説明

複合材料の製造方法および複合成形体

【課題】ナノカーボン繊維としてのナノグラフェン集合体が高含有率で分散された複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態の複合材料の製造方法では、複数のナノグラフェンが、その端部を表面側に位置するように集合されたナノグラフェン集合体の凝集物と、ポリマーとを、有機溶媒の存在下で混合して、混合液を調製する工程と、前記混合液から有機溶媒を、加熱せずに蒸発させ、除去する工程とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料の製造方法および複合成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナノカーボンと樹脂からなる複合成形体の製造方法は、バッチ式ニーダでナノカーボンの凝集物と樹脂とを混練しながら、前記凝集物を解いて樹脂中に分散させることが行われている。
【0003】
しかしながら、前記方法は加熱しながら機械的に混合するために、ナノカーボンや樹脂に熱的なダメージが加わる可能性がある。また、混練によりナノカーボンの凝集物を解くには限界がある。さらに、混練プロセスの性質上、ナノカーボンの含有量が約30重量%以下の複合成形体しか製造できない。このため、ナノカーボンや樹脂にダメージを与えず、ナノカーボンを化学的に分散させて、凝集を解き、ナノカーボン含有量が高い複合成形体の製造法が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−241989号公報
【特許文献2】特開2003−308734号公報
【特許文献3】特開2004−216516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ナノカーボン繊維としてのナノグラフェン集合体が高含有率で分散された複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、ナノグラフェン集合体が高い含有率で分散された、優れた導電性を有する複合成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、実施形態によれば、複数のナノグラフェンがその端部を表面側に位置するように集合されたナノグラフェン集合体の凝集物とポリマーとを有機溶媒の存在下で混合液を調製する工程と、前記混合液から有機溶媒を加熱せずに蒸発、除去する工程とを含むことを特徴とする複合材料の製造方法が提供される。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、実施形態によれば、前記方法で得られた複合材料とポリマーとを混練し、成形してなることを特徴とする複合成形体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るナノグラフェン集合体であるナノカーボン繊維の要部を拡大した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る複合材料の製造方法、複合成形体を詳細に説明する。
【0011】
実施形態に係る複合材料の製造方法は、i)複数のナノグラフェンがその端部を表面側に位置するように集合されたナノグラフェン集合体の凝集物とポリマーとを有機溶媒の存在下で混合液を調製する工程と、ii)前記混合液から有機溶媒を加熱せずに蒸発、除去する工程とを含む。
【0012】
前記i)工程の混合液の調製は、i-a)ナノグラフェン集合体の凝集物を有機溶媒に混合してナノグラフェン集合体の分散液を調製し、この分散液とポリマーを有機溶媒に溶解させたポリマー溶液とを攪拌、混合するか、またはi-b)ナノグラフェン集合体の凝集物と前記ポリマーとを前記有機溶媒と共に攪拌、混合するか、いずれかによりなされる。
【0013】
ナノグラフェン集合体は、例えば複数のナノグラフェンが積み重なった構造を有するナノカーボン繊維または粒状のナノカーボンチップを挙げることができる。グラフェン間の距離は、例えば0.33〜0.39nmであることが好ましい。ナノカーボン繊維は、無空でも、中空でもよい。
【0014】
具体的には図1に示すようにナノカーボン繊維(またはナノカーボンチップ)1は、複数のグラフェン2をその面が互に対向するように積み重ねた構造を有する。
【0015】
このようなナノグラフェン集合体は、例えば次のような方法により製造できる。
【0016】
まず、反応容器内に触媒として機能する金属基板(例えば鉄基板)を配置する。反応容器の温度を600℃〜750℃に調整する。原料である350℃に予備加熱したエタノール蒸気を反応容器内に注入する。このとき、エタノールは反応容器内で熱分解してガスとなり、鉄基板表面に炭素原子が付着する。つづいて、鉄基板2表面の炭素が飽和状態になると、カーボンが鉄属基板表面から析出し結晶状に成長し、前述したナノグラフェン集合体に相当する多数の微細炭素繊維が得られる。なお、微細炭素繊維は鉄基板表面から掻き落とすことにより回収できる。
【0017】
