説明

複合構造体のノイズ低減システム

【課題】取付けの手間、占有スペース、費用の高さ、重量増の問題、さらに、達成できるノイズの低減量が所望するよりも少ないなどと言った問題の少なくとも一部と、起こりうる他の問題とを考慮したノイズを低減する方法と装置を提供する。
【解決手段】複合パネルは第1表面板404、第2表面板406、及び第1表面板と第2表面板の間に位置するコア408を有する。任意の数の構造体410は第1表面板に関連する。任意の数の構造体は、複合パネルの中を伝播する波の速さを低下させることにより、複合パネルから放散されるノイズを低減するように構成された質量を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
航空機の設計及び製造において複合材料の割合はより高くなっている。例えば、ある航空機は主要な構造体の50%超が複合材料からできている。さらに、複合材料は航空機の内部に、またその他の構造体にも使用されうる。
【背景技術】
【0002】
複合材料は航空機において、航空機の重量を削減するために使用される。重量を削減すれば、最大積載量、及び燃料効率を上げることができる。さらに、複合材料により航空機の様々な構成要素の寿命が伸びる可能性もある。
【0003】
複合材料は、金属構造体と比べて軽量であり、剛性が高い。このため、複合材料はまた、金属構造体に比べてノイズをより効率的に放散させる。金属構造体の代わりに複合材料を使用することで航空機内部のノイズが所望よりも高くなりうる。
【0004】
現在、ノイズは異なる種類のノイズ低減システムを使用して制御されている。例えば、抑制システム、グラスファイバーブランケット、吸音フォーム、アイソレータ、及びその他のシステムを使用して、複合構造体から発生するノイズを低減することができる。これらのノイズ低減システムはしかしながら、取付けに手間がかかり、さらにスペースを取る可能性がある。さらに、この種のシステムは高価であり、所望するよりも重量が増す可能性もある。さらに、これらのノイズ低減システムを適所に配置しても、達成できるノイズの低減量は所望するよりも少ない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、上述した問題の少なくとも一部と、起こりうる他の問題とを考慮する方法と装置を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施形態において、装置は複合パネル及び任意の数の構造体を含む。複合パネルは、第1表面板、第2表面板、及び第1表面板と第2表面板の間に位置するコアを有する。任意の数の構造体は第1表面板に関連している。任意の数の構造体は、複合パネルの中を伝播する波の速さを低下させることにより、複合パネルから放散されるノイズを低減するように構成された質量を有する。
【0007】
別の実施形態においては、ノイズを低減する方法が提示されている。この方法は、第1表面板、第2表面板、及び第1表面板と第2表面板の間に位置するコアを含む複合パネルに波を伝播させる。複合パネルの中を伝播する波の速さは、第1表面板に関連する任意の数の構造体によって低下する。任意の数の構造体は、複合パネルの中を伝播する波の速さを低下させることにより、複合パネルから放散されるノイズを低減するように構成された質量を有する。
【0008】
特徴、及び機能は、本発明の様々な実施形態で独立に実現することが可能であるか、以下の説明及び図面を参照してさらなる詳細が理解されうる、さらに別の実施形態で組み合わせることが可能である。
【0009】
新規の機能と考えられる実施形態の特徴は、特許請求の範囲に明記される。しかしながら、実施形態と、好ましい使用モードと、さらにはその目的とは、添付図面を参照して本発明の一実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態を実装しうる航空機を示したものである。
【図2】一実施形態によるノイズ低減システムを使用可能な複合構造体の図である。
【図3】一実施形態による複合パネルの断面図である。
【図4】一実施形態によるノイズ低減システムを有する複合構造体の図である。
【図5】一実施形態による複合パネルの断面図である。
【図6】一実施形態によるノイズ低減システムを有する複合構造体の図である。
【図7】一実施形態によるノイズ低減システムを有する複合構造体の断面図である。
【図8】一実施形態によるノイズ低減システムを有する複合構造体の図である。
【図9】一実施形態による複合パネルの断面図である。
【図10】一実施形態による複合構造体の図である。
【図11】一実施形態による複合構造体の断面図である。
【図12】一実施形態による複合構造体のノイズ低減システムを設計するための設計環境の図である。
【図13】一実施形態によるノイズを低減するプロセスのフロー図を示したものである。
【図14】一実施形態によるノイズ低減の結果を示すグラフである。
【図15】一実施形態によるデータ処理システムを示す図である。
【図16】一実施形態による航空機の製造及び保守方法を示している。
【図17】一実施形態を実装しうる航空機を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで図面を参照する。特に図1には、一実施形態を実装可能な航空機が示されている。航空機100は、一実施形態においてノイズ低減システムが実装可能な航空機の一例である。
【0012】
図示のように、航空機100は、機体106に取り付けられた翼102、及び翼104を有する。航空機100はまた、翼102に接続されたエンジン108と、翼104に接続されたエンジン110も含む。航空機100はまた、水平安定板112、非垂直安定板114、及び垂直安定板115も有する。
【0013】
これらの実施例では、ノイズ低減システムは航空機100の様々な複合構成要素において、又は複合構成要素とともに実装することができる。例えば、ノイズ低減システムは航空機100内で使用する複合パネルに実装可能である。
【0014】
図示したように、航空機100の内装116の分解図である。内装116内では、ノイズ低減システムを有する一又は複数の複合パネルを実装することができる。例えば、複合パネルをクローゼット120の壁118に実装することができる。別の実施例としては、ノイズ低減システムを有する複合パネルを天井パネル122に実装することができる。別の実施例としては、ノイズ低減システムを有する複合パネルを床パネル124に実装することができる。一実施形態によるノイズ低減システムを有する複合パネルを、これらの実施例の航空機100内のまた別の構造体にも実装可能である。
【0015】
航空機100の複合パネルに実装されたノイズ低減システムにより、現在使用されているノイズ低減システムよりもさらに効率的にノイズを低減することができる。さらに、ノイズ低減システムの重量及びそれによって取られるスペースは、現在利用可能なノイズ低減システムの重量及びスペースよりも軽く小さい。
【0016】
次に図2を参照すると、ノイズ低減システムとともに使用できる複合構造体の図が一実施形態にしたがって示されている。複合構造体200は、図1の航空機100で使用可能な複合構造体の一例である。
