説明

複合材料を形成するための組成物

【課題】改良された機械加工可能性を有し、ほとんどダストを生じさせず、より速い速度で切削でき、かつ製造されたモデルが寸法的に安定であり、鮮鋭で精密なエッジを維持しうる、石膏を含む組成物を提供する。
【解決手段】成分Aと成分Bとの混合物を含む複合材料を形成のための組成物及び方法であって、成分Aは、石膏及び抑制剤を含み、及び成分Bは促進剤を含み、更に、成分A及び成分Bの少なくとも一方は−23℃よりも低いTを有するポリマーバインダーを含み、又は硬化したとき複合材料のショアーD硬度が70よりも小さい。該方法は、成分Aの第一スラリー混合物と成分Bの第二スラリーとを提供する工程、並びに10:1〜1:2の重量比を使用し、第一スラリー混合物と第二スラリー混合物とをブレンドして、軟質複合物を形成する工程が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
工業用工具製作及び原型製作の分野において、石膏プラスターは、モデル及び型を作るためのよく知られた材料である。硫酸カルシウム半水和物プラスターは、使用するのに安全でかつ簡単であり、石膏から作られたオーバーサイズモデルは、正確な原型にCNC機械加工することができる。CNCは、コンピュータ数値制御として定義され、特に、複雑な部品を製造することを目的とする、機械工具のコンピュータ制御を指す。しかしながら、石膏の欠点の一つは、プラスターを水と混合する段階における、埃っぽい粉末の取扱いである。更に、単純なプラスターは、それらが機械加工される場合に、大量の微細な粉塵を発生し、粉塵は作業者にとって刺激物になり得、並びにCNC機械の光学的諸特性を妨害し得る。固まった石膏は、多くの場合脆く、従って、機械加工されたモデルから型を作るために必要な取扱いの過程で、割れたり又は欠けたりする傾向がある。
【0002】
機械加工可能な媒体の一種は、エポキシペースト、例えば、Huntsman Advanced Materials社(ミシガン州イーストランシング)によってRenPaste(商標)の名称で販売されているもの、並びにAxson社(ミシガン州イートンラピッズ)によって製造されたSC165である。これらのペーストは通常、ポリウレタン又は発泡ポリスチレン(EPS)フォームから成るモデリングボードの上に適用される。ペーストが硬化した後、これらはCNC機械加工され得る。しかしながら、エポキシ成分は、毒性を有する可能性があり、適用に手間取り、及び高価である。
【0003】
幾つかのポリマー変性石膏もまた、機械加工可能な媒体として知られている。例えば、米国特許第5,534,059号(Immordino)には、プラスター、デンプン及び水−再分散性粉末ポリマーを含有する混合物が記載されている。このポリマー添加物は、強度を増強させ、そしてダストを減少させる。この混合物は、キャスティング及び硬化の前に水と混合しなくてはならない粉末であるが、硬化した物体を機械加工する際に、単純なプラスターと比較した場合、生成される粉塵がより少ない。
【0004】
米国特許第6,355,099号(Immordino及びKaligian)には、プラスターの機械加工可能な組成物、水分散性内部潤滑バインダー及び接着バインダーが記載されている。この特許における潤滑ポリマーは、好ましくは、室温よりも高いガラス転移温度又はTを有する。この組成物は、粉末として、又は使用の直前に促進剤と混合される水性スラリーとして貯蔵され得る。
【0005】
United States Gypsum社(イリノイ州シカゴ)は、Rayite(商標)の名称で、ポリマー変性した石膏粉末を製造している。この組成物は、称するところによれば、ブロックに注型し、硬化させ、そして機械加工することができる。工業用プラスターは、いくらかのポリマーと共に処方したものでも、典型的に、75より高い、多くの場合80より高いショアーD硬度を有する。
【0006】
米国特許公開第2003/0105202号(Stone)には、それぞれの成分中にポリマーを有する2種の液体成分を有するポリマー変性石膏の組成物が記載されている。ポリマーの好ましいT範囲は−20℃〜+50℃である。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,534,059号明細書(Immordino)
【特許文献2】米国特許第6,355,099号明細書(Immordino及びKaligian)
