説明

複合材料で被覆した基質および成形可能な複合材料

【課題】複合材料で被覆した基質および成形可能な複合材料を提供する。
【解決手段】成形可能な複合材料は複合材料の断片、すなわちそこに埋め込まれた繊維を有するポリマー・マトリックス材料の断片を有している。改良された基質は、基質を提供することと当該基質の上に被覆材を適用することによって提供される。当該被覆材は複合材料の断片を有する。第1の建築部材の付着領域の上に被覆材を適用し、当該被覆された付着領域に留め具を適用することによって、第1の建築部材を第2の建築部材にしっかりと固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、基質を被覆するため、もしくは成形可能な材料を形成するために複合材料を採用するハイブリッド材料に関する。
【背景技術】
【0002】
建築材料およびその他の基質は、しばしば摩耗、太陽光、悪天候、および昆虫に晒されることで、速く劣化する。また、木材およびその他の材料の費用は近年顕著に増加している。また、材料の再利用もしくはリサイクルに対する要求は、「環境に優しい」建築において大きな注目を浴びている。それに加えて、伝統的な建築材料はしばしば、例えば激しい強風に伴う強い風力の風や衝撃的な波といった高い負荷に晒された場合に、その不十分な力学的特性が明かになる。そのような場合、つまり伝統的な建築材料が採用される場合、深刻な破損、負傷、そして命の喪失さえも引き起こされる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本願発明は、劣化に強く再利用もしくはリサイクルが可能で、高い負荷に耐えうる十分な力学的特性を備えた材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明は、その一側面において、複合材料の断片を含んだ成形可能な複合材料を提供する。
【0005】
本願発明は、他の側面において、改良された基質を製造するための方法を提供する。当該方法は、基質を供給し、当該基質の上に被覆材を貼り付けることによって実行される。ここで、当該被覆材は複合材料の断片を含んでいる。
【0006】
本願発明は、さらに別の側面において、第1の建築部材を第2の建築部材にしっかりと固定する方法を提供する。当該方法においては、第1の建築部材の付着領域の上に被覆材を貼り付け、さらに第1の建築部材を第2の建築部材にしっかりと固定するために、第1の建築部材の被覆材を適用された付着領域の上に留め具を取り付ける。
【0007】
本願発明はまた、さらにまた別の側面において、改良された基質を提供する。当該改良された基質は、基質と、当該基質の上の被覆材すなわち複合材料の断片を複数有する被覆材とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、連続的な一方向性の繊維を有する複合材料の断片の概略上面図である。
【図2】図2は、ランダムに切り刻まれた方向性の繊維を有する複合材料の断片の概略上面図である。
【図3】図3は、複合材料の積層化された断片の概略側面図である。
【図4】図4は、基質の断片と複合材料の断片とから形成された成形可能な複合材料を概略的に示している。
【図5】図5は、基質の周辺を取り囲むようにして集結された複合材料の断片を概略的に示している。
【図6】図6は、基質の上に列をなして集結された複合材料の断片を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明は、一側面において、複合材料の断片を有する成形可能な材料を提供する。複合材料は、ポリマー・マトリックスに埋め込まれた繊維を有している。複合材料は必要に応じて、シート、一連のロール、その他の形状に作られ得る。断片を供給するために、複合材料は、切り刻まれているか、切断されているか、もしくは他の方法によって、個々の断片に分割されている。それらの断片は、例えば約1インチから約6インチ(in.)までの範囲内に入る(約2.5センチメートルから約15.25センチメートル(cm)の範囲内に入る)長さ等の様々な長さ、そして例えば約4分の1インチから約3インチまでの範囲内に入る(約0.6センチメートルから約7.6センチメートルまでの範囲内に入る)幅等の様々な幅を有している。しかしながら、本願発明は、これに限られるものではなく、いかなる実用的な断片の大きさであっても採用され得る。
【0010】
