説明

複合材料の製造方法

本発明は、担体物質及びイオン液体を含有する複合材料の製造方法、複合材料、及び合成触媒としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担体物質及びイオン液体を含有する複合材料の製造方法、複合材料及び合成触媒としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
固体の担体成分及びその上に固定された液体成分からなる物質は、近年、集中的に試験されている。その中にできる限り溶解または懸濁された液体成分及び物質の担体は、複合物に優れた新しい特性を与える。とりわけ、多孔質の担体物質上へのイオン液体(IL)の固定は、ここでの話題の中心である。結果として得られる複合材料は、触媒、ガス洗浄、燃料混合物の浄化、混合物の分離、レオロジーなどの産業上重要な分野及びさらに多くの分野で用いることができる。
【0003】
触媒の分野において、2つの主題に関連する概念は、とりわけ研究されている。
いわゆるSILP(担体のイオン液体相)の概念[J. Joni, M. Haumann, P. Wasserscheid, Advanced Synthesis and Catalysis 2009, 351, 423-431; J. Baudoux, K. Perrigaud, P.-J. Madec, A.-C. Gaumont, I. Dez, Green Chemistry 2007, 9, 1346-1351; A. Riisager, R. Fehrmann, M. Haumann, P. Wasserscheid, Topics in Catalysis 2006, 40, 91-101](SILCA[P. Virtanen, H. Karhu, G. Toth, K. Kordas, J.-P. Mikkola, Journal of Catalysis 2009, 263, 209-219; J.-P. Mikkola, J. Warna, P. Vitanen, T. Salmi, Industrial & Engineering Chemistry Research 2007, 46, 3932-3940]またはSILC[H. Hagiwara, K.-H. Ko, T. Hoshi, T. Suzuki, Chemical Communications 2007, 2838-2840]とも呼ばれる)の場合、イオン触媒溶液は少なくとも1種のイオン液体と、少なくとも1種の触媒活性成分からなる。触媒活性成分は、有機金属複合化合物、金属ナノ粒子、有機触媒、または例えば酵素のような生物触媒などであってもよい。加えて、イオン液体自体もまた反応のための触媒として機能し、溶解または懸濁された触媒の共触媒となることもできる。
【0004】
いわゆるSCILL(イオン液体相を有する固体触媒)概念の場合、イオン液体またはイオン液体を含有する組成物は、固体(予め形成された)触媒上に固定される。その結果、異種の触媒の特性が変化する。活性が一定のままであって、望ましい製品に有利な選択特性が劇的に増加されたことが観察される場合があった[J. Arras, M. Steffan, Y. Shayeghi, D. Ruppert, P. Claus, Green Chemistry 2009, 11, 716-723; U. Kernchen, B. Etzold, W. Korth, A. Jess, Chemical Engineering & Technology 2007, 30, 985-994]。
【0005】
上であげられた両方の概念は、例えばエアレーションまたはアンエアレーション懸濁反応器、気泡塔反応器、流動層反応器または固定層反応器のような既知の反応器設計の全てにおいて使用されることが可能である。非蒸発性のようなイオン液体の特定の特性は、SILP及びSCILL触媒を、固定層反応器において連続したガス相プロセスに特に適切にする。
【0006】
一般に、このような触媒組成物は、湿式化学含浸による現在の技術水準にしたがって製造される。イオン液体、及び、均一系触媒または金属触媒のようなさらなる(触媒活性)組成物は、適する溶媒(あるいは懸濁されたまたは乳化された溶液)中に溶解され、担体が加えられる。
【0007】
イオン触媒溶液での担体の均一なコーティングを得るために、現在の技術水準による方法では、溶媒の量は、用いられる担体物質の孔容積よりも大きい。結果として得られる懸濁液の溶媒は、その後ゆっくり除去される。視覚的に均一なコーティングを有する外部からの乾燥材料は、このようにして得られる。この方法のデメリットは、とりわけ要する時間が長いことである。しかしながら、溶媒がすぐに蒸発する場合には、溶解された成分は早期に沈殿され、その結果好ましくないコーティングとなる。空気中で懸濁液をためることにより、使用しているガスの流れを排出することにより、または、凍結乾燥することにより、溶媒の除去は実施されるが、これらの方法よりも要する時間は長い。溶媒の遅い蒸発は、重要である。なぜなら、溶媒の量は担体の孔容積よりも大きく、イオン液体の全てが担体の孔に位置するとは限らないためである。蒸発が早すぎる場合、イオン液体は制御できない態様で沈殿され、均一なコーティングは達成できない。この方法で均一なコーティングを得るためには、要する時間の長さが非常に大きくなる。
【0008】
溶媒の量が少ない場合、担体物質の孔容積と同じまたはそれより小さくなるので、初期湿式含浸が用いられる。この場合に要する時間の長さは、大幅に短いが、コーティングが不均一で、再現可能ではない。
【0009】
したがって、例えば、WO2006/122563A1は、ケイ酸塩の担体がコーティングのイオン液体溶液中で撹拌されるSILPの製造であって、溶媒が取り除かれた後にSILP触媒が得られる製造を開示している。
【0010】
同様に、US2005/0033102は、担持されたイオン液体の製造であって、担体がイオン液体に導入される製造を開示している。
【0011】
WO2006/122563A1と同様に、WO02/098560は、担持された組成物を製造するための方法であって、溶媒中に溶解されたイオン液体に導入することによりイオン液体が担体に塗布され、次いで溶媒の蒸発が実施される方法を開示している。固定されたイオン溶液は、WO01/32308と同様に製造される。
【0012】
EP1364936B1は、イオン液体と担体とを混合することにより、担持されたイオン液体の製造を開示している。
【0013】
要する時間が長く、コーティングがしばしば不均一で再現可能でないという欠点に加えて、現在の技術水準にしたがった方法は、粉末担体物質がコートされたときのみ、結果が出る。平板、球、錐体、輪、ストランド、中空ストランド、三葉形状、固体のシリンダー、中空シリンダーまたは粒のような成形された形状の場合、担体物質上のイオン触媒溶液の均質な分布は容易に実現できない。すなわち、イオン触媒溶液の分布は、明確に正しい位置に取り付けることができず、ランダムになる。これは、例えば溶媒に比べて強い表面張力、高い粘度のようなイオン溶液の特性に特に起因すると考えられる。コートされる担体粒子が小さくなればなるほど、その部分はファンデルワールス力による凝集効果により小さくなる。したがって、粉末の場合、コーティングの均質な分布が実現される。しかしながら、より複雑な形状の場合、イオン液体の上であげられた特性はより強くなり、その結果、コーティングの高い均一性は従来の方法では達成できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このように、本発明の目的は、担体物質及びイオン液体からなる複合材料を製造する方法を提供することであって、上であげた範囲の現在の技術水準に関連した欠点を有さず、特にコーティングを容易に実施でき、特定の成形された形状に適用でき、複合材料の形態が目標とされる態様になるようにすることである。
【0015】
