説明

複合材料物品の製造方法

【課題】多成分射出成形法により製造され、熱可塑性エラストマーからなる機能性素子がその上に直接成形されたポリアセタールからの複合材料物品を提供する。
【解決手段】1種以上の熱可塑性加工適性エラストマー(成分b)からなる機能性素子がその上に直接成形されたポリアセタール(成分a)から複合材料物品を製造する方法であって、成分aとbが異なる硬さをもち、第1工程で、硬さが大きい方の材料(成分a)をまず型内で予備成形し、冷却して型から取り出し、次いでより大きい他のキャビティに装入するか、又は部分的に型から取り出し、次いで最初の型の一部と共により大きなキャビティに移し、又は型から取り出さずに同じ型内に残し、型を可動性装置により拡大し、第2工程で、この材料に硬さが小さい方の材料(成分b)を重ね成形し、成分a)から形成された成形品をこの材料に強固に接着し、複合材料物品として型から取り出す方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジニアリング材料ポリオキシメチレンとその上に直接成形された1種以上の熱可塑性エラストマーからなる機能性素子との組合わせからポリアセタールエラストマー複合材料物品を製造する方法、およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジニアリング材料ポリアセタール、すなわちポリオキシメチレン(POM)は、卓越した機械的特性をもち、さらに一般に通常のすべての溶剤および燃料に対し抵抗性でもある。したがってポリオキシメチレンから作成した成形品は、特に自動車構造体、殊に燃料輸送システムに用いられる。卓越したレジリエンスと共に良好な強度および硬さをもつため、ポリアセタールから作成した成形品はスナップ留め、特にクリップ用として、日常生活のあらゆる分野できわめて頻繁に用いられる。卓越した滑り摩擦特性は、ポリオキシメチレンが多くの運動部品、たとえばパワートレイン構成部品、そらせロール(deflector roll)、ギアホイールおよび操作レバーに用いられる理由である。きわめて良好な機械的耐久性および耐薬品性により、ポリオキシメチレンからハウジングやキーボードを製造することもできる。
【0003】
しかしPOMは室温では機械的防振係数が低い。このため、ある種の用途においては軟質の防振素子を用いる必要がある。さらに、ポリオキシメチレンから作成した成形品を組み込む場合、結合点にシールの必要なことがしばしばある。POMから作成した成形品の表面硬さが高く、POMの滑り摩擦係数が低いため、それに乗せた品物が滑り、たとえばPOMから作成したスイッチング素子および制御素子の操作信頼性を制限する可能性がある。
【0004】
他方、硬質材料と軟質材料の個々の特性を互いに組み合わせるために、これらの材料の組合わせを採用することも増えている。この場合、硬質材料は部材に強度を与えるためのものであり、軟質材料はその柔軟性により振動やノイズの封止や遮断を保証し、または表面感触を変化させる。これらの用途においては、硬質成分と軟質成分の間の接着が十分なことが重要である。
【0005】
現在まで、ガスケットと防振素子は別個に製造され、通常は追加操作で機械的に固着または接着されることがあり、作業が追加され、場合によってはかなりの経費が追加される。比較的新しく、経費的にみてより有効な方法は、多成分射出成形法であり、この場合たとえば予備成形した第1成分上に第2成分を重ね成形する(overmold)。この方法にとって2成分間に得られる接着はきわめて重要である。多成分射出成形法では、この接着性はアンダーカットを付与して物理的インターロックによりさらに改善できる場合がしばしばあるが、それらの使用には選択した成分間の化学的親和性による良好な基本的接着性がしばしば必要条件である。
【0006】
周知の例は、ポリプロピレン(PP)とポリオレフィンエラストマーまたはスチレン−オレフィンエラストマーの組合わせ、およびポリブチレンテレフタラート(PBT)とポリエステルエラストマーまたはスチレン−オレフィンエラストマーの組合わせである。ポリアミドもきわめて多くの軟質成分に接着する。
ポリアセタールから作成され、その上に直接成形した機能性素子を含む既知の成形品もあり、これらは非架橋ゴムを用いて製造された(ドイツ特許第DE−C 44 39 766号)。しかしこのタイプの複合材料物品の接着強さは、まだ不十分である。
【0007】
他の刊行物は同じタイプの複合材料物品に関するものであり、これは特にポリアセタール、ゴムコポリマー、強化用充填材、架橋剤、および所望により他の通常の添加剤からなる(ドイツ特許出願公開第DE−A−9611272号公報)。ゴム部分の加硫により、ポリマー成分の特に良好な接着が得られる。しかしこの追加工程は加硫のために温度および時間を高めるので、不利であると思われる。
自動車ドアロックのロッキングラムの防振素子に、硬さや引張強さの異なる領域を付与することもできる(ドイツ特許第DE−C 42 24 145号)。そのような場合、まず硬さの低い方の領域に熱可塑性ゴムを用い、硬さの大きい方の領域としてその上にポリアセタールプラスチックを付与する。この方法で良好な接着が得られるが、この方法は熱可塑性ゴムの寸法安定性が低いため、きわめて有用というわけではない。
【0008】
熱可塑性エラストマーを重ね成形法で熱可塑性樹脂と組み合わせることができると主張されている。これに関し、たとえばポリウレタンエラストマー(TPE−U)はPOMに接着する(Kunststoffe,84(1994)p.709)。しかしこの場合、一般的な場合のように軟質成分を硬質成分上に成形すると、良好な最終引張強さをもつ組合わせはわずかに得られるにすぎない。これは、この方法の温度プロフィルのため拡散期間がきわめて短いことにより起きる。この刊行物は、そこに述べた成分の接着性に関してはそれ以上の詳細を示していない。既知の関連出願もない。
