説明

複合構造を適用するための混合三次元織/積層支柱

【課題】
独立した織層からなる積層突起端部を備えた一体的な織三次元中央分部を有する織予備成型品を提供する。
【解決手段】
複数の織り合わされた層を有する中央部分を含む複合構造を強化するために使用される織予備成型品。また、その予備成型品は、中央部分における複数の織り合わされた層と一体的に織られておりかつ予備成型品の全長に沿って伸張する複数の独立した織層を有する、第1及び第2の端部部分を含む。第1及び第2の端部部分における複数の独立した織層の間には、バイアス層が挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造の1つ又は2つの端部を準等方又は多方向に強化した、及び全ての他の領域を一方向に強化した、強化複合材料のための三次元織予備成型品の全体構成に関する。
【背景技術】
【0002】
構造部材を製造するために強化複合材料を使用することは、現在、広く行われており、特に、軽量化、強靱さ、頑丈さ、熱抵抗性、自己支持性及び形成容易性が求められる分野において適用がなされている。例えば、そのような構造部材は、航空機、航空宇宙機、人工衛星及びバッテリーといった産業や、他にも競技用のボート及び自動車といったレクリエーションを目的とした分野など非常に多くの方面に適用されている。三次元布は、一般的に、他の繊維に対して垂直の方向に沿って伸張している、すなわちX、Y、Z軸方向に伸張している各々の繊維によって三次元的に規定される複数の繊維からなっている。
【0003】
一般的に、そういった繊維から形成される構成部材は、マトリックス材料に組み込まれた強化材料よりなる。強化材料は、ガラス、カーボン、セラミック、アラミド(例えば、“ケブラー(登録商標)”)、ポリエチレン、及び/又は他の材料から作られており、それらの材料は、望ましい物理的、熱的、化学的及び/又は他の性質を示し、主に破壊応力に対して強い。完成した構成部材の構成要素に最終的になる、そのような強化材料を使用することによって、非常に高い強度といった強化材料の望ましい特質が完成した構成部材に付与される。一般的に、構成強化材料は、強化予備成型品のために望ましい配置及び形状になるように織られる、編まれる又は他の方法で位置決めされる。通常、それらの構成強化材料が選択された理由であるそれらが有する特質を最適に利用するために特別な注意が払われる。一般的に、そのような構成予備成型品は望ましい完成した構成部材を形成するために、又は完成構成部材の最終的な製造ための在庫を作るために、マトリックス材料と結合される。
【0004】
望ましい強化予備成型品が構成された後、マトリックス材料がその予備成型品に導入され結合し、強化予備成型品はマトリックス材料が該強化予備成型品の諸構成要素間の領域を埋めるように該マトリックス材料に包み込まれる。マトリックス材料は、例えばエポキシ樹脂、ポリエステル、ビニール・エステル、セラミック、カーボン及び/又は他の材料といった幅広い種類のものから選ばれ、それらの材料は望ましい物理的、熱的、化学的及び/又は他の性質を示す。マトリックスとして使用するために選択される材料は、強化予備成型品における材料と同じでも異なっていてもよいし、それと類似した物理的、化学的、熱的又は他の性質を有していても有していなくてもよい。しかし、一般的に、それらは強化予備成型品と同じ材料からなることはない、又は類似の物理的、化学的、熱的又は他の性質を持つことはない。なぜなら、そもそも複数の構成部材を使用する際に求められる通常の目的は、1つの構成材料を使用するだけでは得ることができない完成製品の特質の組み合わせを獲得することであるからである。
【0005】
結合されるとき、強化予備成型品とマトリックス材料は、熱硬化法又は他の既存の方法によって硬化及び安定化され、それから望ましい構成部材を製造する他の操作にかけられる。重要なのは、そのように硬化された後、マトリックス材料の固化体は通常強化材料(例えば、強化予備成型品)に非常に強力に付着するということである。結果として、特に繊維間に密着しているマトリックス材料を通して完成部材にかかる応力は、強化された強化予備成型品の構成材料によって効果的に移送及び負担される。
【0006】
