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複合材構造体の成形方法
説明

複合材構造体の成形方法

【課題】複合材構造体の内側の形状、寸法の精度を向上させることが可能な複合材構造体の成形方法を提供することを目的とする。
【解決手段】内型治具6にプリプレグ2を巻回する巻回工程と、内型治具6に巻回したプリプレグ2にプライ8を積層する積層工程と、プライ8を積層した内型治具6の外周に複合材の外板4a、4bを設けて、分割された外型治具9を装着して成形する成形工程と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材構造体の成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、航空機や風車において、高強度かつ軽量化とされた構造体として繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)製等の複合材構造体が広く用いられている。このような複合材構造体は、一般的に、プリプレグをオートクレーブにて加熱、加圧することによって成形している。
【0003】
しかし、プリプレグをオートクレーブにて加熱、加圧して成形する場合には、複合材構造体の片面に治具を設けて成形するため、治具を設けなかった側の形状や寸法にバラつきが生じる。特に、航空機の翼等の中空物体の外周寸法精度は性能を左右するため、接着組立工程において接着面の形状精度を高くして所定の外形形状、寸法にする必要がある。
【0004】
そこで、中空物体の外形形状、寸法を所定の形状や寸法にするために、加圧膨張可能な加圧袋、密閉金型及び熱可塑性発泡材料等の心材を用い、中空物体の内部から外方へと押し付ける成形法が用いられている(例えば、特許文献1または特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第1474023号公報
【特許文献2】特許第3631493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1や特許文献2に記載された発明の場合には、加圧袋や熱可塑性発泡材料が低剛性であり、かつ、形状安定性が悪いため、作業性や品質の安定性が問題となる。
【0007】
また、内型治具を用いて内型治具の外周に積層して、その後、外型治具に移し替える方法もあるが、内型治具と外型治具との2種類の治具が必要となり、製造工程が複雑となる。さらには、高コストかつ品質が安定しにくいという問題がある。
【0008】
さらに、外型治具のみを用いて成形する場合には、複合材構造体の内側の寸法にバラつきを生じる。そのため、複合材構造体同士を入れ子にして組立てる際には、複合材構造体の内側成形面の形状を補正する作業が必要となる。しかし、アクセス性が悪い場所では、内側成形面の精度を良くするための補正作業が困難であるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、複合材構造体の形状、寸法の精度を向上させることが可能な複合材構造体の成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の複合材構造体の成形方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる複合材構造体の成形方法は、内型治具にプリプレグを巻回する巻回工程と、前記内型治具に巻回した前記プリプレグにプライを積層する積層工程と、前記プライを積層した前記内型治具の外周に複合材の外板を設けて、分割された外型治具を装着して成形する成形工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
プリプレグを内型治具に巻回して、巻回したプリプレグにプライを積層させた後に複合材の外板を設けて外型治具に装着して成形することとした。そのため、内型治具によって複合材構造体の内側成形面の形状や寸法を成形すると共に、外型治具によって複合材構造体の外側成形面の形状や寸法を成形することができる。さらに、内型治具に巻回したプリプレグにプライを積層させて外板を設けて成形することにより、複合材構造体の板厚調整が容易になる。したがって、内側成形面および外側成形面の形状や寸法精度を向上させた複合材構造体とすることができる。
【0012】
また、本発明にかかる複合材構造体の成形方法は、内型治具にプリプレグを巻回する巻回工程と、前記内型治具に巻回した前記プリプレグの外周に複合材の外板を設けて、該外板にプライを積層する積層工程と、前記外板に前記プライを積層した前記内型治具の外周に、分割された外型治具を装着して成形する成形工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
プリプレグを内型治具に巻回して、巻回したプリプレグの外周に複合材の外板を設けた後に、その外板にプライを積層して外型治具に装着して成形することとした。そのため、内型治具によって複合材構造体の内側成形面の形状や寸法を成形すると共に、外型治具によって複合材構造体の外側成形面の形状や寸法を成形することができる。さらに、内型治具に巻回したプリプレグに外板を設けた後にプライを積層させて成形することにより、複合材構造体の板厚調整が容易になる。したがって、内側成形面および外側成形面の形状や寸法精度を向上させた複合材構造体とすることができる。
【0014】
さらに、本発明の複合材構造体の成形方法は、前記外板が未硬化複合材であることを特徴とする。
【0015】
内型治具に積層したプライの外周に未硬化複合材の外板を設けること、または、内型治具に巻回したプリプレグの外周に未硬化複合材の外板を設けた後に外板にプライを積層することとした。そのため、外型治具を装着して成形する際に外板のレジンフローによって、複合材構造体の板厚を調整することができる。したがって、複合材構造体の板厚調整が一層容易となる。
【発明の効果】
