説明

複合操作型入力装置

【目的】 操作体のガタつきを抑制することができる複合操作型入力装置を提供する。
【構成】 この複合操作型入力装置は、円筒状の軸部120を有するダイヤル100と、軸部120に外嵌した円筒体であって、ダイヤル100を軸部120を中心に周方向に回転自在に軸支すると共に、ダイヤル100を軸部120を支点として傾動可能に軸支する軸受け部210と、ダイヤル100の回転を検出する回転検出手段700と、ダイヤル100の傾動を検出する傾動検出手段800とを備えている。軸受け部210の内周面には、所定状態におけるダイヤル100の軸部120の外周面に対して平行であり且つ径がダイヤル100の軸部120の外径よりも若干大きい摺接面211a1と、この摺接面211a1のダイヤル100側に位置し且つ軸受け部210の断面積がダイヤル100に向けて漸次低減するテーパ面211a2とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも回転操作及び所定の原点位置から傾動操作が可能な複合操作型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の複合操作型入力装置としては、周方向に回転操作及び所定状態から傾動操作可能なリング状の操作体と、この操作体の円筒状の軸部が嵌合するリング状の軸受け部と、この軸受け部の外周面に間隔を空けて設けられており且つ弾性変形可能な複数のアームと、このアームに各々設けられた脚部と、脚部の下側に各々配置された複数の周辺スイッチとを備えている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−4209号公報
【特許文献2】特開2009−26732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記複合操作型入力装置は、前記操作体の傾動に伴って前記軸受け部が傾動し、前記アームが弾性変形するようになっている。このため、回転操作される際に掛かる荷重により前記操作体及び軸受け部が傾動したり、外部からの振動等により前記操作体及び軸受け部が傾動したりすることによって、前記操作体がガタつくことがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、操作体のガタつきを抑制することができる複合操作型入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の複合操作型入力装置は、円筒状又は円柱状の軸部を有する第1操作体と、前記軸部に外嵌した円筒体であって、前記第1操作体を前記軸部を中心に周方向に回転自在に軸支すると共に、前記第1操作体を前記軸部を支点として所定状態から傾動可能に軸支する軸受け部と、前記第1操作体の回転を検出する回転検出手段と、前記第1操作体の傾動を検出する傾動検出手段とを備えている。前記軸受け部の内周面には、所定状態における前記第1操作体の軸部の外周面に対して平行であり且つ径が前記第1操作体の軸部の外径よりも若干大きい摺接面と、この摺接面の第1操作体側に位置し且つ前記軸受け部の断面積が前記第1操作体に向けて漸次低減するテーパ面とが設けられている。
【0007】
このような複合操作型入力装置による場合、前記軸受け部の内周面には、所定状態における前記第1操作体の軸部の外周面に対して平行であり且つ径が前記第1操作体の軸部の外径よりも若干大きい摺接面が設けられている。よって、前記第1操作体の回転時に該第1操作体の軸部が前記摺接面に摺接するため、前記第1操作体の回転時のガタつきを抑制することができる。また、前記軸受け部の摺接面が所定状態における前記第1操作体の軸部の外周面に対して平行に配置されているため、外部からの振動等が前記第1操作体に加わったとしても、前記第1操作体の軸部が前記摺接面に当接することにより、前記第1操作体のガタつきが抑制される。しかも、前記軸受け部の内周面の摺接面の第1操作体側には、前記軸受け部の断面積が前記第1操作体に向けて漸次低減するテーパ面が設けられているため、前記第1の操作体の傾動時に、前記軸部と前記軸受け部との干渉を避けることができる。
【0008】
前記第1操作体は、前記軸部の下端部に設けられた外側に凸のリング状のフランジを更に有する構成とすることが可能である。前記フランジは、前記第1操作体が所定状態であるとき、前記軸受け部の下面に当接又は間隔を空けて対向配置されている。前記第1操作体が傾動する際に、前記フランジにおける前記傾動の方向と反対側の部分が前記軸受け部の下面に当接し、前記第1操作体の傾動の支点として機能するようになっている。
【0009】
従来例の複合操作型入力装置は、操作体と共に軸受け部が傾動する(すなわち、操作体の傾動の支点がない。)ため、操作体の傾動ストロークが定まらないが、本発明の前述の様態では、前記軸部のフランジの一部が前記軸受け部の下面に当接して前記第1操作体の傾動の支点として機能するため、前記第1操作体の傾動ストロークを安定させることができる。
【0010】
前記軸受け部が断面視略凸字状であって、その内周面に段差部が設けられている場合、前記第1操作体が傾動する際に、前記フランジにおける前記傾動の方向と反対側の部分が、前記軸受け部の下面ではなく、該軸受け部の段差部に当接するようにすると良い。
【0011】
若しくは、前記第1操作体は、前記軸部の下端部に設けられた外側に凸の複数のフランジを更に有する構成とすることも可能である。前記フランジは、前記第1操作体が所定状態であるとき、前記軸受け部の下面に当接又は間隔を空けて対向配置されている。前記第1操作体が傾動する際に、前記フランジのうち前記傾動方向と反対側に位置するフランジが、前記軸受け部の下面に当接し、前記第1操作体の傾動の支点として機能するようになっている。
【0012】
従来例の複合操作型入力装置は、操作体と共に軸受け部が傾動する(すなわち、操作体の傾動の支点がない。)ため、操作体の傾動ストロークが定まらないが、本発明の前述の様態では、前記軸部のフランジのうち前記傾動方向と反対側に位置するフランジが前記軸受け部の下面に当接して前記第1操作体の傾動の支点として機能するため、前記第1操作体の傾動ストロークを安定させることができる。
