説明

複合材料および前記複合材料を用いた発光素子、発光装置並びに電子機器

【課題】有機化合物と無機化合物とを含む複合材料であって、導電性に優れた複合材料を提供することを課題とする。また、有機化合物へのキャリア注入性に優れた複合材料を提供することを課題とする。また、金属との接触抵抗が小さい複合材料を提供することを課題とする。また、前記複合材料を電流励起型の発光素子に適用することにより、低駆動電圧の発光素子を提供することを課題とする。さらに、前記発光素子を用いて発光装置を作製することにより、消費電力の小さい発光装置を提供することを課題とする。
【解決手段】室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるフェロセンの酸化還元電位に対する酸化ピーク電位が0V〜1.5V(vs.Fc/Fc)、好ましくは0.1V〜1.0V(vs.Fc/Fc)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含む複合材料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物と無機化合物とを複合した複合材料であって、キャリア輸送性および有機化合物へのキャリア注入性に優れた複合材料に関する。また、前記複合材料を用いた電流励起型の発光素子に関する。また、発光素子を有する発光装置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光性の有機化合物を用いた発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら発光素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔(ホール)がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子およびホール)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0003】
なお、有機化合物が形成する励起状態の種類としては、一重項励起状態と三重項励起状態が可能であり、一重項励起状態からの発光が蛍光、三重項励起状態からの発光が燐光と呼ばれている。
【0004】
このような発光素子は、例えば0.1μm程度の有機薄膜で形成されるため、薄型軽量に作製できることが大きな利点である。また、キャリアが注入されてから発光に至るまでの時間は1μ秒程度あるいはそれ以下であるため、非常に応答速度が速いことも特長の一つである。これらの特性は、フラットパネルディスプレイとして好適であると考えられている。
【0005】
また、これらの発光素子は膜状に形成されるため、大面積の素子を形成することにより、面状の発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0006】
ところで、近年急速に開発が進んだ各種情報処理機器に組み込むための表示用装置においては特に低消費電力化への要求が高く、これを達成するために発光素子の低駆動電圧化が試みられている。また、商品化を踏まえれば、低駆動電圧化のみならず発光素子の長寿命化もまた重要であり、これを達成するための発光素子の開発が進められている。
【0007】
例えば特許文献1では、モリブデン酸化物等の仕事関数の高い金属酸化物を陽極に用いることで発光素子の低駆動電圧化を達成している。さらに長寿命化に対する効果も得ている。
【0008】
しかし、特に長寿命化について述べれば、特許文献1に示された手段のみでは十分であるとは言えず、さらなる長寿命化を達成するための技術開発を必要としていた。
【特許文献1】特開平9−63771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明では、有機化合物と無機化合物とを複合した複合材料であって、導電性に優れた複合材料を提供することを課題とする。また、有機化合物へのキャリア注入性に優れた複合材料を提供することを課題とする。また、金属との接触抵抗が小さい複合材料を提供することを課題とする。
【0010】
また、前記複合材料を電流励起型の発光素子に適用することにより、低駆動電圧の発光素子を提供することを課題とする。さらに、前記発光素子を用いて発光装置を作製することにより、消費電力の小さい発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、有機化合物と無機化合物とを含む複合材料を適用することにより、課題を解決できることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明の複合材料の一は、室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるAg/Ag電極に対する酸化ピーク電位が0V以上1.5V以下(vs.Ag/Ag)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の複合材料の一は、室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるAg/Ag電極に対する酸化ピーク電位が0.2V以上1.1V以下(vs.Ag/Ag)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の複合材料の一は、室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるフェロセンの酸化還元電位に対する酸化ピーク電位が0V以上1.5V以下(vs.Fc/Fc)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の複合材料の一は、室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるフェロセンの酸化還元電位に対する酸化ピーク電位が0.1V以上1.0V以下(vs.Fc/Fc)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の複合材料の一は、室温でジメチルホルムアミド(DMF)溶液中におけるイオン化ポテンシャルが4.8eV以上6.4eV以下である有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の複合材料の一は、室温でジメチルホルムアミド(DMF)溶液中におけるイオン化ポテンシャルが5.0eV以上6.0eV以下である有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の複合材料の一は、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中における半波電位[V vs.Ag/Ag]が、0.2〜0.9[V vs.Ag/Ag]である有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の複合材料の一は、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中における半波電位[V vs.Fc/Fc]が、0.1〜0.8[V vs.Fc/Fc]である有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする。
【0020】
上記構成において、有機化合物は、芳香族アミン化合物であることを特徴とする。
【0021】
また、有機化合物は、カルバゾール誘導体であることを特徴とする。
【0022】
また、有機化合物は、芳香族炭化水素であることを特徴とする。
【0023】
また、有機化合物は、金属錯体であることを特徴とする。
【0024】
また、有機化合物は、有機金属錯体であることを特徴とする。
【0025】
また、有機化合物は、高分子化合物であることを特徴とする。
【0026】
また上記構成において、金属酸化物は、有機化合物に対して電子受容性を示すことを特徴とする。
【0027】
上記構成において、金属酸化物は、遷移金属酸化物であることが好ましい。特に、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物であることが好ましい。さらに好ましくは、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムのいずれか一種もしくは複数種であることが好ましい。
【0028】
また、本発明の複合材料は、発光素子に用いることができる。したがって、本発明の発光素子は、一対の電極間に発光物質を含む層を有し、発光物質を含む層は、上記の複合材料を含む層を有することを特徴とする。
【0029】
上記構成において、本発明の複合材料を含む層は、一対の電極のうち陽極として機能する電極と接するように設けられていてもよいし、陰極として機能する電極と接するように設けられていてもよい。また、一対の電極それぞれと接するように一層ずつ設けられていてもよい。
【0030】
また、本発明の発光素子の一は、一対の電極間に、n(nは2以上の任意の自然数)層の発光物質を含む層を有し、m層目(mは任意の自然数であり、1≦m<nである)の発光物質を含む層とm+1層目の発光物質を含む層との間に、上述した複合材料を含む層を有することを特徴とする。
【0031】
また、本発明は、上述した発光素子を有する発光装置も範疇に含めるものである。本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を含む。また、発光素子が形成されたパネルにコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0032】
また、本発明の発光素子を表示部に用いた電子機器も本発明の範疇に含めるものとする。したがって、本発明の電子機器は、表示部を有し、表示部は、上述した発光素子と発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明を実施することで、有機化合物と無機化合物とを複合した複合材料であって、キャリア輸送性および有機化合物へのキャリア注入性に優れた複合材料を提供することができる。
【0034】
また、本発明の複合材料を発光素子に適用することにより、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
【0035】
また、本発明の複合材料を発光装置に適用することにより、低消費電力な発光装置を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0037】
(実施の形態1)
【0038】
本発明の複合材料は、室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるAg/Ag電極に対する酸化ピーク電位が0V以上1.5V以下(vs.Ag/Ag)、好ましくは0.2V以上1.1V以下(vs.Ag/Ag)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴としている。また、室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるフェロセンの酸化還元電位に対する酸化ピーク電位が0V以上1.5V以下(vs.Fc/Fc)、好ましくは0.1V以上1.0V以下(vs.Fc/Fc)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴としている。また、室温でジメチルホルムアミド(DMF)溶液中におけるイオン化ポテンシャルが4.8eV以上6.4eV以下、好ましくは、5.0eV以上6.0eV以下である有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴としている。
【0039】
このような構成とすることにより、本発明の複合材料中において、有機化合物は金属酸化物により酸化されやすくなる。換言すれば、本発明の複合材料においては、有機化合物のラジカルカチオンが生成しやすい。その結果、有機化合物単体に比べ、前記複合材料の導電性を向上させることができる。また、有機化合物へのキャリア注入性(特にホールの注入性)を高めることができる。また、各種金属との電気的な障壁を緩和し、金属との接触抵抗を低減することができる。
【0040】
本発明の複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、金属錯体、有機金属錯体、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、上述した酸化ピーク電位の範囲内に位置する種々の化合物を用いることができる。そのような化合物であれば、ホール輸送性の化合物も電子輸送性の化合物も、いずれも用いることができるが、特にホール輸送性の有機化合物が好ましい。以下では、本発明の複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0041】
例えば、芳香族アミン化合物としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などを挙げることができる。
【0042】
また、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0043】
本発明に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0044】
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)等を用いることができる。
【0045】
また、本発明に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0046】
なお、本発明に用いるこのとのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0047】
また、本発明に用いることのできる金属錯体としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(略称:Znq)等が挙げられる。
【0048】
また、本発明に用いることのできる有機金属錯体としては、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、トリス[N−(2−ピリジル)ピラゾラト]コバルト(III)(略称:Co(ppz))等が挙げられる。
【0049】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0050】
また、本発明の複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属酸化物が好ましい。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物であることが好ましい。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中で安定であり、扱いやすく好ましい。
【0051】
なお、本発明の複合材料の製造方法は、湿式法、乾式法を問わず、どのような手法を用いても良い。例えば、本発明の複合材料は、上述した有機化合物と無機化合物との共蒸着で作製することができる。また、上述した有機化合物と金属アルコキシドを含む溶液を塗布し、焼成することによって得ることもできる。なお、酸化モリブデンは真空中で蒸発しやすく、作製プロセスの面からも好ましい。
【0052】
(実施の形態2)
本発明の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリア(担体)の再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。
【0053】
本発明の発光素子の一態様について図1(A)を用いて以下に説明する。
【0054】
本形態において、発光素子は、第1の電極102と、第1の電極102の上に順に積層した第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106と、さらにその上に設けられた第2の電極107とから構成されている。なお、本形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極107は陰極として機能するものとして以下説明をする。
【0055】
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子を作製する工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
【0056】