【0009】
最後に、熱可塑性樹脂およびエラストマーを予備加硫するための既知の方法、特に異形押出し法、および既知の装置がある(ドイツ特許第DE−C 43 14 191号)。この方法では、所望により結合剤を添加することによって成分間の化学的接着が形成される。この方法は成分間の接触時間が長いことにより、前記の多成分射出法とは実質的に異なる。熱可塑性ポリマーの場合と同様に、使用できる熱可塑性樹脂についてTPE−UおよびPOMを含めた多様な物質も引用されている。この刊行物は厳密にこれらの物質を一緒に使用することを具体的に示してはおらず、そのような組合わせの利点も示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ特許第DE−C 44 39 766号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第DE−A−9611272号公報
【特許文献3】ドイツ特許第DE−C 42 24 145号明細書
【特許文献4】ドイツ特許第DE−C 43 14 191号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Kunststoffe,84(1994)p.709
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、多成分射出成形法により製造され、前記の制限や欠点がなく、熱可塑性エラストマーからなる機能性素子がその上に直接成形されたポリアセタールからの複合材料物品を提供することである。
【0013】
このポリアセタールエラストマー複合材料物品は、
a)ポリアセタール、および
b)少なくとも1種の熱可塑性加工適性エラストマー、好ましくはTPE−Uを含む。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、請求項1に記載するように前記のポリアセタールエラストマー複合材料物品を製造する方法であって、第1工程で、硬さが大きい方の材料(成分a))をまず型内で予備成形する。この場合の溶融温度は通常の範囲、すなわち後記ポリアセタールについては約180〜240℃、好ましくは190〜230℃である。型自体は20〜140℃に温度制御される。部分結晶性材料からなる硬質成分の精確な造形および寸法安定性には、高い方の温度範囲の型温度が有利である。この部分の装填が完了し、保持圧力がもはや作用しなくなると直ちに(ゲートシーリング点)、成分a)を最終的に冷却し、次いで複合材料の第1部分として型から取り出す(予備成形)。次いで第2の別個の後続射出成形工程で、この予備成形品をたとえば窪み付き(recessed)キャビティを備えた他の型に装入または再配置し、そして硬さが小さい方の材料(成分b))を型に射出し、これにより成分a)上に成形する(インサート法またはトランスフォーム法)。この場合、第2成分b)の融着および周囲層への浸透を促進するために、硬質成分a)から作成した予備成形部品を80℃から溶融温度直下までの範囲に予熱することが、その後得られる接着にとって特に有利である。
【0015】
成分a)から作成した予備成形部品の一部のみを型から取り出し、最初の型の一部(たとえば供給プレート、突出サイド、または単に割送りプレート)と共に、より大きな他のキャビティ内へ移動させてもよい。
【0016】
他の方法は、プロセス間で機械を開放せず、また成分a)から作成した予備成形品をさらに移動させずに、同じ型内に第2のより軟質の成分b)を射出するものである。第2のより軟質の成分b)のための型キャビティは、最初は第1のより硬質の成分a)を射出するまで可動性のインサートまたはコアで閉じられており、第2成分b)を射出するまで開かれない(スライド式割り型法)。予備成形品がまだ高温である状態で、ごく短い冷却時間後に、軟質材料溶融物が予備成形品に遭遇するので、本発明方法のこの態様も接着のために特に有利である。
【0017】
所望により、タイプa)またはb)の他の成分を、第2工程で成分b)と同時に、またはさらに後続工程で、その上に成形してもよい。
【0018】
上に成分b)を成形する際には、良好な接着を得るために、溶融温度、射出速度、ならびに射出圧力および保持圧力をきわめて高く設定することが有利である。成分b)の溶融温度は一般に180〜240℃であり、上限はその分解により決定される。
【0019】
射出速度ならびに射出圧力および保持圧力の最大値は機械および成形品に依存し、個々の状況に合わせなければならない。予備成形品を型から取り出す場合または取り出さない場合のすべての態様において、第2工程で型を20〜100℃に温度制御する。これに関して、提示した例は高い方の温度範囲の型温度がより良好な接着を与えることを示した。しかし部品のデザインによっては、離型性およびサイクル時間を最適にするために、型温度をこれより若干低くするのが有用なことがある。
【0020】
部品が冷却し終えた後、多成分射出成形品を型から取り出す。これに関して、型のデザインにおいて重要な要因は、材料の接着継目に対する応力を最小限にするために、突出装置を適切な地点に配置することである。また空気の混入により2成分間の接着が損なわれるのを最小限にするために、型のデザインは継目領域でキャビティを十分にガス抜きできるものでなければならない。型壁の粗面性も同様な作用をもつ。良好な接着を発現させるために、接着継目のある箇所の表面を平滑にすることが有利である。その場合、表面内に空気が閉じ込められるのが少なくなるからである。
【0021】
満足できる取扱性を保証するためには、成分a)と成分b)の間の接着において新規方法により達成される引張強さが少なくとも0.5N/mm2でなければならない。機能性部品については、より強い接着−負荷に応じて−が望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0022】