一般的に、単純な二次元織布又は一方向の繊維は、材料供給機によって製造され、それからパターンを切り出して最終的な積層体へと形成する消費者へと送られる。最も単純な織材料は平織りのものであり、それは実質的に2つの方向にのみ繊維を有する二次元構造をしている。それらは2組の糸を互いに垂直になるように織ることによって形成される。二次元織りにおいて、0°の糸は縦繊維又は縦糸と呼ばれ、90°の糸は横繊維又は横糸と呼ばれている。樹脂トランスファー成形で、一連の織布が乾燥した積層形態へと形成するために結合され、それは金型において樹脂を射出することでなされる。これらの布は、“切って縫う(cut and sew)”技術又は熱的に加工されることによってあらかじめ形成され、樹脂バインダを使用することで連結される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、二次元織構造には限界が存在する。前述のあらかじめ形成する工程は、積層する際に非常に多くの手作業を必要とするのである。また、二次元織構造は0°及び90°以外においては強度を有していない又は応力耐性がなく、特にそれは繊維軸から遠くに離れた角度において生じる。この不可避の制限を減少させる1つの方法として、織るときに付加的なバイアス繊維を追加する方法があり、該繊維は好ましくは横糸の軸に対して±45°の中間角度で布を横断するように織り込まれる。
【0008】
また、単純な織予備成型品は単一の層である。これは、材料の可能的な強度を制限する。これに対する1つの実現可能な解決策として、繊維のサイズを大きくするという方法がある。もう1つの方法として、多層(layers)又は層(plies)を使用する方法がある。多層を使用することで得られる付加的な利点として、異なる層の縦及び横軸が異なる方向にあるようにそれらの層を配置することで、上記のバイアス繊維と同様の効果を得ることが可能ということがある。しかし、もしこれらの層が樹脂を用いて1つに積層された単一の層の集積体であるならば、そのとき、積層の分離に関する問題が生じる。もしそれらの層が一緒に縫われるならば、そのとき織られる繊維の多くはその縫う工程の間にダメージを受け、その全体的な引っ張り強さも悪い影響を被るであろう。加えて、積層でも多層を縫うにしても、通常、手作業で層を積み重ねる作業が層を配列する際において必要とされる。別法では、それらの層は織工程の一部分として織られる。特に、全体的にバイアス繊維を用いて布の折り合わせ多層を作ることには難しい問題がある。
【0009】
構成材料が構造構成部材を製造するために使用される場合の一例として、支柱及び補強部を製造する例がある。支柱及び補強部は、構造体のそれぞれの端部に突起部(lug)を有する中央コラムを一般的に構成する。それらの突起部はオス型又はメス型(U字型)の形態をしており、強化又はバランス保持を目的として構造体に支柱又は補強部を取り付けるために使用される。前述したように、複合構造をより強化することを目的とし、複数の層が支柱及び補強部の突起部及びコラム部分のために使用される。個々の層は、0°及び90°方向に強化を施すために配置されるのと同様に、付加的な方向、例えば±45°の方向において強化を施すためにバイアス上にも配置され得るので、複数の層を使用することは好ましいのではあるが、樹脂を用いて積層した場合は層の剥離が問題となる。又は、前述したように縫うことによって複数の層を1つにしている場合、多くの織られた繊維は縫う工程の間にダメージを受けるので、完成した構造の全体的な引っ張り強さが減少してしまう。
【0010】
積層された突起部には多くの例があり、その幾つかは混合材料(すなわち、カーボン及びチタンの層を互い違いにしてある)を使用しているが、その積層された突起部は、三次元織コラムとは結合されていない。非常に高い負荷がかけられる構造のための積層構成突起部の研究は、政府資金によるプログラムにおいてなされている。しかし、出願人が知る限りにおいて、三次元織を使用したそういったプログラムは実行されていない。
【0011】
したがって、積層突起端部又は部分及び一体的三次元織中央コラムを有する、支柱及び補強部において使用するための三次元予備成型品が望まれている。予備成型品の中央部分に三次元構造を使用することによって、厚い構成部材のために必要な手作業による諸層の切断及び配列といった作業を減少させることができ、さらに、従来の積層構成部材よりも受けるダメージを減らすことも可能である。端部に独立した層が存在することによる利点は、積層を特別な性質を有するように作ることが可能ということである。
【0012】
