説明

複合材料構造物製造用成形型

【課題】 略円筒形で、複数のセグメントに分割可能な構成を有する成形型において、各セグメント同士を円筒形に組み立てるときに、各セグメント同士の位置精度を優れたものとし、かつ、組立作業をより簡素化する。
【解決手段】 平板状で、その表面が凸面状となっている第一セグメントおよび第二セグメントを、1個ずつ前記表面を外側に向けた状態で、その端面をサポートリングに固定し、隣接するセグメント同士を側面で結合することで、単一の円筒状の成形型として保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂複合材料を用いた複合材料構造物の製造に用いられる成形型に関し、特に、航空機の胴体部等として用いられる巨大な複合材料構造物の製造に好適に用いられ、複数のセグメントに分割可能な成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、これまで金属材料が用いられてきた分野において、繊維強化樹脂複合材料(以下、適宜「複合材料」と略す。)が広く用いられるようになっている。この複合材料の中でも、強化繊維として炭素繊維を用い、これにエポキシ樹脂等のマトリクス樹脂を含浸させて成形した炭素繊維強化型のものは、金属材料よりも軽量であることに加え、より高強度であることから、スポーツ用品、産業機械、航空宇宙等の分野に広く採用されている。
【0003】
これら分野のうち航空宇宙の分野では、例えば、航空機の翼や胴体等の構造物において、軽量な金属の骨格部材であるスティフナ(stiffener)に複合材料からなるスキンを一体化するスティフンドパネル(stiffened panel)が採用されている。代表的なスティフナとしては、ストリンガが挙げられる。ストリンガは構造物の形状に組み合わせられた上で各種治具により支持され、これにプリプレグが複数枚積層され、オートクレーブ(圧力釜)により加圧、加熱される。これによりプレプリグが硬化してスキンとなるとともに、当該スキンにスティフナが密着されて一体化されることで、スティフンドパネルが形成される。
【0004】
スティフンドパネルからなる構造物の一例として、図24に示すような、ワンピースバレル(OPB)として形成される航空機の胴体部101等が挙げられる。胴体部101は、スキン102と当該スキン102の内面側に密着されている複数のストリンガ103とから構成され、航空機として組み立てられたときに扉となる開口部104および窓となる開口部105が形成されている。
【0005】
このような航空機の構造体の製造に関する技術としては、特許文献1に開示されている、航空機胴体の複合バレルセクションが知られている。この文献では、バレルセクションは「軸周りに360°延在する密封されたシェル構造」として定義され、このバレルセクションを製造するために、複数のツール断片(例えば6個)をツール固定具で円筒状に配置して支持することにより構成される成形型が用いられている。
【0006】
特許文献1では、複合バレルセクションの製造システムの一例として、複数の製造ステーションが直列配置され、各製造ステーションに、前記成形型を含むバレルセクションツールアセンブリ(以下、ツールアセンブリと略す。)が移動する構成が開示されている。
【0007】
具体的には、まず、スティフナ装填ステーションにおいて、各ツール断片に形成された複数のスティフナ溝に複数のスティフナを装填し、その後、当該ツール断片を前記ツール固定具に装填して円筒形に支持され、単一の成形型(同文献ではツールアセンブリ)を構成する。このとき、ツール固定具は、複数のローラによってツール支持構造に回転可能に支持され、ツール固定具が長手軸周りを回転することを可能にしている。
【0008】
次に、円筒形に支持されて構成された成形型は、ツール支持構造により外板積層ステーションに運搬され、ここで、前記長手軸周りに前記成形型が回転することで、繊維配置機械によって繊維トウ(熱硬化樹脂材料にあらかじめ含浸した連続的なフィラメントの撚られていない束)が積層され、前記成形型の外周に積層体(スキンに相当)が形成される。
【0009】
次に、積層体が形成された前記成形型(同文献ではツールアセンブリ)は、ツール支持構造によりバキュームステーションに運搬され、ここで、積層体の外周に圧力パッドが据え付けられ、バキュームバックが積層体の周囲に据え付けられ、バキュームバック内を排気する。その後、バキュームバックが付いた成形型(ツールアセンブリ)は、ガントリービームにより硬化ステーションに運搬され、オートクレーブ処理が行われることにより、積層体およびスティフナが硬化する。これにより、前記成形型の外周に、前記積層体およびスティフナが硬化してスティフンドパネルが形成される。
【0010】
スティフンドパネルが形成された状態の成形型(ツールアセンブリ)は、ガントリービームにより検査ステーションに運搬され、硬化後の積層体(スキン)に空隙または剥離が無いか検査され、次に、ガントリービームによりトリミングステーションに運搬され、積層体(スキン)にトリミングおよび穴開けが行われる。その後、ツール断片がスティフンドパネルから除去され、スティフナ装填ステーションに戻されるとともに、除去後のスティフンドパネル(ツールアセンブリ)は、ツール支持構造により最終アセンブリステーションに運搬され、複数のフレームセクションが取付けられ、複合バレルセクションが完成する。
【0011】
このように、OPBの製造において用いられる円筒形の成形型は、基本的に、複数のセグメント、例えば6つのセグメントに分割され、スティフナを装着してから各セグメントが円筒形に組み立てられるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2007−532384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、前記円筒形の成形型は、成形品であるOPBが、航空機の胴体部のように非常に大きなものであることから、各セグメントを円筒形に組み立てたり、組み立て後の成形型を断片に分解したりするときに、その作業に困難性が伴うとともに、作業そのものも非常に煩雑となる。
【0014】
例えば、航空機の胴体部であれば、その寸法は、直径が約4〜6mで円筒の長さが約5〜15mという巨大なものとなる。胴体部を構成するスティフンドパネル(スキンおよびスティフナ)は、当該胴体部全体から見れば、非常に厚みの小さいものであることから、これを製造する成形型の大きさは、当該胴体部の外形寸法とほぼ同じ大きさとなる。しかも、特許文献1にも記載されている通り、成形型のセグメント(同文献ではツール断片)は、「鉄、インバール、アルミニウム」等の金属材料を主体として製造されることが多く、大きくかつ重い断片を単一の成形型に組み立てることは容易な作業ではない。
【0015】
さらに、複数のセグメントを円筒形の単一の成形型に組み立てたときに、円筒の外周に段差が生じれば、その外周に形成されるスティフンドパネルにも段差が生じてしまう。それゆえ、成形型を組み立てるときには、各セグメントを単に組み合わせて概ね円筒形になればよいのではなく、各セグメントによって円滑な外周面が形成されるような位置精度を確保する必要がある。したがって、巨大な金属製の断片を、高い位置精度で円筒形に組み立てることは、非常に困難性を伴い、かつ、煩雑なものとなる。
【0016】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、例えば航空機の胴体部等の複合材料構造物の製造に用いられる、略円筒形で、複数のセグメントに分割可能な構成を有する成形型において、各セグメント同士を円筒形に組み立てるときに、各セグメント同士の位置精度を優れたものとし、かつ、組立作業をより簡素化することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る複合材料構造物製造用成形型は、前記の課題を解決するために、略円筒形の複合材料構造物の内側に挿入されて用いられる成形型であって、矩形平板状であって、一方の主面である表面が凸面状となっている少なくとも2種類以上の複数のセグメントと、複数の前記セグメントの両端面をそれぞれ固定する一対の環状保持部材と、を備え、複数の前記セグメントは、1個ずつが前記表面を外側に向けた状態で前記端面が前記環状保持部材に固定された上で、隣接する前記セグメント同士の側面が互いに結合されることにより、単一の円筒状部材として保持されている構成である。
【0018】
前記構成によれば、環状保持部材に1個ずつセグメントを固定して環状に組み立て、各セグメント同士を結合することで、単一の円筒状の成形型を構成することになる。これにより、個々のセグメントの位置決めが容易になるとともに、位置決めの精度を良好なものとすることができるので、成形型を容易に組み立てることができることに加え、組み立てられた成形型の外周面を段差のできるだけ小さな円滑な周面とすることができる。
【0019】
前記成形型においては、前記セグメントとして、前記表面を上側として水平に配置させたときに、その両側面が、水平方向または水平方向に対して上側に傾斜する方向に面している形状を有する第一セグメントと、前記表面を上側として水平に配置させたときに、その両側面が水平方向に対して下側に傾斜する方向に面している形状を有する前記第二セグメントと、を備えている構成を好ましい構成の一例として挙げることができる。
【0020】
前記構成によれば、第一セグメントおよび第二セグメントが前記形状となっていることから、先に第二セグメントを配置して固定してから、これら第二セグメントの間に、第一セグメントを12時方向(上側)に持ち上げて嵌め込むことができる。これにより、いずれのセグメントであっても、12時方向に持ち上げるという同一の動作で、1個ずつ環状保持部材に固定することができる。それゆえ、個々のセグメントを容易かつ適切に円筒状に組み合わせることができる。
【0021】
前記構成においては、前記第一セグメントまたは前記第二セグメントを下方から上昇させて、当該セグメントの前記端面を前記環状保持部材の固定面に固定させるとともに、これらの固定状態を保持する環状固定保持機構を備えていることが好ましい。環状固定保持機構を備えることにより、セグメントの端面を環状保持部材に固定させた状態を適切に保持することができる。
【0022】
前記環状固定保持機構の具体的構成は特に限定されないが、前記第一セグメントまたは前記第二セグメントの前記端面に設けられ、当該セグメントの裏面から前記表面に向かう方向に突出する突出部を有する雄型固定部材と、前記環状保持部材の前記固定面に設けられ、前記セグメントを下方から上昇させたときに、前記雄型固定部材の前記突出部が挿入されるように、固定される前記セグメントの前記裏面から前記表面に向かう方向に形成されている凹部または開口部を有する雌型固定部材と、前記セグメントの前記端面または前記環状保持部材の前記固定面のいずれか一方に設けられ、前記雌型固定部材への前記雄型固定部材の挿入状態を保持する固定状態保持部材と、から少なくともなっている構成を挙げることができる。
【0023】
前記構成によれば、環状固定保持機構が雄型固定部材、雌型固定部材および固定状態保持部材から構成されていることにより、セグメントを12時方向に持ち上げて環状保持部材を固定する際に、セグメントの端面の固定および保持を適切に行うことができる。
【0024】
前記雄型固定部材および雌型固定部材の個数または位置関係は特に限定されないが、例えば、前記雄型固定部材は、前記第一セグメントまたは前記第二セグメントの前記両端面にそれぞれ2個設けられ、前記雌型固定部材は、2個の前記雄型固定部材の位置に対応するように、前記環状保持部材の前記固定面に設けられている構成を好ましい例として挙げることができる。
【0025】
前記構成によれば、1個のセグメントにおいては、その両端面に2個ずつで合計4個の雄型固定部材が設けられているので、例えば、4点支持のジャッキで持ち上げてセグメントの位置を微調整しながら組み合わせていくことができる。それゆえ、精度よい成形型の組み立てと固定が可能となる。
【0026】
また、前記雄型固定部材および雌型固定部材のより具体的な構成は特に限定されないが、例えば、前記雄型固定部材が有する前記突出部には、当該突出部を貫通する貫通孔が形成されているとともに、前記固定状態保持部材として、前記雌型固定部材の前記凹部または前記開口部に挿入した状態にある前記雄型固定部材の前記突出部に向かって進退可能な位置に設けられ、かつ、前記突出部に向かって前進した状態では、前記突出部の前記貫通孔に挿入されることにより、前記雌型固定部材への前記雄型固定部材の挿入状態を保持する、くさび部材を有している構成を好ましい例として挙げることができる。
【0027】
前記構成によれば、固定状態保持部材としてくさび部材を有することにより、雄型固定部材の雌型固定部材への挿入状態を安定して保持することができるので、簡素な構成で、各セグメントの端面を環状保持部材の固定面に固定させることができる。
