるからである。
【0005】
特定のタイプの複合微粒子(該微粒子中に透明または半透明の熱可塑性材料の部分を有する)を用いてカラー化粧品を製造すると、そのカラー化粧品は、立体感、深みおよび皮膚のアンダートーンの外観の改善、並びにファンデーションなどのカラー化粧品の白っぽい、粉っぽい、または仮面のような外観の軽減を含めて、肌の外観を向上させることが見いだされた。その上、複合微粒子は、ある色調範囲(shade range)においてすべての肌の色合いにマッチさせることが必要な、カラー化粧品の色調の数を削減することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、より「普遍的」である、つまりは特定の色が色調カテゴリー中のより多くの色調にマッチする、カラー化粧品組成物を提供することである。例えば、カラーマッチング特性がより普遍的と見なされるファンデーションはカラー#1と指定され、それは色調カテゴリー「ライト」(Light)中の肌の色調1、2および3にマッチし得るのに対して、従来のファンデーションの場合には「ライト」カテゴリー中の3つの異なる色調が必要となる。
【0007】
本発明のさらなる目的は、着色剤部分と透明または半透明の熱可塑性部分とを含む複合微粒子を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、前記複合微粒子を含有する、皮膚、毛髪または爪などのケラチン質表面に適用するための組成物を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、複合微粒子を含有する、自然に見えるカラー化粧品を提供することによって、深み、立体感および皮膚のアンダートーンの外観を改善する方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、複合微粒子を用いて組成物を調製することによって、ファンデーション化粧品などの組成物による白っぽい、粉っぽい、または仮面のような皮膚の外観を軽減させる方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、複合微粒子を用いてカラー化粧品を調製することによって、カラー化粧品のある色調範囲におけるSKUの数を削減する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、少なくとも1種の着色剤から成る部分と、少なくとも1種の透明または半透明の熱可塑性材料から成る部分とを有する、融合凝集体の形をした複合微粒子を含有する、ケラチン質表面に適用するための組成物であって、該複合微粒子が、全複合微粒子の重量ベースで、約1〜99.9部の着色剤部分および約0.1〜100部の透明または半透明の熱可塑性材料部分を含み、該組成物中に存在する複合微粒子の少なくとも一部には着色剤部分が存在している、上記組成物に関する。
【0013】
本発明はさらに、少なくとも1種の着色剤から成る部分と、少なくとも1種の透明または半透明の熱可塑性材料から成る部分とを有する、融合凝集体の形をした複合微粒子であって、該複合微粒子が、全複合微粒子の重量ベースで、約1〜99.9部の着色剤部分および約0.1〜100部の透明または半透明の熱可塑性材料部分を含み、そして該微粒子における熱可塑性材料の少なくとも一部が中実もしくは中空の部分球または完全球の形をしている、上記複合微粒子に関する。
【0014】
本発明はまた、少なくとも1種の着色剤から成る部分と少なくとも1種の透明または半透明の熱可塑性材料から成る部分とを有する複合微粒子を含有する組成物を適用することによって、肌の立体感、深みまたはアンダートーンの外観を改善しながら、肌に色を付与する方法に関する。
【0015】
カラー化粧品組成物によって肌が白っぽい、粉っぽい、または仮面のようになる影響を軽減する方法であって、該組成物中に存在する全着色剤成分の0.1〜99%、好ましくは10〜90%を、少なくとも1種の着色剤から成る部分と少なくとも1種の透明または半透明の熱可塑性材料から成る部分とを有する複合微粒子で置き換えることを含んでなり、該複合微粒子が、全複合微粒子の重量ベースで、約1〜99.9部の着色剤部分および約0.1〜100部の透明または半透明の熱可塑性材料部分を含む、上記方法。
【0016】
全着色剤成分の約0.1〜99重量%、好ましくは10〜90重量%が複合微粒子で構成されている化粧品を提供することを含んでなる、化粧品の色調範囲におけるSKUの数を削減する方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の組成物および方法で用い得る複合微粒子のタイプを示し、ここで、黒線内の白抜き領域は複合微粒子の透明な熱可塑性材料部分を表し、黒ベタ部分は複合微粒子の着色剤部分を表す。
【0018】
1(A):融合凝集体の形をした複合微粒子であり、熱可塑性材料は中空または中実の球の形をしており、こうした球が溶媒および着色剤と反応して複合微粒子を形成するとき、熱可塑性材料部分の少なくとも一部は完全球または部分球の形のままで存在する。
【0019】
1(B):カプセル化形態の複合微粒子であり、着色剤部分が熱可塑性材料部分内にカプセル化されており、その複合微粒子は形状が一般に球形である。
【0020】
1(C):非球形の形状をもつ--実質的に八角形として表された--カプセル化形態の複合微粒子であり、着色剤部分が熱可塑性材料部分内に埋め込まれた不規則な堆積物(deposit)である。
【0021】
1(D):不規則な形状を有し、かつ内部に着色剤部分がカプセル化された、カプセル化形態の複合微粒子である。
【図2】崩壊マイクロスフェアの形をした複合微粒子を示す。大きい球は、変形可能なポリマー殻を有する未処理の透明または半透明の中空マイクロスフェアとその中に閉じ込められた膨張性流体を示す。右側の小さい球は、内部に捕捉された固形着色剤粒子および液体不透過性コーティングを有する崩壊ポリマー殻を示す。
【図3】MAC Studio Fix Fluid SPF15の色調パレット(すべての肌色にマッチさせるために19の色調が必要)と比較したときの、本発明の複合粒子を用いて調製されたファンデーション処方物により達成されたファンデーションカラーSKUの削減(11の色調がすべての肌色にマッチする)を示すチャートである。したがって、SKUの42%削減(8の色調)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
I. 定義
本明細書中で用いる用語において、単数形は複数形を含むものとし、その逆も同様である。
【0023】
本明細書に記載するすべてのパーセンテージは、他に指定のない限り、重量パーセントである。
【0024】
用語「凝集体」とは、複合微粒子について言うとき、着色剤と透明な熱可塑性材料のクラスターが、例えば化学的または物理的に一緒に結合されて、融合されている、そのようなクラスターを意味する。
【0025】
用語「白っぽい」または「粉っぽい」とは、ファンデーションなどの化粧品が皮膚、特に色黒の皮膚の上に示すことがある、白っぽい灰のような外観を意味する。
【0026】
用語「透明」(clear)とは、「透明」(transparent)と同じ意味であり、熱可塑性材料が光の通過を可能にし、かつ後方にある物体をはっきりと見通せるほどに十分、曇りやかすみがないことを意味する。ある場合には、本発明の組成物および方法で用いる熱可塑性材料は個別には透明な微粒子または球状微粒子の形態であり得るが、バルクとして見たときには、それらは白っぽいまたは灰色がかった粉体の外観を示すことがある。この場合に、支配するのは個々の微粒子の外観である。
【0027】
用語「崩壊マイクロスフェア」とは、製造過程でチャネルと隙間が形成されて、内部に着色剤が捕捉されかつ全体に分散されている、もとは中空のマイクロスフェアを意味する。着色剤が分散して捕捉された個々のマイクロスフェアは、独自の閉鎖系を形成している。対照的に、融合凝集体では、着色剤の堆積物が凝集体中に存在し、その凝集体が透明な熱可塑性材料から形成された凝集体と融合している。
【0028】
本明細書中で用いる用語「着色剤」とは、着色顔料を意味するか、あるいは化粧品組成物において充填剤として、または色を弱めるために用いられることがある無着色または白色の微粒子を意味する。一般的に、用語「着色剤」からは、微粒子の形をした透明または半透明の熱可塑性材料が除外される。
【0029】
用語「着色剤成分」とは、組成物中に存在する、以下のセクションIIで説明される着色剤の総量を意味する。
【0030】
用語「複合微粒子」とは、少なくとも1種の着色剤から成る部分と少なくとも1種の透明または半透明の熱可塑性材料から成る部分とを含み、これら2つの部分が一緒に融合されている(例えば、単純な未反応の混合物として存在するのではない)固形(solid)粒子を意味する。
【0031】
用語「カプセル化微粒子」とは、着色剤成分が透明な熱可塑性材料の内部にカプセル化されているタイプの複合微粒子を意味する。
【0032】
用語「融合凝集体」とは、複合微粒子に関して、それが着色剤と透明または半透明の熱可塑性材料の凝集体であり、その凝集体が相互に融合している、例えば、化学的に結合していることを意味する。融合凝集体の透明な熱可塑性部分が中空または中実の球状粒子の形である場合、その融合凝集体は凝集した中実もしくは中空の部分球または完全球から構成される熱可塑性部分を含んでいてよい。
【0033】
用語「仮面のような」とは、視覚的に不自然な外観を与えるのに十分な程度に皮膚のアンダートーンを隠すときの、顔の皮膚上のファンデーションなどのカラー化粧品組成物の外観を意味する。
【0034】
用語「室温」は、約25℃の温度を意味する。
【0035】
用語「SKU」は、製品詳細の最低レベルである在庫管理単位(stock keeping unit)を意味する。SKU番号は一般的にフォーマットxxxx-xxで表され、ここで、最初の4つの数字は製品名を示しており、そして、カラー化粧品では、最後の2つの数字が色調コードを示している。例えば、1234-56のSKU番号は、例えば、ファンデーション化粧品ライン「x」が番号1234で示され、そして数字「56」がそのファンデーション化粧品の特定の色調を指している。
【0036】
用語「半透明」とは、熱可塑性材料に関して、光の通過を可能にするが、後方にある物体をはっきりと見通すことを妨げるのに十分な曇りやかすみがあることを意味する。熱可塑性材料が個々の微粒子の形態である場合、その粒子は半透明であり得るが、バルク形態として見たときには、そのような半透明粒子は白っぽいまたは灰色がかった粉体として見えることがある。この場合に、支配するのは個々の粒子の外観である。
【0037】
II. 複合微粒子
A. 説明
複合微粒子は凝集体(好ましくは、融合凝集体)、崩壊マイクロスフェア、またはカプセル化微粒子の形であり得る。
【0038】
複合微粒子が融合凝集体の形である場合、それは一般的に、1種以上の着色剤と1種以上の透明または半透明の熱可塑性合成または天然ポリマー材料の混合物をブレンドして、着色剤と熱可塑性材料の両方の性質を保持する複合材料を形成することによって作られる。好ましくは、複合微粒子を作るために用いられる着色剤と透明または半透明の熱可塑性材料は微粒子の形態である。
【0039】
複合微粒子は室温で固体であり、直径で約0.01〜200ミクロン、好ましくは約0.1〜150ミクロン、さらに好ましくは約1〜100ミクロンの範囲の粒子径を有する。複合微粒子は、球状または他のタイプの不規則な形状を含めて、さまざまな形状であってよい。好ましくは、複合微粒子は、約0.1〜99%、好ましくは約0.5〜90%、さらに好ましくは約5〜80%の範囲の着色剤部分;および約0.1〜100%、好ましくは約0.5〜90%、さらに好ましくは約5〜80%の範囲の透明または半透明の熱可塑性部分を含む(すべてのパーセンテージは全複合微粒子の重量ベースである)。
【0040】
B. 複合微粒子の構成成分
1. 着色剤
複合微粒子を作る際に使用するのに適した着色剤には、ブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエローなどの一般的にD&CおよびFD&Cカラーと呼ばれる、有機顔料が含まれる。このような有機顔料はまた、D&CレーキまたはFD&Cレーキと呼ばれる、認定された着色添加物の不溶性金属塩を含むことができる。
【0041】
適切な着色剤には、無機顔料、例えば、酸化鉄、ウルトラマリン、クロム、水酸化クロム着色料、およびこれらの混合物なども含まれる。赤色、青色、黄色、茶色、黒色の酸化鉄、およびこれらの混合物が適している。
【0042】
適切な着色剤のさらなる例には、着色または無着色(例えば、白色)の非顔料粉体が含まれる。例としては、以下のような不透明または半透明の微粒子が挙げられる:オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、フュームドシリカ、球状シリカ、ポリメチルメタクリレート、微粉化テフロン、窒化ホウ素、アクリレートコポリマー、ケイ酸アルミニウム、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、セルロース、チョーク、トウモロコシデンプン、珪藻土、フラー土、グリセリルデンプン、ヘクトライト、ケイ酸、カオリン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微結晶セルロース、コメデンプン、シリカ、タルク、雲母、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル化シリカ、シルク粉末、セリサイト、ダイズ粉、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粉、またはこれらの混合物。
【0043】
好適な着色剤は約0.001〜150ミクロン、好ましくは約0.005〜100ミクロン、さらに好ましくは約0.1〜50ミクロンの範囲の粒子径を有する。
【0044】
2. 透明または半透明の熱可塑性材料
透明または半透明の熱可塑性材料は好ましくは合成ポリマーである。一般的に、望ましい透明性または半透明性を提供するために、複合材料の製造に用いられるポリマー材料の屈折率は約1.3〜1.8または1.4〜1.6の範囲である。さらに、透明または半透明のポリマーは一般的に室温で固体であり、密度が約0.5〜5g/cm3の範囲のものであり得る。ポリマーは約50〜200℃の融点をもつことが好ましい。
【0045】
複合材料の製造に用いられる材料は中空球または中実球の形態であり得る。あるいは、さまざまな大きさおよび形状の微粒子を形成するように粉砕することができる、固体ブロックまたはフィルムの形態であってもよい。本発明の好ましい実施形態では、透明または半透明の熱可塑性材料が微粒子の形をしており、その微粒子は中空または中実の球状微粒子であり得る;好ましくは、約0.01〜150ミクロン、さらに好ましくは0.1〜100ミクロン、さらにより好ましくは0.5〜75ミクロンの範囲の粒子径を有する。
【0046】
複合微粒子の製造に用いられる透明または半透明の熱可塑性材料を作るための適切なポリマーには、限定するものではないが、本明細書に記載のものが含まれる。
【0047】
(a) エチレン性不飽和モノマーのホモ-またはコポリマー
(i) アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの単純なエステル
適切なポリマーには、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの単純なC1-20脂肪族もしくは芳香族エステルなどのエチレン性不飽和モノマーからのホモ-またはコポリマーが含まれる。そのようなモノマーの例としては、以下が挙げられる:アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリレート、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシルなど。
【0048】
ポリマーは非架橋または部分的架橋とすることが可能である。架橋する場合は、α,ω-ジエンの形をしたジビニル架橋剤、例えば2〜10個の炭素原子をもつものが適切であり得る。例としては、エテン、プロピレン、ブテンなどが挙げられる。ポリマーが架橋されている場合には、それが溶媒に接触したとき、そのポリマーは、完全に溶媒和するよりもむしろ膨潤する傾向があると考えられる。ポリマーが球状微粒子の形であった場合、それは、存在する熱可塑性部分が部分球または完全球のいずれかを含み得る、最終的な複合粒子を生じるだろう。複合微粒子が球部分を含むと、それは複合微粒子によって提供されるユニークな視覚効果に寄与すると考えられる。
【0049】
1つの好適なポリマーは、比重が約1.100〜1.250gm/mlの範囲にあり、粒子径が約4.5〜8.5ミクロンの範囲にあり、そして密度が1〜1.5gm/cm3の範囲にある球状形態のポリメチルメタクリレート(PMMA)である。こうした粒子はSEPPIC社からSepimat Pの商品名で、またはTomen American社から商標Microsphere M-100のもとに購入することができる。
【0050】
その他のタイプとしては、スチレン化アクリレート(スチレンとアクリル酸、メタクリル酸またはそれらの単純なC1-10エステルとのコポリマー);スチレンアクリロニトリル(「SAN」)ポリマー、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(「ABS」)が挙げられる。
【0051】
(ii) アルケンのホモ-またはコポリマー
C2-10アルケンのホモ-またはコポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなども好適であり、これらは架橋されていてもよい。1つの適切なアルケンは、Performalene 400(登録商標)の商品名で販売されている非架橋エチレンホモポリマーであり、これはBaker Hughes社から販売されている高分子量のポリエチレンホモポリマーである。
【0052】
(b) ポリカーボネート
複合材料の製造に用いられる熱可塑性材料として、さまざまなタイプのポリカーボネートも適している。用語「ポリカーボネート」は、カーボネート(-O-C(O)-O-)基によって一緒に連結された官能基を有するポリマーを意味し、それらはポリ芳香族カーボネートまたはポリ脂肪族カーボネートであり得る。ポリカーボネートは中実もしくは中空の球状粒子、粉砕微粒子、またはフィルムもしくはブロックの形態であり得る。
【0053】
3. 溶媒
透明または半透明の熱可塑性材料を膨潤または溶媒和するための適切な溶媒は、その溶媒の凝集エネルギー密度の平方根である、ヒルデブランド溶解度パラメータ(Hildebrand Solubility Parameter)を確認することによって決定することができる。ヒルデブランド溶解度パラメータ(δ)の式は、(カロリー/cm3)1/2で表される次式:
【数1】