一つの具体例において、成形可能な材料は、複合材料の断片と充填材との混合物を有する。当該充填材は、例えば木材、木材の断片、おがくず、プラスチック、金属、複合材料、もしくは繊維製品のような建築材料もしくは他の材料等のうちの1以上の基質材料の断片を含み得る。複合材料の断片は、基質の断片もしくは他の充填材と混ぜ合わされるかもしれない。ここで、複合材料の断片は、それらの混合物の全体に渡ってある程度以上に均等に配分されるかもしれない。複合材料の断片と基質の断片とを結合させるために、必要に応じて、接着剤が含まれ得る。代替的に、成形可能な材料を形成において、基質の断片なしに複合材料の断片が用いられてもよい。当該成形可能な材料は、実質的に流通する断片もしくは、熱および/もしくは圧力を加えることによって例えば小球等の有用な前段階の形へと固められた断片を有してもよい。マトリックス材料が熱可塑性である場合、もし2以上の断片が互いに接触した状態でポリマー・マトリックス材料が少なくとも部分的には溶けるに十分な熱および/もしくは圧力に晒されると、マトリックス材料がすぐさま接着剤の役割を果たし、複数の断片どうしを互いに結合する。
【0011】
また別の具体例において、本願発明は、建築部材等のような基質の上に被覆材を貼り合わせることによって得られる改良された基質を提供する。ここで、当該被覆材は、以下に説明される複合材料の断片から作られる。基質は、例えば、木材、プラスチック、金属、合板シート、切断された材木、プレスボード、削片板、配向性ストランドボード等を有するかもしれない。もしくは、基質は、ハニカム等のような形成された材料、もしくはそれらのものの組み合わせを有するかもしれない。基質という用語は、いかなる種類の材料をも含み得る用語で、上述された材料に限られるものではない。
【0012】
図1に示される一具体例において、複合材料の断片は一般的に10という参照番号によって参照され、ポリマー・マトリックス12およびポリマー・マトリックス12の中に配置される相互に長手方向に並んだ複数の繊維14を有する。複合材料の断片、シート、小部分、ラミネート(積層体)、もしくは層は、断片10に見られるように、主として一方向性の繊維14を備えるため、「一方向性」の特徴を有している、と言える。また、断片10は長方形であるが、本願発明はこれに限られるものではなく、複合材料の断片は、本願発明の技術的思想の範囲内においていかなる形状であってもよい。さらに、繊維は、ポリマー・マトリックスの中で長手方向を向いている可能性があり、もしくは切り刻まれてポリマー・マトリックスの中でランダムな方向を向いているかもしれず、あるいはそれらの組み合わせであるかもしれない。例えば、図2に示される断片16は、ランダムに形作られ、より長い繊維の状態から切り刻まれて、ポリマー・マトリックス20の中でランダムな方向を向いている繊維18を有する。さらに、繊維18が数多く存在する代わりに、複合材料に粒子材料が用いられることもあり得る。
【0013】
様々な種類の繊維もしくは粒子が、複合材料の中で用いられる。その例となる繊維としては、例えばEガラスおよびSガラスの繊維がある。Eガラスは、低い程度のアルカリ性のホウケイ酸塩のガラスであり、優れた電気的および力学的な特性と優れた化学的な抵抗性とを有する。この種類のガラスは、プラスチックを強化する目的の繊維の中で最も広範に用いられる。
【0014】
Sガラスは、Eガラスと比較すると、より高い強度およびより高い費用の材料である。Sガラスは、酸化マグネシウム・酸化アルミニウム・ケイ酸塩のガラスであり、高い引張強度を要求される航空宇宙の分野で用いられている。元々、「S」は、高い強度を意味した。
【0015】
Eガラスの繊維は、様々な範囲内の繊維重量を有する複合材料および熱可塑性ポリマー・マトリックス材料に組み込まれ得る。Eガラスは、約10から約40までの単位平方ヤード当たりのオンス(oz./sq.yd.)の範囲内に含まれるかもしれない。例えば、19から30までの範囲内で、もしくは特定の具体例においては、21.4から28.4oz./sq.yd.までの範囲内に含まれる。
【0016】
他の繊維もまた、必要に応じて、Eガラスおよび/もしくはSガラスとの組み合わせの中に組み込まれるかもしれない。そのような他の繊維の例としては、ECR、Aガラス、Cガラス、その他のグラスファイバーがある。さらに次のような繊維が採用されてもよい。すなわち、石英、酸化マグネシウム・アルミノ・ケイ酸塩、非アルカリ性・アルミノ・ホウケイ酸塩、ソーダ・ホウケイ酸塩、ソーダ・ケイ酸塩、ソーダ・酸化カルシウム・アルミノ・ケイ酸塩、ケイ酸鉛、非アルカリ性・ホウ酸アルミナ鉛、非アルカリ性・バリウム・ホウ酸アルミナ、非アルカリ性・亜鉛・ホウ酸・アルミナ、非アルカリ性・鉄・アルミノ・ケイ酸塩、カドミウム・ホウ酸塩、酸化アルミニウム繊維、石綿、ボロン、シリコン・カーバイド、グラファイト、およびポリエチレン、ポリビニールアルコール、サラン、アラミド、ポリアミド、ポリイミドベンダゾール、ポリオキサディアゾール、ポリフェニレン、PPR、石油および石炭のピッチ(等方性の)、中間相のピッチ、セルロース、およびポリアクリロニトルを炭化することによって得られる炭素、から作られた繊維、セラミックの繊維、例えばスチール、アルミニウム金属合金等の金属繊維等、およびその他のものである。
