説明

複合材料製構造部材の成形方法および複合材料製構造部材

【課題】繊維しわを低減させることにより、良質な成形品の製造を可能とすること。
【解決手段】成形型にプリプレグ積層品を押圧する際に、繊維配向の異なる複数のプリプレグを平板状に積層することにより、成形型用のプリプレグ積層品を作製する作製過程と、作製過程にて作製された成形型用のプリプレグ積層品を成形型に押圧する押圧過程とを有し、作製過程では、繊維配向がしわ発生方向と一致または近似する注目プリプレグにおいては、しわ発生部位またはその近傍でしわ発生を抑制するのに有効な方向に沿って分割し、分割後のプリプレグを用いてプリプレグ積層品を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばチャンネル材やアングル材等のように、主として構造部材に使用される複合材料製構造部材の成形方法及び複合材料製構造部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、航空機、自動車、船舶、列車などの構造部材として、熱硬化性樹脂複合材や熱可塑性樹脂複合材などの繊維強化樹脂複合材が用いられている。構造部材の製造は、繊維強化樹脂複合材を平板状に積層したプリプレグ積層品を成形型に押圧することによりプレス成形し、成形したプリプレグ積層品をオートクレーブ(焼付け)することにより行われる。
例えば、特開2000−271949号公報(特許文献1)には、連続成形の全工程中、材料中の繊維に張力を継続的に付加することにより、複合材の中の補強部材としての繊維が波状の変形(しわ)を繰り返すことなく、直線に整列させることができる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−271949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、航空機等の軽量構造を構築する際に使用する複合材料製の構造部材である、H型断面またはT型断面等を有する長尺のストリンガなどは、長大であることに加え、非可展面を有していることがある。このように、非可展面を有する成形型に対して平板状のプリプレグ積層品を押圧して成形品を作成しようとすると、しわや亀裂が発生し、良質な製品を得ることができないという問題がある。
ここで言う非可展面とは、曲面の中でも、球面や双曲面のような複合した曲率を持つものであり、数学的には、曲面解析、例えば、ガウス曲率を求めることにより求められる。
【0004】
上述した問題は、複合材の中の補強部材としての繊維が塑性変形を生じない伸縮性のない性質のものであるために生じる。より具体的には、成形型にプリプレグ積層品を押圧する際に、型形状に対して繊維の長さが余る場合にはしわが発生し、型形状に対して繊維の長さが足りない場合には亀裂が発生する。
その一方で、プリプレグは繊維方向と一致しない方向には伸縮性を持つ。このような性質を有するプリプレグを、繊維方向を層ごとに変えながら重ね合わせた積層品について、必要な方向に伸縮性を持たせ、なおかつオートクレーブ後の最終製品の強度を低下させないことが求められている。
【0005】
このような問題を解決するために、上述した特許文献1に開示された技術を用いることも考えられるが、成形型が長大である場合には、材料中の繊維に対して継続的に張力を付加することは不可能に近く、しわや亀裂の発生を低減させる有効な手段として用いることができなかった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、非可展面を備える長大な形状であっても、繊維しわの発生を抑制することのできる複合材料製構造部材の成形方法および複合材料製構造部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、プリプレグを平板状に積層したプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより、所望の形状に成形する複合材料製構造部材の成形方法であって、繊維配向の異なる複数のプリプレグを平板状に積層することにより、前記成形型用のプリプレグ積層品を作製する作製過程と、前記作製過程にて作製された前記成形型用のプリプレグ積層品を前記成形型に押圧する押圧過程とを有し、前記作製過程では、繊維配向がしわ発生方向と一致または近似する注目プリプレグにおいては、前記しわ発生部位またはその近傍でしわ発生を抑止するのに有効な方向に沿って分割し、分割後のプリプレグを用いて前記プリプレグ積層品を作製する複合材料製構造部材の成形方法を提供する。
【0008】
