説明

複合材料、発光素子、発光装置、照明装置、電子機器及びフルオレン誘導体

【課題】発光素子に適用することによって、低い駆動電圧、良好な発光効率及び良好な寿命(信頼性)のうち、少なくとも1の特性を備える発光素子を提供することが可能となる複合材料を提供する。
【解決手段】フルオレン骨格にアリール基が1つ又は複数結合している、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を構成する材料として好適に用いることができる複合材料に関する。また、当該複合材料を用いた発光素子、発光装置、照明装置及び電子機器に関する。また、当該複合材料に用いることが好適なフルオレン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
薄型軽量、高い応答性能、低消費電力などのメリットから、次世代の照明装置や表示装置として有機化合物を発光物質とする発光素子(有機EL素子)を用いた発光装置の開発が加速している。
【0003】
有機EL素子は一対の電極間に発光物質を含む発光層を挟み、当該電極間に電圧を印加することにより、電極から注入された電子およびホールが再結合して発光物質が励起状態となり、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。発光物質が発する光の波長はその発光物質特有のものであり、異なる種類の有機化合物を発光物質として用いることによって、様々な波長すなわち様々な色の発光を呈する発光素子を得ることができる。
【0004】
ディスプレイなど、画像を表示することを念頭においた表示装置の場合、フルカラーの映像を再現するためには、少なくとも赤、緑、青の3色の光を得ることが必要になる。また、照明装置として用いる場合は、高い演色性を得るために、可視光領域において満遍なく波長成分を有する光を得ることが理想的であり、現実的には、異なる波長の光を2種類以上合成することによって得られる光が照明用途として用いられることが多い。なお、赤と緑と青の3色の光を合成することによって、高い演色性を有する白色光を得ることができることが知られている。
【0005】
発光素子の色と共に重要視される発光素子の特性として、発光効率がある。発光効率の良好な発光素子は、その他の素子と比較して同じ輝度を得るために要するエネルギーが小さくて済む。このため、省エネルギー性能に優れた発光装置を提供することが可能となる。エネルギー問題に敏感な昨今、発光効率の向上は非常に大きな課題である。
【0006】
発光効率、特に、電力効率を向上させるために有効な手段として、駆動電圧の低減が挙げられる。駆動電圧が低くなると、低い電圧でより大きな電流を流すことができるようになることから、消費電力が低減し、電力効率が向上する。このため、駆動電圧の低減を目的として、これまでにも多くの研究がなされてきている(例えば非特許文献1参照)。
【0007】
また、発光効率と同様に重要視される発光素子の特性として、寿命(信頼性)といった、商品としての信用にかかわる特性がある。寿命(信頼性)は商品化にあたり当然に要求される特性の一つであり、また、ある一定以上の特性を有する場合は大きなセールスポイントとなりうるものである。すなわち、寿命(信頼性)は良好であればあるほど好ましい。このため、様々な方法によって発光素子の寿命(信頼性)を向上させる研究がなされている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−324650号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Y.Yang他、「アプライド フィジクス レターズ」、Vol.64(10)、1245−1247(1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発光効率を向上させるための別のアプローチとして、単位電流密度あたりの輝度(電流効率)を向上させることが挙げられる。上述したように発光効率は良好であればあるほど好ましい。有機EL素子の輝度は電流に比例することから、低い電圧でより大きな電流を流すことができる(駆動電圧の小さい)発光素子において、単位電流密度あたりの輝度(電流効率)を向上させることができれば非常に良好な電流効率を有する発光素子を得ることができる。
【0011】
そこで、本発明では、発光素子に適用することによって、発光効率の良好な発光素子を提供することが可能となる複合材料を提供することを課題とする。
【0012】
また、本発明では、発光素子に適用することによって、駆動電圧が低く且つ発光効率の良好な発光素子を提供することが可能となる複合材料を提供することを課題とする。
【0013】
また、どのような発光素子であっても寿命(信頼性)といった特性は非常に重要となる。
【0014】
そこで、本発明では、発光素子に適用することによって、寿命(信頼性)が良好な発光素子を提供することが可能となる複合材料を提供することを課題とする。
【0015】
また、本発明では、発光素子に適用することによって、発光効率が良好で且つ寿命(信頼性)が良好な発光素子を提供することが可能となる複合材料を提供することを課題とする。
【0016】
また、本発明では、発光素子に適用することによって、駆動電圧が低く、発光効率が良好で且つ寿命(信頼性)が良好な発光素子を提供することが可能となる複合材料を提供することを課題とする。
【0017】
また、本発明では、発光効率の良好な発光素子を提供することを課題とする。
【0018】
また、本発明では、駆動電圧が低く且つ発光効率の良好な発光素子を提供することを課題とする。
【0019】
また、本発明では、寿命(信頼性)が良好な発光素子を提供することを課題とする。
【0020】
また、本発明では、発光効率が良好で且つ寿命(信頼性)が良好な発光素子を提供することを課題とする。
【0021】
また、本発明では、駆動電圧が低く、発光効率が良好で且つ寿命(信頼性)が良好な発光素子を提供することを課題とする。
【0022】
また、本発明では、消費電力の小さい発光装置を提供することを課題とする。
【0023】
また、本発明では、信頼性の高い発光装置を提供することを課題とする。
【0024】
また、本発明では、消費電力が小さく且つ信頼性の高い発光装置を提供することを課題とする。
【0025】
また、本発明では、消費電力の小さい電子機器を提供することを課題とする。
【0026】
また、本発明では、信頼性の高い電子機器を提供することを課題とする。
【0027】
また、本発明では、消費電力が小さく且つ信頼性の高い電子機器を提供することを課題とする。
【0028】
また、本発明では、消費電力の小さい照明装置を提供することを課題とする。
【0029】
また、本発明では、信頼性の高い照明装置を提供することを課題とする。
【0030】
また、本発明では、消費電力が小さく且つ信頼性の高い照明装置を提供することを課題とする。
【0031】
また、本発明では、上述の複合材料を構成するために好適な新規化合物を提供することを課題とする。
【0032】
なお、本発明の一態様では上記課題の少なくとも一を解決すれば良い。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明者らは、フルオレンにアリール基が1又は複数結合している分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料が上記課題を解決できることを見出した。そして、当該複合材料を用いることで発光効率の高い発光素子を提供することができた。また、駆動時間に対する発光効率の低下が小さい、寿命の長い発光素子を作製することができた。
【0034】
すなわち、本発明の一態様は、フルオレンにアリール基が1又は複数結合している分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0035】
炭化水素化合物としてフルオレン骨格を有する本発明の複合材料は、当該フルオレン骨格が嵩高い構造をしていることから、当該複合材料からなる膜の質が良好であり、寿命の長い発光素子を作製することが可能となる。
【0036】
また、フルオレン自身のHOMO準位とLUMO準位間のエネルギーギャップが大きいことから、それに結合するアリール基を適切に選ぶことで、可視光領域での光の吸収が小さく、透光性の高い複合材料を得ることができる。具体的なアリール基の選択方法としてはそれらアリール基自身の光の吸収が小さいものを選ぶ。このことから、当該複合材料を用いることによって発光効率の高い発光素子を作製することが可能となる。また、当該炭化水素化合物は、炭化水素のみで構成されるため、(アミンなど電子供与基を介してアリール同士が結合するよりも)フルオレンとその置換基間で共役が広がりづらく、広いエネルギーギャップを保持したまま適度に分子量の大きい炭化水素化合物を得ることができる。これにより、熱的に安定な炭化水素化合物を得ることができる。またこれにより、当該炭化水素化合物を蒸着する際に、蒸着レートの制御がしやすく、安定した品質の発光素子を提供することが可能となる。また、本発明の複合材料は、炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物より蒸着温度の高い無機化合物との共蒸着により作製する。本発明の複合材料は、炭化水素化合物がフルオレン骨格を有することにより、エネルギーギャップの低下を抑制しつつ、分子量を適度に大きくすることができ、当該無機化合物の蒸着温度により近い温度で共蒸着を行うことが可能となる。また、当該炭化水素化合物は、炭化水素のみで構成されるため、極性が大きくなりづらく、複合材料としたときにも新たに吸収が発生しづらい。そのため、より透光性の高い複合材料とすることができる。
【0037】
また、フルオレン骨格を有する炭化水素化合物を含む複合材料を用いることによってキャリアバランスの良い、発光効率の良好な素子を作製することができる。
【0038】
なお、これら分子量は、真空蒸着で複合材料を形成する場合は、蒸着温度を考慮すると、より好ましくは1200以下が好ましい。
【0039】
また、本発明の他の一態様は、フルオレンの9位に1つ又は2つのフェニレン基を介してアリール基が結合し且つ分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0040】
上記構成を有する本発明の複合材料は、フルオレンの9位の炭素を介してアリール基が結合している炭化水素化合物を用いることが特徴である。これにより、当該炭化水素化合物はアリール基からフルオレン骨格への共役の広がりを押さえ、さらに有効にエネルギーギャップの低下を抑制することができ、エネルギーギャップの大きい炭化水素化合物とすることができる。これにより、当該炭化水素化合物を含む複合材料は、可視光領域での光の吸収が少ない、より透光性の高い複合材料とすることができる。
【0041】
また、より具体的に、本発明の他の一態様は、下記一般式(G1)で表され分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0042】
【化1】

【0043】
但し、式中α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表し、nは0又は1の値をとる。また、Ar及びArは置換又は無置換のアリール基を表す。また、R11乃至R18はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。
【0044】
また、本発明の他の一態様は、フルオレンの9位に1つ又は2つのフェニレン基を介して2環以上4環以下の縮合環が結合し、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0045】
この時、フルオレンの9位に結合しているアリール基が2つの場合、これらアリール基はフルオレンの9位のシグマ結合を介して結合している。そのため、これらアリール間で共役が広がりづらく、広いバンドギャップを有したまま、バルキーな構造とすることができる。そのため、透光性の高い材料でありながら、結晶化しづらい材料とすることができる。
【0046】
上記構成を有する本発明の複合材料にあっては、2環以上4環以下の縮合環を有することで、電子又は正孔の輸送性と、当該複合材料よりなる膜の透光性とのバランスの良い発光素子用の材料として好適な材料とすることができる。
【0047】
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G1)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0048】
【化2】

【0049】
但し、式中α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表し、nは0又は1の値をとる。また、Arは置換又は無置換の2環以上4環以下の環が縮合したアリール基のいずれかを表し、Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表す。また、R11乃至R18はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。
【0050】
上記構成を有する本発明の複合材料にあっては、2環以上4環以下の縮合環を有することで、電子又は正孔の輸送性と、当該複合材料よりなる膜の透光性とのバランスの良い発光素子用の材料として好適な材料とすることができる。
【0051】
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G2)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0052】
【化3】

【0053】
但し、式中αは置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表す。また、Arは置換又は無置換の2環以上4環以下の環が縮合したアリール基のいずれかを表し、Arは置換又は無置換のフェニル基又は置換又は無置換のビフェニル基を表す。また、R11乃至R18はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。
【0054】
上記構成を有する本発明の複合材料は、上記一般式で表される炭化水素化合物のエネルギーギャップが広いことから、透光性の高い複合材料とすることが可能となる。
【0055】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、R11乃至R18はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び下記構造式で表される基のいずれかである複合材料である。
【0056】
【化4】

【0057】
これら置換基を有することで、よりバルキーな材料となり、好ましい。ただし、これら置換基の無いものの方は、合成が簡略となり、合成の観点からは好ましい。
【0058】
また、本発明の一態様は、下記一般式(G3)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0059】
【化5】

【0060】
但し、式中αは置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表す。また、Arは置換又は無置換の2環以上4環以下の環が縮合したアリール基のいずれかを表し、Arは置換又は無置換のフェニル基又は置換又は無置換のビフェニル基を表す。
【0061】
上記構成を有する本発明の複合材料は、構造が単純であるため、低コストで当該複合材料を得ることができる。
【0062】
また、本発明の他の一態様は、上記構成を有する複合材料において、Arが、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基及び置換又は無置換のテトラセニル基から選ばれる一である複合材料である。
【0063】
また、本発明の他の一態様は、上記構成を有する複合材料において、Arで表されるアリール基の結合手が水素でと結合した物質(Ar−H)が、その吸収スペクトルにおいて、450nm以上800nm以下の範囲にピークがない物質である複合材料である。
【0064】
このような構成を有する複合材料は、可視光領域に骨格由来の吸収が小さいことから、透光性の高い複合材料を得ることができる。
【0065】
また、本発明の他の一態様は、上記構成を有する複合材料において、Arが置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基及び置換又は無置換のトリフェニレニル基から選ばれる一である複合材料である。
【0066】
以上のような構成を有する複合材料は、炭化水素化合物と無機化合物が電荷移動錯体を形成したことによる可視光領域への新たな吸収が発生しにくく、可視光の透過率が高い複合材料とすることができる。
【0067】
また、本発明の他の一態様は、上記構成を有する複合材料において、Arが、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基、置換又は無置換のテトラセニル基及び置換又は無置換のトリフェニレニル基から選ばれる一である複合材料である。
【0068】
以上のような構成を有する複合材料は、キャリアの移動度が大きい複合材料とすることが可能である。
【0069】
また、本発明の他の一態様は、Arが置換基を有する場合、当該置換基が、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及び下記一般式(Ar−1)で表される基のいずれかである複合材料である。
【0070】
【化6】

【0071】
但し、式中α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表し、mは0又は1の値をとる。また、Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、R41乃至R48はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基及びフェナントリル基のいずれかを表す。
【0072】
また、本発明の一態様は、下記一般式(G4)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0073】
【化7】

【0074】
但し、式中αは置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表す。また、R乃至Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及び下記一般式(Ar−2)で表される基のいずれかを表す。
【0075】
【化8】

【0076】
但し、式中αは置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表す。
【0077】
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G5)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0078】
【化9】

【0079】
但し、式中α11はフェニレン基又はビフェニルジイル基を表す。
【0080】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、α乃至α及びα11はそれぞれ独立に下記構造式(α−1)乃至(α−6)のいずれかである複合材料である。
【0081】
【化10】

【0082】
また、本発明の他の一態様は、フルオレンにアリール基が1又は複数結合している分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有し、アリール基がフルオレンの2位又はフルオレンの2位および7位に結合している複合材料である。
【0083】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、アリール基は置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基及び置換又は無置換のテトラセニル基から選ばれる一である複合材料である。
【0084】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、アリール基が1つ又は2つのフェニレン基を介してフルオレンに結合している複合材料である。
【0085】
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G6)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0086】
【化11】

【0087】
但し、式中Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、Arは水素または置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又はビフェニルジイル基を表す。j及びkはそれぞれ独立に0又は1の値をとる。また、R21乃至R28はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。
【0088】
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G6’)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0089】
【化12】

【0090】
但し、式中Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、Arは水素または置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又はビフェニルジイル基を表す。j及びkはそれぞれ独立に0又は1の値をとる。また、R23乃至R28及びR31乃至R38はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。
【0091】
スピロフルオレン骨格は、分子内のフルオレン同士がバルキーな構造となり、分子量も大きいため、熱物性が優れており好ましい。
【0092】
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G7)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0093】
【化13】

【0094】
但し、式中Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、Arは水素または置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表す。また、R21乃至R28はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。
【0095】
また、本発明の他の一態様は、下記一般式(G7’)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料である。
【0096】
【化14】