したがって、独立した織層を備えた積層突起端部を備えた一体的な織三次元中央部分を有する織予備成型品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の第1の目的は、織り合わされたコラム部分と、複合構造において使用するための突起端部における個別に織られた布の積層体と、を有する三次元織予備成型品を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、1つ又は2つの端部では準等方又は多方向に強化され、全ての領域ではほぼ一方向に強化された、厚い複合構造のための織予備成型品を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、大きな集中負荷を支えるために使用されることが可能な複合構造を提供することである。
【0016】
これらの及び他の目的及び利点は、本発明によって提供される。この点に関して、本発明は、複合構造を強化するために使用される織予備成型品、及びそのような予備成型品を製造するための方法に向けられている。織予備成型品は、1つになるように織られた複数の層を備える中央部分からなる。予備成型品は、中央部分において複数の織り合わされた層で一体的に織られ、予備成型品の全長に沿って伸張している複数の独立した織層を有する、第1の端部部分を含んでいる。また、予備成型品は、中央部分において複数の織り合わされた層で一体的に織られ、予備成型品の全長に沿って伸張している複数の独立した織層を有する、第2の端部部分を含んでいる。第1及び第2の端部部分において、複数の独立した織層の間には、バイアス層が入れられている。バイアス層のために第1及び第2の端部部分において独立した織層の間にギャップを設けるために、縦の繊維又は糸の層が予備成型品から外に出される。加えて、単一の突起端部及びコラム部分端部を有する織予備成型品が、開示される実施形態のいずれかにしたがって構成される。
【0017】
本発明の他の特徴は、これより開示される織予備成型品を使用して構成された三次元強化複合構造に向けられている。強化複合構造は、一方向に強化された中央部分と、準等方又は多方向に強化された第1及び第2の端部部分とからなる。また、強化された複合構造は、1つの端部においてコラム部分を有し、他方の端部において突起部分を有するように構成されてもよい。
【0018】
本発明を特徴づける新規性の様々な利点は、本開示の一部分を形成する添付の請求項において特に指示される。本発明、その使用によって得られる操作上の利点及び特殊な目的をより良く理解するために、本発明の好ましい実施形態が示されている付属の図面を参照することが可能であり、該図面には対応する部材が同じ参照番号によって指示されている。
【0019】
以下の詳細な記載は、諸要素及び部材が参照番号で示されている付属の図面を参照することによって良く理解されるが、該記載は、例の説明のために与えられたものであり、本発明がそれによって限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】オス型構成を備えた突起端部を有するコラム部分を備えた複合構造の平面図である。
【図2】メス型又はU字型構成を備えた突起端部を有するコラム部分を備えた複合構造の平面図である。
【図3】本発明の1つの実施形態にしたがって構成された予備成型品の平面図である。
【図4A】本発明の1つの実施形態にしたがって構成された対称構成を有する突起端部を備えた予備成型品の平面図である。
【図4B】本発明の1つの実施形態にしたがって構成された対称構成を有する突起端部を備えた予備成型品の平面図である。
【図4C】本発明の1つの実施形態にしたがって構成された非対称構成を有する突起端部を備えた予備成型品の平面図である。
【図4D】本発明の1つの実施形態にしたがって構成された非対称構成を有する突起端部を備えた予備成型品の平面図である。
【図5】本発明の1つの実施形態にしたがって構成された予備成型品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
これより、本発明について、発明の好ましい実施形態が示されている付属の図面を参照しながらより詳細に説明していく。しかし、本発明は多くの異なる形態で実施されることが可能であり、これより説明される実施形態に限定されるものではない。むしろ、それらの図示された実施形態は、この開示が徹底的で完全なものであり、そして当業者に対して本発明の範囲を十分に伝えることが可能なように設けられたものである。