また、前記構成においては、前記雄型固定部材の前記突出部を前記雌型固定部材の前記凹部または前記開口部に挿入させるときの位置決めに用いられる環状固定ガイド機構を、さらに備えていることが好ましい。これにより、セグメントを環状保持部材に固定するときの位置決めを容易とすることができる。
【0028】
前記環状固定ガイド機構の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、前記環状固定ガイド機構は、前記第一セグメントまたは第二セグメントの前記両端面において、当該端面から突出して設けられる雄型ガイド部材と、前記環状保持部材の前記固定面において、前記雄型ガイド部材に対応する位置に設けられ、前記雄型ガイド部材を挿入させる切り欠きまたは陥凹が形成された雌型ガイド部材と、から少なくともなっている構成を好ましい例として挙げることができる。
【0029】
前記構成によれば、環状固定ガイド機構として、組み立てられる側である各セグメントに雄型ガイド部材が設けられ、セグメントを組み立てる際の「骨格」となる環状保持部材に雌型ガイド部材が設けられているので、セグメントを持ち上げて固定する際のガイドとして有効に機能することができる。
【0030】
前記構成の成形型においては、さらに、前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの前記側面に配置され、異なる前記セグメントの前記側面同士を結合させるとともに、これらの結合状態を保持するセグメント結合保持機構を備えていることが好ましい。
【0031】
前記構成によれば、第一セグメントおよび第二セグメントのそれぞれの側面にセグメント結合保持機構が設けられているので、各セグメント同士を適切に結合させて保持することができる。
【0032】
前記セグメント結合保持機構の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、前記セグメント結合保持機構は、前記第一セグメントの前記側面に設けられ、当該第一セグメントの裏面から前記表面に向かう方向に突出する突出部を有する雄型結合部材と、前記第二セグメントの前記側面において、前記雄型結合部材に対応する位置に設けられ、前記突出部が挿入される凹部または開口部を有する雌型結合部材と、前記第一セグメントの前記側面または前記第二セグメントの前記側面のいずれか一方に設けられ、前記雌型結合部材への前記雄型結合部材の挿入状態を保持する結合状態保持部材と、から少なくともなっている構成を挙げることができる。
【0033】
前記構成によれば、セグメント結合保持機構として、第一セグメントには雄型結合部材が設けられ、第二セグメントには雌型結合部材が設けられ、さらに、これら結合部材による結合状態を保持する結合状態保持部材が設けられているので、先に環状保持部材に第二セグメントを固定してから、各第二セグメントの間に第一セグメントを挿入して、各セグメントを結合することができる。
【0034】
さらに前記構成においては、前記第二セグメントの前記側面には、前記表面につながる縁部が当該側面よりも外側に突出している庇部が設けられ、前記雌型結合部材は、前記第二セグメントの前記側面における、前記表面から見て前記庇部に隠れる位置に設けられている構成であると好ましい。
【0035】
前記構成によれば、側面が裏面側に傾斜している第二セグメントにおいて、表面から見たときに、雌型結合部材が庇部に隠れるように配置しているため、第一セグメントおよび第二セグメントを結合したときに、各セグメントの表面同士の間に大きな隙間が生じることがなく、円筒状の成形型として、その外周面を略単一面に整えることができる。
【0036】
また前記構成においては、前記雄型結合部材が有する前記突出部には、当該突出部を貫通する貫通孔が形成されているとともに、前記結合状態保持部材として、前記雌型結合部材の前記凹部または前記開口部に挿入した状態にある前記雄型結合部材の前記突出部に向かって進退可能な位置に設けられ、かつ、前記突出部に向かって前進した状態では、前記突出部の前記貫通孔に挿入されることにより、前記雌型結合部材への前記雄型結合部材の挿入状態を保持する、くさび部材を有している構成を好ましい例として挙げることができる。
【0037】
前記構成によれば、結合状態保持部材としてくさび部材を有することにより、雄型結合部材の雌型結合部材への挿入状態を安定して保持することができるので、簡素な構成で、各セグメントを結合した状態を一層安定して保持することができる。
【0038】
また、前記構成においては、前記雄型結合部材の前記突出部を前記雌型結合部材の前記凹部または前記開口部に挿入させるときの位置決めに用いられるセグメント結合ガイド機構を、さらに備えていることが好ましい。これにより、雄型結合部材の突出部を雌型結合部材の凹部または開口部に挿入させるときの位置決めを容易とすることができる。
【0039】
前記セグメント結合ガイド機構の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、前記セグメント結合ガイド機構は、前記第一セグメントの前記側面において、前記雄型結合部材よりも前記表面に近い位置に設けられ、前記表面から前記裏面に向かって延び、かつ、その間隔が徐々に狭くなるように形成されている部位を含む、切り欠き部または陥凹部を有する雌型ガイド部材と、前記第二セグメントの前記側面において、前記雌型結合部材よりも前記表面に近い位置に設けられ、前記雌型ガイド部材の前記切り欠き部または陥凹部に挿入される挿入部を有する雄型ガイド部材と、から少なくともなっている構成を好ましい例として挙げることができる。
【0040】
前記構成によれば、組み立ての時点では位置の微調整が必要な第一セグメントには雌型ガイド部材が設けられ、先に環状保持部材に固定されている第二セグメントには、雄型ガイド部材が設けられているので、第一セグメントを12時方向に持ち上げて嵌め込む際に、微調整を行いながら位置決めを行うことができる。また、第一セグメントには、雄型結合部材と雌型ガイド部材とが設けられ、第二セグメントには、雌型結合部材と雄型ガイド部材とが設けられており、結合部材とガイド部材とで雄型および雌型が逆になっている。それゆえ、雄雌型ガイド部材が補助的なセグメント結合保持機構として機能させることができ、セグメント同士の結合状態をより安定なものとすることができる。
【0041】
前記構成においては、さらに、前記第二セグメントにおける前記庇部の先端は、前記表面から前記裏面に向かって折り返された返り縁部となっているとともに、前記セグメント結合保持機構として、さらに、前記第一セグメントの前記表面と前記第二セグメントの前記表面とが連続面となるように位置合わせされた状態で、前記第二セグメントの前記返り縁部を、前記第一セグメントの前記側面との間で挟み込むクランプ部材を備えていることがより好ましい。
【0042】
前記構成によれば、セグメント結合保持機構としてさらにクランプ部材を備えることで、セグメント同士の結合状態を安定して固定化することができる。
【0043】
前記構成の成形型が備える環状保持部材の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、前記第一セグメントおよび第二セグメントをそれぞれ3個ずつ備え、前記環状保持部材は楕円形状を有しており、前記第一セグメントおよび第二セグメントが交互に結合されて単一の円筒状となるように組み合わせられたときに、前記環状保持部材に対応した楕円形状となる構成であると得に好ましい。この構成であれば、OPBの楕円形状に対応した成形型とすることができる。
【0044】
前記構成の成形型においては、さらに、前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの前記表面には、前記複合材料構造物の骨格材料を嵌入させる複数の凹部が形成されていることがより好ましい。これにより、OPBを製造するためのストリンガを前記表面の凹部に嵌入させて位置決めすることができるので、OPBの成形型として、より好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0045】
以上のように、本発明では、例えば航空機の胴体部等の複合材料構造物の製造に用いられる、略円筒形で、複数のセグメントに分割可能な構成を有する成形型において、各セグメント同士を円筒形に組み立てるときに、各セグメント同士の位置精度を優れたものとし、かつ、組立作業をより簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る複合材料構造物製造用成形型の全体構成の一例を示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1に示す複合材料構造物製造用成形型の円筒状構造体を形成する第一セグメントの構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す第一セグメントを端部から見た平面図である。
【図3】(a)は、図1に示す複合材料構造物製造用成形型の円筒状構造体を形成する第二セグメントの構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す第二セグメントを端部から見た平面図である。
【図4】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を構成するマンドレルの構成の一例を示す斜視図である。
【図5】図4に示すマンドレルを両端で支持する一対のサポートリングの構成の一例を示す斜視図である。
【図6】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を組み立てる工程のうち、1番目の第二セグメントを12時方向(上方向)に持ち上げてサポートリングに固定するために、ジャッキ部に第二セグメントを載置した状態を示す模式図である。
【図7】図6に示す第二セグメントを持ち上げてサポートリングに固定する工程において、環状固定ガイド機構の構成の一例および固定ガイド動作を示す模式図である。
【図8】(a)〜(c)は、図6に示す第二セグメントを持ち上げてサポートリングに固定する工程において、環状固定保持機構の構成の一例および固定保持動作を示す模式図である。
【図9】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を組み立てる工程のうち、1番目の第二セグメントをサポートリングに固定した状態を示す模式図である。
【図10】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を組み立てる工程のうち、2番目の第二セグメントを12時方向(上方向)に持ち上げてサポートリングに固定するために、ジャッキ部に第二セグメントを載置した状態を示す模式図である。
【図11】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を組み立てる工程のうち、2番目の第二セグメントをサポートリングに固定した状態を示す模式図である。
【図12】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を組み立てる工程のうち、3番目の第二セグメントを12時方向(上方向)に持ち上げてサポートリングに固定するために、ジャッキ部に第二セグメントを載置した状態を示す模式図である。
【図13】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を組み立てる工程のうち、3番目の第二セグメントをサポートリングに固定した状態を示す模式図である。
【図14】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を組み立てる工程のうち、1番目の第一セグメントを12時方向(上方向)に持ち上げてサポートリングに固定するために、ジャッキ部に第二セグメントを載置した状態を示す模式図である。
【図15】第一セグメントの側面および第二セグメントの側面に設けられているセグメント結合保持機構およびセグメント結合ガイド機構の構成の一例を示す模式図である。
【図16】(a)〜(c)は、第一セグメントを持ち上げて第二セグメントに結合するときに、図15に示すセグメント結合保持機構およびセグメント結合ガイド機構の動作を示す模式図である。
【図17】(a)〜(c)は、第一セグメントを第二セグメントに結合するときのセグメント結合保持機構の一つであるクランプ部材の構成の一例および動作を示す模式図である。
【図18】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を組み立てる工程のうち、1番目の第一セグメントをサポートリングに固定し、両側の第二セグメントに結合している作業状態を示す模式図である。