【0013】
前記軸受け部は断面視略凸字状であって、その内周面に段差部が設けられている場合、前記第1操作体が傾動する際に、前記フランジのうち前記傾動方向と反対側に位置するフランジが、前記軸受け部の下面ではなく、該軸受け部の段差部に当接するようにすると良い。
【0014】
前記複合操作型入力装置は前記第1操作体の軸受け部外周面に対向する部分に設けられた感触子を更に備えた構成とすることが可能である。前記軸受け部の外周面は、前記第1操作体の回転に応じて前記感触子が振幅移動する凸凹面となっている。この場合、前記軸受け部の外周面が凸凹面となっているので、前記第1操作体に凸凹面を設けることにより生じる該第1操作体の偏肉を防ぐことができ、前記第1操作体の形状を簡素化することができる。よって、本複合操作型入力装置の外観をなす前記第1操作体に偏肉を起因とするヒケ等が発生するのを防止することもできる。
【0015】
前記複合操作型入力装置は前記軸受け部が固定された固定部材を更に有した構成とすることが可能である。
【0016】
前記複合操作型入力装置は前記軸受け部の外周面の下側部の周りに間隔を空けて配置されており且つ傾動した前記第1操作体により押下される複数の押下部と、前記第1操作体の軸受け部外周面の上側部に対向する部分に設けられた感触子を更に備えた構成とすることが可能である。前記傾動検出手段は、前記押下部の下側に配置されており且つ前記第1操作体の傾動時に前記押下部により各々押下される複数の周辺スイッチを有している。前記軸受け部の外周面の上側部は、前記第1操作体の回転に応じて前記感触子が振幅移動する凸凹面となっている。この場合も、前記軸受け部の外周面の上側部が凸凹面となっているので、前記第1操作体に凸凹面を設けることにより生じる該第1操作体の偏肉を防ぐことができる。しかも、前記周辺スイッチを押下するための前記押下部が前記軸受け部の外周面の下側部の周りに配置されている一方、前記第1操作体の回転に操作感を発生させるための前記感触子が前記第1操作体の軸受け部外周面の上側部に対向する部分に設けられているため、両者が干渉するのを防ぐことができる。
【0017】
前記複合操作型入力装置は、前記周辺スイッチが設けられた基板と、前記前記軸受け部の外周面の下側部に間隔を空けて配設されており且つ前記基板に取り付けられた複数の脚部と、前記脚部間に懸架され且つ前記押下部が各々設けられた略円弧状の複数のアームとを更に備えた構成とすることが可能である。前記押下部が押下されることにより、前記アームが弾性変形するようになっている。すなわち、傾動した第1操作体に前記押下部が押下され、前記アーム部が弾性変形する一方、該押下部により周辺スイッチが押下されるようになっている。
【0018】
或いは、前記複合操作型入力装置は前記軸受け部の外周面の下側部の周りに間隔を空けて設けられた弾性変形可能な複数のアームと、前記アームに各々設けられており且つ傾動した前記第1操作体により押下される複数の押下部と、前記第1操作体の軸受け部外周面の上側部に対向する部分に設けられた感触子を更に備えた構成とすることが可能である。前記傾動検出手段は 前記押下部の下側に配置されており且つ前記第1操作体の傾動時に前記押下部により各々押下される複数の周辺スイッチを有している。前記軸受け部の外周面の上側部は、前記第1操作体の回転に応じて前記感触子が振幅移動する凸凹面となっている。この場合も、前記軸受け部の外周面の上側部が凸凹面となっているので、前記第1操作体に凸凹面を設けることにより生じる該第1操作体の偏肉を防ぐことができる。しかも、前記アーム及び前記押下部が前記軸受け部の外周面の下側部の周りに配置されている一方、前記第1操作体の回転に操作感を発生させるための前記感触子が前記第1操作体の軸受け部外周面の上側部に対向する部分に設けられているため、両者が干渉するのを防ぐことができる。
【0019】
前記第1操作体は、内側部に前記軸部が設けられた天板部と、この天板部の外側に設けられた外壁部とを更に有する構成とすることが可能である。前記外壁部が前記押下部上に載置されていることが好ましい。この場合、前記第1操作体の外壁部が前記押下部に下方から当接されると共に、該第1操作体の軸部のフランジが前記軸受け部の下面又は段差部により上方から当接されている。このため、前記第1操作体の回転時のガタつき及び外部からの振動等による前記第1操作体のガタつきを更に抑制することができる。
【0020】
前記第1操作体が環状である場合、前記複合操作型入力装置は、前記第1操作体内に軸方向に沿って移動自在に配置された第2操作体と、前記第2の操作体の移動を検出する移動検出手段とを更に備えた構成とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る複合操作型入力装置の概略図であって、(a)が平面図、(b)が正面図である。
【図2】前記入力装置のダイヤル、押下ボタン及び感触板を取り外した状態の概略図であって、(a)が平面図、(b)が正面図である。
【図3】前記入力装置の図1(a)中のA−A断面図である。
【図4】前記入力装置の図1(a)中のB−B断面図である。
【図5】前記入力装置の概略的分解斜視図である。
【図6】前記入力装置のキートップの概略図であって、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が底面図である。
【図7】(a)が前記入力装置の図1(a)中のA−A断面図であって、ダイヤルが傾動した状態を示す図、(b)が前記入力装置の図1(a)中のB−B断面図であって、ダイヤルが傾動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る複合操作型入力装置について図1乃至図7を参照しつつ説明する。ここに掲げる複合操作型入力装置は、ダイヤル100(第1操作体)の所定の周方向に回転操作入力、ダイヤル100の後述する所定状態から周囲の四方向に傾動操作入力、及び押下ボタン400の後述する初期状態からの押下操作入力が可能な入力装置である。この入力装置は、ダイヤル100と、キートップ200と、感触子300と、押下ボタン400と、基板500(固定部材)と、補強板600と、回転検出手段700と、傾動検出手段800と、押下移動検出手段900とを備えている。以下、各部の動作について説明する。