【0054】
であり、式中、Hv=気化熱、
R=気体定数、
T=温度、
Vm=モル体積である。
【0055】
複合微粒子の製造に適する溶媒の1つのタイプは、そのヒルデブランド溶解度パラメータによって特定することができる。この場合には、約1〜16、さらに特定すると3〜15、さらに好ましくは5〜10(カロリー/cm3)1/2の範囲のヒルデブランド溶解度パラメータを有する溶媒が、複合微粒子製造用の良溶媒であり得る。
【0056】
選択された熱可塑性材料に好適な溶媒の確認はまた、“A Simple Solvent Selection Method for Accelerated Solvent Extraction of Additives from Polymers”, Analyst, 第124巻, 1707-1710頁 - The Royal Society of Chemistry, 1999(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載される手法によっても決定することができる。
【0057】
好適な溶媒の他のタイプには、脂肪族、芳香族、またはヘテロ環式の、飽和または不飽和の、約1〜12個、好ましくは約1〜10個、さらに好ましくは約2〜8個の炭素原子を有する炭化水素鎖が含まれる。そのような炭素鎖は、炭化水素鎖上に置換された1個以上のカルボニル、ヒドロキシル、アミン、ハロゲン、エーテル結合、またはアミド基をもっていてもよい。そうした溶媒の例としては、以下が挙げられる:アセトン、キシレン、メチルエチルケトン(MEK)、ジメチルホルムアミド、ジメチルクロリド、トリクロロエチレン、トリクロロメタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、酢酸アミル、四塩化炭素、トルエン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、ジアセトンアルコール、二塩化エチレン、塩化メチレン、DMSO、モルホリン、セロソルブ、ピリジン、プロパノール;またはエチレングリコールのC1-4モノ-もしくはジアルキルエーテルなど。最も好ましい溶媒はエタノール、アセトン、キシレンまたはMEKである。最適なものはアセトンである。
【0058】
C. 製造法
融合凝集体の形態の複合微粒子は、熱可塑性材料と着色剤を混ぜ合わせてから、その熱可塑性材料を膨潤(例えば、膨張)または溶媒和させるのに十分な量の溶媒と混合することによって作ることができる。熱可塑性材料と着色剤と溶媒の割合は、特定の熱可塑性材料、それが存在する量、およびどの溶媒が熱可塑性材料を膨潤または溶媒和するのに最も適しているか、を把握することによって決定することができる。一般的に、着色剤と熱可塑性材料と溶媒の適切な割合は、着色剤約0.1〜50部と熱可塑性材料0.1〜100部と溶媒0.1〜100部の範囲であり得る。好ましくは、この方法は室温で実施されるが、必要に応じて、加熱してもよい。着色剤、溶媒および熱可塑性材料は、溶媒による熱可塑性材料の膨潤または溶媒和を可能とするのに十分な時間にわたり混ぜ合わされる。その時間は1〜72時間、または10〜50時間の範囲であり得る。適切な時間の経過後、その混合物を容器から取り出し、ガラス製の耐熱皿に広げて平面を形成し、その後、12〜72時間、好ましくは24〜48時間、または固まるまで乾燥させる。次に、固まった混合物を皿から取り出し、手で小片に分割する。得られた小片は、希望する形状および大きさの複合微粒子とするために、ミリングおよびふるい分けなどのさまざまな手法にかけられる。
【0059】
複合微粒子の着色剤部分と熱可塑性材料部分は、その複合材料全体が微粒子の形態となるように融合される。好ましい実施形態では、複合微粒子は着色剤成分と熱可塑性材料成分の融合凝集体のように見えるが、その際、熱可塑性材料成分は中実または中空の部分球の形をした部分を示すだろう;それは、製造過程で膨潤されたが完全には溶媒和されなかった球である。
【0060】
必要に応じて、複合微粒子は、希望通りにそれらをより親水性または親油性とするために、さまざまな材料でコーティングすることができる。適切なコーティング剤には、限定するものではないが、オイル、構造化剤、および本発明の化粧品組成物での使用に適すると本明細書中に記載される成分のいずれか1種以上が含まれる。さらなる例としては、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、合成または天然ワックスなどが挙げられる。複合微粒子がコーティングされる場合、コーティングは、全複合微粒子の重量ベースで、好ましくは約0.1〜45%、さらに好ましくは約0.1〜30%、最も好ましくは約1〜10%を構成する。特に好ましいコーティングはトリシロキサン/ジメチコンシリレートである。
【0061】
D. 複合粒子の別の実施形態
また、適切なものは崩壊マイクロスフェアの形の複合粒子である。このような微粒子は米国特許出願公開第2009/0155371号(その全体が参照により本明細書に援用される)に開示されている。この場合、透明または半透明の熱可塑性材料は、凝集体の一部を形成するよりもむしろマイクロスフェア内に着色剤を完全に閉じ込めた崩壊マイクロスフェアの形をしている。崩壊マイクロスフェアは、任意で、複合微粒子の融合凝集体の形態に関して記載した方法と同様にして、膜またはコーティングで被覆することができる。崩壊マイクロスフェアの形をしたこれらの複合微粒子は、以下の工程によって形成することができる:
(a) (1)内部に膨張性流体を閉じ込めている変形可能なポリマー殻を有する、好ましくは開細胞(open cell)形態の、内部チャネルがある透明または半透明の中空マイクロスフェア、(2)該中空マイクロスフェアのポリマー殻を膨潤することができるが溶解しない極性有機溶媒、および(3)着色剤、を同時にまたは任意の順序で連続して混合することによってゲル化混合物を形成する工程、その際、膨潤したポリマー殻中にマイクロチャネルが形成されて、中空マイクロスフェアへの着色剤の流入とそこからの膨張性流体の流出が可能となり、それによって、各々がゲル化状態の崩壊ポリマー殻を含みかつその内部に1種以上の着色剤を捕捉しているマイクロスフェアが形成される、工程;
(b) 該ゲル化混合物から膨張性流体と極性有機溶媒を除去する工程;および
(c) 該マイクロスフェアを皮膜形成材料でコーティングして、その上に液体不透過性コーティングを形成する工程。
【0062】
得られた崩壊マイクロスフェアでは、着色剤の粒子がマイクロスフェアの内部に捕捉される。ある場合には、用いられる着色剤がサブミクロン粒子径の形態であってよく、その場合に、崩壊マイクロスフェアは、複合微粒子の製造に用いられる着色剤粒子の平均粒子径よりも少なくとも10倍、好ましくは20倍、さらに好ましくは50倍、最も好ましくは100倍大きい平均粒子径をもつことができる。
【0063】
顔料粒子の捕捉を本発明において達成するには、最初に、変形可能なポリマー殻を有しかつマイクロスフェアの中空部内に膨張性流体を含んでも含まなくてもよい、透明または半透明の中空マイクロスフェアを準備する。次に、そのマイクロスフェアを、中空マイクロスフェアのポリマー殻を膨潤することができるが溶解しない極性有機溶媒および捕捉される固体粒子と、任意の順序で連続してまたは同時に、混合する。それによってゲル化混合物が形成され、該混合物はゲル化状態のポリマー殻をもつマイクロスフェアを含み、そのポリマー殻は、そこにマイクロチャネルまたは貫通孔が形成されて該マイクロスフェアへの着色剤粒子の流入を可能にするように十分に膨潤される。マイクロスフェアの膨潤ポリマー殻に形成された、このようなマイクロチャネルまたは貫通孔はまた、マイクロスフェアからの膨張性流体の流出をも可能にし、それによってポリマー殻の崩壊または内破(implosion)を直ちに引き起こし、マイクロスフェア内部に着色剤粒子を捕捉する。その後、膨張性流体と極性有機溶媒をゲル化混合物から取り除く。好ましくは、しかし必ずしもそうではないが、崩壊ポリマー殻に皮膜形成材料をコーティングして、その上に液体不透過性膜を形成させる。この膜は、マイクロスフェアの崩壊ポリマー殻を周囲の環境のあらゆる溶媒(そのようなポリマー殻を膨潤させる、またはそのようなポリマー殻の構造的完全性に他の方法で影響を与える可能性がある溶媒)から隔離するように機能する。このようにして、固体粒子を、ほとんどまたはまったく漏出のリスクなしに、マイクロスフェアの内部に確実に閉じ込めることが可能である。
【0064】
最初に(すなわち、固体粒子および極性有機溶媒と混合する前に)準備される透明または半透明の熱可塑性材料として用いられる中空マイクロスフェアは、好ましくは、膨張性の中空ポリマーマイクロスフェアであり、各々が変形可能なポリマー殻を含み、そのポリマー殻は気密性であって、その中に膨張性流体が封入またはカプセル化されている。加熱すると、封入またはカプセル化された流体の体積が膨張して、変形可能なポリマー殻の内壁に圧力がかかる。同時に、温度の上昇によってポリマー殻の軟化が生じ、それによって風船に似たやり方でマイクロスフェア全体を膨らませることができる。
【0065】
中空マイクロスフェアの変形可能なポリマー殻は、合成または天然の架橋型または非架橋型ポリマーから形成することができる。ポリマーが架橋されている場合、それは弱く架橋されていることが好ましい。好ましくは、しかし必ずしもそうではないが、中空マイクロスフェアのポリマー殻は、1種以上のエチレン性不飽和モノマーを重合して、エチレン性不飽和モノマーのホモポリマーもしくはコポリマー、またはエチレン性不飽和モノマーと1種以上の有機グループとのコポリマーを形成することによって得られる、少なくとも1種の合成ポリマーで構成される。適切なエチレン性不飽和モノマーの例としては、例えば、以下が挙げられる:塩化ビニリデン、塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸およびその対応するC1-C20脂肪族または芳香族エステル、メタクリル酸およびその対応するC1-C20脂肪族または芳香族エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピロリドン、アルケン類、例えばスチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、メチルペンテン、1,3-ブタジエンなど。中空マイクロスフェアのポリマー殻はまた、以下のような適切な合成ポリマーから形成することもできる:ポリエステル、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリケトン、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリ乳酸、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、および上に列挙したポリマーのコポリマー。特に好ましい実施形態では、中空マイクロスフェアの変形可能なポリマー殻は塩化ビニリデン、アクリロニトリル、および/またはメタクリル酸メチルのコポリマーから形成される。
【0066】
本発明の中空マイクロスフェア内の膨張性流体は、任意の適当な気体(例えば、空気もしくは窒素)または揮発性の液体炭化水素(例えば、イソブタンもしくはイソペンタン)であり得る。好ましくは、膨張性流体は空気、窒素、イソブタンおよびイソペンタンからなる群より選択される。さらに好ましくは、膨張性流体はイソブタンまたはイソペンタンのいずれかである。
【0067】
イソブタンまたはイソペンタンからなる膨張性流体を含む、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、およびメチルメタクリレートのコポリマーで構成された変形可能なポリマー殻を有する中空マイクロスフェアは、ジョージア州ダルース(Duluth)所在のExpancel社からEXPANCEL(登録商標)の商品名で市販されている。EXPANCEL(登録商標)中空マイクロスフェアはさまざまな形態で、例えば、乾燥、湿性、未膨張または前膨張形態で入手可能である。本発明では乾燥未膨張マイクロスフェア(EXPANCEL(登録商標)DU)と乾燥膨張マイクロスフェア(EXPANCEL(登録商標)DE)の両方を固体粒子の捕捉および安定化のために使用することができる。EXPANCEL(登録商標)DUマイクロスフェアは約6〜約40ミクロンの平均粒子径および約1〜1.3g/cm3の密度を有する。EXPANCEL(登録商標)DEマイクロスフェアは約20〜約150ミクロンの平均粒子径および約0.03〜0.07g/cm3の密度を有する。