【0017】
この実施例では、複合構造体200は複合パネル202の形態をとっている。複合パネル202は、図1の航空機100内で使用可能なパネルである。例えば、非限定的に、複合パネル202はクローゼットの壁、天井パネル、床構造体の一部として、又は航空機100内のその他何らかの好適な構造体として使用可能である。
【0018】
図示したように、複合パネル202は第1表面板204と第2表面板206を含む。コア208は、第1表面板204と第2表面板206の間に位置する。これらの実施例では、第1表面板204と第2表面板206はコア208よりも硬い。さらに、コア208は第1表面板204と第2表面板206よりも弱い。
【0019】
この実施例では、ノイズ低減システム211の任意の数の構造体210は、第1表面板204に関連する。この実施例では、任意の数の構造体210は層212の形態をとっている。
【0020】
ある構成要素が別の構成要素に「関連する」という時、この関連性はこれらの実施例において物理的な関連性である。例えば、層212等の第1の構成要素は、第2の構成要素に固定されることにより、第2の構成要素に接着されることにより、第2の構成要素に取り付けられることにより、第2の構成要素に溶接されることにより、第2の構成要素に留められることにより、及び/またはその他何らかの好適な方法で第2の構成要素に接続されることにより、第2の構成要素、第1表面板204に関連すると考えられる。第1の構成要素は、第3の構成要素を使用して第2の構成要素に接続することができる。第1の構成要素は、第2の構成要素の一部及び/又は延長として形成されることにより、第2の構成要素と関連すると考えることもできる。
【0021】
ノイズ低減システム211の任意の数の構造体210は、複合パネル202の中を伝播する波の速さを低下させることによって、複合パネル202から放散されるノイズが低減されるような構成を有する。具体的には、任意の数の構造体210は複合パネル202の中を伝播する波の速さを低下させるように構成された質量を有しうる。
【0022】
これらの実施例では、第1表面板204と第2表面板206は様々な種類の材料からなるものであってよい。これらの材料は、例えば非限定的に、ガラスエポキシ、炭素又は黒鉛エポキシ、及びその他好適な材料を含むことができる。
【0023】
コア208は第1表面板204と第2表面板206よりも密度が低い。これらの実施例においては、コア208は固体であってよい、又は構造体内にボイドを有することができる。例えば、ボイドはハニカム構造内の溝の形態であってよい。その他の実施例では、コア208は、ハニカムタイプの構造体内の溝ではなく、閉じたボイドを有していてもよい。言うまでもなく、特定の実装形態により、その他の種類の構造体を使用することができる。コア208は例えば非限定的に、紙、プラスチック、発泡体、メタ系アラミド材料、パラ系アラミド材料、及びその他の好適な種類の材料等の様々な材料からなるものであってよい。
【0024】
次に図3に注目すると、一実施形態による複合パネルの断面図が示されている。この実施例では、図2のライン3−3に沿って切り取った複合パネル202の断面図が一実施形態に従って図示されている。
【0025】
この実施例では、波は複合パネル202の中を伝わりうる。これらの実施例では、波はせん断波及び縦波を含みうる。この図では、複合パネル202へのインプット300により、せん断波304が生じる。インプット300は例えば、振動及び/又はその他の動きであってよい。
【0026】
図示したように、せん断波304は複合パネル202、特にコア208の中を伝わる。せん断波304は、せん断波304が動く方向に対し弾性変形が実質的に垂直である波である。つまり、弾性変形はこの実施例において矢印302の方向に生じうる。
【0027】
せん断波304は複合パネル202の中を伝わり、音306は第1表面板204から放散されうる。音306はこれらの実施例においてノイズ低減システム211の任意の数の構造体210の層212を使用することによって低減することができる。
【0028】
この実施例では、層212によって質量が増し、これにより、せん断波304が複合パネル202の中を伝わる時のせん断波304の速さが低下する。具体的には、層212の質量は、せん断波304の速さが音速未満の速さまで低下するように選択される。この実施例において、せん断波304はコア208の中を伝わるせん断波304によって減少しうる。
【0029】
図4は、一実施形態によるノイズ低減システムを有する複合構造体の図を示している。図示したように、複合構造体400の等角投影図が一実施形態にしたがって示されている。この実施例では、複合構造体400は図1の航空機100で使用可能な複合構造体の一例である。
【0030】
具体的には、複合構造体400は複合パネル402の形態である。図示したように、複合パネル402は第1表面板404、第2表面板406、及びコア408を有する。コア408は、第1表面板404と第2表面板406の間に位置する。加えて、複合パネル402はノイズ低減システム409に関連する。
【0031】
この実施例において、ノイズ低減システム409は任意の数の構造体410を含む。図示したように、任意の数の構造体410は第1表面板404の外表面412に位置している。外表面412は、これらの実施例において表面が顕であり、コア408と接触していない。
【0032】
任意の数の構造体410は細長部材414の形態である。例えば、複数の細長部材414のうちの細長部材416は第1表面板404の外表面412に位置している。細長部材416は、複合パネル402の側面418から複合パネル402の側面420まで延在している。
【0033】
図5は、一実施形態による複合パネルの断面図を示している。この実施例において、複合パネル402の断面図は図4のライン5−5に沿って切り取ったものである。
【0034】
この実施例では、細長部材416の断面は正方形の形である。当然ながら、細長部材416は特定の実装形態によってはその他の形状を有しうる。例えば、特定の実装形態によって断面は長方形、台形、楕円形、円形、又はその他何らかの好適な形であってよい。
【0035】
この実施例からわかるように、細長部材414は互いに実質的に等間隔をおいて配置されており、互いに実質的に平行である。細長部材414の間の間隔、断面形状、及び細長部材414のその他のパラメータは、複合パネル402から放散されるノイズが低減するように選択される。細長部材414によって加算される重量もまた要因となりうる。複合パネル402の重量と、複合パネル402から放散されるノイズの低減との間のバランス調整を行うことができる。
【0036】
次に図6を参照すると、一実施形態によるノイズ低減システムを有する複合構造体が図解されている。複合構造体600は、図1の航空機100の構成要素に使用されうる複合構造体の別の実施例である。
【0037】
この実施例において、複合構造体600は複合パネル602の形態である。複合パネル602は、第1表面板604と、第2表面板606と、コア608を有する。コア608は、第1表面板604と第2表面板606の間に位置する。
【0038】