【0097】
但し、式中Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、Arは水素または置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表す。また、R23乃至R28及びR31乃至R38はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。
【0098】
なお、これらフルオレン骨格の2位と7位にそれぞれアリール基が結合している炭化水素化合物は、それらアリール基の共役がフルオレン骨格を介して広がりづらく、エネルギーギャップを高く保つことができる(2位のみにアリール基がある場合と比較しても吸収スペクトルが大きく長波長シフトしづらい)。アリール基が2つ以上付くことで、よりバルキーな構造とすることができるため、エネルギーギャップが高く透光性の高い材料でありながら、結晶化しづらい材料とすることができる。
【0099】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、Arが置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基及び置換又は無置換のテトラセニル基から選ばれる一であり、Arは水素または置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基及び置換又は無置換のテトラセニル基から選ばれる一である複合材料である。
【0100】
また、本発明の一態様は、上記構成において、炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物が遷移金属の酸化物である複合材料である。
【0101】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物がチタン酸化物、バナジウム酸化物、タンタル酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、銀酸化物から選ばれる一種又は複数種である複合材料である。
【0102】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物がモリブデン酸化物である複合材料である。
【0103】
また、本発明の他の一態様は、一対の電極間に有機化合物を含む層を有し、当該有機化合物を含む層は、少なくとも発光中心物質を含む層と、上記構成を有する複合材料を含む層とを有する発光素子である。
【0104】
上記構成を有する本発明の発光素子は、複合材料が良好なキャリア輸送性及びキャリア注入性を有することから、駆動電圧の小さい発光素子とすることができる。また、当該複合材料を含む膜は膜質が良好であるため、信頼性の高い発光素子とすることができる。また、当該複合材料を用いた発光素子はキャリアバランスが良好であるため、発光効率の高い発光素子とすることができる。また、当該複合材料は透光性の高い材料であるため、当該複合材料を使用したことによる発光効率の低下が少なく、発光効率の高い発光素子とすることができる。
【0105】
また、本発明の他の一態様は、上記構成において、複合材料を含む層が、一対の電極のうち陽極として機能する電極と接して設けられた発光素子である。
【0106】
上記構成を有する本発明の発光素子は、複合材料が良好なキャリア注入性を有することから、駆動電圧の小さい発光素子とすることができる。また、当該複合材料を含む膜は膜質が良好であるため、信頼性の高い発光素子とすることができる。また、当該複合材料を用いた発光素子はキャリアバランスが良好であるため、発光効率の高い発光素子とすることができる。また、当該複合材料は透光性の高い材料であるため、当該複合材料を使用したことによる発光効率の低下が少なく、発光効率の高い発光素子とすることができる。さらに、当該複合材料はその膜厚を厚く形成しても駆動電圧の上昇が起きにくいことから、陽極上に厚く形成することによって陽極が有する凹凸が原因で起こるショートなどの不良の発生を抑制することもでき、信頼性の高い発光素子を提供することが可能となる。
【0107】
また、本発明の他の一態様は、一対の電極間に有機化合物を含む層を有し、当該有機化合物を含む層は、複数の発光ユニットと、上記構成を有する複合材料を含む層とを有し、複数の発光ユニットは各々発光中心物質を含む層を有し、前記発光ユニット間に当該複合材料を含む層を有する発光素子である。
【0108】
上記構成を有する本発明の発光素子は、複合材料を含む膜が電荷発生層として機能するため、駆動電圧の小さい発光素子とすることができる。また、当該複合材料を含む膜は膜質が良好であるため、信頼性の高い発光素子とすることができる。また、当該複合材料を用いた発光素子はキャリアバランスが良好であるため、発光効率の高い発光素子とすることができる。また、当該複合材料は透光性の高い材料であるため、当該複合材料を使用したことによる発光効率の低下が少なく、発光効率の高い発光素子とすることができる。
【0109】
また、本発明の他の一態様は、上記構成を有する発光素子を備えた発光装置である。
【0110】
このような構成を有する発光装置は、消費電力の小さい発光装置である。また、信頼性の高い発光装置とすることが可能である。
【0111】
また、本発明の一態様は、上記構成を有する発光装置を表示部に備えた電子機器である。
【0112】
このような構成を有する電子機器は、消費電力の小さい電子機器である。また、信頼性の高い電子機器とすることが可能である。
【0113】
また、本発明の一態様は上記構成を有する発光装置を発光部に備えた照明装置である。
【0114】
このような構成を有する照明装置は、消費電力の小さい照明装置である。また、信頼性の高い照明装置とすることが可能である。
【0115】
また、本発明の一態様は下記構造式で表されるフルオレン誘導体である。
【0116】
【化15】

【0117】
上記構造を有するフルオレン誘導体は、複合材料を構成する炭化水素化合物として好適に用いることができる。また、発光素子のキャリア輸送層、発光層(ホスト材料及び発光中心材料)としても好適である。特に、青色の蛍光など可視光領域における短波長領域にスペクトルを有する発光中心材料を分散するホスト材料として用いた場合、色純度の高い発光を得ることができる。
【発明の効果】
【0118】
上記構成を有する複合材料は、当該複合材料を用いることで発光効率の高い発光素子を作製することが可能となる複合材料である。また、信頼性の高い発光素子を提供することが可能となる複合材料である。また、発光効率が良好で且つ信頼性の高い発光素子を提供することが可能な複合材料である。また、上記構成を有する発光素子は発光効率の高い発光素子である。また、信頼性の高い発光素子である。また、発光効率が良好で且つ信頼性の高い発光素子である。
【0119】
また、上記構成を有する発光装置は消費電力の小さい発光装置である。また、信頼性の高い発光装置である。また、発光効率が良好で且つ信頼性の高い発光装置である。
【0120】
また、上記構成を有する電子機器は消費電力の小さい電子機器である。また、信頼性の高い電子機器である。また、発光効率が良好で且つ信頼性の高い電子機器である。
【0121】
また、上記構成を有する照明装置は消費電力の小さい照明装置である。また、信頼性の高い照明装置である。また、発光効率が良好で且つ信頼性の高い照明装置である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】発光素子の概念図。
【図2】アクティブマトリクス型発光装置の概念図。
【図3】パッシブマトリクス型発光装置の概念図。
【図4】電子機器を表す図。
【図5】電子機器を表す図。
【図6】照明装置を表す図。
【図7】照明装置を表す図。
【図8】車載表示装置及び照明装置を表す図。
【図9】FLPAnth及びそれを用いた複合材料の薄膜の吸収スペクトルを表す図。
【図10】発光素子1及び比較発光素子1の輝度−電流効率特性を表す図。
【図11】発光素子1及び比較発光素子1電圧−輝度特性を表す図。
【図12】発光素子1及び比較発光素子1の輝度−パワー効率特性を表す図。
【図13】発光素子1及び比較発光素子1の輝度−外部量子効率特性を表す図。
【図14】発光素子1及び比較発光素子1の発光スペクトルを表す図。
【図15】発光素子1及び比較発光素子1の規格化輝度−時間特性を表す図。
【図16】FLPPAの1H NMRチャート。
【図17】FLPPAの溶液状態における吸収スペクトル(溶媒トルエン)。
【図18】FLPPAの溶液状態における発光スペクトル(溶媒トルエン)。
【図19】FLPPAの薄膜状態における吸収スペクトル。
【図20】FLPPAの薄膜状態における発光スペクトル。
【図21】FLPPAのCVチャート(酸化反応特性)を示す図。
【図22】FLPPAのCVチャート(還元反応特性)を示す図。
【図23】発光素子2及び比較発光素子2の輝度−電流効率特性を表す図。
【図24】発光素子2及び比較発光素子2の輝度−色度特性を表す図。
【図25】発光素子2及び比較発光素子2の発光スペクトルを表す図。
【図26】発光素子3及び比較発光素子3の輝度−電流効率特性を表す図。
【図27】発光素子3及び比較発光素子3の輝度−色度特性を表す図。
【図28】発光素子3及び比較発光素子3の発光スペクトルを表す図。
【図29】照明装置を表す図。
【図30】発光素子4の輝度−電流効率特性を表す図。
【図31】発光素子4電圧−輝度特性を表す図。
【図32】発光素子4の輝度−パワー効率特性を表す図。
【図33】発光素子4の輝度−外部量子効率特性を表す図。
【図34】発光素子4の発光スペクトルを表す図。
【図35】発光素子4の規格化輝度−時間特性を表す図。
【図36】発光素子5の輝度−電流効率特性を表す図。
【図37】発光素子5電圧−輝度特性を表す図。
【図38】発光素子5の輝度−パワー効率特性を表す図。
【図39】発光素子5の輝度−外部量子効率特性を表す図。
【図40】発光素子5の発光スペクトルを表す図。
【図41】発光素子5の規格化輝度−時間特性を表す図。
【図42】発光素子6の輝度−電流効率特性を表す図。
【図43】発光素子6電圧−輝度特性を表す図。
【図44】発光素子6の輝度−パワー効率特性を表す図。
【図45】発光素子6の輝度−外部量子効率特性を表す図。
【図46】発光素子6の発光スペクトルを表す図。
【図47】発光素子6の規格化輝度−時間特性を表す図。
【図48】発光素子7の輝度−電流効率特性を表す図。
【図49】発光素子7電圧−輝度特性を表す図。
【図50】発光素子7の輝度−パワー効率特性を表す図。
【図51】発光素子7の輝度−外部量子効率特性を表す図。
【図52】発光素子7の発光スペクトルを表す図。
【図53】発光素子7の規格化輝度−時間特性を表す図。
【図54】発光素子8の輝度−電流効率特性を表す図。
【図55】発光素子8電圧−輝度特性を表す図。
【図56】発光素子8の輝度−パワー効率特性を表す図。
【図57】発光素子8の輝度−外部量子効率特性を表す図。
【図58】発光素子8の発光スペクトルを表す図。
【図59】発光素子8の規格化輝度−時間特性を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0123】
以下、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0124】
(実施の形態1)
ある種の有機化合物と当該有機化合物に電子受容性を示す無機化合物とを含む複合材料を陽極に接して設けた発光素子は、当該有機化合物のみを同様の位置に設けた発光素子と比較して、大きく低電圧化されることが知られている(特許文献1参照)。これは、複合材料が当該有機化合物のみと比較してキャリア注入性及びキャリア輸送性に優れることによる結果である。当該複合材料は、また、無機化合物を含むことによって結晶化が抑制され、有機化合物単体を用いた場合と比較して、信頼性が向上することも報告されている。さらに、当該複合材料はその膜厚を厚く形成しても駆動電圧の上昇が起きにくいことから、陽極上に厚く形成することによって陽極が有する凹凸が原因で起こるショートなどの不良の発生を抑制することもできる。
【0125】
今回、本発明者らは、複合材料に用いる有機化合物として、フルオレンにアリール基が1または複数結合している炭化水素化合物を用いることによって、従来の複合材料を用いた発光素子と比較して良好な発光効率を有する発光素子を作製することができた。また、寿命の長い発光素子も作製することができた。なお、フルオレンにアリール基が1または複数結合している炭化水素化合物としては、分子量が400以上2000以下のものが蒸着しやすく好適に使用できる。また、アリール基はアリーレン基を介してフルオレンに結合していても良い。
【0126】
有機化合物としてフルオレン骨格を有する炭化水素化合物を用いる本実施の形態における複合材料は、当該フルオレン骨格が嵩高い構造をしていることから、当該複合材料からなる膜質が良好であり、これを用いた発光素子は寿命の長い発光素子とすることが可能となる。
【0127】
また、フルオレン自身のエネルギーギャップが大きいことから、可視光領域での光の吸収が小さく、透光性の高い複合材料を得ることができる。このことから、当該複合材料を用いることによって発光効率の高い発光素子を作製することが可能となる。また、フルオレンがある程度の分子量を有しながらもエネルギーギャップが大きいことから、フルオレン骨格を有する炭化水素化合物は、HOMO準位とLUMO準位間のエネルギーギャップを高く保ったまま、適度に分子量の大きい炭化水素化合物とすることができる。適度な分子量を有する炭化水素化合物は、蒸着する際に蒸着レートの制御がしやすく、安定した品質の発光素子を提供することが可能となる。また、本発明の複合材料は、炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物より蒸着温度の高い無機化合物との共蒸着により作製する。本発明の複合材料は、炭化水素化合物がフルオレン骨格を有することにより、エネルギーギャップの低下を抑制しつつ、分子量を適度に大きくすることができ、当該無機化合物の蒸着温度により近い温度で共蒸着を行うことが可能となる。これらのことから、本実施の形態に置ける複合材料を用いた発光素子は信頼性の高い発光素子とすることが可能となる。
【0128】
また、フルオレン骨格を有する炭化水素化合物を含む複合材料を用いることによってキャリアバランスの良い、発光効率の良好な素子を作製することができる。
【0129】
複合材料に用いるフルオレン骨格を有する炭化水素化合物について詳しく説明する。
【0130】
フルオレン骨格が有するアリール基は、少なくともフルオレンの9位又は2位又は2位及び7位に結合することが好ましい。フルオレン骨格は当該アリール基以外に置換基を有していても良く、当該置換基としては、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基を挙げることができる。また、これら置換基がさらに置換基を有する場合、当該置換基としては、アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。
【0131】
アリール基としては、特に限定は無く、置換基を有するものであっても、有さないものであっても良いが、環を構成する炭素数が炭素数6乃至18のアリール基が適当である。なお、縮合する環の数が多いアリール基はキャリアの輸送性に優れ、縮合する環の数が小さいアリール基は複合材料とした際に透光性に優れる。このため、キャリアの輸送性と、複合材料の膜の透光性とのバランスを考慮すると、当該アリール基は2環以上4環以下の縮合環であることが好ましい。なお縮合する環の数が同じでも、ポリアセン構造(縮合環が直線状)よりも、ヘリセン構造やヘリセン構造の一部を有する構成(曲がった縮合環)の方がバンドギャップが広く透光性に優れ好ましい。なお、これら縮合環は置換基を有していてもいなくとも良い。このようなアリール基としては、具体的には置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基、置換又は無置換のテトラセニル基などが挙げられる。これらのうち、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基より選ばれた基を当該アリール基として用いた複合材料は、電荷移動錯体の形成に基づく新たな吸収の発生がほとんど見られず、また、炭化水素化合物自身の吸収も可視光領域にほとんどないため、透光性に優れていながらキャリア輸送性も良好な複合材料とすることができる。また、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のテトラセニル基を当該アリール基として用いた複合材料は、特にキャリアの輸送性に優れた材料とすることができる。なお縮合する環の数が同じでも、ポリアセン構造(縮合環が直線状)よりも、ヘリセン構造やヘリセン構造の一部を有する構成(曲がった縮合環)の方がバンドギャップが広く透光性に優れ好ましい。なお、これら置換基がさらに置換基を有する場合、当該置換基としてはアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。
【0132】
アリール基がアリーレン基を介してフルオレンに結合する場合、当該アリーレン基としては、置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を用いることができる。これらが置換基を有する場合、当該置換基としては、アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。
【0133】
なお、アリール基は、フルオレンの9位に結合していることがさらに好ましい。フルオレンの9位の炭素はsp混成軌道であるため、アリール基からフルオレン骨格への共役の広がりを押さえることができる。このことから、さらに有効にエネルギーギャップの低下を抑制することができ、エネルギーギャップの大きい炭化水素化合物を用いた複合材料とすることができる。これにより、当該複合材料は、可視光領域での光の吸収が少ない、より透光性の高い複合材料とすることができる。
【0134】
続いて、さらに具体的に一般式を示しながら本実施の形態における複合材料に用いるフルオレン骨格を有する炭化水素化合物について説明する。
【0135】
当該炭化水素化合物は下記一般式(G1)で表すことができ、且つ分子量が400以上2000以下の炭化水素化合物である。
【0136】
【化16】

【0137】
式中、α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表している。これらが置換基を有する場合、当該置換基としては、アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。なお蒸着性を考慮するとアルキル基の場合は炭素数6以下が好ましい。また、αがフェニレン基である場合、ビフェニルジイル基である場合と比較するとエネルギーギャップが若干大きくなり、一方でビフェニルジイル基である場合はフェニレン基である場合と比較してガラス転移温度(Tg)が高くなる。また分子量が高くなることで、蒸着温度が上昇するが、蒸着温度の高い無機化合物と共蒸着することによって作製される複合材料において、炭化水素化合物の蒸着温度と無機化合物との蒸着温度は近い方が好ましく、その点において、αがビフェニルジイル基である構成は有利である。
【0138】
また、より具体的には下記一般式(G2)で表すことができ、且つ分子量が400以上2000以下の炭化水素化合物である。
【0139】
【化17】

