説明

複合粒子およびその製造方法と用途

小粒子が大粒子に担持されている複合粒子であって、該小粒子がBET比表面積換算粒径で0.005μm〜0.5μmの平均粒径をもつ光触媒含有微粒子であり、かつ、該大粒子が、レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径2〜200μmを有する複合粒子。好ましくは、小粒子が、二酸化チタンと、シリカのような光触媒能を発現しない無機化合物との複合粒子であるか、または、小粒子が、ブレンステッド酸塩を含有している粒子、特に、粒子表面にブレンステッド酸塩が存在する二酸化チタン粒子である。上記複合粒子は、ボールミルで乾式混合するか、または翼の回転により、もしくは震蕩により混合する際に、エネルギー定数を所定範囲に制御することにより有利に製造できる。上記複合粒子を有機重合体に配合してなる組成物を成形することによって、紫外線遮蔽能を有する成形体、例えば、繊維、フィルム、プラスチックなどすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、複合粒子およびその製造方法、およびその用途に関する。
本発明の複合粒子は、光触媒能をもつ微粒子を大粒子に担持させたものであって、そのように複合化することにより、光触媒能を効果的に発揮するため、光触媒機能を有する構造物、成型物、フィルム、繊維などとして有用である。
【背景技術】
光触媒能をもつ無機微粒子として多くのものが知られている。無機微粒子の中で最も代表的なものは二酸化チタンである。
二酸化チタンは紫外線を吸収し、その内部に電子と正孔を発生させる。正孔は二酸化チタンの吸着水と反応してヒドロキシラジカルを生成させ、二酸化チタン粒子表面に吸着した有機物を炭酸ガスや水に分解する(「光クリーン革命」藤嶋昭、橋本和仁、渡部俊也共著,(株)シーエムシー,(1997))。これを光触媒作用と呼ぶが、この作用の強い二酸化チタンの条件として、正孔を発生させやすいこと、二酸化チタン表面に正孔が到達しやすいこと、が挙げられる。「二酸化チタン光触媒のすべて」(橋本和仁、藤嶋昭編集、(株)シーエムシー,(1997))には、光触媒作用が高い二酸化チタンとして、アナターゼ型二酸化チタン、格子欠陥の少ない二酸化チタン、粒子が小さく比表面積の大きい二酸化チタンが挙げられている。
この光触媒作用はほとんどの有機物を分解することができるため、タイル、建材、建築構造材、繊維、フィルムなどの表面に二酸化チタンを担持することにより、抗菌、セルフクリーニング、消臭、防汚などの機能を付与することができる。
しかし、光触媒作用は二酸化チタンの表面で起きるため、部材表面に二酸化チタンを配置する必要がある。この要求に応える簡便な方法として、通常、二酸化チタンをバインダーと混合して部材に塗布する方法が行われている。しかしながら、バインダーとして有機高分子を用いると、バインダーが光触媒作用により酸化、分解されてしまうため、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などの難分解性のバインダーを使用することが必要とされていた(特許第2756474号、特許第3027739号)。
ところが、これら樹脂バインダーに光触媒半導体粒子を配合して用いるときはバインダーが二酸化チタンの表面を被覆し、光触媒粒子への光や被分解物質の到達を妨害し、光触媒作用の効果を低減するという問題があった。また、加熱によって樹脂を硬化させる必要もあった。
次に複合粒子について説明する。さまざまな目的で二酸化チタン粒子の複合化がなされている。複合化は多くの場合、大径粒子(以下、「母粒子」という)と小径粒子(以下、「子粒子」という)との組み合わせによってなされ、母粒子は子粒子がもつ機能をより効果的に引き出すために用いられる。粒径に大きな差がない場合は、期待される機能をもつ微粒子を子粒子、それを効果的に発現させるのに使われる粒子を母粒子と呼ぶことにする。
二酸化チタンを含む複合粒子を製造する場合、ほとんどが子粒子として二酸化チタンを用いている。これは二酸化チタンが隠蔽性、光触媒能、紫外線遮蔽能など多岐にわたる機能を有しているためであり、それらの機能を効果的に発現させるために、母粒子が選定されている。例えば、二酸化チタン超微粒子がもつ紫外線遮蔽能を最大限に発揮させるため、屈折率差とバンドギャップによって規定される母粒子を用いる方法(特開平11−131048号公報、特開平9−100112号公報、特開平8−268707号公報)、同様の目的で透明性を付与するためにシリカ粒子を母粒子とする方法(特開2000−344509号公報)、二酸化チタンのもつ隠蔽性を好適に発現させるために、母粒子として炭酸カルシウム粒子と複合化させる方法(特開2002−29739号公報)がある。また、二酸化チタンのもつ光触媒能を効果的に発現させるために、無機質粉体表面に有機系バインダーで二酸化チタンを担持する方法(特許第3279755号)、樹脂と接触した場合にも樹脂を劣化させないで光触媒能を発揮させるために、アルミノ珪酸塩粒子を母粒子として用いる方法(特開平11−76835号公報)などがある。その他にも粒子を複合化する方法として、機械的に母粒子と子粒子を結合させる高速気流衝撃法(特公平3−2009号公報、特開平6−210152号公報)、表面融合法(特許第2672671号)などがある。
二酸化チタンは光触媒能をもつため、実用上、非常に制約の多いものであった。すなわち、バインダーとして有機高分子を用いると、バインダーが光触媒作用により酸化、分解されてしまう。たとえフッ素樹脂やシリコーン樹脂などの難分解性のバインダーを使用しても、二酸化チタンの表面を被覆し、光触媒粒子への光や被分解物質の到達を妨害し、光触媒作用の効果を低減してしまう。そのうえ加熱によって樹脂を硬化させる必要があった。また二酸化チタンのもつ機能を十分に発揮させるため複合粒子としてもこうした問題は避けられなかった。
【発明の開示】
本発明の目的は、二酸化チタンその他の光触媒能を有する無機酸化物のもつ機能を有効に引き出し、かつ実用上の制約も少ない光触媒粒子、その製造方法、ならびに、それを含む有機重合体組成物および応用品を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討の結果、小粒子として、BET比表面積換算粒径で特定の平均粒径をもつ光触媒含有微粒子、特に、二酸化チタンシリカ複合微粒子、または、ブレンステッド酸塩を含有する微粒子、特にブレンステッド酸塩が表面に存在する二酸化チタン微粒子を用い、大粒子と複合粒子化にすることにより、上記従来技術が有する課題を解決できるとの知見を得、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の複合微粒子、複合微粒子の製造法、複合微粒子を含む有機重合体組成物、および、複合微粒子の応用が提供される。
(1) 小粒子が大粒子に担持されている複合粒子であって、該小粒子がBET比表面積換算粒径で0.005μm〜0.5μmの平均粒径をもつ光触媒含有微粒子であり、かつ、該大粒子が、レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径2〜200μmを有する複合粒子。
上記(1)に記載の複合粒子の代表的な実施態様として、下記(2)〜(12)が挙げられる。
(2) 小粒子が光触媒として二酸化チタンを含んでいる上記(1)に記載の複合粒子。
(3) 小粒子が、二酸化チタンと光触媒能を発現しない無機化合物との複合粒子である上記(1)に記載の複合粒子。
(4) 光触媒能を発現しない無機化合物がシリカであり、小粒子中に含有されているシリカの割合が0.5質量%以上、50質量%以下である上記(3)に記載の複合粒子。
(5) 小粒子が、ブレンステッド酸塩を含有している上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の複合粒子。
(6) 小粒子が、ブレンステッド酸塩が表面に存在する二酸化チタン粒子である上記(5)に記載の複合粒子。
(7) ブレンステッド酸塩が、縮合リン酸塩である上記(6)に記載の複合粒子。
(8) 小粒子が、ブレンステッド酸塩を、0.01質量%〜50質量%含有する上記(5)〜(7)のいずれかに記載の複合粒子。
(9) 二酸化チタンが、ブルッカイト結晶相を含むものである上記(2)乃至(8)のいずれかに記載の複合粒子。
(10) 大粒子が、融点150℃以上の球状樹脂粒子である上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の複合粒子。
(11) 大粒子が、Al、Mg、Ca、Siからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む水酸化物または酸化物または炭酸塩である上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の複合粒子。
(12) 大粒子に対する小粒子の割合が0.5%質量以上40質量%以下である上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の複合粒子。
(13) 大粒子および小粒子を含む材料をボールミルで乾式混合して、複合粒子を製造する方法において、その乾式混合のエネルギー定数kが、混合する粒子の総質量をwp(g)、メディア質量をwm(g)、ボールミル容器内径をd(m)、回転数をn(rpm)、混合時間をt(分)とした時に、
k=(wm/wp)×d×n×t (1)式
なる関係で表されるkが50以上、50,000以下である条件下に乾式混合を行うことを特徴とする上記(1)乃至(12)のいずれかに記載の複合粒子を製造する方法。
(14) 大粒子および小粒子を含む材料を翼の回転により混合・粉砕・攪拌を行うタイプの粉体処理装置を用い、翼の回転数をn(rpm)、混合時間をt(分)とした時に、
k2=n×t (2)式
なる関係で表されるk2が250以上、50,000以下である条件下に翼の回転を行うことを特徴とする上記(1)乃至(12)のいずれかに記載の複合粒子を製造する方法。