【図19】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を組み立てる工程のうち、2番目の第一セグメントを12時方向(上方向)に持ち上げてサポートリングに固定するために、ジャッキ部に第二セグメントを載置した状態を示す模式図である。
【図20】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を組み立てる工程のうち、2番目の第一セグメントをサポートリングに固定し、両側の第二セグメントに結合している作業状態を示す模式図である。
【図21】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を組み立てる工程のうち、3番目の第一セグメントを12時方向(上方向)に持ち上げてサポートリングに固定するために、ジャッキ部に第二セグメントを載置した状態を示す模式図である。
【図22】図1に示す複合材料構造物製造用成形型を組み立てる工程のうち、3番目の第一セグメントをサポートリングに固定し、両側の第二セグメントに結合している作業状態を示す模式図である。
【図23】(a)〜(c)は、図4に示すマンドレルの他の構成例を示す模式図である。
【図24】複合材料構造物の一例である、ワンピースバレル(OPB)として形成される航空機の胴体部の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0048】
[成形型の全体構成]]
まず、本実施の形態に係る複合材料構造物製造用成形型(以下、成形型と略す。)の全体構成について図1を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る成形型10の全体構成の一例を示す斜視図である。
【0049】
図1に示すように、本実施の形態に係る成形型10は、マンドレル11と、その両端に位置する一対のサポートリング40a,40bとから少なくとも構成されている。マンドレル11は、6個のセグメント20a,30a,20b,30b,20c,および30cが、互いにその側面で結合されることにより形成されており、このマンドレル11の両端はサポートリング40a,40bによりそれぞれ支持されている。これによって6個のセグメント20a〜20cおよび30a〜30cが円筒状に保持されることになる。
【0050】
なお、後述するように、セグメント20a〜20cおよび30a〜30cの表面には、ストリンガを装着するための溝状凹部が形成されているが、図1では、全体構成を明確に示す便宜上、溝状凹部の記載を省略している。また、セグメント20a〜20cおよび30a〜30cおよびサポートリング40a,40bの具体的な構成について、後述する。
【0051】
サポートリング40a,40bは、それぞれクレードル12a,12bによって直立した状態で回転可能に支持されている。サポートリング40aを支持するクレードル12aは、本実施の形態では、一対の腕部121,121、クレードル本体122および複数の支持ローラ123(図1では4個)を備えている。一対の腕部121,121は、直立した状態のサポートリング40aの外周を挟持するよう立設して設けられる。クレードル本体122は、サポートリング40aの下方に位置し、両端で腕部121,121を支持している。の支持ローラ123は、外力によりサポートリング40a,40bが回転するように、クレードル本体122およびサポートリング40a,40bの間に介在されている。なお、サポートリング40bを支持するクレードル12bも同一の構成を有しているので、その説明は省略する。
【0052】
台車13は、クレードル12a,12b、サポートリング40a,40bおよびマンドレル11を搬送するものであり、本実施の形態では、矩形平板状で、図1には示さないが、台車13の下面には、複数の車輪が設けられており、上面に成形型10を載置した状態で搬送することが可能となっている。本実施の形態では、台車13は、その上面がマンドレル11の寸法(円筒の軸方向の長さおよび円筒の直径)に対応した広がり面積を有している。なお、クレードル12a,12bは、図1に示す状態では、台車13とは接しておらず、互いに対向するサポートリング40aおよびサポートリング40bの高さを水平に調整できる状態で、床面に対して自立している。
【0053】
なお、クレードル12a,12b、台車13の具体的な構成は、本実施の形態で開示される構成に限定されず、それぞれの作用、機能等を発揮できるものであれば、さまざまな構成を採用することができる。
【0054】
[セグメントの構成]
次に、マンドレル11を構成する6個のセグメント20a〜20cおよび30a〜30cについて、図2(a),(b)および図3(a),(b)を参照して説明する。図2(a)は、図1に示す複合材料構造物製造用成形型の円筒状構造体を形成する第一セグメントの構成を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示す第一セグメントを端部から見た平面図である。図3(a)は、図1に示す複合材料構造物製造用成形型の円筒状構造体を形成する第二セグメントの構成を示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示す第二セグメントを端部から見た平面図である。
【0055】
本実施の形態では、マンドレル11を構成する6個のセグメント20a〜20cおよび30a〜30cは、その形状から、図2(a),(b)に示す第一セグメント20a〜20cと、図3(a),(b)に示す第二セグメント30a〜30cとの2種類に分類される。なお、下記の説明のうち、図2(a),(b)および図3(a),(b)を参照する説明では、便宜上、同一形状の第一セグメント20a〜20cは「第一セグメント20」、第二セグメント30a〜30cは「第二セグメント30」と、一般化してまとめて説明する。
【0056】
第一セグメント20は、図2(a)に示すように、全体が矩形平板状で、その表面21が凸状の曲面(凸面状あるいは凸曲面)となっており、この表面21を上側として水平に配置させたときに、その両側面22,22が、水平方向に面しているか、または、水平方向に対して上側に傾斜する方向に面している形状となっている。本実施の形態では、例えば、図2(b)に示すように、側面22は、その法線方向が、水平方向の上側に傾斜した方向に向かっている。
【0057】
後述するように、本実施の形態では、マンドレル11を円筒形に組み立てるときに、先に第二セグメント30がサポートリング40a,40bに固定され、その後に、各第二セグメント30,30の間に、第一セグメント20が下から上に向かって嵌め込まれて固定される。したがって、第一セグメント20の両側面22,22は、上記嵌め込みを妨げないように、その法線方向が水平方向(図2(b)の矢印Ar1方向)に向かうように(水平方向を向くように)形成されていればよい。言い換えれば、第一セグメント20を水平に配置させたときには、側面22は、垂直方向(図2(b)の一点鎖線に沿った方向)に沿った位置となっている
ここで、マンドレル11は、当該マンドレル11を含む成形型10を用いてワンピースバレル(OPB)を成形した後、当該OPBを成形型10から脱型することになる。この脱型は、マンドレル11を解体することにより行われる。マンドレル11の解体は、後述するように、マンドレル11の組み立てとは逆の順序で行われる。したがって、第一セグメント20は、第二セグメント30,30の間から引き抜かれることになる。
【0058】
そこで、第一セグメント20の両側面22,22は、図2(b)に示すように、側面22の法線方向が上側(表面21側)に傾斜(図2(b)の矢印Ar2方向)するように形成されていることが好ましい。法線方向が上側に傾斜しているということは、側面22が上側に向くように傾斜しているということができる。言い換えれば、側面22は、当該側面22の裏側の縁が表側の縁よりも外側に広がるように傾斜しているということができる。このような側面22の傾斜は、第一セグメント20の両側面22,22に「抜き勾配」を形成することになるので、第一セグメント20を第二セグメント30,30の間から引き抜きやすくなることから、マンドレル11を解体しやすくすることができる。
【0059】
なお、側面22の傾斜角(抜き勾配角度)は特に限定されず、マンドレル11および成形型10の具体的な形状または寸法等に応じて好適な角度が適宜設定される。例えば、本実施の形態では、8〜12°の範囲、好ましくは約10°の角度であればよい。また、対向する両側面22,22の双方が同じ角度で傾斜してもよいし、異なる角度で傾斜してもよい。
【0060】
第一セグメント20の端面23には、図2(a),(b)に示すように、この端面23をサポートリング40a,40bの固定面(後述)に固定させる雄型固定部材251と、第一セグメント20を固定するときの固定部材同士の位置決めに用いられる雄型ガイド部材252とが設けられている。雄型固定部材251は、サポートリング40a,40bの固定面に設けられている雌型固定部材および固定状態保持部材(後述)とともに、環状固定保持機構を構成している。また、雄型ガイド部材252は、サポートリング40a,40bの固定面に設けられている雌型ガイド部材(後述)とともに、環状固定ガイド機構を構成している。
【0061】
雄型固定部材251は、端面23に2個設けられ、雄型固定部材251,251の間の中間位置に雄型ガイド部材252が位置している。雄型ガイド部材252の位置は、図2(b)に示すように、端面23を図中縦方向(第一セグメント20が水平配置されていれば鉛直方向)に分割する中央線(図中、二点鎖線)上の位置であるので、雄型固定部材251,251は、中央線から等距離となる位置に設けられていることになる。また、雄型ガイド部材252は、雄型固定部材251,251よりも表面21寄りに位置している。これは、第一セグメント20を、表面21を上側として持ち上げるように移動させてサポートリング40a,40bに固定させるので、環状固定ガイド機構を構成する雄型ガイド部材252と雌型ガイド部材とを先に接触させることにより、環状固定保持機構を構成する固定部材同士の位置決めを行うためである。
【0062】
第一セグメント20の両側面22,22には、図2(a)に示すように、複数の雄型結合部材261および外周側雌型ガイド部材262、並びに、図2(a)には図示されない、結合用くさび部材および内周側雄型ガイド部材が設けられている(図2(a)では5個)。雄型結合部材261は、第一セグメント20の裏側に位置し、外周側雌型ガイド部材262は、雄型結合部材261から見て表面21寄りに隣接して位置している。また、結合用くさび部材は、雄型結合部材261から見て側面22の内側に設けられており、後述するように、第二セグメント30と結合するときに、側面22の外側に突出するように構成されている。また、内周側雄型ガイド部材は、図2(a)では図示されないが、雄型結合部材261の下方に一体化して設けられている。
【0063】
雄型結合部材261および結合用くさび部材は、第二セグメント30の側面に設けられている雌型結合部材(後述)とともにセグメント結合保持機構を構成している。また、外周側雌型ガイド部材262は、第二セグメント30の側面に設けられている外周側雄型ガイド部材(後述)とともにセグメント結合ガイド機構を構成している。同様に、内周側雄型ガイド部材は、第二セグメント30の側面に設けられている内周側雌型ガイド部材(後述)とともにセグメント結合ガイド機構を構成している。なお、図2(b)では、側面22,22の位置関係を説明する便宜上、雄型結合部材261、外周側雌型ガイド部材262、内周側雄型ガイド部材、および結合用くさび部材は図示していない。
【0064】
雄型結合部材261および外周側雌型ガイド部材262の位置関係は、図中縦方向(第一セグメント20が水平配置されていれば鉛直方向)において、外周側雌型ガイド部材262が上側(表面21側)に雄型結合部材261が下側(裏面側)に並んで配置される関係となっている。これは、第一セグメント20を持ち上げるように移動させて、第二セグメント30,30の間に挿入してから互いに結合させるので、前記環状固定保持機構と同様に、セグメント結合ガイド機構によってセグメント結合保持機構の位置決めをするためである。
【0065】
一方、内周側雄型ガイド部材は後述するように雄型結合部材261の図中下方(裏面側)となる位置に設けられている。これは、第一セグメント20および第二セグメント30で形成される略円筒形のマンドレル11においては、外周面が滑らかな円周面となっている必要があることから、各セグメント20,30の側面同士を結合するときの位置決めが重要となるためである。すなわち、各セグメント20,30の側面同士を結合するとき、外周側雌型ガイド部材262および外周側雄型ガイド部材により、外周側の位置決めが行われ、内周側雄型ガイド部材および内周側雌型ガイド部材により、内周側の位置決めが行われることで、マンドレル11の外周面に段差を小さくし、滑らかな円周面を形成することができる。