【0068】
着色剤を内部に分散させた崩壊マイクロスフェアの形をした複合微粒子を製造するための好適な溶媒は、先に記載した融合凝集型の複合微粒子に関して示したものであり、同じ一般的な量で用いられる。
【0069】
未処理の中空マイクロスフェアとの混合時に、極性有機溶媒は中空マイクロスフェアのポリマー殻を大いに膨潤させることができ、それによって、未処理の中空マイクロスフェアの気密性ポリマー殻を、そこに多数のマイクロチャネルまたは孔が形成されたゲル化状態に変換することができる。
【0070】
崩壊マイクロスフェアの形成に用いられる着色剤は、融合凝集体に関して示したものと同じであり、同じ一般的な量で使用される。
【0071】
ユニークな視覚効果を生み出すために、2種類以上の異なる着色剤をマイクロスフェアに組み込むことが可能である。複合微粒子の特定の実施形態では、2種類以上の異なる顔料粒子がマイクロスフェアに組み込まれる。
【0072】
複合微粒子が崩壊マイクロスフェアの形態である場合、用いる着色剤の平均粒子径は、着色剤が透明な熱可塑性材料を形成する中空マイクロスフェアに容易に入り込んで捕捉され得るように、中空マイクロスフェアのそれより著しく小さいことが好適である。好ましくは、着色剤粒子の平均径は約1ミクロン未満、さらに好ましくは約0.001ミクロン〜約0.1ミクロン、最も好ましくは約0.01〜約0.05ミクロンである。
【0073】
本明細書に記載した中空マイクロスフェア、溶媒および着色剤は、ゲル化混合物を形成するように、同時にまたは連続して、一緒に混合される。連続的に混合する場合は、任意の適当な順序で諸成分を添加し、混合することができる。例えば、最初に中空マイクロスフェアと着色剤を一緒にブレンドし、その後で溶媒を添加してスラリーを形成してもよい。別の例では、最初に着色剤を溶媒に分散させてから、中空マイクロスフェアと混合してもよい。さらに別の例では、最初に中空マイクロスフェアを有機溶媒に添加してゲルを形成し、次いで着色剤をそのゲルに添加する。いずれにしても、均質な混合物が形成されるまで全成分を十分に混合する。中空マイクロスフェアと極性有機溶媒との重量比は好ましくは約1:3〜約1:100、さらに好ましくは約1:20〜約1:50であり、その結果、中空マイクロスフェアのポリマー殻は溶媒によって十分に膨潤され得る。着色剤と中空マイクロスフェアとの重量比は約1:10〜約100:1の広範囲であり得るが、好ましくは約2:3〜約10:1、さらに好ましくは約1:1〜約2:1である。
【0074】
中空マイクロスフェアのポリマー殻は非架橋または弱く架橋したポリマーで構成されるため、ポリマー分子と比較して十分に小さい溶媒分子はポリマー鎖の間に入って、隣接するポリマー鎖間の分子間結合を遮断し、それらのポリマー鎖を互いから引き離すことができる。その結果として、中空マイクロスフェアのポリマー殻は極性有機溶媒によって膨潤されて、溶媒の体積全体に広がるまたは分散された相互連結ポリマー鎖の多孔質ネットワークを含むゲル化混合物を形成するようになる。そのようなゲル化状態のマイクロスフェアのポリマー殻はもはや気密性でなく、多孔質になっており、すなわち、十分に膨潤したマイクロスフェアへの着色剤の流入を可能にするように十分な大きさのマイクロチャネルを内部にもっている。同時に、膨張性流体がそのようなマイクロスフェアからマイクロチャネルを通って流出して、ゲル化ポリマー殻の崩壊または内破を起こさせ、結果的に全体的な体積が大幅に減少した収縮(shrunken)マイクロスフェアをもたらす。このようにして、着色剤は収縮マイクロスフェアの崩壊ポリマー殻の内部に捕捉されるようになる。
【0075】
このような収縮マイクロスフェアは約1〜15ミクロン、さらに好ましくは約5〜約8ミクロンの平均粒子径を有し得る。収縮マイクロスフェアは未処理の中空マイクロスフェアよりも大きさが著しく小さい。さらに、収縮マイクロスフェアはもはや中空ではなく、今や顔料粒子で埋め尽くされており、そこには空きスペースがほとんどまたはまったく残っていない。同時に、マイクロスフェアのポリマー殻はゲル化状態のままであり、すなわち、極性有機溶媒で膨潤されたままである。本発明の収縮マイクロスフェアは、ゲル化過程で形態的および容積的に変更されたものの、粒子の合体がほとんどまたはまったくない状態でゲル化混合物中に個別の粒子として残存することに注目することが重要である。したがって、その後のゲル化混合物の乾燥によって、明確に画定された表面境界をもち、凝集または集塊が最小限のマイクロスフェアを含む、微細な自由流動性の粉体を形成する。
【0076】
本明細書に記載のゲル化プロセスは、よく知られているゾル-ゲルプロセスと根本的に相違する。典型的なゾル-ゲルプロセスでは、最初に金属アルコキシドおよび金属塩化物の前駆体を可溶化して溶液(ゾル)を形成し、次に加水分解および重縮合反応を受けて溶媒中に固体粒子が分散されたコロイド系を形成し、続いて液相(ゲル)を含む無機ネットワークの形成へと進展させ、それを乾燥させてゲルから液相を除去することにより多孔質材料を形成することができる。対照的に、本発明のゲル化プロセスは加水分解または重縮合反応を含まず、極性有機溶媒中に分散された水不溶性ポリマー鎖のネットワークを形成する。
【0077】
上述したゲル化混合物はガス抜きに付すことができ、その際には、ゲル化混合物を減圧または真空条件下に配置して、ゲル化混合物から膨張性流体を除去するようにする。その後、マイクロスフェアの膨潤/ゲル化のために先に使用した極性有機溶媒と混和性である第2の溶媒を、ガス抜きしたゲル化混合物に、十分に撹拌しながら添加して、膨潤マイクロスフェアを互いから分離することによってゲル化混合物を「クエンチ」することができる。例えば、極性有機溶媒がアセトンである場合は、第2の溶媒をアセトンと混和性である水とすることができる。極性有機溶媒と第2の溶媒との非混和性のため、マイクロスフェアは、より空間的に互いから分離され、したがって、より分散されるようになる。こうしたマイクロスフェアのさらなる分散は、ゲル化混合物のその後の乾燥時における粒子合体のリスクを最小限に抑えるようにはたらく。マイクロスフェアのさらなる分離は、濾過または遠心分離工程によって達成することができるが、この工程は本発明においては任意である。
【0078】
ガス抜きおよびクエンチング工程後、好ましくは、極性有機溶媒と第2の溶媒をゲル化混合物から除去して、マイクロスフェア(内部に固体粒子を捕捉している)を含む乾燥した自由流動性の粉体を形成させる。極性有機溶媒と第2の溶媒の除去は、当技術分野でよく知られている以下のような各種の分離および/または乾燥技術を用いて容易に達成することができる:デカンテーション、遠心分離、濾過、溶媒抽出、空気乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥、流動床乾燥、超臨界流体乾燥など。ポリマー殻は、先に極性有機溶媒で膨潤されて、そこに多数のマイクロチャネルが貫通して多孔質になっているが、乾燥後に大幅に縮んで、その多孔性を失う。言い換えれば、ゲル化工程でマイクロスフェアの膨潤ポリマー殻に形成された貫通マイクロチャネルは、乾燥工程後に閉鎖され、それによってマイクロスフェアの内部に顔料粒子が確実に閉じ込められる。乾燥したマイクロスフェア同士の凝集を最小限にするため、得られた粉体はさらに、ミリングおよび1回以上のふるい分けにかけることができる。
【0079】
捕捉された顔料粒子が乾燥マイクロスフェアから漏出する潜在的リスクを排除するまたは最小限に抑えるために、得られた複合微粒子をコーティングまたは他の方法で表面処理することができる。適切なコーティング成分には、本明細書に記載したもの、例えば、本発明の組成物中で使用するのに適した成分に関して記載したような、シリコーン、ワックス、オイルなどが含まれる。複合微粒子が崩壊マイクロスフェアの形態である場合は、液体がマイクロスフェアに入り込んで、存在する着色剤を漏出させるのを防止するために、コーティングは液体に対して不透過性であることが好ましい。
【0080】
得られた複合微粒子は、英国ウスターシャー州(Worcestershire)所在のMalvern Instrument社から入手できるMalvern Particle Size Analyzerで測定して、約1〜約50ミクロン、さらに好ましくは約1〜約15ミクロン、最も好ましくは約5〜約8ミクロンの平均粒子径を有する。捕捉された着色剤は、全複合微粒子の全重量の約10%〜約90%、全重量の約30%〜約75%、最も好ましくは全重量の約40%〜約60%を構成することができる。
【0081】
図2は、未処理の中空マイクロスフェア10および、上述した方法に従って未処理の中空マイクロスフェア10を処理することによって形成される、本発明の一実施形態によるマイクロスフェア20の概略図を示す。具体的には、未処理の中空マイクロスフェア10は、膨張性流体14を内部に捕捉している、気密性の変形可能なポリマー殻12を含む。未処理の中空マイクロスフェア10の直径は約20ミクロンである。これに対して、本発明のマイクロスフェア20は、顔料粒子24を内部に捕捉しておりかつ液体不透過性膜26がコーティングされている、崩壊したポリマー殻22を含む。マイクロスフェア20の直径は未処理の中空マイクロスフェア10のそれよりかなり小さく、約5〜約8ミクロンの範囲である。
【0082】
また、カプセル化された着色剤の形態の複合微粒子、例えば米国特許第5,223,250号; 第5,531,985号; 第5,587,148号; および第5,733,531号(これらの全体が参照により本明細書に援用される)に開示されたもの、も適している。
【0083】
III. 化粧品組成物
複合微粒子は、ケラチン質表面への適用に適したさまざまな組成物を調製するために使用することができ、そうした組成物として、限定するものではないが、以下が挙げられる:クリーム、ローション、サンスクリーン、ファンデーション、コンシーラー、アイシャドー、頬紅、アイライナー、マスカラ、口紅、リップグロス、マニキュア、ヘア製品、例えばシャンプー、コンディショナー、ヘアスタイリング剤など。本組成物は水性のゲルもしくは分散体、エマルション、または無水の組成物の形態、および液体、半固体または固体の形態であり得る。適当な水性ゲルには、約0.1〜99%の水および約1〜99.9%の他の化粧品成分が含まれる。エマルションは、水中油型または油中水型であってよく、一般には約0.1〜99%の水および約0.1〜99%のオイルが含まれる。無水の組成物は一般に、0.1〜90%のオイルに加えて、約1%未満の水、および任意で他の成分を含有する。そのような組成物は以下の成分の1種以上を含むことができる。
【0084】
一般的に、約70〜30部、好ましくは60〜40部、最も好ましくは約50部の熱可塑性材料に対して約30〜70部、好ましくは40〜60部、最も好ましくは約50部の酸化鉄で全着色剤成分が構成される組成物は、自然なカバーに見える望ましいカラー効果を提供する。言い換えれば、有利なカラー効果は、約50〜80部の複合微粒子(より具体的には約2/3の複合微粒子)と約20〜50部(より具体的には約1/3)の酸化鉄との組合せにより達成され得る。
【0085】
A. オイル
適切なオイルには、本明細書に記載のものを含めて(それらに限定されない)、シリコーン類、エステル類、植物油、合成油が含まれる。推奨される量は約0.1〜99%、好ましくは約0.5〜95%、さらに好ましくは約1〜80%である。オイルは揮発性でも不揮発性でもよく、室温で注入可能な液体の形態であることが好ましい。用語「揮発性」とは、オイルが測定可能な蒸気圧または20℃で少なくとも約2mmの水銀蒸気圧をもつことを意味する。用語「不揮発性」とは、オイルが20℃で約2mm未満の水銀蒸気圧をもつことを意味する。
【0086】
1. 揮発性オイル
適切な揮発性オイルは一般に25℃で約0.5〜5センチストークスの粘度を有し、直鎖状もしくは環状シリコーン、パラフィン系炭化水素、またはこれらの混合物が含まれる。
【0087】
(a) 揮発性シリコーン
環状シリコーンは、本組成物中で使用できる揮発性シリコーンの1つのタイプであり、例えば、次式:
【化1】