【0140】
また、式(G1)及び(G2)中、Arは置換又は無置換のアリール基を表し、2環以上4環以下の縮合環であることが複合材料のキャリアの輸送性と、透光性とのバランスから好ましい。このようなアリール基としては、具体的には置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基、置換又は無置換のテトラセニル基などが挙げられる。これらのうち、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基より選ばれた基を当該アリール基として用いた複合材料は、電荷移動錯体の形成に基づく新たな吸収の発生が起こりづらく、また、炭化水素化合物自身の吸収も可視光領域に少ないため、透光性に優れていながらキャリアの輸送性も良好な複合材料とすることができる。また、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基、置換又は無置換のテトラセニル基を当該アリール基として用いた複合材料は、特にキャリアの輸送性に優れた材料とすることができる。なお、これらが置換基を有する場合、当該置換基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及び下記一般式(Ar−1)で表される基のいずれかを適用することができる。
【0141】
【化18】

【0142】
但し、式中α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表す。これらが置換基を有する場合、当該置換基としては、アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。また、Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、特に置換又は無置換のフェニル基又は置換又は無置換のビフェニル基であることが好ましい。また、mは0又は1の値をとる。なお、mが0である場合、Arは無置換のフェニル基又は置換又は無置換のビフェニル基であることが好ましい。Arで表される基が置換基を有する場合、当該置換基としては、アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。R41乃至R48はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基及びフェナントリル基のいずれかを表す。
【0143】
また、上記一般式におけるArで表されるアリール基としては、別の観点として、その結合手が水素と結合した物質が、その吸収スペクトルにおいて、450nm以上800nm以下の範囲にピークがない物質であることが好ましい。このような構成を有する炭化水素化合物を含む本実施の形態に置ける複合材料は、可視光領域に炭化水素化合物の骨格由来の吸収が小さいことから透光性の高い複合材料を得ることが可能となる。
【0144】
Arは置換又は無置換のアリール基を表し、置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基であることが好ましい。これらが置換基を有する場合は、アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。
【0145】
また、一般式(G1)において、nは0又は1の値をとる。なお、nが0である場合、Arは、置換又は無置換のフェニル基又は置換又は無置換のビフェニル基であることが、合成が容易で且つエネルギーギャップが広い材料とすることが可能であることから好ましい構成である。これを一般式の構成を表したのが、一般式(G2)であり、式中、Arは置換又は無置換のフェニル基又は置換又は無置換のビフェニル基を表す。
【0146】
11乃至R18はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。これらが置換基を有する場合、当該置換基としてはアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。なお、R11乃至R18は水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び下記構造式で表される基であることが、材料コストの関係上より好ましく、すべて水素であることがさらに好ましい。
【0147】
【化19】

【0148】
11乃至R18がすべて水素である、本実施の形態における複合材料の炭化水素化合物を表す一般式を、一般式(G3)として以下に示す。
【0149】
【化20】

【0150】
但し、一般式(G3)で表される炭化水素化合物の分子量は400以上2000以下とする。なお、式中α、Ar及びArは一般式(G1)及び(G2)と同様であるため、記載を省略する。上の記載を参照されたい。
【0151】
また、本実施の形態に置ける複合材料に用いる炭化水素化合物として特に好ましい構成を下記一般式(G4)に示す。
【0152】
【化21】



【0153】
但し、一般式(G4)で表される炭化水素化合物の分子量は400以上2000以下とする。式中、αは一般式(G1)乃至(G3)と同様であるため、上記記載を参照されたい。また、R乃至Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及び下記一般式(Ar−2)で表される基のいずれかを表す。
【0154】
【化22】

【0155】
但し、式中αは置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表し、αが置換基を有する場合、当該置換基としては、アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。
【0156】
なお、一般式(G4)においてR乃至Rはすべて水素であり、αは置換基を含まないことが、材料コストや合成の容易さから好ましい構成である。当該構成を有する炭化水素化合物を表す一般式を以下に(G5)として示す。
【0157】
【化23】

【0158】
但し、一般式(G5)で表される炭化水素化合物の分子量は400以上2000以下とする。また、式中α11はフェニレン基又はビフェニルジイル基を表す。
【0159】
一般式(G4)及び一般式(G5)で表される炭化水素化合物を含む本実施の形態における複合材料は、膜の透光性とキャリアの輸送性のバランスに優れ、発光素子を構成する材料として非常に好適に用いることが可能な複合材料である。また、キャリアバランスにも優れることから、発光素子の発光効率の向上にも寄与する。
【0160】
なお、一般式(G1)乃至(G5)において、α乃至α及びα11は、下記構造式(α−1)乃至(α−6)のいずれかであることが好ましい。
【0161】
【化24】

【0162】
次に、フルオレンの2位又は2位及び7位にアリール基が結合した炭化水素化合物について説明する。当該炭化水素化合物はフルオレンにアリール基が1又は複数結合している分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物であり、当該アリール基がフルオレンの2位又は2位及び7位に結合している。なお、アリール基が1つ結合している場合はフルオレンの2位に、複数結合している場合は、少なくとも2位又は7位に結合していることが好ましい。なお、当該アリール基は、一つ、又は二つのフェニレン基を介してフルオレンと結合していても良い。言い換えると、フェニレン基もしくはビフェニルジイル基を介してフルオレンと結合しているものを含むものとする。なお、当該炭化水素化合物はケイ素化合物であってもよい。本実施の形態におけるケイ素化合物とは、これまで説明してきた炭化水素化合物において一つ又は複数の炭素がケイ素に置き換わった化合物であるとする。
【0163】
また、上記アリール基としては、特に限定は無く、置換基を有するものであっても、有さないものであっても良いが、環を構成する炭素数が炭素数6乃至18のアリール基が適当である。なお、縮合する環の数が多いアリール基はキャリアの輸送性に優れ、縮合する環の数が小さいアリール基は複合材料とした際に透光性に優れる。このため、キャリアの輸送性と、複合材料の膜の透光性とのバランスを考慮すると、当該アリール基は2環以上4環以下の縮合環であることが好ましい。なお縮合する環の数が同じでも、ポリアセン構造(縮合環が直線状)よりも、ヘリセン構造やヘリセン構造一部を有する構成(曲がった縮合環)の方がバンドギャップが広く透光性に優れ好ましい。なお、これら縮合環は置換基を有していてもいなくとも良い。このようなアリール基としては、具体的には置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基、置換又は無置換のテトラセニル基などが挙げられる。これらのうち、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基より選ばれた基を当該アリール基として用いた複合材料は、電荷移動錯体の形成に基づく新たな吸収の発生がほとんど見られず、また、炭化水素化合物自身の吸収も可視光領域にほとんどないことが可能であるため、透光性に優れていながらキャリアの輸送性も良好な複合材料とすることができる。また、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のテトラセニル基を当該アリール基として用いた複合材料は、特にキャリアの輸送性に優れた材料とすることができる。なお縮合する環の数が同じでも、ポリアセン構造(縮合環が直線状)が長い構造は移動度が高く好ましい。なお、これら置換基がさらに置換基を有する場合、当該置換基としてはアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。
【0164】
続いて、さらに具体的に一般式を示しながら説明する。当該炭化水素化合物は下記一般式(G6)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物である。
【0165】
【化25】

【0166】
式中、α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表している。これらが置換基を有する場合、当該置換基としては、アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。なお、α及び/又はαがフェニレン基である場合、ビフェニルジイル基である場合と比較するとエネルギーギャップが若干大きくなり、一方でビフェニルジイル基である場合はフェニレン基である場合と比較してTgが高くなり好ましい。また分子量が高くなることで、蒸着温度が上昇するが、蒸着温度の高い無機化合物と共蒸着することによって作製される複合材料において、炭化水素化合物の蒸着温度と無機化合物との蒸着温度は近い方が好ましく、その点において、α及び/又はαがビフェニルジイル基である構成は有利である。また、j及びkはそれぞれ独立に0又は1の値をとる。フルオレンの2位又は2位及び7位にアリール基が結合する構成においては、α及びαで表されるアリーレン基は無くともよい。
【0167】
また、式(G6)中、Ar及びArはそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール基を表し、当該アリール基としては、炭素数6乃至18のものが好ましい。中でも、2環以上4環以下の縮合環は複合材料のキャリアの輸送性と、透光性とのバランスから好ましい。このようなアリール基としては、具体的には置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基、置換又は無置換のテトラセニル基などが挙げられる。これらのうち、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、より選ばれた基を当該アリール基として用いた複合材料は、電荷移動錯体の形成に基づく新たな吸収の発生が起こりづらく、また、炭化水素化合物自身の吸収も可視光領域に少ないため、透光性に優れていながらキャリアの輸送性も良好な複合材料とすることができる。また、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のテトラセニル基を当該アリール基として用いた複合材料は、特にキャリアの輸送性に優れた材料とすることができる。なお、これらが置換基を有する場合、当該置換基としては、フェニル基、ナフチル基及びフェナントリル基のいずれかを適用することができる。
【0168】
また、R21乃至R28はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。これらが置換基を有する場合、当該置換基としては、アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。なお、隣り合う基同士が互いに結合して環を形成しても良い。R21とR22がフェニル基であり、互いに結合して環を形成した構成を下記一般式(G6’)として示す。
【0169】
【化26】

【0170】
但し、一般式(G6’)で表される炭化水素化合物の分子量は400以上2000以下であるものとする。また、R23乃至R28、α及びα、Ar及びArは上記一般式(G6)におけるそれと同様であるため、その重複する記載は省略する。一般式(G6)における該当する記載を参照されたい。R31乃至R38はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。これらが置換基を有する場合、当該置換基としては、アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などを適用することができる。
【0171】
以上のような炭化水素化合物の具体的な構造の例を下記構造式(100)乃至(138)、(200)乃至(234)、(300)乃至(329)、(400)乃至(415)、(500)乃至(518)及び(601)乃至(614)に具体的に例示する。なお、本実施の形態における複合材料に用いることができる炭化水素化合物はこれらに限定されず、上記一般式に含まれる炭化水素化合物を適用することができる。
【0172】
【化27】