【0022】
以下の記載において、参照番号は、図の全体にわたって同様の又は対応する部材を指示している。加えて、以下の記載において、“上部”、“下部”、“頂部”及び“底部”ならびに同様の用語は、その利便性から使用されているのであり、それらの用語によって本発明は限定されるものではない。
【0023】
本発明は、複合構造又は梁を、1つ又は2つの端部においては準等方又は多方向に強化した、及び全ての他の領域においてはほぼ一方向に強化することを方針とした、予備成型品である。この構成は、支柱や補強部といった非常に大きな集中した負荷を支えるための構造として望ましい。準等方又は多方向に強化された端部は、構造の突起端部のために適切に選択することによって、優れた支持特性と、よりバランスのとれた張力、圧縮力、及び剪断強さを提供する。それらの突起端部はオス型又はメス型(U字型)構成を取ることが可能である。一方向の部分は軸方向の剛性をより高くするので、支柱又は補強部の主コラムのために適切に選択することで、コラムが屈曲したり機能を失ったりすることを好ましく防ぐことが可能である。図1には、突起端部4と三次元主コラム部分6とを有する支柱又は補強部2が示されている。図1における突起端部4はオス型構成を有している。図2には、三次元主コラム部分10と、メス型又はU字型金型の構成を備えた突起端部12と、を有する支柱又は補強部8が示されている。
【0024】
予備成型品の中央部分において三次元の構成を使用することで、厚い構成のために手作業で全ての積み重ねを切断及び配置する作業を減らすことができ、従来の積層構成と比べて受けるダメージを減少させることが可能である。構造の端部における独立した層は、積層が特殊な性質を有するように作られることを可能とする。開示されているように、突起端部は準等方又は多方向に強化されるのであるが、それは実際的にいかなる積層構成をも取ることが可能である。
【0025】
本発明の予備成型品は、多くの層及び同様の多くの独立バイアス層からなる三次元織部分から構成されている。三次元織部分の中央又はコラム部分において、全ての層は、互いに織り合わされている、又は織材料の統一体を形成するように一体的に織られる。この部分において使用される繊維構造は、どのような厚い予備成型品のための通常のパターンでもよく、例えば、限定されはしないが、積層(ply−to−ply)型、厚さ方向(through thickness)型、角連結(angle interlock)型、又は直交型の構造を使用することができる。その構造の端部において、個々の層は、0°及び90°の方向に強化して繊維の積層体を形成するために独立しているお互いを織る。ここで、0°とは構造の長手方向に沿っている角度である。バイアス層(layers)又は層(plies)は、例えば±45°といった0°/90°以外の付加的な方向を個別に強化するために設けられており、より標準的な積層を形成するために0°/90°布の諸層の間に挟まれる。バイアス層(layers)又は層(plies)は、縦又は横繊維又は糸を使用することで織られる、又は、不織布とされる、編まれる、もしくは、MD又はCD繊維又は糸の配列とされる。以下の図面において、縦糸方向とは0°方向に沿った方向、又は構造の長手方向に沿った方向であり、矢印100で指示されている。
【0026】
中央又はコラム部分を含む予備成型品を構成する全ての層は、ジャガード織機及び捕捉されたシャトル(captured shuttle)を使用することで、縦繊維又は糸と横又は充填繊維又は糸とによって織られているが、通常の織技術がそういった層を織るために使用されてもかまわない。繊維又は糸は合成材料又は自然材料であり、限定されはしないが、例えばカーボン、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ガラス繊維、コットン、ガラス、セラミック、アラミド(“ケブラー(商標登録)”)及びポリエチレンなどが使える。完成した織予備成型品は、それから、マトリックス材料を導入することで、織られた/積層された複合構造へと加工される。前記マトリックス材料としては、限定されはしないが、例えばエポキシ、ポリエステル、ビニール・エステル、セラミック、カーボン及び/又は他の材料を用いることができる。また、前記予備成型品は、例えば、限定されはしないが、トランスファー成型や化学蒸気浸透法といった従来技術を使用することで、望ましい物理的、熱的、化学的及び/又は他の性質を示す。