第1の電極102としては、さまざまな金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。例えば、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zinc Oxide)の他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−シリコン(Al−Si)、アルミニウム−チタン(Al−Ti)、アルミニウム−シリコン−銅(Al−Si−Cu)または金属材料の窒化物(TiN)等、を用いることができるが、第1の電極を陽極として用いる場合には、その中でも、仕事関数の大きい材料(仕事関数4.0eV以上)などで形成されていることが好ましい。
【0057】
なお、本発明の発光素子において、第1の電極102は仕事関数の大きい材料に限定されず、仕事関数の小さい材料を用いることもできる。
【0058】
第1の層103は、実施の形態1で示した複合材料を含む層である。
【0059】
第2の層104は、正孔輸送性の高い物質、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物からなる層である。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、第2の層104は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものであってもよい。
【0060】
第3の層105は、発光性の高い物質を含む層である。例えば、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)や3−(2−ベンソチアゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン(略称:クマリン6)等の発光性の高い物質とトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)や9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等のキャリア輸送性が高く膜質がよい(つまり結晶化しにくい)物質とを自由に組み合わせて構成される。但し、AlqやDNAは発光性も高い物質であるため、これらの物質を単独で用いた構成とし、第3の層105としても構わない。
【0061】
第4の層106は、電子輸送性の高い物質、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBi)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を第4の層106として用いても構わない。また、第4の層106は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0062】
第2の電極107を形成する物質としては、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族または2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)が挙げられる。しかしながら、第2の電極107と第4の層106との間に、電子注入を促す機能を有する層を、当該第2の電極と積層して設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素を含むITO等様々な導電性材料を第2の電極107として用いることができる。
【0063】
なお、電子注入を促す機能を有する層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物を用いることができる。また、この他、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。
【0064】
また、第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106の形成方法は、蒸着法や、インクジェット法またはスピンコート法などの種々の方法用いることができる。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
【0065】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極107との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である第3の層105において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり第3の層105に発光領域が形成されるような構成となっている。但し、第3の層105の全てが発光領域として機能する必要はなく、例えば、第3の層105のうち第2の層104側または第4の層106側にのみ発光領域が形成されるようなものであってもよい。
【0066】
発光は、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方は、透光性を有する物質で成る。第1の電極102のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(A)に示すように、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極107のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(B)に示すように、発光は第2の電極107を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極107がいずれも透光性を有する物質からなるものである場合、図1(C)に示すように、発光は第1の電極102および第2の電極107を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
【0067】
なお第1の電極102と第2の電極107との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光が減少するように、第1の電極102および第2の電極107から離れた部位に正孔と電子とが再結合する領域を設けた構成であり、且つ、実施の形態1で示した複合材料を含む層を有するものであれば、上記以外のものでもよい。
【0068】
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等から成る層を、本発明の複合材料を含む層と自由に組み合わせて構成すればよい。また、第1の電極102上には、酸化珪素膜等からなる層を設けることによってキャリアの再結合の位置を制御してもよい。
【0069】
図2に示す発光素子は、陰極として機能する第1の電極302の上に電子輸送性の高い物質からなる第1の層303、発光性の高い物質を含む第2の層304、正孔輸送性の高い物質からなる第3の層305、本発明の複合材料を含む層である第4の層306、陽極として機能する第2の電極307とが順に積層された構成となっている。なお、301は基板である。
【0070】
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブ型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板以外に、例えば薄膜トランジスタ(TFT)アレイ基板上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTアレイ基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型またはP型のいずれか一方からのみなるものであってもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用いてもよい。
【0071】
本発明の発光素子は、実施の形態1で示した複合材料、つまり、室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるAg/Ag電極に対する酸化ピーク電位が0V以上1.5V以下(vs.Ag/Ag)、好ましくは0.2V以上1.1V以下(vs.Ag/Ag)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含む複合材料、または、室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるフェロセンの酸化還元電位に対する酸化ピーク電位が0V以上1.5V以下(vs.Fc/Fc)、好ましくは0.1V以上1.0V以下(vs.Fc/Fc)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含む複合材料、または、室温でジメチルホルムアミド(DMF)溶液中におけるイオン化ポテンシャルが4.8eV以上6.4eV以下、好ましくは、5.0eV以上6.0eV以下である有機化合物と、金属酸化物とを含む複合材料を含む層を有する。本発明の複合材料は、キャリアが内在的に発生していることにより導電性が高く、そのため発光素子の低電圧駆動を実現することができる。
【0072】
また、複合材料を含む層を厚膜化することにより、駆動電圧を上昇させることなく、光学設計による色純度の向上を実現することができる。
【0073】
また、複合材料を含む層を厚膜化することにより、ゴミや衝撃等による短絡を防止することができるため、信頼性の高い発光素子を得ることができる。例えば、通常の発光素子の電極間の膜厚が100nm〜150nmであるのに対し、複合材料を含む層を用いた発光素子の電極間の膜厚は、100nm〜500nm、好ましくは、200nm〜500nmとすることができる。
【0074】
また、本発明の発光素子に用いる複合材料を含む層は、電極とオーム接触することが可能であり、電極との接触抵抗が小さい。そのため、仕事関数等を考慮することなく、電極材料を選ぶことができる。つまり、電極材料の選択肢が広がる。
【0075】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2に示した構成とは異なる構成を有する発光素子について、図5および図6を用いて説明する。本実施の形態で示す構成は、陰極として機能する電極に接するように本発明の複合材料を含む層を設けることができる。
【0076】
図5(a)に本発明の発光素子の構造の一例を示す。第1の電極401と、第2の電極402との間に、第1の層411、第2の層412、第3の層413が積層された構成となっている。本実施の形態では、第1の電極401が陽極として機能し、第2の電極402が陰極として機能する場合について説明する。
【0077】
第1の電極401、第2の電極402は、実施の形態2と同じ構成を適用することができる。また、第1の層411は発光性の高い物質を含む層である。第2の層412は電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層であり、第3の層413は実施の形態1で示した複合材料を含む層である。第2の層412に含まれる電子供与性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属およびそれらの酸化物や塩であることが好ましい。具体的には、リチウム、セシウム、カルシウム、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、炭酸セシウム等が挙げられる。
【0078】
このような構成とすることにより、図5(a)に示した通り、電圧を印加することにより第2の層412および第3の層413の界面近傍にて電子の授受が行われ、電子と正孔が発生し、第2の層412は電子を第1の層411に輸送すると同時に、第3の層413は正孔を第2の電極402に輸送する。すなわち、第2の層412と第3の層413とを合わせて、キャリア発生層としての役割を果たしている。また、第3の層413は、正孔を第2の電極402に輸送する機能を担っていると言える。
【0079】
また、第3の層413は、極めて高い正孔注入性、正孔輸送性を示す。そのため、駆動電圧を低減することができる。また、第3の層413を厚膜化した場合、駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0080】
また、第3の層413を厚膜化しても、駆動電圧の上昇を抑制することができるため、第3の層413の膜厚の自由に設定でき、第1の層411からの発光の取り出し効率を向上させることができる。また、第1の層411からの発光の色純度が向上するように、第3の層413の膜厚を設定することも可能である。
【0081】
また、図5(a)を例に取ると、第2の電極402をスパッタリングにより成膜する場合などは、発光性の物質が存在する第1の層411へのダメージを低減することもできる。
【0082】
なお、本実施の形態の発光素子においても、第1の電極401や第2の電極402の材料を変えることで、様々なバリエーションを有する。その模式図を図5(b)、図5(c)および図6に示す。なお、図5(b)、図5(c)および図6では、図5(a)の符号を引用する。また、400は、本発明の発光素子を担持する基板である。
【0083】
図5は、基板400側から第1の層411、第2の層412、第3の層413の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電極401を光透過性とし、第2の電極402を遮光性(特に反射性)とすることで、図5(a)のように基板400側から光を射出する構成となる。また、第1の電極401を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極402を光透過性とすることで、図5(b)のように基板400の逆側から光を射出する構成となる。さらに、第1の電極401、第2の電極402の両方を光透過性とすることで、図5(c)に示すように、基板400側と基板400の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
【0084】
図6は、基板400側から第3の層413、第2の層412、第1の層411の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電極401を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極402を光透過性とすることで、図6(a)のように基板400側から光を取り出す構成となる。また、第1の電極401を光透過性とし、第2の電極402を遮光性(特に反射性)とすることで、図6(b)のように基板400と逆側から光を取り出す構成となる。さらに、第1の電極401、第2の電極402の両方を光透過性とすることで、図6(c)に示すように、基板400側と基板400の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
【0085】
なお、本実施の形態における発光素子を作製する場合には、湿式法、乾式法を問わず、種々の方法を用いることができる。
【0086】
また、図5に示すように、第1の電極401を形成した後、第1の層411、第2の層412、第3の層413を順次積層し、第2の電極402を形成してもよいし、図6に示すように、第2の電極402を形成した後、第3の層413、第2の層412、第1の層411を順次積層し、第1の電極401を形成してもよい。
【0087】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0088】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2および実施の形態3に示した構成とは異なる構成を有する発光素子について、図3および図4を用いて説明する。本実施の形態で示す構成は、発光素子の2つの電極に接するように本発明の複合材料を含む層を設けることができる。
【0089】
図3(a)に本発明の発光素子の構造の一例を示す。第1の電極201と、第2の電極202との間に、第1の層211、第2の層212、第3の層213、第4の層214が積層された構成となっている。本実施の形態では、第1の電極201が陽極として機能し、第2の電極202が陰極として機能する場合について説明する。
【0090】
第1の電極201、第2の電極202は、実施の形態2と同じ構成を適用することができる。また、第1の層211は実施の形態1で示した複合材料を含む層であり、第2の層212は発光性の高い物質を含む層である。第3の層213は電子供与性物質と電子輸送性の高い化合物とを含む層であり、第4の層214は実施の形態1で示した複合材料を含む層である。第3の層213に含まれる電子供与性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属およびそれらの酸化物や塩であることが好ましい。具体的には、リチウム、セシウム、カルシウム、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、炭酸セシウム等が挙げられる。