【0066】
なお、環状固定保持機構および環状固定ガイド機構、並びに、セグメント結合保持機構およびセグメント結合ガイド機構の具体的な構成および固定方法、結合方法またはガイド方法については、マンドレル11の組み立て方法とともに後述する。また、本実施の形態では、後述するように、側面22に設けられるクランプ部材がセグメント結合保持機構に含まれるが、このクランプ部材についても、マンドレル11の組み立て方法とともに後述する。また、図示されないが、第一セグメント20の表面21はストリンガが装着可能に構成されている。
【0067】
第二セグメント30は、図3(a)に示すように、全体が矩形平板状で、その表面31が凸状の曲面(凸面状あるいは凸曲面)となっており、この表面31を上側として水平に配置させたときに、その両側面32,32が水平方向に対して下側に傾斜する方向に面している形状を有している。つまり、第二セグメント30の裏側から表面31に向かって、その幅が広がるように、両側面32,32が傾斜している。
【0068】
後述するように、本実施の形態では、マンドレル11を円筒形に組み立てるときには、先にサポートリング40a,40bに第二セグメント30が固定され、その後に、各第二セグメント30,30の間に第一セグメント20が嵌め込まれる。したがって、先に固定された第二セグメント30は、第一セグメント20の嵌め込みを妨げないように、その裏側の面積が小さくなっていることが好ましい。それゆえ、第二セグメント30の両側面32,32は、その法線方向が下側(図3(b)の矢印Ar3方向)に向かうように、言い換えれば、側面32が下側に向かって傾斜するように形成されていると好ましい。
【0069】
また、第二セグメント30の側面32,32には、表面31につながる縁部がそれぞれの側面32,32よりも外側に突出した庇部37,37が設けられている。したがって、図3(a),(b)に示すように、第二セグメント30を表面31から見れば、下側を向いている側面32は、庇部37によって完全に隠れた状態となる。この庇部37の下方となる側面32には、セグメント結合保持機構を構成する雌型結合部材(後述)およびセグメント結合ガイド機構を構成する前記外周側雄型ガイド部材および前記内周側雌型ガイド部材が設けられている。なお、図3(b)では、側面32,32の位置関係を説明する便宜上、雌型結合部材、外周側雄型ガイド部材および内周側雌型ガイド部材は図示していない。これらについては、マンドレル11の組み立て方法とともに後述する。
【0070】
なお、側面32が下側へ傾斜する程度、および、庇部37が突出する程度は、特に限定されず、マンドレル11の具体的構成、第二セグメント30そのものの具体的構成、あるいは、第二セグメント30に結合する第一セグメント20の具体的構成に応じて適宜設定される。
【0071】
第二セグメント30の端面33には、第一セグメント20の端面23と同様に、端面33をサポートリング40a,40bの固定面に固定させる2個の雄型固定部材351と1個の雄型ガイド部材352とが、雄型固定部材251および雄型ガイド部材252と同じ位置関係で設けられている。そして、雄型固定部材351も、雄型固定部材251と同様に、環状固定保持機構を構成し、雄型ガイド部材352も雄型ガイド部材252と同様に環状固定ガイド機構を構成している。
【0072】
また、図3(a)に示すように、図示されている第二セグメント30には、扉枠部15aおよび窓枠部15bが形成されている。これら扉枠部15aおよび窓枠部15bは、本実施の形態に係る成形型10を用いて形成されたOPBにおいて、扉および窓に対応する部位に相当し、トリミング処理における切り取りまたは穴開け加工時に利用される凹凸部である。本実施の形態では、扉枠部15aおよび窓枠部15bは第二セグメント30の表面31に形成されているが、もちろんこれに限定されず、第一セグメント20の表面21に形成されてもよいし、第一セグメント20および第二セグメント30のいずれに形成されてもよい。なお、図示されないが、第二セグメント30の表面31もストリンガが装着可能に構成されている。
【0073】
[マンドレルおよびサポートリングの構成]
本実施の形態では、上述した第一セグメント20および第二セグメント30を交互に結合して、それぞれの表面21および表面31を外側に向けて環状に組み合わせることにより、単一の円筒状のマンドレル11が構成される。このマンドレル11と、これを円筒状に保持するサポートリング40a,40bの具体的構成について、図4および図5を参照して説明する。
【0074】
図4は、図1に示す成形型10を構成するマンドレル11の構成の一例を示す斜視図であり、図5は、マンドレル11を両端で支持するサポートリング40a,40bの構成の一例を示す斜視図である。
【0075】
図4に示すように、本実施の形態に係るマンドレル11は、第一セグメント20a、第二セグメント30a、第一セグメント20b、第二セグメント30b、第一セグメント20cおよび第二セグメント30cがこの順で交互に各側面22および側面32で、セグメント結合保持機構により結合されて、単一の円筒状部材として形成される構成となっている。なお、図4では、セグメント結合保持機構のうち、第一セグメント20cに設けられている雄型結合部材261が一部図示されている。
【0076】
マンドレル11の端面、すなわち、各第一セグメント20a,20b,20cの端面23と、各第二セグメント30a,30b,30cの端面33とには、それぞれ、環状固定保持機構を構成する雄型固定部材251,351と、環状固定ガイド機構を構成する雄型ガイド部材252,352がそれぞれ設けられている。
【0077】
さらに、本実施の形態では、第二セグメント30aの表面31に、扉枠部15aおよび窓枠部15bが形成されている。なお、図4では図示されないが、第二セグメント30aに対向する位置に存在する第一セグメント20cにも、その表面21に窓枠部15bが形成されている。
【0078】
ここで、図4では、例えば、第一セグメント20c、第二セグメント30bおよび30cは、その裏面が平坦な面として図示されているが、第一セグメント20a〜20cおよび第二セグメント30a〜30cの具体的な構成はこれに限定されず、平坦な裏面を有さず、各セグメント20,30を構成するための骨格構造等の内部構成が露出する構成であってもよい。マンドレル11においては、外周面ができる限り円滑な面であることが好ましいため、当該外周面を構成する表面21および表面31が円滑な曲面となっていればよく、表面21,31から見て裏側には平坦な面が形成されている必要性はない。
【0079】
なお、マンドレル11の断面形状、すなわち、第一セグメント20a〜20cの端面23および第二セグメント30a〜30cの端面33で形成される、マンドレル11の端面の形状は、本実施の形態では、完全な円形(真円形)ではなく、第一セグメント20aおよび第二セグメント30bの中央部を結ぶ直径R1(図中二点鎖線の両端矢印)が長く、第二セグメント30aおよび第一セグメント20bの結合部位と第一セグメント20cおよび第二セグメント30cの結合部位とを結ぶ直径R2(図中二点鎖線の両端矢印)が短い楕円形となっている。これは、本実施の形態に係る成形型10を用いて製造される複合材料構造物であるOPBの断面形状が楕円形であるためである。したがって、マンドレル11の断面形状は楕円形に限定されず、製造される複合材料構造物の形状に合わせて真円形であってもよいし、R2よりもR1の方がより一層長い楕円形であってもよい。
【0080】
また、マンドレル11の断面形状が楕円形であるということは、第一セグメント20a〜20cおよび第二セグメント30a〜30cの形状は、それぞれ微妙に異なるものとなっている。すなわち、マンドレル11の断面形状(端面の形状)が真円形であれば、第一セグメント20a〜20cは、その表面21が等しい曲率を有するため、同一形状とすることができ、同様に第二セグメント30a〜30cも同一の形状とすることができるが、マンドレル11の断面形状が図4に示すように楕円形であれば、例えば、長辺である直径R1に対応する位置に存在する第一セグメント20aおよび第二セグメント30bと、それ以外の第一セグメント20b,20cまたは第二セグメント30a,30cとは、表面21または表面31の曲率が異なるため、同一形状とすることはできない。
【0081】
図5に示すように、上記構成のマンドレル11を支持するサポートリング40a,40bは、いずれも楕円形の環状であって、互いに対向する面が、マンドレル11の端面を固定する固定面43となっている。固定面43には、複数の雌型固定部材41と雌型ガイド部材42とが設けられ、これら雌型固定部材41および雌型ガイド部材42の固定面43上の位置が、マンドレル11の楕円形の端面の形状に対応したものとなっている。つまり、図5に示すサポートリング40aでは、その直径R3が長く直径R4が短い(R3およびR4とも図中二点鎖線の両端矢印)ため、サポートリング40a(および40b)そのものが楕円形となっているので、断面形状が楕円形のマンドレル11を固定面43に固定して支持できるようになっている。
【0082】
なお、サポートリング40a,40bは楕円形であれば、固定面43において、第一セグメント20a〜20cが固定される位置と、第二セグメント30a〜30cが固定される位置とは異なっている。それゆえ、第一セグメント20a〜20cが固定される位置は、固定面43と端面23との接続箇所であることから「第一接続箇所」と称することができ、また、第二セグメント30a〜30cが固定される位置は「第二接続箇所」と称することができる。これら第一接続箇所および第二接続箇所は、サポートリング40a,40bの固定面の周方向に沿って交互に設定されており、各接続箇所には、雌型固定部材41および雌型ガイド部材42が設けられている。
【0083】
雌型固定部材41は、マンドレル11を構成する第一セグメント20a〜20cが備えている雄型固定部材251、または、第二セグメント30a〜30cが備えている雄型固定部材351が挿入されることで、第一セグメント20a〜20cまたは第二セグメント30a〜30cをサポートリング40a,40bの固定面43に固定するための部材であり、これら雄型固定部材251,351とともに環状固定保持機構を構成している。さらに、図5には図示されないが、上記固定状態を保持する固定状態保持部材としての固定用くさび部材も固定面43に設けられている。
【0084】
また、雌型ガイド部材42は、第一セグメント20a〜20cが備えている雄型ガイド部材252および第二セグメント30a〜30cが備えている雄型ガイド部材352が挿入されるよう構成され、雄型固定部材251,351が雌型固定部材41に挿入される状態をガイドするものであり、雄型ガイド部材252,352とともに環状固定ガイド機構を構成している。雌型ガイド部材42は、後述するように、サポートリング40a,40bの中心側から外側に向かって放射状に設けられる一対のレール状部材である。そして、サポートリング40a,40bの内側となる端部は各レールの間が開いており、外側となる端部は、各レールの間が封止されている。このレールの間の陥凹部に雄型ガイド部材252,352が挿入されることで環状固定ガイド機構として機能する。
【0085】
固定面43において雌型固定部材41が設けられている位置は、第一セグメント20a〜20cの端面23および第二セグメント30a〜30cの端面33に設けられている上記雄型固定部材251,351の位置に対応している。例えば、第一セグメント20a〜20cの雄型固定部材251は、端面23の中心線上に位置する雄型ガイド部材252から見て等距離となる位置に設けられているので、固定面43上では、雌型ガイド部材42を中心線として、等間隔となる位置に、同方向に雌型固定部材41が1個ずつ、合計2個設けられている。
【0086】
本実施の形態では、マンドレル11は、6個のセグメント20a〜20cおよび30a〜30cから構成されているので、雌型ガイド部材42は、固定面43上でほぼ等間隔で6個設けられており、各雌型ガイド部材42を挟み込むように、一対の雌型固定部材41,41が同一方向を向いて設けられている。
【0087】
サポートリング40a,40bには、固定面43とは反対側となる面(外面44)の外周には、鍔状の回転ギヤ部45が設けられている。この回転ギヤ部45は、リング回転駆動部16が備える駆動ギヤ161と噛み合っており、リング回転駆動部16の駆動源162によって駆動ギヤ161が回転することで、サポートリング40a,40bが回転するようになっている。後述するように、マンドレル11は、6個のセグメント20a〜20cおよび30a〜30cを組み立てることにより形成されるが、この組み立て時にサポートリング40a,40bを回転させることで、各セグメント20a〜20cおよび30a〜30cがそれぞれ異なる動きでサポートリング40a,40bに固定されるのではなく、下から上へ持ち上げるという同一の動きで固定されることになる。なお、回転ギヤ部45およびリング回転駆動部16の具体的な構成は特に限定されず、公知の構成を適宜用いることができる。