それに加えて、本発明の目的は、粉末の担体の場合のみならず、より複雑な形状の担体の場合においても、均一なシェル(shell)厚みを有する非常に均質のコーティングが達成されるような複合材料を製造するための時間を節約した方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明にしたがった目的は、担体物質及びイオン液体を含有する複合材料を製造する方法を提供することにより達成され、イオン液体を含有する溶液、懸濁液、または乳濁液は、流動床で流動化された担体物質上に噴霧含浸(spray impregnation)により塗布される。
【0017】
Wasserscheid及びKeimの"Angewandte Chemie"(2000年, 112,3926〜3945ページ)により示された定義にしたがって、イオン液体は比較的低い温度で溶解する塩である。それゆえ、イオン液体は比較的低い温度ですでに液体である。加えて、一般的に、これらは可燃性でなく、測定可能な蒸気圧を有していない。
【0018】
本発明の構想内では、「イオン液体」という用語は、200℃以下、好ましくは150℃以下、特に好ましくは100℃以下の融点または融点範囲を有する塩を意味する。
【0019】
さらに、イオン液体のモル体積は、多くても400g/molであることが好ましく、多くても800g/molであることが特に好ましい。
【0020】
さらに、好ましいイオン液体は、有機性のカチオン、及び、有機性または無機性のアニオンを有する。イオン液体は陽イオン及び陰イオンで形成されるが、全体としては中性の電荷である。陽イオン及び陰イオンは、主に1価であるが、電荷が5以下、好ましくは4以下、特に好ましくは3以下、特に好ましくは2以下の多価のアニオン及び/またはカチオンであってもよい。それぞれのイオン内の電荷は、局在化していても、非局在化していてもよい。
【0021】
本発明は、特定のイオン液体で内面がコートされた複合材料に限定されず、全ての適したイオン液体を用いることができ、異なるイオン液体の混合物を含む。
【0022】
本発明の流動床または流動層は流動床装置または流動層装置の手段により実現可能である。この装置がいわゆる制御された空気滑走層を含むことが特に好ましい。1つのこととして、担体物質体は、制御された空気滑走層により十分に混合され、同時にこれらは軸の周りを回る。このために用いられるプロセスガスにより、担体物質体は均一に乾燥される。別のこととして、制御されたプロセスガス滑走層により引き起こされた担体物質の一定軌道運動のため、担体物質体が実質的に一定の頻度で噴霧するプロセスを通過する。イオン液体を含有する溶液は、頂部噴霧、底部噴霧(ワースター)または接線(ローターペレット)法を用いて塗布される。後にプロセスガスにより回転される上記方法で、流動床または流動層中に担体物質が存在することは、「流動床または流動層に流動された」という表現によっても意味される。
【0023】
担体物質は流動床または流動層で流動されて存在しているので、処理された一群の成形体のほとんど均一なシェル厚みが実現される。さらに、噴霧プロセスにより塗布されるイオン液体の濃度、または、本発明にしたがった溶液中に含有されるさらなる添加剤は、シェル厚みの比較的大きな領域にわたって比較的小さく変動する。すなわち、イオン液体濃度または任意の添加剤の濃度は、シェル厚みの大きな領域にわたる矩形関数を表し、これにより、成形された担体上に非常に均一な分布が保証される。好ましい実施形態にしたがった発明によれば、この方法を実施するための適した流動床装置、流動層装置は技術水準により知られており、例えば、Heinrich Brucks GmbH (Alfeld, Germany) ERWEK GmbH (Heusenstamm, Germany), Stechel (Germany), DRIAM Anlagenbau GmbH (Eriskirch, Germany), Glatt GmbH (Binzen, Germany), G. S. Divisione Verniciatura (Osteria, Italy), HOFER-Pharma Maschinen GmbH (Weil am Rhein, Germany), L. B. Bohle Maschinen + Verfahren GmbH (Enningerloh, Germany), Lodige Maschinenbau GmbH (Paderborn, Germany), Manesty (Merseyside, Great Britain), Vector Corporation (Marion, IA, USA), Aeromatic-Fielder AG (Bubendorf, Switzerland), GEA Process Engineering (Hampshire, Great Britain), Fluid Air Inc. (Aurora, Illinois, USA), Heinen Systems GmbH (Varel, Germany), Huttlin GmbH (Steinen, Germany), Umang Pharmatech Pvt. Ltd. (Maharashtra, India) and Innojet Technologies (Lorrach, Germany)により市販されている。
【0024】
「溶液」は、本発明の意味の範囲内では、イオン液体及び任意のさらに好ましい触媒活性のある添加剤が、対応する溶媒中に溶解されている溶液を意味する。本発明にしたがった「懸濁液」は、イオン液体が存在する懸濁液を意味する。本発明にしたがった「乳濁液」は、イオン液体がさらなる液体中に液状で存在する乳濁液を意味する。
【0025】
「担体物質」は、本発明の意味の範囲内では、流動床内に流動され、その組成、形状、大きさまたは形態に関係なく、全てのあり得る材料を意味する。担体物質は粉末形態であってもよいが、例えば、平板、球、錐体、輪、ストランド、中空ストランド、三葉形状、固体のシリンダー、中空シリンダーまたは粒のようないかなるタイプの固体の成形体であってもよい。担体物質は、例えば、予め成形された異成分の触媒のような触媒特性を有していてもよく、不活性であってもよい。
【0026】
担体物質は、高い歩留まりと選択性を有する粉末として懸濁液プロセスにおいて用いられる。典型的なこれらの粒子径は、10〜250μmであるが、例えば煤煙が用いられるときには、1μmよりもかなり小さい粒子も用いることができる。
【0027】
本発明にしたがった担体物質としての成形体は、例えば固定床で操作される触媒プロセスにおいて用いられることが好ましい。好ましい成形体は、0.5〜18mmの特有の直径、またはモノリス、及び同様の構造充填物を有する上述したすでに挙げられたものが好ましい(Ullmann's Enzyklopadie, 6th Edition, 2000 Electronic Release, Chapter Fixed-Bed Reactors, Par. 2: Catalyst for fixed-bed reactors)。
【0028】
担体物質自体が異質の多孔質触媒である場合、触媒の活性は、イオン材料でコートすることにより、非常に大きく低減されるので、2cm以下の直径の成形体、すなわち1mm〜2cm、好ましくは3mm〜1.5cm、さらに好ましくは8mm〜1.3cmの範囲の大きさの成形体は、生成物選択性の観点から大きなロスを受け入れることなく用いられる。これは、本発明にしたがった方法によってのみ得られる均一なシェルの厚み及び均一な分布により、特に保証される。したがって、好ましい成形体は、1mm〜2cm、好ましくは2mm〜1.8cm好ましくは4mm〜1.5cm、より好ましくは6mm〜1.2cmの直径または大きさを有する。
【0029】