ポリマーは、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂の例は、ポリカーボネート(PC)、セルロースアセテート、エチルセルロース、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリラート、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジン、シュークロースオクタアセテート、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、メタクリル樹脂(PMMA)、6−ナイロン、6,6−ナイロン、全/部分芳香族ポリアミド等のポリアミド(PA)類全般、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、全/部分芳香族ポリエステル等のポリエステル類全般、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリカーボネート(PC)が好適である。
【0018】
有機溶媒は、使用するポリマーの良溶媒であること、すなわち使用するポリマーを溶解し、分解しなければ特に限定されない。有機溶媒の例は、例えば、芳香族炭化水素類であるトルエン、ベンゼン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、塩化芳香族炭化水素類であるクロルベンゼン、オルト−ジクロルベンゼン、塩化脂肪族炭化水素類である塩化メチレン、クロロホルム(トリクロルメタン)、四塩化炭素(テトラクロルメタン)、1,2−ジクロルエタン、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2,2−テトラクロルエタン、1,2−ジクロルエチレン、トリクロルエチレン、トラクロルエチレン(パークロルエチレン)、アルコール類であるメタノール(メチルアルコール)、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール(イソアミルアルコール)、ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エステル類である酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル(酢酸アミル)、酢酸イソペンチル(酢酸イソアミル)、エーテル類であるエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ケトン類であるアセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホン、グリコールエーテル(セロソルブ)類であるエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)、脂環式炭化水素類であるシクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、脂肪族炭化水素類であるノルマルヘキサン、脂肪族または芳香族炭化水素の混合物であるガソリン、ベンジン、ゴム揮発油、大豆揮発油、ミネラルスピリット、クリーニングソルベント、コールタールナフサ(沸点範囲120〜160℃、120〜180℃、140〜200℃)、石油エーテル、石油ナフサ、石油、ベンジン、ミネラルスピリット、脂環族炭化水素(テレビン油)、混合炭化水素(HAWS、ソルベット100、ソルベット150)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カービトール、ブチルカービトール、メトキシブタノール)及びエステルエーテル類(酢酸セロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カービトール、酢酸メトキシブチル)、シリコーンオイル類(ポリジメチルシロキサン、部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フェニル置換ポリジメチルシロキサン)、ハロゲン化炭化水素(クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ブロモベンゼン、ジクロロメタン、トリクロロメタン)、フッ素化物類、その他であるクレゾール、二硫化炭素、アミド系であるN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、ニトリル系であるアセトニトリル、スルホキシド系であるジメチルスルホキシド(DMSO)、等が挙げられる。またこれらを2種以上混合してもよい。
【0019】
例えばポリマーにポリカーボネート(PC)を用いる場合は、テトラヒドロフラン、塩化メチレンが有機溶媒として好適である。
【0020】
前記i)工程において、ナノグラフェン集合体の凝集物は混合液中に5〜10重量%の割合で分散させることができる。ポリマーは、混合液中に10重量%以下の割合で溶解させることができる。
【0021】
前記i-a)またはi-b)の工程において、攪拌速度は100rpm以上の条件で行うことが好ましい。
【0022】
前記ii)工程は、例えば混合液を金属製バット上に薄く流延し、加熱することなく常温常圧下に所望時間放置することにより、有機溶媒を蒸発、除去することができる。
【0023】
このようなii)工程で有機溶媒を除去することにより金属製バット上にナノグラフェン集合体がポリマーに均一に分散した薄膜状の複合材料を得ることができる。
【0024】