【0091】
このような構成とすることにより、図3(a)に示した通り、電圧を印加することにより第3の層213および第4の層214の界面近傍にて電子の授受が行われ、電子と正孔が発生し、第3の層213は電子を第2の層212に輸送すると同時に、第4の層214は正孔を第2の電極202に輸送する。すなわち、第3の層213と第4の層214とを合わせて、キャリア発生層としての役割を果たしている。また、第4の層214は、正孔を第2の電極202に輸送する機能を担っていると言える。なお、第4の層214と第2の電極202との間に、さらに第2の層および第3の層を再び積層することで、タンデム型の発光素子とすることも可能である。
【0092】
また、第1の層211や第4の層214は、極めて高い正孔注入性、正孔輸送性を示す。そのため、発光素子の駆動電圧を低減することができる。
また、第1の層211や第4の層214を厚膜化した場合、駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0093】
また、第1の層211や第4の層214を厚膜化しても、駆動電圧の上昇を抑制することができるため、第1の層211や第4の層214の膜厚の自由に設定でき、第2の層212からの発光の取り出し効率を向上させることができる。また、第2の層212からの発光の色純度が向上するように、第1の層211や第4の層214の膜厚を設定することも可能である。
【0094】
また、本実施の形態の発光素子は、発光機能を担う第2の層の陽極側および陰極側を非常に厚くすることが可能となり、さらに発光素子の短絡を効果的に防止できる。また、図3(a)を例に取ると、第2の電極202をスパッタリングにより成膜する場合などは、発光性の物質が存在する第2の層212へのダメージを低減することもできる。さらに、第1の層211と第4の層214を同じ材料で構成することにより、発光機能を担う層を挟んで両側に同じ材料で構成された層を設けることができるため、応力歪みを抑制する効果も期待できる。
【0095】
なお、本実施の形態の発光素子においても、第1の電極201や第2の電極202の材料を変えることで、様々なバリエーションを有する。その模式図を図3(b)、図3(c)および図4に示す。なお、図3(b)、図3(c)および図4では、図3(a)の符号を引用する。また、200は、本発明の発光素子を担持する基板である。
【0096】
図3は、基板200側から第1の層211、第2の層212、第3の層213、第4の層214の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電極201を光透過性とし、第2の電極202を遮光性(特に反射性)とすることで、図3(a)のように基板200側から光を射出する構成となる。また、第1の電極201を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極202を光透過性とすることで、図3(b)のように基板200の逆側から光を射出する構成となる。さらに、第1の電極201、第2の電極202の両方を光透過性とすることで、図3(c)に示すように、基板200側と基板200の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
【0097】
図4は、基板200側から第4の層214、第3の層213、第2の層212、第1の層211の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電極201を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極202を光透過性とすることで、図4(a)のように基板200側から光を取り出す構成となる。また、第1の電極201を光透過性とし、第2の電極202を遮光性(特に反射性)とすることで、図4(b)のように基板200と逆側から光を取り出す構成となる。さらに、第1の電極201、第2の電極202の両方を光透過性とすることで、図4(c)に示すように、基板200側と基板200の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
【0098】
なお、第1の層211が、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含み、第2の層212が発光性の物質を含み、第3の層213が実施の形態1で示した複合材料を含む層であり、第4の層214が、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む構成にすることも可能である。
【0099】
なお、本実施の形態における発光素子を作製する場合には、湿式法、乾式法を問わず、種々の方法を用いることができる。
【0100】
また、図3に図示するように、第1の電極201を形成した後、第1の層211、第2の層212、第3の層213、第4の層214を順次積層し、第2の電極202を形成してもよいし、図4に図示するように、第2の電極202を形成した後、第4の層214、第3の層213、第2の層212、第1の層211を順次積層し、第1の電極を形成してもよい。
【0101】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0102】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態2〜実施の形態4に示した構成とは異なる構成を有する発光素子について説明する。本実施の形態で示す構成は、複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子の電荷発生層として、本発明の複合材料を適用した構成である。
【0103】
本実施の形態では、複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、タンデム型素子という)について説明する。つまり、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。図66に2つの発光ユニットを積層したタンデム型素子を示す。
【0104】
図66において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512との間には、電荷発生層513が形成されている。
【0105】
第1の電極501と第2の電極502は、種々の材料を用いることができる。
【0106】
第1の発光ユニット511および第2の発光ユニット512は、それぞれ種々の構成を用いることができる。
【0107】
電荷発生層513には、実施の形態1で示した本発明の複合材料が含まれている。本発明の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
【0108】
なお、電荷発生層513は、本発明の複合材料と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、実施の形態3で示したように、本発明の複合材料からなる層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、本発明の複合材料からなる層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
【0109】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、本発明の材料を適用することが可能である。例えば、3つの発光ユニットを積層した発光素子は、第1の発光ユニット、第1の電荷発生層、第2の発光ユニット、第2の電荷発生層、第3の発光ユニット、の順に積層されるが、本発明の複合材料は、いずれか一つの電荷発生層のみに含まれていてもよいし、全ての電荷発生層に含まれていてもよい。
【0110】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0111】
(実施の形態6)
本実施の形態では、発光素子の光学設計について説明する。
【0112】
実施の形態2〜実施の形態5に示した発光素子において、各発光色を発する発光素子ごとに、少なくとも第1の電極及び第2の電極を除く各層のいずれか一つの膜厚を異ならせることにより、発光色毎の光の取り出し効率を高めることができる。
【0113】
例えば、図10に示すように、赤系色(R)、緑系色(G)、青系色(B)を発光する発光素子は、反射電極である第1の電極1101、及び透光性を有する第2の電極1102を共有しており、それぞれ第1の層1111R、1111G、1111B、第2の層1112R、1112G、1112B、第3の層1113R、1113G、1113B、第4の層1114R、1114G、1114Bを有する。そして、第1の層1111R、1111G、1111Bの膜厚を発光色毎に異ならせる。
【0114】
なお、図10に示す発光素子において、第2の電極1102の電位よりも第1の電極1101の電位が高くなるように電圧を印加すると、第1の層1111から第2の層1112へ正孔が注入される。第3の層1113および第4の層1114の界面近傍にて電子の授受が行われ、電子と正孔が発生し、第3の層1113は電子を第2の層1112に輸送すると同時に、第4の層1114は正孔を第2の電極1102に輸送する。正孔と、電子とが、第2の層1112において再結合し、発光物質を励起状態にする。そして、励起状態の発光物質は、基底状態に戻るときに発光する。
【0115】
図10に示すように、第1の層1111R、1111G、1111Bを発光色毎に異ならせることにより、直接第2の電極を介して認識する場合と、第1の電極で反射して第2の電極を介して認識する場合とで光路が異なることによる、光の取り出し効率の低下を防止することができる。
【0116】
具体的には、第1の電極に光が入射した場合、反射光には位相の反転が生じ、これによって生じる光の干渉効果が生じる。その結果、発光領域と反射電極との光学距離、つまり屈折率×距離が、発光波長の(2m−1)/4倍(mは任意の正の整数)、即ち、発光波長の1/4、3/4、5/4・・・倍の時には、発光の外部取り出し効率が高くなる。一方、m/2倍(mは任意の正の整数)即ち、発光波長の1/2、1、3/2・・・倍の時には発光の外部取り出し効率が低くなってしまう。
【0117】
したがって、本発明の発光素子において、発光領域と反射電極との光学距離、つまり屈折率×距離が、発光波長の(2m−1)/4倍(mは任意の正の整数)となるように、第1の層から第4の層のいずれかの膜厚を各発光色の発光素子で異ならせる。
【0118】
特に、第1の層から第4の層において、電子と正孔が再結合する層から反射電極との間の層の膜厚を異ならせるとよいが、電子と正孔が再結合する層から透光性を有する電極との間の膜厚を異ならせてもよい。さらに両者の膜厚を異ならせても構わない。その結果、発光を効率よく外部に取り出すことができる。
【0119】
第1の層から第4の層のいずれかの膜厚を異ならせるためには、層を厚膜化する必要がある。本発明の発光素子は、厚膜化する層に、実施の形態1で示した複合材料を含む層を用いることを特徴とする。
【0120】
一般に、発光素子の層を膜厚化すると、駆動電圧が増加してしまうため、好ましくなかった。しかし、厚膜化する層に、実施の形態1で示した複合材料を用いると、駆動電圧自体を低くでき、厚膜化することによる駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0121】
なお、図10では、赤系色(R)の発光素子の発光領域と反射電極との光学距離が発光波長の1/4倍、緑系色(G)の発光素子の発光領域と反射電極との光学距離が発光波長の3/4倍、青系色(B)の発光素子の発光領域と反射電極との光学距離が発光波長の5/4倍のものを示した。なお、本発明はこの値に限られず、適宜mの値を設定することが可能である。また、図10に示すように、発光波長の(2m−1)/4倍のmの値は各発光色の発光素子で異なっていてもよい。
【0122】
また、第1の層から第4の層のいずれかを厚膜化することにより、第1の電極と第2の電極とが短絡することを防止でき、量産性を高めることもでき、非常に好ましい。
【0123】
このように本発明の発光素子は、少なくとも第1の層から第4の層の膜厚を、各発光色で異ならせることができる。このとき、電子と正孔が再結合する層から反射電極との間となる層の膜厚を、各発光色で異ならせることが好ましい。さらに厚膜化する必要のある層には、実施の形態1で示した複合材料を含む層とすると、駆動電圧が高くならず好ましい。
【0124】
なお、本実施の形態では、実施の形態4に示した構成の発光素子を用いて説明したが、他の実施の形態と適宜組み合わせることも可能である。
【0125】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の発光素子を有する発光装置について説明する。
【0126】
本実施の形態では、画素部に本発明の発光素子を有する発光装置について図7を用いて説明する。なお、図7(A)は、発光装置を示す上面図、図7(B)は図7(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。点線で示された601は駆動回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0127】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0128】
次に、断面構造について図7(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0129】
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0130】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0131】
また、カバレッジを良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0132】
第1の電極613上には、発光物質を含む層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、または珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
【0133】
また、発光物質を含む層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。発光物質を含む層616は、実施の形態1で示した複合材料を含む層を有している。また、発光物質を含む層616を構成する他の材料としては、低分子系材料、中分子材料(オリゴマー、デンドリマーを含む)、または高分子系材料であっても良い。また、発光物質を含む層に用いる材料としては、通常、有機化合物を単層もしくは積層で用いる場合が多いが、本発明においては、有機化合物からなる膜の一部に無機化合物を用いる構成も含めることとする。
【0134】
さらに、発光物質を含む層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物、MgAg、MgIn、AlLi、CaF、LiFまたは窒化カルシウム)を用いることが好ましい。なお、発光物質を含む層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
【0135】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
【0136】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0137】
以上のようにして、本発明の発光素子を有する発光装置を得ることができる。
【0138】
本発明の発光装置は、実施の形態1で示した複合材料を含む層を有しているため、駆動電圧を低減することができ、消費電力を低減することが可能となる。
【0139】
また、本発明の発光装置は、複合材料を含む層を厚くしても駆動電圧の上昇を抑制することができる。よって、複合材料を含む層を厚くして、発光素子の短絡を防止することができる。また、光学設計により発光の外部取り出し効率の向上を実現することができる。よって、消費電力が少なく、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0140】