【0088】
[式中、n=3〜6、好ましくは4、5または6]
を有するものが含まれる。
【0089】
また、直鎖状の揮発性シリコーンも適しており、例えば、一般式:
【化2】

【0090】
[式中、n=0、1、2、3、4または5、好ましくは0、1、2、3または4]
を有するものである。
【0091】
環状および直鎖状の揮発性シリコーンは、Dow Corning社およびGeneral Electric社を含めて、さまざまな商業的供給源から入手可能である。Dow Corning社の直鎖状揮発性シリコーンは、Dow Corning 244、245、344および200フルイッド(fluid)の商品名で販売されている。これらのフルイッドには、ヘキサメチルジシロキサン(粘度0.65センチストークス(略号cst))、オクタメチルトリシロキサン(1.0cst)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cst)、ドデカメチルペンタシロキサン(2cst)、およびこれらの混合物が含まれる(すべての粘度測定は25℃である)。
【0092】
適切な分岐状の揮発性シリコーンには、アルキルトリメチコン、例えばメチルトリメチコン、エチルトリメチコン、プロピルトリメチコン、ブチルトリメチコンなどが含まれる。メチルトリメチコンは信越シリコーン(Shin-Etsu Silicones)社から商品名TMF 1.5で購入することができ、25℃で1.5センチストークスの粘度を有する。このようなシリコーンは一般式:
【化3】

【0093】
[式中、各Rは独立してC1-4アルキル、好ましくはメチルである]
を有する。
【0094】
(b) 揮発性パラフィン系炭化水素
また、炭素原子数5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20、好ましくは炭素原子数8〜16のさまざまな直鎖状または分岐鎖状パラフィン系炭化水素も揮発性オイルとして適している。適切な炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、および米国特許第3,439,088号および第3,818,105号(これらの両方が参照により本明細書に援用される)に記載されるC8-20イソパラフィン類が挙げられる。
【0095】
そのようなパラフィン系炭化水素は、EXXON社からISOPARの商品名で、さらにまたPermethyl社から入手可能である。適当なC12イソパラフィンは商品名Permethyl 99AでPermethyl社により製造されている。市販されている各種のC16イソパラフィン、例えばイソヘキサデカン(商品名Permethyl R)も適している。
【0096】
2. 不揮発性オイル
さまざまな不揮発性オイルもまた、本発明の組成物中で用いるのに適している。不揮発性オイルは、一般に25℃で約5〜10センチストークスを超える粘度を有し、25℃で約1,000,000センチストークスまでの粘度範囲であり得る。不揮発性オイルの例としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:
1. エステル
適切なエステルはモノ-、ジ-、およびトリエステルである。本組成物はそのグループから選択される1種以上のエステル、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0097】
モノエステルは、式R-COOH(ここで、Rは炭素原子数2〜45の直鎖もしくは分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル、またはフェニルである)を有するモノカルボン酸と、式R-OH(ここで、Rは炭素原子数2〜30の直鎖もしくは分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル、またはフェニルである)を有するアルコールとの反応により形成されるエステルと定義される。アルコールと酸はいずれも1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。酸またはアルコールの一方または両方が「脂肪」酸または「脂肪」アルコールであってもよく、直鎖もしくは分岐鎖状の、飽和もしくは不飽和の形態で約6〜30個の炭素原子、さらに好ましくは12、14、16、18または22個の炭素原子をもち得る。本発明の組成物中で使用できるモノエステル油の例としては、以下が挙げられる:ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸セチル、ネオペンタン酸イソステアリル、ヘプタン酸ステアリル、イソノナン酸イソステアリル、乳酸ステアリル、オクタン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソノナン酸イソノニルなど。
【0098】
適切なジエステルは、ジカルボン酸と脂肪族もしくは芳香族アルコールとの、または少なくとも2個の置換ヒドロキシル基をもつ脂肪族もしくは芳香族アルコールとモノカルボン酸との反応生成物である。ジカルボン酸は2〜30個の炭素原子を含み、直鎖もしくは分岐鎖状の、飽和もしくは不飽和の形態であり得る。ジカルボン酸は1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。脂肪族もしくは芳香族アルコールもまた、2〜30個の炭素原子を含み、直鎖もしくは分岐鎖状の、飽和もしくは不飽和の形態であり得る。好ましくは、酸またはアルコールの1種以上が脂肪酸または脂肪アルコールであり、すなわち、12〜22個の炭素原子を含む。ジカルボン酸はα-ヒドロキシ酸であってもよい。エステルはまた、二量体または三量体の形態であってもよい。本発明の組成物中で使用できるジエステル油の例としては、比較的低粘度のもの、例えば、以下が挙げられる:リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジブチル、ダイマージリノール酸ジセテアリル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジイソセチル、アジピン酸ジイソノニル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、フマル酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジオクチルなど。
【0099】
適切なトリエステルは、トリカルボン酸と脂肪族もしくは芳香族アルコールとの反応生成物、あるいはまた、3個以上の置換ヒドロキシル基をもつ脂肪族もしくは芳香族アルコールとモノカルボン酸との反応生成物を含む。上述したモノ-およびジエステルと同様に、酸およびアルコールは2〜30個の炭素原子を含み、飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖であってよく、1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。好ましくは、酸またはアルコールの1種以上が12〜22個の炭素原子を含む脂肪酸または脂肪アルコールである。トリエステルの例としては、以下が挙げられる:アラキドン酸、クエン酸、またはベヘン酸のエステル、例えば、トリアラキジン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリC12-13アルキル、トリカプリリン、クエン酸トリカプリリル、ベヘン酸トリデシル、クエン酸トリオクチルドデシル、ベヘン酸トリデシル、またはヤシ油脂肪酸トリデシル(tridecyl cocoate)、イソノナン酸トリデシルなど。
【0100】
本組成物中での使用に適するエステルは、C.T.F.A. Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, 第11版, 2006の「エステル類」の分類下にさらに記載されており、このテキストの全体が参照により本明細書に援用される。
【0101】
2. 炭化水素油
1種以上の不揮発性炭化水素油を本組成物中に配合することが望ましいことがある。適当な不揮発性炭化水素油には、パラフィン系炭化水素およびオレフィン類、好ましくは約20個を超える炭素原子をもつもの、が含まれる。そのような炭化水素油の例としては、以下が挙げられる:C24-28オレフィン、C30-45オレフィン、C20-40イソパラフィン、水添ポリイソブテン、ポリイソブテン、ポリデセン、水添ポリデセン、ミネラルオイル、ペンタヒドロスクアレン、スクアレン、スクアラン、およびこれらの混合物。好ましい一実施形態では、そのような炭化水素が約300〜1000ダルトンの分子量を有する。
【0102】
3. 脂肪酸のグリセリルエステル
合成または天然の脂肪酸グリセリルエステル、またはトリグリセリドもまた、本組成物中での使用に適している。植物および動物の両供給源を使用することができる。このような油の例としては、以下が挙げられる:ヒマシ油、ラノリン油、C10-18トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/トリグリセリド、スイートアーモンド油、アンズ核油、ゴマ油、カメリナ・サティバ(camelina sativa)油、タマヌ(tamanu)種子油、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油、インク油、オリーブ油、パーム油、イリッペ脂(illipe butter)、菜種油、大豆油、ブドウ種子油、ヒマワリ種子油、クルミ油など。
【0103】
また、改変された天然の油脂である脂肪酸モノ-、ジ-およびトリグリセリドのような、合成または半合成のグリセリルエステル、例えばグリセリンのようなポリオールのモノ-、ジ-またはトリエステルも適している。一例では、脂肪(C12-22)カルボン酸が1つ以上の反復グリセリル基と反応している。ステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、リシノレイン酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、テトライソステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジステアリン酸ジグリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、PEGヒマシ油、オレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリル、PEG牛脂脂肪酸グリセリルなど。
【0104】
4. 不揮発性シリコーン
不揮発性のシリコーン油は、水可溶性と水不溶性のどちらも、本組成物での使用に適している。このようなシリコーンは好ましくは25℃で約5〜800,000cst、さらに好ましくは20〜200,000cstの粘度を有する。適当な水不溶性シリコーンには、アモジメチコンなどのアミン官能性シリコーンが含まれる。
【0105】
例えば、そのような不揮発性シリコーンは、次の一般式:
【化4】

【0106】
[式中、RおよびR'は、それぞれ独立して、C1-30直鎖もしくは分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル、フェニルまたはアリール、トリアルキルシロキシであり、そしてxおよびyは、それぞれ独立して、1〜1,000,000である;ただし、xまたはyの少なくとも1つが存在し、かつAがアルキルシロキシエンドキャップ単位であることを条件とする]
をもつことができる。
【0107】
好ましいものは、Aがメチルシロキシエンドキャップ単位、特にトリメチルシロキシであり、そしてRおよびR'がそれぞれ独立して、C1-30直鎖もしくは分岐鎖アルキル、フェニル、またはトリメチルシロキシ、さらに好ましくはC1-22アルキル、フェニル、またはトリメチルシロキシ、最も好ましくはメチル、フェニル、またはトリメチルシロキシである場合であり、得られるシリコーンはジメチコン、フェニルジメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、またはトリメチルシロキシフェニルジメチコンである。他の例には、アルキルジメチコン、例えば、セチルジメチコンおよび同類のもの[少なくとも一方のRが脂肪アルキル(C12、C14、C16、C18、C20またはC22)であり、他方のRがメチルであり、そしてAがトリメチルシロキシエンドキャップ単位である]が含まれるが、そのようなアルキルジメチコンは室温で注入可能な液体であることを条件とする。フェニルトリメチコンは商品名556 FluidでDow Corning社から購入することができる。トリメチルシロキシフェニルジメチコンは商品名PDM-1000でWacker-Chemie社から購入可能である。セチルジメチコン(液状シリコーンワックスとも称する)は、Dow Corning社からFluid 2502として、またDeGussa Care & Surface Specialties社から商品名Abil Wax 9801もしくは9814として購入することができる。
【0108】
B. 保湿剤
本発明の組成物は1種以上の保湿剤を含むこともできる。存在する場合、推奨される範囲は、全組成物の重量ベースで、約0.001〜50%、好ましくは約0.01〜45%、さらに好ましくは約0.05〜40%である。適切な保湿剤の例には、グリコール類、糖類などが含まれる。適当なグリコール類はモノマーまたはポリマーの形態であり、ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、例えば4〜200のエチレンオキシド反復単位を有するポリエチレングリコールであるPEG 4-200;ならびにC1-6アルキレングリコール、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールなどが含まれる。適当な糖類(その一部は多価アルコールでもある)もまた、適切な保湿剤である。そのような糖類の例としては、グルコース、フルクトース、ハチミツ、水添ハチミツ、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、キシリトール、キシロース、トレハロースなどが含まれる。また、尿素または糖誘導体、例えばエチルヘキシルグリセリンも適している。好ましい一実施形態では、本発明の組成物中で用いられる保湿剤は、C1-6、好ましくはC2-4アルキレングリコール、最も具体的にはブチレングリコールである。
【0109】
C. 界面活性剤
必要に応じて、本発明の組成物は1種以上の界面活性剤を含むことができる。それは、本組成物が水性ゲルまたはエマルションの形態である場合に特に望ましい。存在する場合、界面活性剤は、全組成物の重量ベースで、約0.001〜50%、好ましくは約0.005〜40%、さらに好ましくは約0.01〜35%の範囲であり得る。適切な界面活性剤はシリコーンまたは有機、非イオン性、アニオン性、両性もしくは双性イオン性であり得る。このような界面活性剤には、限定するものではないが、本明細書に記載されるものが含まれる。
【0110】
1. シリコーン界面活性剤
適切なシリコーン界面活性剤には、両親媒性の性質を有する(例えば、親水性基と親油性基を含む)ポリオルガノシロキサンポリマーが含まれる。これらのシリコーン界面活性剤は室温で液体または固体であり得る。
【0111】
(a) ジメチコンコポリオールまたはアルキルジメチコンコポリオール
使用可能なシリコーン界面活性剤の1つのタイプは、総称的にジメチコンコポリオールまたはアルキルジメチコンコポリオールと呼ばれている。それは約2〜18の親水性/親油性バランス(HLB)を有する油中水型または水中油型の界面活性剤であり得る。好ましくは、シリコーン界面活性剤は、HLBが約2〜12、好ましくは約2〜10、最も好ましくは約4〜6の範囲にある非イオン性界面活性剤である。用語「親水性基」とは、オルガノシロキサンポリマー主鎖に置換されたとき、そのポリマーの置換部分に親水性を付与する基を意味する。親水性を付与する基の例は、ヒドロキシ-ポリエチレンオキシ、ヒドロキシル、カルボキシレート、およびこれらの混合物である。用語「親油性基」とは、オルガノシロキサンポリマー主鎖に置換されたとき、そのポリマーの置換部分に親油性を付与する有機基を意味する。親油性を付与する有機基の例は、C1-40直鎖もしくは分岐鎖アルキル、フルオロ、アリール、アリールオキシ、C1-40ヒドロカルビルアシル、ヒドロキシ-ポリプロピレンオキシ、またはこれらの混合物である。
【0112】
適切なシリコーン界面活性剤の1つのタイプは、一般式:
【化5】