【0027】
本発明の1つの実施形態にしたがって、図3には、中央部分16の各々の端部に配置された2つの薄いオス型突起端部18と一体化している厚い中央部分16を有する構造14の一部分が示されている。図3よりわかるように、厚い中央部分16は、織り合わされた又は一つに織られた複数の織層20からなる、一体的な三次元織コラムである。薄いオス型突起端部18を形成するために、厚いコラム16からの縦繊維の層は、コラム16から薄い突起端部18へとテーパー状に推移22するように、予備成型品から織られている。
【0028】
一度望ましい数の縦繊維の層が、望ましい突起部の厚さへとコラムの厚さがテーパー状に減少するように予備成型品から作られたら、バイアス繊維の層のためのギャップ又は空間を設けるために、薄い突起端部18において予備成型品から縦繊維の付加的な層が外に出される。薄い突起端部18に留まっている縦繊維は、コラム又は中央部分16における複数の層20と一体的に織られ、構造の長手方向に沿って連続しており、互いに独立するように織られる層24の個別の層を形成する。層又は繊維の積層は、0°及び90°方向に薄い突起端部18を強化する。0°/90°の層24は互いに織り合わされていないので、例えば±45°方向といった付加的な方向における強化を提供するバイアス層26は0°/90°の層24の間のギャップに布の積層を形成するように入れられ、マトリックス材料が適用されるとき、該布の積層は薄い突起端部18において準等方又は多方向の強化をもたらす積層構造を形成する。さらに、図3に示されているように、その構造は、厚いコラム16の最外側の縦糸繊維に結果としてなる連続した表面繊維28を有している。
【0029】
もし望むのならば、中央部分16の各々の側部に2つの薄い突起端部18を備える中央部分16を有するこの実施形態のための前記開示された構造とは違い、薄い突起端部18を1つだけ有する構造が、開示された実施形態にしたがって構成されてもよい。そのような場合、その構造は、一体的な三次元織中央部分16と同様の1つの端部と前述の1つの薄い突起端部18とから構成される。このような方法で構成された構造は、図3に示されているものとほぼ同様の構造をしている。
【0030】
図4A〜4Dには本発明のもう1つ別の実施形態が示されており、それは構造30の一体的な三次元織中央コラム部分34よりも厚い2つの突起端部32からなる構造30の一部分を図示している。前述の実施形態の場合のように、中央コラム部分34は、織り合わされた又は1つになるように織られた複数の織層35から構成される。しかし、この構成においては、より厚い突起端部32を形成するためにコラム部分34から縦繊維36を外に出す必要はない。その代わりに、コラム部分34を構成するために使用される全ての縦繊維36が、より厚い突起端部32を構成するために使用される。しかし、コラム部分24からの縦繊維36は、厚い突起端部32において互いに織り合わされはしない。こうすることで、0°/90°方向に強化を施す厚い突起端部32における縦繊維40の間に、バイアス層38を挟ませることが可能となる。したがって、厚い突起端部32は、0°/90°に配置された層又は繊維と、例えば±45°方向といった層又は繊維のような、0°/90°以外の方向に配置された個別に構成された繊維の積層とからなる布の積層とを有し、マトリックスが適用されると、結果として準等方又は多方向に強化された積層突起部となる。さらに、図4A〜4Dにおいてわかるように、この実施形態にしたがって構成された構造は、積層された厚い突起端部32から一体的なコラム部分34へと段状の推移42を有しており、よって、1つの部分から他の部分へと渡る負荷の移動を改善することができる。
【0031】
図4A〜4Dに示されているように、バイアス層38の長さ及び配置は図によって異なる。図4A及び4Bでは、対称構成を有する突起端部32が示されている。すなわち、突起端部32におけるバイアス層38の長さ及び配置は、中央線又は長手方向の軸A−Aの周囲で対称となっている。図4Aはそのような対称構成を示しており、そこでは、中央線A−Aから突起端部32の上部表面43及び底部表面45の方に進むにつれ、連続するバイアス層38の長さが突起端部32の上半分39及び下半分41に向かって増大している。図4Bには、中央線A−Aから突起端部32の上部表面43及び底部表面45の方に進むにつれ、突起端部32の両方の半分部39及び41において、連続するバイアス層38の長さが減少している場合の対称構成が示されている。