前記i)工程において、ナノグラフェン集合体の凝集物の混合液に対する分散割合、ポリマーの混合液に対する溶解割合を、それぞれは5〜10重量%、5〜10重量%にすることによって、前記ii)工程で33〜67重量%のナノグラフェン集合体がポリマーに高含有率で分散した薄膜状の複合材料を得ることが可能になる。
【0025】
次に、実施形態に係る複合成形体を詳細に説明する。
【0026】
実施形態に係る複合成形体は、前述した方法で得られた複合材料とポリマーとを混練し、成形してなるものである。
【0027】
前述した方法で得た複合材料が薄膜である場合、その薄膜を粉砕し、顆粒、粒子または粉末の形態にして用いられる。
【0028】
ポリマーは、複合成形体中のナノグラフェン集合体の希釈調整(複合成形体中のナノグラフェン集合体の含有率調整)として用いられる。このポリマーは、種々のものを用いることができるが、複合材料に混合されたポリマーを用いることが好ましい。
【0029】
複合材料に対するポリマーの配合割合は、複合材料中のナノグラフェン集合体の含有率に依存するが、複合材料およびポリマーの総量に対して9〜55重量%にすることが好ましい。
【0030】
混練は、公知の手段、例えばニーダ等を用い、ポリマーを溶融しながら行うことができる。ただし、この混練は従来のようにナノカーボンの凝集物と樹脂とをニーダ等で混練する場合のようにナノカーボンの凝集物を解いて樹脂に分散させる操作ではないため、前記従来の混練に比べて短い時間で遂行できる。
【0031】
成形は、前記混練物を例えば熱プレス、押出成形または型成形する方法を採用できる。
【0032】
以上説明した実施形態によれば、複数のナノグラフェンがその端部を表面側に位置するように集合されたナノグラフェン集合体の凝集物とポリマーとを有機溶媒の存在下で混合液を調製することによって、例えば従来のようにカーボンナノチューブに塩基性官能基または酸性官能基を導入するような煩雑な操作を必要とせずに、ナノグラフェン集合体を比較的高い配合割合で、ポリマーと共に有機溶媒に均一に分散できる。これは、ナノグラフェン集合体が従来のカーボンナノチューブと異なり、複数のナノグラフェンの端部(エッジ)が表面側に配置され、かつ有機溶媒に対して反発する作用を有するため、ナノグラフェン集合体の凝集物を円滑に解いて有機溶媒に分散されることに起因する。その後、前記混合液から有機溶媒を加熱せずに蒸発、除去することによって、ナノグラフェン集合体およびポリマーに熱的なダメージを与えることなく、ナノグラフェン集合体がポリマーに高い配合割合(例えば30重量%を超える33〜67重量%の配合割合)で均一に分散された複合材料を製造できる。
【0033】
また、得られた複合材料とポリマー(複合材料中のナノグラフェン集合体の希釈調整用)とを混練し、成形することによって、複合材料自体がナノグラフェン集合体をポリマーに均一に分散されているため、ナノグラフェン集合体が高い含有率で分散された、優れた導電性を有する複合成形体を提供できる。
【0034】
以上、本発明の実施形態の少なくとも一つによれば、ナノカーボン繊維としてのナノグラフェン集合体が、従来よりも高含有率で分散された、複合材料の製造方法を提供できる。また、本発明の実施形態の少なくとも一つによれば、ナノカーボン繊維としてのナノグラフェン集合体が、従来よりも高い含有率で分散された、優れた導電性を有する複合成形体を提供できる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0036】
(実施例1)
まず、反応容器内に触媒として機能する鉄基板を配置した。反応容器の温度を700℃に調整した。原料である350℃に予備加熱したエタノール蒸気を反応容器内に注入した。このとき、エタノールは反応容器内で熱分解してガスとなり、鉄基板表面に炭素原子が付着した。つづいて、鉄基板2表面の炭素が飽和状態になると、カーボンが鉄属基板表面から析出し結晶状に成長し、前述したナノグラフェン集合体に相当する多数のナノカーボン繊維を合成した。ナノカーボン繊維の凝集物は、鉄基板表面から掻き落とすことにより回収した。
【0037】
得られたナノカーボン繊維(ナノグラフェン集合体)は、100nm未満の寸法のグラフェンが長手方向に多層に重なり合い、平均直径200nmの線状のナノカーボンファイバー(GNF)であった。また、グラフェン間の平均距離は0.36nmであった。このようなナノグラフェン集合体は、前述した図1に示す複数のナノグラフェンがその端部を表面側に位置するように集合された構造を有していた。
【0038】
次いで、得られたナノグラフェン集合体の凝集物30gを500mLのテトラヒドロフランに混合させてナノグラフェン集合体の分散液を得た。
【0039】
また、ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、パンライトL−1225L、粘度平均分子量(Mv)19,500)30gを270gのテトラヒドロフランに溶解させてポリマー溶液を調製した。
【0040】
次いで、ナノグラフェン集合体の分散液とポリマー溶液とを混合、攪拌して、ナノグラフェン集合体含有ポリカーボネート樹脂の混合液を得た。つづいて、この混合液をステンレス製のバット上に薄く流延し、常温常圧で5〜10分乾燥することによって、ポリカーボネートにナノグラフェン集合体を50重量%分散した薄膜状の複合材料を得た。
【0041】