【0023】
ダイヤル100は、図1、図3、図4及び図5に示すように、所定の周方向に回転操作及び所定状態から周囲の任意方向に傾倒操作可能なリング状の樹脂製の成形品である。このダイヤル100は、天板部110と、軸部120と、外壁部130と、固定板140とを有している。天板部110は断面視略台形状の部位であって、その中央部に円形の孔部111が開設されている。この天板部110の下面の孔部111の周縁部には円筒状の軸部120が立設されている。この軸部120は孔部111に連通しており且つ該孔部111よりも外径が大きい孔部121を有している。また、軸部120の下端部にはリング状の金属板である固定板140が熱かしめ等により取り付けられている。この固定板140の内径は軸部120の孔部121の内径と略同じであり、固定板140の外径は軸部120の外径よりも大きくなっている。このため、固定板140の外周縁部が軸部120から外側に突出している。この固定板140が特許請求の範囲におけるフランジに相当する。また、天板部110の下面の外周縁部には、軸部120よりも背が低い円筒状の外壁部130が立設されている。天板部110の下面の軸部120と外壁部130との間には、感触子300及びキートップ200の軸受け部210の上段部211を収容するためのリング状の収容空間が区画されている。
【0024】
感触子300は、図2及び図5に示すように、金属板がプレス成形された板バネである。この感触子300は、断面視下向き略L字状の取付部310と、この取付部310の下端部両端に設けられた一対のバネ部320とを有している。取付部310は天板部110の下面の軸部120と外壁部130との間(すなわち、前記収容空間の天井面)に、図4に示すように、熱かしめ等により取り付けられている。両バネ部320は、前記収容空間に沿って円弧状に延びる板体であって、その先端部が互いに近づく方向に向けて円弧状に折り曲げられている。バネ部320の先端部の頂部の間の寸法は、キートップ200の後述する凸凹面211bの凸部の外径よりも小さくなっている。すなわち、バネ部320の先端部の頂部が、図2に示すように、キートップ200の凸凹面211bに弾性的に接触している。ダイヤル100が回転すると、バネ部320がキートップ200の凸凹面211b上を振幅移動し、これによりダイヤル100の回転操作に操作感を付与するようになっている。
【0025】
キートップ200は、図1乃至図6に示すように、樹脂製の成形品である。このキートップ200は、軸受け部210と、4つの脚部220と、4つのアーム230と、4つの押下部240とを有している。軸受け部210は、図3及び図4に示すように、基板500上に設置された断面形状が略凸字状の円筒体であって、ダイヤル100の回転及び傾動により弾性変形しない剛性を有している。前記剛性については、ダイヤル100の回転及び傾動時に軸受け部210にかかる負荷を考慮して軸受け部210が弾性変形しないように該軸受け部210の素材や厚み寸法を適宜選択設定すれば良い。本実施の形態では、軸受け部210はダイヤル100の回転及び傾動時の負荷によって弾性変形しない程度の厚みを有している。この軸受け部210は、上段部211と、下段部212とを有している。上段部211には小径孔211aが、下段部212には小径孔211aに連通する大径孔212aが設けられている。上段部211の小径孔211aには、ダイヤル100の後述する軸部120が内嵌されている。小径孔211aの内周面の下端部には、垂直面である摺接面211a1が設けられている。この摺接面211a1の径は、ダイヤル100を軸部120の外径よりも若干大きくなっている。この摺接面211a1が、ダイヤル100が後述する所定状態であるとき、ダイヤル100の軸部120に対して若干の隙間を有して略平行に対向配置され、該軸部120を回転自在に軸支している。このようにして軸受け部210がダイヤル100を周方向に回転自在に軸支している。また、小径孔211の内周面の摺接面211a1よりも上側部分には、上段部211の断面形状が上方(すなわち、ダイヤル100側)に向けて漸次低減するテーパ面211a2が設けられている。このテーパ面211a2により、ダイヤル100が所定状態から周囲の任意方向に傾動したときに、軸部120と軸受け部210の上段部211との干渉を避けている。また、軸受け部210の上段部211の外周面は凸凹面211bが設けられている。
【0026】
一方、下段部212の大径孔212aの底面(すなわち、小径孔211aの下側の周縁部)は段差部212a1となっている。この大径孔212aの径は、ダイヤル100の後述する固定板140の外径よりも大きくなっている。大径孔212a内にダイヤル100の固定板140が収容され、該固定板140の外周縁部が段差部212a1に当接している。図7に示すようにダイヤル100が所定状態から傾動すると、ダイヤル100の固定板140の傾動方向と反対側の部分が段差部212a1の前記傾動方向と反対側の部分に当接して該ダイヤル100の傾動の支点として機能するようになっている。また、下段部212の外周面には、図6に示すように、略L字状の脚部220が間隔を空けて配設されている。
【0027】
各脚部220は、図1及び図6に示すように、梁部221と、取付部222とを有している。梁部221は、軸受け部210の下段部212の外周面から略水平に延設された板体である。取付部222は梁部221の先端部から垂下された略円柱体である。この取付部222が基板500及び補強板600の孔を貫通し、該補強板600に熱かしめ等により取り付けられている。これにより、キートップ200が補強板600を介して基板500上に固着されている。なお、基板500は円形の周知のフレキシブルプリント基板である。補強板600は円形の金属板である。この補強板600が基板500の下面に取り付けられ、該基板500を補強している。