複合材料に用いる成分a)はポリアセタール、特にたとえばドイツ特許出願公開第DE−A−29 47 490号に記載される既知のポリオキシメチレン(POM)よりなる群から選択されるものである。これらは一般に、少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%のオキシメチレン(−CH2O−)単位を含む非分枝線状ポリマーである。本明細書においてポリオキシメチレンという用語は、ホルムアルデヒドまたはその環状オリゴマー、たとえばトリオキサンおよびテトロキサンのホモポリマー、ならびに対応するコポリマーを共に含む。
【0023】
ホルムアルデヒドまたはトリオキサンのホモポリマーは、分解を防ぐために、そのヒドロキシル末端基がたとえばエステル化またはエーテル化により化学的に安定化されたポリマーである。
【0024】
コポリマーは、ホルムアルデヒドまたはその環状オリゴマー、特にトリオキサン、ならびに環状エーテル、環状アセタールおよび/または線状ポリアセタールから製造されるポリマーである。
【0025】
可能なコモノマーは、1)3、4または5個の環員子、好ましくは3個の環員子をもつ環状エーテル、2)トリオキサンと異なる、5〜11個の環員子、好ましくは5、6、7または8個の環員子をもつ環状アセタール、および3)線状ポリアセタールであり、それぞれの場合、0.1〜20モル%、好ましくは0.5〜10モル%の量である。
【0026】
用いるポリアセタールポリマーは、一般に0.5〜75g/10分のメルトインデックス(MFR 190/2.16)をもつ。
【0027】
軟質成分b)とより良好に接着する改質グレードのPOMが好ましい。これら改質グレードの例は、POMとTPE−U(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)との、MBS(メチルメタクリラート−ブタジエン−スチレンコア−シェルエラストマー)との、メチルメタクリラート−アクリラートコア−シェルエラストマーとの、PC(ポリカーボネート)との、SAN(スチレン−アクリロニトリルコポリマー)との、またはASA(アクリラート−スチレン−アクリロニトリルコポリマー化合物)とのブレンドである。
【0028】
成分a)が、1〜50重量%の熱可塑性ポリウレタンエラストマーで改質されるか、1〜40重量%のメチルメタクリラート−ブタジエン−スチレンコア−シェルエラストマーで改質されるか、または両者の混合物で改質されて両改質剤の割合の合計が1〜50重量%であるのが有利であることが分かった。
【0029】
用いる熱可塑性加工適性エラストマー(成分b)は、TPE−U(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)である。これらの材料は、硬質ウレタンセグメントと軟質長鎖ジオールセグメントから構成された多重ブロックコポリマーである。
【0030】
本発明における硬質ウレタンセグメントは、ジイソシアナートと連鎖延長剤の反応で得られる。用いるジイソシアナートは、芳香族、脂環式または脂肪族ジイソシアナートであってよい。本発明においては、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート(MDI)、トリレンジイソシアナート(TDI)、m−キシレンジイソシアナート、p−キシレンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、ジフェニルジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、イソホロンジイソシアナートおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートが好ましい。用いる連鎖延長剤は、分子量500g/mol未満、好ましくは分子量300g/mol未満の短鎖脂肪族、脂環式または芳香族のジオールまたはジアミン、好ましくはエチレングリコール、プロピレン1,3−グリコール、プロピレン1,2−グリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルメタンである。
【0031】
軟質長鎖ジオールセグメントは、数平均分子量500〜5000g/mol、好ましくは1000〜3000g/molのポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルエステルジオールおよびポリカーボネートジオールよりなる群から選択できる。ポリエーテルジオールは、環状C2〜C12エーテル、たとえばエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはテトラヒドロフランの開環重合により製造できる。ポリエステルジオールは、ジアルコール(本発明において使用するのが好ましい例は、エチレングリコール、プロピレン1,3−グリコール、プロピレン1,2−グリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ノナンジオールおよび1,10−デカンジオールである)とジカルボン酸(本発明において使用するのが好ましい例は、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸である)のエステル化反応により、または対応するエステル交換反応により得ることができる。このタイプのポリエステルジオールは、ラクトン(本発明において使用するのが好ましい例は、カプロラクトン、プロピオラクトンおよびバレロラクトンである)の開環重合により得ることもできる。ポリカーボネートは、ジアルコール(本発明において使用するのが好ましい例は、エチレングリコール、プロピレン1,3−グリコール、プロピレン1,2−グリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ノナンジオールおよび1,10−デカンジオールである)と炭酸ジフェニルまたはホスゲンとの反応により得ることができる。