【0017】
一つの適切な有機ポリマー繊維は、ケブラー(Kevlar)によって例示されるアラミドから形作られる。他の高性能な一方向性の繊維束は、一般的に単位デニール当たりのグラムが7よりも大きい張力に対する引張強度を有する。これらの高性能な繊維束の例としては、アラミド、引き伸ばされた鎖の極めて分子量が大きいポリエチレン(UHMWPE)、ポリ「p−フェニレン−2、6−ベンゾビスオキサゾール」(PBO)、およびポリ「ダイイミダゾ・ピリディニレン(2個の水酸基を持つ)・フェニレン」(M5)のうちの一つもしくはそれらの組み合わせがある。これらの非常に高い引張強度を持った材料を使用することは、戦車の板材などの非常に高い弾道特性を要求する同様な分野へ適用される複合材料を製造するために殊に有用である。
【0018】
本願発明が関連する特定の技術分野における当業者に知られているさらに別の種類の繊維が、本願発明の技術的思想の範囲内において代替的に採用されてもよい。例えば、とりわけタワロン(Twaron)およびテクノラ(Technora)のトレードネームの下に販売されているもののようなアラミド繊維、トライ(Toray)、フォータフィル(Fortafil)、およびゾルテック(Zoltek)のトレードネームの下に販売されている玄武岩、炭素繊維、ベクトラン(Vetran)のトレードネームの下に販売されているLPC等のような液晶高分子(LPC)などがそれらの例であるが、それらに限られるものではない。以上のように、本願発明は、有機および無機の繊維をそれ自体もしくは組み合わせることによって使用することを意図している。
【0019】
複合材料の中におけるEガラス、Sガラス、もしくはその他の繊維の量は、必要に応じて約40から約90までの重量パーセント(wt%)の範囲内に入る熱可塑性マトリックスを提供するかもしれない。例えば、当該熱可塑性マトリックスは、層の中において、約50から約85wt%の範囲内に入り、ある具体例においては約60から約80wt%までの範囲内に入る。それらは、熱可塑性マトリックスと繊維とを足し合わせた重量に基づいてパーセント表示されている。
【0020】
ポリマー・マトリックス材料は、熱可塑性ポリマー・マトリックス材料(「熱可塑性の断片」を供給する)、熱硬化性ポリマー・マトリックス材料(「熱硬化性の断片」を供給する)、もしくはそれらの組み合わせを有するかもしれない。熱可塑性ポリマー・マトリックスは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、PEI(ポリエーテルイミド)、および共重合体を含んだ高い分子量の熱可塑性ポリマーであるかもしれないが、それらに限られるものではない。重量による熱可塑性の負荷は、製品であるシートにおける意図される使用の物理的な特性の要求に広く依存して変化し得る。
【0021】
本願発明において使用される断片は、単一の複合材料から排他的に作られた断片を含むかもしれない。もしくは、当該断片は、繊維に関しておよびもしくはポリマー・マトリックスに関して互いに異なる複合材料から作られるかもしれない。例えば、熱可塑性ポリマー、もしくはそれらの組み合わせは、互いに異なるマトリックス材料である。それに加えて、ある種の熱可塑性もしくは熱硬化性のポリマー・マトリックスは、別の種類の熱可塑性もしくは熱硬化性のポリマー・マトリックスとは各々異なっているかもしれない。つまり、熱可塑性ポリエチレンは、熱可塑性のポリプロピレン等とは異なっているということである。
【0022】
一具体例において、複合材料は、少なくとも1以上の複合材料の層を含むラミネート(積層体)である。ここで、複合材料の層は、繊維を伴ったポリマー・マトリックスを有する単一の層である。必要に応じて、2以上の複合材料の層のラミネートは、繊維に関して、またポリマー・マトリックスに関して、互いに異なる複合材料の層を含むかもしれない。例えば、図3に示される断片22は、2つの複合材料の層24および26のラミネートから形成される。図示された具体例において、複合材料の層24および26の各々は、方向性を持った連続的な繊維28を有する。層24および26のうちのどちらか一方の繊維28は、他方の繊維に対して実質的に直交するように方向づけられている。しかしながら、本願発明はこれに限られることなく、各々の層における繊維28は互いにいかなる角度においても方向付けされ得る。それに加えて、異なる層の各々における繊維は、異なった材料であり得るし、また、切り刻まれるか、連続性を有するか、整列させられるか、ランダムに方向付けされるか、それらの組み合わせになることもあり得る。また、断片22は2つの層を有しているが、本願発明はこれに限られることなく、本願発明の技術的思想の範囲内においていかなる数の複合材料の層が断片を形成してもよい。