(15) 大粒子および小粒子を含む材料を震蕩により混合・粉砕・攪拌を行うタイプの粉体処理装置を用い、震蕩回数(回/分)をn、混合時間をt(分)とした時に、
k3=n×t
なる関係で表されるk3が50以上、50,000以下である条件下に震蕩を行うことを特徴とする上記(1)乃至(12)のいずれかに記載の複合粒子の製造方法。
(16) 有機重合体と、上記(1)乃至(12)のいずれかに記載の複合粒子とを含んでなる有機重合体組成物であって、該複合粒子の含有量が組成物全質量中0.01〜80質量%である有機重合体組成物。
上記(16)に記載の有機重合体組成物の代表的な実施態様として、下記(17)〜(19)が挙げられる。
(17) 有機重合体が、合成熱可塑性樹脂、合成熱硬化性樹脂、および天然樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂である上記(16)に記載の有機重合体組成物。
(18) 有機重合体組成物がコンパウンドである上記(16)または(17)に記載の有機重合体組成物。
(19) 有機重合体組成物がマスターバッチである上記(16)または(17)に記載の有機重合体組成物。
(20) 上記(16)乃至(19)のいずれかに記載の有機重合体組成物を成型してなる成型体。
上記(1)〜(12)に記載される複合粒子の応用としては、下記(21)〜(26)が挙げられる。
(21) 上記(1)〜(12)のいずれかに記載の複合粒子を含む塗工剤。
(22) 上記(1)〜(12)のいずれかに記載の複合粒子を含む塗料。
(23) 上記(1)〜(12)のいずれかに記載の複合粒子を表面に具備した構造体。
(24) 上記(1)〜(12)のいずれかに記載の複合粒子を含む化粧料。
(25) 上記(1)〜(12)のいずれかに記載の複合粒子を含む繊維。
(26) 上記(1)〜(12)のいずれかに記載の複合粒子を含むフィルム。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明における複合粒子は、大粒子に担持されている小粒子がBET比表面積換算粒径で0.005μm〜0.5μmの平均粒径をもつ光触媒含有微粒子であり、かつ、大粒子が、レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径2〜200μmを有することを特徴としている。
光触媒含有粒子としては、紫外光や可視光により励起され、伝導電子と正孔を生成しうる粒子が用いられ、その具体例としては、二酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化第二鉄、三酸化タングステン、三酸化二ビスマス、チタン酸ストロンチウムの粒子が挙げられる。中でも、化学的に安定な二酸化チタンが好ましい。
特に、子粒子が、光触媒である二酸化チタンと光触媒能を発現しない無機化合物との複合粒子であることが好ましい。光触媒能を発現しない無機化合物としては、Mg、Si、Ca、Fe、Zrなどを含む無機化合物が用いられ、中でも、シリカが好ましい。
子粒子として、光触媒である二酸化チタンと光触媒能を発現しない無機化合物との複合粒子、特に、二酸化チタン−シリカ複合粒子が好ましい理由は、子粒子中の二酸化チタン成分が光触媒能を有するとともに、光触媒能を発現しない無機化合物粒子中のMg、Al、Si、Ca、Fe、Zrなどの成分が酸素原子を介し、母粒子と子粒子、または子粒子と樹脂などの有機材料をつなぐ強固なバインダーとしての機能を発現するためである。さらには、光触媒能を発現しない子粒子成分が、接している有機高分子などのバインダーを分解しないため、耐候性にも優れたものとなる。また、子粒子と母粒子とが強固に結合する組み合わせを選定すると複合粒子として特に優れたものとなる。このように、子粒子として、二酸化チタン−シリカ複合粒子に代表される、二酸化チタンと光触媒能を発現しない無機化合物との複合粒子を子粒子として用いることにより、通常の有機高分子バインダーを用いても、光触媒能を発揮し、かつ耐久性にも優れる構造体を製造することが可能になった。
また、ブレンステッド酸塩を含む小粒子も好ましく用いられる。ブレンステッド酸塩を含む小粒子としては、光触媒粒子表面、特に、二酸化チタン粒子表面にブレンステッド酸塩が存在する子粒子が好ましい。二酸化チタン粒子表面に存在するブレンステッド酸塩が母粒子と子粒子をつなぐ強固なバインダーとしての機能を発現するからである。子粒子表面にブレンステッド酸塩が存在する粒子を用いた場合、蛍光灯のような紫外線強度が6μW/cm程度の微弱な光によっても光触媒能を発揮することができる。
このように子粒子として二酸化チタンシリカ複合微粒子および/またはブレンステッド酸塩を含有する二酸化チタン微粒子を用いることにより、通常の有機高分子バインダーを用いても、光触媒能を発揮し、かつ耐久性にも優れる構造体を容易に製造することができる。
小粒子表面におけるブレンステッド酸塩の存在形態は、特に限定されないが、部分的に粒子表面を覆うことが好ましく、島状、マスクメロン状など、いかなる状態で存在していても構わない。
さらに、子粒子としての二酸化チタンシリカ複合微粒子またはブレンステッド酸塩を含む二酸化チタン微粒子を、適度な大きさをもつ母粒子と複合化すると、本発明の複合粒子を、樹脂などに混入してフィルム化または繊維化した場合、またはバインダーと共に基材表面に塗布した場合、または構造体部材に導入した場合などに、そのフィルム、繊維、塗膜または構造体の表面に母粒子の一部を露出させることができ、ひいては、母粒子表面にある二酸化チタン成分を露出させることができる。さらに、バインダーとして有機高分子を用いた場合でも、光触媒能をもたない母粒子表面がバインダーと接し結合しているので、二酸化チタンの光触媒作用により二酸化チタンと接している有機質バインダーの部分が酸化、分解されたとしても、有機質バインダーと複合粒子の結合は維持されるので、母粒子表面にある二酸化チタンシリカ複合微粒子またはブレンステッド酸塩を含む二酸化チタン微粒子が母粒子から脱落することはない。従って、本発明の複合粒子を用いれば、光触媒能を長期間発揮できる構造体とすることができる。また、従って、高価なフッ素樹脂やシリコーン樹脂などの難分解性のバインダーを使用する必要がない。
本発明の複合粒子において、大粒子に対する小粒子の割合は0.5%質量以上、40質量%以下であることが好ましい。小粒子の量が過少であると、十分な光触媒能が得られず、逆に、過大であると、構造体の表面に母粒子の一部を露出させる上記の頭出し効果が不十分となり、ひいては、母粒子表面に存在する二酸化チタン成分の露出も不十分となり易い。
本発明で好ましく用いられる二酸化チタンシリカ複合微粒子は、二酸化チタンと酸化ケイ素が一次粒子で混晶状態を示す複合金属酸化物(混晶粒子)であることが好ましい。二酸化チタンと酸化ケイ素が一次粒子で混晶状態を示す超微粒子混晶酸化物の製法としては、液相法であっても、気相法であってもよく、特に制限はないが、例えば、国際公開WO01/56930号公報に示されたような方法で製造することができる。例えば、チタンの塩化物、臭化物、ヨウ化物から選ばれる1種以上の化合物と、ケイ素の塩化物、臭化物、ヨウ化物から選ばれる1種以上の化合物を含む混合ガスと酸化性ガスをそれぞれ500℃以上に予熱してから気相反応させることにより製造される。
本発明に用いる複合粒子は、二酸化チタンの光触媒能以外の機能を期待する場合は、異種金属酸化物結晶構造体によってコア(核)/シェル(殻)構造をとっていてもよく、例えば一次粒子内にチタン−酸素−珪素結合が存在した混晶状態を含む二酸化チタンシリカ複合微粒子では、コアにTiO相が、シェルにSiO相が富んだ構造とすることも可能である。シェルに酸化ケイ素相が存在する形態としては、緻密な層として存在していてもいいし、島状・群島状・マスクメロン状であってもかまわない。
ただし、用途を問わず、本発明の子粒子は、二酸化チタン粉体とシリカ粉体の単純な混合でない方が好ましい。また、二酸化チタンと酸化ケイ素が一次粒子で混晶状態を示す複合金属酸化物に含まれる二酸化チタンとしてはアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれの結晶相も好ましく使用できる。光触媒活性の高さの観点では、アナターゼ型、もしくは、ブルッカイト型の二酸化チタンを含むことが好ましい。UV遮蔽の観点からは、ルチル型、もしくはアナターゼ型が好ましい。
本発明で用いる子粒子は、一次粒子径(本発明ではBET比表面積より換算した粒径として表す)が0.005〜0.5μm(5〜500nm)であり、好ましくは0.02〜0.2μm、より好ましくは0.05〜0.15μmである。ここで、BET比表面積換算粒径D1は、粒子を球形に換算し、下記式から求めることができる。
D1=6/ρS
(ρ:粒子の密度、S:粒子の比表面積)
光触媒は粒子径が小さいほど、すなわちその比表面積が大きいほど光触媒活性が高くなるため、一次粒子径は0.5μm以下とする。子粒子の一次粒子径が0.5μm(500nm)より大きい場合は、光触媒機能が概して低い。ただし、子粒子の一次粒子径が5nmより小さくなると、子粒子を含む粉体が嵩高く、取扱が困難になったり、極端に生産性が悪化することがある。
この子粒子中のシリカ濃度は0.5〜50質量%、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは1.5〜25質量%である。シリカの組成が0.5質量%より低い場合、それを含む有機構造体の光照射による黄変と強度の低下が認められる。これは二酸化チタンと有機成分との接触確率が大きくなるためであろうと思われる。シリカが50質量%より多い子粒子の場合、二酸化チタンの光触媒の機能が発現しにくくなる欠点を生じる。これは子粒子の二酸化チタンの占める割合が小さくなるためである。
次に、ブレンステッド酸塩を含有する小粒子について説明する。