このような複合材料製構造部材の成形方法によれば、繊維配向がしわ発生方向と一致するプリプレグ、または、プリプレグ積層品に使用されるプリプレグの中で、繊維配向が上記しわ発生方向と最も近似するプリプレグについては、上記しわ発生部位またはその近傍において、しわの発生を抑止するのに有効な方向に分割されて、他のプリプレグとともに積層される。これにより、分割されたプリプレグにおいては、分割部位において、プリプレグの伸縮の自由度を向上させることができるので、繊維しわの発生を抑制させることが可能となる。これにより、しわの少ない複合材料製構造部材を成形することができる。
【0009】
本発明は、プリプレグを平板状に積層したプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより、所望の形状に成形する複合材料製構造部材の成形方法であって、繊維配向の異なる複数のプリプレグを平板状に積層することにより、前記成形型用のプリプレグ積層品を作製する作製過程と、前記作製過程にて作製された前記成形型用のプリプレグ積層品を前記成形型に押圧する押圧過程とを有し、前記作製過程では、繊維配向が前記しわ発生方向と一致または近似する注目プリプレグの前記しわ発生部位またはその近傍に相当する部位に対して、しわ発生を抑止するのに有効な方向に沿って部分的に切れ目をいれ、切れ目を入れた後の注目プリプレグを用いて前記プリプレグ積層品を作製する複合材料製構造部材の成形方法を提供する。
【0010】
このような複合材料製構造部材の成形方法によれば、繊維配向が上記しわ発生方向と一致するプリプレグ、または、プリプレグ積層品に使用されるプリプレグの中で、繊維配向が上記しわ発生方向と最も近似するプリプレグについては、上記しわ発生部位またはその近傍において、しわの発生を抑止するのに有効な方向に対して部分的に切れ目が入れられ、この切れ目が入れられた後のプリプレグが、他のプリプレグとともに積層されることにより、成形型に好適なプリプレグ積層品が作製される。これにより、切れ目が入れられたプリプレグにおいては、切れ目の箇所において、プリプレグの伸縮の自由度を向上させることができるので、繊維しわの発生を抑制させることが可能となる。これにより、しわの少ない複合材料製構造部材を成形することができる。
【0011】
上述の複合材料構造部材の成形方法において、前記しわ発生を抑止するのに有効な方向とは、例えば、前記しわ発生方向と略直交する方向である。
【0012】
このような複合材料製構造部材の成形方法によれば、しわ発生方向に一致または近似する繊維方向のプリプレグのみを分割または切れ目を入れるので、しわ発生方向に一致または近似する繊維方向にかかるプリプレグ内の引張または圧縮力を開放することが可能となる。これにより、繊維しわの発生を効率的に低減させることが可能となる。
【0013】
本発明は、平板状のプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより成形される複合材料製構造部材であって、前記プリプレグ積層品を構成するプリプレグの少なくとも1枚がしわが発生すると予測されるしわ発生部位またはその近傍において分割されている複合材料製構造部材を提供する。
【0014】
このような構成を有する複合材料製構造部材によれば、プリプレグ積層品を構成するプリプレグの少なくとも1枚において、しわ発生部位またはその近傍において分割されていることにより、この分割部位において繊維が切断されることにより、しわ発生方向に一致または近似する繊維方向にかかるプリプレグ内の引張または圧縮力が開放され、プリプレグが自由に伸縮することが可能となる。これにより、しわの発生を防止することが可能となり、高品質な複合材料製構造部材を提供することができる。
【0015】
本発明は、平板状のプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより成形される複合材料製構造部材であって、前記プリプレグ積層品を構成するプリプレグの少なくとも1枚において、しわ発生部位またはその近傍に、部分的に切れ目が作製されている複合材料製構造部材を提供する。
【0016】
このような構成を有する複合材料製構造部材によれば、プリプレグ積層品を構成するプリプレグの少なくとも1枚において、しわ発生部位またはその近傍に、部分的に切れ目が作製されているので、この切れ目部分において繊維が切断されることにより、しわ発生方向に一致または近似する繊維方向にかかるプリプレグ内の引張または圧縮力が開放され、プリプレグが自由に伸縮することが可能となる。これにより、しわの発生を防止することが可能となり、高品質な複合材料製構造部材を提供することができる。
【0017】
本発明は、平板状のプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより成形される複合材料製構造部材であって、前記プリプレグ積層品を構成するプリプレグの少なくとも1枚が、しわが発生すると予測されるしわ発生部位またはその近傍で、しわ発生を抑止するのに有効な方向に分割されている複合材料製構造部材を提供する。