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を特に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。図8には本発明を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。図8において、基板951上には、電極952と電極956との間には発光物質を含む層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブ型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。
【0141】
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7に示す発光装置をその一部に含む本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、実施の形態1に示した複合材料を含む層を含み、低消費電力の表示部を有する。また、実施の形態1で示した複合材料を含む層を厚膜化することにより、微小な異物や外部からの衝撃等による短絡が抑制された信頼性の高い表示部を有する電子機器を提供することも可能である。
【0142】
本発明の発光装置を用いて作製された電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図9に示す。
図9(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、微小な異物や外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償機能や電源回路の数を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
【0143】
図9(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングマウス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、微小な異物や外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能や電源回路の数を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。また、持ち運ぶことも可能となり、持ち運ぶときの外部からの衝撃にも強い表示部を有しているコンピュータを提供することができる。
【0144】
図9(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、微小な異物や外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能や電源回路の数を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの衝撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0145】
図9(D)は本発明の係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態2〜6で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低く、微小な異物や外部からの衝撃等による短絡を防止することができるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能や電源回路の数を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの衝撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0146】
以上の様に、本発明の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明の発光装置を用いることにより、低消費電力で、信頼性の高い表示部を有する電子機器を提供することが可能となる。
【0147】
また、本発明の発光装置は、発光効率の高い発光素子を有しており、照明装置として用いることもできる。本発明の発光素子を照明装置として用いる一態様を図11を用いて説明する。
【0148】
図11は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図11に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
【0149】
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、本発明の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、発光装置は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。
【実施例1】
【0150】
本実施例では、本発明の複合材料に用いることのできる有機化合物の酸化特性の測定例を示す。酸化特性は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
【0151】
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った。
【0152】
(標準物質のCV測定)
まず、標準物質となるフェロセン(Fc)の酸化還元電位をCV測定により測定した。フェロセンは、酸化することによりフェロセニウムイオン(Fc)となるが、フェロセニウムイオンを還元すると極めて可逆的にフェロセンに戻る。したがって本発明では、その酸化還元電位「Fc/Fc」(酸化ピーク電位と還元ピーク電位の中間電位と定義する)を基準値として用いる。
【0153】
測定結果を図12に示す。測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.34Vから0.80Vまで走査した後、0.80Vから−0.34Vまで走査することによって行った。なお、走査速度は0.1V/sに設定した。図12より、フェロセンの酸化ピーク電位(Epa)は0.12Vであり、フェロセンの酸化体であるフェロセニウムイオンの還元ピーク電位(Epc)は0.05Vである。したがって、フェロセンの酸化還元電位は、(0.12+0.05)÷2≒0.09[V vs.Ag/Ag]であることがわかった。
【0154】
(測定例1;NPBの場合)
本測定例1では、本発明の複合材料に使用することのできるNPBの酸化ピーク電位をCV測定により測定した。結果を図13に示す。測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.20から0.80Vまで走査した後、0.80Vから−0.20Vまで走査することによって行った。なお、走査速度は0.1V/sに設定した。図13より、NPBの酸化ピーク電位(Epa)は、0.45[V vs.Ag/Ag]であることがわかった。
【0155】
したがって、上記(標準物質のCV測定)で測定したフェロセンの酸化還元電位(=0.09[V vs.Ag/Ag])を基準値(0V)とすると、NPBの酸化ピーク電位は、0.36[V vs.Fc/Fc]であることがわかった。
【0156】
(測定例2;DNTPDの場合)
本測定例2では、本発明の複合材料に使用することのできるDNTPDの酸化ピーク電位をCV測定により測定した。結果を図14に示す。測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.05Vから1.20Vまで走査した後、1.20Vから−0.05Vまで走査することによって行った。なお、走査速度は0.1V/sに設定した。図14より、DNTPDの酸化ピーク電位(Epa)は、0.26[V vs.Ag/Ag]であることがわかった。
【0157】
したがって、上記(標準物質のCV測定)で測定したフェロセンの酸化還元電位(=0.09[V vs.Ag/Ag])を基準値(0V)とすると、DNTPDの酸化ピーク電位は、0.17[V vs.Fc/Fc]であることがわかった。
【0158】
(測定例3;PCzPCA1の場合)
本測定例3では、本発明の複合材料に使用することのできるPCzPCA1の酸化ピーク電位をCV測定により測定した。結果を図15に示す。測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.16Vから0.50Vまで走査した後、0.50Vから−0.16Vまで走査することによって行った。なお、走査速度は0.1V/sに設定した。図15より、PCzPCA1の酸化ピーク電位(Epa)は、0.27[V vs.Ag/Ag]であることがわかった。
【0159】
したがって、上記(標準物質のCV測定)で測定したフェロセンの酸化還元電位(=0.09[V vs.Ag/Ag])を基準値(0V)とすると、PCzPCA1の酸化ピーク電位は、0.18[V vs.Fc/Fc]であることがわかった。
【0160】
(測定例4;PCzPCN1の場合)
本測定例4では、本発明の複合材料に使用することのできるPCzPCN1の酸化ピーク電位をCV測定により測定した。結果を図16に示す。測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.20Vから0.50Vまで走査した後、0.50Vから−0.20Vまで走査することによって行った。なお、走査速度は0.1V/sに設定した。図16より、PCzPCN1の酸化ピーク電位(Epa)は、0.26[V vs.Ag/Ag]であることがわかった。
【0161】
したがって、上記(標準物質のCV測定)で測定したフェロセンの酸化還元電位(=0.09[V vs.Ag/Ag])を基準値(0V)とすると、PCzPCN1の酸化ピーク電位は、0.17[V vs.Fc/Fc]であることがわかった。
【0162】
(測定例5;CBPの場合)
本測定例5では、本発明の複合材料に使用することのできるCBPの酸化ピーク電位をCV測定により測定した。結果を図17に示す。測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.20Vから1.20Vまで走査した後、1.20Vから−0.20Vまで走査することによって行った。なお、走査速度は0.1V/sに設定した。図17より、CBPの酸化ピーク電位(Epa)は、1.00[V vs.Ag/Ag]であることがわかった。
【0163】
したがって、上記(標準物質のCV測定)で測定したフェロセンの酸化還元電位(=0.09[V vs.Ag/Ag])を基準値(0V)とすると、CBPの酸化ピーク電位は、0.91[V vs.Fc/Fc]であることがわかった。
【0164】
(測定例6;t−BuDNAの場合)
本測定例6では、本発明の複合材料に使用することのできるt−BuDNAの酸化ピーク電位をCV測定により測定した。結果を図18に示す。測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.30Vから1.20Vまで走査した後、1.20Vから−0.30Vまで走査することによって行った。なお、走査速度は0.1V/sに設定した。図18より、t−BuDNAの酸化ピーク電位(Epa)は、0.89[V vs.Ag/Ag]であることがわかった。
【0165】
したがって、上記(標準物質のCV測定)で測定したフェロセンの酸化還元電位(=0.09[V vs.Ag/Ag])を基準値(0V)とすると、t−BuDNAの酸化ピーク電位は、0.80[V vs.Fc/Fc]であることがわかった。
【0166】
(測定例7;DPVBiの場合)
本測定例7では、本発明の複合材料に使用することのできるDPVBiの酸化ピーク電位をCV測定により測定した。結果を図19に示す。測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.10Vから1.10Vまで走査した後、1.10Vから−0.10Vまで走査することによって行った。なお、走査速度は0.1V/sに設定した。図19より、DPVBiの酸化ピーク電位(Epa)は、1.00[V vs.Ag/Ag]であることがわかった。
【0167】
したがって、上記(標準物質のCV測定)で測定したフェロセンの酸化還元電位(=0.09[V vs.Ag/Ag])を基準値(0V)とすると、DPVBiの酸化ピーク電位は、0.91[V vs.Fc/Fc]であることがわかった。
【0168】
(測定例8;Alqの場合)
本測定例8では、本発明の複合材料に使用することのできるAlqの酸化ピーク電位をCV測定により測定した。結果を図20に示す。測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.52Vから1.20Vまで走査した後、1.20Vから−0.52Vまで走査することによって行った。なお、走査速度は0.1V/sに設定した。図20より、Alqの酸化ピーク電位(Epa)は、0.82[V vs.Ag/Ag]であることがわかった。
【0169】
したがって、上記(標準物質のCV測定)で測定したフェロセンの酸化還元電位(=0.09[V vs.Ag/Ag])を基準値(0V)とすると、Alqの酸化ピーク電位は、0.73[V vs.Fc/Fc]であることがわかった。
(比較測定例1;BCPの場合)
本比較測定例1では、本発明の複合材料に使用することができないBCPの酸化ピーク電位をCV測定により測定した。結果を図21に示す。測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.20Vから2.00Vまで走査した後、2.00Vから−0.20Vまで走査することによって行った。なお、走査速度は0.1V/sに設定した。図21では、1.60〜2.00Vの間で電流量が測定器の測定レンジの上限を超えているが、少なくとも、BCPの酸化ピーク電位は−0.20〜1.60[V vs.Ag/Ag]の間には観測されなかった。
【0170】
したがって、上記(標準物質のCV測定)で測定したフェロセンの酸化還元電位(=0.09[V vs.Ag/Ag])を基準値(0V)とすると、BCPの酸化ピーク電位は、−0.29〜1.51[V vs.Fc/Fc]の間には存在しないことがわかった。
【0171】
(比較測定例2;OXD−7の場合)
本比較測定例2では、本発明の複合材料に使用することができないOXD−7の酸化ピーク電位をCV測定により測定した。結果を図22に示す。測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.47Vから2.00Vまで走査した後、2.00Vから−0.47Vまで走査することによって行った。なお、走査速度は0.1V/sに設定した。図22では、1.60〜2.00Vの間で電流量が測定器の測定レンジの上限を超えているが、少なくとも、OXD−7の酸化ピーク電位は−0.47〜1.60[V vs.Ag/Ag]の間には観測されなかった。
【0172】
したがって、上記(標準物質のCV測定)で測定したフェロセンの酸化還元電位(=0.09[V vs.Ag/Ag])を基準値(0V)とすると、OXD−7の酸化ピーク電位は、−0.56〜1.51[V vs.Fc/Fc]の間には存在しないことがわかった。
【0173】
(比較測定例3;TPBiの場合)
本比較測定例3では、本発明の複合材料に使用することができないTPBiの酸化ピーク電位をCV測定により測定した。結果を図23に示す。測定は、参照電極に対する作用電極の電位を−0.40Vから2.00Vまで走査した後、2.00Vから−0.40Vまで走査することによって行った。なお、走査速度は0.1V/sに設定した。図23では、1.60〜2.00Vの間で電流量が測定器の測定レンジの上限を超えているが、少なくとも、TPBiの酸化ピーク電位は−0.40〜1.60[V vs.Ag/Ag]の間には観測されなかった。
【0174】
したがって、上記(標準物質のCV測定)で測定したフェロセンの酸化還元電位(=0.09[V vs.Ag/Ag])を基準値(0V)とすると、TPBiの酸化ピーク電位は、−0.49〜1.51[V vs.Fc/Fc]の間には存在しないことがわかった。
【0175】
以上の結果を下記表1にまとめる。表1に示した通り、本発明の複合材料に用いることのできる有機化合物は、室温でジメチルホルムアミド(DMF)中における酸化ピーク電位(vs.Ag/Ag)が0V〜1.5Vの範囲内に位置している。また、室温でジメチルホルムアミド(DMF)中における酸化ピーク電位(vs.Fc/Fc)が0V〜1.5Vの範囲内に位置している。一方で、本発明の複合材料に用いることのできない有機化合物は、上述の範囲内に酸化ピーク電位は観測されないことがわかる。
【0176】
【表1】