ブレンステッド酸塩としては、特に限定されないが、リン酸塩、縮合リン酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩、縮合硫酸塩およびカルボン酸塩などが挙げられる。その中でも、母粒子を構成する金属と水難溶性の化合物を生成しうる塩が好ましい。その中でも、縮合リン酸塩やホウ酸塩、縮合硫酸塩および多価カルボン酸塩などの多塩基酸塩が好まく、より好ましくは縮合リン酸塩である。
縮合リン酸塩としては、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩、メタリン酸塩、ウルトラリン酸塩が例示できる。中でも、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩が好ましい。
上記のブレンステッド酸塩は単独で存在していてもよいし、複数の組合せとして存在していても構わない。
小粒子中のブレンステッド酸塩の含有量は、0.01質量%〜50質量%であることが好ましい。ブレンステッド酸塩の含有量が過少であると、微弱な光に対応して光触媒能を発揮することが困難になり、また、光触媒構造体の耐久性が低下しやすい。逆に、ブレンステッド酸塩の含有量が過多であると、粒子表面に露出する二酸化チタンなどの光触媒能を有する物質の面積が低減し、光触媒能が低下することがある。
小粒子のBET比表面積は5〜300m/gであることが好ましく、この場合のBET比表面積より換算される平均粒径は0.005〜0.3μmである。小粒子のBET比表面積は、より好ましくは、30〜250m/g、さらに好ましくは、50〜200m/gである。小粒子のBET比表面積が10m/gより小さいと光触媒能が小さくなる。300m/gより大きいと生産性が悪く、実用的ではない。
二酸化チタンの結晶型はアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のうちいずれでもかまわない。好ましくは、アナターゼ型もしくはブルッカイト型であり、さらに好ましくはブルッカイト型である。また、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のうち2種以上の結晶型を含有していてもかまわない。2種以上の結晶型を含有していると、それぞれの単独の結晶型である場合より活性が向上する場合もある。
二酸化チタンの製法としては、特に制限はないが、例えば、TiClを原料とする気相法や、TiCl水溶液や硫酸チタニル水溶液を原料とする液相法がある。液相法の例としては、特開平11−43327号公報に記載される方法、すなわち、75〜100℃の熱水に四塩化チタンを加え、75℃〜溶液の沸点の温度範囲で加水分解することによりブルッカイト型二酸化チタン粒子の水分散ゾルを製造する方法が挙げられる。
効率的に母粒子表面に二酸化チタンを担持せしめるには、このような液相合成された二酸化チタンを原料とすることが好ましい。さらに、液相合成された二酸化チタンは、その合成時のスラリー状態を維持したまま、換言すれば、二酸化チタンの粉末を得る工程を経ないで、用いることが好ましい。液相合成後に粉末を得る工程を採用すると、二酸化チタンの凝集が生ずるためである。また、その凝集を、ジェットミルやマイクロナイザーなどの気流粉砕機、ローラーミル、パルペライザーなどを用いて解砕する手法はあるが、工程が長くなるので好ましくない。
二酸化チタンを含有する水系スラリーにおける二酸化チタンの濃度は、0.1〜10質量%であることが好ましい。さらに好ましくは0.5〜5質量%である。二酸化チタンのスラリー濃度が10質量%より大きいと、後述する混合工程において二酸化チタンが凝集してしまうので好ましくない。また、0.1質量%を下回ると、生産性が悪く好ましくない。
また、二酸化チタンを含有する水系スラリーにおける二酸化チタンのpHは3〜5が好ましい。pHが3より低いと、後の反応工程において、混合時に局部的な中和・発熱による二酸化チタンの凝集が発生するので好ましくない。また、pHが5より高いと二酸化チタンの凝集が進行するので好ましくない。気相法二酸化チタンや液相法二酸化チタンの水系スラリーを調整後、必要があれば、電気透析やイオン交換樹脂での処理などの手法を用いてpHを調整することができる。
二酸化チタンにブレンステッド酸塩を複合化させる手段は、特に限定されないが、ブレンステッド酸塩を含有する水系溶液を用意することが好ましい。二酸化チタンスラリーに、ブレンステッド酸塩として粉末として添加し溶解する方法は、二酸化チタンの可視光の吸収率が低下することがあるので好ましくない場合がある。
また、ブレンステッド酸塩が水難溶性である場合には、水難溶性化合物を生成しうる複数の原料の水溶液を用意することが好ましい。例えば、ピロリン酸カルシウムを二酸化チタンと複合化させるためには、ピロリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を用意することが好ましい。
ブレンステッド酸塩を含有する水系溶液中の化合物の濃度は40質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下である。40質量%を超える濃度になると、後の混合工程において局部的な二酸化チタンの凝集が発生し、好ましくない。
用意するブレンステッド酸塩の総量は、0.01質量%〜50質量%のブレンステッド酸塩を含有する小粒子が得られればよく、通常、二酸化チタン質量に対して、0.01質量%〜100質量%、好ましくは0.1質量%〜50質量%の範囲である。ブレンステッド酸塩の総量が0.01質量%より少ないと、二酸化チタンとの反応性が悪化する。一方、ブレンステッド酸塩の総量が50質量%より多いと経済的に不利になるし、二酸化チタンの凝集を進行させることがある。
次に、二酸化チタンを含有する水系スラリーとブレンステッド酸塩を含有する水系溶液とを混合して反応させる。
混合させるpHとしては、4〜10が好ましい。さらに好ましくは、5〜9である。pHが4より低いと、二酸化チタンとブレンステッド酸塩との反応性が低く好ましくない。また、pHが10より高いと混合時に二酸化チタンの凝集が発生するので好ましくない。
混合時のpHを調整するためには、二酸化チタンを含有するスラリーとブレンステッド酸塩を含有する水系溶液と混合する際にpH調整をおこなってもいいし、反応混合時のpHが設定範囲に入るようにあらかじめブレンステッド酸塩を含有する水系溶液をpH調整しておいてもよい。pH調整の方法としては、塩酸や硫酸のような鉱酸や水酸化ナトリウムやアンモニアの水溶液などを用いることができる。ただし、pH調整剤の混合部位における、原料の二酸化チタンや生成した複合粒子の、局部的な凝集を避けるために極力使用量は抑制したり、希薄な濃度で使用することが好ましい。
二酸化チタンを含有する水系スラリーとブレンステッド酸塩を含有する水系溶液とを混合する方法としては、二酸化チタンを含有する水系スラリーにブレンステッド酸塩を含有する水系溶液を連続的に添加する方法でもいいし、両者を同時に反応槽に添加する方法などが挙げられる。
二酸化チタンを含有する水系スラリーとブレンステッド酸塩を含有する水系溶液とを混合した後の二酸化チタンの濃度は5質量%以下であることが好ましい。好ましくは、3質量%以下である。混合後の濃度が5質量%を越えるような配合を行うと、混合時に局部的な二酸化チタンの凝集が発生し、好ましくない。
二酸化チタンを含有する水系スラリーとブレンステッド酸塩を含有する水系スラリーとの反応温度は50℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは30℃以下である。50℃を超えると反応槽内の微粒子の凝集が進行することがある。
さらに、反応後の水系スラリーを脱塩することもできる。余分な塩類を除去しておくことは粒子の分散性を高めるので有効である。脱塩の方法としては、イオン交換樹脂を用いる方法、電気透析を用いる方法、限外濾過膜を用いる方法、ロータリーフィルタープレス(例えばコトブキ技研株式会社製)を用いる方法などが挙げられる。
通常、二酸化チタンの表面に光触媒として不活性な化合物が存在すると光触媒活性が低下するが、驚くべきことに、前記方法で表面処理すると、二酸化チタンの表面に光触媒として不活性な化合物が存在するにもかかわらず、未処理品に比べてその光触媒活性が向上することを見出した。また、そのような効果は、本発明のように、プロセス全般を通して、原料二酸化チタンおよび生成した複合粒子の凝集を極力抑制することによって顕現される。特に、多塩基酸で部分的に表面処理された場合に顕著に顕現化される。その理由は定かではないが、複数の電子吸引性のカルボキシル基やスルホニル基などが二酸化チタン表面の特定のTi原子と優先的に相互作用を示し、そのために光吸収により二酸化チタン粒子内に生成した電子がその表面で電荷分離され、結果としてその光触媒活性が向上していることが一因ではないかと思われる。
また、二酸化チタン表面において特定のTiを含有する複合酸化物のエネルギー準位が新たに形成され、その複合酸化物の種類によっては、可視光に応答しうるバンドギャップを有することができるためとも考えられる。一般に、光触媒として不活性な物質を表面処理すれば、二酸化チタンの光触媒活性は抑制されると考えられているが、必ずしもそうではない。一方で、その表面処理基は少なくともその末端原子団部分は光触媒的には不活性であり、立体的にも有機系材料と二酸化チタンとの接触を抑制しており、その粒子を有機系材料に適用した場合においてその耐久性を向上している、という利点もある。一般的には、被分解物は気体や液体であり、それらと光触媒粒子との位置関係は流動的(すなわち、被分解物が易動性)であるのに対して、有機基材は固体であり、光触媒粒子と有機基材との立体的位置関係は固定的関係にある、ということから上記現象が実現しうることが理解できる。
すなわち、二酸化チタン粒子の分散性が維持された表面処理プロセスによって、初めて多塩基酸と特定の表面Ti原子との効率的な相互作用が実現され、それによって原料を上回る光触媒活性と耐候性の両立が同時に顕現できた、ということである。
二酸化チタン表面にブレンステッド酸塩が存在する小粒子は、乾燥させて粉末として取り出すことができる。その際には凝集を伴うので、ジェットミルやマイクロナイザーなどの気流粉砕機、ローラーミル、パルペライザーなどを用いて解砕するとよい。