【0173】
【化28】

【0174】
【化29】

【0175】
【化30】

【0176】
【化31】

【0177】
【化32】

【0178】
【化33】

【0179】
【化34】

【0180】
【化35】

【0181】
【化36】

【0182】
【化37】

【0183】
【化38】

【0184】
【化39】

【0185】
【化40】

【0186】
【化41】

【0187】
【化42】

【0188】
【化43】

【0189】
【化44】

【0190】
【化45】

【0191】
【化46】

【0192】
以上が、本実施の形態における複合材料に用いることが可能なフルオレン骨格を有する炭化水素化合物の構成である。
【0193】
続いて、本実施の形態における複合材料に用いることが可能な無機化合物について説明する。
【0194】
本実施の形態における複合材料に用いる無機化合物として、上述したような炭化水素化合物に対して電子受容性を示す無機化合物を用いることができる。例えば、塩化鉄(III)や塩化アルミニウムなどは、電子受容性が高い無機化合物の一例であり好適に用いることができる。
【0195】
また、本実施の形態における複合材料には、無機化合物として遷移金属酸化物を用いることができる。好ましくは元素周期表における4〜8族に属する金属の酸化物が望ましい。特にチタン酸化物、バナジウム酸化物、タンタル酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、銀酸化物が好ましい。この中でもモリブデン酸化物は蒸着がしやすく、吸湿性が低く、安定であることから特に扱いやすい材料である。
【0196】
遷移金属酸化物は、上述した塩化鉄(III)等の強力なルイス酸に比べれば、電子受容性はそれほど高くない(反応性は低い)と考えられる。また、上述した通り、本実施の形態における複合材料においては、電荷移動相互作用に基づく吸収の発生が抑制される(あるいはほとんど発生しない)場合がある。これらのことから、本実施の形態における複合材料において、遷移金属酸化物は一般的な意味合いでの電子受容体として作用しているという証明はし難い。しかしながら一方で、実施例で後述するように、実験的には、電界を印加した際には当該炭化水素化合物単体では流せないほどの電流を流せる事実がある。したがって、本実施の形態における複合材料において遷移金属酸化物を用いた場合、少なくとも電界印加のアシストにより容易にキャリアが発生しているものと考えられる。したがって本明細書では、少なくとも電界印加のアシストによりキャリアが発生していれば、複合材料中の無機化合物(上述のような遷移金属酸化物など)は電子受容性を有するものとして扱う。
【0197】
本実施の形態における複合材料の作製方法に限定は無く、例えば、当該炭化水素化合物と無機化合物を同時に蒸着する共蒸着法により形成することができる。本実施の形態における複合材料において、有機化合物と無機化合物の混合比は質量比で8:1〜1:2(=有機化合物:無機化合物)程度が好ましく、さらに望ましくは4:1〜1:1(=有機化合物:無機化合物)である。混合比は複合材料を共蒸着法によって形成する場合は、有機化合物と無機化合物の蒸着レートをそれぞれ調節することによって制御することができる。
【0198】
以上のような本実施の形態における複合材料は、有機化合物と当該有機化合物に電子受容性を示す無機化合物を含む複合材料であることからキャリア注入性及びキャリア輸送性に優れた材料である。このことから、当該複合材料を用いた発光素子は駆動電圧の小さい発光素子を提供することが可能となる。また、当該複合材料の膜は結晶化が起きにくいことから信頼性の良好な発光素子を提供することも可能となる。さらに、当該複合材料はその膜厚を厚く形成しても駆動電圧の上昇が起きにくいことから、陽極上に厚く形成することによって陽極が有する凹凸が原因で起こるショートなどの不良の発生を抑制することもできる。
【0199】
その上で、本実施の形態における複合材料は、有機化合物として、上述したようなフルオレン骨格を有する炭化水素化合物を適用したことによって、可視光における吸収の小さい複合材料とすることが可能となる。また、当該複合材料はキャリアバランスに優れた材料でもある。そのため、当該複合材料を用いることで電流効率が良好な発光素子を提供することが可能となる。すなわち、駆動電圧が低く、電流効率が大きい発光素子を作製することができ、大きな電力効率を有する発光素子を提供することが可能となる。
【0200】
さらに、嵩高い構造を有するフルオレン骨格を有する炭化水素化合物を適用したことによって、当該複合材料の膜質は良好であり、寿命の長い発光素子を作製することが可能となる。また、フルオレンがある程度の分子量を有しながらもエネルギーギャップが大きいことから、フルオレン骨格を有する炭化水素化合物は、エネルギーギャップを高く保ったまま、適度に分子量の大きい炭化水素化合物とすることができる。適度な分子量を有する炭化水素化合物は、蒸着する際に蒸着レートの制御がしやすく、安定した品質の発光素子を提供することが可能となる。また、本発明の複合材料は、炭化水素化合物と、当該炭化水素化合物より蒸着温度の高い無機化合物との共蒸着により作製する。本発明の複合材料は、炭化水素化合物がフルオレン骨格を有することにより、エネルギーギャップの低下を抑制しつつ、分子量を適度に大きくすることができ、当該無機化合物の蒸着温度により近い温度で共蒸着を行うことが可能となる。これらのことから、本実施の形態に置ける複合材料を用いた発光素子は信頼性の高い発光素子とすることが可能となる。
【0201】
(実施の形態2)
実施の形態1に記載の複合材料を用いた発光素子の一態様について図1(A)を用いて以下に説明する。
【0202】
本実施の形態における発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。本形態において、発光素子は、第1の電極102と、第2の電極104と、第1の電極102と第2の電極との間に設けられたEL層103とから構成されている。なお、本形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極104は陰極として機能するものとして、以下説明をする。つまり、第1の電極102の方が第2の電極104よりも電位が高くなるように、第1の電極102と第2の電極104に電圧を印加したときに、発光が得られる構成となっている。
【0203】
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子の支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
【0204】
第1の電極102としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、グラフェン、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0205】
EL層103の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質を含む層または正孔輸送性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質を含む層等を適宜組み合わせて構成すればよい。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等を適宜組み合わせて構成することができる。もちろんその他の機能を有する層が含まれていても良いし、複数の機能を担う層があっても良い。本実施の形態では、EL層103は、第1の電極102の上に順に積層した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114を有する構成について説明する。なお、本実施の形態においては、実施の形態1に記載の複合材料を正孔注入層111として用いる。各層を構成する材料について以下に具体的に示す。
【0206】
なお、実施の形態1に記載の複合材料よりなる層と発光領域とは近接しないことが好ましい。これは、発光に寄与するべき励起エネルギーが無機化合物(特に金属を含むもの)によって失活してしまうことを防ぐためである。具体的な対策としては、異なる材料よりなる層を間に挟む(正孔輸送層を設ける)、発光層における発光領域を陰極側に寄せるなどすればよい。
【0207】
正孔注入層111は、実施の形態1に記載の複合材料である。実施の形態1に記載の複合材料は、キャリアの注入性が高いことから、駆動電圧の小さい発光素子を作製することができる。また、膜質が良好で結晶化がおきにくいことから信頼性の高い発光素子を作製することができる。また、厚膜化しても駆動電圧の上昇がおきにくいことから、正孔注入層111を適当な膜厚とすることによって、第1の電極102に凹凸があったとしても、当該凹凸起因の不良を抑制することができ、信頼性の高い発光素子を提供することができるようになる。
【0208】
また、実施の形態1に記載の複合材料は透光性に優れることから、電流効率の高い発光素子を提供することができる。さらに、実施の形態1に記載の複合材料はキャリアバランスに優れることから、電流効率の高い発光素子を提供することができる。
【0209】
なお、正孔注入層111として、実施の形態1に記載の複合材料を用いていることから、第1の電極102は仕事関数に関係なくその材料を選択できる。
【0210】
正孔輸送層112は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い材料としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等の芳香族アミン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0211】
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)のようなカルバゾール誘導体や、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)のようなアントラセン誘導体を用いても良い。
【0212】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いることもできる。
【0213】
実施の形態1に記載の複合材料に用いることが可能な炭化水素化合物も正孔輸送層を構成する材料として用いることができる。
【0214】
発光層113は、発光性の物質を含む層である。発光層113は、発光物質単独の膜で構成されていても、ホスト材料中に発光中心物質を分散された膜で構成されていても良い。
【0215】
発光層113において、上記発光物質、若しくは発光中心物質として用いることが可能な材料としては特に限定は無く、これら材料が発する光は蛍光であっても燐光であっても良い。上記発光物質又は発光中心物質としては例えば、以下のようなものが挙げられる。蛍光発光性の物質としては、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン、(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)などが挙げられる。りん光発光性の物質としては、ビス[2−(3’,5’−ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))などが挙げられる。また、実施の形態1に記載の複合材料に用いることが可能な炭化水素化合物も発光中心材料として用いることができる場合がある。
【0216】
また、上記ホスト材料として用いることが可能な材料としては、特に限定はないが、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物が挙げられる。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N,9−ジフェニル−N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)などを挙げることができる。また、実施の形態1に記載の複合材料に用いることが可能な炭化水素化合物もホスト材料として用いることができる場合がある。
これら及び公知の物質の中から、上記発光中心物質のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いればよい。また、発光中心物質がりん光を発する物質である場合、ホスト材料は該発光中心物質の三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)よりも大きい三重項励起エネルギーを有する物質を選択すれば良い。
【0217】
なお、発光層113は2層以上の複数層でもって構成することもできる。例えば、第1の発光層と第2の発光層を正孔輸送層側から順に積層して発光層113とする場合、第1の発光層のホスト材料として正孔輸送性を有する物質を用い、第2の発光層のホスト材料として電子輸送性を有する物質を用いる構成などがある。
【0218】
以上のような構成を有する発光層は、複数の材料で構成されている場合、真空蒸着法での共蒸着や、混合溶液としてインクジェット法やスピンコート法やディップコート法などを用いて作製することができる。
【0219】
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む層である。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。
【0220】
また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0221】
また、電子輸送層と発光層との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けても良い。これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層であって、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
【0222】
また、電子輸送層と第2の電極104との間に、第2の電極104に接して電子注入層を設けてもよい。電子注入層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用いることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いることにより、第2の電極104からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい。
【0223】
第2の電極104を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極104と電子輸送層との間に、電子注入層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を第2の電極104として用いることができる。これら導電性材料は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することが可能である。
【0224】
また、EL層103の形成方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いることができる。例えば、真空蒸着法、インクジェット法またはスピンコート法など用いても構わない。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
【0225】
電極についても、ゾル−ゲル法を用いて湿式法で形成しても良いし、金属材料のペーストを用いて湿式法で形成してもよい。また、スパッタリング法や真空蒸着法などの乾式法を用いて形成しても良い。
【0226】
以上のような構成を有する発光素子は、第1の電極102と第2の電極104との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である発光層113において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり発光層113に発光領域が形成されるような構成となっている。
【0227】
発光は、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方または両方は、透光性を有する電極で成る。第1の電極102のみが透光性を有する電極である場合、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極104のみが透光性を有する電極である場合、発光は第2の電極104を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極104がいずれも透光性を有する電極である場合、発光は第1の電極102および第2の電極104を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
【0228】
なお、第1の電極102と第2の電極104との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。しかし、発光領域と電極やキャリア注入層に用いられる金属とが近接することによって生じる消光が抑制されるように、第1の電極102および第2の電極104から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成が好ましい。また、層の積層順もこれに限定されず、基板側から第2の電極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、第1の電極といった、図1(A)とは反対の順番に積層された積層構造であっても良い。
【0229】
また、直接発光層に接する正孔輸送層や電子輸送層、特に発光層113における発光領域に近い方に接するキャリア輸送層は、発光層で生成した励起子からのエネルギー移動を抑制するため、そのエネルギーギャップが発光層を構成する発光物質もしくは、発光層に含まれる発光中心物質が有するエネルギーギャップより大きいエネルギーギャップを有する物質で構成することが好ましい。
【0230】
本実施の形態における発光素子は、正孔注入層111に、実施の形態1に記載の複合材料を用いている。実施の形態1に記載の複合材料は、キャリアの注入性が高いことから、駆動電圧の小さい発光素子を作製することができる。また、膜質が良好で結晶化がおきにくいことから信頼性の高い発光素子を作製することができる。また、厚膜化しても駆動電圧の上昇がおきにくいことから、正孔注入層111を適当な膜厚とすることによって、第1の電極102に凹凸があったとしても、当該凹凸起因の不良を抑制することができ、信頼性の高い発光素子を提供することができるようになる。
【0231】
また、実施の形態1に記載の複合材料は透光性に優れることから、電流効率の高い発光素子を提供することができる。さらに、実施の形態1に記載の複合材料はキャリアバランスに優れることから、電流効率の高い発光素子を提供することができる。
【0232】
(実施の形態3)
本実施の形態は、複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子ともいう)の態様について、図1(B)を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。発光ユニットとしては、実施の形態2で示したEL層103と同様な構成を用いることができる。つまり、実施の形態2で示した発光素子は、1つの発光ユニットを有する発光素子であり、本実施の形態は、複数の発光ユニットを有する発光素子ということができる。但し、正孔注入層に関しては、本実施の形態においては、必ずしも実施の形態1に記載の複合材料を用いなくても良い。
【0233】
この場合、正孔注入層としては、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス[4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル]−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層を形成することができる。
【0234】
また、正孔注入層として、正孔輸送性の高い物質に電子受容性物質を含有させた複合材料を用いることができる。電子受容性質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0235】
複合材料に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール化合物、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。ただし、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
【0236】
図1(B)において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されており、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512との間には電荷発生層513が設けられている。第1の電極501と第2の電極502はそれぞれ実施の形態2における第1の電極102と第2の電極104に相当し、実施の形態2で説明したものと同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよい。また、電荷発生層513は発光ユニット512の正孔注入層を兼ねる場合もある。
【0237】
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、実施の形態1で説明した複合材料、すなわちフルオレン骨格を有する炭化水素化合物と当該炭化水素化合物電子受容性を示す物質との複合材料を用いることができる。
【0238】
なお、電荷発生層513は、実施の形態1に記載の複合材料の層と他の材料により構成される層を組み合わせて形成してもよい。例えば、実施の形態1に記載の複合材料の層と電子供与性物質と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを積層して形成しても良い。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
【0239】
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。例えば、図1(B)において、第1の電極の電位の方が第2の電極の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電荷発生層513は、第1の発光ユニット511に電子を注入し、第2の発光ユニット512に正孔を注入するものであればよい。
【0240】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での発光が可能である。電流密度を低く保てるため、長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
【0241】
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光素子において、第1の発光ユニットの発光色と第2の発光ユニットの発光色を補色の関係になるようにすることで(例えば青とオレンジ)、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つの発光ユニットを有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1の発光ユニットの発光色が赤色であり、第2の発光ユニットの発光色が緑色であり、第3の発光ユニットの発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
【0242】
本実施の形態の発光素子は、少なくとも電荷発生層に、実施の形態1に記載の複合材料を用いている。実施の形態1に記載の複合材料は、キャリアの注入性が高いことから、駆動電圧の小さい発光素子を作製することができる。また、膜質が良好で結晶化がおきにくいことから信頼性の高い発光素子を作製することができる。
【0243】
また、実施の形態1に記載の複合材料は透光性に優れることから、電流効率の高い発光素子を提供することができる。さらに、実施の形態1に記載の複合材料はキャリアバランスに優れることから、電流効率の高い発光素子を提供することができる。
【0244】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0245】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1に記載の複合材料を含む発光素子を用いた発光装置について説明する。
【0246】
本実施の形態では、実施の形態1に記載の複合材料を含む発光素子を用いて作製された発光装置の一例について図2を用いて説明する。なお、図2(A)は、発光装置を示す上面図、図2(B)は図2(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。この発光装置は、発光素子の発光を制御するものとして、点線で示された駆動回路部(ソース側駆動回路)601、画素部602、駆動回路部(ゲート側駆動回路)603を含んでいる。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0247】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0248】
次に、断面構造について図2(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0249】
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0250】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0251】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0252】
第1の電極613上には、有機化合物を含む層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、またはケイ素を含有したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
【0253】
また、有機化合物を含む層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。有機化合物を含む層616は、実施の形態1で示した複合材料を含んでいる。また、有機化合物を含む層616を構成する他の材料としては、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
【0254】
さらに、有機化合物を含む層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物、MgAg、MgIn、AlLi等)を用いることが好ましい。なお、有機化合物を含む層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、ケイ素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
【0255】
なお、第1の電極613、有機化合物を含む層616、第2の電極617でもって、発光素子が形成されている。当該発光素子は実施の形態2乃至実施の形態3いずれかの構成を有する発光素子である。なお、画素部は複数の発光素子が形成されてなっているが、本実施の形態における発光装置では、実施の形態2又は実施の形態3で説明した構成を有する発光素子と、それ以外の構成を有する発光素子の両方が含まれていても良い。
【0256】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
【0257】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0258】
以上のようにして、実施の形態1に記載の複合材料を含む発光素子を用いて作製された発光装置を得ることができる。
【0259】
本実施の形態における発光装置は、実施の形態1に記載の複合材料を含む発光素子を用いているため、良好な特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、実施の形態1で示した複合材料を用いた発光素子は発光効率が良好な発光素子であることから消費電力の低減された発光装置とすることができる。また、駆動電圧の小さい発光素子を得ることができることから、駆動電圧の小さい発光装置を得ることができる。また、信頼性の良好な発光素子を得ることができることから、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0260】
ここまでは、アクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、以下からはパッシブマトリクス型の発光装置について説明する。図3には本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置を示す。なお、図3(A)は、発光装置を示す斜視図、図3(B)は図3(A)をX−Yで切断した断面図である。図3において、基板951上には、電極952と電極956との間には有機化合物を含む層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブマトリクス型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する実施の形態2又は実施の形態3に記載の、実施の形態1に記載の複合材料を含む発光素子を有することによって、低消費電力で駆動させることができる。また、実施の形態1に記載の複合材料を含むために発光効率の高い実施の形態2又は3に記載の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。
【0261】
以上、説明した発光装置は、マトリクス状に配置された多数の微小な発光素子をそれぞれ制御することが可能であるため、画像の表現を行う表示装置として好適に利用できる発光装置である。
【0262】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態2又は実施の形態3に示す発光素子をその一部に含む電子機器について説明する。実施の形態2又は実施の形態3に記載の発光素子は、実施の形態1に記載の複合材料を含む発光効率の良好な発光素子であることから、消費電力が低減された発光素子であり、その結果、本実施の形態に記載の電子機器は、消費電力が低減された発光部を有する電子機器とすることが可能である。また、実施の形態2又は実施の形態3に記載の発光素子は、駆動電圧の小さい発光素子であるため、駆動電圧の小さい電子機器とすることが可能である。
【0263】
上記発光素子を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を以下に示す。
【0264】
図4(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、表示部7103は、実施の形態2または実施の形態3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、実施の形態1に記載の複合材料を含むため発光効率の良好な発光素子とすることが可能である。また、駆動電圧の小さい発光素子とすることが可能である。そのため、当該発光素子で構成される表示部7103を有するテレビ装置は消費電力の低減されたテレビ装置とすることができる。また、駆動電圧の小さいテレビ装置とすることが可能である。
【0265】
テレビジョン装置の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0266】
なお、テレビジョン装置は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0267】
図4(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、このコンピュータは、実施の形態2または実施の形態3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して表示部7203に用いることにより作製される。当該発光素子は、実施の形態1に記載の複合材料を含むため発光効率の良好な発光素子とすることが可能である。また、駆動電圧の小さい発光素子とすることが可能である。そのため、当該発光素子で構成される表示部7203を有するコンピュータは消費電力の低減されたコンピュータとすることができる。また、駆動電圧の小さいコンピュータとすることが可能である。
【0268】
図4(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には、実施の形態2または実施の形態3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して作製された表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図4(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、または一方に実施の形態2または実施の形態3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して作製された表示部を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図4(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図4(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。上述のような表示部7304を有する携帯型遊技機は、表示部7304に用いられている発光素子が、実施の形態1に記載の複合材料を含むことによって、良好な発光効率を有することから、消費電力の低減された携帯型遊技機とすることができる。また、表示部7304に用いられている発光素子が実施の形態1に記載の複合材料を含むことによって、低い駆動電圧で駆動させることができることから、駆動電圧の小さい携帯型遊技機とすることができる。
【0269】
図4(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、実施の形態2または実施の形態3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して作製された表示部7402を有している。当該発光素子は、実施の形態1に記載の複合材料を含むため発光効率の良好な発光素子とすることが可能である。また、駆動電圧の小さい発光素子とすることが可能である。そのため、当該発光素子で構成される表示部7402を有する携帯電話機は消費電力の低減された携帯電話機とすることができる。また、駆動電圧の小さい携帯電話機とすることが可能である。
【0270】
図4(D)に示す携帯電話機は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる構成とすることもできる。この場合、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0271】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0272】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0273】
また、携帯電話機内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0274】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0275】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0276】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0277】
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態4に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
【0278】
以上の様に、実施の形態2または実施の形態3で説明したような、実施の形態1に記載の複合材料を含む発光素子を備えた発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。実施の形態1に記載の複合材料を含む発光素子を用いることにより、消費電力の低減された電子機器を得ることができる。また、駆動電圧の小さい電子機器を得ることができる。
【0279】
また、実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子は、照明装置に用いることもできる。実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子を照明装置に用いる一態様を、図5を用いて説明する。なお、照明装置とは、実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子を光の照射手段として有し、且つ少なくとも当該発光素子へ電流を供給する入出力端子部を有するものとする。また、当該発光素子は、封止手段によって、外部雰囲気(特に水)より遮断されていることが好ましい。
【0280】
図5は、実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子をバックライトに適用した液晶表示装置の一例である。図5に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライトユニット903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903には、実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
【0281】
実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子を液晶表示装置のバックライトに適用したことにより、消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子を用いることで、面発光の照明装置が作製でき、また大面積化も可能である。これにより、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子を適用したバックライトは従来と比較し厚みを小さくできるため、表示装置の薄型化も可能となる。
【0282】
図6は、実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子を、照明装置である電気スタンドに用いた例である。図6に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子が用いられている。
【0283】
図7は、実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子を、室内の照明装置3001に適用した例である。実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子は消費電力の低減された発光素子であるため、消費電力の低減された照明装置とすることができる。また、実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子は、大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子は厚みが小さいため、薄型化した照明装置を作製することが可能となる。
【0284】
実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子は、自動車のフロントガラスやダッシュボードにも搭載することができる。図8に実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子を自動車のフロントガラスやダッシュボードに用いる一態様を示す。表示5000乃至表示5005は実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子を用いて設けられた表示である。
【0285】
表示5000と表示5001は自動車のフロントガラスに設けられた実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子を搭載した表示装置である。実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子は、第1の電極と第2の電極を透光性を有する電極で作製することによって、反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態の表示装置とすることができる。シースルー状態の表示であれば、自動車のフロントガラスに設置したとしても、視界の妨げになることなく設置することができる。なお、駆動のためのトランジスタなどを設ける場合には、有機半導体材料による有機トランジスタや、酸化物半導体を用いたトランジスタなど、透光性を有するトランジスタを用いると良い。
【0286】
表示5002はピラー部分に設けられた実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子を搭載した表示装置である。表示5002には、車体に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、ピラーで遮られた視界を補完することができる。また、同様に、ダッシュボード部分に設けられた表示5003は車体によって遮られた視界を、自動車の外側に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高めることができる。見えない部分を補完するように映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。
【0287】
表示5004や表示5005はナビゲーション情報、スピードメーターやタコメーター、走行距離、給油量、ギア状態、エアコンの設定など、その他様々な情報を提供することができる。表示は使用者の好みに合わせて適宜その表示項目やレイアウトを変更することができる。なお、これら情報は表示5000乃至表示5003にも設けることができる。また、表示5000乃至表示5005は照明装置として用いることも可能である。
【0288】
実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子は実施の形態1に記載の複合材料を含むことによって、駆動電圧の小さい発光素子とすることができ、もしくは消費電力の小さい発光装置とすることができる。このことから、表示5000乃至表示5005のような大きな画面を数多く設けても、バッテリーに負荷をかけることが少なく、快適に使用することができることから実施の形態2または実施の形態3に記載の発光素子を用いた発光装置または照明装置は、車載用の発光装置又は照明装置として好適に用いることができる。
【0289】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態1に記載の複合材料を用いた発光素子を照明装置として用いる例を図29を参照しながら説明する。図29(B)は照明装置の上面図、図29(A)は図29(B)におけるc−d断面図である。
【0290】
本実施の形態における照明装置は、支持体である透光性を有する基板400上に、第1の電極401が形成されている。基板400及び第1の電極401は実施の形態2における基板101及び第1の電極102に相当する。
【0291】
第1の電極401上には補助配線402が設けられている。本実施の形態では、第1の電極401側から発光を取り出す例を示したため、第1の電極401は透光性を有する材料により形成する。補助配線402は透光性を有する材料の導電率の低さを補うために設けられており、第1の電極401の抵抗が高いことによる電圧降下を起因とする発光面内の輝度むらを抑制する機能を有する。補助配線402は少なくとも第1の電極401の材料よりも導電率の大きい材料を用いて形成し、好ましくはアルミニウムなどの導電率の大きい材料を用いて形成すると良い。なお、補助配線402における第1の電極401と接する部分以外の表面は絶縁層で覆われていることが好ましい。これは、取り出すことができない補助配線402上部からの発光を抑制するためであり、無効電流を低減し、電力効率の低下を抑制するためである。
なお、補助配線402の形成と同時に第2の電極404に電圧を供給するためのパッド412を形成しても良い。
【0292】
第1の電極401と補助配線402上にはEL層403が形成されている。EL層403には実施の形態1に記載の複合材料が含まれている。EL層403は実施の形態2におけるEL層103の構成、もしくは実施の形態3における発光ユニット511、512及び電荷発生層513を合わせた構成に相当する。当該記載を参照されたい。なお、EL層403は第1の電極401よりも平面的に見て少し大きく形成することが、第1の電極401と第2の電極404とのショートを抑制する絶縁層の役割も担えるため好ましい構成である。
【0293】
EL層403を覆って第2の電極404を形成する。第2の電極404は実施の形態2における第2の電極104に相当し、同様の構成を有する。本実施の形態においては、発光は第1の電極401側から取り出されるため、第2の電極404は反射率の高い材料によって形成されることが好ましい。本実施の形態において、第2の電極404はパッド412と接続することによって、電圧が供給されるものとする。
【0294】
以上、第1の電極401、EL層403、及び第2の電極404(及び補助電極402)を有する発光素子を本実施の形態で示す照明装置は有している。当該発光素子は発光効率の高い発光素子であるため、本実施の形態における照明装置は消費電力の小さい照明装置とすることができる。また、当該発光素子は信頼性の高い発光素子であることから、本実施の形態における照明装置は信頼性の高い照明装置とすることができる。
【0295】
以上の構成を有する発光素子を、シール材405、406を用いて封止基板407を固着し、封止することによって照明装置が完成する。シール材405、406はどちらか一方でもかまわない。また、内側のシール材406には乾燥剤を混ぜることもでき、これにより、水分を吸着することができ、信頼性の向上につながる。
【0296】
また、パッド412、第1の電極401及び補助配線402の一部をシール材405、406の外に伸張して設けることによって、外部入力端子とすることができる。また、その上にコンバーターなどを搭載したICチップ420などを設けても良い。
【0297】
以上、本実施の形態に記載の照明装置は、発光素子に実施の形態1に記載の複合材料を含むことから、消費電力の小さい照明装置とすることができる。また、信頼性の高い照明装置とすることができる。また、寿命の長い照明装置とすることができる。
【実施例1】
【0298】
本実施例では実施の形態1で説明した複合材料すなわち、フルオレン誘導体として下記構造式(124)で表される9−[4−(9−フェニル−フルオレン−9−イル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(略称:FLPAnth)、FLPAnthから電子を受容することができる無機化合物として酸化モリブデンを用いた複合材料について例示する。
【0299】
まず、ガラス基板を真空蒸着装置内の基板ホルダーに固定し、FLPAnthと酸化モリブデン(VI)とをそれぞれ別の抵抗加熱式の蒸発源に入れ、真空に引いた状態で、同時に蒸着し(共蒸着法)、FLPAnthと酸化モリブデンとを含む複合材料からなる膜を形成した。この時、FLPAnthと酸化モリブデンの比率が重量比で4:2(=FLPAnth:酸化モリブデン)、4:1、4:0.5となるように蒸着レートを調節して3種類の膜をそれぞれ成膜した。なお、膜厚は50nmとした。
【0300】
これらの複合材料からなる膜、3種類の吸収スペクトルを日立分光光度計(U−4000)にて測定した結果を図9に示す。図9には同時に酸化モリブデンを同時に蒸着せずFLPAnthのみを蒸着した膜(50nm)を同様に測定した結果も示した。図9においては、横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表している。
【0301】
図9よりFLPAnthのみを蒸着した膜は、可視光領域の大半において大きな吸収を有さず、透光性の高い膜であることがわかった。さらに、FLPAnthと酸化モリブデンとの複合材料よりなる膜も可視光領域の大半において大きな吸収を有さず、透光性の高い膜であることがわかった。また、FLPAnthのみを蒸着した膜とほぼ吸収スペクトルが変化していないこと、及び酸化モリブデンの存在割合が大きくなっても吸収スペクトルに変化が見られないことなどから、FLPAnthと酸化モリブデンとの複合材料からなる膜は電荷移動に伴う吸収が発生しない膜であることがわかった。電荷移動に伴う吸収は可視光領域及び赤外領域に現れることが知られており、当該吸収が発生することは光の吸収、すなわち当該膜を用いた発光素子の発光効率の低下を意味する。しかし、本実施例で説明したFLPAnthと酸化モリブデンとの複合材料よりなる膜はこのような吸収の発生がないため、これら複合材料が素子内部で発生した光を吸収することによる発光効率の低下が起こりづらく、さらに発光効率が良好な発光素子を作製することを容易とする材料である。
【実施例2】
【0302】
本実施例では、実施の形態1で記載の複合材料である、9−[4−(9−フェニル−フルオレン−9−イル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(略称:FLPAnth)と酸化モリブデンの共蒸着膜を正孔注入層として用いた発光素子(発光素子1)について説明する。また、比較例として9−[4−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:PCzPA)と酸化モリブデンの共蒸着膜を正孔注入層として用いた発光素子(比較発光素子1)を作成したのでそれについても説明する。
【0303】
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を下記構造式に示す。素子構造は図1(A)において、電子輸送層114と第2の電極104との間に電子注入層を設けた構造とした。
【0304】
【化47】