本発明にしたがった担体物質は、イオン液体でコートされることが可能ないかなる材料であってもよい。担体物質は、酸化チタン、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭化珪素、ケイ酸マグネシウム、酸化亜鉛、ゼオライト、例えばカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーのようなナノ材料からなる群より選択される材料を備えることが好ましく、担体物質自体が異種の触媒である場合が好ましい。上述した酸化物の担体物質は、例えば、TiO2、SiO2、Al23、ZrO2、MgO、SiC2またはZnOのような混合酸化物または明確な組成物の形態で用いられることが好ましい。さらに、煤煙、アセチレンブラック、炭、グラファイト、ハイドロタルサイト、さらにまた、当業者にとってそれ自体が既知の担体物質は、異なる可能な変形で用いられてもよい。担体物質は、例えば、アルカリまたはアルカリ土類金属、または、リン、ハロゲン化物及び/または硫酸塩を添加されることが好ましい。一般的に、酸塩基の特性は、このような添加により修正され、触媒特性に好ましい効果を有することができる。
【0030】
加えて、本発明にしたがった担体物質は、異種のバルク触媒または担持触媒であってもよく、例えば、可変量の銅/酸化亜鉛/酸化アルミニウム、銅/酸化亜鉛、銅/酸化クロム/二酸化珪素、銅/酸化クロム/酸化マグネシウム、コバルト/二酸化珪素、コバルト/珪藻土、ニッケル/酸化アルミニウム、ニッケル/二酸化珪素、ニッケル/珪藻土、 パラジウム/活性炭、白金/活性炭、パラジウム/グラファイト、パラジウム/酸化アルミニウム、パラジウム/銀/酸化アルミニウム、パラジウム/炭酸カルシウム、パラジウム/硫酸バリウム、白金/酸化アルミニウム、ロジウム/活性炭、ロジウム/酸化アルミニウム、イリジウム/炭酸カルシウム、ルテニウム/活性炭、ルテニウム/グラファイト、金/酸化チタンを有する組成物、または、活性炭、グラファイト、二酸化珪素、酸化アルミニウム、珪藻土、酸化チタン、硫酸セリウム、酸化ジルコニウムの1種の担体物質上への不確定な割合のパラジウム、白金、銀、金、ロジウム、イリジウムの金属の混合物または合金のようなものである。触媒は、例えば、アルカリまたはアルカリ土類塩または酸化物、あるいは、リン、ハロゲン化物及び/または硫酸塩を添加されることが好ましい。一般的に、酸塩基性の特性はこのような添加により修正され、触媒特性に好ましい効果を有することができる。
【0031】
本発明の意味の範囲内での噴霧含浸は、例えば噴霧ノズルを介して、噴霧化により担体物質へ、溶液、懸濁液または乳濁液を塗布することが可能ないかなる方法を含む。
【0032】
本発明のさらなる実施形態によれば、本発明にしたがった方法の溶液は、触媒活性成分またはその成分の前駆体を含有することが好ましい。触媒活性成分は、均一系触媒または金属ナノ粒子であることが好ましく、例えば、パラジウム、ロジウム、イリジウム、白金、銅、銀、金、ルテニウム、鉄、その混合物、またはその合金である。均一系触媒は、当業者に既知であり、均一相における化学反応の触媒に適切である全ての成分であってもよい。
【0033】
本発明のさらなる実施形態において、担体物質は触媒活性物質を備えることが好ましい。可能な触媒活性材料は、上述したものである。
【0034】
本発明にしたがったさらなる実施形態において、本発明にしたがった方法の溶液は、少なくとも1種の添加物をさらに含有していることが好ましい。好ましい添加物は、混合された官能性を有するモノ、ジ、トリのようなアミン配位子、ホスファン、アルサンまたはスチバン、またはブレンステッド酸または塩基、ルイス酸または塩基、LiBr、CsBr、CaCl2、金属酸化物のような塩である。
【0035】
すでに述べたように、さらなる実施形態の担体物質において、本発明にしたがった担体物質は、プロセスガスを用いて流動床中に流動されることが好ましい。プロセスガスは、流動床反応器または流動層反応器中の担体物質を旋回させ、これにより流れを生じさせるガスを意味する。プロセスガスは、反応性ガスでも不活性ガスであってもよい。空気の形態を含む酸素または水素は、反応性ガスとして勘案される。前駆体化合物から元素金属へ還元される触媒活性金属を触媒担体が含有する場合、または存在する元素金属が再酸化されない場合に、特に、水素またはフォーミングガス(N2及びH2の混合物)は、プロセスガスとして勘案される。全ての既知の不活性ガスは不活性ガスとして用いることができ、好ましくは窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオンであり、特に好ましくは窒素またはアルゴンである。本発明にしたがったさらなる実施形態において、噴霧含浸は、好ましくは20〜140℃の範囲、特に好ましくは30〜100℃の範囲、より好ましくは35〜80℃の範囲、最も好ましくは35〜70℃の範囲の温度で生じる。非常に好ましい実施形態において、噴霧含浸は、40〜60℃の範囲の温度で生じる。温度が高すぎる場合の欠点は、イオン液体の気化ガス圧が増加するので、歩留まりが低下することである。温度が低すぎて、粘度が高すぎて、表面張力が強すぎる場合には、その結果として、担体上への均一なシェル厚みにおいて、イオン液体は均一に分布されない。
【0036】
本発明にしたがった方法のさらに好ましい実施形態によれば、溶液の塗布中、例えば、加熱されたプロセス空気の手段によって、担体部材は加熱される。塗布される溶液の蒸発スピードは、担体物質の加熱の程度によって、決定される。例えば比較的低い温度で蒸発スピードが比較的低いと、その結果として、対応する量の塗布で、溶媒の発生による前駆体化合物の高拡散のため、シェル厚みが大きくなる。例えば比較的高い温度で蒸発スピードが比較的高いと、溶液の溶媒はほぼすぐに蒸発する担体物質と接触し、これは、担体物質に塗布される溶液が後者に深く浸透することができない理由である。このように、高いイオン液体付着の場合には、比較的高い温度では比較的小さなシェル厚みが得られる。
【0037】
本発明のさらなる実施形態において、噴霧含浸は、好ましくは0.1〜3barの範囲、特に好ましくは0.5〜2barの範囲、より好ましくは0.8〜1.5barの範囲、非常に好ましくは0.9〜1.1barの範囲の圧力で実施される。圧力が高すぎる場合の欠点は、密度及び表面張力が増加することである。圧力が低すぎる場合には、イオン液体の気化ガス圧力が増加し、その結果、歩留まりが低下する。
【0038】
本発明にしたがったさらなる実施形態において、溶液の全重量に対して、好ましくは1〜10wt%、より好ましくは1.5〜8wt%、さらに好ましくは2〜6wt%、もっとも好ましくは3〜5wt%の範囲で、イオン液体は溶液中に存在する。イオン液体の濃度が低すぎると、同じ量のイオン液体を塗布するために要する流動床または流動層における噴霧時間が増加する。濃度が高すぎると、不均一なシェル厚みのコーティングになる。
【0039】
結果としてアニオン及びカチオン溶媒和になり得、これにより溶解する全ての溶媒は、イオン液体の溶媒として考慮される。多孔質の溶媒は特に好ましく用いられ、例えば、水、DMSO、アセトン、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトニトリル、ジクロロメタン、t−ブチルメチルエーテル、DMF、またはそれらの混合物などが挙げられ、水が特に好ましい。
【0040】
本発明のさらなる実施形態において、噴霧含浸は、1分1グラムの担体物質当たり溶液0.01〜0.2mlの範囲、より好ましくは1分1グラムの担体物質当たり溶液0.03〜0.15mlの範囲、さらに好ましくは1分1グラムの担体物質当たり溶液0.05〜1.2ml、最も好ましくは1分1グラムの担体物質当たり溶液0.06〜0.09mlの範囲の配送率(delivery rate)で実施される。言い換えると、特定の量の担体物質のための1分当たり特定の量の溶液が、噴霧含浸により担体物質に塗布される。配送率が高すぎる場合には、不均一なシェル厚みになる。配送率が遅すぎる場合には、時間がかかり、コストがかかる。
【0041】
複合材料は、好ましくは40℃以上、特に好ましくは45℃以上、最も好ましくは50℃以上の温度で、噴霧含浸後に乾燥される。
【0042】
別の実施形態において、コーティングされずイオン液体を有する担体物質のBET表面積は、1〜1000m2/gであることが好ましく、1〜600m2/gであることが好ましく、1〜400m2/gであることが特に好ましい。BET表面積は、DIN66132にしたがった窒素吸着による一点法を用いて決定される。