【0023】
断片10、16、およびもしくは22は、積み重ねられて、例えば射出成形、ブロー成形、圧縮成形、フィルムを挿入する成形、回転成形、熱成形等の標準的な成形の技術を用いて成形可能な複合材料となる。それによって、図4に示されるような成形された製品30が生み出される。必要に応じて、成形のプロセスは、熱および/もしくは圧力が加えられて隣接する断片10、16、22が少なくとも部分的に溶けるかもしくは固まるかして、互いに結合されるステップを有する。また、必要に応じて、成形可能な複合材料は、充填材、処理を行うための添加物等を有する。一具体例において、図4に示されるように、断片10、16、および22は、充填材としての基質材料32の断片と組み合わされて、成形可能な複合材料を提供する。基質32の断片は、例えば木材の断片、おがくず、金属、もしくは様々な他の基質、およびそれらの組み合わせを含むかもしれない。断片10、16、およびもしくは22は、基質32の断片と混ぜ合わされて、それらの断片はその混合物の中でほぼ均等に分布するようにされる。その混合物は、その後、例えば図4に示されるような半円筒状の断面を有する形状など、様々な望ましい形状に成形され得る。一具体例において、接着剤が成形可能な複合材料に加えられて、基質材料32と断片10、16、22との間の接着性を改良する構成が採用されてもよい。
【0024】
別の具体例において、成形可能な複合材料は、実質的に基質の断片もしくは粒子を含まずに、1以上の断片10、16、およびもしくは22と繊維とから形成されてもよい。さらにまた別の具体例において、成形可能な複合材料は、実質的に付加的な繊維または基質材料もしくは他の充填材の断片もしくは粒子を含まずに、完全に断片10、16、およびもしくは22から形成されてもよい。
【0025】
本願発明にかかる代替的な具体例において、断片10、16、およびもしくは22は、成形される製品30の特定の領域において集中したり、もしくは特定の領域において付加的に被覆されたりしてもよい。例えば、複合材料の断片は、成形される製品30の端の部分もしくは他の領域に沿って集中するように構成されてもよい。そうすると、複合材料の付加により、成形される製品における留め具の保持力の特性、もしくは他の特性を高めることが可能となる。本願発明の代替的な具体例において、断片10、16、およびもしくは22は、成形される製品30の特定の領域において付加的に被覆される。
【0026】
いくつかの上述した具体例において、断片10、16、およびもしくは22は、複合材料の大きな断片から切り刻まれて、もしくは切断されて、断片として形成され得る。複合材料の中の繊維が特定の方向に向けられている場合、当該断片はまた当該断片の方向性およびそれによる繊維の方向性が被覆された基質もしくは成形可能な材料の力学的な特性を高めるように成形可能な材料の中もしくは基質の上に配置され得る。
【0027】
別の側面に従って、複合材料の断片は、基質の上の被覆材として張り付けられてもよい。上述したように、基質は、板材を含んだ木材、金属、もしくは他の様々な部材であるかもしれない。一具体例において、基質は、ベニヤ板、骨組みとなる板材、羽目板等のような構造的な建築部材である。例えば、図5および6に示されるように、改良された基質34は、被覆材36を基質38の上に貼り付けることによって供給される。被覆材36は、断片10、16、およびもしくは22から作られ、基質38の選ばれた領域の上に、殊に基質38の周囲の端部に沿って貼り付けられ、改良された基質34を提供する。被覆材36は、流動性を有する状態の断片10、16、およびもしくは22を塗ることによって、基質38の上に塗布されてもよい。例えば、成形可能な複合材料、もしくは揮発性の分散媒の中のペンキのような懸濁液等である。そして、流動可能な複合材料が望ましい領域内の基質38の上に塗布された後、被覆材として固まる、もしくは硬化する。被覆材36は、基質38がビスもしくは釘等のような留め具(図示されない)を保持する能力を高める。しかし、当該留め具は、それらに限られるものではない。代替的に、図6に示されるように、改良された基質40は、留め具が通常の状態において配置される領域内における基質38に沿って列をなして配置される断片10、16、および/もしくは22を有する被覆材42および44を有する。