母粒子には、レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径が2〜200μm、好ましくは3〜100μm、より好ましくは3〜80μmの粒子を用いる。粒径がこの範囲であることが部材表面に配置するのに好適であり、これより小さいと部材表面に配置することは困難であり、大きければ外観の滑らかさが消失してしまう。
なお、本発明において複合粒子の母粒子(大粒子)および子粒子(小粒子)の寸法は複合化した後における寸法である。従って、大粒子と小粒子を混合・粉砕処理して複合化する場合、処理前の大粒子の寸法はレーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径200μmより大きくてもよい。小粒子も同様であるが、一般的には、小粒子は複合化処理によって実質的に微細化されないことが多い。
母粒子としては、球状樹脂粒子を用いることも可能である。球状粒子を用いると、複合化処理(ボールミル処理など)を実施する際に、被複合化処理物の過充填、すなわち被処理物同士、あるいは被処理物と処理媒体(ボールなど)との固着を容易に回避することができる。
母粒子は、融点150℃以上のものが好ましい。複合化した粒子を他の樹脂と混練成形する際には、加熱されるため、融点が150℃以上であると、母粒子としての形状を保ち、子粒子の機能を十分に発現させることができる。
母粒子には、Al、Mg、Ca、Siからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む水酸化物または酸化物または炭酸塩を用いることができる。好ましくは、Al、Mg、Caの水酸化物粒子または酸化物粒子、あるいはCaの炭酸化物粒子、あるいはシリカ粒子が用いられる。好ましい母粒子の具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、シリカなどの粒子が挙げられる。母粒子はそれらの複合体でも構わない。
母粒子は、上記の平均粒径を有するものであれば、形状は問わない。いかなる方法によって得られた粒子でも構わない。
これらの物質からなる母粒子は、ボールミルなどの転動方式による乾式混合におけるエネルギー定数k(後記(1)式で定義される)が50以上、50,000以下である処理を実施した場合、また、翼の回転により混合・粉砕・攪拌を行うタイプの粉体処理装置においては、エネルギー定数k2(後記(2)式で定義される)が250以上、50,000以下である場合、また、震蕩により混合・粉砕・攪拌を行うタイプの粉体処理装置において、エネルギー定数k3(後記(3)式で定義される)が50以上、50,000以下である場合に、子粒子中のシリカあるいはブレンステッド酸塩と強く結合することが可能である。
子粒子(小粒子)と母粒子(大粒子)の複合化は、小粒子と大粒子または大粒子の予備粒子を所定のエネルギー定数で混合操作に供して行うことができる。混合操作時には粉砕・混合・攪拌媒体が粉体に与える衝撃、摩擦、せん断などのエネルギーによって粉体表面を活性化することによって複合化がなされる。
粒子の複合化が可能な混合方法としては例えば転動式ボールミル、高速回転粉砕機、媒体攪拌型ミル、高速気流衝撃法、表面融合法などさまざまな混合粉砕、機械的融合装置を用いることができる。操作因子としては、例えば、高速回転粉砕機にあっては、回転数、滞留時間などの調整、媒体撹拌型ミルにあっては、撹拌速度、メディア質量、撹拌時間などの調整などがあげられ、高速気流衝撃法粉砕機にあってはキャリアガスの圧力、滞留時間などの調整を行い、適度なエネルギーを被処理物に与える。
ボールミルは、最も汎用的な混合・粉砕装置であるが、条件を選定することで複合化装置にもなり、被複合化物が受けるエネルギーを定量化できるので適している。この複合化に消費されるエネルギーは、エネルギー定数kを指標とすることができる。エネルギー定数kは転動ボールミルによる混合、粉砕効果を統一して評価する指標として提案されており(L.D.Hart and L.K.Hadson,The American Ceramic Society Bulletin,43,No.1,(1964))、下式で表される。
k=(wm/wp)×d×n×t (1)式
(式中、kはエネルギー定数、wpは混合する粉の総質量(g)、wmはメディア質量(g)、dはボールミル容器内径(m)、nは回転数(rpm)、tは混合時間(分)を示す。)
また、翼の回転により混合・粉砕・攪拌を行うタイプの粉体処理装置においては、翼の回転数をn(rpm)、処理時間をt(分)とした時に、
k2=n×t (2)式
なる関係で表されるk2をエネルギー定数とする。
震蕩により混合・粉砕・攪拌を行うタイプの粉体処理装置においては震蕩回数(回/分)をn、混合時間をt(分)とした時に、
k3=n×t (3)式
なる関係で表されるk3をエネルギー定数とする。
いずれのエネルギー定数も高くなるほど粉体が受ける衝突、摩擦、せん断エネルギーは増加し、母粒子と子粒子との結合が生じやすい。
本発明における複合粒子の製造方法では、ボールミルのように粉砕・混合媒体を転動させることによって粉体にエネルギーを与える装置においては、大粒子と子粒子の混合操作のエネルギー定数kが50以上、50,000以下とする。好ましくは750以上、20,000以下、より好ましくは1,000以上、15,000以下がよい。
翼の回転により粉体にエネルギーを与える装置においてはエネルギー定数k2が250以上、50,000以下であるとよい。好ましくは500以上、20,000以下、より好ましくは700以上、15,000以下がよい。
粉砕・混合媒体の震蕩により粉体にエネルギーを与える装置においては、エネルギー定数k3が50以上、50,000以下であるとよく、好ましくは250以上、20,000以下、より好ましくは700以上、15,000以下である。
エネルギー定数が上記下限を下回ると、粉体の表面の活性が不充分となり、粒子同士の結合が生じにくい。エネルギー定数が上記上限よりも高いと粉砕が進行しすぎ、粒子が微粒になるだけでなく、活性のある表面が相対的に増大するので、突き固められて粗粒が生じるなど不都合を引き起こすことが多い。また、粉砕媒体、容器などとも結合し、被複合化物と媒体との固着、容器への固着などを引き起こすため好ましくない。
複合化に用いる装置としては、汎用的なボールミルのほか、回転翼式では株式会社カワタのスーパーミキサー,震蕩式では浅田鉄工株式会社のペイントシェーカーなどが例示でき、この他にも奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム(登録商標)やホソカワミクロン株式会社のメカノフュージョン(登録商標)、媒体流動乾燥機、気流衝撃法、表面融合法などが例示されるが、特にこれらの装置には限定されない。
上記で例示した以外の複合化方法においても、複合化に要するエネルギーを適度に調整するのが重要である。転動式や回転翼式、あるいは震蕩式以外の場合は、単位質量当たりの処理物に加えられる動力を、ボールミルのエネルギー定数から規定される動力範囲と同じになるように設定すればよい。
また、二酸化チタン表面にブレンステッド酸塩が存在する小粒子がスラリー状態にあるときには大粒子をスラリー中に添加して、媒体流動乾燥装置によって複合化する方法をとることもできる。流動状態のセラミック媒体中にスラリーが滴下され、媒体同士の剪断力エネルギーと乾燥に伴う凝集力とによって大粒子と小粒子とが強固に結合するからである。
複合化処理では、一般的に、母粒子に対する子粒子の割合が0.5質量%以上、40質量%以下となるように計量し、複合化装置に投入する。
本発明の複合粒子は、例えば、樹脂製品、ゴム製品、紙、化粧料、塗料、印刷インキ、セラミック製品、色素増感型太陽電池、光触媒など、従来の二酸化チタンとほぼ同様な用途に用いることができる。
本発明の複合粒子は、例えば、有機重合体に添加して組成物として使用できる。有機重合体としては、例えば、合成熱可塑性樹脂、合成熱硬化性樹脂、天然樹脂などが挙げられる。このような有機重合体の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフイン、ナイロン6、ナイロン66、アラミドなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステルなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルアセタール樹脂、ポリアセテート、ABS樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロースおよびレーヨンその他のセルロース誘導体、ポリウレタン、ポリカーボネート、尿素樹脂、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂、セルロイド、キチン、澱粉シート、アクリル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。有機重合体は、1種を単独で用いても、または2種以上を組み合わせ用いてもよい。
本発明の複合粒子を含むこれら有機重合体組成物は、例えば、塗料(コーティング組成物)、コンパウンド(例えば、粉体含有樹脂組成物)、および複合粒子を高濃度に含む成型体などに用いるマスターバッチなどの形態で使用できる。有機重合体組成物には、酸化防止剤、耐電防止剤、金属脂肪酸塩などの添加剤を添加してもよい。
有機重合体組成物中の本発明の複合粒子の濃度は、有機重合体組成物全質量に対して、0.01〜80質量%が好ましく、特に好ましくは0.01〜60質量%、さらに好ましくは1〜50質量%であるが、最も好ましくは1〜40質量%である。
このような重合体組成物を成形することによって、紫外線遮蔽能を有する成形体が得られる。このような成形体として、例えば、繊維、フィルム、プラスチックなどの成型体などが挙げられる。