【特許文献3】米国特許公開第2003/0105202号明細書(Stone)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明において、本発明者らは、ポリマーが−23℃よりも低いTを有するポリマー変性石膏が、改良された機械加工可能な媒体を与えることを見出した。更に、このポリマー変性石膏が70よりも低いショアーD硬度を有する場合には、機械加工性が優れている。特に、本発明の組成物は、ほとんどダストを作らず、そして機械加工した場合に、他の機械加工可能な媒体よりも大きいチップ及び削りくずを与え、これは、掃除を容易にする。切削及びフライス切削工具は、本発明の媒体により、よりはやい速度で切削することができる。このようにして製造されたモデルは、寸法的に安定であり、鮮鋭で精密なエッジを維持する。
【0009】
ポリマーバインダーの低いTは、ポリマー組成物の適切な選択により又はより硬いポリマーと可塑剤との処方により又は硬質ポリマーと軟質ポリマーとのブレンドにより得ることができる。複合材料のために、−23℃よりも低い見掛けポリマーT又は70よりも小さい測定されたショアーD硬度を与える任意の方法が、改良された機械加工可能な媒体を作るために好適であると考えられる。
【0010】
モデル製造のためにフライス切削又はCNC機械加工すべき媒体は、多数の物理的特性を有していなくてはならない。これは、十分に鮮鋭なエッジ及び形状に機械加工するのに足りる程度に十分柔らかく、なおかつ、原型製作プロセスの後の工程においてモデルが受けるであろう取扱いに耐える程度に十分強くなくてはならない。機械加工の過程において除去された削りくずは、低毒性のものであり、及び掃除を容易にするために十分に大きくなくてはならない。
【0011】
更なる利点は、容易な適用である。幾つかの機械加工可能な媒体が、モデリングボード、例えば、ポリウレタンフォームの形態で供給されている。大きいモデルを作るために、これらの複数のボードを、最終的なモデルよりも大きいサイズにまで一緒に接着し、次いで後戻りして機械加工しなくてはならず、これは時間を消費するプロセスである。発泡ポリスチレン(EPS)をはじめとする低コストフォームを、最終的なモデルのサイズよりも僅かに小さいものへ戻す、大ざっぱな機械加工をし得ることが好ましい。次いで、このフォームを、機械加工可能な媒体へ固化又は硬化する液体でオーバーコートし、次いでこれを機械加工する。最終的なモデル又はプラグは、最終部品の形状へ正確に機械加工された、コア表面上に約5〜50mmの媒体を有するEPSコアからなる。このプラグから、例えば、不飽和ポリエステルを使用して、部品の雌型を注型することができる。この型は、雄の最終部品を注型するために使用することができる。かかる段階プロセスは、ボート、自動車又は航空機製造並びに他の工業において一般的に使用されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一つの態様は、成分Aと成分Bとの混合物を含む複合材料を形成するための組成物である。成分Aは、石膏及び抑制剤を含み、並びに成分Bは促進剤を含む。成分A及び/又は成分Bは、更に、−23℃よりも低いTを有するポリマーバインダーを含む。
【0013】
本発明の第二の態様は、成分Aと成分Bとの混合物を含む複合材料を形成するための組成物である。成分Aは、石膏及び抑制剤を含み、並びに成分Bは促進剤を含む。成分A及び/又は成分Bは、更に、ポリマーバインダーを含み、並びに硬化したとき複合材料のショアーD硬度は70よりも小さい。
【0014】
本発明の第三の態様は、−23℃よりも低いTを有するポリマーバインダーを含有する複合材料の形成方法であって、石膏及び抑制剤の第一スラリー混合物と、少なくとも促進剤を含む第二スラリー混合物(但し、第一スラリー混合物及び第二スラリー混合物の少なくとも一方には、ポリマーバインダーが含まれている)とを提供する工程、並びに10:1〜1:2の重量比を使用し、第一スラリー混合物と第二スラリー混合物とを混合して、軟質複合物を形成する工程を含む方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
成分Aは、石膏(硫酸カルシウム半水和物)を含有する。これは、水と混合し、そして好適に活性化したとき、固化及び硬化して、無機バインダーになる、固化性鉱物である。石膏は、α石膏が好ましいが、β石膏、又はα形とβ形との混合も使用され得る。
【0016】
本発明において使用される石膏は、硫酸カルシウムの広範囲の種々の固化性フォームを包含することができ、これには、無水硫酸カルシウム及び/又は一般に合成石膏と呼ばれている化学石膏並びに硫酸カルシウム半水和物が含まれ得る。