【0088】
[マンドレルの組み立て方法・第二セグメントの固定]
次に、6個のセグメント20a〜20cおよび30a〜30cをサポートリング40a,40bに1個ずつ固定し、マンドレル11を組み立てる方法について具体的に説明する。本実施の形態に係る組み立て方法は、第二セグメント30a〜30cをサポートリング40a,40bに1個ずつ固定してから、第一セグメント20a〜20cを1個ずつ固定するため、まず、第二セグメント30a〜30cの固定方法および固定作業の順序を、環状固定保持機構および環状固定ガイド機構の具体的構成とともに、図6〜図13を参照して説明する。
【0089】
図6は、1番目の第二セグメント30bを12時方向(上方向)に持ち上げてサポートリング40a(およびサポートリング40b)に固定するために、ジャッキ部に第二セグメント30aを載置した状態(載置状態)を示す模式図である。図7(a),(b)は、第二セグメント30a〜30cを持ち上げてサポートリング40aに固定するときの環状固定ガイド機構の構成の一例および固定ガイド動作を示す模式図である。図8(a)〜(c)は、第二セグメント30a〜30cを持ち上げてサポートリング40aに固定するときの環状固定保持機構の構成の一例および固定保持動作を示す模式図である。図9は、1番目の第二セグメント30aをサポートリング40aに固定した状態を示す模式図であり、図10〜図13は、2番目の第二セグメント30cまたは3番目の第二セグメント30aをサポートリング40aに順次固定するときの載置状態または固定状態をそれぞれ示す模式図である。
【0090】
なお、図6を含めて各セグメント20a〜20cおよび30a〜30cをサポートリング40aに固定する状態を示す模式図では、各セグメント20a〜20cおよび30a〜30cがサポートリング40a上で固定される位置を明確に示す便宜上、クレードル12aおよび台車13は、一部構成を省略して図示している。また、各セグメント20a〜20cおよび30a〜30cは、その両端がサポートリング40a,40bに固定されるが、説明の便宜上、同じく前記模式図では、一方のサポートリング40a(およびこれを支持するクレードル12a)のみを代表例として図示している。したがって、他方のサポートリング40bにおいても、サポートリング40aと同様にクレードル12bで支持され、各セグメント20a〜20cおよび30a〜30cがそれぞれ固定されることは言うまでもない。
【0091】
図6に示すように、台車13に取り付けられたクレードル12aによりサポートリング40aおよび図示されないサポートリング40bが支持された状態にある。そして、これらサポートリング40a,40bの間であって、サポートリング40a,40bの外面44から見て、環状の各サポートリング40a,40bの中空に相当する位置に、プレシジョンレール17が配置される。
【0092】
このプレシジョンレール17は、各セグメント20a〜20cおよび30a〜30cをサポートリング40a,40bに固定して組み立てるための組立装置であり、図6に示すように、ジャッキ部171、作業台172、およびレール本体173を備えている。プレシジョンレール17は、図6では明確に示されないが、一対のサポートリング40a,40bの間に配置されている。
【0093】
ジャッキ部171は、図6に示すように、その上側に第二セグメント30b等、各セグメント20a〜20cおよび30a〜30cを1個ずつ載置して、12時方向(図中矢印Lf)、すなわち上側に持ち上げるものである。作業台172は後述するように、第一セグメント20a〜20cと第二セグメント30a〜30cとを結合する作業等を作業員が行うために設けられるものである。レール本体173は、ジャッキ部171および作業台172を支持し、またジャッキ部171を駆動する駆動機構等を含むものである。
【0094】
1番目の第二セグメント30bは、プレシジョンレール17のジャッキ部171の上に載置され、ジャッキ部171が動作することにより12時方向(垂直上方向、図中矢印Lf)に持ち上げられ、サポートリング40aの上側の位置にまで達する。ここで、第二セグメント30bの端面33(図3(a),(b)も参照)には、雄型固定部材351および雄型ガイド部材352が設けられ、サポートリング40aの固定面43(図6では紙面の裏側、図5参照)には、雌型固定部材41および雌型ガイド部材42、並びに図5および図6には図示されない固定用くさび部材が設けられている。
【0095】
環状固定ガイド機構を構成する雄型ガイド部材352は、図7(a),(b)に示すように、第二セグメント30a〜30cの両端面33から突出して設けられる柱状の部材である。本実施の形態では、雄型ガイド部材352は、先端側が雌型ガイド部材42の陥凹に対応した直径を有する円柱形状であり、後端すなわち端面33への固定部位は、先端よりも広い面積を有する円形の台座となっている(図3(a),(b)も参照)。
【0096】
環状固定ガイド機構を構成する雌型ガイド部材42は、図7(a),(b)に示すように、雄型ガイド部材352を挿入させる切り欠きまたは陥凹が形成された部材である。本実施の形態では、雌型ガイド部材42は、前述したように一対のレール状部材となっており、このレールの間が上記陥凹となっているとともに、上側端部はレール部材同士がつながることで閉じられ、下側端部は雄型ガイド部材352を導入可能なように、レール部材同士が開いている。
【0097】
なお、環状固定ガイド機構の具体的構成は、本実施の形態で開示される構成に限定されず、他のさまざまな構成を採用することができる。例えば、雄型および雌型のガイド部材の配置が逆である構成、雄型および雌型以外の部材を含む構成、あるいは、各ガイド部材が接触してガイドを行う構成ではなく、レーザ光を利用した非接触型の光学的な構成等を採用することができる。
【0098】
環状固定保持機構を構成する雄型固定部材351は、図8(a),(b)に示すように、第二セグメント30a〜30cの両端面33に設けられ、第二セグメント30a〜30cの裏面から表面31(図8(a),(b)には図示されず)に向かう方向に突出する突出部351aと、端面33の法線方向に突出し突出部351aを支持する支持部351bとを備えている。そして、突出部351aには、後述する固定用くさび部材を貫通させるための貫通孔351cが形成されている。
【0099】
本実施の形態では、突出部351aは、当該突出部351aを貫通する貫通孔351cを形成して保持するために一定の面積を有する必要があることから、板状の部位となっている。突出部351aの広がり方向は、端面33の広がり方向と同じであり、また、突出部351aは、端面33に立設する支持部351bによって、端面33との間に一定の間隔を有するよう支持されているので、図8(a)に示すように、端面33と板状の突出部351aとは対外に平行の位置関係にある。そして、貫通孔351cは、突出部351aの法線方向に沿って形成されているので、貫通孔351cの形成方向は、端面33の方線方向と同じである。
【0100】
環状固定保持機構を構成する雌型固定部材41は、図8(a)に示すように、サポートリング40a,40bの固定面43に設けられる板状の被挿入部41aから構成され、この被挿入部41aには、第二セグメント30a〜30cの裏面から表面31(図8(a)には図示されず)に向かう方向に形成されている開口部41bを有している。第二セグメント30a〜30c(または第一セグメント20a〜20c)が下方から12時方向に上昇したときに、開口部41bに雄型固定部材351の突出部351aが挿入されることで、第二セグメント30a〜30c(または第一セグメント20a〜20c)がサポートリング40a,40bの固定面43に固定された状態(固定状態)となる。
【0101】
本実施の形態では、被挿入部41aは、突出部351aを挿入する開口部41bを形成して保持するために、一定の広がり面積を有する必要があることから、前記突出部351aと同様に板状の部材となっている。また、開口部41bは、本実施の形態では、当該被挿入部41aを貫通する貫通孔として形成されているが、凹部として形成されてもよい。すなわち、被挿入部41aに突出部351aが挿入されることで、第二セグメント30a〜30c(または第一セグメント20a〜20c)の固定面43への固定状態を保持することができれば、当該被挿入部41aに形成される開口部41bは、貫通孔であってもよいし凹部であってもよい。
【0102】
本実施の形態では、雄型固定部材351が雌型固定部材41へ挿入された状態、言い換えれば、第二セグメント30a〜30c(または第一セグメント20a〜20c)の固定面43への固定状態を保持する固定状態保持部材として、図8(a)〜(c)に示すように、固定用くさび部材46を備えている。
【0103】
本実施の形態では、固定用くさび部材46は、先端部がくさび形状となっており、この先端部につながる軸部と、当該軸部の後端側に設けられる移動機構と、から少なくとも構成されている。固定用くさび部材46が設けられる位置は、雌型固定部材41が設けられる位置と重なっており、固定用くさび部材46の先端部は、図8(a)に示すように、雌型固定部材41の被挿入部41aの上側で当該被挿入部41aに対して平行の位置関係となるようにサポートリング40a,40bに設けられている。
【0104】
固定用くさび部材46の軸部は、固定面43の方線方向に沿ってサポートリング40a,40b本体を貫通するように設けられ、後端側の移動機構によって先端部が固定面43から前進したり後退したりするよう構成されている。そして、図8(a)に示すように、突出部351aが被挿入部41aに挿入する前であれば、固定用くさび部材46の先端部は、被挿入部41aに形成されている開口部41bに重ならないように、当該開口部41bよりも固定面43から見て内側に後退した位置にある。また、図8(c)に示すように、突出部351aが被挿入部41aに挿入した後であれば、固定用くさび部材46の先端部は、突出部351aの貫通孔351cに挿入されるように、移動機構によって固定面43から見て外側に前進する。
【0105】
ここで、本実施の形態では、固定用くさび部材46はサポートリング40a,40b側に設けられているが、第二セグメント30a〜30cの端面33または第一セグメント20a〜20cの端面23に設けられてもよい。また、固定用くさび部材46は、固定面43から見れば、雌型固定部材41の位置と重なる位置に設けられているが、固定用くさび部材46の位置はこれに限定されず、被挿入部41aに突出部351aが挿入した状態で、当該突出部351aに向かって進退可能な位置に設けられ、突出部351aに向かって前進したときに、貫通孔351cに挿入可能な位置であれば、どのような位置に設けられてもよい。
【0106】
また、固定状態保持部材は、固定用くさび部材46に限定されず、雄型および雌型の各固定部材の具体的な構成がどのような構成であっても、これら固定部材による第二セグメント30a〜30cまたは第一セグメント20a〜20cとサポートリング40a,40bとの固定状態を保持することができれば、さまざまな構成を採用することができる。
【0107】
なお、環状固定保持機構の具体的構成は、本実施の形態で開示される構成に限定されず、第二セグメント30a〜30c(または第一セグメント20a〜20c)を下方から上昇させて、その端面33をサポートリング40a,40bの固定面43に固定させ、これらの固定状態を保持することができれば、他のさまざまな構成を採用することができる。例えば、雄型および雌型の固定部材の配置が逆である構成、固定状態保持部材を含まない構成、固定部材および固定状態保持部材以外の部材を含む構成等を採用することができる。
【0108】
次に、上述した環状固定ガイド機構および環状固定保持機構の動作を含め、第二セグメント30a〜30cのサポートリング40a,40bへの固定作業の手順を説明する。
【0109】
前述のとおり、第二セグメント30bは、プレシジョンレール17のジャッキ部171の上に載置され、ジャッキ部171が動作することにより図中矢印Lfの12時方向に上昇移動する。このとき、第二セグメント30bの端面33の上側に設けられている雄型ガイド部材352は、端面33の下側に設けられている2個の雄型固定部材351よりも先に、雌型ガイド部材42のレール間の陥凹に挿入される。その後、図7(a)に示すように、第二セグメント30bの上昇移動に伴って、雄型ガイド部材352は雌型ガイド部材42のレール間の陥凹内を上昇移動するとともに、図8(a)に示すように、雄型固定部材351も上昇移動する。なお、いずれの図中においても移動方向は矢印Lfとして示される。
【0110】