【0032】
本明細書に記載する複合材料物品には、ポリエステルウレタンエラストマーまたはポリエーテルウレタンエラストマーを使用できる。製品の硬さの範囲は、約ショアA65〜約ショアD75である。本明細書において硬さは、硬質ウレタンセグメントと軟質長鎖ジオールセグメントの割合の尺度でもある。製品のメルトインデックスは、硬質ウレタンセグメントの溶融行動に応じて種々の温度で測定される。それは添加度の尺度でもある(鎖全体のうちのモル量)。
【0033】
成分a)および成分b)が慣用の添加剤、たとえば安定剤、成核剤、離型剤、滑剤、充填剤もしくは強化材、顔料、カーボンブラック、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤または蛍光増白剤を含むことができる。添加剤は通常の量で存在する。
【0034】
本発明の目的のための機能性素子の例は、シーリング素子および/または防振素子、あるいは滑り止め性能向上のための領域、たとえばグリップ用窪みなどである。
【0035】
本発明の目的に関して“その上に直接成形する”という表現は、機能性素子が特に多成分射出成形法により、ポリアセタールから作成した成形品上に直接に成形され、これによりそれらが良好な接着状態になることを意味するものとする。
【0036】
前記エラストマーを用いて、後続の組立て段階を必要とせずに、シーリング素子または防振素子を熱可塑性ポリマーから作成した成形品上に直接に成形できる。機能性素子の組立てに従来必要であった加工工程を除くことにより、新規複合材料物品の製造に際しかなりの経費節減を達成できる。
【0037】
新規複合材料物品は、結合素子として、取付け部品、カップリング、ローラー、軸受、統合されたシーリング性および/または防振性をもつ機能性部品の形で、またノンスリップ性の握りやすい素子(non−slip easy−grip)としても用いられる。これらには下記のものが含まれる:自動車構造体のハウジング、たとえばドアクロージャーハウジング、ウインドーリフターハウジング、スライド式屋根シーリング素子など、またシールが統合された締結素子、たとえばシーリングリング付きもしくはシーリングディスク付きクリップ、シーリングリップが統合された装飾用ストリップ、伸縮継手の補償のためのシーリング素子、良好な防振性を備えたシーリング素子、たとえば振動やノイズを防ぐためのセンターを備えたクリップ、パワートレイン構成部品、たとえば防振素子付きギアホイール、撓み継手が統合されたギアボックス、ノンスリップ性の握りやすい素子、たとえば操作レバーもしくは操作ノブ、または電気デバイスもしくは筆記用具のグリップ表面、また弾性表面を備えた金網(chain link)。
【0038】
本発明による複合材料物品の硬質ポリアセタール成分と軟質熱可塑性加工適性エラストマー成分の間の接着強さを測定するための既存の方法はないので、パイロットプラント条件下で適切な測定方法を開発した。これらの方法は、工業的条件下で達成できる結果を示すためのものである。
【0039】
測定方法I
射出成形実験に用いた射出成形機(KM90−210B型、製造業者クラウス−マッフェイ(Krauss−Maffel)、ドイツ国ミューニッヒ)は、型締力900kNおよびスクリュー直径30mmであった。ISO 3167に従った寸法のISO引張試験片をまず材料1から予備成形した。用いたポリアセタールグレードについては、溶融温度は200℃、型温度は80℃であった(表5bの逆射出成形シーケンスの例についてTPE−Uグレードを材料1として用いた場合、溶融温度は200℃、型温度は30℃であった)。得られたISO引張試験片を中央で切断して、それぞれショルダー付きの2つの半切試験片を得た。
【0040】
得られたポリアセタール製の半切引張試験片を種々の温度Tins(50〜140℃)の空気循環加熱キャビネット内で予熱し、まだ熱い状態で約20秒以内に完全開放式引張試験片成形型に装入した(表5bの逆射出成形シーケンスの例についてTPE−Uから作成した半切試験片は、予熱せずに室温で型に装入された)。第2の射出成形操作では、材料2を種々の溶融温度Tme(200〜220℃)および型温度Tmo(30〜80℃)、300〜400mm/秒の射出速度viで引張試験片成形型に射出した。圧力保持時間30秒で保持圧力paを変化させた(60〜120℃)。
【0041】
測定方法II
3部品射出成形機(FM175/200型、製造業者クレックネル−フェロマテック(Kloeckner−Ferromatik)、ドイツ国マルテルディンゲン)を射出成形実験に用いた。これは型締力2000kNであった。備えられた3つのスクリューのうち、直径45mmのユニットを用いた。1ショルダー付き改変ISO引張試験片をまず、一方側を閉じたキャビティ内で材料1から予備成形した。用いたポリアセタールタイプについては、溶融温度は200℃、型温度は80℃であった。
【0042】
得られたポリアセタール製の半切引張試験片を155℃の温度Tinsの空気循環加熱キャビネット内で予熱し、まだ熱い状態で約20秒以内に完全開放式引張試験片成形型に装入した。第2の射出成形操作では、材料2を種々の溶融温度Tme(200〜225℃)および型温度Tmo(30〜80℃)、600mm/秒の射出速度で引張試験片成形型に射出した。圧力保持時間30秒で保持圧力80バールであった。
【0043】
測定方法III