【0028】
各アーム230は、図2及び図6に示すように、脚部220の梁部221の先端部間に懸架された弾性変形可能な円弧状の板体である。各押下部240はアーム230の上下面に突設された突起である。この押下部240は、ダイヤル100の後述する外壁部130の下側であり且つダイヤル100の四つの傾動操作入力方向に対応した位置に配置され、外壁部130を下方から支持している。すなわち、押下部240がダイヤル100の前記傾動操作入力方向において該ダイヤル100の外壁部130を下方から支持すると共に、軸受け部210の段差部212a1がダイヤル100の固定板140に上方から当接することにより、ダイヤル100の軸部120をキートップ200の軸受け部210の摺接面211a1に対して略平行な状態で維持している。上述の通り、ダイヤル100が固定板140の一部を支点として傾動すると、傾動方向側の押下部240がダイヤル100の外壁部130に押下され、該押下部240に対応するアーム230が弾性変形するようになっている。
【0029】
押下ボタン400は、図3乃至図5に示すように、ボタン本体410と、回転止め部420とを有している。ボタン本体410は樹脂製の略円形のカップ体である。ボタン本体410の外径は、ダイヤル100の天板部110の孔部111の径よりも若干小さくなっている。すなわち、ボタン本体410がダイヤル100の孔部111に上下動自在に収容されている。ボタン本体410の下端部には、外側に凸のリング状の抜け止め部411が設けられている。抜け止め部411の外径は、ダイヤル100の孔部111の径よりも大きく、該ダイヤル100の軸部120の孔部121よりも小さくなっている。すなわち、抜け止め部411は、ダイヤル100の孔部121内に上下動自在に収容され且つ孔部121の底面(すなわち、孔部111の下側の周縁部)に当接可能となっている。抜け止め部411が孔部121の底面することにより、ボタン本体410の上方への抜けを防止している。また、抜け止め部411には、180°ピッチ間隔で略矩形状の切欠き部411aが設けられている。また、ボタン本体410の孔部の底面には、図3及び図4に示すように、十字凸部412が設けられている。
【0030】
回転止め部420は樹脂製の成形品である。この回転止め部420は、ベース部421と、一対の脚部422と、補助脚部423と、支持部424と、一対の懸架部425とを有している。ベース部421は、外径が抜け止め部411と略同じリング状の板状体である。このベース部421の下面には、180°ピッチ間隔で円柱状の脚部422が凸設されている。また、ベース部421の下面の一方の脚部422の近傍には円柱状の補助脚部423が設けられている。脚部422及び補助脚部423が基板500及び補強板600の取り付け孔を上下動自在に貫通している。支持部424は、ボタン本体410の孔部の内径よりも外径が小さい円柱体である。この支持部424がボタン本体410の孔部に収容され、該ボタン本体410の十字凸部412に当接している。ボタン本体410が初期状態からの押下移動すると、十字凸部412が支持部424を押圧し、回転止め部420を下方に押し下げるようになっている。また、支持部424の下面中心部には円柱状の突起424aが突設されている。この突起424aが回転止め部420の押下移動に応じて押下移動検出手段900を押下する部位となっている。ベース部421と支持部424との間には懸架部425が懸架されている。懸架部425は脚部422と180°位置ズレして配置されている。懸架部425がボタン本体410の切欠き部411aに挿入され、該ボタン本体410の周方向の回転を防止している。
【0031】
押下移動検出手段900は、図3乃至図5に示すように、押下ボタン400の突起424aに押下される押下スイッチ910と、固定テープ920とを有している。押下スイッチ910は、可動接点911と、固定接点912a、912bとを有している。固定接点912aは、基板500上の中心部に設けられた円形の導体である。固定接点912bは、基板500上の固定接点912a周りに設けられた楕円形状の導体である。可動接点911は、断面円弧状の金属プレートである。この可動接点911は、外周縁部が固定接点912b上に設置され、頂部が固定接点912a上に配置されている。固定テープ920は、可動接点911に被せられ且つ基板500上に固着されている。固定テープ920の頂部には、押下ボタン400の突起424aが載置されている。すなわち、可動接点911が固定テープ920を介して押下ボタン400を支持することにより、該押下ボタン400を初期状態で保持している。換言すると、可動接点911により押下ボタン400が支持された状態が押下ボタン400の初期状態となる。押下ボタン400が押下移動すると、固定テープ920及び可動接点911の頂部が突起424aに押下され、固定接点912aに接触する。これにより、固定接点912a、912bが導通し、押下ボタン400の押下移動を示す信号を出力するようになっている。
【0032】
回転検出手段700は、図3乃至図5に示すように、ブラシ710と、複数種類の固定接点720とを有している。固定接点720は、基板500上の固定接点912bの周りに間隔を空けて環状に配設されている。ブラシ710は、固定部711と、4つの接触アーム712とを有している。固定部711は、内径が固定板140の内径と略同じであり、外径が固定板140の外径よりも小さいリング状の板体である。固定部711は、固定板140と共に、ダイヤル100の軸部120の下端部に熱かしめ等により取り付けられている。接触アーム712は、固定部711の外周縁部の一部を切り下げて形成されている。この接触アーム712の先端部が基板500上を摺動し、固定接点720に選択的に接触することにより、ダイヤル100の回転角を示す信号が出力されるようになっている。
【0033】