【0177】
次に、実施例1で測定を行った有機化合物を用い、発光素子を作製して特性を評価した。結果を以下の実施例に示す。
【実施例2】
【0178】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。また、比較例を交えて本発明の効果について説明する。
【0179】
(発光素子1)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0180】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とルブレンとを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は120nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)とルブレンの比率は、重量比で2:0.75:0.04となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。また、本実施例ではルブレンを添加しているが、ルブレンは必ずしも必要ではなく、NPBと酸化モリブデン(VI)のみでもほぼ同様の特性を得ることができる。
【0181】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0182】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0183】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0184】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0185】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、本発明の発光素子1を作製した。
【0186】
(比較発光素子1)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0187】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後第1の電極上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBのみを60nmの膜厚となるように成膜した。
【0188】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、NPB上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0189】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0190】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0191】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子1を作製した。
【0192】
本発明の発光素子1および比較発光素子1の電流―電圧特性を図24に示す。また、輝度―電圧特性を図25に示す。本発明の発光素子1において、990cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.8Vであり、その時流れた電流は0.351mA(電流密度は8.78mA/cm)であった。また、この時の電流効率は11cd/A、電力効率は6.1lm/Wであった。一方、比較発光素子1においては、1000cd/mの輝度を得るために必要な電圧は9.0Vであり、その時流れた電流は0.363mA(電流密度は9.07mA/cm)であった。また、この時の電流効率は11cd/A、電力効率は3.9lm/Wであった。
【0193】
したがって、約1000cd/mの輝度で発光素子を光らせる場合、電極と接する層として有機化合物のみを用いた層を形成した比較発光素子1に比べ、本発明の複合材料を含む層を用いた本発明の発光素子1は、駆動電圧・消費電力共に低減されていることがわかる。
【0194】
以上の結果から、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、駆動電圧を低減できることがわかった。また、消費電力を低減できることがわかった。
【実施例3】
【0195】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。また、比較例を交えて本発明の効果について説明する。
【0196】
(発光素子2)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0197】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、DNTPDと酸化モリブデン(VI)とルブレンとを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は120nmとし、DNTPDと酸化モリブデン(VI)とルブレンの比率は、重量比で1:0.5:0.02となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。また、本実施例ではルブレンを添加しているが、ルブレンは必ずしも必要ではなく、NPBと酸化モリブデン(VI)のみでもほぼ同様の特性を得ることができる。
【0198】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0199】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0200】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0201】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0202】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、本発明の発光素子2を作製した。
【0203】
(比較発光素子2)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0204】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後第1の電極上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、DNTPDを50nmの膜厚となるように成膜した。
【0205】
その後、抵抗加熱を用いた蒸着法により、DNTPD上に、NPBを10nmの膜厚で形成した。
【0206】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、NPB上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0207】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0208】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0209】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子2を作製した。
【0210】
本発明の発光素子2および比較発光素子2の電流―電圧特性を図26に示す。また、輝度―電圧特性を図27に示す。図26および図27より、本発明の発光素子2において、950cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.8Vであり、その時流れた電流は0.267mA(電流密度は6.66mA/cm)であった。また、この時の電流効率は14cd/A、電力効率は7.7lm/Wであった。一方、比較発光素子2においては、1000cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.8Vであり、その時流れた電流は0.331mA(電流密度は8.27mA/cm)であった。また、この時の電流効率は12cd/A、電力効率は6.6lm/Wであった。
【0211】
したがって、約1000cd/mの輝度で発光素子を光らせる場合、電極と接する層として有機化合物のみを用いた層を形成した比較発光素子2に比べ、本発明の複合材料を含む層を用いた本発明の発光素子2は、駆動電圧に関しては比較発光素子2とほぼ同様であったが、電流効率が向上した結果、消費電力が低減されていることがわかる。
【0212】
以上の結果から、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、消費電力を低減できることがわかった。
【実施例4】
【0213】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。また、比較例を交えて本発明の効果について説明する。
【0214】
(発光素子3)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0215】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、PCzPCA1と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は120nmとし、PCzPCA1と酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0216】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0217】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0218】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0219】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0220】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、本発明の発光素子3を作製した。
【0221】
(比較発光素子3)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0222】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後第1の電極上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、PCzPCA1を50nmの膜厚となるように成膜した。
【0223】
その後、抵抗加熱を用いた蒸着法により、PCzPCA1上に、NPBを10nmの膜厚で形成した。
【0224】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、NPB上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0225】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0226】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0227】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子3を作製した。
【0228】
本発明の発光素子3および比較発光素子3の電流―電圧特性を図28に示す。また、輝度―電圧特性を図29に示す。図28および図29より、本発明の発光素子3において、1000cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.4Vであり、その時流れた電流は0.269mA(電流密度は6.73mA/cm)であった。また、この時の電流効率は15cd/A、電力効率は8.9lm/Wであった。一方、比較発光素子3においては、1000cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.8Vであり、その時流れた電流は0.282mA(電流密度は7.1mA/cm)であった。また、この時の電流効率は14cd/A、電力効率は7.6lm/Wであった。
【0229】
したがって、約1000cd/mの輝度で発光素子を光らせる場合、電極と接する層として有機化合物のみを用いた層を形成した比較発光素子3に比べ、本発明の複合材料を含む層を用いた本発明の発光素子3は、駆動電圧・消費電力共に低減されていることがわかる。
【0230】
以上の結果から、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、駆動電圧を低減できることがわかった。また、消費電力を低減できることがわかった。
【実施例5】
【0231】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。また、比較例を交えて本発明の効果について説明する。
【0232】
(発光素子4)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0233】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、PCzPCN1と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は120nmとし、PCzPCN1と酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0234】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0235】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0236】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0237】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0238】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、本発明の発光素子4を作製した。
【0239】
(比較発光素子4)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0240】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後第1の電極上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、PCzPCN1を50nmの膜厚となるように成膜した。
【0241】
その後、抵抗加熱を用いた蒸着法により、PCzPCN1上に、NPBを10nmの膜厚で形成した。
【0242】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、NPB上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0243】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0244】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0245】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子4を作製した。
【0246】
本発明の発光素子4および比較発光素子4の電流―電圧特性を図30に示す。また、輝度―電圧特性を図31に示す。図30および図31より、本発明の発光素子4において、890cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.6Vであり、その時流れた電流は0.267mA(電流密度は6.67mA/cm)であった。また、この時の電流効率は13cd/A、電力効率は7.5lm/Wであった。一方、比較発光素子4においては、950cd/mの輝度を得るために必要な電圧は6.0Vであり、その時流れた電流は0.336mA(電流密度は8.40mA/cm)であった。また、この時の電流効率は11cd/A、電力効率は5.9lm/Wであった。
【0247】
したがって、約1000cd/mの輝度で発光素子を光らせる場合、電極と接する層として有機化合物のみを用いた層を形成した比較発光素子4に比べ、本発明の複合材料を含む層を用いた本発明の発光素子4は、駆動電圧・消費電力共に低減されていることがわかる。
【0248】
以上の結果から、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、駆動電圧を低減できることがわかった。また、消費電力を低減できることがわかった。
【実施例6】
【0249】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。また、比較例を交えて本発明の効果について説明する。
【0250】
(発光素子5)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0251】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、CBPと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は120nmとし、CBPと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0252】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0253】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0254】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0255】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0256】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、本発明の発光素子5を作製した。
【0257】
(比較発光素子5)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0258】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後第1の電極上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、CBPを50nmの膜厚となるように成膜した。
【0259】
その後、抵抗加熱を用いた蒸着法により、CBP上に、NPBを10nmの膜厚で形成した。
【0260】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、NPB上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0261】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0262】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0263】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子5を作製した。
【0264】
本発明の発光素子5および比較発光素子5の電流―電圧特性を図32に示す。また、輝度―電圧特性を図33に示す。図32および図33より、本発明の発光素子5において、890cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.4Vであり、その時流れた電流は0.301mA(電流密度は7.52mA/cm)であった。また、この時の電流効率は12cd/A、電力効率は6.9lm/Wであった。一方、比較発光素子5においては、1000cd/mの輝度を得るために必要な電圧は18Vであり、その時流れた電流は0.386mA(電流密度は9.65mA/cm)であった。また、この時の電流効率は11cd/A、電力効率は1.9lm/Wであった。
【0265】
したがって、約1000cd/mの輝度で発光素子を光らせる場合、電極と接する層として有機化合物のみを用いた層を形成した比較発光素子5に比べ、本発明の複合材料を含む層を用いた本発明の発光素子5は、駆動電圧・消費電力共に低減されていることがわかる。
【0266】
以上の結果から、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、駆動電圧を低減できることがわかった。また、消費電力を低減できることがわかった。
【実施例7】
【0267】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。また、比較例を交えて本発明の効果について説明する。
【0268】
(発光素子6)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0269】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、t−BuDNAと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は120nmとし、t−BuDNAと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0270】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0271】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0272】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0273】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0274】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、本発明の発光素子6を作製した。
【0275】
(比較発光素子6)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0276】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後第1の電極上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、t−BuDNAを50nmの膜厚となるように成膜した。
【0277】
その後、抵抗加熱を用いた蒸着法により、t−BuDNA上に、NPBを10nmの膜厚で形成した。
【0278】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、NPB上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0279】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0280】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0281】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子6を作製した。
【0282】
本発明の発光素子6および比較発光素子6の電流―電圧特性を図34に示す。また、輝度―電圧特性を図35に示す。図34および図35より、本発明の発光素子6において、970cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.4Vであり、その時流れた電流は0.304mA(電流密度は7.59mA/cm)であった。また、この時の電流効率は13cd/A、電力効率は7.4lm/Wであった。一方、比較発光素子6においては、1000cd/mの輝度を得るために必要な電圧は17.5Vであり、その時流れた電流は0.369mA(電流密度は9.22mA/cm)であった。また、この時の電流効率は11cd/A、電力効率は2.0lm/Wであった。
【0283】
したがって、約1000cd/mの輝度で発光素子を光らせる場合、電極と接する層として有機化合物のみを用いた層を形成した比較発光素子6に比べ、本発明の複合材料を含む層を用いた本発明の発光素子6は、駆動電圧・消費電力共に低減されていることがわかる。
【0284】
以上の結果から、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、駆動電圧を低減できることがわかった。また、消費電力を低減できることがわかった。
【実施例8】
【0285】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。また、比較例を交えて本発明の効果について説明する。
【0286】
(発光素子7)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0287】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、DPVBiと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は120nmとし、DPVBiと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0288】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0289】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0290】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0291】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0292】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、本発明の発光素子7を作製した。
【0293】
(比較発光素子7)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0294】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後第1の電極上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、DPVBiを50nmの膜厚となるように成膜した。