この実施例では、ノイズ低減システム610は第1表面板604の外表面612に位置する。ノイズ低減システム610は任意の数の構造体613を含む。これらの実施例において、任意の数の構造体613はパッチ614の形態である。この実施例において、複数のパッチ614のうちのパッチ616は、立方体の形である。パッチ614に使用できるその他の形状は、球、ピラミッド形、直方体、円筒形、又はその他何らかの好適な形状を含むことができる。当然だが、パッチ616は特定の実装形態によってその他の形状を有することができる。
【0039】
次に図7を参照すると、一実施形態によるノイズ低減システムを有する複合構造体の断面図が示されている。複合パネル602の断面図は、この実施例において図6のライン7−7に沿って切り取ったものである。
【0040】
次に図8を参照すると、一実施形態によるノイズ低減システムを有する複合構造体が示されている。この実施例において、複合構造体800は航空機100に使用できる複合構造体の別の実施例である。
【0041】
複合構造体800は、第1表面板804、第2表面板806、及び表面板の間に位置するコア808を有する複合パネル802である。この実施例では、ノイズ低減システム810は、第1表面板804の外表面812ではなく、複合パネル802の内部に位置している。この実施例では、コア808は第1表面板804の外表面812に取り付けられている。
【0042】
図示したように、ノイズ低減システム810は任意の数の構造体814を含む。任意の数の構造体814は、複合パネル802の中を伝わる波の速さが低下するように構成される。この実施例では、任意の数の構造体814はボイド816と、複合パネル802内部のボイド816に位置する細長部材818を含む。これらの構成要素はこの実施例では透視図で示されている。このような実施例において、構造体は細長部材818の形態である。
【0043】
ここで図9を参照すると、一実施形態による複合パネルの断面図が描かれている。この実施例において、複合パネル802の断面図は図8のライン9−9に沿って切り取られたものであることが分かる。
【0044】
この図面から分かるように、ボイド816はコア808の中に形成されている。ボイド816は、細長部材818とコア808の間に隙間903ができるように構成されている。つまり、細長部材818はこれらの実施例ではコア808に接触しない。
【0045】
例えば、複数の細長部材818のうちの細長部材900は複数のボイド816のうちのボイド902の中に位置している。図から分かるように、ボイド904は細長部材900とコア808の壁906の間にある。
【0046】
次に図10に注目すると、一実施形態による複合構造体が示されている。この実施例において、複合構造体1000は複合パネル1002の形態であり、航空機100内部で使用できる複合構造体の別の例である。
【0047】
図示したように、複合パネル1002は第1表面板1004、第2表面板1006、及び第1表面板1004と第2表面板1006の間に位置するコア1008を含む。ノイズ低減システム1010は第1表面板1004の外表面1012と関連する。
【0048】
この実施例から分かるように、ノイズ低減システム1010は任意の数の構造体1013を有する。図示したように、任意の数の構造体1013は、第3表面板1014、パッチ1016、ボイド1018、及びコア1020を含む。任意の数の構造体1013は、複合パネル1002の中を伝わる波の速さが低下するように構成される質量を有する。図示したように、パッチ1016はノイズ低減システム1010のコア1020に形成されたボイド1018の第3表面板1014の下に位置する。パッチ1016とボイド1018はこの実施例においてはコア1020に透視図で示されている。
【0049】
コア1020は第2のコアであり、第1表面板1004の外表面1012に位置している。この結果、コア1020はノイズ低減システム1010の第3表面板104と、複合パネル1002の第1表面板1004の間に位置している。
【0050】
ここで図11を参照する。図11は、一実施形態による複合構造体の断面図を示している。この実施例においては、図10のライン11−11に沿って切り取った複合パネル1002の断面図が示されている。
【0051】
見て分かるように、ボイド1018によってパッチ1016とコア1020との間に隙間1100ができる。例えば、パッチ1102は第3表面板1014の内表面1104に取り付けられる。複数のボイド1018のボイド1106により、コア1008の壁1110とパッチ1102との間に隙間1108ができる。これらの実施例において、パッチ1102は円筒の形である。当然ながらその他の形状も使用可能である。例えば、球、立方体、及びその他の好適な形状を使用することができる。さらに、実施例においては混合した形状を使用することができる。
【0052】
これらの実施例において、コア1020とコア1008は特定の実装形態によって同じ種類の材料、又は異なる種類の材料でできていてよい。コア1020の材料の選択は、コア1008の波の速さを遅くするコア1020の波の速さに基づくものであってよい。具体的には、波はせん断波である。選択された材料のせん断弾性率は、コア1008のせん断弾性率よりも小さい。せん断弾性率の差は、結果的にコア1008のせん断波の速さが所望通りに低下するように選択される。
【0053】
図2〜11の複合パネルの形態の複合構造体に使用されるノイズ低減システムの図は、限定することを意味するものではなく、異なる実施形態を実装することが可能である。図示された構成要素に加えて及び/又は代えて、他の構成要素を使用することができる。また、その他の構成もあってよい。
【0054】
例えば、ノイズを低減する構造体を、実施例において図示したように一つの表面板のみの代わりに、両方の表面板に配置することができる。さらに別の実施例では、構造体は複合パネルの外側及び内側の両方に位置していてよい。
【0055】
さらに別の実施例では、ノイズ低減システムを他の種類の複合構造体に使用することができる。例えば、図に示すノイズ低減システムを複合外板−ストリンガー構造体、及びその他の好適な構造体に使用することができる。
【0056】
次に、一実施形態にしたがって複合構造体のノイズ低減システムを設計する設計環境を示す図12に注目する。この実施例では、設計環境1200はノイズ低減システムを設計するのに使用するノイズ低減システムデザイナー1202を含む。これらのノイズ低減システムは、図1の航空機100に見られる複合構造体のような複合構造体に使用可能である。
【0057】
図示したように、ノイズ低減システムデザイナー1202は、ハードウェア、ソフトウェア、又は両者の組み合わせを利用して実装しうる。これらの例示的な実施例では、ノイズ低減システムデザイナー1202はコンピュータシステム1204において実装しうる。コンピュータシステム1204は、これらの実施例では一又は複数のコンピュータである。コンピュータシステム1204において一より多い数のコンピュータがある場合には、これらのコンピュータは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、又はその他何らかの好適な種類の通信メディアを利用して互いに通信しうる。