傾動検出手段800は、図3乃至図5に示すように、ダイヤル100の四方向の傾動操作入力に応じてキートップ200の押下部240により押下される4つの周辺スイッチ810と、リング状の固定テープ820とを有している。各周辺スイッチ810は、可動接点811と、固定接点812a、812bとを有している。固定接点812aは、基板500上の固定接点720の周りにキートップ200の押下部240と同ピッチ間隔で配設された円形の導体である。固定接点812bは、基板500上の固定接点812a周りに各々設けられた楕円形状の導体である。可動接点811は、断面円弧状の金属プレートである。この可動接点811は、外周縁部が固定接点812b上に設置され、頂部が固定接点812a上に各々配置されている。固定テープ820は、可動接点811に各々被せられ且つ基板500上に固着されている。固定テープ820の可動接点811上に押下部240が載置されている。4つの可動接点811が固定テープ820を介して4つの押下部240を各々支持することにより、該押下部240に支持されたダイヤル100を基板500に対して略平行な状態で支持している。この状態が上述したダイヤル100の所定状態となっている。ダイヤル100が所定状態から四方向のうちの何れか一方向に傾動すると、固定テープ820及び可動接点811の頂部が押下部240に押下され、固定接点812aに接触する。これにより、固定接点812a、812bが導通し、ダイヤル100の四方向のうちの何れか一方向の傾動を示す信号を出力するようになっている。
【0034】
以下、上述した構成の複合操作型入力装置の組み立て手順について詳しく説明する。まず、固定接点720、812a、812b、912a、912bが面上に印刷された基板500、及び補強板600を用意する。そして、基板500に補強板600を固着させる。その後、固定接点812b上に可動接点811の外周縁部を各々設置し、全可動接点811を固定テープ820で基板500上に固定する。同様に、固定接点912b上に可動接点911を設置し、該可動接点911を固定テープ920で基板500上に固定する。
【0035】
その後、感触子300をダイヤル100の上記収容空間に挿入し、感触子300の取付部310を前記収容空間の天井面に熱かしめ等により取り付ける。その後、感触子300の一対のバネ部320を互いに離れる方向に弾性変形させた状態で、ダイヤル100の軸部120をキートップ200の軸受け部210の上段部211の小径孔211aに上方から挿入すると共に、軸受け部210の上段部211をダイヤル100の上記収容空間に挿入する。その後、バネ部320を解放すると、該バネ部320が復元して上段部211の凸凹面211b上に配置される。その後、ダイヤル100の軸部120の下段部に固定板140及び回転検出手段700のブラシ710の固定部711を熱かしめ等により取り付ける。これにより、固定板140の外周縁部がキートップ200の段差部212a1に当接する。この状態で、軸受け部210の上段部211の小径孔211aの摺接面211a1がダイヤル100の軸部120に対して若干の隙間を有して略平行に対向配置される。このようにしてダイヤル100及びキートップ200がユニット化される。以下、これをユニットと称する。
【0036】
その一方で、押下ボタン400の回転止め部420の脚部422及び補助脚部423を基板500及び補強板600の孔に各々挿入する。このとき、回転止め部420の突起424aが固定テープ920及び可動接点911の頂部上に設置される。その後、押下ボタン400のボタン本体410を回転止め部420の支持部424に被せる。これにより、ボタン本体410の十字凸部412が回転止め部420の支持部424上に載置される。
【0037】
その後、前記ユニットのキートップ200の脚部220の取付部222を基板500及び補強板600の取り付け孔に各々挿入し、キートップ200の軸受け部210の下段部212を基板500上に設置する。このとき、前記ユニットのダイヤル100の軸部120の孔部121及び天板部110の孔部111に、基板500上の押下ボタン400のボタン本体410及び回転止め部420が挿入される。具体的には、ボタン本体410の上端部が天板部110の孔部111内に収容され、ボタン本体410の抜け止め部411及び回転止め部420の支持部424及び懸架部425が軸部120の孔部121内に収容される。これと共に、キートップ200の押下部240が傾動検出手段800の固定テープ820の可動接点811上に各々設置され、ブラシ710の接触アーム712の先端部が基板500上に当接する。その後、キートップ200の取付部222を補強板600に熱かしめ等により取り付ける。
【0038】
以下、上述したように組み立てられた複合操作型入力装置の使用方法及び各部の動作について説明する。ダイヤル100が周方向に回転操作されると、ダイヤル100の軸部120がキートップ200の軸受け部210の摺接面211a1に摺接しつつ回転する。このため、ダイヤル100が殆どガタつくことなく、軸部120を中心として周方向に回転する。このとき、ダイヤル100の回転に応じて感触子300の一対のバネ部320がキートップ200の軸受け部210の凸凹面211b上を振幅移動し、該ダイヤル100の回転操作に操作感を付与する。これと共に、ダイヤル100の軸部120の下端部に取り付けられたブラシ710の接触アーム712が、基板500上を摺動し、該基板500上の固定接点720に選択的に接触する。これにより、ダイヤル100の回転角に応じた信号が出力される。
【0039】
ダイヤル100が上記所定状態から四方向のうち一方向に傾動操作されると、図7(a)に示すように、ダイヤル100の固定板140の傾動方向と反対側の部分がキートップ200の軸受け部210の段差部212a1の前記傾動方向と反対側の部分に当接してダイヤル100の前記傾動の支点として機能し、ダイヤル100の軸部120がキートップ200の軸受け部210に対して傾く。このとき、軸受け部210の上段部211の小径孔211aの摺接面211a1の上側にテーパ面211a2が設けられているため、軸部120と軸受け部210の上段部211との干渉が回避される。これと共に、ダイヤル100の外壁部130の前記傾動方向側の部分が、前記傾動方向側に位置するキートップ200の押下部240を押下し、該押下部240が設けられたアーム230を弾性変形させる。すると、押下部240が前記傾動方向側に位置する周辺スイッチ810を押下する。これにより、周辺スイッチ810の可動接点811が弾性変形し、該可動接点811の頂部が固定接点812aに接触する。これにより、ダイヤル100の前記傾動方向の傾動を示す信号が出力される。その後、ダイヤル100が解放されると、可動接点811及びアーム230が復元し、前記傾動方向側の押下部240及びダイヤル100の外壁部130の前記傾動方向側の部分を押し上げる。これにより、ダイヤル100が前記所定状態に復帰する。