【0305】
≪発光素子1、比較発光素子1の作製≫
まず、第1の電極102として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)が成膜されたガラス基板101を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0306】
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板101を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0307】
真空装置内を10−4Paに減圧した後、上記構造式(124)で表されるFLPAnthと酸化モリブデン(VI)とを、FLPAnth:酸化モリブデン=2:1(重量比)となるように蒸着レートを調節して共蒸着し、正孔注入層111を形成した。膜厚は50nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
【0308】
その後上記構造式(i)で表される9−{4−(9−H−9−フェニルカルバゾール−3−イル)−フェニリル}−フェナントレン(略称:PCPPn)を10nm成膜することにより、正孔輸送層112を形成した。
【0309】
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(ii)で表される9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)と上記構造式(iii)で表されるN,N’−ビス〔4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−N,N’−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)をCzPA:1,6FLPAPrn=1:0.05(重量比)となるように蒸着レートを調節し、30nm蒸着することによって発光層113を形成した。
【0310】
次に、CzPAを10nm、上記構造式(iv)で表されるバソフェナントロリン(略称:BPhen)を15nm蒸着することにより、電子輸送層114を形成した。さらに電子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着することによって電子注入層を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極104としてアルミニウムを200nm成膜し、発光素子1を完成させた。上述した蒸着過程においては、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0311】
比較発光素子1は発光素子1における正孔注入層111を構成する材料の一つであるFLPAnthを、上記構造式(v)で表される9−[4−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:PCzPA)に換えることによって作成した。その他の構成及び作製方法については発光素子1と同じである。
【0312】
≪発光素子1及び比較発光素子1の動作特性≫
以上により得られた発光素子1及び比較発光素子1を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0313】
各発光素子の輝度−電流効率特性を図10、電圧−輝度特性を図11、輝度−パワー効率特性を図12、輝度−外部量子効率特性を図13に示す。図10では縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図11では縦軸が輝度(cd/m)、横軸が電圧(V)を示す。図12では縦軸がパワー効率(lm/W)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図13では縦軸が外部量子効率(%)、横軸が輝度(cd/m)を示す。なお、図中、黒丸が発光素子1の特性を表し、白抜きの四角が比較発光素子1の特性を表している。
【0314】
図10から、フルオレン誘導体であるFLPAnthと酸化モリブデンの複合材料を正孔注入層に用いた発光素子1は、PCzPAと酸化モリブデンの複合材料を同じ位置に用いた比較発光素子1と比較して良好な輝度−電流効率特性を示した。なお、絶対値としてみても、発光素子1は非常に良好な電流効率−輝度特性を有する発光素子であり、特に実用輝度(1000cd/m〜5000cd/m程度)での効率が良好であるという好ましい特性も有している。また、図12及び図13から、発光素子1は輝度−パワー効率特性、輝度−外部量子効率特性共に良好であり、これらの点から見ても、発光効率が良好な発光素子であることがわかった。
【0315】
また、作製した発光素子1及び比較発光素子1に1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図14に示す。図14では縦軸が発光強度、横軸が発光波長(nm)を示す。発光強度は最大発光強度を1とした相対的な値として示した。図14より発光素子1、比較発光素子1の発光スペクトルは重なっており、いずれも発光中心物質である1,6FLPAPrn起因の青色の発光を呈することがわかった。
【0316】
発光素子1及び比較発光素子1の1000cd/m付近における主な特性を表1に示す。
【0317】
【表1】

【0318】
次に、初期輝度を5000cd/mに設定し、電流密度一定の条件でこれらの素子を駆動し、輝度の駆動時間に対する変化を調べた。図15に規格化輝度−時間特性を示す。図15から、発光素子1及び比較発光素子1共に、5000cd/mという非常に高い輝度での駆動試験であるにもかかわらず良好な特性を示し、信頼性の高い素子であることがわかった。但し、発光素子1は輝度半減期が約300時間、比較発光素子1は約200時間と発光素子1は比較発光素子1の約1.5倍もの寿命を有する素子であることがわかる。
【0319】
このように、正孔注入層における複合材料に用いる有機化合物を変えるだけで、発光効率が向上し、寿命が1.5倍にも向上した。このことから、実施の形態1に記載のフルオレン骨格を有する炭化水素化合物と無機化合物を含む複合材料は、発光素子を構成する材料として非常に好適な材料であることがわかった。
【実施例3】
【0320】
本実施例では、実施の形態1に記載の複合材料におけるフルオレン誘導体として好適に用いることが可能な9−フェニル−10−{4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)−ビフェニル−4’−イル}−アントラセン(略称:FLPPA)の合成方法について説明する。なお、このFLPPAは、発光素子の輸送層やホスト材料、発光中心材料としても好適に用いることができる。特に、発光層において青色蛍光を発する発光中心材料を分散するホスト材料として用いた場合、より色純度の高い発光を呈する、シャープなスペクトルを有する発光素子を提供することも可能となる。これにより、色再現性の高いディスプレイの提供に貢献することができる。FLPPAの構造式を以下に示す。
【0321】
【化48】

【0322】
[ステップ1:4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)−フェニルボロン酸の合成法]
500mL三口フラスコに、9−フェニル−9−(4−ブロモフェニル)−フェニル−9H−フルオレンを4.0g(10mmol)入れ、フラスコ内の雰囲気を窒素置換したのち、脱水テトラヒドロフラン(略称:THF)100mLを加えて−78℃にした。この混合液に1.59mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液7.6mL(12mmol)を滴下し、2時間撹拌した。この混合物にホウ酸トリメチル1.4mL(15mmol)を加え、−78℃で2時間、室温で18時間撹拌した。反応後、この反応溶液に1M希塩酸を酸性になるまで撹拌しながら加えた。これを酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、有機層に硫酸マグネシウムを加えて水分を吸着させた。この懸濁液をろ過し、得られたろ液を濃縮し、ヘキサンを加え超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的の白色粉末を収量3.5g、収率97%で得た。また、上記合成法の反応スキームを下記(A−1)に示す。
【0323】
【化49】

【0324】
[ステップ2:9−フェニル−10−{4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)−ビフェニル−4’−イル}−アントラセン(略称:FLPPA)の合成法]
50mL三口フラスコにて、9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンを2.1g(5.0mmol)、4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)−フェニルボロン酸を3.6g(10mmol)、酢酸パラジウム(II)を2.0mg(10μmol)、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィンを6.0mg(20μmol)、エチレングリコールジメチルエーテルを15mL、2mol/L炭酸カリウム水溶液5mLの混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気した後、窒素雰囲気下、85℃で10時間加熱撹拌し、反応させた。
【0325】
反応後、この反応混合液をろ過し、ろ物を水、トルエンの順ですすいだ。得られたろ物をトルエンで再結晶したところ、淡黄色粉末を収量2.7g、収率84%で得た。また、上記合成法の反応スキームを下記(A−2)に示す。
【0326】
【化50】