【0113】
[式中、pは0〜40(この範囲はその間のすべての数字および部分範囲を含み、例えば2、3、4、13、14、15、16、17、18などを含む)であり、PEは(-C2H4O)a-(-C3H6O)b-H (ここでaは0〜25、bは0〜25であるが、ただしaとbの両方が同時に0であることはない)であり、そしてxおよびyはそれぞれ独立して0〜100万の範囲であるが、ただしxとyの両方が同時に0であることはない]
を有する。1つの好ましい実施形態では、x、y、z、aおよびbは、ポリマーの分子量が約5,000〜約500,000、さらに好ましくは約10,000〜100,000の範囲となり、最も好ましくは約50,000となるようなものであり、そのポリマーは総称的にジメチコンコポリオールと呼ばれるものである。
【0114】
シリコーン界面活性剤の1つのタイプは、長鎖アルキルがセチルまたはラウリルであるようなpであるものであり、その界面活性剤は総称的に、それぞれセチルジメチコンコポリオールまたはラウリルジメチコンコポリオールと呼ばれる。
【0115】
ある場合には、ポリマー中のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの反復単位の数も特定されており、例えば、PEG-15/PPG-10ジメチコンとも称されるジメチコンコポリオールがそうであり、これはシロキサン主鎖上に15個のエチレングリコール単位と10個のプロピレングリコール単位を含む置換基を有するジメチコンを指す。上記一般構造の1個以上のメチル基がより長鎖のアルキル(例えば、エチル、プロピル、ブチルなど)またはエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテルなど)で置換されることも可能である。
【0116】
シリコーン界面活性剤の例としては、以下が挙げられる:Dow Corning社から販売されている商品名5225C Formulation Aid (CTFA名をシクロペンタシロキサン(および)PEG/PPG-18/18ジメチコンという);またはDow Corning 190 Surfactant (CTFA名をPEG/PPG-18/18ジメチコンという);またはDow Corning 193 Fluid、Dow Corning 5200 (CTFA名をラウリルPEG/PPG-18/18メチコンという);またはGoldschmidt社から販売されているAbil EM 90 (CTFA名をセチルPEG/PPG-14/14ジメチコンという);またはGoldschmidt社から販売されているAbil EM 97 (CTFA名をビス-セチルPEG/PPG-14/14ジメチコンという);またはイソステアリン酸ポリグリセリル-4およびラウリン酸ヘキシルをも含む混合物中のAbil WE 09 (CTFA名をセチルPEG/PPG-10/1ジメチコンという);または信越シリコーン社から販売されているKF-6011 (CTFA名をPEG-11メチルエーテルジメチコンという);または信越シリコーン社から販売されているKF-6012 (CTFA名をPEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコンという);または信越シリコーン社から販売されているKF-6013 (CTFA名をPEG-9ジメチコンという);または信越シリコーン社から販売されているKF-6015 (CTFA名をPEG-3ジメチコンという);または信越シリコーン社から販売されているKF-6016 (CTFA名をPEG-9メチルエーテルジメチコンという);または信越シリコーン社から販売されているKF-6017 (CTFA名をPEG-10ジメチコンという);または信越シリコーン社から販売されているKF-6038 (CTFA名をラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンという)。
【0117】
(b) 架橋型シリコーン界面活性剤
架橋型シリコーン界面活性剤は、しばしば乳化性エラストマーとも呼ばれており、好ましいものである。一般的に、これらのポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーは、ケイ素に結合した少なくとも1個の水素を含むジオルガノポリシロキサンと少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含むポリオキシアルキレンとの架橋付加反応によって得ることができる架橋型オルガノポリシロキサンである。少なくとも1つの実施形態において、ポリオキシアルキレン化架橋オルガノポリシロキサンは、少なくとも2個の水素(それぞれがケイ素に結合)を含むジオルガノポリシロキサンと少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含むポリオキシアルキレンとの架橋付加反応を、任意で白金触媒の存在下に、行うことによって得られ、例えば、米国特許第5,236,986号、米国特許第5,412,004号、米国特許第5,837,793号および米国特許第5,811,487号に記載されている(これらの内容を参照により本明細書に援用する)。
【0118】
使用できるポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーとしては、以下が挙げられる:信越シリコーン社から販売される商品名KSG-21、KSG-20、KSG-30、KSG-31、KSG-32、KSG-33;KSG-210(ジメチコン中に分散されたジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー);KSG-310(PEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマー);KSG-320(イソドデカン中に分散されたPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマー);KSG-330(トリエチルヘキサノイン中に分散された前記ポリマー);KSG-340(PEG-10ラウリルジメチコンクロスポリマーとPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーの混合物)。
【0119】
また、PCT/WO 2004/024798(その全体が参照により本明細書に援用される)に開示されるようなポリグリセロール化シリコーンエラストマーも適している。このようなエラストマーには、信越のKSGシリーズ、例えば、KSG-710(ジメチコン中に分散されたジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー);または信越の商品名KSG-810、KSG-820、KSG-830またはKSG-840で販売されている、イソドデカン、ジメチコン、トリエチルヘキサノインなどの各種溶媒中に分散されたラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーが含まれる。Dow Corning社から9010およびDC9011の商品名で販売されているシリコーンも適している。
【0120】
1つの好ましい架橋型シリコーンエラストマー乳化剤は、そのエラストマー主鎖による優れた美観だけでなく界面活性作用をも提供する、ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマーである。
【0121】
2. 有機非イオン性界面活性剤
本組成物は1種以上の非イオン性有機界面活性剤を含むことができる。適当な非イオン性界面活性剤には、アルコールとアルキレンオキシド(通常はエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)との反応により形成される、アルコキシル化アルコール、つまりエーテルが含まれる。好ましくは、アルコールは炭素原子数6〜30の脂肪アルコールである。このような成分の例としては、以下が挙げられる:ステアレス(Steareth)2-100(ステアリルアルコールとエチレンオキシドとの反応により形成され、エチレンオキシド単位の数が2〜100の範囲である);ベヘネス(Beheneth)5-30(ベヘニルアルコールとエチレンオキシドとの反応により形成され、エチレンオキシド反復単位の数が5〜30である);セテアレス(Ceteareth)2-100(セチルアルコールおよびステアリルアルコールの混合物とエチレンオキシドとの反応により形成され、分子中のエチレンオキシド反復単位の数が2〜100である);セテス(Ceteth)1-45(セチルアルコールとエチレンオキシドとの反応により形成され、エチレンオキシド反復単位の数が1〜45である);ラウレス(Laureth)2-100(ラウリルアルコールとエチレンオキシドとの反応により形成され、エチレンオキシド反復単位の数が2〜100である)など。
【0122】
他のアルコキシル化アルコールは、脂肪酸および一価、二価または多価アルコールをアルキレンオキシドと反応させることによって形成される。例えば、C6-30脂肪カルボン酸および多価アルコール(グルコース、ガラクトース、メチルグルコースなどの単糖類)をアルコキシル化アルコールと反応させた生成物。例としては、グリセリル脂肪酸エステルと反応させた高分子アルキレングリコール、例えばオレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリルなど;またはポリヒドロキシアルカン酸PEG、例えばジポリヒドロキシステアリン酸PEG(エチレングリコール反復単位の数は3〜1000の範囲である)が含まれる。また、C6-30飽和または不飽和脂肪酸のエトキシル化プロポキシル化誘導体、例えば、アジピン酸ジPPG-2ミレス-10、アジピン酸ジPPG-2セテス-4、アジピン酸ジPPGミリスチルエーテルも適している。
【0123】
使用できる他の非イオン性界面活性剤は、カルボン酸と、アルキレンオキシドとの、あるいは高分子エーテルまたはモノマーの、ホモポリマーのもしくはブロックコポリマーのエーテル;またはアルコキシル化ソルビタンおよびアルコキシル化ソルビタン誘導体との、反応により形成される。例えば、ソルビタンのアルコキシル化(特にエトキシル化)はポリアルコキシル化ソルビタン誘導体をもたらす。ポリアルコキシル化ソルビタンのエステル化は、ポリソルベートのようなソルビタンエステルを提供する。例えば、ポリアルコキシル化ソルビタンは、C6-30(好ましくはC12-22)脂肪酸を用いてエステル化することができる。このような成分の例としては、以下が挙げられる:ポリソルベート20-85、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタンなど。
【0124】
D. 構造化剤
本組成物に1種以上の構造化剤を含めることが望ましいこともある。構造化剤は本組成物の粘度を高め、それゆえに構造を強化する。構造化剤は親油性または親水性であってよく、本組成物の水相または非水相の一部を形成する。存在する場合、構造化剤は本組成物の約0.1〜60%、好ましくは約0.5〜50%、さらに好ましくは約1〜45%の範囲であり得る。
【0125】
望ましい構造化剤には、シリコーンエラストマー、シリコーンゴムまたはワックス、天然または合成ワックス、ポリアミド、シリコーンポリアミドなどが含まれる。
【0126】
1. シリコーンエラストマー
シリコーンエラストマーには、SiH含有ジオルガノシロキサンおよび末端オレフィン性不飽和を有するオルガノポリシロキサンまたはα,ω-ジエン炭化水素を白金触媒の存在下で反応させることによる、付加反応-硬化によって形成されるものが含まれる。このようなエラストマーはまた、他の反応方法によっても形成することができ、例えば、ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンとSiH含有ジオルガノポリシロキサンまたはα,ω-ジエンの間の脱水素化反応による、有機スズ化合物の存在下でのオルガノポリシロキサン組成物の縮合-硬化;またはヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと加水分解可能なオルガノシロキサンとの縮合反応を用いる、有機スズ化合物またはチタン酸エステルの存在下でのオルガノポリシロキサン組成物の縮合-硬化;有機ペルオキシド触媒の存在下で熱硬化するオルガノポリシロキサン組成物のペルオキシド硬化などの方法である。
【0127】
適切なエラストマーの1つのタイプは、各分子中に少なくとも2個の低級アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンまたはα,ω-ジエン;および各分子中に少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン;および白金型触媒の付加反応-硬化によって製造される。ビニルなどの低級アルケニル基は分子内の任意の位置に存在し得るが、一方または両方の分子末端にあるオレフィン性不飽和が好適である。この成分の分子構造は直鎖、分岐鎖、環状または網状であり得る。これらのオルガノポリシロキサンは以下によって例示される:メチルビニルシロキサン、メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、およびジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチル(3,3,-トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマー、デカジエン、オクタジエン、ヘプタジエン、ヘキサジエン、ペンタジエン、またはテトラジエン、またはトリジエン。
【0128】
硬化は、ジメチルメチルハイドロジェンシロキサンのケイ素結合水素原子とシロキサンまたはα,ω-ジエンとの、本明細書に記載の触媒を用いる触媒作用のもとでの付加反応によって進行する。高度に架橋された構造を形成するには、メチルハイドロジェンシロキサンは架橋剤としての機能を最適化するために各分子内に少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含む必要がある。
【0129】
ケイ素結合水素原子とアルケニル基の付加反応に用いられる触媒としては、具体的には、塩化白金酸(場合によりアルコールまたはケトン中に溶解して、この溶液を任意で熟成させる)、塩化白金酸-オレフィン錯体、塩化白金酸-アルケニルシロキサン錯体、塩化白金酸-ジケトン錯体、白金黒、およびキャリア担持白金が示される。
【0130】
本発明の組成物での使用に適するシリコーンエラストマーの例は、粉末形態であってもよいし、溶媒(揮発性もしくは不揮発性シリコーン、またはシリコーン適合性ビヒクル、例えばパラフィン系炭化水素もしくはエステル)中に分散または可溶化されたものでもよい。シリコーンエラストマー粉体の例としては、以下が挙げられる:ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、例えば、信越のKSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104、KSP-105;フルオロアルキル基を含むハイブリッドシリコーン粉体、例えば、フルオロ-シリコーンエラストマーである信越のKSP-200;およびフェニル基を含むハイブリッドシリコーン粉体、例えば、フェニル置換シリコーンエラストマーである信越のKSP-300;ならびにDow Corning社のDC 9506。シリコーン適合性ビヒクル中に分散されたシリコーンエラストマー粉体の例には、さまざまな供給業者から供給されるジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーが含まれ、例えば、Dow Corning社の商品名9040もしくは9041、GE Silicones社の商品名SFE 839、または信越シリコーン社の商品名KSG-15、16、18が含まれる。KSG-15のCTFA名は、シクロペンタシロキサン/ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーである。KSG-18のINCI名は、フェニルトリメチコン/ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマーである。シリコーンエラストマーはまた、Gransilの商標でGrant Industries社から購入することもできる。また、信越から商品名KSG-31、KSG-32、KSG-41、KSG-42、KSG-43およびKSG-44で供給されるラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーなどの、長鎖アルキル置換を有するシリコーンエラストマーも適している。本発明において有用な架橋型オルガノポリシロキサンエラストマーおよびそれらの製造方法は、1990年11月13日発行のSakutaらによる米国特許第4,970,252号;1998年6月2日発行のKilgourらによる米国特許第5,760,116号;1997年8月5日発行のSchulz, Jr.らによる米国特許第5,654,362号;およびポーラ化成工業(株)出願の日本国特許出願JP 61-18708号にさらに記載されており、これらのそれぞれはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0131】
2. シリコーンゴム
シリコーンゴムも適切な構造化剤である。用語「ゴム」は、ゴムのような質感を有するシリコーンを提供するのに十分な重合度をもつシリコーンポリマーを意味する。特定の場合に、ゴムを形成しているシリコーンポリマーは架橋型であり得る。シリコーンゴムは一般的に25℃で約500,000〜1億cst、好ましくは約600,000〜2000万cst、さらに好ましくは約600,000〜1200万cstの粘度を有する。本明細書に記載されるすべての範囲はすべての部分範囲、例えば550,000、925,000、350万を含むものである。
【0132】
このようなシリコーンゴムは、Wacker-Chemie社またはDow Corning社などを含むさまざまなシリコーン製造業者から純粋な形態で購入することができる。こうしたシリコーンゴムには、Wacker-Belsil社から商品名CM3092、Wacker-Belsil 1000、またはWacker-Belsil DM 3096で販売されるものが含まれる。XがOHであるシリコーンゴム(ジメチコノールとも呼ばれる)は、Dow Corning社から商品名1401で入手可能である。シリコーンゴムはまた、揮発性もしくは不揮発性シリコーンなどのシリコーン適合性ビヒクル中の溶液または分散液の形態でも購入することができる。そのような混合物の例は、Barnet Silicones社から商品名HL-88(INCI名はジメチコン)で購入可能である。
【0133】
3. ポリアミドまたはシリコーンポリアミド
また、ポリアミドまたはシリコーンポリアミドなどの、さまざまなタイプのポリマー化合物が油相構造化剤として適している。
【0134】
用語「シリコーンポリアミド」は、本明細書でさらに説明されるように、シリコーンモノマーとアミド基含有モノマーで構成されるポリマーを意味する。シリコーンポリアミドは好ましくは、次の一般式の部分を含む:
【化6】