【0040】
ダイヤル100が上記所定状態から四方向のうち前記傾動方向と直交する一方向に傾動操作された場合であっても、図7(b)に示すように、前記傾動方向と同様に各部が動作する。よって、詳しい説明は省略する。
【0041】
押下ボタン400のボタン本体410が前記初期状態から下方に押下操作されると、ボタン本体410の十字凸部412が回転止め部420の支持部424を押し下げる。これにより、支持部424の突起424aが押下移動検出手段900の可動接点911を押下する。これにより、可動接点911が弾性変形し、該可動接点911の頂部が固定接点912aに接触する。これにより、押下ボタン400の押下移動を示す信号が出力される。その後、押下ボタン400が解放されると、可動接点911が復元し、回転止め部420及びボタン本体410を押し上げる。これにより、押下ボタン400が前記初期状態に復帰する。
【0042】
このような複合操作型入力装置による場合、軸受け部210の上段部211の小径孔211aの内周面の下端部には、所定状態におけるダイヤル100の軸部120の外周面に対して略平行であり且つ径が軸部120の外径よりも若干大きい摺接面211a1が形成されている。よって、ダイヤル100の回転時に、ダイヤル100の軸部120が軸受け部210の摺接面211a1に摺接することにより、ダイヤル100の回転時のガタつきを抑制することができる。また、外部からの振動等がダイヤル100に加わったとしても、ダイヤル100の軸部120が摺接面211a1に当接することにより、該ダイヤル100のガタつきを抑制することができる。また、軸受け部210は、ダイヤル100の回転及び傾動により弾性変形しない剛性を有しているため、ダイヤル100の前述のガタつきを好適に抑制することができる。更に、ダイヤル100の軸部120の固定板140の外周縁部がキートップ200の軸受け部210の段差部212a1に上方から支持される一方、ダイヤル100の外壁部130がキートップ200の押下部240に下方から各々支持されている。この構成によっても、ダイヤル100の回転操作時のガタつき及び外部からの振動等によるダイヤル100のガタつきを抑制することができる。
【0043】
また、ダイヤル100の傾動操作時に、ダイヤル100の固定板140の傾動操作方向の反対側の部分が軸受け部210の段差部212a1の傾動操作方向の反対側の部分に当接して該ダイヤル100の傾動の支点と機能するようになっている。このため、ダイヤル100の傾動ストロークを安定させることができる。しかも、軸受け部210の上段部211の小径孔211aの摺接面211a1の上側部分には、上段部211の断面形状が上方に向けて漸次低減するテーパ面211a2が設けられているため、ダイヤル100の傾動操作時に該ダイヤル100の軸部120と軸受け部210の上段部211との干渉を避けることができる。また、キートップ200の軸受け部210の上段部211の外周面に凸凹面211bが形成されていることから、ダイヤル100側に凸凹面を設けることにより生じるダイヤル100の偏肉を防ぐことができ、ダイヤル100の形状を簡素化することができる。よって、本複合操作型入力装置の外観をなすダイヤル100に偏肉を起因とするヒケ等が発生するのを防止することもできる。しかも、軸受け部210の下段部212の周囲に脚部220、アーム230及び押下部240が設けられていることから、脚部220、アーム230及び押下部240と、凸凹面211b及び感触子300との干渉を避けることができる。
【0044】
なお、上述した複合操作型入力装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0045】
上記実施の形態では、ダイヤル100の軸部120は円筒状であるとしたが、円柱状であっても良い。この場合には、押下ボタン400及び押下移動検出手段900を省略すれば良い。また、上記実施の形態では、軸部120の下端部に固定板140が取り付けられているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、軸部120の下端部に外側に凸のフランジを突設するようにしても良い。また、軸部120の下端部の傾動方向と反対側の部分が軸受け部210の摺接面211a1に当接してダイヤル100の傾動の支点として機能するようになっている場合には、固定板140又はフランジを設けなくても良い。また、上記実施の形態では、固定板140は、軸受け部210の段差部212a1に当接するとしたが、軸受け部210の下面に当接させることも可能である。この点は前記フランジも同様である。この場合、軸受け部210は単なる円筒体とすることができる。
【0046】
また、上記実施の形態では、軸受け部210の下段部212の外周面には脚部220が設けられ、該脚部220が補強板600を介して基板500に取り付けられているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、脚部220を基板500に直接取り付けるようにしても良し、脚部220を本複合操作型入力装置が搭載される電子機器の筐体等(固定部材)に取り付けるようにしても良い。また、脚部220の代わりに、軸受け部210の下面に突起を設け、該突起を補強板600、基板500又は前記筐体等の孔に嵌合させる要因しても良いし、軸受け部210に係止爪を設け、該係止爪を補強板600、基板500又は前記筐体等の孔や凹部に係止させるようにしても良い。すなわち、軸受け部210を固定する対象は任意に選択設定することができる。
【0047】