【0058】
この実施例では、ノイズ低減システムデザイナー1202は複合構造体の設計1206を受け入れることができる。複合構造体の設計1206はこの実施例では複合構造体1207の設計である。複合構造体1207は例えば、複合パネル1208であってよい。複合構造体の設計1206は例えば、ノイズ低減システムの設計1209を作成するための入力であってよい。
【0059】
この実施例では、ノイズ低減システムのデザイナー1202は複合構造体の設計1206を解析して、ノイズ低減システム1211のノイズ低減システム設計1209を生成する。ノイズ低減システム設計1209は、ノイズ低減システムのみを含むことができる、あるいは、設計のうちの複合構造体の設計1206の複合構造体も含むことができる。
【0060】
ノイズ低減システムデザイナー1202は、複合構造体の設計1206のパラメータ1210を考慮に入れる。パラメータ1210は、複合構造体の一部であってよい構成要素1212に対するものである。これらの実施例では、複合構造体の設計1206の構成要素1212は、第1表面板1218、第2表面板1220、及びコア1222を含む。
【0061】
パラメータ1210は例えば、寸法、材料、及びその他好適なパラメータ等の様々なパラメータを含みうる。パラメータ1210を使用して、複合パネル等の複合構造体の中を伝わりうる波をシミュレーションすることができる。
【0062】
パラメータ1210を使用することで、ノイズ低減システムデザイナー1202は、ノイズ低減システム設計1209のパラメータ1214を生成する。これらの実施例では、パラメータ1214はノイズ低減システム設計1209の構成要素1216である。
【0063】
ノイズ低減システム1211のノイズ低減システム設計1209を生成するにあたって、コア1222のせん断波の速さを考慮する。コア材料のせん断波の速さは下記のごとく定義される。
【0064】

【0065】
上記式において、Cmcはコア材料のせん断波の速さであり、Gcはせん断弾性率であり、ρcはコアの密度である。
【0066】
これらの実施例では、ノイズ低減システムデザイナー1202は、第1表面板1218と第2表面板1220の質量により、複合パネルの中のせん断波の速さが変化しうることを考慮している。複合パネルの中のせん断波の速さは下記のごとく表される。
【0067】

【0068】
上記式において、Csは複合パネルの中のせん断波の速さであり、Gcはせん断弾性率であり、ρcはコアの密度であり、tcはコアの厚さであり、ρfは表面板の密度であり、tfは表面板の厚さである。
【0069】
異なる実施形態は、低周波数において、サンドイッチ構造を有する複合パネルは、構造全体の曲がりが主となることを認識し考慮している。これらの実施例において、低周波数とは約100〜500Hzの周波数である。非常に高い周波数では、複合パネルの応答は、表面板の曲がる性質に主に支配される。これらの実施例では、非常に高い周波数とは約10000Hzよりも高い周波数である。異なる実施形態はまた、中間周波数領域の複合パネルの反応は複合パネルのせん断波によって左右されることも認識し考慮している。中間周波数領域は、これらの実施例では約500〜10000Hzである。
【0070】
異なる実施形態は、これらのモードがコアが複合パネルのハニカムコアあるいは固体のコアのいずれであっても存在しうることを認識し考慮している。異なる実施形態は、中間周波数領域において、振動エネルギーの大部分がコアの中を伝わるせん断波のコアにおいて伝達されうることを認識し考慮している。低周波数において、ほとんどのエネルギーは表面板の中を伝達されうる。さらに、異なる実施形態は、高周波数において振動とノイズの放散が表面板の曲がりモードに支配されうることを認識し考慮している。
【0071】
この結果、ノイズ低減システムデザイナー1202は、複合構造体の中を伝わる波の速さが低下するように、ノイズ低減システム1211のノイズ低減システム設計1209を生成する。具体的には、ノイズ低減システムデザイナー1202はノイズ低減システム設計1209を生成して、複合構造体の設計1206を使用した複合構造体の中を伝わる波の速さが、音速よりも低い速さまで低下するようにする。
【0072】
これらの実施例において、ノイズ低減システムデザイナー1202は、第1表面板1218、第2表面板1220のうちの少なくとも一つ、又は両方の質量が増加するように、ノイズ低減システム1211のノイズ低減システム設計1209を生成する。
【0073】
これらの実施例において、質量を増加させることによってせん断波の速さが下記に示すようになる。
【0074】

【0075】
上記式において、Csはせん断波の速さであり、Gcはせん断弾性率であり、ρcはコアの密度であり、tcはコアの厚さであり、ρfは表面板の密度であり、tfは表面板の厚さであり、ρaddは表面板に加わった質量の密度であり、taddは表面板に加わった厚さである。
【0076】
これらの実施例では、ノイズ低減システムデザイナー1202により、ノイズ低減システム1211の任意の数の構造体1223の構成要素1216、例えば細長部材1224、パッチ1226、層1228、及び追加の質量を第1表面板1218、第2表面板1220、又は両方に加えることができるその他の好適な形態を生成することができる。これらの実施例では、構成要素1216は特定の実装形態によって第1表面板1218、第2表面板1220、又は両方に取り付けることができる。
【0077】
これらの実施例において、ボイド1230はノイズ低減システムの設計1209の複数の構成要素1216のうちの構成要素であってよい。ボイド1230は複合構造体内部の空洞であってよい。ボイド1230は細長部材1224、パッチ1226、又はその他の構造体が位置しうる空洞であってよい。ボイド1230により、これらの構成要素とコア1222との間に隙間ができうる。特定の実装形態によっては、ボイド1230はコア1222に形成することができる。細長部材1224又はパッチ1226が、複合構造体の表面でなく複合構造体内部に位置する場合に、ボイド1230を使用可能である。
【0078】
さらに、ノイズ低減システムデザイナー1202により、構成要素1216のパラメータ1214も生成される。これらのパラメータは例えば非限定的に、形状、質量、位置、及び異なる構成要素のその他好適なパラメータを含むことができる。これらのパラメータは、複合構造体の中を伝わる波の速さが低下するように選択される。パラメータはまた、表面板のエネルギーを低下させるようにも選択されうる。
【0079】
このように、構成要素1216によって波の速さを低下させることができる。構成要素1216はこの実施例においては、振動エネルギーを吸収する、又は特定の温度に調整する必要がない。さらに、これらの構成要素はグラスファイバーブランケットのように音響エネルギーを吸収する必要がない。これらの構成要素はまた、音響及び/又は振動共振器のように音を吸収するために動くこともない。さらに、構成要素1216は関連する複合構造体の構造機能を維持するように設計される。
【0080】