【0028】
本願発明は、基質38の周囲の端部に沿って、もしくは基質38の上に列をなして集中するような被覆材36、42、44に限定されるものではない。むしろ、断片10、16、およびもしくは22の被覆材は、本願発明の技術的思想の範囲内において基質38の様々な特定の領域もしくは表面全体を覆うように適用され得る。
【0029】
被覆材36、42、およびもしくは44は単一の層として適用されるかもしれない。しかし、本願発明はこれに限られるものではなく、他の具体例において様々な数の層が基質38の全体もしくは単なる一部分を覆うように適用されてもよい。必要に応じて、基質上の断片10、16、およびもしくは22の別個の複数の層が、ある種類の断片が基質上の第1の被覆材を構成しそれとは異なる種類の断片が基質上の第2の被覆材として適用されるように、合体される構成が採用されてもよい。
【0030】
他の具体例において、基質38の全体を単一の層の複合材料によって被覆することが有用であるかもしれない。その一方で、強度を増すことが要求される領域に付加的な層が加えられるかもしれない。さらに、被覆材36は、そこの繊維が特定の方向に互いに並列するように適用され得る。例えば、長手方向に並べられた繊維を有する長方形状の一方向性の断片10は、断片10が互いに並列するように、基質38の上に適用され得る。特定の理論に縛られることなく、特定の方向に繊維14を並べることによって、基質のその方向における強度が高められるということが信じられている。
【0031】
必要に応じて、接着剤が、被覆材36、42、およびもしくは44の中における、もしくは成形可能な複合材料の中における断片10、16、およびもしくは22に対して加えられてもよい。それによって、断片それ自身(場合によっては基質32を含む)の間、および/もしくは断片10、16、および/もしくは22とそれらの断片が配置される基質38との間の接着性を改良することができる。それに加えて、2以上の断片10、16、および/もしくは22が互いに接触している場合、本願発明において、熱および圧力により、複合材料が少なくとも部分的に溶ける、もしくは硬化することをもたらす構成が採用されてもよい。その結果として、複合材料の断片は、互いに結合して基質上の被覆材を形成する。
【0032】
本願発明のいくつかの具体例において、断片10、16、およびもしくは22は、基質表面の実質的に全体を被覆する複合材料の層を形成するために用いられる。それは、基質全体の力学的な特性および耐久性に影響を与える。断片10におけるように、断片の中の繊維が平行であり長手方向に向けられているとすると、そしてそれが改良された基質の望ましい力学的な特性に依存するとすれば、当該断片は、当該繊維が特定の方向に実質的に向けられているように基質の上に向けられ得る。
【0033】
一具体例の一つの有利な点は、基質の被覆材および成形可能な材料は廃棄された、リサイクルされた、もしくはスクラップにされた複合材料から作られる断片10、16、およびもしくは22を利用することができる、ということである。
【0034】
本願発明にかかる複合材料の被覆材および成形可能な材料の一具体例の他の有利な点は、断片10、16、およびもしくは22が、本願発明にかかる成形可能な材料もしくは被覆された基質の力学的な特性を高めるために採用され得る、ということである。これらの強化は、全体に対するものであってもよいし、望ましい領域もしくは方向に対するものであってもよい。
【0035】
本願発明にかかる複合材料の被覆および成形可能な材料のさらにまた別の有利な点は、断片10、16、およびもしくは22またはそれらの被覆材36が留め具の保持力を高めるために特定の領域に集中され得る、ということである。ここで、当該留め具は、ビスおよび釘等であるがそれらに限られるものではない。その結果として、成形可能な材料もしくは被覆された基質が、悪天候もしくは厳しい応力の条件に晒されても、構造物から剥がれ落ちにくくなる。
【0036】
上述された当該有利な点は、実例としてのみ挙げられているのであって、包括的な有利な点を列挙したものではない。したがって、他の有利な点も本願発明が関連する技術分野における当業者にとっては明らかであるだろう。
【0037】
「a」および「an」という語は、ここでは数量の限定を意味せず、少なくとも一つの言及される要素が存在することを意味する。
【0038】