得られた薄膜状の複合材料を粉砕して長辺の平均長さが10mmの複合材料粒子とした。つづいて、複合材料粒子と新たに用意した前述したのと同様なポリカーボネート樹脂とを複合材料粒子に分散されたナノグラフェン集合体の含有率が15重量%となるように秤量し、バッチ式ニーダに導入した。複合材料粒子およびポリカーボネート樹脂をバッチ式ニーダ内で、溶融温度260℃、回転数100rpm、時間5分にて混練した自然冷却した。その後、混練物を260℃にて熱プレス成形を行い、厚さ2mm×幅20cm×長さ20cmの寸法を有する複合成形体を製造した。
【0042】
得られた複合成形体は、ブリード、熱分解による気泡の発生のような外観上の不良が存在せず、かつ表面抵抗率が1010Ω/□であった。
【0043】
(比較例1)
実施例1と同様な方法で合成したナノグラフェン集合体の凝集物と実施例1と同様なポリカーボネート樹脂とをナノグラフェン集合体の含有率が15重量%となるように秤量し、バッチ式ニーダに導入した。その後、この混練物を実施例1と同様に260℃にて熱プレス成形を行い、厚さ2mm×幅20cm×長さ20cmの寸法を有する複合成形体を製造した。
【0044】
得られた複合成形体は、表面抵抗率が1014Ω/□であった。
【0045】
(実施例2)
まず、400mLの容器に、実施例1と同様なナノグラフェン集合体の凝集物を10g、次にテトラヒドロフランを100mL入れて混合液Aを得た。
【0046】
前記混合液Aに直径0.3mmジルコニアボール150gを入れ、ボールミル装置(シンキー社製ハイブリッドミキサーHM−500)により自転速度800rpm、公転速度2000rpmの条件で60分以上粉砕処理した。粉砕処理後の混合液Aを目開き150μmのステンレス製篩(約100メッシュ)を通してジルコニアボールのみ取り除き、混合液Bを得た。
【0047】
次いで、前記混合液Bにポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、パンライトL−1225L、粘度平均分子量(Mv)19,500)10gを加え、攪拌混合して混合液を調製した。つづいて、この混合液をステンレス製バット上に薄く流延し、常温常圧で5〜10分乾燥することによって、ポリカーボネートにナノグラフェン集合体を50重量%分散した薄膜状の複合材料を得た。
【0048】
得られた薄膜状の複合材料を粉砕して長辺の平均長さが10mmの複合材料粒子とした。つづいて、複合材料粒子と新たに用意した前述したのと同様なポリカーボネート樹脂とを複合材料粉末に分散されたナノグラフェン集合体の含有率が15重量%となるように秤量し、バッチ式ニーダに導入した。複合材料粉末およびポリカーボネート樹脂をバッチ式ニーダ内で、溶融温度260℃、回転数100rpm、時間5分にて混練した自然冷却した。その後、混練物を260℃にて熱プレス成形を行い、厚さ2mm×幅20cm×長さ20cmの寸法を有する複合成形体を製造した。
【0049】
得られた複合成形体は、ブリード、熱分解による気泡の発生のような外観上の不良が存在せず、かつ表面抵抗率が102Ω/□であった。
【0050】
(比較例2)
実施例2と同様な混合液Bを乾燥させることによって得たナノグラフェン集合体と実施例2と同様なポリカーボネート樹脂とをナノグラフェン集合体の含有率が15重量%となるように秤量し、バッチ式ニーダに導入した。その後、混練物を実施例2と同様に260℃にて熱プレス成形を行い、厚さ2mm×幅20cm×長さ20cmの寸法を有する複合成形体を製造した。
【0051】
得られた複合成形体は、表面抵抗率が103Ω/□であった。
【符号の説明】
【0052】
1…ナノカーボン繊維、2…グラフェン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のナノグラフェンが、その端部を表面側に位置するように集合されたナノグラフェン集合体の凝集物と、ポリマーとを、有機溶媒の存在下で混合して、混合液を調製する工程と、
前記混合液から有機溶媒を、加熱せずに蒸発させ、除去する工程と
を含むことを特徴とする複合材料の製造方法。
【請求項2】
前記混合液の調製は、前記ナノグラフェン集合体の凝集物を、前記有機溶媒に混合した凝集物分散液と、前記ポリマーを前記有機溶媒に溶解させたポリマー溶液とを、混合することによりなされることを特徴とする請求項1記載の複合材料の製造方法。
【請求項3】
前記混合液の調製は、前記ナノグラフェン集合体の凝集物と、前記ポリマーとを、前記有機溶媒と共に混合することにより、なされることを特徴とする請求項1記載の複合材料の製造方法。
【請求項4】
前記ナノグラフェン集合体は、複数のナノグラフェンを、その面の少なくとも一部が互に対向するように積み重ねた構造を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の複合材料の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項記載の方法で得られた複合材料と、ポリマーとを混練し、成形してなることを特徴とする複合成形体。

【図1】
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【公開番号】特開2013−71946(P2013−71946A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209905(P2011−209905)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】