繊維としては、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、レーヨンなどが挙げられる。これらの繊維は、さまざまな光触媒繊維製品とすることができる。その具体例としては、タオル、ふきん、手ぬぐい、めがね拭き、ハンカチなどの布製品;パジャマ、おむつ、シーツ、便座カバー、毛布、布団などの寝具類・介護用布製品;下着、靴下などの肌着類;マスク、白衣、ナースキャップ、カーテン、シーツなどの病院用繊維製品;サポーター、トレーナー、ジャージなどのスポーツ用繊維製品;自動車シート、シートカバー、自動車天井材、自動車床材などの自動車用繊維製品;カーペット、カーテン、足拭きマット、のれん、椅子・ソファーの布地などの住宅用繊維製品;セーターなどの衣料用繊維製品が挙げられる。また、光触媒繊維は壁紙、障子などの紙製品に使用することができる。
フィルムとしては、ごみ袋、食品包装用袋、ラップ用フィルム、ペットボトル用シュリンクフィルム、化粧板などの化粧フィルムなどが挙げられる。
成型体としては、洗面台ユニット、バスユニット、流し台ユニットの樹脂部分、手すりの樹脂部分、テレビ、パソコン、エアコン室内機、コピー機、洗濯機、除湿機、電話機、電気ポット、掃除機などの樹脂ボディ、照明器具用樹脂カバー、樹脂製ハンガー、樹脂製衣装ケース、樹脂製ごみ入れ、自動車用ダッシュボードなどが挙げられる。
本発明の複合粒子は一般的に有機重合体組成物中に配合し成型することで複合粒子の大粒子が頭だしされる効果が得られるが、有機重合体組成物を繊維またはフィルムに成形する場合、繊維径またはフィルム厚は限定されるわけではないが、母粒子径の2倍以上200倍以下が好ましく、5倍以上100倍以下がより好ましい。
また、本発明の複合粒子は、水や有機溶剤に分散させた後、バインダーを任意に添加して塗工剤にすることできる。バインダー材料については、特に制限はなく、有機系バインダーであっても無機系バインダーであってもよい。
このようなバインダーとして、例えば、ポリビニルアルコール、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、セルロイド、キチン、澱粉シート、ポリアクリルアミド、アクリルアミド、不飽和ポリエステルなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、シリコン樹脂、ビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン、尿素樹脂、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂などが挙げられる。さらに、無機バインダーとして、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、プロピオン酸ジルコニウムなどのジルコニウム化合物、アルコキシシラン、珪酸塩などの珪素化合物、或いはアルミニウムやチタンの金属アルコキシドなどが挙げられる。
塗工剤中のバインダーの添加量は、0.01質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%の範囲が特に好ましい。バインダーの含有量が0.01質量%未満では、塗工後に十分な接着性を得られず、逆に、20質量%を越えると増粘などの問題が生じ、また、経済的にも不利となる。
さらに、本発明の複合粒子を、構造体の表面に具備せしめてもよい。このような構造体は、特に限定されるものではなく、例えば、金属、コンクリート、ガラス、陶器などの無機物から構成されるものでもよく、紙、プラスチック、木材、皮などの有機物から構成されるものでもよく、あるいは、それらを組み合わせたものであってもよい。これらの例としては、例えば、建材、機械、車両、ガラス製品、家電製品、農業資材、電子機器、工具、食器、風呂用品、トイレ用品、家具、衣類、布製品、繊維、革製品、紙製品、スポーツ用品、蒲団、容器、眼鏡、看板、配管、配線、金具、衛生資材、自動車用品、テントなどのアウトドア用品、ストッキング、靴下、手袋、マスクなどが挙げられる。また、シックハウス対策や、水・大気・土壌中のPCBやダイオキシン類のような有機塩素化合物の分解、水・土壌中の残留農薬や環境ホルモンの分解などに有効な環境浄化機器・装置にも応用できる。
また、前記物品が効果的にその光触媒性や親水性を発現することができる光源として、太陽、蛍光灯、白熱電球、水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオード、レーザー、有機物の燃焼炎などを例示することができる。また蛍光灯としては、白色蛍光灯、昼白色蛍光灯、昼光色蛍光灯、温白色蛍光灯、電球色蛍光灯、ブラックライト、などを例示することができる。
これらの構造体の表面に具備せしめる方法としては、特に限定するものではなく、例えば、前述の有機重合体組成物や塗工剤を、構造体に直接塗布してもよいし、あるいは、表面にすでに塗膜のある構造体の上に塗布してもよい。塗工剤を塗布することにより成膜する場合、成膜することで複合粒子が頭出しされる効果が得られる。膜厚としては限定するわけではないが母粒子径の2倍以上200倍以下が好ましく、5倍以上100倍以下がより好ましい。さらに、これらの上に他の塗膜を形成してもよい。その場合、複合粒子の頭出しされた部分を覆わないか、あるいは光触媒反応に関わる物質を容易に透過する膜が望ましい。
さらに本発明の複合粒子を化粧料などにも用いることも可能である。より好ましくは小粒子には二酸化チタンシリカ複合微粒子を用いると、子粒子、すなわち二酸化チタンシリカ複合微粒子のみを用いた化粧料に比べ、皮膚へ塗布した際の滑らかさに優れている。特にこの効果は、母粒子を球状ナイロン粒子とした時に著しい。球状ナイロン粒子上に、二酸化チタンシリカ複合微粒子を担持した複合粒子は、皮膚へ塗布した際の滑らかさ、感触に優れているだけでなく、紫外線遮蔽能をも具備している。この化粧料には、一般に化粧料に使用されるオイル、美白剤、保湿剤、アンチエイジング剤、エモリエント剤、エキス類、抗炎症剤、抗酸化剤、界面活性剤、キレート剤、抗菌剤、防腐剤、アミノ酸、糖類、有機酸、アルコール類、エステル類、油脂、炭化水素類、紫外線防止剤、無機粉体などの各種添加剤を添加することができる。
具体的には、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ベンジルアルコールなどの溶剤、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオールなどの多価アルコール類、ソルビトールなどの糖類、トレハロースなどの二糖類、ヒアルロン酸、水溶性コラーゲンなどの保湿剤、水素添加したスクワランやオリーブオイル、ホホバオイルといった植物油、セラミド類などのエモリエント剤、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシドなどの安定型アスコルビン酸、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、ルシノール、カミレツエキスなどの美白剤、アラントイン、グリチルリチン酸もしくはその塩類などの抗炎症剤、モノステアリン酸グリセリン、POEソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE・POPブロックポリマー、POE硬化ヒマシ油エステルなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸石鹸、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、イソパラフィン、ワセリン、α−オレフィンオリゴマーなどの炭化水素、アーモンドオイル、カカオオイル、マカデミアナッツオイル、アボガドオイル、ヒマシ油、ヒマワリ油、月見草油、サフラワー油、ナタネ油、馬油、牛脂、合成トリグリセライドなどの油脂類、ミツロウ、ラノリン、ホホバオイルなどのロウ類、ラウリル酸、アテアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、グリコール酸、酒石酸などの脂肪酸、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデシルアルコール、などの高級アルコール、グリセリントリエステル、ペンタエリスリトールテトラエステルなどの合成エステル、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油、EDTA、グルコン酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウムなどのキレート剤、パラベン、ソルビン酸、イソプロピルメチルフェノール、クレゾール、安息香酸、安息香酸、エチル、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ヒノキチオール、フルフラール、ピリチオンナトリウムなどの防腐剤、殺菌剤、ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン、亜流酸水素ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウムなどのバッファー剤、グリシン、アラニンなどのアミノ酸類、ミリスチン酸ブチル、オレイン酸エチル、ステアリン酸エチル、などのエステル類、香料、顔料、動植物抽出物、ビタミンA、B郡、Cなどのビタミン類およびその誘導体、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸エチル、サリチル酸フェニル、ケイ皮酸ベンジル、オクチルメトキシシンナメート、シノキサート、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、マイカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、無水珪酸、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、群青、黒酸化鉄、黄酸化鉄などの無機粉末、ナイロン粉末、ポリメチルメタクリレート粉末などの樹脂粉末などを使用することができる。