3部品射出成形機(FM175/200型、製造業者クレックネル−フェロマテック、ドイツ国マルテルディンゲン)を射出成形実験に用いた。これは型締力2000kNであった。備えられた3つのスクリューのうち、直径45mmのユニットを成分a(ポリアセタール)に用い、直径30mmのユニットを成分b(TPE−U)に用いた。ISO引張試験片を得るために、型内へ2つの溶融物流を互いに2方側から同時に、引張試験片の中央でぶつかるように直接射出した。この場合の設定は、ポリアセタールユニットについては一定に保持した(溶融温度200℃、射出速度600mm/秒、および保持圧力80バールで30秒間)。成分b(TPE−U)は、種々の溶融温度Tme(200〜220℃)、225mm/秒の射出速度、および50〜80バールの保持圧力pa、圧力保持時間30秒で射出された。型温度Tmoは30〜55℃であった。
【0044】
上記の3方法で、2材料から作成した2つの半切試験片間の適切な接着および接着継目をもつ完全な引張試験片を得た。これらの試験片を1455型(ツビック(Zwick)、ドイツ国ウルム)引張試験機により試験速度50mm/秒で引張試験した(ISO 527)。各例について、10個の複合材料引張試験片を成形し、試験した。引張試験の結果(応力/ひずみ)を用いて試験片の接着継目における最終引張強さ(接着強さ)を判定した。10個の試験片について得た数値から平均値およびそれに伴う標準偏差を計算した。結果を各表に挙げる。
【実施例】
【0045】
実施例
成分a)(ポリアセタール)
A1:(POM MFI 9)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):9g/10分
改質:なし
A2:(POM MFI 27)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):27g/10分
改質:なし
A3:(POM MFI 9+10%のTPE−U)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):9g/10分
改質:組成B3のTPE−U 10重量%
A4:(POM MFI 9+20%のTPE−U)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):9g/10分
改質:組成B3のTPE−U 20重量%
A5:(POM MFI 27+5重量%のTPE−U)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):27g/10分
改質:組成B3のTPE−U 5重量%
A6:(POM MFI 27+10重量%のTPE−U)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):27g/10分
改質:組成B3のTPE−U 10重量%
A7:(POM MFI 27+20重量%のTPE−U)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):27g/10分
改質:組成B3のTPE−U 20重量%
A8:(POM MFI 27+30重量%のTPE−U)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):27g/10分
改質:組成B3のTPE−U 30重量%
A9:(POM MFI 27+40重量%のTPE−U)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):27g/10分
改質:組成B3のTPE−U 40重量%
A10:(POM MFI 27+10%の脂肪族TPE−U)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):27g/10分
改質:ヘキサメチレンジイソシアナート、アジピン酸、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび1,6−ヘキサンジオールから製造した、ショアー硬さA 72、密度1.14g/cm3の脂肪族ポリエステルTPE−U 10重量%
A11:(POM MFI 9+13%のMBS)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):9g/10分
改質:約80重量%の軟質ポリブタジエンコアおよび20重量%のMMA−スチレンシェルから製造した、粒度約100nmのMBSコア−シェル改質剤13重量%
A12:(POM MFI 9+25%のMBS)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):9g/10分
改質:約80重量%の軟質ポリブタジエンコアおよび20重量%のMMA−スチレンシェルから製造した、粒度約100nmのMBSコア−シェル改質剤25重量%
A13:(POM MFI 13,低いモノマー含量)
トリオキサンおよび約0.7重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):13g/10分
改質:なし
A14:(デルリン(Delrin、登録商標)8511,デュポン,スイス国ジュネーブ)
ホルムアルデヒドから製造したポリオキシメチレンホモポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):14g/10分
市販の安定剤および離型剤
A15:(ウルトラフォーム(Ultraform、登録商標)N2320,BASF社,ドイツ国ルードウィッヒスハーフェン)
トリオキサンおよび約2.7重量%のブタンジオールホルマールから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):9g/10分
市販の安定剤および離型剤
A16:(POM MFI 27+10%のTPE−U+10%のガラス繊維)