【0043】
イオン液体(IL=ionic liquid)のコーティングを有する担体物質のBET表面積は、1〜900m2/gであることが好ましく、1〜550m2/gであることがより好ましく、1〜380m2/gであることが特に好ましい。
【0044】
加えて、ILコーティングなしの担体物質の総孔容積(DIN66133にしたがって決定される(Hgポロシメータ))は、0.1ml/gより大きいことが好ましく、0.18ml/gよりも大きいことがより好ましい。
【0045】
本発明にしたがった複合材料の好ましい実施形態によれば、ILコーティングがない担体物質の孔容積の10%以下は、2nm未満の半径の孔で形成され、好ましくは8%、好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下である。非常に小さい孔の割合が大きいと、望ましくない不均一のコーティングになり、小さい孔は、イオン液体の強い表面張力及び粘度のために充填することが難しい。
【0046】
本発明にしたがった複合材料のさらに好ましい実施形態によれば、ILコーティングがない担体物質の孔容積の10%以下は、500nmを超える半径の孔で形成され、好ましくは8%以下であり、好ましくは6%以下であり、特に好ましくは5%以下である。本発明にしたがった複合材料のさらに好ましい実施形態において、ILコーティングがない担体物質の孔の平均半径は、10〜100nmである。大きい孔の割合が大きすぎることも不利であり、イオン液体がここに集まって、その結果不均一なコーティングになる。
【0047】
それに加えて、本発明にしたがった複合材料の好ましい進展によれば、ILコーティングを有する担体物質の孔の平均半径は、3〜100nmである。
【0048】
原理上は、本発明の構想内では、本発明にしたがった触媒は、イオン液体でコートされるので、カチオンはいかなるタイプであってもよい。一般的に、例えばアンモニウムまたはホスホニウムイオンのように、少なくともリンまたは窒素原子を有し、酸素原子または硫黄原子を任意に有する、少なくとも5または6員環を含有するカチオンは、カチオンとして好ましい。1、2または3窒素原子及び硫黄または酸素原子を有する少なくとも1種の5または6員環を含有するカチオンは、特に好ましい。1または2の窒素原子を有する少なくとも1種の5または6員環を含有するカチオンは、特に好ましい。
【0049】
イオン液体のカチオンは、以下の一般式IL−1〜IL−23の化合物から選択されることが好ましい。
【化1】








1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10基は、いずれの場合にも互いに独立した基であってもよく、水素、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、水素、ヘテロ原子−及び/またはヘテロ環状−の置換C1-C18アルキル、1以上の隣接しない酸素原子及び/または硫黄原子及び/または1以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により遮断されたC2−C18アルキル、1以上の隣接しない酸素原子及び/または硫黄原子及び/または1以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により遮断されたC6−C12アリール、1以上の隣接しない酸素原子及び/または硫黄原子及び/または1以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により遮断されたC5−C12シクロアルキル、酸素、窒素及び/または硫黄原子を含有する5から6員環のヘテロ環からなる群より選ばれる基である。
上述した環の2つは、1以上の酸素及び/または窒素原子及び/または置換されたまたは置換されていないイミノ基により選択的に遮断された、不飽和または飽和のリングセグメントの構造により生じる互いを結び付けられ、リングセグメントは官能基アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン及び/またはヘテロ環状基である。
それに加えて、R4は、C1−C18アルキロイル、C1−C18アルキルオキシカルボニル、C5−C12シクロアルキルカルボニル及びC6−C12アルキロイルからなる群から選ばれる基から選択される。上述の群の基は、いずれの場合にも、1以上の官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/またはヘテロ環状により置換されてもよく、C1-C18、C5-C12、またはC6-C12はアルキル鎖である。
【0050】
ここでは、官能基という用語は、次の官能基を意味する。アリール−、アルキル−、アリールオキシ−、ハロゲン−、ヘテロ原子−及び/または ヘテロ環状−置換C1−C18アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、アルファ−アルファ−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチル−フェニル)−エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)−エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジ−ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサ−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、クロロメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシプロピル、6−ヒドロキシプロピル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ-2,2−ジメチルエチル1,2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、または6−エトキシヘキシル、1以上の隣接しない酸素及び/または硫黄原子及び/または1以上の置換されたまたは置換されていないイミノ基により遮断されたC2−C18アルキル、例えば、5−ヒドロキシ−3−オキサ−ペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサ−オクチル、11−ヒドロキシ-3,6,9−トリオキサ−ウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサ−ヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサ−ウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサ-ペンタデシル、9−ヒドロキシ−5−オキサ−ノニル、14−ヒドロキシ−5,10−オキサ−テトラデシル、5−メトキシ−3−オキサ−ペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサ−オクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサ−ウンデシル、7−メトキシ−4−オキサ−ヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサ−ウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサ−ペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサ−ノニル、14−メトキシ−5,10−オキサ−テトラデシル、5−エトキシ−3−オキサ−ペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサ−オクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサ−ウンデシル、7−エトキシ−4−オキサ−ヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサ−ウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサ−ペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサ−ノニル、及び14−エトキシー5,10−オキサ−テトラデシル。