上述した基板500は、フレキシブルプリント基板を用いるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、基板500として硬質基板を用いることが可能である。また、基板500の形状は、円形だけに限定されることなく、四角形等とすることが可能である。補強板600の形状についても同様であり、四角形等とすることが可能である。
【0048】
また、上記実施の形態では、ダイヤル100は、四方向に傾動操作入力可能であるとしたが、少なくとも二方向に傾動操作入力方向可能であれば良く、傾動操作入力方向は適宜選択設定することが可能である。押下部240及び周辺スイッチ810の数や位置については、ダイヤル100の傾動操作入力方向に応じて適宜設定すれば良い。押下部240の形状は、アーム230の上下面に設けられた突起であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、押下部240は、軸受け部210の周囲にダイヤル100の傾動操作入力方向に応じて配置された別体の円柱体又は角柱体とすることが可能である。この場合、アーム230は不要である。また、押下部240は、ダイヤル100の外壁部130の下端部に突設されていても良い。更に、押下部240はアーム230に下方に向けてのみ突設された突起とすることも可能である。この場合、押下部240の上面とアーム230の上面とがフラットになる。また、上記実施の形態では、押下部240は、ダイヤル100の外壁部130を支持しているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、単にダイヤル100の外壁部130の下側に押下部240が間隔を空けて配置された構成とすることも可能であるし、押下部240がダイヤル100の他の部分によって押下されるように配置することも可能である。この場合、ダイヤル100を所定状態で保持するコイルスプリング等の付勢手段を設けるようにすれば良い。また、上記実施の形態では、アーム230は、脚部220の先端部に懸架されているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、アーム230が軸受け部210の下段部212の外周面から延設された構成とすることが可能である。
【0049】
上述した傾動検出手段800の周辺スイッチ810は、可動接点811及び固定接点812a、812bを有する構成であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、周辺スイッチ810としては、ダイヤル100の傾動を磁気的又は光学的に無接触で検出する周知の近接スイッチを用いることができる。前記近接スイッチとしては、ダイヤル100に取り付けられた磁石の傾動に応じて磁界の変化を検出する磁気センサやフォトインタラプタ等の光学センサを用いることが可能である。同様に、押下移動検出手段900の押下スイッチ910としても前記近接センサを用いることが可能である。また、可動接点811を押下部240の下面に設け、押下部240の押下移動に応じて可動接点811が固定接点812a、812bに接触する構成とすることも可能である。同様に、押下スイッチ910も可動接点911を押下部240の下面に設けることが可能である。周辺スイッチ810と押下スイッチ910とは同一の構成である必要はなく、各々が前述した構成を適宜選択設定するようにすれば良い。なお、固定テープを用いるか否かは任意に選択することができる。
【0050】
上記実施の形態では、回転検出手段700は、ブラシ710と、複数種類の固定接点720とを有する構成であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、前記回転検出手段としては、可変抵抗器、磁気センサや光学センサ等を用いることが可能である。前記可変抵抗器は、ブラシ710及びこのブラシ710の接触アーム712が摺動する抵抗パターンを有し、ダイヤル100回転及び回転量を検出することができる。前記磁気センサは、ダイヤル100に取り付けられた磁石の回転移動に応じた磁界の変化を検出し、ダイヤル100の回転や回転量を検出することができる。前記光学センサとしては、ダイヤル100と共に回転する回転板に受光素子から光を照射し、回転板に設けられたスリットを介して受光素子で受光し、ダイヤル100の回転や回転量を検出する透過型のフォトインタラプタや、ダイヤル100と共に回転する反射板に光を照射し、該反射板により反射された光を受光素子で受光することにより、ダイヤル100の回転や回転量を検出する反射型のフォトインタラプタ等を用いることが可能である。
【0051】
なお、上記実施の形態では、複合操作型入力装置の各部を構成する素材、形状、寸法及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
100・・・ダイヤル(第1操作体)
110・・天板部
120・・軸部
130・・外壁部
140・・固定板(フランジ)
200・・・キートップ
210・・軸受け部
211・上段部
211a1・摺接面
211a2・テーパ面
212・下段部
212a1・段差部
220・・脚部
230・・アーム
240・・押下部
300・・・感触子
400・・・押下ボタン
500・・・基板(固定部材)
600・・・補強板
700・・・回転検出手段
800・・・傾動検出手段
810・・周辺スイッチ
900・・・押下移動検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状又は円柱状の軸部を有する第1操作体と、
前記軸部に外嵌した円筒体であって、前記第1操作体を前記軸部を中心に周方向に回転自在に軸支すると共に、前記第1操作体を前記軸部を支点として所定状態から傾動可能に軸支する軸受け部と、
前記第1操作体の回転を検出する回転検出手段と、
前記第1操作体の傾動を検出する傾動検出手段とを備えており、
前記軸受け部の内周面には、所定状態における前記第1操作体の軸部の外周面に対して平行であり且つ径が前記第1操作体の軸部の外径よりも若干大きい摺接面と、