トリオキサンおよび約2重量%のエチレンオキシドから製造したポリオキシメチレンコポリマー
メルトインデックスMFR 190/2.16(ISO 1133):27g/10分
改質:ヘキサメチレンジイソシアナート、アジピン酸、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび1,6−ヘキサンジオールから製造した、ショアー硬さA 72、密度1.14g/cm3の脂肪族ポリエステルTPE−U 10重量%;EMF 1691短ガラス繊維10重量%
【0046】
成分b)(熱可塑性ポリウレタンエラストマー、TPE−U)
水分はTPE−Uの加工適性および接着性を損なうので、すべてのTPE−U材料を加工前に80℃で6時間、空気循環下に予備乾燥させた。
B1:
ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート(MDI)、1,4−ブタンジオール(連鎖延長剤)、ならびにアジピン酸および1,4−ブタンジオールから製造したポリエステルジオールから製造した、部分芳香族ポリエステルTPE−U
ショアー硬さA 83、密度1.20g/cm3;MVR 210/2.16(ISO 1133):6cm/10分
離型剤:なし
B2:
ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート(MDI)、1,4−ブタンジオール(連鎖延長剤)、ならびにアジピン酸、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールから製造したコポリエステルジオールから製造した、部分芳香族ポリエステルTPE−U
ショアー硬さA 80、密度1.22g/cm3;MVR 210/2.16(ISO 1133):7cm/10分;MVR 230/2.16(ISO 1133):109cm2/10分
離型剤:なし
B3:
ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート(MDI)、1,4−ブタンジオール(連鎖延長剤)、ならびにアジピン酸、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールから製造したコポリエステルジオールから製造した、部分芳香族ポリエステルTPE−U
ショアー硬さA 80、密度1.22g/cm3;MVR 210/2.16(ISO 1133):7cm/10分
離型剤:0.5重量%のエチレンビスステアルアミド
B4:ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート(MDI)、1,4−ブタンジオール(連鎖延長剤)、ならびにアジピン酸、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールから製造したコポリエステルジオールから製造した、部分芳香族ポリエステルTPE−U
ショアー硬さA 84、密度1.22g/cm3;MVR 210/2.16(ISO 1133):14cm/10分
離型剤:なし
B5:
ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート(MDI)、1,4−ブタンジオール(連鎖延長剤)、ならびにアジピン酸、1,6−ヘキサンジオールおよび1,4−ブタンジオールから製造したコポリエステルジオールから製造した、部分芳香族ポリエステルTPE−U
ショアー硬さA 80、密度1.18g/cm3;MVR 210/2.16(ISO 1133):7cm/10分
離型剤:なし
B6:
ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート(MDI)、1,4−ブタンジオール(連鎖延長剤)、およびポリテトラヒドロフランから製造したポリエーテルジオールから製造した、部分芳香族ポリエステルTPE−U
ショアー硬さA 80、密度1.22g/cm3;MVR 210/2.16(ISO 1133):13cm/10分
離型剤:なし
B7:
ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート(MDI)、1,4−ブタンジオール(連鎖延長剤)、ならびにアジピン酸、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールから製造したコポリエステルジオールから製造した、部分芳香族ポリエステルTPE−U
ショアー硬さA 92、D 41,密度1.23g/cm3;MVR 210/2.16(ISO 1133):90cm/10分
離型剤:0.5重量%のエチレンビスステアルアミド
B8:ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート(MDI)、1,4−ブタンジオール(連鎖延長剤)、ならびにアジピン酸、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールから製造したコポリエステルジオールから製造した、部分芳香族ポリエステルTPE−U
ショアー硬さA 98、D 53,密度1.25g/cm3;MVR 210/2.16(ISO 1133):97cm/10分
離型剤:なし
B9:
ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート(MDI)、1,4−ブタンジオール(連鎖延長剤)、ならびにアジピン酸、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールから製造したコポリエステルジオールから製造した、部分芳香族ポリエステルTPE−U
ショアー硬さD 64,密度1.26g/cm3;MVR 230/2.16(ISO 1133):83cm/10分
離型剤:なし
【0047】