【0017】
主として2種の半水和物(CaSO・1/2HO)が存在しており、これは、商業的に入手可能であり、一般的にα形及びβ形と呼ばれている。α半水和物は、通常、塊の石膏をオートクレーブの中に入れ、それを制御した超常圧(superatmospheric pressure)で、スチームの存在下において焼成することによって調製される。一方、β半水和物は、二水和物を大気圧で、ケトルか焼炉又は回転か焼炉の何れかにおいて加熱することによって調製される。これらの2種の石膏の物理的外観は同じであり得るが、これらは、加工可能な生成物を製造するために必要な水/石膏の比が異なる。この二つのフォームの石膏粒子の物理的性質における相違は、それらのそれぞれの表面特性における差から生じる。より大きいα結晶は、低い吸水率、及び単位重量当たりのより小さい表面積を有する。これは、石膏が固化又は硬化を起こすための水の必要量がより少ないことと解釈される。乾燥石膏固形分の重量に対する比率において水の重量が低くなるほど、硬化後の最終製品の強度は高くなる。成分Aの処方物中に使用される石膏の量は、成分Aの全重量基準で50〜80部である。好ましくは、60〜75部が使用される。
【0018】
単独で、石膏は、硬い塊に固化する。本発明は、成分A及び成分Bの少なくとも一方に、少なくとも1種の共重合されたエチレン性不飽和非イオン性モノマーを含有するポリマーバインダーが含有されている場合の、固化した複合材料の硬度を減少させるポリマーバインダーの使用を記載する。本明細書において、「非イオン性モノマー」によって、1〜14のpH範囲内において電気的に中性であるモノマーが意味される。エチレン性不飽和非イオン性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルを含む);(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル;スチレン及び置換されたスチレン;ブタジエン;エチレン;酢酸ビニル、酪酸ビニル及びその他のビニルエステル;並びにビニルモノマー(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン)が挙げられる。全てがアクリルポリマー、及びスチレン/アクリルポリマーが好ましい。主としてアクリルの水性エマルジョンポリマーが好ましい。本明細書において、「主としてアクリルの」によって、ポリマーが、50重量%よりも多い(メタ)アクリルモノマー(例えば、(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル及び(メタ)アクリル酸)から誘導される共重合された単位を含有することが意味される。本開示を通して使用される場合、他の用語、例えば、アクリレート及びアクリルアミドが後に続く用語「(メタ)」の使用は、それぞれ、アクリレート又はアクリルアミド並びにメタクリレート及びメタクリルアミドの両方を指す。
【0019】
エマルジョンポリマーは、また、ポリマーの重量基準で、全モノマー重量基準で0重量%〜5重量%の、共重合されたモノエチレン性不飽和酸モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノブチル、無水マレイン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキルアリルスルホコハク酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、ホスホアルキル(メタ)アクリレート、例えばホスホエチル(メタ)アクリレート、ホスホプロピル(メタ)アクリレート及びホスホブチル(メタ)アクリレート、ホスホアルキルクロトネート、ホスホアルキルマレエート、ホスホアルキルフマレート、ホスホジアルキル(メタ)アクリレート、ホスホジアルキルクロトネート並びにリン酸アリル)を含有し得る。
【0020】
ポリマーのTを制御するために、ポリマーを合成するために使用されるモノマーを、適切に選択すべきである。ポリマーのガラス転移温度は、Tよりも低い温度で硬いガラス状態から、Tよりも高い温度で流体又はゴム状態へポリマーが転移する温度である。ポリマーのTは、示差走査熱量法(DSC)によって、T値として熱対温度変化における中間点を用いて測定される。DSC測定のための加熱速度は、20℃/分である。
【0021】