【0327】
得られた淡黄色粉末のシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:5)は0.63、9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンは0.78だった。
【0328】
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定データを示す。
【0329】
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=7.25−7.42(m,15H), 7.47−7.64(m,11H), 7.68−7.83(m,8H)。
【0330】
また、H NMRチャートを図16(A),(B)に示す。なお,図16(B)は,図16(A)を拡大して表したチャートである。測定結果から,目的物であるFLPPA(略称)が得られたことを確認した。
【0331】
上記化合物の分子量を、GC/MS検出器(Thermo Fisher製、ITQ1100イオントラップ型GCMSシステム)により測定した。これにより、分子量646.6(モードはEI+)をメインとするピークを検出し、目的物のFLPPA(略称)が得られたことを確認した。
【0332】
次に、FLPPAのトルエン溶液の吸収スペクトルを図17に、発光スペクトルを図18に、薄膜の吸収スペクトルを図19に発光スペクトルを図20に示す。スペクトルの測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。トルエン溶液のスペクトルは、FLPPAのトルエン溶液を石英セルに入れて測定した。また、薄膜のスペクトルは、FLPPAを石英基板に蒸着してサンプルを作製した。なお、トルエン溶液の吸収スペクトルは石英セルにトルエンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示し、薄膜の吸収スペクトルは石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図示した。
【0333】
図17より、FLPPAのトルエン溶液における最大吸収波長は397nm、図18より極大発光波長は421nm、435nm(励起波長376nm)、図19よりFLPPAの薄膜における最大吸収波長は402nm、図20より最大発光波長は445nm付近(励起波長402nm)にあることがわかった。このことから、FLPPAのみを蒸着した膜は、可視光領域の大半において大きな吸収を有さず、透光性の高い膜であることがわかった。
【0334】
また、薄膜状態のFLPPAのイオン化ポテンシャルの値を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した。得られたイオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算した結果、FLPPAのHOMO準位は−5.83eVであった。図19の薄膜の吸収スペクトルのデータより、直接遷移を仮定したTaucプロットから求めたFLPPAの吸収端は2.94eVであった。従って、FLPPAの固体状態の光学的エネルギーギャップは2.94eVと見積もられ、先に得たHOMO準位とこのエネルギーギャップの値から、FLPPAのLUMO準位が−2.89eVと見積もることができる。このように、FLPPAは固体状態において2.94eVの広いエネルギーギャップを有している事がわかった。
【0335】
また、FLPPAの酸化反応特性及び還元反応特性を測定した。これらは、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
【0336】
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った。また、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに統一した。
【0337】
酸化反応特性の測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.43Vから1.20Vまで変化させた後、1.20Vから−0.44Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。還元反応特性の測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.35Vから−2.40Vまで変化させた後、−2.40Vから−0.34Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。測定結果を図21及び図22に示す。なお、図21が酸化反応特性、図22が還元反応特性のCVチャートである。
【0338】
測定の結果、100サイクル測定後でも、酸化反応特性及び還元反応特性における酸化ピーク及び還元ピークに大きな変化は無くFLPPAは酸化状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返し及び還元状態と中性状態との間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことがわかった。
【0339】
また、CV測定の結果からも、FLPPAのHOMO準位及びLUMO準位を算出した。
【0340】
まず、使用する参照電極(Ag/Ag電極)の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは−4.85eVである。
【0341】
酸化反応特性を表す図21よりFLPPAの酸化ピーク電位Epaは0.95Vであった。また、還元ピーク電位Epcは0.80Vであった。したがって、半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は0.88Vと算出できる。このことは、FLPPAは0.88[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより酸化されることを示しており、このエネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述した通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.85[eV]であるため、FLPPAのHOMO準位は、−5.73[eV]であることがわかった。
【0342】
同様に、還元反応特性を表す図22より、FLPPAの酸化ピーク電位Epaは−2.20V、還元ピーク電位Epcは−2.27Vであった。したがって半波電位(EpaとEpcの中間の電位)は−2.24Vと算出できる。このことは、FLPPAは−2.24[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより還元されることを示しており、このエネルギーはLUMO準位に相当する。ここで、上述した通り、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.85[eV]であるため、FLPPAのLUMO準位は、−2.62[eV]であることがわかった。なお、これらの値は有効数字3桁として四捨五入した値である。
【0343】
なお、参照電極(Ag/Ag電極)の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、Ag/Ag電極のフェルミ準位に相当し、その算出は、真空準位からのポテンシャルエネルギーが既知の物質を当該参照電極(Ag/Ag電極)を用いて測定した値から行えば良い。
【0344】
本実施例で用いる参照電極(Ag/Ag電極)の真空準位に対するポテンシャルエネルギー(eV)の算出方法を具体的に説明する。メタノール中におけるフェロセンの酸化還元電位は、標準水素電極に対して+0.610[V vs. SHE]であることが知られている(参考文献;Christian R.Goldsmith et al.,「J.Am.Chem.Soc.」, Vol.124, No.1,83−96, 2002)。一方、本実施例で用いる参照電極を用いて、メタノール中におけるフェロセンの酸化還元電位を求めたところ、+0.20[V vs.Ag/Ag]であった。したがって、この参照電極のポテンシャルエネルギーは、標準水素電極に対して0.41[eV]低くなっていることがわかった。
【0345】
ここで、標準水素電極の真空準位からのポテンシャルエネルギーは−4.44eVであることが知られている(参考文献;大西敏博・小山珠美著、「高分子EL材料」(共立出版)、p.64−67)。以上のことから、用いた参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.44−0.41=−4.85[eV]であると算出できる。
【実施例4】
【0346】
本実施例では、フルオレン誘導体である、9−フェニル−10−{4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)−ビフェニル−4’−イル}−アントラセン(略称:FLPPA)を発光層のホスト材料として用いた発光素子(発光素子2)について説明する。また、比較例としてFLPPAに代えてCzPAを用いた発光素子(比較発光素子2)も作製したので同時に説明する。なお、CzPAは発光効率の良好な発光素子を作製することができる発光素子用材料である。
【0347】
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を以下に示す。素子構造は図1(A)において、電子輸送層114と第2の電極104との間に電子注入層を設けた構造とした。
【0348】
【化51】

【0349】
≪発光素子2、比較発光素子2の作製≫
まず、第1の電極102として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)が成膜されたガラス基板101を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0350】
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板101を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0351】
真空装置内を10−4Paに減圧した後、上記構造式(vi)で表される4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを、NPB:酸化モリブデン=4:1(重量比)となるように蒸着レートを調節して共蒸着することにより、正孔注入層111を形成した。膜厚は50nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
【0352】
続いて、NPBを10nm蒸着することにより正孔輸送層112を形成した。
【0353】
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式で表されるFLPPAと上記構造式(vii)で表されるN,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)をFLPPA:PCAPA=1:0.05(重量比)となるように蒸着レートを調節し、30nm蒸着することによって発光層113を形成した。
【0354】
次に、発光層113上に、上記構造式(viii)で表されるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)を10nm蒸着することにより、電子輸送層114を形成した。さらに電子輸送層114上にAlqとリチウムをAlq:リチウム=1:0.01(重量比)となるように蒸着レートを調節し、共蒸着することによって電子注入層を形成した。膜厚は20nmとした。最後に、陰極として機能する第2の電極104としてアルミニウムを200nm成膜し、発光素子2を完成させた。上述した蒸着過程においては、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0355】
比較発光素子2は、上記発光素子2の作製方法において、発光層113のホスト材料として用いられたFLPPAを上記構造式(ii)で表されるCzPAに代えることで作製した。
【0356】
≪発光素子2及び比較発光素子2の動作特性≫
以上により得られた発光素子2及び比較発光素子2を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0357】
各発光素子の輝度−電流効率特性を図23、輝度−色度特性を図24に示す。図23では縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図24では縦軸が色度(単位なし)、横軸が輝度(cd/m)を示す。
【0358】
図23から、FLPPAを青色の蛍光を発する発光素子の発光層におけるホスト材料に用いた発光素子は、CzPAをホスト材料として用いた発光素子と同様、良好な輝度−発光効率特性を示し、発光効率が良好な発光素子であることがわかった。特に、100cd/mから3000cd/mの範囲は、良好な特性を有していることがわかった。これは、FLPPAが広いエネルギーギャップを有することから、青色の蛍光を発する発光物質であっても、有効に励起することができるためである。また、図24から、FLPPAを青色の蛍光を発する発光素子の発光層におけるホスト材料に用いた発光素子は、各輝度における色変化が少なく、キャリアバランスが良好な発光素子であることがわかった。
【0359】
発光素子2及び比較発光素子2の1000cd/m付近における主な特性を表2に示す。
【0360】
【表2】

【0361】
また、発光素子2及び比較発光素子2に1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図25に示す。図25では縦軸が発光強度、横軸が発光波長(nm)を示す。発光強度は最大発光強度を1とした相対的な値として示す。図25より発光素子2、比較発光素子2のスペクトルはほぼ重なっており、発光中心物質であるPCAPA起因の青色の蛍光を呈することがわかった。
【実施例5】
【0362】
本実施例では、フルオレン誘導体である、9−フェニル−10−{4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)−ビフェニル−4’−イル}−アントラセン(略称:FLPPA)を発光層のホスト材料として用いた発光素子(発光素子3)について説明する。また、比較例としてFLPPAに代えてCzPAを用いた発光素子(比較発光素子3)も作製したので同時に説明する。なお、CzPAは発光効率の良好な発光素子を作製することができる発光素子用材料である。
【0363】
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を以下に示す。素子構造は図1(A)において、電子輸送層114と第2の電極104との間に電子注入層を設けた構造とした。
【0364】
【化52】

【0365】
≪発光素子3、比較発光素子3の作製≫
まず、第1の電極102として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)が成膜されたガラス基板101を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0366】
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板101を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0367】
真空装置内を10−4Paに減圧した後、上記構造式(vi)で表される4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを、NPB:酸化モリブデン=4:1(重量比)となるように蒸着レートを調節し、共蒸着することにより、正孔注入層111を形成した。膜厚は50nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
【0368】
続いて、NPBを10nm蒸着することにより正孔輸送層112を形成した。
【0369】
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式で表されるFLPPAと上記構造式(ix)で表されるN,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)をFLPPA:YGA2S=1:0.05(重量比)となるように蒸着レートを調節し、30nm蒸着することによって発光層113を形成した。
【0370】
次に、発光層113上に、上記構造式(viii)で表されるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)を10nm蒸着することにより、電子輸送層114を形成した。さらに電子輸送層114上にAlqとリチウムをAlq:リチウム=1:0.01(重量比)となるように蒸着レートを調節し、共蒸着することによって電子注入層を形成した。膜厚は20nmとした。最後に、陰極として機能する第2の電極104としてアルミニウムを200nm成膜し、発光素子3を完成させた。上述した蒸着過程においては、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0371】
比較発光素子3は、上記発光素子3の作製方法において、発光層113のホスト材料として用いられたFLPPAをCzPAに代えることで作製した。
【0372】
≪発光素子3及び比較発光素子3の動作特性≫
以上により得られた発光素子3及び比較発光素子3を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0373】
各発光素子の輝度−電流効率特性を図26、輝度−色度特性を図27に示す。図26では縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図27では縦軸が色度(単位なし)、横軸が輝度(cd/m)を示す。
【0374】
図26から、FLPPAを青色の蛍光を発する発光素子の発光層におけるホスト材料に用いた発光素子は、CzPAをホスト材料として用いた発光素子と同様、良好な輝度−発光効率特性を示し、発光効率が良好な発光素子であることがわかった。また、特に、200cd/mから2000cd/mの範囲では良好な特性を有していることがわかった。これは、FLPPAが広いエネルギーギャップを有することから、青色の蛍光を発する発光物質であっても、有効に励起することができるためである。また、図27から、FLPPAを青色の蛍光を発する発光素子の発光層におけるホスト材料に用いた発光素子は、各輝度における色変化が少なく、キャリアバランスが良好な発光素子であることがわかった。
【0375】
発光素子3及び比較発光素子3の1000cd/m付近における主な特性を表3に示す。
【0376】
【表3】

【0377】
また、発光素子3及び比較発光素子3に1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図28に示す。図28では縦軸が発光強度、横軸が発光波長(nm)を示す。発光強度は最大発光強度を1とした相対的な値として示す。図28より発光素子3、比較発光素子3共に、発光中心物質であるYGA2S由来の青色の蛍光を呈した。特に発光素子3ではよりシャープなスペクトルを有する色純度の良い青色発光が得られることがわかった。
【実施例6】
【0378】
本実施例では、実施の形態1で説明した複合材料である、9,9−ビス[4−(1−ピレニル)フェニル]−9H−フルオレン(略称:BPPF)(構造式(118))と酸化モリブデンの共蒸着膜を正孔注入層として用いた発光素子(発光素子4)について説明する。
【0379】
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を以下に示す。素子構造は図1(A)において、電子輸送層114と第2の電極104との間に電子注入層を設けた構造とした。
【0380】
【化53】

【0381】
≪発光素子4の作製≫
まず、第1の電極102として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)が成膜されたガラス基板101を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0382】
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板101を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0383】
真空装置内を10−4Paに減圧した後、上記構造式(118)で表されるBPPFと酸化モリブデン(VI)とを、BPPF:酸化モリブデン=2:1(重量比)となるように蒸着レートを調節して共蒸着し、正孔注入層111を形成した。膜厚は50nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
【0384】
その後上記構造式(v)で表される9−[4−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:PCzPA)を10nm成膜することにより、正孔輸送層112を形成した。
【0385】
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(ii)で表される9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)と上記構造式(x)で表されるN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)をCzPA:1,6mMemFLPAPrn=1:0.04(重量比)となるように蒸着レートを調節し、30nm蒸着することによって発光層113を形成した。
【0386】
次に、CzPAを10nm、上記構造式(iv)で表されるバソフェナントロリン(略称:BPhen)を20nm蒸着することにより、電子輸送層114を形成した。さらに電子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着することによって電子注入層を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極104としてアルミニウムを200nm成膜し、発光素子4を完成させた。上述した蒸着過程においては、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0387】
≪発光素子4の動作特性≫
以上により得られた発光素子4を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、この発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0388】
発光素子の輝度−電流効率特性を図30、電圧−輝度特性を図31、輝度−パワー効率特性を図32、輝度−外部量子効率特性を図33に示す。図30では縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図31では縦軸が輝度(cd/m)、横軸が電圧(V)を示す。図32では縦軸がパワー効率(lm/W)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図33では縦軸が外部量子効率(%)、横軸が輝度(cd/m)を示す。
【0389】
図30から、フルオレン誘導体であるBPPFと酸化モリブデンの複合材料を正孔注入層に用いた発光素子4は、良好な輝度−電流効率特性を示した。また、図32及び図33から、発光素子4は輝度−パワー効率特性、輝度−外部量子効率特性共に良好であり、これらの点から見ても、発光効率が良好な発光素子であることがわかった。
【0390】
また、作製した発光素子4に1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図34に示す。図34では縦軸が発光強度、横軸が発光波長(nm)を示す。発光強度は最大発光強度を1とした相対的な値として示した。図34より発光素子4は発光中心物質である1,6mMemFLPAPrn起因の青色の発光を呈することがわかった。
【0391】
発光素子4の1000cd/m付近における主な特性を表4に示す。
【0392】
【表4】

【0393】
次に、初期輝度を5000cd/mに設定し、電流密度一定の条件でこの素子を駆動し、輝度の駆動時間に対する変化を調べた。図35に規格化輝度−時間特性を示す。図35から、発光素子4は、5000cd/mという非常に高い輝度での駆動試験であるにもかかわらず良好な特性を示し、信頼性の高い素子であることがわかった。
【0394】
このように、実施の形態1に記載のフルオレン骨格を有する炭化水素化合物と無機化合物を含む複合材料は、発光素子を構成する材料として好適な材料であることがわかった。
【実施例7】
【0395】
本実施例では、実施の形態1で説明した複合材料である、2,7−ビス(1−ピレニル)スピロ[9H−フルオレン−9,9’−[9H]フルオレン](略称:Spiro−pye)(構造式(517))と酸化モリブデンの共蒸着膜を正孔注入層として用いた発光素子(発光素子5)について説明する。
【0396】
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を以下に示す。素子構造は図1(A)において、電子輸送層114と第2の電極104との間に電子注入層を設けた構造とした。
【0397】
【化54】