これらの設計は、現在使われているノイズ低減システムと比べてより軽量であり、ノイズを低減するのにより効率的でありえる。さらに、ノイズ低減システムは、細長部材等の構成要素1216の特性が温度に依存しないため、温度に対して無反応である。
【0081】
さらに、これらのノイズ低減システムは、ノイズを低減する複合構造体とは別のシステムとして機能するのではなく、既存の構成要素上に追加する、又は既存の構成要素に組み込むことができる。
【0082】
ここで、一実施形態によるノイズを低減するプロセスのフロー図を示す図13を参照する。図13に示されたプロセスは、図1の航空機100で実装可能である。具体的には、このプロセスは、図100で使用される複合構造体に実装可能である。また更に具体的には、このプロセスを複合パネルに応用することができる。任意の構造体は、複合パネルの中を伝播する波の速さを低下させることによって複合パネルから放散されるノイズを低減するように構成された質量を有する。これらの実施例において、これらの波はせん断波の形態であってよい。
【0083】
このプロセスは、複合パネルの中で波を伝播させることによって開始される(工程1300)。このプロセスは次に、複合パネルの第1表面板に関連する任意の数の構造体を有する複合パネルの中を伝播する波の速さを低下させ(工程1302)、その後プロセスは終了する。
【0084】
複合パネルの中を伝播する波の速さの低下により、複合パネルから放散されるノイズ量が減少しうる。具体的には、放散されるノイズ量は、波の速さが音速未満の速さまで低下した時に減少しうる。
【0085】
図示した異なる実施形態でのフロー図及びブロック図は、実例となる実施形態で実装可能な装置及び方法の構造、機能、及び作業を示している。その際、フロー図又はブロック図の各ブロックは、工程又はステップのモジュール、セグメント、機能及び/又は部分を表わすことができる。例えば、一又は複数のブロックは、ハードウェア内のプログラムコードとして、又はプログラムコードとハードウェアの組合せとして実施可能である。ハードウェアにおいて実施されるとき、ハードウェアは、例えば、フロー図又はブロック図の一又は複数の工程を実施するように製造又は構成された集積回路の形態をとることができる。
【0086】
いくつかの実例となる実施形態の代替的な実装では、ブロックに記載された機能又は機能群は、図の中に記載の順序を逸脱して現れることがある。例えば、場合によっては、連続して示されている二つのブロックがほぼ同時に実行されること、又は時には含まれる機能によってはブロックが逆順に実施されることもありうる。また、フロー図又はブロック図に描かれているブロックに加えて他のブロックが追加されることもありうる。
【0087】
ここで、一実施形態によるノイズ低減結果のグラフを示す図14に焦点を当てる。この実施例において、グラフ1400は一実施形態による異なるノイズ低減システムの伝送損失を示す。
【0088】
X軸1402は周波数をヘルツで表している。Y軸1404は音の伝送損失をデシベルで表している。 この実施例において、グラフ1400はライン1406、ライン1408、ライン1410、ライン1412、ライン1414、及びライン1416を含む。
【0089】
ライン1406は、一実施形態によるノイズ低減システムを使用しない複合パネルの中での伝送損失を示す。ライン1408、ライン1410、ライン1412、ライン1414、及びライン1416は、表面板の表面に細長部材の形態の質量が追加されたノイズ低減システムを示す。見て分かるように、追加の質量を有する細長部材の追加により、複合パネルの伝送損失が増加する。
【0090】
次に図15に注目すると、一実施形態に従って図解されたデータ処理システムが示されている。データ処理システム1500を使用して、図12のコンピュータシステム1204に含まれる一又は複数のコンピュータを実施することができる。この例示的な実施例では、データ処理システム1500は通信フレームワーク1502を含み、これによりプロセッサユニット1504、メモリ1506、固定記憶域1508、通信ユニット1510、入出力(I/O)ユニット1512、及び表示ユニット1514の間の通信が行われる。この実施例において通信フレームワーク1502はバスシステムの形態であってよい。
【0091】
プロセッサ装置1504は、メモリ1506に読み込まれうるソフトウェアに対する命令を実行するように働く。プロセッサ装置1504は、特定の実装に応じて、任意の数のプロセッサ、マルチプロセッサコア、又は他の形式のプロセッサであってもよい。
【0092】
メモリ1506及び固定記憶域1508は、記憶装置1516の例である。記憶デバイスは、例えば、限定しないが、データ、機能的な形態のプログラムコード、及び/又は他の好適な情報などの情報を、一時的に及び/又は永続的に保存することができる任意のハードウェア部分である。記憶デバイス1516は、これらの実施例ではコンピュータで読取可能な記憶デバイスと呼ばれることもある。このような実施例では、メモリ1506は、例えば、ランダムアクセスメモリ又は他の何らかの適切な揮発性又は不揮発性の記憶装置であってもよい。固定記憶域1508は、特定の実装態様に応じて様々な形態をとることができる。
【0093】
例えば、固定記憶域1508は、一又は複数の構成要素又はデバイスを含みうる。例えば、固定記憶域1508は、ハードドライブ、フラッシュメモリ、書換え型光ディスク、書換え可能磁気テープ、又はそれらの何らかの組み合わせである。
【0094】
通信ユニット1510はこれらの例では、他のデータ処理システム又はデバイスとの通信を提供する。このような実施例では、通信ユニット1510はネットワークインターフェースカードである。
【0095】
入出力ユニット1512により、データ処理システム1500に接続可能な他のデバイスによるデータの入力及び出力が可能になる。例えば、入出力ユニット1512は、キーボード、マウス、及び/又は他の幾つかの好適な入力デバイスを介してユーザ入力への接続を提供することができる。さらに、入出力ユニット1512は出力をプリンタに送ることができる。表示ユニット1514はユーザに情報を表示する機構を提供する。
【0096】
オペレーティングシステム、アプリケーション、及び/又はプログラムに対する命令は、通信フレームワーク1502を介してプロセッサユニット1504と通信する記憶装置1516内に配置されうる。種々の実施形態のプロセスは、メモリ(例えば、メモリ1506)に配置される、コンピュータで実施される命令を使用して、プロセッサユニット1504によって実行されうる。
【0097】
これらの命令は、プログラムコード、コンピュータで使用可能なプログラムコード、又はコンピュータで読取可能なプログラムコードと呼ばれ、プロセッサユニット1504内のプロセッサによって読込及び実行されうる。異なる実施形態のプログラムコードは、メモリ1506又は固定記憶域1508など、異なる物理的な又はコンピュータで読取可能な記憶媒体上に具現化しうる。
【0098】