【0051】
2つの基が互いに環を形成している場合、好ましくは、これらの基は、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−プロピレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロペニレン、1−アザ−1,3−プロペニレン、1−C1−C4−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ-1,3−ジフェニレン(dienylene)、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジフェニレン、または2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジフェニレンを意味する。
【0052】
イオン液体の好ましいカチオンにおいて、酸素及び/または硫黄原子及び/またはイミノ基の数は、限定されない。概して、基に対して5以下、好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。さらに、これらは、ヘテロ原子間において、少なくとも1、特に好ましくは少なくとも2のカーボン原子である。
【0053】
好ましいイミノ基は、例えば、イミノ、メチルイミノ、イソ−プロピルイミノ、n−ブチルイミノ、または tert−ブチルイミノである。
【0054】
さらに、官能基は、以下の官能基の群を意味する。カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ジ−(C1−C4−アルキル)アミノ、C1−C4−アルキルオキシカルボニル、シアノ、C1−C4−アルキルオキシ、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/またはヘテロ環、例えば、フェニル、トリル、アルファ−ナフチル、ベータ−ナフチル、4−ビフェニルイル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソ−プロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジエトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−または4−ニトロフェニル、2,4−または2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル、またはエトキシエチルフェニルにより置換されたC6−C12アリール、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/またはヘテロ環、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル(butylthiocyclohexyl)、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、またはジクロロシクロペンチル、により置換されたC5−C12シクロアルキル、例えばノルボルニルまたはノルボルネニルなどの飽和または不飽和の二環系、例えば、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾオキサドリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル、またはtert−ブチルチオフェニルなど、酸素、窒素、及び/または硫黄原子を含有する5〜6員環のヘテロ環、及び、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、またはtert−ブチルなどのC1−C4アルキル。
【0055】
1−C18アルキロイル(アルキルカルボニル)は、例えば、アセチル、プロピオニル、n−ブチロイル(butyloyl)、sec−ブチロイル、tert−ブチロイル、2−エチルヘキシルカルボニル、デカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、またはトリフルオロアセチルなどであってもよい。
【0056】
1−C18アルキルオキシカルボニルは、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、sec−ブチルオキシカルボニル、tert−ブチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルなどであってもよい。
【0057】
5−C12シクロアルキルカルボニルは、例えば、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニルまたはシクロドデシルカルボニルなどであってもよい。
【0058】
5−C12アルキロイル(アルキルカルボニル)は、例えば、ベンゾイル、トルイル、キシロシル(xyloyl)、アルファ−ナフトイル、ベータ−ナフトイル、クロロベンゾイル、ジクロロベンゾイル、トリクロロベンゾイルまたはトリメチルベンゾイルなどであってもよい。
【0059】
1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、互いに独立したそれぞれの場合、水素、メチル、エチル、n−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−シアノエチル、2−メトキシカルボニル)−エチル−、2−エトキシカルボニル−エチル、2−n−ブトキシカルボニル−エチル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、または塩素であることが好ましい。
【0060】
4は、メチル、エチル、n−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−メトキシカルボニル−エチル、2−エトキシカルボニル−エチル、2−n−ブトキシカルボニル−エチル、アセチル、プロピオニル、t−ブチリル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、またはn−ブトキシカルボニルであることが好ましい。
【0061】
特に好ましいアンモニウムイオン(IL−1)は、互いに独立し、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、R1、R2及びR3が、メチル、エチル、n−ブチル、2−ヒドロキシエチル、ベンジル、またはフェニルから選択されるものである。
【0062】
特に好ましいホスホニウムイオン(IL−2)は、互いに独立し、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、R1、R2及びR3が、フェニル、フェノキシ、エトキシ及びn−ブトキシから選択されるものである。
【0063】
特に好ましいピロリジニウムイオン(IL−3)は、互いに独立し、R3及びR4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、全ての他の基が水素を意味するものである。
【0064】
特に好ましい1−ピラゾリウム(pyrazolinium)イオンは、互いに独立し、R4と別の全ての基が、水素またはメチルから選択され、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択されるものである。
【0065】