【0398】
≪発光素子5の作製≫
まず、第1の電極102として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)が成膜されたガラス基板101を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0399】
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板101を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0400】
真空装置内を10−4Paに減圧した後、上記構造式(517)で表される2,7−ビス(1−ピレニル)スピロ[9H−フルオレン−9,9’−[9H]フルオレン](略称:Spiro−pye)と酸化モリブデン(VI)とを、Spiro−pye:酸化モリブデン=2:1(重量比)となるように蒸着レートを調節して共蒸着し、正孔注入層111を形成した。膜厚は50nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
【0401】
その後上記構造式(v)で表される9−[4−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:PCzPA)を10nm成膜することにより、正孔輸送層112を形成した。
【0402】
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(ii)で表される9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)と上記構造式(x)で表されるN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)をCzPA:1,6mMemFLPAPrn=1:0.04(重量比)となるように蒸着レートを調節し、30nm蒸着することによって発光層113を形成した。
【0403】
次に、CzPAを10nm、上記構造式(iv)で表されるバソフェナントロリン(略称:BPhen)を20nm蒸着することにより、電子輸送層114を形成した。さらに電子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着することによって電子注入層を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極104としてアルミニウムを200nm成膜し、発光素子5を完成させた。上述した蒸着過程においては、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0404】
≪発光素子5の動作特性≫
以上により得られた発光素子5を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、この発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0405】
発光素子の輝度−電流効率特性を図36、電圧−輝度特性を図37、輝度−パワー効率特性を図38、輝度−外部量子効率特性を図39に示す。図36では縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図37では縦軸が輝度(cd/m)、横軸が電圧(V)を示す。図38では縦軸がパワー効率(lm/W)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図39では縦軸が外部量子効率(%)、横軸が輝度(cd/m)を示す。
【0406】
図36から、フルオレン誘導体であるSpiro−pyeと酸化モリブデンの複合材料を正孔注入層に用いた発光素子5は、良好な輝度−電流効率特性を示した。また、図38及び図39から、発光素子5は輝度−パワー効率特性、輝度−外部量子効率特性共に良好であり、これらの点から見ても、発光効率が良好な発光素子であることがわかった。
【0407】
また、作製した発光素子5に1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図40に示す。図40では縦軸が発光強度、横軸が発光波長(nm)を示す。発光強度は最大発光強度を1とした相対的な値として示した。図40より発光素子5は発光中心物質である1,6mMemFLPAPrn起因の青色の発光を呈することがわかった。
【0408】
発光素子5の1000cd/m付近における主な特性を表5に示す。
【0409】
【表5】

【0410】
次に、初期輝度を5000cd/mに設定し、電流密度一定の条件でこの素子を駆動し、輝度の駆動時間に対する変化を調べた。図41に規格化輝度−時間特性を示す。図41から、発光素子5は、5000cd/mという非常に高い輝度での駆動試験であるにもかかわらず良好な特性を示し、信頼性の高い素子であることがわかった。
【0411】
このように、実施の形態1に記載のフルオレン骨格を有する炭化水素化合物と無機化合物を含む複合材料は、発光素子を構成する材料として好適な材料であることがわかった。
【実施例8】
【0412】
本実施例では、実施の形態1で説明した複合材料である、2,2’’−ビ(9,9’−スピロビ[9H−フルオレン])(略称:BSBF)(構造式(518))と酸化モリブデンの共蒸着膜を正孔注入層として用いた発光素子(発光素子6)について説明する。
【0413】
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を以下に示す。素子構造は図1(A)において、電子輸送層114と第2の電極104との間に電子注入層を設けた構造とした。
【0414】
【化55】

【0415】
≪発光素子6の作製≫
まず、第1の電極102として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)が成膜されたガラス基板101を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0416】
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板101を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0417】
真空装置内を10−4Paに減圧した後、上記構造式(518)で表される2,2’’−ビ(9,9’−スピロビ[9H−フルオレン])(略称:BSBF)と酸化モリブデン(VI)とを、BSBF:酸化モリブデン=2:1(重量比)となるように蒸着レートを調節して共蒸着し、正孔注入層111を形成した。膜厚は50nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
【0418】
その後上記構造式(v)で表される9−[4−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:PCzPA)を10nm成膜することにより、正孔輸送層112を形成した。
【0419】
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(ii)で表される9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)と上記構造式(x)で表されるN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)をCzPA:1,6mMemFLPAPrn=1:0.04(重量比)となるように蒸着レートを調節し、30nm蒸着することによって発光層113を形成した。
【0420】
次に、CzPAを10nm、上記構造式(iv)で表されるバソフェナントロリン(略称:BPhen)を20nm蒸着することにより、電子輸送層114を形成した。さらに電子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着することによって電子注入層を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極104としてアルミニウムを200nm成膜し、発光素子6を完成させた。上述した蒸着過程においては、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0421】
≪発光素子6の動作特性≫
以上により得られた発光素子6を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、この発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0422】
発光素子の輝度−電流効率特性を図42、電圧−輝度特性を図43、輝度−パワー効率特性を図44、輝度−外部量子効率特性を図45に示す。図42では縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図43では縦軸が輝度(cd/m)、横軸が電圧(V)を示す。図44では縦軸がパワー効率(lm/W)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図45では縦軸が外部量子効率(%)、横軸が輝度(cd/m)を示す。
【0423】
図42から、フルオレン誘導体であるBSBFと酸化モリブデンの複合材料を正孔注入層に用いた発光素子6は、良好な輝度−電流効率特性を示した。また、図44及び図45から、発光素子6は輝度−パワー効率特性、輝度−外部量子効率特性共に良好であり、これらの点から見ても、発光効率が良好な発光素子であることがわかった。
【0424】
また、作製した発光素子6に1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図46に示す。図46では縦軸が発光強度、横軸が発光波長(nm)を示す。発光強度は最大発光強度を1とした相対的な値として示した。図46より発光素子6は発光中心物質である1,6mMemFLPAPrn起因の青色の発光を呈することがわかった。
【0425】
発光素子6の1000cd/m付近における主な特性を表6に示す。
【0426】
【表6】

【0427】
次に、初期輝度を5000cd/mに設定し、電流密度一定の条件でこの素子を駆動し、輝度の駆動時間に対する変化を調べた。図47に規格化輝度−時間特性を示す。図47から、発光素子6は、5000cd/mという非常に高い輝度での駆動試験であるにもかかわらず良好な特性を示し、信頼性の高い素子であることがわかった。
【0428】
このように、実施の形態1に記載のフルオレン骨格を有する炭化水素化合物と無機化合物を含む複合材料は、発光素子を構成する材料として好適な材料であることがわかった。
【実施例9】
【0429】
本実施例では、実施の形態1で説明した複合材料である、2,2’’−ビ(9,9’−スピロビ[9H−フルオレン])(略称:BSBF)(構造式(518))と酸化モリブデンの共蒸着膜を正孔注入層として用い、さらにBSBFを正孔輸送層として用いた発光素子(発光素子7)について説明する。
【0430】
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を以下に示す。素子構造は図1(A)において、電子輸送層114と第2の電極104との間に電子注入層を設けた構造とした。
【0431】
【化56】

【0432】
≪発光素子7の作製≫
まず、第1の電極102として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)が成膜されたガラス基板101を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0433】
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板101を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0434】
真空装置内を10−4Paに減圧した後、上記構造式(518)で表される2,2’’−ビ(9,9’−スピロビ[9H−フルオレン])(略称:BSBF)と酸化モリブデン(VI)とを、BSBF:酸化モリブデン=2:1(重量比)となるように蒸着レートを調節して共蒸着し、正孔注入層111を形成した。膜厚は50nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
【0435】
その後、上記構造式(518)で表されるBSBFを10nm成膜することにより、正孔輸送層112を形成した。
【0436】
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(ii)で表される9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)と上記構造式(x)で表されるN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)をCzPA:1,6mMemFLPAPrn=1:0.04(重量比)となるように蒸着レートを調節し、30nm蒸着することによって発光層113を形成した。
【0437】
次に、CzPAを10nm、上記構造式(iv)で表されるバソフェナントロリン(略称:BPhen)を20nm蒸着することにより、電子輸送層114を形成した。さらに電子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着することによって電子注入層を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極104としてアルミニウムを200nm成膜し、発光素子7を完成させた。上述した蒸着過程においては、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0438】
≪発光素子7の動作特性≫
以上により得られた発光素子7を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、この発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0439】
発光素子の輝度−電流効率特性を図48、電圧−輝度特性を図49、輝度−パワー効率特性を図50、輝度−外部量子効率特性を図51に示す。図48では縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図49では縦軸が輝度(cd/m)、横軸が電圧(V)を示す。図50では縦軸がパワー効率(lm/W)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図51では縦軸が外部量子効率(%)、横軸が輝度(cd/m)を示す。
【0440】
図48から、フルオレン誘導体であるBSBFと酸化モリブデンの複合材料を正孔注入層に用い、さらにBSBFを正孔輸送層として用いた発光素子7は、良好な輝度−電流効率特性を示した。また、図50及び図51から、発光素子7は輝度−パワー効率特性、輝度−外部量子効率特性共に良好であり、これらの点から見ても、発光効率が良好な発光素子であることがわかった。
【0441】
また、作製した発光素子7に1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図52に示す。図52では縦軸が発光強度、横軸が発光波長(nm)を示す。発光強度は最大発光強度を1とした相対的な値として示した。図52より発光素子7は発光中心物質である1,6mMemFLPAPrn起因の青色の発光を呈することがわかった。
【0442】
発光素子7の1000cd/m付近における主な特性を表7に示す。
【0443】
【表7】

【0444】
次に、初期輝度を5000cd/mに設定し、電流密度一定の条件でこの素子を駆動し、輝度の駆動時間に対する変化を調べた。図53に規格化輝度−時間特性を示す。図53から、発光素子7は、5000cd/mという非常に高い輝度での駆動試験であるにもかかわらず良好な特性を示し、信頼性の高い素子であることがわかった。
【0445】
このように、実施の形態1に記載のフルオレン骨格を有する炭化水素化合物と無機化合物を含む複合材料は、発光素子を構成する材料として好適な材料であることがわかった。
【実施例10】
【0446】
本実施例では、実施の形態1で説明した複合材料である、トリフェニル[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]シラン(略称:TpsiF)と酸化モリブデンの共蒸着膜を正孔注入層として用いた発光素子(発光素子8)について説明する。
【0447】
なお、本実施例で用いた有機化合物の分子構造を以下に示す。素子構造は図1(A)において、電子輸送層114と第2の電極104との間に電子注入層を設けた構造とした。
【0448】
【化57】

【0449】
≪発光素子8の作製≫
まず、第1の電極102として110nmの膜厚でケイ素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)が成膜されたガラス基板101を用意した。ITSO表面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺をポリイミド膜で覆い、電極面積は2mm×2mmとした。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板を30分程度放冷した。
【0450】
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板101を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
【0451】
真空装置内を10−4Paに減圧した後、トリフェニル[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]シラン(略称:TpsiF)と酸化モリブデン(VI)とを、TpsiF:酸化モリブデン=2:1(重量比)となるように蒸着レートを調節して共蒸着し、正孔注入層111を形成した。膜厚は50nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
【0452】
その後、上記構造式(v)で表される9−[4−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:PCzPA)を10nm成膜することにより、正孔輸送層112を形成した。
【0453】
さらに、正孔輸送層112上に、上記構造式(ii)で表される9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)と上記構造式(x)で表されるN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)をCzPA:1,6mMemFLPAPrn=1:0.04(重量比)となるように蒸着レートを調節し、30nm蒸着することによって発光層113を形成した。
【0454】
次に、CzPAを10nm、上記構造式(iv)で表されるバソフェナントロリン(略称:BPhen)を20nm蒸着することにより、電子輸送層114を形成した。さらに電子輸送層114上にフッ化リチウムを1nmとなるように蒸着することによって電子注入層を形成した。最後に、陰極として機能する第2の電極104としてアルミニウムを200nm成膜し、発光素子8を完成させた。上述した蒸着過程においては、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0455】
≪発光素子8の動作特性≫
以上により得られた発光素子8を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、この発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0456】
発光素子の輝度−電流効率特性を図54、電圧−輝度特性を図55、輝度−パワー効率特性を図56、輝度−外部量子効率特性を図57に示す。図54では縦軸が電流効率(cd/A)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図55では縦軸が輝度(cd/m)、横軸が電圧(V)を示す。図56では縦軸がパワー効率(lm/W)、横軸が輝度(cd/m)を示す。図57では縦軸が外部量子効率(%)、横軸が輝度(cd/m)を示す。
【0457】
図54から、フルオレン骨格を有するケイ素化合物であるTpsiFと酸化モリブデンの複合材料を正孔注入層に用いた発光素子8は、良好な輝度−電流効率特性を示した。また、図56及び図57から、発光素子8は輝度−パワー効率特性、輝度−外部量子効率特性共に良好であり、これらの点から見ても、発光効率が良好な発光素子であることがわかった。
【0458】
また、作製した発光素子8に1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図58に示す。図58では縦軸が発光強度、横軸が発光波長(nm)を示す。発光強度は最大発光強度を1とした相対的な値として示した。図58より発光素子8は発光中心物質である1,6mMemFLPAPrn起因の青色の発光を呈することがわかった。
【0459】
発光素子8の1000cd/m付近における主な特性を表8に示す。
【0460】
【表8】

【0461】
次に、初期輝度を5000cd/mに設定し、電流密度一定の条件でこれらの素子を駆動し、輝度の駆動時間に対する変化を調べた。図59に規格化輝度−時間特性を示す。図59から、発光素子8は、5000cd/mという非常に高い輝度での駆動試験であるにもかかわらず良好な特性を示し、信頼性の高い素子であることがわかった。
【0462】
このように、フルオレン骨格を有するケイ素化合物と無機化合物を含む複合材料は、発光素子を構成する材料として好適な材料であることがわかった。
【0463】
(参考例1)
上記実施例で用いたN,N’−ビス〔4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−N,N’−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)(構造式(iii)の合成方法について具体的に説明する。1,6FLPAPrnの構造を以下に示す。
【0464】
【化58】

【0465】
[ステップ1:9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレンの合成法]
100mL三口フラスコにて、マグネシウムを1.2g(50mmol)減圧下で30分加熱撹拌し、マグネシウムを活性化させた。これを室温に冷まして窒素雰囲気にした後、ジブロモエタン数滴を加えて発泡、発熱するのを確認した。ここにジエチルエーテル10mL中に溶かした2−ブロモビフェニルを12g(50mmol)ゆっくり滴下した後、2.5時間加熱還流撹拌してグリニヤール試薬とした。
【0466】
4−ブロモベンゾフェノンを10g(40mmol)、ジエチルエーテルを100mLを500mL三口フラスコに入れた。ここに先に合成したグリニヤール試薬をゆっくり滴下した後、9時間加熱還流撹拌した。
【0467】
反応後、この混合液をろ過して濾物を得た。得られた濾物を酢酸エチル150mLに溶かし、1N−塩酸を加えて2時間撹拌した。この液体の有機層の部分を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を吸着させた。この懸濁液をろ過し、得られたろ液を濃縮し粘度の高い物質を得た。
【0468】
500mLなすフラスコに、この粘度の高い物質と、氷酢酸50mLと、塩酸1.0mLとを入れ、窒素雰囲気下、130℃で1.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0469】
反応後、この反応混合液をろ過して濾物を得た。得られた濾物を水、水酸化ナトリウム水、水、メタノールの順で洗浄したのち乾燥させ、目的物の白色粉末11gを収率69%で得た。上記ステップ1の合成スキームを下記(E1−1)に示す。
【0470】
【化59】

【0471】
[ステップ2:4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ジフェニルアミン(略称:FLPA)の合成法]
9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレン5.8g(14.6mmol)、アニリン1.7mL(18.6mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド4.2g(44.0mmol)を200mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン147.0mLとトリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液0.4mLを加えた。この混合物を60℃にし、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)66.1mg(0.1mmol)を加え3.5時間攪拌した。攪拌後、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮した。得られたろ液を濃縮し得た固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン:トルエン=2:1)により精製し、得られたフラクションを濃縮し、目的物の白色固体6.0gを収率99%で得た。上記ステップ2の合成スキームを下記(E1−2)に示す。
【0472】
【化60】