表1は、インサーション温度50〜140℃の影響を示す。インサーション温度が高いほど、接着強さは有意に増大する。
表2は、型温度30〜80℃の影響を示す。型温度が高いほど、接着強さは有意に増大する。
表3は、保持圧力80〜120バールの影響を示す。保持圧力が高いほど、接着強さはわずかに増大する。
【0048】
表4は、射出速度300〜400mm/秒の影響を示す。調べた範囲では、射出速度は接着強さにほとんど影響を与えない。
【0049】
表5aおよび5bは、等しい組合わせの材料について射出成形シーケンスの影響を示す。表5a)の例では、硬質成分a)を予備成形し、第2工程でこの硬質成分上に軟質成分b)を成形した。これに対し表5b)の例では、軟質成分b)を予備成形し、この軟質成分上に硬質成分a)を成形した。すべての組合わせについて、硬質成分を軟質成分上に成形した場合の方が接着強さは有意に高い。しかし軟質成分は寸法安定性をもたず、工業用軟質ガスケット成形品の寸法は小さい場合が多いので、この方法は通常は採用できない。
【0050】
表6aおよび6bは、種々の割合のTPE−Uを混合することによるポリアセタール改質の影響を示す。調べたすべての例において、TPE−U含量の増大に伴って接着強さが有意に増大する。
【0051】
表7は、種々の割合のMBSコア−シェルゴムを混合することによるポリアセタール改質の影響を示す。調べた例において、MBS含量の増大に伴って接着強さが有意に増大する。
【0052】
表8は、ポリアセタール中のコモノマー含量およびコモノマータイプの影響を示す。コモノマー含量の増大に伴って接着強さが有意に増大する。
【0053】
表9は、TPE−U中の少量の離型剤の影響を示す(B2と比較したB3)。これらの例においては、マイナスの影響は認められない。離型剤の添加はTPE−Uの加工適性を向上させるので、これは工業的に重要である。これらの例においては、TPE−Uグレードの粘度(B2と比較したB4)も影響を示さなかった。TPE−Uの流動性が変動した場合でも再現性のある接着強さを達成するために、これは工業的に重要である。
【0054】
表10は、硬さは類似するが軟質セグメントの化学構造が異なるグレードのTPE−Uを比較する。これらの例において最良の接着は、B1(純アジピン酸ブタンジオールの軟質セグメント)の構造により達成される。ただし、他のポリエステルグレードまたはポリエーテルグレード(B6)によっても良好な接着を達成できる。たとえば混合エステルは軟質セグメントの結晶化を抑制し、したがってより良好な低温柔軟性が保証され、またはたとえばポリエーテルはより良好な耐加水分解性をもつので、これは工業的に重要である場合が多い。
【0055】
表11は、化学構造は類似するが硬さが異なるグレードのTPE−Uを比較する。軟質セグメントの硬さが増大するのに伴って、接着強さが増大する。ただし工業的には、可能な限り最良のシーリングおよび防振機能を保証するために、用いる軟質セグメントの硬さがきわめて低いことが必要な場合が多い。
【0056】
表12は、試験方法が接着強さの結果に与える影響を示す。インサーション法(方法I)では、達成される強さは溶融物が互いに直接に出会う場合より著しく低い。スライド式割り型法(工業的目的に特に好適)では、温度および時間の条件が、採用したこれら2試験方法の中間領域にある。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
【表4】