本発明でいう化粧料は、本発明に関する以外の部分は一般に製造に用いられる技術を使用し、製造することができる。
【実施例】
以下、本発明を実施例について具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例、比較例において、下記の評価を行った。
(1)フィルムの光触媒性
本発明の複合粒子20質量部と、ステアリン酸亜鉛(日本油脂(株)製、ジンクステアレートS)2質量部と、低密度ポリエチレン(日本ポリオレフィン(株)製、ジェイレクスJH607C)78質量部とを二軸混練押出機(KZW15−30MG、(株)テクノベル製)を用いて140℃(滞留時間約3分)で溶融混練し、ペレット化を行った。直径2〜3mmφ、長さ3〜5mm、質量0.01〜0.02g、円柱状で、複合粒子含量20%の低密度ポリエチレンのコンパウンドを得る。
この低密度ポリエチレンコンパウンド4kgと低密度ポリエチレン(日本ポリオレフィン(株)製、ジェイレクスJH607C)16kgをV型ブレンダー(池本理化工業(株)製、RKI−40)で10分間混合し、混合ペレットを作製した。
次に、得られた混合ペレットを200mmのTダイを有する二軸混練押出機(KZW15−30MG、(株)テクノベル製)でダイス温度250℃で80μmのフィルムを作製した。
こうして得られたフィルム上に、試験インキを直径約2cmの円状になるように垂らして、インキ消色テスト試料とした。試験インキとしては、カラープリンター用インキ(キャノン(株)製のBJI201M−マジェンタ)1gをエタノール99gに溶解したものを使用した。
インキ消色テスト試料をガラス窓から5cmの位置に置き、ガラス越しに太陽光に当てて、晴天が累積3日目に観察して、消色の程度を目視により判定した。
(2)硫化水素消臭テスト
検体の光照射される光触媒面の合計面積が400cmとなるように、検体を5Lの容量のテドラー(登録商標)バッグ(ジーエルサイエンス株式会社製、AAK−5)に入れた。次いでそこに硫化水素を60体積ppm含有する乾燥空気を5L充填・ブローを少なくとも1回行い、再度同じ濃度の硫化水素を含有する乾燥空気を5L充填し、内部のガスを十分置換した。硫化水素を60体積ppm含有する乾燥空気は、市販の圧縮空気を用いてパーミエーター(株式会社ガステック製、PD−1B)で調製した。
次に、初期硫化水素濃度C0T(体積ppm)を検知管(株式会社ガステック製、No.4LL)を用いて測定した。その後、袋の外から、波長365nmにおける紫外線強度0.5mW/cmの光が光触媒面に照射されるように光照射を開始した。その時点を起点として4時間後の袋中の硫化水素濃度C1T(体積ppm)を測定した。一方、対照実験として、上記と同様な操作にて暗所において4時間保持するテストも行なった。その時の初期硫化水素濃度をC0B(体積ppm)、4時間後の硫化水素濃度をC1B(体積ppm)とした。
なお、光源としてブラックライト(ナショナル(株)製、FL20S・BL−B)を用い、365nmにおける光強度の測定には、ウシオ電機(株)製紫外線積算光量計、UIT−150を用いた。また、光源として昼白色蛍光灯を用いる場合は、例えば、株式会社日立GEライティング製、ハイホワイトFL20SS−N/18−Bを用いた。光強度の測定には、アテックス株式会社製、UVA−365を用いた。これを使えば、365nmにおける微弱な光強度を測定することができる。この時は波長365nmにおける紫外線強度6μW/cmの光が光触媒面に照射されるように昼白色蛍光灯を調整して照射した。
吸着を除く硫化水素の分解率Dは、
={(C0T−C1T)−(C0B−C1B)}/C0T×100(%)
により定義される。Dが大きいほど、光触媒性が大きいと判断できる。
(3)耐候性テスト(フィルムの耐候性)
インキ消色テスト用に製造したフィルムの一部を耐候性テストに使用した。耐候性テストは、平板をスガ試験機(株)製のサンシャインスーパーロングライフウェザーメーターWEL−SUN−HCH型に48時間かけて行った。JIS K 7350−4(プラスチック−実験室光源による暴露試験方法 オープンフレームカーボンアークランプ)に従い、I形フィルタを使用し、ブラックパネル温度63±3℃、水噴霧時間18±0.5分/60分の条件で試験を行った。
耐候性の評価は、サンシャインスーパーロングライフウェザーメーターにかける前後の平板の光沢度を(株)堀場製作所製GLOSS CHECKER IG−320により測定して、光沢保持率によって行った。光沢保持率は、耐候性テスト前のフィルムの光沢度をBL(%)、耐候性テスト後のフィルムの光沢度をBL(%)とすると、
光沢保持率=BL/BL×100(%)
により算出した。
(4)混晶状態の評価
本発明において、子粒子の混晶状態の確認方法としては、XPS(X線光電子分光法)を採用する。その詳細については、A.Yu.Stakheev et al,J.Phys.Chem.,97(21),5668−5672(1993)などに記載されている。
【実施例1】
濃度100体積%のガス状四塩化チタン9.4Nm/時間(Nは標準状態を意味する。以下同じ。)および濃度100体積%のガス状四塩化珪素0.25Nm/時間を含有するガスを混合後1,000℃に、8Nm/時間の酸素および20Nm/時間の水蒸気の混合ガスを1,000℃にそれぞれ予熱して、同軸平行流ノズルを用いて、それぞれ流速49m/秒、60m/秒で反応管に導入した。
なお、反応は、同軸平行流ノズルの内管側が四塩化チタン−四塩化珪素の混合ガスとなるようにガスを導入した。反応管の内径は100mmであり、反応温度1,300℃における管内流速は計算値で10m/秒であった。
反応管内の高温滞留時間が0.3秒以下となるように、反応後、冷却空気を反応管に導入し、その後、ポリテトラフルオロエチレン製バグフィルターを用いて製造された超微粒子粉末を捕集した。捕集した粉末を、オーブンにて空気雰囲気下、500℃×1時間加熱し、脱塩素処理を実施した。
得られた超微粒子混晶酸化物は、BET比表面積が24m/g、SiO含量は2.2質量%、BET比表面積から換算される平均一次粒子径0.06μm、塩素が0.01質量%であり、XPSによってチタン−酸素−珪素結合が認められた。この超微粒子混晶酸化物を子粒子として用いた。
一方で、直径12.5cmのナイロン製容器に直径5mmのアルミナボールを800g投入した。ここに昭和電工社製水酸化アルミニウム(ハイジライト(登録商標)H−10C:平均粒径85μm)190gと上記製法によって得られた二酸化チタンシリカ複合微粒子(BET比表面積から換算された平均粒子径0.06μm、SiO=2.2質量%)10gとを投入した。これに蓋をし、毎分50回転で2時間粉砕混合した。この時のエネルギー定数は3,000である。
この粉砕混合処理後、走査電子顕微鏡で処理物を観察したところ、遊離の粒子は少なく、ほとんどの粒子が複合化されており、水酸化アルミニウムを母粒子(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径は約60μmであり大きくは変化していない)とし、母粒子の表面に二酸化チタンシリカ複合微粒子が子粒子(BET比表面積より換算された平均粒径は変化していない)として担持した複合粒子が得られていることが確認された。
このようにして得られた複合粒子を、前記の方法によりフィルム化し、インキ消色テストを行ったところ、マジェンタ色はほぼ消えていた。なお、消色テストを暗所にて同じ時間行ったが、消色は見られなかった。したがって、上述のインキ消色テストにおける消色は光触媒効果によるものであることが確認された。また、得られたフィルムの光沢保持率は90%と良好であった。また、硫化水素の吸着を除く分解率Dは40%であった。
【実施例2】
直径12.5cmのナイロン製容器に直径5mmのアルミナボールを800g投入した。ここに昭和電工社製水酸化アルミニウム(ハイジライトHS−320:レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径9μm)190gと実施例1で用いた二酸化チタンシリカ複合微粒子10gとを投入した。これに蓋をし、毎分50回転で30分粉砕混合した。この時のエネルギー定数は750である。
この粉砕混合処理後、走査電子顕微鏡で処理物を観察したところ、遊離の粒子は少なく、ほとんどの粒子が複合化されており、水酸化アルミニウムを母粒子(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径は大きくは変化していない)とし、母粒子の表面に二酸化チタンシリカ複合微粒子が子粒子(BET比表面積から換算される平均粒径は変化していない)として担持した複合粒子が得られていることが確認された。
このようにして得られた複合粒子を、前記の方法によりフィルム化し、インキ消色テストを行ったところ、マジェンタ色はほぼ消えていた。なお、消色テストを暗所にて同じ時間行ったが、消色は見られなかった。したがって、上述のインキ消色テストにおける消色は光触媒効果によるものであることが確認された。また、得られたフィルムの光沢保持率は80%と良好であった。また、硫化水素の吸着を除く分解率Dは60%であった。
【実施例3】
直径12.5cmのナイロン製容器に直径5mmのアルミナボールを800g投入した。ここに東レ株式会社製球状ナイロンパウダーKG−10(平均径10μm、融点165℃)190gと実施例1で用いた二酸化チタンシリカ複合微粒子10gとを投入した。これに蓋をし、毎分50回転で8時間混合した。この時のエネルギー定数kは12,000である。
この粉砕混合処理後、走査電子顕微鏡で処理物を観察したところ、遊離の粒子は少なく、ほとんどの粒子が複合化されており、ナイロンを母粒子(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径は大きくは変化していない)とし、母粒子の表面に二酸化チタンシリカ複合微粒子が子粒子(BET比表面積から換算される平均粒径は変化していない)として担持した複合粒子が得られていることが確認された。