プログラムコード1518は、選択的に着脱可能でコンピュータで読取可能な媒体1520上に機能的な形態で配置され、プロセッサユニット1504での実行用のデータ処理システム1500に読込み又は転送することができる。プログラムコード1518及びコンピュータで読取可能な媒体1520は、このような実施例ではコンピュータプログラム製品1522を形成する。一つの実施例では、コンピュータで読取可能な媒体1520は、コンピュータで読取可能な記憶媒体1524又はコンピュータで読取可能な信号媒体1526であってもよい。
【0099】
これらの実施例では、コンピュータで読取可能な記憶媒体1524は、プログラムコード1518を伝搬又は転送する媒体よりはむしろプログラムコード1518を保存するために使用される物理的な又は有形の記憶デバイスである。
【0100】
代替的に、プログラムコード1518はコンピュータで読取可能な信号媒体1526を用いてデータ処理システム1500に転送可能である。コンピュータで読取可能な信号媒体1526は、例えば、プログラムコード1518を含む伝播されたデータ信号であってもよい。例えば、コンピュータで読取可能な信号媒体1526は、電磁信号、光信号、及び/又は他の好適な形式の信号であってもよい。
【0101】
データ処理システム1500に対して例示されている種々の構成要素は構造上の制限を設けることを意図しておらず、異なる実施形態が実装可能である。異なる例示的実施形態は、データ処理システム1500に対して図解されている構成要素に対して追加的又は代替的な構成要素を含むデータ処理システム内に実装しうる。図15に示した他の構成要素は、実施例から異なることがある。異なる実施形態は、プログラムコード1518を実行できる任意のハードウェアデバイス又はシステムを使用して実施することができる。
【0102】
本発明の有利な実施形態は、図16に示す航空機の製造及び保守方法1600、及び図17に示す航空機1700の観点から説明することができる。まず図16に注目すると、一実施形態による航空機の製造及び保守の方法が示されている。製造前の段階では、航空機の製造及び保守方法1600は、図17の航空機1700の仕様及び設計1602、並びに材料調達1604を含みうる。
【0103】
製造段階では、構成要素及びサブアセンブリの製造1606と、航空機1700のシステムインテグレーション1608とが行われる。したがって、航空機1700を運航1612に供するために、認可及び納品1610が行われる。顧客により運航1612される間に、航空機1700は、定期的な整備及び保守1614(改造、再構成、改修、及びその他の整備又は保守を含みうる)を受ける。
【0104】
航空機の製造及び保守方法1600の各プロセスは、システムインテグレーター、第三者、及び/又はオペレータによって実施又は実行されうる。これらの実施例では、オペレータは顧客であってもよい。本明細書の目的のために、システムインテグレーターは、限定しないが、任意の数の航空機メーカー、及び主要システムの下請業者を含むことができ、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0105】
図17は、一実施形態を実装しうる航空機を示している。この実施例では、航空機1700は、図16の航空機の製造及び保守方法1600によって製造されたものであり、複数のシステム1704及び内装1706を有する機体1702を含みうる。システム1704の例は、推進システム1708、電気システム1710、油圧システム1712、及び環境システム1714のうちの一又は複数を含む。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示したが、自動車産業などの他の産業に異なる実施形態を適用することができる。
【0106】
本明細書で具現化した装置及び方法は、図16の航空機の製造及び保守方法1600のうちの少なくとも一つの段階で使用可能である。一実施例では、図16の構成要素及びサブアセンブリの製造1606において製造される構成要素又はサブアセンブリは、航空機1700の図16の運航中1612に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様の方法で作製又は製造される。
【0107】
さらに別の実施例では、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、図16の構成要素及びサブアセンブリの製造1606並びにシステムインテグレーション1608などの製造段階で利用することができる。例えば、一実施形態によるノイズ低減システムを有する複合パネル又はその他の複合構造体を製造することができる。一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、航空機1700の図16における運航1612、及び/又は整備及び保守1614の間に、利用することができる。例えば、ノイズ低減システムを既存の複合構造体に追加することができる、又は整備及び保守1614においてノイズ低減システムを有する新たな複合構造体を製造することができる。任意の数の異なる実施形態の利用により、航空機1700のアセンブリを実質的に効率化することができる、及び/又はコストを削減することができる。
【0108】
加えて、図示した実施例は航空機のノイズを低減するために使用してきたが、一又は複数の実施形態をその他の種類のプラットフォームに応用可能である。例えば、一又は複数の実施形態を可動プラットフォーム、固定プラットフォーム、地上ベースの構造体、水上ベースの構造体、宇宙ベースの構造体、及びその他好適な種類の構造体の内の一つから選択されるプラットフォームに実装可能である。例えば、異なる実施形態を、例えば自動車、水上艦、潜水艦、宇宙機、列車、人員運搬車、タンク、及びその他好適なビークル等のその他のビークルに使用することも可能である。さらに、一又は複数の実施形態を、機械、建造物、家、スペースステーション、衛星、発電所、橋、ダム、製造施設、及びその他好適な場所で使用することも可能である。例えば、一実施形態を、例えば空港、製造施設、又はその他何らかのノイズ発生源等のノイズ発生源に近い事務所又は家の壁、天井、及びその他の構成要素に使用することができる。
【0109】
異なる実施形態の説明は、例示及び説明を目的として提示されているものであり、網羅的な説明であること、又は開示された形態に実施形態を限定することを意図していない。当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかであろう。さらに、異なる実施形態は、他の実施形態とは異なる利点を提供することができる。選択された一又は複数の実施形態は、実施形態の原理、実際の用途を最もよく説明するため、及び他の当業者に対し、様々な実施形態の開示内容と、考慮される特定の用途に適した様々な修正との理解を促すために選択及び記述されている。
【0110】
本出願により、以下の態様が開示される。
【0111】
A1 装置であって、 第1表面板(1218)、第2表面板(1220)、及び第1表面板(1218)と第2表面板(1220)の間に位置するコア(1222)を有する複合パネル(1208)と、 第1表面板(1218)に関連する任意の数の構造体(1223)を含み、任意の数の構造体(1223)は、複合パネル(1208)内で伝播する波の速さを低下させることによって、複合パネル(1208)から放散されるノイズを低減するように構成された質量を有する装置。