【0032】
図4C及び4Dには、非対称構成を有する突起端部32が示されている。すなわち、突起端部32における連続するバイアス層38の長さが、突起端部32の底部表面45から上部表面43に向かうようにのみ増大又は減少している。図4Cには、突起端部32の底部表面45から上部表面43に向かって、突起端部32の連続するバイアス層38の長さが増大している場合の非対称構成が示されている。図4Dでは、非対称突起端部32において、突起端部32の底部表面45から上部表面43に向かって連続するバイアス層38の長さが減少する場合の構成が示されている。
【0033】
もし望むのならば、中央部分34の両側に2つのより厚い突起端部32を備える中央部分34を有するこの実施形態である前述の開示された構造とは違い、厚い突起端部32を1つだけ有する構造が開示された実施形態にしたがって構成されてもよい。そのような場合、その構造は、前述で開示されているように、一体的な三次元織中央部分34と同様の1つの端部と1つのより厚い突起端部32とからなる。このような方法で構成される構造は、図4A〜4Dに示されている構造とほぼ同様である。
【0034】
本発明の他の実施形態が図5に示されており、そこでは、2つのメス型突起部又はU字型部48を備える一体的な三次元織中央コラム部分46を有する構造44の一部分が図示されている。図5に示されているように、メス型突起端部48は中央コラム部分46に対して斜めに配置されており、それによって、メス型突起端部48は中央コラム部分46と一直線又は同一直線上にはない。前述の実施形態と同様に、中央コラム部分46は、織り合わされた又は1つになるように織られた複数の織層50からなっている。メス型突起端部又はU字型部48を形成するために、一体的なコラム部分46は、U字型部の両端部を形成するよう分岐52している。U字型部のそれぞれの第1又は角度のついた部分56において、0°/90°の層54は1つになるように連続的に織り合わされている。
【0035】
U字型の平行部分又は端部部分62において、バイアス繊維層60のために0°/90°強化層58の間にギャップを設けるために、縦繊維は予備成型品の角度の付いた部分56から外に出される。突起端部48に留まっている縦繊維は、中央コラム部分46及び角度の付いた部分54において複数の織層50とともに一体的に織られており、そして、該縦線は、互いに独立して織られており及び0°と90°の方向にU字型部48を強化する個別の層を形成する。0°/90°の層58は互いに織り合わされてはいないので、例えば±45°方向といった0°/90°方向以外の方向における強化は、0°/90°の層58の間に入れられるバイアス層60によって与えられるのであり、該層は、マトリックス材料が予備成型品に加えられるときに準等方又は多方向の強化を提供するU字型部における繊維の積層を形成する。
【0036】
もし望むのならば、中央部分46のそれぞれの側部に2つのメス型突起端部又はU字型部48を備える中央部分46を有するこの実施形態のための前述の開示された構造とは異なり、メス型突起端部48を1つだけ有する構造が開示された実施形態にしたがって構成されてもよい。そのような場合、その構造は、前記で開示されたような、一体的な三次元織中央部分46と1つのメス型突起端部又はU字型部48とからなる。このような方法で構成される構造は、図5に示されている構造とほぼ同様のものとなる。
【0037】
開示された全ての実施形態において、バイアス層が突起端部に挿入された後、織予備成型品は、予備成型品の耐摩耗性を向上させるためにガラス材料の層がその上に編まれることが可能である。
【0038】