【0016】
プリプレグを内型治具に巻回して、巻回したプリプレグにプライを積層させた後に複合材の外板を設けて、外型治具に装着して成形することとした。そのため、内型治具によって複合材構造体の内側成形面の形状や寸法を成形すると共に、外型治具によって複合材構造体の外側成形面の形状や寸法を成形することができる。さらに、内型治具に巻回したプリプレグにプライを積層させて外板を設けて成形することにより、複合材構造体の板厚調整が容易になる。したがって、内側成形面および外側成形面の形状や寸法精度を向上させた複合材構造体を成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係るヘリコプターのテールロータブレードを示し、(A)は、その概略構成図であり、(B)は、(A)に示したa−a部の横断面図である。
【図2】図1に示すテールロータブレードのスパー硬化の工程を示した横断面図である。
【図3】図2に示すスパー硬化の工程の変形例を示した横断面図である。
【図4】図1または図2にテールロータブレードのブレード硬化の工程を示した横断面図である。
【図5】図2から図4に示すテールロータブレードの成形工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図5を用いて説明する。
図1には、ヘリコプターのテールロータブレード1の概略構成図が示されている。
テールロータブレード(複合材構造体)1は、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)製等の複合材によって成形される中空の構造体である。
【0019】
テールロータブレード1には、フレックスビーム11と呼ばれる弾性構造部材が内蔵されている。テールロータブレード1は、図1(B)に示すように、フレックスビーム11の外周を覆うようにして設けられているスパー3と呼ばれるチューブ形状部品と、複合材である外板4と、ハニカムコア5とから主に構成されている。
【0020】
フレックスビーム11は、テールロータブレード1の長手方向に長軸を有しており、テールロータブレード1を保持するようにスパー3に内蔵されている。
【0021】
スパー3は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)が主体とされた複合材によってチューブ形状に成形されている。スパー3は、テールロータブレード1の長手方向に直交する断面形状が楕円形状とされており、その楕円形状は、テールロータブレード1の長手方向に直交する方向(スパー3の幅方向)に長軸を有している。
【0022】
スパー3は、テールロータブレード1の長手方向に複数に分割されて設けられている。スパー3の内側成形面は、フレックスビーム11を内蔵することが可能な形状に、後述する内型治具(図示せず)を用いて成形されている。スパー3の後縁(図1(B)において右側)には、ハニカムコア5が設けられている。
【0023】
ハニカムコア5は、スパー3の後縁に設けられている。ハニカムコア5は、テールロータブレード1の長手方向に直交する断面形状が、図1(B)に示すように、楔型形状となっている。楔型のハニカムコア5は、その前縁から後縁にかけて先細りした形状となっている。
【0024】
外板4は、ハニカムコア5およびハニカムコア5の前縁に設けられているスパー3を挟むように設けられている。外板4には、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastic)が主体とされた複合材が用いられている。外板4は、上面外板4aと下面外板4bとを有しており、これら上面外板4aと下面外板4bとの間にスパー3およびハニカムコア5が挟まれるようにして設けられている。
【0025】
上面外板4aおよび下面外板4bは、後述する外型治具(図示せず)を用いて成形することによって、スパー3およびハニカムコア5を上面外板4aと下面外板4bとの間に挟んでテールロータブレード1の長手方向に直交する断面形状が翼形状となるように成形する。
【0026】
次に、このようなテールロータブレード1の成形工程について、図2から図5を用いて説明する。
図2から図4には、本実施形態のテールロータブレード1を成形する各工程を示した横断面図が示されており、図5には、図2から図4に示す成形工程のフローチャートが示されている。
【0027】
図2に示すように、内型治具6にプリプレグ2を巻回する巻回工程では、内型治具6の外周面にプリプレグ2を巻回した後、プリプレグ2を硬化させてスパー3を成形する(図5のステップS1)。ここで、内型治具6は、図2に示すように、成形されたスパー3の内側成形面と略同形状の外周面を有している。この内型治具6には、スパー3の内側成形面を成形するために従来用いられていた加圧袋や熱可塑性発泡材料等よりも剛性が高い材料が用いられており、例えば、アルミ合金や、インバー合金、複合材などが用いられている。
【0028】
また、図2に示す巻回工程の替わりに、図3に示す巻回工程のように、内型治具6の外周面にプリプレグ2を巻回した後、内型治具6に巻回したプリプレグ2の外側に中型治具7を設けてプリプレグ2を硬化させてスパー3を成形してもよい。
【0029】
ここで、内型治具6は、図2の場合と同様な形状、かつ、材料が用いられている。中型治具7は、成形されたスパー3の外側成形面と略同形状の内周面を有しており、図3に示すように、スパー3の上方から前縁を経て下方に渡ってスパー3の外周に設けられる。また、中型治具7は、内型治具6よりも剛性が低い(内型治具6よりも柔らかい)材料によって形成されている。
【0030】
内型治具6よりも剛性が低い中型治具7を用いてスパー3を成形した後、中型治具7を取り除く。このように内型治具6と中型治具7とを用いてスパー3を成形することによって、成形されたスパー3の外側成形面の形状の面精度を図2の場合に比べて向上させることができる。
【0031】