【0112】
A2 任意の数の構造体は第1の数の構造体(1223)であり、さらに
第2表面板(1220)に関連する第2の数の構造体を含む、態様1の装置。
【0113】
A3 任意の数の構造体は質量を有する層(212)を含み、層(212)は第1表面板(1218)の外表面(412)に取り付けられている、態様1の装置。
【0114】
A4 任意の数の構造体(1223)は、質量を有する任意の数の細長部材(414)を含み、任意の数の細長部材(414)は第1表面板(1218)の外表面(412)に取り付けられている、態様1の装置。
【0115】
A5 任意の数の構造体(1223)は、任意の数のパッチ(614)を含み、任意の数のパッチ(614)は第1表面板(1218)の内表面(1104)に取り付けられている、態様1の装置。
【0116】
A6 さらに、コア(1222)に任意の数のボイド(816)を含み、任意の数のパッチ(614)はコア(1222)の任意の数のボイド(816)に位置する、態様5の装置。
【0117】
A7 任意の数のボイド(816)により任意の数のパッチ(614)とコア(1222)の間に隙間(903)ができるように構成されている、態様6の装置。
【0118】
A8 任意の数の構造体(1223)は、任意の数の細長部材(414)を含み、任意の数の細長部材(414)は第1表面板(1218)の内表面(1104)に取り付けられている、態様1の装置。
【0119】
A9 さらに、コア(1222)の任意の数のボイド(816)を含み、任意の数の細長部材(414)はコア(1222)の任意の数のボイド(816)に位置する、態様8の装置。
【0120】
A10 コア(1222)は第1コア(1222)であり、任意の数の構造体(1223)は、 第3表面板(1014)と、 質量を有し且つ第3表面板(1014)の内表面(1104)に取り付けられている任意の数のパッチ(614)と第1表面板(1218)と、第3表面板(1014)の間に位置する第2コア(1222)を含む、態様1の装置。
【0121】
A11 複合パネル(1208)からのノイズの放散を低減する方法であって、 第1表面板(1218)、第2表面板(1220)、及び第1表面板(1218)と第2表面板(1220)の間に位置するコア(1222)を含む複合パネル(1208)の中に波を伝播させ、 第1表面板(1218)に関連し、複合パネル内を伝播する波の速さを低下させることで複合パネル(1208)から放散されるノイズを低減するように構成された質量を有する任意の数の構造体(1223)で、複合パネル(1208)の中を伝播する波の速さを低下させることを含む方法。
【0122】
A12 第2の数の構造体は第2表面板(1120)に関連する、態様11の方法。
【0123】
A13 任意の数の構造体(1223)は、 質量を有し、第1表面板(1218)の外表面(412)に取り付けられた任意の数の細長部材(414)を含む、態様11の方法。
【0124】
A14 任意の数の構造体(1223)は、 質量を有し、第1表面板(1218)の内表面(1104)に取り付けられた任意の数の細長部材(414)を含む、態様11の方法。
【0125】
A15 コア(1222)に任意の数のボイド(816)をさらに含み、任意の数の細長部材(414)はコア(1222)の任意の数のボイド(816)に位置し、任意の数のボイド(816)により、任意の数の細長部材(414)とコア(1222)の間に任意の数の隙間(903)ができるように構成されている、態様14の方法。
【0126】
A16 任意の数の構造体(1223)はさらに、 第2コア(1222)に任意の数のボイド(816)を含み、任意の数のパッチ(614)は第2コア(1222)の任意の数のボイドに位置する、態様A10の装置。
【0127】
A17 任意の数のボイド(816)により、任意の数のパッチ(614)と第2コア(1222)の間に隙間(903)ができるように構成されている、態様A16の装置。
【0128】
A18 任意の数の構造体(1223)により、波の速さがおおよそ音速未満の速さまで低下する、態様A1の装置。
【0129】
A19 コア(1222)は第1コア(1222)であり、任意の数の構造体(1223)は第3表面板(1014)を含み、任意の数の細長部材(414)は質量を有し、任意の数の細長部材(414)は第3表面板(1014)の内表面(1104)に取り付けられており、第2コア(1222)は第1表面板(1218)と第2表面板(1220)の間に位置し、任意の数の構造体(1223)はさらに、第2コア(1222)に任意の数のボイド(816)を含み、任意の数の細長部材(414)は第2コア(1222)の任意の数のボイド(816)に位置し、任意の数のボイド(816)により、任意の数の細長部材(414)と第2コア(1222)の間に隙間(903)ができるように構成されている、態様A14の方法。
【0130】
A20 任意の数の構造体(1223)により、波の速さがおおよそ音速未満の速さまで低下する、態様A14の方法。
【符号の説明】
【0131】
100 航空機
102 翼
104 翼
106 機体
108 エンジン
110 エンジン
112 水平安定板
114 非垂直安定板
115 垂直安定板
116 内装
118 壁
120 クローゼット
122 天井パネル
124 床パネル
200 複合構造体
202 複合パネル
204 第1表面板
206 第2表面板
208 コア
210 任意の数の構造体
211 ノイズ低減システム
212 層
300 インプット
302 弾性変形の方向
304 せん断波
306 音
400 複合構造体
402 複合パネル
404 第1表面板
406 第2表面板
408 コア
409 ノイズ低減システム
410 任意の数の構造体
412 第1表面板の外表面
414 細長部材
416 細長部材
418 複合パネルの側面
420 複合パネルの側面
600 複合構造体
602 複合パネル
604 第1表面板
606 第2表面板
608 コア
610 ノイズ低減システム
612 第1表面板の外表面
613 任意の数の構造体
614 パッチ
616 パッチ
800 複合構造体
802 複合パネル
804 第1表面板
806 第2表面板
808 コア
810 ノイズ低減システム
812 第1表面板の外表面
814 任意の数の構造体
816 ボイド
818 細長部材
900 細長部材
902 ボイド
903 隙間
904 ボイド
906 コアの壁
1000 複合構造体
1002 複合パネル
1004 第1表面板
1006 第2表面板
1008 コア
1010 ノイズ低減システム
1012 第1表面板の外表面
1013 任意の数の構造体
1014 第3表面板
1016 パッチ
1018 ボイド
1020 コア
1100 隙間
1102 パッチ
1104 第3表面板の内表面
1106 ボイド
1108 隙間
1110 コアの壁
1200 設計環境
1202 ノイズ低減システムデザイナー
1204 コンピュータシステム
1206 複合構造体の設計