【0295】
その後、抵抗加熱を用いた蒸着法により、DPVBi上に、NPBを10nmの膜厚で形成した。
【0296】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、NPB上に37.5nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0297】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを37.5nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0298】
さらに、電子輸送層上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化カルシウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層を形成した。
【0299】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子7を作製した。
【0300】
本発明の発光素子7および比較発光素子7の電流―電圧特性を図36に示す。また、輝度―電圧特性を図37に示す。図36および図37より、本発明の発光素子7において、1100cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.6Vであり、その時流れた電流は0.381mA(電流密度は9.53mA/cm)であった。また、この時の電流効率は11cd/A、電力効率は6.3lm/Wであった。一方、比較発光素子7においては、960cd/mの輝度を得るために必要な電圧は24.6Vであり、その時流れた電流は1.11mA(電流密度は27.8mA/cm)であった。また、この時の電流効率は3.5cd/A、電力効率は0.44lm/Wであった。
【0301】
したがって、約1000cd/mの輝度で発光素子を光らせる場合、電極と接する層として有機化合物のみを用いた層を形成した比較発光素子7に比べ、本発明の複合材料を含む層を用いた本発明の発光素子7は、駆動電圧・消費電力共に低減されていることがわかる。
【0302】
以上の結果から、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、駆動電圧を低減できることがわかった。また、消費電力を低減できることがわかった。
【実施例9】
【0303】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。
【0304】
(発光素子8)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0305】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、Alqと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は50nmとし、Alqと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0306】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0307】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0308】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0309】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、30nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0310】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、本発明の発光素子8を作製した。
【0311】
本発明の発光素子8の電流―電圧特性を図38に示す。また、輝度―電圧特性を図39に示す。図38および図39より、本発明の発光素子8において、1cd/m以上の発光が得られる電圧は5.2Vであり、0.1cd/m以上の発光が得られる電圧は3.2Vであった。
【0312】
発光開始電圧(0.1cd/m以上の発光が得られる電圧)に着目すると、発光素子8は、上述した本発明の発光素子1〜7(発光開始電圧は2.4〜2.6V)と遜色がない。このことから、本実施例のように、例えAlqのような電子輸送性の化合物であっても、実施例1の測定例で示したような酸化ピーク電位が観測される化合物に関しては、本発明の複合材料に用いることができることがわかった。また、その複合材料を用いて十分に発光素子を動作させることができることがわかった。
(比較発光素子11)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0313】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、BCPと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は50nmとし、BCPと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0314】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0315】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0316】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0317】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、30nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0318】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子11を作製した。
【0319】
比較発光素子11の電流―電圧特性を図40に示す。また、輝度―電圧特性を図41に示す。図40および図41より、比較発光素子は、一定輝度の発光を得るために高い電圧が必要であることがわかる。具体的には、比較発光素子11において、1cd/m以上の発光が得られる電圧は34Vであり、0.1cd/m以上の発光が得られる電圧(発光開始電圧)は30Vであった。
【0320】
このように、実施例1の比較測定例で示したような酸化ピーク電位が観測されない化合物に関しては、本発明の複合材料に用いることが困難であることがわかった。また、その複合材料を用いて十分に発光素子を動作させることが困難であることがわかった。
【0321】
(比較発光素子12)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0322】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、OXD−7と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は50nmとし、OXD−7と酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0323】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0324】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0325】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0326】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、30nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0327】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子12を作製した。
【0328】
比較発光素子12の電流―電圧特性を図42に示す。また、輝度―電圧特性を図43に示す。図42および図43より、比較発光素子は、一定輝度の発光を得るために高い電圧が必要であることがわかる。具体的には、比較発光素子12において、1cd/m以上の発光が得られる電圧は19Vであり、0.1cd/m以上の発光が得られる電圧(発光開始電圧)は16Vであった。
【0329】
このように、実施例1の比較測定例で示したような酸化ピーク電位が観測されない化合物に関しては、本発明の複合材料に用いることが困難であることがわかった。また、その複合材料を用いて十分に発光素子を動作させることが困難であることがわかった。
【0330】
(比較発光素子13)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0331】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、TPBiと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は50nmとし、TPBiと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0332】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0333】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0334】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0335】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、30nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0336】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較発光素子13を作製した。
【0337】
比較発光素子13の電流―電圧特性を図44に示す。また、輝度―電圧特性を図45に示す。図44および図45より、比較発光素子は、一定輝度の発光を得るために高い電圧が必要であることがわかる。具体的には、比較発光素子11において、1cd/m以上の発光が得られる電圧は20Vであり、0.1cd/m以上の発光が得られる電圧(発光開始電圧)は17Vであった。
【0338】
このように、実施例1の比較測定例で示したような酸化ピーク電位が観測されない化合物に関しては、本発明の複合材料に用いることが困難であることがわかった。また、その複合材料を用いて十分に発光素子を動作させることが困難であることがわかった。
【実施例10】
【0339】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。
【0340】
(発光素子21)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0341】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、DNTPDと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は50nmとし、DNTPDと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0342】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0343】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0344】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0345】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、30nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0346】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成した。本実施例で作製した発光素子を、本発明の発光素子21とする。
【0347】
本発明の発光素子21の電流―電圧特性を図46に示す。また、輝度―電圧特性を図47に示す。図46および図47より、本発明の発光素子21において、1100cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.8Vであり、その時流れた電流は0.346mA(電流密度は8.66mA/cm)であった。また、この時の電流効率は13cd/A、電力効率は6.8lm/Wであった。
【0348】
このように、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、低電圧駆動、低消費電力が可能となったことがわかる。
【実施例11】
【0349】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。
【0350】
(発光素子22)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0351】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、PCzPCA1と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は50nmとし、PCzPCA1と酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0352】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0353】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0354】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0355】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、30nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0356】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成した。本実施例で作製した発光素子を、本発明の発光素子22とする。
【0357】
本発明の発光素子22の電流―電圧特性を図48に示す。また、輝度―電圧特性を図49に示す。図48および図49より、本発明の発光素子22において、1200cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.0Vであり、その時流れた電流は0.396mA(電流密度は9.90mA/cm)であった。また、この時の電流効率は12cd/A、電力効率は7.7lm/Wであった。
【0358】
このように、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、低電圧駆動、低消費電力が可能となったことがわかる。
【実施例12】
【0359】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。
【0360】
(発光素子23)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0361】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、PCzPCN1と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は50nmとし、PCzPCN1と酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0362】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0363】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0364】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0365】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、30nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0366】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成した。本実施例で作製した発光素子を、本発明の発光素子23とする。
【0367】
本発明の発光素子23の電流―電圧特性を図50に示す。また、輝度―電圧特性を図51に示す。図50および図51より、本発明の発光素子23において、1200cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.0Vであり、その時流れた電流は0.300mA(電流密度は7.51mA/cm)であった。また、この時の電流効率は16cd/A、電力効率は9.9lm/Wであった。
【0368】
このように、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、低電圧駆動、低消費電力が可能となったことがわかる。
【実施例13】
【0369】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。
【0370】
(発光素子24)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0371】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後第1の電極上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、銅フタロシアニン(CuPc)を20nmの膜厚となるように成膜した。
【0372】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを40nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0373】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.003(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0374】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0375】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、10nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0376】
次に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は20nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で4:0.25となるように調節した。
【0377】
このようにして、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、本発明の複合材料を含む層を積層して形成される発光物質を含む層を形成した後、第2の電極をスパッタリング法または蒸着法により形成する。本実施例では、抵抗加熱による蒸着法を用い、本発明の複合材料を含む層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成した。本実施例で作製した発光素子を本発明の発光素子24とする。
【0378】
本発明の発光素子24の電流―電圧特性を図52に示す。また、輝度―電圧特性を図53に示す。図52および図53より、本発明の複合材料を含む層を、陰極として機能する電極に接するように設けた場合においても、発光素子として機能することがわかる。具体的には、本発明の発光素子24において、1200cd/mの輝度を得るために必要な電圧は7.8Vであり、その時流れた電流は0.346mA(電流密度は8.66mA/cm)であった。また、この時の電流効率は14cd/A、電力効率は5.6lm/Wであった。
【0379】
このように、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、低電圧駆動、低消費電力が可能となったことがわかる。
【実施例14】
【0380】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。
【0381】
(発光素子25)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0382】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で4:1となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0383】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0384】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0385】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0386】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、10nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0387】
次に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は10nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で4:1となるように調節した。
【0388】
このようにして、本発明の複合材料を含む層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、本発明の複合材料を含む層を積層して形成される発光物質を含む層を形成した後、第2の電極をスパッタリング法または蒸着法により形成する。本実施例では、抵抗加熱による蒸着法を用い、本発明の複合材料を含む層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成した。本実施例で作製した発光素子を本発明の発光素子25とする。
【0389】
本発明の発光素子25の電流―電圧特性を図54に示す。また、輝度―電圧特性を図55に示す。図54および図55より、本発明の複合材料を含む層を、発光素子の両方の電極に接するように設けた場合においても、発光素子として機能することがわかる。具体的には、本発明の発光素子25において、1000cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.4Vであり、その時流れた電流は0.435mA(電流密度は10.9mA/cm)であった。また、この時の電流効率は9.3cd/A、電力効率は5.4lm/Wであった。
【0390】
このように、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、低電圧駆動、低消費電力が可能となったことがわかる。
【実施例15】
【0391】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。
【0392】
(発光素子26)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0393】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、DNTPDと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は50nmとし、DNTPDと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0394】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0395】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0396】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0397】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、10nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0398】
次に、DNTPDと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は20nmとし、DNTPDと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。
【0399】
このようにして、本発明の複合材料を含む層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、本発明の複合材料を含む層を積層して形成される発光物質を含む層を形成した後、第2の電極をスパッタリング法または蒸着法により形成する。本実施例では、抵抗加熱による蒸着法を用い、本発明の複合材料を含む層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成した。本実施例で作製した発光素子を本発明の発光素子26とする。
【0400】
本発明の発光素子26の電流―電圧特性を図56に示す。また、輝度―電圧特性を図57に示す。図56および図57より、本発明の複合材料を含む層を、発光素子の両方の電極に接するように設けた場合においても、発光素子として機能することがわかる。具体的には、本発明の発光素子26において、1100cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.8Vであり、その時流れた電流は0.322mA(電流密度は8.05mA/cm)であった。また、この時の電流効率は13cd/A、電力効率は7.3lm/Wであった。