【0473】
[ステップ3:N,N’−ビス〔4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−N,N’−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)の合成法]
1,6−ジブロモピレン0.4g(1.2mmol)、参考例1のステップ2で得た4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ジフェニルアミン(略称:FLPA)1.0g(2.4mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド0.3g(3.6mmol)を50mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン11.5mLとトリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液0.20mLを加えた。この混合物を70℃にし、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)31.1mg(0.05mmol)を加え4.0時間攪拌した。攪拌後、フロリジール、セライト、アルミナを通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮した。得られたろ液を濃縮し得た固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はクロロホルム)により精製し、得られたフラクションを濃縮し、黄色固体を得た。得られた固体を、トルエンとヘキサンの混合溶媒により洗浄した後、吸引ろ過をおこない黄色固体を得た。得られた黄色固体をクロロホルムとヘキサンの混合溶媒で洗浄したところ、淡黄色粉末状固体0.8gを、収率68%で得た。
【0474】
得られた淡黄色固体0.8gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.7Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、360℃で加熱した。昇華精製後、目的物を0.4g、収率56%で得た。上記ステップ3の合成スキームを下記(E2−A)に示す。
【0475】
【化61】

【0476】
核磁気共鳴法(NMR)及びMSスペクトルによって、得られた化合物がN,N’−ビス〔4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−N,N’−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)であることを確認した。H NMRデータを以下に示す。
【0477】
1H NMR(CDCl,300MHz):δ=6.88−6.91(m、6H)、7.00−7.03(m、8H)、7.13−7.40(m、26H)、7.73−7.80(m、6H)、7.87(d、J=9.0Hz、2H)、8.06−8.09(m、4H)
【0478】
(参考例2)
上記実施例で用いた9−{4−(9−H−9−フェニルカルバゾール−3−イル)−フェニリル}−フェナントレン(略称:PCPPn)(構造式(i))の合成方法について具体的に説明する。PCPPnの構造を以下に示す。
【0479】
【化62】

【0480】
[ステップ1:3−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−カルバゾールの合成法]
300mL三口フラスコにて、4−ブロモヨードベンゼン14g(50mmol)、9−フェニル−9H−カルバゾール−3−ボロン酸14g(50mmol)、酢酸パラジウム(II)110mg(0.5mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン300mg(1.0mmol)、トルエン50mL、エタノール10mL、2mol/L炭酸カリウム水溶液25mLの混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気した後、窒素雰囲気下、80℃で6時間加熱撹拌し、反応させた。
【0481】
反応後、この反応混合液にトルエン200mLを加え、この懸濁液をフロリジール、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を吸着させた。この懸濁液をろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。このとき、クロマトグラフィーの展開溶媒として、トルエンとヘキサンの混合溶媒(トルエン:ヘキサン=1:4)を用いた。得られたフラクションを濃縮し、ヘキサンを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量15g、収率75%で得た。上記ステップ1の反応スキームを下記(F1−1)に示す。
【0482】
【化63】

【0483】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:10)は、目的物は0.32、4−ブロモヨードベンゼンは0.74だった。
【0484】
上記ステップ1で得られた化合物を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定データを示す。測定結果から、3−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−カルバゾールが得られたことを確認した。
【0485】
H NMR(CDCl3,300MHz):δ(ppm)=7.24−7.32(m,1H),7.40−7.64(m,13H),8.17(d,J=7.2Hz,1H),8.29(s,1H)
【0486】
[ステップ2:4−(9−フェニル−9−H−カルバゾール−3−イル)フェニルボロン酸の合成法]
300mL三口フラスコに、上記反応スキーム(F1−2)で得られた3−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−カルバゾールを8.0g(20mmol)入れ、フラスコ内の雰囲気を窒素置換したのち、脱水テトラヒドロフラン(略称:THF)100mLを加えて−78℃にした。この混合液に1.65mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液15mL(24mmol)を滴下し、2時間撹拌した。この混合物にホウ酸トリメチル3.4mL(30mmol)を加え、−78℃で2時間、室温で18時間撹拌した。反応後、この反応溶液に1M希塩酸を酸性になるまで加えて7時間撹拌した。これを酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、有機層に硫酸マグネシウムを加えて水分を吸着させた。この懸濁液をろ過し、得られたろ液を濃縮し、ヘキサンを加え超音波をかけたのち、再結晶したところ、白色粉末を収量6.4g、収率88%で得た。上記ステップ2の反応スキームを下記(F2−1)に示す。
【0487】
【化64】

【0488】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:10)は、目的物は0(原点)であり、3−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−カルバゾールは0.53だった。また、展開溶媒に酢酸エチルを用いたシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値は、目的物は0.72で、3−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−カルバゾールは0.93だった。
【0489】
[ステップ3:3−[4−(9−フェナントリル)−フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCPPn)の合成法]
200mL三口フラスコへ9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル−フェニル−4−ボロン酸を1.5g(5.0mmol)、9−ブロモフェナントレンを3.2g(11mmol)、酢酸パラジウム(II)を11mg(0.1mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィンを30mg(0.1mmol)、トルエン30mL、エタノール3mL、2mol/L炭酸カリウム水溶液5mLの混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気した後、窒素雰囲気下、90℃で6時間加熱撹拌し、反応させた。
【0490】
反応後、この反応混合液にトルエン200mLを加え、この混合液の有機層をフロリジール、アルミナ、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を吸着させた。この懸濁液をろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。このとき、クロマトグラフィーの展開溶媒として、トルエンとヘキサンの混合溶媒(トルエン:ヘキサン=1:4)を用いた。得られたフラクションを濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、白色粉末を収量2.2g、収率75%で得た。ステップ3の反応スキームを下記(F2−2)に示す。
【0491】
【化65】

【0492】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:10)は、目的物は0.33、9−ブロモフェナントレンは0.70だった。
【0493】
また、得られた化合物を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測定データを示す。測定結果から、目的物であるPCPPn(略称)が得られたことを確認した。
【0494】
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=7.30−7.35(m,11H),7.43−7.78(m,16H),7.86−7.93(m,3H),8.01(dd,J=0.9Hz,7.8Hz,1H),8.23(d,J=7.8Hz,1H),8.47(d,J=1.5Hz,1H),8.74(d,J=8.1Hz,1H),8.80(d,J=7.8Hz,1H)
【0495】
(参考例3)
上記実施例で用いたN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)の合成方法について説明する。1,6mMemFLPAPrnの構造式を以下に示す。
【0496】
【化66】

【0497】
<ステップ1:3−メチルフェニル−3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニルアミン(略称:mMemFLPA)の合成>
9−(3−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレン3.2g(8.1mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.3g(24.1mmol)を200mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン40.0mL、m−トルイジン0.9mL(8.3mmol)、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液0.2mLを加えた。この混合物を60℃にし、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)44.5mg(0.1mmol)を加え、この混合物を80℃にして2.0時間攪拌した。攪拌後、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通して吸引濾過し、濾液を得た。得られた濾液を濃縮し得た固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン:トルエン=1:1)により精製し、トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶し、目的の白色固体2.8gを、収率82%で得た。上記ステップ1の合成スキームを以下に示す。
【0498】
【化67】

【0499】
<ステップ2:N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)の合成>
1,6−ジブロモピレン0.6g(1.7mmol)、3−メチルフェニル−3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニルアミン1.4g(3.4mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド0.5g(5.1mmol)を100mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン21.0mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液0.2mLを加えた。この混合物を60℃にし、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)34.9mg(0.1mmol)を加え、この混合物を80℃にして3.0時間攪拌した。攪拌後、トルエンを400mL加えて加熱し、熱いまま、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナを通して吸引濾過し、濾液を得た。得られた濾液を濃縮し得た固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はヘキサン:トルエン=3:2)により精製し、黄色固体を得た。得られた黄色固体をトルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶し、目的の黄色固体を1.2g、収率67%で得た。
【0500】
得られた黄色固体1.0gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.2Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、317℃で黄色固体を加熱した。昇華精製後、目的物の黄色固体1.0gを、収率93%で得た。上記ステップ2の合成スキームを以下に示す。
【0501】
【化68】

【0502】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物であるN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)であることを確認した。
【0503】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
【0504】
H NMR(CDCl,300MHz):δ=2.21(s,6H)、6.67(d,J=7.2Hz,2H)、6.74(d,J=7.2Hz,2H)、7.17−7.23(m,34H)、7.62(d,J=7.8Hz,4H)、7.74(d,J=7.8Hz,2H)、7.86(d,J=9.0Hz,2H)、8.04(d,J=8.7Hz,4H)
【符号の説明】
【0505】
101 基板
102 第1の電極
103 有機化合物を含む層
104 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
301 基板
302 第1の電極
304 第2の電極
311 電子輸送層
312 発光層
313 正孔輸送層
314 正孔注入層
400 基板
401 第1の電極
402 補助電極
403 EL層
404 第2の電極
405 シール材
406 シール材
407 封止基板
412 パッド
420 ICチップ
501 第1の電極
502 第2の電極
511 第1の発光ユニット
512 第2の発光ユニット
513 電荷発生層
601 駆動回路部(ソース側駆動回路)
602 画素部
603 駆動回路部(ゲート側駆動回路)
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 有機化合物を含む層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
901 筐体
902 液晶層
903 バックライトユニット
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 有機化合物を含む層
956 電極
2001 筐体
2002 光源
3001 照明装置
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7400 携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオレンにアリール基が1又は複数結合している分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【請求項2】
フルオレンの9位に1つ又は2つのフェニレン基を介してアリール基が結合し且つ分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【請求項3】
下記一般式(G1)で表され分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【化1】


(但し、式中α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表し、nは0又は1の値をとる。また、Ar及びArは置換又は無置換のアリール基を表す。また、R11乃至R18はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。)
【請求項4】
フルオレンの9位に1つ又は2つのフェニレン基を介して2環以上4環以下の縮合環が結合し、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【請求項5】
下記一般式(G1)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【化2】


(但し、式中α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表し、nは0又は1の値をとる。また、Arは置換又は無置換の2環以上4環以下の環が縮合したアリール基のいずれかを表し、Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表す。また、R11乃至R18はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。)
【請求項6】
下記一般式(G2)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【化3】


(但し、式中αは置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表す。また、Arは置換又は無置換の2環以上4環以下の環が縮合したアリール基のいずれかを表し、Arは置換又は無置換のフェニル基又は置換又は無置換のビフェニル基を表す。また、R11乃至R18はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。)
【請求項7】
請求項3、請求項5及び請求項6のいずれか一項において、
前記R11乃至R18はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基及び下記構造式で表される基のいずれかである複合材料。
【化4】

【請求項8】
下記一般式(G3)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【化5】


(但し、式中αは置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表す。また、Arは置換又は無置換の2環以上4環以下の環が縮合したアリール基のいずれかを表し、Arは置換又は無置換のフェニル基又は置換又は無置換のビフェニル基を表す。)
【請求項9】
請求項3、請求項5乃至請求項8のいずれか一項において、前記Arは、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基及び置換又は無置換のテトラセニル基から選ばれる一である複合材料。
【請求項10】
請求項3、請求項5乃至請求項8のいずれか一項において、前記Arで表されるアリール基の結合手が水素と結合した物質が、その吸収スペクトルにおいて、450nm以上800nm以下の範囲にピークがない物質である複合材料。
【請求項11】
請求項3、請求項5乃至請求項8のいずれか一項において、前記Arは、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基及び置換又は無置換のトリフェニレニル基から選ばれる一である複合材料。
【請求項12】
請求項3、請求項5乃至請求項8のいずれか一項において、前記Arは、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基、置換又は無置換のテトラセニル基から選ばれる一である複合材料。
【請求項13】
請求項3、請求項5乃至請求項12のいずれか一項において、前記Arが置換基を有する場合、前記置換基が、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及び下記一般式(Ar−1)で表される基のいずれかである複合材料。
【化6】


(但し、式中α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表し、mは0又は1の値をとる。また、Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、R41乃至R48はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基及びフェナントリル基のいずれかを表す。)
【請求項14】
下記一般式(G4)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【化7】


(但し、式中αは置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表しす。また、R乃至Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及び下記一般式(Ar−2)で表される基のいずれかを表す。)
【化8】


(但し、式中αは置換又は無置換のフェニレン基又は置換又は無置換のビフェニルジイル基を表す。)
【請求項15】
下記一般式(G5)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【化9】


(但し、式中α11はフェニレン基又はビフェニルジイル基を表す。)
【請求項16】
請求項3、請求項5乃至請求項15のいずれか一項において、α乃至α及びα11はそれぞれ独立に下記構造式(α−1)乃至(α−6)のいずれかである複合材料。
【化10】

【請求項17】
フルオレンにアリール基が1又は複数結合している分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有し、
前記アリール基が前記フルオレンの2位又は前記フルオレンの2位および7位に結合している複合材料。
【請求項18】
請求項17において、
前記アリール基は置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基及び置換又は無置換のテトラセニル基から選ばれる一である複合材料。
【請求項19】
請求項17又は請求項18において、
前記アリール基が1つ又は2つのフェニレン基を介して前記フルオレンに結合している複合材料。
【請求項20】
下記一般式(G6)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【化11】


(但し、式中Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、Arは水素または置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又はビフェニルジイル基を表す。j及びkはそれぞれ独立に0又は1の値をとる。また、R21乃至R28はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。)
【請求項21】
下記一般式(G6’)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【化12】


(但し、式中Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、Arは水素または置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、α及びαはそれぞれ独立に置換又は無置換のフェニレン基又はビフェニルジイル基を表す。j及びkはそれぞれ独立に0又は1の値をとる。また、R23乃至R28及びR31乃至R38はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。)
【請求項22】
下記一般式(G7)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【化13】


(但し、式中Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、Arは水素または置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表す。また、R21乃至R28はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。)
【請求項23】
下記一般式(G7’)で表され、分子量が400以上2000以下である炭化水素化合物と、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物を含有する複合材料。
【化14】


(但し、式中Arは置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表し、Arは水素または置換又は無置換の炭素数6乃至18のアリール基のいずれかを表す。また、R23乃至R28及びR31乃至R38はそれぞれ独立に水素、炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基、置換または無置換のナフチル基及び置換または無置換のフェナントリル基のいずれかを表す。)
【請求項24】
請求項20乃至請求項23のいずれか一項において、
前記Arは置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基及び置換又は無置換のテトラセニル基から選ばれる一であり、Arは水素または置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のアントリル基、置換又は無置換のフェナントリル基、置換又は無置換のトリフェニレニル基、置換又は無置換のピレニル基、置換又は無置換のクリセニル基及び置換又は無置換のテトラセニル基から選ばれる一である複合材料。
【請求項25】
請求項1乃至請求項24のいずれか一項において、前記炭化水素化合物の分子量が1500以下である複合材料。
【請求項26】
請求項1乃至請求項25のいずれか一項において、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物が遷移金属の酸化物である複合材料。
【請求項27】
請求項1乃至請求項25のいずれか一項において、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物がチタン酸化物、バナジウム酸化物、タンタル酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、銀酸化物から選ばれる一種又は複数種である複合材料。
【請求項28】
請求項1乃至請求項25のいずれか一項において、
前記炭化水素化合物に電子受容性を示す無機化合物がモリブデン酸化物である複合材料。
【請求項29】
一対の電極間に有機化合物を含む層を有し、
前記有機化合物を含む層は、少なくとも発光中心物質を含む層と、請求項1乃至請求項28のいずれか一項に記載の複合材料を含む層とを有する発光素子。
【請求項30】
請求項29において、
前記複合材料を含む層が、前記一対の電極のうち陽極として機能する電極と接して設けられた発光素子。
【請求項31】
一対の電極間に有機化合物を含む層を有し、
前記有機化合物を含む層は、複数の発光ユニットと、請求項1乃至請求項28のいずれか一項に記載の複合材料を含む層とを有し、
前記複数の発光ユニットは各々発光中心物質を含む層を有し、
前記発光ユニットと前記発光ユニットの間に前記複合材料を含む層を有する発光素子。
【請求項32】
請求項29乃至請求項31のいずれか一項に記載の発光素子を有する発光装置。
【請求項33】
請求項32に記載の発光装置を表示部に有する電子機器。
【請求項34】
請求項32に記載の発光装置を発光部に有する照明装置。
【請求項35】
下記構造式で表されるフルオレン誘導体。
【化15】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【公開番号】特開2012−169613(P2012−169613A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−13906(P2012−13906)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】