次に、図2または図3の巻回工程において成形されたスパー3の板厚を計測する。その板厚計測結果に基づいて、調整プライ(プライ)の層数を設定する。この調整プライ(図示せず)の層数を調整することにより、スパー3が所定の板厚とされる。これにより、後述する外板4(図4参照)を設けてテールロータブレード1(図1参照)を成形した際に、テールロータブレード1が所定の板厚になるように調整することができる。
【0032】
次に、図4に示すように、スパー3の後縁側にハニカムコア5を設ける(図5のステップS2)。さらに、内型治具6に巻回したプリプレグ2の外周に、設定した調整プライ8を積層(積層工程)する。調整プライ8は、スパー3の上下からスパー3に対して略平行に設けられる。
【0033】
積層工程の後、調整プライ8を積層した内型治具6およびハニカムコア5の外周にそれらを間に挟むようにして複合材の上面外板4aおよび下面外板4bを設ける。さらに、上面外板4aおよび下面外板4bの外側から、上下に分割可能とされている外型治具9を装着する。このように調整プライ8を積層した内型治具6、ハニカムコア5、上面外板4a、下面外板4bを外型治具9に装着後、これらをオートクレーブにて硬化して成形する(成形工程、図5のステップS3)。
【0034】
オートクレーブによる硬化後、上下に分割可能とされている外型治具9を取り外す。さらに、スパー3の内部から内型治具6を引き抜く。これによって、テールロータブレード1の成形が終了する。
【0035】
以上の通り、本実施形態に係るテールロータブレード1の成形方法によれば、以下の作用効果を奏する。
プリプレグ2を内型治具6に巻回して、巻回したプリプレグ2に調整プライ(プライ)8を積層させた後に複合材の外板4を設けて外型治具9に装着して成形することとした。そのため、内型治具6によってテールロータブレード(複合材構造体)1を構成しているスパー3の内側成形面の形状や寸法を成形すると共に、外型治具9によってテールロータブレード1の外側成形面の形状や寸法を成形することができる。さらに、内型治具6に巻回したプリプレグ2に調整プライ8を積層させて外板4を設けて成形することにより、テールロータブレード1の板厚調整が容易になる。したがって、内側成形面および外側成形面の形状や寸法精度を向上させたテールロータブレード1とすることができる。
【0036】
なお、本実施形態では調整プライ8を用いてテールロータブレード1の板厚を調整するとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、調整プライ8の替わりに接着剤を用いても良い。
【0037】
さらには、本発明の成形方法により成形される複合材構造体は、ヘリコプターのテールロータブレード1に限定されず、例えば、航空機のブレードや風車のブレード等にも適用することができる。
【0038】
[第2実施形態]
本実施形態の複合材構造体の成形方法は、外板が未硬化複合材である点で、第1実施形態と相違しその他は同様である。したがって、同一の構成および工程については、その説明を省略する。
【0039】
スパーおよびハニカムコアを挟むようにして設けられている上面外板(外板)および下面外板(外板)には、未硬化複合材を用いる。未硬化複合材の上面外板)および下面外板の外側から、上下に分割可能とされている外型治具を組み付けてオートクレーブにて硬化する。
【0040】
以上の通り、本実施形態に係るテールロータブレード(複合材構造体)の成形方法によれば、以下の作用効果を奏する。
未硬化複合材の上面外板(外板)および下面外板(外板)を、内型治具に積層した積層プライ(プライ)の外周に設けることした。そのため、外型治具を装着して成形する際に上面外板および下面外板のレジンフローによって、テールロータブレード(複合材構造体)の板厚を調整することができる。したがって、テールロータブレードの板厚調整が一層容易となる。
【0041】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、内型治具6(図1参照)に巻回したプリプレグ2に調整プライ8を積層するとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、内型治具6に巻回したプリプレグ2の外周に複合材である外板4を設けて、その後、外板4に調整プライ8を積層するとしても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 複合材構造体(テールロータブレード)
2 プリプレグ
4、4a、4b 外板(上面外板、下面外板)
6 内型治具
8 プライ(調整プライ)
9 外型治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内型治具にプリプレグを巻回する巻回工程と、
前記内型治具に巻回した前記プリプレグにプライを積層する積層工程と、
前記プライを積層した前記内型治具の外周に複合材の外板を設けて、分割された外型治具を装着して成形する成形工程と、を含むことを特徴とする複合材構造体の成形方法。
【請求項2】
内型治具にプリプレグを巻回する巻回工程と、
前記内型治具に巻回した前記プリプレグの外周に複合材の外板を設けて、該外板にプライを積層する積層工程と、
前記外板に前記プライを積層した前記内型治具の外周に、分割された外型治具を装着して成形する成形工程と、を含むことを特徴とする複合材構造体の成形方法。
【請求項3】
前記外板が未硬化複合材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複合材構造体の成形方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−201093(P2012−201093A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70605(P2011−70605)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】