特に好ましい2−ピラゾリウム(pyrazolinium)イオン(IL−5)は、互いに独立し、R5が、水素、メチル、エチル、またはフェニルから選択され、R4がアセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、残りの基が、水素またはメチルから選択されるものである。
【0066】
特に好ましい3−ピラゾリウム(pyrazolinium)イオン(IL−6)は、互いに独立し、R3及びR5が、水素、メチル、エチル、またはフェニルから選択され、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、残りの基が、水素またはメチルから選択されるものである。
【0067】
特に好ましい1H−ピラゾリウム(pyrazolium)イオン(IL−7)は、互いに独立し、R5が、水素、メチル、またはエチルから選択され、R1、R2及びR3が、水素またはメチルから選択され、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択されるものである。
【0068】
特に好ましい3H−ピラゾリウム(pyrazolium)イオン(IL−8)は、互いに独立し、R2が、水素、メチル、またはエチルから選択され、R1、R3及びR5が、水素またはメチルから選択され、R4が、アセチル、メチル、エチルまたはn−ブチルから選択されるものである。
【0069】
特に好ましい4H−ピラゾリウム(pyrazolium)イオン(IL−9)は、互いに独立し、R1、R2、R3及びR5が、水素またはメチルから選択され、R4が、アセチル、メチル、エチルまたはn−ブチルから選択されるものである。
【0070】
特に好ましいイミダゾリニウムイオン(IL−10)は、互いに独立し、R5またはR6が、水素、メチル、またはエチルから選択され、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、残りの基が、水素またはメチルから選択されるものである。
【0071】
特に好ましいイミダゾリニウムイオン(IL−11)は、互いに独立し、R5、R6またはR7が、水素、メチル、またはエチルから選択され、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、残りの基が、水素またはメチルから選択されるものである。
【0072】
特に好ましいイミダゾリニウムイオン(IL−12)は、互いに独立し、R3またはR7が、水素、メチル、エチル、n−ブチルまたはフェニルから選択され、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、R5またはR6が、水素、メチル、またはエチルから選択され、R1またはR2が、水素またはメチルから選択されるものである。
【0073】
特に好ましいイミダゾリニウムイオン(IL−13)は、互いに独立し、R1が、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、m−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、2−ヒドロキシエチル、及び2−シアノエチルからなる群より選択され、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、残りの基が、互いに独立し、水素、メチルまたはエチルから選択されるものである。
【0074】
特に好ましい1,2,4−トリアゾリウムイオン(IL−14)及び(IL−15)は、互いに独立し、R1またはR2、または、R1またはR3が、水素、メチル、エチルまたはフェニルから選択され、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、R3またはR2が、水素、メチル、またはフェニルから選択されるものである。
特に好ましい1,2,3−トリアゾリウムイオン(IL−16)及び(IL−17)は、互いに独立して、R3またはR1が、水素、メチル、またはエチルから選択され、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、R1またはR2、または、R2またはR3が、水素またはメチルから選択され、R1及びR2、または、R2及びR3が、1,4−ブタ−1,3−ジフェニレン(dienylene)から選択され、全ての他の基が、水素であるものである。
【0075】
特に好ましいトリアゾリウムイオン(IL−18)またはオキサドリウムイオン(IL−19)は、互いに独立して、R1が、水素、メチル、エチルまたはフェニルから選択され、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、R2またはR3が、水素またはメチルから選択されるものである。
【0076】
特に好ましいピリジニウムイオン(IL−20)は、R1、R2、R3、R5及びR6基の1つが、メチル、エチル、または塩素から選択され、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、全ての他の基が、水素であり、R1はジメチルアミノであり、R4がアセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルであり、全ての他の基が水素であり、またはR4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルから選択され、全ての他の基が水素であり、または、R2がカルボキシまたはカルボアミドであり、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルであり、全ての他の基が水素であり、または、R2及びR3またはR2及びR1が、1,4−ブタ−1,3−ジフェニレン(dienylene)であり、R4がアセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルであり、全ての他の基が水素であるものである。
【0077】
特に好ましいピリジニウムイオン(IL−21)は、R1、R4及びR5が、水素またはメチルであり、R4がアセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルであり、R3が水素、メチルまたはエチルであり、またはR2及びR5がメチルであり、R1が水素であり、R3が水素、メチル、またはエチルであり、R4がアセチル、メチル、エチルまたはn−ブチルであるものである。
【0078】
特に好ましいピリジニウム(IL−22)は、R1、R2、R3及びR5基の1つが、メチルまたはエチルであり、R4が、アセチル、メチル、エチルまたはn−ブチルであり、全ての他の基が水素であり、または、R4がアセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルであり、全ての他の基が水素であるものである。
【0079】
特に好ましいピリジニウムイオン(IL−23)は、R1、R2、R3及びR5が、全てメチルであり、R4がアセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルであり、または、R4が、アセチル、メチル、エチル、またはn−ブチルであり、全ての他の基が水素であるものである。
【0080】
上述したカチオン群IL−1〜IL−23、指定されたアンモニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、及びイミダゾリウムイオンは、特に好ましい。
【0081】