【0018】
本発明は、平板状のプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより成形される複合材料製構造部材であって、前記プリプレグ積層品を構成するプリプレグの少なくとも1枚において、しわが発生すると予測されるしわ発生部位またはその近傍で、しわ発生を抑止するのに有効な方向に切れ目が作製されている複合材料製構造部材を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、繊維しわの発生を抑えることが可能となるので、高品質な複合材料製構造部材を提供することができるという効果を奏する。
また、後述するように、分割または部分的に切れ目を入れることによる強度への影響を強度試験で確認したところ、繊維しわによる強度の低下よりはるかに小さいことが確認できた。したがって、本発明によれば、成形品の強度の低下を抑えることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る複合材料構造部材の成形方法及び複合材料構造部材の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、航空機における主翼の一部を構成するウイングボックスの構成例を示す斜視図である。このウイングボックス10は、多数のH型ストリンガ1及びリブ材11を井桁状に組み合わせて骨格を形成し、その外側をスキン12及びスパー13で覆った中空の構造体である。
【0021】
H型ストリンガ1は、主翼の翼長(長手)方向に延びるH型断面形状の複合材料製構造部材であり、たとえば炭素繊維にエポキシ樹脂等の高分子材料を組み合わせた炭素繊維複合部材製とされる。このH型ストリンガ1は、たとえば図2に示すように、背中合わせに接合した二つのCチャンネル2と、接合したCチャンネル2の上下両面に各々接合される2枚の板状フランジ部材3と、Cチャンネル2を背中合わせにした接合部の上下両端部とフランジ部材3との間に形成される略三角形断面形状の空間を埋める二つのフィラー4との6部品により構成されている。
また、図示のウイングボックス10において、スキン12及びスパー13には炭素繊維製複合部材を使用し、リブ材11にはたとえばチタン合金等を使用しているが、特に限定されるものではない。
【0022】
上述したH型ストリンガ1を構成するCチャンネル2は、断面を略コ字状に成形した長尺状の複合材料製構造部材である。以下、複合材料構造部材の成形方法の一実施形態として、Cチャンネル2の成形を例示して説明する。
【0023】
図3は、Cチャネル2の成形型の一例を示した図である。図3に示すように、Cチャネル2の成形型は、略矩形断面形状を有する長尺部材として構成されている。本実施形態に係る複合材料製構造部材の成形方法においては、この成形型に対して炭素繊維複合材料のプリプレグを平板状に積層したプリプレグ積層品を押圧することにより、Cチャネル2を形成する。
【0024】
以下、本実施形態に係る複合材料構造部材の成形方法について、図4を参照して説明する。
まず、図3に示したCチャネル2は直線状のチャネルに周方向に曲率を与えたものであり、このような成形型にプリプレグ積層品を押圧すると、例えば領域Aに周方向のしわが発生することとなる。
【0025】
このように、しわが発生する箇所においては、プリプレグ積層品を構成するプリプレグの中から上記しわの発生方向と繊維配向が一致または近似する注目プリプレグを特定する(図4のステップSA1)。ここで、プリプレグ積層品は、例えば、繊維配向が異なるプリプレグを順番に積層することにより作製される。例えば、繊維配向が0°、45°、90°などのように、45°刻みで異なるプリプレグが順次、かつ、繰り返し積層されることにより、プリプレグ積層品が作製される。
上記注目プリプレグの特定においては、繊維配向がしわの発生方向と一致するプリプレグが存在しなかった場合に、繊維配向が最も近似するプリプレグを注目プリプレグとして特定することとしても良いし、繊維配向がしわ発生方向の前後所定範囲に入っている全てのプリプレグを注目プリプレグとして特定することとしても良い。
【0026】
続いて、上記注目プリプレグを、しわ発生部位に相当する部位、またはその近傍において、しわの発生を抑制する方向に沿って分割する(図4のステップSA2)。ここで、しわの発生を抑制する方向とは、例えば、しわの発生方向に略直交する方向である。