1207 複合構造体
1208 複合パネル
1209 ノイズ低減システムの設計
1210 パラメータ
1211 ノイズ低減システム
1212 構成要素
1214 パラメータ
1216 構成要素
1218 第1表面板
1220 第2表面板
1222 コア
1223 任意の数の構造体
1224 細長部材
1226 パッチ
1228 層
1230 ボイド
1400 グラフ
1402 X軸
1404 Y軸
1406 ライン
1408 ライン
1410 ライン
1412 ライン
1414 ライン
1416 ライン
1500 データ処理システム
1504 プロセッサユニット
1506 メモリ
1508 固定記憶域
1510 通信ユニット
1512 入力/出力ユニット
1514 表示装置
1516 記憶デバイス
1518 プログラムコード
1520 コンピュータによって読み取り可能な媒体
1522 コンピュータプログラム製品
1524 コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体
1526 コンピュータによって読み取り可能な信号媒体
1602 仕様及び設計
1604 材料の調達
1606 構成要素及びサブアセンブリの製造
1608 システムインテグレーション
1610 認可及び納品
1612 運航
1614 整備及び保守
1700 航空機
1702 機体
1704 システム
1706 内装
1708 推進システム
1710 電気システム
1712 油圧システム
1714 環境システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、 第1表面板(1218)、第2表面板(1220)、及び前記第1表面板(1218)と前記第2表面板(1220)の間に位置するコア(1222)を有する複合パネル(1208)と、 前記第1表面板(1218)に関連する任意の数の構造体(1223)を含み、前記任意の数の構造体(1223)は、前記複合パネル(1208)内を伝播する波の速さを低下させることによって、前記複合パネル(1208)から放散されるノイズを低減するように構成された質量を有する装置。
【請求項2】
前記任意の数の構造体は第1の数の構造体(1223)であり、さらに
前記第2表面板(1220)に関連する第2の数の構造体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記任意の数の構造体は、質量を有する層(212)を含み、前記層(212)は前記第1表面板(1218)の外表面(412)に取り付けられている、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記任意の数の構造体(1223)は、質量を有する任意の数の細長部材(414)を含み、前記任意の数の細長部材(414)は前記第1表面板(1218)の外表面(412)に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記任意の数の構造体(1223)は、任意の数のパッチ(614)を含み、前記任意の数のパッチ(614)は前記第1表面板(1218)の内表面(1104)に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
さらに、前記コア(1222)に前記任意の数のボイド(816)を含み、前記任意の数のパッチ(614)は前記コア(1222)の任意の数のボイド(816)に位置する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記任意の数のボイド(816)により前記任意の数のパッチ(614)と前記コア(1222)の間に隙間(903)ができるように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記任意の数の構造体(1223)は、前記任意の数の細長部材(414)を含み、前記任意の数の細長部材(414)は前記第1表面板(1218)の内表面(1104)に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
さらに、前記コア(1222)に前記任意の数のボイド(816)を含み、前記任意の数の細長部材(414)は前記コア(1222)の前記任意の数のボイド(816)に位置する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コア(1222)は第1コア(1222)であり、前記任意の数の構造体(1223)は、 第3表面板(1014)と、 質量を有し且つ前記第3表面板(1014)の内表面(1104)に取り付けられている前記任意の数のパッチ(614)と、前記第1表面板(1218)と前記第3表面板(1014)の間に位置する第2コア(1222)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
複合パネル(1208)からのノイズの放散を低減する方法であって、第1表面板(1218)、第2表面板(1220)、及び前記第1表面板(1218)と前記第2表面板(1220)の間に位置するコア(1222)を含む前記複合パネル(1208)の中で波を伝播させ、前記第1表面板(1218)に関連し、前記複合パネル(1208)内を伝播する波の速さを低下させることで前記複合パネル(1208)から放散されるノイズを低減するように構成された質量を有する任意の数の構造体(1223)で、前記複合パネル(1208)の中を伝播する波の速さを低下させることを含む方法。
【請求項12】
第2の数の構造体は前記第2表面板(1120)に関連する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記任意の数の構造体(1223)は、 質量を有し、前記第1表面板(1218)の外表面(412)に取り付けられた任意の数の細長部材(414)を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記任意の数の構造体(1223)は、 質量を有し、前記第1表面板(1218)の内表面(1104)に取り付けられた任意の数の細長部材(414)を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記コア(1222)に任意の数のボイド(816)をさらに含み、前記任意の数の細長部材(414)は前記コア(1222)の前記任意の数のボイド(816)に位置し、前記任意の数のボイド(816)により、前記任意の数の細長部材(414)と前記コア(1222)の間に任意の数の隙間(903)ができるように構成されている、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−107636(P2013−107636A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−255355(P2012−255355)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company