1,2−ジメチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1−メチル−2−エチル−6−メチルピリジニウム、N−メチルピリジニウム、1−ブチル−2−メチルピリジニウム、1−ブチル−2−エチルピリジニウム、1−ブチル−2−エチル−6−メチルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム、1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1−3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、3,4−ジメチルイミダゾリウム、2−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、3−メチル−2−エチルイミダゾール、3−ブチル−1−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−1−エチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,2−ジアルカリイミダゾリウム(dimeraylimidazolium)、1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,4−ジメチルイミダゾリウム、3−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1,3−ジブチル−2−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−4−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウム及び3−ブチル−2−エチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムは、カチオンとして非常に好ましい。
【0082】
1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、及び1−n−ブチル−3−エチルイミダゾリウムは、特に好ましい。
【0083】
ジアザビシクロノネンまたはジアザビシクロウンデセンから抽出されたカチオンも可能である。
【0084】
上記実施形態に類似して、イオン液体のアニオンは、いかなるタイプであってもよい。しかしながら、イオン液体のアニオンは、F-、Cl-、Br-、I-、PF6-、BF4-、アルキル硫酸、好ましくはC1〜C18アルキル硫酸、エーテル硫酸、アセテート、トリフルオロアセテート、トリフレート、ナノフレート、硫酸塩、硫酸水素塩、メチル硫酸塩、エチル硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、アルミニウム、塩化物、好ましくはAlCl4-、Al2Cl7-またはAl3Cl10-、アルミニウム三臭化物、亜硝酸塩、硝酸塩、金属錯体、例えば、銅塩化物CuCl2-のような金属ハロゲン化物、リン酸肥料、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素、ジメチルリン酸塩、ジエチル亜リン酸塩、とリス(ペンタフルオロエチルラジカル)トリフルオロホスファート、炭酸塩、炭酸水素塩、メチル炭酸塩、スルホン酸塩、トシレート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、 ジシアナミド、テトラシアノホウ素、シアン化物、イソシアン酸塩及びイソチオシアン酸塩からなる群より選択されることが好ましい。
【0085】
エーテル硫酸塩は、一般式の存在する化合物を意味する。
【化2】

nは、1〜8の整数であり、Rは、C1〜C18のアルキル基である。
【0086】
上述したように、イオン液体及びさらに任意の添加剤を有する溶液、乳濁液または懸濁液、好ましくは溶液は、流動層装置の流動層または流動床装置の流動床へ噴霧される。溶液、乳濁液または液体、より特定的にはイオン液体の成分は、プロセスガスで旋回することにより装置の流動層または流動床に閉じ込められる。担体物質は、同様に、流動層装置または流動床装置の流動層または流動床において配置される。このようにして、溶液、乳濁液または懸濁液とともに噴霧されるイオン液体または任意の添加剤は、担体物質の表面に塗布されることが可能であり、その結果、本発明にしたがった方法は、イオン液体または任意の添加剤の損失が小さく実施される方法であるという点で有利である。それに加えて、本方法は従来の方法よりも早く、再現可能であり、廃水が不要である。イオン液体は、通常、非常に強い表面張力を有しているので、流動層または流動床装置内で旋回中に微粒化した後に、ガス流において塊になりやすいとこれまでは考えられ、その結果、このような方法はイオン液体を担体物質、特に複雑な形状を有する担体物質の表面に均一に塗布することは適していないと推定されていた。本発明にしたがった方法を用いることで、これらの不利益が発生しないことを驚くべきことに見出した。このように、本発明にしたがった方法によって、担体物質の表面上の層の厚み及び分布の均一性は、上であげられたパラメータに対応する設定により、適宜設定される。
【0087】
本発明は、本発明にしたがった上述した方法により得られる複合材料にも関する。本発明にしたがった方法による製造を経ることにより、例えばその中に位置された均一系触媒のように、その中に位置されたイオン液体及びいかなる添加剤は、担体物質の表面上に極端に均一に分布されるという利点を本発明の複合材料は有する。
【0088】
本発明は、本発明にしたがった複合材料、または、本発明にしたがった方法において製造される複合材料の合成触媒としての使用にも関連する。複合材料は、不飽和炭化水素化合物の水素化における触媒として用いられることが好ましい。これは、多価飽和の炭化水素化合物の触媒の選択的な水素化であることが好ましい。この一例は、アセチレンからエチレンへの水素化またはブタジエンからブテンへの水素化である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】用いられた均一系触媒の分布が見られた走査電子顕微鏡の画像を示す。
【図2】ブチルジメチルイミダゾリウムトリフラートの分布が見られた走査電子顕微鏡の画像を示す。
【図3】均一系触媒が見られた走査電子顕微鏡の画像を示す。
【図4】イオン液体の分布を有する走査電子顕微鏡の画像を示す。
【図5】得られた製品の走査電子顕微鏡の画像を示す。
【図6】走査電子顕微鏡の画像を示す。
【図7】それぞれのケースにおいて引き出された距離R1〜R3とともに使用される担体球の平面図を示す。
【図8】平面において、担体上のイオン液体の分布の走査電子顕微鏡の画像を示す。
【図9】側面において、担体上のイオン液体の分布の走査電子顕微鏡の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
実施例
以下の例は、本発明にしたがった方法または本発明にしたがった複合材料に限定されるものではなく、単に一例として示す。
【0091】
実施例1:
ズード−ケミー アーゲーから得られるKA−160担体球(5〜6mm)を10wt%の1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフラートイオン液体(BMMIM[OTF])及び14wt%の均一系な触媒[Et3(Bz)N][Ru(CO)3Cl3]に含浸させる方法である。
【0092】
7gのイオン液体、3.58gのルテニウムトリカルボニルジクロライド及び6.38gのベンジルトリエチルアンモニウムクロライドは、500mlの丸底フラスコに秤量される。150gの蒸留水が混合物に加えられる。黄色の溶液が形成される(総質量167g)。この溶液は、超音波洗浄機で5分間撹拌され、30℃に加熱される。
【0093】
70gの担体物質KA−160は、空気を用いて流動床装置内で流動され、異なるプロセス条件下、触媒溶液で含浸される。
a)配送率(Delivery rate):5ml/min
プロセス温度: 80℃
圧力: 1.0bar
【0094】
噴霧含浸による触媒溶液の全ての塗布後、80℃で30分さらに担体は乾燥される。87.0gの乾燥した黄色の材料が得られる。元素分析によるルテニウム及び窒素量の定量の結果は、以下の通りである。
Ru: 1.61%(1.62%と計算される)
N: 7.21%(7.22%と計算される)
【0095】