当業者には明らかなように、上記で開示された構造は、これまでに開示された構造に付加することができる多くの形態を有することが可能である。例えば、その構造は、メス型又はU字型の突起部構成部を備えた、厚い一体的な三次元織コラムを有することが可能である。また、その構造は、1つの端部にオス型突起部を、他方の端部にメス型突起部を備える厚い一体的三次元織コラムを有することも可能である。加えて、その構造は、それぞれの端部にメス型突起部を備えた、又は一方の端部にオス型突起部及び他方の端部にメス型突起部を備えた、薄い一体的三次元織コラムを有することも可能である。最後に、全ての構造は、主コラム部分を備えた一直線又は同一直線上にある両方の突起部を有すること、主コラム部分に対して角度が設けられた両方の突起部を有すること、1つの突起部は主部分に対して同一直線上にあり他方の突起部は主部分に対して角度が付けられていること、といった構造を取ることも可能である。前記で開示されているのではあるが、突起端部は準等方又は多方向に強化されるように考慮されており、その突起端部はいかなる積層構成をも実際的に取り得る。したがって、本発明の構造、例えば支柱又は補強部は、構造上の特殊な必要性又は望まれる使用法に基づいて様々なタイプの強化又はバランス性の向上を提供するために、様々な異なる構成を有するように設計されることが可能である。
【0039】
これまで本発明の好ましい実施形態及びその変形態が詳細に記載されてきたが、本発明はその詳細な実施形態及び変形態に限定されるものではないということ、及び、他の変形態及び別様態は付属の請求項によって規定される本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいて当業者によって変更可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0040】
2 支柱又は補強部
4 突起端部
6 コラム
8 支柱又は補強部
10 コラム
12 突起端部
14 構造
16 中央部分
18 オス型突起端部
20 層
22 テーパー状の推移
24 層
26 バイアス層
28 表面繊維
30 構造
32 突起端部
34 中央コラム部分
35 織層
36 縦繊維
38 バイアス層
39 上半分
40 縦繊維
41 下半分
42 段状の推移
43 上部表面
44 構造
45 底部表面
46 中央コラム部分
48 2つのメス型部又はU字型部
50 織層
52 分岐
54 0°/90°の層
56 第1又は角度のついた部分
58 0°/90°の層
60 バイアス層
62 U字型部の端部部分
100 縦繊維方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造における強化材として使用される織予備成型品であって、
複数の横繊維と折り合わされる複数の縦繊維を有する三次元織の中央部分と;
第1の端部部分と;
第2の端部部分と;
を備え、
前記中央部分は、前記予備成型品の全長に渡って伸長する、前記予備成型品の外部表面上の1つ以上の縦繊維を備え、
前記織予備成型品は、前記織予備成型品の全長に渡って伸長する1つ以上の縦繊維と、前記織予備成型品から外に出して織られ、前記中央部分から前記第1及び第2の端部部分の少なくとも1つへの推移部をもたらす複数の縦繊維とを備えることを特徴とする、織予備成型品。
【請求項2】
複合構造における強化材として使用される織予備成型品を製造する方法であって、
複数の縦繊維を複数の横繊維と織って、三次元織の中央部分を形成する工程と;
複数の縦繊維を複数の横繊維と織って、三次元織の第1の端部部分を形成する工程と;
複数の縦繊維を複数の横繊維と織って、三次元織の第2の端部部分を形成する工程と;
を有し、
前記中央部分は、前記予備成型品の外部表面上の1つ以上の縦繊維を備え、該縦繊維は、前記予備成型品の全長に渡って伸長するように織られており、
前記織予備成型品は、前記織予備成型品の全長に渡って伸長する1つ以上の縦繊維と、前記織予備成型品から外に出して織られ、前記中央部分から前記第1及び第2の端部部分の少なくとも1つへの推移部をもたらす複数の縦繊維を備えることを特徴とする、織予備成型品を製造する方法。
【請求項3】
複合構造における強化材として使用される織予備成型品であって、
複数の横繊維と織り合わされる複数の縦繊維を有する三次元織の中央部分を備え、
前記中央部分は、前記予備成型品の全長に渡って伸長する、前記予備成型品の外部表面上の一つ以上の縦繊維を備え、
隣り合う層の二つ以上の縦繊維が、前記中央部分の端部の分岐部において、前記中央部分の厚さ方向に位置を交換することを特徴とする、織予備成型品。
【請求項4】
複合構造における強化材として使用される織予備成型品を製造する方法であって、
前記予備成型品の外部表面にある一つ以上の縦繊維が前記予備成型品の全長に渡って伸長するように、複数の縦繊維を複数の横繊維と織り、三次元織の中央部分を形成する工程と;
前記中央部分の隣り合う層の二つ以上の縦繊維が、前記中央部分の端部の分岐部において、前記中央部分の厚さ方向に位置を交換するように織られることを特徴とする、織予備成型品を製造する方法。