ここで、雄型固定部材351は雄型ガイド部材352から見て等距離の位置にあって、両端面33に2個、全体で4個が第二セグメント30bに設けられている。雄型ガイド部材352が設けられていなければ、4個の雄型固定部材351それぞれについて、サポートリング40a,40bに設けられている各雌型固定部材41に挿入されるように位置決めをする必要が生じるが、雄型ガイド部材352が雌型ガイド部材42に挿入されて移動することで、第二セグメント30bの12時方向への厳密な移動方向がガイドされる。これにより、同一の端面33に設けられている2個の雄型固定部材351は、雌型固定部材41に挿入されるよう適切に位置決めされる。
【0111】
次に、図9に示すように、第二セグメント30bがサポートリング40aの上側の位置にまで達すると、図7(b)に示すように、雄型ガイド部材352は雌型ガイド部材42のレールの上側端部の閉鎖部位に達し、雄型固定部材351の突出部351aは、図8(b)に示すように、雌型固定部材41の被挿入部41aに形成されている開口部41bを貫通するように挿入される。この状態で、第二セグメント30bはサポートリング40aの固定面43に固定されることになる。
【0112】
さらにその後、図8(b)で矢印Frに示すように、固定用くさび部材46が固定面43の外側に前進し、図8(c)に示すように、固定用くさび部材46の先端部が、被挿入部41aに挿入された状態の突出部351aの貫通孔351cを貫通する。これによって、被挿入部41aの開口部41bから突出部351aが外れることがなくなり、それゆえ、第二セグメント30bの固定面43への固定状態が安定して保持されることになる。
【0113】
なお、図7(a),(b)に示される環状固定ガイド機構の動作、すなわち、雄型ガイド部材352が雌型ガイド部材42へ挿入され、雌型ガイド部材42の陥凹内を移動する動作を、環状固定ガイド機構の「固定ガイド動作」と称し、図8(a)〜(c)に示される環状固定保持機構の動作、すなわち、雄型固定部材351が雌型固定部材41に挿入され、固定用くさび部材46が雄型固定部材351の貫通孔351cに挿入される動作を、環状固定保持機構の「固定保持動作」と称する。また、図7(a)に示す固定ガイド動作の位置と図8(a)に示す固定保持動作の位置とが互いに同じ位置関係にあり、図7(b)に示す固定ガイド動作の位置と図8(b)(および図8(c))に示す固定保持動作の位置とが互いに同じ位置関係にある。
【0114】
また、図7(a),(b)に示す固定ガイド動作と図8(a)〜(c)に示す固定保持動作とは、第二セグメント30bとサポートリング40aとの間だけでなく、第二セグメント30bとサポートリング40bとの間でも行われる。これにより、一対のサポートリング40a,40bの間で、第二セグメント30bが固定されて支持される。
【0115】
次に、図9の矢印Rt1に示すように、サポートリング40a(および図示されないサポートリング40b)が約120°回転することにより、図中上側の位置に固定された第二セグメント30bは、図10に示すように、図中向かって左下側の位置に移動する。この状態で、図10に示すように、2番目の第二セグメント30cをプレシジョンレール17のジャッキ部171の上に載置し、ジャッキ部171を動作させて、第二セグメント30cを図中矢印Lfの12時方向に上昇移動させる。
【0116】
この上昇移動に伴い、図7(a),(b)並びに図8(a)〜(c)に示す固定ガイド動作および固定保持動作が行われ、図11に示すように、第二セグメント30cがサポートリング40a,40bに固定され、矢印Rt1に示すように、サポートリング40a,40bが約120°回転する。これによって、図12に示すように、図中上側の位置に固定された2番目の第二セグメント30cは、図中向かって左下側の位置に移動し、当該位置にあった1番目の第二セグメント30bは、図中向かって右下側の位置に移動する。
【0117】
次に、図12に示すように、3番目の第二セグメント30aを図中矢印Lfの12時方向に上昇移動させ、これに伴い、前記固定ガイド動作および固定保持動作が行われ、図13に示すように、3番目の第二セグメント30aがサポートリング40a,40bに固定される。これによって、全ての第二セグメント30a〜30cがサポートリング40a,40bに固定されたことになる。
【0118】
[マンドレルの組み立て方法・第一セグメントの固定と結合]
次に、第二セグメント30a〜30cの間に、第一セグメント20a〜20cを固定する作業へ移る。この第一セグメント20a〜20cの固定方法および固定作業の順序について、図14〜図21を参照して、セグメント結合保持機構およびセグメント結合ガイド機構の具体的構成とともに説明する。
【0119】
図14は、1番目の第一セグメント20bを12時方向(上方向)に持ち上げてサポートリング40a(およびサポートリング40b)に固定するために、ジャッキ部171に第一セグメント20bを載置した状態(載置状態)を示す模式図である。図15は、第一セグメント20a〜20cの側面22および第二セグメント30a〜30cの側面32に設けられているセグメント結合保持機構およびセグメント結合ガイド機構の構成を示す模式図である。図16(a)〜(c)は、第一セグメント20bを持ち上げて第二セグメント30bに結合するときに、図15に示すセグメント結合保持機構およびセグメント結合ガイド機構の動作を示す模式図である。図17(a)〜(c)は、セグメント結合保持機構としてのクランプ部材の構成および動作を示す模式図である。図18は、1番目の第一セグメント20bをサポートリング40aに固定し、第二セグメント30a,30bに結合している作業状態を示す模式図であり、図19〜図22は、2番目の第一セグメント20cまたは3番目の第一セグメント20aをサポートリング40aに順次固定し、第二セグメント30a〜30cに順次結合するときの載置状態または固定および結合の作業状態をそれぞれ示す模式図である。
【0120】
図14に示すように、1番目の第一セグメント20bが、プレシジョンレール17のジャッキ部171の上に載置され、図中矢印Lfで示す12時方向に持ち上げられ、サポートリング40aの上側の位置にまで達する。ここで、第一セグメント20bの端面23(図2(a),(b)も参照)には、雄型固定部材251および雄型ガイド部材252が設けられている。それゆえ、第一セグメント20bにおいても、第二セグメント30a〜30cと同様に、前述した固定ガイド動作および固定保持動作が行われることで、サポートリング40a,40bに固定される。
【0121】
さらに、図15および図16(a)〜(c)に示すように、第一セグメント20b(および第一セグメント20c,20a)の両側面22には、セグメント結合保持機構としての雄型結合部材261および結合用くさび部材264と、セグメント結合ガイド機構としての外周側雌型ガイド部材262および内周側雄型ガイド部材263が設けられている。一方、第二セグメント30b(および第二セグメント30c,30a)の両側面32には、図15に示すように、セグメント結合保持機構としての雌型結合部材361と、セグメント結合ガイド機構としての外周側雄型ガイド部材362および内周側雌型ガイド部材363が設けられている。
【0122】
なお、図15および図16(a)〜(c)においては、セグメント結合保持機構およびセグメント結合ガイド機構の構成を説明する便宜上、第一セグメント20bの端面23には、雄型固定部材251は図示されていない。また、図16(a)〜(c)は後述するように、セグメント結合ガイド機構およびセグメント結合保持機構の動作を説明する図であるので、便宜上、図15に図示している一部の構成を省略または簡素化して記載している。
【0123】
雄型結合部材261は、外周側雌型ガイド部材262の図中下側(第一セグメント20a〜20cが水平配置されていれば鉛直方向)に配置されており、その具体的な構成は、環状固定保持機構を構成する雄型固定部材251または351と同様である。すなわち、第一セグメント20a〜20cの裏面から表面21に向かう方向に突出する突出部261aと、これを側面22に支持する支持部261bを備え、突出部261aに貫通孔261cが形成されている。なお、図15では、貫通孔261cを説明する便宜上、突出部261aは部分断面図として図示している。
【0124】
また、結合用くさび部材264も、固定状態保持部材としての固定用くさび部材46と同様で、第一セグメント20a〜20cの側面22の内側となる位置に設けられ、側面22の外側に位置する雄型固定部材251の突出部261aに向かって進退可能となるよう構成されている。つまり、固定状態保持部材としての固定用くさび部材46は雌型固定部材41が固定されている側の面(サポートリング40a,40bの固定面43)に設けられていたが、セグメント結合保持機構を構成する結合用くさび部材264は、雄型結合部材261が固定されている側の面(第一セグメント20a〜20cの側面22)に設けられている。
【0125】
なお、この結合用くさび部材264は、雄型結合部材261および雌型結合部材361による第一セグメント20a〜20cおよび第二セグメント30a〜30cの結合状態を保持する部材、すなわち結合状態保持部材となっている。また、結合用くさび部材264は、第一セグメント20a〜20cの側面22ではなく、第二セグメント30a〜30cの側面32に設けられてもよい。
【0126】
雄型結合部材261の突出部261aの下側には、内周側雄型ガイド部材263が設けられている。図15に示す構成では、支持部261bの下側が突出してガイド支持部263bが形成されており、このガイド支持部263bに円柱状の雄型ガイド本体263aが設けられている。突出部261aの突出方向が図中上側の方向(第一セグメント20a〜20cの裏側から表面21に向かう方向)であれば、雄型ガイド本体263aは、図中紙面の法線方向(第一セグメント20a〜20cの端面23の法線方向)に向かって突出している。したがって、雄型結合部材261と内周側雄型ガイド部材263との位置関係は、それぞれの突出方向が直角を形成するような関係にある。
【0127】
外周側雌型ガイド部材262は、雄型結合部材261および内周側雄型ガイド部材263から見て図中上側、すなわち第一セグメント20a〜20cの表面21側に位置しており、側面22から立設し、かつ、その広がり方向が前記端面23の広がり方向と平行な板状となっている。そして、この外周側雌型ガイド部材262には、表面21側から裏側に向かって切り欠きが形成されている。この切り欠きは、開口側が広く内側に進むほど間隔が狭くなっている。そして切り欠きの長手方向の中間位置からは、間隔が一定となり、最も内側の部位は円弧状となっている。
【0128】
次に、雌型結合部材361、外周側雄型ガイド部材362および内周側雌型ガイド部材363は、図15に示すように、第二セグメント30a〜30cの側面32において、当該第二セグメント30a〜30cの表面31から見て庇部37に隠れる位置に設けられている。
【0129】
雌型結合部材361は、環状固定保持機構を構成する雌型固定部材41と同様に、第二セグメント30a〜30cの側面32において、雄型結合部材261に対応する位置に設けられる板状の被挿入部361aから構成され、この被挿入部361aには、第二セグメント30a〜30cの裏面から表面31に向かう方向に形成されている開口部361bを有している。この開口部361bは貫通孔となっているが凹部であってもよい。なお、図15(および図16(a)〜(c))では、開口部361bを説明する便宜上、雌型結合部材361は断面図として図示している。
【0130】
外周側雄型ガイド部材362は、雌型結合部材361から見て第二セグメント30a〜30cの表面31側に位置している。その構成は、内周側雄型ガイド部材263と同様であって、側面32において端面23の広がり方向と平行に設けられる板状のガイド支持部362bから、図中紙面の法線方向に向かって円柱状の雄型ガイド本体362aが突出する構成となっている。そして、この雄型ガイド本体362aが、第一セグメント20a〜20cに設けられている外周側雌型ガイド部材262の切り欠きに挿入される。
【0131】
内周側雌型ガイド部材363は、雌型結合部材361を覆う外装部材と一体化しており、この外装部材の下方側に形成される切り欠きから構成されている。なお、図15(および図16(a)〜(c))においては、説明の便宜上、雌型結合部材361を覆っている上側の部位は点線で示し、下側の切り欠きの周辺のみ実線で図示している。この切り欠きには、第一セグメント20a〜20cに設けられている内周側雄型ガイド部材263が挿入される。
【0132】
したがって、第二セグメント30a〜30cの側面32に設けられている雌型結合部材361、外周側雄型ガイド部材362および内周側雌型ガイド部材363は、第一セグメント20a〜20cの側面22と第二セグメント30a〜30cの側面32とが対向したときに、第一セグメント20a〜20cの側面22に設けられている雄型結合部材261、外周側雌型ガイド部材262および内周側雄型ガイド部材263の位置に対応するような位置関係となっている。