本発明において、ポリマーバインダーの測定されたTは、−23℃よりも低い。好ましくは、このTは、−35℃〜−60℃である。
【0022】
成分A及び/若しくはBのポリマーバインダーは乳化されてもよく、又は、これは水再分散性粉末の形態であってもよい。ポリマーバインダーは、また、ポリマーが水中に分散又は乳化することができる限り、有機溶媒中での又は塊状での重合によって調製され得る。ポリマーを調製するための任意の方法が、本発明の操作において機能し得るが、乳化したポリマーバインダーを使用することが、商業的に、より実行可能であり得る。本発明の組成物のために処方されたエマルジョンは、約35〜65体積%、好ましくは45〜65体積%の固形分を含有することができる。使用される濃度は、勿論、最終複合材料に要求される特性及び硬化速度に依存する。乳化重合は、種々の手順により実施され得、例えば、重合反応の開始時に、反応ケトル内で全てのモノマーを用いて、重合反応の開始時に、反応ケトル内に存在する乳化された形態で、モノマーの一部を用いて、反応ケトル内に存在する乳化された形態で、モノマーの一部を用いて、並びに 重合反応の開始時に、反応ケトル内に存在する小さい粒子サイズのエマルジョンポリマーシードを用いて、実施され得る。この重合プロセスは、バッチプロセス、半連続式プロセス又は連続式プロセスとして実施され得る。本発明において使用することができる具体的な乳化重合技術には、例えば、米国特許第4,325,856号、第4,654,397号、及び第4,814,373号に記載されているものが含まれる。
【0023】
より硬いポリマーの見掛けTを低下させる他の好適な方法は、当業者に公知であり、発明者によって想到される。例えば、処方物中に共溶媒を含有させることができる。これらの共溶媒は、可塑剤とも呼ばれ、ポリマー組成物から予想されるものよりも一層軟質のポリマーのような挙動をポリマーにもたらす。可塑剤の一つの例はフタル酸ジオクチルであるが、多くの他のものが知られている。ポリマーの見掛けTを低下させる他の方法は、非常に軟質のポリマーを、より硬質のポリマーと混合することである。これらの硬質ポリマー及び軟質ポリマーは、分子量が異なっているが類似のモノマー組成を有することができ、又はそれらのモノマー組成が異なっていてよい。材料の混合物を使用する場合、材料の全てを本発明の一つの成分中に含有させることができ、又はこれらを本発明のA成分とB成分とに分割することができる。
【0024】
1種の好適なポリマーバインダーは、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)社(ペンシルベニア州フィラデルフィア)によって販売されている、Rhoplex(商標)1950エマルジョンである。この全アクリルエマルジョンは、63重量%のポリマー固形分及び−50℃の計算されたT(フォックス式を使用して計算した)を有する。
【0025】
成分Aはまた、抑制剤、より具体的には、石膏水和抑制剤も含む。これは、未固化の硫酸カルシウム半水和物が、使用直前まで、水性スラリー形で貯蔵されるのを可能とし、後に、石膏固化を開始するために、活性化剤、例えば硫酸アルミニウムを添加することができる。水和抑制剤は、ポリカルボン酸のポリマー又はコポリマーである。幾つかの公知の水和開始剤には、動物タンパク質(米国特許第4,661,161号)、ポリホスフェート(米国特許第5,746,822号)及びポリカルボキシレート(米国特許第4,157,264号及び米国特許公開第2003/0105202号)が含まれる。1種の好適な水和抑制剤は、ローム・アンド・ハース社(ペンシルベニア州フィラデルフィア)によって販売されている、Tamol(商標)963 35%分散剤である。ポリマー抑制剤は、ナトリウム塩又はアンモニウム塩の形が便利であり得る。
【0026】
成分Bは、促進剤、更に具体的には、水和固化促進剤を含有する。必要な促進剤の量は、組成物中に存在するα石膏及び水和抑制剤の量に基づく。促進剤は、好ましくは、成分Bの固形分含有量の重量基準で、0.1〜6.0重量パーセント、更に好ましくは0.1〜4.0重量パーセントの量で添加される。好適な促進剤は、酸性カチオンを提供することができる金属塩を含有する。好ましい金属塩は、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸第二鉄、硫酸亜鉛及び塩化第二鉄である。この組成物のための最も好ましい促進剤は、硫酸アルミニウムである。
【0027】