【0061】
【表5】

【0062】
【表6】

【0063】
【表7】

【0064】
【表8】

【0065】
【表9】

【0066】
【表10】

【0067】
【表11】

【0068】
【表12】

【0069】
【表13】

【0070】
【表14】

【0071】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の熱可塑性加工適性エラストマーであって、硬質ウレタンセグメントと、数平均分子量500〜5000g/molのポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルエステルジオールおよびポリカーボネートジオールからなる群から選択される軟質長鎖ジオールセグメントとから構成される熱可塑性ポリウレタンエラストマー(成分b))からなる機能性素子がその上に直接成形されたポリアセタール(成分a))から、ポリアセタールエラストマー複合材料物品を製造する方法であって、当該成分ポリアセタールとエラストマーが異なる硬さをもち、
第1工程で、硬さが大きい方の材料(成分a))をまず型内に予備射出し、次いで
冷却して型から取り出し、次いでより大きい他のキャビティに装入するか、
または部分的に型から取り出し、次いで、最初の型の一部と共に、より大きなキャビティに移し、
または型から取り出さずに同じ型内に残し、型を可動性装置により拡大し、そして
第2工程で、この材料に硬さが小さい方の材料(成分b))を重ね成形し、成分a)から形成された成形品をこの材料に強固に接着し、次いで複合材料物品として型から取り出す方法であって、
成分a)と成分b)とから作成した、ISO 3167に従った寸法のISO引っ張り試験片を、ISO 527に基づき、引張試験機により試験速度50mm/秒で引張試験したときの、成分a)と成分b)の間の接着の引張強さが少なくとも0.5N/mm2である、当該ポリアセタールエラストマー複合材料物品を製造する方法。
【請求項2】
第1工程の成分a)の溶融温度が180〜240℃であり、かつ型温度が20〜140℃である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1工程の成分a)の溶融温度が190〜230℃である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
成分b)を重ね成形する前に、成分a)から形成した成形品を、他の型に装入する前に80℃から成分a)の溶融温度直下までの範囲に予熱するか、または同じ型内で後続処理のための高温予備成形品がまだ得られる程度にだけ冷却する、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
第2工程で、成分b)の射出中に溶融物温度が180〜240℃であり、かつ型温度が20〜100℃である、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
成分a)が0.5〜75g/10分のメルトインデックス(ISO 1133によるMFR 190/2.16)のポリアセタールホモポリマーまたはコポリマーである、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
成分a)として改質ポリアセタールを使用する、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
成分a)が、熱可塑性ポリウレタンエラストマーで、メチルメタクリラート−ブタジエン−スチレンコア−シェルエラストマー、メチルメタクリラート−アクリラートコア−シェルエラストマーで、ポリカーボネートで、スチレン−アクリロニトリルコポリマーで、またはアクリラート−スチレン−アクリロニトリルコポリマー化合物で改質されている、請求項7記載の方法。
【請求項9】
成分a)が、1〜50重量%の熱可塑性ポリウレタンエラストマーで改質されるか、1〜40重量%のメチルメタクリラート−ブタジエン−スチレンコア−シェルエラストマーで改質されるか、または両者の混合物で改質されて両改質剤の割合の合計が1〜50重量%である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
使用する軟質長鎖ジオールセグメントがポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
ポリエステルウレタンエラストマーまたはポリエーテルウレタンエラストマーが成分b)として使用され、ショアA65〜ショアD75の硬さをもつ、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
成分a)および成分b)が慣用の添加剤を含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
使用する添加剤が安定剤、成核剤、離型剤、滑剤、充填剤もしくは強化材、顔料、カーボンブラック、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤または蛍光増白剤である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
取り付け部品、カップリング、ローラーおよび軸受からなる群より選択される結合素子としての、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法で製造した複合材料物品。
【請求項15】
ドアクロージャーハウジング、ウインドーリフターハウジングおよびスライド式屋根シーリング素子からなる群より選択される自動車構造体ハウジングとしての、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法で製造した複合材料物品。
【請求項16】
シーリングリング付きクリップ、シーリングディスク付きクリップ、シーリングリップが統合された装飾用ストリップおよび伸縮継手の補償のためのシーリング素子からなる群より選択されるシールが統合された締結素子としての、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法で製造した複合材料物品。
【請求項17】
振動やノイズを防ぐためのセンターを備えたクリップからなる群より選択される防振性を備えたシーリング素子としての、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法で製造した複合材料物品。
【請求項18】
防振素子付きギアホイールおよび撓み継手が統合されたギアボックスからなる群より選択されるパワートレイン構成部品としての、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法で製造した複合材料物品。
【請求項19】
操作レバー、操作ノブ、電気デバイスのグリップ表面、筆記用具のグリップ表面および弾性表面を備えた金網からなる群より選択されるノンスリップ性の握りやすい素子としての、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法で製造した複合材料物品。

【公開番号】特開2011−93325(P2011−93325A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11558(P2011−11558)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【分割の表示】特願2000−513720(P2000−513720)の分割
【原出願日】平成10年9月28日(1998.9.28)
【出願人】(598029656)ティコナ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】Ticona GmbH
【Fターム(参考)】