【0133】
なお、雄型結合部材261、雌型結合部材361については、前述した雄型固定部材251,351、雌型固定部材41と同様にさまざまな構成を用いることができ、本実施の形態に開示の構成に限定されない。また、切り欠きを有する外周側雌型ガイド部材262、内周側雌型ガイド部材363の具体的構成も特に限定されず、表面21または表面31から裏面に向かって延び、かつ、その間隔が徐々に狭くなるように形成されている切り欠き部または陥凹部を有していればよい。さらに、これら外周側雌型ガイド部材262、内周側雌型ガイド部材363に挿入される外周側雄型ガイド部材362、内周側雄型ガイド部材263の具体的構成も特に限定されず、前記切り欠き部または陥凹部に挿入される挿入部を有していれば、本実施の形態に開示の構成に限定されない。
【0134】
さらに、本実施の形態では、セグメント結合保持機構として、図17(a)〜(c)に示すクランプ部材265を備えている。このクランプ部材265は、第一セグメント20a〜20cの側面22に設けられている支持縁部271と、第二セグメント30a〜30cの庇部37に設けられている返り縁部371とを対向させた状態で、返り縁部371の裏面を押さえつけることによって、各セグメント20,30同士を結合させている。
【0135】
クランプ部材265は、本実施の形態では、図17(a)〜(c)に示すように、第一セグメント20a〜20cの側面22を横断する程度の長さを有し、一方の端部が第一セグメント20a〜20cの裏面を押さえつける部位となっており、他方の端部が、側面22の表面21側の縁を押えつける部位となっている。
【0136】
なお、図17(a)〜(c)では、クランプ部材265の構成を説明する便宜上、第一セグメント20a〜20cの側面22には、雄型結合部材261、外周側雌型ガイド部材262、内周側雄型ガイド部材263、および結合用くさび部材264は図示されず、また、第二セグメント30a〜30cに関しては、クランプ部材265での結合保持に関与する返り縁部371を除いて点線で図示している。
【0137】
支持縁部271は、図15および図17(a)に示すように、第一セグメント20a〜20cの表面21側の縁に設けられる板状の部材であって、図17(c)に示すように、返り縁部371を介してクランプ部材265の他方の端部で押さえつけられる。返り縁部371は、図15および図17(a),(b)に示すように、第二セグメント30a〜30cの庇部37の先端において、表面31から前記裏面に向かって折り返された板状の部位であり、図17(b)に示すように、第一セグメント20a〜20cの表面21と第二セグメント30a〜30cの表面31とが連続面となるように位置合わせされた状態で、クランプ部材265により裏面が押さえつけられることで、第一セグメント20a〜20cの支持縁部271との間で挟み込まれる。
【0138】
なお、本実施の形態では、返り縁部371を介してのクランプ部材265による押さえつけをより適切なものとする点から、第一セグメント20a〜20cの側面22に、返り縁部371と当接する形状の支持縁部271を設けているが、当該支持縁部271が設けられず、側面22に返り縁部371の表面が直接当接するよう構成されてもよいし、返り縁部371以外の構成を用いてクランプ部材265により第一セグメント20a〜20cの側面22と、第二セグメント30a〜30cの庇部37近傍の部位とを押さえつけて固定してもよい。
【0139】
次に、上述したセグメント結合ガイド機構およびセグメント結合保持機構の動作を含め、第一セグメント20bのサポートリング40a,40bへの固定作業の手順を説明する。
【0140】
図13に示すように、3番目の第二セグメント30aがサポートリング40a,40bに固定された後には、矢印Rt2に示すように、サポートリング40a,40bが約60°回転する。第二セグメント30a〜30cを先に固定するときには、各セグメント30a〜30cを、サポートリング40a,40bにおける1個置きの固定位置に固定するため、サポートリング40a,40bは、セグメント2個分の固定位置に相当する120°の回転角度で回転させる必要があったが、この工程では、異なる種類の第一セグメント20bを固定するため、回転角度は、セグメント1個分の60°となる。
【0141】
次に、図14に示すように、1番目の第一セグメント20bは、プレシジョンレール17のジャッキ部171の上に載置され、ジャッキ部171が動作することにより図中矢印Lfの12時方向に上昇移動する。このとき、第一セグメント20bの端面23に設けられている雄型ガイド部材252および雄型固定部材251と、サポートリング40a,40bの固定面43に設けられている雌型ガイド部材42、雌型固定部材41および固定用くさび部材46により、前述した固定ガイド動作および固定保持動作が行われる。
【0142】
また、図16(a)に示すように、第一セグメント20bが上昇移動すると、側面22の下側に設けられている雄型結合部材261よりも先に、上側に設けられている外周側雌型ガイド部材262の切り欠きが、第二セグメント30bの側面32の上側に設けられている外周側雄型ガイド部材362に嵌合し、雄型ガイド本体362aが切り欠き内を相対的に移動するように、外周側雌型ガイド部材262が上昇移動する。これに伴って、雄型結合部材261も上昇移動する。なお、図中、移動方向は矢印Lfとして示される。
【0143】
ここで、雄型結合部材261は、第一セグメント20bの側面22に複数個(図2(a)に示す構成では5個)設けられ、かつ、雄型結合部材261の位置は外周側雌型ガイド部材262の図中下側の位置(上昇方向の反対側)であるので、外周側雌型ガイド部材262および外周側雄型ガイド部材362の嵌合および移動により、第一セグメント30bの12時方向への厳密な移動方向がガイドされる。これにより、複数個の雄型結合部材261は、対応する雌型結合部材361に挿入されるよう適切に位置決めされる。
【0144】
次に、図18に示すように、第一セグメント20bがサポートリング40aの上側の位置にまで達すると、図15(b)に示すように、外周側雄型ガイド部材362は、外周側雌型ガイド部材262の切り欠きの中間位置に達するとともに、雄型結合部材261の突出部261a(図16(a)〜(c)では符号を付していない)は、雌型結合部材361の被挿入部361aに形成されている開口部361bを貫通するように挿入される(図16(a)〜(c)では被挿入部361aおよび開口部361bとも符号を付していない)。この状態で、第一セグメント20bは、その側面22で第二セグメント30bの側面32と結合されることになる。
【0145】
しかも、図15(b)に示すように、雄型結合部材261の下側には、内周側雄型ガイド部材263が位置しており、雄型結合部材261とともに上昇移動して、内周側雌型ガイド部材363の切り欠きに挿入され、当該切り欠きの中間位置に達する。この状態では、第一セグメント20a〜20cの表面21と第二セグメント30a〜30cの表面31とが連続面となるように位置合わせされた状態であるので、側面22および側面32は、外周側と内周側との双方で良好に位置決めされた状態で対向していることになる。
【0146】
加えて、図17(a)に示すように、第一セグメント20bが上昇移動して、図17(b)に示すように、表面21および表面31が連続面となり、かつ、側面22および側面32が対向した状態では、第一セグメント20bの側面22に設けられる支持縁部271と、第二セグメント30bの庇部37先端に設けられる返り縁部371とが互いに対向して当接した状態となる。
【0147】
さらにその後、図16(b)で矢印Frに示すように、結合用くさび部材264が側面22の外側に前進し、図16(c)に示すように、結合用くさび部材264の先端部が、被挿入部361aに挿入された状態の突出部261aの貫通孔261cを貫通する。これによって、被挿入部361aの開口部361bから突出部261aが外れることがなくなり、それゆえ、第一セグメント20bおよび第二セグメント30bの結合状態が安定して保持されることになる。
【0148】
また、図17(c)に示すように、互いに対向した支持縁部271および返り縁部371において、返り縁部371の裏面(対向面とは反対側の面)がクランプ部材265により押さえつけられる。このクランプ部材265による押さえつけは、本実施の形態では、図18に示すように、作業者の人手によって行われる。この状態では、クランプ部材265の一方の端部が第一セグメント20bの裏面を押さえつけ、他方の端部が、返り縁部371を介して、第一セグメント20bの側面22の上側の縁(支持縁部271)を押えつけることになる。これによって、第二セグメント30bは、庇部37の先端で第一セグメント20bの側面22に固定されることになるので、第一セグメント20bおよび第二セグメント30bの結合状態がより一層安定して保持されることになる。
【0149】
なお、図16(a)〜(c)に示されるセグメント結合ガイド機構の動作、すなわち、外周側雌型ガイド部材262の切り欠きが外周側雄型ガイド部材362に嵌合し、当該切り欠き内を雄型ガイド本体362aが移動する動作、並びに、内周側雄型ガイド部材263が内周側雌型ガイド部材363の切り欠きに挿入され、当該切り欠き内を雄型ガイド本体263aが移動する動作を、セグメント結合ガイド機構の「結合ガイド動作」と称する。また、図16(a)〜(c)並びに図17(a)〜(c)に示されるセグメント結合保持機構の動作、すなわち、雄型結合部材261が雌型結合部材361に挿入され、結合用くさび部材264が雄型結合部材261の貫通孔261cに挿入される動作、並びに、クランプ部材265により返り縁部371を介して支持縁部271を押さえつける動作を、セグメント結合保持機構の「結合保持動作」と称する。
【0150】
また、図16(a)〜(c)および図17(a)〜(c)に示す結合ガイド動作および結合保持動作は、図18の図中向かって右側に示す1番目の第二セグメント30bだけでなく、図中向かって左側に示す3番目の第二セグメント30aとの間でも行われる。これにより、互いに隣接する各セグメント20,30の間で、それぞれが結合されて保持される。
【0151】
次に、図18の矢印Rt1に示すように、サポートリング40a(および図示されないサポートリング40b)が約120°回転することにより、図中上側の位置に固定された第一セグメント20bは、図19に示すように、図中向かって左下側の位置に移動する。この状態で、図19に示すように、2番目の第一セグメント20cをプレシジョンレール17のジャッキ部171の上に載置し、ジャッキ部171を動作させて、第一セグメント20cを図中矢印Lfの12時方向に上昇移動させる。
【0152】
この上昇移動に伴い、第一セグメント20cの端面23において、前述した固定ガイド動作および固定保持動作がサポートリング40a,40bとの間で行われるとともに、側面22において、前述した結合ガイド動作および結合保持動作が隣接する第二セグメント30bおよび30cとの間で行われる。これによって、図20に示すように、第一セグメント20cがサポートリング40a,40bに固定され、かつ、第二セグメント30bおよび30bと結合される。その後、矢印Rt1に示すように、サポートリング40a,40bが約120°回転することによって、図21に示すように、図中上側の位置に固定された2番目の第一セグメント20cは、図中向かって左下側の位置に移動し、当該位置にあった1番目の第一セグメント20bは、図中向かって右下側の位置に移動する。
【0153】
次に、図21に示すように、3番目の第一セグメント20aを図中矢印Lfの12時方向に上昇移動させ、これに伴い、前記固定ガイド動作および固定保持動作、並びに、結合ガイド動作および結合保持動作が行われ、図22に示すように、3番目の第一セグメント20aがサポートリング40a,40bに固定され、かつ、第二セグメント30cおよび30aと結合される。
【0154】
これによって、全ての第一セグメント20a〜20cがサポートリング40a,40bに固定されるとともに、全てのセグメント20a〜20cおよび30a〜30cが互いに結合されて保持されたことになる。その結果、図1に示すように、サポートリング40a,40bに保持されたマンドレル11から構成される成形型10の組み立てが完成する。
【0155】
このように本実施の形態では、対向配置した一対のサポートリング40a,40bのそれぞれに、周方向に沿って交互に設定された複数の第一接続箇所および第二接続箇所のうち、最上位に位置する第二接続箇所に対して、第二セグメント30a〜30cを鉛直方向に沿って上昇させ、第二セグメント30a〜30cを接続する第二セグメント接続ステップと、接続された第二セグメント30a〜30cとともにサポートリング40a,40bを回転させ、第一接続箇所をサポートリング40a,40bの最上部に位置させる回転ステップと、最上部に位置する第一接続箇所に対して第一セグメント20a〜20cを接続する第一セグメント接続ステップと、を備えていればよい。