成分A若しくはB又は両方に、多数の他の任意の添加剤を含有させることができる。これらは、液体成分又は最終複合材料のいずれかの性質を変性するものとして、よく知られている。これらの添加剤には、下記のものがある。
・ポリマー及び他の添加剤の水性懸濁液又はエマルジョンを安定化させるための、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤。
・混合又は適用の過程における発泡を最小にするための、ポリシロキサンをはじめとする脱泡剤。
・pH調節剤。成分Aのための好適なpH調節剤の一つは、欧州特許第1403227号に記載されているような水酸化カルシウムである。
・増量剤。好適な増量剤の中には、砂及びシリカ、アルミナ三水和物(ATH)、白土、フライアッシュ及び軽量増量剤、例えばパーライト又は中空ガラス球がある。
・増粘剤、例えば、アルカリ可溶性樹脂(ASR)、疎水性に変性したウレタン樹脂(HEUR)、ヒドロキシエチルセルロース、アタパルジャイト又はベントナイト粘土ほかが挙げられる。これらの多くは、石膏及びペイント処方者にも知られている。
・他の添加剤、例えば、着色剤、湿潤助剤及び撥水剤ワックス。
【0028】
一つの態様において、成分Aは、60〜75重量%の石膏、0.1〜3重量%の抑制剤、10〜30重量%のポリマーバインダー、及び0〜14.9重量%の成分A添加剤を含有し、並びに成分Bは、5〜50重量%のポリマーバインダー、1〜15重量%の促進剤及び35〜94重量%の成分B添加剤を含有する。ポリマーバインダーのTは、−23℃よりも低い。成分A添加剤は、脱泡剤、界面活性剤、pH調節剤及びこれらの組合せを含有することができ、並びに成分B添加剤は、増量剤、脱泡剤、界面活性剤、増粘剤、活性化剤及びこれらの組合せを含有することができる。
【0029】
好ましくは、成分A及びBは、共に水性スラリーである。使用の時点で、成分Aと成分Bとを一緒にし、混合し、機械加工可能な形に造形し、そして固化させる。この複合材料は、キャスティング、こて塗り若しくはスプレー又は他の公知の手段によって適用され得る。
【0030】
この複合材料のショアーD硬度は、70よりも小さい。好ましくは、この複合材料のショアーD硬度は、50〜70である。
【実施例】
【0031】
比較例1
Castonite(商標)MM Mining Membraneは、ローム・アンド・ハース社によって販売されている。この材料は、混合しそしてブロックの中に注型することができ、又は混合しそしてEPSの上に適用することができる。周囲温度で硬化させた後、この媒体は75のショアーD硬度を有する。これは、鮮鋭な万能ナイフで彫刻することができ又は標準的なドリルビットで穴をあけることができ、0.2mmの平均サイズの削りくずを残すことができる。彫刻した又は穴をあけたエッジは、鮮鋭で、十分に輪郭が際だっている。
【0032】
比較例2
Rayite(商標)100は、United States Gypsum社(イリノイ州シカゴ)によって販売されている、機械加工可能な媒体である。これは、水と混合され、そして機械加工可能な形態に注型される粉末である。ブロックを調製し、注型し、そして周囲温度で乾燥した場合、これは77のショアーDを有していた。これは、鮮鋭な万能ナイフで彫刻することができ又は標準的なドリルビットで穴をあけることができ、0.5mmの平均サイズの削りくずを残すことができる。
【0033】
実施例
凡例:下記の実施例において使用した成分。
ポリマーバインダー:Rhoplex(商標)1950エマルジョン;ローム・アンド・ハース社。
脱泡剤:BYK(登録商標)−024;BYK Chemie。
界面活性剤:Triton(商標)X405;Dow Chemical社。
水和抑制剤:Tamol(商標)963 35%分散液;ローム・アンド・ハース社。
ラテックスバインダー:Rhoplex(商標)HA16エマルジョン;ローム・アンド・ハース社。
活性化剤:硫酸アルミニウム18水和物(水中50%)。
石膏:α半水和物。
アタパルジャイト増粘剤:Attagel(登録商標)50;Englehard社。
セルロース系増粘剤:Natrosol(登録商標)250HHR;Hercules社。
ATH:アルミナ三水和物、Moldex(商標)A120;J.M.Huber。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