本願発明は、特定の具体例に関して説明されてきたが、上述の内容を読んで理解することにより、本願発明の技術的思想の範囲内および添付されている特許請求の範囲内において数多くの様々な変形や代替が行われ得ることが、当業者によって理解されるだろう。
【符号の説明】
【0039】
10…断片、12…ポリマー・マトリックス、14…繊維、16…断片、18…繊維、20…ポリマー・マトリックス、22…断片、24…層、26…層、28…層、30…製品、32…基質、34…基質、36…被覆材、38…基質、40…基質、42…被覆材、44…被覆材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料の断片を備える成形可能な複合材料。
【請求項2】
第1の前記複合材料の第1の前記断片および第2の前記複合材料の第2の前記断片を備え、
前記第1の複合材料は前記第2の複合材料と異なっている
請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記第1の断片は第1のポリマー・マトリックスとその中に配置された繊維を有し、
前記第2の断片は第2のポリマー・マトリックスとその中に配置された繊維を有し、
前記第1のポリマー・マトリックスは前記第2のポリマー・マトリックスと異なっている
請求項2に記載の材料。
【請求項4】
前記第1のポリマー・マトリックスは第1の熱可塑性材料を有し、
前記第2のポリマー・マトリックスは第2の熱可塑性材料を有する
請求項3に記載の材料。
【請求項5】
前記第1のポリマー・マトリックスは熱可塑性材料であり、
前記第2のポリマー・マトリックスは熱硬化性材料である
請求項3に記載の材料。
【請求項6】
前記第1の断片は第1のポリマー・マトリックスとその中に配置された第1の繊維を有し、
前記第2の断片は第2のポリマー・マトリックスとその中に配置された第2の繊維を有し、
前記第1の繊維は前記第2の繊維と異なっている
請求項2に記載の材料。
【請求項7】
基質の断片を備える
請求項1に記載の材料。
【請求項8】
接着剤を備える
請求項1に記載の材料。
【請求項9】
前記複合材料の断片は熱可塑性ポリマー・マトリックスとその中に配置された繊維を有し、
熱、圧力、接着剤、もしくはそれらのうちの2以上の組み合わせを用いることによって前記断片を固めることにより製造される
請求項1に記載の材料。
【請求項10】
基質を供給するステップと、
前記基質の上に被覆材を適用するステップと
を備え、
前記被覆材は複合材料の断片を有する
改良された基質を製造する方法。
【請求項11】
前記基質の上に被覆材を適用するステップにおいて、熱可塑性の断片および熱硬化性の断片の両方を有する被覆材を適用する
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基質の上に被覆材を適用するステップにおいて、前記基質の上に複数の層の被覆材を適用する
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記基質の上に被覆材を適用するステップにおいて、前記基質の上に熱可塑性の断片を有する第1の層および熱硬化性の断片を有する第2の層を含む被覆材の層を適用する
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記被覆材は、当該被覆材の中において互いに並列され一方向性を備える断片を有する
請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記基質は付着領域を有し、
前記基質の前記付着領域を被覆するステップを備える
請求項10に記載の方法。
【請求項16】
第1の建築部材の付着領域の上に被覆材を適用するステップと、
前記第1の建築部材の第2の建築部材に対する確実な固定を可能とするために、前記被覆された前記第1の建築部材の第1の前記付着領域の上に留め具を適用するステップと
を備える
方法。
【請求項17】
基質と、
前記基質の上に配置された被覆材と
を備え、
前記被覆材は複合材料の複数の断片を有する
改良された基質。
【請求項18】
前記複合材料の断片は熱可塑性ポリマー・マトリックスとその中に配置された繊維を有し、
前記繊維は有機的、無機的および金属性のうちの少なくとも1つの性質を備える繊維を有する
請求項1に記載の材料。
【請求項19】
前記複合材料の断片は熱可塑性ポリマー・マトリックスとその中に配置された繊維を有し、