【0401】
このように、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、低電圧駆動、低消費電力が可能となったことがわかる。
【実施例16】
【0402】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。
【0403】
(発光素子27)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0404】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、PCzPCA1と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は50nmとし、PCzPCA1と酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0405】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0406】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0407】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0408】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、10nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0409】
次に、PCzPCA1と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は20nmとし、PCzPCA1と酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。
【0410】
このようにして、本発明の複合材料を含む層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、本発明の複合材料を含む層を積層して形成される発光物質を含む層を形成した後、第2の電極をスパッタリング法または蒸着法により形成する。本実施例では、抵抗加熱による蒸着法を用い、本発明の複合材料を含む層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成した。本実施例で作製した発光素子を本発明の発光素子27とする。
【0411】
本発明の発光素子27の電流―電圧特性を図58に示す。また、輝度―電圧特性を図59に示す。図58および図59より、本発明の複合材料を含む層を、発光素子の両方の電極に接するように設けた場合においても、発光素子として機能することがわかる。具体的には、本発明の発光素子27において、1200cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.6Vであり、その時流れた電流は0.388mA(電流密度は9.70mA/cm)であった。また、この時の電流効率は12cd/A、電力効率は6.8lm/Wであった。
【0412】
このように、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、低電圧駆動、低消費電力が可能となったことがわかる。
【実施例17】
【0413】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。
【0414】
(発光素子28)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0415】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、PCzPCN1と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は50nmとし、PCzPCN1と酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0416】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0417】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0418】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0419】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、10nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0420】
次に、PCzPCN1と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は20nmとし、PCzPCN1と酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。
【0421】
このようにして、本発明の複合材料を含む層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、本発明の複合材料を含む層を積層して形成される発光物質を含む層を形成した後、第2の電極をスパッタリング法または蒸着法により形成する。本実施例では、抵抗加熱による蒸着法を用い、本発明の複合材料を含む層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成した。本実施例で作製した発光素子を本発明の発光素子28とする。
【0422】
本発明の発光素子28の電流―電圧特性を図60に示す。また、輝度―電圧特性を図61に示す。図60および図61より、本発明の複合材料を含む層を、発光素子の両方の電極に接するように設けた場合においても、発光素子として機能することがわかる。具体的には、本発明の発光素子28において、1200cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.6Vであり、その時流れた電流は0.354mA(電流密度は8.85mA/cm)であった。また、この時の電流効率は13cd/A、電力効率は7.4lm/Wであった。
【0423】
このように、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、低電圧駆動、低消費電力が可能となったことがわかる。
【実施例18】
【0424】
本実施例では、本発明の複合材料を用いた発光素子を具体的に示す。
【0425】
(発光素子29)
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0426】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極上に、CBPと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は50nmとし、CBPと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0427】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層を形成した。
【0428】
さらに、Alqとクマリン6とを共蒸着することにより、正孔輸送層上に40nmの膜厚の発光層を形成した。ここで、Alqとクマリン6との重量比は、1:0.01(=Alq:クマリン6)となるように調節した。これによって、クマリン6はAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0429】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層を形成した。
【0430】
さらに、電子輸送層上に、Alqとリチウムとを共蒸着することにより、10nmの膜厚の電子注入層を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。これによって、リチウムはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0431】
次に、CBPと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料を含む層を形成した。その膜厚は20nmとし、CBPと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で1:0.5となるように調節した。
【0432】
このようにして、本発明の複合材料を含む層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、本発明の複合材料を含む層を積層して形成される発光物質を含む層を形成した後、第2の電極をスパッタリング法または蒸着法により形成する。本実施例では、抵抗加熱による蒸着法を用い、本発明の複合材料を含む層上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極を形成した。本実施例で作製した発光素子を本発明の発光素子29とする。
【0433】
本発明の発光素子29の電流―電圧特性を図62に示す。また、輝度―電圧特性を図63に示す。図62および図63より、本発明の複合材料を含む層を、発光素子の両方の電極に接するように設けた場合においても、発光素子として機能することがわかる。具体的には、本発明の発光素子29において、1100cd/mの輝度を得るために必要な電圧は5.8Vであり、その時流れた電流は0.424mA(電流密度は10.6mA/cm)であった。また、この時の電流効率は11cd/A、電力効率は5.7lm/Wであった。
【0434】
このように、本発明の複合材料を発光素子に用いることにより、低電圧駆動、低消費電力が可能となったことがわかる。
【実施例19】
【0435】
本発明の一実施例について図64を用いて説明する。
【0436】
ガラス基板1300上にインジウム錫酸化物を成膜し、インジウム錫酸化物からなる層1301を形成した。成膜にはスパッタリング法を用いた。また、膜厚は110nmとなるようにした。
【0437】
次に、インジウム錫酸化物からなる層1301の上に、NPBと酸化モリブデンとを、1:0.25(=NPB:酸化モリブデン)の重量比となるように、共蒸着法によって成膜し、NPBと酸化モリブデンとを含む層1302を形成した。膜厚は50nmとなるようにした。なお、共蒸着法とは、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0438】
次に、NPBと酸化モリブデンとを含む層1302の上に、NPBを蒸着法によって成膜し、NPBからなる層1303を形成した。膜厚は10nmとなるようにした。
【0439】
次に、NPBからなる層1303の上に、AlqとルブレンとDCJTIとを、1:1:0.02(=Alq:ルブレン:DCJTI)の重量比となるように、共蒸着法によって成膜し、AlqとルブレンとDCJTIとを含む層1304を形成した。膜厚は37.5nmとなるようにした。
【0440】
次に、AlqとルブレンとDCJTIとを含む層1304の上に、Alqを蒸着法によって成膜し、Alqからなる層1305を形成した。膜厚は27.5nmとなるようにした。
【0441】
次に、Alqからなる層1305の上に、BCPとリチウム(Li)とを、1:0.005(=BCP:リチウム)の重量比となるように、共蒸着法によって成膜し、BCPとリチウムとを含む層1306を形成した。膜厚は10nmとなるようにした。
【0442】
次に、BCPとリチウムとを含む層1306の上に、NPBと酸化モリブデンとを、1:0.25(=NPB:酸化モリブデン)の重量比となるように、共蒸着法によって成膜し、NPBと酸化モリブデンとを含む層1307を形成した。膜厚は50nmとなるようにした。
【0443】
次に、NPBと酸化モリブデンとを含む層1307の上に、NPBを蒸着法によって成膜し、NPBからなる層1308を形成した。膜厚は10nmとなるようにした。
【0444】
次にNPBからなる層1308の上に、Alqとクマリン6とを、1:0.005(=Alq:クマリン6)の重量比となるように、共蒸着法によって成膜し、Alqとクマリン6とを含む層1309を形成した。膜厚は37.5nmとなるようにした。
【0445】
次に、Alqとクマリン6とを含む層1309の上に、Alqを蒸着法によって成膜し、Alqからなる層1310を形成した。膜厚は27.5nmとなるようにした。
【0446】
次に、Alqからなる層1310の上に、BCPとリチウム(Li)とを、1:0.005(=BCP:リチウム)の重量比となるように、共蒸着法によって成膜し、BCPとリチウムとを含む1311を形成した。膜厚は10nmとなるようにした。
【0447】
次に、BCPとリチウムとを含む層1311の上に、NPBと酸化モリブデンとを、1:0.25(=NPB:酸化モリブデン)の重量比となるように、共蒸着法によって成膜し、NPBと酸化モリブデンとを含む層1312を形成した。膜厚は50nmとなるようにした。
【0448】
次に、NPBと酸化モリブデンとを含む層1312の上に、NPBを蒸着法によって成膜し、NPBからなる層1313を形成した。膜厚は10nmとなるようにした。
【0449】
次に、NPBからなる層1313の上に、t−BuDNAを蒸着法によって成膜し、t−BuDNAからなる層1314を形成した。膜厚は37.5nmとなるようにした。
【0450】
次に、t−BuDNAからなる層1314の上に、Alqをに蒸着法によって成膜し、Alqからなる層1315を形成した。膜厚は27.5nmとなるようにした。
【0451】
次に、Alqからなる層1315の上に、BCPとリチウム(Li)とを、1:0.005(=BCP:リチウム)の重量比となるように、共蒸着法によって成膜し、BCPとリチウムとを含む層1316を形成した。膜厚は10nmとなるようにした。
【0452】
次に、BCPとリチウムとを含む層1316の上に、アルミニウムを蒸着法によって成膜し、アルミニウムからなる層1317を形成した。膜厚は200nmとなるようにした。
【0453】
以上のようにして、作製した発光素子において、インジウム錫酸化物からなる層1301は陽極として機能し、アルミニウムからなる層1317は陰極として機能する。
【0454】
また、NPBと酸化モリブデンとを含む層1302は、NPBからなる層1303へ正孔を注入する機能を有する。また、NPBと酸化モリブデンとを含む層1307は、NPBからなる層1308へ正孔を注入する機能を有する。また、NPBと酸化モリブデンとを含む層1312は、NPBからなる層1313へ正孔を注入する機能を有する。
【0455】
NPBからなる層1303は、注入された正孔をAlqとルブレンとDCJTIとを含む層1304へ輸送する機能を有する。また、NPBからなる層1308は、注入された正孔をAlqとクマリン6とを含む層1309へ輸送する機能を有する。また、NPBからなる層1313は、注入された正孔をt−BuDNAからなる層1314へ輸送し、正孔輸送層として機能を有する。
【0456】
BCPとリチウムとを含む層1306はAlqからなる層1305へ電子を注入する機能を有する。また、BCPとリチウムとを含む層1311はAlqからなる層1310へ電子を注入する機能を有する。また、BCPとリチウムとを含む層1316はAlqからなる層1315へ電子を注入する機能を有する。
【0457】
Alqからなる層1305は、注入された電子をAlqとルブレンとDCJTIとを含む層1304へ輸送する機能を有する。Alqからなる層1310は、注入された電子をAlqとクマリン6とを含む層1309へ輸送する機能を有する。Alqからなる層1315は、BCPとリチウムとを含む層1316から注入された電子をt−BuDNAからなる層1314へ輸送し、電子輸送層として機能を有する。
【0458】
また、NPBと酸化モリブデンとを含む層1302、1307、1312において、酸化モリブデンは電子受容体として機能する。さらに、BCPとリチウムとを含む層1306、1311、1316において、リチウムは電子供与体として機能する。
【0459】
以上のような発光素子において、インジウム錫酸化物からなる層1301とアルミニウムからなる層1317とに電圧を印加すると、インジウム錫酸化物からなる層1301とアルミニウムからなる層1317との間に電流が流れる。これによってAlqとルブレンとDCJTIとを含む層1304は600nmから680nmの波長域にピークを有する発光を呈し、Alqとクマリン6とを含む層1309は500nmから550nmの波長域にピークを有する発光を呈し、t−BuDNAからなる層1314は420nmから480nmの波長域にピークを有する発光を呈する。そして、これらの発光は、インジウム錫酸化物からなる層1301を通って外部に射出する。また、以上の記載からも分かるように、本実施例の発光素子では、600nmから680nmの長い波長の発光を呈する層よりも420nmから480nmの短い波長の発光を呈する層が、アルミニウムからなる層1317のような反射率の高い層に近くなるように設けられている。この為、発光した光と、発光した光がアルミニウムからなる層1317によって反射して生じた反射光との干渉を低減することができる。
【0460】
本実施例で作製した発光素子を発光させたときの発光スペクトルを図65に示す。図65において横軸は波長(nm)を、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。図65から、本実施例で作製した発光素子は、450nmから620nmの波長域において発光していることが分かる。また、0.979mA(電流密度は24.5mA/cm)におけるCIE色度座標は(x、y)=(0.33,0.46)であり、輝度は1900cd/mであった。このことから、本実施例で作製した発光素子は、白色の発光を呈するものであることが分かった。
【0461】
以上のようなタンデム型の発光素子を作製することによって、電流効率の高い発光素子を得ることができる。また、本実施例のように、可視光領域に幅広くスペクトルを有する白色発光を得ることができる。また、本実施例のように酸化モリブデンのような吸水性の低い物質を用いて作製することで、水分の混入に起因した劣化が少ない発光素子が得られる。さらに、本実施例の発光素子は、発光した光と反射光との干渉が少ない為、発光した光の色度の調整をし易い。
【実施例20】
【0462】
本実施例では、本発明の複合材料を含む層の電流―電圧特性を測定した。
【0463】
(素子1)
【0464】
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、電極サイズは2mm×2mmとした。
【0465】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。
【0466】
その後真空装置内を排気し、減圧した後、第1の電極上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料からなる層を形成した。膜厚は200nmとした。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1となるように調節した。
【0467】
本発明の複合材料を含む層上に、抵抗加熱による蒸着法を用いアルミニウム(Al)を成膜することにより、第2の電極を形成することで、素子1を作製した。
(素子2)
【0468】
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、電極サイズは2mm×2mmとした。
【0469】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。
【0470】
その後真空装置内を排気し、減圧した後、第1の電極上に、DNTPDと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料からなる層を形成した。膜厚は200nmとした。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。DNTPDと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:2となるように調節した。
【0471】
本発明の複合材料を含む層上に、抵抗加熱による蒸着法を用いアルミニウム(Al)を成膜することにより、第2の電極を形成することで、素子2を作製した。
【0472】
(素子3)
【0473】
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、電極サイズは2mm×2mmとした。
【0474】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。
【0475】
その後真空装置内を排気し、減圧した後、第1の電極上に、PCzPCN1と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料からなる層を形成した。膜厚は200nmとした。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。PCzPCN1と酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:2となるように調節した。
【0476】
本発明の複合材料を含む層上に、抵抗加熱による蒸着法を用いアルミニウム(Al)を成膜することにより、第2の電極を形成することで、素子3を作製した。
(素子4)
【0477】
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、電極サイズは2mm×2mmとした。
【0478】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。
【0479】
その後真空装置内を排気し、減圧した後、第1の電極上に、t−BuDNAと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、本発明の複合材料からなる層を形成した。膜厚は200nmとした。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。t−BuDNAと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:2となるように調節した。
【0480】
本発明の複合材料を含む層上に、抵抗加熱による蒸着法を用いアルミニウム(Al)を成膜することにより、第2の電極を形成することで、素子4を作製した。
【0481】
(比較素子5)
【0482】
まず、ガラス基板上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極を形成した。なお、電極サイズは2mm×2mmとした。
【0483】
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。
【0484】
その後真空装置内を排気し、減圧した後、第1の電極上に、t−BuDNAからなる層を形成した。膜厚は200nmとした。
【0485】
t−BuDNAからなる層上に、抵抗加熱による蒸着法を用いアルミニウム(Al)を成膜することにより、第2の電極を形成することで、比較素子5を作製した。
【0486】
電流―電圧特性の測定は、ITSOを陽極、Alを陰極としたときを順方向とし、ITSOを陰極、Alを陽極とした場合を逆方向として、二端子法により行った。
【0487】
素子1〜素子3の25℃における電流−電圧特性の結果を図67に示す。素子1〜素子3では、順方向、逆方向ともに電流が流れ、その電流−電圧特性は原点を中心に対称となっていることがわかる。ITSOとAlと異なる電極を用いているにもかかわらず対称性を有していることから、電極と本発明の複合材料を含む層との界面はショットキー接触ではないと考えられる。
【0488】
また、素子4および比較素子5の電流−電圧特性の結果を図68に示す。なお、図68(B)は、図68(A)の電圧値が−2V〜2Vの部分を拡大して示したものである。有機化合物のみからなる層を有する比較素子5に比べ、本発明の複合材料を有する層を有する素子4は、電極からキャリアを注入され易く、導電率が高いということがわかる。また、素子4についても、素子1〜素子3と同様に、順方向、逆方向ともに電流が流れ、その電流−電圧特性は原点を中心に対称となっていることがわかる。よって、ITSOとAlと異なる電極を用いているにもかかわらず対称性を有していることから、電極と本発明の複合材料を含む層との界面はショットキー接触ではないと考えられる。
【実施例21】
【0489】
本実施例では、実施例1にて測定した各物質の酸化ピーク電位の値をエレクトロンボルト[eV]に換算することにより、各物質のイオン化ポテンシャルを算出した。
【0490】
まず、実施例1で用いた参照電極電位のポテンシャルエネルギーが何エレクトロンボルトに相当するかを算出した。つまり、Ag/Ag電極のイオン化ポテンシャルを算出した。メタノール中におけるフェロセンの酸化還元電位は、標準水素電極に対して+0.610[V vs. SHE]であることが知られている(参考文献;Christian R.Goldsmith et al., J.Am.Chem.Soc., Vol.124, No.1,83−96, 2002)。また、標準水素電極電位は4.44eVであることが知られている(参考文献;大西敏博・小山珠美著、高分子EL材料(共立出版)、p.64−67)。これらのことから、メタノール中におけるフェロセンの酸化還元電位のポテンシャルエネルギーは、5.05eVであることがわかる。
【0491】
一方、実施例1で用いた参照電極を用いて、メタノール中におけるフェロセンの酸化還元電位を求めたところ、+0.20V[vs.Ag/Ag]であった。したがって、実施例1で用いた参照電極のポテンシャルエネルギーをE[eV]とすると、E+0.20=5.05[eV]となる。このことから、実施例1で用いた参照電極の電位Eは、5.05−0.20=4.85[eV]であると算出できた。
【0492】
ここで、DMF溶液中における各物質のイオン化ポテンシャルIは、I=E+Epa=4.85+Epa[eV]で算出できる。したがって、表1の結果を用いると、各物質のイオン化ポテンシャルIは、下記表2の通りになる。なお、比較測定例で用いたBCP、OXD−7、TPBiは、4.85[eV]〜6.35[eV]の範囲でイオン化ポテンシャルが観測されなかったことになる。したがって、本発明の複合材料に用いることのできる有機化合物のイオン化ポテンシャルは、4.8[eV]〜6.4[eV]である。また、表2の結果から、好ましくは5.0[eV]〜6.0[eV]である。
【0493】
【表2】