成分Aと成分Bとを、100:48重量比(100:50体積比)で混合するとき、これらは約6分間で固化する。固化の際の線膨張は、約0.2%である。周囲温度で硬化させ、そして乾燥した後のショアーDは60である。鮮鋭な万能ナイフで彫刻するか又は標準的なドリルビットで穴をあけたとき、削りくずは5〜10mmサイズであり、粉塵は無い。これは、比較例よりも低いナイフ圧力で彫刻される。適度な穴あけ圧力で、ドリルは、それが比較例を貫通するよりも約2倍速く、本発明の実施例を貫通し穴をあける。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分Aと成分Bとの混合物を含む複合材料を形成するための組成物であって、
成分Aは、石膏及び抑制剤を含み、並びに
成分Bは、促進剤を含み、
成分A及び成分Bの少なくとも一方が、−23℃よりも低いTを有するポリマーバインダーをさらに含む組成物。
【請求項2】
成分Aが、更に、脱泡剤、界面活性剤及びpH調節剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
成分Bが、更に、増量剤、脱泡剤、界面活性剤、増粘剤及び活性化剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
成分Aが、成分Aの全重量基準で60〜75重量%の石膏を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
成分Aが、
60〜75重量%の石膏、
0.1〜3重量%の抑制剤、
10〜30重量%のポリマーバインダー、及び
0〜14.9重量%の、脱泡剤、界面活性剤、pH調節剤及びこれらの組合せからなる群から選択される成分A添加剤
を含み、並びに
成分Bが、
5〜50重量%のポリマーバインダー、
1〜15重量%の促進剤、及び
35〜94重量%の、増量剤、脱泡剤、界面活性剤、増粘剤、活性化剤及びこれらの組合せからなる群から選択される成分B添加剤
を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
更に、着色剤を含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
石膏が、硫酸カルシウム半水和物を含み、抑制剤が、水性ポリカルボキシレートを含み、ポリマーバインダーがアクリルコポリマーを含み、及び促進剤が硫酸アルミニウムを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
脱泡剤がポリシロキサンを含み、界面活性剤が非イオン性界面活性剤を含み、およびpH調節剤が水酸化カルシウムを含む、請求項2記載の組成物。
【請求項9】
ポリマーバインダーがアクリルコポリマーを含み、増量剤がアルミナ三水和物を含み、脱泡剤がポリシロキサンを含み、界面活性剤が非イオン性界面活性剤を含み、増粘剤がヒドロキシエチルセルロースを含み、及び活性化剤が硫酸アルミニウムを含む、請求項3記載の組成物。
【請求項10】
成分Aと成分Bとの混合物を含む複合材料を形成するための組成物であって、
成分Aは、石膏及び抑制剤を含み、及び
成分Bは促進剤を含み、
成分A及び成分Bの少なくとも一方は、更に、ポリマーバインダーを含み、並びに
硬化したときの複合材料のショアーD硬度が70よりも小さい組成物。
【請求項11】
成分Aは、更に、脱泡剤、界面活性剤及びpH調節剤を含み、並びに成分Bは、更に、増量剤、脱泡剤、界面活性剤、増粘剤及び活性化剤を含む、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
ショアーD硬度が50〜70である、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
−23℃よりも低いTを有するポリマーバインダーを含有する複合材料の形成方法であって、
石膏と抑制剤との第一スラリー混合物、及び少なくとも促進剤を含む第二スラリー混合物(但し、第一スラリー混合物及び第二スラリー混合物の少なくとも一方は、ポリマーバインダーを含む)を提供する工程、並びに
第一スラリー混合物と第二スラリー混合物とを、10:1〜1:2の重量比を使用して、混合して、軟質複合物を形成する工程を含む方法。
【請求項14】
更に、軟質複合物を硬質複合材料と混合する工程を含む、請求項13記載の方法。

【公開番号】特開2006−62956(P2006−62956A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−242220(P2005−242220)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】