【0135】
[式中、
Xは、約1〜30個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレンであり;R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、1個以上のヒドロキシル基またはハロゲンで置換されていてもよいC1-30直鎖または分岐鎖アルキル;1個以上のC1-30アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシルまたはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル;または一般式:
【化7】

【0136】
を有するシロキサン鎖であり;そして
Yは、以下の(a)または(b)である:
(a)約1〜40個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキレンであって、(i)一般式R1CONR1を有する1個以上のアミド基、もしくは(ii)C5-6環式基、もしくは(iii)1個以上のC1-10アルキル基で置換されていてもよいフェニレン、もしくは(iv)ヒドロキシ、もしくは(v)C3-8シクロアルカン、もしくは(vi)1個以上のヒドロキシ基で置換されていてもよいC1-20アルキル、もしくは(vii)C1-10アルキルアミン、で置換されていてもよい、上記アルキレン;または
(b)TR5R6R7
ここで、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して、C1-10直鎖もしくは分岐鎖アルキレンであり、そしてTはCR8(ここで、R8は水素、三価の原子N、PもしくはAl、または1個以上のヒドロキシル基もしくはハロゲンで置換されていてもよいC1-30直鎖または分岐鎖アルキルである);1個以上のC1-30アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、またはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル;もしくは一般式:
【化8】

【0137】
を有するシロキサン鎖である]。
【0138】
好ましいものは、R1、R2、R3およびR4がC1-10、好ましくはメチルであり;そしてXおよびYが直鎖または分岐鎖アルキレンである場合である。好ましいものは、一般式:
【化9】

【0139】
[式中、aおよびbは、それぞれ独立して、約60〜120℃の融点および約40,000〜500,000ダルトンの分子量を有するシリコーンポリアミドポリマーを提供するのに十分である]を有するシリコーンポリアミドである。本発明の組成物に使用できるシリコーンポリアミドの1つのタイプは、Dow Corning社からDow Corning 2-8178 gellant(CTFA名をナイロン-611/ジメチコンコポリマーという)の商品名で購入することができ、これはPPG-3ミリスチルエーテルを含有する組成物として販売されている。
【0140】
また、Arizona Chemical社からUniclearおよびSylvaclearの商品名で購入できるようなポリアミドも適している。このようなポリアミドは末端基がエステルまたはアミドであり得る。エステル末端ポリアミドの例としては、限定するものではないが、次の一般式を有するものが挙げられる:
【化10】

【0141】
[式中、nは、エステル基の数がエステル基とアミド基の合計数の約10%〜50%の範囲となるような、アミド単位の数を表し;各R1は、独立して、少なくとも4個の炭素原子を含むアルキルまたはアルケニル基であり;各R2は、独立して、C4-42炭化水素基であるが、ただし、R2基の少なくとも50%はC30-42炭化水素であり;各R3は、独立して、少なくとも2個の炭素原子、水素原子および任意で1個以上の酸素または窒素原子を含む有機基であり;そして各R4は、独立して、水素原子、C1-10アルキル基、またはR3へのもしくは別のR4への直接結合(その結果として、R3とR4の両方に結合している窒素原子がR4-N-R3によって規定されるヘテロ環構造の一部を形成する)であるが、ただし、基R4の少なくとも50%は水素原子を表す]。
【0142】
使用可能なエステルおよびアミド末端ポリアミドとしては、Arizona Chemical社から以下の商品名で販売されているものが挙げられる:Sylvaclear A200VもしくはA2614V(両方のCTFA名はエチレンジアミン/水添ダイマージリノレートコポリマー/ビス-ジC14-18アルキルアミドである); Sylvaclear AF1900V; Sylvaclear C75V(CTFA名はビス-ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水添ダイマージリノレートコポリマーである); Sylvaclear PA1200V(CTFA名はポリアミド-3である); Sylvaclear PE400V; Sylvaclear WF1500V; またはUniclear、例えば、Uniclear 100VG(INCI名はエチレンジアミン/ステアリルダイマージリノレートコポリマーである); またはエチレンジアミン/ステアリルダイマージタラートコポリマー。その他の適切なポリアミドの例としては、Henkel社からVersamid(例えば、Versamid 930、744、1655)の商標で、またはOlin Mathieson Chemical社からOnamid SもしくはOnamid Cのブランド名で販売されているものが挙げられる。
【0143】
4. 天然または合成有機ワックス
1種以上の天然または合成ワックス、例えば動物性、植物性または鉱物性ワックスなども構造化剤として適している可能性がある。好ましくは、このようなワックスは比較的高い融点を有し、例えば、約60〜150℃、さらに好ましくは約65〜100℃の融点をもつ。こうしたワックスの例として、以下が挙げられる:フィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)合成により製造されるワックス、例えばポリエチレンまたは合成ワックス;または種々の植物性ワックス、例えばヤマモモ、キャンデリラ、オゾケライト、アカシア、ミツロウ、セレシン、セチルエステル、フラワーワックス、シトラスワックス、カルナウバワックス、ホホバワックス、ジャパンワックス、ポリエチレン、マイクロクリスタリン、米ぬか、ラノリンワックス、ミンク、モンタン、ヤマモモ、オウリクリー(ouricury)、オゾケライト、パームワックス、パラフィン、アボカドワックス、リンゴワックス、シェラックワックス、クラリー(clary)ワックス、オオムギ麦芽外殻ワックス(spent grain wax)、ブドウワックス、およびこれらのポリアルキレングリコール誘導体、例えばPEG6-20ミツロウ、もしくはPEG-12カルナウバワックス;または脂肪酸もしくは脂肪アルコール(これらのエステルを含む)、例えばヒドロキシステアリン酸類(例:12-ヒドロキシステアリン酸)、トリステアリン、トリベヘニン、オレイン酸、ステアリン酸など。
【0144】
5. モンモリロナイト鉱物
使用可能な構造化剤の1つのタイプには、天然または合成モンモリロナイト鉱物、例えばヘクトライト、ベントナイト、およびこれらの四級化誘導体(鉱物を第四級アンモニウム化合物と反応させることによって得られる)、例えばステアラルコニウムベントナイト、ヘクトライト類、四級化ヘクトライト類、例えばクオタニウム-18ヘクトライト、アタパルジャイト、カーボネート類、例えばプロピレンカーボネート、ベントン類などが含まれる。
【0145】
6. シリカおよびケイ酸塩
使用可能な構造化剤の別のタイプは、シリカ、ケイ酸塩、またはシリル化シリカ、およびこれらのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属誘導体である。これらのシリカおよびケイ酸塩は一般に微粒子の形態で存在し、シリカ、シリル化シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどが含まれる。
【0146】
また、さまざまなタイプの多糖類(例えば、キサンタンガム)も構造化剤として適している。
【0147】
E. サンスクリーン剤
本発明の組成物には1種以上のサンスクリーン剤を含めることも望ましいかもしれない。そのようなサンスクリーン剤には、化学的UVAもしくはUVBサンスクリーン剤または微粒子状の物理的サンスクリーン剤が含まれる。
【0148】
1. UVA化学的サンスクリーン剤
必要に応じて、本組成物は1種以上のUVAサンスクリーン剤を含むことができる。用語「UVAサンスクリーン剤」とは、約320〜400nmの波長範囲の紫外線を遮断する化合物を意味する。好ましいUVAサンスクリーン剤は、一般式:
【化11】

【0149】
[式中、R1はH、ORまたはNRRであり、ここで各Rは独立してH、C1-20直鎖または分岐鎖アルキルであり;R2はHまたはOHであり;そしてR3はH、C1-20直鎖または分岐鎖アルキルである]を有するジベンゾイルメタン化合物である。
【0150】
好ましいのは、R1がORであり、ここでRはC1-20直鎖または分岐鎖アルキル、好ましくはメチルであり;R2がHであり;そしてR3がC1-20直鎖または分岐鎖アルキル、更に好ましくはブチルである場合である。
【0151】
この一般式の適切なUVAサンスクリーン化合物の例としては、以下が挙げられる:4-メチルジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピルベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピルベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンなど。特に好ましいものは、アボベンゾン(Avobenzone)とも呼ばれる、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタンである。アボベンゾンは、Givaudan-Roure社から商標名Parsol 1789で、またMerck & Co.社から商品名Eusolex 9020で販売されている。
【0152】
UVAサンスクリーン剤の他のタイプには、ジカンフルスルホン酸誘導体が含まれ、例えば、商品名Mexoryl(商標)で販売されているサンスクリーン剤、エカムスル(ecamsule)があり、これは次式を有するテレフタリリデンジカンフルスルホン酸である:
【化12】

【0153】
本組成物は、組成物の重量ベースで、約0.001〜20%、好ましくは0.005〜5%、さらに好ましくは約0.005〜3%のUVAサンスクリーン剤を含むことができる。本発明の好ましい実施形態では、UVAサンスクリーン剤はアボベンゾンであり、それが全組成物の重量ベースで約3%を超えない量で存在する。
【0154】
2. UVB化学的サンスクリーン剤
用語「UVBサンスクリーン剤」とは、約290〜320nmの波長範囲の紫外線を遮断する化合物を意味する。さまざまなUVB化学的サンスクリーン剤が、米国特許第3,215,724号(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されるα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリル酸エステルを含めて、存在している。α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリル酸エステルの1つの具体例はオクトクリレン(Octocrylene)であり、これは2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシルである。いくつかの場合に、本組成物は、全組成物の重量ベースで、約110%を超えないオクトクリレンを含むことができる。適切な量は重量ベースで約0.001〜10%の範囲である。オクトクリレンはBASF社からUvinul N-539の商品名で購入することができる。
【0155】
その他の適切なサンスクリーン剤としては、米国特許第3,781,417号(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されるベンジリデンカンフル誘導体が挙げられる。このようなベンジリデンカンフル誘導体は一般式:
【化13】

【0156】
[式中、Rはp-トリルまたはスチリル、好ましくはスチリルである]を有する。特に好ましいものは4-メチルベンジリデンカンフルであり、これはMerck社から商品名Eusolex 6300で販売されている脂溶性UVBサンスクリーン化合物である。
【0157】
また、適切なものは、一般式:
【化14】

【0158】
[式中、RおよびR1は、それぞれ独立して、C1-20直鎖または分岐鎖アルキルである]を有するケイ皮酸エステル誘導体である。好ましいものは、Rがメチルで、R1が分岐鎖C1-10、好ましくはC8アルキルである場合である。好適な化合物はメトキシケイ皮酸エチルヘキシルであり、これはオクトキシネート(Octoxinate)またはメトキシケイ皮酸オクチルとも呼ばれている。この化合物はGivaudan社から商品名Parsol MCXで、またはBASF社から商品名Uvinul MC 80で購入することができる。また、このようなメトキシケイ皮酸のモノ-、ジ-およびトリエタノールアミン誘導体、例えばメトキシケイ皮酸ジエタノールアミンも適している。上記化合物の芳香族エーテル誘導体であるシノキセート(Cinoxate)も許容される。存在する場合、シノキセートは全組成物の重量ベースで約3%を超えない量で存在すべきである。
【0159】
さらに、UVBサンスクリーン剤として適切なものは、一般式:
【化15】

【0160】
[式中、R〜R9は、それぞれ独立して、H、OH、NaO3S、SO3H、SO3Na、Cl、R''、OR''であり、ここでR''はC1-20直鎖または分岐鎖アルキルである]を有する種々のベンゾフェノン誘導体である。このような化合物の例には、ベンゾフェノン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11および12が含まれる。特に好ましいのは、ベンゾフェノン誘導体がベンゾフェノン3 (オキシベンゾン(Oxybenzone)とも呼ばれる)、ベンゾフェノン4 (スリソベンゾン(Sulisobenzone)とも呼ばれる)、べンゾフェノン5 (スリソベンゾンナトリウム)などである場合である。最も好ましいのは、べンゾフェノン3である。
【0161】
適切なものはまた、一般式:
【化16】

【0162】
[式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、H、OH、NH2、またはC1-20直鎖もしくは分岐鎖アルキルである]を有する特定のサリチル酸メンチル誘導体である。特に好ましいのは、R1、R2およびR3がメチルで、R4がヒドロキシルまたはNH2である場合であり、この化合物はサリチル酸ホモメンチル(ホモサレート(Homosalate)の別名でも知られる)またはアントラニル酸メンチルの名称を有する。ホモサレートはMerck社から商品名Eusolex HMSで市販されており、また、アントラニル酸メンチルはHaarmann & Reimer社から商品名Heliopanで市販されている。存在する場合、ホモサレートは全組成物の重量の約15%を超えない量で存在すべきである。
【0163】
さまざまなアミノ安息香酸誘導体は適切なUVB吸収剤であり、一般式:
【化17】