【0156】
上記構成の成形型10を用いることによって、円筒形の複合材料構造物、例えば、図24に示すOPBを成形することができるが、成形後の成形型10の脱型は、マンドレル11を解体することによって行われる。その解体方法は、前述した組み立て方法の逆の工程を経るものであり、先に第一セグメント20a〜20cを1個ずつ下方に引き抜いて取り外してから、その後に第二セグメント30a〜30cを1個ずつ下方に下ろして取り外せばよい。
【0157】
[変形例]
本発明に係る複合材料構造物用成形型10の具体的構成は、前述したような、第一セグメント20および第二セグメント30がそれぞれ3個ずつ組み合わせられた構成に限定されるものではなく、他の構成を採用することができる。
【0158】
例えば、図23(a)に示すように、両側面が水平方向に向かうか上側に傾斜している第一セグメント20および両側面が下側に向かう第二セグメント30を備える点では、前述した構成と同様であるが、マンドレル11を8分割した構成も挙げることができる。
【0159】
あるいは、例えば、図23(b)に示すように、マンドレル11が6分割されている点は、前述した構成と同様であるが、第一セグメント20および第二セグメント30を1個ずつ備え、さらに、一方の側面が水平方向に向かうか上側に傾斜し、他方の側面が下側に向かう第四セグメント120を4個備えている構成も挙げることができる。
【0160】
他に図示されないが、7個または5個の奇数の個数に分割する構成も挙げることができるが、本発明においては、複数種類のセグメントから構成されるマンドレルがサポートリング40a,40bのような環状保持部材に固定されて円筒状に保持される構成となっていれば、分割の個数、または、個々のセグメントの形状については特に限定されない。
【0161】
つまり、本発明においては、マンドレル(円筒状部材)11が、軸芯方向に沿った線で分割された略矩形状をなす複数のセグメントを互いに接続して組み立てられる構成となっていれば、各セグメントの具体的形状、種類、数等は特に限定されるものではない。
【0162】
また、マンドレル11を構成する第一セグメント20および第二セグメント30を保持する環状保持部材は、前述したサポートリング40a,40bに限定されず、他の部材であってもよい。例えば、サポートリング40a,40b以外にエンドリング等を挙げることもできる。
【0163】
なお、本発明は上述した実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、例えば、航空機の胴体部等、大型で略円筒形状の複合材料構造物を成形する分野に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0165】
10 成形型
11 マンドレル(円筒状部材)
20,20a〜20c 第一セグメント
30,30a〜30c 第二セグメント
37 庇部
40a,40b サポートリング(環状保持部材)
41 雌型固定部材(環状固定保持機構)
42 雌型ガイド部材(環状固定ガイド機構)
46 固定用くさび部材(環状固定保持機構、固定状態保持部材)
251,351 雄型固定部材(環状固定保持機構)
252,352 雄型ガイド部材(環状固定ガイド機構)
261 雄型結合部材(セグメント結合保持機構)
262 雌型ガイド部材(セグメント結合ガイド機構)
264 結合用くさび部材(セグメント結合保持機構、結合状態保持部材)
271 支持縁部
265 クランプ部材
361 雌型結合部材(セグメント結合保持機構)
362 雄型ガイド部材(セグメント結合ガイド機構)
371 返り縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形の複合材料構造物の内側に挿入されて用いられる成形型であって、
矩形平板状であって、一方の主面である表面が凸面状となっている少なくとも2種類以上の複数のセグメントと、
複数の前記セグメントの両端面をそれぞれ固定する一対の環状保持部材と、を備え、
複数の前記セグメントは、1個ずつが前記表面を外側に向けた状態で前記端面が前記環状保持部材に固定された上で、隣接する前記セグメント同士の側面が互いに結合されることにより、単一の円筒状部材として保持されている、複合材料構造物製造用成形型。
【請求項2】
前記セグメントとして、
前記表面を上側として水平に配置させたときに、その両側面が、水平方向または水平方向に対して上側に傾斜する方向に面している形状を有する第一セグメントと、
前記表面を上側として水平に配置させたときに、その両側面が水平方向に対して下側に傾斜する方向に面している形状を有する前記第二セグメントと、を備えている、請求項1に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項3】
前記第一セグメントまたは前記第二セグメントを下方から上昇させて、当該セグメントの前記端面を前記環状保持部材の固定面に固定させるとともに、これらの固定状態を保持する環状固定保持機構を備えている、請求項2に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項4】
前記環状固定保持機構は、
前記第一セグメントまたは前記第二セグメントの前記端面に設けられ、当該セグメントの裏面から前記表面に向かう方向に突出する突出部を有する雄型固定部材と、
前記環状保持部材の前記固定面に設けられ、前記セグメントを下方から上昇させたときに、前記雄型固定部材の前記突出部が挿入されるように、固定される前記セグメントの前記裏面から前記表面に向かう方向に形成されている凹部または開口部を有する雌型固定部材と、
前記セグメントの前記端面または前記環状保持部材の前記固定面のいずれか一方に設けられ、前記雌型固定部材への前記雄型固定部材の挿入状態を保持する固定状態保持部材と、から構成されている、請求項3に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項5】
前記雄型固定部材は、前記第一セグメントまたは前記第二セグメントの前記両端面にそれぞれ2個設けられ、
前記雌型固定部材は、2個の前記雄型固定部材の位置に対応するように、前記環状保持部材の前記固定面に設けられている、請求項4に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項6】
前記雄型固定部材が有する前記突出部には、当該突出部を貫通する貫通孔が形成されているとともに、
前記固定状態保持部材として、前記雌型固定部材の前記凹部または前記開口部に挿入した状態にある前記雄型固定部材の前記突出部に向かって進退可能な位置に設けられ、かつ、前記突出部に向かって前進した状態では、前記突出部の前記貫通孔に挿入されることにより、前記雌型固定部材への前記雄型固定部材の挿入状態を保持する、くさび部材を有している、請求項4または5に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項7】
前記雄型固定部材の前記突出部を前記雌型固定部材の前記凹部または前記開口部に挿入させるときの位置決めに用いられる環状固定ガイド機構を、さらに備えている、請求項4から6のいずれか1項に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項8】
前記環状固定ガイド機構は、
前記第一セグメントまたは第二セグメントの前記両端面において、当該端面から突出して設けられる雄型ガイド部材と、
前記環状保持部材の前記固定面において、前記雄型ガイド部材に対応する位置に設けられ、前記雄型ガイド部材を挿入させる切り欠きまたは陥凹が形成された雌型ガイド部材と、から構成されている、請求項7に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項9】
前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの前記側面に配置され、異なる前記セグメントの前記側面同士を結合させるとともに、これらの結合状態を保持するセグメント結合保持機構を備えている、請求項2から8のいずれか1項に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項10】
前記セグメント結合保持機構は、
前記第一セグメントの前記側面に設けられ、当該第一セグメントの裏面から前記表面に向かう方向に突出する突出部を有する雄型結合部材と、
前記第二セグメントの前記側面において、前記雄型結合部材に対応する位置に設けられ、前記突出部が挿入される凹部または開口部を有する雌型結合部材と、
前記第一セグメントの前記側面または前記第二セグメントの前記側面のいずれか一方に設けられ、前記雌型結合部材への前記雄型結合部材の挿入状態を保持する結合状態保持部材と、
から構成されている、請求項9に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項11】
前記第二セグメントの前記側面には、前記表面につながる縁部が当該側面よりも外側に突出している庇部が設けられ、
前記雌型結合部材は、前記第二セグメントの前記側面における、前記表面から見て前記庇部に隠れる位置に設けられている、請求項10に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項12】
前記雄型結合部材が有する前記突出部には、当該突出部を貫通する貫通孔が形成されているとともに、
前結合状態保持部材として、前記雌型結合部材の前記凹部または前記開口部に挿入した状態にある前記雄型結合部材の前記突出部に向かって進退可能な位置に設けられ、かつ、記突出部に向かって前進した状態では、前記突出部の前記貫通孔に挿入されることにより、前記雌型結合部材への前記雄型結合部材の挿入状態を保持する、くさび部材を有している、請求項10または11に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項13】
前記雄型結合部材の前記突出部を前記雌型結合部材の前記凹部または前記開口部に挿入させるときの位置決めに用いられるセグメント結合ガイド機構を、さらに備えている、請求項10から12のいずれか1項に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項14】
前記セグメント結合ガイド機構は、
前記第一セグメントの前記側面において、前記雄型結合部材よりも前記表面に近い位置に設けられ、前記表面から前記裏面に向かって延び、かつ、その間隔が徐々に狭くなるように形成されている部位を含む、切り欠き部または陥凹部を有する雌型ガイド部材と、
前記第二セグメントの前記側面において、前記雌型結合部材よりも前記表面に近い位置に設けられ、前記雌型ガイド部材の前記切り欠き部または陥凹部に挿入される挿入部を有する雄型ガイド部材と、から構成されている、請求項13に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項15】
前記第二セグメントにおける前記庇部の先端は、前記表面から前記裏面に向かって折り返された返り縁部となっているとともに、
前記セグメント結合保持機構として、さらに、前記第一セグメントの前記表面と前記第二セグメントの前記表面とが連続面となるように位置合わせされた状態で、前記第二セグメントの前記返り縁部を、前記第一セグメントの前記側面との間で挟み込むクランプ部材を備えている、請求項11から14のいずれか1項に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項16】
前記第一セグメントおよび第二セグメントをそれぞれ3個ずつ備え、
前記環状保持部材は楕円形状を有しており、
前記第一セグメントおよび第二セグメントが交互に結合されて単一の円筒状となるように組み合わせられたときに、前記環状保持部材に対応した楕円形状となるように構成されている、請求項2から15のいずれか1項に記載の複合材料構造物製造用成形型。
【請求項17】
前記第一セグメントおよび前記第二セグメントの前記表面には、前記複合材料構造物の骨格材料を嵌入させる複数の凹部が形成されている、請求項2から16のいずれか1項に記載の複合材料構造物製造用成形型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−131559(P2011−131559A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295575(P2009−295575)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】