例えば、図3に示すように、しわ発生部位として領域Aが特定され、更に、しわ発生方向として周方向が特定された場合には、周方向と繊維配向が一致または最も近似するプリプレグを領域Aの部位で分割し、他の繊維配向を持つプリプレグとともに積層する(図4のステップSA3)。この結果、繊維配向が周方向と一致または近似するプリプレグ以外においては、分割されることなく通常通りに積層されるとともに、繊維配向が周方向と一致または最も近似するプリプレグにおいては、しわ発生部位にて分割された状態で積層されることとなる。
【0027】
このようにして、プリプレグ積層品が作製されると、図5に示すように、このプリプレグ積層品20を成形型に押圧することにより(図4のステップSA4)、成形型の下面及び内外両側面に張り付いて略コ字状断面に成形され、炭素繊維材料製のCチャンネル2が製造されることとなる。
【0028】
以上説明してきたように、本実施形態に係る複合材料製構造部材の成形方法によれば、繊維配向がしわ発生方向と一致するプリプレグ、または、プリプレグ積層品に使用されるプリプレグの中で、繊維配向が上記しわ発生方向と最も近似するプリプレグについては、上記しわ発生部位またはその近傍において、しわの発生を抑止するのに有効な方向に分割されて、他のプリプレグとともに積層される。これにより、分割されたプリプレグにおいては、分割部位において、プリプレグがしわ発生方向へ自由に伸縮できることとなるので、繊維しわの発生を抑制させることが可能となる。これにより、このプリプレグ積層品を成形型に押圧して成形する際に、しわの発生を抑制することができ、しわの少ない複合材料製構造部材を得ることができる。なお、成形に用いられる成形治具などの成形装置においては、公知の装置を適宜採用することが可能である。
【0029】
ここで、オートクレーブ前のプリプレグ積層品において、負荷を加える方向に配向されている繊維を分割したものを引張試験に供した結果の一例を図6に示す。この結果から、繊維を分割したものは同応力でのひずみが繊維を分割しないものよりも大きく、負荷方向の繊維の分割により積層品の伸縮性が向上していることが確認された。このような結果から、繊維の分割が成形型に押圧する際のしわの発生を抑止できることがわかる。
同様にオートクレーブ後のプリプレグ積層品の引張試験結果の一例を図7に示す。図6および図7より確認できるように、オートクレーブ後には特性の差はきわめて小さくなり、繊維の分割が成形品の品質を損ねることなく繊維しわの発生を抑止できることがわかる。
【0030】
なお、上述した実施形態においては、繊維配向がしわ発生方向と一致するまたは最も近似するプリプレグをしわ発生部位において分割することによりしわの発生を低減させていたが、分割に代えて、図8に示すように、しわ発生部位に、しわ発生を抑制する方向に沿って部分的に切れ目Bを入れることとしても良い。ここで、しわ発生を抑制する方向とは、例えば、しわ発生方向に略直交する方向である。
【0031】
このように、繊維配向がしわ発生方向と一致または近似するプリプレグにおいて、しわ発生部位に対し、しわ発生を抑制する方向に沿って部分的に切れ目を入れることにより、しわ発生部位において,しわ発生方向に一致または近似する繊維方向にかかるプリプレグ内の圧縮力が開放させ、伸縮の自由度を増加させることにより、繊維しわの発生を低減させることができる。また、この手法によれば、切れ目を入れるだけなので、分割する場合に比べて、プリプレグ積層品の作製工程を簡略化することができる。
【0032】
また、上述した実施形態においては、しわ発生箇所として特定される部位は、局部的ではなく、広い範囲にわたって特定される場合がある。このような場合には、図9に示すように、しわ発生部位として特定された領域D内において、所定の距離間隔で分割を行う箇所、或いは、切れ目をいれる箇所Cを複数個所設定することにより可能である。つまり、しわ発生部位においてプリプレグが自由に伸縮する空間を与えることにより、しわの発生を抑えることが可能となる。
【0033】
また、上記実施形態において、しわ発生部位に切れ目を入れる対応と分割を行う対応とを組み合わせることも可能である。例えば、しわ発生部位として複数の部位が特定された場合には、そのうちの一部の部位についてはプリプレグを分割することにより対応し、他の部位についてはプリプレグに切れ目をいれることにより対応することとしても良い。なお、切れ目の範囲としては、例えば、プリプレグが分割されない範囲内であれば、特に限定されない。
【0034】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】複合材料製構造部材を航空機主翼のウイングボックスに適用した構成例を示す斜視図である。
【図2】複合材料製構造部材の一例としてCチャンネルの構造を示す断面図である。
【図3】しわ発生方向と繊維配向が一致または近似するプリプレグをしわ発生部位にて分割した状態を示した図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る複合材料製構造部材の成形方法の手順について示したフローチャートである。