【0164】
[式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、H、1個以上のヒドロキシ基で置換されていてもよいC1-20直鎖もしくは分岐鎖アルキルである]を有するものが含まれる。特に好ましいのは、R1がHまたはC1-8直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり、R2およびR3がHまたはC1-8直鎖もしくは分岐鎖アルキルである場合である。特に好ましいのは、PABA、エチルヘキシルジメチルPABA (パディメート(Padimate)O)、エチルジヒドロキシプロピルPABAなどである。存在する場合、パディメートOは全組成物の重量の約8%を超えない量で存在すべきである。
【0165】
サリチル酸誘導体もまた、許容されるUVB吸収剤である。このような化合物は一般式[式中、Rは直鎖もしくは分岐鎖アルキルである]を有し、モノ-、ジ-またはトリエタノールアミンから形成される上記化合物の誘導体を含む。特に好ましいのは、サリチル酸オクチル、TEA-サリチル酸、DEA-サリチル酸、およびこれらの混合物である。
【0166】
一般的に、存在するUVB化学的サンスクリーン剤の量は、全組成物の重量ベースで、約0.001〜45%、好ましくは0.005〜40%、さらに好ましくは約0.01〜35%の範囲であり得る。
【0167】
必要に応じて、本発明の組成物は、UVAとUVBの比を1〜3:1の範囲にして、約1〜100の特定のSPF(サン・プロテクティブ・ファクター)値、好ましくは約10〜75のSPF値、をもつように処方することができる。
【0168】
F. 皮膜形成剤
本発明の組成物に1種以上の皮膜形成剤を配合することが望ましいかもしれない。皮膜形成剤は一般的に、皮膚に適用された化粧品によって形成される膜を強化し、場合によっては、耐水性または色移り(transfer)抵抗性を促進する。存在する場合、このような皮膜形成剤は、全組成物の重量ベースで、約0.1〜50%、好ましくは約0.5〜40%、さらに好ましくは約1〜35%の範囲であり得る。
【0169】
適切な皮膜形成剤はシリコーンまたは有機ポリマーをベースとすることができる。特に好ましいのは、一般にMTまたはMQレジンと称される架橋型シリコーン樹脂である。このような樹脂の例としては、MQレジンのトリメチルシロキシケイ酸またはMTレジンのポリメチルシルセスキオキサンが挙げられる。トリメチルシロキシケイ酸は、Dow Corning社から商品名749 Fluid(トリメチルシロキシケイ酸とシクロメチコンの約50/50混合物である)で、またはGeneral Electric社から商品名SR1000で購入することができる。ポリメチルシルセスキオキサンはWacker-Chemie社から商品名MKレジンで購入することができる。
【0170】
本組成物は、防腐剤、植物エキス、ビタミン類、酸化防止剤といった、他の成分を含んでいてもよい。
【0171】
IV. 方法および製品
本発明は、少なくとも1種の着色剤から成る部分と少なくとも1種の透明または半透明の熱可塑性材料から成る部分を有する複合微粒子を含む組成物を皮膚に適用することによって、ケラチン質表面の立体感、深み、またはアンダートーンの外観を改善しながら、ケラチン質表面に色を付与する方法に関する。
【0172】
組成物中に存在する全着色剤成分の少なくとも一部を複合微粒子で置き換えると、肌に塗布された色が、肌の自然なアンダートーンを透けて見えるようにしながら、深みおよび立体感に関してより自然な外観を与えることが見いだされた。本組成物はファンデーション、頬紅、アイシャドーなどの形態とすることができる。好ましくは、全着色剤成分の約0.1〜99%、好ましくは10〜90%が複合微粒子で置き換えられる場合に、最適なカバー力と改善された外観が得られるだろう。
【0173】
本発明はまた、全着色剤成分の少なくとも一部が複合微粒子で置き換えられた組成物を適用することによって、皮膚上の化粧品組成物の白っぽい、粉っぽい、または仮面のような外観を軽減する方法に関する。一般的に、全着色剤成分の約0.1〜99%、好ましくは10〜90%が複合微粒子で置き換えられると、組成物の白っぽい、粉っぽい、または仮面のような外観が、皮膚に適用された際に軽減される。
【0174】
本発明はまた、カラー化粧品の色調範囲における在庫管理単位の数を削減し、その結果としてカラー化粧品の色調範囲の数を減らす方法に関する。用語「カラー化粧品」とは、色を付与する目的で、皮膚、毛髪または爪などのケラチン質表面に適用される組成物を意味する。例として、ファンデーション、頬紅、アイシャドーなどが挙げられるが、ファンデーションが最も好ましいものである。用語「色調範囲」とは、カラー化粧品のある特定のSKUのために化粧品メーカーによって提供される色調の範囲を意味する。例として、ファンデーション化粧品である「製品X」は、製品Xを識別するSKU番号1234を有し、かつ25種類の異なる色調があり、その色調コードは2桁の数字、例えば01から25、により指定され、すなわち1234-01などである。あるいは別の例では、頬紅「製品Y」はSKU番号4567により識別され、その製品ラインには6種類の異なる色調があり、その色調コードは2桁の数字、例えば01から06、により指定される。
【0175】
本発明の方法では、複合微粒子を用いてカラー化粧品組成物を調製することによって、ファンデーション、頬紅などのカラー化粧品の色調範囲における色調の数を10〜80%削減することができる。化粧品組成物を調製するにあたって、その組成物の全着色剤成分の100%を複合微粒子で置換することができる。あるいはまた、着色剤成分の一部を複合微粒子で置換してもよい。例えば、色調の削減は、全着色剤成分の約30〜80%、さらに好ましくは約40〜60%が複合微粒子で置き換えられる本発明の好ましい実施形態において達成される。他の適切な範囲は、全着色剤成分の重量の約0.1〜99%、好ましくは約20〜80%、さらに好ましくは約30〜70%が複合微粒子で置き換えられる範囲であり得る。
【0176】
一実施形態において、本方法は、色調の数の10〜60%削減を示すファンデーション色調範囲を提供する。具体的には、本発明は、15〜30のそれぞれ異なる色調で構成されるオリジナルの色調範囲を有するファンデーション化粧品ラインにおいて、ファンデーションを本明細書に記載の複合微粒子を用いて調製すると、色調範囲における色調の数が0.1〜99%、好ましくは約10〜90%削減され得る、そのようなファンデーション化粧品ラインを提供する。例示される好ましい実施形態では、オリジナルのファンデーション化粧品ラインに19の色調があった。全着色剤成分の約40〜60%を複合微粒子で置き換えたファンデーション処方物を調製すると、その色調の数を11に減らすことができたが、それでもなお19の色調にマッチさせたのと同じ色調のすべての皮膚の色にマッチさせることができた(したがって、色調の数の42%削減)。
【0177】
本発明は、例示のみの目的のために記載される以下の実施例に関連して、さらに詳しく説明される。
【実施例1】
【0178】
最初に、50/50比の球状ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子(Microsphere M-100, Tomen America社;またはSepimat P, SEPPIC社製)250グラムと赤色酸化鉄(Unipure Red LC 381EM, Sensient Technologies社, South Plainfield, NJ)250グラムを、約7,000rpmで回転する回転翼または羽根車を備えた実験室規模のCBM混合容器(モデルLabmaster HC-1A, Teledyne Special Equipment, Readco Products社, York, PA)内で、タンブル速度を35rpmに設定し、2分のプロセス実行時間で室温にて混合することにより、カラーブレンドを調製した。ドラフトチャンバー内で室温にて、このカラーブレンド250グラムをステンレススチール製ビーカーに加えて、飛散せずに混合するのに適したプロペラ撹拌を行いながらアセトン625グラムで希釈した。この混合物は、それが注入可能な濃厚シロップの稠度となるまで、約3〜5分、ビーカーの中でそのままにしておいた。ビーカーの内容物をパイレックス型ガラス耐熱皿に注ぎ、約0.25〜0.5インチの均一な厚さに広げた。この混合物を24〜36時間、またはカラーブレンドが硬く脆くなり、かつアセトン臭がなくなるまで、乾燥させた。
【0179】
乾燥したカラーブレンドを、ガラス皿から一枚のシートとして取り出し、手袋をはめた手で小さな断片に破砕して、0.20インチのスクリーンを通すハンマーミル粉砕に適するサイズにした。
【0180】
次に、カラーブレンド小片は0.02インチのスクリーンを備えたハンマーミル(Retsch社, モデルSR300, Haan, ドイツ)を通過させて、その小片をジェットミル粉砕に適する粒子径(一般的には約600ミクロン以下)にした。
【0181】
その後、カラーブレンド粒子を、Sturtevant社(348 Circuit Street, Hanover, MA)から供給されるモデル4ジェットミルを用いて粉砕した。吸気圧を105psiに、粉砕圧を100psiに設定した。材料の送り速度は40グラム/分に設定した。このミル粉砕を室温で1時間実施した。カラーブレンド粒子を粉砕した後で、それらを噴霧乾燥のために回収した。
【0182】
ジェットミル粉砕の後に、カラーブレンド粒子は、噴霧乾燥に先立って大きな粒子(例えば、45ミクロンより大きいもの)を除くために、実験室規模モデルのOctagon Ce Digital振動ふるい機(Endicotts Limited社, Lombard Road, London SW19 英国)を用いてふるいにかけた。45ミクロンのふるいを通過したカラーブレンド粒子を噴霧乾燥のために回収した。ふるいを通過しなかったカラーブレンド粒子は廃棄された。
【0183】
ふるいを通過したカラーブレンド粒子は次に、噴霧乾燥機(GlattモデルGPCG-1噴霧乾燥ユニット, Glatt Technologies社)でコーティングを施した。このユニットに約500グラム〜1キログラムのカラーブレンド粒子を装填した。噴霧乾燥機は次のパラメータを設定した:インターバルフィルターシェーカー - 振動を5秒間隔に設定;排気フラップ - 0.4バールに設定;噴霧スプレー圧力 - 2.5バールに設定;液体スプレー流量 - 25ml/分に設定。500グラムのカラーブレンド粒子に、94.09グラムのDow Corning 7-4404 Fluid(約35〜45部のトリシロキサンと約40〜70部のジメチコンシリレートの混合物)を添加し、これをカラーブレンド粒子上に噴霧乾燥させた。これにより、約7重量%のコーティングカラーブレンド粒子を含む粉体ブレンドが得られた。噴霧乾燥の終了後、粒子を回収して70〜80℃のオーブン(Cascade TEKモデルVO-2)内で一晩乾燥させた。
【0184】
噴霧乾燥後に最終ふるい分け工程を行って凝集物を除去した。噴霧乾燥・コーティングを施したカラーブレンド粒子は、45ミクロンのスクリーンを通して上記のようにふるいにかけた。得られたコーティングカラーブレンド粒子は自由流動性であり、平均粒子径が約10ミクロンであった。
【0185】
ここに記載したプロセスを、黄色酸化鉄(Unipure Yellow LC 182 EM, Sensient Cosmetic Technologies社)、黒色酸化鉄(Unipure Black LC 989 EM, Sensient Cosmetic Technologies社)、および二酸化チタン(AFDC 200, Kemora Pigments Oy社, フィンランド)を用いて繰り返した。得られた噴霧乾燥・コーティングを施した黄色酸化鉄複合粒子は約15ミクロンの粒子径を有していた。得られた噴霧乾燥・コーティングを施したカラーブレンド黒色酸化鉄は約10.6ミクロンの粒子径を有し、赤色酸化鉄複合粒子は約15ミクロン、二酸化チタン複合粒子は約15ミクロンの粒子径を有していた。これらの複合微粒子の組成は以下のとおりであった:

得られた複合微粒子をファンデーション化粧品組成物を調製するために使用した。
【実施例2】
【0186】
ファンデーション化粧品組成物を次のように調製した:

上記の組成物は、水相成分と油相成分を一緒に合わせ、十分に混合して乳化することにより調製した。得られたファンデーションは油中水型エマルションであった。
【実施例3】
【0187】
処方物1および処方物2は、次のような30名の女性パネリストで試験された:
- 18〜55才の年齢範囲、
- 普通肌から脂性肌のタイプ、
- デパートまたは高級ブランドのリキッドファンデーションの利用者、
- ファンデーションを週に少なくとも5日間使用、および
- フルからフル-ミディアムのカバー力および自然な仕上がりを好む。
【0188】
5日間の未確認クロスオーバー試験を実施し、初めにパネリスト全員が試験色調の受容者であった。用語「未確認」とは、どの化粧品会社がこの試験を実施しているかパネリストに知らされていなかったことを意味する。用語「クロスオーバー」とは、パネリストが1群15名の2群に分割されたことを意味する。用語「試験色調の受容者」とは、パネリストのそれぞれがファンデーションの試験色調を受容できるとしたことを意味する。各群の15名は試験ファンデーションのうち第1のものを2日間試験した。3日目にパネリストは試験場所に戻り、第2の試験ファンデーションをこの試験の最後の2日間与えられた。
【0189】
パネリストには、「ファンデーション」というラベルの付いたガラスビン内の処方物1または処方物2のファンデーションを提供し、そのファンデーションを、スキンケアレジメン後、通常のファンデーションの代わりに、顔になじませることによって毎日使用するよう指示した。パネリストには、試験期間中彼女らのメイクアップまたはスキンケアレジメンにいかなる新製品も導入しないように指示した。パネリストはそれぞれ2日間の使用期間後に自己記入式アンケートを完了し、また、この試験の終わりには直接比較の質問を尋ねられた。
【0190】
パネリストに、常用しているファンデーションと比較したとき、処方物1または処方物2のどちらのファンデーションを彼女らが気に入ったかを尋ねた。結果は次のとおりであった:

【実施例4】
【0191】
本発明に係る11種の追加のファンデーション化粧品組成物を、実施例1で製造した複合微粒子から次のように調製した:

処方物SG1〜11の複合微粒子の重量%による量は次のとおりであった:

【実施例5】
【0192】
200名のパネリストによる試験を実施して、本発明の技術を含むファンデーション化粧品が、ある色調カテゴリーにおいてさまざまな肌の色合いにマッチさせるのに十分な、したがってSKUの削減に寄与するのに十分な、改善された普遍的な色調マッチングを提供するかどうかを調べた。
【0193】
200名のパネリストを募集した。プロのメイクアップアーティストがパネリストのそれぞれの皮膚の色にマッチするMAC Studio Fix Fluid SPF15ファンデーション化粧品ライン(市販品)からファンデーションを選択した。MAC Studio Fixファンデーションの色調は次のとおりであった:
色調カテゴリー MAC Studio Fix Fluid SPF15の色調の数
ライト NC15, NW15
ライト/ミディアム NC20, NW20, NC25, NW25, NC30
ミディアム NC35, NC37, NW30, NC40, NC42
ミディアム/ダーク NC44, NW35, NW40, NW43, NC45
ダーク NW45, NC50, NW47
ディープ/ダーク NW50, NW55, NC55
【0194】
使用したMAC Studio Fix Fluid SPF 15ファンデーションの成分表の内容は次のとおりであった:
活性成分:オクチノキサート2.50% [] 二酸化チタン1.00%
成分:水/アクア/EAU [] シクロペンタシロキサン [] PEG-10ジメチコン [] ブチレングリコール [] トリメチルシロキシケイ酸 [] ジメチコン [] 硫酸マグネシウム [] ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー [] カラフトコンブエキス [] 海藻エキス [] 酢酸トコフェロール [] ヒアルロン酸ナトリウム [] トコフェロール [] レシチン [] 水添レシチン [] キサンタンガム [] セスキオレイン酸ソルビタン [] メトキシアモジメチコン/シルセスキオキサンコポリマー [] ラウレス-7 [] PEG/PPG-18/18ジメチコン [] ジステアルジモニウムヘクトライト [] シリカ [] ジメチコンクロスポリマー [] トリエトキシカプリリルシラン [] プロピレンカーボネート [] テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイヒ酸ペンタエリスリチル [] ソルビン酸 [] クロロキシレノール [] フェノキシエタノール [] [+/- 二酸化チタン(CI 77891) [] 酸化鉄(CI 77491, CI 77492, CI 77499) [] 酸化クロム・グリーン(CI 77288)]。
【0195】
各パネリストの肌に最もマッチするStudio Fix製品の色調をプロのメイクアップアーティストが選択して、パネリストのそれぞれに適用した。プロのメイクアップアーティストとパネリストの双方は、適用された色が肌にマッチすることに意見の一致をみた。
【0196】
次に、MAC Studio Fixファンデーションをパネリストの肌から取り除き、プロのメイクアップアーティストがSG1〜SG11の色調からファンデーションを選択して、パネリストのそれぞれに適用した。適用の終了時に、プロのメイクアップアーティストとパネリストの双方は、適用されたファンデーションが肌にマッチすることに意見の一致をみた。
【0197】
結果は、SG1〜SG11(11の色調)のファンデーションがMAC Studio Fix製品の全色調ライン(19の色調)に反映される肌の色合いのすべてにマッチすることを示し、こうして以下のような結果が得られた:


上記の結果は、本明細書に添付の図3に示されており、本発明の複合微粒子を含有するファンデーション組成物が、ファンデーション色調をマッチさせる上でかなり普遍的であり、したがってSKUの削減に寄与することを実証している。特に、ファンデーション組成物を調製するために本発明の複合微粒子を用いることによって、色調の数をオリジナルの19から11に削減することができた。
【実施例6】
【0198】
崩壊マイクロスフェアの形態の複合微粒子を、Expancel 551 DE 20 d 60 (DE 20は20ミクロンの平均粒子径を表す)を用いて製造した。約800グラムを混合チャンバーに入れた。約4,000mL量のアセトンを20rpmのもとで添加した。ゲルを形成させ、このゲルに約343gの超微粒子二酸化チタン(D 50 2ミクロン)を加えた。二酸化チタンとゲルの組合せを均質になるまで混合した。この組合せを真空チャンバー内で加熱することによってアセトンを除去した。二酸化チタン粒子がマイクロスフェア内に捕捉され、そのマイクロスフェアの外層に約14重量%のDow Corning 1107シリコーンポリマーをオーバーコーティングした。TiO2捕捉マイクロスフェアの最終的な粒子径は、英国ウスターシャー州所在のMalvern Instrument Scirocco 2000から入手可能なMalvern Particle Size Analyzerを用いて測定した結果、5〜8ミクロンであった。
【実施例7】
【0199】
崩壊マイクロスフェアの形態の複合微粒子を、Expancel 551 DE 20 d 60 (DE 20は20ミクロンの平均粒子径を表す)を用いて製造される。約800グラムを混合チャンバーに入れる。約4,000mL量のアセトンを20rpmのもとで添加する。ゲルを形成させ、このゲルに約343gの超微粒子二酸化チタン(D 50 2ミクロン)を加える。赤色酸化鉄とゲルの組合せを均質になるまで混合する。この組合せを真空チャンバー内で加熱することによってアセトンを除去する。赤色酸化鉄粒子がマイクロスフェア内に捕捉され、そのマイクロスフェアの外層に約14重量%のDow Corning 1107シリコーンポリマーをオーバーコーティングする。TiO2捕捉マイクロスフェアの最終的な粒子径は、英国ウスターシャー州所在のMalvern Instrument Scirocco 2000から入手可能なMalvern Particle Size Analyzerを用いて測定され、その結果は5〜8ミクロンである。
【実施例8】
【0200】
1kgの球状PMMA粒子(SEPPIC社製のSepimat P)と1kgの赤色酸化鉄(Unipure Red LC 381EM, Sensient Technologies社, South Plainfield, NJ)を静電気防止バッグ(Anti-Static Bags, Champion Plastics社, 220 Clifton Blvd, Clifton, NJ)に入れて、50ガロンのドラムに配置し、ドラムローラー(Morse社, East Syracuse, New York)上68rpmで約1時間回転させた。このブレンドをドラムから取り出し、5ガロン容積のLittleFord DVT多相反応器(LittleFord Day社, Florence, KY)に入れ、ブレードの先端速度0.3〜0.5ft/sで混合しながら72℃に加熱した。別の容器で、1.42kgのエタノール(試薬アルコール200プルーフ無水 - ACSグレード, Sigma Aldrich社)を72℃に加熱して、先のLittleFordユニットに添加した。ゲル化した材料を、ブレードの先端速度0.3〜0.5ft/sで混合することによって、均質になるまで混合した。75℃に真空加熱してエタノールを除去した。乾燥粉末をHosokawa Hammermill 1HP (Hosokawa社, 大阪, 日本)で0.01インチのスクリーンを用いてハンマーミル粉砕した。2kgのカラーブレンド粒子に376.36グラムのDow Corning 7-44-4 Cosmetic Fluid (約35〜45部のトリシロキサンと約4〜70部のジメチコンシリレートの混合物)を添加して、LittleFordユニットで均質になるまで混合した。
【0201】
この系を真空および窒素流下に75℃で加熱処理して乾燥させた。これにより約7重量%のコーティングされたカラーブレンド粒子を含む粉体ブレンドが得られた。最後のハンマーミル工程を乾燥後に実施して、凝集物を取り除いた。
【0202】
上記のプロセスを、黄色酸化鉄(Unipure Yellow LC 182 EM, Sensient Cosmetic Technologies社)、黒色酸化鉄(Unipure Black LC 989 EM, Sensient Cosmetic Technologies社)および二酸化チタン(AFDC 200, Kemore Pigments Oy社, フィンランド)を用いて繰り返した。得られた乾燥黄色酸化鉄含有粒子は約8ミクロンの粒子径を有していた。得られた乾燥コーティング黒色酸化鉄含有粒子は約8ミクロンの粒子径を有していた。赤色酸化鉄含有粒子は約8ミクロンの粒子径を有していた。これらの複合粒子の組成は以下に記載したとおりであった:

【実施例9】
【0203】
口紅組成物を以下のように調製する:

この組成物は、一部のセチルエステル中で顔料を粉砕して調製する。ワックスとオイルを、別々に加熱してから、十分に混合する。混合物に粉砕した顔料を添加して、よく撹拌する。混合物を型に注ぎ、室温まで冷却させる。
【実施例10】
【0204】
パウダーアイシャドーおよび頬紅の組成物を以下のように調製する:

これらの組成物は、一部のオイル中で顔料を粉砕して調製する。別々に、ワックスとオイルを加熱して、十分に混合する。粉砕した顔料を添加する。組成物をパンにプレス加工する。
【実施例11】
【0205】
水中油型エマルションのマスカラ組成物を以下のように調製する:


これらの組成物は、水相成分および油相成分を別々に混ぜ合わせ、次にこれら2相を混合して乳化し、マスカラ組成物を形成させて調製する。
【0206】
本発明を好ましい実施形態に関して説明してきたが、それは、記載された特定の形態に本発明の範囲を限定することを意図したものではない。それどころか、それは、添付の特許請求の範囲により定められた本発明の精神および範囲に含まれるような代替物、改変物、および均等物をカバーすることを意図したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の着色剤から成る部分と少なくとも1種の透明または半透明の熱可塑性材料から成る部分とを有する融合凝集体の形をした複合微粒子を含有する、ケラチン質表面に適用するための組成物であって、該複合微粒子が、全複合微粒子の重量ベースで、約1〜99.9部の着色剤部分および約0.1〜100部の透明または半透明の熱可塑性材料部分を含み、該組成物中に存在する複合微粒子の少なくとも一部には着色剤部分が存在している、上記組成物。
【請求項2】
着色剤が顔料、粉末、またはそれらの混合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
着色剤が有機顔料、無機顔料、またはそれらの混合物である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
有機顔料がD&Cカラー、FD&Cカラー、またはそれらのレーキであり、そして無機顔料が1種以上の酸化鉄、二酸化チタン、または酸化亜鉛である、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
粉末が約0.001〜100ミクロンの範囲の粒子径を有する白色または無着色の粒状物質である、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
熱可塑性材料が中実または中空の部分球の形をしている、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
ファンデーション化粧品、頬紅、マスカラ、アイシャドー、コンシーラー、または口紅の形態である、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の着色剤から成る部分と少なくとも1種の透明または半透明の熱可塑性材料から成る部分とを有する、融合凝集体の形をした複合微粒子であって、該複合微粒子が、全複合微粒子の重量ベースで、約1〜99.9部の着色剤部分および約0.1〜100部の透明または半透明の熱可塑性材料部分を含み、そして該複合微粒子の熱可塑性材料の少なくとも一部が中実もしくは中空の部分球または完全球の形をしている、上記複合微粒子。
【請求項9】
透明または半透明の熱可塑性材料が、1種以上のエチレン性不飽和モノマーの重合に由来する、透明または半透明の中空または中実の球状微粒子を起源とする、請求項8記載の微粒子。
【請求項10】
熱可塑性材料が1.1〜1.6の範囲の屈折率を有する球状微粒子の形をしており、かつバルク形態で見たときに白っぽいまたは灰色がかった外観を呈する、請求項8記載の微粒子。
【請求項11】
前記微粒子の製造に用いられる透明または半透明の熱可塑性材料がポリメチルメタクリレートから構成される中空または中実の球状微粒子の形をしている、請求項8記載の微粒子。
【請求項12】
ケラチン質表面の立体感、深みまたはアンダートーンの外観を維持しながら、ケラチン質表面に色を付与する方法であって、少なくとも1種の着色剤から成る部分と少なくとも1種の透明または半透明の熱可塑性材料から成る部分とを有する複合微粒子を含有する組成物を皮膚に適用することによる、上記方法。
【請求項13】
複合微粒子が、全複合微粒子の重量ベースで、約1〜99.9部の着色剤部分および約0.1〜100部の透明または半透明の熱可塑性材料部分を含み、そして該微粒子の熱可塑性材料の少なくとも一部が中実もしくは中空の部分球または完全球の形をしている、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記組成物中に存在する全着色剤成分の約0.1〜99%が複合微粒子で構成されている、請求項12記載の方法。
【請求項15】
ケラチン質表面が皮膚であり、前記組成物が色を付与するものであって、ファンデーションまたは頬紅から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項16】
皮膚上の化粧品組成物の白っぽい、粉っぽい、または仮面のような外観を軽減する方法であって、全カラー成分の少なくとも一部が複合微粒子で置き換えられた組成物を適用することによる、上記方法。
【請求項17】
複合微粒子が少なくとも1種の着色剤から成る部分と少なくとも1種の透明または半透明の熱可塑性材料から成る部分とを有する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
複合微粒子が、全複合微粒子の重量ベースで、約1〜99.9部の着色剤部分および約0.1〜100部の透明または半透明の熱可塑性材料部分を含み、そして熱可塑性材料の少なくとも一部が中実もしくは中空の部分球または完全球の形をしている、請求項16記載の方法。
【請求項19】
カラー化粧品の色調範囲におけるSKUの数を削減する方法であって、少なくとも1種の着色剤から成る部分と少なくとも1種の透明または半透明の熱可塑性材料から成る部分とを有する複合微粒子を用いてカラー化粧品組成物を調製することによる、上記方法。
【請求項20】
複合微粒子が約1〜99.9部の着色剤部分および約0.1〜100部の透明または半透明の熱可塑性材料部分を含み、そして熱可塑性材料の少なくとも一部が中実もしくは中空の部分球または完全球の形をしている、請求項19記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1種の着色剤から成る部分と少なくとも1種の透明または半透明の熱可塑性材料から成る部分とを有する融合凝集体から成る複合微粒子を製造する方法であって、次の工程:
(a) 透明または半透明の熱可塑性材料を溶媒で溶媒和する工程;
(b) 工程(a)の溶媒和混合物を1種以上の顔料と混ぜ合わせる工程;
(c) 溶媒を除去して融合凝集体を形成させる工程;
を含んでなる、上記方法。
【請求項22】
透明または半透明の熱可塑性材料が中空球または中実球の形をしている、請求項21記載の方法。
【請求項23】
複合微粒子が、全複合微粒子の重量ベースで、約1〜99.9部の着色剤部分および約0.1〜100部の透明または半透明の熱可塑性材料部分を含み、そして複合微粒子の熱可塑性材料の少なくとも一部が中実もしくは中空の部分球または完全球の形をしている、請求項21記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−517270(P2013−517270A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548971(P2012−548971)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2011/020248
【国際公開番号】WO2011/090821
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.パイレックス
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】