このことから、活性成分(イオン液体、均質の触媒)の損失は、非常に小さい。得られた乾燥触媒は、走査電子顕微鏡の手段により、錯体触媒と同様にイオン液体(透明な領域)の分布を調べられる。
【0096】
図1は、用いられた均一系触媒の分布が見られた走査電子顕微鏡の画像を示す。
【0097】
図2は、ブチルジメチルイミダゾリウムトリフラートの分布が見られた走査電子顕微鏡の画像を示す。用いられた条件下では、約120μmのシェル厚みのシェル触媒(卵殻)が結果的に得られる。図1及び2の画像を比較から見られるように、イオン液体及び均一系触媒は同一の貫通深さを有し、用いられた溶液において均一な混合物を示す。
【0098】
実施例2:
実施例1と同様の方法で実施され、プロセス温度が60℃まで低減された点において異なっていた。均一系触媒の分布は図3に見られ、図3は、均一系触媒が見られた走査電子顕微鏡の画像を示す。図4は、イオン液体の分布を有する走査電子顕微鏡の画像を示す。イオン液体及び均一系触媒の画像において見られるシェル厚みのそれぞれは、940または930μmである。
【0099】
実施例3:
実施例1と同様の方法で実施され、プロセス温度が40℃まで低減された点において異なっていた。得られた製品の走査電子顕微鏡の画像を示す図5からわかるように、イオン液体は担体上に非常に均一に分布されている。
【0100】
実施例4:
実施例1と同様の方法で実施され、噴霧圧力が1.2barまで増加された点において異なっていた。図6において示される走査電子顕微鏡の画像は、担体上のイオン液体の均一な分布を示す。
【0101】
実施例5:
実施例5において、実施例1において製造された複合材料は、以下の条件の水での含浸後のものであった。
配送率(Delivery rate):5ml/min
プロセス温度: 80℃
噴霧圧力: 1.0bar
水の量: 150ml
成分のその結果または分布を表1に示す。
【0102】
実施例6:
実施例5と同様に含浸が実施され、それぞれ150mlの水で含浸が2回実施される点において異なっていた。その結果を同様に表1に示す。
【0103】
実施例7:
実施例5と同様に含浸が実施され、それぞれ150mlの水で3回実施される点において異なっていた。その結果を同様に表1に示す。
【0104】
実施例8:
実施例5と同様に含浸が実施され、それぞれ150mlの水で1回実施される点において異なっていた。その結果を同様に表1に示す。
【0105】
実施例9:
実施例1と同様の複合材料の製造方法が実施され、150mlの水の代わりに75mlの水が用いられた点において異なっていた。
【0106】
上で挙げられた実施例1〜9は、巨視的な担体物質上の成分の分布は、プロセス条件(卵殻、均一、卵白、卵黄)のターゲットとされた選択により設定されることができる。それに加えて、異なる活性成分は、連続する含浸(多重シェル)によりシェル内に塗布されてもよい。
【0107】
以下の表1において、距離(R1〜R3)は、実施例1〜9の塗布された成分の分布を示すために与えられる。図7は、それぞれのケースにおいて引き出された距離R1〜R3とともに使用される担体球の平面図を示し、参照符号1は距離R1を、参照符号2は距離R2を、参照符号3は距離R3を意味する。距離R1は、対応する層が始まる担体の深さを示す。距離R2は、担体における対応する層の深さを示す。距離R3は、この層が担体にどれくらい深く延在するかを示す。表1を用いて、温度が高いほど、シェルが薄いことがわかる。圧力が増加すると、シェルは薄くなる。水での含浸後により、担体の内部へ層が深くなる。
【0108】
【表1】

【0109】
実施例10:
酸化アルミニウム錠剤(CTR 4x4 mm)を10wt%のイオン液体1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフラート(BMMIM[OTf])に含浸させる方法である。
7gのイオン液体、3.58gのルテニウムトリカルボニルジクロライド及び6.38gのベンジルトリエチルアンモニウムクロライドは、500mlの丸底フラスコに秤量される。150gの蒸留水が混合物に加えられる。黄色の溶液が形成される(総質量167g)。この溶液は、超音波洗浄機で5分間撹拌され、軽く加熱される。
【0110】
70gの担体材料KA−160は、プロセスガスを用いて流動床装置内で流動され、以下のプロセス条件下、触媒溶液で含浸される。
a)配送率(Delivery rate):5ml/min
プロセス温度: 80℃
圧力: 1.0bar
【0111】
図8は、平面において、担体上のイオン液体の分布の走査電子顕微鏡の画像を示す。図9は、側面において、担体上のイオン液体の分布の走査電子顕微鏡の画像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体物質及びイオン液体を含有する複合材料を製造する方法において、
イオン液体を含有する溶液、懸濁液または乳濁液は、流動層または流動床において流動された担体物質上に噴霧含浸により塗布されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
該溶液は、触媒活性成分またはその前駆体化合物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該担体物質は、触媒活性材料を備えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該溶液は、少なくとも1種の添加剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該担体物質は、粉体形状または成形体の形状で存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該担体物質は、流動床内のプロセスガスにより流動されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該噴霧含浸は、20〜140℃の範囲の温度で実施されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
該噴霧含浸は、0.1〜3barの範囲の圧力で実施されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該イオン液体は、該溶液の全重量に対して1〜10wt%の範囲で該溶液に含まれることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
該噴霧含浸は、1分1gの担体物質当たり、0.01〜0.2mlの範囲の配送率で実施されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該噴霧含浸後に、該複合材料は40℃以上の温度で乾燥されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
上述した請求項のいずれか1項に記載の方法により得られる、複合材料。
【請求項13】
不飽和炭化水素化合物の水素化における触媒として使用される、請求項12に記載の複合材料の使用。
【請求項14】
多価不飽和炭化水素化合物の選択水素化における、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
アセチレンからエチレン、またはブタジエンからブテンへの選択水素化における請求項14に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−509286(P2013−509286A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535675(P2012−535675)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006561
【国際公開番号】WO2011/050953
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(508131358)ズード−ケミー アーゲー (30)
【Fターム(参考)】