前記繊維は1以上の、ECR、Aガラス、Cガラス、並びに石英、酸化マグネシウム・アルミノ・ケイ酸塩、非アルカリ性・アルミノ・ホウケイ酸塩、ソーダ・ホウケイ酸塩、ソーダ・ケイ酸塩、ソーダ・酸化カルシウム・アルミノ・ケイ酸塩、ケイ酸鉛、非アルカリ性・ホウ酸アルミナ鉛、非アルカリ性・バリウム・ホウ酸アルミナ、非アルカリ性・亜鉛・ホウ酸・アルミナ、非アルカリ性・鉄・アルミノ・ケイ酸塩、カドミウム・ホウ酸塩、酸化アルミニウム繊維、石綿、ボロン、シリコン・カーバイド、グラファイト、および1以上の、ポリエチレン、ポリビニールアルコール、サラン、アラミド、ポリアミド、ポリイミドベンダゾール、ポリオキサディアゾール、ポリフェニレン、PPR、石油および石炭の等方性のピッチ、中間相のピッチ、セルロース、およびポリアクリロニトルを炭化することによって得られる炭素、から作られた繊維、セラミックの繊維、もしくは金属繊維を有する
請求項1に記載の材料。
【請求項20】
前記複合材料の断片は熱可塑性ポリマー・マトリックスとその中に配置された繊維を有し、
前記繊維は1以上の、アラミド、引き伸ばされた鎖の極めて分子量が大きいポリエチレン(UHMWPE)、ポリ「p−フェニレン−2、6−ベンゾビスオキサゾール」(PBO)、もしくはポリ「ダイイミダゾ・ピリディニレン(2個の水酸基を持つ)・フェニレン」(M5)を有する
請求項18に記載の材料。
【請求項21】
前記複合材料の断片は熱可塑性ポリマー・マトリックスとその中に配置された繊維を有し、
前記繊維は1以上の、ポリアラミド繊維、玄武岩繊維、炭素繊維、および液晶高分子繊維を有する
請求項1に記載の材料。
【請求項22】
前記複合材料の断片は熱可塑性ポリマー・マトリックスとその中に配置された繊維を有し、
前記繊維はグラスファイバーを有する
請求項1に記載の材料。
【請求項23】
前記繊維はEガラスの繊維もしくはSガラスの繊維、またはそれらの組み合わせを有するグラスファイバーである
請求項19に記載の材料。
【請求項24】
前記複合材料の断片は2以上の前記複合材料の層の積層体を有し、
前記2以上の層の各々は熱可塑性ポリマー・マトリックスとその中に配置された繊維を有する
請求項1に記載の材料。
【請求項25】
前記積層体のうちの2つの前記層はそれらの中の繊維が一方向性を有し、
1つの前記層の中の繊維は他の1つの前記層の中の繊維と交わる方向で配置されている
請求項24に記載の材料。
【請求項26】
前記複合材料の断片は一方向性の繊維を有する
請求項1に記載の材料。
【請求項27】
前記断片は繊維が互いに並列するように層の中に配置されている
請求項1に記載の材料。
【請求項28】
木材の断片、おがくず、プラスチックの断片、金属の断片、複合材料もしくは繊維製品の断片のうちの1以上を有する充填材を備える
請求項1に記載の材料。
【請求項29】
前記被覆材は請求項1乃至9もしくは18乃至28のいずれかに記載の断片を有する
請求項10に記載の方法。
【請求項30】
前記被覆材は請求項1乃至9もしくは18乃至28のいずれかに記載の断片を有する
請求項16に記載の方法。
【請求項31】
前記被覆材は請求項1乃至9もしくは18乃至28のいずれかに記載の断片から作られる
請求項17に記載の改良された基質。
【請求項32】
前記基質は木材、プラスチック、金属、合板シート、切断された材木、プレスボード、削片板、配向性ストランドボード、成形された材料のうちの1以上を有する
請求項31に記載の改良された基質。
【請求項33】
前記被覆材は前記基質の上に並列するように配置されている
請求項31に記載の改良された基質。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−515570(P2011−515570A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502086(P2011−502086)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/038491
【国際公開番号】WO2009/120920
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(508125564)ポリストランド インコーポレイティッド (3)
【氏名又は名称原語表記】POLYSTRAND, INC.
【住所又は居所原語表記】2370 Air Park Way, Montrose, Colorado 81401, United States of America
【出願人】(510256539)
【氏名又は名称原語表記】Mike GORDON
【住所又は居所原語表記】2417 Bear Lake Drive, Montrose, Colorado 81401, United States of America
【Fターム(参考)】