【実施例22】
【0494】
本実施例では、実施例1にて測定した各物質の酸化ピーク電位の値から半波電位を算出した。
【0495】
実施例1では、中性の有機化合物が電子を放出してカチオンになる酸化反応の酸化ピーク電位(Epa)を測定したが、そのカチオンが電子を受け取って中性の有機化合物に戻る還元反応の還元ピーク電位(Epc)の値を用いることにより、電子授受の平衡状態の電位(つまり、式量電位)を求めることができる。式量電位は、酸化ピーク電位(Epa)と還元ピーク電位(Epc)の中間の値(すなわち半波電位)とほぼ一致すると考えることができ、温度や走査速度の影響を受けない。実施例1で測定した各物質の還元ピーク電位(Epc)と実施例1の測定値から換算した半波電位(E1/2)の値を表3に示す。なお、計算には、実施例1の測定値(小数点以下3桁)を用い、表3には、計算した結果を有効数字小数点以下2桁として表記した。また、表3において、半波電位[vs.Fc/Fc]の値は、酸化ピーク電位(Epa)の場合と同様に、換算することで求めた。
【0496】
【表3】

【0497】
表3から、本発明の複合材料に用いることのできる有機化合物の半波電位[V vs.Ag/Ag]は、0.2〜0.9[V vs.Ag/Ag]であることがわかる。また、本発明の複合材料に用いることのできる有機化合物の半波電位[vs.Fc/Fc]は、0.1〜0.8[vs.Fc/Fc]であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0498】
【図1】本発明の発光素子を説明する図。
【図2】本発明の発光素子を説明する図。
【図3】本発明の発光素子を説明する図。
【図4】本発明の発光素子を説明する図。
【図5】本発明の発光素子を説明する図。
【図6】本発明の発光素子を説明する図。
【図7】本発明の発光装置を説明する図。
【図8】本発明の発光装置を説明する図。
【図9】本発明の発光装置を用いた電子機器を説明する図。
【図10】本発明の発光素子を説明する図。
【図11】本発明の発光装置を用いた電子機器を説明する図。
【図12】フェロセンのCV測定結果を示す図。
【図13】NPBのCV測定結果を示す図。
【図14】DNTPDのCV測定結果を示す図。
【図15】PCzPCA1のCV測定結果を示す図。
【図16】PCzPCN1のCV測定結果を示す図。
【図17】CBPのCV測定結果を示す図。
【図18】t−BuDNAのCV測定結果を示す図。
【図19】DPVBiのCV測定結果を示す図。
【図20】AlqのCV測定結果を示す図。
【図21】BCPのCV測定結果を示す図。
【図22】OXD−7のCV測定結果を示す図。
【図23】TPBiのCV測定結果を示す図。
【図24】本発明の発光素子および比較発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図25】本発明の発光素子および比較発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図26】本発明の発光素子および比較発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図27】本発明の発光素子および比較発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図28】本発明の発光素子および比較発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図29】本発明の発光素子および比較発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図30】本発明の発光素子および比較発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図31】本発明の発光素子および比較発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図32】本発明の発光素子および比較発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図33】本発明の発光素子および比較発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図34】本発明の発光素子および比較発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図35】本発明の発光素子および比較発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図36】本発明の発光素子および比較発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図37】本発明の発光素子および比較発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図38】本発明の発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図39】本発明の発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図40】比較発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図41】比較発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図42】比較発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図43】比較発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図44】比較発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図45】比較発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図46】本発明の発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図47】本発明の発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図48】本発明の発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図49】本発明の発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図50】本発明の発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図51】本発明の発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図52】本発明の発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図53】本発明の発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図54】本発明の発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図55】本発明の発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図56】本発明の発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図57】本発明の発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図58】本発明の発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図59】本発明の発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図60】本発明の発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図61】本発明の発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図62】本発明の発光素子の電流―電圧特性を示す図。
【図63】本発明の発光素子の輝度―電圧特性を示す図。
【図64】本発明の発光素子について説明する図。
【図65】本発明の発光素子の発光スペクトルを示す図。
【図66】本発明の発光素子を説明する図。
【図67】実施例20で作製した素子の電流―電圧特性を示す図。
【図68】実施例20で作製した素子の電流―電圧特性を示す図。
【符号の説明】
【0499】
101 基板
102 第1の電極
103 第1の層
104 第2の層
105 第3の層
106 第4の層
107 第2の電極
200 基板
201 第1の電極
202 第2の電極
211 第1の層
212 第2の層
213 第3の層
214 第4の層
302 第1の電極
303 第1の層
304 第2の層
305 第3の層
306 第4の層
307 第2の電極
400 基板
401 第1の電極
402 第2の電極
411 第1の層
412 第2の層
413 第3の層
501 第1の電極
502 第2の電極
511 第1の発光ユニット
512 第2の発光ユニット
513 電荷発生層
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 発光物質を含む層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 発光物質を含む層
956 電極
1101 第1の電極
1102 第2の電極
1111 第1の層
1112 第2の層
1113 第3の層
1114 第4の層
1300 基板
1301 インジウム錫酸化物からなる層
1302 NPBと酸化モリブデンとを含む層
1303 NPBからなる層
1304 AlqとルブレンとDCJTIとを含む層
1305 Alqからなる層
1306 BCPとリチウムとを含む層
1307 NPBと酸化モリブデンとを含む層
1308 NPBからなる層
1309 Alqとクマリン6とを含む層
1310 Alqからなる層
1311 BCPとリチウムとを含む層
1312 NPBと酸化モリブデンとを含む層
1313 NPBからなる層
1314 t−BuDNAからなる層
1315 Alqからなる層
1316 BCPとリチウムとを含む層
1317 アルミニウムからなる層
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングマウス
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるAg/Ag電極に対する酸化ピーク電位が0V以上1.5V以下(vs.Ag/Ag)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする複合材料。
【請求項2】
室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるAg/Ag電極に対する酸化ピーク電位が0.2V以上1.1V以下(vs.Ag/Ag)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする複合材料。
【請求項3】
室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるフェロセンの酸化還元電位に対する酸化ピーク電位が0V以上1.5V以下(vs.Fc/Fc)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする複合材料。
【請求項4】
室温でジメチルホルムアミド(DMF)中におけるフェロセンの酸化還元電位に対する酸化ピーク電位が0.1V以上1.0V以下(vs.Fc/Fc)の範囲内に位置する有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする複合材料。
【請求項5】
室温でジメチルホルムアミド(DMF)溶液中におけるイオン化ポテンシャルが4.8eV以上6.4eV以下である有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする複合材料。
【請求項6】
室温でジメチルホルムアミド(DMF)溶液中におけるイオン化ポテンシャルが5.0eV以上6.0eV以下である有機化合物と、金属酸化物とを含むことを特徴とする複合材料。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記有機化合物は、芳香族アミン化合物であることを特徴とする複合材料。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記有機化合物は、カルバゾール誘導体であることを特徴とする複合材料。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記有機化合物は、芳香族炭化水素であることを特徴とする複合材料。
【請求項10】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記有機化合物は、金属錯体であることを特徴とする複合材料。
【請求項11】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記有機化合物は、有機金属錯体であることを特徴とする複合材料。
【請求項12】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記有機化合物は、高分子化合物であることを特徴とする複合材料。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項において、前記金属酸化物は、前記有機化合物に対して電子受容性を示すことを特徴とする複合材料。
【請求項14】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項において、前記金属酸化物は、遷移金属酸化物であることを特徴とする複合材料。
【請求項15】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項において、前記金属酸化物は、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物であることを特徴とする複合材料。
【請求項16】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項において、前記金属酸化物は、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムのいずれか一種もしくは複数種であることを特徴とする複合材料。
【請求項17】
一対の電極間に発光物質を含む層を有し、前記発光物質を含む層は、請求項1乃至請求項16のいずれか一項に記載の複合材料を含む層を有することを特徴とする発光素子。
【請求項18】
請求項17において、前記複合材料を含む層は、前記一対の電極のうち陽極として機能する電極と接するように設けられていることを特徴とする発光素子。
【請求項19】
請求項17において、前記複合材料を含む層は、前記一対の電極のうち陰極として機能する電極と接するように設けられていることを特徴とする発光素子。
【請求項20】
請求項17において、前記複合材料を含む層は、前記一対の電極それぞれと接するように一層ずつ設けられていることを特徴とする発光素子。
【請求項21】
一対の電極間に、n(nは2以上の任意の自然数)層の発光物質を含む層を有し、
m層目(mは任意の自然数であり、1≦m<nである)の発光物質を含む層とm+1層目の発光物質を含む層との間に、請求項1乃至請求項16のいずれか一項に記載の複合材料を含む層を有することを特徴とする発光素子。
【請求項22】
請求項17乃至請求項21のいずれか一項に記載の発光素子と、前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有する発光装置。
【請求項23】
表示部を有し、
前記表示部は、請求項17乃至請求項21のいずれか一項に記載の発光素子と前記発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate

【図51】
image rotate

【図52】
image rotate

【図53】
image rotate

【図54】
image rotate

【図55】
image rotate

【図56】
image rotate

【図57】
image rotate

【図58】
image rotate

【図59】
image rotate

【図60】
image rotate

【図61】
image rotate

【図62】
image rotate

【図63】
image rotate

【図64】
image rotate

【図65】
image rotate

【図66】
image rotate

【図67】
image rotate

【図68】
image rotate


【公開番号】特開2007−43130(P2007−43130A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185058(P2006−185058)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】