このようにして得られた複合粒子を、前記の方法によりフィルム化し、インキ消色テストを行ったところ、マジェンタ色はほぼ消えていた。なお、消色テストを暗所にて同じ時間行ったが、消色は見られなかった。したがって、上述のインキ消色テストにおける消色は光触媒効果によるものであることが確認された。また、得られたフィルムの光沢保持率は85%と良好であった。また、硫化水素の吸着を除く分解率Dは55%であった。
【実施例4】
株式会社カワタ製スーパーミキサーSMG−100(内容積100L)に白石カルシウム株式会社製炭酸カルシウムホワイトンB(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径14μm)を27kg投入した。ここに実施例1で用いた二酸化チタンシリカ複合微粒子3kgを投入し、ふたをした。室温で1500回転/分、3分間の複合化処理を実施した。この時のエネルギー定数k2は4、500であった。
この複合化処理後、走査電子顕微鏡で処理物を観察したところ、遊離の粒子は少なく、ほとんどの粒子が複合化されており、炭酸カルシウムを母粒子(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径は大きくは変化していない)とし、母粒子の表面に二酸化チタンシリカ複合粒子が小粒子(BET比表面積から換算される平均粒径は変化していない)として担時した複合粒子が得られていること確認された。
このようにして得られた複合粒子を、前記の方法によりフィルム化し、インキ消色テストを行ったところ、マジェンタ色はほぼ消えていた。なお、消色テストを暗所にて同じ時間行ったが、消色は見られなかった。したがって、上述のインキ消色テストにおける消色は光触媒効果によるものであることが確認された。また、得られたフィルムの光沢保持率は85%と良好であった。また、硫化水素の吸着を除く分解率Dは50%であった。
【実施例5】
浅田鉄工株式会社ペイントシェーカー(内容積5L)に白石カルシウム株式会社製炭酸カルシウムホワイトンB(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径14μm)を1.5kg投入した。ここに実施例1で用いた二酸化チタンシリカ複合微粒子200gを投入し、ふたをした。室温で5分間の複合化処理を実施した。この時のエネルギー定数k3は約600である。
この複合化処理後、走査電子顕微鏡で処理物を観察したところ、遊離の粒子は少なく、ほとんどの粒子が複合化されており、炭酸カルシウムを母粒子(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径は大きくは変化していない)とし、母粒子の表面に二酸化チタンシリカ複合粒子が小粒子(BET比表面積から換算される平均粒径は変化していない)として担時した複合粒子が得られていること確認された。
このようにして得られた複合粒子を、前記の方法によりフィルム化し、インキ消色テストを行ったところ、マジェンタ色はほぼ消えていた。なお、消色テストを暗所にて同じ時間行ったが、消色は見られなかった。したがって、上述のインキ消色テストにおける消色は光触媒効果によるものであることが確認された。また、得られたフィルムの光沢保持率は80%と良好であった。また、硫化水素の吸着を除く分解率Dは65%であった。
【実施例6】
あらかじめ計量した純水50リットル(以下、リットルをLと記す)を攪拌を行いながら加熱して温度を98℃に保持した。そこへTi濃度15質量%の四塩化チタン水溶液(住友チタニウム株式会社製)3.6kgを120分かけて滴下した。滴下後に得られた白色懸濁液を電気透析機にかけて脱塩素を行い、スラリーのpHを4にした。こうして得られた光触媒スラリーの一部を採取し、乾燥恒量法により固形分濃度を測定したところ、2質量%であった。
X線回折装置によって乾燥粉の構造解析を行った結果、得られた粉末はブルッカイト型二酸化チタンであった。これは、ブルッカイト含有率89質量%、アナターゼ含有率11質量%であった。
次に100gのピロリン酸ソーダ(太平化学産業株式会社製、食添用)を純水に溶解し、5質量%のピロリン酸ソーダ水溶液2kgを得た。
このようにして得られた2質量%二酸化チタンスラリー50Lを反応槽に仕込み冷却しながら、十分な攪拌を行った。そこへ2kgの5質量%ピロリン酸ソーダ水溶液および10質量%苛性ソーダ水溶液を、混合後のpHが8〜9になるように調製しながら1時間かけて、添加した。この間、反応温度は20〜25℃であった。
得られたピロリン酸を含んだ二酸化スラリーを22〜28℃で1時間保持した。その際の電気伝導度は10,000μS/cmであった。 次に、得られたスラリーをロータリーフィルタープレス(コトブキ技研株式会社製)で濾過洗浄し、濾過液の電気伝導度が50μS/cmになるまで、十分水洗した後、濃縮して光触媒性スラリーを得た。得られた光触媒性スラリーのpHをpH計(株式会社堀場製作所製 D−22)で測定したところ7.8であった。
次に、得られたスラリーの一部を採取し、120℃にて乾燥恒量法により粉末を得た。これよりスラリーの固形分濃度を測定したところ、10質量%であった。次に得られた粉末をFT−IR(株式会社パーキンエルマー製、FT−IR1650)で分析を行った結果、ピロリン酸の吸収が観察された。次に、乾燥粉をICP(株式会社島津製作所製、ICPS−100V)で分析を行ったところ、Naが0.7質量%、リンが1.2質量%存在することがわかった。また、大塚電子株式会社製ELS−8000を用いて、電気泳動光散乱法によって測定されたゼータ電位を測定したところ、等電点は2.1であった。BET比表面積測定(株式会社島津製作所製、Flow Sorb II 2300)の結果は、140m/gであった。
上記のスラリー10kgに純水70kgと白石カルシウム株式会社製炭酸カルシウムホワイトンB(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径14μm)を20kg投入し十分攪拌した。このスラリーを媒体流動乾燥機(株式会社大川原製作所製、スラリードライヤー)で乾燥して、二酸化チタン微粒子の表面にブレンステッド酸塩を有する小粒子と炭酸カルシウム母粒子とからなる複合粒子を取得した。
このようにして得られた複合粒子を、前記の方法によりフィルム化し、インキ消色テストを行ったところ、マジェンタ色はほぼ消えていた。なお、消色テストを暗所にて同じ時間行ったが、消色は見られなかった。したがって、上述のインキ消色テストにおける消色は光触媒効果によるものであることが確認された。また、得られたフィルムの光沢保持率は80%と良好であった。また、ブラックライトを光源としたときの硫化水素の吸着を除く分解率Dは75%であった。
さらに昼白色蛍光灯を光源としたときの硫化水素の吸着を除く分解率Dは12%であり、微弱な蛍光灯の光でも分解していた。
【実施例7】
実施例6と同様にして得た小粒子スラリー10kgに純水150kgと白石カルシウム株式会社製炭酸カルシウムホワイトンB(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径14μm)を40kg投入し十分攪拌し、同様に複合粒子を得た。
このようにして得られた複合粒子を、前記の方法によりフィルム化し、インキ消色テストを行ったところ、マジェンタ色はほぼ消えていた。なお、消色テストを暗所にて同じ時間行ったが、消色は見られなかった。したがって、上述のインキ消色テストにおける消色は光触媒効果によるものであることが確認された。また、得られたフィルムの光沢保持率は80%と良好であった。また、ブラックライトを光源としたときの硫化水素の吸着を除く分解率Dは90%であった。
さらに昼白色蛍光灯を光源としたときの硫化水素の吸着を除く分解率Dは19%であり、微弱な蛍光灯の光でも分解していた。
【実施例8】
実施例6と同様にして得た小粒子スラリー10kgに純水135kgと白石カルシウム株式会社製炭酸カルシウムホワイトンB(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径14μm)を5kg投入し十分攪拌し、同様に複合粒子を得た。
このようにして得られた複合粒子を、前記の方法によりフィルム化し、インキ消色テストを行ったところ、マジェンタ色はほぼ消えていた。なお、消色テストを暗所にて同じ時間行ったが、消色は見られなかった。したがって、上述のインキ消色テストにおける消色は光触媒効果によるものであることが確認された。また、得られたフィルムの光沢保持率は85%と良好であった。また、ブラックライトを光源としたときの硫化水素の吸着を除く分解率Dは70%であった。
さらに昼白色蛍光灯を光源としたときの硫化水素の吸着を除く分解率Dは10%であり、微弱な蛍光灯の光でも分解していた
【実施例9】
実施例6と同様にして得た小粒子スラリーを媒体流動乾燥機(株式会社大川原製作所製、スラリードライヤー)で乾燥して、小粒子を得た。これを実施例4と同様にして複合粒子を得た。
このようにして得られた複合粒子を、前記の方法によりフィルム化し、インキ消色テストを行ったところ、マジェンタ色はほぼ消えていた。なお、消色テストを暗所にて同じ時間行ったが、消色は見られなかった。したがって、上述のインキ消色テストにおける消色は光触媒効果によるものであることが確認された。また同様に、得られたフィルムの光沢保持率も80%と良好であった。さらに同じく、ブラックライトを光源としたときの硫化水素の吸着を除く分解率Dは71%であり、昼白色蛍光灯を光源としたときの硫化水素の吸着を除く分解率Dは12%であり、微弱な蛍光灯の光でも分解していた。
比較例1
株式会社カワタ製スーパーミキサーSMG−100(内容積100L)に白石カルシウム株式会社製炭酸カルシウムホワイトンB(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径14μm)を27kg投入した。ここに実施例1で用いた二酸化チタンシリカ複合微粒子3kgを投入し、ふたをした。室温で200回転/分、30秒の複合化処理を実施した。この時のエネルギー定数k2は100であった。