【請求項5】
複合構造における強化材として使用される織予備成型品であって、
三次元織の中央部分を備え、該中央部分は、
横方向に伸長する第1糸と、;
縦方向に伸長する第2糸とを備え、
前記第1及び第2糸は、前記中央部分において織り合わされた層を形成し、
織られた中央部分の第1領域には、織られた中央部分の第2領域よりも多くの第2糸が存在することを特徴とする、織予備成型品。
【請求項6】
複合構造における強化材として使用される織予備成型品を製造する方法であって、
第1糸と第2糸とを織り、前記予備成型品の第1領域において、三次元織の中央部分を形成する工程と;
前記予備成型品の第2領域において、選択された第2糸を外に出し、第2領域において、三次元織の中央部分の厚さを減少させる工程とを有することを特徴とする、織予備成型品を製造する方法。
【請求項7】
複合構造における強化材として使用される織予備成型品であって、
三次元織の中央部分を備え、該中央部分は、
複数の横糸と織り合わされる複数の縦糸を備え、
一つ以上の縦糸が、前記予備成型品の全長に渡って伸長し、一つ以上の縦糸が、前記予備成型品の全長には満たないように伸長することを特徴とする、織予備成型品。
【請求項8】
複合構造を強化するために用いられる織予備成型品であって、
三次元織の中央部分を備え、該中央部分は、複数の横繊維と織り合わされる複数の縦繊維を有し、前記予備成型品の外部表面上の一つ以上の縦繊維が前記予備成型品の全長に渡って伸長することを特徴とする、織予備成型品。
【請求項9】
複合構造を強化するために用いられる織予備成型品を製造する方法であって、
複数の縦繊維を複数の横繊維と織り、三次元織の中央部分を形成する工程を有し、
前記予備成型品の外部表面上の一つ以上の縦繊維が、前記予備成型品の全長に渡って伸長するように織られていることを特徴とする、織予備成型品を製造する方法。
【請求項10】
複合構造を強化するために用いられる織予備成型品であって、
三次元織の中央部分を備え、該中央部分は、複数の横繊維と織り合わされる複数の縦繊維を有し、二つ以上の縦繊維が、前記中央部分の端部の分岐部においてお互いに交差することを特徴とする、織予備成型品。
【請求項11】
複合構造を強化するために用いられる織予備成型品を製造する方法において、
複数の縦繊維を複数の横繊維と織り、三次元織の中央部分を形成する工程を有し、
二つ以上の縦繊維が、前記中央部分の端部の分岐部においてお互いに交差するように織られていることを特徴とする、織予備成型品を製造する方法。
【請求項12】
複合構造を強化するために用いられる織予備成型品であって、
三次元織のコアを備え、該コアは、
横方向に伸長する第1糸と;
縦方向に伸長する第2糸とを備え、
前記織られたコアの第1領域において、前記織られたコアの第2領域よりも、多くの第2糸が存在することを特徴とする、織予備成型品。
【請求項13】
複合構造を強化するために用いられる織予備成型品を形成する方法において、
第1及び第2の糸を織り、前記予備成型品の第1領域において、三次元織のコアを形成する工程と;
前記予備成型品の第2領域において、選択された第2糸を外に出し、第2領域において三次元織のコアの厚さを減少させる工程とを有することを特徴とする、織予備成型品を製造する方法。
【請求項14】
複合構造を強化するために用いられる織予備成型品であって、
三次元織のコアを備え、該コアは、
複数の横糸と織り合わされる複数の縦糸を備え、
一つ以上の縦糸が前記予備成型品の全長に渡って伸長し、一つ以上の縦糸が、前記予備成型品の全長に満たないように伸長することを特徴とする、織予備成型品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−108208(P2013−108208A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−20383(P2013−20383)
【出願日】平成25年2月5日(2013.2.5)
【分割の表示】特願2008−541202(P2008−541202)の分割
【原出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(508135080)アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】