【図5】分割されたプリプレグを含むプリプレグ積層品を図2に示したCチャネルの成形型に押圧した状態を示した図である。
【図6】プリプレグ積層品のオートクレーブ前の引張特性について、繊維分割の有無による特性比較を行った結果の一例を示す図である。
【図7】プリプレグ積層品のオートクレーブ後の引張特性について、繊維分割の有無による特性比較を行った結果の一例を示す図である。
【図8】しわ発生方向と繊維配向が一致または近似するプリプレグのしわ発生部位に切れ目を入れた状態を示した図である。
【図9】しわ発生部位が広い範囲の領域として特定された場合の切れ目の入れ方の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0036】
1 H型ストリンガ
2 Cチャンネル
3 ウェブ
20 プリプレグ積層品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリプレグを平板状に積層したプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより、所望の形状に成形する複合材料製構造部材の成形方法であって、

繊維配向の異なる複数のプリプレグを平板状に積層することにより、前記成形型用のプリプレグ積層品を作製する作製過程と、
前記作製過程にて作製された前記成形型用のプリプレグ積層品を前記成形型に押圧する押圧過程と
を有し、
前記作製過程では、繊維配向がしわ発生方向と一致または近似する注目プリプレグを、しわ発生部位またはその近傍でしわ発生を抑制するのに有効な方向に沿って分割し、分割後のプリプレグを用いて前記プリプレグ積層品を作製する複合材料製構造部材の成形方法。
【請求項2】
プリプレグを平板状に積層したプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより、所望の形状に成形する複合材料製構造部材の成形方法であって、
繊維配向の異なる複数のプリプレグを平板状に積層することにより、前記成形型用のプリプレグ積層品を作製する作製過程と、
前記作製過程にて作製された前記成形型用のプリプレグ積層品を前記成形型に押圧する押圧過程と
を有し、
前記作製過程では、繊維配向がしわ発生方向と一致または近似する注目プリプレグのしわ発生部位またはその近傍に相当する部位に対して、しわ発生を抑制するのに有効な方向に沿って部分的に切れ目をいれ、切れ目を入れた後の注目プリプレグを用いて前記プリプレグ積層品を作製する複合材料製構造部材の成形方法。
【請求項3】
前記しわ発生を抑制するのに有効な方向とは、前記しわ発生方向と略直交する方向である請求項1または請求項2に記載の複合材料製構造部材の成形方法。
【請求項4】
平板状のプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより成形される複合材料製構造部材であって、
前記プリプレグ積層品を構成するプリプレグの少なくとも1枚が、しわが発生すると予測されるしわ発生部位またはその近傍で分割されている複合材料製構造部材。
【請求項5】
平板状のプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより成形される複合材料製構造部材であって、
前記プリプレグ積層品を構成するプリプレグの少なくとも1枚において、しわが発生すると予測されるしわ発生部位またはその近傍に、部分的に切れ目が作製されている複合材料製構造部材。
【請求項6】
平板状のプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより成形される複合材料製構造部材であって、
前記プリプレグ積層品を構成するプリプレグの少なくとも1枚が、しわが発生すると予測されるしわ発生部位またはその近傍で、しわ発生を抑止するのに有効な方向に分割されている複合材料製構造部材。
【請求項7】
平板状のプリプレグ積層品を成形型に押圧することにより成形される複合材料製構造部材であって、
前記プリプレグ積層品を構成するプリプレグの少なくとも1枚において、しわが発生すると予測されるしわ発生部位またはその近傍で、しわ発生を抑止するのに有効な方向に切れ目が作製されている複合材料製構造部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−296767(P2007−296767A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127373(P2006−127373)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】