この摺接面の第1操作体側に位置し且つ前記軸受け部の断面積が前記第1操作体に向けて漸次低減するテーパ面とが設けられていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項2】
請求項1記載の複合操作型入力装置において、
前記第1操作体は、前記軸部の下端部に設けられた外側に凸のリング状のフランジを更に有しており、
前記フランジは、前記第1操作体が所定状態であるとき、前記軸受け部の下面に当接しており、
前記第1操作体が傾動する際に、前記フランジにおける前記傾動の方向と反対側の部分が前記軸受け部の下面に当接し、前記第1操作体の傾動の支点として機能するようになっていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項3】
請求項2記載の複合操作型入力装置において、
前記軸受け部は断面視略凸字状であって、その内周面に段差部が設けられており、
前記第1操作体が傾動する際に、前記フランジにおける前記傾動の方向と反対側の部分が、前記軸受け部の下面ではなく、該軸受け部の段差部に当接するようになっていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項4】
請求項1記載の複合操作型入力装置において、
前記第1操作体は、前記軸部の下端部に設けられた外側に凸の複数のフランジを更に有しており、
前記フランジは、前記第1操作体が所定状態であるとき、前記軸受け部の下面に当接しており、
前記第1操作体が傾動する際に、前記フランジのうち前記傾動方向と反対側に位置するフランジが、前記軸受け部の下面に当接し、前記第1操作体の傾動の支点として機能するようになっていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項5】
請求項4記載の複合操作型入力装置において、
前記軸受け部は断面視略凸字状であって、その内周面に段差部が設けられており、
前記第1操作体が傾動する際に、前記フランジのうち前記傾動方向と反対側に位置するフランジが、前記軸受け部の下面ではなく、該軸受け部の段差部に当接するようになっていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一つに記載の複合操作型入力装置において、
前記第1操作体の軸受け部外周面に対向する部分に設けられた感触子を更に備えており、
前記軸受け部の外周面は、前記第1操作体の回転に応じて前記感触子が振幅移動する凸凹面となっていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一つに記載の複合操作型入力装置において、
前記軸受け部が固定された固定部材を更に有していることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項8】
請求項2乃至5の何れか一つに記載の複合操作型入力装置において、
前記軸受け部の外周面の下側部の周りに間隔を空けて配置されており且つ傾動した前記第1操作体により押下される複数の押下部と、
前記第1操作体の軸受け部外周面の上側部に対向する部分に設けられた感触子を更に備えており、
前記傾動検出手段は、前記押下部の下側に配置されており且つ前記第1操作体の傾動時に前記押下部により各々押下される複数の周辺スイッチを有しており、
前記軸受け部の外周面の上側部は、前記第1操作体の回転に応じて前記感触子が振幅移動する凸凹面となっていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項9】
請求項8記載の複合操作型入力装置において、
前記周辺スイッチが設けられた基板と、
前記前記軸受け部の外周面の下側部に間隔を空けて配設されており且つ前記基板に取り付けられた複数の脚部と、
前記脚部間に懸架され且つ前記押下部が各々設けられた略円弧状の複数のアームとを更に備えており、
前記押下部が押下されることにより、前記アームが弾性変形するようになっていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項10】
請求項2乃至5の何れか一つに記載の複合操作型入力装置において、
前記軸受け部の外周面の下側部の周りに間隔を空けて設けられた弾性変形可能な複数のアームと、
前記アームに各々設けられており且つ傾動した前記第1操作体により押下される複数の押下部と、
前記第1操作体の軸受け部外周面の上側部に対向する部分に設けられた感触子を更に備えており、
前記傾動検出手段は 前記押下部の下側に配置されており且つ前記第1操作体の傾動時に前記押下部により各々押下される複数の周辺スイッチを有しており、
前記軸受け部の外周面の上側部は、前記第1操作体の回転に応じて前記感触子が振幅移動する凸凹面となっていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項11】
請求項8、9又は10に記載の複合操作型入力装置において、
前記第1操作体は、内側部に前記軸部が設けられた天板部と、この天板部の外側に設けられた外壁部とを更に有しており、
前記外壁部が前記押下部上に載置されていることを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項12】
前記第1操作体が環状である場合の請求項1乃至11の何れか一つに記載の複合操作型入力装置において、
前記第1操作体内に軸方向に沿って移動自在に配置された第2操作体と、
前記第2の操作体の移動を検出する移動検出手段とを更に備えていることを特徴とする複合操作型入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−119177(P2011−119177A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277473(P2009−277473)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】