この処理後、走査電子顕微鏡で処理物を観察したところ、単なる混合粉と違いが認められなかった。
この粒子を、前記の方法によりフィルム化し、インキ消色テストを行ったところ、マジェンタ色は消えていなかった。また、得られたフィルムの光沢保持率は40%以下であり、非常に悪かった。これは複合化がなされていないため、チタニア−シリカ粒子が直接、樹脂と接触しており、光触媒作用により耐候性を悪化させたと考えられる。
比較例2
株式会社カワタ製スーパーミキサーSMG−100(内容積100L)に白石カルシウム株式会社製炭酸カルシウムホワイトンB(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径14μm)を27kg投入した。ここに実施例1で用いた二酸化チタンシリカ複合微粒子3kgを投入し、ふたをした。室温で1500回転/分、45分の複合化処理を実施した。この時のエネルギー定数k2は67,500である。
この処理後、被処理物は固くスーパーミキサー表面に固着していた。これは過度の処理により粉体が固く凝集したものである。この粉体は凝集をほぐすのが困難であり、使用に耐えない。
比較例3
あらかじめ計量した純水50Lを攪拌を行いながら加熱して温度を98℃に保持した。そこへTi濃度15質量%の四塩化チタン水溶液(住友チタニウム株式会社製)3.6kgを120分かけて滴下した。滴下後に得られた白色懸濁液を電気透析機にかけて脱塩素を行い、スラリーのpHを4にした。こうして得られた光触媒スラリーの一部を採取し、乾燥恒量法により固形分濃度を測定したところ、2質量%であった。乾燥粉をX線回折装置にかけて構造解析を行った結果、得られた粉末はブルッカイト型二酸化チタンであった。これは、ブルッカイト含有率89質量%、アナターゼ含有率11質量%であった。
このスラリーの一部を媒体流動乾燥機(株式会社大川原製作所製、スラリードライヤー)で乾燥して、小粒子を得た。これを実施例4と同様にして複合粒子を得た。
この粒子を、前記の方法によりフィルム化し、インキ消色テストを行ったところ、マジェンタ色は消えるものの、得られたフィルムの光沢保持率は30%以下であり、非常に悪かった。これは小粒子がピロリン酸処理されなかったため、複合化されず、小粒子が直接、樹脂中に分散接触しており、光触媒作用により耐候性を悪化させたと考えられる。
比較例5
実施例6と同様にして得た小粒子スラリー10kgに白石カルシウム株式会社製炭酸カルシウムホワイトンB(レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径14μm)を1000g投入し十分攪拌し、同様に複合粒子を得た。
このようにして得られた複合粒子を、前記の方法によりフィルム化し、インキ消色テストを行ったところ、マジェンタ色はほぼ消えていたが、得られたフィルムの光沢保持率は18%と非常に悪かった。
産業上の利用分野
本発明の複合粒子は、有機重合体に添加して重合体組成物とし、この重合体組成物を成形することによって、紫外線遮蔽能を有する成形体が得られる。このような成形体として、例えば、繊維、フィルム、プラスチックなどの成型体などが挙げられる。
本発明の複合粒子は、樹脂と混練しフィルム化した際に、または樹脂バインダーと共に構造物表面に製膜した際に、樹脂から光触媒能をもつた粒子が露出する、いわゆる「頭だし」が効果的に行える粒子である。このため、複合粒子担持体として用いた樹脂の分解を最小に抑制しながら光触媒能を十分に発揮させることができる。そのため、耐侯性に優れた構造物、フィルムなどにすることが可能である。また、光触媒粒子の安価な担持施工と耐久性とを同時に解決することができる。
さらに、複合微粒子の小粒子として、ブレンステッド酸塩を含有する二酸化チタン微粒子または二酸化チタンシリカ複合微粒子を用いれば、室内の微弱な光の下でも十分な光触媒能を発揮する実用的な物品とすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小粒子が大粒子に担持されている複合粒子であって、該小粒子がBET比表面積換算粒径で0.005μm〜0.5μmの平均粒径をもつ光触媒含有微粒子であり、かつ、該大粒子が、レーザー回折/散乱式粒度分析法によって測定される平均粒径2〜200μmを有する複合粒子。
【請求項2】
小粒子が光触媒として二酸化チタンを含んでいる請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
小粒子が、二酸化チタンと光触媒能を発現しない無機化合物との複合粒子である請求項1に記載の複合粒子。
【請求項4】
光触媒能を発現しない無機化合物がシリカであり、小粒子中に含有されているシリカの割合が0.5質量%以上、50質量%以下である請求項3に記載の複合粒子。
【請求項5】
小粒子が、ブレンステッド酸塩を含有している請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項6】
小粒子が、ブレンステッド酸塩が表面に存在する二酸化チタン粒子である請求項5に記載の複合粒子。
【請求項7】
ブレンステッド酸塩が、縮合リン酸塩である請求項6に記載の複合粒子
【請求項8】
小粒子が、ブレンステッド酸塩を、0.01質量%〜50質量%含有する請求項5〜7のいずれかに記載の複合粒子。
【請求項9】
二酸化チタンが、ブルッカイト結晶相を含むものである請求項2乃至8のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項10】
大粒子が、融点150℃以上の球状樹脂粒子である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項11】
大粒子が、Al、Mg、Ca、Siからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む水酸化物または酸化物または炭酸塩である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項12】
大粒子に対する小粒子の割合が0.5%質量以上40質量%以下である請求項1乃至11のいずれかに1項に記載の複合粒子。
【請求項13】
大粒子および小粒子を含む材料をボールミルで乾式混合して、複合粒子を製造する方法において、その乾式混合のエネルギー定数kが、混合する粒子の総質量をwp(g)、メディア質量をwm(g)、ボールミル容器内径をd(m)、回転数をn(rpm)、混合時間をt(分)とした時に、
k=(wm/wp)×d×n×t (1)式
なる関係で表されるkが50以上、50,000以下である条件下に乾式混合を行うことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の複合粒子を製造する方法。
【請求項14】
大粒子および小粒子を含む材料を翼の回転により混合・粉砕・攪拌を行うタイプの粉体処理装置を用い、翼の回転数をn(rpm)、混合時間をt(分)とした時に、
k2=n×t (2)式
なる関係で表されるk2が250以上、50,000以下である条件下に翼の回転を行うことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の複合粒子を製造する方法。
【請求項15】
大粒子および小粒子を含む材料を震蕩により混合・粉砕・攪拌を行うタイプの粉体処理装置を用い、震蕩回数(回/分)をn、混合時間をt(分)とした時に、
k3=n×t (3)式
なる関係で表されるk3が50以上、50,000以下である条件下に震蕩を行うことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の複合粒子の製造方法。
【請求項16】
有機重合体と、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の複合粒子とを含んでなる有機重合体組成物であって、該複合粒子の含有量が有機重合体組成物全質量中0.01〜80質量%である有機重合体組成物。
【請求項17】
有機重合体が、合成熱可塑性樹脂、合成熱硬化性樹脂、および天然樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂である請求項16に記載の有機重合体組成物。
【請求項18】
有機重合体組成物がコンパウンドである請求項16または17に記載の有機重合体組成物。
【請求項19】
有機重合体組成物がマスターバッチである請求項16または17に記載の有機重合体組成物。
【請求項20】
請求項16乃至19のいずれか1項に記載の有機重合体組成物を成型してなる成型体。
【請求項21】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の複合粒子を含む塗工剤。
【請求項22】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の複合粒子を含む塗料。
【請求項23】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の複合粒子を表面に具備した構造体。
【請求項24】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の複合粒子を含む化粧料。
【請求項25】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の複合粒子を含む繊維。
【請求項26】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の複合粒子を含むフィルム。

【国際公開番号】WO2004/062799
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507983(P2005−507983)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000101
【国際出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】